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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06F
管理番号 1340609
審判番号 不服2017-5537  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-18 
確定日 2018-06-12 
事件の表示 特願2013-246403「電子機器」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月 8日出願公開、特開2015-106170、請求項の数(8)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年11月28日の出願であって、平成29年1月16日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年4月18日に拒絶査定不服審判の請求がされ、その後、平成29年10月31日付けで当審より拒絶理由が通知され、平成30年1月5日に手続補正がされるとともに意見書が提出され、平成30年1月25日付けで当審より拒絶理由(最後)(以下、「当審拒絶理由」という。)が通知され、平成30年4月2日に手続補正がされるとともに意見書が提出されたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年1月16日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

理由1 本願請求項1-3に係る発明は、以下の引用文献Aに記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

理由2 本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献A-Cに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
A.特開2011-76233号公報
B.特開2012-59291号公報
C.特開2003-316518号公報

第3 当審拒絶理由の概要
当審拒絶理由の概要は次のとおりである。

理由A(特許法第29条第2項)について
本願請求項1-8に係る発明は、引用文献1-4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2012-84137号公報
2.特開2011-221640号公報
3.欧州特許出願公開第2341418号明細書
4.特開2011-76233号公報(拒絶査定時の引用文献A)

理由B(特許法第36条第6項第2号)について
本願は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第4 本願発明
本願請求項1-8に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明8」という。)は、平成30年4月2日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、
前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記画面処理の基準点を設定してから所定時間経過後に前記基準点を解除することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記表面のタッチセンサによりスライド操作を検出した場合、前記画面処理として画面の拡大縮小を行う、請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記表面のタッチセンサにより回転操作を検出した場合、前記画面処理として画面の回転を行う、請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記背面のタッチセンサに対する押圧を検出する押圧検出部を備え、
前記制御部は、前記押圧検出部により検出される押圧に基づくデータが所定の閾値を満たすと、前記基準点を設定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、
前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記背面タッチセンサへの接触が離れて前記背面タッチセンサへの入力が終了した際に前記基準点を解除することを特徴とする電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記表面のタッチセンサによりスライド操作を検出した場合、前記画面処理として画面の拡大縮小を行う、請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記表面のタッチセンサにより回転操作を検出した場合、前記画面処理として画面の回転を行う、請求項5又は6に記載の電子機器。
【請求項8】
前記背面のタッチセンサに対する押圧を検出する押圧検出部を備え、
前記制御部は、前記押圧検出部により検出される押圧に基づくデータが所定の閾値を満たすと、前記基準点を設定する、請求項5乃至7のいずれか一項に記載の電子機器。」


第5 当審拒絶理由の理由A(特許法第29条第2項)について
1.引用文献、引用発明等
(1) 引用文献1及び引用発明
当審拒絶理由に引用した引用文献1には、図面とともに、以下の記載がある(下線は、特に着目した箇所を示す。以下同様。)。

ア 実施形態1(段落【0012】-【0040】)
「【0012】
(実施形態1)
まず、図1および図2を参照しながら、第1の実施形態に係る携帯電話端末1の外観について説明する。図1は、正面側からみた携帯電話端末1の斜視図であり、図2は、背面側からみた携帯電話端末1の斜視図である。携帯電話端末1は、正面側の面SFと、その反対側の面SBとが、平坦で、他の面よりも広く形成された板状の筐体を有する。携帯電話端末1は、面SFに、タッチパネル2と、ボタン3A、ボタン3Bおよびボタン3Cからなる入力部3とを備える。また、携帯電話端末1は、面SBに、タッチセンサ4を備える。

・・・(中略)・・・

【0014】
次に、図3および図4を参照しながら、携帯電話端末1による接触位置の検出およびポインタの表示について説明する。図3は、携帯電話端末1による接触位置の検出について説明するための図である。図4は、背面での接触位置に対応する位置でのポインタの表示について説明するための図である。
【0015】
上述したように、携帯電話端末1は、正面である面SFに対する指の接触をタッチパネル2によって検出し、背面である面SBに対する指の接触をタッチセンサ4によって検出する。以下の説明では、面SFに対する指の接触を検出した位置を第1の位置P1と称することとする。また、面SBに対する指の接触を検出した位置を第2の位置P2と称し、第2の位置P2に対応する面SF上の位置を第3の位置P3と称することとする。ここで、第3の位置P3は、典型的には、図3に示すように、第2の位置P2を通過する直線L1が面SFと直交する位置、すなわち、第2の位置P2に最も近接する面SF上の位置である。
【0016】
携帯電話端末1は、図4に示すように、タッチパネル2上に第3の位置P3を示すポインタ30を表示させる。携帯電話端末1は、背面である面SBに指F1が接触する位置が移動すると、追随して、ポインタ30を表示する位置を移動させる。このように、タッチパネル2上に第3の位置P3を示すポインタ30を表示させることにより、利用者が、自身の指が携帯電話端末1の背面のどこに接触しているのかを容易に把握することが可能になる。

・・・(中略)・・・

【0039】
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話端末1の動作を統括的に制御する。具体的には、制御部10は、記憶部9に記憶されているデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部9に記憶されているプログラムを実行して、タッチパネル2、通信部6等を制御することによって各種処理を実行する。制御部10は、記憶部9に記憶されているプログラムや、処理を実行することによって取得/生成/加工されたデータを、一時的な記憶領域を提供するRAM11に必要に応じて展開する。なお、制御部10が実行するプログラムや参照するデータは、通信部6による無線通信でサーバ装置からダウンロードすることとしてもよい。
【0040】
例えば、制御部10は、ブラウザプログラム9Bを実行することによって、WEBページをタッチパネル2に表示させる機能を実現する。また、制御部10は、画面制御プログラム9Cを実行することによって、各種プログラムが利用者と対話的にやりとりをしながら処理を進めるために必要な各種の画面制御を実現する。」

