• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1342292
審判番号 不服2017-17590  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-28 
確定日 2018-07-31 
事件の表示 特願2016-549952「ホールセンサ及びレンズモジュール」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 3月31日国際公開、WO2016/047130、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年9月18日(優先権主張 平成26年9月22日)を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年12月 7日付け:拒絶理由通知書
平成29年 2月 1日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 4月25日付け:拒絶理由通知書
平成29年 7月 6日 :意見書、手続補正書の提出
平成29年 8月21日付け:拒絶査定(送達日:同年同月29日)
平成29年11月28日 :審判請求書の提出

第2 原査定の概要
原査定(平成29年8月21日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1-2,7-13に係る発明は、以下の引用文献1-6に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

・請求項1-2,7-12
・引用文献1-4,6

・請求項13
・引用文献1-6

引用文献等一覧
1.国際公開第2014/091714号
2.特開昭56-126948号公報(周知技術を示す文献)
3.特開昭53-072456号公報(周知技術を示す文献)
4.特開2000-068440号公報(周知技術を示す文献)
5.国際公開第2013/183270号
6.特開2005-337866号公報(周知技術を示す文献)

第3 本願発明
本願請求項1-13に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明13」という。)は、平成29年7月6日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-13に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1、本願発明4及び本願発明9は、それぞれ、以下のとおりの発明である。

「 【請求項1】
半絶縁性の基板と、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部と、前記感磁部と接続する複数の電極部とを有し、前記基板の前記感磁部が形成されている面側のエッジが前記感磁部及び前記電極部で覆われていないホール素子と、
前記ホール素子の周囲に配置された複数の外部端子と、
前記複数の電極部の各電極部と前記複数の外部端子の各外部端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の導線と、
前記ホール素子の前記感磁部、前記複数の導線、及び、前記各外部端子の少なくとも一部を覆う封止部材とを備え、
前記各外部端子は、前記複数の導線の各導線と接続している第2面と、前記第2面とは反対側の第1面とを有し、
前記第1面は、前記封止部材の底面から露出しており、
前記ホール素子の厚みは、前記外部端子の厚みよりも薄く、
前記封止部材の底面から前記各電極部と前記各導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記各外部端子と前記各導線との第2の接触点までの高さよりも低くすることにより、前記導線と前記基板の前記エッジとが接触しにくいホールセンサ。」

「 【請求項4】
基板と、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部と、前記感磁部と接続する複数の電極部とを有するホール素子と、
前記ホール素子の周囲に配置された複数の外部端子と、
前記複数の電極部の各電極部と前記複数の外部端子の各外部端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の導線と、
前記ホール素子の前記感磁部、前記複数の導線、及び、前記各外部端子の少なくとも一部を覆う封止部材とを備え、
前記各外部端子は、前記複数の導線の各導線と接続している第2面と、前記第2面とは反対側の第1面とを有し、
前記第1面は、前記封止部材の底面から露出しており、
前記封止部材の底面から前記各電極部と前記各導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記各外部端子と前記各導線との第2の接触点までの高さよりも低く、
前記複数の外部端子のうちの少なくとも1つの外部端子は、前記第2面において段差を有しており、
前記複数の外部端子は、前記段差を境に、前記段差を有する前記各外部端子の前記ホール素子に近い側に第1の部位を有し、前記ホール素子に遠い側に第2の部位を有し、
前記封止部材の底面から前記第1の部位における前記第2面までの高さは、前記封止部材の底面から前記第2の部位における前記第2面までの高さよりも低く、
前記各導線は、前記段差を有する前記各外部端子の前記第2の部位における前記第2面で接続しているホールセンサ。」

「 【請求項9】
半絶縁性の基板、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部、及び、電極部を有し、前記基板の前記感磁部が形成されている面側のエッジが前記感磁部及び前記電極部で覆われていないホール素子と、
前記ホール素子の周囲に配置された外部端子と、
前記電極部と前記外部端子とを接続する導線と、
前記ホール素子の感磁部、前記導線、及び、前記外部端子の前記導線が接続される第2面を覆う封止部材と、を備え、
前記外部端子は、前記第2面とは反対側の第1面が前記封止部材の底面から露出しており、
前記ホール素子の厚みは、前記外部端子の厚みよりも薄く、
前記封止部材の底面から前記電極部と前記導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記外部端子と前記導線との第2の接触点までの高さよりも低くすることにより、前記導線と前記基板の前記エッジとが接触しにくいホールセンサ。」

