• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1341570
審判番号 不服2017-12230  
総通号数 224 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-17 
確定日 2018-06-18 
事件の表示 特願2015- 77447「遊技機」拒絶査定不服審判事件〔平成28年11月24日出願公開、特開2016-195705〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年4月6日の出願であって、平成28年3月28日付けで拒絶の理由が通知され、同年5月27日に意見書及び手続補正書が提出され、同年11月7日付けで最後の拒絶の理由が通知され、同年12月28日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年5月12日付けで、平成28年12月28日付け手続補正書でした補正の却下の決定がなされ、同日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対して、同年8月17日付けで拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。

第2 平成29年8月17日付け手続補正についての補正の却下の決定
〔補正の却下の決定の結論〕
平成29年8月17日付け手続補正書についての補正(以下「本件補正」という。)を却下する。

〔理由〕
1 本件補正の内容
(1)本件補正は、特許請求の範囲についてするものであって、平成28年5月27日付け手続補正書によって補正された本件補正前の請求項1に、
「始動条件が成立すると、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定された場合に、当該特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技判定手段の判定結果に基づいて、演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
前記演出実行手段は、
第1リーチ演出と、当該第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出とを実行可能であり、
前記第1リーチ演出では、前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定されたことを報知する第1演出を実行可能である一方、所定の発展演出に発展することを示唆する第2演出を実行不可能であり、
前記第2リーチ演出では、前記第1演出および前記第2演出のいずれも実行可能であることを特徴とする遊技機。」とあったものを、

「始動条件が成立すると、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する特別遊技判定手段と、
前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定された場合に、当該特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
前記特別遊技判定手段の判定結果に基づいて、演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
前記演出実行手段は、
第1リーチ演出と、
前記第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出と、
リーチ演出であって、前記第2リーチ演出から発展可能な第1発展演出と、
リーチ演出であって、前記第1発展演出から発展可能な第2発展演出と、
図柄を用いて発展を示唆する発展示唆演出と、
前記特別遊技が実行されることを、図柄を用いて報知する当たり報知演出と、
前記特別遊技が実行されないことを、図柄を用いて報知するハズレ報知演出とを実行可能であり、
前記第1リーチ演出では、前記当たり報知演出を実行可能である一方、前記発展示唆演出を実行不可能であり、
前記第2リーチ演出では、前記当たり報知演出と、前記第1発展演出または前記第2発展演出への発展を示唆する前記発展示唆演出とを実行可能であり、
前記第1発展演出では、前記発展示唆演出を実行することなく、前記ハズレ報知演出と類似する類似演出を実行して、前記第2発展演出への発展が可能であることを特徴とする遊技機。」とする補正を含むものである(下線は合議体が付した。以下同様。)。

(2)本件補正後の請求項1に係る上記(1)の補正は、次の3つの補正事項アないしウからなる。
ア 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記演出実行手段は、第1リーチ演出と、当該第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出とを実行可能であり、」との記載を「前記演出実行手段は、第1リーチ演出と、前記第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出と、リーチ演出であって、前記第2リーチ演出から発展可能な第1発展演出と、リーチ演出であって、前記第1発展演出から発展可能な第2発展演出と、図柄を用いて発展を示唆する発展示唆演出と、前記特別遊技が実行されることを、図柄を用いて報知する当たり報知演出と、前記特別遊技が実行されないことを、図柄を用いて報知するハズレ報知演出とを実行可能であり、」とする補正

イ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記第1リーチ演出では、前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定されたことを報知する第1演出を実行可能である一方、所定の発展演出に発展することを示唆する第2演出を実行不可能であり、」との記載を「前記第1リーチ演出では、前記当たり報知演出を実行可能である一方、前記発展示唆演出を実行不可能であり、」とする補正。

ウ 本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項である「前記第2リーチ演出では、前記第1演出および前記第2演出のいずれも実行可能である」との記載を「前記第2リーチ演出では、前記当たり報知演出と、前記第1発展演出または前記第2発展演出への発展を示唆する前記発展示唆演出とを実行可能であり、」とする補正。

エ 本件補正前の請求項1に対して「前記第1発展演出では、前記発展示唆演出を実行することなく、前記ハズレ報知演出と類似する類似演出を実行して、前記第2発展演出への発展が可能である」との記載を追加する補正。

2 本件補正の目的
(1)上記1(2)アの補正は、願書に最初に添付された特許請求の範囲、明細書及び図面(以下「当初明細書等」という。)の【0080】、【0105】、【0107】、【0109】、【0125】、【0126】、図8及び図9等の記載に基づいて、本件補正前の請求項1において記載されていた「演出実行手段」が「リーチ演出であって、前記第2リーチ演出から発展可能な第1発展演出と、リーチ演出であって、前記第1発展演出から発展可能な第2発展演出と、図柄を用いて発展を示唆する発展示唆演出と、前記特別遊技が実行されることを、図柄を用いて報知する当たり報知演出と、前記特別遊技が実行されないことを、図柄を用いて報知するハズレ報知演出と」を実行可能とするものに限定するものである。

(2)上記1(2)イの補正は、上記1(2)アの補正に整合させるための形式的な補正である。

(3)上記1(2)ウの補正は、上記1(2)アの補正に整合させるための形式的な補正である。

(4)上記1(2)エの補正は、当初明細書等の特に【0140】、図10の記載に基づいて、上記1(2)アの補正で限定された「第1発展演出」が、「前記発展示唆演出を実行することなく、前記ハズレ報知演出と類似する類似演出を実行して、前記第2発展演出への発展が可能である」ことを特定するものである。

(5)以上のとおり、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)アないしエの補正は、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たす。また、本件補正後の請求項1に係る上記1(2)アないしエの補正は、本件補正前の請求項1に係る発明を特定するために必要な事項を限定するものであって、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が補正の前後において同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

3 独立特許要件について
そこで、本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下検討する。

(1)本願補正発明
本願補正発明を再掲すると、次のとおりのものである。なお、記号AないしNは、分説するため合議体が付した。

「A 始動条件が成立すると、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する特別遊技判定手段と、
B 前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定された場合に、当該特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C 前記特別遊技判定手段の判定結果に基づいて、演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
D 前記演出実行手段は、
E 第1リーチ演出と、
F 前記第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出と、
G リーチ演出であって、前記第2リーチ演出から発展可能な第1発展演出と、
H リーチ演出であって、前記第1発展演出から発展可能な第2発展演出と、
I 図柄を用いて発展を示唆する発展示唆演出と、
J 前記特別遊技が実行されることを、図柄を用いて報知する当たり報知演出と、
K 前記特別遊技が実行されないことを、図柄を用いて報知するハズレ報知演出とを実行可能であり、
L 前記第1リーチ演出では、前記当たり報知演出を実行可能である一方、前記発展示唆演出を実行不可能であり、
M 前記第2リーチ演出では、前記当たり報知演出と、前記第1発展演出または前記第2発展演出への発展を示唆する前記発展示唆演出とを実行可能であり、
N 前記第1発展演出では、前記発展示唆演出を実行することなく、前記ハズレ報知演出と類似する類似演出を実行して、前記第2発展演出への発展が可能であることを特徴とする遊技機。」

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2014-100238号公報(以下「引用例1」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機等の遊技機に関する。
・・・略・・・
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、演出示唆画像が停止表示されなかった場合、遊技者の期待感を減退させてしまうため興趣に欠けていた。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、遊技者の期待感を持続させる遊技機を提供することを目的とする。」