イ 実施形態2(段落【0048】-【0061】)
「【0048】
(実施形態2)
上記の第1の実施形態では、選択範囲が設定された後に第1の位置P1と第3の位置P3とが移動した場合に選択範囲を変更することとしたが、このような場合に、画面の表示倍率を変更することとしてもよい。そこで、第2の実施形態では、選択範囲が設定された後の第1の位置P1および第3の位置P3の移動にともなって、画面の表示倍率を変更する例について説明する。なお、第2の実施形態に係る携帯電話端末は、画面制御プログラム9Cの制御が異なることを除いて、第1の実施形態に係る携帯電話端末と同様の構成を有する。そのため、以下では、第2の実施形態に係る携帯電話端末を携帯電話端末1として実施形態を説明する。
【0049】
まず、図11を参照しながら、画面の表示倍率を変更する操作に関する画面制御について説明する。図11は、画面の表示倍率を変更する操作に関する画面制御の一例を示す図である。
【0050】
図11のステップS1では、タッチパネル2に複数のアイコン20が整列して表示されている状態において、利用者の指が携帯電話端末1の面SFに接触し、利用者の他の指が携帯電話端末1の面SBに接触している。このように、アイコンが表示されている状態で、面SFと面SBにおいて指の接触が検出された場合、携帯電話端末1は、面SFでの接触位置である第1の位置P1と、面SBでの接触位置に対応する第3の位置P3とを対角とする矩形領域を選択範囲として設定する。
【0051】
そして、携帯電話端末1は、選択範囲に含まれるアイコンを選択状態とする。選択状態となっているアイコンは、利用者による後続の操作に応じて、移動、転記、削除、対応する機能の起動等の処理が一括して行われる対象となる。
【0052】
続いて、ステップS2のように、利用者が、接触を保ったままで指を動かして第1の位置P1と第3の位置P3とが移動したものとする。選択範囲が設定された状態で第1の位置P1と第3の位置P3とが移動した場合、携帯電話端末1は、ステップS3のように、移動前の第1の位置P1および第3の位置P3を対角とする矩形領域の大きさと、移動後の第1の位置P1および第3の位置P3を対角とする矩形領域の大きさとの比率に応じて、画面の表示倍率を変更する。なお、第1の位置P1と第3の位置P3のいずれか一方が移動した場合でも、表示倍率は変更される。
【0053】
ここで、画面の表示倍率を変更する比率は、例えば、移動前後の矩形領域の面積比に応じて決定してもよいし、移動前後の矩形領域の長辺の長さの比率に応じて決定してもよいし、移動前後の矩形領域の短辺の長さの比率に応じて決定してもよい。また、画面の横方向の表示倍率を、移動前後の矩形領域の横方向の長さの比率に応じて決定し、画面の縦方向の表示倍率を、移動前後の矩形領域の縦方向の長さの比率に応じて決定するというように、縦横比を変更することとしてもよい。
【0054】
このように、第2の実施形態に係る画面制御方法では、選択範囲が設定された後における第1の位置P1および第3の位置P3の移動にともなって画面の表示倍率が変更される。この方法では、2点での接触に基づいて画面の表示倍率が変更されるものの、正面と背面ではそれぞれ1点での接触が検出できればよい。このため、複数の位置での接触を検出できる高価なマルチタップ対応のセンサを用いることなく、比較的安価なシングルタップ用のタッチパネルやタッチセンサを用いて上記のような直感的で容易な操作を実現することができる。
【0055】
なお、図11では、アイコンが表示されている場面で画面の表示倍率を変更する例を示したが、テキストや画像等の他の情報がタッチパネル2に表示されている場面であっても、同様の操作によって画面の表示倍率が変更される。また、図11では、画面を拡大表示する例を示しているが、画面を縮小表示させることもできる。
【0056】
次に、携帯電話端末1が画面の表示倍率変更の操作に関する画面制御を実行する場合の動作について説明する。図12は、携帯電話端末1の画面の表示倍率変更の操作に関する画面制御を実行する場合の処理手順を示すフロー図である。図12に示す処理手順は、タッチパネル2に表示されている画面が表示倍率を変更可能な状態にある間繰り返して実行される。
【0057】
まず、ステップS21として、制御部10は、タッチセンサ2Aとタッチセンサ4の検出結果を取得する。ここで、タッチセンサ2Aとタッチセンサ4のいずれにおいても接触が検出されていない場合(ステップS22,Yes)、制御部10は、特に処理を行わない。タッチセンサ2Aとタッチセンサ4の少なくとも一方において接触が検出された場合(ステップS22,No)、制御部10は、ステップS23以降を実行する。
【0058】
タッチセンサ2A(正面)またはタッチセンサ4(背面)のいずれか一方のみで接触が検出された場合(ステップS23,Yes、または、ステップS24,Yes)、制御部10は、ステップS25として、タッチセンサ2Aとタッチセンサ4のいずれか一方で接触が検出された場合に行う通常の処理を実行する。ここでいう通常の処理とは、例えば、アイコンがタップされた場合に、タップされたアイコンに対応付けられている機能を起動させる処理である。
【0059】
また、タッチセンサ2Aとタッチセンサ4のいずれにおいても接触が検出された場合、すなわち、携帯電話端末1の正面と背面で接触が検出された場合(ステップS23,No、かつ、ステップS24,No)、制御部10は、ステップS26として、選択範囲を設定済みであるかを判定する。
【0060】
ここで選択範囲が設定済みでない場合(ステップS26,No)、制御部10は、ステップS27として、第1の位置P1と第3の位置P3(第2の位置P2)とに基づいて選択範囲を決定する。決定した選択範囲に関する情報は、後続の処理のためにRAM11に格納される。一方、選択範囲が設定済みの場合(ステップS26,Yes)、制御部10は、ステップS28として、移動前の第1の位置P1および第3の位置P3(第2の位置P2)を対角とする矩形領域の大きさと、移動後の第1の位置P1および第3の位置P3(第2の位置P2)を対角とする矩形領域の大きさとの比率に応じて、画面の表示倍率を変更する。
【0061】
上述したように、第2の実施形態では、選択範囲が設定された後における携帯電話端末1の正面側および背面側での指の移動に基づいて画面の表示倍率を変更することとしたので、利用者が画面の表示倍率の変更を容易に行うことができ、また、表示倍率の変更のための操作時に誤動作が発生し難い。」

