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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A23L
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  A23L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A23L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  A23L
管理番号 1341050
異議申立番号 異議2017-700837  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-09-05 
確定日 2018-04-23 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6093463号発明「飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6093463号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項[1-4],[5-8]について訂正することを認める。 特許第6093463号の請求項1,2,4-6,8に係る特許を維持する。 特許第6093463号の請求項3,7に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6093463号の請求項1-8に係る特許についての出願は、平成28年2月26日に特許出願され、平成29年2月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成29年9月5日に特許異議申立人鈴木幸子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、平成29年11月8日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である平成30年1月5日に意見書及び訂正請求書が提出され、申立人より平成30年2月14日付けで意見書が提出されたものである。(以下、 平成30年1月5日付けの訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、これに係る訂正を「本件訂正」という。)

第2 訂正の適否
1.訂正の内容
本件訂正に内容は、以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所である。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「420nmの吸光度が0.019以下である飲料であって、果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖と、アントラニル酸メチルとを含有し、以下の関係式(i)を満足する飲料。 (i) 1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<3.13×10^(-2) ただし、Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦Aであり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表す。」と記載されているのを、「420nmの吸光度が0.019以下である飲料であって、果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖と、アントラニル酸メチルとを含有し、前記飲料に含まれる還元糖は果糖ぶどう糖液糖のみに由来しており、以下の関係式(i)を満足する飲料。 (i) 1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<3.13×10^(-2) ただし、Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦A≦160であり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表し、0<B≦0.040である。」に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項4に「前記飲料が容器詰飲料である、請求項1から3のいずれか1つに記載の飲料。」と記載されているのを、「前記飲料が容器詰飲料である、請求項1または2に記載の飲料。」に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖とアントラニル酸メチルとを含有する飲料において、以下の関係式(i)を満足するように前記果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖および前記アントラニル酸メチルの含有量を調整することを含む、飲料の褐変を抑制する方法。 (i) 1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<3.13×10^(-2) ただし、Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦Aであり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表す。」 と記載されているのを、「果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖とアントラニル酸メチルとを含有し、420nmの吸光度が0.019以下であり、含まれる還元糖は果糖ぶどう糖液糖のみに由来している飲料において、以下の関係式(i)を満足するように前記果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖および前記アントラニル酸メチルの含有量を調整することを含む、飲料の褐変を抑制する方法。 (i) 1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<3.13×10^(-2) ただし、Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦A≦160であり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表し、0<B≦0.040である。」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7を削除する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に「前記飲料が容器詰飲料である、請求項5から7のいずれか1つに記載の方法。」と記載されているのを、「前記飲料が容器詰飲料である、請求項5または6に記載の方法。」に訂正する。

2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「飲料」について、「アントラニル酸メチルとを含有し、」を「アントラニル酸メチルとを含有し、前記飲料に含まれる還元糖は果糖ぶどう糖液糖のみに由来しており、」と特定するとともに、還元糖及びアントラニル酸メチルの含有量の数値範囲を「Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦Aであり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表す。」から「Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦A≦160であり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表し、0<B≦0.040である。」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件明細書の段落【0025】-【0038】に記載された実験例及び実施例において、飲料に含まれる「還元糖」は「果糖ぶどう糖液糖のみに由来する」もののみからなっている。
また、訂正後の請求項1の還元糖及びアントラニル酸メチルの含有量の数値範囲は、訂正前の請求項3に記載されていたものである。
よって、訂正事項1は、新規事項を付加するものではなく、特許請求の範囲を拡張・変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2は請求項を削除するものであるから、新規事項を付加するものではなく、特許請求の範囲を拡張・変更するものでないことは明らかである。

(3)訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項4が請求項1から3のいずれかを引用するものであったところ、訂正事項2により削除された請求項3との引用関係を解消するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3は引用関係の一部を削除するものであるから、新規事項を付加するものではなく、特許請求の範囲を拡張・変更するものでないことは明らかである。

(4)訂正事項4について
訂正事項4は、訂正前の請求項5の「飲料」について、「アントラニル酸メチルとを含有する」を「アントラニル酸メチルとを含有し、420nmの吸光度が0.019以下であり、含まれる還元糖は果糖ぶどう糖液糖のみに由来している」と特定するとともに、還元糖及びアントラニル酸メチルの含有量の数値範囲を「Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦Aであり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表す。」から「Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦A≦160であり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表し、0<B≦0.040である。」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、本件明細書の段落【0023】の記載からすれば、訂正前の請求項5記載の方法は、褐変を抑制する対象として420nmの吸光度が0.019以下である飲料を採用している。
また、本件明細書の段落【0025】-【0038】に記載された実験例及び実施例において、飲料に含まれる「還元糖」は、「果糖ぶどう糖液糖のみに由来する」もののみからなっている。
さらに、訂正後の請求項5の還元糖及びアントラニル酸メチルの含有量の数値範囲は、訂正前の請求項7に記載されていたものである。
よって、訂正事項4は、新規事項を付加するものではなく、特許請求の範囲を拡張・変更するものでもない。

(5)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の請求項7を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項5は請求項を削除するものであるから、新規事項を付加するものではなく、特許請求の範囲を拡張・変更するものでないことは明らかである。

(6)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の請求項8が請求項5から7のいずれかを引用するものであったところ、訂正事項6により削除された請求項7との引用関係を解消するための訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項6は引用関係の一部を削除するものであるから、新規事項を付加するものではなく、特許請求の範囲を拡張・変更するものでないことは明らかである。

(7)一群の請求項に係る訂正か否かについて
訂正前の請求項1-4は、請求項2-4が訂正請求の対象である請求項1を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項である。
また、訂正前の請求項5-8は、請求項6-8が訂正請求の対象である請求項5を引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項である。
したがって、訂正事項1-6は、一群の請求項ごとに請求されたものである。

3.小括
以上のとおりであるから、本件訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項[1-4],[5-8]について訂正を認める。

第3 特許異議の申立てについて
1.本件発明
本件特許の請求項1ないし8に係る発明は、本件訂正請求書により訂正された請求項1ないし8に記載されたとおりのものと認められ、そのうち請求項1,2,4-6,8に係る発明は、以下のとおりである。(以下、本件特許に係る発明を請求項の番号に従って、それぞれ「本件発明1」等といい、総称して「本件発明」という。)

【請求項1】
420nmの吸光度が0.019以下である飲料であって、
果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖と、
アントラニル酸メチルとを含有し、前記飲料に含まれる還元糖は果糖ぶどう糖液糖のみに由来しており、以下の関係式(i)を満足する飲料。
(i) 1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<3.13×10^(-2)
ただし、Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦A≦160であり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表し、0<B≦0.040である。

【請求項2】
さらに以下の関係式(ii)を満足する請求項1に記載の飲料。
(ii) 1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<2.10×10^(-2)

【請求項4】
前記飲料が容器詰飲料である、請求項1または2に記載の飲料。

【請求項5】
果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖とアントラニル酸メチルとを含有し、420nmの吸光度が0.19以下であり、含まれる還元糖は果糖ぶどう糖液糖のみに由来している飲料において、以下の関係式(i)を満足するように前記果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖および前記アントラニル酸メチルの含有量を調整することを含む、飲料の褐変を抑制する方法。
(i) 1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<3.13×10^(-2)
ただし、Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦A≦160であり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表し、0<B≦0.040である。

