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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1340850
審判番号 不服2017-7365  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-23 
確定日 2018-05-31 
事件の表示 特願2015-133561「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成29年 1月19日出願公開、特開2017- 12547〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月2日に特許出願したものであって、平成28年6月22日付けで拒絶理由通知がなされ、平成28年8月22日付けで意見書及び手続補正書が提出され、平成29年2月15日付け(発送日:平成29年2月28日)で拒絶査定がなされ、これに対して平成29年5月23日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされ、これに対して平成29年7月25日付けで前置報告がなされたものである。

第2 平成29年5月23日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成29年5月23日付けの手続補正(以下、本件補正という)を却下する。

[理由]
1.本件補正の概要
本件補正は特許請求の範囲の請求項1の補正を含むものであり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、
補正前(平成28年8月22日付け手続補正)の
「【請求項1】
A 始動条件成立により遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
B 前記特別遊技判定手段による特別遊技判定の結果を表示するため特別図柄の変動表示を行う変動表示制御手段と、
C 前記特別遊技判定手段により特別遊技状態へ移行させると判定されたことを条件として特別遊技の制御を行う特別遊技制御手段と、
D 演出手段に前記特別図柄に応じた装飾図柄を含む遊技演出を行わせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
E 前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する変動表示中に第1の演出を実行し、
F 特別遊技判定に対応する特別遊技中に前記第1の演出と異なる第2の演出を実行し、
G 前記特別遊技が終了した後に第3の演出を実行し、
H 前記第1の演出と前記第3の演出とは、前記装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能である
J ことを特徴とする遊技機。」
から、
補正後(本件補正である平成29年5月23日付け手続補正)の
「【請求項1】
A 始動条件成立により遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
B 前記特別遊技判定手段による特別遊技判定の結果を表示するため特別図柄の変動表示を行う変動表示制御手段と、
C 前記特別遊技判定手段により特別遊技状態へ移行させると判定されたことを条件として特別遊技の制御を行う特別遊技制御手段と、
D’ 前記特別図柄の変動表示が行われることに伴い、所定の表示手段において複数の装飾図柄の変動表示を含む遊技演出を行わせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
E’ 前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する前記特別図柄の変動表示中に第1の演出を実行し、
F 特別遊技判定に対応する特別遊技中に前記第1の演出と異なる第2の演出を実行し、
G 前記特別遊技が終了した後に第3の演出を実行し、
H’ 前記第1の演出と前記第3の演出とは、前記複数の装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能であり、
I 前記第1の演出は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能である
J ことを特徴とする遊技機。」

へ補正された(記号は分節のため当審で付した。下線は補正箇所を示す)。

また、本件補正は特許請求の範囲の請求項2の補正を含むものであり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項2の記載は、
補正前(平成28年8月22日付け手続補正)の
「【請求項2】
始動条件成立により遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段による特別遊技判定の結果を表示するため特別図柄の変動表示を行う変動表示制御手段と、
前記特別遊技判定手段により特別遊技状態へ移行させると判定されたことを条件として特別遊技の制御を行う特別遊技制御手段と、
演出手段に前記特別図柄に応じた装飾図柄を含む遊技演出を行わせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する変動表示中に第1の演出を実行し、前記特別遊技が終了した後に第2の演出を実行し、
前記第1の演出と前記第2の演出とは、前記装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能であることを特徴とする遊技機。」
から、
補正後(本件補正である平成29年5月23日付け手続補正)の
「【請求項2】
始動条件成立により遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段による特別遊技判定の結果を表示するため特別図柄の変動表示を行う変動表示制御手段と、
前記特別遊技判定手段により特別遊技状態へ移行させると判定されたことを条件として特別遊技の制御を行う特別遊技制御手段と、
前記特別図柄の変動表示が行われることに伴い、所定の表示手段において複数の装飾図柄の変動表示を含む遊技演出を行わせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する前記特別図柄の変動表示中に第1の演出を実行し、前記特別遊技が終了した後に第2の演出を実行し、
前記第1の演出と前記第2の演出とは、前記複数の装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能であり、
前記第1の演出は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能であることを特徴とする遊技機。」
へ補正された(下線は補正箇所を示す)。

2.補正の適否
本件補正は、補正前の請求項1において
(ア)「演出手段に前記特別図柄に応じた装飾図柄を含む遊技演出を行わせる演出制御手段」を「前記特別図柄の変動表示が行われることに伴い、所定の表示手段において複数の装飾図柄の変動表示を含む遊技演出を行わせる演出制御手段」とする補正、
(イ)「前記演出制御手段は、・・・当該特別遊技判定に対応する変動表示中に第1の演出を実行し」を「前記演出制御手段は、・・・当該特別遊技判定に対応する前記特別図柄の変動表示中に第1の演出を実行し」とする補正、
(ウ)「前記第1の演出と前記第3の演出とは、前記装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能」を「前記第1の演出と前記第3の演出とは、前記複数の装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能」とする補正、
(エ)「前記第1の演出は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能である」という事項を追加する補正である。
そして、補正(ア)により、「装飾図柄を含む遊技演出を行わせる演出制御手段」において、「特別図柄の変動表示が行われることに伴い」「所定の表示手段において」「複数の」装飾図柄の「変動表示」を行うという限定を行うものであり、補正(イ)により「特別遊技判定に対応する」「変動表示」が「特別図柄」の「変動表示」であることに限定するものであり、補正(ウ)により「態様の少なくとも一部が異なるように表示可能」な「装飾図柄」が「複数の」装飾図柄からなることを限定するものであり、補正(エ)により、「第1の演出」の内容を、「前記第1の演出は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能である」と限定するものである。

また、本件補正は、補正前の請求項2において、上記(ア)(イ)(エ)の補正に加えて、
(ウ’)「前記第1の演出と前記第2の演出とは、前記装飾図柄の少なくとも一部が異なるように表示可能」を「前記第1の演出と前記第2の演出とは、前記複数の装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能」とする補正を行い、「前記第1の演出と前記第2の演出と」で「少なくとも一部が異なる」のは「複数の装飾図柄の態様」であることを限定するものである。

そして、補正後の請求項1、2に記載された発明は、補正前の請求項1、2に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一である。
よって、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する限定的減縮を目的とするものに該当する。
そして、本件補正は新規事項を追加するものではない。

3.独立特許要件
(1)請求項1記載の発明について
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本件補正発明1」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(2)刊行物

(2-1)刊行物1
原査定の拒絶の理由において提示された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2011-130963号公報(以下、刊行物1という)には以下の記載がある。(下線は合議体が審決にて付した。以下、同じ)

(ア) 「【0007】
そこで本発明は、ストーリー性のある演出に対する遊技者の興味を薄れにくくし、緊張感や集中力をなるべく持続させる技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するため以下の手段を採用する。
解決手段1:すなわち本発明の遊技機は、遊技中に抽選契機となる所定事象(例えば始動口への入賞)が発生したことを条件として、遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)に関わる内部抽選を実行する抽選実行手段と、前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄(例えば記号的に視認される図案も含む)を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、・・・を備える。」

(イ) 「【0030】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、パチンコ遊技機(以下、「パチンコ機」と略称する)1の正面図である。
・・・
【0046】
図3は、遊技盤8の一部(窓4a内の右下位置)を拡大して示す正面図である。第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、例えばそれぞれ7セグメントLED(ドット付き)により特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)。」

(ウ) 「【0059】
〔制御上の構成〕
次に、パチンコ機1の制御に関する構成について説明する。図4は、パチンコ機1に装備された各種の電子機器類を示すブロック図である。パチンコ機1は、制御動作の中枢となる主制御装置70を備えており、この主制御装置70は主に、パチンコ機1における遊技の進行を制御する機能を有している。なお主制御装置70は、上記の主制御基板ユニット170に内蔵されている。
【0060】
また主制御装置70には、中央演算処理装置である主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備されており、主制御CPU72は、図示しないCPUコアやレジスタとともにROM74、RAM(RWM)76等の半導体メモリを集積したLSIとして構成されている。
・・・
【0074】
またパチンコ機1は制御上の構成として、演出制御装置124を備えている。この演出制御装置124は、パチンコ機1における遊技の進行に伴う演出の制御を行う。演出制御装置124にもまた、中央演算処理装置である演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ制御基板)が装備されている。
・・・
【0080】
演出制御CPU126のROM128には、演出の制御に関する基本的なプログラムが格納されており、演出制御CPU126は、このプログラムに沿って演出の制御を実行する。演出の制御には、上記のように各種ランプ46?53等やスピーカ54,55,56を用いた演出の制御が含まれる他、液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれる。演出制御CPU126は、表示制御CPU146に対して演出に関する基本的な情報(例えば演出番号)を送信し、これを受け取った表示制御CPU146は、基本的な情報に基づいて具体的に演出用の画像を表示する制御を行う。」

