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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C01B
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C01B
審判 全部申し立て 2項進歩性  C01B
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C01B
管理番号 1340124
異議申立番号 異議2017-700680  
総通号数 222 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-07-11 
確定日 2018-04-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6060060号発明「放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末および化粧料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6060060号の明細書を訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。 特許第6060060号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許第6060060号の請求項1?6に係る特許についての出願は、平成25年10月2日(優先権主張平成24年10月11日)を出願日とするものであり、平成28年12月16日に特許権の設定登録がなされ、平成29年7月11日付けで特許異議申立人の特許業務法人 藤央特許事務所より特許異議申立書が提出され、同年10月2日付けの取消理由を特許権者の水島合金鉄株式会社に通知し、特許権者より同年12月8日付けで訂正請求及び意見書が提出され、同年12月21日付けの通知書を特許異議申立人に通知したところ、これに対して特許異議申立人より平成30年1月19日付けで意見書が提出されたものである。

II.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
平成29年12月8日付け訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正の内容は以下の(a)(b)のとおりである。
(a) 訂正事項1
本件特許明細書の【0027】の記載につき、「そこで、本発明では、定量的な方法として粉体の浸透性、ぬれ性解析装置(株式会社三ツワフロンテック製)を用い、JIS A 6909 (透水試験B法)に準拠した透水試験を採用することにした。」を、「そこで、本発明では、定量的な方法として粉体の浸透性、ぬれ性解析装置を用い、透水試験を採用することにした。」と訂正する。(当審注:下線は訂正箇所を示すものであり、特許権者が付与した。以下同じ。)

(b) 訂正事項2
本件特許明細書の【0040】の記載につき、「JIS A 6909 (透水試験B法)に準拠した透水試験を行い、その時の水の浸透速度を測定した。具体的には、粉体湿潤浸透解析装置PW-500(三ツワフロンテック製)を使用し、内径10mmのカラムに粉末1gを充填して、下部の接液面からの「ぬれ高さ」を経過時間毎に測定して、浸透速度を算出した。」を、「透水試験を行い、その時の水の浸透速度を測定した。具体的には、粉体湿潤浸透解析装置PW-500を使用し、内径10mmのカラムに粉末1gを充填して、下部の接液面からの「ぬれ高さ」を経過時間毎に測定して、浸透速度を算出した。」へと訂正する。

(2)訂正の原因
上記訂正事項1及び訂正事項2を併せて検討する。
ア 訂正の目的
乙第1号証(PW-500)からして、「株式会社三ツワフロンテック」が販売代理店であり、この装置の製造会社でないことは明らかであり、また、乙第1号証(PW-500)及び「JIS A 6909 (透水試験B法)」からして、「PW-500」が「JIS A 6909 (透水試験B法)に準拠した透水試験」でないことも明らかであるので、訂正事項1及び訂正事項2は、この明らかでない(不明瞭な)記載についてこれを削除するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明りょうでない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 拡張、変更、新規事項
上記「ア」の理由から明らかなように、訂正事項1及び訂正事項2は、不明瞭な記載を削除するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものであり、また、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。

ウ 明細書の訂正と関係する請求項について
願書に添付した明細書の【0027】は訂正事項1を含み、同【0040】は訂正事項2を含むものであり、これらは、本件請求項1ないし6に係る発明の発明特定事項の「吸油量」(水の浸透速度)と関係するものである。

エ 訂正の適否についてのまとめ
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する事項を目的とするものであり、かつ、同法同条の5第9項で準用する同法第126条第5項、第6項の規定に適合するので、訂正することを認める。

III.本件特許発明について
上記のとおり本件の発明の詳細な説明の記載の訂正が認められるところ、本件特許請求の範囲の請求項1ないし6に係る発明(以下「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される以下のものである。
「【請求項1】
扁平形状をなすBNの一次粒子からなり、平均粒径が3?20μmで、かつ該一次粒子のアスペクト比(長径/厚さ)が5?20、厚さの平均値が0.1μm以上であり、しかも吸油量が100ml/100g?500ml/100gであることを特徴とする化粧料用の高吸油性窒化ホウ素粉末。
【請求項2】
水の浸透速度が1mm^(2)/s未満の高撥水性を有することを特徴とする請求項1に記載の化粧料用の高吸油性窒化ホウ素粉末。
【請求項3】
可溶性ホウ素量が100ppm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料用の高吸油性窒化ホウ素粉末。
ここに、可溶性ホウ素量は、医薬部外品原料規格2006の規定に準拠して、窒化ホウ素粉末2.5gをテフロン(登録商標)製ビーカーに秤取りエタノール10mlを加えて良くかき混ぜ、さらに新たに煮沸した冷却した水40mlを加えてかき混ぜた後、50℃で1時間加温し、その後この液を濾過し、この濾液中のB量を測定することにより求める。
【請求項4】
比表面積が1?20m^(2)/gで、酸素含有量が1.5質量%以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の化粧料用の高吸油性窒化ホウ素粉末。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の窒化ホウ素粉末を含有する化粧料。
【請求項6】
前記化粧料における前記窒化ホウ素粉末の含有量が1?60質量%であり、塗膜の熱伝導率が0.1?5.0W/m・Kであることを特徴とする請求項5に記載の化粧料。」

IV.特許異議申立人の主張について
特許異議申立人は、特許異議申立書において以下で示す甲第1号証ないし甲第14号証を、また、平成30年1月19日付け意見書において参考資料1ないし参考資料5を証拠方法として提出すると共に、以下で示す異議申立理由の(A)ないし(F)(当審注:「(A)」ないし「(F)」については当審が付与した。)を主張する、ものである。
ア 証拠方法
・甲第1号証:特開2012-176910号公報
・甲第2号証:窒化ホウ素微粒子製品データカタログ型番MK-PC-1111101、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社、発行:2011年11月、写し
・甲第3号証:特開平11-181329号公報
・甲第4号証:Standard Test Method for Oil Absorption of Pigments by Gardner-Coleman Method、ASTM-D1483-95、写し
・甲第5号証:特開2004-67500号公報
・甲第6号証:特開2007-176936号公報
・甲第7号証:粉体湿潤浸透解析装置PW-500製品カタログ、協和界面科学株式会社、発行:2010年01月、写し
・甲第8号証:JIS A 6909及び附属書A、写し
・甲第9号証:特願2014-538117号に対応する国際公開第2014/049956号
・甲第10号証:甲第9号証に係る特願2014-538117号に対する本件特許権者である出願人による2016年5月13日付提出意見書
・甲第11号証:医薬部外品原料規格2006、薬事日報社、発行:2006年6月16日、第1076?1077頁、表紙、目次、及び奥付、写し
・甲第12号証:特開2011-98882号公報
・甲第13号証:Zhu,B.L.,et al.″Study on the properties of the epoxy-matrix composites filled with thermally conductive AlN and BN ceramic particles.” Journal of applied polymer science Vol. 118 (2010): 2754-2764、写し
・甲第14号証:特開平5-186205号公報
・参考資料1:特開2011-98882号公報
・参考資料2:特公平6-53564号公報
・参考資料3:特表2008-513566号公報
・参考資料4:新製品紹介記事「界面特性:ぬれ性測定装置 ペネトアナライザPNT‐N型」(http://www.hosokawamicron.co.jp/jp/news/pdf/news20110208.pdf)
・参考資料5:「浸透速度測定装置 ペネトアナライザPNT‐N」製品紹介,粉砕誌,No.54,2011,p.85-86(https://www.hosokawamicron.co.jp/jp/service/micromertitcs/no_54/pdf/No54_18.pdf)

イ 特許異議申立理由
(A)本件特許発明1ないし6は、甲第1号証ないし甲第14号証記載の発明及び参考資料1ないし参考資料3記載の発明に基いて当業者であれば容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定に適合するものではなく、特許を受けることができない。(以下、「申立理由(A)」という。)
(B)本件の発明の詳細な説明は、本件請求項2記載の「水の浸透速度」について、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載するものではないので、特許法第36条第4項第1号の規定に適合するものではなく、特許を受けることができない。(以下、「申立理由(B)」という。)
(C)本件の発明の詳細な説明は、本件請求項6記載の「塗膜の熱伝導率」について、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載するものではないので、特許法第36条第4項第1号の規定に適合するものではなく、特許を受けることができない。(以下、「申立理由(C)」という。)
(D)本件の発明の詳細な説明は、具体的に記載され効果が確認されているBN粉末として、【0041】に記載されているNo.1ただ一例のみを示すものであるところ、この一例のみから平均粒径、アスペクト比、厚さ、吸油量という複数種のパラメータが含まれている本件特許発明1ないし6の範囲にまで拡張ないし一般化できるとは言えない(当業者が発明の課題を解決することができると認識する範囲を超えるものであるある)ので、本件特許発明1ないし6は、特許法第36条第6項第1号の規定に適合するものではなく、特許を受けることができない。(以下、「申立理由(D)」という。)
(E)本件特許明1ないし6は、本件請求項1ないし6記載の「水の浸透速度」について、発明を明確に記載するものではないので、特許法第36条第6項第2号の規定に適合するものではなく、特許を受けることができない。(以下、「申立理由(E)」という。)
(F)本件特許発明6は、本件請求項6記載の「塗膜の熱伝導率」について、発明を明確に記載するものではないので、特許法第36条第6項第2号の規定に適合するものではなく、特許を受けることができない。(以下、「申立理由(F)」という。)

