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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C08J
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08J
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08J
管理番号 1341084
異議申立番号 異議2017-700965  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-10-11 
確定日 2018-05-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6113941号発明「ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法及びポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6113941号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし14〕について、訂正することを認める。 特許第6113941号の請求項1ないし3、5ないし9及び11ないし14に係る特許を維持する。 特許第6113941号の請求項4及び10に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6113941号(以下、「本件特許」という。)の請求項1ないし14に係る特許についての出願は、2016年7月20日(優先権主張 2015年7月22日 日本国(JP))を国際出願日とする出願であって、平成29年3月24日にその特許権の設定登録がされ、同年4月12日にその特許公報が発行され、その後同年10月10日付け(受理日:同年10月11日)で特許異議申立人 岩崎勇(以下、「特許異議申立人」という。)により特許異議の申立てがされ、当審において同年12月7日付けで取消理由(以下、「取消理由」という。)が通知され、平成30年2月6日付けで特許権者 ウィンテックポリマー株式会社(以下、「特許権者」という。)から意見書が提出されるとともに訂正の請求(以下、「本件訂正の請求」という。)がされ、同年2月13日付けで訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)がされ、それに対し、特許異議申立人から何の応答もされなかったものである。

第2 訂正の適否について

1 訂正の内容

本件訂正の請求による訂正の内容は、次のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示すものである。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の

「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法。」

「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含み、
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである製造方法。」

に訂正する。

併せて、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2ないし3、5ないし6、12ないし14についても、同様の訂正をする。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5の
「前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項1から4のいずれかに記載の製造方法。」

「前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。」
に訂正する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項6の
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
請求項1から5のいずれかに記載の製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形する工程を含む製造方法。」

「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
請求項1、2、3、5のいずれかに記載の製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形する工程を含む製造方法。」
に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項7の
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法。」

「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含み、
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである製造方法。」
に訂正する。

併せて、請求項7を直接又は間接的に引用する請求項8ないし9、11ないし13についても、同様の訂正をする。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項10を削除する。

(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項11の
「前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項7から10のいずれかに記載の製造方法。」

「前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項7から9のいずれかに記載の製造方法。」
に訂正する。

(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項12の
「前記成形体の、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOC排出量が50μgC/g以下である請求項6から11のいずれかに記載の製造方法。」

「前記成形体の、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOC排出量が50μgC/g以下である請求項6、7、8、9、11のいずれかに記載の製造方法。」
に訂正する。

(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項13の
「前記成形体中の前記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量が40meq/kg以下である請求項6から12のいずれかに記載の製造方法。」

「前記成形体中の前記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量が40meq/kg以下である請求項6、7、8、9、11、12のいずれかに記載の製造方法。」
に訂正する。

(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項14の
「前記成形体が自動車内装部品である請求項6から13のいずれかに記載の製造方法。」

「前記成形体が自動車内装部品である請求項6、7、8、9、11、12、13のいずれかに記載の製造方法。」
に訂正する。

2 訂正の目的の適否、一群の請求項、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内か否か及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

(1)訂正事項1について
訂正事項1は、訂正前の特許請求の範囲の請求項1に、「前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである」という限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1は、訂正前請求項4、願書に最初に添付された明細書(以下、「当初明細書」という。)の段落【0017】に記載されており、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(2)訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の特許請求の範囲の請求項4を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2は、訂正前の請求項4の削除を目的とするから、新規事項の追加に該当せず、さらに、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)訂正事項3、4について
訂正事項3、4は、上記訂正事項2に伴い、請求項間の引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項3、4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項3、4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(4)訂正事項5について
訂正事項5は、訂正前の特許請求の範囲の請求項7に、「前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである」という限定を付加するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項5は、訂正前請求項7、当初明細書の段落【0023】に記載されており、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(5)訂正事項6について
訂正事項6は、訂正前の特許請求の範囲の請求項10を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項2は、訂正前の請求項4の削除を目的とするから、新規事項の追加に該当せず、さらに、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(6)訂正事項7ないし10について
訂正事項7ないし10は、上記訂正事項6に伴い、請求項間の引用関係を整理するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
また、訂正事項7ないし10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものである。
さらに、訂正事項7ないし10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(7)一群の請求項
本件訂正の請求は、特許請求の範囲の請求項1ないし14についての訂正である。
そして、訂正前の請求項12ないし14は、訂正前の請求項6を介して訂正前の請求項1ないし5を引用しており、また、訂正前の請求項7ないし11を引用しているので、訂正前の請求項1ないし14は、一群の請求項である。

