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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G01N
管理番号 1341448
審判番号 不服2017-4956  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-07 
確定日 2018-06-14 
事件の表示 特願2012-268502「光イメージング装置」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月26日出願公開、特開2014-115151〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本願は、平成24年12月7日の出願であって、平成28年6月17日付けで拒絶理由が通知され、平成28年8月9日付けで手続補正がなされたが、平成29年1月4日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、平成29年4月7日に拒絶査定不服審判が請求され、同時に手続補正がなされ、当審において、平成30年1月11日付けで拒絶理由が通知され、平成30年2月26日付けで手続補正がなされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1ないし10に係る発明は、平成30年2月26日付けの手続補正書によって補正され特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項によって特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
生体試料に光を照射し、それに対して該試料から得られた光を検出して2次元画像化する光イメージング装置において、
a)生体試料を略水平に載置するための試料台と、
b)前記試料台上の生体試料に照射される励起光を発する照明部と、
c)該照明部による励起光に対して前記生体試料から放出された蛍光による像を取得する撮像部と、
d)前記照明部による励起光を前記生体試料に導くとともに該生体試料による蛍光を前記撮像部に導くべく、前記励起光と前記蛍光とを共に空間内で折り曲げる共通の反射光学部を含む導光光学系と、
を備え、前記照明部は前記反射光学部から前記撮像部へと向かう蛍光の光軸を避けて配置された射出部を含み、該射出部から射出された励起光は、前記生体試料から前記反射光学部へと向かう蛍光の光軸と略同軸で該反射光学部から前記生体試料に照射されることを特徴とする光イメージング装置。」

3 当審が通知した拒絶理由の概要
平成30年1月11日付けで当審が通知した拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)は、次のとおりである。

「この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

記 (引用文献等については引用文献等一覧参照)
・請求項1?3
・引用文献1

・請求項4?9
・引用文献1、引用文献2

・請求項10
・引用文献1、引用文献2、引用文献3

引 用 文 献 等 一 覧
引用文献1:米国特許第7873407号明細書
引用文献2:特表2006-525494号公報
引用文献3:特開2012-154628号公報」

4 引用発明、引用文献等
(1)引用文献1について
引用文献1には、図面とともに、次の事項が記載されている(下線は、当審で付与した。なお、行数は、ページ中央に記載された数字による。)。
ア 「TECHNICAL FIELD
This invention relates to optical imaging and in particular, to optical imaging in biological specimens.」(第1欄第37?40行)(当審訳:技術分野
この発明は、光学的画像処理、そして特に、生物学の検体における光学的画像処理に関連しています。)

イ 「The specimen may be an animal (for example, a small animal, such as a mouse). The animal may be living. The object in the specimen may be tumor in the animal.」(第8欄第5?7行)(当審訳:検体は動物(例えば、マウスのような、小さい動物)であるかもしれません。 動物は生きているかもしれません。 検体における対象は動物で腫瘍であるかもしれません。)

ウ 「Structured Illumination Mode
Measurement system 100 can also provide an illumination light intensity profile that is either uniform or structured (e.g., a spatially varying illumination intensity profile and/or an illumination profile that is controlled in time sequence) at the specimen position. This provides different means to obtain structural and optical information from the specimen, the information serving as input to 3D reconstruction algorithms. The light source used for structured fluorescence excitation can include one or more light source elements such as conventional lamps, LEDs, or lasers, for example. The illumination light can be delivered to the specimen directly or via fiber optics, dichroic beams plitters, light pipes, diffusers, or any other optical device to transport and/or condition the light.」(第32欄第26?39行)(当審訳:構造化された照明モード
測定システム100もまた、検体位置において、一様であるか、あるいは構造化されている照明光強度プロフィール(例えば、空間的に変化する照明強度プロフィール、及び/又は、時間シーケンスにおいて制御される照明プロフィール)を提供することができます。これは、検体から構造的及び光学的な情報、つまり、3D再構成アルゴリズムへの入力として提供される情報、を取得するための異なった手段を供給します。 構造化された蛍光励起のために使われる光源は、例えば、従来のランプ、LED 、あるいはレーザーのような1つ以上の光源要素を含むことができます。 照明光は、直接、あるいは光ファイバー・オプティックス、ダイクロミック・ビーム・スプリッタ、光パイプ、 拡散器、あるいは光を伝送、及び/又は調節するための他の光デバイスを通して、検体に届けられます。)

