• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B60K
管理番号 1342266
審判番号 不服2017-15357  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-16 
確定日 2018-08-02 
事件の表示 特願2013-148104「車両用表示装置」拒絶査定不服審判事件〔平成27年2月2日出願公開、特開2015-20479、請求項の数(3)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年7月17日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成29年3月14日付け:拒絶理由通知書
平成29年5月9日 :意見書の提出
平成29年10月5日付け:拒絶査定
平成29年10月16日 :審判請求書、手続補正書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成29年10月5日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願の請求項1ないし3に係る発明は、引用文献1ないし3に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有するものが容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献一覧>
1.特開2010-234877号公報
2.特開2005-119470号公報
3.特開2006-123853号公報

第3 本願発明
本願の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明3」という。)は、平成29年10月16日の手続補正により補正がされた特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
表示手段と、前記表示手段に車両情報を主とする第1表示画面を表示させる表示制御手段と、車両が停車状態である(真)か、停車状態でない(偽)かの判定結果を前記表示制御手段へ出力する停車判定出力手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記停車判定手段の出力が真であるときに、前記第1表示画面に代わって、警告情報及び車両情報でない情報を主とする第2表示画面を前記表示手段に切替表示させる車両用表示装置であって、
ブレーキ踏込と解放操作を検出するブレーキ操作検出手段を設け、
前記表示制御手段は、前記表示手段に前記第2表示画面を表示しているときに、前記ブレーキ操作検出手段が所定のブレーキ踏込操作を検出すると、前記第2表示画面に代わって前記第1表示画面を表示手段に切り替えて表示させることを特徴とする車両用表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、前記停車判定手段の出力が真である期間に、前記ブレーキ操作検出手段がブレーキ解放操作を検知した場合と、そうでない場合とで、ブレーキ踏込強度、ブレーキ踏込時間、単位時間当たりのブレーキ踏込強度の変化率の少なくともいずれか一つが異なるブレーキ踏込操作を前記所定のブレーキ踏み込み操作とする請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記停車判定出力手段は、車両の走行速度が略停止であって、
車両のシフトポジションがパーキングである、または、車両のブレーキ操作検出手段がブレーキの踏込を検出している、または、車両のパーキングブレーキが作動している、の少なくともいずれか一つを満たす場合に、出力を真とすることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用表示装置。」
(下線は、請求人による補正箇所を示す。)

第4 引用例、引用発明、引用技術
1 引用例1について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2010-234877号公報(以下「引用例1」という。)には、「車両用表示装置」に関して、図面(特に、図1ないし図4参照。)とともに次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。)

ア 「【0027】
また、運転者が車両の発進を意図している可能性が高い発進移行状態のときには、運転者が表示手段の視認を意図している可能性が高い視認要求状態であると判定される状況であっても、発進移行状態であることが優先されて詳細表示が簡易表示に切り替わる。すなわち、詳細表示が必ず維持される停止継続状態から発進移行状態へ移行したときに、運転者は詳細表示を視認できなくなる。このため、停止継続状態において詳細表示を視認していた運転者に対し、発進移行時のタイミングで視線を表示手段から離脱させるように促すことができ、安全運転に寄与した表示切り替えを行うことができる。」

イ 「【0047】
図1は第1の実施形態に係る車両用表示装置を備えた車両のブロック構成図であり、図2は図1の車両用表示装置の表示部の概略図であり、図3は表示部に表示する簡易表示及び詳細表示の例を示す図であり、図4は第1の実施形態に係る表示制御処理を示すフローチャートである。」

ウ 「【0050】
運転操作センサ4は、運転者の運転操作を検知する。運転操作センサ4は、ブレーキペダルセンサ41と、サイドブレーキセンサ42と、ギア段位置センサ43と、クラッチペダルセンサ44とを備える。ブレーキペダルセンサ41は、ブレーキペダルが操作されているか否かを検知し、検知したブレーキペダルの操作の有無の情報を含む信号を、コントローラ8へ出力する。サイドブレーキセンサ42は、サイドブレーキが操作されているか否かを検知し、検知したサイドブレーキの操作の有無の情報を含む信号を、コントローラ8へ出力する。ギア段位置センサ43は、ギア段がいずれの状態に操作されているかを検知し、検知したギア段の状態の情報を含む信号を、コントローラ8へ出力する。なお、本実施形態では、マニュアル車(MT車)のギア段であるが、オートマチック車(AT車)のギア段や、MT及びATの双方の特徴を併せ持つ機構のギア段などであってもよい。クラッチペダルセンサ44は、クラッチペダルが操作されているか否かを検知し、検知したクラッチペダルの操作の有無の情報を含む信号を、コントローラ8へ出力する。
【0051】
走行状態センサ5は、車両1の走行状態を検知する。走行状態センサ5は、車速センサ51を有する。車速センサ51は、車両1の車速を検知し、検知した車速の情報を含む信号をコントローラ8へ出力する。」

