• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342443
審判番号 不服2017-12588  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-25 
確定日 2018-07-19 
事件の表示 特願2016- 81「遊技台」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 6月20日出願公開、特開2016-107105〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年8月29日に出願した特願2013-178400号の一部を平成28年1月4日に新たな特許出願(特願2016-81号)としたものであって、平成28年12月12日付けで拒絶の理由が通知され、平成29年2月8日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年6月23日付け(発送日:平成29年6月27日)で拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年8月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年8月25日付けの手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年8月25日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正は、特許請求の範囲を補正する内容を含んでおり、本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、
「【請求項1】
図柄変動表示を表示可能な図柄表示手段と、
装飾図柄変動表示を表示可能な装飾図柄表示手段と、
第一の保留表示手段と、
第二の保留表示手段と、
第三の保留表示手段と、
前記図柄表示手段の表示制御を実行可能な第一の制御手段と、
前記装飾図柄表示手段の表示制御を実行可能な第二の制御手段と、
表示手段と、
を備えた遊技台であって、
前記第一の制御手段は、前記第一の保留表示手段を制御可能な手段であり、
前記第二の制御手段は、前記第二の保留表示手段における保留表示(以下、「第二の保留表示」という。)の表示制御を実行可能な手段であり、
前記第二の制御手段は、前記第三の保留表示手段における保留表示(以下、「第三の保留表示」という。)の表示制御を実行可能な手段であり、
前記第二の保留表示手段は、前記表示手段によって構成された手段であり、
前記表示手段は、保留アイコンを表示可能な手段であり、
前記第二の保留表示とは、前記保留アイコンによる表示のことであり、
前記保留アイコンとは、先読み予告として表示される場合があるアイコンであり、
前記表示手段は、変動アイコン表示領域に変動アイコンを表示可能な手段であり、
前記変動アイコンとは、実行中の前記図柄変動表示における予告として表示される場合があるアイコンであり、
前記保留アイコンは、前記変動アイコン表示領域に移動されて前記変動アイコンとして表示される場合があるアイコンであり、
前記第二の保留表示手段は、前記保留アイコンの移動表示によって保留数が減少したことを演出する表示を表示可能な手段であり、
前記第二の保留表示手段によって報知される保留数は、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数と同じ数であり、
前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第二の保留表示手段によって報知される保留数も変化し、
前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数も変化する、
ことを特徴とする遊技台。」(平成29年2月8日付け手続補正書)
から、
「【請求項1】
A 図柄変動表示を表示可能な図柄表示手段と、
B 装飾図柄変動表示を表示可能な装飾図柄表示手段と、
C 第一の保留表示手段と、
D 第二の保留表示手段と、
E 第三の保留表示手段と、
F 前記図柄表示手段の表示制御を実行可能な第一の制御手段と、
G 前記装飾図柄表示手段の表示制御を実行可能な第二の制御手段と、
H 表示手段と、
を備えた遊技台であって、
I 前記第一の制御手段は、前記第一の保留表示手段を制御可能な手段であり、
J 前記第二の制御手段は、前記第二の保留表示手段における保留表示(以下、「第二の保留表示」という。)の表示制御を実行可能な手段であり、
K 前記第二の制御手段は、前記第三の保留表示手段における保留表示(以下、「第三の保留表示」という。)の表示制御を実行可能な手段であり、
L 前記第二の保留表示手段は、前記表示手段によって構成された手段であり、
M 前記表示手段は、保留アイコンを表示可能な手段であり、
N 前記第二の保留表示とは、前記保留アイコンによる表示のことであり、
O 前記保留アイコンとは、先読み予告として表示される場合があるアイコンであり、
P 前記表示手段は、変動アイコン表示領域に変動アイコンを表示可能な手段であり、
Q 前記変動アイコンとは、実行中の前記図柄変動表示における予告として表示される場合があるアイコンであり、
R 前記保留アイコンは、前記変動アイコン表示領域に移動されて前記変動アイコンとして表示される場合があるアイコンであり、
S 前記第二の保留表示手段は、前記保留アイコンの移動表示によって保留数が減少したことを演出する表示を表示可能な手段であり、
T 前記第二の保留表示手段によって報知される保留数は、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数と同じ数であり、
U 前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第二の保留表示手段によって報知される保留数も変化し、
V 前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数も変化し、
W 或る図柄変動表示の表示中に前記変動アイコンが表示されている状態で電断・復電が発生した場合に、該或る図柄変動表示の残りの表示中に該変動アイコンが表示されない、
ことを特徴とする遊技台。」(平成29年8月25日付け手続補正書)
に補正された(下線は、補正箇所を明示するために審決にて付した。また、当審においてA?Wに分説した。)。

2 補正の適否について
(1)補正の目的
上記補正は、補正前の請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「変動アイコン」に関して、「或る図柄変動表示の表示中に前記変動アイコンが表示されている状態で電断・復電が発生した場合に、該或る図柄変動表示の残りの表示中に該変動アイコンが表示されない、」と限定するものであって、かつ、補正前の請求項に記載された発明と補正後の請求項に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。

(2)新規事項の有無について
本件補正は、請求項1に「或る図柄変動表示の表示中に前記変動アイコンが表示されている状態で電断・復電が発生した場合に、該或る図柄変動表示の残りの表示中に該変動アイコンが表示されない、」との記載を付加する補正を含むものである。
一方、願書に最初に添付した明細書には、「 <モードB(姫モード)またはモードC(爺モード)中の電断・復電の移行例> 図29(a)は、演出モードがモードB(姫モード)のときにパチンコ機100への電源が遮断され、電源の復帰後にモードA(殿モード)に移行した場合の一例であり、」(段落【0241】)、「この例では、パチンコ機100が電断・復電された場合には、電断前の演出モードの種類に関わらず、特図保留表示領域(通常保留表示領域)208hのみを表示するモードA(殿モード)に移行するように構成している。」(段落【0242】)と記載されている。
また、図29(a)には、装飾図柄表示装置に変動アイコンが1つ、保留アイコンが3つ表示されるとともに装飾図柄が変動表示され、第1特図保留ランプが3つ点灯している姫モードから、装飾図柄表示装置の全体が黒く表示される画面となり、その後、装飾図柄表示装置に「復旧中しばらくおまちください」と表示されるとともに装飾図柄が停止表示され、第1特図保留ランプが3つ点灯している状態となり、その後、保留アイコンが2つ表示されるとともに装飾図柄が変動表示され、第1特図保留ランプが2つ点灯している殿モードとなることが示されている。
上記のとおり、願書に添付した明細書等には、或る図柄変動表示の表示中に前記変動アイコンが表示されている状態で電断・復電が発生した場合に、或る図柄の停止表示中に変動アイコンが表示されない点が記載されている。
しかしながら、停止表示の前の或る図柄変動表示の残りの表示中に変動アイコンが表示されないことは記載されていない。そして、図柄変動表示の残りの表示中に変動アイコンが表示されないことが願書に添付した明細書等から自明な事項であるとはいえない。
よって、本件補正は、願書に最初に添付した明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において新たな技術的事項を導入するものであるから、願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとはいえない。