V.特許権者の主張について
特許権者は、平成29年12月8日付け意見書において以下で示す乙第1号証を証拠方法として提出すると共に、本件特許発明1ないし6は、特許異議申立人が申し立てる特許異議申立理由、及び、取消理由通知書に記載した取消理由により取り消されるものではない旨を主張する、ものである。
・乙第1号証:「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」協和界面株式会社(2010年1月)、甲第7号証と同一の証拠

VI.取消理由通知書に記載した取消理由について
平成29年10月2日付けの取消理由通知に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。
(α)本件特許発明1ないし5は、甲第1号証に記載された発明であるので、特許法第29条第1項第3号の規定に該当するものであり、特許を受けることができない。(以下、「申立理由(α)」という。)
(β)上記異議申立理由(B)と同じ
(γ)上記異議申立理由(C)と同じ
(δ)上記異議申立理由(D)と同じ
(ζ)上記異議申立理由(E)と同じ
(η)上記異議申立理由(F)と同じ

VII.甲第1号証に記載の発明
甲第1号証には、以下の記載がある。
(甲1-1)「【請求項1】
平均長径が2?20μmで厚みが0.05?0.5μmの扁平形状をなす一次粒子が積層した板状の凝集体からなり、比表面積が1?10m^(2)/gで、かつ目開き45μm篩下の凝集体の含有率が50質量%以上で、さらに可溶性ホウ素量が100ppm以下であることを特徴とする化粧料用の窒化ホウ素粉末。」

(甲1-2)「【0007】
本発明は、上記の要望に有利に応えるもので、従来に比べて「のび」に優れ、かつ「もち」にも優れた化粧料用の窒化ホウ素粉末を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
また、本発明は、上記の窒化ホウ素粉末を使用することにより、仕上がりのツヤ感(光沢感)や透明感(素肌感)を格段に向上させた化粧料を提案することを目的とする。」

(甲1-3)「【0019】
8.前記化粧料における前記窒化ホウ素粉末の含有量が0.1?70質量%であることを特徴とする前記7に記載の化粧料。」

(甲1-4)「【0024】
平均長径が2?20μmで厚みが0.05?0.5μmの扁平形状をなす一次粒子が積層した板状の凝集体
一次粒子の平均長径が2μmに満たないものは製造が困難であり、一方20μmを超えると配向性が出て、凝集体の密度が低下する(空隙率が増加する)ので、一次粒子の平均長径は2?20μmの範囲に限定した。好ましくは5?10μmの範囲である。
また、一次粒子の厚みが0.05μmに満たないと、潤滑性を発現できる5?10μmの化粧料に適した平板粒子が形成されず、一方0.5μmを超えると、肌に延ばして塗布した場合に透明感が低下するとともに平面が平滑に維持できないので、一次粒子の厚みは0.05?0.5μmの範囲に限定した。なお、かかる一次粒子のアスペクト比(長径/厚み)は10?25程度とすることが好ましい。
ここに「一次粒子」とは、鱗片状を形成する単一粒子と定義する。また、「一次粒子の凝集体」とは、一次粒子が2個以上化学結合した状態で存在する粒子と定義する。
【0025】
比表面積が1?10m^(2)/gで、かつ目開き45μm篩下の凝集体の含有量が50質量%以上
一次粒子の凝集体の粒径が目開き45μm篩上になると積層状になり難く、肌に塗布するときザラツキ感を生じるため、一次粒子の凝集体の粒径は目開き45μm篩下とする必要がある。また、一次粒子の凝集体の粒径があまりに小さいと粒子同志の結合が強くなり潤滑性が低下する問題があるので、一次粒子の凝集体の粒径は2μm以上とすることが好ましい。なお、微細粒子の粒径は、電子顕微鏡を使用した画像解析から得ることができる。ここに、微細粒子の粒径は、最長径を示すものとする。
また、一次粒子の凝集体の比表面積が1m^(2)/gに満たないと、粗粒を形成して潤滑性が低下して伸びがなくなり、一方10m^(2)/gを超えると、粒子同士の結合が強くなって平板状の凝集粒にならず、球状になってザラツキ感が強くなるので、凝集体の比表面積は1?10m^(2)/gの範囲に限定した。」

(甲1-5)「【0029】
可溶性ホウ素の含有量が100ppm以下
また、本発明において、窒化ホウ素粉末中における可溶性ホウ素量は100ppm以下とする必要がある。
というのは、可溶性ホウ素量が100ppmを超えると、肌へのダメージが大きくなるからである。好ましくは50ppm以下、さらに好ましくは20ppm以下である。」

(甲1-6)「【0034】
次に、本発明の製造方法について説明する。
本発明では、まず素材として、高純度で乱層構造の窒化ホウ素粉末を準備する。
かかる窒化ホウ素粉末は、ホウ酸及び/又はその脱水物と尿素及び/又はその化合物(ジシアンジアミド、メラミン等)と炭化ホウ素とを、均一に混合し、不活性ガス雰囲気中にて800℃から1200℃まで加熱することによって得ることができる。
・・中略・・
【0038】
ついで、上記のようにして得た窒化ホウ素粉末に対し、不活性ガス雰囲気中にて、加圧力:0.1MPa以上、温度:1500?2300℃の条件下で加熱処理を施す。
処理雰囲気を不活性ガス雰囲気としたのは、生成したBNは容易に酸素と結びつくため、酸化性雰囲気で高温焼成すると所望のBNを生成できないためである。
また、加圧力を0.1MPa以上としたのは、加圧力が0.1MPaに満たないと粒子同士の十分な積層が望めないからである。ただし、0.9MPaを超える高圧は操業安全上の制約を受けるので、上限は0.9MPaとすることが好ましい。
さらに、加熱温度を1500?2300℃としたのは、処理温度が1500℃に満たないと十分に結晶が成長した粉末が得られず、一方2300℃を超えると欠陥を生じ易くなって透明感が低下するからである。
【0039】
ついで、得られた窒化ホウ素塊を、粉砕・分級後、洗浄によって不純物を除去することによって、高純化する。
この高純化処理に際しては、少なくとも可溶性ホウ素についてはその含有量を窒化ホウ素粉末全体に対する割合で100ppm以下まで低減する必要がある。また、その他の不純物については、金属不純物の量も100ppm以下まで低減することが好ましい。
【0040】
かくして、扁平形状をなす一次粒子が積層した板状の凝集体からなる高純度の化粧料用窒化ホウ素粉末を得ることができる。
【0041】
ここに、化粧品顔料における上記窒化ホウ素粉末の割合は0.1?70質量%とすることが好ましい。というのは、この割合が0.1質量%に満たないと本発明で所期したのびや付着性の改善効果に乏しく、一方70質量%を超えると(BN粉末特有のぎらつき感が強くなり適切な光沢が得られなくなる)だからである。」

(甲1-7)「【0045】
また、可溶性ホウ素量は、「医薬部外品原料規格2006」に基づき、次のようにして測定した。
試料:2.5gをテフロン(登録商標)製ビーカーにとり、エタノール:10mlを加えてよくかき混ぜ、さらに水:40mlを加えてよくかき混ぜたのち、テフロン製時計皿にのせ、50℃で1時間加温する。冷却後、ろ過し、残留物を少量の水で洗い、洗液をろ液に合わせる。この液をさらにメンブランフィルター(0.22μm)でろ過する。ろ液全量をテフロン製ビーカーにとり、硫酸:1mlを加え、ホットプレート上で10分間煮沸する。冷却後、この液をポリエチレン製メスフラスコに入れ、テフロン製ビーカーを少量の水で洗い、ポリエチレン製メスフラスコに合わせたのち、水を加えて正確に50mlとし、これを試料溶液とする。別にホウ素標準液:1mlを正確にとり、水を加えて正確に100mlとし、標準溶液とする。試料溶液および標準溶液各1mlをポリエチレン製ビンに正確にとり、硫酸および酢酸の等容量混液:6mlを加えて、振り混ぜる。ついで、クルクミン・酢酸試液:6mlを加えて振り混ぜたのち、80分間放置する。これを酢酸・酢酸アンモニウム緩衝液:30mlを加えて振り混ぜ、5分間放置したのち、水を対照とし、吸光度特定法により、溶出ホウ素量を求める。この試験を行うとき、波長:543nm付近の吸収の最大波長における試料溶液の吸光度は、標準溶液の吸光度以下である。ただし、試料溶液の吸光度は、前処理法を含め、同様に操作して得た空試験液の吸光度で補正する。」

(甲1-8)「【0048】
次に、表1に示したNo.1の窒化ホウ素粉末(発明例1)を用いて、以下に示す実施例1?10、比較例11?16の各種化粧料を作製した。」

上記(甲1-1)ないし(甲1-8)からして、甲第1号証には、「平均長径が2?20μmで厚みが0.05?0.5μmの扁平形状をなす窒化ホウ素の一次粒子が積層した板状の凝集体からなり、一次粒子のアスペクト比(長径/厚み)が10?25程度である、化粧料用の窒化ホウ素粉末。」(以下、「甲第1号証記載の発明」という。)が記載されているということができる。