(エ) 「【0107】
〔割込管理処理(タイマ割込処理)〕
次に、割込管理処理(タイマ割込処理)について説明する。図7は、割込管理処理の手順例を示すフローチャートである。主制御CPU72は、カウンタ/タイマ回路からの割込要求信号に基づき、所定時間(例えば数ms)ごとに割込管理処理を実行する。以下、各手順を追って説明する。
・・・
【0176】
〔特別図柄遊技処理〕
次に、割込管理処理(図7)の中で実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図12は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、可変入賞装置管理処理(ステップS5000)のサブルーチン(プログラムモジュール)群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別図柄遊技処理の基本的な流れを説明する。
・・・
【0180】
ステップS3000:特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は変動タイマをカウントしつつ、第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。具体的には、7セグメントLEDの各セグメント及びドット(0番?7番)に対してON又はOFFの駆動信号(1バイトデータ)を出力する。駆動信号のパターンは時間の経過に伴って変化し、それによって特別図柄の変動表示が行われる。
【0181】
ステップS4000:特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行う。ここでも同様に、7セグメントLEDの各セグメント及びドットに対してON又はOFFの駆動信号を出力するが、駆動信号のパターンは一定であり、これにより特別図柄の停止表示が行われる。
【0182】
ステップS5000:可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において当りの態様(非当選以外の態様)で特別図柄が停止表示された場合に選択される。例えば、特別図柄が15ラウンド大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば29秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば2回、15回)にわたって励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技実行手段)。」

(オ) 「【0196】
〔特別図柄変動前処理〕
図13は、特別図柄変動前処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。
・・・
【0202】
ステップS2300:主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する。この処理では、主制御CPU72は、先ず大当り値の範囲を設定し、この範囲内に読み出した乱数値が含まれるか否かを判断する(抽選実行手段)。」

(カ) 「【0366】
〔演出画像の例〕
次に、パチンコ機1において実際に液晶表示器42に表示される演出画像について、いくつかの例を挙げて説明する。ここでは先ず、大当りに至るまでの通常の遊技中における演出図柄を用いた演出画像の例から説明する。
【0367】
図27は、特別図柄の変動表示及び停止表示に対応させた演出画像の例を示す連続図である。なお、ここでは非当選(はずれ)時の特別図柄の変動について、演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出の一例を表している。この変動表示演出は、特別図柄(ここでは第1特別図柄とするが、第2特別図柄でもよい。)が変動表示を開始してから、停止表示(確定停止を含む)するまでの間に行われる一連の演出に該当する。また停止表示演出は、特別図柄が停止表示されたことと、そのときの内部抽選の結果を演出図柄の組み合わせとして表す演出である。ここでは先ず、制御処理の具体的な内容を説明する前に、本実施形態で採用されている変動1回ごとの変動表示演出と停止表示演出の基本的な流れについて説明する。
【0368】
〔変動表示前〕
図27中(A):例えば、第1特別図柄が変動を開始する前の状態(デモ演出中でない状態)で、液晶表示器42の画面内には3本の演出図柄の列が大きく表示されている。演出図柄には、例えば左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の3つが含まれており、これらは画面上で左・中・右に並んで表示される。各演出図柄は、例えば数字の「0」?「7」に加えて、左演出図柄については平仮名の「へ」、中演出図柄については平仮名の「い」、そして右演出図柄については平仮名の「わ」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたものとなっている。
・・・
【0370】
〔変動表示演出開始〕
図27中(B):例えば第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始される(図柄演出実行手段)。すなわち、第1特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面内で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールする(流れる)ようにして変動表示演出が開始される。なお図中、演出図柄の変動表示は単に下向きの矢印で示されている。また変動表示中、個々の演出図柄が透けた状態で表示(透過表示)されることにより、このとき表示画面内には演出図柄の背景となる何らかの背景画像(図示していない)が視認しやすい状態で表示されている。ここでは特に図示していないが、この後、例えば表示画面内にキャラクターやアイテム等の画像を表示させることで、予告演出が行われる態様であってもよい。
・・・
【0375】
〔停止表示演出〕
図27中(E):第1特別図柄の停止表示に同期して、最後の中演出図柄が停止する。今回の内部抽選の結果が非当選であって、第1特別図柄が非当選(はずれ)の態様で停止表示される場合、演出図柄も同様に非当選(はずれ)の態様で停止表示演出が行われる。すなわち、図示の例では、画面の中段位置に数字の「1」を表す演出図柄が停止したことを表しており、この場合、演出図柄の組み合わせは「へ」-「1」-「3」のはずれ目であるため、今回の変動は通常の「はずれ」に該当したことが演出上で表現されている。」

(キ) 「【0376】
〔大当り時の演出例〕
次に図28は、大当り(当選)時に実行されるリーチ演出の流れを示す連続図である。ここではリーチ演出の他に、変動表示演出や停止表示演出及び予告演出が含まれるものとする。ただし、このリーチ演出は上記の特定リーチ演出とは異なるものである。
【0377】
大当り時のリーチ演出は、例えば内部抽選の結果が当選であり、そのときの当選種類として「15ラウンド確変図柄1」が選択されたことで、第1特別図柄表示装置34(第2特別図柄表示装置35でもよい)において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が当選時の態様(例えば7セグメントLEDの「己」,「ヨ」,「口」,「巳」,「F」,「E」,「L」,「Γ」等)で停止表示されるまでに実行される。なお図28中、各演出図柄を数字のみに簡略化して示している。また上記のマーカM1,M2については、ここでの図示を省略している。以下、演出の流れに沿って説明する。
【0378】
〔変動表示演出〕
図28中(A):第1特別図柄又は第2特別図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向(例えば上から下)にスクロールするようにして変動表示演出が開始される。
・・・
【0381】
〔左演出図柄の停止〕
図28中(D):変動表示演出の中期にさしかかり、やがて左演出図柄の変動表示が停止される。なお、この時点で画面の左上段位置に数字の「6」を表す演出図柄が停止し、左下段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止している。
【0382】
〔リーチ状態の発生〕
図28中(E):そして左演出図柄に続き、例えば右演出図柄の変動表示が停止される。この時点で、右下段位置には数字の「6」を表す演出図柄が停止しており、画面の右上段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止していることから、画面の対角線上(2本の斜めライン上)に数字の「6」-「変動中」-「6」と「7」-「変動中」-「7」の2種類のリーチ状態が発生している。そして画面上には、対角線上でリーチ状態となる2本の斜めラインを強調する画像が合わせて表示される。
・・・
【0384】
〔リーチ発生後予告演出(1回目)〕
図28中(F):リーチ状態が発生して暫くすると、例えば「ハート」の図形を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていくリーチ発生後予告演出(1回目)が行われる。この場合、突然、画面上に「ハート群」の画像が流れていくように表示されるため、これによって遊技者に対する視覚的な訴求力を高めることができる。このような視覚的に賑やかなリーチ予告発生後予告演出を実行することで、遊技者に対してさらに大きな期待感を抱かせる効果が得られる。
・・・
【0386】
〔リーチ発生後予告演出(2回目)〕
図28中(H):リーチ演出が終盤に近付いたところで、突然、画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入るようにして表示され、そのキャラクターが何らかの台詞を発するという内容(又は、無言で微笑むという内容でもよい)のリーチ発生後予告演出(2回目)が行われる。」

(ク) 「【0393】
〔初当り時〕
図29中(A):左側欄の囲み内に示されるように、例えば通常の状態から内部抽選で当選し、15ラウンド分の出玉がある確変大当りに該当すると(ここでは第1特別図柄について「15ラウンド確変図柄1」に該当したとする)、変動中に上記のリーチ演出(例えば図28)を経て確変大当りの停止表示演出が実行される。なお、この時点で特定リーチ演出は未だ実行されない。」

(ケ) 「【0394】
〔初当り時の大役中〕
同図29中(A):右側部分の囲み内に示されているように、初当りからの大当り遊技中、例えば1ラウンド目から3ラウンド目にかけて大当り中の共通演出(例えば、キャラクターの紹介等)が実行される(枠内で左から1コマ目)。この後も大当り中の10ラウンド目までは、同様に大当り中の共通演出が実行される。そして、大当り遊技中の11ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「サクセスロード」のタイトルロゴが表示される(枠内で左から2コマ目)。このようなタイトルロゴの表示により、遊技者に対して何らかのストーリー性を持った演出が開始されたことを印象付けることができる。
【0395】
さらに、大当り遊技中の12ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「進行回数リスト」の文字情報とともに一覧表の枠組み(例えば左半分に5段、右半分に4段)が表示される。このとき枠組みの左上段には、第1回の特定態様演出(「進行回数1演出」とする)に対応するタイトルとして、例えば「あいつは誰だ?」の文字情報が表示されるとともに、枠組みのその他には未出現のタイトルが伏せ字(「???」)により表示される。・・・
【0396】
さらに13ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「No.1」の文字情報とともに、上記のタイトルが大きく強調して表示される(右端のコマ)。・・・
【0397】
特に図示していないが、この後、大当り中の13ラウンドから15ラウンドにかけて進行回数1演出が実行される。進行回数1演出の内容は、例えばストーリー上のあらすじを紹介するものであったり、ストーリーに合わせてキャラクターを出現させるものであったりする。」