エ 「For example, in some structured illumination modes of operation, different sides of a specimen can be illuminated in a chosen sequence. Moreover, each side of the specimen can be illuminated with a patterned light intensity profile, or with a sequence of light intensity patterns. Even a single light intensity pattern, used to illuminate one or more sides, can be used to realize the benefits of structured illumination. In general, structured illumination mode provides for either simultaneous illumination of a specimen with a structured light source, or direction-sequential illumination with a structured light source.」(第32欄第40?50行)(当審訳:例えば、ある構造化された照明モードの操作において、検体の異なった側を、選択された順に照らすことができます。 さらに、検体のそれぞれの側を、パターン化された光強度プロフィールで、あるいは一連の光強度パターンで照らすことができます。 単一の光強度パターンさえ、1つ以上の側を照明するために用いられ、構造化された照明の利益を実現するために使うことができます。 一般に、構造化された照明モードは、構造化された光源による検体の同時照明、又は、構造化された光源を用いた、一連の方向の照明を提供します。)

オ 「In a first aspect, structured illumination of a specimen can be provided by multiple light source elements arranged in a desired configuration around the specimen. For example, FIG. 12 shows an embodiment of a measurement system 100 that includes a source 102 configured to direct light 104 to a lens 431 , which directs the light to reflect from a dichroic beamsplitter 430 and to pass through an imaging lens 433 . The light is divided into two counter-propagating portions by mirror 440 . One of the portions is directed to reflect from mirror 442 , pass through lens 434 , reflect from a first surface 200 a of pyramid 200 , and impinge upon specimen 2 from above in the plane of the figure. The second portion of the illumination light is directed to reflect from mirror 442 , pass through lens 439 , reflect from a second surface 200 b of pyramid 200 , and impinge on the specimen from below in the plane of the figure. The structured illumination provided by the two beams induces fluorescence in the specimen. Portions of the emitted fluorescence retrace the optical paths of the excitation beams to beamsplitter 430 . Due the red-shift of the emitted fluorescence, the fluorescence radiation is transmitted through dichroic beamsplitter 430 and is imaged by lens 432 as two different views 116 of specimen 2 . The two views are captured by detector system 118 , which includes a CCD array. The embodiment shown in FIG. 12 is an epi-fluorescence measurement system, and the incident light and the emitted fluorescence encounter several optical elements common to the optical path of each.」(第32欄第51行?第33欄10行)(当審訳:最初の局面で、検体の構造化された照明を、検体の周りに望ましい形状で整えられた多数の光源要素によって提供することができます。例えば、図12は、光104を、ダイクロミック・ビームスプリッタ430から反射させ、画像レンズ433を通過させるように向けるレンズ431へと向けるように設定された光源102を含む、測定システム100の実施例を示します。 光は、鏡440によって2つの反対方向に伝播する部分に分けられます。 部分の1つは、鏡442で反射し、レンズ434を通過し、ピラミッド200の第1の表面200aで反射し、そして図の平面の上方から検体2に突き当たるように向けられます。 照明光の2番目の部分は、鏡442で反射し、レンズ439を通過し、ピラミッド200の第2の表面200bで反射し、そして、図の平面の下方から検体2に突き当たるように向けられます。2本のビームによって提供された、構造化された照明は、検体に蛍光を誘発します。 放出された蛍光の部分は、励起光の光学経路を、ビームスプリッタ430へと引き返します。 放出された蛍光の赤方偏移によって、蛍光放射はダイクロミック・ビームスプリッタ430を通過して伝わり、検体2の2つの異なったビュー116として、レンズ432によって画像化されます。 2つのビューは CCD アレイを含む検出システム118によってとらえられます。 図12に示された実施例は 落射蛍光発光測定システムであり、そして入射光と、放出された蛍光とは、それぞれの光学経路に共通のいくつかの光学要素に遭遇します。)

