ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H01L 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 H01L 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 H01L 審判 全部申し立て 2項進歩性 H01L |
---|---|
管理番号 | 1341083 |
異議申立番号 | 異議2017-700960 |
総通号数 | 223 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-07-27 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-10-05 |
確定日 | 2018-05-11 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6110814号発明「エッチング液およびそのキット,これらを用いたエッチング方法,半導体基板製品の製造方法および半導体素子の製造方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6110814号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1ないし13,17〕,14,15,〔16,18ないし22〕について訂正することを認める。 特許第6110814号の請求項1ないし3,5ないし9,11,12,14ないし16,18ないし22に係る特許を維持する。 特許第6110814号の請求項4,10,13及び17に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
1.手続の経緯 特許第6110814号の請求項1ないし22に係る特許についての出願は,平成26年5月28日(優先権主張平成25年6月4日,平成25年7月25日,平成25年12月27日)に特許出願され,平成29年3月17日にその特許権の設定登録がされ,その後,その特許について,平成29年10月5日に特許異議申立人 田中眞喜子 により特許異議の申立てがされ,平成29年12月1日付けで取消理由が通知され,その指定期間内である平成30年1月30日に意見書の提出及び訂正の請求があったものである。 2.訂正の適否についての判断 (1)訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は,以下のアないしテのとおりである。 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ,硝酸,含フッ素化合物,ならびに,窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物Bを含有するエッチング液。」 と記載されているのを, 「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液であって, 該エッチング液は,硝酸,含フッ素化合物,ならびに,窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物Bを含有し, 前記含窒素有機化合物Aが,下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く。)または下記式bで表される化合物であり, 【化2】 R^(a)は,水素原子,アルキル基,アルケニル基,アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は,アルキル基,アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。L^(b)は,単結合,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。R^(c)は,水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は,結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中,R^(c)は,上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c),L^(d)は,互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c),L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 上記エッチング液の全質量に対し,上記硝酸の濃度が30質量%?80質量%,上記フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%である,エッチング液。」 に訂正する(請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2,3,6?9,11及び12も同様に訂正する)。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項3に 「前記エッチング液が,硝酸,含フッ素化合物および窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有する」 とあるのを, 「前記エッチング液が,前記硝酸,前記含フッ素化合物および前記の窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有する」 に訂正する(請求項3の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項6?9,11及び12も同様に訂正する)。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項4を削除する。 エ 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項5に 「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ,硝酸,含フッ素化合物および窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有し,上記硝酸の濃度が50質量%?95質量%であるエッチング液。」 とあるのを, 「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液であって, 該エッチング液は,硝酸,含フッ素化合物および窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有し, 前記含窒素有機化合物Aが,下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または下記式bで表される化合物であり, 【化3】 R^(a)は,水素原子,アルキル基,アルケニル基,アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は,アルキル基,アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。L^(b)は,単結合,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。R^(c)は,水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は,結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中,R^(c)は,上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c),L^(d)は,互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c),L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 上記エッチング液の全質量に対し,上記硝酸の濃度が50質量%?80質量%,上記フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%である,エッチング液。」 