したがって、本件訂正の請求は、一群の請求項ごとに対してされたものである。

3 小括

以上のとおり、本件訂正の請求は、特許法第120条の5第2項ただし書第1及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項並びに同条第9項において準用する同法第126条第5及び6項の規定に適合する。

また、特許異議の申立ては、訂正前の全ての請求項に対してされているので、訂正を認める要件として、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。

したがって、本件訂正の請求は適法なものであるので、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし14〕について、訂正することを認める。

第3 特許異議の申立てについて

1 本件特許発明
上記第2の3のとおり、訂正後の請求項〔1ないし14〕について、訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし14に係る発明(以下、順に「本件特許発明1」のようにいい、総称して「本件特許発明」という。)は、それぞれ、平成30年2月6日付けで提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含み、
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである製造方法。
【請求項2】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と、前記アルカリ化合物とを溶融混練して、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を、前記アルカリ化合物の存在下で行って、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、請求項1、2、3、5のいずれかに記載の製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形する工程を含む製造方法。
【請求項7】
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含み、
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである製造方法。
【請求項8】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と、前記アルカリ化合物とを溶融混練して、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を、前記アルカリ化合物の存在下で行って、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】(削除)
【請求項11】
前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項7から9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記成形体の、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOC排出量が50μgC/g以下である請求項6、7、8、9、11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記成形体中の前記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量が40meq/kg以下である請求項6、7、8、9、11、12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記成形体が自動車内装部品である請求項6、7、8、9、11、12、13のいずれかに記載の製造方法。」

2 取消理由の概要

取消理由の概要は次のとおりである。
「本件特許発明1?3、5?9、11?14は、その出願前に日本国内において、頒布された下記の刊行物1又は2のいずれかに記載された発明と刊行物3に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、それらの発明に係る特許は同法113条第2号に該当し、取り消すべきものである。」

3 証拠方法
甲第1号証:国際公開第2013/146281号 (取消理由通知の刊行物1)
甲第2号証:国際公開第2014/178271号 (取消理由通知の刊行物2)
甲第3号証:特開平06-9858号公報
甲第4号証:特開2002-275258号公報 (取消理由通知の刊行物3)
甲第5号証:特開2015-101681号公報
甲第6号証:特開2010-100668号公報
(甲第1ないし6号証は、平成29年10月10日付け(受理日:同年10月11日)で特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下、「特許異議申立書」という。)に添付されたものである。)

4 取消理由についての判断

(1)甲第1号証を主引用文献とした場合

甲第1号証は、「ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び成形体」に関するものであって、甲第1号証の記載(特に特許請求の範囲の請求項1及び段落[0042]、[0044]、[0048]の記載を参照。)を整理すると、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲1-1発明」、「甲1-2発明」という。)が記載されていると認める。

<甲1-1発明>
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、酢酸カリウム又は炭酸カルシウムとを混合したものを原料とするポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法であって、酢酸カリウム又は炭酸カルシウムと前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法。」

<甲1-2発明>
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、酢酸カリウム又は炭酸カルシウムとを混合したものを原料とするポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、酢酸カリウム又は炭酸カルシウムとポリブチレンテレフタレート樹脂とを押出機等の溶融混練装置に直接供給して成形体を製造する工程を含む製造方法。」

ア 本件特許発明1について

(ア)対比

本件特許発明1と甲1-1発明を対比する。
甲1-1発明の「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂」、「酢酸カリウム又は炭酸カルシウム」、「ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法」は、それぞれ、本件特許発明1の「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂」、「アルカリ化合物」、「ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法」に相当し、 さらに、甲1-1発明の「酢酸カリウム又は炭酸カルシウムと前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法」と、本件特許発明1の「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法」とは、「組成物に配合する成分とポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法」の点で一致している。
したがって、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、酢酸カリウム又は炭酸カルシウムと、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、組成物に配合する成分とポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点1>
組成物に配合する成分として、本件特許発明1は、「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチ」と特定するのに対して、甲1-1発明においては、「酢酸カリウム又は炭酸カルシウム」と特定し、「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチ」と特定していない点。

