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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1341362
審判番号 不服2017-13399  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-09-08 
確定日 2018-07-03 
事件の表示 特願2012-149141「ゲームアイテムの取引システム、ゲームアイテムの取引方法、ゲームアイテムの取引方法を用いたゲームの提供システムおよびゲームの提供方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 1月20日出願公開、特開2014- 8365、請求項の数(18)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯

本願は平成24年7月3日を出願日とする特許出願であって、平成29年2月15日付けで手続補正がされ、同年4月27日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がされ、これに対して、同年9月8日に拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要

原査定に係る拒絶理由の概要は、次のとおりである。

1.原査定時の請求項1?14、16?21に係る各発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献2、3に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

2.原査定時の請求項15、22に係る各発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献2、3、4に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2006-293474号公報
2.特開2009-254448号公報
3.特開2009-187143号公報
4.特開2002-331169号公報

第3 平成29年9月8日付けの補正の適否

1 補正の内容
平成29年9月8日付けの補正(以下「本件補正」という。)による補正前の特許請求の範囲の請求項1ないし22、及び、補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし18は、それぞれ以下のとおりである。

(1)本件補正前の特許請求の範囲
「 【請求項1】
ネットワークを介してユーザ端末と接続する通信部と、
現金から不可逆的に交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能であり、1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付ける仮想通貨提供部と、
前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けるゲームアイテム提供部と、
複数の前記ユーザ間での前記ゲームアイテムの取引を実行するゲームアイテム取引部と、
を備え、
前記ゲームアイテム取引部は、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更することを所定の取引調整手段により決定し、
前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を決定し、
前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とするゲームアイテムの取引システム。
【請求項2】
前記所定の取引調整手段は、オークション、リバースオークション、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる方法より選択させることを特徴とする請求項1に記載のゲームアイテムの取引システム。
【請求項3】
前記ゲームアイテムは、前記第1のユーザが前記第2の仮想通貨と交換したゲームアイテム、前記第1のユーザがゲームの進行に応じて獲得したゲームアイテム、または前記第1のユーザがゲームの進行によりレベルを強化したゲームアイテムであることを特徴とする請求項1または2に記載のゲームアイテムの取引システム。
【請求項4】
前記ゲームアイテム取引部は、前記減算した前記ゲームアイテムの対価から所定の手数料を減算して、前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に前記所定の手数料を減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載のゲームアイテムの取引システム。
【請求項5】
サーバがネットワークを介してユーザ端末と接続し、
前記サーバは、現金から不可逆的に交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能であり、1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付けて、前記ユーザ毎にデータベースに記録し、
前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けて前記データベースに記録し、
前記サーバは、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更することを所定の取引調整手段により決定し、
前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を決定し、
前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とするゲームアイテムの取引方法。
【請求項6】
前記所定の取引調整手段は、オークション、リバースオークション、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる方法より選択させることを特徴とする請求項5に記載のゲームアイテムの取引方法。
【請求項7】
前記ゲームアイテムは、前記第1のユーザが前記第2の仮想通貨と交換したゲームアイテム、前記第1のユーザがゲームの進行に応じて獲得したゲームアイテム、または前記第1のユーザがゲームの進行によりレベルを強化したゲームアイテムであることを特徴とする請求項5または6に記載のゲームアイテムの取引方法。
【請求項8】
前記サーバは、前記減算した前記ゲームアイテムの対価から所定の手数料を減算して、前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に前記所定の手数料を減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とする請求項5乃至7の何れか一に記載のゲームアイテムの取引方法。
【請求項9】
ネットワークを介してユーザ端末と接続する通信部と、
現金から不可逆的に交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能であり、1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付ける仮想通貨提供部と、