カ 「FIG. 12 shows a two-dimensional projection of a three-dimensional measurement system. Therefore, optical elements that are not positioned in the plane of the figure are not depicted. For example, other surfaces of pyramid 200 are not shown in figure-these are used to capture other views of the specimen. In general, other light source elements, mirrors, beamsplitters, and other optical elements can also be present. For example, a second set of light conditioning and collecting optics can be used to capture two additional views of the specimen propagating into and out of the plane of FIG. 12 . In some embodiments, the measurement system can be only two-dimensional, however, as depicted. Further, in some embodiments, surfaces 200 a and 200 b can be two surfaces of a mirror, or they can be the surfaces of two separate mirrors. In general, many combinations of optical elements can be provided in order to capture a two- or three-dimensional set of views of specimen 2 . The foregoing discussion applies as well to the embodiments of FIGS. 13-16 , any of which may be configured to operate in a two-dimensional or three-dimensional imaging modality.」 (第33欄第11?30行)(当審訳:図12は、3次元の測定システムの2次元射影を示します。 それゆえ、図の平面内に置かれてない光学要素は描かれていません。 例えば、ピラミッド200の他の面は図に示されていませんが、これらは検体の他のビューをとらえるために用いられます。一般に、他の光源要素、ミラー、 ビームスプリッタ、及び他の光学要素が同じく存在し得ます。 例えば、第2の光調節及び集光光学のセットを、図12の平面の中へ、そして外へと伝わる、検体2の付加的なビューをとらえるために用いることができます。ある実施例では、測定システムは、しかしながら、描かれているように、ただ2次元であり得ます。 さらに、ある実施例では、表面200aと表面200bとは、1つの鏡の2つの表面、または2つの分離された鏡の表面であり得ます。 一般に、光学要素の多くの組み合わせを、2次元または3次元の検体2のビューをとらえるために、供給することができます。前述の議論は図13-16の実施例にも同様に適用され、そのいずれも、2次元か、あるいは3次元の画像形成の様相で稼働するように配置されるかもしれません。)


キ 「Another embodiment of a measurement system that provides a structured illumination source is shown in FIG. 13 . In this embodiment, light provided by optical fiber bundles 510 arranged around specimen 2 is used to illuminate the specimen and induce fluorescence. The emitted fluorescence is collected by a series of optical elements that are similar to those of FIG. 12 . Since the illumination and fluorescence radiation do not share a common optical path, the embodiment of FIG. 13 is an example of a non-epi-fluorescence measurement system. In this embodiment, for example, the fiber bundle source elements 510 can be positioned to illuminate different sides of specimen 2 via the reflective surfaces of pyramid 200 . Further, each of the source elements 510 can be selectively enabled to provide direction-sequential illumination when desired, or the sources may all be simultaneously enabled.」(第33欄第31?46行)(当審訳:構造化された照明源を提供する測定システムのもう一つの実施例が図13に示されています。この実施例では、検体2の周りに配置された光ファイバー束510によって供給される光が検体を照明し、そして蛍光発光を誘発します。放出された蛍光発光は図12のものに類似している一連の光学式要素によって集められます。照明と蛍光発光放射は、共通の光路を共有しないので、図13の実施例は非落射蛍光発光測定システムの例です。 この実施例では、例えば、ファイバー束源要素510は、ピラミッド200の反射表面を経由して、検体2の異なった側面を照らすように、置くことができます。 さらに、望まれるなら、一連の方向の照明を供給するため、源要素510に、選択的に作動させることが可能であり、あるいは源(ソース)は全て同時に作動可能であるかもしれません。)


ク 「Light 104 can be provided in the form of a light beam, such as a laser beam, or can have a more diffuse spatial intensity profile, such as for a lamp.
In some embodiments, light source 102 can include two or more light-producing elements providing light at the same or different wavelengths. For example, embodiments may feature a light source 102 that includes a first source element that produces reference illumination light, the reference illumination light including a broad distribution of wavelengths (i.e., white light), and a second source element that produces measurement illumination light having a relatively narrow distribution of wavelengths.」(第37欄第24?36行)(当審訳:光104は、レーザー光線のような、光線のかたちで提供されることができるか、あるいはランプのような、いっそう散漫な空間強度分布プロフィールを持つことができます。
若干の実施例では、光源102が同じか、あるいは異なった波長において光を提供しているかそれ以上の光生成要素を含むことができます。 例えば、実施例では、リファレンス照明光、つまり、広範囲の波長分布を含むリファレンス照明光(すなわち、白い光)を作り出す第1のソース要素と、比較的狭い波長分布を有する測定照明光を作り出す2番目のソース要素を含む光源102を特徴とするかもしれません。)