<相違点2>
本件特許発明1は、「前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである」と特定するのに対して、甲1-1発明においては、そのような特定がない点。

(イ)判断

事案に鑑み、相違点2について、まず検討する
相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項については、甲第1号証には記載も示唆もなく、甲第2ないし6号にも記載も示唆もない。
そして、当該事項により、本件特許発明1は、成形体の色目が改善するという格別顕著な効果を奏するものであり、その効果は、甲第1ないし6号証の記載から、当業者が予測出来るというものでもない。
したがって、甲第1号証に記載された発明において、相違点2に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)小括

したがって、相違点1について判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし6号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件特許発明2ないし3、5ないし6、12ないし14について

本件特許発明2ないし3、5ないし6、12ないし14は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有しているものであるから、本件特許発明1と同様に、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし6号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件特許発明7について

(ア)対比

本件特許発明7と甲1-2発明を対比する。
甲1-2発明の「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂」「酢酸カリウム又は炭酸カルシウム」、「ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法」は、それぞれ、本件特許発明7の「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂」、「アルカリ化合物」、「ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法」に相当する。
また、甲1-2発明の「押出機等の溶融混練装置に直接供給して成形体を製造する工程」は、本件特許発明7の「ドライブレンドした後成形する工程」に相当するといえるから、甲1-2発明の「アルカリ化合物と前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを押出機等の溶融混練装置に直接供給して成形体を製造する工程を含む製造方法」と、本件特許発明7の「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法」とは、「成形体に配合する成分とポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法」との点で一致している。
したがって、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、酢酸カリウム又は炭酸カルシウムと、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、成形体に配合する成分と前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点3>
成形体に配合する成分として、本件特許発明7は、「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチ」と特定するのに対して、甲1-2発明においては、「酢酸カリウム又は炭酸カルシウム」と特定し、「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチ」と特定していない点。

<相違点4>
本件特許発明7は、「前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである」と特定するのに対して、甲1-2発明においては、そのような特定がない点。

(イ)判断

事案に鑑み、相違点4について、まず検討する。
相違点4に係る本件特許発明7の発明特定事項については、甲第1号証には記載も示唆もなく、甲第2ないし6号にも記載も示唆もない。
そして、当該事項により、本件特許発明7は、成形体の色目が改善するという格別顕著な効果を奏するものであり、その効果は、甲第1ないし6号証の記載から、当業者が予測出来るものということはできない。
したがって、甲第1号証に記載された発明において、相違点4に係る本件特許発明7の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)小括

したがって、相違点3について判断するまでもなく、本件特許発明7は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし6号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

エ 本件特許発明8ないし9、11ないし14について

本件特許発明8ないし9、11ないし14は、請求項7を直接又は間接的に引用するものであり、本件特許発明7の発明特定事項を全て有しているものであるから、本件特許発明7と同様に、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし6号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(2)甲第2号証を主引用文献とした場合

甲第2号証は、「ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物及び成形体」に関するものであって、甲第2号証の記載(特に、特許請求の範囲の[請求項1]及び段落[0042]、[0044]の記載を参照。)を整理すると、甲第2号証には、次の発明(以下、「甲2-1発明」、「甲2-2発明」という。)が記載されていると認める。

<甲2-1発明>
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、炭酸カルシウムとを混合したものを原料とするポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法であって、炭酸カルシウムと前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法。」

<甲2-2発明>
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、炭酸カルシウムと、を混合したものを原料とするポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、炭酸カルシウムとポリブチレンテレフタレート樹脂とを押出機等の溶融混練装置に直接供給して成形体を製造する工程を含む製造方法。」