前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けるゲームアイテム提供部と、
複数の前記ユーザ間での前記ゲームアイテムの取引を実行するゲームアイテム取引部と、
前記ネットワークを介して前記ユーザ端末から実行されるゲームを提供するゲーム提供部と、を備え、
前記ゲームアイテム取引部は、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更することを所定の取引調整手段により決定し、
前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を決定し、
前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とするゲームの提供システム。
【請求項10】
前記所定の取引調整手段は、オークション、リバースオークション、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる方法より選択させることを特徴とする請求項9に記載のゲームの提供システム。
【請求項11】
前記ゲームアイテム取引部は、前記減算した前記ゲームアイテムの対価から所定の手数料を減算して、前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に前記所定の手数料を減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とする請求項9または10に記載のゲームの提供システム。
【請求項12】
前記ユーザは、前記現金を前記第1の仮想通貨に交換することを前記仮想通貨提供部に要求し、
前記仮想通貨提供部は、前記ユーザから要求された金額の前記現金を前記第1の仮想通貨に交換して、前記ユーザと関連付け、
前記ユーザは、前記第1の仮想通貨を前記第2の仮想通貨に交換することを前記仮想通貨提供部に要求し、
前記仮想通貨提供部は、前記ユーザから要求された金額の前記第1の仮想通貨を前記第2の仮想通貨に交換して、前記ユーザと関連付けることを特徴とする請求項9乃至11の何れか一に記載のゲームの提供システム。
【請求項13】
前記ゲームアイテムは、前記第1のユーザが前記第2の仮想通貨と交換した第1のゲームアイテム、前記第1のユーザがゲームの進行に応じて獲得した第2のゲームアイテム、または前記第1のユーザがゲームの進行によりレベルを強化した第3のゲームアイテムであることを特徴とする請求項9乃至12の何れか一に記載のゲームの提供システム。
【請求項14】
前記ユーザは、ゲームアイテム提供部に第1のゲームアイテムの購入を要求し、ゲームアイテム提供部は、前記ユーザと前記第1のゲームアイテムとを関連付け、前記ユーザに関連付けられた前記第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算することを特徴とする請求項13に記載のゲームの提供システム。
【請求項15】
前記仮想通貨提供部は、前記ユーザが、前記ゲームの所定のステージをクリアすることに応じて、前記第1の仮想通貨と前記第2の仮想通貨とに交換不可能な第3の仮想通貨を前記ユーザに関連付け、
前記ユーザは、前記第3の仮想通貨を消費することにより、前記第1のゲームアイテムまたは前記第2のゲームアイテムのレベルを強化した第3のゲームアイテムを獲得し、
前記ゲームアイテム提供部は、前記ユーザに関連付けられた前記第3の仮想通貨から消費された前記第3の仮想通貨を減算することを特徴とする請求項14に記載のゲームの提供システム。
【請求項16】
サーバがネットワークを介してユーザ端末と接続し、
前記サーバは、現金から不可逆的に交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能であり、1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付けて、前記ユーザ毎にデータベースに記録し、
前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けて前記データベースに記録し、前記ネットワークを介して前記ユーザ端末から実行されるゲームを前記ユーザ端末に提供し、
前記サーバは、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更することを所定の取引調整手段により決定し、
前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を決定し、
前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とするゲームの提供方法。
【請求項17】
前記所定の取引調整手段は、オークション、リバースオークション、前記第1のユーザと前記第1のユーザとを無作為に組合せる方法より選択させることを特徴とする請求項16に記載のゲームの提供方法。
【請求項18】
前記サーバは、前記減算した前記ゲームアイテムの対価から所定の手数料を減算して、前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に前記所定の手数料を減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とする請求項16または17に記載のゲームの提供方法。
【請求項19】
前記ユーザは、前記現金を前記第1の仮想通貨に交換することを前記サーバに要求し、
前記サーバは、前記ユーザから要求された金額の前記現金を前記第1の仮想通貨に交換して、前記ユーザと関連付け、
前記ユーザは、前記第1の仮想通貨を前記第2の仮想通貨に交換することを前記サーバに要求し、
前記サーバは、前記ユーザから要求された金額の前記第1の仮想通貨を前記第2の仮想通貨に交換して、前記ユーザと関連付けることを特徴とする請求項16乃至18の何れか一に記載のゲームの提供方法。
【請求項20】
前記ゲームアイテムは、前記第1のユーザが前記第2の仮想通貨と交換した第1のゲームアイテム、前記第1のユーザがゲームの進行に応じて獲得した第2のゲームアイテム、または前記第1のユーザがゲームの進行によりレベルを強化した第3のゲームアイテムであることを特徴とする請求項16乃至19の何れか一に記載のゲームの提供方法。
【請求項21】
前記ユーザは、前記サーバに第1のゲームアイテムの購入を要求し、
前記サーバは、前記ユーザと前記第1のゲームアイテムとを関連付け、前記ユーザに関連付けられた前記第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算することを特徴とする請求項20に記載のゲームの提供方法。
【請求項22】
前記サーバは、前記ユーザが、前記ゲームの所定のステージをクリアすることに応じて、
前記第1の仮想通貨と前記第2の仮想通貨とに交換不可能な第3の仮想通貨を前記ユーザに関連付け、
前記ユーザは、前記第3の仮想通貨を消費することにより、前記第1のゲームアイテムまたは前記第2のゲームアイテムのレベルを強化した第3のゲームアイテムを獲得し、
前記サーバは、前記ユーザに関連付けられた前記第3の仮想通貨から消費された前記第3の仮想通貨を減算することを特徴とする請求項21に記載のゲームの提供方法。」

