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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1340476
審判番号 不服2017-14168  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-25 
確定日 2018-06-05 
事件の表示 特願2015-210055「表示データ作成方法、制御プログラム及びコンピュータ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月 7日出願公開、特開2016- 48564、請求項の数(12)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年1月31日に出願された特願2014-17876号の一部を平成27年4月15日に新たな特許出願とした特願2015-83712号の一部を平成27年8月28日に新たな特許出願とした特願2015-168760号の一部を平成27年10月26日に新たな特許出願(特願2015-210055号)としたものであって、平成29年6月23日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年9月25日に審判の請求がされると同時に手続補正がされ、平成29年10月11日に前置報告がされ、平成29年11月28日に審判請求人から前置報告に対する上申がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年6月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。
本願請求項1-12に係る発明は、以下の引用文献1-3に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2001-265481号公報
2.特開2012-168790号公報
3.特開2002-197088号公報

第3 本願発明
本願請求項1-12に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明12」という。)は、平成29年9月25日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-12に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
出力部を備えるコンピュータにおける表示データ作成方法であって、
各ページに所定の項目情報が含まれる複数のページの各識別番号を表示するための番号表示データを作成して前記出力部に出力させ、
ユーザにより前記各識別番号が表示された表示領域内で指示又は指定された2点に基づく特定のページ数分のページ情報を取得し、
前記特定のページ数分のページ情報に対応するページに含まれる全ての項目情報を、スクロール表示するためのユーザ操作に応じて、ユーザにより閲覧可能に表示するための項目表示データを作成して前記出力部に出力させる、
ことを含むことを特徴とする表示データ作成方法。」

本願発明2-10は、概略、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明11-12は、本願発明1に対応する、カテゴリ表現が異なる「制御プログラム」、「コンピュータ」の発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は当審付与。以下同様。)。

(1) 段落【0015】
「【0015】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明では、書籍、新聞、雑誌等をメタファとするユーザ・インタフェースを採用する。この本のメタファを実現するために、電子情報を大きさの定まったページを単位として閲覧するようにする。すなわち、表示部の情報閲覧領域へ大きさの定まったページを単位とした電子情報を表示する。そして、情報閲覧領域が1つしかなく、現実の書籍のように物理的に捲ることはできないが、この捲るという作業を隠喩するインタフェースを実現することで、情報閲覧領域を有効利用する。本発明では、詳細を後述するように、ページを捲る作業を隠喩するユーザインタフェースに新規な特徴を有する。」

(2) 段落【0019】
「【0019】
【第1実施形態】第1実施形態では、直感的操作を可能とすることで、電子情報に対するアクセスを容易とするために、タッチパネル等の操作部上への操作に応じてページ捲り処理を行う。このとき、操作された方向に応じてページ捲りを行う方向を定める。図1は、第1の実施形態によるページ情報表示方法の一例を示すフローチャートである。本実施形態によるページ情報表示方法は、予め定められた大きさのページを単位として複数のページ情報を有する電子情報を記憶した記憶部(電子情報メモリ)4と、この記憶部に格納された電子情報をページを単位として表示する表示部1と、この表示部と略同一領域に設けられページ情報の閲覧に関する操作が入力される操作部1Cとを備えた情報閲覧装置を使用して電子情報を表示する。表示部1としてタッチパネルを採用する例では、表示部1と操作部1Cとが一体化している。」

(3) 段落【0060】
「【0060】
【第4実施形態】第4実施形態では、タグとの関連で操作性を向上させつつ、操作内容と処理内容の関連の理解を容易にすることを目的として、操作状態の表示にタグを有効活用する。すなわち、第4実施形態では、総ページ数や現ページの位置を示すと共に、ページめくりの操作を直感的に行うための手法として、タグを用いる。図14乃至図28を用いてタグの表示手法を説明し、その後、複数ページ掴みとタグとの関係や、上述した第3実施形態についてタグを用いた場合についての拡張を説明する。」

