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審決分類 |
審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F |
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管理番号 | 1340853 |
審判番号 | 不服2017-10990 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-07-24 |
確定日 | 2018-05-31 |
事件の表示 | 特願2014-218472号「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年5月19日出願公開、特開2016-83220号〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成26年10月27日の出願であって、平成28年1月19日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年3月25日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年8月29日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年11月2日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年4月17日付け(発送日:平成29年4月25日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年7月24日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年7月24日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 平成29年7月24日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1.本件補正について 本件補正は、特許請求の範囲の補正を含んでおり、本件補正により、平成28年11月2日付けの手続補正書における特許請求の範囲の請求項1の記載 「【請求項1】 A 識別情報が変動表示を経て特定態様で停止表示されることに基づいて、可変入球装置を遊技球受入可能な態様で作動させる特定遊技が実行可能となる遊技機であって、 B 前記識別情報が変動表示する際の変動モードを設定する変動モード設定手段を備え、 C 前記変動モード設定手段は、 前記特定遊技の終了後から起算した前記識別情報の変動表示回数に応じて、複数の変動モードを1つずつ所定の順序で切り換えて設定することが可能であり、 D’ 前記複数の変動モードのうち一の変動モードを設定している状態で前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合、当該特定遊技の終了後の変動モードとして、前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードの次に設定予定の変動モードを除く他の変動モードを設定し、 E 前記複数の変動モードは、前記識別情報の変動表示を実行する期間として決定される変動表示時間の選択傾向が互いに異なるよう構成されている F ことを特徴とする遊技機。」(以下「本件補正前請求項1」という。) は、審判請求時に提出された手続補正書(平成29年7月24日付け)における 「【請求項1】 A 識別情報が変動表示を経て特定態様で停止表示されることに基づいて、可変入球装置を遊技球受入可能な態様で作動させる特定遊技が実行可能となる遊技機であって、 B 前記識別情報が変動表示する際の変動モードを設定する変動モード設定手段を備え、 C 前記変動モード設定手段は、 前記特定遊技の終了後から起算した前記識別情報の変動表示回数に応じて、複数の変動モードを1つずつ所定の順序で切り換えて設定することが可能であり、 D 前記複数の変動モードのうち一の変動モードを設定している状態で前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合、当該特定遊技の終了後の変動モードとして、前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モードを設定し、 E 前記複数の変動モードは、前記識別情報の変動表示を実行する期間として決定される変動表示時間の選択傾向が互いに異なるよう構成されている F ことを特徴とする遊技機。」 (以下「本件補正後請求項1」という。) に補正された(下線は、補正箇所を明示するために当審にて付した。また、A?Fは分説のため当審にて付与した。以下「構成A」などという。)。 2.補正の適否 (1)本件補正 本件補正は、本件補正前請求項1の上記構成D’について、特定遊技終了後の変動モードに関する「前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードの次に設定予定の変動モードを除く他の変動モードを設定し」との記載を、上記構成Dの「前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モードを設定し」へと変更する補正(以下「補正事項1」という。)を含むものである。 (2)新規事項の有無についての検討 本件補正にあたり請求人は審判請求書において、上記補正事項1の根拠として、「段落0191乃至0192等の記載事項であり、ここには『ループ期間に小当り遊技が行われた場合、該小当り遊技が行われる際に停止表示された小当り図柄の種類に対応する変動モードを設定する構成』について記載されており、小当り遊技が行われる際に設定されていた変動モードとは異なる変動モードであって、小当り図柄の種類に応じて変化する変動モードを設定することについて例示されている。」と主張している。 しかし、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「当初明細書等」という。)の【0191】には 「また、ループ期間に小当り遊技が行われた場合、該小当り遊技が行われる際に停止表示された小当り図柄の種類に対応する変動モードを設定する構成としてもよい。例えば、小当り図柄101?105が停止表示された場合は設定中の変動モードをそのまま設定し、小当り図柄106?110が停止表示された場合は変動モードAを設定し、小当り図柄111?115が停止表示された場合は変動モードBを設定し、小当り図柄116?120が停止表示された場合は変動モードCを設定し、小当り図柄121?125が停止表示された場合は変動モードDを設定する構成としてもよい。このような構成とした場合は、変動モードの設定頻度に偏りが生じてしまうことを抑制しつつ、小当り図柄の種類に遊技者を注目させることができる。」 と記載されており、この記載は、当初明細書等の【0075】において「25種類の小当り図柄101?125」と説明される全ての「小当り図柄」を、現状の変動モードの維持を含め、すべての変動モードである「変動モードA」?「変動モードD」の何れかに割り当てることを示すものであり、当該割当や小当り図柄の選出にあたり、現在の変動モードなど、他の条件を考慮することについての言及が無いことに加え、「小当り図柄101?105が停止表示された場合は設定中の変動モードをそのまま設定」なる、現状の変動モードを維持する場合があることについても明示的に記載されている。 また、停止図柄の種類に応じて変動モードを選ぶ実施形態はこれをおいて他に記載がない。 よって、当初明細書等には、「小当り遊技が行われる際に停止表示された小当り図柄の種類に対応する変動モードを設定する」、すなわち停止図柄の種類に応じて変動モードを選ぶという変動モードの設定形態を採る場合に、現在の変動モードを考慮して変動モードを決定することについて、記載も示唆もないといえる。 一方、前記【0191】の記載事項は、当初明細書等の【0189】の「以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。」との記載を受けた変形例についての記載として位置付けられるものであるが、ここで「本発明の実施例」とされる当初明細書等の【0017】?【0188】の記載事項では、上記本件補正後請求項1の構成Dのうち、「前記複数の変動モードのうち一の変動モードを設定している状態で前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合、当該特定遊技の終了後の変動モードとして、前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モード・・・を設定し」なる特定事項については、【0146】に記載された「ループ期間中は、変動モードA→変動モードB→変動モードC→変動モードDの順に変動モードが設定(変更)され、変動モードDが設定された後は、再び、変動モードA→変動モードB→変動モードC→変動モードDの順に設定(変更)することを繰り返す。」