(3)小活
以上のことから、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3 独立特許要件について
本件補正については、上記2で検討したとおりであるが、念のため本件補正が、仮に願書に最初に添付した明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものとした場合に、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について、以下に検討する。

(1)刊行物1
新たに引用する特開2013-34710号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(1-a)「【0021】
図3は、遊技盤200を正面から見た略示正面図である。遊技盤200には、外レール202と内レール204とを配設し、遊技球が転動可能な遊技領域124を区画形成している。遊技領域124の略中央には、演出装置206を配設している。演出装置206には、略中央に装飾図柄表示装置208を配設し、その周囲に、第1特別図柄表示装置212と、第2特別図柄表示装置214と、普通図柄表示装置210と、第1特別図柄保留ランプ218と、第2特別図柄保留ランプ220と、普通図柄保留ランプ216と、高確中ランプ222とを配設している。演出装置206は、演出可動体224を動作して演出を行うものであり、詳細については後述する。なお、以下、普通図柄を「普図」、特別図柄を「特図」、第1特別図柄を「特図1」、第2特別図柄を「特図2」と称する場合がある。
【0022】
装飾図柄表示装置208は、装飾図柄ならびに演出に用いる様々な画像を表示するための表示装置であり、本実施の形態では液晶表示装置(Liquid Crystal Display)によって構成する。装飾図柄表示装置208は、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208b、右図柄表示領域208cおよび演出表示領域208dの4つの表示領域に分割し、左図柄表示領域208a、中図柄表示領域208bおよび右図柄表示領域208cはそれぞれ異なった装飾図柄を表示し、演出表示領域208dは演出に用いる画像を表示する。さらに、各表示領域208a、208b、208c、208dの位置や大きさは、装飾図柄表示装置208の表示画面内で自由に変更することを可能としている。なお、装飾図柄表示装置208として液晶表示装置を採用しているが、液晶表示装置でなくとも、種々の演出や種々の遊技情報を表示可能に構成されていればよく、例えば、ドットマトリクス表示装置、7セグメント表示装置、有機EL(ElectroLuminescence)表示装置、リール(ドラム)式表示装置、リーフ式表示装置、プラズマディスプレイ、プロジェクタを含む他の表示デバイスを採用してもよい。
・・・
【0024】
普図保留ランプ216は、保留している普図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施の形態では、普図変動遊技を所定数(例えば、2つ)まで保留することを可能としている。特図1保留ランプ218および特図2保留ランプ220は、保留している特図変動遊技(詳細は後述)の数を示すためのランプであり、本実施の形態では、特図変動遊技を所定数(例えば、4つ)まで保留することを可能としている。高確中ランプ222は、遊技状態が大当りが発生し易い高確率状態であること、または高確率状態になることを示すためのランプであり、遊技状態を大当りが発生し難い低確率状態から高確率状態にする場合に点灯し、高確率状態から低確率状態にする場合に消灯する。」

(1-b)「【0039】
まず、パチンコ機100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えている。基本回路302には、CPU304と、制御プログラムや各種データを記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と、プログラム処理の異常を監視するWDT314と、を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400や第2副制御部500についても同様である。この基本回路302のCPU304は、水晶発振器316bが出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。
【0040】
また、基本回路302には、水晶発振器316aが出力するクロック信号を受信する度に0?65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用している乱数値生成回路(カウンタ回路)318(この回路には2つのカウンタを内蔵しているものとする)と、所定の球検出センサ、例えば各始動口、入賞口、可変入賞口を通過する遊技球を検出するセンサや、前面枠扉開放センサや内枠開放センサや下皿満タンセンサを含む各種センサ320が出力する信号を受信し、増幅結果や基準電圧との比較結果を乱数値生成回路318および基本回路302に出力するためのセンサ回路322と、所定の図柄表示装置、例えば特図1表示装置212や特図2表示装置214の表示制御を行うための駆動回路324と、所定の図柄表示装置、例えば普図表示装置210の表示制御を行うための駆動回路326と、各種状態表示部328(例えば、普図保留ランプ216、特図1保留ランプ218、特図2保留ランプ220、高確中ランプ222等)の表示制御を行うための駆動回路330と、所定の可動部材、例えば特図2始動口232の羽根部材232aや可変入賞口234の扉部材234a等を開閉駆動する各種ソレノイド332を制御するための駆動回路334と、を接続している。ここで、主制御部300により制御される特図1表示装置212、特図2表示装置214、普図表示装置210、各種状態表示部328は、後述する省電力モードにおいても輝度を低下させる制御は実行されない。」

(1-c)「【0047】
また、基本回路402には、スピーカ120およびアンプ(例えば、後述する増幅回路442)の制御を行うための音源IC(サウンド回路)416と、各種ランプ418(例えば、枠ランプ122、前面枠扉106の演出用ランプ)の制御を行うための駆動回路420と、各種ランプ440(例えば、設定操作部ランプ138、賞球残数表示部250の各セグメント、情報報知用ランプ群252の各ランプ)と、演出可動体224の駆動制御を行うための駆動回路422と、演出可動体224の現在位置を検出する演出可動体センサ424と、設定操作部136の各ボタンの押下を検出する操作部センサ426と、出力設定スイッチ161と、所定の検出センサ、例えば演出可動体センサ424や操作部センサ426からの検出信号や出力設定スイッチ161からの設定信号を基本回路402に出力するセンサ回路428と、装飾図柄表示装置(液晶表示装置)208および遮蔽装置246の制御を行うための第2副制御部500と、を接続している。
【0048】
第2副制御部500は、CPU、RAM、ROM、I/O、VDP、VRAM等を有し、所定のタイミングで第1副制御部400から送信される液晶表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置208の表示制御を行う。表示内容および表示タイミングについてはROMに予め記憶されているため、キックタイミングを示す液晶表示コマンドさえ受信できれば後は独立して装飾図柄表示装置208の表示制御を行うことができる。第2副制御部500は、所定時間(例えば33ms)毎に第1副制御部400に戻りコマンドを送信する。第1副制御部400は、該戻りコマンドに基づいてスピーカ120や各種ランプ418、440等の制御を行うことで、装飾図柄表示装置208での表示とその他の演出の整合性をとることができる。