【請求項6】
さらに以下の関係式(ii)を満足する請求項5に記載の方法。
(ii) 1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<2.10×10^(-2)

【請求項8】
前記飲料が容器詰飲料である、請求項5または6に記載の方法。

2.取消理由の概要
訂正前の請求項1ないし8に係る発明に対して平成29年11月8日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。(以下、下記(1)ないし(4)を、それぞれ「取消理由1」ないし「取消理由4」という。)

(1)請求項5ないし8に係る発明は、甲第16号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
また、請求項5ないし8に係る発明が、甲第16号証に記載された発明でないとしても、甲第16号証に記載された発明に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。

(2)請求項1ないし4に係る発明は、甲第16号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。
また、請求項1ないし4に係る発明が、甲第16号証に記載された発明でないとしても、甲第16号証に記載された発明及び甲第1-15号証に記載された事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。

(3)請求項1ないし8に係る発明は、請求項1及び5記載の関係式(i)及び請求項2及び6記載の関係式(ii)に係る説明が発明の詳細な説明中に十分に記載されておらず、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないので、請求項1ないし8に係る特許は、取り消されるべきものである。

(4)本件特許の明細書または特許請求の範囲には、果糖ぶどう糖液糖以外に由来する還元糖を用いた場合についての記載がなく不備が存在するから、特許法第36条第4項第1号及び同条第6項第1号に規定する要件を満たしておらず、本件特許は、取り消されるべきものである。

(5)証拠方法
特許異議申立人が提出した証拠方法(甲第1?18号証)は、以下のとおりである。(以下、各証拠をその証拠番号に従い「甲1」等という。)
甲1:特開2009-165370号公報
甲2:特開2001-186859号公報
甲3:特開2015-126750号公報
甲4:特開2006-136230号公報
甲5:特開平5-268920号公報
甲6:特開2004-350503号公報
甲7:特開2009-136187号公報
甲8:特開2010-22302号公報
甲9:特開2010-273658号公報
甲10:特開2010-279349号公報
甲11:特開2011-97873号公報
甲12:特開2012-60893号公報
甲13:特開2013-220079号公報
甲14:特開2015-12872号公報
甲15:都甲 潔、「味覚と嗅覚に関する感性バイオセンサ」、The Pharmaceutical Society of Japan、2014年3月1日、Vol.134, No3, p.307-312、写し
甲16:特開2004-168936号公報
甲17:特開2015-62408号公報
甲18:特開2005-15686号公報

3.甲号証の記載
(1)甲第1号証の記載
甲第1号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「柑橘系フレーバーを付与した無果汁炭酸飲料の製造に際して、無果汁炭酸飲料中にカルシウム塩を添加することによって、無果汁炭酸飲料中のカルシウム濃度を5?65mg/100gに調整することを特徴とする柑橘系フレーバーを付与した無果汁炭酸飲料の香味劣化防止方法。」(【請求項1】)

イ.「【0025】
[実施例1-6、比較例1-3]
表1の配合で原料を混合し、柑橘系フレーバーを付与した無果汁炭酸飲料を調合した。190ml缶容器に充填して容器詰め飲料(糖用屈折計示度:10°BX)を調製した。
【0026】
【表1】

【0027】
得られた炭酸飲料を5℃及び35℃の保存区に4週間保存し、パネラー6名にてオリジナルの香味とその保持、及び香味劣化の抑制効果について官能評価を行った結果を表2に示す。
【0028】
【表2】

【0029】
[実施例7-12、比較例4-6]
表3の配合で原料を混合し、柑橘系フレーバーを付与した無果汁炭酸飲料用シロップを調合した。180g容ガラス瓶に充填して、80℃10分間のパストライザー殺菌をおこない冷却することで容器詰め濃縮シロップを調製した。
【0030】
【表3】

【0031】
得られた濃縮シロップを5℃及び35℃の保存区に4週間保存したのち、水道法の水質基準に適合する「飲用適」の水に二酸化炭素を圧入して調製した炭酸水(ガス内圧力0.4MPa)で容量5倍に希釈し、飲用濃度の炭酸飲料(糖用屈折計示度:10°Bx)を調製したうえで、パネラー6名にてオリジナルの香味とその保持、及び香味劣化の抑制効果について官能評価を行った結果を表4に示す。
【0032】
【表4】

【0033】
[実施例13]
原水については全イオン交換樹脂を用いて全イオン交換水を用意し、その後脱気処理を行った。糖類の果糖60kgを溶解し果糖ぶどう糖液糖177kgを合わせて、ストレーナー(150メッシュ)を通し、調合タンクに送った。更に、クエン酸(無水)3.3kg、クエン酸三ナトリウム(結晶)0.6kg、炭酸水素ナトリウム1.0kg、乳酸カルシウム2.4kgを溶解しストレーナー(150メッシュ)を通し調合タンクに送り、最後にレモンフレーバー1.2kg及びライムフレーバー1.2kgをストレーナー(150メッシュ)で濾過し調合タンクに添加し、用水適量を用いて総量2000kgの調合液に仕上げた。
【0034】
上記調合液についてストレーナー(150メッシュ)を通した後、速やかに冷却を行い、カーボネーターにて充填後ガス内圧力0.3MPaになるよう炭酸ガス付与を行い、別に用意した洗浄済みのPETボトルに、フィラーにて充填、キャッパーにてキャップを取りつけ、容器詰め炭酸飲料(糖用屈折計示度:10°Bx、カルシウム濃度:16mg/100g飲料)を製造した。製造したPETボトル入り無果汁炭酸飲料の風味について、パネラー10名により官能検査を行った。また、5℃及び35℃の環境で4週間保存した該炭酸飲料の風味についても同様に官能検査を行った。結果を表5に示す。オリジナルの香味に優れ、香味劣化の抑制効果も良好であり、保存後も優れた香味を保持していた。
【0035】
【表5】

」(段落【0025】-【0035】)

(2)甲第2号証の記載
甲第2号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「コールドプレスオイルから含水アルコール溶媒で抽出処理して得られたエッセンスと、コールドプレスオイルから得られたクマリン類縁体からなる劣化防止成分とからなることを特徴とする劣化しにくい水溶性シトラス系フレーバー。」(【請求項1】)

イ.「なお、ここでいう香りのキー成分とは、食品(あるいは物)それぞれが揮散する香気成分であって食品の特徴的な香気成分であり、香りのオフ成分とは、劣化してできる二次生成物のうち不快な臭いをもたらす成分である。シトラス系飲料を代表例としてより具体的に説明すると、オレンジ果汁では香りのキー成分は、バレンセンやα-シネンサールが、オフ成分は4-ビニルグアイヤコールや2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ-3(2H)-フラノンなどが知られており、レモン果汁では香りのキー成分は、ネラールやゲラニアールが、オフ成分はp-サイメン、p-α-ジメチルスチレン、p-メチルアセトフェノンなどが知られている。」(段落【0020】)

