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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
管理番号 1340100
異議申立番号 異議2017-700822  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-08-31 
確定日 2018-03-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6088654号発明「静電容量型入力装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6088654号の明細書、特許請求の範囲及び図面を訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲及び図面のとおり、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正することを認める。 特許第6088654号の請求項1ないし4に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6088654号の請求項1-4に係る特許についての出願は、平成26年7月28日を国際出願日とする出願であって(優先権主張平成25年8月23日、日本)、平成29年2月10日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許に対し、平成29年8月31日に特許異議申立人松田亘弘により特許異議の申立てがされ、平成29年11月20日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年1月22日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人松田亘弘から平成30年3月6日に意見書が提出されたものである。

第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)-(7)のとおりである。
(1) 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1-4において、訂正前の
「 【請求項1】
ユーザに対向する外曲面を有して合成樹脂で成形された外装体と、
該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材と、
該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面に形成された導電性高分子からなる導電層と、
該導電層と電気的に接続された配線層と、
前記導電層の前記フィルム基材側の面の反対面を覆うように積層された、前記フィルム基材よりも薄い保護層と、
を有することを特徴とする曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項2】
前記導電性高分子は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体からなることを特徴とする請求項1に記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記外装体、前記フィルム基材、前記導電層及び前記保護層が透明であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記保護層は、絶縁性の合成樹脂材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。」
と記載されているのを、訂正後の
「 【請求項1】
ユーザに対向する外曲面を有して合成樹脂で成形された外装体と、
該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材と、
前記外装体の前記内曲面と前記フィルム基材との間に設けられた接着層と、
該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面に形成された導電性高分子からなる透明性の導電層と、
該導電層と電気的に接続された配線層と、
前記導電層の前記フィルム基材側の面の反対面を覆うように積層された、前記フィルム基材よりも薄い保護層と、
を有し、透明性を有することを特徴とする曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項2】
前記導電性高分子は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体からなることを特徴とする請求項1に記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記外装体、前記フィルム基材、前記導電層及び前記保護層が透明であり、前記フィルム基材の前記外装体側の面に加飾層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記保護層は、絶縁性の合成樹脂材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。」
に訂正する。

(2) 訂正事項2
明細書の段落【0018】の【図8】の説明において、
「【図8】第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置の変形例を説明する図であって、図8(a)は、図3と比較した変形例3の断面構成図であり、図8(b)は、図3と比較した変形例4の断面構成図である。」
と記載されているのを、
「【図8】第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置の変形例を説明する図であって、図3と比較した変形例4の断面構成図である。」
に訂正する。

(3) 訂正事項3
明細書の段落【0044】において、
「図8は、第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101の変形例を説明する図であって、図8(a)は、図3と比較した変形例3の静電容量型入力装置C103の断面構成図であり、図8(b)は、図3と比較した変形例4の静電容量型入力装置C104の断面構成図である。」
と記載されているのを、
「図8は、第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101の変形例を説明する図であって、図3と比較した変形例4の静電容量型入力装置C104の断面構成図である。」
に訂正する。

(4) 訂正事項4
明細書の段落【0047】において、
「<変形例3>
上記第1実施形態では、導電層5を覆うように保護層9を設けるように好適に構成したが、図8(a)に示すように、保護層9を設けない構成にしても良い。」
と記載されているのを、削除する。

(5) 訂正事項5
明細書の段落【0048】において、
「<変形例4>
上記第1実施形態に対して、図8(b)に示すように、外装体1と加飾層52との間に、中間層C42を設けるように好適に構成しても良い。これにより、射出成形時において、外装体1となる高温で流動した合成樹脂から加飾層52を保護することができる。」
と記載されているのを、
「<変形例4>
上記第1実施形態に対して、図8に示すように、外装体1と加飾層52との間に、中間層C42を設けるように好適に構成しても良い。これにより、射出成形時において、外装体1となる高温で流動した合成樹脂から加飾層52を保護することができる。」
に訂正する。

(6) 訂正事項6
明細書の段落【0049】において、
「<変形例5>
上記第1実施形態では、外装体1、フィルム基材3、導電層5及び保護層9を透明にして、操作面全体を透明にした構成にしたが、提供される製品によっては、必ずしも透明にする必要はない。」
と記載されているのを、削除する。

(7) 訂正事項7
【図8】を、訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
上記訂正事項1に関連する記載として、明細書の発明の詳細な説明には、
「接着層」について、段落【0024】に、
「静電容量型入力装置101のフィルム基材3は、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)やポリエチレンナフタレート(PEN、Polyethylene naphthalate)等の透明なフィルムを用いており、図4に示すように、外装体1と接合された接合面3m側に透明な接着層22を設けて、外装体1の内面である凹状の内曲面1nに倣って一体に形成されている。」と記載され、
「透明性の導電層」について、段落【0027】に、
「静電容量型入力装置101の導電層5は、図4に示すように、フィルム基材3の接合面3mとは反対側の反対面3pに形成されており、導電性高分子である、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体(以下、PEDOT:PSSと表記する)を用いている。このPEDOT:PSSは、透明であり、しかも充分な透明性を確保しつつ所望の導電性を得ることができる材料である。」と記載され、
「透明性を有する」静電誘導型入力装置の全体について、段落【0014】に、
「これによれば、操作面全体を透明にすることができる。このことにより、透明性が要求される製品に好適に用いることができる。」と記載され、段落【0029】に、
「以上、上述したように、外装体1、フィルム基材3及び導電層5が透明であるので、操作面全体を透明にすることができる。このことにより、透明性が要求される製品に好適に用いることができる。」と記載され、段落【0041】に、
「また、外装体1、フィルム基材3及び導電層5が透明であるので、操作面全体を透明にすることができる。このことにより、透明性が要求される製品に好適に用いることができる。」と記載され、
「加飾層」について、段落【0026】に、
「また、フィルム基材3の外装体1と接合される接合面3mには、図4に示すように、製品のデザイン性を向上させる等のため、加飾層52が設けられている」と記載されていることから、
請求項1に係る、「前記外装体の前記内曲面と前記フィルム基材との間に設けられた接着層」を有し、導電層が、「透明性の導電層」である、「透明性を有する」静電容量型入力装置の発明、及び、
請求項3に係る、「前記フィルム基材の前記外装体側の面に加飾層が設けられている」発明は、明細書に記載されているものと認められる。
よって、上記訂正事項1の訂正は、明細書に記載された事項の範囲内において、請求項1の静電容量型入力装置の積層構造を、「接着層」を有し、導電層と、装置全体とが「透明性」を有する構成に限定し、請求項3の静電容量型入力装置の積層構造を、「加飾層」を有する構成に限定するものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、上記訂正事項2-7の訂正は、上記訂正事項1に係る特許請求の範囲の訂正に伴って、図8(a)に図示されていた、「保護層」を有していない<変形例3>を削除するとともに、「透明性」を有していない、<変形例5>を削除することによって、明細書の記載を特許請求の範囲の記載と整合させるための訂正であるから、明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、これら訂正は一群の請求項1-4に対して請求されたものである。

3 小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-4〕について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された訂正請求項1-4に係る発明(以下「本件発明1」-「本件発明4」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1-4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「 【請求項1】
ユーザに対向する外曲面を有して合成樹脂で成形された外装体と、
該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材と、
前記外装体の前記内曲面と前記フィルム基材との間に設けられた接着層と、
該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面に形成された導電性高分子からなる透明性の導電層と、
該導電層と電気的に接続された配線層と、
前記導電層の前記フィルム基材側の面の反対面を覆うように積層された、前記フィルム基材よりも薄い保護層と、
を有し、透明性を有することを特徴とする曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項2】
前記導電性高分子は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体からなることを特徴とする請求項1に記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記外装体、前記フィルム基材、前記導電層及び前記保護層が透明であり、前記フィルム基材の前記外装体側の面に加飾層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記保護層は、絶縁性の合成樹脂材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。」

2 取消理由の概要
訂正前の請求項1-4に係る特許に対して平成29年11月20日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1-4に係る発明は、甲第1-4号証に記載された発明及び技術事項に基づき容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1-4に係る特許は、取り消されるべきものである。