イ 「【0044】
次に、パチンコ遊技機1における遊技の進行を概略的に説明する。
【0045】
パチンコ遊技機1では、遊技領域に設けられた通過ゲート41を通過した遊技球が図2に示すゲートスイッチ21によって検出されたことといった、普通図柄表示器20にて普通図柄の可変表示を実行するための普図始動条件が成立した後に、例えば前回の普図ゲームが終了したことといった、普通図柄の可変表示を開始するための普図開始条件が成立したことに基づいて、普通図柄表示器20による普図ゲームが開始される。
【0046】
この普図ゲームでは、普通図柄の変動を開始させた後、普図変動時間となる所定時間が経過すると、普通図柄の可変表示結果となる確定普通図柄を停止表示(導出表示)する。このとき、確定普通図柄として、例えば「7」を示す数字といった、特定の普通図柄(普図当り図柄)が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる。その一方、確定普通図柄として、例えば「7」を示す数字以外の数字や記号といった、普図当り図柄以外の普通図柄が停止表示されれば、普通図柄の可変表示結果が「普図ハズレ」となる。普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となったことに対応して、普通可変入賞球装置6Bを構成する電動チューリップの可動翼片が傾動位置となる拡大開放制御(傾動制御)が行われ、所定時間が経過すると垂直位置に戻る通常開放制御が行われる。
【0047】
普通入賞球装置6Aに形成された第1始動入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示す第1始動口スイッチ22Aによって検出されたことなどにより第1始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる特図ゲームが開始される。また、普通可変入賞球装置6Bに形成された第2始動入賞口を通過(進入)した遊技球が図2に示す第2始動口スイッチ22Bによって検出されたことなどにより第2始動条件が成立した後に、例えば前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したことなどにより第2開始条件が成立したことに基づいて、第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームが開始される。
【0048】
第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bによる特図ゲームでは、特別図柄の可変表示を開始させた後、特図変動時間としての可変表示時間が経過すると、特別図柄の可変表示結果となる確定特別図柄(特図表示結果)を導出表示する。このとき、確定特別図柄として特定の特別図柄(大当り図柄)が停止表示されれば、特定表示結果としての「大当り」となり、大当り図柄とは異なる所定の特別図柄(小当り図柄)が停止表示されれば、所定表示結果としての「小当り」となる。また、大当り図柄や小当り図柄とは異なる特別図柄が確定特別図柄として停止表示されれば「ハズレ」となる。
【0049】
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる特殊遊技状態としての小当り遊技状態に制御される。
・・・略・・・
【0065】
また、リーチ演出とは異なり、何れかのリーチ演出が実行される可能性(飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態となる可能性)があることや、所定のリーチ演出(例えばスーパーリーチ)が実行される可能性があることや、大当り期待度が高いことなどを、遊技者に報知するための可変表示演出が実行されることがあるようにしてもよい。例えば、飾り図柄の可変表示中には、飾り図柄などの可変表示動作によって実現される「滑り(演出)」や「擬似連(演出)」といった可変表示演出が実行可能である。なお、「滑り」や「擬似連」の他にも、飾り図柄などの可変表示動作を利用した各種の可変表示演出が実行されてもよい。
【0066】
「滑り」の可変表示演出では、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄を変動させてから、複数の飾り図柄表示エリア(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリア5L、5Rなど)にて飾り図柄を仮停止表示させた後、その仮停止表示した飾り図柄表示エリアのうち所定数(例えば「1」または「2」)の飾り図柄表示エリア(例えば「左」の飾り図柄表示エリア5Lと「右」の飾り図柄表示エリア5Rのいずれか一方または双方)にて飾り図柄を再び変動させた後に停止表示させることで、停止表示する飾り図柄を変更させる演出表示が行われる。こうして、「滑り」の可変表示演出では、飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでに複数の飾り図柄を仮停止表示させた後、所定数の飾り図柄について可変表示を再度実行することにより、飾り図柄の可変表示状態がリーチ状態になるときと、リーチ状態とはならずに非リーチ組合せを構成する飾り図柄が停止表示されるときとがある。
【0067】
「擬似連」の可変表示演出では、特図ゲームの第1開始条件と第2開始条件のいずれか一方が1回成立したことに対応して、飾り図柄の可変表示が開始されてから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでに、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄(例えば予め定められた擬似連チャンス目など)を一旦仮停止表示させた後、全部の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて飾り図柄を再び変動(擬似連変動)させる演出表示を、所定回(例えば最大3回まで)行うことができる。擬似連変動の回数は、飾り図柄の可変表示が開始されてから全部の飾り図柄が最初に一旦仮停止するまでの初回変動を除く、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおける全部にて飾り図柄が再変動する回数である。「擬似連」の可変表示演出において、擬似連変動(再変動)が1回?3回行われることにより、第1開始条件あるいは第2開始条件が1回成立したことに基づき、飾り図柄の可変表示があたかも2回?4回続けて開始されたかのように見せることができる。
・・・略・・・
【0103】
この実施の形態では、入賞時乱数値判定処理(図15(A)参照)において、始動入賞の発生に基づき、可変表示結果が「大当り」に決定されるか否かや「小当り」に決定されるか否か、大当りの種別、変動パターン決定用の乱数値MR3がいずれの決定値の範囲になるかを判定する。そして、図柄指定コマンドや変動カテゴリコマンドのEXTデータに、その判定結果に対応する値を設定し、演出制御基板12に対して送信する制御を行う。演出制御基板12に搭載された演出制御用CPU120は、図柄指定コマンドに設定されている値に基づいて、可変表示結果が「大当り」や「小当り」に決定されるか否か、大当り種別を認識できるとともに、変動カテゴリコマンドに設定されている値に基づいて、変動パターン決定用の乱数値MR3が所定範囲の決定値に含まれる場合には変動パターンを認識できる。
【0104】
なお、変動パターン指定コマンドや可変表示結果通知コマンドなどの演出制御コマンドは、演出制御用CPU120が、1以上の演出装置(画像表示装置5、スピーカ8、ランプ9など)を制御する際に用いられる。以下、画像表示装置5における画像表示動作の制御に用いられる演出制御コマンドを表示制御コマンド、スピーカ8からの音声出力を制御するために用いられる演出制御コマンドを音声制御コマンド、ランプ9の発光動作(点灯動作、点滅動作、消灯動作)を制御するために用いられる演出制御コマンドをランプ制御コマンドとも称する。なお、演出制御コマンドのうちには、表示制御コマンド、かつ、音声制御コマンド、かつ、ランプ制御コマンドであるものが存在してもよい。
・・・略・・・
【0114】
図5は、この実施の形態における変動パターンの具体例を示している。図5において、変動パターン「PA1-11」?変動パターン「PA1-15」の5つの変動パターンは、非リーチ(ハズレ)変動パターンである。例えば、変動パターン「PA1-11」は、遊技状態が確変状態や時短状態でなく(通常時)、かつ、合計保留記憶数0個である場合に対応する非リーチ(ハズレ)変動パターンである。変動パターン「PA1-12」は、通常時、かつ、合計保留記憶数2?4個である場合に対応する非リーチ(ハズレ)変動パターンである。
【0115】
変動パターン「PA2-11」?変動パターン「PA2-13」の3つの変動パターンは、「ノーマルリーチ(ハズレ)変動パターン」である。ノーマルリーチ(ハズレ)変動パターンは、リーチハズレ変動パターンであって、かつ、ノーマルリーチ変動パターンである。上記3つの変動パターンのうち、変動パターン「PA2-11」は、特別リーチ演出を実行しない変動パターンである。変動パターン「PA2-12」は、特別リーチ演出を1回実行する変動パターンである。変動パターン「PA2-13」は、特別リーチ演出を2回実行する変動パターンである。
【0116】
変動パターン「PA2-21」?変動パターン「PA2-23」の3つの変動パターンは、「スーパーリーチα(ハズレ)変動パターン」である。スーパーリーチα(ハズレ)変動パターンは、リーチハズレ変動パターンであって、かつ、スーパーリーチα用のスーパーリーチ変動パターンである。上記3つの変動パターンのうち、変動パターン「PA2-21」は、特別リーチ演出を実行しない変動パターンである。変動パターン「PA2-22」は、特別リーチ演出を1回実行する変動パターンである。変動パターン「PA2-23」は、特別リーチ演出を2回実行する変動パターンである。」