ウ.「【実施例3-4】 レモン炭酸飲料の調製
下記のような処方で実施例1-2記載の水溶性レモンフレーバーを含有する炭酸飲料(Brix:10.0,ガス圧:2.5kg/m^(2)酸度(クエン酸換算):0.38)を調製した。
レモン炭酸飲料 果糖ぶどう糖液糖 127.0g
クエン酸 1.24g
水 200g
水溶性レモンフレーバー 1g
炭酸水 適量
合計 1,000ml
調製法; 果糖ぶどう糖液糖とクエン酸とを水に溶解し、シロップを得た。このシロップに、水溶性レモンフレーバーを加え、攪拌後、炭酸水を加え、1,000mlにする。」(段落【0030】)

(3)甲第3号証の記載
甲第3号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「飲用時の濃度が0.0001?0.1重量%となるようにスクラロースを含有する嗜好性飲料。」(【請求項53】)

イ.「炭酸飲料、果実風味飲料または乳成分入り飲料である請求項53記載の嗜好性飲料。」(【請求項54】)

ウ.「(2).嗜好性飲料
本発明は、嗜好性飲料にスクラロースを配合することによって各種嗜好性飲料が本来有する風味をより一層引き出し、風味に優れた飲料が得られるという知見に基づくものである。
本発明において嗜好性飲料とは、コーヒー、ココア、しるこ、ぜんざい、ナッツ類(アーモンド、ピーナッツ等)飲料、モルト飲料、ホップ飲料、ウーロン茶、茶以外の植物を原料とした茶類似品(麦茶、ハーブティー、クコ茶、トチュウ茶等)、炭酸飲料、果実飲料、果実風味飲料、乳成分入り飲料、豆乳、豆乳入り飲料等の飲料を広く意味するものであり、そのまま飲用に供されるもののほか、希釈、溶解または浸出して飲用されるものも含まれる。
なお、ここで果実飲料には果汁を含む食品一般が広く包含され、例えば果汁そのもの、果汁を水や糖液などで希釈して調製される果汁入り清涼飲料、果汁入り混合飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁入り乳飲料、果汁入り濃厚シラップ等の各種飲料が含まれる。
また果実風味飲料とは、果実の搾汁、ピューレや果肉等の果実原料を併用若しくは併用しないで、フルーツ香料等の果実風味原料を用いて調製される果実風味飲料を意味する。また乳成分入り飲料とは、乳飲料、発酵乳(飲用タイプ)、乳酸菌飲料、乳蛋白飲料、乳入り炭酸飲料等、乳または乳に由来する成分を原料として調製される飲料を広く意味する。」(段落【0355】-【0358】)

エ.「本発明が対象とする果汁含有食品には果汁を含む食品一般が広く包含され、例えば果汁そのもの、果汁を水や糖液などで希釈して調製される果汁入り清涼飲料、果汁入り混合飲料、果汁入り炭酸飲料、果汁入り乳飲料、果実飲料、果汁入り濃厚シラップ等の各種飲料;果汁入りリキュールなどのアルコール類;果汁入りゼリー、ムース;アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓;果汁入りキャンディー、ガム等の菓子類を挙げることができる。また果実含有食品には果肉を含む食品又は果実を原料として製造される食品一般が広く包含され、例えば果実ピューレ、果実がゆ、ネクター等の果肉飲料、フルーツカクテル、フルーツ入りのケーキ,ゼリー,ムース等の菓子類、アイスクリーム,シャーベット等の冷菓、果実入り缶詰や瓶詰め、果実ソース、果実バター、果実酒、果実酢等を挙げることができる。
なお、果汁や果実の果物の種類は特に制限されず、あらゆる果物を挙げることができる。例えば、オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ミカン等の柑橘系果物、イチゴ,ブルーベリー,木イチゴ等のベリー類、バナナ、パインアップル、ピーチ、グレープ、マスカット、アップル、なし、メロン、キウイフルーツ、グァバ、パッションフルーツ、すいか等を挙げることができるが、これらに限定されることはない。
本発明に係るフレッシュ感、フルーツ感の向上した食品を得るためには、結果的に最終製品にスクラロースが含有されていればよく、スクラロースの配合の時期や順序等を問わない。また、スクラロースの配合方法も特に制限されず、粉末や顆粒状等といった固体状のスクラロースを配合しても、また溶液状態にしたスクラロースを配合してもよい。」(段落【0386】-【0388】)

オ.「参考例(I-1-12) 清涼飲料水
果糖 3.700(kg)
果糖ブドウ糖液糖 8.000
スクラロース 0.000495
DL-リンゴ酸 0.070
クエン酸Na 0.030
乳化剤 0.052
香料 0.220
水 残 部
合 計 100.000 L
上記処方から調製される清涼飲料水(アップル風味:無果汁)はショ糖様のコク感があり、スクラロース無添加の清涼飲料水に比べて良好な甘味質を有していた。」(段落【0560】)

(4)甲第4号証の記載
甲第4号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「油溶性香料およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルならびにエチルアルコールからなる水溶性香料商品。」(【請求項1】)

イ.「油溶性香料およびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルならびにエチルアルコールの均一混合液からなる水溶性香料組成物。」(【請求項2】)

ウ.「請求項1記載の水溶性香料商品または請求項2記載の香料組成物を配合して得られる食品。」(【請求項4】)

エ.「本発明に用いる油溶性香料としては、例えば、オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘類精油;花精油、ペパーミント油、スペアミント油、スパイス油などの植物精油;コーラナッツエキストラクト、コーヒーエキストラクト、ワニラエキストラクト、ココアエキストラクト、紅茶エキストラクト、スパイス類エキストラクトなどの油性のエキストラクト(コーヒーオイル等を含む)及びこれらのオレオレジン類;合成香料化合物、油性調合香料組成物及びこれらの任意の混合物等が挙げられる。」(段落【0015】)

オ.「【実施例1】
オレンジオイル(塩野香料(株)製)とエチルアルコールと、ポリソルベート20、ポリソルベート60及びポリソルベート80の各種の乳化剤(花王(株)製)とを表1の1?6で示す重量比率で攪拌棒により攪拌しながら混合したところ、いずれも溶解し、混和性の良好な水溶性香料組成物が得られた。
【表1】

得られた本発明の水溶性香料組成物を攪拌棒により攪拌しながらイオン交換水に0.1%添加してその可溶化性を評価したところ、全て透明に均一溶解した。
【実施例2】
レモンオイル、グレープフルーツオイル(GFオイル)、ライムオイル及びオレンジオイルの各種柑橘系オイルとポリソルベート60とエチルアルコールとを表2の7?11で示す重量比率で攪拌棒により攪拌混合したところ、いずれも溶解し、混和性の良好な水溶性香料組成物が得られた。
【表2】