ケ「Spatial light modulators and other optical devices and elements for modifying the spatial intensity profile of illumination light 108 can also be used to provide more spatially uniform illumination of a specimen where desired in some embodiments. 」(第38欄第50?54行)(当審訳:空間光変調器と他の光学デバイスと照明光108の空間強度プロフィールを修正するための要素もまた、若干の実施例で望まれる場合は、検体のより空間的に一様な照明を提供するために使うことができます。)

コ 「In general, a specimen of interest is mounted on illumination stage 110 , and illumination light is directed to be incident thereon. Illumination stage 110 can include a specimen holder, for example, secured to a supporting platform. The supporting platform can be affixed to a translation stage that provides illumination stage 110 with multiple degrees of translational freedom. The position of illumination stage 110 can be changed in response to an automated signal from electronic control system 122 , for example, or in response to a manual signal from an operator. In some embodiments, adjustment of the position of the specimen relative to the imaging system can also be accomplished by adjusting the positions of the light conditioning optics and the light collecting optics while illumination stage 112 remains in the same position.」(第38欄第62?第39欄第9行)(当審訳:一般に、重要な検体が照明ステージ110に置かれ、そして照明光がそれに入射するよう向けられます。 照明ステージ110は、例えば、支持プラットホームにしっかり固定した検体ホルダーを含むことができます。 支援プラットホームを、多数の度合いの変位自由度を備えた照明ステージ110を提供する変位ステージに添付することができます。照明ステージ110の位置は、例えば、電子制御システム122からの自動化された信号に応えて、又はオペレーターからの手動の信号に応えて、変えることができます。ある実施例では、画像形成システムに相対的な検体の位置の調整を、照明ステージ112を同じ位置に留めつつ、光調節光学と光集光光学の位置を調節することによっても、達成することができます。)

サ 上記「キ」に「放出された蛍光発光は図12のものに類似している一連の光学式要素によって集められます。」と記載されていることから、図13には、図12及び上記「オ」(「放出された蛍光の部分は、励起光の光学経路を、ビームスプリッタ430へと引き返します。」として引用された「励起光の光学経路」)と同様に、検体2から図の平面の上方に放出された蛍光の部分は、ピラミッド200の第1の表面200aで反射し、レンズ434を通過し、鏡442で反射し、検体2から図の平面の下方に放出された蛍光の2番目の部分は、ピラミッド200の第2の表面200bで反射し、レンズ434を通過し、鏡442で反射し、鏡442で反射した2つの蛍光の部分は、鏡440によって、同じ方向に伝播し、画像レンズ433を通過し、レンズ432によって画像化され、CCD アレイを含む検出システム118によってとらえられることが記載されている。

引用文献1では、図12の実施例の説明(上記摘記事項「オ」、「カ」)に続いて、上記摘記事項「カ」の末尾に、「前述の議論は図13-16の実施例にも同様に適用され、そのいずれも、2次元か、あるいは3次元の画像形成の様相で稼働するように配置されるかもしれません。」と記載されている。
よって、引用文献1における図12の実施例についての説明のうち、図13の実施例と共通する技術についての説明内容は、図13の実施例にもあてはまるから、引用文献1には、図13の実施例として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。

