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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1340569
審判番号 不服2017-11365  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-31 
確定日 2018-05-17 
事件の表示 特願2015-217801号「ぱちんこ遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年3月24日出願公開、特開2016-39965号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年9月27日に出願した特願2013-202088号の一部を平成26年10月16日に新たな特許出願(特願2014-212104号)とし、さらにその一部を平成27年11月5日に新たな特許出願としたものであって、平成28年9月26日付けの拒絶理由の通知に対し、同年12月2日に意見書が提出されるとともに手続補正がなされたが、平成29年4月26日付け(発送日:同年5月2日)で拒絶査定がなされ、これに対して同年7月31日に審判の請求がなされると同時に手続補正(以下「本件補正」という。)がなされたものである。

第2 本件補正についての補正の却下の決定
[補正の却下の決定の結論]
本件補正を却下する。

[理由]
1 本件補正について(補正の内容)
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含むものであり、本件補正前の平成28年12月2日にされた手続補正の特許請求の範囲の請求項1の記載と本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ以下のとおりである(下線部は補正箇所を示す。また、A?Uについては発明を分説するため当審で付与した。)。

(本件補正前)
「【請求項1】
遊技球が入球可能な始動口と、
識別情報を表示可能な識別情報表示部と、
演出を表示可能な演出表示部と、
遊技の進行を制御する主遊技部と、
演出の表示制御を司る副遊技部と
を備え、
主遊技部は、
始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段と、
乱数取得手段により乱数が取得された場合、当否判定許可条件を充足するまで当該取得された乱数を保留として一時記憶する乱数一時記憶手段と、
当否判定許可条件を充足した場合、前記乱数に基づき当否判定を実行する当否判定手段と、
前記当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段と、
識別情報表示内容決定手段による決定に基づき、識別情報表示部にて識別情報を変動表示した後、停止識別情報を停止表示するよう制御する識別情報表示制御手段と、
前記当否判定の結果が当選である場合、識別情報表示部にて停止識別情報が停止表示された後、遊技者にとって有利な特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
通常遊技状態と通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態とを有し、特定遊技状態である場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位とし、特定遊技状態となったときから起算して当該一単位が所定回数行われるまでは、通常遊技状態としないよう制御し得る遊技状態制御手段と、
副遊技部側で実行される演出表示に際して必要な遊技情報を副遊技部側へ送信する手段であって、当否判定許可条件を充足していない保留に関する情報を副遊技部側へ事前に送信し得る遊技情報送信手段と
を備え、
特定遊技状態における識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特定遊技状態にて第一変動パターンテーブルを参照する第一変動状態と、特定遊技状態にて第二変動パターンテーブルを参照する第二変動状態とを少なくとも有しており、
特別遊技の実行終了後での特定遊技状態における特定期間において第一変動状態とし得るとともに、当該特別遊技の実行終了から起算して前記一単位が前記所定回数未満となる特定回数行われた後は、第一変動状態から第二変動状態とするよう構成されており、
第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数よりも多い第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる一方、
第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数よりも多い第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる一方、
第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
前記一単位が第一の回数行われるまでは第一変動状態が設定され得るよう制御され、前記一単位が第二の回数行われるまでは第二変動状態が設定され得るよう制御され、且つ、当該第一の回数が当該第二の回数よりも多くなるよう構成されており、
副遊技部は、
主遊技部から送信された遊技情報を受信する遊技情報受信手段と、
遊技情報受信手段により或る保留に関する情報が受信された場合、当該或る保留の存在を示唆又は報知する先読み演出を実行し得るよう制御する先読み演出実行制御手段と
を備え、
第一変動状態にて或る保留が生起したにもかかわらず、第二変動状態にて当該或る保留に係る前記一単位の実行が予定されている場合には、当該或る保留に対応する先読み演出を第一変動状態にて実行しないよう構成されており、
第一変動状態である状況下にて実行可能な所定の演出は、通常遊技状態である状況下にも実行可能に構成されている
ことを特徴とするぱちんこ遊技機。」

(本件補正後)
「【請求項1】
A 遊技球が入球可能な始動口と、
B 識別情報を表示可能な識別情報表示部と、
C 演出を表示可能な演出表示部と、
D 遊技の進行を制御する主遊技部と、
E 演出の表示制御を司る副遊技部と
を備え、
F 主遊技部は、
F1 始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段と、
F2 乱数取得手段により乱数が取得された場合、当否判定許可条件を充足するまで当該取得された乱数を保留として一時記憶する乱数一時記憶手段と、
F3 当否判定許可条件を充足した場合、前記乱数に基づき当否判定を実行する当否判定手段と、
F4 前記当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段と、
F5 識別情報表示内容決定手段による決定に基づき、識別情報表示部にて識別情報を変動表示した後、停止識別情報を停止表示するよう制御する識別情報表示制御手段と、
F6 前記当否判定の結果が当選である場合、識別情報表示部にて停止識別情報が停止表示された後、遊技者にとって有利な特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
F7 通常遊技状態と通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態とを有し、特定遊技状態である場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位とし、特定遊技状態となったときから起算して当該一単位が所定回数行われるまでは、通常遊技状態としないよう制御し得る遊技状態制御手段と、
F8 副遊技部側で実行される演出表示に際して必要な遊技情報を副遊技部側へ送信する手段であって、当否判定許可条件を充足していない保留に関する情報を副遊技部側へ事前に送信し得る遊技情報送信手段と
を備え、
G 特定遊技状態における識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特定遊技状態にて第一変動パターンテーブルを参照する第一変動状態と、特定遊技状態にて第二変動パターンテーブルを参照する第二変動状態とを少なくとも有しており、
H 特別遊技の実行終了後での特定遊技状態における特定期間において第一変動状態とし得るとともに、当該特別遊技の実行終了から起算して前記一単位が前記所定回数未満となる特定回数行われた後は、第一変動状態から第二変動状態とするよう構成されており、
I 第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数よりも多い第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる一方、
J 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
K 第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数よりも多い第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる一方、
L 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
M 第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
N 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
O 前記一単位が第一の回数行われるまでは第一変動状態が設定され得るよう制御され、前記一単位が第二の回数行われるまでは第二変動状態が設定され得るよう制御され、且つ、当該第一の回数が当該第二の回数よりも多くなるよう構成されており、
P 副遊技部は、
P1 主遊技部から送信された遊技情報を受信する遊技情報受信手段と、
P2 遊技情報受信手段により或る保留に関する情報が受信された場合、当該或る保留の存在を示唆又は報知する先読み演出を実行し得るよう制御する先読み演出実行制御手段と
を備え、
Q 第二変動状態である場合においては、第二変動状態とは異なる或る変動状態へと第二変動状態から切り替え可能であり、当該或る変動状態となる直前の第二変動状態における前記一単位において、第二変動状態が終了して当該或る変動状態へ切り替わることを示唆する示唆演出を実行可能であり、
R 第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果に応じて前記示唆演出の一部又はすべてが相違するよう構成されているか、或いは、第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が当選である場合には前記示唆演出を実行しないよう構成されており、
S 第一変動状態にて或る保留が生起したにもかかわらず、第二変動状態にて当該或る保留に係る前記一単位の実行が予定されている場合には、当該或る保留に対応する先読み演出を第一変動状態にて実行しないよう構成されており、
T 第一変動状態である状況下にて実行可能な所定の演出は、通常遊技状態である状況下にも実行可能に構成されている
U ことを特徴とするぱちんこ遊技機。」

2 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「第二変動状態」に関して、「第二変動状態である場合においては、第二変動状態とは異なる或る変動状態へと第二変動状態から切り替え可能であり、当該或る変動状態となる直前の第二変動状態における前記一単位において、第二変動状態が終了して当該或る変動状態へ切り替わることを示唆する示唆演出を実行可能であり、第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果に応じて前記示唆演出の一部又はすべてが相違するよう構成されているか、或いは、第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が当選である場合には前記示唆演出を実行しないよう構成されて」いるという限定を付加するものである。
また、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明とは、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
そうすると、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は、明細書の段落【0112】及び【0375】等の記載に基づいており、新規事項を追加するものではない。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明は、前記1(本件補正後)に記載したとおりのものである。

(2)引用文献に記載された事項
ア 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2011-143008号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0018】
払出装置152の図中左側には、遊技全般の制御処理を行う主制御部300を構成する主基板156を収納する主基板ケース158、主制御部300が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第1副制御部400を構成する第1副基板160を収納する第1副基板ケース162、第1副制御部400が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第2副制御部500を構成する第2副基板164を収納する第2副基板ケース166、遊技球の払出に関する制御処理を行う払出制御部600を構成するとともに遊技店員の操作によってエラーを解除するエラー解除スイッチ168を備える払出基板170を収納する払出基板ケース172、遊技球の発射に関する制御処理を行う発射制御部630を構成する発射基板174を収納する発射基板ケース176、各種電気的遊技機器に電源を供給する電源制御部660を構成するとともに遊技店員の操作によって電源をオンオフする電源スイッチ178と電源投入時に操作されることによってRWMクリア信号を主制御部300に出力するRWMクリアスイッチ180とを備える電源基板182を収納する電源基板ケース184、および払出制御部600とカードユニットとの信号の送受信を行うCRインターフェース部186を配設している。」

「【0020】
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置であり、本実施の形態では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208dの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。また、装飾図柄表示装置208は、1個の小さな例えば円形の図柄を表示可能な表示範囲を有し、演出表示領域208dの例えば左下角部に設けられた第4図柄表示領域(図3では不図示)を有している。なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でなくとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。
【0021】
普図表示装置210は、普図の表示を行うための表示装置であり、本実施形態では7セグメントLEDによって構成する。特図1表示装置212および特図2表示装置214は、特図の表示を行うための表示装置であり、本実施形態では7セグメントLEDによって構成する。」

「【0023】
また、演出装置206の周囲には、所定の球進入口、例えば、一般入賞口226と、普図始動口228と、特図1始動口230と、特図2始動口232と、可変入賞口234を配設している。」

「【0035】
まず、パチンコ機100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、基本回路302には、CPU304と、制御プログラムや各種データを記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と、プログラム処理の異常を監視するWDT314を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400についても同様である。基本回路302のCPU304は、水晶発信器316bが出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。」