(1-d)「【0058】
次に、図6(a)?(d)を用いて、パチンコ機100の特図1表示装置212、特図2表示装置214、装飾図柄表示装置208、普図表示装置210が停止表示する特図および普図の種類について説明する。図6(a)は特図1の停止図柄態様の一例を示したものであり、図6(b)は特図2の停止図柄態様の一例を示したものである。特図1始動口230に球が入球したことを第1始動口センサが検出したことを条件として特図1変動遊技が開始され、特図2始動口232に球が入球したことを第2始動口センサが検出したことを条件として特図2変動遊技が開始される。特図1変動遊技が開始されると、特図1表示装置212は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図1の変動表示」を行う。また、特図2変動遊技が開始されると、特図2表示装置214は、7個のセグメントの全点灯と、中央の1個のセグメントの点灯を繰り返す「特図2の変動表示」を行う。これらの「特図1の変動表示」および「特図2の変動表示」が本実施形態にいう図柄の変動表示の一例に相当する。そして、特図1の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図1表示装置212は特図1の停止図柄態様を停止表示し、特図2の変動開始前に決定した変動時間が経過すると、特図2表示装置214は特図2の停止図柄態様を停止表示する。したがって、「特図1の変動表示」を開始してから特図1の停止図柄態様を停止表示するまで、あるいは「特図2の変動表示」を開始してから特図2の停止図柄態様を停止表示するまでが本実施形態にいう図柄変動停止表示の一例に相当し、以下、この「特図1または2の変動表示」を開始してから特図1または2の停止図柄態様を停止表示するまでの一連の表示を図柄変動停止表示と称する。図柄変動停止表示は複数回、連続して行われることがある。また、特図1表示装置212および特図2表示装置214が同一の図柄を表示する場合、該図柄の輝度は同一であり、また、該図柄を表示するために必要となる電力は同一である。」

(1-e)「【0132】
ステップS237の次のステップS239では、低電圧信号がオンであるか否かを監視する。そして、低電圧信号がオンの場合(電源の遮断を検知した場合)にはステップS243に進み、低電圧信号がオフの場合(電源の遮断を検知していない場合)にはステップS241に進む。ステップS241では、タイマ割込終了処理を行う。このタイマ割込終了処理では、ステップS201で一時的に退避した各レジスタの値を元の各レジスタに設定したり、割込許可の設定などを行い、その後、図7に示す主制御部メイン処理に復帰する。一方、ステップS243では、復電時に電断時の状態に復帰するための特定の変数やスタックポインタを復帰データとしてRAM308の所定の領域に退避し、入出力ポートの初期化等の電断処理を行い、その後、図7に示す主制御部メイン処理に復帰する。」

(1-f)「【0248】
例えば、第1副制御部400は、先読み結果画像設定処理(ステップS1009)において、主制御部300から取得した先読み結果が大当りである場合、先読み報知態様抽選用乱数値の値が0であれば保留画像の表示態様をデフォルト(特図1であれば青、特図2であれば黄)に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が1-9であれば保留画像の表示態様を緑に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が10-56であれば保留画像の表示態様を緑(文字あり)に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が57-155であれば保留画像の表示態様を赤に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が156-254であれば保留画像の表示態様を赤(文字あり)に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が255であれば保留画像の表示態様を金に設定する。
【0249】
また、第1副制御部400は、先読み結果画像設定処理(ステップS1009)において、主制御部300から取得した先読み結果がはずれである場合、先読み報知態様抽選用乱数値の値が0-245であれば保留画像の表示態様をデフォルト(特図1であれば青、特図2であれば黄)に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が246-249であれば保留画像の表示態様を緑に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が250-252であれば保留画像の表示態様を緑(文字あり)に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が253-254であれば保留画像の表示態様を赤に設定し、先読み報知態様抽選用乱数値の値が255であれば保留画像の表示態様を赤(文字あり)に設定する。本例では、先読み結果がはずれの場合には、保留画像の表示態様が金に設定されることはない。
また、本実施例では、保留画像の表示態様を変更する例として、色の変更と、文字の付与を示したが、これに限定されるものではなく、例えば保留画像そのものの形状を異なるものに変更しても良い。」

(1-g)「【0260】
また、図22?図24および後述する各図において、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dのうち下方の横長の領域は、特図1および特図2の保留数を表示する保留表示領域910として用いられる(図22(a)では保留表示領域910を破線で示している)。また、保留表示領域910の左側に隣接した、演出表示領域208dの左下角部の円形画像近傍の領域は、消化中の保留に対応する画像(保留消化画像)を保留画像と概ね同態様で表示する保留消化表示領域912として用いられる。本例では、保留表示領域910および保留消化表示領域912において保留画像および保留消化画像を種々の表示態様で表示することにより、保留数を報知するとともに興趣の向上を図れるようになっている。
【0261】
保留表示領域910では、保留に対応する保留画像が個別に表示されるようになっている。すなわち、保留表示領域910に表示される保留画像の数で保留数が表される。本例では、保留画像として所定形状(例えば小判形)のプレートの絵柄に合致した画像(以下、「プレート画像」という)が用いられる。図示していないが、横長の保留表示領域910は、左から右に向かって第1領域、第2領域、第3領域、第4領域の4つの領域に大まかに分割されている。この分割数は、例えば、特図1および特図2それぞれの保留の上限数に等しい。本例では、第1?第4領域の各境界に境界線が表示されていないが、境界線を表示するようにしてもよい。
・・・
【0263】
図22(a)?(d)は、特図2の保留が増加したときの保留増加表示の例を示している。図22(a)は、ある特図2変動遊技の変動期間中の状態を示している。図22(a)に示すように、特図1表示装置212には直近の特図1変動遊技の停止図柄である第1はずれ図柄が表示されており、特図2表示装置214では特図2の変動表示がなされている。特図1保留ランプ218は、左から1番目のLEDのみを点灯させて特図1の保留が1つであることを表示しており、特図2保留ランプ220は、左から1番目および2番目のLEDを点灯させて特図2の保留が2つであることを表示している。
【0264】
図柄表示領域208a?208cでは、装飾図柄の変動表示が実行されている。保留消化表示領域912には、保留消化画像として、プレート画像802aが表示されている。プレート画像802aの表示態様はデフォルトの黄(図中、ドットハッチング)である。これにより、当該特図2変動遊技の当否が信頼度0.001%(大当りの確率が0.001%)で予告報知される(図20参照)。
【0265】
保留表示領域910には、特図1保留画像としての1つのプレート画像801aと、特図2保留画像としての2つのプレート画像802b、802cとが表示されている。プレート画像801aの表示態様はデフォルトの青(図中、白抜き)である。これにより、次の特図1変動遊技の当否が信頼度0.001%で予告報知されている。また、プレート画像802b、802cの表示態様はいずれもデフォルトの黄である。これにより、次の特図2変動遊技およびその次の特図2変動遊技の当否がそれぞれ信頼度0.001%で予告報知されている。なお、保留消化表示領域912の保留消化画像は、保留表示領域910の特図1保留画像および特図2保留画像とは異なる表示サイズ(例えば、特図1保留画像および特図2保留画像よりも大きい表示サイズ)で表示されるようにしてもよい。これにより、保留消化画像と特図1保留画像および特図2保留画像との識別が容易になる場合がある。」