3 各甲号証の記載
(1) 甲第1号証
甲第1号証(特開2010-244772号公報)には、図面とともに、次の記載がある。(下線は、特に着目した箇所を示す。)
ア 段落【0015】-【0018】
「【0015】
一方、タッチパネルとは異なるが、後述の特許文献6には、人体などの接触物体の接近または接触を感知する、静電容量方式のタッチセンサの例が示されている。図12(a)は、特許文献6に示されているタッチセンサ200の配置例を示す斜視図、図12(b)は、斜視図(a)に12b-12b線で示した位置における断面図である。
【0016】
図12(a)に示すように、タッチセンサ200は、例えば、人形型玩具210などの電子機器の前頭部から頭頂後部にかけて、その内部に配置されている。図12(b)に示すように、タッチセンサ200は、基材201と、その電極部201aに形成された検出電極202と、その延出部201bに形成された配線(図示省略)と、検出回路部203とで構成されている。
【0017】
基材201は、可撓性を有する樹脂材料からなる絶縁シートなどである。基材201は、所定の寸法で形成された電極部201aと、この端部から検出回路部203へ向かって延びる延出部201bとからなり、これらの表面にはそれぞれ電極202および配線が配置されている。検出電極202および配線は、例えば銅などの導電性材料からなり、例えば蒸着法やめっき法などの公知の方法によって形成される。あるいは、銀ペーストなどの導電性塗料を印刷するなどの公知の方法によって形成してもよい。検出回路部203は、接触物体と検出電極202との間の静電容量の変化を検出する信号処理手段である。
【0018】
タッチセンサ200は、人形型玩具210の外形を形成している筐体211の内側の曲面に固定されている。筐体211は、金属以外の、誘電率が大きい材料、例えば合成樹脂で形成されたものが好ましい。タッチセンサ200を内蔵する電子機器は、図示した人形型玩具210以外に、PDA(情報携帯端末)、携帯電話機、ビデオカメラなどであると記載されている。」

イ 段落【0020】-【0026】
「【発明が解決しようとする課題】
【0020】
既述したように、タッチ部材を画像表示装置の前面に配置する場合を考慮すると、静電容量式タッチパネルを構成する検出電極は、光透過性であることが望ましい。
【0021】
現在、広く利用されている透明導電材料はインジウムスズ酸化物(ITO)またはフッ素ドープスズ酸化物(FTO)などである。これらの酸化物系透明導電材料は、一般に真空蒸着法やスパッタリング法などの物理的蒸着法(PVD)によって、ガラスやポリエチレンテレフタラート(PET)などの光透過性支持体上に成膜される。PVDでは、平面上への成膜は容易であるが、曲面などの立体物上にむらなく均一に成膜することはきわめて難しい。近年、プラズマCVD法によって、透明導電材料を曲面基板上に成膜できるようになってきたが(WO2006/033268参照。)、この方法では、プラズマの発生や条件制御のために大掛かりな装置が必要である。また、ITOやFTOなどの酸化物系透明導電材料はもろく、応力をかけると微細なひび割れが生じ、導電性が急激に低下する(特開2008-36902参照。)。このため、成膜後に、折り曲げる等の成形加工を施すことはできない。
【0022】
特許文献2および3では、導電性高分子が透明導電材料として用いられている。導電性高分子は成形性には優れるものの、ITOなどに比べ、導電性および透明性に劣り、所定の導電性が得られず、タッチパネルの誤動作の原因になることがある。また、耐久性に劣り、特に車載用など高温環境中での動作特性には問題がある。また、特許文献2および3で意図されているタッチパネルは、抵抗膜式タッチパネルである。既述したように、抵抗膜式タッチパネルでは、抵抗膜を形成した2枚の基材をわずかな間隔を空けて保持する必要がある。基材の形状が球面や任意の曲面である場合には、2枚の基材の間隔を高い精度で目標値に合わせることは極めて困難である。
【0023】
特許文献4および5では、カーボンナノチューブが透明導電材料として用いられている。しかし、特許文献2および3と同様、特許文献4および5で意図されているタッチパネルは、抵抗膜式タッチパネルであり、基材の形状が球面や任意の曲面である場合には、2枚の基材の間隔を高い精度で目標値に合わせることは極めて困難である。
【0024】
以上の理由で、現在実用化されているタッチパネルは、タッチ面が平面の平板パネルにほぼ限定されている。
【0025】
一方、特許文献6に提案されているタッチセンサでは、検出電極202は筐体211の内壁に設けられるので、光透過性である必要はないが、フレキシブルであることが必要である。しかも、検出電極が透明であれば、外観を損なうことなく、検出電極を筐体211の外壁に設けることができる。この場合、筐体211の内部に設ける場合に比べて、はるかに簡易に検出電極を設けることができる。また、検出電極202を内蔵することの難しい多くの物品にも、検出電極を設けて、タッチセンサ機能を付与することができる。
【0026】
本発明の目的は、上記のような実情に鑑み、フレキシブルな形状または立体的な形状を有し、光透過性の検出電極を有する静電容量式タッチ部材及びその製造方法、並びにその静電容量式タッチ部材を備えた静電容量式タッチ検出装置を提供することにある。」

ウ 段落【0034】-【0035】
「【発明の効果】
【0034】
本発明の静電容量式タッチ部材、並びに静電容量式タッチ検出装置の特徴は、カーボンナノ線状構造体を含有する光透過性導電層を検出電極として用い、静電容量方式のタッチ検出方法と組み合わせることによって、初めて、実用的な、フレキシブルな形状又は立体的な形状を有するタッチ検出装置を実現したことにある。
【0035】
前記カーボンナノ線状構造体は、直径が可視光の波長よりはるかに小さいので、可視光をよく透過させる。しかも、前記カーボンナノ線状構造体には、金属性カーボンナノチューブのように極めて高い電気伝導性を有するものがあり、小さい面密度で十分な電気伝導性を示す。しかも、カーボンナノチューブは、ITOなどの酸化物系透明導電材料と異なり、しなやかで強靱な機械的特性を有する。また、化学的にも安定である。以上のように、前記カーボンナノ線状構造体を含有する光透過性導電層は、フレキシブルな形状又は立体的な形状を有するタッチ部材に用いられる検出電極として最良の特性を有する。」

エ 段落【0045】
「【0045】
本発明の第1?第4の静電容量式タッチ部材において、前記光透過性導電層が、前記カーボンナノ線状構造体と導電性樹脂材料との複合体からなるのがよい。前記カーボンナノ線状構造体は極めて細く、単位質量あたりの表面積(比表面積)が大きいので、補助的な材料は必ずしも必要ではないが、用いるのであれば、透明性の高い導電性高分子であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT;商品名 バイトロン)などがよい。また、前記カーボンナノ線状構造体がカーボンナノチューブであるのがよい。単層カーボンナノチューブには、極めて高い電気伝導性を示す金属性カーボンナノチューブが含まれる。また、二層カーボンナノチューブや多層カーボンナノチューブの中にも、極めて高い電気伝導性を示すものがある。しかも、カーボンナノチューブは、ITOなどの酸化物系透明導電材料と異なり、しなやかで強靱な機械的特性を有する。」

オ 段落【0052】-【0062】
「【0052】
[実施の形態1]
実施の形態1では、主として、請求項1、2、8?14に記載した静電容量式タッチ部材、請求項15、16に記載した静電容量式タッチ検出装置、および請求項18、20に記載した静電容量式タッチ部材の製造方法の例について説明する。この際、前記カーボンナノ線状構造体としてカーボンナノチューブを用いるものとする。
【0053】
図1(a)は、実施の形態1に基づく静電容量式タッチ検出装置の構造を示す斜視図であり、図1(b)はその断面図である。この静電容量式タッチ検出装置は、本発明の第1の静電容量式タッチ部材に基づく静電容量式タッチ部材10と、静電容量変化検出回路60とで構成されている。
【0054】
静電容量式タッチ部材10は、絶縁性材料からなり、立体的な形状を有するフィルム状又は板状の支持体1と、支持体1の一方の面の少なくとも一部に配置された、カーボンナノ線状構造体を含有する光透過性導電層からなる検出電極2と、検出電極2から引き出された引き出し配線3とで構成されている。
【0055】
静電容量式タッチ部材10では、支持体1の、検出電極2が配置された面とは反対側の面がタッチ面4として用いられる。すなわち、人体の一部、例えば指などの接触物体がタッチ面4に接近または接触すると、接触物体と検出電極2との間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、引き出し配線3を介して静電容量変化検出回路60に伝えられ、電気信号に変換して感知される。静電容量変化検出回路60としては、市販の一般的な静電容量測定装置、例えば、Cypress Semiconductor社のCapSenseシリーズ(商品名)などを用いることができる。