「【0041】
また、主制御部300は、第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースと、払出制御部600にコマンドを送信するための出力インタフェースをそれぞれ備えており、この構成により、第1副制御部400および払出制御部600との通信を可能としている。なお、主制御部300と第1副制御部400および払出制御部600と
の情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は第1副制御部400および払出制御部600にコマンド等の信号を送信できるように構成しているが、第1副制御部400および払出制御部600からは主制御部300にコマンド等の信号を送信できないように構成している。」

「【0057】
次に、図6(b)を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部タイマ割込処理について説明する。なお、同図は主制御部タイマ割込処理の流れを示すフローチャートである。主制御部300は、所定の周期(本実施形態では約2msに1回)でタイマ割込信号を発生するカウンタタイマ312を備えており、このタイマ割込信号を契機として主制御部タイマ割込処理を所定の周期で開始する。」

「【0064】
特図1始動口230へ入賞があった場合且つRAM308に設けた対応する特図1保留数記憶領域が満タンでない場合、カウンタ回路(ハード乱数回路)318の特図1始動口230に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した大当り判定用乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた大当り時用特図決定用乱数値カウンタから大当り時用特図決定用乱数値を取得して特図1乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図1乱数値記憶領域内の大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組は、特図1保留数記憶領域に記憶された特図1保留数と同数分だけ格納される。特図1乱数値記憶領域内では、特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組のデータが消去されるとともに、残余の大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図1保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位(最後)の大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組のデータが書き込まれる。
【0065】
特図2始動口232へ入賞があった場合且つRAM308に設けた対応する特図2保留数記憶領域が満タンでない場合、カウンタ回路318の特図2始動口232に対応する内蔵のカウンタ値記憶用レジスタに記憶された値に所定の加工を施して生成した大当り判定用乱数値を取得するとともに、RAM308に設けた大当り時用特図決定用乱数値カウンタから大当り時用特図決定用乱数値を取得して特図2乱数値記憶領域に取得順に格納する。特図2乱数値記憶領域内の大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組は、特図2保留数記憶領域に記憶された特図2保留数と同数分だけ格納される。特図2乱数値記憶領域内では、特図2保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位の大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組のデータが消去されるとともに、残余の大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理される。また、特図2保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位の大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組のデータの次の保留順位に新たな大当り判定用乱数値および大当り時用特図決定用乱数値の組のデータが書き込まれる。」

「【0073】
次いで、特図1および特図2それぞれについての特図状態更新処理を行うが、最初に、特図2についての特図状態更新処理(特図2状態更新処理)を行う(ステップS213)。この特図2状態更新処理は、特図2の状態に応じて、次の複数(本例では9つ)の処理のうちの1つの処理を行う。」

「【0075】
また例えば、特図2変動表示の途中(上述の特図2表示図柄更新タイマの値が1以上)における特図2状態更新処理では、特図2表示装置214を構成する7セグメントLEDの点灯と消灯を繰り返す点灯・消灯駆動制御を行う。この制御を行うことで、特図2表示装置214は特図2の変動表示(特図2変動遊技)を行う。また、コマンド設定送信処理(ステップS215)で回転開始設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶してから処理を終了する。
【0076】
また、主制御部300のRAM308には、15R大当りフラグ、2R大当りフラグ、はずれフラグ、特図確率変動フラグ、および普図確率変動フラグそれぞれのフラグが用意されている。特図2変動表示時間が経過したタイミング(特図2表示図柄更新タイマの値が1から0になったタイミング)で開始する特図2状態更新処理では、15R大当りフラグはオン、特図確率変動フラグもオン、普図確率変動フラグもオンの場合には図5(a)に示す特図A、2R大当りフラグはオン、特図確率変動フラグはオフ、普図確率変動フラグはオンの場合には特図B、はずれフラグがオンの場合には特図Cそれぞれの態様となるように、特図2表示装置214を構成する7セグメントLEDの点灯・消灯駆動制御を行い、RAM308の設定領域に特図2停止表示中であることを表す設定を行う。この制御を行うことで、特図2表示装置214は、大当り図柄1(特図A)、大当り図柄2(特図B)、およびはずれ図柄1(特図C)のいずれか一つの図柄の確定表示を行う。さらにその後、所定の停止表示期間(例えば500ms間)その表示を維持するためにRAM308に設けた特図2停止時間管理用タイマの記憶領域に停止期間を示す情報を設定する。この設定により、確定表示された特図2が所定期間停止表示され、特図2変動遊技の結果が遊技者に報知される。また、RAM308に設けられた電サポ(詳細は後述)回数記憶部に記憶された電サポ回数が1以上であれば、その電サポ回数から1を減算し、減算結果が1から0となった場合は、特図確率変動中(詳細は後述)でなければ、電サポフラグをオフにする。さらに、大当り遊技中(特別遊技状態中)にも、電サポフラグをオフにする。また、コマンド設定送信処理(ステップS215)で回転停止設定送信処理を実行させることを示す所定の送信情報を上述の送信情報記憶領域に追加記憶するとともに、変動表示を停止する図柄が特図2であることを示す特図2識別情報を、後述するコマンドデータに含める情報としてRAM308に追加記憶してから処理を終了する。」

「【0080】
また、この扉部材の開放・閉鎖制御を所定回数(本実施形態では15ラウンドか2ラウンド)繰り返し、終了したタイミングで開始する特図2状態更新処理では、所定の終了演出期間(例えば3秒間)すなわち装飾図柄表示装置208による大当りを終了することを遊技者に報知する画像を表示している期間待機するように設定するためにRAM308に設けた演出待機時間管理用タイマの記憶領域に演出待機期間を示す情報を設定する。また、普図確率変動フラグがオンに設定されていれば、この大当り遊技の終了と同時に、RAM308に設けられた電サポ回数記憶部に電サポ回数(例えば、100回)をセットするともに、RAM308に設けられた電サポフラグをオンにする。なお、その普図確率変動フラグがオフに設定されていれば、電サポ回数記憶部に電サポ回数をセットすることもなく、また電サポフラグをオンにすることもない。電サポ状態とは、特図変動遊技における大当りを終了してから、次の大当りを開始するまでの時間を短くするため、パチンコ機が遊技者にとって有利な状態になることをいう。この電サポフラグがオンに設定されていると、普図高確率(普図確変)状態である。普図高確率状態では普図低確率状態に比べて、普図変動遊技で当りになる確率が高い。また、普図高確率状態の方が、普図低確率状態に比べて普図変動遊技の変動時間および特図変動遊技の変動時間は短くなる(普図変短)。さらに、普図高確率状態では普図低確率状態に比べて、特図2始動口232の一対の羽根部材232aの1回の開放における開放時間が長くなり易い(電チュー開延)。加えて、普図高確率状態では普図低確率状態に比べて、一対の羽根部材232aは多く開き易い。これらの普図確変、普図変短、電チュー開延による制御状態をまとめて、電サポ(電動チューリップによる始動口入賞サポート)状態と呼ぶ。」

「【0083】
続いて、特図1についての特図状態更新処理(特図1状態更新処理)を行う。この特図1状態更新処理では、特図1の状態に応じて、上述の特図2状態更新処理で説明した各処理を行う。この特図1状態更新処理で行う各処理は、上述の特図2状態更新処理で説明した内容の「特図2」を「特図1」と読み替えた処理と同一であるため、その説明は省略する。なお、特図2状態更新処理と特図1状態更新処理の順番は逆でもよい。」

「【0087】
また、上述の回転開始設定送信処理では、コマンドデータにRAM308に記憶している、15R大当りフラグや2R大当りフラグの値、特図確率変動フラグの値、特図1関連抽選処理および特図2関連抽選処理で選択したタイマ番号、保留している特図1変動遊技または特図2変動遊技の数などを示す情報を設定する。上述の回転停止設定送信処理では、コマンドデータにRAM308に記憶している、15R大当りフラグや2R大当りフラグの値、特図確率変動フラグの値などを示す情報を設定する。上述の入賞演出設定送信処理では、コマンドデータに、RAM308に記憶している、入賞演出期間中に装飾図柄表示装置208・各種ランプ418・スピーカ120に出力する演出制御情報、特図確率変動フラグの値、保留している特図1変動遊技または特図2変動遊技の数などを示す情報を設定する。上述の終了演出設定送信処理では、コマンドデータに、RAM308に記憶している、演出待機期間中に装飾図柄表示装置208・各種ランプ418・スピーカ120に出力する演出制御情報、特図確率変動フラグの値、保留している特図1変動遊技または特図2変動遊技の数などを示す情報を設定する。上述の大入賞口開放設定送信処理では、コマンドデータにRAM308に記憶している大当りラウンド数、特図確率変動フラグの値、保留している特図1変動遊技または特図2変動遊技の数などを示す情報を設定する。上述の大入賞口閉鎖設定送信処理では、コマンドデータにRAM308に記憶している大当りラウンド数、特図確率変動フラグの値、保留している特図1変動遊技または特図2変動遊技の数などを示す情報を設定する。また、このステップS215では一般コマンド特図保留増加処理も行われる。この一般コマンド特図保留増加処理では、コマンドデータにRAM308の送信用情報記憶領域に記憶している特図識別情報(特図1または特図2を示す情報)、予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)を設定する。第1副制御部400では、受信した出力予定情報に含まれるコマンド種別により、主制御部300における遊技制御の変化に応じた演出制御の決定が可能になるとともに、出力予定情報に含まれているコマンドデータの情報に基づいて、演出制御内容を決定することができるようになる。」