(4) 段落【0111】-【0112】
「【0111】図27はセマンテック表示中にタグを押し広げる処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、まず、タグはセマンテック表示されている(ステップS81)。そして、タグ表示領域の近くにてポインタイベントがあれば、例えば、選択表示しているタグ表示領域にポインタ2Aが近づいた場合、ポインタイベントが生じた座標近くに表示中のタグを特定する。図28に示す例では、例えば、符号2Aで示すポインタが線タグ表示されていたタグのうち第48ページを示すタグの線に近づいたと特定する。この場合、第48ページを示すタグ及びその前後3つ又は5つのタグの長さを現ページタグ長さ程度の長さに再設定し、表示する(ステップS84,タグ押し広げ工程)。このとき、第48ページのページ情報をキャッシュメモリ等へ格納するようにしても良い。
【0112】そして、タグ操作が無ければ(ステップS8
5)、一定時間経過後にタグの表示を元通りとする(ステップS87)。一方、押し広げ表示したタグに対する操作があれば、ページ捲り等の処理を行う(ステップS86)。この図27に示す処理を実行するためのプログラムは、タグ表示領域に表示されたタグとポインタの座標又は圧力との関係に基づいて当該表示されたタグの長さを再設定するタグ押し広げ指令と、ポインタの座標又は圧力が定常状態に戻った時から一定期間経過後に再設定したタグの長さを元の長さに戻すタグ長さ復帰指令とを備えると良い。」

(5) 段落【0119】-【0124】
「【0119】また、情報閲覧領域での掴み操作のみならず、タグ上にて掴み操作を行うようにしても良い。図31はタグ上で掴み操作を行う一例を示す説明図であり、図31に示すように、押し広げを行ったタグ76上に所定圧力を加えることで、複数ページ掴みを実現する。

・・・(中略)・・・

【0124】そして、このページ捲り処理工程では、まず、ページ捲り処理を開始する(ステップA46)。続いて、掴み対象ページタグの表示制御を行う(ステップA47)。この掴み対象ページタグの表示制御工程は、捲り処理対象となる現ページ及び掴み操作で掴まれた掴み対象ページに付されていたタグを、前ページタグ表示形式特定工程A42又は後ページタグ表示形式特定工程A43にて特定されるのうちページ捲り処理の方向に応じた表示形式にて、現ページの捲り処理による現ページの変形又は移動に追従して情報閲覧領域内に表示させる。続いて、ページ捲り処理を行い(ステップA48)、さらに、ページ捲り処理の完了まで掴み対象ページタグの表示制御工程A47を繰り返す(ステップA49)。」

(6) 段落【0205】-【0207】
「【0205】ここで述べる従来のグラフィカルユーザインタフェースに特有の操作方法とは、マウスで操作する入力カーソルによって、コンピュータの出力装置の上に抽象化して表示した仮想的な入力装置を操作する操作方法である。仮想的な入力装置とは、例えば、図66に示すようなコンピュータの出力装置に表示したスクロールバー303や、ポップアップメニュー304や、サムネイル表示によるページ301,302等を意味する。
【0206】そして、図66に示すように、ディスプレイの大きさと電子情報の大きさによっては、電子情報1ページ分のみの表示とならず、次ページも同一画面に表示されてしまう。これをスクロールバー303で移動させるか、またはサムネイルを使用してページの移動を行うが、スクロールバーというのは実際の書籍の閲覧では使用することのない人工的なものであるため、方向や大きさ等について適切な操作を行えるようになるまで、習熟が必要である。
【0207】これに対し、本発明では、タグを利用する。情報が表示されたすぐ横にタグが付されていると、利用者の多くは、書籍に付したレッテルを想起する。このため、ページを移動したい場合にタグを使用する点がなんら教授を必要とすることなくユーザに伝達されることが十分に期待できる。さらに、スクロールバーの状態によっては、ページ情報の総量を直感的に知ることができない。一方、上述した実施例では、全ページについてタグを付するため、ページ情報の総量が見た目ですぐ認知可能である。そして、現ページを中心にタグを左右に配置する例では、総ページに対する現ページの位置が図66等に示す従来例と比較して極めて判りやすくなる。」