得られた本発明の水溶性香料を攪拌棒により攪拌しながらイオン交換水に0.05%添加してその可溶化性を評価したところ、全て透明に均一溶解した。室温で4週間放置後も油浮き等も見られず、経時安定性は良好であった。
【実施例3】
50リットルのプロペラ攪拌機付きタンクを用いて、レモンオイル(塩野香料(株)製)と、ポリソルベート60(花王(株)製)と、エチルアルコールとを50:10:40(重量比)および40:10:50(重量比)で混合し、本発明の水溶性香料組成物2種を得た。得られた水溶性香料組成物は、1リットルのガラス容器に充填密閉し、それぞれ水溶性香料商品(試作品)とした。
【実施例4】
50リットルのプロペラ攪拌機付きタンクを用いて、果糖ブドウ糖液糖400部、グラニュー糖180部、クエン酸5.5部、クエン酸三ナトリウム1部及び水597.5を用いて5倍シロップ1184部を調製した。この5倍シロップに実施例3で得た2種の水溶性香料商品をそれぞれ0.5%攪拌しながら添加したところ、全て透明に溶解した。また、上記シロップを5倍希釈後も物理的な変化は見られなかった。希釈液をガラス瓶充填しモデル飲料を得た。得られた飲料は、同種の柑橘エッセンス香料を同量添加したものに較べて、風味が強く、ボリューム感とフレッシュ感等に優れていた。これは精油の水/アルコール抽出物を用いるエッセンス香料とは異なり、精油の疎水性成分も含めた精油全ての成分が溶解している為、精油そのものからくる香味豊かな香調が生じていると考えられる。得られた飲料を85℃x15分の殺菌後、5℃、室温、55℃に4週間放置して経時安定性を評価した。その結果、4週間経過後のいずれのサンプルも、濁り、リング、沈殿は見られず、また異味、異臭は認められなかった。」(段落【0029】-【0034】)

以上の記載からすると、甲4には、次の発明が記載されているといえる(以下、「甲4発明」という。)。

(甲4発明)
「果糖ブドウ糖液糖400部、グラニュー糖180部、クエン酸5.5部、クエン酸三ナトリウム1部及び水597.5を用いて調整した5倍シロップにレモンオイル(塩野香料(株)製)と、ポリソルベート(花王(株)製)と、エチルアルコールとを50:10:40(重量比)および40:10:50(重量比)で混合した水溶性香料組成物を0.5%添加した透明なシロップ」

(5)甲第5号証の記載
甲第5号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「サンザシの葉のエキスを有効成分とする健康食品及び健康飲料。」(【請求項1】)

イ.「サンザシの葉のエキスを有効成分とする健康飲料としては、清涼飲料水及び炭酸飲料を例示することができる。これらの健康飲料は、例えば、次のようにして製造することができる。
清涼飲料水は、原材料として、有効成分としてのサンザシの葉のエキスに加えて、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツなどの甘味料、クエン酸などの酸味料、香料、天然色素、ビタミンCなどのビタミン類、滅菌水などを適宜の割合で使用し、常法により清涼飲料水を製造する(後出実施例5参照)。
炭酸飲料は、原材料として、有効成分としてのサンザシの葉のエキスに加えて、果糖ブドウ糖液糖などの甘味料、クエン酸などの酸味料、香料、天然色素、ビタミンCなどのビタミン類、炭酸水などを適宜の割合で使用し、常法により炭酸飲料を製造する(同実施例6参照)。」(段落【0023】-【0025】)

ウ.「実施例5(清涼飲料水)
下記第4表に示す組成の原材料を使用して常法によりサンザシの葉のエキスの清涼飲料水数種類をエキスの量を変えて製造した。
【表4】

実施例6(炭酸飲料)
下記第5表に示す組成の原材料を使用して常法によりサンザシの葉のエキスの炭酸飲料数種類をエキスの量を変えて製造した。
【表5】

」(段落【0046】-【0049】)

(6)甲第6号証の記載
甲第6号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「みかん果汁、桃果汁、梅果汁を含むことを特徴とする果汁入り飲料。」(【請求項1】)

イ.「(調合)
図3に示すように、調合タンクにおいて、梅濃縮果汁 15kg、桃ピューレ 75kg、うんしゅうみかん果汁 150kg、さらに果糖ブドウ糖液糖 110kg、オレンジフレーバー M-1020-A 0.5kg、ミックスフルーツフレーバー Z-2400 0.5kg、クエン酸ナトリウム 0.5kg、調整用クエン酸を加え、さらに飲料の総重量を1000kgとなるよう調整水を加えて調合した。(図4)」(段落【0018】)

ウ.「【図4】



(7)甲第7号証の記載
甲第7号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「天然色素含有飲料に鉄イオンを含有させることを含む、天然色素含有飲料の退色防止法。」(【請求項1】)

イ.「【実施例1】
各鉄イオン濃度における退色防止効果
果糖ブドウ糖液糖(最終濃度12.5%)、脱脂粉乳(最終濃度0.7%)、ダイズ多糖類(最終濃度0.13%)、クエン酸(最終濃度0.2%)、クエン酸3ナトリウム(最終濃度0.015%)、ヤマモモ抽出物(最終濃度40ppm)、アカキャベツ色素(最終濃度0.2%)、およびピロリン酸第二鉄を鉄イオンの最終濃度が表1に示す各濃度となるように蒸留水へ添加し、得られた混合物を95℃にて殺菌後、PETボトルに充填して評価用試料を作製した。
退色状況の評価は以下のように行った。調製した各試料をサンヨーグロースキャビネット(MLR-350、三洋電機(株))を用いて15℃、20,000lxの条件下で14日間の蛍光照射を行い、光照射をせず5℃に14日間保管した調製品(組成および他の条件は各蛍光照射試料と同じ)を(光照射試験の)対照として目視により、またはコニカミノルタ社製分光測色計CM-3500dを用いて色を数値化し、色差(ΔE^(*))を計算することにより退色を評価した。同時に、Δa^(*)およびΔb^(*)についても評価した。Δa^(*)は赤色の変化、Δb^(*)は黄色?青色の変化の指標となる。また、鉄イオンの効果を調べるための対照(比較試料として示した)としては他の成分が同じで鉄イオンを添加しない調製品を使用した。
ΔE^(*)はL^(*)a^(*)b^(*)表色系により色を数値化し、ΔE^(*) = {(ΔL^(*))^(2) + (Δa^(*))^(2 )+ (Δb^(*))^(2)}^(1/2)(ΔL^(*)、Δa^(*)、Δb^(*)はそれぞれ、14日間光照射品のL^(*)、a^(*)、b^(*)と5℃保存品のL^(*)、a^(*)、b^(*)との差を表す。)として計算した。
退色度の目視による評価は5段階評価として行い、光照射した試料と対照の外観をそれぞれ観察し、全く退色が見られない場合を5、ほとんど退色が見られない場合を4、やや退色が見られる場合を3、退色が見られる場合を2、顕著な退色が見られる場合を1として試料の退色状況を評価した。結果を表1に示す。」(段落【0013】)

(8)甲第8号証の記載
甲第8号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「(A)エチルアセテート、エチルブチレート、アミルアセテート、アミルブチレート、およびアミルバレレートから少なくとも1種以上選択される香料と、
(B)酢酸または食酢の少なくともいずれかと、を含有することを特徴とする容器詰飲食物。」(【請求項1】)

イ.「(実施例1)
表1に示した割合で各成分を混合し、これをプレート殺菌機により殺菌した後、紙製容器に充填、密封して紙製容器詰飲料とした。なお、含有する各(A)エステル香料はそれぞれ同じ割合である(実施例1-7も同じ)。すなわち、実施例1では(A)エステル香料としてエチルブチレートおよびアミルアセテートをそれぞれ0.125質量%含有する。また、実施例1において含有される酢酸の容器詰飲料全体に対する割合は、図1に示すように、当該容器詰飲料を5%過塩素酸と水にて抽出し、ろ過した後、そのろ過液を高速液体クロマトグラフによって測定した(以下の実施例においても同様の方法で酢酸の割合を測定した)。その結果、実施例1の容器詰飲料に対する酢酸の割合は、0.075質量%であった。
【表1】