「【0091】
次に、本実施の形態によるパチンコ機100での特図変動遊技について図7乃至図9を用いて説明する。図7乃至図9に示す各種テーブルは、例えば主制御部300のROM306に記憶されている。図7は、特図関連処理(ステップS213)の特図関連抽選処理での特図1または特図2の当否判定処理で用いるデータテーブルであって、図7(a)は当否判定用テーブルを示し、図7(b)は特図決定用テーブルを示し、図7(c)は、タイマ選択テーブル設定テーブルを示している。図7(a)に示す当否判定用テーブルは、左列に「特図確率」、中列に「乱数範囲」、右列に「当否判定結果」の項目で構成されている。左列の「特図確率」は「低確率」と「高確率」に区分されている。「低確率」は当否判定時の制御状態が特図低確率状態であることを表し、「高確率」は当否判定時の制御状態が特図高確率状態であることを表している。中列の「乱数範囲」は、取得した大当り判定用乱数値と比較する乱数の数値範囲を示している。「乱数範囲」は、左列「特図確率」の項目「低確率」に対応して、数値0?999、数値1000?1217、および数値1218?65535の3つに区分されている。また、左列「特図確率」の項目「高確率」に対応して、数値0?999、数値1000?2089、および数値2090?65535の3つに区分されている。右列の「当否判定結果」は、「低確率」且つ数値0?999および数値1218?65535に対応して「はずれ」が割り当てられ、「低確率」且つ数値1000?1217に対応して「大当り」が割り当てられている。また、「高確率」且つ数値0?999および数値2090?65535に対応して「はずれ」が割り当てられ、「高確率」且つ数値1000?2089に対応して「大当り」が割り当てられている。
【0092】
主制御部300の基本回路302は、特図1または特図2の変動遊技の結果を当選(大当り)とするか、不当選(はずれ)とするかを決定するために、取得した大当り判定用乱数値に対して当否判定用テーブルを参照して当否判定を行う。例えば、当否判定時の制御状態が特図低確率状態である場合には、取得した大当り判定用乱数値が1000?1217の範囲内にあれば特図変動遊技を当選(大当り)と判定し、1000?1217以外の数値であれば非当選(はずれ)と判定する。本実施形態では、大当り判定用乱数値の取り得る数値範囲は0?65535(数値範囲の大きさは65536)である。図7(a)に示すように、特図低確率状態で大当りと判定される大当り判定用乱数値の数値範囲は1000?1217(数値範囲の大きさは218)であるから、特図低確率状態での特図変動遊技の大当りの当選確率は、約1/300(=218/65536)である。」

「【0095】
主制御部300の基本回路302は、当否判定結果が大当りの場合、特図1表示装置212または特図2表示装置214に大当り図柄1、2のいずれの停止図柄態様を停止表示させるかを、取得した大当り時用特図決定用乱数値に対して特図決定用テーブルを参照して決定する。大当り時用特図決定用乱数値の数値範囲は0?99(数値範囲の大きさは100)であるから、大当りの場合の大当り図柄1が選択される確率は50%(=50/100)であり、大当り図柄2が選択される確率も50%(=50/100)である。また、はずれの場合は大当り時用特図決定用乱数値を用いて特図決定用テーブルを参照することなくはずれ図柄1を100%の確率で選択する。
【0096】
本実施の形態のパチンコ機100は、制御状態が電サポ中か非電サポ中かに係らず、また、特図1、2のいずれの変動遊技であるかに係らず、特図変動遊技の結果としての停止図柄が「大当り図柄1」の場合は、続く大当り遊技でのアタッカ234の開放回数は15回であり、大当り遊技終了後には、制御状態が特図高確率状態になるとともに次回大当りまで電サポ状態になる。停止図柄が「大当り図柄2」の場合は、続く大当り遊技でのアタッカ234の開放回数は2回であり、大当り遊技終了後には、制御状態が特図低確率状態になるとともに特図変動遊技100回まで電サポ状態になる。また、停止図柄が「はずれ図柄1」の場合は、アタッカ234の開放はなく制御状態の変更も生じない。」

「【0102】
また例えば、主制御部300の基本回路302は、特図変動遊技の停止図柄態様が「大当り図柄2」の場合は、2R大当り遊技終了後の制御状態を特図低確率状態(特図確変なし状態)にするとともにその後の特図変動遊技100回まで電サポ状態にすることを決定し、図7(c)のタイマ選択テーブル設定テーブルに基づき、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「90」に設定し、タイマ選択テーブルとしてテーブル2を選択する。テーブル変更用カウンタのカウンタ値は、その後の特図変動遊技で停止図柄が「はずれ図柄1」以外とならない限り、つまり、「はずれ図柄1」が停止表示される度に1ずつ減算される。そして、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、主制御部300の基本回路302は、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「10」に設定し直して、タイマ選択テーブルとしてテーブル3を選択する。次いで、その後の特図変動遊技で停止図柄が「はずれ図柄1」以外とならない限り、つまり、「はずれ図柄1」が停止表示される度にテーブル変更用カウンタのカウンタ値は1ずつ減算される。そして、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、主制御部300の基本回路302は、タイマ選択テーブルを切替えてテーブル1を選択する。また、主制御部300の基本回路302は、テーブル1が選択されると制御状態をRAMクリア時と同じである特図確変状態でも電サポ状態でもない通常状態に移行させる。」

「【0106】
項目「タイマ番号」は、選択されるべきタイマ番号で構成されている。タイマ選択テーブル1の「はずれ図柄1」の「保留:0?2」の乱数範囲0?89にはタイマ3が対応付けられ、乱数範囲90?97にはタイマ4が対応付けられ、乱数98にはタイマ5が対応付けられ、乱数99にはタイマ6が対応付けられている。また、タイマ選択テーブル1の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97にはタイマ2が対応付けられ、乱数98にはタイマ5が対応付けられ、乱数99にはタイマ6が対応付けられている。」

「【0109】
タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:0?2」の乱数範囲0?97にはタイマ2が対応付けられ、乱数98にはタイマ5が対応付けられ、乱数99にはタイマ6が対応付けられている。また、タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97にはタイマ1が対応付けられ、乱数98にはタイマ5が対応付けられ、乱数99にはタイマ6が対応付けられている。」

「【0111】
図8(c)に示すタイマ選択テーブル3は、「はずれ図柄1」、「大当り図柄1」および「大当り図柄2」のいずれも、「保留:0?2」および「保留:3」ともに乱数範囲0?99でタイマ7が対応付けられている。
【0112】
図9は、図8(a)?(c)のそれぞれに示すタイマ番号と、特図変動遊技の変動時間との関係の一例を示している。図9の左列の項目「タイマ番号」にはタイマ1?7が区分され、右列の項目「変動時間(秒)」にはタイマ1?7に対応させて変動時間が示されている。図9に示すように、本実施の形態では、タイマ番号が「タイマ1(超短縮変動)」の変動時間は2秒であり、「タイマ2(短縮変動)」の変動時間は5秒であり、「タイマ3(通常変動)」の変動時間は10秒であり、「タイマ4(ノーマルリーチ)」の変動時間は12秒であり、「タイマ5(スーパーリーチ1)」の変動時間は40秒であり、「タイマ6(スーパーリーチ2)」の変動時間は50秒であり、「タイマ7(準備変動)」の変動時間は20秒である。」

「【0127】
次に、図10(b)を用いて、第1副制御部400のコマンド受信割込処理について説明する。このコマンド受信割込処理は、第1副制御部400が、主制御部300が出力するストローブ信号を検出した場合に実行する処理である。コマンド受信割込処理のステップS401では、主制御部300が出力したコマンドを未処理コマンドとしてRAM408に設けたコマンド記憶領域に記憶する。」

「【0161】
(5)また、上記パチンコ機100において、遊技を演出する演出手段(例えば、スピーカ120、各種ランプ418、演出可動体224等)と、制御コマンドを受信する制御コマンド受信手段(例えば、図10(b)の第1副制御部コマンド受信割込処理)と、前記制御コマンドを複数記憶可能な制御コマンド記憶手段(例えば、第1副制御部400のRAM408)と、前記制御コマンド記憶手段に記憶された制御コマンドに基づいて前記演出手段に制御信号を出力する制御信号出力手段(例えば、音源IC416、駆動回路420、422等)と、前記演出手段、前記制御コマンド受信手段、前記制御コマンド記憶手段、および前記制御信号出力手段を含んで構成される演出制御手段(例えば、第1副制御部400のメイン処理の演出制御処理(ステップS309)に基づく各種処理(ステップS311?S319))と、を備え、前記特定情報は前記制御コマンドであり、前記特定情報記憶手段は前記制御コマンド記憶手段であり、前記制御信号出力手段は、前記所定の期間ごとに前記演出手段に前記制御信号を出力するように構成され、前記第1の処理の実行を特定する第1の制御コマンド(例えば、保留球数コマンド)は、前記第2の処理の実行を特定する第2の制御コマンド(例えば、特図関連コマンド)よりも先に前記制御コマンド受信手段によって受信され、前記制御コマンド記憶手段に記憶されたコマンドであることを特徴とする。こうすることにより安定した演出制御を行うことができる場合がある。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献1には以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる(a?uについては本願補正発明のA?Uに対応させて付与した。)。