ウ 「【0273】
図21乃至図29は、画像表示装置5における表示動作例を示す図である。図21は、飾り図柄の変動開始以降の主要場面を時系列に並べたものである。図21の(a)は、飾り図柄の変動中の場面である。各矢印「↓」は、各飾り図柄が変動する様子を表している。図21の(b)は、図21の(a)に続く場面である。図21の(b)は、数字図柄「7」のリーチ状態(“7”“↓”“7”)を表している。
【0274】
図21の(c)は、図21の(b)に続く場面である。図21の(c)は、全図柄(例えば、数字図柄「1」?数字図柄「8」、キャラクタ図柄「子供」、キャラクタ図柄「お爺さん(師匠)」)のうち、後に停止表示させる一の図柄を含む複数の図柄を停止候補図柄として回転表示させるリーチ演出(以下、停止候補図柄回転演出という)が実行されている様子を表している。具体的には、停止候補図柄として、数字図柄「7」、数字図柄「8」、キャラクタ図柄「子供」、キャラクタ図柄「お爺さん」の4つを回転表示させている。なお、キャラクタ図柄「子供」は、スーパーリーチαの実行を示唆する特定演出示唆画像に相当する。キャラクタ図柄「お爺さん」は、スーパーリーチβの実行を示唆する特定演出示唆画像に相当する。
【0275】
図21の(d)は、図21の(c)に続く場面である。図21の(d)は、確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)が最終停止した様子を表している。
【0276】
例えば、主基板11のCPU103が、特図表示結果を「大当り」、大当り種別を「確変」とすると決定し(ステップS240、ステップS244)、変動パターンを「PB1-11」とすると決定した場合(ステップ111)、可変表示結果「確変」を指定する可変表示結果通知コマンド、変動パターン「PB1-11」を指定する変動パターン指定コマンドなどの演出制御コマンドが、主基板11から演出制御基板12に伝送される(ステップS17)。続いて、演出制御基板12の演出制御用CPU120が、最終停止図柄として確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)を決定し(ステップS528)、変動パターン「PB1-11」に応じた特図変動時演出制御パターンを選択することにより(ステップS530)、画像表示装置5には、図21の(a)→図21の(b)→図21の(c)→図21の(d)のように表示される。
【0277】
図21の(e)は、図21の(c)に続く他の場面である。図21の(e)は、リーチハズレ組合せ(“7”“8”“7”)が最終停止した様子を表している。
【0278】
例えば、主基板11のCPU103が、特図表示結果を「ハズレ」とすると決定し(ステップS240)、変動パターンを「PA2-11」とすると決定した場合(ステップ111)、可変表示結果「ハズレ」を指定する可変表示結果通知コマンド、変動パターン「PA2-11」を指定する変動パターン指定コマンドなどの演出制御コマンドが、主基板11から演出制御基板12に伝送される(ステップS17)。続いて、演出制御基板12の演出制御用CPU120が、最終停止図柄としてリーチハズレ組合せ(“7”“8”“7”)を決定し(ステップS525)、変動パターン「PA2-11」に応じた特図変動時演出制御パターンを選択することにより(ステップS530)、画像表示装置5には、図21の(a)→図21の(b)→図21の(c)→図21の(e)のように表示される。
【0279】
図21の(f)は、図21の(c)に続く他の場面である。図21の(f)は、スーパーリーチαの実行を示唆する特定演出示唆画像であるキャラクタ図柄「子供」を含む組合せ(“7”“子供”“7”)が停止した様子を表している。
・・・略・・・
【0287】
図24は、特別リーチ演出を1回実行する場合における、飾り図柄の変動開始以降の主要場面を時系列に並べたものである。具体的には、最初(1回目)の特別リーチ演出においてスーパーリーチαの実行を示唆するキャラクタ図柄「子供」を可変表示し、その後、所定位置(有効ライン上。図24の例では左右の数字図柄「7」の間)にキャラクタ図柄「子供」を停止させる場合の主要場面を時系列に並べたものである。図24の(a)?(c)は、図21の(a)?(c)と同様である。図24の(d)?(f)は、特別リーチ演出が実行されている様子を表している。なお、図24の(f)に続いて、図22に示したスーパーリーチαが実行される。
【0288】
例えば、主基板11のCPU103が、特図表示結果を「大当り」、大当り種別を「確変」とすると決定し(ステップS240、ステップS244)、変動パターンを「PB1-22」とすると決定した場合(ステップ111)、可変表示結果「確変」を指定する可変表示結果通知コマンド、変動パターン「PB1-22」を指定する変動パターン指定コマンドなどの演出制御コマンドが、主基板11から演出制御基板12に伝送される(ステップS17)。続いて、演出制御基板12の演出制御用CPU120が、最終停止図柄として確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)を決定し(ステップS528)、変動パターン「PB1-22」に応じた特図変動時演出制御パターンを選択することにより(ステップS530)、画像表示装置5には、図24の(a)→図24の(b)→図24の(c)→図24の(d)→図24の(e)→図24の(f)→図22の(a)→図22の(b)→図22の(c)のように表示される。
【0289】
また、特図表示結果を「ハズレ」とすると決定し(ステップS240)、変動パターンを「PA2-22」とすると決定した場合には(ステップ111)、画像表示装置5には、図24の(a)→図24の(b)→図24の(c)→図24の(d)→図24の(e)→図24の(f)→図22の(a)→図22の(b)→図22の(d)のように表示される。
【0290】
なお、特別リーチ演出においてスーパーリーチβの実行を示唆するキャラクタ図柄「お爺さん」を可変表示させる場合も同様である。例えば、特図表示結果を「大当り」、大当り種別を「確変」とすると決定し(ステップS240、ステップS244)、変動パターンを「PB1-32」とすると決定した場合には(ステップ111)、1回目の特別リーチ演出においてキャラクタ図柄「お爺さん」が停止し、発展したスーパーリーチβ(図23)において確変大当りとなる。また、特図表示結果を「ハズレ」とすると決定し(ステップS240)、変動パターンを「PA2-32」とすると決定した場合には(ステップ111)、1回目の特別リーチ演出においてキャラクタ図柄「お爺さん」が停止し、発展したスーパーリーチβ(図23)においてハズレとなる。
【0291】
図25は、特別リーチ演出を1回実行する場合における、飾り図柄の変動開始以降の主要場面を時系列に並べたものである。具体的には、最初(1回目)の特別リーチ演出においてスーパーリーチαの実行を示唆するキャラクタ図柄「子供」を可変表示し、その後、所定位置にキャラクタ図柄「子供」を停止させずに数字図柄「8」を最終停止させる場合の主要場面を時系列に並べたものである。図25の(a)?(c)は、図21の(a)?(c)と同様である。図25の(d)?(f)は、特別リーチ演出が実行されている様子を表している。図25の(g)は、リーチハズレ組合せ(“7”“8”“7”)が最終停止した様子を表している。なお、図25の(g)について、特別リーチ演出に含まれるものとして取り扱ってもよい。つまり、図25の(d)?(g)を特別リーチ演出と称してもよい。
【0292】
例えば、主基板11のCPU103が、特図表示結果を「ハズレ」とすると決定し(ステップS240)、変動パターンを「PA2-12」とすると決定した場合(ステップ111)、可変表示結果「ハズレ」を指定する可変表示結果通知コマンド、変動パターン「PA2-12」を指定する変動パターン指定コマンドなどの演出制御コマンドが、主基板11から演出制御基板12に伝送される(ステップS17)。続いて、演出制御基板12の演出制御用CPU120が、最終停止図柄としてリーチハズレ組合せ(“7”“8”“7”)を決定し(ステップS525)、変動パターン「PA2-12」に応じた特図変動時演出制御パターンを選択することにより(ステップS530)、画像表示装置5には、図25の(a)→図25の(b)→図25の(c)→図25の(d)→図25の(e)→図25の(f)→図25の(g)のように表示される。
【0293】
図26は、特別リーチ演出を2回実行する場における、飾り図柄の変動開始以降の主要場面を時系列に並べたものである。具体的には、最初(1回目)の特別リーチ演出においてスーパーリーチαの実行を示唆するキャラクタ図柄「子供」を可変表示し、その後、所定位置にキャラクタ図柄「子供」を停止させずに、再度、特別リーチ演出を実行し、再度(2回目)の特別リーチ演出において、所定位置にキャラクタ図柄「子供」を停止させる場合の主要場面を時系列に並べたものである。図26の(a)?(c)は、図21の(a)?(c)と同様である。図26の(d)?(f)は、特別リーチ演出(1回目)が実行されている様子を表している。図26の(g)は、再度、特別リーチ演出が実行される旨を報知している様子を表している。図26の(h)?(j)は、特別リーチ演出(2回目)が実行されている様子を表している。なお、図26の(j)に続いて、図22に示したスーパーリーチαが実行される。なお、図26の(g)について、特別リーチ演出に含まれるものとして取り扱ってもよい。つまり、図26の(d)?(g)を特別リーチ演出(1回目)と称してもよいし、図26の(g)?(j)を特別リーチ演出(2回目)と称してもよい。
・・・略・・・
【0297】
図27は、特別リーチ演出を2回実行する場合における、飾り図柄の変動開始以降の主要場面を時系列に並べたものである。具体的には、最初(1回目)の特別リーチ演出においてスーパーリーチαの実行を示唆するキャラクタ図柄「子供」を可変表示し、その後、所定位置にキャラクタ図柄「子供」を停止させずに、再度、特別リーチ演出を実行し、再度(2回目)の特別リーチ演出において、所定位置にキャラクタ図柄「子供」を停止させずに数字図柄「8」を最終停止させる場合の主要場面を時系列に並べたものである。図27の(a)?(c)は、図21の(a)?(c)と同様である。図27の(d)?(f)は、特別リーチ演出(1回目)が実行されている様子を表している。図27の(g)は、再度、特別リーチ演出が実行される旨を報知している様子を表している。図27の(h)?(j)は、特別リーチ演出(2回目)が実行されている様子を表している。図27の(g)は、リーチハズレ組合せ(“7”“8”“7”)が最終停止した様子を表している。なお、図27の(g)や(k)については、上述したように、特別リーチ演出に含まれるものとして取り扱ってもよい。」

