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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 F24F 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 F24F 審判 全部申し立て 2項進歩性 F24F 審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備 F24F |
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管理番号 | 1341987 |
異議申立番号 | 異議2017-700220 |
総通号数 | 224 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-08-31 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-03-03 |
確定日 | 2018-05-21 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第5987167号発明「全熱交換素子用フィルムとそれを用いた全熱交換素子およびそれを用いた全熱交換形換気装置および全熱交換素子用フィルムの製造方法」の特許異議申立事件について,次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第5987167号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第5987167号の請求項1,3?5に係る特許を取り消す。 特許第5987167号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第5987167号の請求項1?5に係る特許(以下「本件特許」という。)の手続の経緯は,概ね,以下のとおりである。 平成24年 9月27日 出願 平成28年 8月19日 特許権の設定登録 平成28年 9月 7日 特許掲載公報発行 平成29年 3月 3日 特許異議の申立て(特許異議申立人:特許業務 法人朝日奈特許事務所) 平成29年 4月24日 取消理由通知書 平成29年 6月22日 意見書(特許権者)及び訂正請求書 平成29年 8月 8日 意見書(特許異議申立人) 平成29年 8月24日 訂正拒絶理由通知書 平成29年 9月25日 意見書(特許権者) 平成29年10月18日 取消理由通知書(決定の予告) 平成29年12月18日 意見書(特許権者)及び訂正請求書 平成30年 2月 9日 意見書(特許異議申立人) 以下,平成29年12月18日付け訂正請求書を「本件訂正請求書」といい,これに係る訂正を「本件訂正」という。なお,平成29年6月22日付け訂正請求書は,取り下げられたものとみなす(特許法120条の5第7項)。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求は,特許第5987167号の特許請求の範囲を,本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項1?5について訂正することを求めるものであって,その訂正の内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に, 「多くの貫通孔が形成された合成樹脂製フィルム機材と,この合成樹脂製フィルム機材の貫通孔部分に充填された親水性高分子化合物体とを備え,前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの貫通孔の外周縁には,小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在し,前記略円弧状大引裂辺が形成する前記貫通孔内に,前記親水性高分子化合物体を備えた全熱交換素子用フィルム。」 と記載されているのを, 「多くの貫通孔が形成された合成樹脂製フィルム機材と,この合成樹脂製フィルム機材の前記貫通孔部分に充填された親水性高分子化合物体とを備え,略円弧状大引裂辺は,円弧状部分の両側に外周方向への延長部分を有し,両側に存在する略円弧状大引裂辺の延長部分を当接させ前記貫通孔を形成し,前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの前記貫通孔の外周縁には,小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在し,前記貫通孔の内部に前記小引裂辺が形成され,前記略円弧状大引裂辺が形成する前記貫通孔内に,前記親水性高分子化合物体を備えた全熱交換素子用フィルム。」 に訂正する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に, 「親水性高分子化合物体は,少なくとも1種類の低分子有機化合物と,少なくとも1種類の重合開始剤と,少なくとも1種類の界面活性剤との溶液を,合成樹脂製フィルム機材へ含浸もしくは塗布した後,熱または/および光を加えることによって形成する請求項1または2に記載の全熱交換素子用フィルムの製造方法。」 