「生物学の検体における光学的画像処理に関連し(上記「ア」より。以下同様。)た測定システム100(「ウ」)あって、
照明光の部分の1つは、ピラミッド200の第1の表面200aで反射し、そして図の平面の上方から検体2に突き当たるように向けられ、照明光の2番目の部分は、ピラミッド200の第2の表面200bで反射し、そして、図の平面の下方から検体2に突き当たるように向けられ、照明は、検体に蛍光を誘発し(「オ」)、検体2から図の平面の上方に放出された蛍光の部分は、ピラミッド200の第1の表面200aで反射し、レンズ434を通過し、鏡442で反射し、検体2から図の平面の下方に放出された蛍光の2番目の部分は、ピラミッド200の第2の表面200bで反射し、レンズ434を通過し、鏡442で反射し、鏡442で反射した2つの蛍光の部分は、鏡440によって、同じ方向に伝播し、画像レンズ433を通過し(「サ」)、蛍光放射は、検体2の2つの異なったビュー116として、レンズ432によって画像化され、2つのビューは CCD アレイを含む検出システム118によってとらえられ(「オ」)、
表面200aと表面200bとは、1つの鏡の2つの表面、または2つの分離された鏡の表面であり得(「カ」)、
照明と蛍光発光放射は、共通の光路を共有しない、非落射蛍光発光測定システムであり(「キ」)、ファイバー束源要素510は、ピラミッド200の反射表面を経由して、検体2の異なった側面を照らすように、置くことができ(「キ」)、
重要な検体が照明ステージ110に置かれ、そして照明光がそれに入射するよう向けられる(「ケ」)、
測定システム100(「ウ」)。」

5 対比・判断
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比する。
ア 引用文献1には「検体」として「マウス」が例示されている(摘記事項「イ」)から、本願明細書の段落【0030】に、「マウス等の生体試料7」と記載されていることを踏まえれば、引用発明における「生物学の検体」が、本願発明1における「生体試料」に相当する。

イ 上記「ア」を踏まえると、引用発明における「測定システム100」は、「照明光」が「検体2に突き当た」り、「照明は、検体に蛍光を誘発し」、「蛍光放射は」、「ビュー116」として「レンズ432によって画像化され」、「ビューは CCD アレイを含む検出システム118によってとらえられ」るから、本願発明1における「生体試料に光を照射し、それに対して該試料から得られた光を検出して2次元画像化する光イメージング装置」に相当する。

ウ 上記「ア」を踏まえると、引用発明における、「重要な検体」が「置かれ」る「照明ステージ110」と、本願発明1における「a)生体試料を略水平に載置するための試料台」とは、「a)生体試料を載置するための試料台」の点で共通する。

エ 上記「ア」、「ウ」を踏まえると、引用発明における「照明ステージ110に置かれ、そして照明光がそれに入射するよう向けられ」た「検体2の異なった側面を照らす」「ファイバー束源要素510」は、その「照明」によって、「検体に蛍光を誘発」するものであるから、本願発明1における「b)前記試料台上の生体試料に照射される励起光を発する照明部」に相当する。

オ 上記「ア」を踏まえると、引用発明における、「照明」によって「誘発」された「蛍光放射」を「レンズ432によって画像化」した「ビュー」として「とらえ」る「CCD アレイ」が、本願発明1における「c)該照明部による励起光に対して前記生体試料から放出された蛍光による像を取得する撮像部」に相当する。

カ 引用発明において、「ファイバー束源要素510」からの「照明」が「検体2」の「側面を照らすよう」に「経由」するとともに、「検体2から図の平面の上方に放出された蛍光の部分」と「検体2から図の平面の下方に放出された蛍光の2番目の部分」とを「反射」する、「ピラミッド200の第1の表面200a」及び「ピラミッド200の第2の表面200b」を有する「鏡」が、本願発明1における「前記励起光と前記蛍光とを共に空間内で折り曲げる共通の反射光学部」に相当する。

キ 上記「カ」を踏まえると、引用発明における、上記「ピラミッド200の第1の表面200a」及び「ピラミッド200の第2の表面200b」を有する「鏡」、及び、2つの「蛍光」の「部分」が「同じ方向に伝播」し、「レンズ432によって画像化され」、「CCD アレイを含む検出システム118によってとらえられ」るようにするための「レンズ434」、「鏡442」及び「鏡440」が、本願発明1における「d)前記照明部による励起光を前記生体試料に導くとともに該生体試料による蛍光を前記撮像部に導くべく、前記励起光と前記蛍光とを共に空間内で折り曲げる共通の反射光学部を含む導光光学系」に相当する。

ク 「ファイバー束」の端部が光の射出部となっていることは、技術常識であるから、引用発明において、「蛍光発光放射」と「共通の光路を共有しない」「照明」が、「ファイバー束源要素510」の「ファイバー束」の端部を含むことが、本願発明1における「前記照明部は前記反射光学部から前記撮像部へと向かう蛍光の光軸を避けて配置された射出部を含」むことに相当する。