VIII.当審の判断
(1)取消理由について
ア 取消理由(α)について
本件特許発明1と甲第1号証記載の発明とを対比する。
○甲第1号証記載の発明の「窒化ホウ素の一次粒子が積層した板状の凝集体からな」る「化粧料用の窒化ホウ素粉末」は、本件特許発明1の「BNの一次粒子からな」る「化粧料用の」「窒化ホウ素粉末」(本件特許の【図1】の(a)参照)に相当する。

○甲第1号証記載の発明の「厚みが0.05?0.5μm」は、厚みの平均値が0.1μm以上である場合を包含するものであり、この場合は、本件特許発明1の「厚さの平均値が0.1μm以上」に相当する。

○甲第1号証記載の発明の「平均長径が2?20μm」と、本件特許発明1の「平均粒径が3?20μm」(本件特許明細書の【0026】の「なお、一次粒子の平均粒径は、長径の平均値で表すものとする。」との記載を参照)とは、「平均粒径が3?20μm」という点で一致する。

○甲第1号証記載の発明の「一次粒子のアスペクト比(長径/厚み)が10?25程度」と、本件特許発明1の「一次粒子のアスペクト比(長径/厚さ)が5?20」とは、「一次粒子のアスペクト比(長径/厚さ)が10?20」という点で一致する。

上記からして、本件特許発明1と甲第1号証記載の発明とは、「扁平形状をなすBNの一次粒子からなり、平均粒径が3?20μmで、かつ該一次粒子のアスペクト比(長径/厚さ)が10?20、厚さの平均値が0.1μm以上である、化粧料用の窒化ホウ素粉末。」という点で一致し、以下の点で一応相違している。
<相違点>
本件特許発明1は、「吸油量が100ml/100g?500ml/100gである」「高吸油性」の窒化ホウ素粉末であるのに対して、甲第1号証記載の発明は、窒化ホウ素粉末が「吸油量が100ml/100g?500ml/100gである」「高吸油性」であることの特定がない点。

<相違点>について検討する。
(i)上記(甲1-2)で示したように、甲第1号証には、「本発明は、上記の要望に有利に応えるもので、従来に比べて「のび」に優れ、かつ「もち」にも優れた化粧料用の窒化ホウ素粉末を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。また、本発明は、上記の窒化ホウ素粉末を使用することにより、仕上がりのツヤ感(光沢感)や透明感(素肌感)を格段に向上させた化粧料を提案することを目的とする。」(【0007】)(当審注:改行を行わず行詰めを行った。)との記載があり、これからして、窒化ホウ素粉末は、化粧料の「のび」、「もち」、「ツヤ感(光沢感)」、「透明感(素肌感)」を優れたものにする(格段に向上させる)ものであるということができる。

(ii)甲第3号証には、吸油量(JIS K5101)が50?300mL/100gの高吸油性無機顔料(例えば、チッ化ホウ素)を化粧料に用いることの記載がある。
また、甲第2号証には、吸油量(g/100g)(ASTM D1483-95)が「110、140、185、122、163、96、104、58」である各製品(窒化ホウ素)を化粧料に用いることの記載があり、ここで、甲第4号証には、「D1483-95号は、顔料(試料)100gに吸収される亜麻仁油(密度0.93g/ml)の量(g)を吸油量(g/100g)と規定するものである」ことの記載があることからして、甲第2号証における各製品(化粧料用窒化ホウ素)の吸油量(g/100g)(ASTM D1483-95)を、吸油量(ml/100g)に換算すると、「約118、約151、約199、約131、約175、約103、約112、約62」になることは明らかであり、さらに、一般に、JIS K5101は、試料100gに吸収されるあまに油の量(ml)を吸油量(ml/100g)と規定するものであることは、本件出願前の技術常識(例えば、特開2002-265903号公報の【0008】参照)であり、「JIS K5101」と「ASTM D1483-95号」とは、試料100gに吸収されるあまに油の量を吸油量と規定するものである点で軌を一にするものであるので、上記換算された吸油量(ml/100g)の「約118、約151、約199、約131、約175、約103、約112、約62」(ml/100g)は、「JIS K5101」であっても、同程度の吸油量(ml/100g)であるとみるのが妥当である。
そして、甲第5号証には、化粧料の「のび」と「持ち」を高めるために、吸油量(ml/100g)(JIS K5101)が実施例1(200)、実施例2(195)、実施例3(190)、実施例4(180)、実施例5(140)、実施例6(120)、実施例7(270)、実施例(320)の多孔質金属酸化物薄片を用いることの記載がある。
これらからして、吸油量(JIS K5101)が大きい(50?300ml/100gの)高吸油性無機顔料(窒化ホウ素)を化粧料に用いることにより、化粧料の「のび」と「持ち(もち)」が高まることは、本件出願前の周知の事項であるということができる。

(iii)上記(i)(ii)からして、甲第1号証記載の発明は、化粧料の「のび」、「もち」、「ツヤ感(光沢感)」、「透明感(素肌感)」を優れたものにする(格段に向上させる)ために窒化ホウ素を用いるものであり、また、吸油量(JIS K5101)が大きい(50?300ml/100gの)高吸油性無機顔料(窒化ホウ素)を化粧料に用いることにより、化粧料の「のび」と「持ち(もち)」が高まることは、本件出願前の周知の事項であるということができるので、甲第1号証記載の発明について、化粧料の「のび」、「もち」を優れたものにする「窒化ホウ素」の吸油量は、100mL/100g(JIS K5101)より大きいものになっている可能性があるということもでき得る。

(iv)しかしながら、本件特許明細書には、「撥水性を有するBN粉末は、表面の官能基が少ないことが特徴である。表面の官能基の評価方法としては、不純物量の分析によるのが一般的である。不純物としては、酸素、炭素が大部分を占めており、このうち酸素はBN粉末の表面にOH基やカルボニル基として存在して、粉末の撥水性、吸油性を低下させている。」(【0028】)及び「本発明では、B_(4)C粉とB酸化物を混合したのち、1600?2200℃の温度域で一段または二段の窒化処理および脱炭処理を施して、BN粒子を析出させ、ついで得られた凝集体を破砕・分級することによってBN粒子を合成する。その後、洗浄処理によりホウ酸を除去したのち、不活性の減圧雰囲気中にて300℃以上で加熱処理することによって、粉体表面の官能基を効果的に除去する。この加熱処理により、高撥水性および高吸油性も併せて発現する。」(【0034】)との記載があり、一方、甲第1号証には、上記(甲1-6)で示したように「上記のようにして得た窒化ホウ素粉末に対し、不活性ガス雰囲気中にて、加圧力:0.1MPa以上、温度:1500?2300℃の条件下で加熱処理を施す。」(【0038】)及び同「ついで、得られた窒化ホウ素塊を、粉砕・分級後、洗浄によって不純物を除去することによって、高純化する。」(【0039】)との記載があることからして、本件特許発明1は、「撥水性を有するBN粉末は、表面の官能基が少ないことが特徴である。表面の官能基の評価方法としては、不純物量の分析によるのが一般的である。不純物としては、酸素、炭素が大部分を占めており、このうち酸素はBN粉末の表面にOH基やカルボニル基として存在して、粉末の撥水性、吸油性を低下させている」(【0028】)との観点に基いて、高吸油性(高撥水性)(吸油量100ml/100g?500ml/100g)化粧料用窒化ホウ素粉末を得るために、洗浄処理後に、不活性の減圧雰囲気中にて300℃以上で加熱処理するものであるのに対して、甲第1号証記載の発明は、「洗浄によって不純物を除去することによって、高純化する」ものであるものの、その具体的手段が何ら明らかにされたものではないので、甲第1号証記載の発明の化粧料用窒化ホウ素粉末は、本件出願前の周知の事項を勘案したとしても、上記観点に基いて得られた「吸油量が100ml/100g?500ml/100gである」「高吸油性」化粧料用窒化ホウ素粉末に当たるとは言い難い。
したがって、上記相違点は、実質的な相違点であり、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
また、本件特許発明2ないし5は、上記相違点に係る「吸油量が100ml/100g?500ml/100gである」「高吸油性」化粧料用窒化ホウ素粉末を発明特定事項にするものであるので、本件特許発明1と同じく、甲第1号証に記載された発明であるとはいえない。
よって、取消理由(α)をもって、本件特許発明1ないし5を取り消すことはできない。