ウ 実施形態3(段落【0062】-【0081】)
「【0062】
(実施形態3)
上記の実施形態では、正面側のタッチパネルと背面側のタッチパネルとを用いて範囲選択の操作を可能とする例について説明したが、これらのタッチパネルを用いて他の操作を可能とすることができる。そこで、第3の実施形態では、正面側のタッチパネルと背面側のタッチパネルとを用いて範囲選択以外の操作を可能とする例について説明する。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分には、既に説明した部分と同一の符号を付す。また、重複する説明を省略することがある。
【0063】
以下に、図面を参照しながら第3の実施形態に係る携帯電話端末(携帯電子機器)31について説明する。携帯電話端末31は、図1および図2等に示した携帯電話端末1と同様の外観を有する。すなわち、携帯電話端末31は、正面の面SFに、タッチパネル2を備え、背面の面SBに、タッチセンサ4を備える。

・・・(中略)・・・

【0065】
まず、3次元形状のアイコンを回転させる操作に関する画面制御について説明する。図13のステップS31では、携帯電話端末31は、タッチパネル2にアイコン40を表示させている。アイコン40は、立方体形状を有し、斜投影図法等によって立体的に表示される。アイコン40の各面には、特定の機能が割り当てられており、携帯電話端末31は、アイコン40がタップされると、アイコン40の各面に割り当てられている機能のうち、正面として表示されている面に対応する機能を起動させる。

・・・(中略)・・・

【0069】
ここで、ステップS32のように、利用者の指FAが、タッチパネル2のアイコン40が表示されている位置に触れ、利用者の指FBが、その位置の裏側付近でタッチセンサ4に触れたものとする。そのため、ステップS32の場面では、タッチパネル2によって指FAの接触が検出されている位置とタッチセンサ4によって指FBの接触が検出されている位置との間にアイコン40が表示された状態となっている。
【0070】
このように、タッチパネル2で接触が検出されている位置とタッチセンサ4で接触が検出されている位置との間にアイコン40が表示されている場合、携帯電話端末31は、アイコン40が利用者によって摘まれていると判定する。そして、携帯電話端末31は、アイコン40が利用者によって摘まれていると判定すると、その旨を利用者に報知するために、タッチパネル2とタッチセンサ4の少なくとも一方を振動させる。
【0071】
このように、タッチパネル2等を振動させることにより、利用者は、アイコン40を摘む動作が携帯電話端末31によって認識されたことを確認することができる。なお、タッチパネル2等を振動させるには、例えば圧電素子を利用する方式等の任意の公知の方式を用いることができる。また、タッチパネル2やタッチセンサ4だけでなく、携帯電話端末31全体を振動させることとしてもよい。また、タッチパネル2を点滅させるといった振動以外の手段によって利用者への報知を行うこととしてもよい。
【0072】
続いて、ステップS33のように、利用者が指FAをタッチパネル2に触れたままで図中左方向へ移動させ、指FBをタッチセンサ4に触れたままで図中右方向へ移動させる動作が検出されたものとする。このように、携帯電話端末31は、アイコン40を摘む動作を認識した後に、指がタッチパネル2またはタッチセンサ4に触れたままで移動する動作を検出すると、検出した指の移動の方向と量とに応じてアイコン40の向きを変更させる。
【0073】
具体的には、携帯電話端末31は、アイコン40の重心を回転の中心として、指FAがタッチパネル2に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の前面を回転させるとともに、指FBがタッチセンサ4に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の背面を回転させる。なお、回転の感度、すなわち、指の移動量に対するアイコンの回転量の大きさは、利用者が好みに応じて設定できることが好ましい。

・・・(中略)・・・

【0076】
また、ステップS32の状態から、ステップS35のように、利用者が指FAをタッチパネル2に触れたままで図中下方向へ移動させ、指FBをタッチセンサ4に触れたままで図中上方向へ移動させる動作が検出されたものとする。この場合、携帯電話端末31は、アイコン40の重心を回転の中心として、指FAがタッチパネル2に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の前面を回転させるとともに、指FBがタッチセンサ4に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の背面を回転させる。

・・・(中略)・・・

【0081】
また、図13では、3次元形状のオブジェクトが立体的に表示されることとしたが、3次元形状のオブジェクトの正面だけを2次元的に表示することとしてもよい。また、タッチパネル2に表示され、操作対象となるオブジェクトは、3次元形状のオブジェクトではなく、2次元形状のオブジェクトであってもよい。」

よって、上記各記載事項を関連図面に照らし、下線部に着目すれば、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「携帯電話端末1は、
正面である面SFに対する指の接触をタッチパネル2によって検出し、
背面である面SBに対する指の接触をタッチセンサ4によって検出し、
面SFに対する指の接触を検出した位置を第1の位置P1と称し、また、面SBに対する指の接触を検出した位置を第2の位置P2と称し、第2の位置P2に対応する面SF上の位置を第3の位置P3と称し、
タッチパネル2上に第3の位置P3を示すポインタ30を表示させ、背面である面SBに指F1が接触する位置が移動すると、追随して、ポインタ30を表示する位置を移動させ、
制御部10は、画面制御プログラム9Cを実行することによって、各種プログラムが利用者と対話的にやりとりをしながら処理を進めるために必要な各種の画面制御を実現し、