「a 球進入口である特図1始動口230と、特図2始動口232と(【0023】)、
b 特図の表示を行うための表示装置である特図1表示装置212および特図2表示装置214と(【0021】)、
c 装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置である装飾図柄表示装置208と(【0020】)、
d 遊技全般の制御処理を行う主制御部300と(【0018】)、
e 演出に関する制御処理を行う第1副制御部400と、第1副制御部400が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第2副制御部500と(【0018】)
を備え、
f 主制御部300は(【0035】、【0057】)、
f1 特図1始動口230または特図2始動口232へ入賞があった場合、大当り判定用乱数値を取得するものであり(【0064】、【0065】)、
f2 特図1乱数値記憶領域内に取得順に格納された大当り判定用乱数値が、特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の大当り判定用乱数値のデータが消去されるとともに、残余の大当り判定用乱数値のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理され特図1保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位(最後)の大当り判定用乱数値のデータの次の保留順位に新たな大当り判定用乱数値のデータが書き込まれ(【0064】)、特図2乱数値記憶領域内に取得順に格納された大当り判定用乱数値は、特図2保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位の大当り判定用乱数値のデータが消去されるとともに、残余の大当り判定用乱数値のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理され、特図2保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位の大当り判定用乱数値のデータの次の保留順位に新たな大当り判定用乱数値のデータが書き込まれる(【0065】)RAM308を備え(【0035】)、
f3 特図関連処理の特図関連抽選処理において(【0091】)、特図1または特図2の変動遊技の結果を当選(大当り)とするか、不当選(はずれ)とするかを決定するために、取得した大当り判定用乱数値に対して当否判定用テーブルを参照して当否判定を行うものであり(【0092】)、
f4 当否判定結果が大当りの場合、特図1表示装置212または特図2表示装置214に大当り図柄1、2のいずれの停止図柄態様を停止表示させるかを、取得した大当り時用特図決定用乱数値に対して特図決定用テーブルを参照して決定するものであり(【0095】)、
f5 特図2状態更新処理において(【0073】)、特図2表示装置214にて特図2の変動表示を行い(【0075】)、大当り図柄1、大当り図柄2、およびはずれ図柄1のいずれか一つの図柄の確定表示を行い(【0076】)、特図1状態更新処理でも特図2状態更新処理と同様の処理を行うものであり(【0083】)、
f6 特図変動遊技の結果としての停止図柄が「大当り図柄2」の場合、続く大当り遊技でのアタッカ234の開放回数は2回とするものであり(【0096】)、
f7 特図確変状態でも電サポ状態でもない通常状態と(【0102】)、普図確変、普図変短、電チュー開延によりパチンコ機が遊技者にとって有利な状態になる電サポ状態(【0080】)とを有し、特図変動遊技の停止図柄態様が「大当り図柄2」の場合は、2R大当り遊技終了後の制御状態をその後の特図変動遊技100回まで電サポ状態にするものであり(【0102】)、
f8 第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースであって(【0041】)、第1副制御部400で、主制御部300における遊技制御の変化に応じた演出制御の決定が可能になるとともに、演出制御内容を決定することができるようになるコマンドデータである、一般コマンド特図保留増加処理で設定される特図識別情報(特図1または特図2を示す情報)、予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)(【0087】)を第1副制御部400に送信するための出力インターフェース(【0041】)を備え、
g、h、o 2R大当り遊技終了後の制御状態をその後の特図変動遊技100回まで電サポ状態にすることを決定し、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「90」に設定し、タイマ選択テーブルとしてテーブル2を選択し、テーブル変更用カウンタのカウンタ値は、その後の特図変動遊技で「はずれ図柄1」が停止表示される度に1ずつ減算され、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「10」に設定し直して、タイマ選択テーブルとしてテーブル3を選択し、その後の特図変動遊技で停止図柄が「はずれ図柄1」が停止表示される度にテーブル変更用カウンタのカウンタ値は1ずつ減算され、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、タイマ選択テーブルを切替えてテーブル1を選択し、テーブル1が選択されると制御状態を特図確変状態でも電サポ状態でもない通常状態に移行させるものであり(【0102】)、
i、k タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:0?2」の乱数範囲0?97には変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2が対応付けられ、乱数98には変動時間40秒のスーパーリーチ1であるタイマ5が対応付けられ、乱数99には変動時間50秒のスーパーリーチ2であるタイマ6が対応付けられ、また、タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97には変動時間2秒の超短縮変動であるタイマ1が対応付けられ、乱数98には変動時間40秒のスーパーリーチ1であるタイマ5が対応付けられ、乱数99には変動時間60秒のスーパーリーチ2であるタイマ6が対応付けられているものであり(【0109】、【0112】)、
j、l、n タイマ選択テーブル3は、「はずれ図柄1」の「保留:0?2」および「保留:3」ともに乱数範囲0?99で変動時間20秒の準備変動であるタイマ7が対応付けられているものであり(【0111】、【0112】)、
p 第1副制御部400は(【0127】)、
p1 主制御部300が出力した制御コマンドを受信する制御コマンド受信手段を備え(【0127】、【0161】)、
t タイマ選択テーブル1の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97には変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2が対応付けられている(【0106】)
u パチンコ機100。」

イ 原査定の拒絶の理由で引用された本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2013-90852号公報(以下「引用文献2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

「【0198】
図18(A)は、この実施の形態において先読み予告が実行されないように制限する具体例を示している。この具体例では、第1始動口入賞指定コマンドと第2始動口入賞指定コマンドのうちいずれを受信したかに応じて、異なる先読み制限条件を設けている。すなわち、第1始動口入賞指定コマンドを受信した場合には、時短制御とともに高開放制御が行われる時短制御中(高ベース中)であるとき、または、遊技状態が大当り遊技状態となっている大当り中であるときに、先読み制限条件が成立する。一方、第2始動口入賞指定コマンドを受信した場合には、大当り後変動カウント値が所定の演出モード移行判定値未満であるとともに、この大当り後変動カウント値に保留記憶数(具体的には第2特図保留記憶数)を加算すると演出モード移行判定値を超えるときに、先読み制限条件が成立する。」

「【0203】
他方、この実施の形態において、先読み予告となる予告演出の演出態様は、パチンコ遊技機1における演出状態が演出モードA?演出モードCのいずれであるかに応じて異なる演出態様となる。そのため、先読み予告の実行が開始された後に、その予告対象となる可変表示が実行されるより前に演出モードの移行制御が行われてしまうと、先読み予告の演出態様と移行後の演出モードとに矛盾(不整合)が生じ、遊技者に違和感を与えるおそれがある。特に、先読み予告が複数回の可変表示にわたり連続して実行される連続予告である場合には、この連続予告が終了するより前に演出モードが切り替えられてしまい、演出態様と演出モードとの矛盾(不整合)が顕著になる。なお、演出モードA?演出モードCの移行制御が行われるのは、大当り遊技状態が終了してから時短制御に伴う高開放制御が行われる高ベース中であり、第1特図を用いた特図ゲームを予告対象とする先読み予告の実行は制限されている。
【0204】
そこで、先読み予告による予告対象となる可変表示が実行されるより前に演出モードの移行制御が行われる場合に対応して、大当り後変動カウント値が所定の演出モード移行判定値未満であるとともに、この大当り後変動カウント値に保留記憶数(具体的には第2特図保留記憶数)を加算すると演出モード移行判定値を超えるときには、第2始動入賞の発生に基づく先読み予告の実行を制限する先読み制限条件を成立させる。これにより、先読み予告の演出態様と演出モードとに矛盾(不整合)が生じないようにして、遊技者に違和感を与えることを防止できる。」

上記記載事項を総合すれば、引用文献2には以下の発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる(s及びuは本願補正発明のS及びUに対応させて付与した。)。

「s 演出状態が演出モードA?演出モードCのいずれであるかに応じて異なる演出態様となり(【0203】)、大当り後変動カウント値が所定の演出モード移行判定値未満であるとともに、この大当り後変動カウント値に保留記憶数を加算すると演出モード移行判定値を超えるときには、始動入賞の発生に基づく先読み予告の実行を制限する先読み制限条件を成立させて、
u 先読み予告の演出態様と演出モードとに矛盾(不整合)が生じないようにして、遊技者に違和感を与えることを防止できる(【0204】)パチンコ遊技機(【0018】)。」

ウ 本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2013-158621号公報(以下「引用文献3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審で付した。)。

「【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態を詳細に説明する。図1は、本実施の形態におけるパチンコ遊技機の正面図であり、主要部材の配置レイアウトを示す。パチンコ遊技機(遊技機)1は、大別して、遊技盤面を構成する遊技盤(ゲージ盤)2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠(台枠)3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域が形成されている。この遊技領域には、遊技媒体としての遊技球が、所定の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。」

「【0077】
時短状態では、普通可変入賞球装置6Bを第1可変状態(開放状態または拡大開放状態)にする頻度を通常状態(時短状態に制御されていない状態)よりも高くし、通常状態よりも第2始動入賞口を遊技球が進入しやすい有利変化態様で、普通可変入賞球装置6Bを第1可変状態と第2可変状態(閉鎖状態または通常開放状態)とに変化させる。例えば、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御により、普通可変入賞球装置6Bを有利変化態様で第1可変状態と第2可変状態とに変化させればよい。なお、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組み合わせられて行われるようにしてもよい。このように、普通可変入賞球装置6Bを有利変化態様で第1可変状態と第2可変状態とに変化させる制御は、高開放制御(「高ベース制御」ともいう)と称される。こうした時短状態に制御されることにより、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの所要時間が短縮され、通常状態よりも遊技者にとって有利な特別遊技状態となる。」

「【0207】
この実施の形態では、可変表示結果が「ハズレ」となる時短終了時の可変表示(実行回数が上限時短回数に達したときの可変表示)にのみPA2-5が選択されるので、バトル演出が行われ、時短状態が終了する。この実施の形態では、可変表示結果が「ハズレ」のときのバトル演出は、前記所定タイミング後に時短状態の終了も報知する。一方で、可変表示結果が「大当り」の場合、時短中では、PA3-5のみが選択される。これらから、時短終了時の可変表示では、必ずバトル演出が行われ、可変表示結果は「大当り」と「ハズレ」(時短終了の報知)との両者になりうる(図21の画像921から924参照)。一方で、時短中かつ時短終了時以外の可変表示でバトル演出が行われると、可変表示結果は「大当り」確定となる(図20の画像911から913参照)。
【0208】
例えば、図22に示すように、上限時短回数が32回で、時短制御開始から20回目の可変表示(時短回数報知モードでは、残時短回数として10回を報知)でバトル演出が実行された場合には、「大当り」が確定する。一方で、上限時短回数が32回で、時短制御開始から32回目の可変表示(時短回数報知モードでは、残時短回数として0を報知)でバトル演出が実行された場合には、「ハズレ」で時短終了又は「大当り」のいずれにもなりうる。
【0209】
以上から、時短回数報知モードでは遊技者は現在の可変表示が時短終了時のものか否か分かるので、時短中かつ時短終了時以外の可変表示(残時短回数が1回以上であることが報知されている可変表示)においてバトル演出が実行された場合には、遊技者は、可変表示結果が必ず「大当り」になることを認識できる。このため、遊技者は、時短中かつ時短終了時以外の可変表示でバトル演出が実行されることに注目し、遊技の興趣が向上する。
【0210】
一方で、時短回数非報知モードでは遊技者は現在の可変表示が時短終了時のものか否か分からないので、バトル演出が実行された場合に、遊技者は、その可変表示が時短終了時のものなのか時短終了時以外のものなのかが分からない。つまり、バトル演出が実行されたとしても、そのバトル演出後に、大当り遊技状態になるのか、時短状態が終了してしまうのかが分からず、ゲーム性が増す。このため、遊技の興趣が向上する。」

【図21】の左下部にはキャラクタによるバトル演出、「767」、及び「敗北!時短終了」の表示、右下部にはキャラクタによるバトル演出、「777」及び「勝利!大当り」の表示がみてとれる。