(コ) 「【0398】
〔進行回数1演出実行後〕
上記の進行回数1演出の実行を伴う大当り遊技が終了すると、それまでの通常確率状態から高確率状態(かつ時間短縮状態)に移行する。
【0399】
図29中(B):左側欄の囲み内に示されるように、高確率状態で大当りし、15ラウンド分の出玉がある確変図柄(「15ラウンド確変図柄1」又は「15ラウンド確変図柄2」とする。これ以降も同様。)か、もしくは実質的に5ラウンド分の出玉がある確変図柄(「15ラウンド確変図柄3」とする。これ以降も同様。)に該当すると、その変動中に特定リーチ演出が実行される。この場合の特定リーチ演出の内容は、先の大当り遊技中に実行された特定態様演出の進行順序と同様に、第1回の特定態様演出に対応したものとなっている。例えば、左演出図柄と右演出図柄で数字の「3」が揃うと、その後のリーチ演出中に今回の進行回数1演出のタイトルである「あいつは誰だ?」に関係するキャラクターを用いた特定リーチ演出(「進行回数1リーチ演出」とする)が実行される。」

(サ) 「【0458】
〔演出制御処理〕
図33は、演出制御CPU126により実行される演出制御処理の手順例を示すフローチャートである。・・・
【0459】
演出制御処理は、コマンド受信処理(ステップS400)、演出図柄管理処理(ステップS402)、表示出力処理(ステップS404)、ランプ駆動処理(ステップS406)、音響駆動処理(ステップS408)、演出乱数更新処理(ステップS410)及びその他の処理(ステップS412)のサブルーチン群を含む構成である。以下、各処理に沿って演出制御処理の基本的な流れを説明する。
【0460】
ステップS400:コマンド受信処理において、演出制御CPU126は主制御CPU72から送信される演出用のコマンドを受信する。また、演出制御CPU126は受信したコマンドを解析し、それらを種類別にRAM130のコマンドバッファ領域に保存する。なお、主制御CPU72から送信される演出用のコマンドには、例えば特図先判定演出コマンド、特図別作動記憶数コマンド、始動口入賞音制御コマンド、デモ演出用コマンド、抽選結果コマンド、変動パターンコマンド、変動開始コマンド、停止図柄コマンド、図柄停止時コマンド、状態指定コマンド、ラウンド数コマンド、エラー通知コマンド等がある。
【0461】
ステップS402:演出図柄管理処理では、演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出や結果表示演出の内容を制御したり、可変入賞装置30の開閉動作時の演出内容を制御したりする。」

(シ) 上記(カ)の【0366】の「液晶表示器42に表示される演出画像」、【0368】の「各演出図柄は、・・・数字の「0」?「7」に加えて、左演出図柄については平仮名の「へ」、中演出図柄については平仮名の「い」、そして右演出図柄については平仮名の「わ」とともにキャラクターが付された絵札をデザインしたもの」との記載とあわせると、図27(A)?(E)からは、液晶表示器42に表示される3本の演出図柄列は、数字または平仮名が右下側に位置し、キャラクタが付された絵札として表示され、絵札の長さは、画面の縦方向の半分程度の長さになることが看取でき、図28(D)?(F)からは、液晶表示器42に表示される絵柄は、左上下段位置と右上下段位置の4箇所に現れ、絵柄の長さは、画面の縦方向の半分よりは短い程度の長さであり、図28(H)からは、液晶表示器42に表示される絵柄は、左上下段位置と右上下段位置の4箇所に現れ、絵柄の長さは、画面の縦方向に対して図28(D)?(F)の絵柄よりさらに短い長さであることが看取でき、図29(B)からは、キャラクタが付されていない、数字「3」だけの演出図柄が、画面の左上部段位置と右上部段位置に、画面の縦方向で1/4程度の長さで表示されることが看取できる。

(ス) 上記(ア)の【0008】の「遊技機は、遊技中に抽選契機となる所定事象・・・が発生したことを条件として、遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)に関わる内部抽選を実行する抽選実行手段と、前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄・・・を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、・・・を備える」との記載から、刊行物1には「遊技中に抽選契機となる所定事象が発生したことを条件として、遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)に関わる内部抽選を実行する抽選実行手段と、前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段と、を備える遊技機」について記載されているといえる。
また、上記「遊技中に抽選契機となる所定事象が発生したことを条件として、遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)に関わる内部抽選を実行する抽選実行手段」と、上記(オ)の【0202】の「主制御CPU72は、大当り判定処理(内部抽選)を実行する・・・(抽選実行手段)」との記載を合わせると、刊行物1には、
「遊技中に抽選契機となる所定事象が発生したことを条件として、遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)に関わる内部抽選である大当り判定処理を実行する抽選実行手段である主制御CPU72」
について記載されているといえる。

(セ) 上記(イ)の【0046】の「第1特別図柄表示装置34及び第2特別図柄表示装置35は、・・・特別図柄の変動状態と停止状態とを表示することができる(図柄表示手段)」、上記(エ)の【0180】?【0181】の「特別図柄変動中処理では、主制御CPU72は・・・第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行・・・特別図柄の変動表示が行われる・・・特別図柄停止表示中処理では、主制御CPU72は第1特別図柄表示装置34又は第2特別図柄表示装置35の駆動制御を行・・・特別図柄の停止表示が行われる」との記載から、刊行物1には「特別図柄変動中処理では、図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の変動表示が行われ、特別図柄停止表示中処理では、図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の停止表示が行われる主制御CPU72」について記載されているといえ、当該記載事項と上記(ス)の「前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段」との記載を合わせると、刊行物1には、
「前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させるために、特別図柄変動中処理では、図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の変動表示が行われ、特別図柄停止表示中処理では、前記図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の停止表示が行われる主制御CPU72」
について記載されているといえる。

(ソ) 上記(エ)の【0107】の「図7は、割込管理処理」、「主制御CPU72は、・・・割込管理処理を実行する」、【0176】の「割込管理処理(図7)の中で実行される特別図柄遊技処理について、・・・特別図柄遊技処理は、・・・可変入賞装置管理処理・・・を含む」との記載から、刊行物1には「主制御CPU72は、可変入賞装置管理処理を含む特別図柄遊技処理を実行する」ことが記載されているといえる。
また、上記(エ)の【0182】の「可変入賞装置管理処理は、・・・当りの態様・・・で特別図柄が停止表示された場合に選択され」、「特別図柄が15ラウンド大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生する」、「可変入賞装置管理処理において・・・可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する・・・可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる」の記載と、上記(ス)の「前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段」との記載から、刊行物1には、「前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行され、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に特別図柄が15ラウンド大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態に移行する契機が発生する場合に可変入賞装置管理処理が選択され、可変入賞装置管理処理において、可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作し、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる」ことが記載されているといえる。
これらを総合すると、刊行物1には、
「前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行され、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に特別図柄が15ラウンド大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態に移行する契機が発生する場合に、可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作し、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる、可変入賞装置管理処理を選択し実行する主制御CPU72」
が記載されているといえる。

(タ) 上記(ウ)の【0080】の「演出制御CPU126は、・・・演出の制御を実行・・・演出の制御には、・・・液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御が含まれ」、上記(カ)の【0366】の「液晶表示器42に表示される演出画像」、【0370】の「特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始され」および上記(キ)の【0378】の「第1特別図柄・・・の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向・・・にスクロールするようにして変動表示演出が開始され」、上記(サ)の【0461】の「演出制御CPU126は演出図柄を用いた変動表示演出・・・の内容を制御し」との記載から、刊行物1には、
「液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御を実行する演出制御CPU126であって、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3つの図柄がスクロール変動することで変動表示演出を開始し、演出図柄を用いた変動表示演出の内容を制御する演出制御CPU126」
について記載されているといえる。

(チ) 上記(ア)の【0008】の「本発明の遊技機」、上記(イ)の【0030】の「本発明の実施形態」、「パチンコ遊技機(・・・「パチンコ機」・・・)1」、上記(ウ)の【0059】?【0060】の「パチンコ機1は・・・・主制御装置70を備え・・・主制御装置70には・・・主制御CPU72を実装した回路基板(主制御基板)が装備され」、【0074】の「パチンコ機1は・・・演出制御装置124を備え・・・演出制御装置124に・・・演出制御CPU126を実装した回路基板(複合サブ基板)が装備され」との記載から、刊行物1には、本発明の遊技機の実施形態として、「主制御CPU72と演出制御CPU126を備えたパチンコ遊技機であるパチンコ機1」が記載されているものといえる。