と記載されているのを, 「親水性高分子化合物体は,少なくとも1種類の低分子有機化合物と,少なくとも1種類の重合開始剤と,少なくとも1種類の界面活性剤との溶液を,合成樹脂製フィルム基材へ含浸もしくは塗布した後,熱または/および光を加えることによって形成する請求項1に記載の全熱交換素子用フィルムの製造方法。」 に訂正する。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に, 「枠体に,請求項1または2に記載の全熱交換素子用フィルムを装着した全熱交換素子。」 と記載されているのを, 「枠体に,請求項1に記載の全熱交換素子用フィルムを装着した全熱交換素子。」に訂正する。 2 訂正の適否について (1) 訂正事項1について 本件訂正前の請求項1について,「この合成樹脂製フィルム機材の前記貫通孔部分に充填された親水性高分子化合物体とを備え,略円弧状大引裂辺は,円弧状部分の両側に外周方向への延長部分を有し,両側に存在する略円弧状大引裂辺の延長部分を当接させ前記貫通孔を形成し,前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの前記貫通孔の外周縁には,小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在し,前記貫通孔の内部に前記小引裂辺が形成され(る)」ものであると,さらに特定するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,本件訂正前の請求項2に「略円弧状大引裂辺は,円弧状部分の両側に外周方向への延長部分を有し,両側に存在する略円弧状大引裂辺の延長部分を当接させた請求項1に記載の全熱交換素子用フィルム。」と記載されるとともに,本件特許明細書に「略円弧状大引裂辺19は,円弧状部分19aの両側に外周方向への延長部分19bを有し,両側に存在する略円弧状大引裂辺19の延長部分19bが当接した形状となっている。」(【0026】)と記載されており,図5,6の記載を踏まえると,訂正事項1に係る本件訂正は,新規事項を追加するものではなく,また,実質上特許請求の範囲を拡張,又は変更するものではない。 (2) 訂正事項2について 本件訂正前の請求項2を削除するものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,新規事項を追加するものではなく,また,実質上特許請求の範囲を拡張,又は変更するものではない。 (3) 訂正事項3,4について 本件訂正前の請求項3,4について,引用する請求項を減ずるものであるから,特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 そして,新規事項を追加するものではなく,また,実質上特許請求の範囲を拡張,又は変更するものではない。 (4) さらに,本件訂正は一群の請求項ごとに請求されたものである。 (5) 以上のとおりであるから,本件訂正は特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる事項を目的とするものであって,同条4項,並びに同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので,訂正特許請求の範囲のとおり,訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 前記第2のとおり,本件訂正は認められるから,本件特許の請求項1?5に係る発明は,特許請求の範囲の請求項1?5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。以下,本件特許に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明1」などといい,総称して「本件発明」という。 【請求項1】 多くの貫通孔が形成された合成樹脂製フィルム機材と,この合成樹脂製フィルム機材の前記貫通孔部分に充填された親水性高分子化合物体とを備え,略円弧状大引裂辺は,円弧状部分の両側に外周方向への延長部分を有し,両側に存在する略円弧状大引裂辺の延長部分を当接させ前記貫通孔を形成し,前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの前記貫通孔の外周縁には,小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在し,前記貫通孔の内部に前記小引裂辺が形成され,前記略円弧状大引裂辺が形成する前記貫通孔内に,前記親水性高分子化合物体を備えた全熱交換素子用フィルム。 【請求項2】 削除 【請求項3】 親水性高分子化合物体は,少なくとも1種類の低分子有機化合物と,少なくとも1種類の重合開始剤と,少なくとも1種類の界面活性剤との溶液を,合成樹脂製フィルム機材へ含浸もしくは塗布した後,熱または/および光を加えることによって形成する請求項1に記載の全熱交換素子用フィルムの製造方法。 