したがって、関連図面に照らし、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「書籍、新聞、雑誌等をメタファとするユーザ・インタフェースを採用し、本のメタファを実現するために、電子情報を大きさの定まったページを単位として閲覧するようにし、すなわち、表示部の情報閲覧領域へ大きさの定まったページを単位とした電子情報を表示し、
記憶部に格納された電子情報をページを単位として表示する表示部1を備えた情報閲覧装置において、
タグとの関連で操作性を向上させつつ、操作内容と処理内容の関連の理解を容易にすることを目的として、総ページ数や現ページの位置を示すと共に、ページめくりの操作を直感的に行うための手法として、タグを用い、
タグを押し広げる処理では、選択表示しているタグ表示領域にポインタ2Aが近づいた場合、ポインタイベントが生じた座標近くに表示中のタグを特定し、例えば、符号2Aで示すポインタが線タグ表示されていたタグのうち第48ページを示すタグの線に近づいたと特定し、この場合、第48ページを示すタグ及びその前後3つ又は5つのタグの長さを現ページタグ長さ程度の長さに再設定し、表示し、
押し広げ表示したタグに対する操作があれば、ページ捲り等の処理を行い、
タグ上にて掴み操作を行うようにし、押し広げを行ったタグ76上に所定圧力を加えることで、複数ページ掴みを実現し、
ページ捲り処理工程では、まず、ページ捲り処理を開始し(ステップA46)、続いて、掴み対象ページタグの表示制御を行い(ステップA47)、続いて、ページ捲り処理を行い(ステップA48)、さらに、ページ捲り処理の完了まで掴み対象ページタグの表示制御工程A47を繰り返す(ステップA49)、
方法。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、【図15】とともに、段落【0091】-【0092】に、以下の記載がある。
「【0091】
(5-2)サムネイル画像のスクロール
PDF文書のページ数が多い場合は、一部のサムネイル画像21だけがサムネイル表示領域50に表示される。ユーザはサムネイル画像21を横にスクロールさせることにより、全てのサムネイル画像21を画面40に表示させることができる。
【0092】
図15は、実施形態3に係るスクロール処理を説明するための模式図である。サムネイル画像21をスクロールさせる処理は実施形態1と同様であり、ユーザがスクロール操作を行うと、表示されている各サムネイル画像21に対応するページのページ番号31がサムネイル画像21の上に重ねて表示される。そして、サムネイル画像21がページ番号31とともに移動され、サムネイル画像21の移動が終了するとページ番号31が非表示にされる。」

したがって、上記引用文献2には、PDF文書のページ数が多い場合は、ユーザはサムネイル画像21を横にスクロールさせることができ、ユーザがスクロール操作を行うと、ページ番号31がサムネイル画像21の上に重ねて表示されるという技術的事項が記載されていると認められる。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、【図9】とともに、段落【0135】-【0137】に、以下の記載がある。
「【0135】図9及び図10は、LCD表示部6に表示される書籍データを示す。図9には、ページ91乃至ページ99の9ページ分の書籍データが示されている。これらの書籍データは自動表示処理においてLCD表示部6に表示される書籍データを時系列的に並べたものである。

・・・(中略)・・・

【0137】さて、制御部2は、一旦自動表示処理を開始すると、表示速度データ81が表す速度でLCD表示部6に表示するページをページ91,ページ92,ページ93…の順で自動的に遷移させる。


したがって、上記引用文献3には、複数ページ分の書籍データを、LCD表示部6に表示するために、自動表示処理を開始すると、表示速度データ81が表す速度でLCD表示部6に表示するページをページ91,ページ92,ページ93…の順で自動的に遷移させるという技術的事項が記載されていると認められる。

