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審決分類 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C08G
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C08G
審判 全部申し立て 2項進歩性  C08G
管理番号 1341108
異議申立番号 異議2018-700234  
総通号数 223 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-03-20 
確定日 2018-06-07 
異議申立件数
事件の表示 特許第6200435号発明「難燃性ウレタン樹脂組成物」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6200435号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6200435号の請求項1ないし8に係る特許についての出願は、2014年(平成26年)1月20日(優先権主張 平成25年1月20日、平成25年9月27日)を国際出願日として特許出願され、平成29年9月1日にその特許権の設定登録がされ、同年9月20日に特許公報が発行され、その後特許に対し、平成30年3月20日に特許異議申立人 河合清悦(以下、「申立人1」という。)及び加藤純子(以下、「申立人2」という。)によりそれぞれ特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許第6200435号の請求項1ないし8に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明8」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1ないし8に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
難燃性ウレタン樹脂組成物であって、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、三量化触媒、発泡剤、整泡剤および添加剤を含み、
前記三量化触媒が、窒素含有芳香族化合物、カルボン酸アルカリ金属塩、3級アンモニウム塩および4級アンモニウム塩からなる群から選ばれる少なくとも一つであり、
前記添加剤が、赤リンを必須成分とし、前記赤リン以外にリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一つを組み合わせてなり、
前記難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡体を、ISO-5660の試験方法により準拠して、放射熱強度50kW/m^(2)にて加熱したときに、10分経過時の総発熱量が7.8MJ/m^(2)以下であることを特徴とする、難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡体を、ISO-5660の試験方法により準拠して、放射熱強度50kW/m^(2)にて加熱したときに、10分経過時の総発熱量が7.8MJ/m^(2)以下であり、20分経過時の総発熱量が12.7MJ/m^(2)以下である、ことを特徴とする請求項1に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項3】
前記添加剤が、前記ポリイソシアネート化合物および前記ポリオール化合物からなるウレタン樹脂100重量部を基準として4.5?70重量部の範囲であり、
前記赤リンが、前記ウレタン樹脂100重量部を基準として3?18重量部の範囲であり、
前記赤リンを除く添加剤が、前記ウレタン樹脂100重量部を基準として1.5?52重量部の範囲である、請求項1又は2に記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項4】
前記難燃性ウレタン樹脂組成物が、触媒を含み、
前記触媒が、前記ポリイソシアネート化合物および前記ポリオール化合物からなるウレタン樹脂100重量部を基準として、前記三量化触媒を0.6?10重量部の範囲で含む、請求項1?3のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項5】
前記発泡剤が、前記ポリイソシアネート化合物および前記ポリオール化合物からなるウレタン樹脂100重量部を基準として0.1?30重量部の範囲である、請求項1?4のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項6】
前記ホウ素含有難燃剤が、酸化ホウ素、ホウ酸およびホウ酸金属塩からなる群により選ばれる少なくとも一つである、請求項1?5のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項7】
前記ウレタン樹脂のイソシアネートインデックスが120?1000の範囲である、請求項1?6のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1?7のいずれかに記載の難燃性ウレタン樹脂組成物から形成されてなることを特徴とする発泡体。」

第3 申立理由の概要
1 申立人1は、下記甲第1号証ないし項第5号証を提示し、本件発明1ないし3、5、7及び8は、甲第1号証に記載の発明と周知技術(甲第2号証?甲第5号証)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1ないし3、5、7及び8に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである旨主張する(以下、「申立理由1」という)。

2 申立人2は、下記甲第1ないし甲第9号証を提示し、本件発明1ないし8は、甲第1号証に記載の発明及び甲第2ないし甲第9号証に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項1ないし8に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである旨主張する(以下、「申立理由2」という。)。
また、申立人2は、甲第10ないし甲第12号証を提示し、本件発明1ないし8については、その特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号の規定に違反するものであり、また、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、特許法第36条第4項1号の規定に違反するものであるから、請求項1ないし8に係る特許は、特許法第113条第4号に該当し、取り消すべきものである旨主張する(以下、「申立理由3」という。)

