• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する C09J
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する C09J
管理番号 1340420
審判番号 訂正2018-390037  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-02-28 
確定日 2018-04-19 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6220100号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第6220100号の明細書及び特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項20について訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯

本件特許第6220100号に係る発明は、平成28年4月8日(優先権主張 平成27年4月10日 日本)を国際出願日とする特許出願として出願されたものであって、その請求項1ないし26に係る発明について、平成29年10月6日に特許権の設定登録がされ、平成30年2月28日に株式会社寺岡製作所(以下、「請求人」という。)により本件訂正審判の請求がなされたものである。

第2 請求の趣旨及び訂正の内容
請求人による本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第6220100号の明細書、特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項20について訂正することを認める、との審決を求める。」というものであることから、本件訂正審判は、特許請求の範囲の請求項20を訂正の請求対象とするものであり、「請求項ごとに請求」する場合に該当し、また、本件特許に係る願書に添付した明細書の訂正を請求項20と関係するものに対して請求するものである。
請求人が求めている訂正の内容は、下記訂正事項1?7のとおりである。

1.訂正事項1
特許請求の範囲の請求項20を削除する。

2.訂正事項2
明細書の段落【0063】の記載を全て削除する。

3.訂正事項3
明細書の段落【0100】及び【0101】の記載を全て削除する。

4.訂正事項4
明細書の段落【0107】の「表3」における「耐久性試験」欄の記載、段落【0108】の「表4」における「耐久性試験」の欄の記載、及び、段落【0109】の「表5」における「耐久性試験」欄の記載を、それぞれ削除する。

5.訂正事項5
明細書の段落【0110】における前段「、200℃500時間での過酷な耐久性試験を経ても高い接着強度を維持しており、耐熱性に優れていた。また、150℃1000時間での過酷な耐油性試験(ATF試験)を経ても、高い絶縁破壊電圧、接着強度及びシート引張強度を有しており、耐油性に優れ」との記載、及び、後段の「、200℃500時間での過酷な耐久性試験を経ても高い接着強度を維持しており、耐熱性に優れ」との記載を、それぞれ削除する。

6.訂正事項6
明細書の段落【0111】における「(特に耐久性試験(200℃×500hr)後の剪断接着力)」及び「これは接着剤(配合3)の長期耐熱といった耐久性などが不十分であることに因るものと考えられる。」との記載を、それぞれ削除する。

7.訂正事項7
明細書の段落【0112】における「(特に耐久性試験(200℃×500hr)後の剪断接着力)」との記載を削除する。

第3 当審の判断
1.訂正の目的、新規事項の追加の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更について

ア 訂正事項1
訂正事項1は、本件特許の請求項20を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 訂正事項2
訂正事項2は、訂正事項1の請求項20を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るために、請求項20の耐久性試験に対応する段落【0063】の記載を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項2は、段落【0063】の記載を削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、段落【0063】の記載が請求項20以外の請求項の解釈に影響を与えるものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 訂正事項3
訂正事項3は、訂正事項1の請求項20を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るために、【実施例】の接着シートにおける請求項20の耐久性試験の説明である段落【0100】及び【0101】の記載を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項3は、段落【0100】及び【0101】の記載を削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、段落【0100】及び【0101】の記載が請求項20以外の請求項の解釈に影響を与えるものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

エ 訂正事項4
訂正事項4は、訂正事項1の請求項20を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るために、【実施例】の接着シートにおける請求項20の耐久性試験の測定結果を示す段落【0107】?【0109】の「表3」?「表5」における「耐久性試験」の欄の記載を削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項4は、段落【0107】?【0109】の「表3」?「表5」における「耐久性試験」の欄の記載を削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、当該削除によって、請求項20以外の請求項の解釈に影響を与えるものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

オ 訂正請求5?7
訂正事項5?7は、訂正事項1の請求項20を削除する訂正に伴って、特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合性を図るために、【実施例】の接着シートにおける請求項20の耐久性試験の測定結果を説明する部分の記載のみを削除するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。また、訂正事項5?7は、【実施例】の接着シートにおける請求項20の耐久性試験の測定結果を説明する部分の記載のみを削除するものであるから、新規事項の追加に該当せず、当該削除によって、請求項20以外の請求項の解釈に影響を与えるものではないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

カ まとめ
上記訂正事項1に係る訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第1号に揚げる事項を目的とするものである。
上記訂正事項2?7に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、特許法第126条第1項ただし書第3号に揚げる事項を目的とするものである。
そして、上記訂正事項1?7は、新たな技術的事項を導入しないものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。

2.独立特許要件について
上記1.アのとおり、訂正事項1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号を目的とするものであるから、独立特許要件について、更に検討する。
訂正事項1は、請求項20を削除するものであるから、特許出願の際独立して特許を受けることができない発明であるという理由は見当たらず、上記訂正事項1は、特許法第126条第7項の規定に適合するものである。

