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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G01N |
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管理番号 | 1340505 |
審判番号 | 不服2016-17623 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2016-11-25 |
確定日 | 2018-05-16 |
事件の表示 | 特願2014-255510「試料収集容器アセンブリ」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 4月30日出願公開、特開2015- 83985〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、2011年(平成23年)11月15日(パリ条約による優先権主張 2010年12月3日 米国、2011年11月14日 米国)を国際出願日として出願した特願2013-542025号の一部を、平成26年12月17日に新たに出願したものであって、平成27年11月17日付けで拒絶理由が通知され、平成28年2月17日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年7月25日付けで拒絶査定されたところ、同年11月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされ、同時に手続補正(以下、「本件補正」という。)がなされたものである。 第2 本件補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 本件補正を却下する。 [理由] 1 補正後の請求項1に係る発明(下線は補正箇所を示す。) 本件補正により、補正前の特許請求の範囲の請求項1は、 「【請求項1】 試料収集容器であって、該容器は、 閉鎖底端、頂端、および、それらの間に延び、内側チューブ内部を画定する側壁を有する内側チューブであって、上記内側チューブは、上記頂端に近接する少なくとも一つのじょうご状部を含み、上記じょうご状部は、上記じょうご状部の下方に、および、上記内側チューブ内部に試料を向けるように構成された湾曲部を有する少なくとも一つの導入表面を含み、上記側壁は、上記少なくとも一つのじょうご状部に近接して環状リングを含む、上記内側チューブ、および、 底端、上方端を含む頂端、および、それらの間に延びる側壁を含む外側チューブであって、上記内側チューブは、少なくとも部分的に上記外側チューブ内に配置され、上記少なくとも一つのじょうご状部は、上記内側チューブの上記側壁の上記環状リングによって、上記外側チューブの頂端の上記上方端に着座する、上記外側チューブ、を含むことを特徴とする試料収集容器。」 と補正された。 本件補正は、補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「内側チューブ内部を画定する側壁」について、「上記側壁は、上記少なくとも一つのじょうご状部に近接して環状リングを含む」との構成を付加して、「内側チューブ内部を画定する側壁」を限定し、 「上記少なくとも一つのじょうご状部は、上記外側チューブの頂端の上記上方端に着座する」を「上記少なくとも一つのじょうご状部は、上記内側チューブの上記側壁の上記環状リングによって、上記外側チューブの頂端の上記上方端に着座する」と、じょうご状部が、上記外側チューブの頂端の上記上方端に着座する態様を限定したものである。 したがって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そこで、本件補正後の前記請求項1に係る発明(以下「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。 2 引用刊行物及びその記載事項 (1)本願の最先の優先権主張日前に頒布され、原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特表2000-506419号公報(以下、「引用文献」という。)には、「採血のための試料容器」について図面とともに次の事項が記載されている。なお、以下の摘記において、(2)の引用発明の認定に関連する箇所に下線を付与した。 (1-ア) 「【特許請求の範囲】 1.極少量の血液を採取するための試料容器において、外側の容器(2)とその中に挿入可能な内側の容器(3)とを備えており、内側容器が下側で閉鎖されており、かつ上方の採取側に、開いていて栓(4)で閉鎖可能な、元の位置で外側容器(2)から突出する、きわめて薄肉の採血リング(7)を有する構成を持ち、外側容器(2)が内側容器(3)を採血リング(7)の下方で支持し、かつ遠心分離機内での受容に適するカラー(5)を有していることを特徴とする、採血のための試料容器。」(2頁1行?8行) (1-イ) 「採血のための試料容器 本発明は、例えば患者の指先または耳たぶからきわめて少量の採血を行うための試料容器に関し、静脈血液からの採取は省略される。」(3頁2行?4行) (1-ウ) 「図1に示された試料容器1は管形の外側容器2と内側容器3と栓4とを備える。