4.その他の文献について
また、前置報告書において周知技術を示す文献として引用された引用文献4(特開2011-53971号公報)には、【図6】とともに、段落【0043】に、以下の記載がある。
「【0043】
図6に示すように、本実施形態では、例えば、表示装置101などに表示される文書が複数ページから構成される場合に、ページ内でのスクロール(以下、「ページ内スクロール」とも言う)とページ間でのスクロール(以下、「ページ間スクロール」とも言う)とを操作体210による異なる操作によって可能とする。例えば、操作体210による接触操作によってページ内スクロールを可能とし、操作体210による近接操作によってページ間スクロールを可能とする。ページ内スクロールは、図6においては、ページPA20内でのスクロールとして示されており、ページ間スクロールは、図6においては、ページPA20?ページPA30間でのスクロールとして示されている。図5を参照して説明したように、圧力センサ105には、ユーザが近接操作を行った場合には押圧反応が現れないが、ユーザが接触操作を行った場合には押圧反応が現れる。この現象を利用して、例えば、情報処理装置100は、圧力センサ105に押圧反応が現れた場合にはページ内スクロールを行い、タッチパネル102による操作体210の検出があり、かつ、圧力センサ105に押圧反応が現れない場合にはページ間スクロールを行う。」

したがって、上記引用文献4には、表示装置101などに表示される文書が複数ページから構成される場合に、圧力センサ105に押圧反応が現れた場合にはページ内スクロールを行い、タッチパネル102による操作体210の検出があり、かつ、圧力センサ105に押圧反応が現れない場合にはページ間スクロールを行うという技術的事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1.本願発明1について
(1) 対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「表示部1を備えた情報閲覧装置」は、本願発明1の「出力部を備えるコンピュータ」に相当する。
よって、引用発明の「記憶部に格納された電子情報をページを単位として表示する表示部1を備えた情報閲覧装置において」、「押し広げ表示したタグに対する操作があれば、ページ捲り等の処理を行」うことは、本願発明1の「出力部を備えるコンピュータにおける表示データ作成方法」に相当する。

イ 引用発明の「タグ」は、本願発明1の「番号表示データ」に相当する。
また、引用発明の情報閲覧装置において、「表示部の情報閲覧領域へ大きさの定まったページを単位とした電子情報を表示」する場合、各ページには、何らかの「所定の項目情報」が含まれていることは明らかである。
よって、引用発明の「書籍、新聞、雑誌等をメタファとするユーザ・インタフェースを採用し、本のメタファを実現するために、電子情報を大きさの定まったページを単位として閲覧するようにし、すなわち、表示部の情報閲覧領域へ大きさの定まったページを単位とした電子情報を表示し」、「タグとの関連で操作性を向上させつつ、操作内容と処理内容の関連の理解を容易にすることを目的として、総ページ数や現ページの位置を示すと共に、ページめくりの操作を直感的に行うための手法として、タグを用い」ていることは、本願発明1の「各ページに所定の項目情報が含まれる複数のページの各識別番号を表示するための番号表示データを作成して前記出力部に出力させ」ることに相当する。

ウ 引用発明において、複数ページを「ページ捲り」するために、「タグ上にて掴み操作を行うようにし、押し広げを行ったタグ76上に所定圧力を加えることで、複数ページ掴みを実現し」ていることは、要するに、「現ページの位置」から「押し広げを行ったタグ76」のページまでを、ユーザが「ページ捲り」の範囲として指定するものであるから、本願発明1の「ユーザにより前記各識別番号が表示された表示領域内で指示又は指定された2点に基づく特定のページ数分のページ情報を取得し」ていることと、「ユーザにより前記各識別番号が表示された表示領域内で指示又は指定された点に基づく特定のページ数分のページ情報を取得し」ている点で共通するといえる。

エ 引用発明の「ページ捲り処理工程では、まず、ページ捲り処理を開始し(ステップA46)、続いて、掴み対象ページタグの表示制御を行い(ステップA47)、続いて、ページ捲り処理を行い(ステップA48)、さらに、ページ捲り処理の完了まで掴み対象ページタグの表示制御工程A47を繰り返す(ステップA49)」ことは、本願発明1の「前記特定のページ数分のページ情報に対応するページに含まれる全ての項目情報を、スクロール表示するためのユーザ操作に応じて、ユーザにより閲覧可能に表示するための項目表示データを作成して前記出力部に出力させる」ことと、「前記特定のページ数分のページ情報に対応するページに含まれる項目情報を、前記出力部に出力させる」点で共通するといえる。