上記記載事項を総合すれば、引用文献3には以下の発明(以下、「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる(f7、q、r及びuについては本願補正発明のF7、Q、R及びUに対応させて付与した。)。

「f7 上限時短回数まで(【0208】)各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御により、通常状態よりも遊技者にとって有利な時短状態となるものであって(【0077】)、
q 可変表示結果が「ハズレ」となる時短終了時の可変表示(実行回数が上限時短回数に達したときの可変表示)において、バトル演出が行われ、「敗北!時短終了」と表示して時短状態の終了を報知し(【0207】、【図21】)、
r 可変表示結果が「大当り」となる時短終了時の可変表示において、バトル演出が行われ、「勝利!大当り」と表示し(【0207】、【図21】)、
u 時短回数非報知モードでは、バトル演出が実行されたとしても、そのバトル演出後に、大当り遊技状態になるのか、時短状態が終了してしまうのかが分からず、ゲーム性が増すため、遊技の興趣が向上する(【0210】)パチンコ遊技機(【0020】)。」

(3)対比
本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお、見出し(a)?(u)は、本願補正発明のA?Uに対応させている。

(a)引用発明1の「a 球進入口である特図1始動口230と、特図2始動口232と」からなるものは、本願補正発明の「A 遊技球が入球可能な始動口」に相当する。

(b)引用発明1のbの「特図」、「特図1」及び「特図2」のいずれも、本願補正発明の「識別情報」に相当する。
したがって、引用発明1の「b 特図の表示を行うための表示装置である特図1表示装置212および特図2表示装置214」とからなるものは、本願補正発明の「B 識別情報を表示可能な識別情報表示部」に相当する。

(c)引用発明1の「c 装飾図柄ならびに演出に用いる様々な表示を行うための表示装置である装飾図柄表示装置208」は、本願補正発明の「C 演出を表示可能な演出表示部」に相当する。

(d)引用発明1の「d 遊技全般の制御処理を行う主制御部300」は、本願補正発明の「D 遊技の進行を制御する主遊技部」に相当する。

(e)引用発明1の「e 演出に関する制御処理を行う第1副制御部400と、第1副制御部400が生成した処理情報に基づいて演出に関する制御処理を行う第2副制御部500と」からなるものは、本願補正発明の「E 演出の表示制御を司る副遊技部」に相当する。

(f)引用発明1の「f 主制御部300」は、本願補正発明の「F 主遊技部」に相当する。

(f1)引用発明1の「f 主制御部300」は、「f1 特図1始動口230または特図2始動口232へ入賞があった場合、大当り判定用乱数値を取得するもの」であり、大当り判定用乱数値を取得する機能を有することは明らかであるから、本願補正発明の「F1 始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段」としての機能を有するといえる。

(f2)引用発明1の「f2 特図1乱数値記憶領域内に取得順に格納された大当り判定用乱数値は、特図1保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位(最先)の大当り判定用乱数値のデータが消去されるとともに、残余の大当り判定用乱数値のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理され特図1保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位(最後)の大当り判定用乱数値のデータの次の保留順位に新たな大当り判定用乱数値のデータが書き込まれ、特図2乱数値記憶領域内に取得順に格納された大当り判定用乱数値は、特図2保留数が1つ減るごとに保留順位が最上位の大当り判定用乱数値のデータが消去されるとともに、残余の大当り判定用乱数値のデータの保留順位が1ずつ繰り上がるように処理され、特図2保留数が1つ増えるごとに、保留順位が最下位の大当り判定用乱数値のデータの次の保留順位に新たな大当り判定用乱数値のデータが書き込まれるRAM308」は、上記(f1)の検討を踏まえ、かつ、特図変動開始のタイミングで当否判定が行われてこれに対応する保留情報が消去されるというパチンコ機の技術常識に鑑みれば、本願補正発明の「F2 乱数取得手段により乱数が取得された場合、当否判定許可条件を充足するまで当該取得された乱数を保留として一時記憶する乱数一時記憶手段」に相当する。

(f3)引用発明1の「f 主制御部300」は、「f3 特図関連処理の特図関連抽選処理において、特図1または特図2の変動遊技の結果を当選(大当り)とするか、不当選(はずれ)とするかを決定するために、取得した大当り判定用乱数値に対して当否判定用テーブルを参照して当否判定を行うもの」であるから、「f 主制御部300」は、当否判定を行う機能を有することは明らかであり、また、特図変動開始のタイミングで当否判定が行われるというパチンコ機の技術常識に鑑みれば、本願補正発明の「F3 当否判定許可条件を充足した場合、前記乱数に基づき当否判定を実行する当否判定手段」としての機能を有するといえる。

(f4)引用発明1の「f 主制御部300」は、「f4 当否判定結果が大当りの場合、特図1表示装置212または特図2表示装置214に大当り図柄1、2のいずれの停止図柄態様を停止表示させるかを、取得した大当り時用特図決定用乱数値に対して特図決定用テーブルを参照して決定する」ものであり、決定する機能を有することは明らかであるから、引用発明1の「f 主制御部300」は、本願補正発明の「F4 前記当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段」としての機能を有するといえる。

(f5)引用発明1の「f 主制御部300」は、「f5 特図2状態更新処理において、特図2表示装置214にて特図2の変動表示を行い、大当り図柄1、大当り図柄2、およびはずれ図柄1のいずれか一つの図柄の確定表示を行い、特図1状態更新処理でも特図2状態更新処理と同様の処理を行う」ものであり、大当り図柄1、大当り図柄2、およびはずれ図柄1のいずれか一つの図柄を決定する手段及びその表示を制御する機能を有することは明らかであるから、引用発明1の「f 主制御部300」は、本願補正発明の「F5 識別情報表示内容決定手段による決定に基づき、識別情報表示部にて識別情報を変動表示した後、停止識別情報を停止表示するよう制御する識別情報表示制御手段」としての機能を有するといえる。

(f6)引用発明1のf6の「大当り遊技」は、本願補正発明の「遊技者にとって有利な特別遊技」に相当する。
また、引用発明1の「f 主制御部300」は、「f6 特図変動遊技の結果としての停止図柄が「大当り図柄2」の場合は、続く大当り遊技でのアタッカ234の開放回数は2回とする」ものであり、そのような大当り遊技を実行する大当り遊技制御手段としての機能を有することは明らかである。
そして、f(4)の検討も踏まえれば、引用発明1の「f 主制御部300」は、本願補正発明の「F6 前記当否判定の結果が当選である場合、識別情報表示部にて停止識別情報が停止表示された後、遊技者にとって有利な特別遊技を実行する特別遊技制御手段」としての機能を有するといえる。

(f7)引用発明1のf7の「特図確変状態でも電サポ状態でもない通常状態」、「普図確変、普図変短、電チュー開延によりパチンコ機が遊技者にとって有利な状態になる電サポ状態」及び「100回」は、それぞれ、本願補正発明の「通常遊技状態」、「通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態」及び「100回」に相当する。
また、引用発明1の「f 主制御部300」は、「f7 特図確変状態でも電サポ状態でもない通常状態と、普図確変、普図変短、電チュー開延によりパチンコ機が遊技者にとって有利な状態になる電サポ状態とを有し、主制御部300は、特図変動遊技の停止図柄態様が「大当り図柄2」の場合は、2R大当り遊技終了後の制御状態をその後の特図変動遊技100回まで電サポ状態にする」ものであり、通常状態と電サポ状態とに制御し得る機能を有することは明らかである。
したがって、引用発明1の「f 主制御部300」は、本願補正発明の「F7 通常遊技状態と通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態とを有し、特定遊技状態である場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位とし、特定遊技状態となったときから起算して当該一単位が所定回数行われるまでは、通常遊技状態としないよう制御し得る遊技状態制御手段」としての機能を有するといえる。

(f8)引用発明1のf8の「コマンドデータ」、「一般コマンド特図保留増加処理で設定される特図識別情報(特図1または特図2を示す情報)」、「予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)」は、いずれも、本願補正発明の「遊技情報」に相当する。
また、引用発明1の「f 主制御部300」の「f8 第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースであって、第1副制御部400で、主制御部300における遊技制御の変化に応じた演出制御の決定が可能になるとともに、演出制御内容を決定することができるようになるようなコマンドデータである、一般コマンド特図保留増加処理で設定される特図識別情報(特図1または特図2を示す情報)、予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)を第1副制御部400に送信するための出力インターフェース」において、特図保留増加処理で設定される特図識別情報(特図1または特図2を示す情報)、予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)が特図変動開始のタイミングで当否判定が行われていない保留に関する事前に送信し得る遊技情報であることは明らかである。
したがって、引用発明1の「f 主制御部300」は、本願補正発明の「F8 副遊技部側で実行される演出表示に際して必要な遊技情報を副遊技部側へ送信する手段であって、当否判定許可条件を充足していない保留に関する情報を副遊技部側へ事前に送信し得る遊技情報送信手段」としての機能を有する。

(g)引用発明1のg、h、oの「テーブル2」及び「テーブル3」は、それぞれ、本願補正発明の「第一変動パターンテーブル」及び「第二変動パターンテーブル」に相当する。
また、引用発明1のg、h、oの「テーブル2を選択」したときの「特図」の「変動」状態及び「テーブル3を選択」したときの「特図」の「変動」状態は、それぞれ、本願補正発明の「第一変動状態」及び「第二変動状態」に相当する。
したがって、引用発明1の「g、h、o 2R大当り遊技終了後の制御状態をその後の特図変動遊技100回まで電サポ状態にすることを決定し、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「90」に設定し、タイマ選択テーブルとしてテーブル2を選択し、テーブル変更用カウンタのカウンタ値は、その後の特図変動遊技で「はずれ図柄1」が停止表示される度に1ずつ減算され、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「10」に設定し直して、タイマ選択テーブルとしてテーブル3を選択し、その後の特図変動遊技で停止図柄が「はずれ図柄1」が停止表示される度にテーブル変更用カウンタのカウンタ値は1ずつ減算され」ることは、以下の(i)及び(j)に示すようにテーブル2とテーブル3とでは特図の変動時間の選択傾向が異なるものであることを踏まえれば、本願補正発明の「G 特定遊技状態における識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特定遊技状態にて第一変動パターンテーブルを参照する第一変動状態と、特定遊技状態にて第二変動パターンテーブルを参照する第二変動状態とを少なくとも有して」いることに相当する。