第4 むすび
上記のとおりであるから、上記訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書第1号を目的とするものであり、かつ、同法第126条第5項?第7項の規定に適合するものである。
また、上記訂正事項2?7は、特許法第126条第1項ただし書第3号を目的とするものであり、かつ、同法第126条第5項?第6項の規定に適合するものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
接着シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシ樹脂や感温性発泡剤を含む膨張性接着剤層を有する接着シートに関する。本発明の接着シートは、例えばモータージェネレーターにおけるステーターとコイルの様な2つ部材の間に使用し、加熱することにより膨張、発泡、硬化し、その隙間に充填され部材同士を接着する用途に有用である。
【背景技術】
【0002】
エポキシ樹脂接着剤は、優れた耐熱性及び強固な接着性を有するので、部材接着や構造接着等に幅広く使用されている。
【0003】
例えば、近年急速に普及して来た電気自動車やハイブリッド自動車のモーターにおいて、エナメル線を巻き束ねたコイルはエポキシ樹脂によりステーターコアに固定されている。従来の方法では、絶縁紙を導体コイルとステーターコアの間に挿入し、液状エポキシ樹脂接着剤を導体コイルとステーターコアの間のすき間(クリアランス)に注入し、加熱して接着剤を硬化させることにより固定する。ただし、導体コイルとステーターコアのクリアランスが非常に狭く接着剤が入りにくいので空隙ができてしまったり、そうならないためにクリアランスを拡げた場合には接着剤の熱放散性が低いためにモーターの熱放散性が低下して性能が低下したり、完全に埋めるためには大量の接着剤が必要になる。また、過剰な接着剤をステーターコアから取り除く作業が必要となる。さらに、液状接着剤は一般に塗布量や塗布箇所の正確な制御が困難である。その上、エポキシ樹脂等の加熱硬化性接着剤は、加熱により粘度が低下し液垂れし易く、被着体や作業周辺を汚染するおそれがあり、囲いや壁等の治具を用いて接着部以外への液垂れを防ぐ必要がある。このように、液状エポキシ樹脂接着剤には使用時の作業性に問題が多い。
【0004】
そこで液状エポキシ樹脂接着剤に代えて、発泡性のエポキシ樹脂接着剤層を有する接着シートを使用することが提案されている(特許文献1?4)。しかし、自動車のモーターの製造に使用される接着シートに要求される特性は作業性以外に多岐にわたる。例えば、接着剤層の発泡硬化工程においては、接着剤が適度な粘性を保ちつつ、短時間で均一に発泡硬化することが好ましい。具体的には、180℃で30分程度、好ましくは10分程度で発泡硬化することが求められる。また、発泡硬化した接着シートは、接着剤層が脱落することないような柔軟性や基材への密着性が必要となる。また、室温だけでなく、高温雰囲気下、具体的には150℃、好ましくは200℃で500時間以上加熱しても接着強度が低下しないような耐熱性と、潤滑オイルに浸漬しても接着強度が低下しないような耐油性が求められる。また、導線が束になったコイル等の被着体の凹凸を埋めるように充填されなければならない。モーターの温度上昇による性能低下を抑制するために、熱放散性及び熱伝導性に優れることも必要になる。さらに、導体コイルとステーターの間の狭いクリアランスに接着シートを高速挿入できるように、形状保持性や基材のコシが求められ、ステーターと被覆導線の絶縁信頼性を確保するための絶縁性が必要となる。ごみ発生といった環境的配慮から、剥離紙を使用しないことが求められる場合もある。
【0005】
特許文献1では、接着シートをステーターのコイルをステーターコアに確実に固定させることを目的としており、速硬化性や耐熱性(例えば高温下での接着強度低下の抑制)については検討されていない。特許文献2及び3では、接着シートの中間層が発泡層で、その外側に発泡しない接着剤層を有するので、凹凸被着体への充填性や熱伝導性が劣り、また速硬化性や耐熱性(例えば高温下での接着強度低下の抑制)については検討されていない。特許文献4では、接着性や作業性の向上を主な目的としており、速硬化性や耐熱性(高温下での接着強度の低下抑制)については検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011-244596号公報
【特許文献2】特開2010-261030号公報
【特許文献3】特開2012-170248号公報
【特許文献4】特開2013-104044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、特に速硬化性、耐熱性、接着性等の特性をバランス良く有し、且つ十分な充填性に起因して熱伝導性等の諸特性にも優れる接着シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、多官能エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂と、硬化触媒としてのイミダゾール系化合物と、感温性発泡剤とを含有してなる膨張性接着剤層を有し、少なくとも一つの該膨張性接着剤層の表面に離型剤が塗布された接着シートである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の接着シートは、膨張性接着剤層が短時間で発泡硬化するにも拘わらず高い柔軟性を有し、しかも例えば自動車のモーターの製造に使用される接着シートに要求される各特性にも優れている。すなわち本発明によれば、特に速硬化性、耐熱性、接着性等の特性をバランス良く有し、且つ十分な充填性に起因して熱伝導性等の諸特性にも優れる接着シートを提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の接着シートの一実施形態を示す模式的断面図である。
【図2】本発明の接着シートの一実施形態を示す模式的断面図である。
【図3】本発明の接着シートの一実施形態を示す模式的断面図である。
【図4】本発明の接着シートの一実施形態を示す模式的断面図である。
【図5】本発明の接着シートの一実施形態を示す模式的断面図である。
【図6】本発明の接着シートの一実施形態を示す模式的断面図である。
【図7】本発明の接着シートの一実施形態を示す模式的断面図である。
【図8】実施例の剪断接着力の試験方法を説明するための模式図である。
【図9】実施例の形状保持性の試験方法を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1?7は、本発明の接着シートの一実施形態を示す模式的断面図である。図1に示す実施形態において、単層の基材1の両面には膨張性接着剤層2が設けられており、膨張性接着剤層2は耐熱性フィラーを適量含んでいる。また、必要に応じて片方の膨張性接着剤層2の表面には離型剤層3が設けられている場合がある。
【0012】
図2に示す実施形態において、基材1は、貼り合わせ用接着剤層5を介して2枚の樹脂フィルム4が積層された構造を有する積層体からなる。貼り合わせ用接着剤層5は耐熱性フィラーを適量含んでいる。そして、基材1の両面には膨張性接着剤層2が設けられており、膨張性接着剤層2は耐熱性フィラーを適量含んでいる。また、必要に応じて片方の膨張性接着剤層2の表面には離型剤層3が設けられている場合がある。
【0013】
図3に示す実施形態において、基材1は、貼り合わせ用接着剤層5を介して樹脂フィルム4と不織布6が積層された構造を有する積層体からなる。不織布6には、耐熱性フィラーを適量含む樹脂組成物が含浸されている。その他の構成は図2と同様である。
【0014】
図4に示す実施形態において、基材1は、貼り合わせ用接着剤層5を介して樹脂フィルム4と紙7が積層された構造を有する積層体からなる。その他の構成は図2と同様である。
【0015】
図5に示す実施形態において、基材1は、樹脂フィルム4の両面に機能性接着剤層8を有する積層体からなる。機能性接着剤層8は、耐熱性フィラー及び繊維状フィラーを適量含んでいる。その他の構成は図2と同様である。
【0016】
図6に示す実施形態において、単層の基材1の片面には膨張性接着剤層2が設けられており、膨張性接着剤層2は耐熱性フィラーを適量含んでいる。また、膨張性接着剤層2又は基材1の表面には離型剤層3が設けられている。
【0017】
図7に示す実施形態において、基材1は無く、膨張性接着剤層2の両面に剥離フィルム9が設けられている。膨張性接着剤層2は耐熱性フィラーを適量含んでいる。このようなベースレスタイプの接着シートは、剥離フィルム9を剥がして使用される。
【0018】
以下、本発明の接着シートの各構成について説明する。
【0019】
[基材1]
本発明における基材1は、図1?6に示すように膨張性接着剤層2を支持する為の部材である。ただし、図7に示すように基材1の無いベースレスタイプの接着シートであっても良い。
【0020】
基材1は耐熱性を有することが好ましい。耐熱性のレベルは使用する用途によって異なるが、例えば、基材1の溶融温度は、好ましくは200℃以上、より好ましくは250℃以上である。また例えば、UL-746Bに準拠して測定される基材1の連続使用温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは150℃以上である。また、基材1が樹脂を含む場合、その樹脂のガラス転移点は、好ましくは80℃以上、より好ましくは140℃以上、特に好ましくは200℃以上である。
【0021】