【請求項4】 枠体に,請求項1に記載の全熱交換素子用フィルムを装着した全熱交換素子。 【請求項5】 請求項4に記載の全熱交換素子を用いた全熱交換形換気装置。 2 取消理由の概要 取消理由通知書で通知した取消理由1?5は,概ね,次のとおりである。 (1) 取消理由1 本件特許の請求項1?5に係る発明は,甲1号証又は甲2号証(後記3)に記載された発明であって,特許法29条1項3号に該当し,特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (2) 取消理由2 本件特許の請求項1?5に係る発明は,甲1号証又は甲2号証(後記3)に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって,特許法29条2項の規定により特許を受けることができないから,その発明に係る特許は取り消すべきものである。 (3) 取消理由3 本件特許は,発明の詳細な説明の記載が不備のため,特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり,取り消すべきものである。 (4) 取消理由4 本件特許は,特許請求の範囲の記載が不備のため,特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり,取り消すべきものである。 (5) 取消理由5 本件特許は,特許請求の範囲の記載が不備のため,特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してなされたものであり,取り消すべきものである。 3 証拠方法 甲1号証:特開2006-150323号公報 甲2号証:特開平7-133994号公報 甲3号証:International Journal of Pharmaceutics,2009,Vol.380,p.33-39 以下,各証拠を証拠番号に従って,「甲1」などという。 4 甲1に記載された事項及び発明 (1) 甲1に記載された事項 ・「【0002】 隔膜の代表的な用途として熱交換膜が挙げられる。熱交換膜は,例えば,空調システムに利用されており,室内と室外の空気を,混合することなく熱交換できる。近年では,熱のみならず,湿気も交換できる全熱交換膜が提案されている。こうした熱交換膜には,透気性は低いが,透湿性は良好であることが望まれる。そこで本件出願人らは先に特許文献1の技術を提案している。図1及び図2は,この特許文献1で紹介されている隔膜の断面を示す概念図である。 【0003】 すなわち図1に示すように,特許文献1では,高分子樹脂多孔質体シート20上に,硬化した透湿性樹脂層30を設けた2層構造の熱交換膜10を提案している。そしてこの文献では,前記熱交換膜10を補強することも提案しており,例えば図2に示すように,前記硬化した透湿性樹脂層30の上に補強材40を設けた3層構造の熱交換膜11も提案している。これらの熱交換膜10,11は,透気性は低いが透湿性は良好であり,加えて結露や形くずれ,カビ発生等が少なく,使用寿命が長いとされている。なお,この特許文献1では,透湿性樹脂として少なくとも一部が架橋されたポリビニルアルコールも例示されているが,この文献の実施例で透湿性樹脂として実際に使用されているのはポリウレタン樹脂やシリコーン系樹脂,フッ素系樹脂などである。 【0004】 しかし本発明者らが更に検討を重ねた結果,特許文献1で提案した熱交換膜には幾つかの改良すべき点が見つかった。 【特許文献1】特開平7-133994号公報([特許請求の範囲],[0007],[0010],[0026],[0032],[実施例]参照)」 ・「【0023】 [多孔質膜] 前記多孔質膜は隔膜の基材となる膜であり,通気性を有する限り該多孔質膜を構成する樹脂の種類は特に限定されない。具体的には,耐熱性や耐腐食性を有するものが好ましく,ポリエチレン,ポリプロピレン等のポリオレフイン類;ポリカーボネート;ポリスチレン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリエステル;ポリテトラフルオロエチレン,テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体,ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン等のフッ素樹脂等が使用出来る。なかでも耐熱性および耐腐食性に優れ,臨界表面張力が極めて低いフッ素樹脂が推奨される。」 ・「【0027】 ePTFEフィルムは,PTFEのファインパウダーを成形助剤と混合して得られるペーストを成形し,該成形体から成形助剤を除去した後,高温高速度で延伸し,さらに必要に応じて焼成することにより得られる。その詳細は,例えば特公昭51-18991号公報に記載されている。なお,延伸は,1軸延伸であってもよいし,2軸延伸であってもよい。