」(段落【0030】-【0031】)

(9)甲第9号証の記載
甲第9号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「粒子径が3?300μmである果実パルプと、果汁及び/又は香料である果実フレーバーとを含む炭酸飲料。」(【請求項1】)

イ.「炭酸飲料の製造
果実パルプ成分としてグレープフルーツクリーム(ガンシュメル社)、果汁としてグレープフルーツ濃縮混濁果汁(トップジュース社、4.5倍濃縮果汁、平均粒子径:0.693μm)を使用して、炭酸飲料を製造した。以下の表1に示す配合により、果実パルプ成分及び果汁の配合量を変えて原材料を混合した後、65℃10分程度の加熱殺菌を行い、容器(ペットボトル)に所定量を充填し、1.5kg/cm^(2)の圧力の炭酸ガスを圧入して容器入り炭酸飲料を製造した。
【表1】

」(段落【0031】-【0032】)

(10)甲第10号証の記載
甲第10号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「炭酸ガス圧0.1?0.4MPa(20℃におけるガス圧)の炭酸ガスを含み、アルコール濃度が12v/v%以下でかつpH2.3?4.0であるアルコール飲料の製造方法であって、
糖類濃度が12w/v%以下に、かつ、アセスルファムカリウム濃度が0.001?0.012w/v%の範囲になるように、糖類とアセスルファムカリウムとを加えることによって、アルコール飲料に、適度な甘みとスッキリとした後味を持たせることを特徴とする、適度な甘味とスッキリとした後味を持つアルコール飲料の製造方法。」(【請求項1】)

イ.「例1: 試作飲料の調製
以下で行う官能評価に用いる試作アルコール飲料を下記のようにして調製した。
まず、アルコールを含有した水溶液に、糖類、酸味料、アセスルファムカリウムを加え、その水溶液に炭酸ガス0.2MPa(at20℃)を付加した。このとき、アルコール濃度5?12v/v%となるようにし、糖類については果糖ブドウ糖液糖(液糖中の全糖類量75w/v%、この内、液糖全量に対して、果糖分55w/v%、ブドウ糖分15w/v%、オリゴ糖分5w/v%)を使用した。糖類濃度が0?12w/v%(果糖ブドウ糖の濃度換算で、0?16w/v%)となるように、酸味料についてはクエン酸を使用し、飲料のpHが3.0となるよう該濃度が0.1w/v%となるように、そして、アセスルファムK濃度が0?0.014w/v%となるように、それぞれ調整し加えた。なおこのとき、香料は加えなかった。」(段落【0056】)

ウ.「本発明においては、評価値「4」の甘味を「目指す香味」の下限とすることをまず考えたが、近時の需要者の健康志向の観点からは、評価値「3」の甘味であっても甘味として充分許容できる範囲であると判明した(詳しくは、一般需要者を含む独立した90人のパネルで官能評価をしたところ、過半数が評価値約3(具体的には3.1)の甘味の強度を有する飲料に対して、「ほどよい甘さ」と判定した)。
そこで、本発明では、評価値「3」の甘味を「目指す香味」の下限とした(すなわち、甘味強度の評価値3以上を目指す香味としてここでは設定することとした)。
結果は下記表1および図1に示される通りであった。
【表1】

」(段落【0060】-【0062】)

(11)甲第11号証の記載
甲第11号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「果汁と、発酵果汁と、食酢とを配合してなることを特徴とする果汁飲料。」(【請求項1】)

イ.「〔実施例1,比較例1?5〕
表1に示す配合に従って飲料原料を混合し、得られた混合物を95℃まで加温し、PETボトルに充填することで、果汁飲料(実施例1、比較例1?5)を製造した。各果汁飲料において、りんご果汁として、ブリックスがJAS規格(果実飲料の日本農林規格)の規定に準ずるリンゴ透明濃縮果汁を用い、発酵果汁として、酵母発酵の発酵りんご果汁(ブリックス30)を用い、果実酢として、酢酸発酵したりんご酢(酢酸含有量:4.5質量%)を用いた。また、各果汁飲料のブリックスが11.00%、酸度が0.30%となるように、果糖ブドウ糖液糖及びクエン酸の配合量を調整した。なお、表1中、りんご果汁及び発酵果汁の配合量(質量%)は、ストレート果汁換算値であり、果実酢の配合量(質量%)は、酢酸換算値である。
【表1】

」(段落【0040】-【0041】)

(12)甲第12号証の記載
甲第12号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「ゆず果汁と日向夏果汁を含有する飲食品。」(【請求項1】)

イ.「実 施 例 2
ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料の調製(1):
ゆず果汁(ゆずストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度5.4%)および日向夏果汁(日向夏ストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度1.48%)を下記表2の量、果糖ブドウ糖液糖10%、蔗糖3.65%、クエン酸0.17%、ビタミンC0.01%、マリーゴールド色素(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)0.01%を精製水に溶解した後、90℃まで加熱して殺菌した。次いで、これをPET容器に充填した後、冷却しゆず果汁・日向夏果汁含有飲料を得た。これらの飲料の風味を実施例1と同様の評価基準で評価した。その結果を表2に示した。」(段落【0028】)

(13)甲第13号証の記載
甲第13号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「乳清ミネラルを有効成分とする飲料用呈味改質剤。」(【請求項1】)

イ.「請求項1又は2に記載の飲料用呈味改質剤を含有する飲料。」(【請求項3】)

ウ.「[実施例10]
冷凍濃縮温州みかん果汁5g、果糖ブドウ糖液糖11g、クエン酸0.2g、L-アスコルビン酸0.02g、香料0.2g、色素0.1gを混合溶解したジュース100mlに対し上記飲料用呈味改質剤Bを0.04g添加した後均一に混合し、本発明である飲料Jを得た。飲料Jは飲料用呈味改質剤未添加の場合に比べて、風味にまとまりがあり、味のばらつき感が抑えられた、非常に口当たりの良いものであった。」(段落【0052】)

(14)甲第14号証の記載
甲第14号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「糖度が4.0?10.0であり、ナトリウム含有量が20mg/100g?100mg/100gであることを特徴とする容器詰清涼飲料。」(【請求項1】)

イ.「【実施例】
【0019】
後述する市販の各原料を使用し試作品を作製した。果糖ブドウ糖液糖(果糖55%以上、ブドウ糖37%以上)、5倍濃縮梅果汁(酸度15.3%・糖度31%)、濃縮梅酢A(酸度29.8%・糖度40%)、濃縮梅酢B(酸度33.8%・糖度40)、濃縮梅酢C(酸度21.7%・糖度30%)、梅塩A(Na39%、酸度0.6%)、梅塩B(Na35.9%、酸度4.6%)、DL-リンゴ酸を、水100gに表1の配合に基づいて原材料を添加した。これらのサンプルを95度達温加熱殺菌後、直ちに200mLのPET容器にホットパック充填した。下記方法により評価した結果を合わせて表1に示す。
梅果汁とは青梅の実を洗浄後加熱処理し、種を除去した後遠心分離を行い得られた果汁を適宜濾過や濃縮等の処理を行ったものである。
濃縮梅酢とは梅の完熟した実を塩漬し、浸透圧によって浸出した液を濃縮して適宜脱塩、濾過等の処理を行ったものである。
梅塩とは前記濃縮梅酢の濃縮工程で得られた塩である。」(段落【0019】)