との制御を前提として、当初明細書等の【0152】に記載された「ループ期間中に小当り遊技が行われると、図柄変動遊技の実行回数に基づいて変動モードを順次変更する場合とは異なり、変動モードがスキップして設定される。すなわち、ループ期間中に小当り遊技が行われると、変動モードAが設定されていれば該変動モードAに代えて変動モードCが設定され、変動モードBが設定されていれば該変動モードBに代えて変動モードDが設定され、変動モードCが設定されていれば該変動モードCに代えて変動モードAが設定され、変動モードDが設定されていれば該変動モードDに代えて変動モードBが設定される。」との処理を行うこと(即ち、【0190】にいう「ループ期間に小当り遊技が行われると、2つ後の変動モードを設定する構成」)が対応する。 しかし、変動モード中の小当り図柄停止を契機として、順次ループする変動モードについて、現状の変動モードの2つ後の順番の変動モードにスキップする実施形態と、現状モード維持を含め、該小当りの停止図柄に応じた変動モードに設定する実施形態とは、相互に矛盾する関係にあり、そのままでは両者は択一的にしか選択できない。 また、仮に前記両実施形態を併用する場合には、停止図柄に基づき選択された変動モードが現在の変動モードと等しい場合に何らかの措置が必要となるが、当該措置について当初明細書等に何らの言及も無い。 以上のとおりであるから、請求人が根拠とする当初明細書等の【0191】?【0192】の記載からも、また、当初明細書等の【0017】?【0188】に記載された「本発明の実施例」を合わせ読んでも、本件補正によって新たに請求項1に加入された上記補正事項1を導き出すことはできない。 したがって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでなく、また、これらすべての記載を総合することにより導かれる技術事項との関係において新たな技術事項を導入するものであり、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものである。 よって、本件補正は、補正の目的を検討するまでもなく、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 (3)補正の目的要件違反についての検討 前項(2)のとおり、本件補正は特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるが、念のため、本件補正が補正の目的要件を満たすかについて以下に検討する。 上記補正事項1により、現在設定されている「一の変動モード」に対し、次に設定されるべき変動モードは、本件補正前の構成D’では「一の変動モードの次に設定予定の変動モードを除く他の変動モード」であるのに対し、本件補正後の構成Dでは「一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モード」であり、構成D’の「次に設定予定の変動モードを除く」点に対応する構成は補正後の構成Dには含まれず、一方で補正後の構成Dには、補正前の構成D’が備えない「特定態様の種類に応じて異なり得る変動モード」である点が新たに追加されているといえる。 そうすると、上記補正事項1により、構成D’の「次に設定予定の変動モードを除く」点は削除されたか、または、その下位概念ではない別概念にあたる「特定態様の種類に応じて異なり得る変動モード」である点に変更されたということができ、拒絶理由通知に係る拒絶の理由に示す事項についてする明りょうでない記載の釈明にもあたらないから、本件補正は特許法第17条の2第5項第1?4号に挙げるいずれの事項を目的とするものでもない。 よって、仮に上記補正事項1が、前項2.(2)において説示したように新規事項の追加にあたることを理由として本件補正を却下すべきものではないとしても、本件補正は特許法第17条の2第5項各号のいずれを目的とするものでもないから、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 3.本件補正発明の独立特許要件についての検討 本件補正が新規事項の追加、または目的外補正であることを理由として却下すべきものであることは上記2.(2)、(3)で説示したとおりであるが、仮にそうとまで言えないとすると、上記補正事項1は、補正前の構成Dに記載された、発明を特定するために必要な事項である「特定遊技の終了後の変動モード」について、新たに「特定態様の種類に応じて異なり得る変動モード」である点を限定することを含むものである。 よって、念のため、上記本件補正後請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて、以下に検討することとする。 (1)本件補正発明について 本件補正発明は、上記1.に「本件補正後請求項1」として示したとおりのものである。 (2)刊行物1に記載された発明 原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2014-183911号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 ア 刊行物1の明細書には次の事項が記載されている。 「【0001】 本発明は、遊技中に抽選契機が発生すると、図柄の変動表示を行った後に抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる遊技機に関する。」 「【0078】 また、上記の可変入賞装置30は、規定の条件が満たされた場合(特別図柄が非当選以外の態様で停止表示時間にわたり停止表示された場合)に作動し、大入賞口(参照符号なし)への入球(入賞)を可能にする(特別電動役物)。可変入賞装置30は、遊技領域8a内の右側部分の下部位置に設けられた入賞装置であり(いわゆる右アタッカ)、本実施形態では球振り分け装置200の右側に可変入賞装置30が配置されている。可変入賞装置30は、例えば1つの開閉部材30aを有しており、この開閉部材30aは、例えば図示しないソレノイドを用いたリンク機構の働きにより、盤面に対して前後方向に往復動作する。図示のように盤面に沿った状態で開閉部材30aは閉位置(閉止状態)にあり、このとき大入賞口への入球は不能(大入賞口は閉塞中)である。可変入賞装置30が作動すると、開閉部材30aがその下端縁部分をヒンジとして前方へ倒れ込むようにして変位し、大入賞口を開放する(開放状態)。この間に可変入賞装置30は遊技球の入球が困難ではない状態となり、大入賞口への入球という事象を発生させることができる。なお、このとき開閉部材30aは大入賞口への遊技球の入球を案内する部材としても機能する。大入賞口に入球した遊技球は、カウントスイッチ(図3には示さず)を通過して入球が検出された後、回収通路(参照符号なし)を通じて遊技盤ユニット8の裏側へ回収される。」 「【0222】 〔特別図柄遊技処理〕 次に、割込管理処理(図9)の中で実行される特別図柄遊技処理の詳細について説明する。図14は、特別図柄遊技処理の構成例を示すフローチャートである。特別図柄遊技処理は、実行選択処理(ステップS1000)、特別図柄変動前処理(ステップS2000)、特別図柄変動中処理(ステップS3000)、特別図柄停止表示中処理(ステップS4000)、大当り時可変入賞装置管理処理(ステップS5000)、小当り時可変入賞装置管理処理(ステップS6000)のサブルーチン(プログラムモジュール)群を含む構成である。ここでは先ず、各処理に沿って特別図柄遊技処理の基本的な流れを説明する。 【0223】 ステップS1000:実行選択処理において、主制御CPU72は次に実行するべき処理(ステップS2000?ステップS5000のいずれか)のジャンプ先を「ジャンプテーブル」から選択する。例えば、主制御CPU72は次に実行するべき処理のプログラムアドレスをジャンプ先のアドレスとし、また、戻り先のアドレスとして特別図柄遊技処理の末尾をスタックポインタにセットする。 ・・・ 【0225】 ステップS2000:特別図柄変動前処理では、主制御CPU72は特別図柄の変動表示を開始するための条件を整える作業を行う。なお、具体的な処理の内容は、別のフローチャートを用いて後述する。 ・・・ 【0228】 ステップS5000:大当り時可変入賞装置管理処理は、先の特別図柄停止表示中処理において大当りの態様で特別図柄が停止表示された場合に選択される。例えば、特別図柄が15ラウンド大当りの態様で停止表示されると、それまでの通常状態から大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生する。大当り遊技中は、先の実行選択処理(ステップS1000)においてジャンプ先が大当り時可変入賞装置管理処理にセットされ、特別図柄の変動表示は行われない。