エ 「【0320】
図21の(c)などに示した停止候補図柄回転演出において、4つ未満又は5つ以上の図柄を回転表示させてもよい。また、停止候補図柄回転演出において同一図柄を2以上回転表示させてもよい(例えば、キャラクタ図柄「お爺さん」を3つ回転表示させてもよい)。また、停止候補図柄回転演出の回転態様に応じて、特別リーチ演出を実行するか否かや、特別リーチ演出において可変表示中の図柄が所定位置に停止する期待度を異ならせるようにしてもよい。例えば、回転の速度、方向(例えば、時計回りであるか反時計回りであるか)に応じて、特別リーチ演出が実行される期待度や、1回目の特別リーチ演出において可変表示中の図柄が所定位置に停止する期待度や、2回目の特別リーチ演出が実行される期待度や、2回目の特別リーチ演出において可変表示中の図柄が所定位置に停止する期待度を異ならせるようにしてもよい。また、停止候補図柄回転演出において回転させる図柄の色、図柄の模様、図柄の数に応じて、上述の各期待度を異ならせるようにしてもよい。これにより、停止候補図柄回転演出にも遊技者が注目し、遊技興趣が向上する。
【0321】
また、特別リーチ演出において複数の図柄を可変表示させてもよい。例えば、図21の(c)などに示した停止候補図柄回転演出において回転表示させた図柄のうちの複数の図柄を特別リーチ演出において可変表示させるようにしてもよい。例えば、数字図柄「6」と数字図柄「7」のリーチ状態(ダブルリーチ状態)における停止候補図柄回転演出において、ハズレ図柄である数字図柄「5」と、リーチ図柄である数字図柄「6」と、リーチ図柄である数字図柄「7」と、ハズレ図柄である数字図柄「8」と、キャラクタ図柄「子供」と、キャラクタ図柄「お爺さん」の6つの図柄を回転表示させた場合、当該6つの図柄のうち、数字図柄「7」と数字図柄「8」とキャラクタ図柄「子供」とキャラクタ図柄「お爺さん」の4つの図柄を可変表示させる特別リーチ演出を実行してもよい。
【0322】
また、1回目の特別リーチ演出において複数の図柄を可変表示させた場合において2回目の特別リーチ演出を実行するときには、1回目の特別リーチ演出において可変表示させた図柄の全部、又は、1回目の特別リーチ演出において可変表示させた図柄の一部を可変表示させればよい。例えば、上記例のように、数字図柄「6」と数字図柄「7」のリーチ状態(ダブルリーチ状態)から、数字図柄「7」と数字図柄「8」とキャラクタ図柄「子供」とキャラクタ図柄「お爺さん」の4つの図柄を可変表示させる1回目の特別リーチ演出を実行した場合、当該4つの図柄全部を可変表示させる2回目の特別リーチ演出や、数字図柄「7」とキャラクタ図柄「お爺さん」の2つの図柄を可変表示させる2回目の特別リーチ演出や、キャラクタ図柄「お爺さん」のみを可変表示させる2回目の特別リーチ演出を実行してもよい。
【0323】
また、上記の説明では、特別リーチ演出を実行する場合には、停止候補図柄回転演出において回転表示させた図柄と同一の図柄(停止候補図柄回転演出において回転表示させた図柄の全部又は一部の図柄)を可変表示させていたが、停止候補図柄回転演出において回転表示させた図柄と異なる図柄(停止候補図柄回転演出において回転表示させていない図柄)を可変表示させてもよい。例えば、停止候補図柄回転演出において、数字図柄「7」と、数字図柄「8」と、キャラクタ図柄「子供」の3つの図柄を回転表示させた後に、停止候補図柄回転演出において回転表示させていないキャラクタ図柄「お爺さん」を可変表示させる特別リーチ演出を実行してもよい。なお、特別リーチ演出において、停止候補図柄回転演出において回転表示させた図柄と同一の図柄を可変表示させる場合と、停止候補図柄回転演出において回転表示させた図柄と異なる図柄を可変表示させる場合とで、1回目の特別リーチ演出において可変表示中の図柄が所定位置に停止する期待度や、2回目の特別リーチ演出が実行される期待度や、2回目の特別リーチ演出において可変表示中の図柄が所定位置に停止する期待度を異ならせるようにしてもよい。
【0324】
また、上記の説明では、2回目の特別リーチ演出を実行する場合には、1回目の特別リーチ演出において可変表示させた図柄と同一の図柄(停止候補図柄回転演出において回転表示させた図柄の全部又は一部の図柄)を可変表示させていたが、1回目の特別リーチ演出において可変表示させた図柄と異なる図柄(1回目の特別リーチ演出において可変表示させていない図柄)を可変表示させてもよい。例えば、1回目の特別リーチ演出においてキャラクタ図柄「子供」を可変表示させた後に、2回目の特別リーチ演出においてキャラクタ図柄「お爺さん」を可変表示させてもよい。なお、2回目の特別リーチ演出において、1回目と同一の図柄を可変表示させる場合と、2回目の特別リーチ演出において、1回目と異なる図柄を可変表示させる場合とで、2回目の特別リーチ演出において可変表示中の図柄が所定位置に停止する期待度を異ならせるようにしてもよい。
【0325】
また、2回目の特別リーチ演出を実行する前に表示する、特別リーチ演出の再実行を報知する画面(例えば、図26の(g)など)は表示しなくてもよい。例えば、特別リーチ演出の再実行を報知する画面を表示しない場合には、特図表示結果が「大当り」、大当り種別が「確変」、変動パターンが「PB1-23」であるときには、画像表示装置5には、図26の(a)→図26の(b)→図26の(c)→図26の(d)→図26の(e)→図26の(f)→図26の(h)→図26の(i)→図26の(j)→図22の(a)→図22の(b)→図22の(c)のように表示される。
【0326】
また、リーチ状態において停止候補図柄回転演出を実行しなくてもよい。例えば、所定の割合で停止候補図柄回転演出を実行してもよいし、停止候補図柄回転演出を常に実行しなくてもよい。例えば、停止候補図柄回転演出を実行しない場合には、特図表示結果が「大当り」、大当り種別が「確変」、変動パターンが「PB1-22」であるときには、画像表示装置5には、図24の(a)→図24の(b)→図24の(d)→図24の(e)→図24の(f)→図22の(a)→図22の(b)→図22の(c)のように表示される。なお、所定の割合で停止候補図柄回転演出を実行する態様においては、合計保留記憶数が同一であるという条件下、特別リーチ演出を実行せずに停止候補図柄演出を実行する割合>特別リーチ演出を1回実行し停止候補図柄演出を実行する割合>特別リーチ演出を2回実行し停止候補図柄演出を実行する割合としてもよい。
【0327】
また、特別リーチ演出を3以上実行してもよい。なお、大当り期待度や確変の期待度などを特別リーチ演出の実行回数に応じて異ならせてもよい。」

オ 上記アないしエからみて、引用例1には、次の発明が記載されている。なお、aないしnについては本願補正発明のAないしNに対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。
「a 始動入賞の発生に基づき、可変表示結果が「大当り」に決定されるか否かや「小当り」に決定されるか否か、大当りの種別、変動パターン決定用の乱数値MR3がいずれの決定値の範囲になるかを判定し(【0103】)、
b 可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンドを所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御され(【0049】)、
c 前記判定の結果に対応する値を変動カテゴリコマンドに設定し、該値に基づいて、変動パターンを認識でき、変動パターン指定コマンドを用いて画像表示装置5を制御する演出制御用CPU120を備え(【0103】、【0104】)、
d 演出制御用CPU120は、
e 数字図柄「7」のリーチ状態(“7”“↓”“7”)と(【0273】)、
f 前記リーチ状態に続き、全図柄のうち、後に停止表示させる一の図柄を含む複数の図柄を停止候補図柄として回転表示させるリーチ演出である停止候補図柄回転演出と(【0274】)、
g 停止候補図柄回転演出の回転態様、具体的には、回転させる図柄の色、図柄の模様、図柄の数に応じて、特別リーチ演出を実行するか否かや、特別リーチ演出において可変表示中の図柄が所定位置に停止する期待度を異ならせ(【0320】)、停止候補図柄回転演出に続き、特別リーチ演出が実行され得(【0293】)、
h 特別リーチ演出に続いて実行され得る、スーパリーチαと(【0293】、【0297】)、
i 停止候補図柄回転演出において、停止候補図柄として、数字図柄「7」、数字図柄「8」、キャラクタ図柄「子供」、キャラクタ図柄「お爺さん」の4つを回転表示させ、キャラクタ図柄「子供」は、スーパーリーチαの実行を示唆する特定演出示唆画像に相当し、キャラクタ図柄「お爺さん」は、スーパーリーチβの実行を示唆する特定演出示唆画像に相当し(【0274】)、
j 確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)が最終停止し得るものであり(【0275】)、
k リーチハズレ組合せ(“7”“8”“7”)が最終停止し得るものであり(【0277】)、
l 停止候補図柄回転演出を実行しない場合、前記リーチ状態に続き、確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)が最終停止し得るものであり(【0275】、【0326】)、
m 前記停止候補図柄回転演出では、確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)が最終停止し得るものであるとともに、特別リーチ演出を実行するか否かの期待度を示す回転態様と、スーパーリーチαの実行を示唆する特定演出示唆画像を表示し(【0116】、【0274】、【0320】)、
n 特別リーチ演出で、キャラクタ図柄「子供」を停止させ、それに続いて、スーパーリーチαを実行する(【0293】)、
パチンコ遊技機。」(以下「引用発明1」という。)

4 対比・判断
(1)対比
ア 本願補正発明と引用発明1とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(n)は、本願補正発明のAないしNに対応させている。
(a)引用発明1は、bのように、「大当り」が遊技者にとって有利なラウンドを所定回数実行する特定遊技状態の契機となっているから、「a 始動入賞の発生に基づき、可変表示結果が「大当り」に決定されるか否かや「小当り」に決定されるか否か、大当りの種別、変動パターン決定用の乱数値MR3がいずれの決定値の範囲になるかを判定し」は、本願補正発明の「A 始動条件が成立すると、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する特別遊技判定手段」を備えているものである。
(b)引用発明1は、「b 可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンドを所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御され」ているのであるから、本願補正発明の「B 前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定された場合に、当該特別遊技を実行する特別遊技実行手段」を備えているものである。
(c)引用発明1の「前記判定の結果に対応する値を変動カテゴリコマンドに設定し、該値に基づいて、変動パターンを認識でき、変動パターン指定コマンドを用いて画像表示装置5を制御する演出制御用CPU120」は、本願補正発明の「前記特別遊技判定手段の判定結果に基づいて、演出を実行可能な演出実行手段」に相当する。
(d)上記(c)のとおり、引用発明1の「演出制御用CPU120」は、本願補正発明の「演出実行手段」に相当する。
(e)引用発明1の「e 数字図柄「7」のリーチ状態(“7”“↓”“7”)」は、最初のリーチ態様となった演出といえるから、本願補正発明の「第1リーチ演出」に相当する。
(f)引用発明1の「停止候補図柄回転演出」は、前記「リーチ状態」(第1リーチ演出)に続き、そのままリーチの演出を実行するのであるから、本願補正発明の「F 前記第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出」に相当する。
(g)引用発明1の「特別リーチ演出」は、「停止候補図柄回転演出」(第2リーチ演出)に続いて実行され得る、すなわち発展され得るともいえるから、本願補正発明の「G リーチ演出であって、前記第2リーチ演出から発展可能な第1発展演出」に相当する。
(h)引用発明1の「スーパーリーチα」は、「特別リーチ演出」(第1発展演出)に続いて実行され得る、すなわち発展され得るともいえるから、本願補正発明の「H リーチ演出であって、前記第1発展演出から発展可能な第2発展演出」に相当する。
(i)引用発明1において、「停止候補図柄回転演出」は、停止候補図柄として、数字図柄「7」、数字図柄「8」、キャラクタ図柄「子供」、キャラクタ図柄「お爺さん」の4つを回転表示させ、キャラクタ図柄「子供」は、スーパーリーチαの実行を示唆する特定演出示唆画像であり、キャラクタ図柄「お爺さん」は、スーパーリーチβの実行を示唆する特定演出示唆画像である。引用発明1の「停止候補図柄回転演出」は、スーパーリーチへの発展を示唆するキャラクタ図柄を停止候補図柄として含むとともに、特定事項gのような期待度を示すものであり、発展確定を示唆するものではないとしても、発展への期待度を示唆するものといえるから、引用発明1の特定事項iと、本願補正発明の「I 図柄を用いて発展を示唆する発展示唆演出」とは、「I’ 図柄を用いて発展の期待度を示唆する演出」である点で一致する。
(j)引用発明1の「j 確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)が最終停止し得るものであ」ることは、本願補正発明の「J 前記特別遊技が実行されることを、図柄を用いて報知する当たり報知演出」「を実行可能であ」ることに相当する。
(k)引用発明1の「k リーチハズレ組合せ(“7”“8”“7”)が最終停止し得るものであ」ることは、「K 前記特別遊技が実行されないことを、図柄を用いて報知するハズレ報知演出」「を実行可能であ」ることに相当する。
(l)引用発明1は、「l 停止候補図柄回転演出を実行しない場合、前記リーチ状態に続き、確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)が最終停止し得るものであり」、発展演出を実行するものではないから、本願補正発明の「L 前記第1リーチ演出では、前記当たり報知演出を実行可能である一方、前記発展示唆演出を実行不可能であり」との構成を備える。
(m)引用発明1は、「m 前記停止候補図柄回転演出では、確変大当り組合せ(“7”“7”“7”)が最終停止し得るものであるとともに、特別リーチ演出を実行するか否かの期待度を示す回転態様と、スーパーリーチαの実行を示唆する特定演出示唆画像を表示」するものであり、停止候補図柄回転演出から特別リーチ演出(第1発展演出)やスーパーリーチ(第2発展演出)への発展の期待度を示唆しているといえるから、引用発明1の特定事項mと、本願補正発明の「M 前記第2リーチ演出では、前記当たり報知演出と、前記第1発展演出または前記第2発展演出への発展を示唆する前記発展示唆演出とを実行可能であり」とは、「M’ 前記第2リーチ演出では、前記当たり報知演出と、前記第1発展演出または前記第2発展演出への前記発展の期待度を示唆する演出とを実行可能であり」の点で一致する。
(n)引用発明1の「n 特別リーチ演出で、キャラクタ図柄「子供」を停止させ、それに続いて、スーパーリーチαを実行する」と、本願補正発明の「N 前記第1発展演出では、前記発展示唆演出を実行することなく、前記ハズレ報知演出と類似する類似演出を実行して、前記第2発展演出への発展が可能である」とは、「N’ 前記第1発展演出では、演出を実行して、前記第2発展演出への発展が可能である」点で一致する。また、引用発明1の「パチンコ遊技機」は、本願補正発明の「遊技機」に相当する。