基材1は、図1及び6に示すように一の部材から成る単層基材であっても良いし、図2?4に示すように貼り合わせ用接着剤によって一の部材と他の部材を貼り合わせた積層構造を有する積層体からなる基材であっても良いし、図5に示すように部材の片面又は両面に機能性接着剤層を有する積層体からなる基材であっても良い。基材1は柔軟性を有していても良いし、あるいは反発性を有していても良く、その性状は用途によって適宜選択される。接着シートの強さ(こわさ)や形状保持性が要求される用途においては、基材1は、図2?4に示すように貼り合わせ用接着剤によって一の部材と他の部材を貼り合わせた積層構造を有する積層体からなる基材、及び、図5に示すように部材の片面又は両面に機能性接着剤層を有する積層体からなる基材が好ましく、その部材は、樹脂フィルム4、不織布6及び紙7からなる群より選ばれる一種以上の部材であることがより好ましい。さらに具体的には、図2?4に示すように、貼り合わせ用接着剤によって、樹脂フィルム4と不織布6、又は樹脂フィルム4と紙7、又は樹脂フィルム4と樹脂フィルム4を貼り合わせた積層構造を有する積層体からなる基材1がより好ましい。これらの好適な実施形態は、例えばモーターのスロットの製造等の用途において非常に好適である。このような用途では、接着シートをスロットのような狭い隙間に高速で安定して挿入する必要があるので、強さ(こわさ)が高く且つ折り曲げ後の形状保持性に優れた基材が求められるからである。
【0022】
樹脂フィルム4の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、芳香族ポリエステル等のポリエステル系樹脂;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリウレタン;ポリアミド、ポリエーテルアミド等のポリアミド系樹脂;ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のポリスルホン系樹脂;ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のポリエーテルケトン系樹脂;ポリフェニレンスルフィド(PPS);変性ポリフェニレンオキシド;が挙げられる。2種以上の樹脂フィルム4を併用しても良い。中でも、耐熱性、絶縁性及びコストのバランスの点から、ポリエチレンナフタレート(PEN)が好ましい。
【0023】
不織布6の具体例としては、セルロース繊維、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、液晶ポリマー繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボン繊維等の繊維を含む不織布が挙げられる。2種以上の不織布6を併用しても良い。中でも、アラミド繊維不織布、ガラス繊維不織布、ポリフェニレンスルフィド繊維不織布、耐熱ナイロン繊維不織布、耐熱ポリエステル繊維不織布が好ましい。不織布6には、耐熱性、熱伝導性、及び膨張性接着剤層2の浸み込み防止等の点から、耐熱性フィラーを含む樹脂組成物を含浸させることが好ましい。樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。中でも、ウレタン樹脂が好ましい。耐熱性フィラーの具体例は、後述する各接着剤に含まれる耐熱性フィラーの具体例と同じである。
【0024】
紙7としては、吸水性が低く、耐熱性の高いものが好ましい。特に、全芳香族ポリアミドポリマーからなる高耐熱性紙が好ましい。紙7は2種以上の繊維を含む混抄紙の態様としても良い。
【0025】
貼り合わせ用接着剤層5及び機能性接着剤層8は、何れも接着剤を用いて形成される層である。そして貼り合わせ用接着剤層5は、基材を構成する部材を貼り合わせることを目的として設けられる層であるが、必要に応じて熱伝導性、絶縁性、耐熱性等の特殊機能を付与する添加剤を適量充填する事も出来る。機能性接着剤層8は、接着剤以外の成分(フィラー等)を含むことによって、接着シートに何らかの機能(耐熱性、熱伝導性、強さ(こわさ)等)を付与することを目的として設けられる層である。機能性接着剤層8は、例えば、樹脂フィルム4、不織布6及び紙7からなる群より選ばれる部材の片面又は両面に設けられる。
【0026】
貼り合わせ用接着剤層5及び機能性接着剤層8を構成する接着剤は、特に限定されない。後述する膨張性接着剤層2を構成する接着剤と同じ接着剤も好適に使用できる。特に、フィルム4等への濡れ性や接着の均一性の点から、軟化点の低い成分や液状の成分が含まれていることが好ましい。また、積層基材の平滑性の点から、硬化収縮率の小さいエポキシ樹脂が好ましい。貼り合わせ用接着剤層5及び機能性接着剤層8を構成する接着剤は感温性発泡剤を含有していても良いが、感温性発泡剤を含有せず、発泡しない方が好ましい場合もある。
【0027】
貼り合わせ用接着剤層5及び機能性接着剤層8を構成する接着剤は、耐熱性や熱伝導性の点から、耐熱性フィラーを含むことが好ましい。耐熱性フィラーの種類は特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、タルク(珪酸マグネシウム)等の無機フィラーが挙げられる。2種以上の耐熱性フィラーを併用しても良い。耐熱性フィラーの含有量は、接着剤中の樹脂成分100質量部に対し、好ましくは10?300質量部、より好ましくは50?150質量部である。
【0028】
貼り合わせ用接着剤層5及び機能性接着剤層8を構成する接着剤は、耐熱性フィラーとして繊維状フィラーを含んでも良い。特に、機能性接着剤層8を構成する接着剤は、繊維状フィラーを含むことが好ましい。繊維状フィラーは接着シートの強さ(こわさ)を向上させる点で有用である。繊維状フィラーの具体例としては、ポリエステルファイバー、ポリアミドファイバー、グラスファイバーが挙げられる。2種以上の繊維状フィラーを併用しても良い。中でも、グラスファイバーが好ましい。繊維状フィラーの平均繊維径は好ましくは1?20μmであり、平均繊維長は好ましくは10?150μmである。
【0029】
基材1には、膨張性接着層2との密着性を向上させる為に、コロナ処理やプライマー処理等を施しても良い。
【0030】
基材1の厚さは、使用用途によって適宜選択すれば良いが、一般的には2?200μmである。特に、モーターのステーターとコイルの接着絶縁等に使用される場合は、好ましくは9?100μm、より好ましくは12?50μmである。
【0031】
[膨張性接着剤層2]
本発明における膨張性接着剤層2は、多官能エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂と、硬化触媒としてのイミダゾール系化合物と、感温性発泡剤とを含有する。
【0032】
膨張性接着剤層2は、好ましくはエポキシ樹脂を主成分として含む。多官能エポキシ樹脂の種類は限定されないが、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂及びこれらの混合物が好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂を用いると、硬化物のガラス転移点が高くなるので高温下でも接着力が安定する傾向にある。
【0033】
エポキシ樹脂として、多官能エポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を併用しても良い。多官能エポキシ樹脂及びそれ以外のエポキシ樹脂を混合して用いることにより、エポキシ樹脂の軟化点、溶融粘度、ガラス転移点、貯蔵弾性率等の物性を容易かつ詳細に調整できる。一般に、軟化点が低い又は液状のエポキシ樹脂を混合すると、接着剤層の加熱時の流動性及び硬化前後の可撓性を高めることできる。一方、軟化点が高い又は半固体若しくは固体のエポキシ樹脂を混合すると、接着剤層表面の粘着性を低くすることができる。また、液状のエポキシ樹脂は、感温性発泡剤に含まれる粉状又は粒状の熱膨張性マイクロカプセル等の成分を予備分散させる目的や、エポキシ樹脂成分を均一に混合させる目的にも使用できる。
【0034】
このような混合可能なエポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールA型、ダイマー酸変性ビスフェノールA型、ビスフェノールF型等のビスフェノール型エポキシ樹脂;ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族骨格を有するエポキシ樹脂;フェノキシ樹脂(ビスフェノール類とエピクロルヒドリンより合成されるポリヒドロキシポリエーテル);結晶エポキシ樹脂が挙げられる。結晶エポキシ樹脂は、常温では無粘着性の固体であるのに対して、融点以上で溶融粘度が大きく低下することから、融点以上では反応性希釈剤として作用する。その為、結晶エポキシ樹脂を接着層に含めると、接着層の加熱時の流動性をより高めることができ、接着層の熱膨張に有利に作用する。また、室温で非粘着性の固体であることから、接着層表面の粘着性を低減する、又は、接着層表面を非粘着性にするのに役立つ。接着層を溶融コーティング法によって形成する場合、結晶エポキシ樹脂の融点以上に加熱することで、エポキシ樹脂の溶融粘度を低下させて溶融コーティングの速度を高めることもできる。
【0035】
エポキシ樹脂の数平均分子量は、GPCによる標準ポリスチレン換算で、一般に100?60000である。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、一般に50?30000g/eqである。
【0036】