大当り時可変入賞装置管理処理においては、大入賞口ソレノイド90が一定時間(例えば29秒間又は9個の入賞をカウントするまで)、予め設定された連続作動回数(例えば2回、15回)にわたって励磁され、これにより可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作する(特別電動役物の連続作動)。この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる(特別遊技実行手段)。なお、このように大当り時に可変入賞装置30が開閉動作することを「ラウンド」と称し、連続作動回数が全部で15回あれば、これらを「15ラウンド」と総称することがある。本実施形態では、大当りの種類として15ラウンド大当りだけでなく、その他に2ラウンド大当りが設けられている。また、15ラウンド大当りや2ラウンド大当りについては、その中に複数の当選種類(当選図柄)が設けられていてもよい。」 「【0252】 また、本実施形態では、遊技状態に対応した複数種類の区間が用意されており、滞在している区間に応じて選択される変動パターンの内容も異なったものとなる。以下は、各種区間の概要である。 ・・・ 【0254】 (2)第1特殊区間 特別図柄抽選に関して高確率状態であり、普通図柄抽選に関しても高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「1」の値をとる場合である。 【0255】 (3)第1区間 特別図柄抽選に関して高確率状態であり、普通図柄抽選に関しても高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「2?50」の値をとる場合である。 【0256】 (4)第2特殊区間 特別図柄抽選に関して高確率状態であり、普通図柄抽選に関しても高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「51」の値をとる場合である。 【0257】 (5)第2区間 特別図柄抽選に関して高確率状態であり、普通図柄抽選に関しても高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「52以降」の値をとる場合である。 【0258】 (6)時短区間 特別図柄抽選に関して低確率状態であり、普通図柄抽選に関して高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「1?50」の値をとる場合である。 【0259】 そして、これらの各種区間は、主制御CPU72において管理される区間であり、主制御CPU72は、滞在区間に応じて変動パターンを決定する(区間設定手段)。主制御CPU72は、高確率時間短縮状態が設定される場合、高確率時間短縮状態(での遊技)が進行していく過程に応じて、少なくとも第1特殊区間、第1区間、第2特殊区間、及び第2区間をこの順番に設定する(区間設定手段)。」 「【0264】 図17は、はずれ時変動パターン選択テーブル(高確率時間短縮状態・第1特殊区間)の一例を示す図である。 この選択テーブルは、高確率時間短縮状態の第1特殊区間でのはずれ時(非当選に該当した場合)に使用するテーブルである(変動パターン規定手段)。 ここで、高確率時間短縮状態の第1特殊区間でのはずれ時の変動パターンは、第1特殊区間での演出尺を確保するため、すべて同一の変動パターン(変動時間は例えば20秒程度)を設定しており、この選択テーブルでは、予め定められた1つの変動パターン(非リーチ変動パターン11)を選択するテーブル構成としている。 ・・・ 【0266】 図18は、はずれ時変動パターン選択テーブル(高確率時間短縮状態・第1区間)の一例を示す図である。 ・・・ 【0267】 変動パターン番号「21」?「28」は、いずれもリーチ演出が行われずに、はずれとなる変動パターンに対応している。ただし、変動パターン番号「21」?「28」は、時間短縮変動での非リーチ変動となるため、通常状態の変動時間として短縮した変動時間(例えば、2.0秒程度)が設定されている。 ・・・ 【0269】 図19は、はずれ時変動パターン選択テーブル(高確率時間短縮状態・第2特殊区間)の一例を示す図である。 この選択テーブルは、高確率時間短縮状態の第2特殊区間でのはずれ時(非当選に該当した場合)に使用するテーブルである(変動パターン規定手段)。 ここで、高確率時間短縮状態の第2特殊区間でのはずれ時の変動パターンは、第2特殊区間での演出尺を確保するため、すべて同一の変動パターン(変動時間は例えば20秒程度)を設定しており、この選択テーブルでは、予め定められた1つの変動パターン(非リーチ変動パターン31)を選択するテーブル構成としている。 ・・・ 【0271】 図20は、はずれ時変動パターン選択テーブル(高確率時間短縮状態・第2区間)の一例を示す図である。 ・・・ 【0272】 変動パターン番号「41」?「48」は、いずれもリーチ演出が行われずに、はずれとなる変動パターンに対応している。ただし、変動パターン番号「41」?「48」は、時間短縮変動での非リーチ変動となるため、通常状態の変動時間として短縮した変動時間(例えば、2.0秒程度)が設定されている。」 「【0297】 図25は、大当り時変動パターン選択テーブル(高確率時間短縮状態・第1特殊区間)の一例を示す図である。 この選択テーブルは、高確率時間短縮状態の第1特殊区間での当選時に使用するテーブルである(変動パターン規定手段)。 ここで、高確率時間短縮状態の第1特殊区間での当選時の変動パターンは、第1特殊区間での演出尺を確保するため、すべて同一の変動パターン(変動時間は例えば20秒程度)を設定しており、この選択テーブルでは、予め定められた1つの変動パターン(非リーチ当り変動パターン71)を選択するテーブル構成としている。 ・・・ 【0302】 図27は、大当り時変動パターン選択テーブル(高確率時間短縮状態・第2特殊区間)の一例を示す図である。 この選択テーブルは、高確率時間短縮状態の第2特殊区間での当選時に使用するテーブルである(変動パターン規定手段)。 ここで、高確率時間短縮状態の第2特殊区間での当選時の変動パターンは、第2特殊区間での演出尺を確保するため、すべて同一の変動パターン(変動時間は例えば20秒程度)を設定しており、この選択テーブルでは、予め定められた1つの変動パターン(非リーチ当り変動パターン91)を選択するテーブル構成としている。」 「【0350】〔区間管理処理〕 図32は、上記の区間管理処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。 ・・・ 【0352】 その結果、変動パターン選択用カウンタ値が「0」よりも大きいことを確認した場合(ステップS4660:Yes)、主制御CPU72はステップS4662を実行する。これに対して、変動パターン選択用カウンタ値が「0」よりも大きくないことを確認した場合、例えば変動パターン選択用カウンタ値が「0」である場合(ステップS4660:No)、主制御CPU72は特別図柄停止表示中処理(図31)に復帰する。 なお、変動パターン選択用カウンタ値が「0」である場合とは、通常区間(低確率非時間短縮状態又は高確率非時間短縮状態)に滞在していることを意味する。 「【0370】 〔大当り時可変入賞装置管理処理〕 次に、大当り時可変入賞装置管理処理の詳細について説明する。図34は、大当り時可変入賞装置管理処理の構成例を示すフローチャートである。大当り時可変入賞装置管理処理は、大当り時遊技プロセス選択処理(ステップS5100)、大当り時大入賞口開放パターン設定処理(ステップS5200)、大当り時大入賞口開閉動作処理(ステップS5300)、大当り時大入賞口閉鎖処理(ステップS5400)、大当り時終了処理(ステップS5500)のサブルーチン群を含む構成である。 ・・・ 【0372】 ・・・設定された連続作動回数(ラウンド数)にわたって大当り時大入賞口開閉動作処理及び大当り時大入賞口閉鎖処理が繰り返し実行されると、主制御CPU72は次のジャンプ先として大当り時終了処理(ステップS5500)を選択する。」 「【0404】 〔大当り時終了処理〕 図38は、大当り時終了処理の手順例を示すフローチャートである。この大当り時終了処理は、大当り時の可変入賞装置30の作動を終了する際の条件を整えるためのものである。以下、手順例に沿って説明する。 ・・・ 【0407】 この後、時間の経過に伴って大当り時終了時間タイマの値が0になると、主制御CPU72は大当り時終了時間が経過したと判断し(Yes)、ステップS5503以降を実行する。」 「【0417】 〔区間設定処理〕 図39は、上記の区間設定処理の手順例を示すフローチャートである。以下、各手順に沿って説明する。 【0418】 ステップS5600:主制御CPU72は、今回の当選が「15ラウンド確変図柄」又は時短中の「2ラウンド確変図柄」のいずれかに該当するか否かを確認する。」 イ 刊行物1の図面には以下の事項が記載されている。 (ア)図14、31,34、38、39の各フローチャートは、上記【0222】?【0223】、【0352】、【0370】、【0372】、【0404】、【0407】、【0417】?