(ツ) 上記(キ)の【0377】の「大当り時のリーチ演出は、・・・内部抽選の結果が当選であり、そのときの当選種類として「15ラウンド確変図柄1」が選択されたことで、第1特別図柄表示装置34・・・において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が当選時の態様・・・で停止表示されるまでに実行され」、【0378】の「第1特別図柄・・・の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向・・・にスクロールするようにして変動表示演出が開始され」、【0381】の「図28中(D):・・・左演出図柄の変動表示が停止され・・・、この時点で画面の左上段位置に数字の「6」を表す演出図柄が停止し、左下段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止し」、【0382】の「図28中(E):・・・左演出図柄に続き、・・・右演出図柄の変動表示が停止され」「この時点で、右下段位置には数字の「6」を表す演出図柄が停止しており、画面の右上段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止し」、【0384】の「図28中(F):・・・「ハート」の図形を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていく・・・演出・・・が行われ」、「画面上に「ハート群」の画像が流れていくように表示され」、【0386】の「図28中(H):・・・画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入るようにして表示され」「演出が行われ」との記載、上記(シ)における「図28(D)?(F)からは、液晶表示器42に表示される絵柄は、左上下段位置と右上下段位置の4箇所に現れ、絵柄の長さは、画面の縦方向の半分よりは短い程度の長さであり、図28(H)からは、液晶表示器42に表示される絵柄は、左上下段位置と右上下段位置の4箇所に現れ、絵柄の長さは、画面の縦方向に対して図28(D)?(F)の絵柄よりさらに短い長さであり」との認定事項、上記(ク)の【0393】の「通常の状態から内部抽選で当選し、15ラウンド分の出玉がある確変大当りに該当すると(・・・「15ラウンド確変図柄1」に該当したとする)、変動中に上記のリーチ演出・・・を経て確変大当りの停止表示演出が実行され」との記載から、刊行物1には、
「大当り時のリーチ演出は、内部抽選の結果が当選であり、そのときの当選種類として「15ラウンド確変図柄1」が選択されたことで、第1特別図柄表示装置34において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が当選時の態様で停止表示されるまでに実行され、
当該大当り時のリーチ演出は、第1特別図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始され、
左演出図柄の変動表示が停止され、この時点で画面の左上段位置に数字の「6」を表す演出図柄が停止し、左下段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止し、左演出図柄に続き、右演出図柄の変動表示が停止され、この時点で、右下段位置には数字の「6」を表す演出図柄が停止しており、画面の右上段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止し、演出図柄の長さは、画面の縦方向の半分よりは短い程度の長さであり、「ハート」の図形を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていく演出が行われ、画面上に「ハート群」の画像が流れていくように表示され、
その後、液晶表示器の左上下段位置と右上下段位置に演出図柄がさらに画面の縦方向に短く表示されつつ画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入るようにして表示される演出が行われ、
上記の大当り時のリーチ演出を経て確変大当りの停止表示演出が実行され」ることが記載されているといえる。

(テ) 上記(ケ)の【0394】の「初当りからの大当り遊技中、・・・1ラウンド目から3ラウンド目にかけて大当り中の共通演出(例えば、キャラクターの紹介等)が実行され・・・大当り中の10ラウンド目までは、同様に大当り中の共通演出が実行され・・・大当り遊技中の11ラウンド目に移行すると、画面内に・・・タイトルロゴが表示され」、【0395】の「大当り遊技中の12ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「進行回数リスト」の文字情報とともに一覧表の枠組み・・・が表示され」、「枠組みの左上段には、第1回の特定態様演出(「進行回数1演出」とする)に対応するタイトル・・・が表示され」、【0396】の「13ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「No.1」の文字情報とともに、上記のタイトルが大きく強調して表示され」、【0397】の「大当り中の13ラウンドから15ラウンドにかけて進行回数1演出が実行され・・・進行回数1演出の内容は、例えばストーリー上のあらすじを紹介するものであったり、ストーリーに合わせてキャラクターを出現させるものであ」との記載から、刊行物1には、
「初当りからの大当り遊技中、1ラウンド目から3ラウンド目にかけて大当り中の共通演出(例えば、キャラクターの紹介等)が実行され、大当り中の10ラウンド目までは、同様に大当り中の共通演出が実行され、大当り遊技中の11ラウンド目に移行すると、画面内にタイトルロゴが表示され、大当り遊技中の12ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「進行回数リスト」の文字情報とともに一覧表の枠組みが表示され、枠組みの左上段には、第1回の特定態様演出(「進行回数1演出」とする)に対応するタイトルが表示され、13ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「No.1」の文字情報とともに、上記のタイトルが大きく強調して表示され、大当り中の13ラウンドから15ラウンドにかけて進行回数1演出が実行され、進行回数1演出の内容は、例えばストーリー上のあらすじを紹介するものであったり、ストーリーに合わせてキャラクターを出現させるものであ」ることが記載されているといえる。

(ト) 上記(コ)の【0398】の「進行回数1演出の実行を伴う大当り遊技が終了すると、それまでの通常確率状態から高確率状態・・・に移行」、【0399】の「高確率状態で大当り・・・すると、その変動中に特定リーチ演出が実行され・・・左演出図柄と右演出図柄で数字の「3」が揃うと、・・・今回の進行回数1演出のタイトル・・・に関係するキャラクターを用いた・・・特定リーチ演出(「進行回数1リーチ演出」とする)が実行される」との記載、及び上記(シ)における「キャラクタが付されていない、数字「3」だけの演出図柄が、画面の左上部段位置と右上部段位置に、画面の縦方向で1/4程度の長さで表示される」との認定事項から、刊行物1には、
「進行回数1演出の実行を伴う大当り遊技が終了すると、それまでの通常確率状態から高確率状態に移行し、高確率状態で大当りすると、その変動中に特定リーチ演出が実行され、左演出図柄と右演出図柄で、キャラクタが付されていない、画面の左上部段位置と右上部段位置に、画面の縦方向で1/4程度の長さで表示される、数字の「3」だけの演出図柄が揃うと、今回の進行回数1演出のタイトルに関係するキャラクターを用いた特定リーチ演出(「進行回数1リーチ演出」とする)が実行される」
ことが記載されているといえる。

また、刊行物1の【0352】に「高確率時の当選確率が例えば20分の1?39分の1程度」と記載されるように、高確率状態に移行しても、非当選(はずれ)となる場合も当然含まれることから、上記(カ)の【0367】の「図27は、特別図柄の変動表示及び停止表示に対応させた演出画像の例を示す連続図である」「非当選(はずれ)時の特別図柄の変動について、演出図柄を用いて行われる変動表示演出と停止表示演出の一例」、「変動表示演出は、特別図柄・・・が変動表示を開始してから、停止表示・・・するまでの間に行われ」、【0370】の「図27中(B)・・・特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始され」、【0375】の「内部抽選の結果が非当選であって、・・・特別図柄が非当選・・・の態様で停止表示される場合、演出図柄も同様に非当選・・・の態様で停止表示演出が行われ」との記載、及び上記(シ)における「図27(A)?(E)からは、液晶表示器42に表示される3本の演出図柄列は、数字または平仮名が右下側に位置し、キャラクタが付された絵札として表示され、絵札の長さは、画面の縦方向の半分程度の長さになる」の認定事項とあわせると、刊行物1には、
「高確率状態で内部抽選の結果が非当選であって、特別図柄が非当選の態様で停止表示される場合、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の演出図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始され、演出図柄は数字または平仮名が右下側に位置し、キャラクタが付された絵札として表示され、絵札の長さは、画面の縦方向の半分程度の長さになり、その後非当選の態様で演出図柄の停止表示演出が行われ」ることが記載されているといえる。

以上を総合すると、刊行物1には、
「進行回数1演出の実行を伴う大当り遊技が終了すると、それまでの通常確率状態から高確率状態に移行し、高確率状態で大当りすると、その変動中に特定リーチ演出が実行され、左演出図柄と右演出図柄で、キャラクタが付されていない、画面の左上部段位置と右上部段位置に、縦方向で画面の1/4程度の大きさで表示される、数字の「3」だけの演出図柄が揃うと、今回の進行回数1演出のタイトルに関係するキャラクターを用いた特定リーチ演出(「進行回数1リーチ演出」とする)が実行され、
高確率状態で内部抽選の結果が非当選であって、特別図柄が非当選の態様で停止表示される場合、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の演出図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始され、演出図柄は数字または平仮名が右下側に位置し、キャラクタが付された絵札として表示され、絵柄の長さは、画面の縦方向の半分程度の長さになり、その後非当選の態様で演出図柄の停止表示演出が行われ」る
ことが記載されているといえる。