ウ.「【表1】

」(段落【0023】)

(15)甲第15号証の記載
甲第15号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「4.超感度匂いセンサ
一般に飲料業界では、同一の製造ラインにおいて複数の飲料の製造を行っている。・・・中略・・・飲料における代表的な香料成分には、ピーチ香料であるベンズアルデヒドとフルフラール、グレープ香料であるアントラニル酸メチル等がある。」(310頁7-22行)

(16)甲第16号証の記載
甲第16号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「(A)天然香料類、(B)エステル類、(C)アルコール類、(D)アルデヒド類、(E)ケトン類、(F)フェノール類、(G)エーテル類、(H)ラクトン類、(I)炭化水素類、(J)含窒素及び/又は含硫化合物類、(K)酸類の(A)?(K)からなる群より選ばれる1種又は2種以上の香料を含むことを特徴とするシトラス様香料組成物。」(【請求項1】)

イ.「本発明のシトラス様香料組成物は、スイートオレンジ、ビターオレンジ、ネロリ、マンダリン、プチグレン、ベルガモット、タンゼリン、温州ミカン、ダイダイ、ハッサク、イヨカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、カボス、スウィーティー等の柑橘類特有の「さわやかでフレッシュなシトラス様」の香味を持つ特徴を有する。
本発明のシトラス様香料組成物に用いられる(A)天然香料類としては、例えば、スイートオレンジ、ビターオレンジ、ネロリ、マンダリン、プチグレン、ベルガモット、タンゼリン、温州ミカン、ダイダイ、ハッサク、イヨカン、レモン、ライム、グレープフルーツ、ユズ、スダチ、カボス、スウィーティーから選ばれる1種以上の天然香料を好ましく例示することができる。
また、上記の天然香料以外に、例えば、シトロネラ、エレミ、オリバナム、マジョラム、アンゲリカルート、スターアニス、バジル、ヘイ、カラマス、キャラウェイ、カルダモン、ペッパー、カスカリラ、ジンジャー、セージ、クラリセージ、クローブ、コリアンダー、ユーカリ、フェンネル、ピメント、ジュニパー、フェネグリーク、ローレル、メース、スギ、センキュウ、アーモンド、アップルミント、アニス、アルテミシア、アルファルファ、アンズ、アンブレット、イグサ、イチゴ、イチジク、イランイラン、ウインターグリーン、ウメ、エルダー、エンジュ、オークモス、オールスパイス、オリス、カーラント、カッシー、カモミル、ガランガ、カリン、ガンビア、グァバ、グーズベリー、クスノキ、クチナシ、クベバ、クミン、クランベリー、コーラ、サンショウ、サンダラック、サンダルウッド、サンダルレッド、シソ、シベット、ジャスミン、ショウガ、ジンセン、シンナモン、スターフルーツ、スチラックス、スペアミント、ゼラニウム、タイム、タバナ、タンジー、タンジェリン、チャンパカ、チュベローズ、ツバキ、ディタニー、トルーバルサム、トンカ、ナッツ、ナツメ、ナツメグ、ナンテン、ニアウリ、ニンジン、バイオレット、パイナップル、ハイビスカス、ハチミツ、ハッカ、パッションフルーツ、バニラ、バラ、ヒソップ、ヒノキ、フーゼル油、ブチュ、ペパーミント、ペピーノ、ベルベナ、ボアドローズ、ポポー、ボルドー、ボロニア、マツ、マンゴー、ミツロウ、ミモザ、ミルフォイル、ムスク、メープル、メリッサ、メロン、モモ、ラベンダー、リキュール、リツェア、リンデン、ルー、レンブ、ローズマリー、ロベージ等を本発明の香気・香味付与乃至改良剤として使用することもできる。これらの天然香料に含有されている香料成分の1種又は2種以上を使用することもできる。」(段落【0010】-【0012】)

ウ.「本発明のシトラス様香料組成物に用いられる(B)エステル類としては、例えば、ギ酸プロピル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸シス-3-ヘキセニル、酢酸トランス-2-ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4-ジメチル-3-シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、2-メチル吉草酸2-メチルペンチル、3-ヒドロキシヘキサン酸メチル、3-ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、クエン酸トリエチルを好ましくあげることができる。」(段落【0014】)

エ.「その他のエステル類としては、例えばアセト酢酸エチル、2-ヘキシルアセト酢酸エチル、ベンジルアセト酢酸エチル、2-エチル酪酸アリル、3-ヒドロキシ酪酸エチル、ノナン酸エチル、デカン酸エチル、2,4-デカジエン酸エチル、2,4-デカジエン酸プロピル、アントラニル酸メチルおよびリナリル、N-メチルアントラニル酸エチル等が挙げられる。」(段落【0027】)

オ.「本発明のシトラス様香料組成物は、極めて汎用性が高く、多くの食品に利用され、一般に食品として食されているものであれば良く、例えば、飲料類、冷菓類、デザート類、菓子類、調味料類類等を挙げることができる。これらの食品は、主材の他、食品素材(調味料、甘味料、酸味料、油脂、香辛料、乳製品、酒類、その他)あるいは各種の添加物、例えば調味料L-グルタミンナトリウム、グリシン、DL-アラニンなど)、酸味料(クエン酸、酒石酸、コハク酸、イタコン酸、乳酸、酢酸など)、甘味料(ステビア、アスパラテーム,甘草抽出物、サッカリンナトリウム、L-ラムノースなど)、着色料(合成、天然着色料)、強化剤(L-アスコルビン酸、塩化カルシウム、L-セリン、L-アスパラギン酸など)、膨張剤、(塩化アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウムなど)、保存料(ソルビン酸、安息香酸、しらこたん白抽出物など)、増粘安定剤・乳化剤・ガムベース(アルギン酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、エレミ樹脂、アラビアガム、カラギナン、エステルガム、レシチン、ダイズサポニンなど)など、その他食品添加物便覧(化学的合成品)1999年度版、および天然物便覧、15版、食品と科学社発行:に記載の添加物を使用して公知の方法により製造される。
飲料類としては、例えば果汁飲料、ハチミツ飲料、野菜飲料等の果実飲料類、コーラ飲料、炭酸飲料、果汁入炭酸飲料、スポーツドリンク、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養、滋養ドリンク等の食系飲料類、乳類入炭酸飲料等の炭酸飲料類、乳酸菌飲料等の乳飲料類、緑茶、レモンティー、ハーブティー、コーヒー飲料等の嗜好飲料類、チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒等のアルコール飲料類を挙げることができる。」(段落【0059】-【0060】)

カ.「上記食品への本発明のシトラス様香料組成物の添加量に関しては、使用するシトラス様香料組成物の種類や対象となる食品により、一概には、規定することはできないが、嗜好性により広い範囲で使用可能であるが、一般的には、0.0001?30重量%程度の範囲である。」(段落【0065】)