イ 取消理由(β)について
本件訂正請求により、本件特許明細書の【0027】の記載につき、「そこで、本発明では、定量的な方法として粉体の浸透性、ぬれ性解析装置(株式会社三ツワフロンテック製)を用い、JIS A 6909 (透水試験B法)に準拠した透水試験を採用することにした。」が「そこで、本発明では、定量的な方法として粉体の浸透性、ぬれ性解析装置を用い、透水試験を採用することにした。」に、また、同【0040】の記載につき、「JIS A 6909 (透水試験B法)に準拠した透水試験を行い、その時の水の浸透速度を測定した。具体的には、粉体湿潤浸透解析装置PW-500(三ツワフロンテック製)を使用し、内径10mmのカラムに粉末1gを充填して、下部の接液面からの「ぬれ高さ」を経過時間毎に測定して、浸透速度を算出した。」が「透水試験を行い、その時の水の浸透速度を測定した。具体的には、粉体湿潤浸透解析装置PW-500を使用し、内径10mmのカラムに粉末1gを充填して、下部の接液面からの「ぬれ高さ」を経過時間毎に測定して、浸透速度を算出した。」に訂正され、さらに、乙第1号証(「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」協和界面株式会社(2010年1月))(甲第7号証と同一の証拠)が提出されたことを前提にした上で、本件特許明細書に記載された「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」から「水の浸透速度」を得ることができるかどうかについて、以下、検討する。
まず、本件特許明細書に記載された「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」と、乙第1号証の「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」との同一性について検討する。
本件特許明細書に記載された「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」が、乙第1号証の「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」(2010年1月)からみて、一部改良されたものであるとしても、測定原理、装置の基本的な構造については同じである(大きな変更が加われば、別の型番になるというべきである)というべきであるので、本件特許明細書に記載された「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」と、乙第1号証の「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」とは、実質的に同等のものであるとみるのが妥当である。

次に、乙第1号証の内容から「水の浸透速度」を得ることができるかどうかについて検討する。
乙第1号証には、粉体への液体の浸透速度が、下記のWashburn式(以下、「式(1)という。)から求められることの記載がある。



l:液体の浸透高さ
t:時間
r:充填粉体の毛管半径
γ:液体の表面張力
θ:接触角
η:液体の粘度

ここで、左辺の単位は、「mm^(2)/s」であり、単位時間当たりの面積で表した「浸透速度」であり、一般的には「面積速度」とも称される値である。
そして、上記Washburn式を、浸透高さ:lではなく重量:Wで表すと、次の式(重量換算Washburn式)(以下、「式(2)」という。)のようになることは、当業者であれば普通に理解できることである。


s:カラム内断面積
ε:空隙率
ρ:液体の密度

さらに、上記式(1)と同式(2)とから、次の式(以下、「式(3)」という。)が導かれることは明らかである。つまり、式(1)ないし式(3)は、相互に関連した式であり、式(1)をみた当業者であれば、式(2)(3)を想起し得るものというべきである。



ここで、W、tは実測値であり、カラム内断面積:sは装置が有する既知の値であり、また、液体(水)の密度:ρも既知であるか、極めて簡単な測定で求めることができ、空隙率:εについても、粉体の重量、充填された粉体の体積、および粉体の真密度から容易に求めることができるので、左辺の浸透速度(面積速度)も容易に求めることができるということができる。
つまり、上記式(1)の代わりに、式(3)を用いる場合、式(1)において必要な「r:充填粉体の毛管半径」、「γ:液体の表面張力」、「θ:接触角」を求める必要はなく、当業者であれば、式(3)に基いて浸透速度(面積速度)を容易に求めることができるということができる。
そうすると、本件特許明細書に記載された「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」から「水の浸透速度」を得ることができるというべきであり、そして、「透水試験を粉体湿潤浸透解析装置PW-500(協和界面科学株式会社製)を使用して行う」ことを示す甲第7号証(乙第1号証)、「JIS A 6909」を示す甲第8号証、「JIS A 6909 (透水試験B法)に準拠した透水試験を粉体湿潤浸透解析装置PW-500(三ツワフロンテック製)を使用して行う」ことを示す甲第9号証(特願2014-538117号に対応する国際公開第2014/049956号)、「本件特許権者が水の浸透速度が、カラム内における粒子の充填状態に強く依存することを認めている」ことを示す甲第10号証(甲第9号証に係る特願2014-538117号の意見書)、「PW-500以外のぬれ性測定装置(浸透速度測定装置)が公知であり、実際の浸透速度は理想的に一定にならず経時変化する」ことを示す参考資料4、「粉体に対する浸透速度測定にとって、粉体層の充填状態が重要であり、実際の浸透速度は理想的に一定にならず経時変化する」ことを示す参考資料5があることをもって、本件特許明細書に記載された「粉体湿潤浸透解析装置PW-500」から「水の浸透速度」を得ることができないという特許異議申立人の主張は、上記のとおり「水の浸透速度」を得ることができるというべきことからみて、妥当性を欠くものである。
したがって、本件の発明の詳細な説明は、本件請求項2記載の「水の浸透速度」について、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載するものであるので、特許法第36条第4項第1号の規定に適合するものである。
よって、取消理由(β)をもって、本件特許発明2を取り消すことはできない。

ウ 取消理由(γ)について
特許異議申立人は、「『厚み:1mm、径:10mmの円板形状に成形し、この成形体の熱伝導率について調査した結果』(【0054】)として熱伝導性の測定を行った旨が記載されているが、【0015】にあるとおりBN粉末の熱伝導は異方性を有するものであり、上記成形体に対してどのような測定を行うかによって熱伝導率は変化するのは技術常識であるところ、本件特許明細書には、上記成形体に対してどのような測定方法を行うかについての記載が無いため、本件特許明細書を通読した当業者であっても、本件特許発明6に規定される熱伝導率をどのように定めるかを理解することができない。」旨の主張をしていると認められる。
ここで、本件特許明細書には、「本発明は、放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末に関し、特に化粧料に適用した場合に、肌への展延性および付着性を向上させると共に、放熱性の改善により冷感の向上を図ろうとするものである。」(【技術分野】【0001】)、「発明例1のパウダーファンデーションを、厚み:1mm、径:10mmの円板形状に成形し、この成形体の熱伝導率について調査した」(【0054】)との記載があり、これらからして、本件特許発明6の「塗膜の熱伝導率」は、皮膚の熱がパウダーファンデーション(塗膜)の膜厚方向を移動して大気中に放熱される程度(冷感の程度)をみるためのものであるといえることからして、パウダーファンデーション(塗膜)の膜厚方向の熱伝導率であるとみるのが当然であり、また、高吸油性窒化ホウ素粉末を含有する塗膜は、練り塗られたもの(ホウ素粉末の向きはランダムにされたもの)であるといえることからして、そもそも、ホウ素粉末の熱伝導率が異方性を有することについて考慮する必要のないものであるというべきである。
そして、塗膜の膜厚方向の熱伝導率を測定する手段(方法)については、本件特許明細書に明記されるまでもなく、極めて一般的な技術である。
そうすると、本件特許明細書には、「塗膜の熱伝導率」の測定手段(方法)が実質的に記載されているということができる。
したがって、本件の発明の詳細な説明は、本件請求項6記載の「塗膜の熱伝導率」について、当業者が発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載するものであるので、特許法第36条第4項第1号の規定に適合するものである。
よって、取消理由(γ)をもって、本件特許発明6を取り消すことはできない。

エ 取消理由(δ)について
本件特許発明1ないし6は、本件特許明細書の「本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、BNの高潤滑性の特性から薄膜形成性に優れ、かつ熱伝導性を兼ね備えた化粧料用の窒化ホウ素粉末を提案することを目的とする。」「また、本発明は、上記の窒化ホウ素粉末を使用することにより、「もち」や「のび」の低下を招くことなしに塗りの薄膜・均一化を達成し、併せて放熱性を向上させて一層の冷感を実感できる化粧料を提案することを目的とする。」(【発明が解決しようとする課題】【0009】)との記載からして、「もち」や「のび」の低下を招くことなしに塗りの薄膜・均一化(BNの高潤滑性の特性から薄膜形成性)を達成し、併せて放熱性(熱伝導性)を向上させて一層の冷感を実感できる化粧料を提案することを目的とするものであり、発明が解決しようとする課題(以下、「発明の課題」という。)は、この目的を達成することにあるということができる。
ここで、本件特許発明1ないし6は、高吸油性窒化ホウ素粉末のパラメータとして、平均粒径、アスペクト比(長径/厚さ)、厚さの平均値、吸油量、水の浸透速度、可溶ホウ素量、比表面積を発明特定事項にするものであるところ、本件特許明細書には、平均粒径については【0026】に、アスペクト比については【0015】【0024】に、厚さの平均値については【0015】【0025】に、吸油量については【0014】【0031】に、水の浸透速度については【0029】に、可溶ホウ素量については【0040】に、比表面積については【0028】に、それぞれの数値範囲とその技術的意義についての記載があり、特に、粉末のアスペクト比は、塗膜の潤滑性及び伝熱性(発明の課題)に関わり、粉末の厚さは、塗膜の伝熱性及び平滑性(発明の課題)に関わり、粉末の吸油量・水の浸透速度・比表面積は、「もち」(発明の課題)に関わるものであるということができるので、具体的に記載され効果が確認されているBN粉末としてNo.1ただ一例のみしか記載されていないとしても、上記パラメータは、発明の課題を解決せしめるものとして記載されたものであるとみるのが妥当である。
したがって、本件特許発明1ないし6は、当業者が発明の課題を解決することができると認識する範囲を超えるものではないので、特許法第36条第6項第1号の規定に適合するものである。
よって、取消理由(δ)をもって、本件特許発明1ないし6を取り消すことはできない。