1軸延伸多孔質PTFEフィルムは,ミクロ的には延伸方向と略直交する細い島状のノード(折り畳み結晶)が存在し,このノード間を繋ぐようなすだれ状のフィブリル(前記折り畳み結晶が延伸により溶けて引き出された直鎖状の分子束)が延伸方向に配向している点に特徴がある。一方,2軸延伸多孔質PTFEフィルムは,フィブリルが放射状に拡がり,フィブリルを繋ぐノードが島状に点在してフィブリルとノードとで分画された空間が多数存在するクモの巣状の繊維質構造となっている点にミクロ的な特徴がある。2軸延伸多孔質PTFEフィルムは,1軸延伸多孔質PTFEフィルムよりも広幅化が容易であり,縦方向・横方向の物性バランスに優れ,単位面積あたりの生産コストが安くなるため,特に好適に用いられる。」 ・「【0043】 非水溶性の透湿性樹脂としては,例えば,ポリウレタンなどが挙げられる。水溶性の透湿性樹脂としては,例えば,ポリビニルアルコールやポリエチレンオキシド,ポリアクリル酸などが挙げられる。」 ・「【0052】 透湿性樹脂と溶剤の混合液は,溶液またはエマルジョンであり,溶剤としては,通常,水系溶剤が使用される。水系溶剤とは,水単独,または水と他の溶剤との混合溶剤を意味し,該他の溶剤としては,アルコール類(メタノールやエタノールなど),ケトン類(アセトンなど),エーテル類(テトラヒドロフランなど),ニトリル類(アセトニトリルなど)などの水と良好に混ざる溶剤が挙げられる。なお,透湿性樹脂が非水溶性の場合,膜形成を容易にするため,エマルジョン化させてから塗布する。」 ・「【0067】 [熱交換器] 上記隔膜12の用途の一例として,熱交換器について説明する。・・・ 【0068】 図4中,1はセパレータ,12は熱交換膜として使用される隔膜,3は排出空気の流れ,4は吸入空気の流れを夫々示している。セパレータ1は波状を呈しており,隔膜12と交合に積層されている。」 ・「【0074】 [透湿性樹脂と溶剤の混合液] 透湿性樹脂としてのポリビニルアルコール(クラレ社製ポバール「PVA217(商品名)」;けん化度=87?89%,重合度=1700)を濃度3質量%となるように水に溶解させることによって,混合液Aを調製した。」 ・「【0077】 比較例1 以下のようにして,図5に示す構造の隔膜13を製造した。すなわち多孔質膜20と補強材40からなる積層体23の多孔質膜20側から上記混合液Aをワイヤーバーで塗布する以外は,上記実施例1と同様にして隔膜13を得た。」 ・「【0094】 【表2】 」 (2) 甲1に記載された発明 甲1の記載からすると(特に,比較例1に関し),甲1には以下の発明が記載されているといえる(以下,それぞれ「甲1発明の1」,「甲1発明の2」,「甲1発明の3」という。) (甲1発明の1) 「延伸多孔質PTFEフィルムからなる多孔質膜20と,この多孔質膜20に塗布されたポリビニルアルコールからなる透湿性樹脂層30とを備えた全熱交換膜として使用される隔膜13。」 (甲1発明の2) 「セパレータ1に,甲1発明の1に係る隔膜13を装着した全熱交換素子。」 (甲1発明の3) 「甲1発明の2に係る全熱交換素子を用いた熱交換器」 5 甲2に記載された事項及び発明 (1) 甲2に記載された事項 ・「【請求項2】2種の気体流間で全熱交換を行うための熱交換器において2種の気体流の流路間に配設される熱交換膜であって,高分子樹脂多孔体シート内に硬化した透湿性樹脂を含有させた構造を有することを特徴とする熱交換膜。」 ・「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は,2種の気体流間で全熱交換(熱交換及び湿度交換)を行うための熱交換器に使用される熱交換膜に関するものである。 【0002】 【従来の技術及びその問題点】近年,建物の冷暖房の普及に伴い,室内を快適にかつ健康的な状態とするために換気が同時に行われている。ところが単に室外の空気を取り入れるだけでは,暖房時には冷たい空気が室内に入り,冷房時には暑い空気が入ることになり,冷暖房の効率が悪くなる。そこで,暖房時にはより暖かい空気を取り入れ,冷房時にはより冷たい空気を取り入れるために熱交換器が使用されている。 【0003】この熱交換器は,例えば室内からの排出空気の流路と室外からの吸入空気の流路との間に熱交換膜を配置して,該熱交換膜を介して排出空気と吸入空気の熱交換を行うように構成されている(例えば特公昭47-19990号公報参照)。」 ・「【0009】本発明に用いられる高分子樹脂の多孔体としては,耐熱性,耐腐食性を有するものが好ましく,ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリカーボネート,ポリテトラフルオロエチレン,ポリテトラフルオロエチレン/ヘキサフロロプロピレン共重合体,ポリフッ化ビニル,ポリフッ化ビニリデン等が挙げられるが,耐熱性,耐薬品性等の観点から延伸されたポリテトラフルオロエチレン多孔体が特に好ましい。・・・ 【0010】また,本発明に用いられる透湿性樹脂としては,水酸基,カルボキシル基,スルホン酸基,アミノ基等の親水性基を持つ高分子であって,水膨潤性でありかつ水不溶性のものが好ましく用いられる。