イ 上記アからみて、本願補正発明と引用発明1とは、
「A 始動条件が成立すると、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する特別遊技判定手段と、
B 前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定された場合に、当該特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C 前記特別遊技判定手段の判定結果に基づいて、演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
D 前記演出実行手段は、
E 第1リーチ演出と、
F 前記第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出と、
G リーチ演出であって、前記第2リーチ演出から発展可能な第1発展演出と、
H リーチ演出であって、前記第1発展演出から発展可能な第2発展演出と、
I’ 図柄を用いて発展の期待度を示唆する演出と、
J 前記特別遊技が実行されることを、図柄を用いて報知する当たり報知演出と、
K 前記特別遊技が実行されないことを、図柄を用いて報知するハズレ報知演出とを実行可能であり、
L 前記第1リーチ演出では、前記当たり報知演出を実行可能である一方、発展示唆演出を実行不可能であり、
M’ 前記第2リーチ演出では、前記当たり報知演出と、前記第1発展演出または前記第2発展演出への前記発展の期待度を示唆する演出とを実行可能であり
N’ 前記第1発展演出では、演出を実行して、前記第2発展演出への発展が可能である、
遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点1
図柄を用いて発展の期待度を示唆する演出が、
本願補正発明では、「図柄を用いて発展を示唆する発展示唆演出」であるのに対し、
引用発明1では、停止候補図柄回転演出として、スーパーリーチへの発展を示唆するキャラクタ図柄を停止候補図柄として含むとともに、回転態様に応じて、特別リーチ演出を実行するか否かの期待度を異ならせるものであり、発展確定を示唆するものではないとしても、発展への期待度を示唆するものである点。

・相違点2
第1発展演出から第2発展演出への発展をするための演出として、
本願補正発明では、「発展示唆演出を実行することなく、ハズレ報知演出と類似する類似演出を実行」するのに対し、
引用発明1では、キャラクタ図柄「子供」を停止するものであり、発展示唆演出を実行することなく、ハズレ報知演出と類似する類似演出を実行するものではない点。

(2)判断
ア 相違点1について検討する。
(ア)「示唆」が「それとなく気づかせること。」[株式会社岩波書店 広辞苑第六版]を意味することに基づけば、引用発明1の「停止候補図柄演出」についても、スーパーリーチへの発展を示唆するキャラクタ図柄を停止候補図柄として含むとともに、回転態様で特別リーチ演出への発展の期待度を示しているだけであり、これらの発展について確定を示すものではないが、該発展の可能性を「それとなく気づかせる」ものであるといえるから、引用発明1の「停止候補図柄演出」は、本願補正発明の「図柄を用いて発展を示唆する発展示唆演出」であるといえる。そうすると、上記相違点1は実質的な相違点ではない。
(イ)仮に相違点1が実質的な相違点であったとしても、引用発明1の停止候補図柄演出において、発展の期待度ではなく、発展確定を示すような演出を実行することは、例えば擬似連(下記イ(ア)参照。)のように一般的に行われていることであるから、引用発明1において、上記相違点1に係る本願補正発明の構成となすことは当業者が適宜なし得たことである。

イ 相違点2について検討する。
(ア)遊技機における演出図柄の変動表示において、はずれ図柄を仮停止し、その後再変動する演出を実行後、スーパーリーチ等の別の演出へ移行することは周知(以下「周知技術」という。例.引用例1(【0065】ないし【0067】参照。)、特開2011-62365号公報(【0001】、【0647】ないし【0651】、図115参照。)、特開2013-9998号公報(【0001】、【0283】、図31参照。)、特開2014-144317号公報(【0001】、【0075】、図36参照。))である。
(イ)本願明細書の特に【0140】の「例えばリーチ図柄とは異なる中図柄が擬似停止した後、左図柄、中図柄、及び右図柄が再始動してSPSPリーチ演出に発展することを示唆する再始動演出」との記載を参酌すると、本願補正発明の「ハズレ報知演出と類似する類似演出」は、「ハズレ報知演出の擬似停止」を含むものと認められる。
(ウ)引用発明1は、スーパーリーチαを実行する示唆として、特別リーチ演出でキャラクタ図柄「子供」を停止させているものであるところ、引用例1の【0321】(上記(2)ア(エ))の記載によれば、特別リーチ演出はキャラクタ図柄「子供」を含む複数の図柄を可変表示しているものである。そうすると、特別リーチ演出において、スーパーリーチ等への発展の示唆として、可変表示している複数の図柄を用いて様々な演出を採用できるから、引用発明1において、スーパーリーチαへの発展の示唆としての、キャラクタ図柄「子供」の停止による演出に換えて、ハズレ報知演出と類似する類似演出を実行すること、すなわち、上記相違点2に係る本願補正発明の構成となすことは、上記(ア)の周知技術及び上記(イ)の解釈に基づけば、当業者が適宜なし得たことである。

ウ 本願補正発明の奏する効果は、引用発明1の奏する効果及び周知技術の奏する効果から予測することができた程度のものである。

エ 審判請求人の主張について
(ア)審判請求人は、審判請求書において、引用文献1(特開2009-125143号公報)又は引用文献2(引用例1)に記載の発明では、第1発展演出(SPリーチ演出)から発展可能なリーチ演出である第2発展演出(SPSPリーチ演出)が実行されることの記載やその動機付けとなる記載や示唆もないと主張している。
(イ)しかしながら、上記(1)及び上記イで説示したとおり、引用文献2(引用例1)に、第1発展演出から発展可能なリーチ演出である第2発展演出が実行されることの記載が存在すると認められる。

(3)独立特許要件のむすび
以上のとおりであるから、本願補正発明は、当業者が引用例1に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものである。
よって、本願補正発明は、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

5 小括
以上のとおり、本願補正発明は、特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものである。
したがって、本件補正は、同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記第2のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、平成28年5月27日付けで補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるものであるところ、請求項1に係る発明は、上記第2〔理由〕1(1)に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。本件補正前の請求項1に係る発明を再掲すると、以下のとおりであり、分説するため、記号AないしGを合議体が付した。

「A 始動条件が成立すると、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する特別遊技判定手段と、
B 前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定された場合に、当該特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C 前記特別遊技判定手段の判定結果に基づいて、演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
D 前記演出実行手段は、
E 第1リーチ演出と、当該第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出とを実行可能であり、
F 前記第1リーチ演出では、前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定されたことを報知する第1演出を実行可能である一方、所定の発展演出に発展することを示唆する第2演出を実行不可能であり、
G 前記第2リーチ演出では、前記第1演出および前記第2演出のいずれも実行可能であることを特徴とする遊技機。」(以下「本願発明」という。)

2 原査定の理由の概略
この出願の平成28年5月27日付けで手続補正された請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において頒布され又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記引用文献に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1.特開2009-125143号公報
引用文献2.特開2014-100238号公報

引用文献1に記載された発明に引用文献2に記載された発明を適用して、ノーマルロングリーチのリーチ演出にてスーパーリーチの実行を示唆する特定演出示唆画像を表示することにより、請求項1に係る発明とすることは、当業者ならば容易に想到することができたものである。