(2)本件補正後の特許請求の範囲
「 【請求項1】
ネットワークを介してユーザ端末と接続する通信部と、
現金から不可逆的に交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能であり、1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付ける仮想通貨提供部と、
前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けるゲームアイテム提供部と、
複数の前記ユーザ間での前記ゲームアイテムの取引を実行するゲームアイテム取引部と、
を備え、
前記ゲームアイテム取引部は、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納し、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定し、
前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とするゲームアイテムの取引システム。
【請求項2】
前記ゲームアイテムは、前記第1のユーザが前記第2の仮想通貨と交換したゲームアイテム、前記第1のユーザがゲームの進行に応じて獲得したゲームアイテム、または前記第1のユーザがゲームの進行によりレベルを強化したゲームアイテムであることを特徴とする請求項1に記載のゲームアイテムの取引システム。
【請求項3】
前記ゲームアイテム取引部は、前記減算した前記ゲームアイテムの対価から所定の手数料を減算して、前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に前記所定の手数料を減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とする請求項1又は2に記載のゲームアイテムの取引システム。
【請求項4】
サーバがネットワークを介してユーザ端末と接続し、
前記サーバは、現金から不可逆的に交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能であり、1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付けて、前記ユーザ毎にデータベースに記録し、
前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けて前記データベースに記録し、
前記サーバは、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納し、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定し、
前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とするゲームアイテムの取引方法。
【請求項5】
前記ゲームアイテムは、前記第1のユーザが前記第2の仮想通貨と交換したゲームアイテム、前記第1のユーザがゲームの進行に応じて獲得したゲームアイテム、または前記第1のユーザがゲームの進行によりレベルを強化したゲームアイテムであることを特徴とする請求項4に記載のゲームアイテムの取引方法。
【請求項6】
前記サーバは、前記減算した前記ゲームアイテムの対価から所定の手数料を減算して、前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に前記所定の手数料を減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とする請求項4又は5に記載のゲームアイテムの取引方法。
【請求項7】
ネットワークを介してユーザ端末と接続する通信部と、
現金から不可逆的に交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能であり、1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付ける仮想通貨提供部と、
前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けるゲームアイテム提供部と、
複数の前記ユーザ間での前記ゲームアイテムの取引を実行するゲームアイテム取引部と、
前記ネットワークを介して前記ユーザ端末から実行されるゲームを提供するゲーム提供部と、を備え、
前記ゲームアイテム取引部は、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納し、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定し、
前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とするゲームの提供システム。
【請求項8】
前記ゲームアイテム取引部は、前記減算した前記ゲームアイテムの対価から所定の手数料を減算して、前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に前記所定の手数料を減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とする請求項7に記載のゲームの提供システム。
【請求項9】
前記ユーザは、前記現金を前記第1の仮想通貨に交換することを前記仮想通貨提供部に要求し、
前記仮想通貨提供部は、前記ユーザから要求された金額の前記現金を前記第1の仮想通貨に交換して、前記ユーザと関連付け、
前記ユーザは、前記第1の仮想通貨を前記第2の仮想通貨に交換することを前記仮想通貨提供部に要求し、
前記仮想通貨提供部は、前記ユーザから要求された金額の前記第1の仮想通貨を前記第2の仮想通貨に交換して、前記ユーザと関連付けることを特徴とする請求項7又は8に記載のゲームの提供システム。
【請求項10】
前記ゲームアイテムは、前記第1のユーザが前記第2の仮想通貨と交換した第1のゲームアイテム、前記第1のユーザがゲームの進行に応じて獲得した第2のゲームアイテム、または前記第1のユーザがゲームの進行によりレベルを強化した第3のゲームアイテムであることを特徴とする請求項7乃至9の何れか一に記載のゲームの提供システム。
【請求項11】
前記ユーザは、ゲームアイテム提供部に第1のゲームアイテムの購入を要求し、
ゲームアイテム提供部は、前記ユーザと前記第1のゲームアイテムとを関連付け、前記ユーザに関連付けられた前記第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算することを特徴とする請求項10に記載のゲームの提供システム。
【請求項12】
前記仮想通貨提供部は、前記ユーザが、前記ゲームの所定のステージをクリアすることに応じて、前記第1の仮想通貨と前記第2の仮想通貨とに交換不可能な第3の仮想通貨を前記ユーザに関連付け、
前記ユーザは、前記第3の仮想通貨を消費することにより、前記第1のゲームアイテムまたは前記第2のゲームアイテムのレベルを強化した第3のゲームアイテムを獲得し、
前記ゲームアイテム提供部は、前記ユーザに関連付けられた前記第3の仮想通貨から消費された前記第3の仮想通貨を減算することを特徴とする請求項11に記載のゲームの提供システム。
【請求項13】
サーバがネットワークを介してユーザ端末と接続し、
前記サーバは、現金から不可逆的に交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能であり、1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付けて、前記ユーザ毎にデータベースに記録し、
前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けて前記データベースに記録し、
前記ネットワークを介して前記ユーザ端末から実行されるゲームを前記ユーザ端末に提供し、
前記サーバは、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納し、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定し、
前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とするゲームの提供方法。
【請求項14】
前記サーバは、前記減算した前記ゲームアイテムの対価から所定の手数料を減算して、前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に前記所定の手数料を減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶することを特徴とする請求項13に記載のゲームの提供方法。
【請求項15】
前記ユーザは、前記現金を前記第1の仮想通貨に交換することを前記サーバに要求し、前記サーバは、前記ユーザから要求された金額の前記現金を前記第1の仮想通貨に交換して、前記ユーザと関連付け、
前記ユーザは、前記第1の仮想通貨を前記第2の仮想通貨に交換することを前記サーバに要求し、
前記サーバは、前記ユーザから要求された金額の前記第1の仮想通貨を前記第2の仮想通貨に交換して、前記ユーザと関連付けることを特徴とする請求項13又は14に記載のゲームの提供方法。
【請求項16】
前記ゲームアイテムは、前記第1のユーザが前記第2の仮想通貨と交換した第1のゲームアイテム、前記第1のユーザがゲームの進行に応じて獲得した第2のゲームアイテム、または前記第1のユーザがゲームの進行によりレベルを強化した第3のゲームアイテムであることを特徴とする請求項13乃至15の何れか一に記載のゲームの提供方法。
【請求項17】
前記ユーザは、前記サーバに第1のゲームアイテムの購入を要求し、
前記サーバは、前記ユーザと前記第1のゲームアイテムとを関連付け、前記ユーザに関連付けられた前記第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算することを特徴とする請求項16に記載のゲームの提供方法。
【請求項18】
前記サーバは、前記ユーザが、前記ゲームの所定のステージをクリアすることに応じて、
前記第1の仮想通貨と前記第2の仮想通貨とに交換不可能な第3の仮想通貨を前記ユーザに関連付け、
前記ユーザは、前記第3の仮想通貨を消費することにより、前記第1のゲームアイテムまたは前記第2のゲームアイテムのレベルを強化した第3のゲームアイテムを獲得し、
前記サーバは、前記ユーザに関連付けられた前記第3の仮想通貨から消費された前記第3の仮想通貨を減算することを特徴とする請求項17に記載のゲームの提供方法。」