に訂正する(請求項5の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項6?9,11及び12も同様に訂正する)。 オ 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項6に 「前記含窒素有機化合物の分子量が100?20,000である請求項1?5のいずれか1項に記載のエッチング液。」 とあるのを, 「前記含窒素有機化合物Aの分子量が100?20,000である請求項1?3および5のいずれか1項に記載のエッチング液。」 に訂正する(請求項6の記載を引用する請求項7?9,11及び12も同様に訂正する)。 カ 訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に 「前記含窒素有機化合物の分子量が1,000以上20,000以下である請求項1?6のいずれか1項に記載のエッチング液。」 とあるのを, 「前記含窒素有機化合物Aの分子量が1,000以上20,000以下である請求項1?3,5および6のいずれか1項に記載のエッチング液。」 に訂正する(請求項7の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項8,9,11及び12も同様に訂正する)。 キ 訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に 「前記含窒素有機化合物の含有量が,前記含フッ素化合物100質量部に対して,0,01質量部以上25質量部以下である請求項1?7のいずれか1項に記載のエッチング液。」 とあるのを, 「前記含窒素有機化合物Aの含有量が,前記含フッ素化合物100質量部に対して,0.01質量部以上25質量部以下である請求項1?3および5?7のいずれか1項に記載のエッチング液。」 に訂正する(請求項8の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項9,11及び12も同様に訂正する)。 ク 訂正事項8 特許請求の範囲の請求項9に 「前記含窒素有機化合物の濃度が0.0001質量%?5質量%である請求項1?8のいずれか1項に記載のエッチング液。」 とあるのを, 「前記含窒素有機化合物Aの濃度が0.0001質量%?5質量%である請求項1?3および5?8のいずれか1項に記載のエッチング液。」 に訂正する(請求項9の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項11及び12も同様に訂正する)。 ケ 訂正事項9 特許請求の範囲の請求項10を削除する。 コ 訂正事項10 特許請求の範囲の請求項11に 「前記含窒素有機化合物が,ポリエチレンイミン,ポリビニルアミン,ポリアリルアミン,ポリビニルイミダゾール,ポリヘキサジメトリン,ポリ(4-ビニルピリジン),ポリヒスチジン,ポリアルギニン,ポリジメチルジアリルアンモニウム,ポリリシン,ポリオルニチン,ジエチレントリアミン,テトラエチレンペンタミン,ペンタエチレンヘキサミンまたはポリジアリルアミンである請求項1?10のいずれか1項に記載のエッチング液。」 とあるのを, 「前記含窒素有機化合物Aが,ポリエチレンイミン,ポリビニルアミン,ポリアリルアミン,ポリビニルイミダゾール,ポリヘキサジメトリン,ポリ(4-ビニルピリジン),ポリヒスチジン,ポリアルギニン,ポリジメチルジアリルアンモニウム,ポリリシン,ポリオルニチン,ジエチレントリアミン,テトラエチレンペンタミン,ペンタエチレンヘキサミンまたはポリジアリルアミンである請求項1?3および5?9のいずれか1項に記載のエッチング液。」 に訂正する(請求項11の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項12も同様に訂正する)。 サ 訂正事項11 特許請求の範囲の請求項12に 「前記含フッ素化合物が,フッ化水素酸,フッ化アンモニウム,フッ化テトラメチルアンモニウム,テトラフルオロホウ酸,ヘキサフルオロリン酸,ヘキサフルオロケイ酸,テトラフルオロホウ酸アンモニウム,ヘキサフルオロリン酸アンモニウムおよびヘキサフルオロケイ酸アンモニウムからなる群より選ばれる請求項1?11のいずれか1項に記載のエッチング液。」 とあるのを, 「前記含フッ素化合物が,フッ化水素酸,フッ化アンモニウム,フッ化テトラメチルアンモニウム,テトラフルオロホウ酸,ヘキサフルオロリン酸,ヘキサフルオロケイ酸,テトラフルオロホウ酸アンモニウム,ヘキサフルオロリン酸アンモニウムおよびヘキサフルオロケイ酸アンモニウムからなる群より選ばれる請求項1?3,5?9および11のいずれか1項に記載のエッチング液。」 に訂正する。 シ 訂正事項12 特許請求の範囲の請求項13を削除する。 ス 訂正事項13 特許請求の範囲の請求項16に 「請求項1?13のいずれか1項に記載のエッチング液を,チタン含有層およびシリコン含有層に接触させて該チタン含有層およびシリコン含有層の除去を行うエッチング方法。」 とあるのを, 「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液を,チタン含有層およびシリコン含有層に接触させて該チタン含有層およびシリコン含有層の除去を行うエッチング方法であって, 該エッチング液は,硝酸,含フッ素化合物,ならびに,窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物Bを含有し, 前記含窒素有機化合物Aが,下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または下記式bで表される化合物であり, 【化6】 R^(a)は,水素原子,アルキル基,アルケニル基,アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は,アルキル基,アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。L^(b)は,単結合,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。R^(c)は,水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は,結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中,R^(c)は,上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c),L^(d)は,互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c),L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 上記エッチング液の全質量に対し,上記硝酸の濃度が30質量%?80質量%,上記フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%であり, 前記シリコン含有層が多結晶シリコンを含有する層またはアモルファスシリコンを含有する層である,エッチング方法。」 に訂正する(請求項16の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項18?22も同様に訂正する)。 セ 訂正事項14 特許請求の範囲の請求項17を削除する。 ソ 訂正事項15 特許請求の範囲の請求項18に 「前記チタン含有層が窒化チタンを含有する層である請求項16または17に記載のエッチング方法。」 とあるのを, 「前記チタン含有層が窒化チタンを含有する層である請求項16に記載のエッチング方法。」 に訂正する(請求項18の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項19?22も同様に訂正する)。 