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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H04N
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1340935
審判番号 不服2016-16361  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-02 
確定日 2018-06-07 
事件の表示 特願2015- 2641「ビデオ符号化のための方法および装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 6月11日出願公開、特開2015-109680〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、2006年(平成18年)3月16日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2005年4月13日、米国、2005年7月20日、米国)を国際出願日とする出願である特願2008-506467号の一部を、数次の分割を経て平成27年1月8日に新たな特許出願としたものであって、平成27年10月16日付けで拒絶の理由が通知され、それに応答して平成28年4月21日付けで手続補正がなされたが、平成28年6月29日付けで拒絶査定がなされた。
これに対し、平成28年11月2日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成28年11月2日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成28年11月2日付けの手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
本件補正は、補正前の平成28年4月21日付けの手続補正による特許請求の範囲の請求項1ないし20を、本件補正による特許請求の範囲の請求項1ないし20に補正するものであるところ、本件補正は、請求項1に係る次の補正事項を含むものである(下線は補正箇所)。

(補正前の請求項1)
「【請求項1】
画像ブロックのためのビデオ信号データを符号化するための装置であって、前記ビデオ信号データの色成分を、それらに残差色変換を適用することなく符号化する符号器を含み、前記符号器は、共通の予測器を使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し、前記ビデオ信号データのサンプリングが、4:4:4フォーマットに対応する、前記装置。」
とあるのを、

(補正後の請求項1)
「【請求項1】
画像ブロックのためのビデオ信号データを符号化するための装置であって、前記ビデオ信号データの色成分を、それらに残差色変換を適用することなく符号化する符号器を含み、前記符号器は、共通の色成分予測器および予測フレームについて同じ補間フィルタを使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し、前記ビデオ信号データのサンプリングが、4:4:4フォーマットに対応する、前記装置。」
と補正する。

本件補正の請求項1に係る補正は、補正前の請求項1における「前記符号器は、共通の予測器を使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し」という構成を、「前記符号器は、共通の色成分予測器および予測フレームについて同じ補間フィルタを使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し」という構成とする補正事項を有している。

2.補正の適合性
(1)補正の目的
上記補正事項は、発明特定事項である「符号化器」について、「予測器」を「色成分予測器」とし、さらに「予測フレームについて同じ補間フィルタを使用」することを追加するものであるので、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正といえ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は変わるものではなく同一であるといえるから、特許法第17条の2第5項第2号の規定に該当するものである。

(2)補正の範囲及び単一性について
上記補正事項は、「色成分予測器」については、願書に最初に添付した明細書の段落[0036]の記載、「予測フレームについて同じ補間フィルタを使用」することについては、同段落[0047]の記載に基づくものである。
よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合するものである。

また、各補正事項は、上記のように、特許請求の範囲の減縮を目的とする補正であるから、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明とは発明の単一性の要件を満たすものといえ、本件補正は特許法第17条の2第4項の規定に適合するものである。

(3)独立特許要件
以上のように、本件補正は特許請求の範囲の減縮を目的とする補正事項を含むものであるので、本件補正後の請求項1に記載された発明が、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について以下に検討する。

(3-1)本願補正発明
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)は、次のとおりのものである。
なお、本願補正発明の各構成の符号は、説明のために当審において付与したものであり、以下、構成(A)、構成(B)などと称する。

(本願補正発明)
(A)画像ブロックのためのビデオ信号データを符号化するための装置であって、
(B)前記ビデオ信号データの色成分を、それらに残差色変換を適用することなく符号化する符号器を含み、
(C)前記符号器は、共通の色成分予測器および予測フレームについて同じ補間フィルタを使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し、
(D)前記ビデオ信号データのサンプリングが、4:4:4フォーマットに対応する、
(A)前記装置。

(3-2)引用文献に記載される発明及び技術
(3-2-1)引用文献1
ア.引用文献1の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1である特開2005-39743号公報には、「画像情報符号化装置及び方法、並びに画像情報復号装置及び方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、MPEG(Moving Picture Experts Group)、H.26x等のように、離散コサイン変換又はカルーネン・レーベ変換等の直交変換と動き予測・補償とによって圧縮された画像圧縮情報(ビットストリーム)を、衛星放送、ケーブルTV若しくはインターネット等のネットワークメディアを介して受信する際に、又は光ディスク、磁気ディスク若しくはフラッシュメモリ等の記憶メディア上で処理する際に用いられる画像情報符号化装置及びその方法、並びに画像情報復号装置及びその方法に関する。」