3 補正の適否
本件補正は、補正前の請求項2、6、10、17を削除して、補正前の請求項3ないし5、7ないし9、11ないし16、18ないし22を、それぞれ補正後の請求項2ないし4、5ないし7、8ないし13、14ないし18に繰り上げるともに、各請求項が引用する請求項も同様に繰り上げ(以下「補正事項1」という。)、補正後の請求項1、7について、補正前の請求項1、9の発明特定事項である「前記ゲームアイテム取引部は、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更することを所定の取引調整手段により決定し、」を、「前記ゲームアイテム取引部は、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納し、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定し、」と補正し(以下「補正事項2」という。)、補正後の請求項4、13について、補正前の請求項5、16の発明特定事項である「前記サーバは、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更することを所定の取引調整手段により決定し、」を、「前記サーバは、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納し、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定し、」と補正(以下「補正事項3」という。)するものである。


補正事項1は、特許法第17条の2第5項第1号の請求項の削除を目的とするものに該当する。
補正事項2は、補正後の請求項1、7について、補正前の請求項1、9の発明特定事項である「前記ゲームアイテム取引部は、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更することを所定の取引調整手段により決定し、」を、「前記ゲームアイテム取引部は、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納し、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定し、」と限定するものであって、補正前の請求項1、9に係る発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
補正事項3は、補正後の請求項4、13について、補正前の請求項5、16の発明特定事項である「前記サーバは、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更することを所定の取引調整手段により決定し、」を、「前記サーバは、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納し、第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定し、」と限定するものであって、補正前の請求項5、16に係る発明と産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

上記補正事項2、3の発明特定事項は、当初明細書の段落【0046】に記載されているから、審判請求時の補正は新規事項を追加するものではない。

そして、「第4 本願の発明」から「第8 むすび」までに示されているように、補正後の請求項1ないし18に係る発明は、独立特許要件を満たすものである。

第4 本願の発明

本願の請求項1ないし18に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明18」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし18「第3 1 (2)」に記載された事項により特定される発明である。

第5 引用文献、引用発明等

1.引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献1(特開2006-293474号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。(以下の下線は、いずれも審決で付した。引用文献2以下についても同様である。)