なお、本願発明2-3、5-8、10-13の概要は以下のとおりである。
本願発明2-3は、本願発明1を減縮した発明である。
本願発明5-6は、本願発明3又は4を減縮した発明である。
本願発明7-8は、本願発明1又は4を減縮した発明である。
本願発明10-13は、本願発明9を減縮した発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。以下同様。)。

「[0017]
以下、本発明による実施形態を、図面を用いて説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合もある。
<第1実施形態>
(構成)
図1(a)?(d)は、本発明の第1実施形態に係る磁気センサ100の構成例を示す断面図と平面図と底面図、及び外観図である。図1(a)は、図1(b)を破線A-A´で切断した断面を示している。また、図1(b)では、図面の複雑化を回避するために、モールド樹脂(樹脂部材)を省略して示している。
図1(a)?(d)に示すように、磁気センサ100は、ペレット(即ち、磁気センサチップ)10と、リード端子20と、複数の金属細線31?34と、絶縁ペースト40と、モールド樹脂50と、外装めっき層60とを備える。また、リード端子20は、複数のリード端子22?25を有する。
[0018]
ペレット10は、例えばホール素子等の磁電変換素子である。ペレット10は、例えば半絶縁性のガリウムヒ素(GaAs)基板11と、このGaAs基板11上に形成された半導体薄膜からなる活性層(即ち、受感部)12と、活性層12に電気的に接続する電極13a?13dとを有する。活性層12は、例えば平面視で十字(クロス)型であり、クロスの4つの先端部上にそれぞれ電極13a?13dが設けられている。平面視で向かい合う一対の電極13a、13cがホール素子に電流を流すための入力端子であり、電極13a、13cを結ぶ線と平面視で直交する方向で向かい合う他の一対の電極13b、13dがホール素子から電圧を出力するための出力端子である。ペレット10の厚さは、例えば0.10mm以下である。
[0019]
磁気センサ100は、アイランドレス構造であり、外部との電気的接続を得るための複数のリード端子22?25を有する。図1(b)に示すように、リード端子22?25は、ペレット10の周囲(例えば、磁気センサ100の四隅近傍)に配置されている。例えば、リード端子22とリード端子24とがペレット10を挟んで対向するように配置されている。また、リード端子23とリード端子25とがペレット10を挟んで対向するように配置されている。さらに、リード端子22とリード端子24とを結ぶ直線(仮想線)と、リード端子23とリード端子25とを結ぶ直線(仮想線)とが平面視で交差するように、リード端子22?25はそれぞれ配置されている。リード端子20(リード端子22?25)は、例えば銅(Cu)等の金属からなる。また、リード端子20は、その面側又は裏面の一部がエッチング(即ち、ハーフエッチング)されていてもよい。
[0020]
なお、図示しないが、リード端子20の表面で(図1(a)における上面側)、金属細線31?34で接続されるリード端子22?25の表面には、Agめっきが施されていることが電気的接続の観点から好ましい。
また、別の態様で、リード端子20の表面及び裏面には、外装めっき層60に代えて、ニッケル(Ni)-パラジウム(Pd)-金(Au)等のめっきが施されていてもよい。磁気センサであるが、アイランドレスのため、磁性体であるNiめっき膜の影響を受けにくいため実施が可能となる。
金属細線31?34は、ペレット10が有する電極13a?13dと、リード端子22?25をそれぞれ電気的に接続する導線であり、例えば金(Au)からなる。図1(b)に示すように、金属細線31はリード端子22と電極13aとを接続し、金属細線32はリード端子23と電極13bとを接続している。また、金属細線33はリード端子24と電極13cとを接続し、金属細線34はリード端子25と電極13dとを接続している。
[0021]
絶縁ペースト40は、その成分として例えば、エポキシ系の熱硬化型樹脂と、フィラーとしてシリカ(SiO_(2))とを含むことがより好ましい。第1実施形態では、絶縁ペースト40はペレット10の裏面(即ち、活性層12を有する面(つまり、電極部13a?13dを有する面)の反対側の面)に接しており、この絶縁ペースト40によってペレット10の裏面が覆われている。第1実施形態では、ペレット10の裏面全体が絶縁ペースト40により覆われていることが、リーク電流増大抑制の観点から好ましい。絶縁ペースト40のうち、ペレット10の裏面を覆っている部分の厚さは、フィラーサイズで決まり、例えば5μm以上である。
[0022]
モールド樹脂50は、ペレット10と、リード端子20の少なくとも表面側(即ち、金属細線と接続する側の面)と、金属細線31?34とを覆って保護(即ち、樹脂封止)している。モールド樹脂50は、例えばエポキシ系の熱硬化型樹脂からなり、リフロー時の高熱に耐えられるようになっている。なお、モールド樹脂50と絶縁ペースト40は、例えば同じエポキシ系の熱硬化型樹脂の場合でも、その材料は互いに異なる(例えば、含有する成分が異なる、又は、含有する成分が同一であっても含有比が異なる。)。
図1(a)及び(d)に示すように、磁気センサ100の底面側(即ち、配線基板に実装する側)では、各リード端子22?25の裏面の少なくとも一部と、絶縁ペースト40の少なくとも一部とが、モールド樹脂50からそれぞれ露出している。
また、外装めっき層60は、モールド樹脂50から露出しているリード端子22?25の裏面に形成されている。外装めっき層60は、例えばスズ(Sn)等からなる。」

したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「磁気センサ100は、ペレット(即ち、磁気センサチップ)10と、リード端子20と、複数の金属細線31?34と、モールド樹脂50とを備え、リード端子20は、複数のリード端子22?25を有し([0017]より。以下同様。)、
ペレット10は、例えばホール素子等の磁電変換素子であり、ペレット10は、例えば半絶縁性のガリウムヒ素(GaAs)基板11と、このGaAs基板11上に形成された半導体薄膜からなる活性層(即ち、受感部)12と、活性層12に電気的に接続する電極13a?13dとを有し([0018])、
磁気センサ100は、外部との電気的接続を得るための複数のリード端子22?25を有し、リード端子22?25は、ペレット10の周囲(例えば、磁気センサ100の四隅近傍)に配置されており([0019])、
金属細線31?34は、ペレット10が有する電極13a?13dと、リード端子22?25をそれぞれ電気的に接続する導線であり([0020])、
絶縁ペースト40はペレット10の裏面(即ち、活性層12を有する面(つまり、電極部13a?13dを有する面)の反対側の面)に接しており([0021])、
モールド樹脂50は、ペレット10と、リード端子20の少なくとも表面側(即ち、金属細線と接続する側の面)と、金属細線31?34とを覆って保護(即ち、樹脂封止)しており、磁気センサ100の底面側(即ち、配線基板に実装する側)では、各リード端子22?25の裏面の少なくとも一部が、モールド樹脂50からそれぞれ露出している([0022])、
磁気センサ100([0017])。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、第3頁左下欄第3-10行より、概略、リードのワイヤボンディング部をパッケージの上下方向に多段に配置しているので、各リードの幅寸法を微細に形成しなくともリード数を増大することができるので、パッケージを大型化することなく高集積度化された半導体ペレットの実装を行ない、小型の高集積半導体装置を得ることができる技術が記載されている。

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、第2頁右上欄第2-10行より、概略、リードフレームを高さ方向に複数段に配置することにより、リードフレームを最少長さで配置することが可能になり、リードフレームとガラス封止層との接触面積も最小にできるので、両者の熱膨張係数の違いによるガラス封止層へのクラック発生を大幅に低減することができ、数十ピンあるいは100ピンといった多ピンのガラス封止半導体装置の製造を可能にすることができる技術が記載されている。

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、【0023】より、概略、リード基盤は、二層構造をなし、回路基板に近い方の一層目のリード基盤に、ICチップの入出力用の第1のリード端子が設けられ、二層目のリード基盤に、試験用の第2のリード端子が設けられ、第1のリード端子は、回路基板に接続されるようにしたので、回路基板の小型化を実現するとともに、ICパッケージ単体での試験を容易にかつ効率的に行うことが可能となる技術が記載されている。