エ 「【0054】
コントローラ8は、報知要求判定部81と、視認意図判定部(視認意図判定手段)82と、視認余裕判定部(視認余裕判定手段)83と、発進意図判定部(発進意図判定手段)84と、表示制御部(表示制御手段)85とを有する。コントローラ8には、運転操作センサ4と走行状態センサ5とシステム状態センサ6とが出力した信号とが入力する。」

オ 「【0061】
表示制御部85は、運転者へ報知する所定の情報を、表示情報記憶部7から読み出して、詳細表示と簡易表示との間で切り替えて表示部3に表示する。本実施形態では、表示制御部85は、報知要求判定部81が報知要求状態であると判定することに基づいて、運転者に報知する所定の情報として、車両システムの異常や、車両システムの故障や、車両システムの作動状況や、運転者の運転状況に対するアドバイスを表示部3に表示する。表示制御部85は、報知要求状態であると報知要求判定部81が判定した場合、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示又は詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示又は詳細表示を表示部3に表示し、報知要求状態でないと報知要求判定部81が判定した場合、表示部3に何も表示しない。」

カ 「【0073】
次に、本実施形態のコントローラ8が実行する表示制御処理について、図4に示すフローチャートに沿って説明する。コントローラ8は、表示制御処理を所定時間毎(例えば1秒毎)に実行する。」

キ 「【0075】
次に、ステップS12では、車速センサ51が検知した車両1の車速に基づいて、車両1が停車中(0km/h)であるか否かを判定する。車両1が走行中であり停車中でないと判定した場合、ステップS13へ移行する。」

ク 「【0078】
また、ステップ12において車両1が停車中であると判定した場合、ステップS23へ移行する。ステップS23では、ブレーキペダルが操作されているとブレーキペダルセンサ41が検知してるか否かを発進意図判定部84が判定する。ブレーキペダルが操作されていない場合、ステップS24へ移行する。次に、ステップS24では、サイドブレーキが操作されているとサイドブレーキセンサ42が検知しているか否かを発進意図判定部84が判定する。サイドブレーキが操作されていない場合、ステップS25へ移行する。次に、ステップS25では、ギア段が走行段であるとギア段位置センサ43が検知しているか否かを発進意図判定部84が判定する。ブレーキペダルが操作されていない場合であり(ステップS23:NO)、サイドブレーキが操作されていない場合であり(ステップS24:NO)、且つギア段が走行段である場合は(ステップS25:YES)、運転者が車両1の発進を意図している可能性が高い発進移行状態であるので(ステップS26)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する簡易表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した簡易表示を表示部3に表示して(ステップS18)、本処理を終了する。また、ブレーキペダルが操作されている場合(ステップS23:YES)と、サイドブレーキが操作されている場合(ステップS24:YES)と、ギア段が走行段以外である場合(ステップS25:NO)とは、運転者が車両1の発進を意図している可能性が低い停止継続状態であるので(ステップS27)、表示制御部85は、報知要求判定部81が判定した報知要求状態に対応した所定の情報を表示する詳細表示を表示情報記憶部7より読み出して、読み出した詳細表示を表示部3に表示して(ステップS22)本処理を終了する。」

ケ 上記カないしク並びに図1及び図4の図示内容からみて、コントローラ8は、車両1が停車中であるか否かを判定するとともに、その判定結果を用いて、表示制御処理を実行するものである。そうすると、コントローラ8は、車両1が停車中であるか否かの判定結果を出力する手段、及びその判定結果を受けて表示を制御する表示制御手段を備えるものであることが分かる。

上記アないしケ及び図1ないし図4の図示内容を総合すると、引用例1には、「車両用表示装置」に関して、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

〔引用発明〕
「表示部3と、前記表示部3に車両システムの異常、故障及び作動状況を表示する簡易表示又は詳細表示を表示させる表示制御手段と、車両1が停車中であるか否かの判定結果を表示制御手段へ出力する手段と、を備え、
前記表示制御手段は、車両1が停車中であると判定し、ブレーキペダルが操作されている場合、サイドブレーキが操作されている場合、又はギア段が走行段以外である場合に、前記簡易表示に代わって、車両システムの異常、故障及び作動状況を表示する詳細表示を前記表示部3に切替表示させる車両用表示装置であって、
ブレーキペダルが操作されているか否かを検知するブレーキペダルセンサ41を設け、
前記表示制御手段は、前記表示部3に前記詳細表示を表示しているときに、、ブレーキペダルが操作されていない場合であり、且つサイドブレーキが操作されていない場合であり、且つギア段が走行段である場合であると、前記詳細表示に代わって前記簡易表示を表示部3に切り替えて表示させる車両用表示装置。」