このような親水性樹脂としては,少なくとも一部が架橋されたポリビニルアルコール,酢酸セルロース,硝酸セルロース等の親水性ポリマーや,ポリアミノ酸,ポリウレタン,親水性含フッ素ポリマー等が挙げられるが,耐熱性,耐薬品性,加工性を考慮に入れるとポリウレタン樹脂,フッ素系透湿性樹脂が特に好ましい。」 ・「【0024】本発明による第2の熱交換膜は,高分子樹脂多孔体シートのその空孔内に,透湿性樹脂の硬化物を含有させた構造を有するものである。高分子樹脂多孔体シートの厚さは5?100μm,好ましくは10?30μmである。硬化した透湿性樹脂を高分子樹脂多孔体シートの内部に含有させた構造の熱交換膜は,例えば,透湿性樹脂の有機溶媒溶液を高分子樹脂多孔体シートの空孔内に含浸させ,有機溶媒を蒸発除去した後,その透湿性樹脂を加熱したり,紫外線等の光を照射したりすることにより製造することができる。」 ・「【0031】図1は本発明による熱交換膜を配置した熱交換器の構造を模式的に斜視図で示したもので,1はセパレータ,2は熱交換膜,3は排出空気の流れ,4は吸入空気の流れである。セパレータ1は波状に形成され,熱交換膜2,2の間にその波形方向がすぐ上又は下のセパレータ1と直交するように配置され,排出空気或いは吸入空気の流路を形成するようになっている。」 ・「【0041】実施例9 フッ素系の透湿性樹脂であるデュポン社製ナフィオン樹脂をエタノールに溶かして5重量%のエタノール溶液を調整した。次に,厚さ20μm,空孔率85%,孔径0.2μmのPTFE多孔質膜を上記エタノール溶液に浸漬して含浸した後,この膜を溶液から引き上げ100℃で5分間乾燥して,エタノールを除去した。この浸漬,乾燥工程を再度繰り返して,ナフィオン樹脂が含有,硬化されたPTFE多孔質膜が得られた。この膜と目付量50g/m^(2)のポリプロピレンとポリエステルとの混合品からなる不織布とをウレタン系接着剤により25%の接着面積でグラビアロールを用いて積層し,本発明による全熱交換膜とした。」 (2) 甲2に記載された発明 甲2に記載された事項からすると,甲2には以下の発明が記載されているといえる(以下,それぞれ「甲2発明の1」,「甲2発明の2」,「甲2発明の3」,「甲2発明の4」という。)。 (甲2発明の1) 「延伸されたPTFE多孔質膜と,この延伸されたPTFE多孔質膜内に硬化した透湿性樹脂とを備えた全熱交換を行うための熱交換器に使用される全熱交換膜」 (甲2発明の2) 「透湿性樹脂は,透湿性樹脂の有機溶媒溶液をPTFE多孔質膜に含浸させ,有機溶媒を蒸発除去した後,その透湿性樹脂を加熱したり,紫外線等の光を照射したりすることによって形成する甲2発明の1に係る全熱交換膜の製造方法。」 (甲2発明の3) 「セパレータに,甲2発明の1に係る全熱交換膜を装着した全熱交換素子。」 (甲2発明の4) 「甲2発明の3に係る全熱交換素子を用いた全熱交換を行うための熱交換器。」 6 甲3に記載された事項 ・「 」 ・「 」 7 理由1及び2(29条1項3号,29条2項)について (1) 本件発明1について ア 甲1に関し 本件発明1と甲1発明の1とを,その機能に照らして対比すると,甲1発明の1の「多孔質膜20」,「透湿性樹脂層30」,「隔膜13」は,それぞれ,本件発明1の「合成樹脂製フィルム機材」,「親水性高分子化合物体」,「全熱交換素子用フィルム」に相当する。 よって,両者は,「多くの貫通孔が形成された合成樹脂製フィルム機材と,この合成樹脂製フィルム機材の前記貫通孔部分に充填された親水性高分子化合物体とを備えた,全熱交換素子用フィルム。」である点で一致する。 そして,本件発明1は,「略円弧状大引裂辺は,円弧状部分の両側に外周方向への延長部分を有し,両側に存在する略円弧状大引裂辺の延長部分を当接させ前記貫通孔を形成し,前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの前記貫通孔の外周縁には,小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在し,前記貫通孔の内部に前記小引裂辺が形成され,前記略円弧状大引裂辺が形成する前記貫通孔内に,前記親水性高分子化合物体を備えた」ものであるのに対し,甲1発明の1において,その点が不明である点で一応相違する。 本件特許明細書において,後記8のとおり,合成樹脂製フィルム機材の略円弧状大引裂辺,小引裂辺,貫通孔の作製に関し,明確かつ十分に記載したものであるとはいえないが,本件特許明細書の記載によれば,一応,合成樹脂製フィルム機材を両側に引っ張ることで当該構造を得ることができるものと認められる(【0024】,【0025】)。なお,特許権者は,どの程度引っ張るかは,通常の試行錯誤により実施することが可能である旨述べている(平成29年12月18日付け意見書5(5))。 これに対し,甲1発明の1の「多孔質膜20」は,延伸多孔質PTFEフィルムからなるが,このことからすると,甲1発明の1の「多孔質膜20」は,本件発明1の「合成樹脂製フィルム機材」と同様の構造を有するものと認められる。 そうすると,上記一応の相違点は実質的な相違点ではなく,甲1発明の1は,本件発明1と格別相違するところがない。 