画面の表示倍率を変更する操作に関する画面制御について、
ステップS1では、アイコンが表示されている状態で、面SFと面SBにおいて指の接触が検出された場合、携帯電話端末1は、面SFでの接触位置である第1の位置P1と、面SBでの接触位置に対応する第3の位置P3とを対角とする矩形領域を選択範囲として設定し、そして、携帯電話端末1は、選択範囲に含まれるアイコンを選択状態とし、
続いて、ステップS2のように、利用者が、接触を保ったままで指を動かして第1の位置P1と第3の位置P3とが移動した場合、
携帯電話端末1は、ステップS3のように、移動前の第1の位置P1および第3の位置P3を対角とする矩形領域の大きさと、移動後の第1の位置P1および第3の位置P3を対角とする矩形領域の大きさとの比率に応じて、画面の表示倍率を変更し、なお、第1の位置P1と第3の位置P3のいずれか一方が移動した場合でも、表示倍率は変更され、
テキストや画像等の他の情報がタッチパネル2に表示されている場面であっても、同様の操作によって画面の表示倍率が変更され、また、画面を縮小表示させることもでき、
携帯電話端末1の画面の表示倍率変更の操作に関する画面制御を実行する場合の処理手順は、タッチパネル2に表示されている画面が表示倍率を変更可能な状態にある間繰り返して実行され、
タッチセンサ2A(正面)またはタッチセンサ4(背面)のいずれか一方のみで接触が検出された場合(ステップS23,Yes、または、ステップS24,Yes)、制御部10は、ステップS25として、タッチセンサ2Aとタッチセンサ4のいずれか一方で接触が検出された場合に行う通常の処理を実行し、ここでいう通常の処理とは、例えば、アイコンがタップされた場合に、タップされたアイコンに対応付けられている機能を起動させる処理であり、

3次元形状のアイコンを回転させる操作に関する画面制御について、
ステップS31では、携帯電話端末31は、タッチパネル2にアイコン40を表示させており、
ここで、ステップS32のように、利用者の指FAが、タッチパネル2のアイコン40が表示されている位置に触れ、利用者の指FBが、その位置の裏側付近でタッチセンサ4に触れ、タッチパネル2で接触が検出されている位置とタッチセンサ4で接触が検出されている位置との間にアイコン40が表示されている場合、携帯電話端末31は、アイコン40が利用者によって摘まれていると判定すると、その旨を利用者に報知するために、タッチパネル2とタッチセンサ4の少なくとも一方を振動させ、
続いて、ステップS33のように、利用者が指FAをタッチパネル2に触れたままで左方向へ移動させ、指FBをタッチセンサ4に触れたままで右方向へ移動させる動作が検出されたものとすると、アイコン40の重心を回転の中心として、指FAがタッチパネル2に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の前面を回転させるとともに、指FBがタッチセンサ4に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の背面を回転させ、
また、ステップS32の状態から、ステップS35のように、利用者が指FAをタッチパネル2に触れたままで下方向へ移動させ、指FBをタッチセンサ4に触れたままで上方向へ移動させる動作が検出された場合、アイコン40の重心を回転の中心として、指FAがタッチパネル2に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の前面を回転させるとともに、指FBがタッチセンサ4に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の背面を回転させ、
タッチパネル2に表示され、操作対象となるオブジェクトは、3次元形状のオブジェクトではなく、2次元形状のオブジェクトであってもよい、
携帯電話端末1。」

(2) 引用文献2、引用文献3
当審拒絶理由に引用した引用文献2には、図面とともに、以下の記載がある。
ア 段落【0098】-【0099】
「情報処理装置100は、例えば、操作対象であるオブジェクトを親指で触れ、かつ筐体を握って筐体に荷重を加えると、検出される荷重が閾値荷重以上となったとき、選択されているオブジェクトに関連付けられた処理を実行させることができる。このように、上述の説明と同様、このような構成の情報処理装置100においても、タッチパネル105により検出された指定位置と、圧力センサ106により検出された荷重に基づいて、所定の処理の実行を決定することができる。
また、圧力センサ106を複数設けることができることから、例えば、筐体の背面側に複数の圧力センサ106を設けることもできる。このような構成とすることで、各圧力センサ106による荷重検出結果の変化より、背面を支持する手の動きを検出することも可能となる。……」

当審拒絶理由に引用した引用文献3には、図面(特に、図6D)とともに、以下の記載がある。
イ 段落【0062】の文末
「Again using the pinch hold, and as seen in Figure 6D, moving only the front finger (for example, inwards in Figure 6D) whilst holding the rear finger static to generate a null correlation. Where correlation-based inputs have recently occurred (e.g. within a threshold time period before detection of the movement shown in Figure 6D), this may be interpreted as a 'selection' gesture. Thus in this example, the user can rapidly (Figures 6B and 6C), then slowly (Figure 6A) navigate a document or list, before selecting (Figure 6D) an element of that document or list (or game space or the like), all without letting go of the device, or tapping any real or virtual button.」
(当審訳:再び、ピンチ・ホールドを用いて、図6Dに示すように、前側の指(例えば、図6Dの内側)のみを移動させながら、後側の指を保持することは、無相関を形成する。(例えば、図6Dに示される動きが検出されるより閾値時間以前に)相関に基づく入力が最近行われた場合、「選択」ジェスチャであると解釈される。本例によれば、まったくデバイスを離すことなく、また、現実または仮想のボタンをタップすることなく、ユーザは迅速に(図6B、6C)、それからゆっくりと(図6A)、文書又はリストをナビゲートでき、そして、文書又はリスト(またはゲーム空間等)の要素を選択できる(図6D)。)

ウ 段落【0065】の文頭
「Finally, it will be appreciated that where one or both of the touch sensitive surfaces are able to detect changes in applied pressure, the use of pressure to select or enact a function may also be considered.」
(当審訳:最後に、一方又は両方のタッチ感知表面は、加えられた圧力の変化を検出できることに注意されたい。また、圧力を利用することで、ある機能を選択したり、規定することも考えられる。)

エ 上記引用文献2、引用文献3の各記載から、一般に、タッチ入力を多様化するために、タッチパネルへの「押圧力」を検出する手段を設ける点は、周知技術であると認められる。