3 引用文献
(1)引用文献2(引用例1)の記載事項は、上記第2〔理由〕3に記載したとおりである。

(2)原査定の拒絶の理由に引用文献1として引用され、本願出願前に頒布された刊行物である特開2009-125143号公報(以下「引用例2」という。)には、次の事項が図とともに記載されている。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は、1回の図柄変動ゲームにおいて、図柄の変動開始から図柄の変動停止までを1回とする変動サイクルを複数回、連続して実行可能な遊技機に関する。」

イ 「【0033】
大当り遊技は、内部抽選で大当りを決定し、図柄変動ゲームで大当り図柄が確定停止表示されて該ゲームの終了後、開始される。大当り遊技が開始すると、最初に大当り遊技の開始を示すオープニング演出が行われる。オープニング演出終了後には、大入賞口扉38の開動作により大入賞口39が開放されるラウンド遊技が予め定めた規定ラウンド数を上限(例えば、14回)として複数回行われる。1回のラウンド遊技は、大入賞口扉38の開動作により大入賞口39が開放されてから大入賞口扉38の閉動作により大入賞口39が閉鎖される迄であり、1回のラウンド遊技中に大入賞口39は、規定入球個数(例えば、9球)の遊技球が入球するまでの間、又は規定時間(例えば、25秒)が経過するまでの間、開放される。そして、大当り遊技は、規定ラウンド数のラウンド遊技の終了後に大当り遊技の終了を示すエンディング演出が行われて終了する。
・・・略・・・
【0040】
このように構成された本実施形態のパチンコ遊技機10は、1回の図柄変動ゲームにおいて、図柄の変動開始から図柄の変動停止までを1回とする変動サイクルを複数回、連続して実行する連続予告演出を実行可能に構成されている。なお、連続予告演出は、演出表示装置28と特別図柄表示装置30で行われる1回の図柄変動ゲームにおいて、演出表示装置28のみで演出として表現される。1回の図柄変動ゲームは、図柄(特別図柄と飾り図柄)の変動開始によって開始し、図柄の変動が停止した後に図柄が確定停止表示されることによって終了する。この1回の図柄変動ゲームは、1球の始動保留球に対応して実行されるものである。すなわち、連続予告演出を伴う1回の図柄変動ゲームは、内部制御において1回の図柄変動ゲームを、恰も複数回の図柄変動ゲームが連続して行われているかのように擬似的に演出表現してなされるものである。そして、本実施形態の連続予告演出を伴う1回の図柄変動ゲームは、当該ゲームを構成する変動サイクルの実行回数によって大当り表示結果(大当り図柄)が表示されるか否かの可能性が変化するように構成されている。すなわち、本実施形態のパチンコ遊技機10は、大当り抽選に当選した場合には大当り抽選に当選していない場合に比して変動サイクルの実行回数が多い連続予告演出を伴って図柄変動ゲームが行われ易くなっている。」