・・・(中略)・・・

【0057】
支持体1の材料は、絶縁性材料であることを除けば、特に限定されるものではない。ただし、タッチ部材が画像表示装置の前面に配置される場合には、支持体1の材料は光透過性であることが必要である。光透過性支持体1として、ガラス板または光透過性高分子樹脂板を用いることができる。光透過性高分子樹脂板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリエーテルスルホン(PES)樹脂、ポリイミド(PI)樹脂、およびエポキシ樹脂などが挙げられる。好ましくは、透明度が高く、耐熱性および耐薬品性に優れた材料であればよく、このような材料の例としてPETなどが挙げられる。
【0058】
タッチ面4の反対側の面に検出電極2を設け、タッチ面4に接近又は接触する接触物体と検出電極2との間に静電容量を形成させることを考えると、支持体1の厚さは大きすぎないことが重要である。従って、支持体1は、例えば、厚さが0.01?3mm、通常0.1?0.5mm程度であって、フレキシブルなテープ状、フィルム状、またはシート状であるのがよい。この場合、任意の立体的形状を有する物品に、貼り付けるなどの形態で用いることができる。また、図1に示したように、このフィルム状、シート状、または板状の支持体1が、例えば中空半球状などの立体的な形状に成形されているのがよい。その形状は、カーボンナノチューブ分散液が流入できる程度に、一部が開口した形状が望ましい。このように、形状に多少の制限はあるものの、立体的形状を有する支持体1に、その形状を変えることなく、静電容量式タッチ検出部材を設けることができる。

・・・(中略)・・・

【0062】
図1(c)は、請求項2に対応して、検出電極2が被覆層5によって被覆されている静電容量式タッチ部材の例を示す断面図である。被覆層5は、カーボンナノチューブの付着性を向上させ、また光透過率を向上させる。被覆層5を構成する材料は、光学特性がよいこと(高透明性・低反射性・低グレア性)、簡単に形成できること、電気絶縁性があることが必要である。また、高分子系の材料が好ましく、スルホ基-SO_(3)Hを有する高分子を用いるとカーボンナノチューブの導電性が安定することが知られている(特開2008-251271号公報参照。)。以上から、被覆層5を構成する材料としては、Nafion(デュポン社登録商標)が特によく、これ以外には、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、スチレン-アクリロニトリル共重合体(AS)樹脂、およびTPX樹脂(4-メチルペンテン-1を主原料とする、結晶性のオレフィン系ポリマー)などが挙げられる。被覆層5の形成方法としては、構成材料を適当な溶媒に溶解させた後、浸漬法や吹き付け法などによって溶液を塗布する方法などが挙げられる。」

カ 段落【0063】
「【0063】
図2(a)は、実施の形態1の別の例に基づく静電容量式タッチ検出装置の構造を示す断面図である。図1に示した静電容量式タッチ部材10では、半球形の支持体1の内側の面(凹面)に検出電極2が配置され、外側の面(凸面)がタッチ面4として用いられているのに対し、図2(a)に示す静電容量式タッチ部材11では、半球形の支持体1の外側の面(凸面)に検出電極6が配置され、内側の面(凹面)がタッチ面8として用いられる。このように、検出電極が配置されている面が異なり、その結果、タッチ面が逆になるので、使用上は大きな違いを生じる。しかし、タッチ検出の仕組みに関しては両者に重要な違いはない。図2(b)は、図1(c)と同様、検出電極6が被覆層9によって被覆されている例を示している。」

キ 段落【0068】
「【0068】
本発明に基づく静電容量式タッチ検出装置は、支持体1がもつ模様や質感を維持したまま、静電容量式タッチ検出装置とすることができる。また、光透過性の支持体を用いて静電容量式タッチ検出部材を作製し、これを他の物品に被せる場合には、他の物体の外観や意匠をそのまま利用して、静電容量式タッチ検出部材とすることができる。」

ク 段落【0102】-【0103】
「【0102】
[実施の形態5]
実施の形態5では、請求項5および6に記載した第4の静電容量式タッチ部材の例について説明する。図示省略するが、実施の形態5に基づく静電容量式タッチ検出装置は、タッチ検出機能を付与したいと望む物品の表面の少なくとも一部に配置された、カーボンナノ線状構造体を含有する光透過性導電層からなる検出電極と、この検出電極を被覆する光透過性保護膜と、検出電極から引き出された引き出し配線とを有する第4の静電容量式タッチ部材、および静電容量変化検出回路60で構成される。この静電容量式タッチ部材では、光透過性保護膜の表面がタッチ面として用いられ、このタッチ面への、人体の一部、例えば指などの接触物体の接近又は接触を、接触物体と検出電極との間の静電容量の変化として感知する。
【0103】
この静電容量式タッチ部材を設ける物品は、カーボンナノ線状構造体を含有する光透過性導電層を設けることが可能であればよく、特に限定されるものではない。例えば、特許文献2に示されている人形型玩具210のようなものでもよく、PDA(情報携帯端末)、携帯電話機、ノートパソコン、携帯ゲーム機、およびビデオカメラなどの電子機器の筐体で、曲面形状をもつものなどがとくによい。また、ドアのノブのような家具や日用品でもよい。静電容量式タッチ部材は薄く、光透過性であるので、物品の外観を損ねることなく設けることができる。」

上記下線部の記載(特に上記「エ」の光透過性導電層に関する摘記、及び、上記「オ」、「カ」の[実施の形態1]に関する摘記参照。)を、関連図面(特に図1(c)参照。)に照らせば、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。

「カーボンナノ線状構造体としてカーボンナノチューブを用い、
静電容量式タッチ検出装置は、静電容量式タッチ部材10と、静電容量変化検出回路60とで構成され、
静電容量式タッチ部材10は、
絶縁性材料からなり、立体的な形状を有するフィルム状又は板状の支持体1と、
支持体1の一方の面の少なくとも一部に配置された、カーボンナノ線状構造体を含有する光透過性導電層からなる検出電極2と、
検出電極2から引き出された引き出し配線3とで構成され、
支持体1の、検出電極2が配置された面とは反対側の面がタッチ面4として用いられ、すなわち、人体の一部、例えば指などの接触物体がタッチ面4に接近または接触すると、接触物体と検出電極2との間の静電容量が変化し、この静電容量の変化は、引き出し配線3を介して静電容量変化検出回路60に伝えられ、電気信号に変換して感知され、
タッチ部材が画像表示装置の前面に配置される場合には、支持体1の材料は光透過性であることが必要であり、
支持体1は、厚さが0.01?3mm、通常0.1?0.5mm程度であって、フレキシブルなテープ状、フィルム状、またはシート状であり、この場合、任意の立体的形状を有する物品に、貼り付けるなどの形態で用いることができ、
前記光透過性導電層が、前記カーボンナノ線状構造体と導電性樹脂材料との複合体からなり、補助的な材料は、透明性の高い導電性高分子であるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT;商品名 バイトロン)などがよく、
検出電極2が被覆層5によって被覆され、被覆層5を構成する材料は、光学特性がよいこと(高透明性・低反射性・低グレア性)、簡単に形成できること、電気絶縁性があることが必要であり、また、高分子系の材料が好ましく、
半球形の支持体1の内側の面(凹面)に検出電極2が配置され、外側の面(凸面)がタッチ面4として用いられている、
静電容量式タッチ検出装置。」

(2) 甲第2号証
甲第2号証(特開2012-133428号公報)には、次の記載がある。
ア 段落【0017】
「【0017】
図1に示すように、本発明に係る表示装置は、湾曲形状に形成された液晶パネル4と、液晶パネル4上に、液晶パネル4に沿って配置された、柔軟性を有する所定の膜厚の接着層3と、接着層3を介して、液晶パネル4と接着されたタッチパネル2と、タッチパネル2上に配置された、湾曲形状を有する表面保護板1とを備える。」

イ 段落【0021】
「【0021】
表面保護板1を化学処理を施した強化ガラスで形成することで、タッチパネル2の吸湿等による変質や検出感度の低下を防止し、より耐環境性の高い表示装置が実現することができる。」

ウ 段落【0025】-【0026】
「【0025】
図3には、本発明に係る表示装置のうち、タッチパネル2の断面構造を示す。図3に示すように、シールド電極8上にタッチパネル基板9が配置され、タッチパネル基板9上に、2層の絶縁膜11、絶縁膜14が選択的に形成される。
【0026】
タッチパネル基板9と絶縁膜11との境において、検出配線10が配線され、絶縁膜11と絶縁膜14との境において、検出配線16が配線される。タッチパネル基板9表面において端子12、絶縁膜11表面において端子15がそれぞれ備えられる。」