上記(ア)?(サ)の記載事項及び上記(シ)?(ト)の認定事項から、刊行物1には、
「a 遊技中に抽選契機となる所定事象が発生したことを条件として、遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)に関わる内部抽選である大当り判定処理を実行する抽選実行手段である主制御CPU72と、(認定事項(ス))
b 前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させるために、特別図柄変動中処理では、図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の変動表示が行われ、特別図柄停止表示中処理では、前記図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の停止表示が行われる主制御CPU72と、を備え(認定事項(セ))
c 前記主制御CPU72は前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行され、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に特別図柄が15ラウンド大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態に移行する契機が発生する場合に、可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作し、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる、可変入賞装置管理処理を選択し実行し、(認定事項(ソ))、さらに、
d 液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御を実行するものであって、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3つの図柄がスクロール変動することで変動表示演出を開始し、演出図柄を用いた変動表示演出の内容を制御する演出制御CPU126と、(認定事項(タ))
を備えたパチンコ機1であって、(認定事項(チ))
e、i’ 大当り時のリーチ演出は、内部抽選の結果が当選であり、そのときの当選種類として「15ラウンド確変図柄1」が選択されたことで、第1特別図柄表示装置34において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が当選時の態様で停止表示されるまでに実行され、
第1特別図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始され、
左演出図柄の変動表示が停止され、この時点で画面の左上段位置に数字の「6」を表す演出図柄が停止し、左下段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止し、左演出図柄に続き、右演出図柄の変動表示が停止され、この時点で、右下段位置には数字の「6」を表す演出図柄が停止しており、画面の右上段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止し、演出図柄の長さは、画面の縦方向の半分よりは短い程度の長さであり、「ハート」の図形を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていく演出が行われ、画面上に「ハート群」の画像が流れていくように表示され、
その後、液晶表示器の左上下段位置と右上下段位置に演出図柄がさらに画面の縦方向に短く表示されつつ画面上にキャラクターの画像が大写しに割って入るようにして表示される演出が行われ、
上記の大当り時のリーチ演出を経て確変大当りの停止表示演出が実行され、(認定事項(ツ))
f 初当りからの大当り遊技中、1ラウンド目から3ラウンド目にかけて大当り中の共通演出(例えば、キャラクターの紹介等)が実行され、大当り中の10ラウンド目までは、同様に大当り中の共通演出が実行され、大当り遊技中の11ラウンド目に移行すると、画面内にタイトルロゴが表示され、大当り遊技中の12ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「進行回数リスト」の文字情報とともに一覧表の枠組みが表示され、枠組みの左上段には、第1回の特定態様演出(「進行回数1演出」とする)に対応するタイトルが表示され、13ラウンド目に移行すると、画面内に例えば「No.1」の文字情報とともに、上記のタイトルが大きく強調して表示され、大当り中の13ラウンドから15ラウンドにかけて進行回数1演出が実行され、進行回数1演出の内容は、例えばストーリー上のあらすじを紹介するものであったり、ストーリーに合わせてキャラクターを出現させるものであり、(認定事項(テ))
g 進行回数1演出の実行を伴う大当り遊技が終了すると、それまでの通常確率状態から高確率状態に移行し、高確率状態で大当りすると、その変動中に特定リーチ演出が実行され、左演出図柄と右演出図柄で、キャラクタが付されていない、画面の左上部段位置と右上部段位置に、画面の縦方向で1/4程度の長さで表示される、数字の「3」だけの演出図柄が揃うと、今回の進行回数1演出のタイトルに関係するキャラクターを用いた特定リーチ演出(「進行回数1リーチ演出」とする)が実行され、
高確率状態で内部抽選の結果が非当選であって、特別図柄が非当選の態様で停止表示される場合、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3本の演出図柄列がスクロール変動することで変動表示演出が開始され、演出図柄は数字または平仮名が右下側に位置し、キャラクタが付された絵札として表示され、絵札の長さは、画面の縦方向の半分程度の長さになり、その後非当選の態様で演出図柄の停止表示演出が行われる、(認定事項(ト))
j パチンコ機1(認定事項(チ))」

という発明(記号a?g、i’、jは本件補正発明1のA?G、I、Jに対応させて当審で付した。以下、刊行物1記載の発明という。)が開示されていると認める。

(2-2) 刊行物2
前置審査時に周知文献として引用された、本願出願前に日本国内において頒布された刊行物である特開2008-289772号公報(以下、刊行物2という)には以下の事項が記載されている。

(ア) 「【0037】
一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいて第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の変動のいずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄の変動(例えば上下方向のスクロール表示)が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときに、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄(最終停止図柄)が停止表示される。なお、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアは、画像表示装置5の表示領域内で移動可能とされ、飾り図柄を縮小あるいは拡大して表示することができるようにしてもよい。」

(イ) 「【0398】
図74?図76は、可変表示結果が「大当り」であり大当り種別が「突確」以外である場合の表示動作例を示している。図74(A)では、例えば特図ゲームにおける特別図柄の変動開始などに対応して、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの全部にて飾り図柄の変動が開始される。その後、例えば図74(B)に示すように、「左」の飾り図柄表示エリア5Lにて「6」の数字を示す飾り図柄が停止表示(仮停止表示)される。」

(ウ) 「【0400】
図74(C3)や図74(D5)に示すようにしてリーチ状態となった後、あるいは、図73(N)に示したようにしてリーチ状態となった後には、例えば図75(A)に示すように、「中」の飾り図柄表示エリア5Cにおける飾り図柄の変動速度が低下する。そして、例えば変動パターンがノーマルPA2-5?ノーマルPA2-8のいずれかであるときなどには、図75(B)に示すように「中」の飾り図柄表示エリア5Cにて「6」を示す数字が「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rと揃って停止表示(仮停止表示)される「ノーマル」のリーチ演出が行われる。なお、図75(B)に示す例では、可変表示結果が「大当り」である場合に対応して、大当り組合せを構成する飾り図柄が停止表示されているが、可変表示結果が「ハズレ」となる場合には、例えば図75(H)に示すように「5」を示す数字が「中」の飾り図柄表示エリア5Cにて停止表示されることを示す演出画像を表示させてから「中」の飾り図柄表示エリア5Cにて「5」を示す数字の飾り図柄を停止表示させるといった、「中」の飾り図柄表示エリア5Cにて「6」を示す数字以外の飾り図柄を停止表示させることなどにより、リーチハズレ組合せを構成する確定飾り図柄を停止表示させ、飾り図柄の可変表示を終了すればよい。リーチ演出α1?リーチ演出α3やリーチ演出β1?リーチ演出β3のいずれかが実行される場合には、例えば図75(C)に示すように、低下していた「中」の飾り図柄表示エリア5Cにおける飾り図柄の変動速度が再び上昇し、各種のリーチ演出表示が開始される。
【0401】
この実施の形態では、図67に示すステップS714や図68に示すステップS774にて決定されたリーチ演出パターン、あるいは、図68に示すステップS777における差替後のリーチ演出パターンに対応して、図60に示すステップS518にてリーチ演出制御パターンが選択されることにより、リーチ演出α1?リーチ演出α3やリーチ演出β1?リーチ演出β3として実行される演出動作が決定される。例えば、リーチ演出α1として実行される演出動作には、リーチ演出α1A(大当り)、リーチ演出α1B(大当り)、リーチ演出α1A(ハズレ)、リーチ演出α1B(ハズレ)がある。以下では、一例として、リーチ演出α1としてリーチ演出α1A(大当り)あるいはリーチ演出α1A(ハズレ)の演出動作が実行され、リーチ演出α2としてリーチ演出α2A(大当り)あるいはリーチ演出α2A(ハズレ)の演出動作が実行され、リーチ演出α3としてリーチ演出α3A(大当り)の演出動作が実行され、リーチ演出β1としてリーチ演出β1A(大当り)あるいはリーチ演出β1A(ハズレ)の演出動作が実行され、リーチ演出β2としてリーチ演出β2A(大当り)の演出動作が実行され、リーチ演出β3としてリーチ演出β3A(大当り)の演出動作が実行される場合について説明する。
【0402】
例えば、リーチ演出β1やリーチ演出β2では、リーチ演出β1A(大当り)あるいはリーチ演出β1A(ハズレ)の演出動作やリーチ演出β2A(大当り)の演出動作において、図75(D)に示すようなキャラクタ画像CH2が表示された後、対応するリーチ演出表示が進行する。また、リーチ演出α1?リーチ演出α3のいずれかである場合には、リーチ演出α1A(大当り)あるいはリーチ演出α1A(ハズレ)の演出動作、リーチ演出α2A(大当り)あるいはリーチ演出α2A(ハズレ)の演出動作、リーチ演出α3A(大当り)の演出動作において、図75(E)に示すようなキャラクタ画像CH1が表示された後、図75(F)に示すようなリーチ演出表示が進行する。そして、リーチ演出α1では、リーチ演出α1A(大当り)あるいはリーチ演出α1A(ハズレ)の演出動作において、例えば図75(G)に示すように、1段階目の演出表示で停止表示(仮停止表示)される飾り図柄が出現する。図75(G)に示す例では、可変表示結果が「大当り」である場合に対応して、大当り組合せを構成する飾り図柄が停止表示されているが、可変表示結果が「ハズレ」となる場合には、リーチハズレ組合せを構成する確定飾り図柄を停止表示させ、飾り図柄の可変表示を終了すればよい。これに対して、リーチ演出α2やリーチ演出α3では、リーチ演出α2A(大当り)あるいはリーチ演出α2A(ハズレ)の演出動作やリーチ演出α3A(大当り)の演出動作において、例えば図75(H)及び(I)に示すように、2段階目の演出表示に進むことになる。他方、リーチ演出β3では、リーチ演出β3A(大当り)の演出動作において、図75(J)に示すようなキャラクタ画像CH3が表示された後、対応するリーチ演出表示が進行する。
【0403】
図75(I)に示すようにして2段階目の演出表示が進行すると、リーチ演出α2であれば、リーチ演出α2A(大当り)あるいはリーチ演出α2A(ハズレ)の演出動作において、例えば図76(A)に示すように、2段階目の演出表示で停止表示(仮停止表示)される飾り図柄が出現する。なお、可変表示結果が「ハズレ」となる場合には、リーチ演出α2A(ハズレ)の演出動作において、例えば図76(B)に示すように、表示されている飾り図柄が変更されず、リーチハズレ組合せを構成する確定飾り図柄を停止表示させ、飾り図柄の可変表示を終了させればよい。これに対して、リーチ演出α3では、リーチ演出α3A(大当り)の演出動作において、例えば図76(B)?(D)に示すように、3段階目の演出表示(「救済演出」ともいう)に進むことになる。そして、3段階目の演出表示で停止表示(仮停止表示)される飾り図柄が出現する。ここで、例えば図65に示すステップS574にて変動中昇格演出を実行しないことに決定された場合には、図76(E)に示すように、仮停止表示された飾り図柄がそのまま最終停止図柄となる確定飾り図柄として停止表示(最終停止表示)される。これに対して、変動中昇格演出を実行することに決定された場合には、図76(F)に示すようにして通常大当り組合せとなる飾り図柄を仮停止表示した後に、図76(G)に示すように「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて同一の飾り図柄が揃った状態で再び変動させる。そして、大当り種別が「第1確変」であることに対応して変動中昇格演出が実行される場合には、例えば図76(H)に示すように、仮停止表示させた飾り図柄を再変動させた後に確変大当り組合せとなる確定飾り図柄を停止表示する変動中昇格成功演出が行われる。なお、変動中昇格失敗演出が実行される場合には、図76(G)に示すような飾り図柄の再変動を行った後、例えば図76(F)と同様に、通常大当り組合せとなる確定飾り図柄を停止表示させればよい。」