(イ)「【0005】
さらに、近年、テレビ会議用の画像符号化を当初の目的として、H.264(ITU-T Q6/16 VCEG)という標準の規格化が進んでいる。H.264は、MPEG2やMPEG4といった従来の符号化方式に比べ、その符号化、復号により多くの演算量が要求されるものの、より高い符号化効率が実現されることが知られている。また、現在、MPEG4の活動の一環として、このH.264をベースに、H.264ではサポートされない機能をも取り入れ、より高い符号化効率を実現する標準化がJVT(Joint Video Team)によって行われている。」

(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0021】
ところで、JVT Codec(H.264|MPEG-4 AVC)では、上述したように、イントラ符号化を行う際に、ブロックの周辺の画素から予測画像を生成してその差分を符号化するというイントラ予測符号化が採用されている。
【0022】
ここで、輝度成分に関しては、4×4画素ブロック単位に予測を行うイントラ4×4予測モードと16×16画素ブロック(マクロブロック)単位で予測を行うイントラ16×16予測モードとの2つの予測方式が用いられている。
【0023】
一方、色差成分に関しては、Cb,Crそれぞれの8×8ブロック単位で予測を行う。この予測符号化の方法は、イントラ16×16予測モードと同様であり、当該予測モードを8×8ブロック単位に変更したものである。色差のイントラ予測符号化における予測モードを図11に示す。図11に示すように、JVT Codecでは、
(a) Vertical mode(mode=0)
(b) Horizontal mode(mode=1)
(c) DC mode(mode=2)
(d) Plane Prediction mode(mode=3)
の4つの予測モードが定義されており、最も予測残差の少ない予測モードに従って予測画像が生成される。以下、この4つの予測モードにおける予測画像の生成手法について説明する。
(中略)
【0056】
以上のようにして、JVT Codecではイントラ予測符号化が行われているが、上記手法を用いても、色差のイントラ予測符号化はブロックサイズが小さいため、輝度と比べると符号化効率がよくないという問題があった。
【0057】
また、上記手法は、4:2:0フォーマット、YCbCr色空間のみにしか対応しておらず、4:2:2フォーマット、4:4:4フォーマット、RGB色空間、XYZ色空間等の場合には符号化することができないという問題があった。
【0058】
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、4:2:2フォーマット,4:4:4フォーマット, RGB色空間、XYZ色空間等の画像であっても、より効率よく符号化することを可能にする画像情報符号化装置及びその方法、並びに画像情報復号装置及びその方法を提供することを目的とする。」

(エ)「【0067】
(1)画像情報符号化装置の構成及び動作
先ず、本実施の形態における画像情報符号化装置の概略構成を図1に示す。図1に示すように、画像情報符号化装置10は、A/D(Analogue/Digital)変換部11と、画像並び替えバッファ12と、加算器13と、直交変換部14と、量子化部15と、可逆符号化部16と、蓄積バッファ17と、逆量子化部18と、逆直交変換部19と、加算器20と、フレームメモリ21と、動き予測・補償部22と、イントラ予測部23と、レート制御部24とにより構成されている。
【0068】
図1において、A/D変換部11は、入力された画像信号をデジタル信号に変換する。そして、画像並び替えバッファ12は、当該画像情報符号化装置10から出力される画像圧縮情報のGOP(Group of Pictures)構造に応じて、フレームの並べ替えを行う。ここで、画像並び替えバッファ12は、イントラ(画像内)符号化が行われる画像に関しては、フレーム全体の画像情報を直交変換部14に供給する。直交変換部14は、画像情報に対して離散コサイン変換又はカルーネン・レーベ変換等の直交変換を施し、変換係数を量子化部15に供給する。量子化部15は、直交変換部14から供給された変換係数に対して量子化処理を施す。
【0069】
可逆符号化部16は、量子化された変換係数に対して可変長符号化、算術符号化等の可逆符号化を施し、符号化された変換係数を蓄積バッファ17に供給して蓄積させる。この符号化された変換係数は、画像圧縮情報として出力される。」

(オ)「【0071】
一方、画像並び替えバッファ12は、インター(画像間)符号化が行われる画像に関しては、画像情報を動き予測・補償部22に供給する。動き予測・補償部22は、同時に参照される画像情報をフレームメモリ21より取り出し、動き予測・補償処理を施して参照画像情報を生成する。動き予測・補償部22は、この参照画像情報を加算器13に供給し、加算器13は、参照画像情報を当該画像情報との差分信号に変換する。また、動き補償・予測部22は、同時に動きベクトル情報を可逆符号化部16に供給する。」