5.引用文献6について
原査定において、周知技術を示す文献として引用された上記引用文献6には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0002】
図29に示す磁性体検出器100は、感磁部を形成する半導体磁気抵抗素子を備えたチップを樹脂封止した半導体パッケージ101の下面(裏面)102に接着剤で磁石103が取り付けられ、これらがケース104内に樹脂105で封止されている。106はリードフレームである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004-55932号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
半導体磁気抵抗素子は、抵抗値が印加磁界によって変化する素子である。半導体磁気抵抗素子の磁気抵抗効果は以下の式で記述できる。
ΔR/R_(0)∝(μB)^(2) :低印加磁界時・・・・・(1)
ΔR/R_(0)∝(μB) :高印加磁界時・・・・・(2)
ただし、ΔR=R_(B)-R_(0)であり、R_(B)は磁界中での抵抗値、R_(0)は磁場なしでの抵抗値である。μは電子移動度である、Bは印加磁界である。磁気抵抗変化率(ΔR/R_(0))と印加磁界の関係は、1次比例関係にはなく、低磁界では2次曲線となり、高磁界では1次曲線となる。ただ、1次曲線から2次曲線への移行は、徐々に移行するものである(次数が2から1へとデジタル的に移行するのではなく、徐々に2から1へと移行していく(図30参照))。
磁性体検出器は、検出対象磁性体としての例えば歯車が回転したり検出対象磁性体が移動したりすることにより磁束密度の変化を検出するものであるので、半導体磁気抵抗素子からの出力信号振幅は、磁気抵抗変化率(ΔR/R_(0))の傾きによる。即ち、永久磁石による半導体磁気抵抗素子の感磁部表面での磁束密度(バイアス磁界)が大きいほど、磁気抵抗変化率の傾きが大きく、出力信号振幅は大きくなる。
図29の磁性体検出器100の感磁部表面と磁石表面との間の距離の詳細を図31に示す。即ち、図29のように半導体パッケージ101の下面102に磁石103が密着されている構造でも、図31に示すようにチップ110をマウント(ダイボンド)しているリードフレーム106の下部の樹脂111の厚さHが厚い場合には、半導体磁気抵抗素子の感磁部表面112とこの感磁部表面112と平行に対向する磁極面である磁石表面113との間の距離A(以下、「縦距離」という)が大きくなって、感磁部表面112での磁束密度が小さくなり、出力信号振幅の低下につながることになる。
【0004】
本発明は、出力信号振幅を大きくとれる磁性体検出器を提供する。また、縦距離A、即ち、半導体磁気抵抗素子の感磁部表面と磁石表面との距離を小さくできて、出力信号振幅を大きくとれる磁性体検出器を提供する。また、この磁性体検出器を構成するための半導体パッケージを提供する。」

「【0018】
最良の形態では、パッケージ8の裏面28に磁石位置決め凹部孔30を形成したので、互いに平行に対向する磁石10の磁石表面10aと感磁部表面91との間の距離、即ち、縦距離Aを小さくでき、よって、感磁部表面91での磁束密度を大きくでき、出力信号振幅を大きくとれて、S/N比の良い磁性体検出器1を提供できる。・・・」

「【0021】
以下、最良の形態による磁性体検出器1の製造方法の実施例を説明する。化合物半導体薄膜13は、分子線エピタキシー法(MBE)を用いて絶縁性基板12上に形成した。例えば、絶縁性基板12としての半絶縁性のGaAs単結晶基板の(100)面の上に化合物半導体薄膜13としてSnドープInSb薄膜をエピタキシャル成長させた。例えば、まず、厚さ0.35mmの半絶縁性のGaAs単結晶基板にAsを照射しながら650℃で加熱し表面酸素を脱離させた。次に、580℃で温度を下げてGaAsバッファ層を200nmの厚さで形成した。そして、Asを照射しながら400℃まで温度を下げた後、SnとIn、Sbを同時に基板に照射しながら化合物半導体薄膜13の膜厚1μmからなるSnドープInSb単結晶薄膜を形成した。この際、InSb単結晶薄膜の電子濃度は、7×10^(16)cm^(-3)になるようにSnセル温度を調節した。成膜したInSb単結晶薄膜の電気特性を測定したところ、電子濃度は7×10^(16)cm^(-3)、電子移動度は40,000cm^(2)/Vsであった。このように分子線エピタキシー(MBE)法を用いて化合物半導体薄膜13を形成したことで薄膜の膜厚や組成の制御性を向上でき、歯車回転等によって生じる磁束密度変化検出のために配置される複数の磁気抵抗素子の特性差を無くすことができた。」