キ.「(オレンジ果汁飲料)
下記処方に従い、実施例1?40のシトラス様香料組成物(オレンジ)を含むオレンジ果汁飲料を常法にて調製したところ、フレッシュ感があり、優れた嗜好性を有するオレンジ果汁飲料を得ることができた。


(グレープフルーツ果汁飲料)
下記処方に従い、実施例81?90のシトラス様香料組成物(グレープフルーツ)を含むグレープフルーツ果汁飲料を常法にて調製したところ、フレッシュ感があり、優れた嗜好性を有するグレープフルーツ果汁飲料を得ることができた。

」(段落【0076】-【0077】)

ク.「(炭酸飲料)
下記処方に従い、実施例1?100のシトラス様香料組成物を含む炭酸飲料を常法にて調製したところ、清涼感、爽快感を有し優れた嗜好性を有する炭酸飲料を得ることができた。

」(段落【0080】)

ケ.「(酸乳飲料)
下記処方に従い、実施例1?100のシトラス様香料組成物を含む酸乳飲料を常法にて調製したところ、優れたシトラス様香気・香味を有する酸乳飲料を得ることができた。

」(段落【0082】)

コ.「【表8】

」(段落【0114】)

以上の記載からすると、実施例76又は80のシトラス様香料組成物を含む炭酸飲料及び酸乳飲料に着目すれば、甲16には、次の発明が記載されているといえる(以下、(炭酸飲料)を「甲16発明1」と、また、(酸乳飲料)を「甲16発明2」という。)。

(甲16発明1)
「全量200L中に、果糖ぶどう糖液糖を10Kg、ライム様のシトラス様香料組成物を0.2Kg含有する炭酸飲料であって、上記シトラス様香料組成物は、アントラニル酸メチルを2%又は0.5%含有するものである炭酸飲料。」

(甲16発明2)
「全量200L中に、果糖ぶどう糖液糖を20Kg、ライム様のシトラス様香料組成物を0.1Kg含有する炭酸飲料であって、上記シトラス様香料組成物は、アントラニル酸メチルを2%又は0.5%含有するものである酸乳飲料。」

(17)甲第17号証の記載
甲第17号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「加温劣化成分を含有する加温販売用容器詰飲料において、20℃で測定したときの容器内ガス圧力が、0.05MPa以上になるように、該飲料に炭酸ガスが圧入されたことを特徴とする、加温劣化成分の加温劣化を抑制した加温販売用容器詰飲料。」

イ.「【実施例5】
[加温容器詰飲料における柑橘系以外の果汁香料劣化抑制]
以下の処方により、容器詰飲料を作製した:
(処方A):果糖ぶどう糖液糖(果糖55%)13.35%、クエン酸0.0625%、ぶどう香料(Ethyl-propinateを含むフレーバー)0.008%、ブリックス7.5。
(容器):250ml透明壜。
(pH):2.8
(処方B):果糖ぶどう糖液糖(果糖55%)13.35%、クエン酸0.0625%、りんご香料(trans-2-hexenalを含むフレーバー)0.005%、ブリックス7.5。
(容器):250ml透明壜。
(pH):2.8
該容器詰飲料の調製に際して、容器詰飲料の容器内ガス圧を、20℃測定時において、表11(ぶどう香料入り清涼飲料)、表12(りんご香料入り清涼飲料)に示すガス圧に調整した。該容器詰飲料について、5℃または60℃で保管し、3日後の飲料の「劣化臭」についての官能評価を実施した。官能評価は、精通した6人のパネラーにより実施した。該官能評価は、表2の評価基準にしたがって実施した。官能評価の結果を表11及び12に示す。なお、コントロール品として、上記の処方・容器・pHで調製し、成分を劣化させていない容器詰飲料を用いた。」(段落【0053】-【0055】)

以上の記載からすると、甲17には、次の発明が記載されているといえる(以下、「甲17発明」という。)。

(甲17発明)
「果糖ぶどう糖液糖(果糖55%)13.35%、クエン酸0.0625%、ぶどう香料(Ethyl-propinateを含むフレーバー)0.008%、ブリックス7.5の250mlの容器詰め飲料。」

(18)甲第18号証の記載
甲第18号証には、以下の事項が記載されている。
ア.「天然香料類、エステル類、アルコール類、アルデヒド類、アセタール類、ケトン類、ケタール類、フェノール類、エーテル類、ラクトン類、炭化水素類、含窒素及び/又は含硫化合物類、酸類の群から選ばれる少なくとも1種以上の香料を含有することを特徴とするフルーツ様香料組成物。」

イ.「(実施例11?20:フルーツ様香料組成物(グレープ))
実施例11?20(表2)に記載の添加量に従い、グレープ様のフルーツ香料組成物を調製した。尚、表中の「?」は、「合計を100に調製する」ことを示す。
【表2】
グレープ様フルーツ香料組成物

」(段落【0120】-【0121】)

4.判断
(1)取消理由通知に記載した取消理由について
ア.取消理由1について
甲16発明1の果糖ぶどう糖液糖の含有量は10000g/200L×75/100=37.5g/Lであるから、果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量Aは、44.6g/Lより少ない。
よって、甲16発明1は、本件発明5の44.6≦A≦160の要件を満たさない。
したがって、本件発明5に係る飲料が、甲16発明1であるということはできないから、本件発明5は甲第16号証に記載された発明であるとはいえない。
また、本件発明5は「飲料の褐変を抑制する方法」であるところ、甲第16号証には飲料の褐変を抑制することを示唆する記載はないから、甲16発明1の果糖ぶどう糖液糖の含有量を44.6g/L以上とした上で、飲料の褐変を抑制しようとする動機付けはない。
よって、本件発明5は、甲第16号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

次に、甲16発明2の果糖ぶどう糖液糖の含有量は20000g/200L×75/100=75g/Lであるから、果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量Aが44.6≦A≦160の範囲内にあることを否定できない。
しかし、甲16発明2には、200L中10kgの脱脂粉乳が含まれているから、無色透明な飲料ということはできず、「420nmの吸光度が0.019以下」であるものとは認められない。
よって、本件発明5に係る飲料が、甲16発明2であるということはできないから、本件発明5は甲第16号証に記載された発明であるとはいえない。
また、甲16発明2を無色透明にする動機付けはないから、本件発明5は、甲第16号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるということはできない。

なお、甲第16号証には(オレンジ果汁飲料)及び(グレープフルーツ果汁飲料)(3.(16)キ.参照。)についても記載されているが、これらの飲料はいずれも着色料を含有しており、無色透明な飲料ということはできず、「420nmの吸光度が0.019以下」であるものとは認められない。
以上のとおりであるから、本件発明5は、甲第16号証に記載された発明であるとも、甲第16号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
また、本件発明6及び8は本件発明5を引用するものであるから、同様に、甲第16号証に記載された発明であるとも、甲第16号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

イ.取消理由2について
上記ア.で検討したのと同様に、甲16発明1と本件発明1では、果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量が相違するから、本件発明1が甲16発明1であるとはいえない。
また、本件発明1は「アントラニル酸メチルと還元糖の含有量について所定の関係を満足するようにすることで飲料の褐変を抑え」る(段落【0009】)ものであるところ、甲第16号証には、そのような課題を示唆する記載はないから、本件発明1の要件を満たす果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量を記載する周知例(甲第1ないし15号証)が存在するとしても、そのような含有量を甲16発明1に採用する動機付けはない。
よって、本件発明1を甲16発明1及び周知の技術に基づいて当業者が容易に発明することができたということはできない。