申立人1提示の甲号証
甲第1号証:特開2010-53267号公報
甲第2号証:特開平10-147623号公報
甲第3号証:特開2000-226425号公報
甲第4号証:特開2001-200027号公報
甲第5号証:特開2001-294645号公報

申立人2提示の甲号証
甲第1号証:特開2008-88355号公報
甲第2号証:特開2012-140553号公報
甲第3号証:オーストラリア公開公報第199959328号
甲第4号証:特開2009-181802号公報
甲第5号証:特開2012-219127号公報
甲第6号証:特開2011-213924号公報
甲第7号証:特開2001-206978号公報
甲第8号証:伊藤貴文、研究ノート、木質材料の不燃化-燃えない木材を創る(1)-、奈良県森林技術センターだより、第101号、p.2?3、平成22年4月1日
甲第9号証:特開2011-63655号公報
甲第10号証:アルモリックス株式会社ホームページ[検索日:2018年3月9日](http://www.almorix.jp/products/products_02.html)
甲第11号証:尾西晃、水酸化アルミニウムの技術動向、日本ゴム協会誌、第75巻第8号、(36)-(38)、2002年8月15日
甲第12号証:高橋清「工業材料大辞典」、株式会社工業調査会、1997年11月20日、466頁右欄

以下、申立人1提示の甲第1号証ないし甲第5号証を、「甲1-1」ないし「甲5-1」といい、申立人2提示の甲第1号証ないし甲第12号証を「甲1-2」ないし「甲12-2」という。

第4 申立理由1について
1 甲1-1ないし5-1の記載及び甲1-1に記載された発明

(1)各甲号証の記載
甲1-1には、申立人1が、申立書第11頁第18行?第17頁第15行で指摘する事項(甲1-1の、【請求項3】、【0017】、【0027】、【0028】、【0030】?【0032】、【0038】?【0041】、【0045】及び表1)が記載されている。

甲2-1には、申立人1が、申立書第18頁第20行?第20頁第18行で指摘する事項(甲2-1の、【請求項1】、【0008】、【0028】及び【0029】)が記載されている。

甲3-1には、申立人1が、申立書第21頁第4行?第22頁第10行で指摘する事項(甲3-1の、【請求項1】、【0019】?【0021】及び【0051】)が記載されている。

甲4-1には、申立人1が、申立書第22頁第20行?第26頁第2行で指摘する事項(甲4-1の、【請求項1】、【請求項3】、【0011】、【0012】、【0015】?【0018】及び【0068】)が記載されている。

甲5-1には、申立人1が申立書第26頁第12行?第27頁第10行で指摘する事項(甲5-1の、【請求項1】及び【0021】)が記載されている。

(2)甲1-1に記載された発明
甲1-1には、段落【0038】ないし【0041】、【0045】及び表1から、以下の発明が記載されていると認められる。
「ポリイソシアネート成分と、ポリオール組成物を混合した硬質ポリウレタンフォーム用の混合物であって、ポリオール組成物は、ポリオール化合物と、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートである難燃剤と、製泡剤と、オクチル酸カリウムである三量化触媒と、シクロペンタンと水を含み、上記混合物から製造される硬質ポリウレタンフォームを、ISO-5660に準拠し、放射熱強度50kW/m^(2)にて20分加熱したときに、20分経過時の総発熱量が2.1?7.7MJ/m^(2)である混合物。」(以下、「甲1-1発明」という。)

2 対比・判断
(1) 本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1-1発明とを対比すると、甲1-1発明の「トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートである難燃剤」は、本件発明1の、「添加剤」のうちの「リン酸エステル」に相当し、甲1-1発明の「シクロペンタン」及び「水」は、本件発明1の「発泡剤」に相当し、甲1-1発明の「オクチル酸カリウムである三量化触媒」は、本件発明1の、「カルボン酸アルカリ金属塩」である「三量化触媒」に相当する。また、甲1-1発明における「混合物」は、難燃剤を含むこと、「ポリイソシアネート成分」と「ポリオール化合物」を含むことから、「難燃性ウレタン樹脂組成物」に相当する。
してみると、本件発明1と甲1-1発明とは、
「難燃性ウレタン樹脂組成物であって、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、三量化触媒、発泡剤、整泡剤および添加剤を含み、前記三量化触媒が、カルボン酸アルカリ金属塩であり、前記添加剤が、リン酸エステルである、難燃性ウレタン樹脂組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1)
本件発明1は、「添加剤が赤リンを必須成分とし」ているのに対して、甲1-1発明は、「赤リン」を含むものではない点。