「【0027】
他例1
図20?図24に示すように、外部接続リードが半導体パッケージ80から出ないタイプ、即ち、ノンリードタイプのリードフレーム70を用いて半導体パッケージ80を作製し、リードフレーム70のパッド部72(入出力端子部)と外部接続リード73とをプリント配線基板74を介して互いに電気的に接続させた。パッド部72と外部接続リード73はそれぞれプリント配線基板74の接続パッド75;76にはんだ付けされる。図20は本例の磁性体検出器1の断面図、図21はパッケージ80の断面図、図22はパッケージの裏面図、図23は磁石表面10aをパッケージ80の裏面81に密着させるための貫通孔77が形成されたプリント配線基板を示す平面図、図24は貫通孔77に磁石10を通した状態のプリント配線基板を示す平面図である。この場合、パッケージ80の裏面81にリードフレーム70のアイランド71とパッド部72とを露出させたので、上記と同様に縦距離Aを小さくできる。この例では、縦距離Aを0.50mmとした(GaAs基板:0.35mm、リードフレーム0.15mm)。この構成を採用して作製した磁性体検出器1を用いて、歯車回転検出測定を行った。歯車48と感磁部表面91と距離を0.7mmにして、出力信号振幅を測定した結果、480mVであり、上記と同様の出力信号振幅を確認できた。
【0028】
他例2
図25に示すような形状のリードフレーム200を用いて半導体パッケージ201を作製した後、図26に示すように、研磨により、パッケージ201の裏側(化合物半導体薄膜13の形成されてない基板12側)からパッケージ樹脂203、リードフレーム200のアイランド205のすべて、及び、半導体薄膜13の形成されてなるGaAs基板(絶縁性基板12)の裏面側を図25の点線Gの箇所まで除去した半導体パッケージ210とした。リードフレーム200の末端側は上方に折曲されている。このように半導体パッケージが裏側に、前記感磁部の下に位置する構成部分の除去された裏面、即ち、図25の点線Gの箇所まで除去された平坦面211を備えた半導体パッケージ210を用いることにより、縦距離Aを0.05mm以下にできる。即ち、化合物半導体薄膜13の膜厚及び基板12の厚さを0に近くする。例えば、化合物半導体薄膜13の膜厚は0.1?4.0μmに設定することで、縦距離Aを例えば0
第5 対比・判断
1.本願発明9について
(1)対比
本願発明9と引用発明とを対比する。

ア 引用発明における「半絶縁性のガリウムヒ素(GaAs)基板11」、「このGaAs基板11上に形成された半導体薄膜からなる活性層(即ち、受感部)12」、「活性層12に電気的に接続する電極13a?13d」は、それぞれ、本願発明9における「半絶縁性の基板」、「前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部」、「電極部」に相当する。
また、引用発明における「例えばホール素子等の磁電変換素子であ」る「ペレット10」は、本願発明9における「ホール素子」に相当する。
したがって、引用発明における、「例えばホール素子等の磁電変換素子であり、」「半絶縁性のガリウムヒ素(GaAs)基板11と、このGaAs基板11上に形成された半導体薄膜からなる活性層(即ち、受感部)12と、活性層12に電気的に接続する電極13a?13dとを有」する「ペレット10」は、本願発明9における「半絶縁性の基板、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部、及び、電極部を有し、前記基板の前記感磁部が形成されている面側のエッジが前記感磁部及び前記電極部で覆われていないホール素子」と、「半絶縁性の基板、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部、及び、電極部を有するホール素子」である点で共通する。