エ 段落【0031】
「【0031】
また、本発明に係る実施の形態1によれば、表示装置において、タッチパネル2は、タッチパネル基板9上に検出配線10、検出配線16を備え、透明電極は、シールド電極であることで、表面保護板1が1mm以上の厚さになった場合でも、適切にタッチ検出を行うことが可能となる。」

(3) 甲第3号証
甲第3号証(特開2012-27894号公報)には、【請求項2】に、
「【請求項2】
前記導電性高分子は、ポリ-3、4-エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS)、ポリアニリン、ポリアセチレンまたはポリフェニレンビニレンを含むことを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式のタッチパネル。」
と記載されるから、導電層が、PEDOTとPSSの混合体などの導電性高分子からなるものは、周知技術であるといえる。

(4) 甲第4号証-甲第6号証
甲第4号証(特開2003-115221号公報)には、次の記載がある。
ア 段落【0027】
「【0027】このような高分子フィルム2aの厚さは、透明導電性フィルムの用途などによっても異なるが、タッチパネルの上部電極としての用途には、通常の場合13μm?0.5mm程度とされる。この高分子フィルムの厚さが13μm未満では、上部電極としての充分な耐久性を得ることができず、0.5mmを超えると得られるタッチパネルの厚肉化を招き、また上部電極としての柔軟性も損なわれ、好ましくない。」

イ 段落【0036】
「【0036】高分子化合物からなる保護層5、5a、5bの層厚は、用いた材料、透明導電フィルムに要求される光透過率、必要とされる耐久性などに応じて適宜決定されるが、保護層の膜厚が過度に薄いと保護層を形成したことによる透明導電薄膜の保護効果を充分に得ることができず、逆に過度に厚いと透明性が低下したり、透明導電薄膜の導電性が低下したりする上に透明導電フィルム自体の厚さも厚くなり、好ましくない。従って高分子化合物からなる保護層は1から1000nmの膜厚、特に1から100nmであることが好ましい。」

甲第5号証(特開2012-221075号公報)には、次の記載がある。
ウ 段落【0014】-【0019】
「【0014】
<1.透明導電性素子の構成>
図1Aは透明導電性素子の構造を模式的に示すものである。
この透明導電性素子は、基材1、透明導電膜2,保護層3の積層構造を有する。透明導電膜2は、所定パターンの透明導電材料が形成されて成り、この透明導電膜2により透明導電性素子は電極素子として機能する。保護層3は、透明導電膜2を被覆するように積層されている。
【0015】
本実施の形態では、透明導電膜2上に保護層3を形成することにより、透明導電膜2のシート抵抗の経時劣化を抑制するものである。
詳しくは後述するが、保護層3は、熱硬化樹脂、UV硬化樹脂等の樹脂を用いる。また、樹脂に無機フィラー等を混ぜたものでも良い。
透明導電膜2は、例えば導電性金属酸化物フィラーを用いて形成されている。
この実施の形態の透明導電性素子は、静電容量式タッチパネル等の電極素子として好適に使用できる。

・・・(中略)・・・

【0019】
・透明導電膜2
透明導電膜2の材料にあたるフィラーには、ITOに代表される導電性金属酸化物フィラーが挙げられる。」

甲第6号証(登録実用新案第3177933号公報)には、次の記載がある。
エ 段落【0013】-【0014】
「【0013】
透明基板10は、第1側101と、第1側101と反対側の第2側102と、を有する
。導電層11は、第2側102上に配置される。導電層11は、ITO(Indium Tin Oxide)又はATO(Antimony Tin Oxide)フィルムである。本実施形態において、導電層11は、スパッタリングにより、第2側102上に形成されるが、これのみに限定されない。導電層11は、ゲルの塗布、電気鍍金又は蒸着により、第2側102に形成してもよい。
【0014】
図1及び図2に示すように、保護層12は、導電層11の透明基板10と反対側に貼合される。保護層12の材料は、窒化珪素(SiNx)、二酸化珪素(SiO2)又は炭化珪素(SiC)である。本実施形態において、保護層12は、ゲルの塗布、電気鍍金、蒸着、沈積又はスパッタリングによって形成される薄膜である。保護層12は、導電層11の透明基板10と反対側に貼合され、保護を行う。本考案の一実施形態による静電容量式タッチパネルユニット1は、1つの導電層11により、検出を行い、タッチ制御を実現するため、導電層11の設置を低減し、製造コストを低減することができる。また、薄膜構造からなる保護層12を使用することにより、タッチパネルユニット全体の薄型化を実現することができる。」

オ まとめ
甲第4号証-甲第6号証の各記載から、導電層の表面を覆う保護層を設ける点は、周知技術であると認められる。

4 判断
(1) 取消理由通知に記載した取消理由について
ア 本件発明1について

(ア) 甲1発明の「支持体1」は、「絶縁性材料からなり、立体的な形状を有するフィルム状又は板状の支持体1」であるから、本件発明1の「該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材」と、「フィルム基材」である点で共通するといえる。

(イ) 甲1発明の「光透過性導電層からなる検出電極2」は、「支持体1の一方の面の少なくとも一部に配置され」、「光透過性導電層が、前記カーボンナノ線状構造体と導電性樹脂材料との複合体からな」るから、本件発明1の「該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面に形成された導電性高分子からなる透明性の導電層」と「該フィルム基材の一方の面の反対面に形成された、透明性の導電層」である点で共通するといえる。

(ウ) 甲1発明の「検出電極2から引き出された引き出し配線3」は、本件発明1の「該導電層と電気的に接続された配線層」と、「該導電層と電気的に接続された配線」である点で共通するといえる。

(エ) 甲1発明の「被覆層5」は、「検出電極2が被覆層5によって被覆され」るものであって、「検出電極2」の「支持体1」と反対側の面を被覆しているから(引用文献1の図1(c)も参照されたい。)、本件発明1の「前記導電層の前記フィルム基材側の面の反対面を覆うように積層された、前記フィルム基材よりも薄い保護層」と、「前記導電層の前記フィルム基材側の面の反対面を覆うように積層された、保護層」である点で共通するといえる。

(オ) 甲1発明の「静電容量式タッチ検出装置」は、「タッチ部材が画像表示装置の前面に配置される場合には、支持体1の材料は光透過性であることが必要であり」、「光透過性導電層が、前記カーボンナノ線状構造体と導電性樹脂材料との複合体からなり」、「被覆層5を構成する材料は、光学特性がよいこと(高透明性・低反射性・低グレア性)、簡単に形成できること、電気絶縁性があることが必要であ」るから、全体としても、透明性を有するといえる。さらに、甲1発明の「静電容量式タッチ検出装置」は、「任意の立体的形状を有する物品に、貼り付けるなどの形態で用いることができ」、「半球形の支持体1の内側の面(凹面)に検出電極2が配置され、外側の面(凸面)がタッチ面4として用いられている」から、本件発明1の「透明性を有することを特徴とする曲面形状を有する静電容量型入力装置」に相当するといえる。

したがって、本件発明1と甲1発明との一致点・相違点は次のとおりである。

<一致点>
「フィルム基材と、
該フィルム基材の一方の面の反対面に形成された、透明性の導電層と、
該導電層と電気的に接続された配線と、
前記導電層の前記フィルム基材側の面の反対面を覆うように積層された、保護層と、
を有し、透明性を有することを特徴とする曲面形状を有する静電容量型入力装置。」

[相違点1]
本件発明1では、「ユーザに対向する外曲面を有して合成樹脂で成形された外装体」を有しており、「フィルム基材」が「該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材」であって、「導電層」が「該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面」に形成されるのに対して、甲1発明では、「外装体」が存在し得ることのについての、特定がなされていない点。

[相違点2]
本件発明1では、さらに、「前記外装体の前記内曲面と前記フィルム基材との間に設けられた接着層」を有するのに対して、甲1発明では、「接着層」を設けることは、特定がなされていない点。

[相違点3]
「導電層」について、本件発明1では、「導電性高分子からなる」のに対して、甲1発明では、「光透過性導電層からなる検出電極2」が「カーボンナノチューブ」である「カーボンナノ線状構造体と導電性樹脂材料との複合体からな」るものであるが、甲第1号証では、「導電性高分子は成形性には優れるものの、ITOなどに比べ、導電性および透明性に劣り、所定の導電性が得られず、タッチパネルの誤動作の原因になることがある。また、耐久性に劣り、特に車載用など高温環境中での動作特性には問題がある」(段落【0022】)との問題点が記載されており、「導電性高分子」は、あくまで、「カーボンナノチューブ」との複合体における「補助的な材料」としての利用にとどまるものであって、「導電性高分子からなる」導電層を用いることは、特定がなされていない点。