イ 甲2に関し 本件発明1と甲2発明の1とを,その機能に照らして対比すると,甲2発明の1の「多孔質膜」,「透湿性樹脂」,「熱交換膜」は,それぞれ,本件発明1の「合成樹脂製フィルム機材」,「親水性高分子化合物体」,「全熱交換素子用フィルム」に相当する。 よって,両者は,「多くの貫通孔が形成された合成樹脂製フィルム機材と,この合成樹脂製フィルム機材の前記貫通孔部分に充填された親水性高分子化合物体とを備えた,全熱交換素子用フィルム。」である点で一致する。 そして,本件発明1は,「略円弧状大引裂辺は,円弧状部分の両側に外周方向への延長部分を有し,両側に存在する略円弧状大引裂辺の延長部分を当接させ前記貫通孔を形成し,前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの前記貫通孔の外周縁には,小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在し,前記貫通孔の内部に前記小引裂辺が形成され,前記略円弧状大引裂辺が形成する前記貫通孔内に,前記親水性高分子化合物体を備えた」ものであるのに対し,甲2発明の1において,その点が不明である点で一応相違する。 しかし,既に述べたとおり,合成樹脂製フィルム機材を両側に引っ張ることで当該構造を得ることができるものであるから,甲2発明の1の「多孔質膜」は,延伸されたPTFE多孔質膜であることからすると,本件発明1の「合成樹脂製フィルム機材」と同様の構造を有するものと認められる。 そうすると,上記一応の相違点は実質的な相違点ではなく,甲2発明の1は,本件発明1と格別相違するところがない。 ウ 仮に,上記一応の相違点が実質的な相違点であるとしても,全熱交換膜として使用されるとの性質上,貫通孔の形状や構造を最適化・好適化することは当然で,それは延伸条件により調整可能であって,当業者であれば通常実施することが可能な試行錯誤によりなし得ることであるから,甲1発明の1又は甲2発明の1において,本件発明1と同様の構造とすることは,当業者が容易に想到できたものである。 エ 以上のとおり,本件発明1は,甲1発明の1又は甲2発明の1であるか,甲1発明の1又は甲2発明の1に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2) 本件発明3について 本件発明3と甲2発明の2とを,その機能に照らして対比すると,甲2発明の2の「透湿性樹脂の有機溶媒溶液をPTFE多孔質膜に含浸させ,・・・た後,その透湿性樹脂を加熱したり,紫外線等の光を照射したりする」点は,本件発明3における「少なくとも1種類の低分子有機化合物と,少なくとも1種類の重合開始剤と,少なくとも1種類の界面活性剤との溶液を,合成樹脂製フィルム機材へ含浸もしくは塗布した後,熱または/および光を加える」点と,「低分子有機化合物」を含む「溶液」を,「合成樹脂製フィルム機材へ含浸・・・した後,熱または/および光を加える」点で一致する。 そして,本件発明1と甲2発明の1の関係は前記(1)で述べたとおりであって,本件発明3は,「少なくとも1種類の低分子有機化合物と,少なくとも1種類の重合開始剤と,少なくとも1種類の界面活性剤との溶液」を「含浸もしくは塗布」するのに対し,甲2発明の2は,「透湿性樹脂の有機溶媒溶液」に関し,重合開始剤や界面活性剤が使用されるのか不明である点で両者は一応相違する。 しかし,甲2発明の2は,「透湿性樹脂の有機溶媒溶液をPTFE多孔質膜に含浸させ,有機溶媒を蒸発除去した後,その透湿性樹脂を加熱したり,紫外線等の光を照射したりすることによって形成する」のであるから,重合開始剤を使用していることは自明であるか,適宜なし得ることである。 また,甲1にエマルジョン化させてから塗布する点が開示されていることからしても(前記4(1)【0052】),溶剤の性状を考慮し,界面活性剤が使用され得ることは自明であるか,適宜なし得ることである。 よって,本件発明3は,甲2発明の2であるか,甲2発明の2及び甲1に記載された事項に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 本件発明4について 本件発明4と甲1発明の2又は甲2発明の3とを,その機能に照らして対比すると,甲1発明の2の「セパレータ1」,「全熱交換素子」,甲2発明の3の「セパレータ」,「全熱交換素子」は,それぞれ,本件発明4の「枠体」,「全熱交換素子」に相当し,本件発明1と甲1発明の1又は甲2発明の1の関係は前記(1)で述べたとおりであるから,甲1発明の2又は甲2発明の3は,本件発明4と格別相違するところがない。 よって,本件発明4は,甲1発明の2又は甲2発明の3であるか,甲1発明の2又は甲2発明の3に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 本件発明5について 本件発明5と甲1発明の3又は甲2発明の4とを,その機能に照らして対比すると,甲1発明の3の「熱交換器」,甲2発明の4の「熱交換器」は,本件発明5の「熱交換器」に相当し,本件発明4と甲1発明の2又は甲2発明の3の関係は前記(3)で述べたとおりであるから,甲1発明の3又は甲2発明の4は,本件発明5と格別相違するところがない。 