(3) 引用文献4
ア 当審拒絶理由に引用した引用文献4の段落【0060】に、「また、拡大・縮小モードの終了判定は(ステップS25)、第2操作部16から人差し指32が離れてから所定時間(2秒程度)経過後に行ってもよい。」と記載され、段落【0065】に、「また、平面回転モードの終了判定は、第2操作部16から人差し指32が離れてから所定時間(2秒程度)経過後に行ってもよい。」と記載されるように、一般に、意図しない操作による誤動作防止などのために、タッチ操作の終了から所定時間経過後に、タッチ操作に関連する処理を終了する点は、周知技術であると認められる。

イ 当審拒絶理由に引用した引用文献4には、さらに、図面とともに、以下の記載がある。

(ア) 段落【0022】
「【0022】
まず、本発明に係る画像操作方法に利用する人間の指の特性について説明する。図1は、人間の指の特性について説明する説明図である。図1に示すように、親指と同じ手の他の指(人差し指、中指、薬指、および小指)とは、目視せずとも簡単に合わせることができる。この特性を利用すれば、図2に示すように、画像表示装置の表示部があるおもて面に親指を接触させた場合、その座標に対応する裏面の位置に対して他の指は容易に接触できる。すなわち、裏面から任意の位置(座標)に対して入力を行いたい場合には、同じ手の親指でおもて面を、他の指で裏面を触ることによって、画像表示装置を裏返して入力位置を確認する必要なく、また、裏面の指の状況を透過や撮影により目視して確認する必要もなく、おもて面を見ながら裏面から容易に位置(座標)を入力することができる。」

(イ) 段落【0041】-【0058】
「【0041】
以下、一例としてユーザがスライドショーを選択し、さらに各種の画像処理として拡大・縮小処理を行った場合を説明する。
ユーザが表示部12に表示されたスライドショーのボタン表示に触れると、つまり、タッチパネルである第1操作部14のスライドショーのボタン表示に対応する部分に触れると、第1操作部14への接触が検出された座標を示す第1座標情報を含む、第1操作信号が第1操作部14から出力される。
【0042】
制御部22には、第1操作部14から出力された第1操作信号が入力され、第1操作信号に含まれる第1座標情報の座標と、スライドショーのボタン表示の座標の範囲が比較される。このとき、第1座標情報の座標がスライドショーのボタン表示の座標の範囲と少なくとも一部が重複していれば、ユーザがスライドショーのボタンに触れたと判断され、スライドショーを開始する信号が出力される。
【0043】
画像処理部18には、制御部22から出力されたスライドショーを開始する信号が入力され、記憶部20に格納された画像データが順次読み出される。画像処理部18では、読み出された画像データに対しスライドショーを行うための画像処理が行われ、表示部12へ表示される画像データが出力され、表示部12ではスライドショーが表示される。
【0044】
次に、スライドショーが表示された状態での拡大・縮小処理について、図7および図10の説明図、ならびに図8および図9のフローチャートに従って説明する。なお、以下の説明ではユーザの操作について、裏面の操作が右手人差し指、おもて面の操作が右手親指でされるものとして説明するが、左手で操作してもよいし、裏面の操作は中指、薬指、および小指でされてもよい。
【0045】
図7(a)に示すように、表示部12にスライドショーが表示されている状態にあるとき、親指34で表示部12に表示されている画像の画像処理を行いたい点を、表示部12上に設けられた第1操作部14に触れることで指定する。このとき、第1操作信号が第1操作部14より出力される。また、右手人差し指32で、裏面に設けられた第2操作部16に触れると、第2操作信号が第2操作部16より出力される。つまり、親指34と人差し指32で画像表示装置10を表裏で掴んだ状態となる(ステップS0)。
このとき、人の指の特性から、ユーザは親指34で任意の点を指定することで、裏面の第2操作部16に対して、人差し指32で正確に対応する点を入力することができる(入力された点を“O”とする。以下、基準点“O”、または第3座標ともいう)。なお、親指34と人差し指32はどちらが先に接触してもよいし、同時に接触してもよい。
その後、親指34は、例えばフレームを押さえるなど、画像表示装置10を保持しつつ、スライドショーの観賞を妨げないように、表示部12および第1操作部14上から離しておくのがよい。
【0046】
親指34で画像処理を行いたい点を指定したときに、誤入力を防止するため、第1操作部14と第2操作部16からそれぞれ入力された、第1座標情報および第2座標情報の座標について、親指34と対応する人差し指32により入力されたものかどうか判断される(ステップS1)。例えば、第1座標情報および第2座標情報の座標のうち、所定数以上の座標が重複していれば、親指34と対応する人差し指32により入力されたものと判断してもよいし、より正確性を求めるならば、第1座標情報および第2座標情報の座標のうち、重複する座標が50%以上の場合に親指34と対応する人差し指32により入力されたものと判断してもよい。
また、同様に誤入力を防止するため、第1操作信号が入力されてから第2操作信号が入力されるまでの期間、または第2操作信号が入力されてから第1操作信号が入力されるまでの期間が所定の時間(例えば、1秒以下)である場合に、親指34と対応する人差し指32により入力されたものと判断してもよい。
【0047】
制御部22では、第2操作信号が入力されると、第2操作信号から第2座標情報が取り出され、図7(b)に示すように、第2座標情報の座標に対応する表示部12上の座標(つまり、第1操作部14の座標)に、実行可能な画像処理の選択肢(予め設定された複数の画像処理の中から1つの画像処理を選択するための選択画面)(画像処理メニュー;図7(b)中、“a”?“e”)がレイヤ表示されるように、画像処理メニュー表示信号が出力される。
【0048】
画像処理部18では、画像処理メニュー表示信号が入力されると、スライドショーの画像データに画像処理の選択肢(画像処理メニュー)がレイヤ表示(重畳表示)された表示データが生成され、表示部12に出力され表示される(ステップS2)。つまり、スライドショーに画像処理メニューがオーバーレイ表示される。
【0049】
制御部22では、画像処理メニューが表示された状態で、画像処理メニューの選択肢のうちの1つがユーザにより選択された場合、すなわち、表示部12に表示された画像処理の選択肢の座標に対応する第1操作部14に、ユーザの親指34が接触して第1操作信号が出力された場合(ステップS3で“Y”)、第1操作信号に含まれる第1座標情報の座標と、画像処理メニューの各選択肢の座標とを比較し、どの選択肢が選択されたかが判定される(ステップS4)。つまり、ユーザにより、表示されている画像処理メニューの選択肢のうち「拡大・縮小」が選択されることで、制御部22で「拡大・縮小」の選択肢が選択されたと判定され(ステップS4で“拡大・縮小”)、拡大・縮小モードへと移行する(ステップS5)。
【0050】
ユーザが、画像処理メニューの選択肢に触れていない場合(ステップS3で“N”)、裏面(第2操作部16)への人差し指32の接触が継続しているか判定し、継続していればステップS3へ戻る(ステップS10で“Y”)。裏面(第2操作部16)への人差し指32の接触が継続していなければ(ステップS10で“N”)、ユーザが画像処理の選択を中断したものと判断し、画像処理メニューの選択肢の表示を終了して、スライドショーの表示へと戻る(ステップS11)。なお、画像処理メニューの選択肢をレイヤ表示している間、スライドショーを中断(画像データ再生を中断)していた場合には、スライドショーを再開(画像データ再生を再開)する。
【0051】
図10(a)は、拡大・縮小モードが選択された直後の状態(図9のステップS20)を表しており、「拡大・縮小」メニューが図7(b)中の“a”の場所にあり、「拡大・縮小」を選択した状態、つまり、人差し指32と親指34で基準点“O”を略1点で挟んだ状態(すなわち、人差し指32が第2操作部16の基準点“O”の座標に接触し、親指34が表示部12および第1操作部14の基準点Oの座標に接触した状態)となっている。
【0052】
ユーザが拡大・縮小の操作を行うために、親指34が表示部12および第1操作部14上から離され、第2操作部16に接触している人差し指32によって、拡大・縮小の操作が行われる(ステップS21)。例えば、図10(b)に示すように、画面の下方向へ人差し指32を動かすと(ステップS22で“下”)、表示される画像データが基準点“O”を中心として、人差し指32が動いた距離に応じて拡大表示される(ステップS23)。同様に、画面の上方向へ人差し指32を動かすと(ステップS22で“上”)、表示される画像データが基準点“O”を中心として、人差し指32が動いた距離に応じて縮小表示される(ステップS24)。

