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審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G03G
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G03G
管理番号 1340751
審判番号 不服2017-11905  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-09 
確定日 2018-06-12 
事件の表示 特願2016-114703「カートリッジ及びユニットの製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年10月20日出願公開、特開2016-184176、請求項の数(9)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願は、平成23年12月9日に出願された特願2011-270107号(国内優先権主張:平成23年11月9日)の一部を、平成28年6月8日に特許法第44条第1項の規定による新たな特許出願としたもので、原審において平成29年2月2日付けで拒絶理由通知がされた後、同年4月10日付けで手続補正がされ、同年4月28日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。原査定の謄本の送達(発送)日 平成29年5月9日。)がされ、これに対して、同年8月9日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されて特許請求の範囲及び明細書を補正する手続補正がなされ、その後当審において同年12月11日に拒絶理由通知がされた後、平成30年2月13日に手続補正がされ、さらに同年2月28日に拒絶理由通知がされた後、同年4月11日に手続補正がされたものである。

第2 本願の発明
本願の請求項1ないし9に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明9」という。)は、平成30年4月11日付けの手続補正書で補正された特許請求の範囲の請求項1ないし9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
画像形成装置本体に着脱可能なカートリッジの製造方法において、
前記カートリッジは、樹脂で形成されたカートリッジ枠体と、組みつけられる部材との間を封止する前記カートリッジ枠体上に成形されたシール部材と、薄板部材に熱溶着させられることで前記薄板部材を前記カートリッジ枠体に固定する前記カートリッジ枠体上に成形された固定部材と、
を備え、
前記カートリッジ枠体に、前記シール部材及び前記固定部材に対応した型を当接させる第1工程と、
前記第1工程の後、前記カートリッジ枠体に当接した前記型と前記カートリッジ枠体との間の空間に、前記カートリッジ枠体とは異なる樹脂材料を射出し、前記シール部材と前記固定部材を前記カートリッジ枠体上に成形する第2工程と、
を有することを特徴とするカートリッジの製造方法。
【請求項2】
前記カートリッジ枠体は、前記シール部材を形成するための前記型が当接する面と、前記固定部材を形成するための前記型が当接する面と、が前記カートリッジ枠体の同一方向側において、平行に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項3】
前記カートリッジ枠体は、前記同一方向側と反対側に、前記第2工程で前記シール部材と前記固定部材を形成するために、前記空間に樹脂材料を注入する樹脂注入部をそれぞれ有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項4】
前記樹脂注入部は、前記カートリッジ枠体の長手方向における位置が重ならないようにそれぞれ配置されていることを特徴とする請求項3に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項5】
前記第2工程において、前記シール部材と前記固定部材は、異なる樹脂材料で成形されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカートリッジの製造方法。
【請求項6】
画像形成装置に用いられるユニットの製造方法であって、
前記ユニットは、
電子写真感光体と、前記電子写真感光体に作用するプロセス手段と、を支持する樹脂で形成された枠体であって、現像剤を収容する現像剤収容部を構成する枠体と、
前記プロセス手段と前記枠体との間から現像剤が漏れるのを防ぐためのシール部材と、前記電子写真感光体に当接する薄板部材を前記枠体に固定するための固定部材と、
を備え、
前記シール部材及び前記固定部材に対応した型を前記枠体に当接させる第1工程と、
前記第1工程の後、前記枠体に当接した前記型と前記枠体との間の空間に、前記枠体とは異なる樹脂材料を射出し、前記シール部材と前記固定部材を前記枠体上に成形する第2工程と、
を有することを特徴とするユニットの製造方法。
【請求項7】
前記シール部材と前記固定部材は、それぞれ前記第2工程によって前記ユニットの長手方向に延びて前記枠体に設けられるものであって、
前記枠体は、前記シール部材と前記固定部材を成形する際に樹脂材料を注入するための複数の注入部が前記長手方向においてずれた位置に設けられていることを特徴とする請求項6に記載のユニットの製造方法。
【請求項8】
前記シール部材と前記固定部材は、それぞれ前記第2工程によって前記ユニットの長手方向に延びて前記枠体に設けられるものであって、
前記第2工程において、前記シール部材と前記固定部材を成形する際に樹脂材料を注入するための複数の注入口が前記長手方向においてずれた位置に設けられている前記型を用いることを特徴とする請求項6に記載のユニットの製造方法。
【請求項9】
前記シール部材は、前記電子写真感光体の表面から現像剤を除去する前記プロセス手段としてのクリーニングブレードと前記枠体との間をシールする部材であり、前記固定部材は、電子写真感光体に当接する前記薄板部材と前記枠体との間をシールする部材としての機能を有することを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載のユニットの製造方法。」