よって,本件発明5は,甲1発明の3又は甲2発明の4であるか,甲1発明の3又は甲2発明の4に基いて,当業者が容易に発明をすることができたものである。 8 理由3(36条4項1号)について (1) 本件発明は,「前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの貫通孔の外周縁には,小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在(する)」ことを,発明を特定するための事項としているところ,合成樹脂製フィルム機材の略円弧状大引裂辺,小引裂辺,貫通孔に関し,本件特許明細書の発明の詳細な説明には,合成樹脂製フィルム機材を両側に引っ張ることで形成される旨記載されるとともに(【0024】,【0025】),略円弧状大引裂辺,及び両側の略円弧状大引裂辺(延長部分の当接も含め)によって貫通孔を作る技術が,例えば「International journal of pharmaceutics Volume380,lssues 1-2,1 October 2009,Pages33-39」に記載されているとされている(【0030】)。 しかし,当該文献には,ヒドロゲル及びSolpor膜を利用した薬剤送出システムに関し,Solpor膜が高分子量のポリエチレンからなり,微孔を有していることや,ヒドロゲルがスポンジ状の網目構造を有していることが開示されているのみで,略円弧状大引裂辺,及び両側の略円弧状大引裂辺(延長部分の当接も含め)によって貫通孔を作る技術に関する記載は認められない(甲3(前記6))。 そうすると,本件発明の合成樹脂製フィルム機材の略円弧状大引裂辺,小引裂辺,貫通孔は,甲1,2に記載のPTFEフィルムを延伸することのように,合成樹脂製フィルム機材を両側に引っ張ることのみで作製し得るのか,さらに何らかの製造方法を必要とするのか,発明の詳細な説明の記載からは,明確に理解することができない。 (2) この点に関し,特許権者は,本件特許明細書【0024】,図5,6に示すように,両側に引っ張ることで多くの貫通孔を形成することが開示され,合成樹脂製フィルム機材の材料については本件特許明細書【0049】に開示されている,所定の厚みの合成樹脂製フィルム機材をどの程度引っ張るかは,通常の試行錯誤により実施することが可能である旨主張し,本件特許明細書【0024】,図5,6の記載を基に,甲3を参照することで,本件発明を実施することは可能である旨主張している(平成29年12月18日付け意見書5(5))。 このように,特許権者は,甲1,2に記載のPTFEフィルムを延伸することのように,合成樹脂製フィルム機材を両側に引っ張ることのみで,本件の図5,6に示すような構造を有する合成樹脂製フィルム機材を製造し得ると主張しているとも解されるが,「小引裂辺」,「大引裂辺」なるものは,技術用語として一般的ではなく,合成樹脂製フィルム機材におけるどのような部位を意味するのか明確でないところ,発明の詳細な説明の記載からは,本件の図5,6に示すような構造を有する合成樹脂製フィルム機材を実現する方法が,甲1,2に記載のPTFEフィルムを延伸することと同様であるかは依然として不明である。 特許権者は,その一方で,甲1,2には,略円弧状大引裂辺,小引裂辺,貫通孔に係る本件発明の構造に関する開示・示唆がなく容易に想到することができない旨主張し(平成29年12月18日付け意見書5(4)),甲1発明の1に係る「多孔質膜20」又は甲2発明の1に係る「多孔質膜」とは異なり,当業者が容易には想到し得ない特殊な引っ張り方を実行するかのようにも主張している。 しかしながら,そのような特殊な引っ張り方に関しては,本件特許明細書になんら開示がなく,技術常識とも認められない。 そして,甲3の記載は既に述べたとおりであって,甲3の記載を参照しても,結局, 本件発明の合成樹脂製フィルム機材の略円弧状大引裂辺,小引裂辺,貫通孔は,どのような製造方法により作製し得るのか,発明の詳細な説明の記載からは,明確に理解することができない。 (3) よって,本件特許明細書の発明の詳細な説明は,合成樹脂製フィルム機材の略円弧状大引裂辺,小引裂辺,貫通孔の作製に関し,当業者がその発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載したものであるとはいえない。 9 理由5(36条6項2号)について (1) 本件発明は,「前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの前記貫通孔の外周縁には,小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在(する)」ことを,発明を特定するための事項としている。 しかし,「貫通孔の外周縁」が,合成樹脂製フィルム機材におけるどのような部位を意味するのか,発明の詳細な説明や図面の記載を参酌しても明らかでないから,「小引裂辺」と「略円弧状大引裂辺」が,「貫通孔」との関係で具体的にどのように存在するのか明確でない。 