・・・(中略)・・・

【0057】
また、人差し指32は、画像処理メニューの選択肢が表示された状態であれば、第2操作部16に触れたまま、“b”?“e”に対応する座標に動かしてもよいし、予め設定された時間内であれば、一旦、第2操作部16から人差し指32が離れてもよい。予め設定された時間、例えば2秒程度を過ぎても人差し指32が“a”?“e”に対応する座標、およびその近傍の座標の第2操作部16に再び接触しなければ、ユーザは画像処理を中断すると判断して画像処理メニューの選択肢を消去し、元のスライドショーの状態に戻るようにしてもよい。このとき、人差し指32によって画像処理メニューの選択肢が選択されるようにしてもよい。
さらに、画像処理メニューの表示を行う際に、人差し指32の移動に合わせて、画像処理メニューの表示位置も追従して移動するようにしてもよく、画像処理メニューが選択された時点の人差し指32の座標を基準点“O”としてもよい。
また、予め、基準点の上下左右の領域それぞれに、画像処理メニューの選択肢が割り当てられていれば、画像処理メニューの選択肢は表示しなくてもよい。
【0058】
ステップS22?S24で、拡大・縮小の操作は、人差し指32を動かす方向が上下逆でもよく、左右方向に動かしてもよい。また、図10(b)では裏面の第2操作部16により拡大・縮小の操作を行ったが、おもて面の第1操作部14により行ってもよい。
さらに、人差し指32を、一旦第2操作部16から離し、一定時間内(例えば、2秒程度)に異なる座標に再度触れ、人差し指32が第2操作部16から離れていた当該一定時間の前後に、第2操作部16に人差し指32が触れていた座標間の距離および方向に応じて、拡大・縮小の操作を行ってもよい。」

(ウ) 段落【0061】-【0065】
「【0061】
次に、他の画像処理の場合の動作について説明する。
他の画像処理としては、例えば、平面回転モード(図8のステップS6)、Z軸回転モード(図8のステップS7)、特定範囲強調表示モード(図8のステップS8)、および再生環境調整モード(図8のステップS9)が挙げられ、その操作について図11?図14を用いて、それぞれ説明する。なお、各画像処理が選択されるまでは拡大・縮小モードの選択時と同様であり、各画像処理の選択後のフローチャートも基本的に同様であるので、以下では説明を省略する。
【0062】
図11(a)は、平面回転モードが選択された直後の状態(図8のステップS6の直後の状態)を表しており、人差し指32と親指34で基準点“O”を略1点で挟んだ状態となっている。
【0063】
図11(b)に示すように、まず、ユーザが平面回転の操作を行うために、親指34が表示部12および第1操作部14上から離される。次に、第2操作部16に接触している人差し指32は、一度第2操作部16から離され、改めて短時間(概ね2秒程度)のうちに第2操作部16に接触させる。人差し指32が改めて接触された座標を操作点“A”(第4座標ともいう)とする。
人差し指32が操作点“A”から、第2操作部16に接触したまま移動され、移動後の座標を操作点“B”(第5座標ともいう)とする。このとき、基準点“O”と操作点“A”とを結ぶ線分OAと、基準点“O”と操作点“B”とを結ぶ線分OBとが成す∠AOBの角度分だけ、基準点“O”を中心として、おもて面側から見て時計回りに画像データが回転される。
【0064】
人差し指32が動いた角度に応じて平面回転表示がされたあと、第2操作部16から人差し指32が離れた場合、平面回転モードを終了し、スライドショーの表示へと戻る。
第2操作部16から人差し指32が離れていない場合、次の指の動きを待つ状態となり、引き続き平面回転を行うことができる。
【0065】
ここで、操作点“A”と“B”が逆の場合、つまり、人差し指32が操作点“B”から操作点“A”に、第2操作部16に接触したまま移動された場合には、おもて面側から見て反時計回りに画像データが回転される。
また、操作点“A”と“B”は、第1操作部14に接触した親指34によって指定されてもよい。この場合、基準点“O”には、人差し指32が接触している座標を用いることができる。
さらに、平面回転の角度は、第2操作部16を人差し指32でタップする回数に応じて回転させてもよい。例えば、1回タップすれば45度右方向に回転するなどとすればよい。このとき、タップ回数、回転角度、および回転方向は任意に決定することができる。
また、平面回転モードの終了判定は、第2操作部16から人差し指32が離れてから所定時間(2秒程度)経過後に行ってもよい。」