タ 訂正事項16 特許請求の範囲の請求項19に 「前記チタン含有層のエッチング速度で前記シリコン含有層のエッチング速度を除した比率を,1000?0.1の範囲で調整する請求項16?18のいずれか1項に記載のエッチング方法。」 とあるのを, 「前記チタン含有層のエッチング速度で前記シリコン含有層のエッチング速度を除した比率を,1000?0.1の範囲で調整する請求項16または18に記載のエッチング方法。」 に訂正する(請求項19の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項20?22も同様に訂正する)。 チ 訂正事項17 特許請求の範囲の請求項21に 「請求項16?20のいずれか1項に記載のエッチング方法によりチタン含有層およびシリコン含有層を除去する工程を介して製造する半導体基板の製造方法。」 とあるのを, 「請求項16および18?20のいずれか1項に記載のエッチング方法によりチタン含有層およびシリコン含有層を除去する工程を介して製造する半導体基板の製造方法。」 に訂正する(請求項21の記載を引用する請求項22も同様に訂正する)。 ツ 訂正事項18 特許請求の範囲の請求項14に 「エッチング液が,チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ,硝酸を含有する第1液と,含フッ素化合物,および,窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物Bを含有する第2液とを組み合わせたエッチング液のキット。」 と記載されているのを, 「エッチング液を調液するためのエッチング液のキットであって, 該エッチング液が,チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するために用いられ, 該キットは,硝酸を含有する第1液と,含フッ素化合物,および,窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物Bを含有する第2液とを組み合わせてなり, 前記含窒素有機化合物Aが,下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く。)または下記式bで表される化合物であり, 【化4】 R^(a)は,水素原子,アルキル基,アルケニル基,アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は,アルキル基,アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。L^(b)は,単結合,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。R^(c)は,水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は,結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中,R^(c)は,上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c),L^(d)は,互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c),L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 上記エッチング液の全質量に対し,上記硝酸の濃度が30質量%?80質量%,上記フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%である,エッチング液のキット。」 に訂正する。 テ 訂正事項19 特許請求の範囲の請求項15に 「エッチング液が,チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ,硝酸,含フッ素化合物および窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有し,上記硝酸の濃度が50質量%?95質量%であって, 硝酸を含有する第1液と,含フッ素化合物および窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有する第2液とを組み合わせたエッチング液のキット。」 と記載されているのを, 「エッチング液を調液するためのエッチング液のキットであって, 該エッチング液が,チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するために用いられ, 該エッチング液は,硝酸,含フッ素化合物および窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有し,上記硝酸の濃度が50質量%?80質量%,上記フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%であり, 前記キットは,前記硝酸を含有する第1液と,前記含フッ素化合物および前記窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有する第2液とを組み合わせてなり, 前記含窒素有機化合物Aが,下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または下記式bで表される化合物である,エッチング液のキット。 【化5】 R^(a)は,水素原子,アルキル基,アルケニル基,アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は,アルキル基,アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。L^(b)は,単結合,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。R^(c)は,水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は,結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中,R^(c)は,上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は,アルキレン基,カルボニル基,イミノ基,アリーレン基,ヘテロ環基,またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c),L^(d)は,互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c),L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。」 に訂正する。 (2)訂正の目的の適否,一群の請求項,新規事項の有無,及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 上記訂正事項1は,明細書の記載に基づいて導き出される構成である。 すなわち,(i)エッチング液が「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するための」ものであると特定することで,エッチング液の用途(エッチングの対象)を限定する訂正は,段落[0004]の「そこで,本発明は,エッチング後の表面荒れを抑えつつ,チタン含有層とシリコン含有層とをともに適度に(好ましくは高い選択性で)除去することができるエッチング液およびそのキット,これらを用いたエッチング方法,半導体基板製品および半導体素子の製造方法の提供を目的とする。」との記載,並びに,段落[0076],[0077],[0080],[0083],[0086],[0088],[0090]等において,訂正後の請求項1で規定する組成のエッチング液を用いて,チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去したことが記載されていることに基づくものである。 また,(ii)エッチング液が含有する「含窒素有機化合物A」を,「式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く。)