(カ)「【0074】
(2)画像情報符号化装置における本発明の適用部分
(2-1)イントラ予測部
イントラ予測部23の構成の一例を図2に示す。イントラ予測部23は、色成分の解像度が4:2:0フォーマット、4:2:2フォーマット、4:4:4フォーマット等の何れであるかを示すクロマフォーマット信号、及び色空間がYCbCr、RGB、XYZ等の何れであるかを示す色空間信号に基づいて、予測の手法を切り替える。なお、クロマフォーマット信号及び色空間信号は、予め外部のユーザ等によって設定され、画像情報符号化装置10に供給される。
【0075】
図2に示すイントラ予測部23において、クロマフォーマット信号及び色空間信号は、スイッチ30,32に供給される。スイッチ30,32では、クロマフォーマット信号及び色空間信号に基づき、イントラ予測器31a,31b,31cの何れかを選択し、フレームメモリ21から読み出した画像信号を選択したイントラ予測器に供給し、選択したイントラ予測器からの予測画像を出力する。スイッチ30,32は、同一のイントラ予測器を選択する。なお、この図2では、3種類のイントラ予測器31a,31b,31cの何れかを選択するものとして説明するが、このイントラ予測器の数、すなわち予測の方式の数は、任意に設定することができる。
【0076】
(2-1-1)
先ず、イントラ予測器31aの動作を説明する。このイントラ予測器31aでは、クロマフォーマット信号が4:2:0フォーマットを示し、色空間信号がYCbCrを示す画像信号に対し、8×8ブロックを単位として予測を行う。なお、イントラ予測器31aの動作は、前述した従来例と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0077】
(2-1-2)
次に、イントラ予測器31bの動作を説明する。イントラ予測器31bにおいてもイントラ色差予測モードには、Vertical mode、Horizontal mode、DC mode、Plane prediction mode の4つの予測モードが存在する。このイントラ予測器31bでは、クロマフォーマット信号が4:2:2フォーマットを示し、色空間信号がYCbCrを示す画像信号に対し、マクロブロック中の連続する縦方向の2つの8×8ブロックをまとめて8×16ブロックを構成し、この8×16ブロックを単位として予測を行う。以下、このイントラ予測器31bにおける、4つの予測モードのそれぞれに従った予測画像の生成手法について説明する。
(中略)
【0106】
(2-1-3)
続いて、イントラ予測器31cの動作を説明する。イントラ予測器31cにおいてもイントラ色差予測モードには、Vertical mode、Horizontal mode、DC mode、Plane prediction mode の4つの予測モードが存在する。このイントラ予測器31cでは、クロマフォーマット信号が4:4:4フォーマットを示し、色空間信号がYCbCr、RGB又はXYZを示す画像信号に対し、マクロブロック中の連続する縦横方向の4つの8×8ブロックをまとめて16×16ブロックを構成し、この16×16ブロックを単位として予測を行う。以下、このイントラ予測器31cにおける、4つの予測モードのそれぞれに従った予測画像の生成手法について説明する。」

イ.引用文献1に記載される発明
引用文献1に記載された発明を以下に認定する。

(ア)上記ア(ア)ないし(ウ)によれば、引用文献1には、JVT(H.264/MPEG-4 AVC)方式に準じた画像情報符号化装置に関する発明が記載されており、上記ア(ウ)によれば、その発明は、4:4:4フォーマットの画像のイントラ予測符号化を効率化することを目的としたものである。

(イ)上記ア(エ)によれば、画像情報符号化装置は、直交変換部、量子化部、フレームメモリ、動き予測・補償部、イントラ予測部等により構成され、入力された画像信号を符号化して出力する。

(ウ)上記ア(オ)によれば、動き予測・補償部は、インター符号化が行われる画像に関し、参照される画像情報をフレームメモリより取り出し、動き予測・補償処理を施す。

(エ)上記ア(カ)によれば、イントラ予測部は、色成分の解像度が4:2:0フォーマット、4:2:2フォーマット、4:4:4フォーマット等の何れであるかを示すクロマフォーマット信号、及び色空間がYCbCr、RGB、XYZ等の何れであるかを示す色空間信号に基づいて、予測の手法を切り替え、イントラ予測器31a,31b,31cの何れかを選択する。
イントラ予測器31aでは、クロマフォーマット信号が4:2:0フォーマットを示し、色空間信号がYCbCrを示す画像信号に対して予測を行う。
イントラ予測器31bでは、クロマフォーマット信号が4:2:2フォーマットを示し、色空間信号がYCbCrを示す画像信号に対して予測を行う。
イントラ予測器31cでは、クロマフォーマット信号が4:4:4フォーマットを示し、色空間信号がYCbCr、RGB又はXYZを示す画像信号に対して予測を行う。