2.対比・判断
(1) 本願発明1について
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

ア 引用発明の「携帯電話端末1」は、「正面である面SFに対する指の接触をタッチパネル2によって検出し」、また、「背面である面SBに対する指の接触をタッチセンサ4によって検出」するから、本願発明1の「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器」に相当する。

イ 引用発明の「制御部10」は、「画面制御プログラム9Cを実行することによって、各種プログラムが利用者と対話的にやりとりをしながら処理を進めるために必要な各種の画面制御を実現」しているから、本願発明1の「画面処理を行う制御部」に相当する。

引用発明の「第3の位置P3」は、「面SBに対する指の接触を検出した位置を第2の位置P2と称し、第2の位置P2に対応する面SF上の位置を第3の位置P3と称し」、「画面の表示倍率を変更する操作」や、「3次元形状のアイコンを回転させる操作」に利用されるから、本願発明1の「画面処理の基準点」と「画面処理のための点」である点で共通するといえる。

よって、引用発明の「携帯電話端末1は、……、タッチパネル2上に第3の位置P3を示すポインタ30を表示させ」ることは、本願発明1の「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定」することと、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理のための点を設定」する点で共通するといえる。

ウ 引用発明の「画面の表示倍率を変更する操作」における、「移動前の第1の位置P1および第3の位置P3を対角とする矩形領域の大きさと、移動後の第1の位置P1および第3の位置P3を対角とする矩形領域の大きさとの比率に応じて、画面の表示倍率を変更」すること、及び、「3次元形状のアイコンを回転させる操作」における、「ステップS33のように、利用者が指FAをタッチパネル2に触れたままで左方向へ移動させ、指FBをタッチセンサ4に触れたままで右方向へ移動させる動作が検出されたものとすると、アイコン40の重心を回転の中心として、指FAがタッチパネル2に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の前面を回転させるとともに、指FBがタッチセンサ4に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の背面を回転させ」、「ステップS35のように、利用者が指FAをタッチパネル2に触れたままで下方向へ移動させ、指FBをタッチセンサ4に触れたままで上方向へ移動させる動作が検出された場合、アイコン40の重心を回転の中心として、指FAがタッチパネル2に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の前面を回転させるとともに、指FBがタッチセンサ4に触れたままで移動した方向へ、移動量に応じた回転量だけアイコン40の背面を回転させ」ることは、本願発明1の「前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う」ことと、「前記点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う」点で共通するといえる。

エ 引用発明の「携帯電話端末1の画面の表示倍率変更の操作に関する画面制御を実行する場合の処理手順は、タッチパネル2に表示されている画面が表示倍率を変更可能な状態にある間繰り返して実行され」、「タッチセンサ2A(正面)またはタッチセンサ4(背面)のいずれか一方のみで接触が検出された場合(ステップS23,Yes、または、ステップS24,Yes)、制御部10は、ステップS25として、タッチセンサ2Aとタッチセンサ4のいずれか一方で接触が検出された場合に行う通常の処理を実行し、ここでいう通常の処理とは、例えば、アイコンがタップされた場合に、タップされたアイコンに対応付けられている機能を起動させる処理であ」ることは、特に表面のタッチセンサ2Aのみが接触する状態を想定すれば、「タッチセンサ2A」「のみで接触が検出された場合」、「表示倍率が変更可能な状態」から、「通常の処理」状態に復帰すれば、背面のタッチセンサ4が検出した接触位置がリセット(解除)されることは明らかであるから、本願発明1の「前記制御部は、前記画面処理の基準点を設定してから所定時間経過後に前記基準点を解除すること」と、「前記制御部は、前記点を解除すること」である点で共通するといえる。

よって、本願発明1と引用発明との一致点・相違点は次のとおりであるといえる。

<一致点>
「表面および背面にタッチセンサを有する電子機器であって、
前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理のための点を設定し、前記点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部と、を備え、
前記制御部は、前記点を解除することを特徴とする電子機器。」

[相違点1]
本願発明1では、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部」を備えるのに対して、引用発明の「制御部10」は、面SBに指が接触した位置(第2の位置P2)に対応する、面SF上の位置である「第3の位置P3」を設定するものであって、「画面処理の基準点」を設定することは特定されていない点。

[相違点2]
本願発明1では、「前記画面処理の基準点を設定してから所定時間経過後に前記基準点を解除する」のに対して、引用発明では、「前記画面処理の基準点を設定してから所定時間経過後に」前記「基準点」を解除することは特定がなされていない点。