[相違点4]
「配線」について、本件発明1では、「配線」が「配線層」をなすのに対して、甲1発明では、「引き出し配線3」が「配線層」をなすことは特定がされていない点。

[相違点5]
「保護層」について、本件発明1では、「前記フィルム基材よりも薄い」のに対して、甲1発明では、「被覆層5」の薄さが、(「支持体1」すなわち)「前記フィルム基材よりも薄い」ことは、特定されていない点。

(キ) 上記[相違点1]について検討する。
本件発明1は、明細書の段落【0007】-【0010】に、
「【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来例に用いられている導電性ポリマー(導電性高分子)は、吸湿するとその層の抵抗値が大きくなる性質を有しており、一度吸湿した後水分が抜けないと、検出精度の低下に繋がる虞があった。特に、従来例の構成では、静電容量センサ900Aの第二の回路パターン層924や静電容量センサ900Bの回路パターン層920(923、924)が、フィルム基材901と支持体940とに挟まれた層構成をしているので、一旦水分がフィルム基材901や支持体940を透過して回路パターン層920(923、924)に吸収された場合、水分が容易に抜けないという課題があった。このため、従来例の静電容量センサ900においては、高湿環境下に晒された後に、検出精度が低下してなかなか復帰しない虞があった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するもので、高湿環境下に晒された後に検出精度の低下から素早く復帰する、曲面形状を有する静電容量型入力装置を提供することを目的とする。
【0009】
この課題を解決するために、本発明の静電容量型入力装置は、ユーザに対向する外曲面を有して合成樹脂で成形された外装体と、該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材と、該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面に形成された導電性高分子からなる導電層と、該導電層と電気的に接続された配線層と、を有することを特徴としている。
【0010】
これによれば、本発明の静電容量型入力装置は、導電層が外装体とフィルム基材とに挟まれていないため、フィルム基材の外装体側の面の反対面側に形成された導電層の表面からフィルム基材や外装体に妨げられずに導電層内の水分が抜け易い構成となっている。このことにより、高湿環境下に晒された後に、導電層の抵抗値が元の値に戻りやすく、検出精度の低下から素早く復帰することができる。」
と記載されるとおり、従来、曲面形状を有する静電容量型入力装置の層構造において、導電性高分子からなる導電層が、フィルム基材と支持体に挟まれていたために、導電層に吸収された水分が容易に抜けないという課題があり、このため、導電層が、「フィルム基材の前記外装体側の面の反対面」に形成された層構成とする(これは、上記[相違点1]のに含まれている。)という事項を具備するものである。

一方、甲1発明では、「外装体」が存在し得ることのについての、特定がなされていない。
ここで、甲1発明は、「支持体1は、厚さが0.01?3mm、通常0.1?0.5mm程度であって、フレキシブルなテープ状、フィルム状、またはシート状であり、この場合、任意の立体的形状を有する物品に、貼り付けるなどの形態で用いることができ」るものであるが、薄いフィルム状の支持体1を「任意の立体的形状を有する物品に、貼り付ける」場合に、物品の内面、外面どちらの面に貼り付けるかは、特定されていない(段落【0058】参照。)。
そして、特に、立体的形状を有する物品の「内面」に、薄いフィルム状の支持体1を貼り付けたケースを想定すれば、このとき、甲1発明として、「立体的形状を有する物品」として、本件発明1の「外装体」に相当する層を備えた層構成のものを想定することができる。
しかし、甲第1号証の段落【0025】に、
「検出電極が透明であれば、外観を損なうことなく、検出電極を筐体211の外壁に設けることができる。この場合、筐体211の内部に設ける場合に比べて、はるかに簡易に検出電極を設けることができる」
と記載され、甲1発明が透明電極を用いる目的は、筐体内部よりも簡易に設置できる「筐体の外壁」に、透明な電極を設置するためと理解されること、
また、甲第1号証の【0068】に、
「また、光透過性の支持体を用いて静電容量式タッチ検出部材を作製し、これを他の物品に被せる場合には、他の物体の外観や意匠をそのまま利用して、静電容量式タッチ検出部材とすることができる。」
と記載され、「他の物品に被せる」、すなわち「筐体の外壁」に、電極を設ける実施の形態が記載されていること、さらに、甲第1号証の段落【0102】-【0103】にも、
「[実施の形態5]
…… 図示省略するが、実施の形態5に基づく静電容量式タッチ検出装置は、タッチ検出機能を付与したいと望む物品の表面の少なくとも一部に配置された、カーボンナノ線状構造体を含有する光透過性導電層からなる検出電極と、この検出電極を被覆する光透過性保護膜と、検出電極から引き出された引き出し配線とを有する第4の静電容量式タッチ部材、および静電容量変化検出回路60で構成される。…… この静電容量式タッチ部材を設ける物品は、カーボンナノ線状構造体を含有する光透過性導電層を設けることが可能であればよく、特に限定されるものではない。例えば、特許文献2に示されている人形型玩具210のようなものでもよく、PDA(情報携帯端末)、携帯電話機、ノートパソコン、携帯ゲーム機、およびビデオカメラなどの電子機器の筐体で、曲面形状をもつものなどがとくによい。また、ドアのノブのような家具や日用品でもよい。静電容量式タッチ部材は薄く、光透過性であるので、物品の外観を損ねることなく設けることができる。」
と記載され、「物品の表面に」透明電極を設置する実施の形態が記載されていることを考慮すると、甲1発明の「任意の立体的形状を有する物品に、貼り付ける」場合を、上記相違点1に係る構成のように、導電層が「フィルム基材の前記外装体側の面の反対面」に形成された層構成を開示するものと解釈することはできない。
よって、甲第1号証の記載の前後の文脈を考慮すれば、甲1発明から、「ユーザに対向する外曲面を有して合成樹脂で成形された外装体」を有しており、「フィルム基材」が「該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材」であって、「導電層」が「該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面」に形成されるという、上記相違点1に係る構成を導き出すことはできない。

甲第2号証には、上記3(2)ア-エの摘記のとおり、
「表示装置」であって、
「湾曲形状に形成された液晶パネル4と、液晶パネル4上に、液晶パネル4に沿って配置された、柔軟性を有する所定の膜厚の接着層3と、接着層3を介して、液晶パネル4と接着されたタッチパネル2と、タッチパネル2上に配置された、湾曲形状を有する表面保護板1とを備え」、
「表面保護板1を化学処理を施した強化ガラスで形成」し、
「タッチパネル2」は、「シールド電極8上にタッチパネル基板9が配置され、タッチパネル基板9上に、2層の絶縁膜11、絶縁膜14が選択的に形成され」、「タッチパネル基板9と絶縁膜11との境において、検出配線10が配線され、絶縁膜11と絶縁膜14との境において、検出配線16が配線され」、
「タッチパネル2は、タッチパネル基板9上に検出配線10、検出配線16を備え、透明電極は、シールド電極であることで、表面保護板1が1mm以上の厚さになった場合でも、適切にタッチ検出を行うことが可能となる」ものが記載されている。
しかし、甲第2号証のものは、「強化ガラス」の「表面保護板1」、「検出配線10、16」、「タッチパネル基板9」にさらに、「液晶パネル4」が積層された層構成の「表示装置」であって、特に、「検出配線10、16」は、「強化ガラス」の「表面保護板1」と「タッチパネル基板9」に挟まれているから、導電層が「フィルム基材の前記外装体側の面の反対面」に形成されるという層構成を含む、上記相違点1に係る構成は記載されていない。
なお、甲第2号証のものは、上記3(2)エの摘記のとおり、「タッチパネル基板9上に検出配線10」を備えるという、「検出配線10、16」は、「強化ガラス」の「表面保護板1」と「タッチパネル基板9」に挟まれている層構成を採用することで、表面保護板の厚みに対処しているから、甲第2号証の記載に基づいて、「検出配線10」のみを「タッチパネル基板9」より「下」に移動した層構成を想起することは想定し難い。
甲第2号証の層構成を分解して、「表面保護板1」という特定の層だけを取り出せば、個別に周知の構成要素であるとしても、甲第2号証のものは「表示装置」全体の所定の層構成に意義があるものであって、検出電極を筐体の外壁に設ける方が、筐体の内部に設けるより「はるかに簡易に検出電極を設けることができる」という作用効果を備えた甲1発明に対して、甲第2号証の「表示装置」の層構成から特定の層だけを取り出して組み合わせることの起因、動機付けは見いだし難い。