【0418】の記載(主として上記下線部参照)の参酌により主制御CPU72による制御を示すといえ、これらを順に辿ると(参照箇所は「S4000」などのステップ番号による)、「特別図柄が変動・停止する特別図柄遊技において、特別図柄が停止表示されると(S4000、図14)、それが「大当り図柄」である場合に「大当り時可変入賞装置管理処理」に移行し(S4300、図31、34)、「大当り時終了処理」(S5500、図34)の「区間設定処理」(S5513、図38)を実行して、大当り図柄種別が「15R確変図柄」または「時短中の2R確変図柄」であれば(S5600)「第1特殊区間」をセットし(S5604),大当り図柄種別が「時短中の2R通常図柄」であれば(S5600)「時短区間」をセット(S5608)する」、処理フローを読み取ることができる。 (イ)図17?20,25?29から、「第1特殊区間に対し、ハズレ時、大当り時共に、変動時間が20秒程度(【0264】、【0297】下線部参酌)の非リーチ変動パターンが1種ずつ割当てられること(図17、25)、第1区間に対しはずれ時は非リーチ変動パターン8種(変動時間2.0秒程度(【0266】、【0267】下線部参酌))が、大当りの時はリーチ後当り変動パターン8種が、それぞれ割り当てられ(図18、26)、第2特殊区間に対しはずれ時、大当り時共に変動時間が20秒程度(【0269】、【0302】下線部参酌)の非リーチ変動パターンが割り当てられ(図19、27)、第2区間に対しはずれ時は非リーチ変動パターン8種(変動時間2.0秒程度(【0271】?【0272】下線部参酌))が、大当りの時はリーチ後当り変動パターン8種が、それぞれ割り当てられ(図20、28)ること」を読み取ることができる。 ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。 (あ)上記【0001】には「図柄の変動表示を行った後に抽選の結果を表す態様で図柄を停止表示させる遊技機」と記載されている。 また、同【0078】には「特別図柄が非当選以外の態様で停止表示時間にわたり停止表示された場合・・・に作動し、」「大入賞口を開放」し、「大入賞口・・・への入球(入賞)を可能にする」「可変入賞装置30」を備えることが記載されているといえる。 また、同【0228】には「特別図柄停止表示中処理において大当りの態様で特別図柄が停止表示された場合」、「大当り遊技状態(遊技者にとって有利な特別遊技状態)に移行する契機が発生」し、「可変入賞装置30が決まったパターンで開閉動作」し、「この間に可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる」ことが記載されているといえる。 以上から、刊行物1には「特別図柄の変動表示を行った後に大当たりの態様で停止表示された場合、可変入賞装置30が決まったパターンで開放動作して、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる、特別遊技状態に移行する、遊技機」が記載されているといえる。 (い)上記【0252】には「遊技状態に対応した複数種類の区間が用意されており、滞在している区間に応じて選択される変動パターンの内容も異なったものとなる。」と記載され、同【0259】には「各種区間は、主制御CPU72において管理される区間であり、主制御CPU72は、滞在区間に応じて変動パターンを決定する(区間設定手段)。」と記載されている。 よって、刊行物1には「選択される変動パターンの内容が異なる複数種類の区間を設定する主制御CPU72」を備えることが記載されているといえる。 (う)上記【0254】?【0258】には、それぞれ、「第1特殊区間 特別図柄抽選に関して高確率状態であり、普通図柄抽選に関しても高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「1」の値をとる場合である。」、「第1区間 特別図柄抽選に関して高確率状態であり、普通図柄抽選に関しても高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「2?50」の値をとる場合である。」、「第2特殊区間 特別図柄抽選に関して高確率状態であり、普通図柄抽選に関しても高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「51」の値をとる場合である。」、「第2区間 特別図柄抽選に関して高確率状態であり、普通図柄抽選に関しても高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「52以降」の値をとる場合である。」、「時短区間 特別図柄抽選に関して低確率状態であり、普通図柄抽選に関して高確率状態(電チューサポートありの状態)であり、特別遊技後変動回数が「1?50」の値をとる場合である。」と記載されている。 また、同【0259】には「主制御CPU72は、高確率時間短縮状態が設定される場合、高確率時間短縮状態(での遊技)が進行していく過程に応じて、少なくとも第1特殊区間、第1区間、第2特殊区間、及び第2区間をこの順番に設定する(区間設定手段)。」と記載されている。 よって、刊行物1には「主制御CPU72は、特別遊技後の変動回数が1、2?50、51、52以降、の各値を順にとることに応じて、「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」をこの順番に設定することが可能である」ことが記載されているといえる。 (え)上記イ(ア)で認定したとおり、図14、31,34、38、39の記載から、「特別図柄が変動・停止する特別図柄遊技において、特別図柄が停止表示されると、それが「大当り図柄」である場合に「大当り時可変入賞装置管理処理」に移行し、「大当り時終了処理」の「区間設定処理」を実行して、大当り図柄種別が「15R確変図柄」または「時短中の2R確変図柄」であれば「第1特殊区間」をセットし,大当り図柄種別が「時短中の2R通常図柄」であれば「時短区間」をセットする」、処理フローを読み取ることができる。(以下「認定事項「え1」という。) また、上記【0259】の「主制御CPU72は、高確率時間短縮状態が設定される場合、高確率時間短縮状態(での遊技)が進行していく過程に応じて、少なくとも第1特殊区間、第1区間、第2特殊区間、及び第2区間をこの順番に設定する(区間設定手段)。」なる記載から、「第1特殊区間、第1区間、第2特殊区間、及び第2区間をこの順番に設定」してゆく期間は「高確率時間短縮状態」すなわち「高確率状態」かつ「時短状態」であるといえる。 よって、上記認定事項え1において、前記期間に大当り図柄種別が「2R確変図柄」、「2R通常図柄」となる場合は、それぞれ「時短中の2R確変図柄」、「時短中の2R通常図柄」に該当することになるので、前者に対応する大当たり遊技が終了した後は「第1特殊区間」がセットされ、後者に対応する大当り遊技が終了した後は「時短区間」がセットされるといえる。 したがって、刊行物1には、「「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」の何れかを実行しているときに大当り遊技が実行された場合には、その終了後は当該大当たり遊技が「15R確変」または「2R確変」であれば「第1特殊区間」をセットし,大当り図柄種別が「2R通常図柄」であれば「時短区間」をセットする」ことが記載されているといえる。 (お)上記イ(イ)で認定したとおり、図17?20,25?29の記載からは、「第1特殊区間に対し、ハズレ時、大当り時共に、変動時間が20秒程度の非リーチ変動パターンが1種ずつ割当てられること、第1区間に対しはずれ時は非リーチ変動パターン8種(変動時間2.0秒程度)が、大当りの時はリーチ後当り変動パターン8種が、それぞれ割り当てられ、第2特殊区間に対しはずれ時、大当り時共に変動時間が20秒程度の非リーチ変動パターンが割り当てられ、第2区間に対しはずれ時は非リーチ変動パターン8種(変動時間2.0秒程度)が、大当りの時はリーチ後当り変動パターン8種が、それぞれ割り当てられること」を読み取ることができる。 このことから、刊行物1には、「少なくとも、変動時間が約20秒程度とされる「第1特殊区間」及び「第2特殊区間」と、はずれ時の変動時間が2.0秒程度とされる「第1区間」及び「第2区間」との間では、変動時間の選択割合が相違する」ことが記載されているといえる。 エ 上記アの各記載事項、上記イ・ウの認定事項から、刊行物1には次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(a?fは、本件補正発明のA?Fに対応させて付与した。また「(あ)」などは対応する前項の認定事項番号を表す。)。 