ウ 「【0052】
図5は、本実施形態のパチンコ遊技機10において、主制御用ROM45bに記憶されている変動パターンの一部を示している。図5における「擬似連」は、連続予告演出を伴う1回の図柄変動ゲームを示す。
【0053】
変動パターンP1は、大当り判定の判定結果がはずれであって、はずれリーチ演出を実行しない場合に選択されるはずれ演出用の変動パターンである。そして、変動パターンP1は、図柄の変動を開始させてから図柄の変動停止によりはずれ図柄を導出し、変動時間の経過時にはずれ図柄を確定停止表示させる変動内容とされている。具体的に言えば、変動パターンP1には、変動内容として「通常変動」が対応付けられている。本実施形態の通常変動では、演出表示装置28において図柄の変動が開始してから、予め定めた変動停止順序にしたがって図柄の変動を停止させ、はずれ図柄を導出する。本実施形態の変動停止順序は、図柄の変動開始から最初に変動が停止する第1変動停止列を「左列」とし、次に変動が停止する第2変動停止列を「右列」とし、最後に変動が停止する第3変動停止列を「中列」と定めている。そして、通常変動では、図柄の変動開始から第1変動停止時間の経過時に第1変動停止列(左列)の変動が停止し、次に図柄の変動開始から第2変動停止時間(>第1変動停止時間)の経過時に第2変動停止列(右列)の変動が停止する。また、通常変動では、図柄の変動開始から第3変動停止時間(>第2変動停止時間)の経過時に第3変動停止列(中列)の変動が停止する。本実施形態の通常変動(変動パターンP1)では、図柄変動ゲームの開始から当該ゲームにおいて図柄が確定停止表示される迄の変動時間を、図6(a)に示すように、時間T1に定めている。なお、以下の説明では、変動パターンP1の変動態様のように、第1変動停止列、第2変動停止列及び第3変動停止列の各停止列の変動が停止して図柄が確定停止表示される迄の変動内容を、図6(a)に示すように「通常変動Z1」と示す。本実施形態では、変動パターンP1の変動時間(時間T1)を、通常図柄変動時間としている。
【0054】
変動パターンP2-1,P2-2は、何れも変動内容として「ノーマルショートリーチ(NS)」が対応付けられている。以下の説明では、変動パターンP2-1,P2-2をまとめて「変動パターンP2」と示す場合もある。変動パターンP2-1は、大当り判定の判定結果が大当りである場合に選択される変動パターンとなっている。一方、変動パターンP2-2は、大当り判定の判定結果がはずれであって、はずれリーチ演出を実行する場合に選択される変動パターンとなっている。変動パターンP2では、演出表示装置28において図柄の変動が開始してから、第1変動停止列(左列)と第2変動停止列(右列)の変動を前記変動停止順序にしたがって停止させるとともに同一図柄を導出してリーチを形成し、ノーマルショートリーチのリーチ演出にて第3変動停止列(中列)の変動を停止させて図柄を導出する。このとき、変動パターンP2-1の場合には、第3変動停止列の変動停止によって第1変動停止列及び第2変動停止列に同一図柄(リーチを認識し得るリーチ図柄と同じ図柄)が導出されて、変動時間の経過時に大当り図柄が確定停止表示される。一方、変動パターンP2-2の場合には、第3変動停止列の変動停止によって第1変動停止列及び第2変動停止列に導出された図柄とは異なる図柄(リーチを認識し得るリーチ図柄とは異なる図柄)が導出されて、変動時間の経過時にはずれ図柄が確定停止表示される。
【0055】
変動パターンP2における第1変動停止列の第1変動停止時間と第2変動停止列の第2変動停止時間は、変動パターンP1の「通常変動Z1」における第1変動停止列の第1変動停止時間と第2変動停止列の第2変動停止時間とそれぞれ同じ時間に定めている。そして、本実施形態では、第1変動停止列及び第2変動停止列の図柄の変動が停止する迄の変動時間を、図6(b)に示すように、時間T2(<通常変動Z1に基づく時間T1)に定めている。なお、以下の説明では、変動パターンP2において、第1変動停止列及び第2変動停止列の変動が停止する迄(リーチが形成される迄)の変動内容を、図6(b)に示すように「通常変動Z2」と示す。そして、変動パターンP2に基づく図柄変動ゲームは、図6(b)に示すように、通常変動Z2を経てリーチが形成され、そのリーチ形成後にノーマルショートリーチのリーチ演出が行われる。本実施形態では、ノーマルショートリーチの開始後、第3変動停止列の変動が停止し、図柄が確定停止表示する迄の変動時間を、図6(b)に示すように、時間T3に定めている。これにより、変動パターンP2に基づく図柄変動ゲームの変動時間は、「通常変動Z2」の時間T2と「ノーマルショートリーチ」の時間T3を加算した変動時間T2+T3となる。この変動時間T2+T3は、変動パターンP1の変動時間T1(通常図柄変動時間)よりも長くなっている。
【0056】
変動パターンP3-1,P3-2,P4-1,P4-2は、何れも変動内容として「ノーマルロングリーチ(NL)」が対応付けられている。以下の説明では、変動パターンP3-1,P3-2をまとめて「変動パターンP3」と示し、変動パターンP4-1,P4-2をまとめて「変動パターンP4」と示す場合もある。
【0057】
変動パターンP3-1,P4-1は、大当り判定の判定結果が大当りである場合に選択される変動パターンとなっている。一方、変動パターンP3-2,P4-2は、大当り判定の判定結果がはずれであって、はずれリーチ演出を実行する場合に選択される変動パターンとなっている。変動パターンP3,P4では、演出表示装置28において図柄の変動が開始してから、第1変動停止列(左列)と第2変動停止列(右列)の変動を前記変動停止順序にしたがって停止させるとともに同一図柄を導出してリーチが形成される。そして、変動パターンP3,P4では、ノーマルショートリーチのリーチ演出を経由した後に、ノーマルショートリーチからリーチ演出が発展し、ノーマルロングリーチのリーチ演出が行われ、当該リーチ演出にて第3変動停止列(中列)の変動を停止させて図柄を導出する。このとき、変動パターンP3-1,P4-1の場合には、第3変動停止列の変動停止によって第1変動停止列及び第2変動停止列に同一図柄(リーチを認識し得るリーチ図柄と同じ図柄)が導出されて、変動時間の経過時に大当り図柄が確定停止表示される。一方、変動パターンP3-2,P4-2の場合には、第3変動停止列の変動停止によって第1変動停止列及び第2変動停止列に導出された図柄とは異なる図柄(リーチを認識し得るリーチ図柄とは異なる図柄)が導出されて、変動時間の経過時にはずれ図柄が確定停止表示される。本実施形態において、変動パターンP3は「楽曲M1」をテーマとした変動内容でノーマルロングリーチのリーチ演出が行われる一方で、変動パターンP4は「楽曲M1」とは異なる「楽曲M2」をテーマとした変動内容でノーマルロングリーチのリーチ演出が行われる。
【0058】
変動パターンP3,P4に基づく図柄変動ゲームは、図6(c)に示すように、通常変動Z2を経てリーチが形成され、そのリーチ形成後にノーマルショートリーチのリーチ演出を経由してノーマルロングリーチのリーチ演出が行われる。本実施形態では、ノーマルロングリーチのリーチ演出の開始後、第3変動停止列の変動が停止し、図柄が確定停止表示する迄の変動時間を、図6(c)に示すように、時間T4に定めている。これにより、変動パターンP3,P4に基づく図柄変動ゲームの変動時間は、「通常変動Z2」の時間T2と、「ノーマルショートリーチ」の時間T3と、「ノーマルロングリーチ」の時間T4を加算した変動時間T2+T3+T4となる。この変動時間T2+T3+T4は、変動パターンP1の変動時間T1(通常図柄変動時間)よりも長くなっている。
【0059】
変動パターンP5-1,P5-2,P6-1,P6-2は、何れも変動内容として「スーパーリーチ(SP)」が対応付けられている。以下の説明では、変動パターンP5-1,P5-2をまとめて「変動パターンP5」と示し、変動パターンP6-1,P6-2をまとめて「変動パターンP6」と示す場合もある。
【0060】
変動パターンP5-1,P6-1は、大当り判定の判定結果が大当りである場合に選択される変動パターンとなっている。一方、変動パターンP5-2,P6-2は、大当り判定の判定結果がはずれであって、はずれリーチ演出を実行する場合に選択される変動パターンとなっている。変動パターンP5,P6では、演出表示装置28において図柄の変動が開始してから、第1変動停止列(左列)と第2変動停止列(右列)の変動を前記変動停止順序にしたがって停止させるとともに同一図柄を導出してリーチが形成される。そして、変動パターンP5,P6では、ノーマルショートリーチ及びノーマルロングリーチの各リーチ演出を経由した後に、ノーマルロングリーチからリーチ演出が発展し、スーパーリーチのリーチ演出が行われ、当該リーチ演出にて第3変動停止列(中列)の変動を停止させて図柄を導出する。このとき、変動パターンP5-1,P6-1の場合には、第3変動停止列の変動停止によって第1変動停止列及び第2変動停止列に同一図柄(リーチを認識し得るリーチ図柄と同じ図柄)が導出されて、変動時間の経過時に大当り図柄が確定停止表示される。一方、変動パターンP5-2,P6-2の場合には、第3変動停止列の変動停止によって第1変動停止列及び第2変動停止列に導出された図柄とは異なる図柄(リーチを認識し得るリーチ図柄とは異なる図柄)が導出されて、変動時間の経過時にはずれ図柄が確定停止表示される。本実施形態において、変動パターンP5は「楽曲M1」をテーマとした変動内容でスーパーリーチのリーチ演出が行われる一方で、変動パターンP6は「楽曲M1」とは異なる「楽曲M2」をテーマとした変動内容でスーパーリーチのリーチ演出が行われる。
【0061】
変動パターンP5,P6に基づく図柄変動ゲームは、図6(d)に示すように、通常変動Z2を経てリーチが形成され、そのリーチ形成後にノーマルショートリーチ及びノーマルロングリーチのリーチ演出を経由してスーパーリーチのリーチ演出が行われる。本実施形態では、スーパーリーチのリーチ演出の開始後、第3変動停止列の変動が停止し、図柄が確定停止表示する迄の変動時間を、図6(d)に示すように、時間Txに定めている。これにより、変動パターンP5,P6に基づく図柄変動ゲームの変動時間は、「通常変動Z2」の時間T2と、「ノーマルショートリーチ」の時間T3と、「ノーマルロングリーチ」の時間T4と、「スーパーリーチ」の時間Txを加算した変動時間T2+T3+T4+Txとなる。この変動時間T2+T3+T4+Txは、変動パターンP1の変動時間T1(通常図柄変動時間)よりも長くなっている。なお、時間Txは、「スーパーリーチ(SP)」の変動内容(本実施形態では「楽曲M1」及び「楽曲M2」)に応じて異なる時間に設定されている。
【0062】
スーパーリーチは、リーチ演出の演出内容が複数段階(本実施形態では2段階)で構成されたものであり、ノーマルリーチ(本実施形態では、ノーマルショートリーチとノーマルロングリーチ)を経由して行われるリーチ演出である。スーパーリーチでは、ノーマルリーチが1段階目となる。そして、変動パターンP5に基づくスーパーリーチの変動内容と変動パターンP6に基づくスーパーリーチの変動内容は、テーマとする楽曲が相違するとともに、例えば、登場するキャラクタが相違したり、登場するキャラクタは同じであっても、登場キャラクタの動作が相違したりするように構成されている。すなわち、ノーマルリーチ(ノーマルショートリーチとノーマルロングリーチ)、各スーパーリーチは、これらの演出を視認する遊技者が相違を明らかに認識し得るように変動内容が構成されている。
【0063】
変動パターンP7-1,P7-2,P8-1,P8-2は、何れも変動内容として連続予告演出を伴う図柄変動ゲーム(擬似連)を行うパターンとされており、連続予告演出の対象となる最終回の変動サイクルで行われるスーパーリーチの変動内容と変動時間が相違している。以下の説明では、変動パターンP7-1,P7-2をまとめて「変動パターンP7」と示し、変動パターンP8-1,P8-2をまとめて「変動パターンP8」と示す場合もある。そして、変動パターンP7-1,P8-1は、何れも大当り判定の判定結果が大当りであって、大当り演出を実行する場合に選択される変動パターンとなっている。一方、変動パターンP7-2,P8-2は、何れも大当り判定の判定結果がはずれであって、はずれリーチ演出を実行する場合に選択される変動パターンとなっている。
【0064】
変動パターンP7,P8では、演出表示装置28で図柄の変動が開始してから、複数回(本実施形態では「2回」及び「3回」の何れか)の変動サイクルからなる連続予告演出を実行する。そして、変動パターンP7,P8では、連続予告演出の最終回の変動サイクルでリーチを形成した後、スーパーリーチのリーチ演出を経て大当り図柄(P7-1,P8-1)又ははずれ図柄(P7-2,P8-2)を導出する。このとき、変動パターンP7では、最終回の変動サイクルでリーチを形成した後、「楽曲M1」をテーマとする変動内容のスーパーリーチのリーチ演出を経て大当り図柄(P7-1)又ははずれ図柄(P7-2)を導出する。一方、変動パターンP8では、最終回の変動サイクルでリーチを形成した後、「楽曲M2」をテーマとする変動内容のスーパーリーチのリーチ演出を経て大当り図柄(P8-1)又ははずれ図柄(P8-2)を導出する。」

エ 「【0086】
以下、主制御基板45、サブ統括制御基板46及び演出表示制御基板47が実行する制御内容を説明する。
最初に、主制御基板45について説明する。
【0087】
主制御基板45の主制御用CPU45aは、上始動入賞口35又は下始動入賞口36へ遊技球が入球し、該遊技球を検知した始動口スイッチSW1,SW2が出力する検知信号を入力すると、主制御用RAM45cに記憶されている特別図柄用の保留記憶数が上限数(本実施形態では4)未満であるか否かの保留判定を行う。保留判定の判定結果が肯定(特別図柄用の保留記憶数<4)の場合、主制御用CPU45aは、特別図柄用の保留記憶数を1加算(+1)し、特別図柄用の保留記憶数を書き換える。また、主制御用CPU45aは、特別図柄用の保留記憶数の書き換えに伴って該書き換え後の前記保留記憶数に対応する数の特別図柄保留発光部を点灯させる。例えば、主制御用CPU45aは、書き換え後の特別図柄用の保留記憶数が「3」の場合、3つの特別図柄保留発光部31a?31cを点灯させる。また、主制御用CPU45aは、保留判定を肯定判定している場合、大当り判定用乱数の値を主制御用RAM45cから取得し、その取得した大当り判定用乱数の値を特別図柄用の保留記憶数に対応付けて主制御用RAM45cの所定の記憶領域に格納する。なお、主制御用CPU45aは、保留判定の判定結果が否定(保留記憶数=4)の場合、上限数を超える特別図柄用の保留記憶数の書き換えを行わないとともに、大当り判定用乱数の値も取得しない。
【0088】
そして、主制御用CPU45aは、図柄変動ゲームの開始直前に、主制御用RAM45cの所定の記憶領域に格納した大当り判定用乱数の値を読み出し、その読み出した大当り判定用乱数の値と主制御用ROM45bに記憶されている大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り判定を行う。大当り判定の判定結果が肯定(大当り判定用乱数の値と大当り判定値とが一致)の場合、主制御用CPU45aは、大当りを決定する。大当りを決定した主制御用CPU45aは、特別図柄表示装置30で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定する。また、大当りを決定した主制御用CPU45aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM45cから取得し、該値に対応する変動パターンを大当り演出用の変動パターンの中から選択して決定する。」

オ 「【0101】
次に、演出表示制御基板47について説明する。
演出表示制御基板47の表示制御用CPU47aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、該コマンドに指示される変動パターンに対応する演出内容を選択し、該演出内容で図柄変動ゲームを行わせるように画像表示部GHの表示内容を制御する。このとき、表示制御用CPU47aは、選択した演出内容をもとに表示制御用ROM47bの画像データを用いて前記演出内容に沿った画像を表示するための表示用データを生成する。」