ケ 上記「ア」、「カ」及び「ク」を踏まえると、引用発明において、「ファイバー束源要素510」の端部から射出される「照明光」が、「ピラミッド200の反射表面を経由して、検体2の」「側面を照らす」ことと、本願発明1における「該射出部から射出された励起光は、前記生体試料から前記反射光学部へと向かう蛍光の光軸と略同軸で該反射光学部から前記生体試料に照射される」こととは、「該射出部から射出された励起光は、前記反射光学部から前記生体試料に照射される」点で共通する。

コ 引用発明における「光学的画像処理に関連した測定システム100」が、本願発明1における「光イメージング装置」に相当する。

以上のことから、本願発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
(一致点)
「生体試料に光を照射し、それに対して該試料から得られた光を検出して2次元画像化する光イメージング装置において、
a)生体試料を載置するための試料台と、
b)前記試料台上の生体試料に照射される励起光を発する照明部と、
c)該照明部による励起光に対して前記生体試料から放出された蛍光による像を取得する撮像部と、
d)前記照明部による励起光を前記生体試料に導くとともに該生体試料による蛍光を前記撮像部に導くべく、前記励起光と前記蛍光とを共に空間内で折り曲げる共通の反射光学部を含む導光光学系と、
を備え、前記照明部は前記反射光学部から前記撮像部へと向かう蛍光の光軸を避けて配置された射出部を含み、該射出部から射出された励起光は、前記反射光学部から前記生体試料に照射されることを特徴とする光イメージング装置。」

(相違点1)
本願発明1では、試料台が、生体試料を「略水平に載置する」のに対し、引用発明では、「照明ステージ110」が、「生物学の検体」である「重要な検体」を「置」いているものの、「略水平」に「置」くことは明示されていない点。

(相違点2)
本願発明1では、射出部から射出された励起光は、「前記生体試料から前記反射光学部へと向かう蛍光の光軸と略同軸で」、該反射光学部から前記生体試料に照射されるのに対し、引用発明では、「ファイバー束源要素510」の端部から射出される「照明光」が、「鏡」である「ピラミッド200の反射表面を経由して、検体2の」「側面を照ら」しているものの、「検体2の」「側面を照ら」している「照明光」の「光路」(本願発明1における「射出部から射出された励起光」の「軸」に相当する。以下、同様。)が、「生物学の検体」から「ピラミッド200」ピラミッド200の第1の表面200a」及び「ピラミッド200の第2の表面200b」へと向かう「蛍光発光放射」の「光路」(本願発明1における「前記生体試料から前記反射光学部へと向かう蛍光の光軸」に相当する。以下、同様。)と「略同軸」であるか、明らかでない点。

(2)判断
以下、相違点について検討する。
ア 相違点1について
引用文献1には「検体」として「マウス」が例示されているが(引用文献1の摘記事項「イ」参照。)、マウスのような「検体」をステージに略水平に載置することは一般的なことであるので、引用発明において、引用発明に示された「照明ステージ110」 が「検体2」を「略水平に載置」する構成とし、上記相違点1に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

イ 相違点2について、
(ア)本願発明1における「略同軸」との用語の技術的な意味を、次の2つの場合に分けて、上記相違点2について判断する。

a 「略同軸」を、同軸ではないが、ほぼ同軸である、との意味で用いている場合
引用発明1における、「ファイバー束源要素510」の端部から射出される「照明光」は、「鏡」であるピラミッド200の反射表面を経由して、検体2の「側面を照ら」しているのであるから、「鏡」で反射した照明光が、CCD アレイでビューを取得する対象である検体2を効果的に照らせるように、「生物学の検体」から「ピラミッド200の第1の表面200a」及び「ピラミッド200の第2の表面200b」へと向かう「蛍光発光放射」の「光路」とできるだけ同軸(つまり、略同軸)となるように「照明光」の光路を設定することは、当業者が容易になし得たことである。