(相違点2)
本件発明1においては、「難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡体を、ISO-5660の試験方法により準拠して、放射熱強度50kW/m^(2)にて加熱したときに、10分経過時の総発熱量が7.8MJ/m^(2)以下ある」のに対して、甲1-1発明では、混合物から製造される硬質ポリウレタンフォームを、ISO-5660に準拠し、放射熱強度50kW/m^(2)にて加熱したときに、20分経過時の総発熱量が2.1?7.7MJ/m^(2)であるものの、10分経過時の総発熱量については記載がない点。

イ 判断
まず、上記相違点1について検討する。
本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「しかし上記の全ての先行技術は、ポリウレタンフォームが火災等の熱の影響を受けた場合に形状が変化しやすい問題を解決する点について何も開示していない。
ポリウレタンフォームが火災等の熱により変形すると、ポリウレタンフォームが設置されていた場所と変形後のポリウレタンフォームとの間に隙間が生じる。この隙間を通じて火災等により発生した煙等が拡散する等の問題が生じる。」(【0015】)
「本発明の目的は、取り扱いが容易であり、難燃性に優れ、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成することのできる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、三量化触媒、発泡剤、整泡剤および添加剤を含み、前記添加剤が赤リンを必須成分とする難燃性ウレタン樹脂組成物が、本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成するに至った。」(【0021】?【0022】)
さらに、実施例1ないし実施例76と比較例1ないし比較例21の対比から、添加剤として赤リンを必須成分とし、赤リン以外に、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一つを組み合わせたものを含む難燃性ウレタン樹脂組成物であって、その発泡体をISO-5660の試験方法により放射熱強度20kW/m^(2)にて加熱したときに10分経過時の総発熱量が7.8MJ/m^(2)以下であるものは、発泡体の加熱時の膨張、変形、収縮において優れていることが看取できる。
これらの事項からみると、本件発明1は、難燃性に優れ、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成することのできる難燃性樹脂組成物を提供するという課題を解決するために、赤リンとそれ以外のリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一つとを組み合わせて使用したものと認められる。
これに対して、甲1-1には、赤リンについては一切記載がなく、難燃性については記載があるものの、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題については記載がない。
甲2-1には、難燃性ポリウレタンフォーム用組成物において、難燃剤がポリリン酸アンモニウムと赤燐とからなる複合難燃剤であることが記載されているものの(【請求項1】)、複合難燃剤としてポリリン酸アンモニウムと赤燐を特定の割合で配合することにより、高い難燃性を長期にわたり維持する等の効果が奏されることが記載されている(【0029】)のみで、ポリウレタンフォームが加熱されたときに一定の形状を保つという課題については何ら記載されていない。
甲3-1には、赤燐と、3価金属の水酸化物と、アルカリ土類金属水酸化物を含むポリオール組成物が記載されているものの(【請求項1】)、これにより、難燃性、耐熱性及び耐湿性に優れた難燃性ポリウレタン樹脂組成物を得ることができることが記載されている(【0051】)のみで、ポリウレタン樹脂組成物の発泡体については何ら記載がなく、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題についても記載はない。
甲4-1は、難燃性硬質ポリウレタンフォームにおいて、難燃剤がポリリン酸アンモニウム含有化合物と硫酸アンモニウムとからなる複合難燃剤であって、ポリリン酸アンモニウム含有化合物が、ポリリン酸アンモニウムと赤燐との混合物であることが記載されてものの、複合難燃剤の使用により使用量が少量であるにもかかわらず高い難燃性を有し、低発煙性および均一な発泡セルを有するということが記載されている(【0068】)のみで、赤燐を使用することの具体例も記載されていないし、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題についても記載はない。
甲5-1は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含む2成分系現場発泡システムにおいて、難燃剤として赤燐等を使用すること、場合によっては相乗剤として酸化アンチモンが好適であることについて記載されて(【0021】)いるものの、赤燐を使用することの具体例も記載されていないし、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題についても記載がない。
してみると、甲1-1発明において、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題を解決するために、リン酸エステルである、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートを、赤リンと組み合わせて使用することについては、甲1-1ないし甲5-1のいずれをみても、何らの動機付けも見出せない。そして、本件発明1は、本件特許明細書の記載(特に段落【0032】及び実施例1ないし76)によれば、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を与える難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することができるという効果を奏するものであり、当該効果は甲1-1ないし甲5-1に記載された事項から当業者が予測できるものではない。そうすると、甲1-1発明において赤リンを使用することは、当業者といえども容易に想到することができたとはいえない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明は、甲1-1発明と甲2-1ないし甲5-1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