したがって、本願発明1と、引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

[一致点]
「出力部を備えるコンピュータにおける表示データ作成方法であって、
各ページに所定の項目情報が含まれる複数のページの各識別番号を表示するための番号表示データを作成して前記出力部に出力させ、
ユーザにより前記各識別番号が表示された表示領域内で指示又は指定された点に基づく特定のページ数分のページ情報を取得し、
前記特定のページ数分のページ情報に対応するページに含まれる項目情報を、前記出力部に出力させる、
ことを含むことを特徴とする表示データ作成方法。」

[相違点1]
本願発明1では、ユーザにより指示又は指定された「2点」に基づいて、複数ページのページ情報を取得するのに対して、引用発明では、「押し広げを行ったタグ76」によって特定のページのみを指定するものであって、「2点」を指示又は指定していない点。

[相違点2]
本願発明1では、複数ページに含まれる「全ての」項目情報を、「スクロール表示するためのユーザ操作に応じて、ユーザにより閲覧可能に表示するための項目表示データを作成して」出力しているのに対して、引用発明では、「大きさの定まったページを単位として」複数ページの「ページ捲り」をするものであって、複数ページに含まれる「全ての」項目情報から、「スクロール表示するためのユーザ操作に応じて、ユーザにより閲覧可能に表示するための項目表示データを作成して」出力するものではない点。

(2) 相違点についての判断
事案に鑑みて、上記[相違点2]について、先に検討すると、本願発明1の[相違点2]に係る、複数ページをめくる際に、複数ページに含まれる「全ての」項目情報から、「スクロール表示するためのユーザ操作に応じて、ユーザにより閲覧可能に表示するための項目表示データを作成して」出力するという構成は、上記引用文献1-4には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。

なお、引用発明が「本のメタファを実現するために、電子情報を大きさの定まったページを単位として閲覧するようにし」ているのは、従来の「スクロールバー」によるページ移動操作は、「実際の書籍の閲覧では使用することのない人工的なものであるため、方向や大きさ等について適切な操作を行えるようになるまで、習熟が必要であ」ったために、スクロールバーに替えてタグを採用することで、ページを移動する操作が「なんら教授を必要とすることなくユーザに伝達される」ためである(上記第4 1.(6)、段落【0205】-【0207】の摘記箇所を参照。)。そうすると、タグを利用する引用発明に対して、「スクロールバー」やスクロール操作を付加するべき起因や動機付けは見出し難い。

したがって、上記[相違点1]について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

2.本願発明2-12について
本願発明2-10は、概略、本願発明1を減縮した発明であり、本願発明11-12は、本願発明1に対応する、カテゴリ表現が異なる「制御プログラム」、「コンピュータ」の発明であって、本願発明1の上記[相違点2]の複数ページをめくる際に、複数ページに含まれる「全ての」項目情報から、「スクロール表示するためのユーザ操作に応じて、ユーザにより閲覧可能に表示するための項目表示データを作成して」出力するという構成と実質的に同一の構成を備えるものである。
よって、本願発明1と同じ理由により、本願発明2-12も、当業者であっても、引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項及び周知技術に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
本願発明1-12は、複数ページをめくる際に、複数ページに含まれる「全ての」項目情報から、「スクロール表示するためのユーザ操作に応じて、ユーザにより閲覧可能に表示するための項目表示データを作成して」出力するという事項を有しており、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-3に基づいて、容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-05-21 
出願番号 特願2015-210055(P2015-210055)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 間野 裕一  
特許庁審判長 安久 司郎
特許庁審判官 松田 岳士
稲葉 和生
発明の名称 表示データ作成方法、制御プログラム及びコンピュータ  
代理人 三浦 剛  
代理人 三橋 真二  
代理人 南山 知広  
代理人 青木 篤  
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