(エ) 上記(ア)の記載から、「飾り図柄表示エリアは、画像表示装置5の表示領域内で移動可能とされ、飾り図柄を縮小あるいは拡大して表示することができる」ことがいえ、これを踏まえると、図74(A)、図75(E)、図76(E)、図76(H)から、図74(A)において、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rは画像表示装置5の表示領域の上下方向で中ほどに位置し、飾り図柄は「↓↓↓」と図75(E)に比して拡大して表示されており、図75(E)、図75(F)において、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rは画像表示装置5の表示領域の右下部にまとまって位置し、飾り図柄は「6↓6」と、図74(A)に比して縮小されて表示されるとともに、キャラクタ画像CH1は画像表示装置5の表示領域の中央付近及びそれより横方向に広がった範囲に表示され、図76(E)、図76(H)において、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rは図74(A)と同様の位置に同様の大きさで「666」または「777」と表示されることが看取できる。

上記(ア)?(ウ)の記載事項、及び(エ)の認定事項から、刊行物2には、
「可変表示結果が「大当り」である場合、特図ゲームにおける特別図柄の変動開始などに対応して、画像表示装置5の表示領域の上下方向で中ほどに位置する「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの全部にて、リーチ状態に比して拡大されて表示される飾り図柄の変動が開始され、リーチ状態となった後、飾り図柄表示エリアが画像表示装置5の表示領域の右下部にまとまって移動し、飾り図柄が変動開始時に比して縮小されて表示されるとともに、キャラクタ画像CH1が画像表示装置5の表示領域の中央付近及びそれより横方向に広がった範囲に表示され、リーチ演出表示が進行し、キャラクタ画像CH1が表示されなくなり、飾り図柄表示エリアが変動開始時と同様の位置に同様の大きさで確定飾り図柄である「666」または「777」が表示される」
ことが記載されている(以下、刊行物2記載の事項という)ものと認められる。

(3)本件補正発明1と刊行物1記載の発明との対比

本件補正発明1と刊行物1記載の発明とを対比する。

(a) 刊行物1記載の発明における構成要件aのうち、「遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)」について検討する。
刊行物1記載の発明における構成要件cの「通常状態から大当り遊技状態に移行する契機が発生する場合に可変入賞装置管理処理が選択され、可変入賞装置管理処理において、可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作し、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる」という事項を踏まえると、「可変入賞装置の作動契機が発生する」場合には、「大当り遊技状態に移行し、可変入賞装置が決まったパターンで開閉動作し、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる」といえる。
そうすると、上記「遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)」とは、「遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる大当り遊技状態に移行すること」であるといえるが、これは本件補正発明1の「遊技者に有利な特別状態へ移行させる」ことに相当するということができ、刊行物1記載の発明における構成要件aのうち、「遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)に関わる内部抽選である大当り判定処理を実行する」ことは、本件補正発明1の「遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う」ことに相当する。
以上のことから、刊行物1記載の発明における構成要件aである、「遊技中に抽選契機となる所定事象が発生したことを条件として、遊技者の利益(例えば可変入賞装置の作動契機が発生するという利益)に関わる内部抽選である大当り判定処理を実行する抽選実行手段である主制御CPU72」は
本件補正発明1の「始動条件成立により遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段」に相当する。

(b) 刊行物1記載の発明における構成要件bのうち、「特別図柄変動中処理では、前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の変動表示が行われ」ることは、本件補正発明1における「前記特別遊技判定手段による特別遊技判定の結果を表示するための特別図柄の変動表示を行う」ことに相当するから、刊行物1記載の発明における構成要件bである、「特別図柄変動中処理では、前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行されると、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に前記内部抽選の結果に応じた態様で図柄を停止表示させる図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の変動表示が行われ、特別図柄停止表示中処理では、前記図柄表示手段の駆動制御を行うことで、特別図柄の停止表示が行われる主制御CPU72」は、本件補正発明1における「前記特別遊技判定手段による特別遊技判定の結果を表示するための特別図柄の変動表示を行う変動表示制御手段」に相当する。

(c) 刊行物1記載の発明における構成要件cのうち、「前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行され」「それまでの通常状態から大当り遊技状態に移行する契機が発生する場合に」は、本件補正発明1の「前記特別遊技判定手段により特別遊技状態へ移行させると判定されたことを条件として」に相当する。
また、刊行物1記載の発明における「遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる、可変入賞装置管理処理を選択し実行する」ことは、本件補正発明1の「特別遊技の制御を行う」ことに相当するといえる。
そうすると、刊行物1記載の発明における構成要件cである「前記抽選実行手段により前記内部抽選が実行され、所定の変動時間にわたって図柄を変動表示させた後に特別図柄が15ラウンド大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態に移行する契機が発生する場合に、可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作し、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる、可変入賞装置管理処理を選択し実行する主制御CPU72」は、本件補正発明1の「前記特別遊技判定手段により特別遊技状態へ移行させると判定されたことを条件として特別遊技の制御を行う特別遊技制御手段」に相当する。

(d) 刊行物1記載の発明における構成要件dである、「液晶表示器42を用いた画像表示による演出の制御を実行する演出制御CPU126であって、特別図柄の変動開始に同期して、液晶表示器42の表示画面上で3つの図柄がスクロール変動することで変動表示演出を開始し、演出図柄を用いた変動表示演出の内容を制御する演出制御CPU126」は、本件補正発明1の「前記特別図柄の変動表示が行われることに伴い、所定の表示手段において複数の装飾図柄の変動表示を含む遊技演出を行わせる演出制御手段」に相当する。

(e) 刊行物1記載の発明における「大当り時のリーチ演出」は、「内部抽選の結果が当選であり、そのときの当選種類として「15ラウンド確変図柄1」が選択されたことで、第1特別図柄表示装置34において大当り時の変動パターンによる変動表示が行われた後、第1特別図柄が当選時の態様で停止表示されるまでに実行され」ることから、刊行物1記載の発明における「大当り時のリーチ演出」は、本件補正発明1同様に「前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する前記特別図柄の変動表示中に」「実行」されることから、本件補正発明1の「第1の演出」に相当する。
そうすると、刊行物1記載の発明における「大当り時のリーチ演出」を実行することは、本件補正発明1における「前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する前記特別図柄の変動表示中に第1の演出を実行」することに相当する。

(f) 刊行物1記載の発明における「大当り時のリーチ演出」は、「演出図柄」「の変動表示演出が開始され」、「画面の左上段位置に数字の「6」を表す演出図柄が停止し、左下段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止し、」「右下段位置には数字の「6」を表す演出図柄が停止しており、画面の右上段位置には数字の「7」を表す演出図柄が停止し、「ハート」の図形を表す画像が群をなして画面上を斜めに過ぎっていく演出が行われ、画面上に「ハート群」の画像が流れていくように表示され」る。
一方、刊行物1記載の「大当り遊技中」に行われる演出は、1ラウンドから10ラウンドまではキャラクターの紹介等の大当り中の共通演出が行われ、11ラウンド目は画面内にタイトルロゴが表示され、12ラウンド目は画面内に「進行回数リスト」が表示され、13ラウンドから15ラウンドにかけて、ストーリーのあらすじを紹介するものであったり、ストーリーに合わせてキャラクタを出現させるという演出を行うものでである。
そうすると、刊行物1記載の発明における「大当り遊技中」に行われる演出は、「大当り時のリーチ演出」とは異なることは明らかであり、本件補正発明1の「前記第1の演出とは異なる第2の演出」に相当する。
したがって、刊行物1記載の発明における構成要件fのように「大当り遊技中」に演出を実行することは、本件補正発明1の「特別遊技判定に対応する特別遊技中に前記第1の演出と異なる第2の演出を実行」することに相当する。

(g) 刊行物1記載の発明において「大当り遊技が終了」した後、「高確率状態に移行し」「高確率状態で大当りすると、その変動中に特定リーチ演出が実行され、左演出図柄と右演出図柄で、キャラクタが付されていない、画面の左上部段位置と右上部段位置に、画面の縦方向で1/4程度の長さで表示される、数字の「3」だけの演出図柄が揃うと、今回の進行回数1演出のタイトルに関係するキャラクターを用いた特定リーチ演出(「進行回数1リーチ演出」とする)が実行され」、一方、刊行物1記載の発明における「大当り遊技が終了」した後、「高確率状態で」「内部抽選の結果が非当選であって、特別図柄が非当選の態様で停止表示される場合」、「演出図柄は数字または平仮名が右下側に位置し、キャラクタが付された絵札として表示され、絵札の長さは、画面の縦方向の半分程度の長さにな」り、「非当選の態様で演出図柄の停止表示演出が行われ」るが、いずれの場合も「大当り遊技が終了した」後で演出が実行される。