「a 特別図柄の変動表示を行った後に大当たりの態様で停止表示された場合、可変入賞装置30が決まったパターンで開放動作して、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる、特別遊技状態に移行する、遊技機であって、(あ) b 選択される変動パターンの内容が異なる複数種類の区間を設定する主制御CPU72を備え、(い) c 主制御CPU72は、特別遊技後の変動回数が1、2?50、51、52以降、の各値を順にとることに応じて、「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」をこの順番に設定することが可能であり、(う) d 「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」の何れかを実行しているときに大当り遊技が実行された場合には、その終了後は当該大当たり遊技が「15R確変」または「2R確変」であれば「第1特殊区間」をセットし,大当り図柄種別が「2R通常図柄」であれば「時短区間」をセットし、(え) e 少なくとも、変動時間が約20秒程度とされる「第1特殊区間」及び「第2特殊区間」と、はずれ時の変動時間が2.0秒程度とされる「第1区間」及び「第2区間」との間では、変動時間の選択割合が相違する、(お) f 遊技機。(あ)」 (3)刊行物2に記載された技術事項 原査定の拒絶理由において提示された、本願の出願前に頒布された刊行物である特開2011-36387号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 ア 刊行物2の明細書には次の事項が記載されている。 「【0091】 モード設定部303は、大当たり抽選部302からの抽選結果を受け付け、大当たり抽選において特定のハズレ(小当たり)に当選した場合に、当選した小当たりに対応するモードを設定する機能を有する。詳細な説明は後述するが、本実施の形態において、ぱちんこ遊技機100は、Aモード、Bモード、Cモードの3つのモードを有するものとする(図4参照)。」 「【0103】 図4に示すように、主制御部201は、小当たりAに当選した場合にはAモードへ移行する。ここで、小当たりAはCモード用の図柄乱数判定テーブルを用いた場合のみ当選し得る小当たりである。したがって、Aモードへの移行は、Cモードのみからおこなわれ、Bモードからはおこなわれない。 【0104】 また、主制御部201は、小当たりBに当選した場合にはBモードへ移行する。ここで、小当たりBはAモード用の図柄乱数判定テーブルを用いた場合のみ当選し得る小当たりである。したがって、Bモードへの移行は、Aモードのみからおこなわれ、Cモードからはおこなわれない。 【0105】 そして、主制御部201は、小当たりCに当選した場合にはCモードへ移行する。ここで、小当たりCはBモード用の図柄乱数判定テーブルを用いた場合のみ当選し得る小当たりである。したがって、Cモードへの移行は、Bモードのみからおこなわれ、Aモードからはおこなわれない。」 「【0118】 このため、本実施の形態の図柄乱数判定において、Aモードである場合には小当たりBのみに当選し、Bモードである場合には小当たりCのみに当選し、Cモードである場合には小当たりAのみに当選する。 【0119】 このように、本実施の形態では、モードの移行契機となる小当たりの内容を、それぞれのモードで用いる図柄乱数判定テーブルにおいて限定しているので、主制御部201は、AモードからBモードへ、BモードからCモードへといったように、規則的なモードの移行をおこなうことができる。」 「【0122】 図7-1に示すように、ノーマルハズレ時に用いる変動パターンテーブルNtは、異なる変動パターンが複数(図示の例では5つ)登録されて構成されている。変動パターンテーブルNtの各変動パターンには、それぞれの変動パターンが定義する特別図柄の変動時間と、それぞれの変動パターンの選択条件(図示の例では「モード」と「保留数」)とが対応づけられている。」 イ 刊行物2の図面には以下の事項が記載されている。 図7-1からは、上記【0122】の記載事項を参酌すると、Aモードに対し保留数に対応付けて変動時間15秒及び5秒の変動パターンが割り当てられ、Bモードに対し変動時間10秒の変動パターンが割り当てられ、Cモードに対し保留数に対応付けて25秒及び20秒の変動パターンが割り当てられることを読み取ることができる。 ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。 上記【0091】、【0103】?【0105】、【0118】?【0119】の記載事項、及び上記イの認定事項から、刊行物1には「ぱちんこ遊技機100は、小当たりAに当選した場合に移行するAモード、小当たりBに当選した場合に移行するBモード、小当たりCに当選した場合に移行するCモードの3つのモードを有し、Cモードへの移行は、Bモードのみからおこなわれ、Aモードである場合には小当たりBのみに当選し、Bモードである場合には小当たりCのみに当選し、Cモードである場合には小当たりAのみに当選することにより、Aモードへの移行は、Cモードのみからおこなわれ、Bモードへの移行は、Aモードのみからおこなわれ、主制御部201は、AモードからBモードへ、BモードからCモードへといったように、規則的なモードの移行をおこない、Aモードに対し保留数に対応付けて変動時間15秒及び5秒の変動パターンが割り当てられ、Bモードに対し変動時間10秒の変動パターンが割り当てられ、Cモードに対し保留数に対応付けて25秒及び20秒の変動パターンが割り当てられること」が記載されているといえる。 (4)刊行物3に記載された技術事項 本願の出願前(公開日は平成26年7月7日)に頒布された刊行物である特開2014-124373号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 ア 刊行物3の明細書には次の事項が記載されている。 「【0084】 この実施の形態では、飾り図柄の可変表示中において行われる演出(リーチ演出を含む。)について、演出態様の異なる複数の演出モードが用意されている(図24などを参照、詳しくは後述する。)。具体的には、遊技状態が時短状態でないとき(例えば、通常状態や、高確低ベース状態のとき)には、演出モードは「モード0」となる。大当り遊技状態後の最初の可変表示から50回目の可変表示までの時短状態では、演出モードは「モード1」となり、大当り遊技状態後の51回目の可変表示から100回目の可変表示までの時短状態では、演出モードは「モード2」となり、大当り遊技状態後の101回目の可変表示から大当り遊技状態に継続するまでの時短状態では、演出モードは「モード3」となる。この実施の形態では、モード0?3において、画像表示装置5に表示される画像のうちの背景画像(飾り図柄の可変表示やキャラクター以外の背景を構成する画像)を互いに異ならせることによって、モード0?3のそれぞれの演出態様が異なるようになっている(図25参照)。なお、モード0?3において、飾り図柄の種類やデザインを互いに異ならせたり、リーチ演出などで登場するキャラクターを互いに異ならせたりするなどして、モード0?3のそれぞれの演出態様を互いに異なさせるようにしてもよい。」 「【0161】 CPU103は、変動用乱数バッファから読み出した変動パターン決定用の乱数値MR3を示す数値データに基づいて、現在の演出モードに対応して使用されるハズレ変動パターン決定テーブルを参照することにより、乱数値MR3に該当する決定値に割り当てられた変動パターンを今回使用される変動パターンとして決定(選択)すればよい。図14のように、この実施の形態では、ハズレ時の変動パターンを決定するためのテーブルが複数種類用意され、演出モードによって使い分けられている。さらに、モード1とモード2とでは、共通の変動パターンが使用されているが、決定割合を互いに異ならせることによって、モード1とモード2とで異なるテーブルで変動パターンを決定するようになっている。」 イ 刊行物3の図面には次の事項が記載されている。 図12?14からは、上記【0161】の記載を参酌すると、モード1及びモード2のときには、共に、大当り変動パターンとして変動時間10秒の「PB2-2」と変動時間35秒の「PB2-3」とが割り当てられ、ハズレ変動パターンとして変動時間5秒の「PA2-1」、変動時間10秒の「PA2-2」、変動時間35秒の「PA2-3」が割り当てられると共に、モード1とモード2との間で、「PB2-2」と「PB2-3」との「乱数値MR3」範囲、及び「PA2-2」と「PA2-3」との「乱数値MR3」範囲を異ならせること、及び、モード3のときに、大当り変動パターンとして変動時間9秒の「PB3-2」、変動時間25秒の「PB3-3」が割り当てられ、ハズレ変動パターンとして変動時間5秒の「PA3-1」、変動時間9秒の「PA3-2」、変動時間25秒の「PA3-3」が割り当てられること、を読み取ることができる。 ウ 上記アの各記載事項及び上記イで認定した図面の記載事項から、以下の事項が導かれる。 (ア)上記【0084】には「大当り遊技状態後の最初の可変表示から50回目の可変表示までの時短状態では、演出モードは「モード1」となり、大当り遊技状態後の51回目の可変表示から100回目の可変表示までの時短状態では、演出モードは「モード2」となり、大当り遊技状態後の101回目の可変表示から大当り遊技状態に継続するまでの時短状態では、演出モードは「モード3」とな」ることが記載されている。 (イ)上記イの認定事項から、刊行物3には、「モード1、モード2、モード3の間では、個々に設定されている複数の変動パターンの各変動時間と、「乱数値MR3」の範囲から計算される各変動パターンの選択確率との組合せが、相互に異なる」との技術事項が記載されているといえる。 (ウ)上記(ア)、(イ)から、刊行物3には、「大当り遊技状態後の可変表示回数に応じ順に実行されるモード1、モード2、モード3の各演出モードについて、該個々のモードに設定されている複数の変動パターンの各変動時間と、該各変動パターンの選択確率との組合せが相違する」ことが記載されているといえる。 (5)刊行物4に記載された技術事項 本願の出願前(公開日は平成26年10月16日)に頒布された刊行物である特開2014-195485号公報(以下「刊行物4」という。)には、図面と共に次の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同じ。)。 ア 刊行物4の明細書には次の事項が記載されている。 「【0698】 大当たり遊技が終了してから第二特別抽選が例えば20回行われるまでの超速モードでは、第二特別図柄についての特別抽選の結果がハズレである場合において、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「0」となるとき(すなわち、これから変動開始される保留のみのとき)は、第二特別図柄の変動時間が「5.5秒」となっており、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「1」?「3」となるとき(すなわち変動開始されたのちも保留があるとき)は、第二特別図柄の変動時間が「0.15秒」と極めて短い時間となっている。ただし、これらの変動時間にわたって第二特別図柄が変動表示されたのち、「0.5秒」の停止時間が設けられている。そうすると、第二特別図柄の保留数が「1」?「3」においては、第二特別図柄の変動表示が開始されてから次回の変動表示が開始されるまでの時間が「0.65秒」と、極めて短い間隔で第二特別図柄の保留が消化されることとなる。ここで、遊技領域1100に向けて1分間あたりに発射される遊技球数は100球であるから、遊技領域1100に向けて発射された遊技球の大半について第二特別抽選が行われることとなる。なお、第二特別図柄についての特別抽選の結果が当たりである場合には、第二特別図柄の変動時間が例えば「23秒」と相対的に長い時間が設定されている。 【0699】 超速モードが終了してから第二特別抽選が例えば60回行われるまでの通常速モードでは、第二特別図柄についての特別抽選の結果がハズレである場合において、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「0」となるとき(すなわち、これから変動開始される保留のみのとき)は、第二特別図柄の変動時間が「12秒」となっており、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「1」?「3」となるとき(すなわち変動開始されたのちも保留があるとき)は、第二特別図柄の変動時間が「1.5秒」と、通常遊技状態と比べて短いものの超速モードよりも長い時間となっている。ただし、これらの変動時間にわたって第二特別図柄が変動表示されたのち、「0.5秒」の停止時間が設けられている。なお、第二特別図柄についての特別抽選の結果が当たりである場合には、第二特別図柄の変動時間が例えば「25秒」と相対的に長い時間が設定されている。 【0700】 さらに、通常速モードが終了してから時短遊技状態が終了するまでの、第二特別抽選が例えば5回行われる遅速モードでは、第二特別図柄についての特別抽選の結果がハズレである場合において、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「0」となるとき(すなわち、これから変動開始される保留のみのとき)は、第二特別図柄の変動時間が「11秒」となっており、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「1」?「3」となるとき(すなわち変動開始されたのちも保留があるとき)は、第二特別図柄の変動時間が「11秒」と、通常速モードよりも長い時間となっている。ただし、これらの変動時間にわたって第二特別図柄が変動表示されたのち、「0.5秒」の停止時間が設けられている。なお、第二特別図柄についての特別抽選の結果が当たりである場合には、第二特別図柄の変動時間が例えば「25秒」と相対的に長い時間が設定されている。」 イ 上記アの各記載事項から、以下の事項が導かれる。 上記【0698】?【0700】には「大当たり遊技が終了してから第二特別抽選が例えば20回行われるまでの超速モードでは、第二特別図柄についての特別抽選の結果がハズレである場合において、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「0」となるとき・・・は、第二特別図柄の変動時間が「5.5秒」となっており、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「1」?「3」となるとき・・・は、第二特別図柄の変動時間が「0.15秒」と極めて短い時間となっている。・・・第二特別図柄についての特別抽選の結果が当たりである場合には、第二特別図柄の変動時間が例えば「23秒」・・・が設定されている。・・・超速モードが終了してから第二特別抽選が例えば60回行われるまでの通常速モードでは、第二特別図柄についての特別抽選の結果がハズレである場合において、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「0」となるとき・・・は、第二特別図柄の変動時間が「12秒」となっており、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「1」?「3」となるとき・・・は、第二特別図柄の変動時間が「1.5秒」と、通常遊技状態と比べて短いものの超速モードよりも長い時間となっている。・・・第二特別図柄についての特別抽選の結果が当たりである場合には、第二特別図柄の変動時間が例えば「25秒」・・・が設定されている。・・・通常速モードが終了してから時短遊技状態が終了するまでの、第二特別抽選が例えば5回行われる遅速モードでは、第二特別図柄についての特別抽選の結果がハズレである場合において、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「0」となるとき・・・は、第二特別図柄の変動時間が「11秒」となっており、第二特別図柄の保留数が変動開始後に「1」?「3」となるとき・・・は、第二特別図柄の変動時間が「11秒」と、通常速モードよりも長い時間となっている。・・・第二特別図柄についての特別抽選の結果が当たりである場合には、第二特別図柄の変動時間が例えば「25秒」・・・が設定されている。」と記載されている。 ここで、「超速モード」に割り当てられた変動時間はハズレで「5.5秒」及び「0.15秒」、大当りで「23秒」、「通常速モード」に割り当てられた変動時間はハズレで「12秒」及び「1.5秒」、大当りで「25秒」、「遅速モード」に割り当てられた変動時間はハズレで「11秒」、大当りで「25秒」であり、各モードの間で変動時間の組合せが相互に異なっているといえる。 また、「第二特別抽選」が行われることに対応して第二特別図柄の変動表示が行われることは自明であるから、前記「超速モード」、「通常速モード」、「遅速モード」は大当り遊技が終了してからの変動表示の回数に応じてこの順に実行されるものであるといえる。 以上のことから、刊行物4には「大当り遊技実行後の変動表示回数に応じて順に実行される「超速モード」、「通常速モード」、「遅速モード」は、相互に変動表示の変動時間の組合せが異なる」ことが記載されているといえる。 (6)対比 刊行物1発明と本件補正発明とを対比すると、以下のとおりである(下記において改行を「/」で表すことがある。)。 ア 刊行物1発明の構成aの「特別図柄の変動表示を行った後に大当たりの態様で停止表示され」ること、「可変入賞装置30」、「決まったパターンで開放動作」すること、「遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる、特別遊技状態に移行する」こと、は、それぞれ、本件補正発明の構成Aの「識別情報が変動表示を経て特定態様で停止表示されること」、「可変入球装置」、「遊技球受入可能な態様で作動させる」こと、「特定遊技が実行可能」なこと、に相当する。 よって、前記構成aの「特別図柄の変動表示を行った後に大当たりの態様で停止表示された場合、可変入賞装置30が決まったパターンで開放動作して、可変入賞装置30に対して遊技球を集中的に入賞させることで、遊技者には、まとまって多くの賞球を獲得する機会が与えられる、特別遊技状態に移行する、遊技機」は、前記構成Aの「識別情報が変動表示を経て特定態様で停止表示されることに基づいて、可変入球装置を遊技球受入可能な態様で作動させる特定遊技が実行可能となる遊技機」に相当する。 