甲第3号証には、上記3(3)記載のとおり、導電層が、PEDOT/PSSなどの導電性高分子からなる周知技術が記載され、甲第4号証-甲第6号証には、上記3(4)記載のとおり、導電層を覆う保護層を設ける周知技術が記載されているが、いずれの文献にも、曲面形状を有する静電容量型入力装置において、導電性高分子からなる透明性の導電層が、「フィルム基材の前記外装体側の面の反対面」に形成されるという層構成を含む、上記相違点1に係る構成は記載されていない。

以上から、甲第1-6号証のいずれにも、曲面形状を有する静電容量型入力装置において、導電性高分子からなる透明性の導電層が、「フィルム基材の前記外装体側の面の反対面」に形成されるという層構成を含む、上記相違点1に係る構成は記載されていない。

そして、本件発明1は、当該構成によって、曲面形状を有する静電容量型入力装置において、導電性高分子からなる導電層が外装体とフィルム基材とに挟まれていないため、導電層内の水分が抜け易いという顕著な効果を奏するものであり、上記[相違点2]-[相違点5]について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲第2-6号証に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件発明2-6について
本件発明2-4は、本件発明1をさらに限定した発明であるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明及び甲第2-6号証に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2) 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア 特許法第29条第2項について
特許異議申立人松田亘弘は、特許異議申立書の「理由2」(5ページ18行-6ページ下から2行目)において、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、甲第2号証に記載された発明、及び、甲第1、4-6号証に記載の技術事項に基づき容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない旨主張している。
しかし、上記(1)ア(キ)記載のとおり、甲第2号証、及び、甲第1、4-6号証のいずれにも、曲面形状を有する静電容量型入力装置において、導電性高分子からなる導電層が、「フィルム基材の前記外装体側の面の反対面」に形成されるという層構成を含む、上記相違点1に係る構成は記載されておらず、示唆されてもいないから、本件発明1は、甲第2号証に記載された発明、及び、甲第1、4-6号証に記載の技術事項に基づいて、当業者が容易になし得るものではなく、かかる主張は理由がない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された特許異議申立理由によっては、本件請求項1-4に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1-4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
静電容量型入力装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対向する外曲面を有して合成樹脂で成形された外装体と、
該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材と、
前記外装体の前記内曲面と前記フィルム基材との間に設けられた接着層と、
該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面に形成された導電性高分子からなる透明性の導電層と、
該導電層と電気的に接続された配線層と、
前記導電層の前記フィルム基材側の面の反対面を覆うように積層された、前記フィルム基材よりも薄い保護層と、
を有し、透明性を有することを特徴とする曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項2】
前記導電性高分子は、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体からなることを特徴とする請求項1に記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項3】
前記外装体、前記フィルム基材、前記導電層及び前記保護層が透明であり、前記フィルム基材の前記外装体側の面に加飾層が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【請求項4】
前記保護層は、絶縁性の合成樹脂材料からなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の曲面形状を有する静電容量型入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種電子機器に用いられる静電容量型の入力装置に関し、特に、曲面形状を有した静電容量型入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザが軽く触れた指先の部分の僅かな静電容量の変化を検出し、位置や動きの方向を電気信号に変換して出力する静電容量型の入力装置が良く使用されるようになってきた。このような静電容量型入力装置は、スイッチ等の機構部品を省略することができ、意匠性に優れるというメリットがある反面、検出用の透明電極として酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)膜を用いるため、真空成膜が必要となり、工業的には実質的に単なる二次元形状(平面形状)に限定され、適用される製品の適用箇所に制限が設けられるというディメリットがあった。
【0003】
上述したディメリットに鑑み、特許文献1では、表面が曲面の取付け箇所に設置が可能な静電容量センサ(静電容量型入力装置)900が提案されている。図9は、特許文献1(従来例)の静電容量センサ900を説明した図であって、図9(a)は、実施形態Aの静電容量センサ900Aを模式的に示した説明図であり、図9(b)は、実施形態Bの静電容量センサ900Bを模式的に示した説明図である。
【0004】
図9に示す静電容量センサ900(900A、900B)は、三次元成形されるフィルム基材901と、このフィルム基材901に一体化される加飾層910と、静電容量の変化を検出する導電性の回路パターン層920と、フィルム基材901を支持する支持体940と、回路パターン層920の導電インクが滲むのを抑制する保護層930Aと、を備えて構成されている。他に、図9(a)に示す静電容量センサ900Aでは、加飾層910の表面が損傷したり、磨耗するのを防止する保護層935を備え、図9(b)に示す静電容量センサ900Bでは、絶縁性のレジスト層925を備えている。そして、ユーザの指FNが三次元形状の表面に触れた際に、静電容量センサ900(900A、900B)は、その指FNの先の部分の僅かな静電容量の変化を回路パターン層920で検出するようにしている。
【0005】
また、この静電容量センサ900(900A、900B)では、回路パターン層920として、第一の回路パターン層923と第二の回路パターン層924を備えるようにして、静電容量センサ900(900A、900B)の検出精度の向上や構成の多様化を図っている。また、この回路パターン層920は、酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)膜を用いずに、銀ペースト、カーボンインク、導電性ポリマー(信越ポリマー社製:Seplegyda)等からなる導電インクを用いて構成されているので、三次元成形されるフィルム基材901及び支持体940に形成が可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010-267607号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来例に用いられている導電性ポリマー(導電性高分子)は、吸湿するとその層の抵抗値が大きくなる性質を有しており、一度吸湿した後水分が抜けないと、検出精度の低下に繋がる虞があった。特に、従来例の構成では、静電容量センサ900Aの第二の回路パターン層924や静電容量センサ900Bの回路パターン層920(923、924)が、フィルム基材901と支持体940とに挟まれた層構成をしているので、一旦水分がフィルム基材901や支持体940を透過して回路パターン層920(923、924)に吸収された場合、水分が容易に抜けないという課題があった。このため、従来例の静電容量センサ900においては、高湿環境下に晒された後に、検出精度が低下してなかなか復帰しない虞があった。
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するもので、高湿環境下に晒された後に検出精度の低下から素早く復帰する、曲面形状を有する静電容量型入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題を解決するために、本発明の静電容量型入力装置は、ユーザに対向する外曲面を有して合成樹脂で成形された外装体と、該外装体の内曲面に倣って一体に設けられたフィルム基材と、該フィルム基材の前記外装体側の面の反対面に形成された導電性高分子からなる導電層と、該導電層と電気的に接続された配線層と、前記導電層の前記フィルム基材側の面の反対面を覆うように積層された、前記フィルム基材よりも薄い保護層と、を有することを特徴としている。
【0010】
これによれば、本発明の静電容量型入力装置は、導電層が外装体とフィルム基材とに挟まれていないため、フィルム基材の外装体側の面の反対面側に形成された導電層の表面からフィルム基材や外装体に妨げられずに導電層内の水分が抜け易い構成となっている。このことにより、高湿環境下に晒された後に、導電層の抵抗値が元の値に戻りやすく、検出精度の低下から素早く復帰することができる。
また、導電層を覆うように積層されたフィルム基材より薄い保護層を有しているので、例えば製造上での物理的な作用による導電層の損傷や、例えば環境下における導電層のダメージ等に対して、導電層が保護される。このことにより、曲面形状を有する静電容量型入力装置の耐候性を高めることができる。
【0011】
また、本発明の静電容量型入力装置は、前記導電性高分子が、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体からなることを特徴としている。