第3 分割要件についての当審の判断

1.原査定の理由は、「請求項1は、本願の請求項1は、『第2部材を熱溶着することで固定するための固定部材』を備えているところ、『第2部材』は、本願の分割の基となった出願には記載されていない。
また、本願の請求項1において、『第2部材』及び『固定部材』が具体的にどのようなものか規定されていないところ、『電子写真感光体に当接する薄板部材』及び『前記薄板部材を前記カートリッジ枠体に固定するもの』に限られない。
ところで、本願の分割の基となった出願の当初明細書([0022]等参照。)によれば、『前記カートリッジ枠体とは異なる樹脂材料を射出し、・・・・前記固定部材を前記カートリッジ枠体上に成形する』のは、『スクイシート11bと熱溶着で固定されるのに適した』ものを用いるためである。
ここで、本願の請求項1において熱融着される『第2部材』が何であるか規定されておらず、該熱融着される『第2部材』として例えば特開平8-6462号公報([0004]参照。)の『上下枠体』の上枠体が想定されるところ、上枠体を下枠体すなわちカートリッジ枠体と異なる樹脂材料で成形することが自明なことでもないから、本願請求項1の『前記カートリッジ枠体上に成形され、第2部材を熱溶着することで固定するための固定部材と、を備え、・・・・前記カートリッジ枠体とは異なる樹脂材料を射出し、・・・・前記固定部材を前記カートリッジ枠体上に成形する第2工程と、を有すること』が、自明な事項であるとも言えない。
してみると、本願は、本願の分割の基となった出願には記載されていない新規事項を含むものであり、本願の分割は認められず、その出願日は実際の出願日である。
そして、本願の請求項1-11に係る発明は、引用文献1(本願の分割の基となった出願の公開公報)の記載から、当業者が容易になし得たものである。」というものであるから、まず、分割の実体的要件の適否について検討する。(以下、原出願の出願当初の明細書を「原明細書」という。なお、原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部が分割出願の請求項に係る発明とされたものでないこと、及び、形式的要件を満たしていることは明らかである。)

2.原査定時(平成29年4月10日付け手続補正書)の請求項1の「第2部材」の発明特定事項は、平成30年4月11日付け手続補正書の記載の請求項1には「薄板部材」と特定され、前記「固定部材」について、「薄板部材に熱溶着させられることで前記薄板部材を前記カートリッジ枠体に固定する前記カートリッジ枠体上に成形された固定部材」と特定された。
原明細書には、例えば「薄板部材(プロセス手段)としてのスクイシート11b」(段落【0016】下線は審決で付した。以下同じ。)、「また、クリーニング容器13には、スクイシート11bをクリーニング容器13に固定するための固定部材17が設けられている。・・・クリーニング容器13は、樹脂で形成されたカートリッジ枠体に相当する。」(段落【0019】)、「本実施例では、固定部材17もクリーニング容器13に一体的に射出成形される。そして、固定部材17はスクイシート11bと熱溶着で固定される。」(段落【0022】)と記載されているから、前記「薄板部材」、及び「薄板部材に熱溶着させられることで前記薄板部材を前記カートリッジ枠体に固定する前記カートリッジ枠体上に成形された固定部材」との発明特定事項は、原明細書に記載された事項の範囲内である。
よって、本願発明1は、分割要件を満たしている。