カ 上記アないしオからみて、引用例2には、次の発明が記載されている。なお、aないしgについては本願発明のAないしGに対応させて付与し、引用箇所の段落番号を併記した。
「a 主制御用CPU45aは、遊技球を検知した始動口スイッチSW1,SW2が出力する検知信号を入力すると、特別図柄用の保留記憶数を書き換え、大当り判定用乱数の値を主制御用RAM45cから取得し、その取得した大当り判定用乱数の値を特別図柄用の保留記憶数に対応付けて主制御用RAM45cの所定の記憶領域に格納し、該所定の記憶領域に格納した大当り判定用乱数の値を読み出し、その読み出した大当り判定用乱数の値と主制御用ROM45bに記憶されている大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り判定を行い(【0087】)、
b 大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU45aは、大当りを決定し、特別図柄表示装置30で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定し、図柄変動ゲームで大当り図柄が確定停止表示されて該ゲームの終了後、大当り遊技が開始され(【0088】)、
c 大当りを決定した主制御用CPU45aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM45cから取得し、該値に対応する変動パターンを大当り演出用の変動パターンの中から選択して決定し(【0088】)、表示制御用CPU47aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、該コマンドに指示される変動パターンに対応する演出内容を選択し、該演出内容で図柄変動ゲームを行わせるように画像表示部GHの表示内容を制御し(【0101】)、
d 表示制御用CPU47aは、
e ノーマルショートリーチのリーチ演出を経由した後に、ノーマルショートリーチからリーチ演出が発展し、ノーマルロングリーチのリーチ演出が行われ得(【0054】、【0057】)、
f ノーマルショートリーチのリーチ演出にて、変動時間の経過時に大当り図柄又ははずれ図柄が確定停止表示され、
g ノーマルロングリーチのリーチ演出にて、変動時間の経過時に大当り図柄又ははずれ図柄が確定停止表示されるか、ノーマルロングリーチからリーチ演出が発展し得、スーパーリーチのリーチ演出が行われ得る(【0057】、【0060】)、
遊技機。」(以下「引用発明2」という。)

4 対比・判断
(1)対比
ア 本願発明と引用発明2とを対比する。なお、以下の見出し(a)ないし(g)は、本願発明のAないしGに対応させている。
(a)引用発明2において、主制御用CPU45aは、遊技球を検知した始動口スイッチSW1,SW2が出力する検知信号を入力すると、特別図柄用の保留記憶数を書き換え、大当り判定用乱数の値を主制御用RAM45cから取得し、その取得した大当り判定用乱数の値を特別図柄用の保留記憶数に対応付けて主制御用RAM45cの所定の記憶領域に格納し、該所定の記憶領域に格納した大当り判定用乱数の値を読み出し、その読み出した大当り判定用乱数の値と主制御用ROM45bに記憶されている大当り判定値とを比較し、大当りか否かの大当り判定を行っているのであるから、引用発明2の特定事項aは、本願発明の「A 始動条件が成立すると、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する特別遊技判定手段」を備えることは明らかである。
(b)引用発明2において、大当り判定の判定結果が肯定の場合、主制御用CPU45aは、大当りを決定し、特別図柄表示装置30で行われる図柄変動ゲームで確定停止表示させる特別図柄として大当り図柄を決定し、図柄変動ゲームで大当り図柄が確定停止表示されて該ゲームの終了後、大当り遊技が開始されるのであるから、引用発明2の特定事項bは、本願発明の「B 前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定された場合に、当該特別遊技を実行する特別遊技実行手段」を備えることは明らかである。
(c)引用発明2において、大当りを決定した主制御用CPU45aは、変動パターン振分用乱数の値を主制御用RAM45cから取得し、該値に対応する変動パターンを大当り演出用の変動パターンの中から選択して決定し、表示制御用CPU47aは、変動パターン指定コマンドを入力すると、該コマンドに指示される変動パターンに対応する演出内容を選択し、該演出内容で図柄変動ゲームを行わせるように画像表示部GHの表示内容を制御するのであるから、引用発明2の特定事項cは、本願発明の「C 前記特別遊技判定手段の判定結果に基づいて、演出を実行可能な演出実行手段」を備えることは明らかである。
(d)上記(c)から明らかなとおり、引用発明2の「表示制御用CPU47a」は、本願発明の「演出実行手段」に相当する。
(e)引用発明2において、ノーマルショートリーチのリーチ演出を経由した後に、ノーマルショートリーチからリーチ演出が発展し、ノーマルロングリーチのリーチ演出が行われ得るものであり、引用発明2の「ノーマルショートリーチ」及び「ノーマルロングリーチ」の各「リーチ演出」は、それぞれ、本願発明の「第1リーチ演出」及び「第2リーチ演出」に相当する。そうすると、引用発明2の特定事項eは、本願発明の「E 第1リーチ演出と、当該第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出とを実行可能であり」との特定事項を備える。
(f)引用発明2において、ノーマルショートリーチのリーチ演出(第1リーチ演出)にて、変動時間の経過時に大当り図柄又ははずれ図柄が確定停止表示されるものであり、引用発明2の「大当り図柄」が「確定停止表示」されることは、本願発明の「第1演出」に相当する。そうすると、引用発明2の特定事項fと、本願発明の特定事項Fとは、「F’ 前記第1リーチ演出では、前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定されたことを報知する第1演出を実行可能であ」る点で一致する。
(g)引用発明2において、ノーマルロングリーチのリーチ演出(第2リーチ演出)にて、変動時間の経過時に大当り図柄が確定停止表示(第1演出)され得るものである。そうすると、引用発明2の特定事項gと、本願発明の特定事項Gとは、「G’ 前記第2リーチ演出では、前記第1演出を実行可能である」点で一致する。また、引用発明2の「遊技機」は、本願発明の「遊技機」に相当する。

イ 上記アからみて、本願発明と引用発明2とは、
「A 始動条件が成立すると、遊技者に有利な特別遊技を実行するか否かを判定する特別遊技判定手段と、
B 前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定された場合に、当該特別遊技を実行する特別遊技実行手段と、
C 前記特別遊技判定手段の判定結果に基づいて、演出を実行可能な演出実行手段とを備え、
D 前記演出実行手段は、
E 第1リーチ演出と、当該第1リーチ演出の後に行われ得る第2リーチ演出とを実行可能であり、
F’ 前記第1リーチ演出では、前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定されたことを報知する第1演出を実行可能であり、
G’ 前記第2リーチ演出では、前記第1演出を実行可能である、
遊技機。」である点で一致し、次の点で相違する。

・相違点2
本願発明では、さらに「F 前記第1リーチ演出では、前記特別遊技を実行すると前記特別遊技判定手段によって判定されたことを報知する第1演出を実行可能である一方、所定の発展演出に発展することを示唆する第2演出を実行不可能であ」るのに対し、
引用発明2では、ノーマルショートリーチのリーチ演出(第1リーチ演出)にて、変動時間の経過時に大当り図柄又ははずれ図柄が確定停止表示されるが、所定の発展演出に発展することを示唆する第2演出を実行不可能であるかどうかが明らかでない点。

・相違点3
第1演出を実行可能な第2リーチ演出において、
本願発明では、さらに「第2演出」も「実行可能である」のに対し、
引用発明2では、第2演出を実行可能であるかどうかが明らかでない点。

(2)判断
ア 相違点2及び3について、まとめて検討する。
(ア)上記第2の3(2)オのとおり、引用例1には、引用発明1が記載されており、引用発明1は、停止候補図柄回転演出において、スーパーリーチの実行を示唆する特定演出示唆画像を表示することを含むものである。
(イ)引用発明2は、ノーマルロングリーチのリーチ演出(第2リーチ演出)からリーチ演出が発展し得、スーパーリーチのリーチ演出が行われ得るものであり、上記(ア)を考慮すれば、リーチ演出の発展の際に、引用発明1の発展示唆の演出(第2演出)を採用することは当業者にとって格別困難なことではない。
(ウ)また、引用発明2は、ノーマルショートリーチのリーチ演出(第1リーチ演出)からスーパーリーチのリーチ演出へ直接発展するものではないから、上記(イ)のように、引用発明2において、引用発明1の発展示唆の演出を採用した際に、ノーマルショートリーチのリーチ演出(第1リーチ演出)で、スーパーリーチのリーチ演出への発展示唆の演出(第2演出)を実行する必要がないものである。そうすると、引用発明2において、ノーマルロングリーチのリーチ演出(第2リーチ演出)でのみ、スーパーリーチのリーチ演出への発展示唆の演出(第2演出)を実行可能とし、ノーマルショートリーチのリーチ演出(第1リーチ演出)では、スーパーリーチのリーチ演出への発展示唆の演出(第2演出)を実行不可能とすることは当業者が適宜なし得たことである。
(エ)以上のとおりであるから、引用発明2において、上記相違点2及び3に係る本願発明の構成となすことは、当業者が引用発明1に基づいて適宜なし得たことである。

イ 本願発明の奏する効果は、引用発明2の奏する効果及び引用発明1の奏する効果から予測することができた程度のものである。

5 むすび
本願発明は、以上のとおり、当業者が引用例2に記載された発明及び引用例1に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-04-18 
結審通知日 2018-04-19 
審決日 2018-05-07 
出願番号 特願2015-77447(P2015-77447)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (A63F)
P 1 8・ 121- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 進藤 利哉上田 正樹  
特許庁審判長 服部 和男
特許庁審判官 鉄 豊郎
藤田 年彦
発明の名称 遊技機  
代理人 寺本 亮  
代理人 小沢 昌弘  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