イ 引用発明における「外部との電気的接続を得るための複数のリード端子22?25」は、本願発明9における「外部端子」に相当する。
そして、引用発明では、「リード端子22?25は、ペレット10の周囲(例えば、磁気センサ100の四隅近傍)に配置されて」いるから、上記アをふまえると、引用発明における、「ペレット10の周囲(例えば、磁気センサ100の四隅近傍)に配置されて」いる、「外部との電気的接続を得るための複数のリード端子22?25」は、本願発明9における「前記ホール素子の周囲に配置された外部端子」に相当する。

ウ 引用発明における、「ペレット10が有する電極13a?13dと、リード端子22?25をそれぞれ電気的に接続する導線であ」る「金属細線31?34」は、上記ア、イをふまえると、本願発明9における「前記電極部と前記外部端子とを接続する導線」に相当する。

エ 引用発明では、「金属細線31?34は、ペレット10が有する電極13a?13dと、リード端子22?25をそれぞれ電気的に接続する導線であ」るから、引用発明における「ペレット10」の「表面側(即ち、金属細線と接続する側の面)」には、ペレット10において金属細線と接続する箇所である電極13a?13dが配置されているといえる。一方、引用発明では、ペレット10において「活性層12を有する面」を「つまり、電極部13a?13dを有する面」としているから、電極部13a?13d(電極13a?13d)が配置されている「ペレット10」の「表面側(即ち、金属細線と接続する側の面)」には、活性層12も配置されているといえる。
また、引用発明における「リード端子20の」「表面側(即ち、金属細線と接続する側の面)」は、上記イ、ウ、及び「リード端子20は、複数のリード端子22?25を有し」ていることをふまえると、本願発明9における「前記外部端子の前記導線が接続される第2面」に相当する。
したがって、引用発明における、「ペレット10と、リード端子20の少なくとも表面側(即ち、金属細線と接続する側の面)と、金属細線31?34とを覆って保護(即ち、樹脂封止)して」いる「モールド樹脂50」は、上記ア、ウ、及び、上記の、「ペレット10」の「表面側(即ち、金属細線と接続する側の面)」に活性層12が配置されている、という事項をふまえると、本願発明9における「前記ホール素子の感磁部、前記導線、及び、前記外部端子の前記導線が接続される第2面を覆う封止部材」に相当する。

オ 引用発明における「各リード端子22?25の裏面」は、「リード端子20の」「表面側(即ち、金属細線と接続する側の面)」とは反対側の面であるといえるから、上記イ、エをふまえると、本願発明9における、「前記外部端子」の「前記第2面とは反対側の第1面」に相当する。
そうすると、引用発明における「磁気センサ100の底面側(即ち、配線基板に実装する側)では、各リード端子22?25の裏面の少なくとも一部が、モールド樹脂50からそれぞれ露出している」、という事項は、上記エをふまえると、本願発明9における「前記外部端子は、前記第2面とは反対側の第1面が前記封止部材の底面から露出して」いる、という事項に相当する。

カ 引用発明において、「ホール素子」である「ペレット10」「を備え」た「磁気センサ100」は、本願発明9における「ホールセンサ」に相当するといえる。

してみると、本願発明9と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「半絶縁性の基板、前記基板上又は前記基板内に設けられた感磁部、及び、電極部を有するホール素子と、
前記ホール素子の周囲に配置された外部端子と、
前記電極部と前記外部端子とを接続する導線と、
前記ホール素子の感磁部、前記導線、及び、前記外部端子の前記導線が接続される第2面を覆う封止部材と、を備え、
前記外部端子は、前記第2面とは反対側の第1面が前記封止部材の底面から露出している、
ホールセンサ。」