第4 原査定についての当審の判断
原査定は、前記「第3 1」のとおり、本願の請求項1は、本願の分割の基となった出願には記載されていない新規事項を含むものであり、本願の分割は認められず、その出願日は実際の出願日であり、本願の各請求項に係る各発明は、引用文献(本願の分割の基となった出願の公開公報である特開2013-122489号公報)の記載から、当業者が容易に想到し得たものであるというものである。
しかしながら、前記「第3」で検討したとおり、本願は分割要件を満たしているから、本願の出願日は平成23年11月9日に遡及し、引用文献は本願の出願前に頒布された刊行物には該当しない。
したがって、原査定を維持することはできない。

第5 当審拒絶理由について

1.当審で通知した平成29年12月11日付けの特許法第36条第6項第1号違反の拒絶理由について検討する。

(1)拒絶理由の概要は次のとおりである。

ア.請求項9が引用する請求項6の「前記電子写真感光体に当接する薄板部材を前記枠体に固定するための固定部材」と、請求項9の「前記シール部材は、・・・電子写真感光体に当接する前記プロセス手段としての薄板部材と前記枠体との間をシールする部材」とは、別部材であると特定されているが、本願明細書(段落【0016】、【0022】)には、前記「固定部材」と「薄板部材と前記枠体との間をシールする部材」は同じものであると説明されており、請求項9はサポート要件を満たしていない。

イ.請求項9の「規制部材と前記枠体との間をシールする部材」は、本願明細書記載の「ブレード下シール114」と「縦シール115」の2部材に対応すると解される。
請求項9が引用する請求項6は、「前記シール部材及び前記固定部材に対応した型を前記枠体に当接させる第1工程と、前記第1工程の後、前記枠体に当接した前記型と前記枠体との間の空間に、前記枠体とは異なる樹脂材料を射出し、前記シール部材と前記固定部材を前記枠体上に成形する第2工程」(以下「射出成形」という。)と特定しているが、前記2部材が射出成形されるとは、本件明細書には説明されておらず、本請求項はサポート要件を満たしていない。

(2)
ア.平成30年2月13日付け手続補正書により補正された請求項9の「固定部材は、電子写真感光体に当接する前記薄板部材と前記枠体との間をシールする部材としての機能を有する」との発明特定事項により、前記「(1)ア」の拒絶理由は解消された。

イ.請求項9の「規制部材と前記枠体との間をシールする部材」(前記「(1)イ」)の発明特定事項は、平成30年2月13日付け手続補正書により補正された請求項9より削除されたので、前記「(1)イ」の拒絶理由は解消された。

2.当審で通知した平成30年2月28日付けの特許法第36条第6項第2号違反の拒絶理由について検討する。

(1)拒絶理由の概要は次のとおりである。
請求項6の「前記カートリッジ枠体」より前に「カートリッジ枠体」の記載はなく、「前記」の意味が不明である。(「前記カートリッジ枠体」は「前記枠体」の誤記ではないのか。{応対記録参照。})

(2)請求項6の「前記カートリッジ枠体」は、平成30年4月11日付け手続補正書により「前記枠体」と補正され、当審において指摘した拒絶理由は解消した。

第6 むすび
以上のとおり、原査定の理由によって、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-05-29 
出願番号 特願2016-114703(P2016-114703)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G03G)
P 1 8・ 537- WY (G03G)
最終処分 成立  
前審関与審査官 三橋 健二  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 吉村 尚
畑井 順一
発明の名称 カートリッジ及びユニットの製造方法  
代理人 坂井 浩一郎  
代理人 中村 剛  
代理人 丹羽 武司  
代理人 森廣 亮太  
代理人 川口 嘉之  

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