外側容器2はカラー5を有し、このカラーに、図2に示された組み込み位置でプレス嵌めでもって外側容器2内へ挿入された内側容器3が支持される。下側で閉鎖された内側容器3は図示の構成では円錐形の容器区分6を持ち、この容器区分は、特に僅かな充填容量に設計された内側容器でもなおかつ遠心分離後に高い血清または血漿のレベルを 保証し、このことは所望の液体量を良好、かつ簡単にピペット採取することを許す。 内側容器3はきわめて薄い肉厚の採血リングの形状の先端部を持つ構成になっており、採血リングは内側容器3内へキャッチされる血液のランダム採取を許し、したがって試料容器1は採血リング7の任意の箇所でもって当てることができる;したがって出血した血液をすくうことによって簡単な周部での採血が可能である。」(6頁14行?26行) (1-エ)図1及び図2(1)として、以下の図面が記載されている。 図1 図2(1) (2)引用発明について ア 上記(1-ア)及び(1-ウ)の記載を踏まえると、上記図1及び図2(1)より以下の事項が見て取れる。 (ア)内側容器(3)には、下側で閉鎖された閉鎖底端、上方の採取側の頂端、および、それらの間に延び、内側容器(3)の内部を画定する側壁があり、そして、その側壁に、採血リング(7)に接して、環状のリング部材がある。 (イ)外側容器(2)には、底端、上方端を含む頂端、および、それらの間に延びる側壁がある。 (ウ)採血リング(7)は、内側容器(3)の円錐形の容器区分(6)の内部より直径が大きく、上記環状のリング部材を介して、外側容器(2)の頂端にあるカラー(5)の上方端に着座している。 イ 引用発明 上記摘記事項及び上記アを踏まえれば、上記引用文献には、以下の発明が記載されていると認められる。 「極少量の血液を採取するための試料容器において、外側容器(2)とその中に挿入可能な内側容器(3)とを備えており、 内側容器(3)は、下側で閉鎖された閉鎖底端、上方の採取側の頂端、および、それらの間に延び、内側容器(3)の内部を画定する側壁があり、上方の採取側に、開いていて栓(4)で閉鎖可能な、元の位置で外側容器(2)から突出する、きわめて薄肉の採血リング(7)を有する構成を持ち、そして、側壁に、採血リング(7)に接して、環状のリング部材があり、 外側容器(2)は、底端、上方端を含む頂端、および、それらの間に延びる側壁があり、内側容器(3)を採血リング(7)の下方で支持し、かつ遠心分離機内での受容に適するカラー(5)を有しており、 採血リング(7)は、内側容器(3)の円錐形の容器区分(6)の内部より直径が大きく、内側容器(3)内へキャッチされる血液のランダム採取を許し、上記環状のリング部材を介して、外側容器(2)の頂端にあるカラー(5)の上方端に着座している、 採血のための試料容器。」(以下、「引用発明」という。) 3 対比・判断 (1)対比 補正発明と引用発明とを対比する。 ア 試料収集容器について 引用発明の「外側容器(2)とその中に挿入可能な内側容器(3)とを備えた」「極少量の血液を採取するための試料容器」は、補正発明の「内側チューブ、および」「外側チューブ、を含む」「試料収集容器」に相当する。 イ 内側チューブについて (ア)引用発明の「採血リング(7)」は、「内側容器(3)内へキャッチされる血液のランダム採取」するものであるから、採血リング(7)の上端には、採血リング(7)の下方および内側容器(3)内部に血液を向けるように構成された少なくとも一つの導入表面があるといえ、そして、「内側容器(3)の円錐形の容器区分(6)の内部より直径が大きい」ことからも、いわゆるじょうごの機能があるものといえる。 してみれば、引用発明の「内側容器(3)の円錐形の容器区分(6)の内部より直径が大きく、内側容器(3)内へキャッチされる血液のランダム採取を許」す「採血リング(7)」と、補正発明の「下方に、および、上記内側チューブ内部に試料を向けるように構成された湾曲部を有する少なくとも一つの導入表面を含」む「じょうご状部」とは、「下方に、および、上記内側チューブ内部に試料を向けるように構成された少なくとも一つの導入表面を含」む「じょうご状部」の点で共通する。 (イ)上記(ア)を踏まえると、引用発明の「下側で閉鎖された閉鎖底端、上方の採取側の頂端、および、それらの間に延び、内側容器(3)の内部を画定する側壁があり」、「上方の採取側に」「採血リング(7)を有する構成を持ち、そして、側壁に、採血リング(7)に接して、環状のリング部材があ」る「内側容器(3)」は、補正発明の「閉鎖底端、頂端、および、それらの間に延び、内側チューブ内部を画定する側壁を有」し、「上記頂端に近接する少なくとも一つのじょうご状部を含み、上記じょうご状部は、上記じょうご状部の下方に、および、上記内側チューブ内部に試料を向けるように構成された少なくとも一つの導入表面を含み、上記側壁は、上記少なくとも一つのじょうご状部に近接して環状リングを含む」「内側チューブ」に相当する。 ウ 外側チューブについて 引用発明の「底端、上方端を含む頂端、および、それらの間に延びる側壁があり」、「その中に」「内側容器(3)」が「挿入可能」であり、「採血リング(7)」が「上記環状のリング部材を介して」「頂端にあるカラーに着座している」「外側容器(2)」は、補正発明の「底端、上方端を含む頂端、および、それらの間に延びる側壁を含」み、「少なくとも部分的に」「内側チューブ」がその「内に配置され」、「少なくとも一つのじょうご状部は、上記内側チューブの上記側壁の上記環状リングによって、上記外側チューブの頂端の上記上方端に着座する」「外側チューブ」に相当する。 