ア 本件特許発明1について

(ア)対比

本件特許発明1と甲2-1発明を対比する。
甲2-1発明の「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂」、「炭酸カルシウム」、「ポリブチレンテレフタレート樹脂ペレットの製造方法」は、それぞれ、本件特許発明1の「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂」、「アルカリ化合物」、「ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法」に相当し、さらに、甲2-1発明の「炭酸カルシウムと前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法」と、本件特許発明1の「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法」とは、「組成物に配合する成分とポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法」の点で一致している。
したがって、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、炭酸カルシウムと、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、組成物に配合する成分とポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含む製造方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点5>
組成物に配合する成分として、本件特許発明1は、「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチ」と特定するのに対して、甲2-1発明においては、「炭酸カルシウム」と特定し、「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチ」とは特定していない点。

<相違点6>
本件特許発明1は、「前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである」と特定するのに対して、甲2-1発明においては、そのような特定がない点。

(イ)判断

事案に鑑み、相違点6について、まず検討する
相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項については、甲第2号証には記載も示唆もなく、甲第1、3ないし6号証にも記載も示唆もない。
そして、当該事項により、本件特許発明1は、成形体の色目が改善するという格別顕著な効果を奏するものであり、その効果は、甲第1ないし6号証の記載から、当業者が予測出来るというものでもない。
したがって、甲第2号証に記載された発明において、相違点6に係る本件特許発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)小括

したがって、相違点5について判断するまでもなく、本件特許発明1は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3ないし6号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

イ 本件特許発明2ないし3、5ないし6、12ないし14について

本件特許発明2ないし3、5ないし6、12ないし14は、請求項1を直接又は間接的に引用するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有しているものであるから、本件特許発明1と同様に、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3ないし6号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 本件特許発明7について

(ア)対比

本件特許発明7と甲2-2発明を対比する。
甲2-2発明の「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂」、「炭酸カルシウム」、「ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法」は、それぞれ、本件特許発明7の「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂」、「アルカリ化合物」、「ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法」に相当する。
また、甲2-2発明の「押出機等の溶融混練装置に直接供給して成形体を製造する工程」は、本件特許発明7の「ドライブレンドした後成形する工程」に相当するといえるから、甲2-2発明の「アルカリ化合物と前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを押出機等の溶融混練装置に直接供給して成形体を製造する工程を含む製造方法」と、本件特許発明7の「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法」とは、「成形体に配合する成分とポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法」との点で一致している。
したがって、両者は、次の点で一致する。

<一致点>
「直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、炭酸カルシウムと、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、成形体に配合する成分と前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含む製造方法。」

そして、少なくとも次の点で相違する。

<相違点7>
成形体に配合する成分として、本件特許発明7は、「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチ」と特定するのに対して、甲2-2発明においては、「炭酸カルシウム」と特定し、「ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチ」と特定していない点。

<相違点8>
本件特許発明7は、「前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである」と特定するのに対して、甲2-2発明においては、そのような特定がない点。

(イ)判断

事案に鑑み、相違点8について、まず検討する。
相違点8に係る本件特許発明7の発明特定事項については、甲第2号証には記載も示唆もなく、甲第1、3ないし6号にも記載も示唆もない。
そして、当該事項により、本件特許発明7は、成形体の色目が改善するという格別顕著な効果を奏するものであり、その効果は、甲第1ないし6号証の記載から、当業者が予測出来るというものでもない。
したがって、甲第2号証に記載された発明において、相違点8に係る本件特許発明7の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。

(ウ)小括

したがって、相違点7について判断するまでもなく、本件特許発明7は、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3ないし6号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

エ 本件特許発明8ないし9、11ないし14について

本件特許発明8ないし9、11ないし14は、請求項7を直接又は間接的に引用するものであり、本件特許発明7の発明特定事項を全て有しているものであるから、本件特許発明7と同様に、甲第2号証に記載された発明及び甲第1、3ないし6号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

オ 取消理由についてのむすび

以上のとおり、本件特許発明1ないし3、5ないし9、11ないし14は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、同法第113条第2号に該当せず、取り消されるべきものではない。

5 取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由について

(1)取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由

取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由は、概ね次のとおりである。

ア サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)について
訂正前の本件特許の請求項1ないし14に係る発明は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)について
訂正前の本件特許の請求項1ないし14に係る特許は、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである。