ウ 申立人1の主張について
申立人1は、甲2-1ないし甲5-1より、赤リンを他の難燃剤と組み合わせて添加剤として使用することは周知技術であるから、従来周知の技術事項を甲1-1発明に適用することは適宜なし得ることにすぎない旨主張する。しかしながら、仮に、甲2-1ないし甲5-1から赤リンを他の難燃剤と組み合わせて添加剤として使用することが周知技術であるとしても、本件発明1は、赤リンと、リン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤および金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一つを組み合わせて使用することにより、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を与える難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することができるという効果を奏するものであり、当該効果は甲1-1ないし甲5-1に記載された事項から当業者が予測できるものではないことは、上記イに記載したとおりであるから、やはり甲1-1発明において、赤リンを使用することは、当業者といえども容易に想到することができたとはいえない。
よって、申立人1の上記主張は採用できない。

エ 小括
よって本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(2)本件発明2、3、5、7、8について
本件発明2、3、5、7、8は本件発明1を引用するものであるから、いずれも甲1-1発明との間に、上記(1)の相違点1を有する。そして、上記相違点1について、甲1-1発明において、リン酸エステルである、トリス(β-クロロプロピル)ホスフェートを、赤リンと組み合わせて使用することについては、甲1-1ないし甲5-1のいずれをみても、何らの動機付けも見出せないことは上記(1)に記載したとおりであり、上記(1)と同様の理由により、本件発明2、3、5、7、8は、甲1-1に記載された発明と甲2-1ないし甲5-1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし3、5、7、8は、甲1-1発明及び甲2-1ないし甲5-1に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではなく、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではないから、これらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものではない。

第5 申立理由2について
1 甲1-2ないし甲9-2の記載及び甲1-2に記載された発明

(1)各甲号証の記載
甲1-2には、申立人2が、申立書第15頁6行?第16頁第30行で指摘するとおりの事項(甲1-2の、【0001】、【0006】、【0028】、【0029】、【0034】、【0035】及び表1)が記載されており、以下の事項も記載されている。
「3)不燃性(コーンカロリー試験)
実施例、比較例にて作製したフリー発泡フォームサンプルから100mm×100mm、厚さ20mmの評価サンプルを切り出し、ISO-5660に準拠し、放射熱強度50kW/m^(2)にて20分間加熱したときの最大発熱速度(発熱速度)、総発熱量を測定した。この測定方法は、建築基準法施行令第108条の2に規定される公的機関である建築総合試験所にて、コーンカロリーメーター法による基準に対応するものとして規定された試験法である。」(【0037】)

甲2-2には、申立人2が、申立書第17頁第22行?第28行で指摘するとおりの事項(甲2-2の、【0041】及び【0012】)が記載されている。

甲3-2には、申立人2が、申立書第17頁32行?第18頁第15行で指摘するとおりの事項(甲3-2の12頁、17行目?21行目、22頁13?16行目、ページ1a)が記載されている。