オ 取消理由(ε)について
当該取消理由(ε)については、上記「イ 取消理由(β)」で示した理由と同じ理由より、本件特許発明1ないし6は、本件請求項1ないし6記載の「水の浸透速度」について、発明を明確に記載するものであるので、特許法第36条第6項第2号の規定に適合するものである。
したがって、取消理由(ε)をもって、本件特許発明1ないし6を取り消すことはできない。

カ 取消理由(ζ)について
当該取消理由(ζ)については、上記「ウ 取消理由(γ)」で示した理由と同じ理由より、本件特許発明6は、本件請求項6記載の「塗膜の熱伝導率」について、発明を明確に記載するものであるので、特許法第36条第6項第2号の規定に適合するものである。
したがって、取消理由(ζ)をもって、本件特許発明6を取り消すことはできない。

(2)特許異議申立理由について
ア 申立理由(A)について
上記「(1)取消理由について」の「ア 取消理由(α)について」で示したように、甲第1号証記載の発明は、「洗浄によって不純物を除去することによって、高純化する」ものであるものの、その具体的手段が何ら明らかにされたものではなく、また、「撥水性を有するBN粉末は、表面の官能基が少ないことが特徴である。表面の官能基の評価方法としては、不純物量の分析によるのが一般的である。不純物としては、酸素、炭素が大部分を占めており、このうち酸素はBN粉末の表面にOH基やカルボニル基として存在して、粉末の撥水性、吸油性を低下させている」(本件特許明細書の【0028】)との観点に基いて、高吸油性(高撥水性)(吸油量100ml/100g?500ml/100g)化粧料用窒化ホウ素粉末を得るために、洗浄処理後に、不活性の減圧雰囲気中にて300℃以上で加熱処理するものでもない。
また、これまでに示した甲第2号証ないし甲第5号証、甲第7号証ないし甲第10号証、参考文献4、参考文献5に加えて、「吸水性や吸油性を有する粉体(窒化ホウ素)を用いることによって、化粧持ちを改善できる」ことを示す甲第6号証、「医薬部外品原料規格2006(溶出ホウ素量の規定)」を示す甲第11号証、「六方晶窒化ホウ素(h-BN)粉末が化粧品の材料に用いられ、h-BNの特性を発揮するには、Fe_(2)O_(3)、CaO、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)等の酸化性不純物量は少ないほど好ましく、成形したシートの熱伝導率を測定する」ことを示す甲第12号証、「粒径7μmのBNをフィラーとして約10?31重量%含めたものの熱伝導率が0.6?1.39W/m・K程度になる」ことを示す甲第13号証、「化粧料としてののび、もちを高めるために、得られた窒化ホウ素を解砕、洗浄した後に窒素雰囲気で2020℃、10時間の加熱処理を施す」ことを示す甲第14号証、「BN粒子間に残留するFeを減圧処理することにより除去し、これでも残った残留Feは、減圧処理により球状化する」ことを示す参考文献1、「酸窒化硼素、シアン基の形で残留している酸素、炭素を、非酸化性の雰囲気(N_(2)、NH_(3)、H_(2)雰囲気)あるいは減圧中での加熱(1600℃以上3000℃まで)を行うことで除去する」ことを示す参考文献2、「六方晶ホウ素の表面の特に細孔のヒドロキシル基、表面化学種を徹底的に減少させるために、300?400℃の温度範囲で、通常空気中又は不活性な雰囲気で加熱する」ことを示す参考文献3をみたとしても、「撥水性を有するBN粉末は、表面の官能基が少ないことが特徴である。表面の官能基の評価方法としては、不純物量の分析によるのが一般的である。不純物としては、酸素、炭素が大部分を占めており、このうち酸素はBN粉末の表面にOH基やカルボニル基として存在して、粉末の撥水性、吸油性を低下させている」(本件特許明細書の【0028】)との観点に基いて、高吸油性(高撥水性)(吸油量100ml/100g?500ml/100g)化粧料用窒化ホウ素粉末を得るために、洗浄処理後に、不活性の減圧雰囲気中にて300℃以上で加熱処理することについての記載も示唆もない。
そうすると、甲第1号証ないし甲第14号証、及び、参考文献1ないし参考文献5をみたとしても、「撥水性を有するBN粉末は、表面の官能基が少ないことが特徴である。表面の官能基の評価方法としては、不純物量の分析によるのが一般的である。不純物としては、酸素、炭素が大部分を占めており、このうち酸素はBN粉末の表面にOH基やカルボニル基として存在して、粉末の撥水性、吸油性を低下させている」(本件特許明細書の【0028】)との観点に基いて得られる、本件特許発明1の「吸油量が100ml/100g?500ml/100gである」「高吸油性」化粧料用窒化ホウ素粉末は、導出され得ないというべきである。
したがって、本件特許発明1は、甲第1号証ないし甲第14号証、及び、参考文献1ないし参考文献5に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件特許発明2ないし6は、「吸油量が100ml/100g?500ml/100gである」「高吸油性」化粧料用窒化ホウ素粉末を発明特定事項にするものであるので、本件特許発明1と同じく、甲第1号証ないし甲第14号証、及び、参考文献1ないし参考文献5に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、取消理由(A)をもって、本件特許発明1ないし6を取り消すことはできない。

イ 申立理由(B)について
申立理由(B)は、取消理由(β)と同じであることからして、上記「(1)取消理由について」の「イ 取消理由(β)について」で示した理由と同じ理由により、取消理由(B)をもって、本件特許発明2を取り消すことはできない。

ウ 申立理由(C)について
申立理由(C)は、取消理由(γ)と同じであることからして、上記「(1)取消理由について」の「ウ 取消理由(γ)について」で示した理由と同じ理由により、取消理由(C)をもって、本件特許発明6を取り消すことはできない。

エ 申立理由(D)について
申立理由(D)は、取消理由(δ)と同じであることからして、上記「(1)取消理由について」の「エ 取消理由(δ)について」で示した理由と同じ理由により、取消理由(D)をもって、本件特許発明1ないし6を取り消すことはできない。

オ 申立理由(E)について
申立理由(E)は、取消理由(ε)と同じであることからして、上記「(1)取消理由について」の「オ 取消理由(ε)について」で示した理由と同じ理由により、取消理由(E)をもって、本件特許発明1ないし6を取り消すことはできない。

カ 申立理由(F)について
申立理由(F)は、取消理由(ζ)と同じであることからして、上記「(1)取消理由について」の「カ 取消理由(ζ)について」で示した理由と同じ理由により、取消理由(F)をもって、本件特許発明6を取り消すことはできない。

(3)まとめ
上記(1)及び(2)からして、特許異議申立理由及び取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできない。