b 「略同軸」を、「同軸」と同義で用いている場合
本願発明1における「射出部」は、「前記照明部は前記反射光学部から前記撮像部へと向かう蛍光の光軸を避けて配置され」ているのだから、「該射出部から射出された励起光」が、「反射光学部」により反射され、「前記生体試料に導」かれたとしても、射出部から生体試料に導かれた「励起光」の光軸が、「前記生体試料から前記反射光学部へと向かう蛍光の光軸」と「同軸」となることは、光学的にみて、不合理なことである。
そこで、本願発明1における「射出部から射出された励起光は、前記生体試料から前記反射光学部へと向かう蛍光の光軸と略同軸で、該反射光学部から前記生体試料に照射さ」れることの技術的な意味について、本願明細書の記載に基づいて検討する。
(a) まず、本願明細書の段落【0010】(平成30年2月26日付けの手続補正書参照。)、及び段落【0011】(平成29年4月7日付けの手続補正書参照。)には、次のとおり記載されている(下線は、強調のため、当審で付与した。)。
「【0010】
また本発明に係る光イメージング装置において、好ましくは、上記照明部は、上記光学反射部から上記撮像部へと向かう蛍光の光軸を囲むように複数配置された射出部を含む構成とするとよい。より好ましくは、複数の射出部を反射光学部から撮像部へと向かう蛍光の光軸を囲んで略同一回転角度間隔で以て配置するとよい。
【0011】
この構成によれば、反射光学部から撮像部へと向かう蛍光の光軸上に照明部が位置していなくても、試料台上に載置された生体試料に対し略均一の強度で励起光を照射することができる。それによって、例えば生体試料の内部に取り込まれた蛍光物質由来の蛍光強度分布画像を取得するような場合に、励起光強度分布依存性がなくなり、正確な蛍光強度分布画像を得ることが可能となる。」

(b) 本願明細書の上記記載によれば、本願発明1における「射出部から射出された励起光は、前記生体試料から前記反射光学部へと向かう蛍光の光軸と略同軸で、該反射光学部から前記生体試料に照射さ」れるとは、例えば、「前記照明部は前記反射光学部から前記撮像部へと向かう蛍光の光軸を避けて配置され」た「射出部」が、「蛍光の光軸を囲むように複数配置され」、それらの「射出部」からの「励起光」を合成することで、合成された「励起光」による「照明」の光軸が、「前記生体試料から前記反射光学部へと向かう蛍光の光軸と略同軸」となるようにし、これによって「試料台上に載置された生体試料に対し略均一の強度で測定光を照射する」ことを意味していると解される。

(c) これに対し、引用文献1には、図13に、「検体2」のそれぞれの「側面」に対し、1つの「側面」を照明する「ファイバー束源要素510」を2つ配置することが図示されている(なお、引用文献1では、「前述の議論は図13-16の実施例にも同様に適用され、そのいずれも、2次元か、あるいは3次元の画像形成の様相で稼働するように配置されるかもしれません。」(引用文献1の摘記事項「カ」参照。)と記載されているから、図13は、図12と同様に、「3次元の測定システムの2次元射影」であって、「図の平面内に置かれてない光学要素は描かれてい」(引用文献1の摘記事項「カ」参照。)ないか、または、「2次元の測定システム」を示すものと認められる。)。

(d) そして、複数の光源からの照明光を合成して一様な照明を行うことは、周知の事項であるから、引用文献1の摘記事項「ケ」に記載されているとおり、「検体のより空間的に一様な照明を提供する」ことが望まれる場合には、1つの「側面」を照明するための「ファイバー束源要素510」を、(蛍光発光放射光路を共有しない位置に)複数配置し、複数の「ファイバー束源要素510」による照明光を合成することで、「検体のより空間的に一様な照明を提供する」こと、つまり、合成された「照明光」の「光路」が、「生物学の検体」から「ピラミッド200の第1の表面200a」及び「ピラミッド200の第2の表面200b」へと向かう「蛍光発光放射」の「光路」と「略同軸」であるようにして、上記相違点2に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本願発明1の奏する作用効果は、引用発明及び周知の事項の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。

エ したがって、本願発明1は、引用発明及び周知の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定に特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-04-06 
結審通知日 2018-04-10 
審決日 2018-04-26 
出願番号 特願2012-268502(P2012-268502)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 横尾 雅一  
特許庁審判長 小林 紀史
特許庁審判官 清水 稔
▲うし▼田 真悟
発明の名称 光イメージング装置  
代理人 特許業務法人京都国際特許事務所  
代理人 特許業務法人京都国際特許事務所  
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