【0012】
これによれば、充分な透明性を確保しつつ所望の導電性を得ることができるとともに、高温雰囲気下の安定性や曲げ加工の耐性にも優れている。また、水分散性であるので、容易に塗布、成膜を行うことができる。このことにより、曲面形状を有する静電容量型入力装置を容易に作製することができる。
【0013】
また、本発明の静電容量型入力装置は、前記外装体、前記フィルム基材、前記導電層及び前記保護層が透明であることを特徴としている。
【0014】
これによれば、操作面全体を透明にすることができる。このことにより、透明性が要求される製品に好適に用いることができる。また、加飾層を加えることによって、適用される製品の装飾性も高めることができる。
【0015】
また、本発明の静電容量型入力装置は、前記保護層が、絶縁性の合成樹脂材料からなることを特徴とする。
【0016】
これによれば、導電層を覆うように積層された保護層を有しているので、例えば製造上での物理的な作用による導電層の損傷や、例えば環境下における導電層のダメージ等に対して、導電層が保護される。このことにより、曲面形状を有する静電容量型入力装置の耐候性を高めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の静電容量型入力装置は、フィルム基材の外装体と対向する面の反対面側から、導電層内の水分が抜け易い構成となっている。このことにより、高湿環境下に晒された後に、導電層の抵抗値が元の値に戻りやすく、検出精度の低下から素早く復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置を説明する斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置を説明する図であって、図1に示すZ2側から見た斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置を説明する図であって、図1に示すX2側から見た側面図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置を説明する図であって、曲面形状部分の断面構成図である。
【図5】第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置の効果を説明する図であって、図5(a)は、耐湿試験に用いた本案のサンプル片の層構造を示した図であり、図5(b)は、比較に用いたサンプル片の層構造を示した図である。
【図6】第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置の効果を説明する図であって、耐湿試験結果のグラフである。
【図7】第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置の変形例を説明する図であって、図7(a)は、図4と比較した変形例1の断面構成図であり、図7(b)は、図4と比較した変形例2の断面構成図である。
【図8】第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置の変形例を説明する図であって、図3と比較した変形例4の断面構成図である。
【図9】従来例の静電容量センサを説明した図であって、図9(a)は、実施形態Aの静電容量センサを模式的に示した説明図であり、図9(b)は、実施形態Bの静電容量センサを模式的に示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101を説明する斜視図である。図2は、本発明の第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101を説明する図であって、図1に示すZ2側から見た斜視図である。図3は、本発明の第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101を説明する図であって、図1に示すX2側から見た側面図である。図4は、本発明の第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101を説明する図であって、曲面形状部分の断面構成図である。なお、図3及び図4に示す身体特定部位F10のサイズと図4に示す各層のサイズは、イメージを示した図であり、実際のサイズを表したものではない。
【0021】
本発明の第1実施形態の曲面形状を有する静電容量型入力装置101は、静電容量式と呼ばれる検出方式を用いており、図3に示すように、ユーザが自身の身体特定部位F10(図3では指の先で、以下指先F10と記述する)を静電容量型入力装置101の表面に近接または接触させたときに、静電容量値の変化によって表面上における指先F10の座標位置を検出し、指先F10の座標位置に応じた入力操作が行えるようになっている。
【0022】
この静電容量型入力装置101は、図1ないし図4に示すように、ユーザに対向する外曲面1gを有した外装体1と、外装体1の内面の内曲面1nに倣って一体に形成されたフィルム基材3と、フィルム基材3の反対面3pに形成された導電層5と、導電層5と電気的に接続された配線層7と、を有して構成される。他に、静電容量型入力装置101には、図示はしていないが、配線層7を介して導電層5からの静電容量値の変化の信号を受信する検出部と、検出部からの信号に基づいて命令信号を出力する制御部と、を有している。なお、検出部と制御部については、静電容量型のセンサにおける一般的な機能を有しており、本発明に対して何等限定するものではないので、詳細な説明は省略する。
【0023】
静電容量型入力装置101の外装体1は、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)やポリカーボネート(PC、polycarbonate)等の透明な合成樹脂を用いて、射出成形を行って、立体的に三次元成形されている。また、本発明の第1実施形態の静電容量型入力装置101では、図1ないし図3に示すように、外形が矩形の形状を有しており、中央部分には、ユーザに対向する外曲面1gが凸状のドーム形状を有して(曲面形状を有して)構成されている。また、矩形の外周の一辺から一方向に延びた取出部1tを備えている。
【0024】
静電容量型入力装置101のフィルム基材3は、ポリエチレンテレフタレート(PET、Polyethylene terephthalate)やポリエチレンナフタレート(PEN、Polyethylene naphthalate)等の透明なフィルムを用いており、図4に示すように、外装体1と接合された接合面3m側に透明な接着層22を設けて、外装体1の内面である凹状の内曲面1nに倣って一体に形成されている。また、外装体1の取出部1tの内面にも倣って端子部3tが一体に形成されており、この端子部3tから前述した検出部との電気的な接続を行っている。
【0025】
この一体に形成する作製方法として、外装体1の射出成形時に、このフィルム基材3を型に挟み込んでインサート成形する方法を用いている。これにより、フィルム基材3を立体的な三次元形状にするとともに、外装体1の内曲面1nに倣って一体に形成することができる。また、別な作製方法として、フィルム基材を予め型によりプレス成形して立体的な三次元形状にしておき、立体的に三次元成形されている外装体に重ね合わせて、フィルム基材を接着させることによっても容易に作製することができる。また、前述した三次元形状にしたフィルム基材を型に挟み込んでインサート成形し、外装体と一体に形成する方法でも容易に作製することができる。
【0026】
また、フィルム基材3の外装体1と接合される接合面3mには、図4に示すように、製品のデザイン性を向上させる等のため、加飾層52が設けられている。この加飾層52は、必要に応じ、文字、図形、記号、またはこれらの組み合わせた模様を、スクリーン印刷法やタンポ印刷法等でフィルム基材3に直接印刷することで容易に作製することができる。また、加飾層52は、デザイン性の向上という目的以外にも、例えば配線層7をユーザから視認できないようにするための目隠し層や光源からの光を遮断する遮光層等、様々な用途に利用することができる。なお、説明を容易にするため、図1ないし図3には、加飾層52の模様を敢えて図示していない。
【0027】
静電容量型入力装置101の導電層5は、図4に示すように、フィルム基材3の接合面3mとは反対側の反対面3pに形成されており、導電性高分子である、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)とポリスチレンスルホン酸(PSS)の混合体(以下、PEDOT:PSSと表記する)を用いている。このPEDOT:PSSは、透明であり、しかも充分な透明性を確保しつつ所望の導電性を得ることができる材料である。また、PEDOT:PSSは、高温雰囲気下の安定性にも優れており、酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)と比較して、曲げ加工に対しても強い耐性を有している。更に、PEDOT:PSSは、水分散性であるので、容易に塗布することができるとともに、乾燥、硬化させることにより容易に成膜を行うことができる。なお、導電層5のフィルム基材3への塗布は、スクリーン印刷法等で容易に行うことができる。
【0028】
また、導電層5は、詳細な図示はしていないが、ライン状のパターンが複数本、平行に並んだ電極パターンを有しており、この電極パターンとユーザ自身の指先F10との静電容量値の変化を検出する電極の機能を有している。また、従来例では、X方向の第一の回路パターン層923とY方向の第二の回路パターン層924の2層の電極で静電容量値の変化を検出する座標検出装置としていたが、本発明の第1実施形態では、導電層5を1層で構成し、1層の電極で静電容量値の変化を検出するようにしている。このため、従来例では、回路パターン層920の電極の厚みが1?15μm、又は10?15μm程度であると開示しているが、本発明の第1実施形態の導電層5の厚みは、0.1?数μm程度と、薄い構成となっている。
【0029】
以上、上述したように、外装体1、フィルム基材3及び導電層5が透明であるので、操作面全体を透明にすることができる。このことにより、透明性が要求される製品に好適に用いることができる。また、上述した加飾層52を加えることによって、適用される製品の装飾性も高めることができる。
【0030】