(相違点)
(相違点1)本願発明9の「ホール素子」は、「前記基板の前記感磁部が形成されている面側のエッジが前記感磁部及び前記電極部で覆われていない」と特定されているのに対し、引用発明の「ペレット10」は、「半絶縁性のガリウムヒ素(GaAs)基板11」の、「このGaAs基板11上に形成された半導体薄膜からなる活性層(即ち、受感部)12」が形成されている面側のエッジが、「活性層(即ち、受感部)12」及び「電極13a?13d」で覆われていないとは明記されていない点。
(相違点2)本願発明9では「前記ホール素子の厚みは、前記外部端子の厚みよりも薄く」と特定されているのに対し、引用発明では「ペレット10」と「リード端子22?25」との厚さの関係は明記されていない点。
(相違点3)本願発明9では「前記封止部材の底面から前記電極部と前記導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記外部端子と前記導線との第2の接触点までの高さよりも低くすることにより、前記導線と前記基板の前記エッジとが接触しにくい」と特定されているのに対し、引用発明では、「モールド樹脂50」の底面から「電極13a?13d」と「金属細線31?34」との接触点までの高さと、「モールド樹脂50」の底面から「リード端子22?25」と「金属細線31?34」との接触点までの高さとの関係は明記されていない点。

(2)相違点についての判断
事案に鑑み、上記相違点3を検討する。

引用文献2ないし4の記載から、引用発明の用語を用いれば、リード端子及び金属細線の数を増やすためにリード端子を高さ方向に複数段に配置することは、従来より周知の技術(以下、「周知技術」という。)であったと認められる。
しかしながら、引用発明では、ホールセンサの発明である以上、リード端子及び金属細線の数が「4」を大幅に上回ることは想定できないから、引用発明に上記周知技術を適用する動機づけを見出すことはできない。また、上記周知技術は、あくまでもリード端子を高さ方向に複数段に配置するものであって、複数リード端子間の相対的な高さの関係に着目するものであり、引用発明の用語でいうところの、電極とリード端子との相対的な高さの関係に着目する技術ではないから、仮に引用発明において上記周知技術を適用したとしても、「モールド樹脂50」の底面から「電極13a?13d」と「金属細線31?34」との接触点までの高さを、「モールド樹脂50」の底面から「リード端子22?25」と「金属細線31?34」との接触点までの高さよりも低くする構成に至るとまではいえない。

また、引用文献6に記載された技術は、半導体磁気抵抗素子を用いた磁性体検出器において、半導体磁気抵抗素子の感磁部表面と磁石表面との距離を小さくするためのものであるから、磁石を用いないホールセンサの発明である引用発明に適用する動機づけを見出すことはできない。
引用文献6の【0028】、図25、26に記載されたものも、感磁部の下に位置する構成部分を除去することで感磁部表面と磁石表面との距離を小さくすることに主眼を置くものであり、感磁部90とリードフレーム200におけるボンディングワイヤ23の接触点との高さの関係に着目するものではないから、仮に引用発明において引用文献6に記載された技術を適用したとしても、「モールド樹脂50」の底面から「電極13a?13d」と「金属細線31?34」との接触点までの高さを、「モールド樹脂50」の底面から「リード端子22?25」と「金属細線31?34」との接触点までの高さよりも低くする構成に至るとまではいえない。

原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献5も、上記相違点3に関連する技術事項を記載するものではない。

したがって、上記相違点1、2について判断するまでもなく、本願発明9は、当業者であっても、引用文献1-6に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明1について
本願発明1は、「前記封止部材の底面から前記各電極部と前記各導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記各外部端子と前記各導線との第2の接触点までの高さよりも低くすることにより、前記導線と前記基板の前記エッジとが接触しにくい」という、本願発明9の上記相違点3に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明9と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-6に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明4について
本願発明4は、「前記封止部材の底面から前記各電極部と前記各導線との第1の接触点までの高さは、前記封止部材の底面から前記各外部端子と前記各導線との第2の接触点までの高さよりも低く」という、本願発明9の上記相違点3に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明9と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-6に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

4.本願発明2-3、5-8、10-13について
本願発明2-3は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明5-6は本願発明3又は4を減縮した発明であり、本願発明7-8は本願発明1又は4を減縮した発明であって、本願発明2-3、5-8は、本願発明9の上記相違点3に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明9と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1-6に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
また、本願発明10-13は本願発明9を減縮した発明であり、本願発明10-13は、本願発明9の上記相違点3に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明9と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1-6に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

第6 原査定について
以上のとおりであって、本願発明1-13は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-6に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-07-19 
出願番号 特願2016-549952(P2016-549952)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 中村 説志
小林 紀史
発明の名称 ホールセンサ及びレンズモジュール  
代理人 森 哲也  
代理人 田中 秀▲てつ▼  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