すなわち,本件発明は,「略円弧状大引裂辺は,円弧状部分の両側に外周方向への延長部分を有し,両側に存在する略円弧状大引裂辺の延長部分を当接させ前記貫通孔を形成(する)」ものであるから,「貫通孔」は「略円弧状大引裂辺」によって周囲を画定され,「外周縁」の一般的な意味からすると,「略円弧状大引裂辺」が「貫通孔の外周縁」であると解される。 本件発明はさらに,このような「貫通孔の外周縁には,小引裂辺・・・が存在(する)」とされており,どのような状態で「略円弧状大引裂辺」とともに「小引裂辺」が「貫通孔の外周縁」に存在しているのか,発明の詳細な説明や図面の記載を参酌しても明らかでない。 また,本件発明は「前記貫通孔の内部に前記小引裂辺が形成され(る)」ものであるところ,「貫通孔の外周縁には,小引裂辺・・・が存在(する)」構造は,「小引裂辺」が「貫通孔」の「内部」にあると同時に「外縁」にある,又は,「小引裂辺」が存在する「外縁」なるものが,「小引裂辺」とともに「貫通孔」の内部にある,といったおよそ理解が困難なものである。 このように,「小引裂辺」と「略円弧状大引裂辺」が,「貫通孔」との関係で具体的にどのように存在するのか依然として明確でない。 (2) また,「小引裂辺」,「大引裂辺」なるものは,技術用語として一般的ではない上,本件発明に係る合成樹脂製フィルム機材をどのように作製するのか明らかでないから(前記8),合成樹脂製フィルム機材におけるどのような部位を意味するのか明確でない。 特に,「小引裂辺」については,発明の詳細な説明に,合成樹脂製フィルム機材15の少なくとも一つの貫通孔16の外周縁には,この合成樹脂製フィルム機材を両側に引っ張ることで形成された小引裂辺18と略円弧状大引裂辺19が存在する旨記載されているのみで,合成樹脂製フィルム機材のどの部分に相当するのか明示されておらず,図5,6には詳細不明な断面円形のものに参照符号18が付されているのみで,図面の記載を参酌しても明らかでない。 (3) 以上のとおりであるから,請求項1の記載は明確ではなく,発明の詳細な説明の記載を参酌しても,本件発明を明確に特定することができない。 第4 むすび 以上のとおり,請求項1,3?5に係る本件特許は,特許法29条1項3号又は同条2項の規定に違反してされたものであるから,同法113条2号に該当し,取り消されるべきものである。 また,請求項1,3?5に係る本件特許は,同法36条4項1号又は同条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから,同法113条4号に該当し,取り消されるべきものである。 本件特許の請求項2は,訂正により削除されたため,本件特許の請求項2に対して,特許異議申立人がした特許異議の申立てについては,対象となる請求項が存在しない。 よって,結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 多くの貫通孔が形成された合成樹脂製フィルム機材と、この合成樹脂製フィルム機材の前記貫通孔部分に充填された親水性高分子化合物体とを備え、略円弧状大引裂辺は、円弧状部分の両側に外周方向への延長部分を有し、両側に存在する略円弧状大引裂辺の延長部分を当接させ前記貫通孔を形成し、前記合成樹脂製フィルム機材の少なくとも一つの前記貫通孔の外周縁には、小引裂辺と略円弧状大引裂辺が存在し、前記貫通孔の内部に前記小引裂辺が形成され、前記略円弧状大引裂辺が形成する前記貫通孔内に、前記親水性高分子化合物体を備えた全熱交換素子用フィルム。 【請求項2】 削除 【請求項3】 親水性高分子化合物体は、少なくとも1種類の低分子有機化合物と、少なくとも1種類の重合開始剤と、少なくとも1種類の界面活性剤との溶液を、合成樹脂製フィルム機材へ含浸もしくは塗布した後、熱または/および光を加えることによって形成する請求項1に記載の全熱交換素子用フィルムの製造方法。 【請求項4】 枠体に、請求項1に記載の全熱交換素子用フィルムを装着した全熱交換素子。 【請求項5】 請求項4に記載の全熱交換素子を用いた全熱交換形換気装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-04-10 |
出願番号 | 特願2012-213650(P2012-213650) |
審決分類 |
P
1
651・
121-
ZAA
(F24F)
P 1 651・ 537- ZAA (F24F) P 1 651・ 113- ZAA (F24F) P 1 651・ 536- ZAA (F24F) |
最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 岡澤 洋 |
特許庁審判長 |
田村 嘉章 |
特許庁審判官 |
莊司 英史 窪田 治彦 |
登録日 | 2016-08-19 |
登録番号 | 特許第5987167号(P5987167) |
権利者 | パナソニックIPマネジメント株式会社 |
発明の名称 | 全熱交換素子用フィルムとそれを用いた全熱交換素子およびそれを用いた全熱交換形換気装置および全熱交換素子用フィルムの製造方法 |
代理人 | 鎌田 健司 |
代理人 | 前田 浩夫 |
代理人 | 鎌田 健司 |
代理人 | 前田 浩夫 |