甲4-2には、申立人2が、申立書第18頁第18行?第26行で指摘するとおりの事項(甲4-2の【0009】、【0034】及び【0035】)が記載されている。

甲5-2には、申立人2が、申立書第18頁第29行?第19頁第7行で指摘するとおりの事項(甲5-2の【0007】、【0010】及び【0027】)が記載されており、以下の事項も記載されている。
「(A)赤リン3?50質量%
(B)沈降防止剤0.2?15質量%
を含むポリウレタン用難燃剤組成物。」(【請求項1】)

甲6-2には、申立人2が、申立書第19頁第10行?第20行で指摘するとおりの事項(甲6-2の【0010】及び【0029】)が記載されている。

甲7-2には、申立人2が、申立書第19頁第23行?29行で指摘するとおりの事項(甲7-2の【0003】及び【0006】)が記載されている。

甲8-2には、申立人2が、申立書第20頁第1?第7行で指摘するとおりの事項(甲8-1の2頁右欄第7-22行及び図4)が記載されている。

甲9-2には、申立人2が、申立書第20頁第10?第15行で指摘するとおりの事項(甲9-2の【0006】及び【0023】)が記載されている。

(2)甲1-2に記載された発明
甲1-2には、【0034】、【0035】、【0037】及び表1より、以下の発明が記載されていると認められる。
「ポリイソシアネート成分と、ポリオール組成物を混合した硬質ポリウレタンフォーム用の混合物であって、ポリオール組成物は、ポリオール化合物と、TMCPPと、製泡剤と、触媒としてのオクチル酸カリウムと、シクロペンタンと水を含み、上記混合物から製造される硬質ポリウレタンフォームを、ISO-5660に準拠し、放射熱強度50kW/m^(2)にて20分加熱したときに、20分経過時の総発熱量が0.9?7.2MJ/m^(2)である混合物。」(以下、「甲1-2発明」という。)

2 対比・判断

(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1-2発明を対比する。
甲1-2発明のTMCPPは、甲1-2の【0029】の記載からみて「トリス(β-クロロプロピル)ホスフェート」であって、本件発明1の、「添加剤」のうちの「リン酸エステル」に相当し、甲1-2発明の「シクロペンタン」及び「水」は、本件発明1の「発泡剤」に相当する。また、甲1-2発明の「触媒としてのオクチル酸カリウム」は、本件発明1の「カルボン酸アルカリ金属塩」である「三量化触媒」に相当する。さらに、甲1-2発明における「混合物」は、難燃剤を含み、ポリイソシアネート成分とポリオール化合物を含むことから、本件発明1の「難燃性ウレタン樹脂組成物」に相当する。
してみると、本件発明1と甲1-2発明とは、
「難燃性ウレタン樹脂組成物であって、ポリイソシアネート化合物、ポリオール化合物、三量化触媒、発泡剤、整泡剤および添加剤を含み、前記三量化触媒が、カルボン酸アルカリ金属塩であり、前記添加剤が、リン酸エステルである、難燃性ウレタン樹脂組成物。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点3)
本件発明1は、「添加剤が赤リンを必須成分とし」ているのに対して、甲1-2発明は、「赤リン」を含むものではない点。
(相違点4)
本件発明1においては、「難燃性ウレタン樹脂組成物からなる発泡体を、ISO-5660の試験方法により準拠して、放射熱強度50kW/m^(2)にて加熱したときに、10分経過時の総発熱量が7.8MJ/m^(2)以下ある」のに対して、甲1-2発明では、混合物から製造される硬質ポリウレタンフォームを、ISO-5660に準拠し、放射熱強度50kW/m^(2)にて20分加熱したときに、20分経過時の総発熱量が0.9?7.2MJ/m^(2)であるものの、10分経過時の総発熱量については記載がない点。