以上のとおりであるから、本件発明1は、甲第16号証に記載された発明であるとも、甲第16号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。
また、本件発明2及び4は本件発明1を引用するものであるから、同様に、甲第16号証に記載された発明であるとも、甲第16号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

ウ.取消理由3について
本件明細書の段落【0034】【表5】の記載に基づけば、本件発明1及び5記載の関係式(i)を満たせば420nmの吸光度の評価が○(0.019以下)又は△(0.029以下)になり、本件発明2及び6記載の関係式(ii)を満たせば、評価が○になることを理解できるから、本件発明が発明の詳細な説明においてサポートされていないということはできない。

エ.取消理由4について
本件訂正により、本件発明の還元糖について、「飲料に含まれる還元糖は果糖ぶどう糖液糖のみに由来」することが限定された。
よって、果糖ぶどう糖液糖以外の還元糖を含有することを前提に、サポート要件及び実施可能要件の不備を指摘する取消理由4は解消された。

(2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
ア.甲第4号証に基づく新規性欠如の特許異議申立理由について
甲4発明は、香料にアントラニル酸メチルを用いていない。
また、甲第4号証では各種香料が用いられる旨の記載はあるが(3.(4)エ.)、具体的にアントラニル酸メチルを用いた旨の記載はないから、還元糖とアントラニル酸メチルの含有量の関係を特定することにより、褐変を防止する本件発明が、甲第4号証に記載されていたとすることはできない。

イ.甲第17号証に基づく新規性欠如の特許異議申立理由について
甲17発明は、加温劣化の防止を意図したものであり、加温を意図しない本件発明と課題を異にする。
また、甲第17号証には、Ethyl-propinateを含むぶどう香料が含有されている旨の記載はあるが、当該ぶどう香料としてアントラニル酸メチルを用いる旨の記載はない。
よって、還元糖とアントラニル酸メチルの含有量の関係を特定することにより褐変を防止する本件発明が、甲第17号証に記載されていたとすることはできない。

ウ.甲第1-14号証及び甲第16,17号証に基づく進歩性欠如の特許異議申立理由について
甲第1-14号証には、420nmの吸光度についての具体的な数値の記載はない。
また、甲第1-14号証にはアントラニル酸メチルに関する記載はなく、果糖ぶどう糖液に由来する還元糖とアントラニル酸メチルの含有量の関係を特定することにより、褐変を防止するという課題の記載はない。
よって、甲第1-14号証に記載された発明に、甲第16号証に記載されたアントラニル酸メチルを特定量含有する特定の香料組成物を採用する動機付けは存在しない。
また、甲第17号証にはアントラニル酸メチルを用いる旨の記載はない。
よって、本件発明は、甲第1-14号証に記載された発明及び甲第16,17号証に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

エ.甲第17号証及び甲第15,18号証に基づく進歩性欠如の特許異議申立理由について
甲17発明は、加温劣化の防止を意図したものであり、加温を意図しない本件発明と課題を異にする。
また、甲第17号証には、Ethyl-propinateを含むぶどう香料が含有されている旨の記載はあるが、当該ぶどう香料としてアントラニル酸メチルを用いる旨の記載はない。
そして、甲第15号証及び甲第18号証の記載から、仮に、ぶどう香料としてアントラニル酸メチルが周知であるとしても、甲第17号証には褐変防止の課題がない以上、還元糖とアントラニル酸メチルの含有量の関係を特定することにより、褐変を防止する本件発明を、甲第17号証に記載された発明及び周知の技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

オ.効果の不存在に基づく実施可能要件不備の特許異議申立理由について
申立人は、本件明細書の表3のサンプルNo.1?8に本件発明1ないし8の要件を満たさないサンプルであるにもかかわらず、420nmの吸光度が本件発明より優れるサンプルが存在するため、本件発明の効果の記載が不十分であると主張する。

しかし、本件発明はアントラニル酸メチルと還元糖の含有量について所定の関係を満足するようにすることで飲料の褐変を抑えたものであり、本件発明の発明特定要件を満たすサンプルが発明の効果を生じることが記載されていれば、本件発明を実施するために必要な効果の記載としては十分である。
サンプルNo.1?8は、本件発明に比して還元糖の含有量が低く、そのような飲料において、アントラニル酸メチルの含有量が本件発明の要件を満たす場合に420nmの吸光度が低かったとしても、還元糖濃度がより高い本件発明において同量のアントラニル酸メチルを含有した場合に吸光度が維持できたことが記載されている以上、サンプルNo.1?8の存在によって、発明の効果の記載が不十分になるとはいえない。

第4 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項1,2,4-6,8に係る特許は、特許法第29条第1項第3号、同条第2項、同法第36条第6項第1号又は同条第4項第1号の規定に違反してされたものとは認められないから、取消理由1-4及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由により、取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1,2,4-6,8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件特許の請求項3及び7についての特許異議の申立ては、対象となる請求項が存在しないため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
420nmの吸光度が0.019以下である飲料であって、
果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖と、
アントラニル酸メチルとを含有し、前記飲料に含まれる還元糖は果糖ぶとう糖液糖のみに由来しており、以下の関係式(i)を満足する飲料。
(i)1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<3.13×10^(-2)
ただし、Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦A≦160であり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表し、0<B≦0.040である。
【請求項2】
さらに以下の関係式(ii)を満足する請求項1に記載の飲料。
(ii)1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<2.10×10^(-2)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記飲料が容器詰飲料である、請求項1または2に記載の飲料。
【請求項5】
果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖とアントラニル酸メチルとを含有し、420nmの吸光度が0.019以下であり、含まれる還元糖は果糖ぶとう糖液糖のみに由来している飲料において、以下の関係式(i)を満足するように前記果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖および前記アントラニル酸メチルの含有量を調整することを含む、飲料の褐変を抑制する方法。
(i)1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<3.13×10^(-2)
ただし、Aは果糖ぶどう糖液糖に由来する還元糖の含有量(g/L)を表し、44.6≦A≦160であり、Bはアントラニル酸メチルの含有量(g/L)を表し、0<B≦0.040である。
【請求項6】
さらに以下の関係式(ii)を満足する請求項5に記載の方法。
(ii)1.4595A×10^(-4)+8.0935B×10^(-1)-1.4974×10^(-2)<2.10×10^(-2)
【請求項7】
(削除)
【請求項8】
前記飲料が容器詰飲料である、請求項5または6に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-04-13 
出願番号 特願2016-35766(P2016-35766)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (A23L)
P 1 651・ 537- YAA (A23L)
P 1 651・ 113- YAA (A23L)
P 1 651・ 121- YAA (A23L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 川合 理恵白井 美香保  
特許庁審判長 紀本 孝
特許庁審判官 窪田 治彦
井上 哲男
登録日 2017-02-17 
登録番号 特許第6093463号(P6093463)
権利者 アサヒ飲料株式会社
発明の名称 飲料  
代理人 水野 勝文  
代理人 久松 洋輔  
代理人 久松 洋輔  
代理人 水野 勝文  
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