イ 刊行物1発明の構成bの「選択される変動パターンの内容が異なる複数種類の区間」、「主制御CPU72」の機能、は、それぞれ、本件補正発明の構成Bの「前記識別情報が変動表示する際の変動モード」、「変動モード設定手段」の機能、に相当する。 よって、前記構成bの「選択される変動パターンの内容が異なる複数種類の区間を設定する主制御CPU72を備え」ることは、前記構成Bの「前記識別情報が変動表示する際の変動モードを設定する変動モード設定手段を備え」ることに相当する。 ウ 刊行物1発明の構成cの「特別遊技後の変動回数が1、2?50、51、52以降、の各値を順にとることに応じて」、「「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」」、「1つずつ所定の順序で切り換えて設定すること」は、それぞれ、本件補正発明の構成Cの「前記特定遊技の終了後から起算した前記識別情報の変動表示回数に応じて」、「複数の変動モード」、「1つずつ所定の順序で切り換えて設定すること」、に相当する。 よって、前記構成cの「主制御CPU72は、特別遊技後の変動回数が1、2?50、51、52以降、の各値を順にとることに応じて、「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」をこの順番に設定することが可能であり」は、前記構成Cの「前記変動モード設定手段は、/ 前記特定遊技の終了後から起算した前記識別情報の変動表示回数に応じて、複数の変動モードを1つずつ所定の順序で切り換えて設定することが可能であり」に相当する。 エ 上記ウの認定事項から、刊行物1発明の構成dの「「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」」の何れか一つ(以下「区間1?2」という。)は、本件補正発明の構成Dの「前記複数の変動モードのうち一の変動モード」に相当する。 そうすると、前記構成dでの、前記「区間1?2」「を実行しているときに大当り遊技が実行された場合には、その終了後は当該大当たり遊技が「15R確変」または「2R確変」であれば「第1特殊区間」をセット」すること、及び、前記「区間1?2」「を実行しているときに大当り遊技が実行された場合には、その終了後は・・・大当り図柄種別が「2R通常図柄」であれば「時短区間」をセット」すること、は、いずれも、前記「区間1?2」とは異なる「第1特殊区間」または「時短区間」にセットされるのであるから、該「第1特殊区間」または「時短区間」は、前記構成Dの「前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モード」に相当するといえる。 また、前記構成dにおける、前記「区間1?2」を実行しているときに行われる大当たり遊技が「「15R確変」または「2R確変」」であるか「2R通常図柄」に応じてその後「第1特殊区間」、「時短区間」のいずれに制御されるかが決まることは、前記構成Dの「前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モードを設定」することに相当するといえる。 さらに、前記構成dの「大当り遊技が実行された場合」は、大当たり遊技が特定の識別情報が停止することに基づいて実行されることが当該分野における技術常識であるから、前記構成Dの「前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合」に相当する。 よって、前記構成dの「「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」の何れかを実行しているときに大当り遊技が実行された場合には、その終了後は当該大当たり遊技が「15R確変」または「2R確変」であれば「第1特殊区間」をセットし,大当り図柄種別が「2R通常図柄」であれば「時短区間」をセット」することは、前記構成Dの「前記複数の変動モードのうち一の変動モードを設定している状態で前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合、当該特定遊技の終了後の変動モードとして、前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モードを設定」することに相当する。 オ 刊行物1発明の構成eの「変動時間が約20秒程度とされる「第1特殊区間」及び「第2特殊区間」と、はずれ時の変動時間が2.0秒程度とされる「第1区間」及び「第2区間」との間では、変動時間の選択割合が相違する」ことと、本件補正発明の構成Eの「前記複数の変動モードは、前記識別情報の変動表示を実行する期間として決定される変動表示時間の選択傾向が互いに異なるよう構成されている」こととは、「複数の変動モードの少なくとも一部の組合せについては、前記識別情報の変動表示を実行する期間として決定される変動表示時間の選択傾向が互いに異なるよう構成されている」点で共通するといえる(下線部は強調のため当審にて付与。)。 カ 上記ア?オによれば、本件補正発明と刊行物1発明は、下記(ア)の点で一致し、下記(イ)の点で相違する。 (ア)一致点 「A 識別情報が変動表示を経て特定態様で停止表示されることに基づいて、可変入球装置を遊技球受入可能な態様で作動させる特定遊技が実行可能となる遊技機であって、 B 前記識別情報が変動表示する際の変動モードを設定する変動モード設定手段を備え、 C 前記変動モード設定手段は、 前記特定遊技の終了後から起算した前記識別情報の変動表示回数に応じて、複数の変動モードを1つずつ所定の順序で切り換えて設定することが可能であり、 D 前記複数の変動モードのうち一の変動モードを設定している状態で前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合、当該特定遊技の終了後の変動モードとして、前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モードを設定し、 E’ 前記複数の変動モードの少なくとも一部の組合せについては、前記識別情報の変動表示を実行する期間として決定される変動表示時間の選択傾向が互いに異なるよう構成されている F ことを特徴とする遊技機。」 (イ)相違点(構成E) 本件補正発明の構成Eは、複数の変動モードのすべてについて「変動表示時間の選択傾向が互いに異なるよう構成されている」のに対し、刊行物1発明では、「前記複数の変動モードの少なくとも一部の組合せについては、前記識別情報の変動表示を実行する期間として決定される変動表示時間の選択傾向が互いに異なるよう構成されている」点で共通するものの、複数の変動モードの他の一部の組合せについては、変動表示時間の選択傾向が互いに異なるか明確でない点で、両発明は相違する。 (7)相違点についての判断 上記3.(3)ウで認定したとおり、刊行物2には「ぱちんこ遊技機100は、小当たりAに当選した場合に移行するAモード、小当たりBに当選した場合に移行するBモード、小当たりCに当選した場合に移行するCモードの3つのモードを有し、Cモードへの移行は、Bモードのみからおこなわれ、Aモードである場合には小当たりBのみに当選し、Bモードである場合には小当たりCのみに当選し、Cモードである場合には小当たりAのみに当選することにより、Aモードへの移行は、Cモードのみからおこなわれ、Bモードへの移行は、Aモードのみからおこなわれ、主制御部201は、AモードからBモードへ、BモードからCモードへといったように、規則的なモードの移行をおこない、Aモードに対し保留数に対応付けて変動時間15秒及び5秒の変動パターンが割り当てられ、Bモードに対し変動時間10秒の変動パターンが割り当てられ、Cモードに対し保留数に対応付けて25秒及び20秒の変動パターンが割り当てられること」が記載され、上記3.(4)ウ(ウ)で認定したとおり、刊行物3には「大当り遊技状態後の可変表示回数に応じ順に実行されるモード1、モード2、モード3の各演出モードについて、該個々のモードに設定されている複数の変動パターンの各変動時間と、該各変動パターンの選択確率との組合せが相違する」ことが記載され、上記3.(5)イで認定したとおり、刊行物4には「大当り遊技実行後の変動表示回数に応じて順に実行される「超速モード」、「通常速モード」、「遅速モード」は、相互に変動表示の変動時間の組合せが異なる」ことが記載されている。 これらの記載事項はいずれも、パチンコ遊技機において、大当りまたは小当りといった特別遊技が実行されたあとで複数の変動モードが順に実行され、該各複数の変動モードの変動時間の選択傾向が互いに異なるように構成するという技術事項を示すものであり、これら各記載事項に例示されるとおり、パチンコ遊技機の分野において、特別遊技後の変動演出として前記技術事項に該当する演出は周知の技術事項であるといえる。 