(2)取消理由で採用しなかった特許異議申立ての理由についての判断

ア サポート要件違反(特許法第36条第6項第1号)について
特許異議申立ての理由を検討しても、「酢酸カリウム」以外の他のアルカリ化合物が、本件特許発明の「成形体から放出されるVOC量が低くなり、成形体の色目が改善する」という効果を示さないとする具体的な根拠が説明されていないため採用できない。
また、「酢酸カリウム」以外の他のアルカリ化合物が、上記の効果を示さないとの技術常識も存在しない。
よって、サポート要件違反に関する理由は理由がない。

実施可能要件違反(特許法第36条第4項第1号)について
本件特許明細書は、本件特許発明の実施例について、当業者が過度の試行錯誤を要することなく実施できるように十分に記載され、成形体から放出されるVOC量が低くなり、成形体の色目が改善するという効果を奏することが記載されている。
また、実施例の記載から本件特許発明が実施できることが理解できるのだから、比較例についての実施の記載の程度は、関係がない。
したがって、発明の詳細な説明に、本件特許発明1ないし3、5ない9、11ないし14について、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、その物を製造することができる程度の記載があるといえる。
よって、実施可能要件違反に関する理由は理由がない。

第4 結語

上記第3のとおりであるから、取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立ての理由によっては、請求項1ないし3、5ないし9及び11ないし14に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に請求項1ないし3、5ないし9及び11ないし14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

さらに、請求項4及び10は、訂正により削除されたため、請求項4及び10に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とを溶融混練する工程を含み、
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである製造方法。
【請求項2】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と、前記アルカリ化合物とを溶融混練して、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を、前記アルカリ化合物の存在下で行って、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
(削除)
【請求項5】
前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項1から3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
請求項1、2、3、5のいずれかに記載の製造方法により得られるポリブチレンテレフタレート樹脂組成物を成形する工程を含む製造方法。
【請求項7】
直接エステル化法で製造されたポリブチレンテレフタレート樹脂と、アルカリ化合物と、を含むポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法であって、
ポリアルキレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物とを含むマスターバッチと、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂とをドライブレンドした後に成形する工程を含み、
前記ポリブチレンテレフタレート樹脂成形体において、前記アルカリ化合物の添加量が、前記ポリブチレンテレフタレート樹脂と前記アルカリ化合物との合計に対して10?45質量ppmである製造方法。
【請求項8】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂と、前記アルカリ化合物とを溶融混練して、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項9】
前記ポリアルキレンテレフタレート樹脂の製造において、エステル化反応若しくはエステル交換反応、及び/又は重縮合反応を、前記アルカリ化合物の存在下で行って、前記マスターバッチを調製する工程を更に含む、請求項7に記載の製造方法。
【請求項10】
(削除)
【請求項11】
前記アルカリ化合物は、酢酸カリウムである請求項7から9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
前記成形体の、ドイツ自動車工業会VDA277に規定のVOC測定法によるVOC排出量が50μgC/g以下である請求項6、7、8、9、11のいずれかに記載の製造方法。
【請求項13】
前記成形体中の前記ポリブチレンテレフタレート樹脂は、末端カルボキシル基量が40meq/kg以下である請求項6、7、8、9、11、12のいずれかに記載の製造方法。
【請求項14】
前記成形体が自動車内装部品である請求項6、7、8、9、11、12、13のいずれかに記載の製造方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-04-24 
出願番号 特願2016-575715(P2016-575715)
審決分類 P 1 651・ 537- YAA (C08J)
P 1 651・ 536- YAA (C08J)
P 1 651・ 121- YAA (C08J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 加賀 直人飛彈 浩一  
特許庁審判長 加藤 友也
特許庁審判官 長谷部 智寿
岡崎 美穂
登録日 2017-03-24 
登録番号 特許第6113941号(P6113941)
権利者 ウィンテックポリマー株式会社
発明の名称 ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物の製造方法及びポリブチレンテレフタレート樹脂成形体の製造方法  
代理人 林 一好  
代理人 正林 真之  
代理人 正林 真之  
代理人 林 一好  

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