3.当審の判断
[相違点1]について
ア 引用発明の「第3の位置P3」は、「第1の位置P1」とともに、拡大縮小の倍率の大きさや回転の向きや大きさを定める2点の一方であって、「画面処理の基準点」とはいえない。
すなわち、引用発明の「画面の表示倍率を変更する操作」については、「第3の位置P3」は、「第1の位置P1」とともに2点を対角とする「矩形領域」を規定して、矩形領域の「大きさの比率に応じて、画面の表示倍率を変更」するための2点の一方にすぎないものであって、「画面処理の基準点」とはいえない。
引用発明では、「なお、第1の位置P1と第3の位置P3のいずれか一方が移動した場合でも、表示倍率は変更され」るから、「第3の位置P3」を固定して、「第1の位置P1」だけを移動させる場合は想定されている。しかし、この場合でも、「第3の位置P3」は、「第1の位置P1」とともに「表示倍率」を定める2点の一方にすぎないものであって、拡大、縮小における「基準点」となるものではないから、「第3の位置P3」を「画面処理の基準点」と呼ぶことはできない。
また、引用発明の「3次元形状のアイコンを回転させる操作」についても、「第3の位置P3」は、「第1の位置P1」とともに、2点を互いに反対の向きに移動させることによって、「アイコン40の重心」を中心とする回転の「方向」と「回転量」とを定める2点の一方にすぎないものであって、回転における「基準点」となるものではないから、「第3の位置P3」を「画面処理の基準点」と呼ぶことはできない。
そもそも、引用発明の「3次元形状のアイコンを回転させる操作」については、「第3の位置P3」を固定して、「第1の位置P1」だけを移動させるような操作方法は想定されていない。
仮に「第3の位置P3」のみ固定した回転の操作を想定しても、「第3の位置P3」は、「第1の位置P1」とともに、回転の「方向」と「回転量」を定めるための2点の一方にすぎないものであって、「第3の位置P3」を、「画面処理の基準点」と呼ぶことはできない。

イ 引用文献2、引用文献3の各記載から、上記「1.(2)」のとおり、一般に、タッチ入力を多様化するために、タッチパネルへの「押圧力」を検出する手段を設ける点は、周知技術であると認められる。
しかし、上記[相違点1]に係る、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部」を備えることは、上記引用文献2、引用文献3に記載されていない。

ウ 引用文献4の記載から、上記「1.(3)ア」のとおり、一般に、意図しない操作による誤動作防止などのために、タッチ操作の終了から所定時間経過後に、タッチ操作に関連する処理を終了する点は、周知技術であると認められる。
また、引用文献4には、上記「1.(3)イ」のとおり、「親指と同じ手の他の指…とは、目視せずとも簡単に合わせることができる」という「人間の指の特性」を利用することで、「同じ手の親指でおもて面を、他の指で裏面を触ることによって」、「おもて面を見ながら裏面から容易に位置(座標)を入力できる」ようにすること(段落【0022】)、より具体的には、おもて面の親指と裏面の人差し指の2本の指の座標(「第1座標情報および第2座標情報」)の重複を検出することによって「基準点“O”」を設定すること、「基準点“O”」の位置に「画像処理メニュー」を表示させること(段落【0044】-【0048】)、表示された「画像処理メニュー」から、おもて面の親指で「拡大・縮小モード」を選択すること(段落【0049】)、その後、裏面の人差し指で拡大・縮小の操作を行うこと(段落【0051】-【0052】)からなる、一連の操作方法の記載がある。
しかし、上記[相違点1]に係る、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部」を備えることは、上記引用文献4に記載されていない。

さらに、引用文献4には、段落【0057】に、上記一連の操作方法に関する変形例として、(両面の2本の指の座標の重複の検出による)画像処理メニューの表示の際に、裏面の人差し指の移動に合わせて「画像処理メニューの表示位置」を移動することや、画像処理メニューが(おもて面の親指で)選択された時点の(裏面の)人差し指の位置を「基準点“O”」とすることの記載があるが、いずれも両面の2本の指を用いた「基準点“O”」の設定を前提とした操作の変形であって、上記[相違点1]に係る、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う」ものではない。

さらに、引用文献4には、段落【0061】-【0065】に、「人差し指32と親指34で基準点“O”を略1点で挟んだ状態」で「平面回転モード」を選択した場合の、一連の操作方法の記載があるが、拡大・縮小の場合と同様に、両面の2本の指の座標の重複の検出による「基準点“O”」の設定を前提とする操作であって、上記[相違点1]に係る、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部」を備えるものではない。

エ 上記[相違点1]に係る、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部」を備えることは、本願出願前において周知技術であるともいえない。

したがって、[相違点2]について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2-4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。

(2) 請求項2-8について
本願発明2-8も、本願発明1の上記[相違点1]に係る、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部」と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。

第6 当審拒絶理由の理由B(特許法第36条第6項第2号)について
当審では、請求項1-4の「所定時間経過後」との記載、請求項5-8の「前記背面タッチセンサの検出が終力した際に」との記載が不明確である旨の拒絶の理由を通知しているが、上記「所定時間経過後」との記載を「前記画面処理の基準点を設定してから所定時間経過後」とする補正、上記「前記背面タッチセンサの検出が終力した際に」との記載を「前記背面タッチセンサへの接触が離れて前記背面タッチセンサへの入力が終了した際に」とする補正がされた結果、この拒絶の理由は解消した。

第7 原査定についての判断
平成30年4月2日付けの補正により、補正後の請求項1-8は、「前記背面のタッチセンサの操作を検出すると、画面処理の基準点を設定し、前記基準点と前記表面のタッチセンサへの入力とに基づいて画面処理を行う制御部」という技術事項を有するものとなった。当該技術的事項は、原査定における引用文献A(引用文献4)、引用文献B、Cには記載されておらず、本願優先日前における周知技術でもないので、本願発明1-8は、原査定における引用文献Aに記載された発明ではなく、また、当業者であっても、原査定における引用文献A-Cに基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。
他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-05-28 
出願番号 特願2013-246403(P2013-246403)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G06F)
P 1 8・ 121- WY (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 岩橋 龍太郎  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 稲葉 和生
山田 正文
発明の名称 電子機器  
代理人 杉村 憲司  
代理人 太田 昌宏  
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