そして、該技術事項は、上記相違点に係る本件補正発明の構成Eの「複数の変動モードは、前記識別情報の変動表示を実行する期間として決定される変動表示時間の選択傾向が互いに異なるよう構成」することに相当するものであり、刊行物1発明に該周知の技術事項を適用して相違点の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 また、本件補正発明により奏される効果は、当業者が、刊行物1発明及び周知の技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。 (8)審判請求書における請求人の主張について 審判請求書の4.(4-1)において請求人は、本件補正発明と刊行物1発明とは、上記構成Dの「前記複数の変動モードのうち一の変動モードを設定している状態で前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合、当該特定遊技の終了後の変動モードとして、前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モードを設定し」の点で相違し(<相違点>)、「引用文献1に係る発明では、第1特殊区間、第1区間、第2特殊区間及び第2区間のいずれかで大当りが発生すると、再び第1特殊区間に戻す思想が根幹にあるため(例えば、引用文献1の段落0422の記載から読み取れる)、<相違点>となる構成(特に、「前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モードを設定し」との点)を採用する理由がない。」と主張している。 しかし、構成Dでは「複数の変動モードのうち一の変動モードを設定している状態」すなわち複数の変動モードのうちの一つを設定している状態において、「前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合、当該特定遊技の終了後の変動モードとして、前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モードを設定」するものであれば足りるのであり、上記3.(6)エで説示したとおり、刊行物1発明が、「「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」」の何れか一つを実行している場合に、実行された大当りの種別に応じ、これらとは異なる「第1特殊区間」または「時短区間」に設定されることは、前記構成Dに相当すると言える。 また、「第1特殊区間」を実行する場合に特定遊技が行われた場合であっても、それが「2R通常図柄」に該当した場合に設定される「時短区間」は、特定遊技の停止図柄の種類に応じて異なる「区間」であって、「第1特殊区間」とは異なる「区間」であるから、前記「前記一の変動モードとは異なる変動モードであって前記特定態様の種類に応じて異なり得る変動モード」に相当するといえる。 以上のとおりであるから、前記審判請求書における主張は採用できない。 (9)小括 したがって、上記(6)?(8)において検討したように、本件補正発明は、刊行物1発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。 (10)むすび よって、本件補正は、仮に上記2.(2)、(3)で検討したとおりの新規事項の追加または目的外補正にあたらないとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 第3 本願発明について 1.本願発明 本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成28年11月2日付けの手続補正書により補正された、上記第2の1.で示した特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。 2.原査定の拒理の理由 原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。 理由1.の出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 理由2.この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献1.特開2014-183911号公報 (上記刊行物1に同じ。) 3.刊行物 原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用された上記刊行物1の記載事項は、上記第2の3.(2)に記載したとおりである。 4.対比・判断 (1)本願発明は、上記本件補正発明の構成Dに替えて、「前記複数の変動モードのうち一の変動モードを設定している状態で前記識別情報が前記特定態様で停止表示されたことに基づいて前記特定遊技が行われた場合、当該特定遊技の終了後の変動モードとして、前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードの次に設定予定の変動モードを除く他の変動モードを設定し、」なる構成D’を備えるものである。 一方、上記刊行物1発明は構成cとして「主制御CPU72は、特別遊技後の変動回数が1、2?50、51、52以降、の各値を順にとることに応じて、「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」をこの順番に設定することが可能であり、」なる構成を備え、構成dとして「「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」の何れかを実行しているときに大当り遊技が実行された場合には、その終了後は当該大当たり遊技が「15R確変」または「2R確変」であれば「第1特殊区間」をセットし,大当り図柄種別が「2R通常図柄」であれば「時短区間」をセットし、」なる構成を備える。 該構成cにおいて特定されるように、「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」なる各区間は、特別遊技後にこの順番で連続設定されるものであり、この連続設定において「第2区間」は特別遊技後の変動回数が52以上となった場合に実行される最後の区間であって、この後に「特別遊技後の変動回数」の値に応じて「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」、「時短区間」のいずれに移行することも予定されていない。 そうすると、前記構成dにおいて、「「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」」が順に実行される中でそ「の何れかを実行しているときに大当り遊技が実行された場合に」移行される「第1特殊区間」及び「時短区間」はいずれも、「第1特殊区間」、「第1区間」、「第2特殊区間」、「第2区間」」のいずれに対しても、「次に設定予定の変動モード」にはあたらず、該「第1特殊区間」及び「時短区間」は共に、前記構成D’の「前記複数の変動モードのうち前記一の変動モードの次に設定予定の変動モードを除く他の変動モード」に相当するといえる。 よって、前記構成dは、前記構成D’にも相当する。 (2)本願発明と本件補正発明とで構成Eは共通するから、本願発明と刊行物1発明との相違点は、上記第2の3.(6)カ(イ)で認定した相違点と同様の点で相違する。 そして、上記第2の3.(7)で説示したとおり、刊行物1発明に該周知の技術事項を適用して相違点の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 よって、本願発明は、刊行物1発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得たものである。 また、本願発明により奏される効果は、当業者が、刊行物1発明及び周知の技術事項から予測し得た範囲内のものであって、格別のものではない。 5.むすび 以上のとおり、本願発明は、刊行物1に記載された発明及び周知の技術事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。 したがって、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-03-28 |
結審通知日 | 2018-04-03 |
審決日 | 2018-04-16 |
出願番号 | 特願2014-218472(P2014-218472) |
審決分類 |
P
1
8・
561-
Z
(A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F) P 1 8・ 572- Z (A63F) P 1 8・ 575- Z (A63F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 齋藤 智也、藤澤 和浩、岩永 寛道、尾崎 俊彦 |
特許庁審判長 |
瀬津 太朗 |
特許庁審判官 |
青木 洋平 樋口 宗彦 |
発明の名称 | 遊技機 |
代理人 | 伊藤 温 |