静電容量型入力装置101の配線層7は、図4に示すように、導電層5の一部に重ねて形成され導電層5と電気的に接続しているとともに、図2に示すように、矩形の外周部3sから端子部3tにかけて敷設されている。この端子部3tの配線層7は、コネクタ等を利用して検出部に繋がっている配線と容易に接続することができる。
【0031】
また、この配線層7は、導電層5が反対面3pに形成されたフィルム基材3に、銀ペーストやカーボンインク等をスクリーン印刷して、乾燥、硬化させることにより、容易に作製することができる。また、配線層7は、銀ペーストやカーボンインク等の導電性複合部材を用いているので、導電層5と同様に、酸化インジウムスズ(ITO、Indium Tin Oxide)と比較して、曲げ加工に対しても強い耐性を有している。
【0032】
静電容量型入力装置101の保護層9は、絶縁性の合成樹脂材料を用い、図4に示すように、導電層5を覆うように形成されている。また、本発明の第1実施形態では、配線層7も覆うようにして、保護層9が形成されている。これにより、例えば製造上での物理的な作用による導電層5の損傷や、例えば環境下における導電層5のダメージ等に対して、導電層5が保護されることとなる。このことにより、曲面形状を有する静電容量型入力装置101の耐候性を高めることができる。なお、保護層9も透明であることは言うまでもない。また、保護層9は、導電層5が吸収した水分を放出する妨げとならないよう、フィルム基材3と比べて薄く形成されている。
【0033】
また、この保護層9は、導電層5が反対面3pに形成されたフィルム基材3に、絶縁性インク等をスクリーン印刷して、乾燥、硬化させることにより、容易に導電層5を覆うように積層させることができる。
【0034】
以上のように構成された静電容量型入力装置101は、従来例の静電容量センサ900Aの第二の回路パターン層924や静電容量センサ900Bの回路パターン層920(923、924)が、フィルム基材901と支持体940とに挟まれた層構成とは違い、フィルム基材3と外装体1(従来例の支持体940に相当する)との間に導電層5が挟まれていない層構成をしている。このため、フィルム基材3の外装体1と接合された接合面3mの反対面3p側から、導電層5内の水分が抜け易い構成となっている。このことにより、高温高湿環境などで外装体1を透過してきた水分によって導電層5が吸湿して抵抗値が大きくなることが生じたとしても、常温常湿環境に戻った際に導電層5の抵抗値が元の値に戻りやすいので、検出精度の低下から素早く復帰することができる。また、外装体1の内曲面1n側に導電層5及び配線層7を設けたので、外装体1及びフィルム基材3により外曲面1g側からの紫外線が吸収されて、導電層5及び配線層7が紫外線に曝露されることを防止することができる。このことにより、曲面形状を有する静電容量型入力装置101の耐候性を向上させることができる。
【0035】
また、本発明の第1実施形態では、従来例と比較して、導電層5の厚みが0.1?数μm程度と約1/10薄い構成としているので、導電層5は、従来例より厚みが小さくなった比率に応じて湿度の影響をより受け易くなっている。このため、本発明の第1実施形態の静電容量型入力装置101は、より効果が顕著に現れてくる。
【0036】
以上のように構成された本発明の第1実施形態の曲面形状を有する静電容量型入力装置101における、効果について、一部図面を用いて以下に説明する。
【0037】
図5は、第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101の効果を説明する図であって、図5(a)は、耐湿試験に用いた本案のサンプル片SP1の層構造を示した図であり、図5(b)は、比較に用いたサンプル片CP9の層構造を示した図である。本案のサンプル片SP1は、外装体1、接着層22、フィルム基材3、導電層5、配線層7、保護層9の順で積層された層構成となっており、比較のサンプル片CP9は、外装体C1、接着層C22、配線層C7、導電層C5、フィルム基材C3の順で積層された層構成となっている。比較のサンプル片CP9は、導電層C5が外装体C1とフィルム基材C3に挟まれた層構成となっているのに対し、本案のサンプル片SP1は、導電層5が外装体1とフィルム基材3に挟まれていない層構成をしている。図6は、第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101の効果を説明する図であって、図5に示した各サンプル片を用いて耐湿試験を行った結果のグラフである。横軸は、高温多湿の環境下に晒した累積の曝露時間(単位は時間)であり、縦軸は、初期の抵抗値と高温多湿の環境下に一定時間晒した後の抵抗値を測定し、その抵抗値変化(単位はパーセント)を示している。また、図中のA1は、本案のサンプル片SP1の結果で有り、図中のC1は、比較のサンプル片CP9の結果である。なお、この高温多湿の耐湿試験は、60℃で、95%湿度の環境下に所望の時間晒した後、常温常湿に戻して2時間後に各サンプルの抵抗値を測定し、これを繰り返して行った。
【0038】
本発明の第1実施形態の曲面形状を有する静電容量型入力装置101は、曲面を有して形成された外装体1と一体に形成されたフィルム基材3に、導電性高分子からなる導電層5が形成されているので、従来例の層構成とは違い、フィルム基材3の外装体1と接合された接合面3mの反対面3p側から、導電層5内の水分が抜け易い構成となっている。このため、図6に示すように、高温高湿環境などで外装体1を透過してきた水分によって導電層5が吸湿して抵抗値が大きくなることが生じたとしても、常温常湿環境に戻った際に、導電層5の抵抗値が、他の層構成の結果(図中のC1)と比較して、大きくならない(図中のA1)。これは、高温多湿環境で導電層5が吸湿した水分が常温常湿に戻したあとの2時間で大部分抜けたことにより抵抗変化率が抑えられたと考えられる。このことにより、検出精度の低下から素早く復帰することができ、検出精度の低下を防止することができる。
【0039】
また、外装体1の内曲面1n側に導電層5及び配線層7を設けたので、外装体1及びフィルム基材3により外曲面1g側からの紫外線が吸収されて、導電層5及び配線層7が紫外線に曝露されることを防止することができる。このことにより、曲面形状を有する静電容量型入力装置101の耐候性を向上させることができる。
【0040】
また、導電性高分子がPEDOT:PSSなので、充分な透明性を確保しつつ所望の導電性を得ることができるとともに、高温雰囲気下の安定性や曲げ加工の耐性にも優れている。また、水分散性であるので、容易に塗布、成膜を行うことができる。このことにより、曲面形状を有する静電容量型入力装置101を容易に作製することができる。
【0041】
また、外装体1、フィルム基材3及び導電層5が透明であるので、操作面全体を透明にすることができる。このことにより、透明性が要求される製品に好適に用いることができる。また、加飾層52を加えることによって、適用される製品の装飾性も高めることができる。
【0042】
また、導電層5を覆うように積層された保護層9を有しているので、例えば製造上での物理的な作用による導電層5の損傷や、例えば環境下における導電層5のダメージ等に対して、導電層5が保護される。このことにより、曲面形状を有する静電容量型入力装置101の耐候性を高めることができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0044】
図7は、第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101の変形例を説明する図であって、図7(a)は、図4と比較した変形例1の静電容量型入力装置C101の断面構成図であり、図7(b)は、図4と比較した変形例2の静電容量型入力装置C102の断面構成図である。図8は、第1実施形態に係わる曲面形状を有する静電容量型入力装置101の変形例を説明する図であって、図3と比較した変形例4の静電容量型入力装置C104の断面構成図である。
【0045】
<変形例1>
上記第1実施形態では、ユーザに対向する外曲面1gが凸状のドーム形状を有して構成されていたが、図7(a)に示すように、ユーザに対向する外曲面1gが凹状の椀形状を有して構成されていても良い。
【0046】
<変形例2>
上記第1実施形態では、ユーザに対向する外曲面1gが凸状の単純なドーム形状を有して構成されていたが、この形状に限らなく、例えば図7(b)に示すように、違った凸形状が組み合わされた形状でも良い。
【0047】(削除)
【0048】
<変形例4>
上記第1実施形態に対して、図8に示すように、外装体1と加飾層52との間に、中間層C42を設けるように好適に構成しても良い。これにより、射出成形時において、外装体1となる高温で流動した合成樹脂から加飾層52を保護することができる。
【0049】(削除)
【0050】
<変形例6>
上記第1実施形態では、導電層5を1層設けて、この1層の電極で静電容量値の変化を検出することにより、ユーザ自身の指先F10の位置を検出するように好適に構成していたが、この形態に限るものではない。例えば、従来例のように、X方向の第1導電層とY方向の第2導電層の2層の電極で静電容量値の変化を検出することにより、座標を検出できる座標入力装置を構成しても良い。また、1層の導電層用いて、ユーザ自身の指先F10を検知し、例えばスイッチ装置を構成しても良い。
【0051】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 外装体
1g 外曲面
1n 内曲面
3 フィルム基材
3m 接合面
3p 反対面
5 導電層
7 配線層
9 保護層
101、C101、C102、C103、C104 静電容量型入力装置
【図面】









 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-03-23 
出願番号 特願2015-532784(P2015-532784)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (G06F)
最終処分 維持  
前審関与審査官 若林 治男  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 安久 司郎
稲葉 和生
登録日 2017-02-10 
登録番号 特許第6088654号(P6088654)
権利者 アルプス電気株式会社
発明の名称 静電容量型入力装置  
代理人 平山 巌  
代理人 松下 昌弘  
代理人 松下 昌弘  
代理人 野▲崎▼ 照夫  
代理人 大窪 克之  
代理人 大窪 克之  
代理人 平山 巌  
代理人 野▲崎▼ 照夫  

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