すなわち、イントラ予測部は、クロマフォーマット信号が4:4:4フォーマットを示す画像信号をイントラ予測器31cにより予測を行う。

(オ)まとめ
上記(ア)ないし(エ)によると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

(引用発明)
(a)入力された画像信号を符号化して出力するJVT(H.264/MPEG-4 AVC)方式に準じた画像情報符号化装置であって、
(b)直交変換部、量子化部、フレームメモリ、動き予測・補償部、イントラ予測部等により構成され、
(c)動き予測・補償部は、インター符号化が行われる画像に関し、参照される画像情報をフレームメモリより取り出し、動き予測・補償処理を施し、
(d)イントラ予測部は、クロマフォーマット信号が4:4:4フォーマットを示す画像信号をイントラ予測器31cにより予測を行う、
(a)画像情報符号化装置。

(3-2-2)引用文献4
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献4である「Woo-Shik Kim, et al., “Proposal for the unsolved issues in Professional Extensions II”, Joint Video Team (JVT) of ISO/IEC MPEG & ITU-T VCEG (ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 and ITU-T SG16 Q.6) 10^(th) JVT Meeting 8-12 December, 2003, Hawaii, Document: JVT-J018」には、次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。括弧内に当審で作成した日本語仮訳を添付する。

「1. Introduction
This proposal addresses issues that were not resolved from the previous meeting in San Diego [1]. It includes the intra Chroma prediction, MC interpolation method, CBP coding for 4:4:4 Chroma formats. We also propose a mathematically lossless RGB coding for archive uses and XYZ coding.」(1頁1?5行)
(1.導入
この提案は、サンディエゴで開催された前回の会議[1]で解決されなかった問題に対処しています。これは、イントラクロマ予測、MC補間法、4:4:4クロマフォーマットのCBP符号化が含まれます。また、アーカイブ用途のための数学的にロスレスなRGB符号化とXYZ符号化を提案します。)

「2.2. Intra Chroma Prediction
Two methods were proposed for intra Chroma prediction for 4:4:4 format.
In [4], only Intra_16x16 prediction was used for the intra Chroma prediction even though there are two modes (4x4 and 16x16 prediction) for Luma cases. It will decrease the coding efficiency since there are many cases where 16x16 intra prediction is not good enough due to the local characteristics of Chroma plane.
On the other hand, we proposed to use two modes for the Chroma cases as in the Luma cases. To further exploit the texture correlation between the Luma and the Chroma components, we used the same intra prediction for the Luma and Chroma cases [2]. For example, when Intra_4x4 Horizontal prediction is selected, all components use the same Intra_4x4 Horizontal prediction. This single mode can reduce the encoder complexity while slightly sacrificing the coding efficiency when compared with the case that relaxes the condition of single mode. Figure 1 compares the coding efficiency when using single mode against the one proposed in [4]. The R-D curves are almost identical. We can always relax the single mode constraint so that we have different intra prediction modes for each component. It becomes the super set of only 16x16 prediction mode for the Chroma components. So we can always achieve the better coding efficiency than the one in [4].」(1頁16行?2頁3行)
(2.2.イントラクロマ予測
4:4:4フォーマットのイントラクロマ予測のために2つの方法が提案された。
[4]では、輝度の場合には2つのモード(4x4と16x16予測)があるにもかかわらず、イントラクロマ予測にはIntra_16x16予測のみが使用されていた。これは、クロマ平面の局所特性のために16x16イントラ予測が十分でない場合が多いため、符号化効率を低下させる。
一方、我々は、輝度の場合のようにクロマの場合に2つのモードを用いることを提案した。輝度成分とクロマ成分間のテクスチャ相関をさらに利用するために、輝度とクロマの場合で同じイントラ予測を使用した[2]。例えば、Intra_4x4水平予測が選択されると、すべての成分で同じIntra_4x4水平予測を使用する。この単一モードは、単一モードの状態を緩和する場合と比較して、符号化効率をわずかに犠牲にしながら、符号化器の複雑さを低減することができる。図1は、[4]で提案されたものに対する単一モードを使用するときの符号化効率を比較している。R-D曲線はほぼ同じである。単一モード制約を緩和して、各成分に異なるイントラ予測モードを用いることができる。これは、クロマ成分のための唯一の16x16予測モードのスーパーセットになる。したがって、我々は[4]のものより常に優れた符号化効率を達成することができる。)