イ 判断
まず、上記相違点3について検討する。
上記第4の2(1)イで記載したとおり、本件発明1は、難燃性に優れ、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成することのできる難燃性樹脂組成物を提供するという課題を解決するために、赤リンとそれ以外のリン酸エステル、リン酸塩含有難燃剤、臭素含有難燃剤、ホウ素含有難燃剤、アンチモン含有難燃剤及び金属水酸化物からなる群から選ばれる少なくとも一つとを組み合わせて使用したものと認められる。
これに対して甲1-2発明には、赤リンについての記載は一切なく、難燃性については記載されているものの、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題は記載されていない。
また、甲5-2には、赤リンがポリウレタン用難燃剤組成物に難燃性を付与する目的で添加されること(【0010】)、(A)赤リン3?50質量%、(B)沈降防止剤0.2?15質量%を含むポリウレタン用難燃剤組成物(【請求項1】)によれば、組成物中で各成分が均一に分散し、他の原料との混合後の貯蔵安定性にも優れたポリウレタン用難燃剤組成物ならびに、物性が良好かつ均一な難燃性ポリウレタンを提供することができること、また、上記ポリウレタン用難燃剤組成物によれば、物性が良好かつ均一な難燃性ポリウレタンフォームを提供することができることについては記載されている(【0007】)ものの、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題については記載されていない。
さらに、甲2-2ないし甲4-2及び甲6-2ないし甲9-2のいずれをみても、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題については記載されていないし、当該課題を解決するために、リン酸エステルと赤リンを組み合わせて使用することについても記載されていない。
してみると、甲1-2発明において、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという課題を解決するために、リン酸エステルであるTMCPPとともに、赤リンを使用することについて、甲1-2及び甲2-2ないし甲9-2のいずれをみても、何らの動機付けも見出せない。そして、本件発明1は、本件特許明細書の記載(特に段落【0032】及び実施例1ないし76)によれば、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を与える難燃性ウレタン樹脂組成物を提供することができるという効果を奏するものであり、当該効果は甲1-2ないし甲9-2に記載された事項から当業者が予測できるものではない。そうすると、甲1-2発明において赤リンを使用することは、当業者といえども容易に想到することができたとはいえない。
したがって、上記相違点4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1-2発明及び甲5-2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものではないし、甲1-2発明及び甲2-2ないし甲9-2に記載された事項に基いて容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 申立人2の主張について
申立書第27頁第25行?第28頁第19行には、以下の主張がある。
(ア)甲1-2の実施例1ないし9において、当然に「10分経過後」の総発熱量が「7.8MJ/m^(2)以下」であったといえるから、本件発明1における難燃性は甲1発明においてすでに奏されていた効果である。
(イ)甲5-2には難燃性を付与するためにポリウレタン用難燃剤組成物に赤リンを添加することが記載されており、従って甲1-2発明に赤リンを添加した場合、得られるフォームが赤リン未添加の場合と同様、ISO-5660に準拠するコーンカロリー試験における総発熱量について本件発明1に規定される範囲を満たすことも甲1-2及び甲5-2に基いて当業者が当然に予測しうる事項である。
(ウ)「取り扱いが容易であり・・・、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を与える」との効果について、甲1-2の「本発明の硬質ポリウレタンフォームは建材用として好適であり、鉄鋼板などの面材としたサンドイッチパネルに適したものである。」との記載から、甲1-2発明は建材として利用できる程度の取り扱い容易性を備え、面材として一定の形状を保つ発泡体を提供するものと当業者であれば通常認識することができるから、上記「取り扱いが容易であり、・・・、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を与える」との効果もまた、甲1-2においてすでに示唆ないし奏されている効果であり、格別な効果であるとは認められない。
しかしながら、仮に本件発明1の難燃性が甲1-2発明においてすでに奏されていた効果であり、甲1-2発明の混合物に甲5-2の記載に基いて赤リンを添加した場合、コーンカロリー試験における総発熱量が本件発明1に規定される範囲を満たすことが当業者が当然に予測し得る事項であったとしても、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成するという効果までも予測しうるということはできない。確かに甲1-2には、甲1-2発明の組成物から形成される硬質ポリウレタンフォームがサンドイッチパネルに適している旨の記載があり、当該記載から、建材として利用できる程度の取り扱い容易性を備え、面材として一定の形状を保つ発泡体を提供するものといえるとしても、当該記載は、加熱時に一定の形状を保つということについては何ら示唆するものでもない。
よって申立人2の上記主張は採用できない。