(1)「【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、図1を用いて本発明に係る仮想店舗システムの一例として、ネットワーク遊技システム1の構成について説明する。ネットワーク遊技システム1は、利用者が使用する端末2、端末2に搭載されたWebブラウザ10にユーザインタフェースを提供するWebサーバ3、課金処理を行う課金サーバ4、課金情報が管理される課金データベース5、端末2にインストールされたゲームアプリ20とゲーム情報のやり取りをして遊技を提供するゲームサーバ6、ゲーム情報を記憶するゲームデータベース7、並びに、端末2とWebサーバ3、課金サーバ4、および、ゲームサーバ6とを接続するネットワーク8から構成されている。
【0011】
このネットワーク遊技システム1は、利用者が、ゲームアプリ20およびゲームサーバ6により、ゲームサーバ6上に作られた仮想空間にアクセスし、仮想タウン内にある仮想店舗を選んで遊技を行ったり、商品の購入を行ったりするものである。そのため、図2に示すように、利用者は仮想空間内で、タウン画面31と店舗画面32を行き来して、その店舗画面32に対応する店舗からコンテンツ(遊技であったり、商品の販売であったりする)33を利用する。
【0012】
ここで、本実施例においては、利用者は、仮想タウン内で利用できる仮想通貨(「タウン通貨TVM」と呼ぶ)と、スロットマシン等の遊技コンテンツを提供する店舗でのみ利用できる仮想通貨(「ゲーム通貨GVM」と呼ぶ)とを利用可能であり、以降の説明においては、これらの通貨TVM,GVMの管理方法について説明する。なお、このネットワーク遊技システム1を利用するために、予め利用者の銀行口座の利用者情報等が課金データベース5に登録されているものとして説明を行う。
【0013】
(タウン通貨の購入)
利用者は、まずタウン通貨TVMの購入を行う必要があり、その処理の流れについて図3を用いて説明する。利用者は端末2のWebブラウザ10を用いてWebサーバ3のTVM購入インタフェース30にアクセスする。すると、TVM購入インタフェース30は、端末2に利用者のログイン情報を入力する画面を表示し、これに対して利用者はIDおよびパスワードを入力してTVM購入インタフェース30に送信する(ステップS100)。そしてこの利用者のIDおよびパスワードが認証されると、TVM購入インタフェース30は、端末2にタウン通貨TVMの購入量を入力する画面を表示し、これに対して利用者は購入量を入力してTVM購入インタフェース30に送信する(ステップS101)。
【0014】
TVM購入インタフェース30は、利用者から入力された購入量と利用者のIDおよびパスワードを課金サーバ4に送信する(ステップS102)。すると、課金サーバ4は利用者の認証を行い、また、決済システム等と連係し、指定されたタウン通貨TVMの購入量に応じた課金処理を行い、利用者のIDに対応するTVM残高情報50を更新する(ステップS103)。この場合、タウン通貨TVMの購入であるため、利用者のTVM残高情報50に購入量が加算される。そして、このタウン通貨TVMの購入結果が課金サーバ4からWebサーバ3に送信される。なお、タウン通貨TVMの決済ができないときは、購入失敗の結果が通知される(ステップS104)。さらに、TVM購入インタフェース30は、課金サーバ4からの結果を端末2に送信して表示し、利用者に提示する(ステップS105)。
【0015】
(ゲーム通貨への交換)
利用者は、仮想店舗の提供する遊技(例えば、スロットマシン)を利用する場合には、タウン通貨TVMをゲーム通貨GVMに変換する必要があり、その処理の流れについて図4を用いて説明する。利用者は端末2のWebブラウザ10を用いてWebサーバ3のGVM交換インタフェース31にアクセスする。すると、GVM交換インタフェース31は、端末2に利用者のログイン情報を入力する画面を表示し、これに対して利用者はIDおよびパスワードを入力してGVM交換インタフェース31に送信する(ステップS110)。そしてこの利用者のIDおよびパスワードが認証されると、GVM交換インタフェース31は、端末2にタウン通貨TVMからゲーム通貨GVMに変換するための変換量を入力する画面を表示し、これに対して利用者は変換量を入力してGVM変換インタフェース31に送信する(ステップS111)。
【0016】
GVM変換インタフェース31は、利用者から入力された変換量と利用者のIDおよびパスワードを課金サーバ4に送信する(ステップS112)。これららの情報を受信した課金サーバ4は、タウン通貨TVMからゲーム通貨GVMへの変換処理を行う(ステップS113)。具体的には、変換量に対応するタウン通貨TVMを課金データベース5のTVM残高情報50から減算し、その額をゲームサーバ6に通知する。この通知をゲームサーバ6が受け取ると、通知されたタウン通貨TVMに対応するゲーム通貨GVMをゲームデータベース7のGVM残高情報70に加算する(ステップS114)。そして、課金サーバ4は変換結果をGVM交換インタフェース31に送信し(ステップS115)、GVM交換インタフェース31はその結果を端末2に送信して表示して利用者に提示する(ステップS116)。」

(2)「【0021】
なお、本実施例においては、遊技で得た通貨(ゲーム通貨GVM)により商品の購入等が行えないように、ゲーム通貨GVMからタウン通貨TVMへの交換はできないように構成されているが、これらの通貨の間の交換も同様の方法で実現することができる。」

前記の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認定できる。

「端末2とWebサーバ3、課金サーバ4、および、ゲームサーバ6とを接続するネットワーク8から構成され、仮想タウン内で利用できるタウン通貨TVMと、スロットマシン等の遊技コンテンツを提供する店舗でのみ利用できるゲーム通貨GVMとを利用可能であり、利用者は、まずタウン通貨TVMの購入を行う必要があり、利用者は購入量を入力し、課金サーバ4は指定されたタウン通貨TVMの購入量に応じた課金処理を行い、利用者のTVM残高情報50に購入量が加算され、仮想店舗の提供する遊技を利用する場合には、タウン通貨TVMをゲーム通貨GVMに変換する必要があり、利用者から入力された変換量の情報を受信した課金サーバ4は、変換量に対応するタウン通貨TVMを課金データベース5のTVM残高情報50から減算し、その額をゲームサーバ6に通知し、通知されたタウン通貨TVMに対応するゲーム通貨GVMをゲームデータベース7のGVM残高情報70に加算し、ゲーム通貨GVMからタウン通貨TVMへの交換はできないネットワーク遊技システム。」

2.引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献2(特開2009-254448号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【0013】
(本発明の実施の形態)
(オンラインゲーム提供システム)
先ずオンラインゲーム提供システム100ついて図1を用いて説明する。オンラインゲーム提供システム100はオンラインゲーム提供サーバ1とオンラインゲームを行うユーザ端末2a,2b,2c,2dより構成される。オンラインゲーム提供サーバ1は、オンラインゲームに参加するユーザ端末2a?2dとインターネット等を介して接続可能となっている。尚、本発明の実施の形態においてこのオンラインゲーム自体に参加することは無料であり、ユーザはゲームに参加することについては課金されないものとする。」