「2.3. MC Interpolation for 4:4:4 Chroma formats
We conducted an extensive simulation to compare the performances between 6-tab filter and bilinear transform for various 4:4:4 chroma format contents both in YUV and RGB spaces.」(2頁4?6行)
(2.3.4:4:4クロマフォーマットのMC補間
YUVとRGB空間の両方のさまざまな4:4:4クロマフォーマットのコンテンツに対して、6タブフィルタとバイリニア変換の間のパフォーマンスを比較するための広範なシミュレーションを行いました。)

引用文献4は、JVTにおける提案書であるからJVT符号化方式に関する技術を開示したものであり、以上の記載によれば、引用文献4には、『JVT符号化方式におけるYUV、RGB、XYZの色成分の4:4:4フォーマットのイントラクロマ予測において、輝度成分とクロマ成分間のテクスチャ相関を利用して、輝度とクロマの場合で同じイントラ予測を使用することにより、符号化効率をわずかに犠牲にしながら、符号化器の複雑さを低減する技術』が記載されているといえる。

(3-2-3)引用文献5
ア.引用文献5の記載事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献5である特開2005-39842号公報には、「カラー映像のためのビデオ符号化/復号化装置およびその方法」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている。
なお、下線は強調のために当審で付したものである。

(ア)「【技術分野】
【0001】
本発明は、カラー映像のためのビデオ符号化/復号化装置およびその方法に係り、さらに詳細には、カラー映像の色情報および解像度情報による最適の符号化/復号化を行う装置およびその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のビデオ(ビデオ信号)圧縮方法は、圧縮率を高めるために、機器から直接取得できるR-G-Bなどの映像形式を圧縮に適したY-Cb-Crなどの映像形式に変換する。また、従来のビデオ圧縮方法は、圧縮効率を高めるためにCb成分およびCr成分を四分の一のサイズに減らして符号化する。しかし、従来のビデオ圧縮方法は、高品質の映像復元を必要とするアプリケーションに適するものとはいえない。それは、Cb成分およびCr成分のサブサンプリングによってChroma(Cb、Cr)成分にエネルギー損失が発生し、さらにR-G-B成分をY-Cb-Cr成分に変換する時に映像の品質損失が発生するためである。このような損失を減らすためには、Cb成分およびCr成分をY成分と同じ解像度で符号化する必要がある。
【0003】
もし、Y-Cb-Cr成分を符号化するとき、さらに良い品質を所望するのであれば、R-G-B成分を直接符号化することにより、Y-Cb-Cr成分に変換する時に発生する損失をなくして、映像品質の損失を低減する必要がある。しかし、従来のビデオ圧縮手法は、従来型のY-Cb-Cr符号化器を利用してR-G-B成分を符号化するものであり、R-G-Bカラー成分に存在するY-Cb-Cr成分とは異なる特性を利用することができない。このような従来の手法として代表的なものが、2つの国際標準化機構であるISO/IECのMPEGおよびITU-TのVCEGによる、共同ビデオチーム(Joint Video Team)のAVC/H.264標準化技術である。
(中略)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする技術的課題は、インタープレーン(inter-plane)予測を利用してR-G-B映像の符号化/復号化効率を高めるビデオ符号化/復号化装置およびその方法を提供することである。」

(イ)「【0023】
図1Aは、本発明によるビデオ符号化装置の一実施例の構成を示す図面である。
【0024】
図1Aに示すように、本発明によるビデオ符号化装置は、第1動き予測部100と、映像情報把握部110と、第2動き予測部120と、符号化部130とにより構成される。第1動き予測部100は、インタープレーン予測部101と、イントラプレーン予測部104と、予測誤差算出部107とにより構成される。」

(ウ)「【0026】
また、第1動き予測部100は、入力映像の色情報および解像度情報によって動き補償のために使用するフィルタタップの長さを異にする。これについては、その詳細を、図4ないし図9を参照して後述する。」

(エ)「【0035】
入力映像F(n)170は、Y-Cb-Cr映像またはR-G-B映像である。本発明によるビデオ符号化装置において、入力映像170は、ブロック単位で処理される。第1動き予測部100は、インタープレーン予測部101とイントラプレーン予測部104とにより構成される。インタープレーン予測部101は、動き予測部(Motion Estimation unit:ME)102および動き補償部(Motion Compensation unit:MC)103を含み、符号化効率を高めるために、以前の復元映像Fr(n-1) 172に基づいて動きを推定しかつ予測する。イントラプレーン予測部104は、空間推定部(Spatial Estimation unit:SE)105および空間予測部(Spatial Prediction unit:SP)106を含み、空間的に隣接しているブロックに基づいて動きを推定しかつ予測する。」