エ 小括
よって、本件発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。

(2)本件発明2ないし8について
本件発明2ないし8は、いずれも本件発明1を引用するものであって、甲1-2発明との間にいずれも、上記(1)の相違点3を有する。
そして、上記相違点3について、甲1-2発明において、リン酸エステルであるTMCPPと共に赤リンを使用することについては、甲1-2及び甲5-2をみても、また、甲2-2ないし甲9-2のいずれをみても、何らの動機付けも見出せないことは上記(1)に記載したとおりであり、上記(1)と同様の理由により、本件発明2ないし8は、甲1-2発明と甲5-2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないし、甲1-2発明と甲2-2ないし甲9-2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(3)まとめ
以上のとおりであるから、本件発明1ないし8は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではなく、これらの発明に係る特許は、同法第113条第2項に該当せず、取り消されるべきものではない。

第6 申立理由3について
1 甲10-2ないし甲12-2の記載
甲10-2には、申立人2が、申立書第20頁第17?第20行で指摘するとおりの事項が記載されている。

甲11-2には、申立人2が、申立書第20頁第24?第28行で指摘するとおりの事項(甲11-2の(37)頁左欄「3.3 難燃性と粒子径」の項及び図3)が記載されており、また以下の事項も記載されている。
「一般に難燃剤として使用される水酸化アルミニウムは10μm以下の粒子なので,析出凝集粒子を濾過・乾燥後,粉砕・分級・表面処理等の加工工程を経て,製品となる。」((36)頁左欄下から3行?下から1行)

甲12-2には、申立人2が、申立書第21頁第1?第2行で指摘するとおりの事項(466頁右欄)が記載されている

2 特許法第36条第4項第1号について
(1)申立人2の主張について
申立書第33頁第28行?第34頁第8行には以下の主張がある。
ア 本件明細書の実施例において使用された水酸化アルミニウムは「アルモリックス社製、製品名:B-325」であり、甲10-2の記載によれば、当該水酸化アルミニウムは平均粒子径が「27μm」である。そして、平均粒子径「27μm」以外の水酸化アルミニウムを配合した実施例は示されていない。
イ 甲11-2及び甲12-2の記載によれば、水酸化アルミニウムの平均粒子径は難燃効果と関連している。
ウ 甲11-2及び甲12-2に記載された事項を勘案すれば、難燃性ウレタン樹脂組成物においても水酸化アルミニウムをはじめとする難燃剤の平均粒子径は難燃性に大きく影響を与え得ることから、平均粒子径について何らの規定のない本件特許発明のすべての範囲において「取り扱いが容易であり、難燃性に優れ、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成することのできる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供する」ことを本件特許明細書の記載に基いて当業者は十分に理解することができず、本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載に基いて、本件特許発明のすべての範囲を実施しうることを当業者が十分に理解することはできない。

(2)判断
本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0033】ないし【0100】には、本件発明1の難燃性ウレタン樹脂組成物に含有される各成分やその配合量、当該組成物の製造方法について説明され、また、実施例1ないし76には、各種の構成成分を使用して当該難燃性ウレタン樹脂組成物を製造することが記載されている
ここで、確かに甲11-2及び甲12-2から、水酸化アルミニウムの充てん量を一定とした場合、粒子径が小さい程難燃効果が高くなることや、水酸化アルミニウムの平均粒子径が大きくなるほど酸素指数が低下することはみてとれるが、甲11-2には、一般に難燃剤として使用される水酸化アルミニウムは10μm以下の粒子である旨も記載されており、当該記載を鑑みれば、水酸化アルミニウム等の難燃剤を使用する際、ある程度小粒径のものを使用することは当業者の技術常識であるということができる。
してみれば、本件特許明細書の実施例に「27μm」の平均粒子径以外の水酸化アルミニウムを使用することが記載されていないとしても、本件特許明細書の発明の詳細な説明にあたった当業者は、通常難燃剤として用いられる程度の粒径の水酸化アルミニウム等の難燃剤を用いて、本件発明1ないし8を実施することができるものといえる。
したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1ないし8を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものである。