(1-h)「【0276】
図24(b)は、次の特図2変動遊技が開始された直後の状態を示している。図24(b)に示すように、特図2表示装置214では特図2の変動表示が開始される。特図2保留ランプ220は、左から3番目のLEDを消灯させて特図2の保留が3つから2つに減少したことを表示している。特図2表示装置214および特図2保留ランプ220の表示は、特図2変動遊技の開始と共に即時に切り替えられている。
【0277】
保留表示領域910では、特図2変動遊技の開始と共に、特図2保留画像(プレート画像802a、802b、802c)の数を1つ減少させる保留減少アニメーションの表示が開始される。本例の保留減少アニメーションは、保留表示領域910内の保留画像を全体として左方向に移動させるものであり、第2?第4領域に表示されている保留画像をそれぞれ第1?第3領域に移動させるとともに、第1領域に表示されている保留画像を保留消化表示領域912に移動させる一連の動画像からなる。保留減少アニメーションにより、第1領域に表示されている保留画像は保留表示領域910からは消去される。本例では、特図2変動遊技の開始直後にはまだプレート画像802a、802b、802cがほとんど動き出さないようになっている。これにより、特図2変動遊技の開始直後に特図1の保留が増加したとき、特図1保留画像と特図2保留画像とを重複して表示し易くなる場合がある。
【0278】
図24(c)?(e)に示すように、保留減少アニメーションにおいてプレート画像802a、802b、802cは、特図2変動遊技の開始からの時間経過とともに全体として左方向に移動する。すなわち、プレート画像802aは保留表示領域910の第1領域から保留消化表示領域912に向かって移動し、プレート画像802bは保留表示領域910の第2領域から第1領域に向かって移動し、プレート画像802cは保留表示領域910の第3領域から第2領域に向かって移動する。本例では、保留表示領域910の第1領域から保留消化表示領域912に向かって移動するプレート画像802aは、移動に伴って徐々に表示サイズが大きくなるが、表示サイズ以外の表示態様はそのまま維持される。また本例では、少なくとも保留消化表示領域912に移動したプレート画像802aは、他の画像と重複することなく、全体が視認できるようになっている。」

(1-i)「【0280】
ここで、プレート画像802aに対応する特図2変動遊技の保留は、図24(b)に示す時点で既に消化されている。したがって、図24(a)に示す時点で特図2保留画像として機能していたプレート画像802aは、対応する特図2変動遊技が開始された図24(b)に示す時点(例えば、装飾図柄表示装置208での表示上では、プレート画像802aが保留消化表示領域912に向かって移動開始し、保留表示領域910(第1領域)と保留消化表示領域912との間の境界を跨いだ時点)以降には、保留が消化されて抽選が行われたことを報知する保留消化画像として機能する。すなわち本例では、各プレート画像は、保留表示領域910と保留消化表示領域912との間の境界を跨ぐと、保留画像としての機能から保留消化画像としての機能に変化する。保留消化画像は、当該特図変動遊技の抽選結果が報知されるとともに消去される。したがって、保留消化画像は、特図変動遊技の抽選結果の報知を保留しているという意味では保留画像として機能していると考えることもできる。」

(1-j)段落【0276】には、「図24(b)に示すように、特図2表示装置214では特図2の変動表示が開始される。特図2保留ランプ220は、左から3番目のLEDを消灯させて特図2の保留が3つから2つに減少したことを表示している。」と記載され、段落【0277】には、「保留表示領域910では、特図2変動遊技の開始と共に、特図2保留画像(プレート画像802a、802b、802c)の数を1つ減少させる保留減少アニメーションの表示が開始される。」と記載されている。
また、図24(b)には、保留表示領域910に3つのプレート画像802a、802b、802cが示されており、図24(d)には、保留表示領域910から1つのプレート画像が減少し、2つのプレート画像802b、802cとなっていることが示されている。
よって、刊行物1には、特図2の変動表示が開始されると、特図2保留ランプ220は、左から3番目のLEDを消灯させて特図2の保留が3つから2つに減少したことを表示し、保留表示領域910では、3つのプレート画像の数を1つ減少させる保留減少アニメーションの表示が開始されることが記載されているといえる。


上記(1-a)?(1-i)の記載事項及び(1-j)の認定事項を総合すると、刊行物1には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物1発明」という。)。

「a 特図1の変動表示を行う第1特別図柄表示装置212と、特図2の変動表示を行う第2特別図柄表示装置214と(段落【0021】、【0058】)、
b 装飾図柄の変動表示を実行する装飾図柄表示装置208と(段落【0022】、【0264】)、
c 第1特別図柄保留ランプ218および第2特別図柄保留ランプ220と(段落【0021】)、
d 特図1および特図2の保留数を表示する保留表示領域910と(段落【0260】)、
f 第1特別図柄表示装置212や第2特別図柄表示装置214の表示制御を行うための駆動回路324を備えた主制御部300と(段落【0039】、【0040】)、
g 装飾図柄表示装置208の表示制御を行う第1副制御部400および第2副制御部500と(段落【0047】、【0048】)、
h 演出に用いる様々な画像を表示する装飾図柄表示装置208と(段落【0039】)、
を備えたパチンコ機100(段落【0022】)であって、
i 前記主制御部300は、第1特別図柄保留ランプ218および第2特別図柄保留ランプ220の表示制御を行う駆動回路330を備えており(段落【0039】、【0040】)、
j 第2副制御部500は、第1副制御部400から送信される液晶表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置208の表示制御を行うものであり(段落【0048】)、第1副制御部400は、主制御部300から取得した先読み結果に応じて、保留表示領域910において保留画像の表示態様を緑、赤、金等に設定し(段落【0248】、【0249】、【0260】)、
l 前記保留表示領域910は、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dのうち下方の横長の領域であり(段落【0260】)、
m 前記装飾図柄表示装置208は、保留表示領域910において保留画像としてプレート画像を表示するものであり(段落【0260】、【0261】)、
n 保留表示領域910における保留画像は、前記プレート画像が用いられ(段落【0261】)、
o 前記プレート画像の表示態様により、予告報知されるものであり(段落【0265】)、
p 前記装飾図柄表示装置208は、保留消化表示領域912において保留消化画像としてプレート画像を表示するものであり(段落【0260】、【0261】、【0264】)、
q 保留消化画像としてのプレート画像は、消化中の保留に対応する画像であり、前記プレート画像の表示態様により、予告報知されるものであり(段落【0260】、【0264】)、
r プレート画像が保留表示領域910から保留消化表示領域912に向かって移動開始し、保留表示領域910と保留消化表示領域912との間の境界を跨いだ以降には、保留が消化されて抽選が行われたことを報知する保留消化画像として機能し(段落【0278】、【0280】)、
s 前記保留表示領域910では、プレート画像の数を1つ減少させる保留減少アニメーションの表示が開始され、当該保留減少アニメーションは、保留表示領域910内の保留画像を全体として左方向に移動させるものであり(段落【0277】)、
u 特図2の変動表示が開始されると、特図2保留ランプ220は、左から3番目のLEDを消灯させて特図2の保留が3つから2つに減少したことを表示し、保留表示領域910では、3つのプレート画像の数を1つ減少させる保留減少アニメーションの表示が開始され(認定事項(1-j))、
w 電源の遮断を検知した場合には、復電時に電断時の状態に復帰するための特定の変数やスタックポインタを復帰データとしてRAM308の所定の領域に退避し、入出力ポートの初期化等の電断処理を行う(段落【0132】)、
パチンコ機100。」