膨張性接着剤層2に用いるエポキシ樹脂の硬化剤としては、フェノール樹脂を使用する。本発明においては、フェノール樹脂を硬化剤として使用し、後述する硬化触媒としてのイミダゾール系化合物と組み合わせて使用することが、硬化時間を短縮し且つ耐熱性を向上する点で重要である。また、硬化剤としてフェノール樹脂を使用することにより、耐熱性、電気特性等の設計が容易になる。フェノール樹脂の添加量は、理論上は、エポキシ樹脂のエポキシ当量数に対するフェノール樹脂の水酸基当量数が1対1近傍になるように決定される。エポキシ樹脂のエポキシ当量数に対するフェノール樹脂の水酸基当量数の比率は、通常は0.5?2.0、好ましくは0.8?1.2である。
【0037】
膨張性接着剤層2に用いるエポキシ樹脂の硬化触媒としては、イミダゾール系化合物を使用する。本発明においては、イミダゾール系化合物を硬化触媒として使用し、硬化剤としてのフェノール樹脂と組み合わせて使用することが、硬化時間を短縮し且つ耐熱性を向上する点で重要である。例えば、従来技術においては、硬化剤としてフェノール樹脂を使用せず、イミダゾール系化合物を硬化剤として多量に使用する場合があるが、この場合は本発明のような優れた長期耐熱といった耐久性は得られにくい。本発明においては、イミダゾール系化合物は硬化触媒として使用し、即ち触媒としての量(少量)のみ使用し、且つフェノール樹脂を硬化剤として使用する、即ち硬化剤としての量(多量)で使用するのであり、これにより本発明の効果が得られるのである。また、イミダゾール系化合物は他の硬化触媒と比較して、単独触媒として使用可能であり且つ粒径の非常に細かいグレードも有るので使い易いという利点がある。
【0038】
イミダゾール系化合物の具体例としては、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2,4-ジエチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール等のイミダゾール誘導体が挙げられる。2種以上のイミダゾール系化合物を併用しても良い。中でも、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールが好ましい。イミダゾール系化合物の含有量は、膨張性接着剤層中の樹脂成分100質量部に対し、好ましくは0.1?1.0質量部、より好ましくは0.3?0.8質量部である。
【0039】
膨張性接着剤層2に用いる感温性発泡剤としては、例えば、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、水素化ホウ素アンモニウム、アジド類等の無機系発泡剤;トリクロロモノフルオロメタン等のフッ化アルカン、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、パラトルエンスルホニルヒドラジド等のヒドラジン系化合物、p-トルエンスルホニルセミカルバジド等のセミカルバジド系化合物、5-モルホリル-1,2,3,4-チアトリアゾール等のトリアゾール系化合物、N,N-ジニトロソテレフタルアミド等のN-ニトロソ化合物等の有機系発泡剤;炭化水素系化合物等から成る熱膨張剤をマイクロカプセル化させた熱膨張性マイクロカプセル;が挙げられる。2種以上の感温性発泡剤を併用しても良い。中でも、エポキシ樹脂の硬化を阻害せず、エポキシ樹脂の物性に与える悪影響を少なくする点から、熱膨張性マイクロカプセルが好ましい。
【0040】
熱膨張性マイクロカプセルは、ガスバリアー性を有する熱可塑性樹脂をシェルとし、シェルの内部に熱膨張剤を内包させたマイクロカプセルである。熱膨張性マイクロカプセルを加熱すると、シェルの熱可塑性樹脂が軟化し、熱膨張剤の体積が増大することにより、カプセルが膨張する。例えば、低沸点の炭化水素系化合物の気化をカプセルの膨張に利用できる。
【0041】
熱膨張性マイクロカプセルの膨張(発泡)温度は、エポキシ樹脂の軟化点以上であり、且つエポキシ樹脂の硬化反応の活性化温度以下であることが好ましい。この発泡温度がエポキシ樹脂の軟化点以上であれば、柔らかくなったエポキシ樹脂の中で熱膨張剤を十分に膨張でき、発泡後の膨張性接着剤層2の厚さを均一にすることができる。また、この発泡温度がエポキシ樹脂の硬化反応の活性化温度以下であれば、発泡前にエポキシ樹脂が硬化することを防止できる。さらに、エポキシ樹脂の軟化点を硬化反応の活性化温度以下とすることにより、接着シートの製造工程に溶融又は溶液コーティングが含まれる場合に、これらのコーティング工程及びそれに伴う乾燥工程中にエポキシ樹脂がゲル化することを防止できる。
【0042】
エポキシ樹脂の軟化点は、JIS K 2207に規定される環球式軟化点試験法を用いて測定できる。熱膨張性マイクロカプセルの発泡温度とは、熱膨張性マイクロカプセルの体積変化が生じる温度であり、例えば70℃以上200℃以下、好ましくは100℃以上180℃以下の範囲から選ぶことができる。
【0043】
感温性発泡剤の含有量及び体積膨張率は、硬化した膨張性接着剤層2に要求される強度及び接着力、接着シートに要求される膨張率等に応じて、適宜決定できる。感温性発泡剤の含有量は、膨張性接着剤層2中の樹脂成分100質量部に対し、好ましくは0.5?20質量部、より好ましくは2?15質量部である。発泡後の接着シートの厚さの増加倍数は、例えば、1.1倍以上10倍以下とすることができる。
【0044】
膨張性接着剤層2には、基材1との密着性、接着シートを折り曲げた際の柔軟性、接着剤の塗工時のレベリング性、加熱発泡硬化する際の液垂れ防止等の点から、他の樹脂(耐熱性樹脂等)を添加することが好ましい。他の樹脂の具体例としては、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、ウレタン樹脂、カルボキシル基末端ブタジエンニトリルゴム(CTBN)、エポキシ変性ブタジエンが挙げられる。中でも、柔軟性や接着性の点から、ウレタン樹脂が最も好ましい。
【0045】
ウレタン樹脂は、一般に、ポリオール単量体単位からなるソフトセグメントと、多官能イソシアネート化合物や低分子グリコール単量体単位からなるハードセグメントとを含む樹脂である。ウレタン樹脂に用いるポリオールは、水酸基を2個以上有する化合物である。ゴム弾性伸長回復率等の特性を高める点から、ポリオールの水酸基数は、好ましくは2?3であり、より好ましくは2である。ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ひまし油系ポリオールを使用できる。2種以上のポリオールを併用しても良い。
【0046】
ポリオールを架橋させるための架橋剤として用いる多官能イソシアネート化合物としては、例えば、多官能脂肪族系イソシアネート化合物、多官能脂環族系イソシアネート化合物、多官能芳香族系イソシアネート化合物を使用できる。また、これら化合物のトリメチロールプロパンアダクト体、水と反応したビュウレット体、イソシアヌレート環を有する3量体も使用できる。2種以上の多官能イソシアネート化合物を併用しても良い。
【0047】
多官能脂肪族系イソシアネート化合物の具体例としては、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2-プロピレンジイソシアネート、1,3-ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。
【0048】
多官能脂環族系イソシアネート化合物の具体例としては1,3-シクロペンテンジイソシアネート、1,3-シクロヘキサンジイソシアネート、1,4-シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0049】
多官能芳香族系ジイソシアネート化合物の具体例としては、フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソソアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,2’一ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-トルイジンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、4,4’-ジフェニルジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートが挙げられる。
【0050】
ウレタン樹脂は、以上説明したポリオールと多官能イソシアネート化合物を含有する組成物を硬化させて得られる。特に、ゴム弾性伸長回復率等の特性の点から、低結晶性の線状ポリエステル系ポリウレタン樹脂が好ましく、ヘキサンジオールコポリエステル系ポリウレタン樹脂、ポリテトラメチレングリコール系ポリウレタン樹脂がより好ましい。
【0051】
ウレタン樹脂の含有量は、膨張性接着剤層2中の樹脂成分100質量部中、好ましくは60質量部以下である。
【0052】
膨張性接着剤層2は、耐熱性や熱伝導性の点から、耐熱性フィラーを含むことが好ましい。耐熱性フィラーの種類は特に限定されないが、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化ケイ素、タルク(珪酸マグネシウム)等の無機フィラーが挙げられる。2種以上の耐熱性フィラーを併用しても良い。耐熱性フィラーの含有量は、接着剤中の樹脂成分100質量部に対し、好ましくは20?300質量部、より好ましくは50?100質量部である。
【0053】
膨張性接着剤層2は、必要に応じて、フェノール系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等の酸化防止剤、エポキシ変性アルコキシシラン等のシランカップリング剤、ヒュームドシリカ等のチキソトロピー剤、識別のための顔料や染料等の添加剤を含んでも良い。
【0054】