(オ)「【0074】
図4に示すように、本発明による動き補償装置103,332は、映像情報把握部(図示せず)と、フィルタタップ選択部400と、長いフィルタタップ補間部410と、短いフィルタタップ補間部420と、動き補償部(Motion Compensator:MC)430とにより構成される。
【0075】
R-G-B映像は、R、G、Bの各成分間の周波数特性が類似しているが、Y-Cb-Cr映像は、Luma成分であるY成分とChroma成分であるCb成分およびCr成分との周波数特性が異なる。そして、Y-Cb-Cr映像では、一般に、Chroma成分はLuma成分に比べて低周波成分が多く、相関度も大きい。図4は、このような映像の色成分によって異なる方法により先行フレームを利用した動き予測を行う、動き補償装置の構成を示すブロック図である。
(中略)
【0083】
図4および図5に示すように、フィルタタップ選択部400は、映像情報把握部(図示せず)から受信した色情報に基づいてフィルタタップを選択する(S500)。もし、入力映像の色成分がR-G-B成分であれば(S510)、フィルタタップ選択部400はR-G-B映像の各成分に対して同じ補間方法を選択する(S520)。例えば、フィルタタップ選択部400は、R-G-B各成分のすべてに対して同じように、すなわち、すべてに長いフィルタタップ補間部410を選択して適用するか、すべてに短いフィルタタップ補間部420を選択して適用する。」

イ.引用文献5に記載される技術
引用文献5に記載された技術を以下に認定する。

(ア)上記ア(ア)によれば、引用文献5には、JVT符号化方式に準ずるR-G-B映像のビデオ符号化装置が記載されている。

(イ)上記ア(イ)ないし(オ)によれば、ビデオ符号化装置は、第1動き予測部にインタープレーン予測部を備え、インタープレーン予測部は、以前の復元映像に基づいて動きを推定し予測を行う。
インタープレーン予測部は、入力映像の色情報および解像度情報によって動き補償のために使用するフィルタタップの長さを選択するための、長いフィルタタップ補間部、短いフィルタタップ補間部、及びフィルタタップ選択部を備えた動き補償装置を有しており、入力映像がR-G-B映像であれば、R、G、Bの各成分間の周波数特性が類似していることから、フィルタタップ選択部は、R-G-B映像の各成分に対して同じ長さのフィルタタップ補間部を選択して補間を行うものである。

(ウ)上記(ア)、(イ)によると、引用文献5には、『JVT方式に準ずるR-G-B映像のビデオ符号化装置の技術であって、R-G-B映像は、R、G、Bの各成分間の解像度、周波数特性が類似しているため、インタープレーン予測部において、R-G-B映像の各成分に対して、以前の復元映像に適用するフィルタタップ補間部として、同じ長さのフィルタタップ補間部を選択して補間を行う技術』が記載されているといえる。

(3-3)対比
本願補正発明と引用発明とを対比する。

ア.本願補正発明の構成(A)について
引用発明の「画像情報符号化装置」は、構成(a)のようにJVT(H.264/MPEG-4 AVC)方式の符号化を行う装置であるから、入力された画像信号を画像ブロックに分割して符号化処理を行うものであることは明らかであるので、引用発明の「入力された画像信号を符号化」することは、本願補正発明の「画像ブロックのためのビデオ信号データを符号化する」ことに相当する。
したがって、引用発明の構成(a)の「入力された画像信号を符号化して出力するJVT(H.264/MPEG-4 AVC)方式に準じた画像情報符号化装置」は、本願補正発明の構成(A)の「画像ブロックのためのビデオ信号データを符号化するための装置」と一致する。

イ.本願補正発明の構成(B)、(D)について
引用発明は、構成(d)のように、4:4:4フォーマットを示す画像信号を符号化するものであるから、4:4:4フォーマットを示す画像信号をJVT(H.264/MPEG-4 AVC)方式に準じた方式で符号化を行う符号化装置である。
また、構成(b)のように、直交変換部、量子化部、フレームメモリ、動き予測・補償部、イントラ予測部等により構成される符号化装置であるところ、残差色変換を行う手段は備えていない符号化装置である。
したがって、引用発明は、4:4:4フォーマットを示す画像信号の色成分を、残差色変換を適用することなく符号化するものであり、そのような符号器を備えているものといえる。
よって、引用発明の画像情報符号化装置は、本願補正発明の構成(B)の「前記ビデオ信号データの色成分を、それらに残差色変換を適用することなく符号化する符号器を含み」という構成を備えているといえる。
さらに、引用発明の4:4:4フォーマットを示す画像信号は、画像信号のサンプリングが4:4:4フォーマットであることを規定していることは明らかであるので、本願補正発明の構成(D)の「前記ビデオ信号データのサンプリングが、4:4:4フォーマットに対応する」という構成と一致するものである。