(2)刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用文献2として引用された特開2012-254338号公報(以下「刊行物2」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(2-a)「【0012】
遊技盤110は、前面に、遊技球により遊技を行うための遊技領域111と、下方から発射された遊技球が上昇して遊技領域111の上部位置へ向かう通路を形成するレール部材112と、遊技領域111の右側に遊技球を案内する案内部材113とを備えている。
本実施の形態では、遊技者により視認され易い遊技領域111の位置に、演出のための各種の画像を表示する画像表示部114が配設されている。この画像表示部114は、液晶ディスプレイ等による表示画面を備え、遊技者によるゲームの進行に伴い、例えば、図柄抽選結果(図柄変動結果)を遊技者に報知するための装飾図柄を表示したり、キャラクタの登場やアイテムの出現による演出画像を表示したりする。
また、遊技盤110の前面に、各種の演出に用いられる可動役物115および盤ランプ116を備えている。可動役物115は、遊技盤110上で動作することにより各種の演出を行い、また、盤ランプ116は、発光することで各種の演出を行う。」

(2-b)「【0020】
図2は、本実施の形態に係るパチンコ遊技機100を説明する図であり、(a)は、遊技盤110の右下に配設された表示器130の一例を示す拡大図であり、(b)は、パチンコ遊技機100の部分平面図である。
パチンコ遊技機100の表示器130は、図2の(a)に示すように、第1始動口121の入賞に対応して作動する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122の入賞に対応して作動する第2特別図柄表示器222と、ゲート124の通過に対応して作動する普通図柄表示器223と、を備えている。第1特別図柄表示器221は、第1始動口121の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。第2特別図柄表示器222は、第2始動口122の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。普通図柄表示器223は、遊技球がゲート124を通過することにより普通図柄を変動表示しその抽選結果を表示する。第1特別図柄表示器221、第2特別図柄表示器222および普通図柄表示器223の各々は、LED表示装置で構成され、その点灯態様によって各抽選結果を表す図柄が表示される。
【0021】
また、表示器130は、第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と、普通図柄表示器223での保留に対応して作動する普通図柄保留表示器220と、を備えている。第1特別図柄保留表示器218、第2特別図柄保留表示器219および普通図柄保留表示器220の各々は、LED表示装置で構成され、その点灯態様によって保留数が表示される。」

(2-c)「【0029】
また、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選(大当たり抽選)の未抽選分の保留個数を限度個数内(例えば4個)で表示する第1特別図柄保留表示器218と、第2始動口122への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の未抽選分の保留個数を限度個数内で表示する第2特別図柄保留表示器219と、ゲート124への遊技球の通過により始動した普通図柄抽選(開閉抽選)が始動する未抽選分の保留個数を限度個数内で表示する普通図柄保留表示器220と、が接続されている。
さらに、遊技制御部200には、第1始動口121への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を表示する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122への遊技球の入賞により始動した特別図柄抽選の結果を表示する第2特別図柄表示器222と、普通図柄抽選の結果を表示する普通図柄表示器223と、パチンコ遊技機100の状態を表示する状態表示器224と、が接続されている。」

(2-d)「【0033】
〔画像/音響制御部の構成・機能〕
画像/音響制御部310は、演出内容を表現する画像および音響を制御する際の演算処理を行うCPU311と、CPU311にて実行されるプログラムや各種データ等が記憶されたROM312と、CPU311の作業用メモリ等として用いられるRAM313と、を備えている。
そして、画像/音響制御部310は、演出制御部300から送られたコマンドに基づいて、画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する。
具体的には、画像/音響制御部310のROM312には、画像表示部114において遊技中に表示する図柄画像や背景画像、遊技者に抽選結果を報知するための装飾図柄、遊技者に予告演出を表示するためのキャラクタやアイテム等といった画像データが記憶されている。さらには、画像データと同期させて、または画像データとは独立にスピーカ156から出力させる楽曲や音声、さらにはジングル等の効果音等といった各種音響データが記憶されている。CPU311は、ROM312に記憶された画像データや音響データの中から、演出制御部300から送られたコマンドに対応したものを選択して読み出す。さらには、読み出した画像データを用いて背景画像表示、図柄画像表示、図柄画像変動、およびキャラクタ/アイテム表示等のための画像処理と、読み出した音響データを用いた音声処理とを行う。
そして、画像/音響制御部310は、画像処理された画像データにより画像表示部114での画面表示を制御する。また、音声処理された音響データによりスピーカ156から出力される音響を制御する。」