膨張性接着剤層2は、連続層であっても良いし、複数のストライプ、ドット等のパターンから構成される不連続なものであっても良い。さらに、膨張性接着剤層2の表面にエンボス等の凹凸が形成されていてもよい。膨張性接着剤層2を不連続なものとする、あるいは接着剤層の表面にエンボス等の凹凸を形成することによって、膨張性接着剤層2の表面の粘着性を低減する、あるいは接着剤層を実質的に非粘着性にしたり、接着力を調整したり、必要な部分のみに接着剤層を形成することができる。また、このような膨張性接着剤層2の表面の不均一性は、発泡時に軽減または打ち消されるので、その不均一性に因る接着力への悪影響も生じにくい。
【0055】
[離型剤層3]
一般的な両面接着シートには、通常、接着剤層の癒着を防ぐ目的で剥離紙が設けられている。しかし近年、環境的配慮から、剥離紙を使用しない接着シートが求められている場合もある。また、一般的には、接着剤層は被着体に仮固定できる程度の粘着性を有していることが望まれる場合が多いが、加熱前には接着剤層が非粘着性(タックフリー)であることが有利な場合もある。例えば、熱膨張性接着剤層2が非粘着性であると、接着シートの取り扱い性及び作業性をさらに向上する。具体的には、ステーターコアとコイルを接着する場合、非粘着性の接着剤層を有する接着シートはステーターコアの隙間によりスムーズに挿入することができ、接着シートが挿入されてより狭くなったすき間にコイルをよりスムーズに挿入することができる。このような点から、本発明の接着シートにおいては、少なくとも一つの膨張性接着剤層2の表面に離型剤を塗布することが好ましい。さらに、基材1の両面に膨張性接着剤層2を有している場合には、少なくとも一つの膨張性接着剤層2の表面に離型剤を塗布することが好ましい。
【0056】
従来技術においては、離型剤は接着剤層ではなく基材の表面に塗布するのが通常である。一方、本発明においては、斬新な発想で離型剤を膨張性接着剤層2の表面に直接塗布し、且つ接着性等の特性への影響はない事を実現出来た。本発明で使用する離型剤は、膨張性接着剤層2への悪影響を少なくする為に以下の要件(a)及び(b)のどちらかを満たす必要がある。
(a)離型剤を構成する成分が低分子量であり、低温(使用前の接着シートの保管時温度)では離型機能が発揮されるが、高温(使用時の接着シートの発泡硬化温度)ではその成分が分解、蒸発又は昇華して離型機能が殆ど失われる。
(b)離型剤の塗布量が少なく、使用時の接着シートにおける膨張性接着剤層2の軟化、溶融、流動及び発泡による掻き混ぜから硬化に至る過程で、離型剤が接着剤層の中に入り込んで離型機能が殆ど失われる。
【0057】
離型剤の具体例としては、パラフィンや長鎖アルキル系化合物等の有機系熱溶融ポリマー;シリコーン、炭酸カルシウム、酸化ケイ素微粒子等の無機系微粒子;が挙げられる。中でも、接着シートの保存安定性や接着性の点から、長鎖アルキル系化合物が好ましい。有機又は無機系オイルは、接着シートの製造ラインや使用ラインを汚染すると共に膨張性接着剤層2の接着性を大幅に低下させるので好ましくない。
【0058】
長鎖アルキル系化合物としては、市販の長鎖アルキル系離型剤を使用できる。例えば、有機溶剤可溶型長鎖アルキル系離型剤である「ピーロイル(登録商標)1010」(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)、水分散型長鎖アルキル系離型剤である「NC003」(中京油脂社製)がある。特に、接着剤層への有機溶剤の浸み込みや接着剤成分の浸み出し防止の点から、水分散型長鎖アルキル系化合物が好ましい。
【0059】
水分散型長鎖アルキル系化合物は、適度な濃度になるように水で希釈し、乾燥後の離型剤層3の厚さが0.02?0.2μmとなるように塗工すれば良い。この厚さが0.02μm以上であれば離型性が安定する傾向にあり、0.2μm以下であれば膨張性接着剤層2の発泡硬化時の接着性が低下しにくい傾向にある。水分散型長鎖アルキル系化合物をエポキシ樹脂接着剤層のような極性が比較的低い層の表面に薄膜塗工するには、適切な濡れ性向上剤を使用することが好ましい。濡れ性向上剤の具体例としては、アセチレンジオールが挙げられる。
【0060】
[接着シート]
本発明の接着シートは、以上説明した膨張性接着剤層2を有する接着シートであり、より具体的には、基材1の片面又は両面に膨張性接着剤層2を有する接着シート、あるいは基材1が無いベースレスタイプの接着シートである。接着シートは、基材1及び膨張性接着剤層2以外の層又は部材、例えば離型剤層3や離型フィルム9を有していても良い。
【0061】
本発明の接着シートは、発泡硬化前の厚さが、例えば、10?1000μmである。本発明の接着シートを例えばステーターコアとコイルの間のような狭い隙間に挿入する場合は、発泡硬化前の厚さは好ましくは250μm以下、より好ましくは20?200μmである。
【0062】
本発明の接着シートは、初期接着性に優れるとともに耐熱性にも優れる。具体的には、膨張性接着剤層2の発泡硬化後の接着シートのJIS Z 1541に準じた剪断接着力が、室温(23℃)時で好ましくは200N/cm^(2)以上、より好ましくは300N/cm^(2)以上であり、200℃加熱時で好ましくは50N/cm^(2)以上、より好ましくは100N/cm^(2)以上である。
【0063】(削除)
【0064】
本発明の接着シートは電気絶縁性に優れる。具体的には、膨張性接着剤層2の発泡硬化後の接着シートのJIS C 2107に準じた絶縁破壊電圧が好ましくは3kV以上、より好ましくは5kV以上であり、熱伝導率が好ましくは0.1W/mK以上、より好ましくは0.15W/mK以上である。
【0065】
本発明の接着シートは、曲げ強さと折り曲げた後の形状保持性に優れる。具体的には、膨張性接着剤層2の発泡硬化前の接着シートのJIS P 8125に準じた曲げモーメントが好ましくは40?600gf・cm、より好ましくは50?150gf・cmである。そして、膨張性接着剤層の発泡硬化前の接着シートの以下の方法で測定される形状保持率が好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上である。
(形状保持率)
アルミL字型枠に膨張性接着剤層が発泡硬化前の接着シートを置き、押付治具を接着シートの上から45度の角度にてコーナーに向かって押し付け、L字型になるように曲げ加工を施し、試験片を取り出し、5秒後試験片の角度を測定し、次式によって計算を行う。
形状保持率(%)=90度÷(折り曲げ加工5秒後の角度)×100(%)
【0066】
本発明の接着シートの製造方法は特に限定されない。両面接着シートは、基材1の一方の表面上に第1の膨張性接着剤層2を形成し、次いで基材1のもう一方の表面上に第2の膨張性接着剤層2を形成することにより製造できる。ベースレスタイプの接着シートは、剥離フィルム9の表面上に膨張性接着剤層2を形成し、次いで膨張性接着剤層2の上に別の剥離フィルム9を貼り合わせすることにより製造できる。ただし、これら以外の方法も可能であり、例えば膨張性接着剤を同時に塗布したり、片面の剥離フィルム9を使用せずに作製することも可能である。
【0067】
膨張性接着剤層2は、例えば溶液コーティング法、溶融コーティング法、溶融押出法、圧延法等、従来知られている方法で形成できる。溶融コーティング法は無溶媒で行うことができ、溶媒の除去工程、処理設備等を必要としないので、生産性及び経済性の点で好ましい。溶融コーティング法を用いる場合、エポキシ樹脂が結晶エポキシ樹脂を含むことが好ましい。この場合、結晶エポキシ樹脂の融点以上に加熱することにより、エポキシ樹脂の溶融粘度を低下でき、溶融コーティングの速度を高めることができる。
【実施例】
【0068】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
<基材作製用接着剤の調製>
以下の各成分を表1に示す量(質量部)で混合して、基材作製用接着剤(配合1?5)を得た。
【0070】
「EP1」:エポキシ樹脂(液状、粘度13,500mPa・s(25℃)、エポキシ当量189g/eq、BPA型、標準液状品)
「EP2」:エポキシ樹脂(半固形、エポキシ当量173g/eq、多官能フェノールノボラック型、耐熱性タイプ)
「EP3」:エポキシ樹脂(軟化点70℃、エポキシ当量210g/eq、特殊ノボラック型、耐熱性タイプ)
「EP4」:エポキシ樹脂(軟化点92℃、エポキシ当量200g/eq、特殊多官能型、高耐熱性タイプ)
「EP5」:エポキシ樹脂(軟化点86℃、エポキシ当量230g/eq、ナフタレン環型、耐熱性・靱性タイプ)
「EP6」:エポキシ樹脂(軟化点92℃、エポキシ当量395g/eq、イソシアネート変性型、高Tg・高靱性・強接着タイプ)
「PU」:線状ポリエステルポリウレタン樹脂(軟化点87℃、分子量222300、水酸基含有量0.1%、接着性・柔軟性タイプ)
「H」:熱膨張性マイクロカプセル(平均粒径9μm、膨張開始温度120?130℃、最大膨張温度145?155℃)
「T1」:フェノール樹脂(軟化点87℃、水酸基当量178g/eq、ノボラック型、高耐熱性タイプ)
「T2]:イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン社製、コロネート(登録商標)L)
「T3]:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、商品名2PHZ-PW、融点220℃、活性領域141?153℃、開始領域153?168℃)
「J1」:酸化マグネシウム(平均粒径3μm)
「J2」:珪酸マグネシウム(平均粒径5μm)
「J3」:グラスファイバー(平均繊維径6μm、平均繊維長50μm)
「MEK」:メチルエチルケトン
【0071】
【表1】