(3)まとめ
よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明1ないし8について、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしており、本件発明1ないし8に係る特許は、同法第113条第4号に該当せず、これらの特許は取り消すべきものではない。

3 特許法第36条第6項1号について
(1)申立人2の主張について
申立書第35頁第5?第13行には、以下の主張がある。
ア 甲12-2等の記載から、難燃剤として水酸化アルミニウムを使用する場合、配合される水酸化アルミニウムの平均粒子径によって付与される難燃効果が大きく異なり、平均粒子径が大きい水酸化アルミニウムを用いた場合には十分な難燃効果が付与されないことが示唆される。
イ 本件特許請求範囲において、添加剤(難燃剤)の平均粒子径について何らの規定もされていないことから、本件の請求項1は、本件の請求項1に規定される難燃性が達成されない態様を包含している蓋然性が高い。

(2)判断
本件発明1ないし8は、本件特許明細書の発明の詳細な説明の段落【0021】の記載からみて、取り扱いが容易であり、難燃性に優れ、加熱されたときに一定の形状を保つ発泡体を形成することのできる難燃性ウレタン樹脂組成物を提供するという課題を有するものと認められる。そして、実施例1ないし76には、これらの課題が解決された各組成物が記載されている。ここで、取り扱いが容易であるという課題については、上記実施例では言及されていないものの、明細書【0003】の記載に鑑み、アルミノケイ酸塩類を含有しないことから、上記実施例において当該課題は解決されているとみることができる。
また、上記実施例以外の、発明の詳細な説明の【0033】ないし【0100】には、本件発明1ないし8の難燃性ウレタン樹脂組成物の各成分やその配合量について記載されており、これらをみても、本件発明1ないし8が上記課題が解決されないものも包含するという格別の根拠も見出せない。
確かに、甲11-2によれば、配合される水酸化アルミニウムの平均粒子径によって付与される難燃効果が大きく異なり、平均粒子径が大きい水酸化アルミニウムを用いた場合には十分な難燃効果が付与されないことが示唆されるとも解しうる。しかしながら、甲11-2の図3によれば、本件発明の実施例で使用された「27μm」の粒径は、酸素指数の値からみて難燃性が相対的に低いとされる粒径であり、これより小さい粒径のものを用いた場合には、難燃効果が極端に低下するといえるものではない。また、通常難燃剤として水酸化アルミニウムを使用する場合、ある程度小粒径のものを使用することは当業者の技術常識であるといえることは上記2(2)に述べたとおりであるところ、難燃剤として通常使用する程度の粒径ものを使用した場合、本件発明1の「ISO-5660の試験方法により準拠して、放射熱強度50kW/m^(2)にて加熱したときに、10分経過時の総発熱量が7.8MJ/m^(2)以下」なる規定が達成されないとまではいえなし、そもそも、当該規定を有さないものは本件発明1には包含されないものであり、そのような組成物に含有される難燃剤の粒径は本件発明1と何らの関係も有さない。
したがって本件発明1は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できる範囲内のものであり、本件発明2ないし8についても同様である。

(3)まとめ
よって、本件発明1ないし8は、発明の課題を解決できることを当業者が認識できる範囲内のものであるから、その特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしており、本件発明1ないし8に係る特許は、同法第113条第4号に該当せず、これらの特許は取り消すべきものではない。


第7 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1ないし8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1ないし8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-05-29 
出願番号 特願2014-557418(P2014-557418)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (C08G)
P 1 651・ 536- Y (C08G)
P 1 651・ 537- Y (C08G)
最終処分 維持  
前審関与審査官 三原 健治  
特許庁審判長 岡崎 美穂
特許庁審判官 井上 猛
海老原 えい子
登録日 2017-09-01 
登録番号 特許第6200435号(P6200435)
権利者 積水化学工業株式会社
発明の名称 難燃性ウレタン樹脂組成物  
代理人 虎山 滋郎  
代理人 田口 昌浩  
代理人 平野 泰弘  

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