(2-e)「【0053】
〔遊技制御部での始動口スイッチ処理〕
図6は、図5のステップ502に示したスイッチ処理のうちの始動口スイッチ処理の内容を示すフローチャートである。
この始動口スイッチ処理は、第1始動口121における入賞に対する処理と、第2始動口122における入賞に対する処理とが順次行われる。図6を参照すると、遊技制御部200の特別図柄抽選部231は、まず、第1始動口121に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ211がONとなったか否かを判断する(ステップ601)。第1始動口スイッチ211がONとなったならば、次に特別図柄抽選部231は、第1始動口121の入賞における未抽選分の保留数U1が上限値未満か否かを判断する(ステップ602)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U1が上限値に達している場合は(ステップ602でNo)、それ以上未抽選分の入賞を保留することができないので、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。
【0054】
一方、保留数U1が上限値未満である場合(ステップ602でYes)、次に特別図柄抽選部231は、保留数U1の値を1加算する(ステップ603)。そして、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(ステップ604)。ここでは、第1始動口121の入賞なので、特別図柄抽選のための乱数値が取得される。このとき取得される乱数値は、ステップ501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により特別図柄抽選の結果が確定される。ここにいう乱数値としては、大当たり、小当たりまたはハズレを決定する大当たり乱数値、大当たりの種類(大当たり遊技の終了後における時短遊技状態の有無、確変遊技状態の有無、長当たり、短当たり)を決定する図柄乱数値(大当たり図柄乱数値)、図柄変動における変動パターンを特定するための変動パターン乱数、リーチ有り演出をするか否かを決定するリーチ乱数値、等が含まれる。
【0055】
次に、特別図柄抽選部231は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(ステップ605)。この事前判定処理は、抽選結果の判定を図柄変動開始時ではなく始動口入賞時に(すなわちステップ605において)行うものである。なお、抽選結果の予告演出を行わない遊技機においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、特別図柄抽選部231は、ステップ603による保留数U1の増加を演出制御部300に通知するための保留数U1増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ606)、第1始動口121における入賞に対する処理を終了する。ステップ605の事前判定処理が行われた場合は、保留数U1増加コマンドには、ステップ605で得られた事前判定の判定結果の情報が含まれる。また、ステップ603による保留数U1の増加は第1特別図柄保留表示器218にも通知される。
【0056】
次に、第2始動口122における入賞に対する処理が行われる。図6を参照すると、次に特別図柄抽選部231は、第2始動口122に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ212がONとなったか否かを判断する(ステップ607)。第2始動口スイッチ212がONとなったならば、次に特別図柄抽選部231は、第2始動口122の入賞における未抽選分の保留数U2が上限値未満か否かを判断する(ステップ608)。図6に示す例では、上限値を4個としている。保留数U2が上限値に達している場合は(ステップ608でNo)、それ以上未抽選分の入賞を保留することができないので、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。
【0057】
一方、保留数U2が上限値未満である場合(ステップ608でYes)、次に特別図柄抽選部231は、保留数U2の値を1加算する(ステップ609)。そして、今回の入賞による抽選のための乱数値を取得し、RAM203に格納する(ステップ610)。ここでは、第2始動口122の入賞なので、上記のステップ604と同様に、特別図柄抽選のための乱数値(大当たり乱数、大当たり図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数など)が取得される。このとき取得される乱数値は、ステップ501の乱数更新処理で更新された値である。そして、この乱数値により特別図柄抽選の結果が確定される。
【0058】
次に、特別図柄抽選部231は、特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行うための事前判定処理を行う(ステップ611)。この事前判定処理の内容は、上記のステップ605と同様である。この事前判定処理も、抽選結果の予告演出を行わない遊技機においては、この事前判定処理を省略する場合がある。
この後、特別図柄抽選部231は、ステップ609による保留数U2の増加を演出制御部300に通知するための保留数U2増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ612)、第2始動口122における入賞に対する処理を終了する。ステップ611の事前判定処理が行われた場合は、保留数U2増加コマンドには、ステップ611で得られた事前判定の判定結果の情報が含まれる。また、ステップ609による保留数U2の増加は第2特別図柄保留表示器219にも通知される。」

(2-f)「【0128】
ところで、演出制御部300は、図6のステップ606、612で送られた保留数増加コマンドをステップ1811で受信すると、ステップ1813で保留数コマンドを画像/音響制御部310等に送信する。これにより、画像表示部114では、保留数表示が行われる。ここで、保留数表示とは、先に入賞した遊技球に対する図柄の変動表示動作中に入賞した他の遊技球に対する図柄の変動表示動作の保留の数の表示である。
一方、演出制御部300は、図8のステップ811で送られた変動開始コマンド、図11のステップ1118で送られたオープニングコマンド、図14のステップ1413で送られたエンディングコマンドをステップ1811で受信すると、ステップ1813で、それぞれ、変動演出開始コマンド、当たり演出開始コマンド、エンディング演出開始コマンドを画像/音響制御部310等に送信する。これにより、画像表示部114では、変動演出、当たり演出、エンディング演出が行われる。これらの演出では、可動役物115が動作することがあり、可動役物115は、その動作パターンによっては、画像表示部114上の保留数表示を隠してしまう。
そこで、本実施の形態では、保留数表示の少なくとも一部が可動役物115で隠されるのに備えて、可動役物115で隠されない場所に別の保留数表示を用意しておくことで、遊技者が保留数を引き続き認識できるようにする。以下では、可動役物115で隠される可能性のある場所に設けられた保留数表示を「擬似保留数表示」と称し、可動役物115で隠されない場所に用意された別の保留数表示を「本保留数表示」と称する。
【0129】
本実施の形態における画像表示部114の表示について具体的に説明する。
図18-2は、画像表示部114上の保留数表示と可動役物115との位置関係を示した図である。
可動役物115が画像表示部114の右側に静止している時点では、図18-2(a)に示すように、画像表示部114の中央下部に、保留数U1(図6参照)を表す擬似保留数表示351と、保留数U2(図6参照)を表す擬似保留数表示352とが表示されている。図示の例では、保留数U1が2であるものとし、擬似保留数表示351に2つの保留表示を含めており、保留数U2が3であるものとし、擬似保留数表示352に3つの保留表示を含めている。なお、ここでは、保留表示を白丸で表示したが、他の図形で表示してもよい。あるいは、保留数を数字で表示してもよい。
【0130】
また、この時点で、可動役物115が擬似保留数表示351、352の少なくとも一部を隠すように動作したときに備え、画像表示部114の左上部に、保留数U1を表す本保留数表示361と、保留数U2を表す本保留数表示362とが表示されている。図示の例では、保留数U1が2であるので、本保留数表示361として数字の「2」を表示しており、保留数U2が3であるので、本保留数表示362として数字の「3」を表示している。
【0131】
本実施の形態では、擬似保留数表示351、352および本保留数表示361、362の表示を、擬似保留数表示351、352の各々と本保留数表示361、362の各々とが関連していることを示す態様で行う。図示の例では、擬似保留数表示351および本保留数表示361の背景を白色とし、擬似保留数表示352および本保留数表示362の背景を黒色とすることで、擬似保留数表示351と本保留数表示361とが関連し、擬似保留数表示352と本保留数表示362とが関連していることが分かるようになっている。
また、図からは明らかでないが、本実施の形態では、保留数の増減に応じて、擬似保留数表示351、352および本保留数表示361、362を、擬似保留数表示351、352の各々と本保留数表示361、362の各々とが関連していることを示す態様で変化させる。例えば、保留数U1が1増えると、擬似保留数表示351内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示361の数字を1カウントアップする。また、保留数U2が1増えると、擬似保留数表示352内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示362の数字を1カウントアップする。この場合、例えば、擬似保留数表示351、352内の保留表示を増加させるときの画像の変化と、本保留数表示361、362の数字をカウントアップするときの画像の変化とに同じエフェクトを与えることで、同期していることを示せばよい。これにより、擬似保留数表示351と本保留数表示361とが関連し、擬似保留数表示352と本保留数表示362とが関連していることが分かるようになっている。」