または下記式bで表される化合物」であることに特定することで,含窒素有機化合物Aの構造を限定する訂正は,訂正前の請求項10の発明特定事項を請求項1に組み込むものであり,「窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aが式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または式bで表される化合物」であることは,段落[0014]?[0022]に記載されており,さらに,「式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物」から「ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除」くことは,取消理由通知において引用した甲第1号証(米国特許出願公開第2010/0035436号明細書)に記載された発明との重なりのみを除くものである。 そして,エッチング液の「硝酸」及び「含フッ素化合物」の,それぞれの濃度を限定する訂正は,エッチング液の全質量に対し,硝酸の濃度を30質量%?80質量%とすることは,段落[0009]の「硝酸は,本実施形態のエッチング液の全質量に対して,・・・(中略)・・・,30質量%以上含有させることが特に好ましい。上限としては・・・(中略)・・・,80質量%以下がさらに好ましく,」との記載に基づくものであり,また,含フッ素化合物の濃度を0,01質量%?2質量%とすることは,段落[0010]の「含フッ素化合物の濃度は,本実施形態のエッチング液の全質量に対して,・・・(中略)・・・0.01質量%以上がより好ましく,・・・。(中略)・・・。上限としては・・・(中略)・・・,2質量%以下がさらに好ましい。」との記載に基づくものである。 したがって,上記訂正事項1の訂正は,明細書に記載された事項の範囲内において,エッチング液の用途(エッチングの対象),含窒素有機化合物Aの構造,硝酸及び含フッ素化合物のそれぞれの濃度を限定したものといえる。 すなわち,訂正事項1の訂正は,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 イ 訂正事項2,5?8,10,11,15?17の訂正は,明瞭でない記載の釈明を目的とする訂正であって,新規事項の追加に該当せず,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもない。 ウ 訂正事項3,9,12,14の訂正は,請求項を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 エ 訂正事項4,18,19の訂正は,上記アと同様の理由により,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 オ 訂正事項13の訂正は,他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするとともに,上記アと同様の理由により,特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって,新規事項の追加に該当せず,また,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものではない。 カ そして,これら訂正は,一群の請求項〔1ないし13,16ないし22〕並びに請求項14及び15に対して請求されたものである。 (3)小括 以上のとおりであるから,本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項第1号,第3号及び第5号に掲げる事項を目的とするものであり,かつ,同条第4項,及び,同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので,訂正後の請求項〔1ないし13,17〕,〔16,18ないし22〕及び請求項14,15について訂正を認める。 3.特許異議の申立てについて (1)本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1ないし3,5ないし9,11,12,14ないし16,18ないし22に係る発明(以下「本件発明1ないし3,5ないし9,11,12,14ないし16,18ないし22」という。)は,それぞれ,その特許請求の範囲の請求項1ないし3,5ないし9,11,12,14ないし16,18ないし22に記載された事項により特定されるとおりのものである。 (2)取消理由の概要 訂正前の請求項1ないし22に係る特許に対して平成29年12月1日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は,次のとおりである。 ア 請求項1,3,4,6?10,12?16,18?19,21,22に係る発明は,甲第1号証に記載された発明であって,特許法第29条第1項第3号に該当し,特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 イ 請求項1?22に係る特許は,明細書又は特許請求の範囲の記載が,特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり,取り消されるべきものである。 (3)甲号証の記載 甲第1号証(米国特許出願公開第2010/0035436号明細書)の【0051】【0053】には,調製例3として,「硝酸」,「含フッ素化合物」である,フッ化水素酸,フッ化アンモニウム,「窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物」である,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマー,及び脱イオン水を含有する「エッチング液」が記載されており,【0060】の表1の実施例3には,前記調整例3で得られたエッチング液が,窒化物層である「Silicon nitride layer」(窒化シリコン層)に対して,40Å/minのエッチング速度を,また,「シリコン含有層」である酸化シリコン層(BPSG層,TEOS層)に対して,6146.1Å/min(エッチング選択比153.7),7404Å/min(エッチング選択比180.1)のエッチング速度を有することが示されている。 そして,甲第1号証【0046】の「窒化物層は,例えば窒化シリコン(SiN)層及び/又は窒化チタン(TiN)層を含むことができる。」との記載に照らして,前記調整例3で得られたエッチング液は,「チタン含有層」である窒化チタン(TiN)層に対しても,酸化シリコン層に対するエッチング速度に比べては小さいものの,ゼロではない特定のエッチング速度を有するものと理解され,このような理解は技術常識にも沿うものといえる。 そして,請求項1に係る発明の「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ」という発明特定事項は,請求項1に係る発明の「エッチング液」の物性(性質)を特定するものであって,「窒化チタン層」及び「シリコン含有層」に対するエッチング速度がゼロでない限り,時間をかけることで,これらの層を除去することができるものといえる。(少なくとも,本件特許の請求項19に係る発明に照らして,「シリコン含有層」に対するエッチング速度に対して,「窒化チタン層」に対するエッチング速度が,1/1000程度あれば,請求項1に係る発明の「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ」という発明特定事項を満たしているといえることは明らかである。) 以上の記載によれば,甲第1号証には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ,硝酸,含フッ素化合物,ならびに,窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有するエッチング液。」 (4)判断 ア 取消理由通知に記載した取消理由について (ア)特許法第29条第1項第3号について (i)本件発明1について 本件発明1と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項1の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く)または請求項1の式bで表される化合物である窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物B, エッチング液の全質量に対し,30質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 したがって,本件発明1は,甲第1号証に記載された発明ではない。 (ii)本件発明5について 本件発明5と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項5の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または請求項5の式bで表される化合物である窒素有機化合物A, エッチング液の全質量に対し,50質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 したがって,本件発明5は,甲第1号証に記載された発明ではない。 (iii)本件発明14について 本件発明14と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項14の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く)または請求項14の式bで表される化合物である窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物B, エッチング液の全質量に対し,30質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 したがって,本件発明14は,甲第1号証に記載された発明ではない。 (iv)本件発明15について 本件発明15と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項15の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または請求項5の式bで表される化合物である窒素有機化合物A, エッチング液の全質量に対し,50質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 したがって,本件発明15は,甲第1号証に記載された発明ではない。 (V)本件発明16について 本件発明16と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項16の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く)または請求項16の式bで表される化合物である窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物B, エッチング液の全質量に対し,30質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 したがって,本件発明16は,甲第1号証に記載された発明ではない。 (vi)本件発明2?3,6?9,11,12,18?22について 本件発明2?3,6?9,11,12,18?22は,請求項1,5,16を直接的に又は間接的に引用する発明であるから,上記(i),(ii),(V)と同様の理由により,本件発明2?3,6?9,11,12,18?22は,甲第1号証に記載された発明ではない。 (イ)特許法第36条第6項第1号について (i)「含窒素有機化合物A」について 当審では,「含窒素有機化合物A」が,「窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する」という技術的特徴を有するものであれば,例えば,生体内に無数に存在するタンパク質,ナイロンなどの合成繊維,アクリル繊維の主成分であるポリアクリルニトリルなどであっても,本件明細書に記載された作用機序によって,本件発明の課題を解決し得るとは理解することができないとの取消理由を通知しているが,平成30年1月30日付けの訂正において,「含窒素有機化合物A」が,特定の式で表される化合物であると訂正された結果,この取消理由は解消した。 (ii)「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ」について 当審では,エッチングの用途(エッチングの対象)が特定されていない本件特許発明は,発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとの取消理由を通知しているが,平成30年1月30日付けの訂正において,「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」と訂正された結果,この取消理由は解消した。 (iii)「硝酸」及び「含フッ素化合物」の濃度について 当審では,「硝酸」及び「含フッ素化合物」の濃度の双方が適切に特定されていない各請求項に記載された発明は,発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えているとの取消理由を通知しているが,平成30年1月30日付けの訂正において,「硝酸」及び「含フッ素化合物」の濃度の双方を特定する訂正がされた結果,この取消理由は解消した。 イ 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (ア)特許異議申立人 田中眞喜子 は,訂正前の特許請求の範囲に関し,特許異議申立書において, (i)請求項1,3?10,12?22に記載の発明は,甲第1号証に記載された発明と,甲第2,3号証に記載された技術から当業者が容易に想到し得たものであり, (ii)請求項1?18,21,22に記載の発明は,甲第2号証に記載された発明であり,あるいは,甲第2号証に記載された発明と,甲第4,5号証に記載された技術から当業者が容易に想到し得たものであり, (iii)請求項1?9,12?22に記載の発明は,実施可能要件及び明確性要件に違反する。 したがって,本件特許は,特許法第29条第2項,第36条第4項第1号,第6項第2号の要件を満たさないと主張している。 (イ)甲号証の記載 (i)甲第1号証には,「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ,硝酸,含フッ素化合物,ならびに,窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有するエッチング液。」の発明(引用発明1)が記載されている。 (ii)甲第2号証には,「金属不純物を除去することができ,硝酸,フッ化水素酸,およびテトラエチレンペンタミンを含有する,シリコン含有基板から微量金属不純物を除去するための組成物。」(引用発明2A)及び「金属不純物を除去することができ,硝酸,フッ化水素酸,およびニリン酸を含有する,シリコン含有基板から微量金属不純物を除去するための組成物。」(引用発明2B)の発明が記載されている。 (iii)甲第3号証には,高平坦化等の課題を解決するために,含フッ素化合物,硝酸,ポジアクリルアミド,ポジビニルピロリドンなどを含有する金属用研磨液を使用することが示唆されており,甲第4号証には,テトラエチレンペンタミンの分子量が189.3であると記載されており,甲第5号証には,ポリビニルピロリドンの構造およびその平均分子量(光散乱分析)が約8,000?3,000,000であることが記載されており,甲第6号証には,エッチング液が,何をエッチングの対象とするものであるのかという点が何ら特定されていないから,サポート要件違反である旨が記載されている。 (ウ)判断 <甲第1号証を主引例とした,特許法第29条第1項第3号及び第2項について> (i)本件発明1について 本件発明1と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項1の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く)または請求項1の式bで表される化合物である窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物B, エッチング液の全質量に対し,30質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 さらに,甲第2号証ないし甲第6号証のいずれにも,前記構成を有する「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」が記載されていない。 そして,当該構成により,本件発明1は,エッチング後の表面荒れを抑えつつ,Ti含有層とシリコン含有層とを,ともに適度に(好ましくは高い選択性で)除去することができるという顕著な効果を奏するものであり,本件発明1は,甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (ii)本件発明5について 本件発明5と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項5の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または請求項5の式bで表される化合物である窒素有機化合物A, エッチング液の全質量に対し,50質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 さらに,甲第2号証ないし甲第6号証のいずれにも,前記構成を有する「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」が記載されていない。 そして,当該構成により,本件発明5は,エッチング後の表面荒れを抑えつつ,Ti含有層とシリコン含有層とを,ともに適度に(好ましくは高い選択性で)除去することができるという顕著な効果を奏するものであり,本件発明5は,甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (iii)本件発明14について 本件発明14と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項14の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く)または請求項14の式bで表される化合物である窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物B, エッチング液の全質量に対し,30質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 さらに,甲第2号証ないし甲第6号証のいずれにも,前記構成を有する「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」が記載されていない。 そして,当該構成により,本件発明14は,エッチング後の表面荒れを抑えつつ,Ti含有層とシリコン含有層とを,ともに適度に(好ましくは高い選択性で)除去することができるという顕著な効果を奏するものであり,本件発明14は,甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (iv)本件発明15について 本件発明15と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項15の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または請求項5の式bで表される化合物である窒素有機化合物A, エッチング液の全質量に対し,50質量%?80質量%の濃度の硝酸, 及び0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 さらに,甲第2号証ないし甲第6号証のいずれにも,前記構成を有する「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」が記載されていない。 そして,当該構成により,本件発明15は,エッチング後の表面荒れを抑えつつ,Ti含有層とシリコン含有層とを,ともに適度に(好ましくは高い選択性で)除去することができるという顕著な効果を奏するものであり,本件発明15は,甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (V)本件発明16について 本件発明16と引用発明1とを対比すると,引用発明1のエッチング液は, 請求項16の式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し,ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く)または請求項16の式bで表される化合物である窒素有機化合物Aまたはホスホン酸,1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物B, エッチング液の全質量に対し,30質量%?80質量%の濃度の硝酸,及び 0.01質量%?2質量%の濃度のフッ素化合物 を含有するという構成を有していない。 さらに,甲第2号証ないし甲第6号証のいずれにも,前記構成を有する「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」が記載されていない。 そして,当該構成により,本件発明16は,エッチング後の表面荒れを抑えつつ,Ti含有層とシリコン含有層とを,ともに適度に(好ましくは高い選択性で)除去することができるという顕著な効果を奏するものであり,本件発明16は,甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (vi)本件発明2?3,6?9,11,12,18?22について 本件発明2?3,6?9,11,12,18?22は,請求項1,5,16を直接的に又は間接的に引用する発明であるから,上記(i),(ii),(V)と同様の理由により,本件発明2?3,6?9,11,12,18?22は,甲第1号証ないし甲第6号証に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 <甲第2号証を主引例とした,特許法第29条第1項第3号及び第2項について> 引用発明2A及び引用発明2Bは,いずれも,「シリコン含有基板から微量金属不純物を除去するための組成物」に係る発明であって,「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」ではないから,本件発明1?3,5?9,11,12,14?16,18,21,22は,甲第2号証に記載された発明ではない。 また,甲第1号証及び甲第3ないし6号証の記載を参酌しても,引用発明2A及び引用発明2Bに係る「シリコン含有基板から微量金属不純物を除去するための組成物」に係る発明を,「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」として用いる動機を見いだすことはできない。 そして,本件発明1?3,5?9,11,12,14?16,18,21,22は,エッチング後の表面荒れを抑えつつ,Ti含有層とシリコン含有層とを,ともに適度に(好ましくは高い選択性で)除去することができるという顕著な効果を奏するものであり,本件発明1?3,5?9,11,12,14?16,18,21,22は,引用発明2Aあるいは引用発明2B及び甲第1号証及び甲第3ないし6号証の記載から当業者が容易に発明をすることができたものではない。 <第36条第4項第1号,第6項第2号について> 平成30年1月30日付けの訂正において,「含窒素有機化合物A」が,特定の式で表される化合物に特定され,「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去することができ」が,「チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液」に訂正され,「硝酸」及び「含フッ素化合物」の濃度の双方が特定された結果,この異議申立理由は解消した。 <小括> 以上のとおりであるから,異議申立理由のうち,取消理由通知において採用しなかった主張は理由がない。 4.むすび 以上のとおりであるから,取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては,本件請求項1ないし3,5ないし9,11,12,14ないし16,18ないし22に係る特許を取り消すことはできない。 また,他に本件請求項1ないし3,5ないし9,11,12,14ないし16,18ないし22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 請求項4,10,13及び17に係る特許は,訂正により,削除されたため,本件特許の請求項4,10,13及び17に対して,特許異議申立人 田中眞喜子 がした特許異議の申立てについては,対象となる請求項が存在しない。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液であって、 該エッチング液は、硝酸、含フッ素化合物、ならびに、窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aまたはホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物Bを含有し、 前記含窒素有機化合物Aが、下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し、ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く。)または下記式bで表される化合物であり、 【化2】 R^(a)は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。L^(b)は、単結合、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。R^(c)は、水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は、結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中、R^(c)は、上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c)、L^(d)は、互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c)、L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 上記エッチング液の全質量に対し、上記硝酸の濃度が30質量%?80質量%、上記含フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%である、エッチング液。 【請求項2】 前記リン含有化合物Bの濃度が0.0001質量%?5質量%である請求項1に記載のエッチング液。 【請求項3】 前記エッチング液が、前記硝酸、前記含フッ素化合物および前記の窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有する請求項1に記載のエッチング液。 【請求項4】(削除) 【請求項5】 チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液であって、 該エッチング液は、硝酸、含フッ素化合物および窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有し、 前記含窒素有機化合物Aが、下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または下記式bで表される化合物であり、 【化3】 R^(a)は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。L^(b)は、単結合、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。R^(c)は、水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は、結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中、R^(c)は、上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c)、L^(d)は、互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c)、L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 上記エッチング液の全質量に対し、上記硝酸の濃度が50質量%?80質量%、上記含フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%である、エッチング液。 【請求項6】 前記含窒素有機化合物Aの分子量が100?20,000である請求項1?3および5のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項7】 前記含窒素有機化合物Aの分子量が1,000以上20,000以下である請求項1?3、5および6のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項8】 前記含窒素有機化合物Aの含有量が、前記含フッ素化合物100質量部に対して、0.01質量部以上25質量部以下である請求項1?3および5?7のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項9】 前記含窒素有機化合物Aの濃度が0.0001質量%?5質量%である請求項1?3および5?8のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項10】(削除) 【請求項11】 前記含窒素有機化合物Aが、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルイミダゾール、ポリヘキサジメトリン、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリヒスチジン、ポリアルギニン、ポリジメチルジアリルアンモニウム、ポリリシン、ポリオルニチン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンまたはポリジアリルアミンである請求項1?3および5?9のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項12】 前記含フッ素化合物が、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロケイ酸、テトラフルオロホウ酸アンモニウム、ヘキサフルオロリン酸アンモニウムおよびヘキサフルオロケイ酸アンモニウムからなる群より選ばれる請求項1?3、5?9および11のいずれか1項に記載のエッチング液。 【請求項13】(削除) 【請求項14】 エッチング液を調液するためのエッチング液のキットであって、 該エッチング液が、チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するために用いられ、 該キットは、硝酸を含有する第1液と、含フッ素化合物、および、窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aまたはホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物Bを含有する第2液とを組み合わせてなり、 前記含窒素有機化合物Aが、下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物(但し、ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマーを除く。)