そうすると、両者は、 (一致点) 「試料収集容器であって、該容器は、 閉鎖底端、頂端、および、それらの間に延び、内側チューブ内部を画定する側壁を有する内側チューブであって、上記内側チューブは、上記頂端に近接する少なくとも一つのじょうご状部を含み、上記じょうご状部は、上記じょうご状部の下方に、および、上記内側チューブ内部に試料を向けるように構成された少なくとも一つの導入表面を含み、上記側壁は、上記少なくとも一つのじょうご状部に近接して環状リングを含む、上記内側チューブ、および、 底端、上方端を含む頂端、および、それらの間に延びる側壁を含む外側チューブであって、上記内側チューブは、少なくとも部分的に上記外側チューブ内に配置され、上記少なくとも一つのじょうご状部は、上記内側チューブの上記側壁の上記環状リングによって、上記外側チューブの頂端の上記上方端に着座する、上記外側チューブ、を含む試料収集容器。」 である点で一致し、以下の点で相違するといえる。 (相違点) じょうご状部の導入表面について、補正発明は、「湾曲部を有する」のに対して、引用発明は、そのような特定がされていない点。 (2)判断 ア 相違点についての検討 血液採取器具において、皮膚と接触する採取部の表面の形状を、血液を採取しやすいように湾曲部を有する形状とすることは最先の優先権主張日前に周知(例えば、原査定において提示された特開昭60-190861号公報の第3頁左上欄19行?右上欄3行、同じく原査定に提示された米国特許出願公開第2009/0308184号明細書の[0089]、[0091]、FIG.3等参照。)である。 そして、引用発明も、摘記(1-イ)に記載されているとおり、指先又は耳たぶから採血を行うものであるから、血液を採取しやすいように、引用発明の「採血リング(7)」の「血液のランダム採取を許」す面を湾曲部を有する形状とすることは当業者が容易になし得たことである。 イ そして、補正発明の作用効果は、引用文献の記載事項及び周知技術から当業者が予測し得る範囲内のものにすぎず、格別顕著なものともいえない。 ウ したがって、補正発明は、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 4 まとめ 以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により、却下すべきものである。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?15に係る発明は、平成28年2月17日付け手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?15に記載された事項により特定されたものであって、その請求項1に係る発明は、次のとおりであると認める。 「【請求項1】 試料収集容器であって、該容器は、 閉鎖底端、頂端、および、それらの間に延び、内側チューブ内部を画定する側壁を有する内側チューブであって、上記内側チューブは、上記頂端に近接する少なくとも一つのじょうご状部を含み、上記じょうご状部は、上記じょうご状部の下方に、および、上記内側チューブ内部に試料を向けるように構成された湾曲部を有する少なくとも一つの導入表面を含む、上記内側チューブ、および、 底端、上方端を含む頂端、および、それらの間に延びる側壁を含む外側チューブであって、上記内側チューブは、少なくとも部分的に上記外側チューブ内に配置され、上記少なくとも一つのじょうご状部は、上記外側チューブの頂端の上記上方端に着座する、上記外側チューブ、を含むことを特徴とする試料収集容器。」(以下、「本願発明」という。) 2 引用刊行物及びその記載事項 本願の最先の優先権主張日前に頒布された引用文献及びその記載事項は、上記「第2[理由] 2」に記載したとおりである。 3 当審の判断 補正発明は、本願発明を限定したものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含む補正発明が、上記「第2[理由] 3」において検討したとおり、引用発明及び周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 まとめ 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その他の請求項について言及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2017-12-07 |
結審通知日 | 2017-12-12 |
審決日 | 2017-12-27 |
出願番号 | 特願2014-255510(P2014-255510) |
審決分類 |
P
1
8・
575-
Z
(G01N)
P 1 8・ 121- Z (G01N) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 土岐 和雅 |
特許庁審判長 |
三崎 仁 |
特許庁審判官 |
信田 昌男 ▲高▼見 重雄 |
発明の名称 | 試料収集容器アセンブリ |
代理人 | 特許業務法人 谷・阿部特許事務所 |