【0072】
<基材の作製>
基材用部材として、以下の各部材F1?F6、Pを用意した。
【0073】
「F1」:ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム社製、テオネックス(登録商標)Q51、厚さ38μm)
「F2」:ポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人デュポンフィルム社製、テオネックス(登録商標)Q51、厚さ12μm)
[F3」:ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム(東レ社製、トレリナ(登録商標)♯50-2030、厚さ50μm)
「F4」:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラー(登録商標)S-10、厚さ50μm)
「F5」:ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラー(登録商標)S-10、厚さ38μm)
「F6」:接着剤(配合5)を含浸したアラミドとポリエステルの混抄不織布(この不織布F6は、ウレタン樹脂組成物である接着剤(配合5)をアラミドとポリエステルの混抄不織布(帝人社製、コーネックス(登録商標)、厚さ40μm(20g/m^(2)))に乾燥後の塗布質量が約40g/m^(2)となるように含浸し、その後乾燥して得たものである。)
「P」:芳香族ポリアミドペーパー(デュポン社製、ノーメックス(登録商標)、厚さ60μm)
【0074】
以上の各部材F1?F6、P及び基材作製用接着剤(配合1?5)を用いて、以下の基材K1a?K10を作製した。
【0075】
「K1a」:2枚のPENフィルムF1を接着剤(配合1)で貼り合わせた積層基材。(この積層基材K1aは、PENフィルムF1の片面に接着剤(配合1)を乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布し、その後乾燥し、もう一方のPENフィルムF1を100℃に加熱した熱ロールでプレスして貼り合わせて得たものである。)
【0076】
「K1b」:2枚のPENフィルムF1を接着剤(配合2)で貼り合わせた積層基材。(この積層基材K1bは、接着剤(配合2)を用いたこと以外は積層基材K1aと同様にして得たものである。)
【0077】
「K2」:PENフィルムF1とPETフィルムF5を接着剤(配合1)で貼り合わせた積層基材。(この積層基材K2は、PENフィルムF1及びPETフィルムF5を用いたこと以外は積層基材K1aと同様にして得たものである。)
【0078】
「K3」:2枚のPETフィルムF5を接着剤(配合1)で貼り合わせた積層基材。(この積層基材K3は、2枚のPETフィルムF5を用いたこと以外は積層基材K1aと同様にして得たものである。)
【0079】
「K4」:PENフィルムF1と芳香族ポリアミドペーパーPを接着剤(配合1)で貼り合わせた積層基材。(この積層基材K4は、PENフィルムF1及び芳香族ポリアミドペーパーPを用いたこと以外は積層基材K1aと同様にして得たものである。)
【0080】
「K5a」:PENフィルムF1と接着剤(配合5)を含浸した不織布F6を接着剤(配合2)で貼り合わせた積層基材。(この積層基材K5aは、PENフィルムF1の片面に接着剤(配合2)を乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布し、その後乾燥し、接着剤(配合5)を含浸した不織布F6を100℃に加熱した熱ロールでプレスして貼り合わせて得たものである。)
【0081】
「K5b」:PENフィルムF1と接着剤(配合5)を含浸した不織布F6を接着剤(配合3)で貼り合わせた積層基材。(この積層基材K5bは、接着剤(配合3)を用いたこと以外は積層基材K5aと同様にして得たものである。)
【0082】
「K6」:1枚のPENフィルムF1の両面に接着剤(配合4)からなる層を有する基材。(この基材K6は、PENフィルムF1の両面の各々に対して、接着剤(配合4)を乾燥後の厚さが15μmとなるように塗布し、その後乾燥して得たものである。)
【0083】
「K7」:2枚のPENフィルムF2を接着剤(配合4)で貼り合わせた積層基材。(この基材K7は、PENフィルムF2の片面に接着剤(配合4)を乾燥後の厚さが30μmとなるように塗布し、その後乾燥し、もう一方のPENフィルムを100℃に加熱した熱ロールでプレスして貼り合わせて得たものである。)
【0084】
「K8」:1枚のPENフィルムF1をそのまま使用した基材。
【0085】
「K9」:1枚のPPSフィルムF3をそのまま使用した基材。
【0086】
「K10」:1枚のPETフィルムF4をそのまま使用した基材。
【0087】
<膨張性接着剤層用接着剤の調製>
以下の各成分を表2に示す量(質量部)で混合して、膨張性接着剤(配合2?3及び6?8)を得た。なお、配合2?3の接着剤は、基材作製用接着剤として先に調製した配合2?3と同一組成のものである。
【0088】
「EP1」:エポキシ樹脂(液状、粘度13,500mPa・s(25℃)、エポキシ当量189g/eq、BPA型、標準液状品)
「EP2」:エポキシ樹脂(半固形、エポキシ当量173g/eq、多官能フェノールノボラック型、耐熱性タイプ)
「EP3」:エポキシ樹脂(軟化点70℃、エポキシ当量210g/eq、特殊ノボラック型、耐熱性タイプ)
「EP4」:エポキシ樹脂(軟化点92℃、エポキシ当量200g/eq、特殊多官能型、高耐熱性タイプ)
「EP5」:エポキシ樹脂(軟化点86℃、エポキシ当量230g/eq、ナフタレン環型、耐熱性・靱性タイプ)
「EP6」:エポキシ樹脂(軟化点92℃、エポキシ当量395g/eq、イソシアネート変性型、高Tg・高靱性・強接着タイプ)
「EP7」:エポキシ樹脂(軟化点92℃、エポキシ当量218g/eq、o-クレゾールノボラック型、接着性タイプ)
「EP8」:エポキシ樹脂(軟化点70℃、エポキシ当量288g/eq、ノボラック型、高靱性タイプ)
「PU」:線状ポリエステルポリウレタン樹脂(軟化点87℃、分子量222300、水酸基含有量0.1%、接着性・柔軟性タイプ)
「H」:熱膨張性マイクロカプセル(平均粒径9μm、膨張開始温度120?130℃、最大膨張温度145?155℃)
「T1」:フェノール樹脂(軟化点87℃、水酸基当量178g/eq、ノボラック型、高耐熱性タイプ)
「T2]:イソシアネート系硬化剤(日本ポリウレタン社製、コロネート(登録商標)L)
「T3]:2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(四国化成工業社製、商品名2PHZ-PW、融点220℃、活性領域141?153℃、開始領域153?168℃)
「J1」:酸化マグネシウム(平均粒径3μm)
「J2」:珪酸マグネシウム(平均粒径5μm)
「J3」:グラスファイバー(平均繊維径6μm、平均繊維長50μm)
「MEK」:メチルエチルケトン
【0089】
【表2】