(h)引用発明1のg、h、oの「テーブル変更用カウンタ初期値」の「90」は、「電サポ状態」の回数の「100」未満といえるから、本願補正発明の「所定回数未満となる特定回数」に相当する。
したがって、引用発明1の「g、h、o 2R大当り遊技終了後の制御状態をその後の特図変動遊技100回まで電サポ状態にすることを決定し、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「90」に設定し、タイマ選択テーブルとしてテーブル2を選択し、テーブル変更用カウンタのカウンタ値は、その後の特図変動遊技で、「はずれ図柄1」が停止表示される度に1ずつ減算され、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、主制御部300は、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「10」に設定し直して、タイマ選択テーブルとしてテーブル3を選択し、その後の特図変動遊技で停止図柄が「はずれ図柄1」が停止表示される度にテーブル変更用カウンタのカウンタ値は1ずつ減算される」ことは、本願補正発明の「H 特別遊技の実行終了後での特定遊技状態における特定期間において第一変動状態とし得るとともに、当該特別遊技の実行終了から起算して前記一単位が前記所定回数未満となる特定回数行われた後は、第一変動状態から第二変動状態とするよう構成されて」いることに相当する。

(i)引用発明1のi、kの「保留:0」、「保留:2」及び「はずれ図柄1」は、本願補正発明の「第一の保留数」、「第一の保留数よりも多い第二の保留数」及び「非当選となる場合における識別情報」に相当する。
したがって、引用発明1の「i、k タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:0?2」の乱数範囲0?97には変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2が対応付けられ、乱数98には変動時間40秒のスーパーリーチ1であるタイマ5が対応付けられ、乱数99には変動時間50秒のスーパーリーチ2であるタイマ6が対応付けられ、また、タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97には変動時間2秒の超短縮変動であるタイマ1が対応付けられ、乱数98には変動時間40秒のスーパーリーチ1であるタイマ5が対応付けられ、乱数99には変動時間60秒のスーパーリーチ2であるタイマ6が対応付けられている」ことと、本願補正発明の「I 第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数よりも多い第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる」こととは、「I’第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数よりも多い第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間がそれぞれ規定されるよう構成されて」いる点で共通する。

(j)引用発明1の「j、l、n タイマ選択テーブル3は、「はずれ図柄1」の「保留:0?2」および「保留:3」ともに乱数範囲0?99で変動時間20秒の準備変動であるタイマ7が対応付けられている」ことは、本願補正発明の「J 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されて」いることに相当する。

(k)引用発明1のi、kの「保留:3」は、本願補正発明の「前記第二の保留数よりも多い第三の保留数」に相当する。
したがって、引用発明1の「i、k タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:0?2」の乱数範囲0?97には変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2が対応付けられ、乱数98には変動時間40秒のスーパーリーチ1であるタイマ5が対応付けられ、乱数99には変動時間50秒のスーパーリーチ2であるタイマ6が対応付けられ、また、タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97には変動時間2秒の超短縮変動であるタイマ1が対応付けられ、乱数98には変動時間40秒のスーパーリーチ1であるタイマ5が対応付けられ、乱数99には変動時間60秒のスーパーリーチ2であるタイマ6が対応付けられている」ことは、乱数範囲0?97のときに「保留:0」の場合に選択される変動時間2秒の短縮変動であるタイマ2と「保留:3」の場合に選択される変動時間2秒の超短縮変動であるタイマ1が異なり、「保留:0」の場合と「保留:3」の場合の変動時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じることから、「K 第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数よりも多い第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる」ことに相当する。

(l)引用発明1の「j、l、n タイマ選択テーブル3は、「はずれ図柄1」の「保留:0?2」および「保留:3」ともに乱数範囲0?99で変動時間50秒の準備変動であるタイマ7が対応付けられている」は、本願補正発明の「L 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されて」いることに相当する。

(n)引用発明1の「j、l、n タイマ選択テーブル3は、「はずれ図柄1」の「保留:0?2」および「保留:3」ともに乱数範囲0?99で変動時間50秒の準備変動であるタイマ7が対応付けられている」は、本願補正発明の「N 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されて」いることに相当する。

(o)引用発明1のg、h、oの「テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「90」に設定し、タイマ選択テーブルとしてテーブル2を選択し、テーブル変更用カウンタのカウンタ値は、「はずれ図柄1」が停止表示される度に1ずつ減算され、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「10」に設定し直して、タイマ選択テーブルとしてテーブル3を選択し、「はずれ図柄1」が停止表示される度にテーブル変更用カウンタのカウンタ値は1ずつ減算され、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、タイマ選択テーブルを切替え」ることは、「テーブル2を選択」する回数「90」が「テーブル3を選択」する回数「10」よりも多くなることから、本願補正発明の「O 前記一単位が第一の回数行われるまでは第一変動状態が設定され得るよう制御され、前記一単位が第二の回数行われるまでは第二変動状態が設定され得るよう制御され、且つ、当該第一の回数が当該第二の回数よりも多くなるよう構成されて」いることに相当する。

(p)引用発明1の「p 第1副制御部400」は、本願補正発明の「P 副遊技部」に相当する。

(p1)引用発明1の「p1 主制御部300が出力した制御コマンドを受信する制御コマンド受信手段」は、本願補正発明の「P1 主遊技部から送信された遊技情報を受信する遊技情報受信手段」に相当する。

(p2)引用発明1のf8の「予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)が設定されたコマンドデータ」は、本願補正発明の「或る保留に関する情報」に相当する。
また、引用発明1のf8の「予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)が設定されたコマンドデータ」「の情報に基づ」く「演出制御内容」は、本願補正発明の「或る保留の存在を示唆又は報知する先読み演出」に相当し、引用発明1がそのような演出制御を行う手段を有することは明らかである。
したがって、引用発明1は、本願補正発明の「P2 遊技情報受信手段により或る保留に関する情報が受信された場合、当該或る保留の存在を示唆又は報知する先読み演出を実行し得るよう制御する先読み演出実行制御手段」に相当するものを備えるといえる。

(q)引用発明1のg、h、oの「特図確変状態でも電サポ状態でもない通常状態」は、本願補正発明の「第二変動状態から切り替え可能であ」る「第二変動状態とは異なる或る変動状態」に相当する。
したがって、引用発明1のg、h、oの「テーブル変更用カウンタ初期値を初期値「10」に設定し直して、タイマ選択テーブルとしてテーブル3を選択し、その後の特図変動遊技で「はずれ図柄1」が停止表示される度にテーブル変更用カウンタのカウンタ値は1ずつ減算され、テーブル変更用カウンタの値が1から0になると、タイマ選択テーブルを切替えてテーブル1を選択し、テーブル1が選択されると制御状態を特図確変状態でも電サポ状態でもない通常状態に移行させる」ことは、本願補正発明の「Q 第二変動状態である場合においては、第二変動状態とは異なる或る変動状態へと第二変動状態から切り替え可能であり、当該或る変動状態となる直前の第二変動状態における前記一単位において、第二変動状態が終了して当該或る変動状態へ切り替わることを示唆する示唆演出を実行可能であ」ることとは、「Q’第二変動状態である場合においては、第二変動状態とは異なる或る変動状態へと第二変動状態から切り替え可能であ」る点で共通する。

(t)引用発明1の「変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2」は、本願補正発明の「所定の演出」に相当する。
そして、引用発明1は、g、h、oの「電サポ状態」で「選択」される「テーブル2」に関して「i、k タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:0?2」の乱数範囲0?97には変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2が対応付けられ」、また、g、h、oの「通常状態」で「選択」される「テーブル1」に関して「t タイマ選択テーブル1の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97には変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2が対応付けられ」ているのであるから、これら引用発明1の構成は、本願補正発明の「T 第一変動状態である状況下にて実行可能な所定の演出は、通常遊技状態である状況下にも実行可能に構成されている」ことに相当する。

(u)引用発明1の「パチンコ機100」は、本願補正発明の「ぱちんこ遊技機」に相当する。

そうすると、両者は、
「A 遊技球が入球可能な始動口と、
B 識別情報を表示可能な識別情報表示部と、
C 演出を表示可能な演出表示部と、
D 遊技の進行を制御する主遊技部と、
E 演出の表示制御を司る副遊技部と
を備え、
F 主遊技部は、
F1 始動口への入球に基づき、乱数を取得する乱数取得手段と、
F2 乱数取得手段により乱数が取得された場合、当否判定許可条件を充足するまで当該取得された乱数を保留として一時記憶する乱数一時記憶手段と、
F3 当否判定許可条件を充足した場合、前記乱数に基づき当否判定を実行する当否判定手段と、
F4 前記当否判定の結果に基づき、識別情報の停止識別情報を決定する識別情報表示内容決定手段と、
F5 識別情報表示内容決定手段による決定に基づき、識別情報表示部にて識別情報を変動表示した後、停止識別情報を停止表示するよう制御する識別情報表示制御手段と、
F6 前記当否判定の結果が当選である場合、識別情報表示部にて停止識別情報が停止表示された後、遊技者にとって有利な特別遊技を実行する特別遊技制御手段と、
F7 通常遊技状態と通常遊技状態よりも遊技者にとって有利な特定遊技状態とを有し、特定遊技状態である場合、識別情報の変動表示開始から停止表示までを一単位とし、特定遊技状態となったときから起算して当該一単位が所定回数行われるまでは、通常遊技状態としないよう制御し得る遊技状態制御手段と、
F8 副遊技部側で実行される演出表示に際して必要な遊技情報を副遊技部側へ送信する手段であって、当否判定許可条件を充足していない保留に関する情報を副遊技部側へ事前に送信し得る遊技情報送信手段と
を備え、
G 特定遊技状態における識別情報の変動表示時間を決定する際に参照されるテーブルとして第一変動パターンテーブルと、第一変動パターンテーブルとは識別情報の変動表示時間の選択傾向が異なる第二変動パターンテーブルとを少なくとも有し、特定遊技状態にて第一変動パターンテーブルを参照する第一変動状態と、特定遊技状態にて第二変動パターンテーブルを参照する第二変動状態とを少なくとも有しており、
H 特別遊技の実行終了後での特定遊技状態における特定期間において第一変動状態とし得るとともに、当該特別遊技の実行終了から起算して前記一単位が前記所定回数未満となる特定回数行われた後は、第一変動状態から第二変動状態とするよう構成されており、
I’第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数よりも多い第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間がそれぞれ規定されるよう構成されており、
J 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
K 第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数よりも多い第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる一方、
L 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
N 第二変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されており、
O 前記一単位が第一の回数行われるまでは第一変動状態が設定され得るよう制御され、前記一単位が第二の回数行われるまでは第二変動状態が設定され得るよう制御され、且つ、当該第一の回数が当該第二の回数よりも多くなるよう構成されており、
P 副遊技部は、
P1 主遊技部から送信された遊技情報を受信する遊技情報受信手段と、
P2 遊技情報受信手段により或る保留に関する情報が受信された場合、当該或る保留の存在を示唆又は報知する先読み演出を実行し得るよう制御する先読み演出実行制御手段と
を備え、
Q’第二変動状態である場合においては、第二変動状態とは異なる或る変動状態へと第二変動状態から切り替え可能であり、
T 第一変動状態である状況下にて実行可能な所定の演出は、通常遊技状態である状況下にも実行可能に構成されている
U ぱちんこ遊技機。」
である点で一致し、以下の相違点で相違する。