IX.むすび
以上のとおり、本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すことはできず、また、他に本件請求項1ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末および化粧料
【技術分野】
【0001】
本発明は、放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末に関し、特に化粧料に適用した場合に、肌への展延性および付着性を向上させると共に、放熱性の改善により冷感の向上を図ろうとするものである。
また、本発明は、上記した窒化ホウ素粉末を用いた化粧料に関し、特に「つや」や「もち」を低下させることなく、隠蔽力を確保して薄塗りを可能ならしめ、また窒化ホウ素粉末の平面方向への劈開性を活かして薄膜状で肌をカバーし、さらには窒化ホウ素の高熱伝導特性を活用して放熱性を飛躍的に改善し、もって冷感の一層の向上を可能ならしめたものである。
【背景技術】
【0002】
窒化ホウ素粉末(BN粉末ともいう)は、他の素材に比べて潤滑性に優れているため、化粧料(化粧品ともいう)の顔料として注目を浴びている。特に最近では、窒化ホウ素粉末の潤滑性に優れる点に注目して、化粧品用体質顔料としての使用が増大している。
【0003】
化粧品用体質顔料は、着色顔料を分散させるベースであり、「のび」(皮膚表面で滑らかに塗れる性質)や「もち」(皮膚に塗った状態を持続する性質)、「つや」(ハリ、ツヤのある仕上がり感)などの使用感に大きな影響を及ぼす。
【0004】
ところで、従来の化粧品用体質顔料は、マイカ、セリサイト、タルクなどの天然鉱物やPMMA、ナイロン樹脂がほとんどで、使用性や安定性等の点で必ずしも満足のいくものではなかった。
例えば、従来から使用されてきているタルクやマイカ、セリサイトなどの無機材は、薄片に劈開はするものの、天然鉱物であるためその粒径や厚みはバラツキが大きいという欠点がある。また、劈開での薄片へのスライドには大きな力を必要とすることから、肌への広がりや膜厚の均一性に問題を残していた。一方、ナイロンパウダーやポリエチレンパウダーなどの樹脂材は、化学的に安定ではあるものの、これ以上劈開しないため肌への広がりが悪く薄塗りは難しいという問題があった。
【0005】
この点、BN粉末は、「のび」や「もち」、「つや」に関しては、天然鉱石や樹脂に較べて優れているという特長を有している。
その理由は、BN粉末は、潤滑性に優れているだけでなく、粉末自体が撥水性で、扁平な形状を有しているため、適切な隠蔽力と付着性を兼ね備えているためと考えられる。
かようなBN粉末の製造方法としては、特許文献1、特許文献2および特許文献3が提案されていて、これらの製造方法により、化学的に安定で扁平な形状を有する窒化ホウ素粉末の供給が期待できる
【0006】
また、特許文献4には、BN粉末の長辺長さ/短辺長さ比を20以下に制限して扁平で長い粒子の混入を抑制することにより、充填性を高めて熱伝導性を高めた六方晶窒化ホウ素粉末が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平01-157409号公報
【特許文献2】特開平05-186205号公報
【特許文献3】特開平07-41311号公報
【特許文献4】特開2007-308360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したとおり、BN粉末は、基礎化粧品の特性向上に優れた効果が認められることから、従来材からの置換が進んでいる。
しかしながら、化粧品使用者においては、特に夏場における化粧品について、皮膚へのぬりの薄膜化を一層高め、かつ放熱性を改善して冷感を向上させるという要求がますます強まっている。
この点、体質顔料として活用されるBN粉末は、化粧品の塗布効果の持続性すなわち「もち」の向上と共に、薄膜化により化粧品の使用量を削減することが期待できる。また、特に夏場における肌からの熱の放出効果を向上させれば、冷感を得て、化粧品使用者における暑さからくる化粧の鬱陶しさを払拭することができる。しかしながら、前掲した特許文献1?4に記載の従来のBN粉末では、これらの点が十分とは言えなかった。
【0009】
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、BNの高潤滑性の特性から薄膜形成性に優れ、かつ熱伝導性を兼ね備えた化粧料用の窒化ホウ素粉末を提案することを目的とする。
また、本発明は、上記の窒化ホウ素粉末を使用することにより、「もち」や「のび」の低下を招くことなしに塗りの薄膜・均一化を達成し、併せて放熱性を向上させて一層の冷感を実感できる化粧料を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、ファンデーションの「薄膜形成」は、含有されているBN粉末の表面性状と含有量に密接に関係していることが明らかとなった。
すなわち、BN粉末の表面が撥水性でかつ吸油量が大きいほど粉末凝集を防止でき、かつBN含有量が多いほど製品は均一に混合でき、「もち」や「薄膜形成」が良好となることが明らかとなった。なお、吸油量は、撥水性の高いBN粉末ほど高くなる傾向にあり、このためには粉体表面の官能基を低減させることが有効である。
【0011】
BN粉末は、脱炭材としてホウ酸や酸化ホウ素等の酸化物を使用するために、最終製品で表面に親水性の官能基が存在するため撥水性を低下させる。このため、BN粉末の撥水性の向上と吸油量を増大させるには合成後に表面の官能基を低減させる必要がある。
現行のプロセスでは、不純物であるホウ素を洗浄によって低減しているが、洗浄効率を高めるために有機系の分散剤が使用した場合には、BN粉末の表面には親水性や有機系の官能基が多量に残留した形態になっている。
【0012】
洗浄により残留した表面の官能基を低減するには、加熱処理することが効果的である。しかしながら、大気中でBN粉末を高温加熱するとBNの酸化により、やはり撥水性が低下してくる。
【0013】
そこで、発明者らは、BN粉末を酸化させないで表面に官能基を除去し、しかも撥水性の一層の向上を図る方法について種々検討を重ねた。
その結果、不活性の減圧雰囲気中にて300℃以上で加熱処理することによって、表面官能基を効果的に除去することができ、その結果、撥水性が発現することの知見を得た。
【0014】
また、化粧品の「もち」は、化粧料の構成粉末の吸油量と密接な関係がある。
例えば汗など肌から分泌物が出てくると、粉体表面の吸油量の違いに応じて肌表面での状態が大きく異なってくる。つまり、粉体の吸油量が少ないと発汗によって粉体が浮き上がり、「もち」が悪くなる。一方、吸油量が大きいと、粉体の浮き上がりが抑制され、「もち」が向上する。従って、「もち」を向上させるには、粉体すなわちBN粉末の吸油量を向上させる必要がある。
【0015】
さらに、冷感は、放熱特性に依存し、またこの放熱特性はBN粉末の形状と強い相関があることが判明した。
すなわち、BN粉末は扁平な形状を有しており、また多層構造になっている。BN粉末の熱の伝導は異方性を有しており、層の平面方向の方が熱伝導率が良く、厚さ方向に較べると2オーダー高い値となる。従って、BN粉末の放熱特性を向上させるには、BN粒子のアスペクト比(長径/厚さ)を小さくすることが重要である。また、層間の境界は熱伝導の障壁となるため、BN粉末の厚みはできるだけ厚い方が熱伝導には有利である。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0016】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.扁平形状をなすBNの一次粒子からなり、平均粒径が3?20μmで、かつ該一次粒子のアスペクト比(長径/厚さ)が5?20、厚さの平均値が0.1μm以上であり、しかも吸油量が100ml/100g?500ml/100gであることを特徴とする放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末。
【0017】
2.水の浸透速度が1mm^(2)/s未満の高撥水性を有することを特徴とする前記1に記載の放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末。
【0018】
3.可溶性ホウ素量が100ppm以下であることを特徴とする前記1または2に記載の放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末。
【0019】
4.比表面積が1?20m^(2)/gで、酸素含有量が1.5質量%以下であることを特徴とする前記1ないし3のいずれかに記載の放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末。
【0020】
5.前記1ないし4のいずれかに記載の窒化ホウ素粉末を含有する化粧料。
【0021】
6.前記化粧料における前記窒化ホウ素粉末の含有量が1?60質量%であり、塗膜の熱伝導率が0.1?5.0W/m・Kであることを特徴とする前記5に記載の化粧料。
【発明の効果】
【0022】
本発明のBN粉末は、潤滑性に優れ、軽度の力で滑るように広がる作用があるため、化粧品の使用時における塗擦動作においてスムーズな伸びを達成することができる。
また、本発明の化粧料によれば、撥水性と吸油性の向上により肌からの汗、分泌物への耐性が向上し「もち」や仕上がりの伸びと透明感(素肌感)の両者を格段に向上させることができる。特に夏場の発汗が多い季節には、使用するBNの放熱性により肌表面からの放熱性を向上させることで発汗を抑制できる。
ファンデーションの肌へ塗布した場合の薄膜化は、1回当たりの高価なファンデーションの使用量を減じる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のBN粉末の形状を従来のBN粉末と比較して示す図である。
【図2】本発明のBN粉末(No.1)の形状(a)と従来のBN粉末の形状(b)を比較して示す顕微鏡写真(4000倍)である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を具体的に説明する。
図1に、本発明のBN粉末の形状(同図(a))を従来のBN粉末(同図(b))と比較して模式図で示す。
図1に示したとおり、BN粉末は扁平な形状有しており、また多層構造になっている。そして、BN粉末の熱の伝導は平面方向の方がはるかに高く、厚さ方向に較べると2オーダー高い値となる。従って、BN粉末の放熱特性を向上させるには、BN粒子のアスペクト比(長径/厚さ)を小さくすることが有効と考えられる。
そこで、発明者らは、BN粉末の放熱性(厚さ方向の熱伝導)を向上させる上で必要なアスペクト比(長径/厚さ)について検討した結果、このアスペクト比は5?20とする必要があることが判明した。このアスペクト比が5に満たないとBNの特長である滑りが悪化し、一方20を超えると厚さを厚くしても十分な放熱性を得ることは難しい。