(2)「【0020】
(3)においてユーザ端末2aは仮想世界3上に店舗を開き、不要なアイテムを売却・出品する旨を提示する。売買は仮想世界3のみで流通される仮想通貨のみで行われるものとし、売却価格はそのアイテムの売買傾向によりオンラインゲーム提供サーバ1が変動させるものとする。
【0021】
出品されるアイテムを己のプレイヤキャラクタ7のために購入したいと判断したユーザ端末2dは、(4)において現実の通貨、例えば日本においては日本円を支払い、(5)において売却価格に必要な仮想通貨を取得する。ユーザ端末2dは(6)においてアイテム売却価格相当の仮想通貨をプレイヤキャラクタ4(ユーザ端末2a)に対して支払い、(7)において、購入されたアイテムはプレイヤキャラクタ7が取得し、使用可能となる。
【0022】
最後に(8)において、ユーザ端末2aは、売却手数料として、例えば売却価格の5%をオンラインゲーム提供サーバ1に支払う。尚、この売却手数料はオンラインゲーム提供側に支払わればよいのであって、購入するユーザ端末2dが支払ったり、相互に分割して支払っても良い。」

(3)「【0083】
尚、日本円から仮想通貨への換金は可能であるが、仮想通貨から日本円への換金は不可能とする。」

前記の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下、「技術事項2」という。)が記載されていると認定できる。

「オンラインゲーム提供サーバ1は、オンラインゲームに参加するユーザ端末2a?2dとインターネット等を介して接続可能となっており、ユーザ端末2aは、アイテムを売却・出品する旨を提示し、売買は仮想世界3のみで流通される仮想通貨のみで行われ、売却価格はそのアイテムの売買傾向によりオンラインゲーム提供サーバ1が変動させ、出品されるアイテムを己のプレイヤキャラクタ7のために購入したいと判断したユーザ端末2dは、日本円を支払い、売却価格に必要な仮想通貨を取得し、ユーザ端末2dはアイテム売却価格相当の仮想通貨をユーザ端末2aに対して支払い、購入されたアイテムはプレイヤキャラクタ7が取得し、ユーザ端末2aは、売却手数料をオンラインゲーム提供サーバ1に支払い、日本円から仮想通貨への換金は可能であるが、仮想通貨から日本円への換金は不可能であるオンラインゲーム提供システム。」

3.引用文献3について

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献3(特開2009-187143号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【0017】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。
(システム構成)
図1は、本発明の一実施形態の仮想空間上の取引システムを説明するための図である。図示したシステムは、オンラインゲームを提供するゲームサーバ101と、オークションシステムを提供するオークションサーバ102と、を含んでいる。ゲームサーバ101とオークションサーバ102は、互いにネットワークを介して接続されている。ネットワークには、ユーザが所有するパーソナルコンピュータ(PC)等の情報端末装置が複数接続されている。
【0018】
ゲームサーバ101は、複数のPC1?PC5と共にゲームサービスを提供するコンピュータシステム(以下、ゲームシステム)を構築する。また、オークションサーバ102は、複数のPC1?PC5と共にオークションサービスを提供するコンピュータシステム(以下、オークションシステム)を構築する。さらに、ゲームサーバ101及びオークションサーバ102と複数のPC1?PC5によって本実施形態の仮想空間上の取引システムが構築される。」

(2)「【0022】
本実施形態の仮想空間上の取引システムは、対象データの取引にゲームシステムにおいて利用される仮想的な仮想貨幣を使用する。仮想貨幣とは、ユーザが予め仮想空間上の取引システムの管理者から買い取った、仮想空間上の取引システムにおいてのみ使用される貨幣である。本実施形態の仮想貨幣の単位は「mint」である。仮想貨幣は、オークション上での取引の他、システムがユーザに対して提供するサービス全般に使用される。」

(3)「【0031】
オークションシステムの支払い管理部111は、販売者に代金分の仮想貨幣m3を送る。仮想貨幣m3を送る処理は、支払い管理部111が、会員DB130に販売者が所持すると記録されている仮想貨幣を、代金分だけ増加させることによって行われる。また、支払い管理部111は、会員DB130に購入者が所持すると記録されている仮想貨幣m4を手数料分だけ減少させる。さらに、流札者には、入札額分の仮想貨幣を返還する。仮想貨幣の返還も、会員DB130のmint table141上で行われる。」

前記の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の技術事項(以下、「技術事項3」という。)が記載されていると認定できる。

「ゲームサーバ101とオークションサーバ102は、互いにネットワークを介して接続され、ネットワークには、ユーザが所有するパーソナルコンピュータ(PC)等の情報端末装置が複数接続されており、仮想空間上の取引システムは、対象データの取引にゲームシステムにおいて利用される仮想的な仮想貨幣を使用し、仮想貨幣とは、ユーザが予め仮想空間上の取引システムの管理者から買い取る仮想空間上の取引システムにおいてのみ使用される貨幣であり、オークションシステムの支払い管理部111は、販売者に代金分の仮想貨幣m3を送り、仮想貨幣m3を送る処理は、支払い管理部111が、会員DB130に販売者が所持すると記録されている仮想貨幣を、代金分だけ増加させ、支払い管理部111は、会員DB130に購入者が所持すると記録されている仮想貨幣m4を手数料分だけ減少させる仮想空間上の取引システム。」