2 引用例2について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2005-119470号公報(以下「引用例2」という。)には、「車両用表示装置」に関して、図面(特に、図4参照。)とともに次の事項が記載されている。

「【0014】
[メールに関する表示]
実施例の車両用表示装置1を使用して情報を運転者に表示する際には、運転者にとって安全かつ迅速に情報表示を行う必要がある。このため、例えば車外から運転者にメールが到着した場合、運転者が運転中であればメール内容を表示することは好ましくない。しかしながら、メールが到着したことを運転者に伝えることができないと、移動途中にメールの交換がまったくできなくなってしまう。このため、メールが到着し、車の速度が0でない場合またはパーキングブレーキが引かれていない場合は、図4(a)に示すように、運転者から1番遠い位置(最も奥側の表示像30)にメールのアイコン13aを表示しておく。これにより、運転者はメールが到着したことを運転中に識別でき、メールの内容を読むために車を安全な位置に停車すると(車の速度が0になるまたはパーキングブレーキが引かれた場合)、図4(b)に示すように、メールの内容13bは運転者側から1番近い位置(最も手前の表示像10)で大きく見やすく表示される。この時、停車しているため、速度計11は運転者側から1番奥側の位置(最も奥側の表示像30)に表示され、パーキングが解除又は車速が0でなくなったら、メールの内容が消え、メールの内容13bを運転者に見せなくすると同時に速度計11が1番手前(最も手前の表示像10)にくる。」

上記記載事項及び図4の図示内容を総合すると、引用例2には、次の技術(以下「引用技術2」という。)が記載されている。

〔引用技術2〕
「車両用表示装置1において、停車すると(車の速度が0になるまたはパーキングブレーキが引かれた場合)、メールの内容13bを運転者側から1番近い位置で大きく見やすく表示する技術。」

3 引用例3について
原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に頒布された特開2006-123853号公報(以下「引用例3」という。)には、「追従走行制御方法及び追従走行制御装置」に関して、図面(特に、図3及び図4参照。)とともに次の事項が記載されている。

ア 「【0015】
この場合、ドライバはアクセルペダルを踏み込んだりすることなく、ブレーキペダルを操作して発進の意思を示すことができ、専用スイッチの操作やペダルの踏み換え操作等が不要であり、ドライバにペダルの踏み換え等の負担をかけることなく、しかも、ブレーキングの遅れが生じないようにして、ドライバの発進意思を検出した上で、先行車の発進に追従した追従走行制御の自動発進を行なうことができ、低速での走行と走行停止とを繰り返すような環境下等での追従走行制御の操作性、安全性等が著しく向上する。」

イ 「【0055】
そして、パーキングブレーキがかけられていない場合、図3のステップS2からステップS3に移行し、先行車発進検出手段によって先行車の発進を監視し、図4のTa時に、同図の(a)に示すように先行車が発進すると、この先行車の発進の検出に基いて図3のステップS4に移行し、ブレーキペダル側の自車発進操作検出手段によってブレーキペダル91の踏み増し又は踏み込みの操作の発生を監視する。
【0056】
この監視中のTb時に、ドライバがブレーキペダル91を瞬時踏み増し又は踏み込みしてブレーキ圧の一定圧以上の昇圧変化を発生し、発進の意思を示すと、図3のステップS4からステップS5に移行し、自動発進許可手段が自車1の追従走行制御の自動発進を許可し、さらに、ステップS6に移行して自動発進制御手段が動作する。」

上記ア及びイ並びに図3及び図4の図示内容を総合すると、引用例3には、次の技術(以下「引用技術3」という。)が記載されている。

〔引用技術3〕
「ブレーキペダル91の踏み増し又は踏み込みの操作の発生により発進の意思を示すと、自動発進許可手段が自車1の追従走行制御の自動発進を許可する技術。」