以上のことから、刊行物1記載の発明における「大当り遊技が終了」した後、「特定リーチ演出」や、「演出図柄」が「非当選の態様で停止表示演出」が行われることは、本件補正発明1の「前記特別遊技が終了した後に第3の演出を実行」することに相当する。

(h) 刊行物1記載の発明における「大当り時のリーチ演出」において、演出中の演出図柄が左上下段と右上下段に表示され、演出図柄の長さは画面の縦方向の半分よりは短い、ないしそれより短く表示される。
一方、刊行物1記載の発明における「大当り遊技が終了し、高確率状態に移行した」場合において、「大当りすると」実行される「特定リーチ演出」では、キャラクタが付されていない、数字だけの演出図柄が、画面の左上部段位置と右上部段位置に、画面の縦方向で1/4程度の長さで表示されており、「非当選時」における変動表示演出の演出図柄は、数字または平仮名が右下側に位置し、キャラクタが付された絵札として表示され、絵札の長さは、画面の縦方向の半分程度の長さで表示されている。
そうすると、刊行物1記載の発明における「大当り時のリーチ演出」における演出図柄の表示態様は、「大当り遊技が終了し、高確率状態に移行し」た場合の演出図柄の表示態様とは少なくとも一部が異なることは明らかである。
したがって、刊行物1記載の発明における「大当り時のリーチ演出」と「大当り遊技終了後の変動表示演出」とは、本件補正発明1同様に「前記第1の演出と前記第3の演出とは、前記複数の装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能であ」るといえる。

(i) 刊行物1記載の発明における構成要件e,i’の「第1特別図柄の変動開始に略同期して、液晶表示器42の画面上で左演出図柄、中演出図柄、右演出図柄の列が縦方向にスクロールするようにして変動表示演出が開始され」「通常の状態から内部抽選で当選し、15ラウンド分の出玉がある確変大当りに該当すると(「15ラウンド確変図柄1」に該当したとする)、変動中に上記のリーチ演出を経て確変大当りの停止表示演出が実行され」ることは、本件補正発明1の構成要件Iと「前記第1の演出は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後」「特別遊技判定の結果を表示させることが可能である」点で共通している。

(j) 刊行物1記載の発明における「パチンコ機1」は、本件補正発明1の「遊技機」に相当する。

以上のことから、本件補正発明1と刊行物1発明は以下の点で一致する。

(一致点)
「始動条件成立により遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段による特別遊技判定の結果を表示するため特別図柄の変動表示を行う変動表示制御手段と、
前記特別遊技判定手段により特別遊技状態へ移行させると判定されたことを条件として特別遊技の制御を行う特別遊技制御手段と、
前記特別図柄の変動表示が行われることに伴い、所定の表示手段において複数の装飾図柄の変動表示を含む遊技演出を行わせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する前記特別図柄の変動表示中に第1の演出を実行し、特別遊技判定に対応する特別遊技中に前記第1の演出と異なる第2の演出を実行し、前記特別遊技が終了した後に第3の演出を実行し、
前記第1の演出と前記第3の演出とは、前記複数の装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能であり、
前記第1の演出は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記特別図柄遊技判定の結果を表示させることが可能である
遊技機。」

一方、本件補正発明1と刊行物1記載の発明は以下の点で相違する。

(相違点)
前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記特別図柄遊技判定の結果を表示させることが可能である第1の演出について、
本件補正発明1は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能であるのに対して、
刊行物1記載の発明は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させるかどうかについて特定されておらず、また、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させるかどうかについて特定されていない点。

(4)相違点に対する判断
本件補正発明1の構成要件Iにおける「前記第1の演出」とは、本件補正発明1の構成要件E’の「前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する前記特別図柄の変動表示中に第1の演出を実行し」との記載からすると、「特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する特別図柄の変動表示中に実行」「される演出」であるといえる。
これを踏まえると、刊行物2記載の事項における「可変表示結果が「大当り」である場合」は、本件補正発明1の上記「特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合」に相当し、刊行物2記載の事項における「特図ゲームにおける特別図柄の変動開始などに対応して」「表示される飾り図柄の変動」は、本件補正発明1の上記「当該特別遊技判定に対応する特別図柄の変動表示中に実行」「される演出」に相当するといえるから、刊行物2記載の事項における「可変表示結果が「大当り」である場合、特図ゲームにおける特別図柄の変動開始などに対応して」「飾り図柄の変動」が「表示される」演出は、本件補正発明1の構成要件Iにおける「前記第1の演出」に相当する。
次に、刊行物2記載の事項における「画像表示装置5の表示領域の上下方向で中ほどに位置する「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの全部にて、リーチ状態に比して拡大されて表示される飾り図柄の変動が開始され」ることは、本件補正発明1の構成要件Iにおける「第1態様で変動させ」ることに相当し、刊行物2記載の事項における「リーチ状態となった後、飾り図柄表示エリアが画像表示装置5の表示領域の右下部にまとまって移動し、飾り図柄が変動開始時に比して縮小されて表示されるとともに」について、リーチ状態となった後の飾り図柄は変動開始時の飾り図柄と比べて縮小されており、両者は異なるものであるといえるから、本件補正発明1の構成要件Iにおける「前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に」に相当する。
また、刊行物2記載の事項における「キャラクタ画像CH1が画像表示装置5の表示領域の中央付近及びそれより横方向に広がった範囲に表示され」について、刊行物2記載の事項においては「画像表示装置5の表示領域の上下方向で中ほどに位置する「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rの全部にて、リーチ状態に比して拡大されて表示される飾り図柄の変動が開始され」ることから、キャラクタ画像CH1は飾り図柄が拡大されて変動させていた表示領域に表示されているということができる。したがって、本件補正発明1の構成要件Iにおける「前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ」ることに相当する。
さらに、刊行物2記載の事項における「リーチ演出表示が進行し、キャラクタ画像CH1が表示されなくなり、飾り図柄表示エリアが変動開始時と同様の位置に同様の大きさで確定飾り図柄である「666」または「777」が表示される」ことは、本件補正発明1における「前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能である」ことに相当する。

これらをまとめると、刊行物2記載の事項は、本件補正発明1の構成要件I、すなわち「前記第1の演出は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能である」ことに相当する。

ここで、上記刊行物1記載の発明と上記刊行物2記載の事項は、いずれも遊技における興趣の向上を目的とするものであり、また、刊行物1記載の発明における構成要件e,i’と上記刊行物2記載の事項は、いずれも大当り時の変動表示演出に関するものであり、途中で演出図柄の位置及び大きさが変更されて、画面上にキャラクタ画像が表示される点で共通するものであることから、刊行物1記載の発明における構成要件e、i’に刊行物2記載の事項を適用するだけの動機付けは存在するといえる。
よって、上記刊行物1記載の発明における構成要件e、i’における「第1特別図柄の変動開始に略同期して」行われる「変動表示演出」及び「大当りの停止表示演出」について、上記刊行物2記載の事項を適用することで、上記相違点に係る本件補正発明1の構成をとることは、当業者が適宜なし得たものである。
また、上記刊行物1記載の発明において上記刊行物2記載の事項を適用することで、本件補正発明1と同様の効果を奏することは当業者ならば予測し得た程度のものにすぎない。

(5)小括
以上のとおりであるから、本件補正発明1は、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(6)請求項2記載の発明について
また、本件補正後の請求項2に記載された発明(以下「本件補正発明2」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について検討するに、本件補正発明2は、本件補正発明1において特定される「特別遊技判定に対応する特別遊技中に前記第1の演出と異なる第2の演出を実行し、」という事項を除き、これに伴い本件補正発明1における「第3の演出」を「第2の演出」と特定したにすぎない。
そして、上記(1)?(5)のとおり、本件補正発明1は、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである以上、本件補正発明2も同様に刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(7)審判請求人の主張について
審判請求人は平成29年5月23日付け審判請求書の(a)本願発明の説明における(a-1)請求項1に係る発明の最後において、本願発明の効果について、「請求項1に係る発明は、上記構成を有することにより、特別遊技状態へ移行するときには、第1段階目の後の第2段階目の演出において表示手段の中央部分に、複数の装飾図柄とは関係のない特別な演出画像を大きく表示させることが可能であり、遊技者に特別遊技状態へ移行する期待度が高いことを示唆することができる。そのため、第1の演出が第2段階目に移行すると、遊技者の興味を、画面隅へ移動した複数の装飾図柄の変動表示ではなく、表示手段の中央部分で行われる特別な演出画像に集中させることができ、興趣性の高い演出を行うことが可能である。
また特別な演出画像を表示するときには、複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させて複数の装飾図柄を第2態様で変動させるため、表示手段の画面隅においては複数の装飾図柄が纏まった状態で表示される。そのため、遊技者は、特別な演出画像が表示されているときに画面隅を見れば、複数の装飾図柄が纏まった状態で変動中であることを確認することができるという利点もある。」
と主張するとともに、(d)本願発明と引用発明との対比における (d-1)請求項1に係る発明と引用発明との対比において、以下の主張を行っている。