3.引用文献4について

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献4(特開2002-331169号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【0046】[実施形態1]図1は本発明の実施形態1のシステム構成を説明する図である。図1において、図中符号1はゲームソフトのプログラムを実行するゲーム機本体、2はゲームのプログラムが保存された記録媒体(以下ゲームソフト)、3はゲーム機とプログラムに命令を与えるコントローラー、4はゲームの映像と音声を出力するディスプレイ、5は記録用紙に画像や文章を印字する記録装置、6は本実施形態1の特徴であるゲームポイント銀行を開設しているサーバである。また、7はゲーム機1からディスプレイ4に映像を送信する映像ケーブル、8はゲーム機1からディスプレイ4に音声を送信する音声ケーブル、9はゲーム機1から記録装置5に印字命令を送信するプリンタケーブル、10はゲーム機1とコントローラー3とを相互通信するコントローラーケーブル、11はゲーム機1とサーバ6とを相互通信するネットワークケーブルである。」

(2)「【0049】上記ゲーム進行により得た攻略度をユーザは、ネットワークケーブル11を介してゲーム機1からサーバ6内のゲームポイント銀行にポイントとして貯めることができる。前述したゲーム機1の記憶装置に記憶する際にゲームポイント銀行に接続(アクセス)できる。ゲームソフトにアクセス機能をプログラムしておいてもよいし、ゲーム機本体にその機能を持たせておいてもよい。またゲームを終了したあとであっても、アクセス専用のソフトによりゲームポイント銀行と接続を行い、上記ゲーム機1の記憶装置から攻略度を読み取り、ゲームポイント銀行にポイントを預けることができる。」

(3)「【0057】サービスページにはサービスコーナーが設けてあり、この中のサービスをユーザはゲームポイント銀行に貯めたポイントを利用して受けることができる。ここでサービス内容の例を示す。市場販売されている一般商品をポイントで購入するサービス、このサービスページにおいてのみ入手可能な希少価値の高い商品をポイントで購入するサービスなどである。後者の商品とは、例えば新たなゲームステージであり、攻略度が高いことを証明する認定書であり、市場販売にない絵柄を持つトレーディングカードなどである。各サービス項目には購入に必要なポイント数を表示しておいてもよい。サービスコーナーで得られるサービスはポイントで購入することにより、後日運送されてもよいし、ネットワークケーブルを介してゲーム機1にダウンロードされてもよいし、ネットワークケーブルとゲーム機1とプリンタケーブル9を介して記録装置5によって印刷されてもよい。」

(4)「【0074】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれば、ゲーム機とサーバが通信回線を介して接続されているゲームシステムにおいて、サーバはゲームユーザの識別子とゲーム攻略度を管理するゲーム攻略度管理データベースを記憶しており、ゲーム機から、サーバにアクセスしゲーム攻略度管理データベースに接続し、ゲーム機がゲーム攻略度管理データベースに接続した場合に、ゲーム機によりゲームユーザの識別子の入力を受け付け、入力された識別子をサーバへ送信し、サーバにより、ゲーム機から送信された識別子が、ゲーム攻略度管理データベースに登録されているか否かを確認して認証し、ゲームユーザの識別子が入力された場合に、ゲーム攻略度をゲーム機からゲーム攻略度管理データベースへ送信し、上記の認証が得られた場合に、サーバがゲーム機から送信されたゲーム攻略度を受信し、受信したゲーム攻略度をサーバがゲーム攻略度管理データベースに記憶する。」

前記の記載事項を総合すると、引用文献4には、次の技術事項(以下、「技術事項4」という。)が記載されていると認定できる。

「ゲーム機1とサーバ6とを相互通信するネットワークケーブルを有し、ゲーム進行により得た攻略度をユーザは、ネットワークケーブル11を介してゲーム機1からサーバ6内のゲームポイント銀行にポイントとして貯めることができ、商品をポイントで購入するサービスがあり、商品とは、例えば新たなゲームステージであり、攻略度が高いことを証明する認定書であり、市場販売にない絵柄を持つトレーディングカードなどであるゲームシステム。」

第6 対比・判断

1.本願発明1について

(1)対比

本願発明1と引用発明1とを対比すると、後者の「端末2」は、前者の「ユーザ端末」に相当し、以下同様に、「課金サーバ4」は「仮想通貨提供部」に、「ネットワーク8」は「ネットワーク」に、「タウン通貨TVM」は「第1の仮想通貨」に、「ゲーム通貨GVM」は「第2の仮想通貨」にそれぞれ相当する。

また、後者は「端末2とWebサーバ3、課金サーバ4、および、ゲームサーバ6とを接続するネットワーク8から構成され」ているから、後者は前者の「ネットワークを介してユーザ端末と接続する通信部」を備えているといえる。