または下記式bで表される化合物であり、 【化4】 R^(a)は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。L^(b)は、単結合、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。R^(c)は、水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は、結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中、R^(c)は、上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c)、L^(d)は、互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c)、L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 上記エッチング液は、該エッチング液の全質量に対し、上記硝酸の濃度が30質量%?80質量%、上記含フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%である、エッチング液のキット。 【請求項15】 エッチング液を調液するためのエッチング液のキットであって、 該エッチング液が、チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するために用いられ、 該エッチング液は、硝酸、含フッ素化合物および窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有し、上記硝酸の濃度が50質量%?80質量%、上記フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%であり、 前記キットは、前記硝酸を含有する第1液と、前記含フッ素化合物および前記の窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aを含有する第2液とを組み合わせてなり、 前記含窒素有機化合物Aが、下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または下記式bで表される化合物である、エッチング液のキット。 【化5】 R^(a)は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。L^(b)は、単結合、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。R^(c)は、水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は、結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中、R^(c)は、上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c)、L^(d)は、互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c)、L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 【請求項16】 チタン含有層とシリコン含有層とをともに除去するためのエッチング液を、チタン含有層およびシリコン含有層に接触させて該チタン含有層およびシリコン含有層の除去を行うエッチング方法であって、 前記エッチング液は、硝酸、含フッ素化合物、ならびに、窒素原子をもつ繰り返し単位を複数有する含窒素有機化合物Aまたはホスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1-ビス(ホスホン酸)および二リン酸から選択されるリン含有化合物Bを含有し、 前記含窒素有機化合物Aが、下記式a-1?a-8のいずれかで表される繰り返し単位を有する化合物または下記式bで表される化合物であり、 【化6】 R^(a)は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基またはヘテロ環基を表す。R^(b)は、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。L^(a)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。L^(b)は、単結合、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。R^(c)は、水素原子またはアルキル基を表す。nは0以上の整数を表す。nの上限は各環状構造部の置換可能数である。環Q1?Q3は含窒素複素環を表す。式中*は、結合位置を示す。 R^(c)_(2)N-[L^(d)-N(R^(c))]_(m)-L^(d)-NR^(c)_(2) ・・・ b 式中、R^(c)は、上記と同様である。mは0以上の整数を表す。L^(d)は、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、アリーレン基、ヘテロ環基、またはそれらの組合せを表す。複数のR^(c)、L^(d)は、互いに同じで合っても異なっていてもよい。複数のR^(c)、L^(d)は互いに結合して環を形成していてもよい。 上記エッチング液の全質量に対し、上記硝酸の濃度が30質量%?80質量%、上記含フッ素化合物の濃度が0.01質量%?2質量%であり、 前記シリコン含有層が多結晶シリコンを含有する層またはアモルファスシリコンを含有する層である、エッチング方法。 【請求項17】(削除) 【請求項18】 前記チタン含有層が窒化チタンを含有する層である請求項16に記載のエッチング方法。 【請求項19】 前記チタン含有層のエッチング速度で前記シリコン含有層のエッチング速度を除した比率を、1000?0.1の範囲で調整する請求項16または18に記載のエッチング方法。 【請求項20】 前記エッチング速度の比率を、下記の手段a?dのいずれかまたはそれらの組合せで調整する請求項19に記載のエッチング方法。 a:含窒素有機化合物の分子量を高めることでエッチング速度比を高める b:含窒素有機化合物またはリン含有化合物の濃度を高めることでエッチング速度比を高める c:含フッ素化合物の濃度を高めることで前記チタン含有層のエッチング速度および前記シリコン含有層のエッチング速度をともに高める d:硝酸の濃度を高めることで前記チタン含有層のエッチング速度および前記シリコン含有層のエッチング速度をともに高める 【請求項21】 請求項16および18?20のいずれか1項に記載のエッチング方法によりチタン含有層およびシリコン含有層を除去する工程を介して製造する半導体基板製品の製造方法。 【請求項22】 請求項21に記載の半導体基板製品の製造方法を介して製造する半導体素子の製造方法。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-05-02 |
出願番号 | 特願2014-110203(P2014-110203) |
審決分類 |
P
1
651・
536-
YAA
(H01L)
P 1 651・ 537- YAA (H01L) P 1 651・ 121- YAA (H01L) P 1 651・ 113- YAA (H01L) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 鈴木 聡一郎 |
特許庁審判長 |
深沢 正志 |
特許庁審判官 |
大嶋 洋一 加藤 浩一 |
登録日 | 2017-03-17 |
登録番号 | 特許第6110814号(P6110814) |
権利者 | 富士フイルム株式会社 |
発明の名称 | エッチング液およびそのキット、これらを用いたエッチング方法、半導体基板製品の製造方法および半導体素子の製造方法 |
代理人 | 篠田 育男 |
代理人 | 特許業務法人イイダアンドパートナーズ |
代理人 | 篠田 育男 |
代理人 | 赤羽 修一 |
代理人 | 飯田 敏三 |
代理人 | 特許業務法人イイダアンドパートナーズ |
代理人 | 赤羽 修一 |
代理人 | 飯田 敏三 |