「これに対し、請求項1に係る発明と引用発明とを対比した場合、請求項1に係る発明において行われる第1の演出は、複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させて複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、複数の装飾図柄を第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、特別な演出画像の表示終了後に複数の装飾図柄を第1態様に戻して特別遊技判定の結果を表示させることが可能であるのに対し、引用発明はそのような演出を行わない点で、両発明は相違する。
すなわち、引用発明は、大当たりとなるとき、複数の装飾図柄を縦方向に変動させる演出を開始し、リーチ状態が発生すると、左右の2つの装飾図柄が互いに揃った図柄で停止することによりリーチ状態が発生すると、左右4つの装飾図柄をバラバラにしてそれぞれを画面の四隅に移動させて縮小表示し、画面中央に、中央の装飾図柄に相当する数字を表す画像(図28(G))や、キャラクターの画像(図28(H))を表示させるものである。
そうすると、引用発明では、複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後に、それら複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させて複数の装飾図柄を第2態様で変動させる演出を行うものではない。したがって、上述の通り、引用発明は、本願の請求項1に係る発明のように、複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させて複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、複数の装飾図柄を第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、特別な演出画像の表示終了後に複数の装飾図柄を第1態様に戻して特別遊技判定の結果を表示させることが可能な演出を行うものではない。
また引用発明には、複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後に、複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させ、それら複数の装飾図柄を表示手段の画面隅において第2態様で一体的に変動させる構成を何ら示唆するものではない。
そのため、引用発明は、特別な演出画像を表示するときに、表示手段の画面隅において複数の装飾図柄を纏まった状態で変動表示させることができず、本願の請求項1に係る発明が発揮する作用効果を奏し得ない。 」

しかしながら、上記「(4)相違点に対する判断」において示した通り、「複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能である」ことは、遊技機における特別遊技判定に対応する特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する特別図柄の変動表示中の演出として刊行物2記載の事項にあるように公知の技術にすぎず、刊行物1記載の発明における「第1特別図柄の変動開始に略同期して」行われる「変動表示演出」及び「大当りの停止表示演出」について、上記刊行物2記載の事項を適用し、上記相違点に係る本件補正発明1の構成とすることは当業者ならば容易になし得たものである。

また、刊行物1記載の発明に上記刊行物2記載の事項を適用することで、本件補正発明1同様の「第1の演出が第2段階目に移行すると、遊技者の興味を、画面隅へ移動した複数の装飾図柄の変動表示ではなく、表示手段の中央部分で行われる特別な演出画像に集中させることができ、興趣性の高い演出を行うことが可能である」、「遊技者は、特別な演出画像が表示されているときに画面隅を見れば、複数の装飾図柄が纏まった状態で変動中であることを確認することができる」という効果を奏することは当業者ならば予測し得た程度のものにすぎない。

次に、審判請求人は同日付け審判請求書の(a)本願発明の説明における(a-2)請求項2に係る発明の最後において、本願発明の効果について、「したがって、請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明と同様に、特別遊技状態へ移行するときには、第1段階目の後の第2段階目の演出において表示手段の中央部分に、複数の装飾図柄とは関係のない特別な演出画像を大きく表示させることが可能であり、遊技者に特別遊技状態へ移行する期待度が高いことを示唆することができる。そのため、第1の演出が第2段階目に移行すると、遊技者の興味を、画面隅へ移動した複数の装飾図柄の変動表示ではなく、表示手段の中央部分で行われる特別な演出画像に集中させることができ、興趣性の高い演出を行うことが可能である。
また請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明と同様に、特別な演出画像を表示するときには、複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させて複数の装飾図柄を第2態様で変動させるため、表示手段の画面隅において複数の装飾図柄を纏まった状態で変動表示させることができる。そのため、遊技者は、特別な演出画像が表示されているときに画面隅を見れば、複数の装飾図柄が纏まった状態で変動中であることを確認することができるという利点もある。」
と主張するとともに、(d)本願発明と引用発明との対比における (d-2)請求項2に係る発明と引用発明との対比において、以下の主張を行っている。

(d-2)請求項2に係る発明と引用発明との対比
「本願の請求項2に係る発明を、引用発明と対比した場合も上記と同様である。すなわち、請求項2に係る発明と引用発明とを対比した場合、請求項2に係る発明において行われる第1の演出は、複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させて複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、複数の装飾図柄を第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、特別な演出画像の表示終了後に複数の装飾図柄を第1態様に戻して特別遊技判定の結果を表示させることが可能であるのに対し、引用発明はそのような演出を行わない点で、両発明は相違する。
そして引用発明には、複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後に、複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させ、それら複数の装飾図柄を表示手段の画面隅において第2態様で一体的に変動させる構成を何ら示唆するものではなく、また上述した引用文献2においても、複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後に、複数の装飾図柄を一体的に表示手段における画面隅へ移動させ、それら複数の装飾図柄を表示手段の画面隅において第2態様で一体的に変動させる演出については何ら開示も示唆もなされていない。」

しかしながら、請求項2に係る発明についても本件補正発明1と同様の理由により、刊行物1記載の発明における「第1特別図柄の変動開始に略同期して」行われる「変動表示演出」及び「大当りの停止表示演出」について、刊行物2記載の事項を適用することで、上記相違点に係る本件補正発明1の構成とすることは当業者ならば容易になし得たものである。

したがって、審判請求人の主張は採用できない。

4.むすび
よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、本願発明という)は、平成28年8月22日付けの手続補正書により補正された、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、上記第2の1.において記載した次のとおりのものである。

「【請求項1】
始動条件成立により遊技者に有利な特別遊技状態へ移行させるか否かの特別遊技判定を行う特別遊技判定手段と、
前記特別遊技判定手段による特別遊技判定の結果を表示するため特別図柄の変動表示を行う変動表示制御手段と、
前記特別遊技判定手段により特別遊技状態へ移行させると判定されたことを条件として特別遊技の制御を行う特別遊技制御手段と、
演出手段に前記特別図柄に応じた装飾図柄を含む遊技演出を行わせる演出制御手段と、
を備え、
前記演出制御手段は、
前記特別遊技判定手段による特別遊技判定により特別遊技状態へ移行させると判定された場合に、当該特別遊技判定に対応する変動表示中に第1の演出を実行し、特別遊技判定に対応する特別遊技中に前記第1の演出と異なる第2の演出を実行し、前記特別遊技が終了した後に第3の演出を実行し、
前記第1の演出と前記第3の演出とは、前記装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能であることを特徴とする遊技機。」

2.拒絶理由通知の概要
平成28年6月22日付け拒絶理由通知は、本願発明は、上記刊行物1である特開2011-10741号公報に基づき特許法第29条第1項第3号、または特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

3.刊行物1記載の発明
刊行物1記載の発明の認定は前記「第2 平成29年5月23日付けの手続補正についての補正却下の決定」の「3.独立特許要件」に記載したとおりである。

4.対比・判断
本願発明は、本件補正発明1を特定する事項から、以下の限定事項を削除したものである。
(ア)本件補正発明1の「前記特別図柄の変動表示が行われることに伴い、所定の表示手段において複数の装飾図柄の変動表示を含む遊技演出を行わせる演出制御手段」において、「特別図柄の変動表示が行われることに伴い」「所定の表示手段において」「複数の」装飾図柄の「変動表示」を行うという限定事項。
(イ)本件補正発明1の「前記演出制御手段」において、「当該特別遊技判定に対応する」「前記特別図柄の」「変動表示中に第1の演出を実行し」という事項のうちの「前記特別図柄」という限定事項。
(ウ)本件補正発明1の「前記第1の演出と前記第3の演出とは、前記複数の装飾図柄の態様の少なくとも一部が異なるように表示可能」における「装飾図柄」について、「複数の」装飾図柄であることについての限定事項。
(エ)本件補正発明1の「第1の演出」において、「前記第1の演出は、前記複数の装飾図柄を第1態様で変動させた後、前記複数の装飾図柄を一体的に前記表示手段における画面隅へ移動させて前記複数の装飾図柄を第2態様で変動させると共に、前記複数の装飾図柄を前記第1態様で変動させていた表示領域に特別な演出画像を表示させ、前記特別な演出画像の表示終了後に前記複数の装飾図柄を前記第1態様に戻して前記特別遊技判定の結果を表示させることが可能である」という限定事項。

ここで、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の発明特定事項を付加したものに相当する本件補正発明1が、上記「第2 平成29年5月23日付けの手続補正についての補正却下の決定 3.独立特許要件」で検討したとおり、刊行物1記載の発明及び刊行物2記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、かつ本件補正発明1と刊行物1記載の発明との相違点として検討された、上記(エ)の限定事項を含むものではない。
そうすると、本願発明は刊行物1記載の発明と同一の発明であり、特許法第29条第1項第3項の規定により特許を受けることができず、仮に両者に差異があるとしても、刊行物1記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるといえる。

5.むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1記載の発明と同一の発明であり特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない、または、刊行物1記載の発明に基づき当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-28 
結審通知日 2018-04-03 
審決日 2018-04-16 
出願番号 特願2015-133561(P2015-133561)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤澤 和浩渡辺 剛史  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 川崎 優
萩田 裕介
発明の名称 遊技機  
代理人 高垣 泰志  

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