また、後者において「利用者は、まずタウン通貨TVMの購入を行」い、「利用者は購入量を入力し、課金サーバ4は指定されたタウン通貨TVMの購入量に応じた課金処理を行い、利用者のTVM残高情報50に購入量が加算され」るから、後者は、前者の「現金から交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け」る事項を備えているといえる。

また、後者において「利用者から入力された変換量の情報を受信した課金サーバ4は、変換量に対応するタウン通貨TVMを課金データベース5のTVM残高情報50から減算し、その額をゲームサーバ6に通知し、通知されたタウン通貨TVMに対応するゲーム通貨GVMをゲームデータベース7のGVM残高情報70に加算」するから、後者は前者の「第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付ける」事項を備えているといえる。

また後者は「ゲーム通貨GVMからタウン通貨TVMへの交換はできない」から、後者は前者の「第2の仮想通貨」が「前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能」な事項を備えているといえる。

したがって、両者は、

「ネットワークを介してユーザ端末と接続する通信部と、
現金から交換可能な第1の仮想通貨とユーザとを関連付け、前記第1の仮想通貨から不可逆的に交換可能な第2の仮想通貨と前記ユーザとを関連付ける仮想通貨提供部と、
を備える」点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本願発明1の「第1の仮想通貨」が「現金から不可逆的に交換可能」であるに対して、引用発明1の「タウン通貨TVM」は、現金から交換(課金処理)されるものであるが、該交換が不可逆的なものか不明である点。

相違点2:本願発明1の「第2の仮想通貨」が「1つ以上のゲームを含むグループ毎に異なり、他のゲームのグループに転用することができない」に対して、引用発明1の「ゲーム通貨GVM」がそのようなものか不明である点。

相違点3:本願発明1の「前記ユーザとゲームアイテムとを関連付けるゲームアイテム提供部」が、引用発明1には備えられていない点。

相違点4:本願発明1の「複数の前記ユーザ間での前記ゲームアイテムの取引を実行するゲームアイテム取引部」が、引用発明1には備えられていない点。

相違点5:本願発明1の「前記ゲームアイテム取引部は、前記ゲームアイテム毎に前記第2の仮想通貨により前記ゲームアイテムの対価を事前に決定して格納」することが、引用発明1には備えられていない点。

相違点6:本願発明1の「第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを、第2のユーザに関連付けるように変更するために、前記第1のユーザと前記第2のユーザとを無作為に組合せる取引調整手段により前記第1のユーザと前記第2のユーザとを決定」することが、引用発明1には備えられていない点。

相違点7:本願発明1の「前記第1のユーザに関連付けられた前記ゲームアイテムを前記第2のユーザに関連付けるように変更し、
前記第2のユーザに関連付けられた第2の仮想通貨から前記ゲームアイテムの対価を減算し、
前記第1のユーザに関連付けた第2の仮想通貨に、減算した前記ゲームアイテムの対価を加算して記憶する」ことが、引用発明1には備えられていない点。

相違点8:本願発明1が「ゲームアイテムの取引システム」であるのに対して、引用発明1は「ネットワーク遊技システム」である点。

(2)判断

次に、前記相違点6について以下検討する。

引用文献2、3、4にも、前記相違点6に係る本願発明1の発明特定事項は開示されていないし、これを示唆するものもない。

また、前記相違点6に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。

そして、本願発明1は前記相違点6に係る発明特定事項を備えることによって、「・・・販売者または出品者(第1のユーザ)と購入者(第2のユーザ)とを無作為に組合せる方法としては、・・・出品者と購入者をランダムに組合せて取引を行わせる。このように、本実施形態に係るゲームアイテム取引においては、所定の取引調整手段を介することにより、出品者と購入者との直接取引を防止して、ゲームアイテムを第三者に譲渡することにより不当な利益を得る行為を抑制し、健全性の高いゲームをユーザに提供することが可能となる。」(段落【0046】参照。)という作用効果を奏するものである。

したがって、本願発明1は、引用発明1及び技術事項2ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

2.本願発明2ないし18について
前記「第3 1 (2)」のとおり、本願発明4、7、13は、末尾がそれぞれ「ゲームアイテムの取引方法」、「ゲームの提供システム」、「ゲームの提供方法」である他は、実質的に本願発明1と変わるところはなく、本願発明1と同様に前記相違点6に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1についてと同様の理由で、引用発明1及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
前記「第3 1 (2)」のとおり、本願発明2ないし3、本願発明5ないし6、本願発明8ないし12、本願発明14ないし18は、それぞれ本願発明1、4、7、13をさらに限定するものであるから、本願発明1についてと同様の理由で、引用発明1及び引用文献2ないし4に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
第7 原査定について
前記「第6」で検討したとおり、本願発明1ないし18は、引用発明1及び技術事項2ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第8 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1ないし18は、引用発明1及び技術事項2ないし4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-06-19 
出願番号 特願2012-149141(P2012-149141)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 古屋野 浩志古川 直樹中村 和正  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
畑井 順一
発明の名称 ゲームアイテムの取引システム、ゲームアイテムの取引方法、ゲームアイテムの取引方法を用いたゲームの提供システムおよびゲームの提供方法  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  
代理人 特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ  

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