【0025】
また、層間の境界は熱伝導の障壁となるため、BN粉末の厚みはできるだけ厚い方が厚さ方向の熱伝導すなわち放熱性には有利であることが判明した。
そこで、この観点から、BN粉末一次粒子の適正厚みについて検討したところ、平均で0.1μm以上とすることにより、厚さ方向の熱伝導が向上することが判明した。好ましくは0.2μm以上、望ましくは0.5μm超えが良い。なお、一次粒子の厚みがあまりに厚くなると、肌に延ばして塗布した場合に透明感が低下するとともに平面が平滑に維持できなくなるので、上限値は2μm程度とするのが好ましい。
【0026】
本発明のBNの一次粒子の平均粒径は3?20μmとする必要がある。
一次粒子の平均粒径が3μmに満たないものは製造が困難であり、一方20μmを超えると配向性が出て、凝集体の密度が低下する(空隙率が増加する)。
なお、一次粒子の平均粒径は、長径の平均値で表すものとする。
【0027】
そして、本発明のBN粉末は、上記したような形状の一次粒子からなることを基本とし、撥水性に富み、かつ吸油量が多いところに特長を有している。
まず、撥水性について説明する。
撥水性の評価法としては、各種方法が提案されていて、代表的な方法は粉体と液体との接触角から撥水性を評価する方法である。しかしながら、この評価方法は、定性的で傾向を見ることはできても、定量的な評価は難しかった。
そこで、本発明では、定量的な方法として粉体の浸透性、ぬれ性解析装置を用い、透水試験を採用することにした。この方法は粉体充填カラムの底面で対象とする溶媒と接触させて、充填層への溶媒の浸透状態を目視により測定して浸透速度を測定する方法である。
この透水試験において、水の浸透速度を1mm^(2)/s未満とすることが好ましい。というのは、この浸透速度が1mm^(2)/s以上であるとBN粉末の表面に官能基の存在が免れ得ず、満足いくほどの高撥水性が得られないからである。より好ましくは0.8mm^(2)/s以下である。なお、この浸透速度の下限については、特に制限されることはなく、ゼロであっても良い。
【0028】
撥水性を有するBN粉末は、表面の官能基が少ないことが特徴である。表面の官能基の評価方法としては、不純物量の分析によるのが一般的である。不純物としては、酸素、炭素が大部分を占めており、このうち酸素はBN粉末の表面にOH基やカルボニル基として存在して、粉末の撥水性、吸油性を低下させている。
また、官能基の量は粉体の比表面積とも相関がみられ、比表面積が20m^(2)/gを超えると撥水性は大きく低下する。また、比表面積が大きくなると表面の活性度が向上し粒子同士の結合が強くなり凝集粒を生成するためザラツキ感が強くなるので、凝集体の比表面積は1?20m^(2)/gの範囲、さらに好ましくは1?10m^(2)/gの範囲とする。
【0029】
さらに、ホウ素(B)は安全性から化粧料への添加が制限されている、このため水可溶性ホウ素は100ppm以下に管理する必要がある。というのは、可溶性ホウ素量が100ppmを超えると化粧料として使用するには肌へのダメージが大きくなるからである。
【0030】
またさらに、BN粉末中の酸素含有量が1.5質量%を超えると不純物の酸化ホウ素が増加し、かかるBNを化粧品に使用した場合は肌にダメージを与えるなどの不利が生じるので、この酸素含有量は1.5質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは1.0質量%以下である。
また、BN粉末のpHは、同様に安全性の観点からは5?9程度の中性であることが好適である。なお、BN粉末のpHは、医薬部外品原料規格2006(薬事日報社)の規定に準じて測定した。
【0031】
次に、吸油量について説明する。
吸油量は、化粧料の仕上がりおよび「もち」に密接に関係する事項であり、その値が高いほど好ましい。
タルクや従来のBN粉末の吸油量は、80ml/100g前後にすぎなかった。しかしながら、本発明では、不活性の減圧雰囲気中で加熱処理を施すことにより、BN粉末表面の官能基を低減させて吸油量を100ml/100g以上に高めることができる。好ましい吸油量は110ml/100g以上である。一方、この吸油量があまりに大きくなると化粧品の製造時のコンパウンドの粘度や嵩密度等の変動が大きくなる問題が生じるので、吸油量の上限は500ml/100gとした。
【0032】
本発明において、化粧品顔料における上記窒化ホウ素粉末の割合は1?60質量%とすることが好ましい。というのは、この割合が1質量%に満たないと本発明で所期した「のび」や付着性の改善効果に乏しく、一方60質量%を超えるとBN粉末特有のぎらつき感が強くなり適切な光沢が得られなくなるからである。
そして、本発明のBN粉末を配合したファンデーションを塗布した後の塗膜としての熱伝導率は0.1?5.0W/m・Kとすることが好ましい。
【0033】
なお、薄膜化は、BN粉末の使用量を増やせば、効果的に達成できる。ただし、BNは合成により製造するため天然鉱物のタルクやマイカ、セリサイトなどの体質顔料に比べると高価である。このため、従来は使用量は制限されてきた、しかしながら、本発明では、薄膜化と「もち」により大幅にファンデーションの使用量を減らすことが可能となる。すなわち、BN粉末の使用量を5%以上とすれば従来材に比べ10%以上の薄膜化が可能となる。
【0034】
次に、本発明の製造方法について説明する。
本発明では、B_(4)C粉とB酸化物を混合したのち、1600?2200℃の温度域で一段または二段の窒化処理および脱炭処理を施して、BN粒子を析出させ、ついで得られた凝集体を破砕・分級することによってBN粒子を合成する。その後、洗浄処理によりホウ酸を除去したのち、不活性の減圧雰囲気中にて300℃以上で加熱処理することによって、粉体表面の官能基を効果的に除去する。この加熱処理により、高撥水性および高吸油性も併せて発現する。
【0035】
ここに、粉砕前の加熱処理における処理雰囲気を不活性ガス雰囲気としたのは、BNは酸素と容易に結びつくためである。
また、加熱温度を1600?2200℃としたのは、処理温度が1600℃に満たないと十分に結晶が成長した粉末が得られず、一方2200℃を超えると欠陥を生じ易くなって透明感が低下するからである。
【0036】
また、官能基除去のための加熱処理における加熱温度を300℃以上としたのは、有機系の分散剤を完全に除去するためには、300℃以上の温度を必要とするからである。なお、この加熱温度の上限は特に制限されることはないが、2300℃程度で十分である。
また、このときの雰囲気は、不活性雰囲気でかつ0.01MPa以下の減圧雰囲気とすることが好ましい。これにより、分離した官能基が効果的に系外に排除され、再吸着を防止することができる。
【0037】
かくして、扁平形状で滑りやすく、かつ高撥水性で吸油量が大きく、さらにはアスペクト比(長径/厚さ)や厚さが適正な、パウダーファンデーション用の体質顔料として理想的なBN粉末を得ることができる。
【0038】
なお、本発明のBN粉末は、パウダーファンデーション用の化粧料用顔料以外にも、以下に述べるような用途に使用することができる。
すなわち、白粉、下地料、フェイスカラー、頬紅、口紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラおよびマニュキュア等のメイクアップ化粧料、日焼け止め料、クリーム、乳液、化粧水、美容液およびパック等のスキンケア化粧料、ボディ用化粧料、頭髪用化粧料などに好適に使用することができる。
ここに、上記したような化粧料の基本成分については特に制限はなく、従来から公知のものを使用することができ、要は、従来の成分中のBN粉末や無機粉体(例えばタルク、雲母、セリサイト、無水ケイ酸、酸化アルミニュウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニュウム)に代えて、本発明の積層状になる窒化ホウ素粉末を用いればよいのである。
【実施例1】
【0039】
以下、本発明の実施例について説明する。
市販の炭化ホウ素粉末(B_(4)C)を44μmの篩いにかけ、篩を通過した炭化ホウ素粉末:100gと、ボロン酸化物(B_(2)O_(3)):1gとを、Vブレンダーを用い均一な混合粉とした。
ついで、得られた混合粉を、ルツボに入れ、窒素気流中にて2000℃に10時間保持する焼成を行った。
ついで、得られた焼成生成物を、ピンミル(ホソカワミクロ製)により粉砕したのち、44μmの篩いにかけ、篩い下80gを、同様に篩処理した三酸化二ホウ素:30gと混合した。この混合粉を、カーボンルツボ内に入れ、窒素気流中にて2000℃,5時間の脱炭処理を施して、第二焼成生成物を得た。
得られた第二焼成生成物を、粉砕後、風力分級して粒径の大きさを調整した。ついで、このBNを、溶媒がエタノールで固形物濃度が10%になるように調整して洗浄・乾燥し可溶性ホウ素量を100ppm以下に低減したBN粉末とした。
ついで、さらに、得られた粉末を、0.005MPaの減圧窒素中にて600℃,10hの加熱処理を施した。
かくして得られたBN粉末の諸特性を表1に示す。
また、得られたBN粉末の撥水性(浸透速度)、吸油量、溶出B量およびpHについて調べた結果を表1に併記する。
さらに、比較のため、従来のBN粉末およびタルクについても、同様の調査を行った結果を、表1に併せて示す。
【0040】
なお、BN粉末の撥水性、吸油量、溶出B量およびpHはそれぞれ、次のようにして測定した。
(1)撥水性
透水試験を行い、その時の水の浸透速度を測定した。
具体的には、粉体湿潤浸透解析装置PW-500を使用し、内径10mmのカラムに粉末1gを充填して、下部の接液面からの「ぬれ高さ」を経過時間毎に測定して、浸透速度を算出した。
(2)吸油量
JIS K 5101に規定される「吸油量」に準拠した試験により、吸油量を測定した。
具体的には、粉末2gを時計皿に秤取り、精製あまに油をビュレットから1滴ずつ添加する。添加する度にスパチュラで練りこむ。これを繰り返し割れたり分離したりせずになめらかな硬さになったところを終点とする。測定値を粉末100gに換算した値を吸油量とする。
(3)溶出B量
医薬部外品原料規格2006の規定に準じて溶出B量を測定した。
具体的には、粉体2.5gをテフロン(登録商標)製ビーカーに秤取りエタノール10mlを加えて良くかき混ぜ、さらに新たに煮沸した冷却した水40mlを加えてかき混ぜた後、50℃で1時間加温する。その後に、この液を濾過して濾液中のBを測定する。
(4)pH
医薬部外品原料規格2006の規定に準じてpHを測定した。
具体的には、粉体2.5gにエタノール10mlを加えて良くかき混ぜ、さらに新たに煮沸した冷却した水50mlを加えてかき混ぜた後、濾過して濾液のpHを測定する。
(5)平均粒径
電子顕微鏡によりn=100個の粒子について長径を測定し、その平均値を平均粒径とした。
(6)アスペクト比および厚さ
電子顕微鏡によりn=100個のBN粒子の厚さと長径を測定し、測定結果から、アスペクト比(長径/厚さ)を求めた。
【0041】
【表1】