第5 対比・判断
1 本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における「表示部3」は、その構成、機能又は技術的意義からみて、本願発明1における「表示手段」に相当し、以下同様に、「車両システムの異常、故障及び作動状況」は「車両情報」又は「警告情報」に、「簡易表示」は「第1表示画面」に、「表示制御手段」は「表示制御手段」に、「車両1が停車中であるか否かの判定結果を表示制御手段へ出力する手段」は「車両が停車状態である(真)か、停車状態でない(偽)かの判定結果を前記表示制御手段へ出力する停車判定出力手段」に、「車両1が停車中であると判定し、ブレーキペダルが操作されている場合、サイドブレーキが操作されている場合、又はギア段が走行段以外である場合」は「前記停車判定手段の出力が真であるとき」に、「車両用表示装置」は「車両用表示装置」に、「ブレーキペダルが操作されているか否かを検知するブレーキペダルセンサ41」は「ブレーキ踏込と解放操作を検出するブレーキ操作検出手段」に、それぞれ相当する。
そして、引用発明における「車両システムの異常、故障及び作動状況を表示する簡易表示又は詳細表示を表示させる」は、本願発明1における「車両情報を主とする第1表示画面を表示させる」に、相当する。
引用発明における「詳細表示」と、本願発明1における「第2表示画面」とは、「停止時の表示画面」という限りにおいて一致する。
引用発明における「車両システムの異常、故障及び作動状況を表示する詳細表示を前記表示部3に切替表示させる」と、本願発明1における「警告情報及び車両情報でない情報を主とする第2表示画面を前記表示手段に切替表示させる」とは、「停止時の表示画面を前記表示手段に切替表示させる」という限りにおいて一致する。

したがって、本願発明1と引用発明との一致点、相違点は、次のとおりである。

〔一致点〕
「表示手段と、前記表示手段に車両情報を主とする第1表示画面を表示させる表示制御手段と、車両が停車状態である(真)か、停車状態でない(偽)かの判定結果を前記表示制御手段へ出力する停車判定出力手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記停車判定手段の出力が真であるときに、前記第1表示画面に代わって、停止時の表示画面を前記表示手段に切替表示させる車両用表示装置であって、
ブレーキ踏込と解放操作を検出するブレーキ操作検出手段を設け、
前記表示制御手段は、前記表示手段に前記停止時の表示画面を表示しているときに、前記停止時の表示画面に代わって前記第1表示画面を表示手段に切り替えて表示させる車両用表示装置。」

〔相違点1〕
「停止時の表示画面」が、本願発明1においては、「警告情報及び車両情報でない情報を主とする第2表示画面」であるのに対し、
引用発明においては、「車両システムの異常、故障及び作動状況を表示する詳細表示」である点。

〔相違点2〕
本願発明1においては、「前記ブレーキ操作検出手段が所定のブレーキ踏込操作を検出すると、」第1表示画面を表示手段に切り替えて表示させるものであるのに対して、
引用発明においては、ブレーキペダルが操作されていない場合であり、且つサイドブレーキが操作されていない場合であり、且つギア段が走行段である場合であると、前記詳細表示に代わって前記簡易表示を表示部3に切り替えて表示させるものである点。

(2)判断
事案に鑑み、先ず、上記相違点2について検討する。
引用発明は、詳細表示に代わって簡易表示を切り替えて表示させる条件の一つとして、「ブレーキペダルが操作されていない場合」を含むものである。
他方、引用技術3は、「ブレーキペダル91の踏み増し又は踏み込みの操作の発生により発進の意思を示すと、自動発進許可手段が自車1の追従走行制御の自動発進を許可する技術」である。
そうすると、ブレーキペダルが操作されているか否かの点において、引用発明と引用技術3は逆の態様を備えるものであり、両者は相反するものであるから、引用発明における詳細表示に代わって簡易表示を切り替えて表示させる条件として、引用技術3における「ブレーキペダル91の踏み増し又は踏み込みの操作の発生」との条件を適用することには阻害要因があるといえる。
また、引用技術2は、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項を開示又は示唆するものではない。
そうすると、引用発明に引用技術2及び引用技術3を適用しても、上記相違点2に係る本願発明1の発明特定事項をなすことは、当業者が容易に想到し得たとはいえない。

したがって、本願発明1は、上記相違点1について検討するまでもなく、引用発明、引用技術2及び引用技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

2 本願発明2及び3について
本願の特許請求の範囲における請求項2及び3は、請求項1の記載を直接又は間接的に引用して記載されたものであるから、本願発明2及び3は、本願発明1の発明特定事項をすべて含むものである。したがって、本願発明1と同様の理由により、引用発明、引用技術2及び引用技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

第6 原査定について
本願発明1ないし3は、「前記ブレーキ操作検出手段が所定のブレーキ踏込操作を検出すると、前記第2表示画面に代わって前記第1表示画面を表示手段に切り替えて表示させる」という発明特定事項を有するものであるから、上記「第5」で検討したとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1ないし3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、本願発明1ないし3は、いずれも、引用発明、引用技術2及び引用技術3に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-07-23 
出願番号 特願2013-148104(P2013-148104)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B60K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 中川 康文菅家 裕輔  
特許庁審判長 金澤 俊郎
特許庁審判官 松下 聡
粟倉 裕二
発明の名称 車両用表示装置  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