【0090】
<離型剤Xの調製>
水分散型長鎖アルキル系化合物(中京油脂社製、商品名NC003)10質量部、アセチレンジオール(エアープロダクツ社製)0.4質量部、蒸留水389.6質量部を混合することにより、離型剤Xを得た。
【0091】
<実施例1?10、参考例1?3及び比較例1?2>
基材K1a?K10の片面に、膨張性接着剤(配合2?3及び6?7)を乾燥後の厚さが約35μm(実施例8では約25μm、実施例9及び10では約30μm)となるように塗布し、その後90℃で5分間乾燥させることにより溶媒を除去し、膨張性接着剤層を形成した。この膨張性接着剤層の表面に、片面シリコーン離型処理した厚さ38μmのポリエステルフィルムを、100℃に加熱した熱ロールでプレスして、第1工程品を得た。この第1工程品の基材のもう一方の面に、同じ種類の膨張性接着剤組成物を、乾燥後の厚さが約35μm(実施例8では約25μm、実施例9及び10では約30μm)となるように塗布し、その後90℃で5分間乾燥させることにより溶媒を除去し、膨張性接着剤層を形成した。この膨張性接着剤層の表面に、片面シリコーン離型処理した厚さ38μmのポリエステルフィルムを、100℃に加熱した熱ロールでプレスして第2工程品を得た。次に、一方のポリエステルフィルムを剥がし、その剥がした面に離型剤Xを約10g/m^(2)塗布し、その後90℃3分間乾燥させて、膨張性接着剤層上に離型剤層を形成した。続いて、もう一方のポリエステルフィルムを剥がしながら巻いて、実施例1?10、参考例1?3及び比較例1?2の接着シートを得た。
【0092】
<実施例11>
片面シリコーン重剥離・離型処理ポリエステルフィルム38μmに、膨張性接着剤(配合8)を乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布し、その後90℃5分間乾燥させることにより溶媒を除去し、膨張性接着剤層を形成した。この膨張性接着剤層の表面に、片面シリコーン軽剥離・離型処理ポリエステルフィルム38μmを貼り合せて巻き取ることにより、実施例11の接着シートを得た。この接着シートは、使用の際は両面の離型処理ポリエステルフィルムを剥離し、膨張性接着剤層のみからなるベースレスタイプの接着シートとして使用するものである。
【0093】
以上の実施例1?11、参考例1?3及び比較例1?2の接着シートについて、以下の方法に従い評価を行った。結果を表3?5に示す。
【0094】
[接着シートの厚さ]
発泡前の接着シートの厚さは、JIS Z 0237「粘着テープ・粘着シート試験方法」に準じて、シックネスゲージによる試験方法により測定した。発泡後の接着シートの厚さは、発泡前の接着シートを50×50mmのサイズに切り出し、熱風乾燥機に縦方向に吊して、170℃、10分の条件で発泡硬化させ、室温で2時間冷却し、その後上記と同じ方法で測定した。
【0095】
[引張強さ]
JIS C 2107「電気絶縁用粘着テープ試験方法」に準じて、発泡後の接着シートの引張強さ(N/10mm)を測定した。なお、接着シートの発泡方法は、上記の接着シートの厚さの項目に記載した方法と同じである(以下同様)。
【0096】
[伸び]
JIS C 2107「電気絶縁用粘着テープ試験方法」に準じて、発泡後の接着シートの伸び(%)を測定した。
【0097】
[絶縁破壊電圧]
JIS C 2107「電気絶縁用粘着テープ試験方法」に準じて、発泡後の接着シートの絶縁破壊電圧(kV)を測定した。
【0098】
[剪断接着力(室温(23℃)、200℃加熱)]
JIS Z 1541「超強力両面粘着テープ」に記載の引張剪断接着力試験方法に準じて、以下に示したような発泡後の接着シートの剪断接着力を測定した。被着体としてはSPCC板(日新製鋼社製、商品名SPCC-SB NCB、1.0mm厚、12×100mm)を用いた。試料貼り付け面積は10×10mm、発泡硬化条件は170℃、10分、引張速度は200mm/分とした。まず図8(A)に示すように、発泡前の接着シート10をSPCC板11に載せ、さらに2つの金属隙間ゲージ12を介して別のSPCC板11を載せ、次いで図8(B)に示すように、接着シート10を発泡硬化させ、この発泡後の接着シート10に対して引張剪断接着力測定(室温(23℃)、200℃加熱)を行った。
【0099】
[熱伝導率]
京都電子工業社製の迅速熱伝導率計を用いて、薄膜測定モードにて発泡後の接着シートの熱伝導率を測定した。具体的には、アルミ板(厚さ10mm、250×350mm)の上に、熱伝導率が既知である3種類のリファレンスのブロックを載せて、その上に測定用試験片(45×100mm)を載せて、更にその上にヒータ線と熱電対が装備された熱伝導率測定用のセンサプローブ(商品名PD-11、40×97mm、820g)を載せ、測定を開始した。リファレンスのブロックとしては、発泡ポリエチレン(熱伝導率0.0347W/mK)、シリコーンゴム(熱伝導率0.236W/mK)、石英ガラス(熱伝導率1.416)を用いた。
【0100】(削除)
【0101】(削除)
【0102】
[強さ(こわさ)]
発泡前の接着シートの強さ(こわさ)として、発泡接着シートを曲げる際の抵抗力を測定した。具体的には、JIS P 8125「紙及び板紙-こわさ試験方法-(テーバーこわさ試験方法)」に準じて試験を行い、次式によって曲げモーメントを算出した。
曲げモーメント(gf・cm)=(目盛の読み)×38.0(mm)÷(測定した試験片の幅:mm)
【0103】
[樹脂密着性]
下記形状保持性試験において、折り曲げ加工評価後の試験片を観察して、発泡接着剤層が部分的に耐熱基材から脱落しているかどうかを、目視にて観察した。
【0104】
[形状保持性]
図9に示すように、アルミL字型枠(板厚3mm)13に発泡前の試験片(接着シート14)を置き、ピザカッターのような形状の押付治具15を試験片14の上から45度の角度にて、コーナーに向かって押し付け回転させながら、図9(i)に示すように試験片14をL字型になるように折り曲げ加工を施した。折り曲げ加工後に試験片を取り出し、図9(ii)に示すような5秒後の試験片14の形状を分度器で測定した。次式によって計算を行い、以下の基準で形状保持性を評価した。
形状保持率(%)=90度÷(折り曲げ加工5秒後の角度)×100(%)
「◎」:形状保持率が80%以上、100%以下
「○」:形状保持率が65%以上、80%未満
「×」:形状保持率が65%未満
【0105】
[発泡後厚さの均一性]
前記の発泡後の接着シートの厚さ測定の試験片において、10点測定を行い、平均の厚さに対する最大又は最小の厚さを、以下の判定基準に従って評価した。
「◎」:平均の厚さに対する最大又は最小の厚さが5%以内である。
【0106】
[癒着性]
発泡硬化前の試料を、25×80mmの大きさで2枚切り出して、膨張接着剤層面の長さ方向の片側端部から15mmの位置まで、炭酸カルシウムの粉体を薄く擦り付けて、無粘着部を形成した(接着面積は25×65mm)。このあと、試料の離型剤層をその面に貼り合わせた試験片を、2枚のステンレス板にはさみ、1kgの荷重をかけて、40℃で336時間放置した後に取り出して、室温で2時間放冷後に試験片を分けるように剥がして、癒着の度合いを次の基準で評価した。
「◎」:接着面は両面とも光沢があり、全く融着していない。
【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
【表5】