(相違点1)
本願補正発明は
「I 第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が第一の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数よりも多い第二の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる」ものであって、
「M 第一変動状態である場合においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されて」いるのに対し、
引用発明1は
「i、k タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:0?2」の乱数範囲0?97には変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2が対応付けられ」、「また、タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97には変動時間2秒の超短縮変動であるタイマ1が対応付けられ」ている点。

(相違点2)
本願補正発明は「S 第一変動状態にて或る保留が生起したにもかかわらず、第二変動状態にて当該或る保留に係る前記一単位の実行が予定されている場合には、当該或る保留に対応する先読み演出を第一変動状態にて実行しないよう構成されて」いるのに対し、引用発明1はそのように特定されていない点。

(相違点3)
本願補正発明はQの「当該或る変動状態となる直前の第二変動状態における前記一単位において、第二変動状態が終了して当該或る変動状態へ切り替わることを示唆する示唆演出を実行可能であり」、「R 第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果に応じて前記示唆演出の一部又はすべてが相違するよう構成されているか、或いは、第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が当選である場合には前記示唆演出を実行しないよう構成されて」いるのに対し、引用発明1はそのように特定されていない点。

(4)判断
以下、相違点について検討する。
(相違点1について)
パチンコ機において、変動時間の選択傾向を保留数が0?1の場合より2?3の場合を短縮傾向として、あるいは、保留数が0の場合より1?3の場合を短縮傾向として、頻繁に図柄の可変表示を実行することにより単位時間当たりの大当りの発生確率を向上して遊技の興趣を高めることは、例えば、

ア 本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2009-72320号公報(下線は当審で付した。)
「【0043】
また、時短状態(時間短縮状態)とは、特別図柄表示器8における特別図柄および可変表示装置9における飾り図柄の可変表示時間(変動時間)が通常遊技状態および確変状態よりも短縮される遊技状態のことをいう。このように可変表示時間が短縮されることにより、頻繁に図柄の可変表示が実行され、単位時間当たりの大当りの発生確率が向上する結果、遊技者にとって有利な状態となる。また、時短状態では、普通図柄表示器10において、停止図柄が当り図柄になる確率が通常遊技状態および確変状態より高められるとともに、可変入賞球装置15における開放時間と開放回数とのうちの一方または双方が通常遊技状態および確変状態よりも高められ、遊技者にとってさらに有利な状態になる。なお、普通図柄の停止図柄が当り図柄になる確率が向上し、可変入賞球装置15における開放時間と開放回数の一方または双方が高められた状態を高ベース状態といい、高ベース状態以外の通常の状態を低ベース状態という。」

「【0154】
図17に示す第1変動パターン決定テーブルは、通常遊技状態の通常モードにおいて始動入賞記憶数が1以下ではずれのときに選択される変動パターン(「00H」,「02H」,「03H」)が設定され、各変動パターンに複数の判定値が割り当てられた少入賞通常時はずれ用変動パターン決定用データと、通常遊技状態の通常モードにおいて始動入賞記憶数が2以上ではずれのときに選択される変動パターン(「07H」,「09H」,「0AH」)が設定され、各変動パターンに複数の判定値が割り当てられた多入賞通常時はずれ用変動パターン決定用データとを含む。
【0155】
また、図17に示す第1変動パターン決定テーブルは、時短状態の通常モードにおいて始動入賞記憶数が1以下ではずれのときに選択される変動パターン(「01H」?「03H」)が設定され、各変動パターンに複数の判定値が割り当てられた少入賞時短時はずれ用変動パターン決定用データと、時短状態の通常モードにおいて始動入賞記憶数が2以上ではずれのときに選択される変動パターン(「08H」,「09H」,「0AH」)が設定され、各変動パターンに複数の判定値が割り当てられた多入賞時短時はずれ用変動パターン決定用データとを含む。」

「【0171】
なお、図17および図18に示すように、特別図柄の保留記憶数(始動入賞記憶数)が1以下(0個または1個)のときの特別図柄の変動時間と、特別図柄の保留記憶数が2以上(2,3,4個)のときの特別図柄の変動時間とは異なる。具体的には、図17に示す第1変動パターン決定テーブルが用いられる通常モードでは、特別図柄の保留記憶数(始動入賞記憶数)が1以下(0個または1個)のときの特別図柄の変動時間(基本時間)から、一律3秒短縮した変動時間を、特別図柄の保留記憶数が2以上(2,3,4個)のときの特別図柄の変動時間(短時間)としている。また、図18に示す第2変動パターン決定テーブルが用いられるバトルモードでは、特別図柄の保留記憶数(始動入賞記憶数)が1以下(0個または1個)のときの特別図柄の変動時間(基本時間)から、一律5秒短縮した変動時間を、特別図柄の保留記憶数が2以上(2,3,4個)のときの特別図柄の変動時間(短時間)としている。通常モードとバトルモードとで短縮される時間が異なるのは、演出のモードによって演出を行うための好適な変動時間が異なるからである。」

イ 本願の出願遡及日前に頒布された刊行物である特開2012-75738号公報(下線は当審で付した。)

「【0062】
このように、時短状態に移行することによって、特別図柄や演出図柄の変動時間が短縮されるので、時短状態となったときには、有効な始動入賞が発生しやすくなり大当り遊技が行なわれる可能性が高まる。」

「【0312】
図22(a)の非時短状態はずれ時第1判定テーブルは、変動表示を開始する特別図柄について変動パターン決定時の保留記憶数が0または1のときに用いられる。たとえば、非時短状態はずれ時第1判定テーブルは、変動表示を開始する図柄が第1特別図柄であれば、変動パターン決定時の第1特別図柄の保留記憶数が0または1のときに用いられ、一方、変動表示を開始する図柄が第2特別図柄であれば、変動パターン決定時の第2特別図柄の保留記憶数が0または1のときに用いられる。本実施形態の場合、変動表示の実行条件の成立後、大当り判定処理時に保留記憶数のデータが1つ減算されるため、大当り判定後における変動パターン決定時には、保留記憶数のデータが、変動表示の開始条件が成立したときよりも1少ない値となっている。したがって、変動パターン決定時の保留記憶数が0または1のときは、変動表示の開始条件の成立時に保留記憶数が1または2ときに該当する。
【0313】
図22(b)の非時短状態はずれ時第2判定テーブルは、変動表示を開始する特別図柄について変動パターン決定時の保留記憶数が2または3のときに用いられる。たとえば、非時短状態はずれ時第2判定テーブルは、変動表示を開始する図柄が第1特別図柄であれば、変動パターン決定時の第1特別図柄の保留記憶数が2または3のとき(変動表示の開始条件の成立時に保留記憶数が3または4のとき)に用いられ、一方、変動表示を開始する図柄が第2特別図柄であれば、変動パターン決定時の第2特別図柄の保留記憶数が2または3のときに用いられる。
【0314】
これにより、非時短状態のときには、保留記憶数の増加に基づいて、変動表示が短い変動パターンが選択される割合が高くなるので、保留記憶数に応じて変動時間が短縮される保留数短縮制御が行なわれる。
【0315】
時短状態において変動表示結果がはずれとなるときには、変動パターンを決定するために、次のように判定テーブルを選択する。
【0316】
時短状態において、第1特別図柄または第2特別図柄について変動表示結果がはずれとなるときに、変動表示を開始する特別図柄について変動パターン決定時の保留記憶数が0であるとき(変動表示の開始条件の成立時に保留記憶数が1のとき)には、図23(a)の時短状態はずれ時第1判定テーブルを選択する。一方、時短状態において、第1特別図柄または第2特別図柄について変動表示結果がはずれとなるときに、変動表示を開始する特別図柄について変動パターン決定時の保留記憶数が1?3のいずれかであるとき(変動表示の開始条件の成立時に保留記憶数が2?4のいずれかであるときのとき)には、図23(b)の時短状態はずれ時第2判定テーブルを選択する。
【0317】
図23(a)の時短状態はずれ時第1判定テーブルでは、図22(a)の非時短状態はずれ時第1判定テーブルのときと比べて、通常変動(非リーチはずれ変動)に決定される割合が高く、リーチ変動(ノーマルリーチ変動およびスーパーリーチ変動を含む)に決定される割合が高くなるように、データが設定されている。これにより、変動表示を開始する特別図柄について変動パターン決定時の保留記憶数が0であるときには、非時短状態のときと比べて、時短状態のときの方が、変動時間が短い変動パターンが選択される割合が高いので、時短状態のときの方が、非時短状態のときよりも平均的に短い変動時間で変動表示が行なわれることとなる。
【0318】
図23(b)の時短状態はずれ時第2判定テーブルでは、図22(b)の非時短状態はずれ時第2判定テーブル、および、図23(b)の時短状態はずれ時第1判定テーブルのときと比べて、通常変動(非リーチはずれ変動)に決定される割合が低く、リーチ変動(ノーマルリーチ変動およびスーパーリーチ変動を含む)に決定される割合が高くなるように、データが設定されている。
【0319】
これにより、変動表示を開始する特別図柄について変動パターン決定時の保留記憶数が1?3のいずれかであるときには、非時短状態のときと比べて、時短状態のときの方が、変動時間が短い変動パターンが選択される割合が高いので、時短状態のときの方が、非時短状態のときよりも平均的に短い変動時間で変動表示が行なわれることとなる。さらに、前述のように、変動表示を開始する特別図柄について変動パターン決定時の保留記憶数が0であるときにも、非時短状態のときと比べて、時短状態のときの方が、平均的に短い変動時間で変動表示が行なわれることとなるので、時短状態においては、非時短状態と比べて、変動時間が短い遊技状態に制御されることとなる。
【0320】
また、時短状態において、変動表示を開始する特別図柄について変動パターン決定時の保留記憶数が1?3のいずれかであるときには、保留記憶数が0であるときと比べて、変動時間が短い変動パターンが選択される割合が高いので、保留記憶数が多いときの方が、保留記憶数が少ないときよりも平均的に長い変動時間で変動表示が行なわれることとなる。これにより、非時短状態のときには、保留記憶数の増加に基づいて、変動表示が短い変動パターンが選択される割合が高くなるので、保留記憶数に応じて変動時間が短縮される保留数短縮制御が行なわれる。」