(2-g)「【0139】
図19-2は、図19-1の保留数加算処理(ステップ1902)の内容を示すフローチャートである。
この保留数加算処理において、演出制御部300は、まず、RAM303に保持されている保留数の値を1加算する(ステップ1921)。保留数増加コマンドが図6のステップ606で送られた保留数U1増加コマンドであれば、擬似保留数表示351および本保留数表示361に対応する保留数の値を1加算し、保留数増加コマンドが図6のステップ612で送られた保留数U2増加コマンドであれば、擬似保留数表示352および本保留数表示362に対応する保留数の値を1加算する。そして、演出制御部300は、RAM303に保持されている擬似保留数表示フラグを参照する(ステップ1922)。擬似保留数表示フラグとして、初期状態では、図18-2(a)のように擬似保留数表示351、352を表示することを示すONがセットされているが、擬似保留数表示351、352の少なくとも一部が可動役物115で隠される場合は、後述する図21、図23、図24の処理で、図18-2(b)のように擬似保留数表示351、352を表示しないことを示すOFFに書き換えられるので、そのときの状態に応じて、擬似保留数表示351、352を表示するか否かを参照する。最後に、演出制御部300は、ステップ1921での加算後の保留数の値と、ステップ1922で参照した擬似保留数表示フラグとを示す保留数コマンドをRAM303にセットする(ステップ1923)。」

(2-h)段落【0128】には、「演出制御部300は、図6のステップ606、612で送られた保留数増加コマンドをステップ1811で受信すると、ステップ1813で保留数コマンドを画像/音響制御部310等に送信する。これにより、画像表示部114では、保留数表示が行われる。」と記載され、段落【0129】には、「画像表示部114の中央下部に、保留数U1(図6参照)を表す擬似保留数表示351と、保留数U2(図6参照)を表す擬似保留数表示352とが表示されている。」と記載されている。
よって、刊行物2には、演出制御部300は、擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示を行うものであることが記載されているといえる。

(2-i)上記(2-h)の記載に加えて、段落【0130】には、「画像表示部114の左上部に、保留数U1を表す本保留数表示361と、保留数U2を表す本保留数表示362とが表示されている。」と記載されている。
よって、刊行物2には、演出制御部300は、本保留数表示361と、本保留数表示362の保留数表示を行うものであることが記載されているといえる。

(2-j)段落【0129】には、「画像表示部114の中央下部に、保留数U1(図6参照)を表す擬似保留数表示351と、保留数U2(図6参照)を表す擬似保留数表示352とが表示されている。・・・擬似保留数表示351に2つの保留表示を含めており、・・・擬似保留数表示352に3つの保留表示を含めている。なお、ここでは、保留表示を白丸で表示したが、他の図形で表示してもよい。あるいは、保留数を数字で表示してもよい。」と記載されている。
よって、刊行物2には、画像表示部114は、保留表示の図形を表示してもよいことが記載されているといえる。

(2-k)同様に、段落【0129】の記載から、刊行物2には、擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示は、保留表示の図形の表示であることが記載されているといえる。

(2-l)段落【0129】には、保留表示を図形の表示とすることが記載されており、段落【0058】には「特別図柄の変動表示動作が保留されている(すなわち未抽選の)入賞球(保留球)に対して、抽選結果の予告演出を行う」と記載されている。
よって、刊行物2には、保留表示の図形は、抽選結果の予告演出を行う場合があることが記載されているといえる。

(2-m)同様に、段落【0129】には、保留表示を図形の表示とすることが記載されており、段落【0131】には、「保留数の増減に応じて、擬似保留数表示351、352および本保留数表示361、362を、擬似保留数表示351、352の各々と本保留数表示361、362の各々とが関連していることを示す態様で変化させる。」と記載されている。
よって、刊行物2には、擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示は、保留数の増減に応じて保留表示の図柄態様を変化させることが記載されているといえる。

(2-n)段落【0055】には、「特別図柄抽選部231は、ステップ603による保留数U1の増加を演出制御部300に通知するための保留数U1増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ606)、・・・また、ステップ603による保留数U1の増加は第1特別図柄保留表示器218にも通知される。」と記載され、段落【0058】には、「特別図柄抽選部231は、ステップ609による保留数U2の増加を演出制御部300に通知するための保留数U2増加コマンドをRAM203にセットし(ステップ612)、・・・ステップ609による保留数U2の増加は第2特別図柄保留表示器219にも通知される。」と記載されている。
また、段落【0139】には、「保留数U1増加コマンドであれば、擬似保留数表示351および本保留数表示361に対応する保留数の値を1加算し、保留数増加コマンドが図6のステップ612で送られた保留数U2増加コマンドであれば、擬似保留数表示352および本保留数表示362に対応する保留数の値を1加算する」と記載されている。
よって、刊行物2には、保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに擬似保留数表示351に対応する保留数の値を1加算し、保留数U2の増加が第2特別図柄保留表示器219に通知されるとともに擬似保留数表示352に対応する保留数の値を1加算する点が記載されているといえる。

(2-o)また、同様に、段落【0055】、【0058】、【0139】の記載を「本保留数表示361」、「本保留数表示362」について整理すると、刊行物2には、保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに本保留数表示361に対応する保留数の値を1加算し、保留数U2の増加が第2特別図柄保留表示器219に通知されるとともに本保留数表示362に対応する保留数の値を1加算する点が記載されているといえる。

上記(2-a)?(2-g)の記載事項及び上記(2-h)?(2-o)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の発明が記載されていると認められる(以下「刊行物2発明」という。)。
「a 第1始動口121の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する第2特別図柄表示器222と(段落【0020】)、
b 図柄抽選結果を遊技者に報知するための装飾図柄を表示する画像表示部114と(段落【0012】)、
c 第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と(段落【0021】)、
d 第1始動口121の入賞における未抽選分の保留数U1を表す擬似保留数表示351と、第1始動口122の入賞における未抽選分の保留数U2を表す擬似保留数表示352と(段落【0053】、【0056】、【0129】)、
e 保留数U1を表す本保留数表示361と、保留数U2を表す本保留数表示362と(段落【0130】)、
f 第1特別図柄表示器221と、第2特別図柄表示器222と、が接続されている遊技制御部200と(段落【0029】)、
g 画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する演出制御部300と(段落【0033】)、
h 演出画像を表示する画像表示部114と(段落【0012】)、
を備えたパチンコ遊技機100であって(段落【0020】)、
i 前記遊技制御部200には、第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄保留表示器219とが接続され(段落【0029】)、
j 前記演出制御部300は、擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示を行うものであり(認定事項(2-h))、
k 前記演出制御部300は、本保留数表示361と、本保留数表示362の保留数表示を行うものであり(認定事項(2-i))、
l 擬似保留数表示351と擬似保留数表示352は、画像表示部114の中央下部に表示されるものであり(段落【0129】)、
m 前記画像表示部114は、保留表示の図形を表示してもよく(認定事項(2-j))、
n 擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示は、保留表示の図形の表示であり(認定事項(2-k))、
o 前記保留表示の図形は、抽選結果の予告演出を行う場合があり(認定事項(2-l))、
s 擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示は、保留数の増減に応じて保留表示の図柄態様を変化させるものであり(認定事項(2-m))、
t 擬似保留数表示351、352の各々と本保留数表示361、362の各々とが関連していることを示す態様で変化させ、保留数U1が1増えると、擬似保留数表示351内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示361の数字を1カウントアップさせ、保留数U2が1増えると、擬似保留数表示352内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示362の数字を1カウントアップさせ(段落【0131】)、
u 保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに擬似保留数表示351に対応する保留数の値を1加算し、保留数U2の増加が第2特別図柄保留表示器219に通知されるとともに擬似保留数表示352に対応する保留数の値を1加算し(認定事項(2-n))、
v 保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに本保留数表示361に対応する保留数の値を1加算し、保留数U2の増加が第2特別図柄保留表示器219に通知されるとともに本保留数表示362に対応する保留数の値を1加算するパチンコ遊技機100(認定事項(2-o))。」