【0042】
表1に示したとおり本発明に従い得られたBN粉末(No.1)は、高い撥水性と吸油量、さらには低い溶出B量を示しており、「もち」さらには「のび」に優れていることが分かる。また、本発明のBN粉末(No.1)は、アスペクト比が小さく、厚みが大きいので、放熱性が向上して、冷感の改善が期待できる。
【0043】
また、図2(a),(b)に、本発明に従い得られたBN粉末(No.1)と従来のBN粉末の顕微鏡写真(4000倍)を比較して示す。
同図(a),(b)の比較から明らかなように、本発明BN粉末(No.1)は、従来のBN粉末に比べて、アスペクト比が小さく、かつ厚みが大きい形状を有していることが分かる。
【実施例2】
【0044】
次に、表1に示す窒化ホウ素粉末を用いて、以下に示す発明例1?6、比較例1?7の各種化粧料を作製した。
発明例1(パウダーファンデーション)
(成分) (配合量%)
・窒化ホウ素(表1のNo.1) 20.0
・N-ラウロイルリジン処理(5%)ベンガラ 1.0
・N-ラウロイルリジン処理(5%)黄酸化鉄 4.0
・N-ラウロイルリジン処理(5%)黒酸化鉄 0.5
・パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン処理酸化チタン(♯1) 10.0
・シリコーン(2%)処理微粒子酸化チタン 2.0
・N-ラウロイルリジン処理(5%)セリサイト 29.0
・パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン処理合成金雲母 10.0
・パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン処理タルク 10.0
・架橋型シリコーン粉末(トレフィルE-505C、東レ・ダウコーニング社製) 0.3
・ウレタンパウダー(PLASTIC POWDER CS-400、東色ピグメント社製) 2.0
・メチルパラベン 0.1
・デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
・メチルポリシロキサン(KF-96A(6CS)、信越化学工業社製) 4.0
・リンゴ酸ジイソステアリル 1.5
・トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
・ワセリン 0.5
・パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 3.0
(♯1)タイペークCR-50(石原産業社製)をパーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン(5%)で被覆処理したもの。
【0045】
発明例2(固形白粉)
(成分) (配合量%)
・窒化ホウ素(表1のNo.1) 15.0
・シリコーン処理(2%)ベンガラ 0.3
・シリコーン処理(2%)黄酸化鉄 0.5
・シリコーン処理(2%)黒酸化鉄 0.05
・シリコーン処理酸化チタン(♯2) 5.0
・シリコーン処理酸化亜鉛 1.0
・(酸化鉄/酸化チタン)焼結物 1.0
・ポリアクリル酸アルキル(GBX-10S、ガンツ化成社製) 3.0
・シルクパウダー 1.0
・板状硫酸バリウム 35.0
・シリコーン処理(2%)タルク 31.75
・メチルパラベン 0.1
・デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
・ワセリン 1.0
・ジメチルポリシロキサン 1.0
・トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル 2.0
・イソノナン酸イソノニル 2.0
・オクチルドデカノール 1.0
(♯2)石原産業のタイペークCR-50に2%シリコン処理したもの。
【0046】
発明例3(粉末状ファンデーション)
(成分) (配合量%)
・窒化ホウ素(表1のNo.1) 20.0
・シリコーン処理(2%)ベンガラ 0.4
・シリコーン処理(2%)黄酸化鉄 1.0
・シリコーン処理(2%)黒酸化鉄 0.2
・シリコーン処理酸化チタン 8.0
・N-ラウロイルリジン粉末 15.0
・雲母チタン 4.0
・タルク 27.2
・セルロースセルロビーズD-5(大東化成工業社製) 5.0
・コーンスターチ(日食コーンスターチ、日本食品化工社製) 15.0
・メチルパラベン 0.1
・デヒドロ酢酸ナトリウム 0.1
・流動パラフィン 1.5
・メチルフェニルポリシロキサン(FZ-209、東レ・ダウコーニング社製)2.0
・ワセリン 0.5
【0047】
発明例4(パウダーアイシャドウ)
(成分) (配合量%)
・窒化ホウ素(表1のNo.1) 25.0
・イソノナン酸イソオクチル 5.0
・オキシステアリン酸ヘキシル 8.0
・トリオクタン酸グリセリル 4.0
・ワセリン 1.0
・赤色226号 1.0
・グンジョウ 5.0
・雲母チタン 10.0
・コンジョウ処理雲母チタン 8.0
・酸化チタン被覆ガラスフレーク 2.0
・酸化チタン被覆合成金雲母 1.0
・ナイロンパウダー 5.0
・タルク 15.0
・シリコーン処理(2%)セリサイト 10.0
【0048】
発明例5(固形状ファンデーション)
(成分) (配合量%)
・窒化ホウ素(表1のNo.1) 15.0
・有機チタネート処理ベンガラ 0.2
・有機チタネート処理黄酸化鉄 0.5
・有機チタネート処理黒酸化鉄 0.05
・無水ケイ酸(サンスフェアH-122、旭硝子社製) 5.0
・有機チタネート処理酸化チタン(♯3) 3.0
・シリコーン処理微粒子酸化亜鉛 2.0
・低融点パラフィン 10.0
・シリコーンゲル(KSG-16、信越化学社製) 2.0
・パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル 1.0
・メチルパラベン 0.2
・フェノキシエタノール 0.1
・ミリスチン酸イソセチル 残量
(♯3)タイペークCR-50(石原産業社製)を有機チタネートで被覆処理したもの。
【0049】
発明例6(口紅)
(成分) (配合量%)
・窒化ホウ素(表1のNo.1) 15.0
・パラフィンワックス 3.0
・合成炭化水素ワックス 3.0
・エチレンプロピレンコポリマー 3.0
・セレシン 3.0
・マイクロクリスタリンワックス 3.0
・ワセリン 5.0
・重質流動イソパラフィン 25.0
・ラウロイルグルタミン酸ジ(オクチルドデシル/フィトステリル/ベヘニル)10.0
・トリイソステアリン酸ポリグリセリル 5.0
・スクワラン 5.0
・水添ポリデセン 5.0
・トコフェロール 0.1
・赤色201号 0.1
・赤色202号 0.1
・酸化鉄 0.5
・シリカ 3.0
・シリカ処理雲母チタン(TIMIRON SPLENDID RED、メルク社製) 1.5
・酸化チタン被覆ガラスフレーク(メタシャインMC1120RS、日本板硝子社製) 2.0
・トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリン 残量
【0050】
比較例1?6
上記した発明例1?6の窒化ホウ素(No.1)の代りに、表1に示したタルクを用いた組成の化粧料。
比較例7
実施例1の窒化ホウ素(No.1)の代りに、表1に示した従来の窒化ホウ素を用いた化粧料。
【0051】
上述した各化粧料について、その透明感(素肌感)、滑らかなのび感、冷感、もちおよび使用量について調べた結果を、表2に示す。
なお、上記の各種性質は、本発明品および比較品を、化粧品評価専門の調査パネル20名に使用してもらい、各調査パネルが5段階の評価基準に基づいて評価した。特に使用量については、各パネルに10gの化粧品を2?3ヶ月間で使用してもらったときの使用量削減率で示した。
また、全調査パネルの評点の平均値を算出し、次の4段階の判定基準により判定した。
【0052】
評価基準
5:非常に良好
4:良好
3:普通
2:やや不良
1:不良
判定基準
◎:4.5以上
○:3.5以上、4.5未満
△:2.5以上、3.5未満
×:2.5未満
【0053】
【表2】

【0054】
表2に示したとおり、化粧品用体質顔料として本発明に従うBN粉末を用いることにより、「もち」や「のび」については言うまでもなく、密着感や冷感についても、従来よりも高い評価が得られている。
さらに、発明例1のパウダーファンデーションを、厚み:1mm、径:10mmの円板形状に成形し、この成形体の熱伝導率について調査した結果、0.5W/m・Kという高い熱伝導率を得ることができた。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-03-30 
出願番号 特願2013-207445(P2013-207445)
審決分類 P 1 651・ 113- YAA (C01B)
P 1 651・ 536- YAA (C01B)
P 1 651・ 121- YAA (C01B)
P 1 651・ 537- YAA (C01B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 壷内 信吾  
特許庁審判長 新居田 知生
特許庁審判官 豊永 茂弘
宮澤 尚之
登録日 2016-12-16 
登録番号 特許第6060060号(P6060060)
権利者 水島合金鉄株式会社
発明の名称 放熱性に優れる高吸油性窒化ホウ素粉末および化粧料  
代理人 吉田 憲悟  
代理人 川原 敬祐  
代理人 川原 敬祐  
代理人 杉村 憲司  
代理人 杉村 憲司  
代理人 吉田 憲悟  
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