【0110】
<評価>
表3に示す結果から明らかなように、実施例1?10の接着シートは全ての物性が優れていた。具体的には、初期において接着強度及び電気絶縁性に優れていた。また、適度なシート強さと折り曲げた後の形状保持性を有しており、作業性に優れていた。しかも、接着剤層の表面に離型剤を塗布することにより、必ずしも剥離紙を使用する必要のない構成が可能になった。また実施例11の接着シートも、初期において接着強度に優れていた。
【0111】
一方、比較例1及び2の接着シートは、膨張性接着剤層を形成する為の接着剤としてフェノール樹脂T1が含まれていない接着剤(配合3)を使用したので、剪断接着力が劣っていた。
【0112】
参考例1?3及び比較例1の接着シートは、強さ(こわさ)及び形状保持性が劣っていた。これは、薄い単層フィルムである基材K8?K10を使用したことに因るものと考えられる(なお、薄い単層フィルムである基材K8は実施例10においても用いたが、実施例10では膨張性接着剤層にグラスファイバーを含む接着剤(配合7)を用いたので強さ(こわさ)及び形状保持性に問題は生じなかった)。ただし参考例1?3の接着シートは、膨張性接着剤層を形成する為の接着剤としてフェノール樹脂T1が含まれている接着剤(配合2又は6)を使用したので、比較例1及び2よりも剪断接着力に優れていた。したがって、参考例1?3においても本発明の効果は発現していると言える。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の接着シートは、短時間発泡硬化にも拘わらず、柔軟性、電気絶縁性、耐熱性及び接着性に優れる。したがって、例えば、被接着部材間の接着及び絶縁の為に、膨張性接着剤層を発泡硬化させて被接着部材間の隙間を埋める用途に有用である。特にモーターのスロットの接着絶縁用に好適に用いられる。具体的には、モータージェネレーターにおけるステーターとコイルのような2つ部材間に使用し、加熱することにより発泡、膨張し、その隙間に充填され部材同士を接着することができる。
【符号の説明】
【0114】
1 基材
2 膨張性接着剤層
3 離型剤層
4 フィルム
5 貼り合わせ用接着剤層
6 不織布
7 紙
8 機能性接着剤層
9 剥離フィルム
10 接着シート
11 SPCC板
12 金属隙間ゲージ
13 アルミL字型枠
14 接着シート
15 押付治具
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
多官能エポキシ樹脂を含むエポキシ樹脂と、硬化剤としてのフェノール樹脂と、硬化触媒としてのイミダゾール系化合物と、感温性発泡剤とを含有してなる膨張性接着剤層を有し、少なくとも一つの該膨張性接着剤層の表面に離型剤が塗布された接着シート。
【請求項2】
感温性発泡剤が熱膨張性マイクロカプセルを含み、該熱膨張性マイクロカプセルの発泡温度がエポキシ樹脂の軟化点以上、且つエポキシ樹脂の硬化反応の活性化温度以下である請求項1記載の接着シート。
【請求項3】
膨張性接着剤層中のエポキシ樹脂のエポキシ当量数に対する硬化剤としてのフェノール樹脂の水酸基当量数の比率が0.5?2.0である請求項1記載の接着シート。
【請求項4】
イミダゾール系化合物の含有量が、膨張性接着剤層中の樹脂成分100質量部に対し0.1?1.0質量部である請求項1記載の接着シート。
【請求項5】
感温性発泡剤の含有量が、膨張性接着剤層中の樹脂成分100質量部に対し0.5?20質量部である請求項1記載の接着シート。
【請求項6】
膨張性接着剤層が、ウレタン樹脂をさらに含む請求項1記載の接着シート。
【請求項7】
基材の片面又は両面に膨張性接着剤層を有する請求項1記載の接着シート。
【請求項8】
基材が、貼り合わせ用接着剤によって、樹脂フィルムと不織布、又は樹脂フィルムと紙、又は樹脂フィルムと樹脂フィルムを貼り合わせた積層構造を有する積層体からなる請求項7記載の接着シート。
【請求項9】
膨張性接着剤層又は貼り合わせ用接着剤が、耐熱性フィラーを含む請求項8記載の接着シート。
【請求項10】
膨張性接着剤層又は貼り合わせ用接着剤が、繊維状フィラーを含む請求項8記載の接着シート。
【請求項11】
基材が、樹脂フィルム、不織布及び紙からなる群より選ばれる部材の片面又は両面に機能性接着剤層を有する積層体からなる請求項7記載の接着シート。
【請求項12】
膨張性接着剤層又は機能性接着剤層が、耐熱性フィラーを含む請求項11記載の接着シート。
【請求項13】
膨張性接着剤層又は機能性接着剤層が、繊維状フィラーを含む請求項11記載の接着シート。
【請求項14】
繊維状フィラーがグラスファイバーであり、該グラスファイバーの平均繊維径が1?20μm、平均繊維長が10?200μmである請求項10又は13記載の接着シート。
【請求項15】
不織布が、アラミド繊維不織布、ガラス繊維不織布、ポリフェニレンスルフィド繊維不織布、耐熱ナイロン繊維不織布及び耐熱ポリエステル繊維不織布からなる群より選ばれる一種以上の不織布である請求項8記載の接着シート。
【請求項16】
紙が、全芳香族ポリアミドポリマーからなる高耐熱性紙である請求項8記載の接着シート。
【請求項17】
基材の両面に膨張性接着剤層を有し、少なくとも一つの該膨張性接着剤層の表面に離型剤が塗布された請求項1記載の接着シート。
【請求項18】
離型剤が、長鎖アルキル系化合物である請求項1記載の接着シート。
【請求項19】
膨張性接着剤層の発泡硬化後の接着シートのJIS Z 1541に準じた剪断接着力が、室温(23℃)時で200N/cm^(2)以上、200℃加熱時で50N/cm^(2)以上である請求項1記載の接着シート。
【請求項20】(削除)
【請求項21】
膨張性接着剤層の発泡硬化後の接着シートのJIS C 2107に準じた絶縁破壊電圧が10kV以上、熱伝導率が0.1W/mK以上である請求項1記載の接着シート。
【請求項22】
膨張性接着剤層の発泡硬化前の接着シートのJIS P 8125に準じた曲げモーメントが40?600gf・cmである請求項1記載の接着シート。
【請求項23】
膨張性接着剤層の発泡硬化前の接着シートの以下の方法で測定される形状保持率が70%以上である請求項1記載の接着シート。
(形状保持率)
アルミL字型枠に膨張性接着剤層が発泡硬化前の接着シートを置き、押付治具を接着シートの上から45度の角度にてコーナーに向かって押し付け、L字型になるように曲げ加工を施し、試験片を取り出し、5秒後の試験片の折り曲げ部分の角度を測定し、次式によって計算を行う。
形状保持率(%)=90度÷(折り曲げ加工5秒後の角度)×100(%)
【請求項24】
膨張性接着剤層が発泡硬化する前の接着シートの厚さが250μm以下である請求項1記載の接着シート。
【請求項25】
被接着部材間の接着及び絶縁の為に、膨張性接着剤層を発泡硬化させて該被接着部材間の隙間を埋める用途に用いられる請求項1記載の接着シート。
【請求項26】
モーターのスロットの接着絶縁用に用いられる請求項25記載の接着シート。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-03-27 
結審通知日 2018-03-29 
審決日 2018-04-10 
出願番号 特願2017-511090(P2017-511090)
審決分類 P 1 41・ 853- Y (C09J)
P 1 41・ 851- Y (C09J)
最終処分 成立  
前審関与審査官 澤村 茂実  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 阪▲崎▼ 裕美
佐々木 秀次
登録日 2017-10-06 
登録番号 特許第6220100号(P6220100)
発明の名称 接着シート  
代理人 石橋 政幸  
代理人 三原 史子  
代理人 石橋 政幸  
代理人 三原 史子  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