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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 H01L 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 取り消して特許、登録 H01L |
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管理番号 | 1340587 |
審判番号 | 不服2017-8222 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-06-07 |
確定日 | 2018-06-05 |
事件の表示 | 特願2013-178847「半導体装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 4月10日出願公開、特開2014- 63995、請求項の数(4)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
1 手続の経緯 本願は、平成25年8月30日の出願であって、平成28年11月1日付けの拒絶理由通知に対して平成29年1月10日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、同年3月1日付けで拒絶査定がなされた。 それに対して、同年6月7日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出された。 2 平成29年6月7日に提出された手続補正書による補正についての却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年6月7日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] (1)補正の内容 本件補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項1,3を補正後の特許請求の範囲の請求項1,3と補正するものであり、補正前後の請求項1は次のとおりである。(下線は、補正箇所に付したものである。) (補正前) 「 【請求項1】 基板と、前記基板の上面側に設けられた素子構造と、を有する半導体素子と、 前記半導体素子が実装される実装部材と、 前記半導体素子の基板の下面側と前記実装部材を接合する接合部材と、を備え、 前記半導体素子の基板は、半導体を母材とし、 前記半導体素子の基板の母材はシリコンであり、 前記半導体素子の基板の厚さは50μm以上500μm以下であり、 前記実装部材は、繊維強化樹脂、銅、鉄入り銅、アルミニウム、アルミニウム合金のうちのいずれか1つを母材とする基体を有する配線基板であって、 前記接合部材は、金属粒子の焼結体であって、多孔質である半導体装置。」 (補正後) 「 【請求項1】 基板と、前記基板の上面側に設けられた素子構造と、を有する半導体素子と、 前記半導体素子が実装される実装部材と、 前記半導体素子の基板の下面側と前記実装部材を接合する接合部材と、を備え、 前記半導体素子は、発光ダイオードであり、 前記半導体素子の基板と前記素子構造との間には金属反射膜又は誘電体多層膜を含む接合層が配置されており、 前記半導体素子の基板は、半導体を母材とし、 前記半導体素子の基板の母材はシリコンであり、 前記半導体素子の基板の下面に銀、プラチナ、金、チタン、アルミニウム又はこれらの合金である金属膜が設けられ、 前記半導体素子の基板の厚さは50μm以上500μm以下であり、 前記実装部材は、繊維強化樹脂、銅、鉄入り銅、アルミニウム、アルミニウム合金のうちのいずれか1つを母材とする基体を有する配線基板であって、前記配線基板の表面は、銀、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム、又はこれらの合金、若しくは酸化銀や銀合金の酸化物から選ばれる少なくとも1つの被膜が形成されており、 前記接合部材は、金属粒子の焼結体であって、多孔質であり、前記金属粒子は、銀又は銀合金であり、 前記接合部材は、前記半導体素子の基板の側面の一部を被覆している半導体装置。」 (2)本件補正についての検討 ア 補正事項の整理 本件補正を整理すると次のとおりである。 [補正事項1] 平成29年1月10日付けの手続補正書により補正された請求項1(以下「旧請求項1」という。)の「を備え、」を「を備え、 前記半導体素子は、発光ダイオードであり、前記半導体素子の基板と前記素子構造との間には金属反射膜又は誘電体多層膜を含む接合層が配置されており、」とする。 [補正事項2] 旧請求項1の「前記半導体素子の基板の母材はシリコンであり、」を「前記半導体素子の基板の母材はシリコンであり、 前記半導体素子の基板の下面に銀、プラチナ、金、チタン、アルミニウム又はこれらの合金である金属膜が設けられ、」とする。 [補正事項3] 旧請求項1の「配線基板であって、」を「配線基板であって、前記配線基板の表面は、銀、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム、又はこれらの合金、若しくは酸化銀や銀合金の酸化物から選ばれる少なくとも1つの被膜が形成されており、」とする。 [補正事項4] 旧請求項1の「多孔質である」を「多孔質であり、前記金属粒子は、銀又は銀合金であり、 前記接合部材は、前記半導体素子の基板の側面の一部を被覆している」とする。 イ 新規事項の追加の有無について まず、補正事項3について検討する。 本願の願書に最初に添付された明細書(以下「当初明細書」という。また、本願の願書に最初に添付された明細書又は図面をまとめて「当初明細書等」という。)の段落【0034】には「配線の表面には、銀、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム、又はこれらの合金、若しくは酸化銀や銀合金の酸化物などの被膜が形成されていてもよい。特に、配線の半導体素子が接合される部位の表面が銀で被覆されていてもよい。」、段落【0035】には「リードフレームの表面には、銀、ニッケル、パラジウム、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム、又はこれらの合金、若しくは酸化銀や銀合金の酸化物などの被膜が形成されていてもよい。」と記載されている。そして、段落【0034】、段落【0035】以外の段落又は図面には、「銀、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム、又はこれらの合金、若しくは酸化銀や銀合金の酸化物などの被膜」について記載も示唆もされていない。よって、当初明細書等には「銀、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム、又はこれらの合金、若しくは酸化銀や銀合金の酸化物などの被膜」が形成される位置について、配線の表面又はリードフレームの表面だけが記載されている。 配線基板は配線と基体からなるものであり、配線基板の表面には配線の表面だけでなく基体の表面が含まれるから、「前記配線基板の表面は、銀、プラチナ、錫、金、銅、ロジウム、又はこれらの合金、若しくは酸化銀や銀合金の酸化物から選ばれる少なくとも1つの被膜が形成されており、」は当初明細書等に記載されていない。 したがって、補正事項3は、当初明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものといえるから、当初明細書等の記載された事項の範囲内においてなされたものではない。 よって、補正事項3は、当初明細書等に記載した事項の範囲内においてなされたものではないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 ウ 新規事項の追加の有無についてのむすび 本件補正は、補正事項3を含むものであるから、他の補正事項について検討するまでもなく、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。 (3)補正の却下の決定についてのむすび 以上検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていないものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3 本願発明について 本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1-5に係る発明は、平成29年1月10日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1-5に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 そして、本願については、原査定の拒絶理由を検討してもその理由によって拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-05-18 |
出願番号 | 特願2013-178847(P2013-178847) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(H01L)
P 1 8・ 561- WY (H01L) |
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小濱 健太 |
特許庁審判長 |
恩田 春香 |
特許庁審判官 |
星野 浩一 村井 友和 |
発明の名称 | 半導体装置 |