ウ.本願補正発明の構成(C)について
本願補正発明の構成(C)について確認すると、構成(C)の「共通の色成分予測器および予測フレームについて同じ補間フィルタを使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し」とは、本願明細書の段落[0047]の「3つの成分のすべてが、イントラ・フレームについて同じ空間予測器を使用し、BおよびP(予測またはインター符号化)フレームについて同じ補間フィルタを使用する一実施形態によれば、」という記載にサポートされる構成である。
よって、構成(C)の「共通の色成分予測器」は、イントラ予測における色成分予測器に関するものであり、予測フレームについての「同じ補間フィルタ」は、インター予測における補間フィルタに関するものである。

一方、引用発明は、構成(d)のように、イントラ予測部において、クロマフォーマット信号が4:4:4フォーマットを示す画像信号をイントラ予測器31cにより予測を行うものであるから、4:4:4フォーマットを示す画像信号の色成分のすべてにイントラ予測を行って符号化するイントラ予測器31cを備えているものといえるが、そのイントラ予測器31cが、色成分のすべてについて共通のものであるかは特定されていない。

また、引用発明は、構成(c)のように、動き予測・補償部において、インター符号化が行われる画像に関し、参照される画像情報をフレームメモリより取り出し、動き予測・補償処理を施すものであるから、画像情報符号化装置に入力される4:4:4フォーマットを示す画像信号の色成分のすべてについて、フレームメモリに蓄積された予測用に参照される画像情報を用いてインター予測を行うものといえるが、色成分のすべてについて、予測用に参照される画像情報に対して同じ補間フィルタを適用することは特定されていない。

すなわち、引用発明は、4:4:4フォーマットを示す画像信号の色成分のすべてについて、イントラ予測を行って符号化するイントラ予測器31cを備えたイントラ予測部と、フレームメモリに蓄積された予測用に参照される画像情報を用いてインター予測を行う動き予測・補償部を有している。
そして、引用発明のイントラ予測部、動き予測・補償部は、上記イにおいて認定したように、符号化器を構成する要素であり、イントラ予測器31cは、本願補正発明の「色成分予測器」に相当し、フレームメモリに蓄積された予測用に参照される画像情報は、本願補正発明の「予測フレーム」に相当する。

以上のことから、引用発明は、本願補正発明の構成(C)と、「前記符号器は、色成分予測器および予測フレームを使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し」という構成を備えている点で共通するものといえる。
ただし、このビデオ信号データの色成分のすべてを符号化する符号器に関し、本願補正発明は、「共通の」色成分予測器を使用するものであって、予測フレームについて「同じ補間フィルタ」を使用するものであるのに対し、引用発明は、色成分予測器を使用し、予測フレームを使用するものであるが、「共通の」色成分予測器を使用し、予測フレームについて「同じ補間フィルタ」を使用するものとは特定されていない点で両者は相違する。

エ.まとめ
上記アないしウの対比結果をまとめると、本願補正発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
画像ブロックのためのビデオ信号データを符号化するための装置であって、前記ビデオ信号データの色成分を、それらに残差色変換を適用することなく符号化する符号器を含み、前記符号器は、色成分予測器および予測フレームを使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し、前記ビデオ信号データのサンプリングが、4:4:4フォーマットに対応する、前記装置。

[相違点]
ビデオ信号データの色成分のすべてを符号化する符号器に関し、本願補正発明は、「共通の」色成分予測器を使用するものであって、予測フレームについて「同じ補間フィルタ」を使用するものであるのに対し、引用発明は、色成分予測器を使用し、予測フレームを使用するものであるが、「共通の」色成分予測器を使用し、予測フレームについて「同じ補間フィルタ」を使用するものとは特定されていない点。

(3-4)相違点の判断
まず、上記(3-3)の「対比」のウにおいて検討したように、本願補正発明の「共通の色成分予測器」は、イントラ予測における色成分予測器に関するものであり、予測フレームについての「同じ補間フィルタ」は、インター予測における補間フィルタに関するものである。