に記載されているように周知技術である。
そして、頻繁に図柄の可変表示を実行することにより単位時間当たりの大当りの発生確率を向上して遊技の興趣を高めるために、引用発明1の「i、k タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:0?2」の乱数範囲0?97には変動時間5秒の短縮変動であるタイマ2が対応付けられ」、「また、タイマ選択テーブル2の「はずれ図柄1」の「保留:3」の乱数範囲0?97には変動時間2秒の超短縮変動であるタイマ1が対応付けられ」ている構成の変動時間の選択傾向を「保留:0?2」の場合と「保留:3」の場合とで異ならせることに代えて、上記周知技術を適用して、「保留:0?1または0」の場合と「保留2?3または1?3」の場合とで異ならせるようにして、相違点1に係る本願補正発明の構成、すなわち(引用発明1に上記周知技術を適用したものを括弧書きで示す。)、
「I 第一変動状態である場合(テーブル2を選択)においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が第一の保留数(0?1または0)である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第一の保留数よりも多い第二の保留数(2)である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の平均値に所定時間の平均値差分が生じる」ものであって、
「M 第一変動状態である場合(テーブル2を選択)においては、当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第二の保留数(2)である場合と当否判定許可条件を充足した時点での保留数が前記第三の保留数(3)である場合とで、当該当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が非当選となる場合における識別情報の変動表示時間の選択傾向が同一となるよう構成されて」いるものに想到することは当業者が容易になし得るものである。

(相違点2について)
引用発明2の「始動入賞の発生」は、本願補正発明の「ある保留が生起した」ことに相当する。
また、引用発明2の「大当り後変動カウント値が所定の演出モード移行判定値未満であるとともに、この大当り後変動カウント値に保留記憶数を加算すると演出モード移行判定値を超えるとき」は、本願補正発明の「第一変動状態にて或る保留が生起したにもかかわらず、第二変動状態にて当該或る保留に係る前記一単位の実行が予定されている場合」に相当する。
したがって、引用発明2の
「s 演出状態が演出モードA?演出モードCのいずれであるかに応じて異なる演出態様となり、大当り後変動カウント値が所定の演出モード移行判定値未満であるとともに、この大当り後変動カウント値に保留記憶数を加算すると演出モード移行判定値を超えるときには、始動入賞の発生に基づく先読み予告の実行を制限する先読み制限条件を成立させ」ることは、
本願補正発明の
「S 第一変動状態にて或る保留が生起したにもかかわらず、第二変動状態にて当該或る保留に係る前記一単位の実行が予定されている場合には、当該或る保留に対応する先読み演出を第一変動状態にて実行しない」ことに相当する。
そして、引用発明1のf8の「予告情報(事前予告情報、偽事前予告情報、または事前予告無情報のいずれか)が設定されたコマンドデータ」「の情報に基づ」く「演出制御内容」に関して、引用発明2の「u 先読み予告の演出態様と演出モードとに矛盾(不整合)が生じないようにして、遊技者に違和感を与えることを防止」するのと同様の目的のために、引用発明2を適用して、相違点2に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得るものである。

(相違点3について)
引用発明3の「q 可変表示結果が「ハズレ」となる時短終了時の可変表示(実行回数が上限時短回数に達したときの可変表示)において、バトル演出が行われ、「敗北!時短終了」と表示して時短状態の終了を報知」することは、本願補正発明のQの「当該或る変動状態となる直前の第二変動状態における前記一単位において、第二変動状態が終了して当該或る変動状態へ切り替わることを示唆する示唆演出を実行」することに相当する。
また、引用発明3は、「q 可変表示結果が「ハズレ」となる時短終了時の可変表示(実行回数が上限時短回数に達したときの可変表示)において、バトル演出が行われ、「敗北!時短終了」と表示して時短状態の終了を報知」する演出と、「r 可変表示結果が「大当り」となる時短終了時の可変表示において、バトル演出が行われ、「勝利!大当り」と表示する」演出とは、バトル演出の点で共通するが、「敗北!時短終了」と「勝利!大当り」とで表示が異なり、演出の一部が相違するから、本願補正発明の「R 第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果に応じて前記示唆演出の一部」「が相違するよう構成されている」ことに相当する。
したがって、引用発明3は相違点3に係る本願補正発明の構成を有するといえる。
そして、引用発明3の「f7 上限時短回数まで各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、普通図柄表示器20による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく普通可変入賞球装置6Bにおける可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御により、通常状態よりも遊技者にとって有利な時短状態」は、引用発明1のf7の「普図確変、普図変短、電チュー開延によりパチンコ機が遊技者にとって有利な状態になる電サポ状態」に相当するから、引用発明3のuの「ゲーム性」を「増し」「遊技の興趣を向上」させるのと同様の目的のために、引用発明3のq及びrの構成を引用発明1の「電サポ状態」の制御に適用して相違点3に係る本願補正発明の構成に想到することは、当業者が容易になし得るものである。

(効果について)
これらの相違点を総合的に勘案しても、本願補正発明の奏する作用効果は、引用発明1?3及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

(まとめ)
したがって、本願補正発明は、引用発明1?3及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(請求人の主張について)
請求人は、審判請求書において、本願補正発明は、引用文献1(特開2011-143008号公報)に係る発明と比較し、
<相違点1>「或る変動状態となる直前の第二変動状態における前記一単位において、第二変動状態が終了して当該或る変動状態へ切り替わることを示唆する示唆演出を実行可能であり、第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果に応じて前記示唆演出の一部又はすべてが相違するよう構成されているか、或いは、第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が当選である場合には前記示唆演出を実行しない」との点、
<相違点2>「第一変動状態にて或る保留が生起したにもかかわらず、第二変動状態にて当該或る保留に係る前記一単位の実行が予定されている場合には、当該或る保留に対応する先読み演出を第一変動状態にて実行しない」との点、
で少なくとも相違し、 引用文献1には、<相違点1>となる構成を採用するための手がかりについて何ら開示も示唆もされていないわけであるが、それ故、第一変動状態→第二変動状態との状態遷移を跨いだ先読み演出によって演出上の齟齬が発生し易く且つ最終煽り演出の役割が損なわれてしまう恐れがある、というような構成とはならず、よって、引用文献1発明に対して<相違点1>となる構成を組み込むための動機付けがなく、それによって引き起こされる新たな課題を解決するための手段である<相違点2>となる構成も、引用文献1発明に対して適用する必要性がなく、従って、引用文献1発明に基づき本願発明には想到困難である(<相違点1>及び<相違点2>を組み込むための動機付けがない)といえ、また、<相違点1>に関しては、引用文献2(特開2013-090852号公報)においても何ら開示も示唆もされていない(引用文献2の図7乃至8、図12等に示されるように、大当りが発生するか否かのみを煽る演出しか記載されていない)ため、仮に引用文献1発明と引用文献2発明とを組合せたとしても、本願発明にはならない(<相違点1>を補完できない)旨主張する。
しかしながら、上記<相違点1>については、上記(相違点3について)で検討したように、ゲーム性を増し遊技の興趣を向上させるために、引用発明1に引用発明3を適用して<相違点1>に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得るものである。
また、上記<相違点2>については、上記(相違点2について)で検討したように、先読み予告の演出態様と演出モードとに矛盾(不整合)が生じないようにして、遊技者に違和感を与えることを防止するために、引用発明1に引用発明2を適用して<相違点2>に係る本願補正発明の構成に想到することは当業者が容易になし得るものである。
したがって、請求人の主張は採用できない。

(5)本件補正についてのむすび
以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年12月2日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、前記第2[理由]1の(本件補正前)に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定の拒絶の理由は、
1.(省略)
2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願遡及日前に頒布された以下の引用文献に記載された発明に基づいて、その出願遡及日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、
というものである。

引用文献1:特開2011-143008号公報
引用文献2:特開2013-90852号公報

3 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及び引用文献2の記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は、前記第2の[理由]2で検討した本願補正発明の発明特定事項である「第二変動状態」に関して、「第二変動状態である場合においては、第二変動状態とは異なる或る変動状態へと第二変動状態から切り替え可能であり、当該或る変動状態となる直前の第二変動状態における前記一単位において、第二変動状態が終了して当該或る変動状態へ切り替わることを示唆する示唆演出を実行可能であり、第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果に応じて前記示唆演出の一部又はすべてが相違するよう構成されているか、或いは、第二変動状態である場合における当否判定許可条件を充足した際の前記当否判定の結果が当選である場合には前記示唆演出を実行しないよう構成されて」いるという限定事項を削除したものである。
そうすると、本願発明と引用発明1を対比すると、前記第2[理由]2(3)に記載した(相違点1)及び(相違点2)についてのみ相違し、その余の点で一致する。
そして、(相違点1)及び(相違点2)については、前記第2[理由]2(4)に記載したとおり、引用発明1、2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、引用発明1、2及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-19 
結審通知日 2018-03-22 
審決日 2018-04-03 
出願番号 特願2015-217801(P2015-217801)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤脇 沙絵杉山 輝和  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 萩田 裕介
藤田 年彦
発明の名称 ぱちんこ遊技機  
代理人 伊藤 温  

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