上記(3-2-2)に示したように、引用文献4には、『JVT符号化方式におけるYUV、RGB、XYZの色成分の4:4:4フォーマットのイントラクロマ予測において、輝度成分とクロマ成分間のテクスチャ相関を利用して、輝度とクロマの場合で同じイントラ予測を使用することにより、符号化効率をわずかに犠牲にしながら、符号化器の複雑さを低減する技術』が記載されている。
このように、引用文献4には、引用発明と同様の4:4:4フォーマットの画像信号を符号化するJVT符号化方式に関連する技術として、4:4:4フォーマットの画像信号の各色成分に対し、同じイントラ予測を使用する技術が記載されている。
よって、この引用文献4記載の技術を引用発明に適用し、4:4:4フォーマットの画像信号の各色成分に対して同じイントラ予測を行うために共通の色成分予測器を使用する構成とすること、すなわち、上記相違点に係る、ビデオ信号データの色成分のすべてを符号化する符号器において、「共通の」色成分予測器を使用するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

また、上記(3-2-3)イ(ウ)に示したように、引用文献5には、『JVT方式に準ずるR-G-B映像のビデオ符号化装置の技術であって、R-G-B映像は、R、G、Bの各成分間の解像度、周波数特性が類似しているため、インタープレーン予測部において、R-G-B映像の各成分に対して、以前の復元映像に適用するフィルタタップ補間部として、同じ長さのフィルタタップ補間部を選択して補間を行う技術』が記載されている。
引用文献5記載の技術は、R、G、Bの各成分間の解像度、周波数特性が類似する映像信号を符号化するものであるから、いわゆる4:4:4フォーマットの画像信号の符号化を行う符号化装置といえ、引用発明と同様の4:4:4フォーマットの画像信号を符号化するJVT符号化方式に関連する技術として、インタープレーン予測部において、以前の復元映像に同じ長さのフィルタタップ補間部を適用して補間を行う技術が記載されている。
よって、この引用文献5記載の技術を引用発明に適用し、インター予測において、4:4:4フォーマットの画像信号の各色成分に対して同じ長さのフィルタタップ補間部を適用して補間を行う構成とすること、すなわち、上記相違点に係る、ビデオ信号データの色成分のすべてを符号化する符号器において、予測フレームについて「同じ補間フィルタ」を使用するものとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(3-5)効果等について
本願補正発明の構成は、上記のように当業者が容易に想到できたものであるところ、本願補正発明が奏する効果は、その容易想到である構成から当業者が容易に予測しうる範囲内のものであり、同範囲を超える格別顕著なものがあるとは認められない。

(3-6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献4、引用文献5に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3.むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反してなされたものであるから、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成28年11月2日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年4月21日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1ないし20に記載した事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記第2の1の「本件補正の内容」に示した(補正前の請求項1)に記載された事項により特定されるとおりのものである。

2.引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1に記載された発明(引用発明)は、上記第2の2(3-2-1)イの「引用文献1に記載される発明」に認定したとおりである。

3.対比
本願発明は、上記第2の1の「本件補正の内容」で摘示した本願補正発明に追加された限定事項を省いたものである。
そうすると、上記第2の2(3-3)の「対比」における検討を援用すると、本願発明と引用発明との[一致点]と[相違点]は以下のとおりである。

[一致点]
画像ブロックのためのビデオ信号データを符号化するための装置であって、前記ビデオ信号データの色成分を、それらに残差色変換を適用することなく符号化する符号器を含み、前記符号器は、予測器を使用して、前記ビデオ信号データの前記色成分のすべてを符号化し、前記ビデオ信号データのサンプリングが、4:4:4フォーマットに対応する、前記装置。

[相違点]
ビデオ信号データの色成分のすべてを符号化する符号器に関し、本願発明は、「共通の」予測器を使用するものであるのに対し、引用発明は、予測器を使用するものであるが、「共通の」予測器を使用するものとは特定されていない点。

4.判断
上記第2の2(3-4)の「相違点の判断」における検討を援用すると、上記相違点は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献4に記載される技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献4に記載される技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-12-28 
結審通知日 2018-01-10 
審決日 2018-01-23 
出願番号 特願2015-2641(P2015-2641)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H04N)
P 1 8・ 575- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 坂東 大五郎  
特許庁審判長 篠原 功一
特許庁審判官 清水 正一
渡辺 努
発明の名称 ビデオ符号化のための方法および装置  
代理人 倉持 誠  
代理人 吹田 礼子  

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