(3)刊行物3
前置報告書において引用された特開2007-296130号公報(以下「刊行物3」という。)には、図面とともに以下の事項が記載されている。

(3-a)「【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1に記載された遊技機と特許文献2に記載された遊技機とを組み合わせた場合、停電復旧時において、遊技制御手段は複数の識別情報(図柄)に対する数多くのコマンド(停電復旧の表示を指定するコマンド、可変表示中の左中右それぞれの特別図柄の停止図柄を指定するコマンド、特別図柄の停止を指示するコマンド)を表示制御手段に対して送信しなければならないことになる。従って、遊技制御手段においてデータ容量が増加し、制御負担が増大してしまうという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は、可変表示装置で複数の識別情報の可変表示を行う遊技機において、停電復旧時におけるコマンド数を削減し、遊技制御手段の制御負担を軽減することを目的とする。」

(3-b)「【0510】
このときの表示状態は、図74(a)に示すように、第1飾り図柄、第2飾り図柄および背景図柄が変動表示されている状態である。なお、第1飾り図柄の変動ははずれ変動(停止図柄がはずれ図柄になる変動)であり、第2飾り図柄の変動ははずれ変動または大当り変動(停止図柄が大当り図柄になる変動)である。また、第2特別図柄の保留記憶数は2個であり、背景図柄の保留記憶数も2個である。
【0511】
図73に示すように、第1特別図柄および第2特別図柄の変動の途中で電源断が発生すると、電源断の発生が検出され、電力供給停止時処理が実行される(図7のステップS20、図36および図37)。これにより、RAM55の記憶内容が所定期間保持されることになる。その後、電力供給が再開され、所定の復旧条件が成立したときには(ステップS6?S8)、バックアップRAM55の記憶内容にもとづいて遊技状態を電力供給の停止前の状態に復旧するための処理(ステップS41,S42)が実行される。そして、遊技状態復旧処理(ステップS43、図38)において、遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出制御用マイクロコンピュータ100に対して、停電復旧表示指定コマンドが送信され(ステップS501)、第1表示結果指定コマンドが送信され(ステップS503)、第2表示結果指定コマンドが送信される(ステップS505)。
【0512】
演出制御用マイクロコンピュータ100は、停電復旧表示指定コマンドを受信すると(ステップS530のY)、可変表示装置9の背景図柄表示領域9aに停電復旧中画面を表示する(ステップS531)。このときの表示状態は、図74(b)に示すように、第1飾り図柄および第2飾り図柄が変動表示され、背景図柄表示領域9aに「停電復旧中」の文字が表示されている状態である。
・・・
【0516】
このときの表示状態は、図74(e)に示すように、背景図柄表示領域9aにはずれ図柄「351」が表示され、第1飾り図柄(および第1特別図柄)の停止図柄としてはずれ図柄「2」が表示され、第2飾り図柄(および第2特別図柄)の停止図柄としてはずれ図柄「4」が表示されている状態である。なお、図74に示す例では、背景図柄の停止図柄がはずれ図柄であるので、変動開始待ちの状態に移行される。
【0517】
第2特別図柄が変動開始可能な状態になると、第2特別図柄の保留記憶にもとづいて、遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出制御用マイクロコンピュータ100に対して、背景指定コマンド、第2表示結果指定コマンド、第2変動パターンコマンド、および第2始動入賞記憶指定コマンドが送信される(第2特別図柄プロセス処理におけるステップS54、S84、S114に相当する処理、ステップS415)。そして、第2特別図柄の変動が開始されるとともに、第2特別図柄の変動と同期して第2飾り図柄および背景図柄の変動も開始される。このときの表示状態が図74(f)に示す状態である。
【0518】
図74(b)?(e)に示すように、停電復旧後に直ちにメモリ表示領域9dにおいて背景図柄の保留記憶が表示されず、図74(f)に示すように、停電復旧後における背景図柄の保留記憶数の更新タイミングになったときに背景図柄の保留記憶が表示される。具体的には、演出制御用マイクロコンピュータ100が、停電復旧後に遊技制御用マイクロコンピュータ560からの始動入賞記憶指定コマンド(図74の例では第2始動入賞記憶指定コマンド)を初めて受信すると(ステップS513のY)、そのコマンドにもとづいて背景図柄の保留記憶数を更新表示する(ステップS514、図55のステップS631?635参照)。
【0519】
・・・
このような構成によれば、停電復旧時における遊技制御用マイクロコンピュータ560から演出制御用マイクロコンピュータ100に送信されるコマンド数を削減し、遊技制御用マイクロコンピュータ560の制御負担を軽減することができる。また、停電から復旧したことを遊技者に容易に認識させることができるとともに、停電発生時に可変表示中の特別図柄の表示結果を可変表示時間の経過時に導出表示することができる。」

上記(3-a)、(3-b)の記載事項を総合すると、刊行物3には、次の事項が記載されているといえる(以下「刊行物3記載の事項」という。)。
「背景図柄の保留記憶数が2個表示されている状態で、第1特別図柄および第2特別図柄の変動の途中で電源断が発生し、その後、電力供給が再開され、所定の復旧条件が成立したときには、第1飾り図柄および第2飾り図柄が変動表示され、背景図柄表示領域9aに「停電復旧中」の文字が表示されている状態となり、停電復旧後に直ちにメモリ表示領域9dにおいて背景図柄の保留記憶が表示されない遊技機。」

(4)対比
本願補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の見出しの(a)?(u)は、刊行物1発明の構成a?uに対応している。)。

(a)刊行物1発明の「第1特別図柄表示装置212」及び「第2特別図柄表示装置214」は、本願補正発明の「図柄表示手段」に相当する。
よって、刊行物1発明の「特図1の変動表示を行う第1特別図柄表示装置212と、特図2の変動表示を行う第2特別図柄表示装置214」は、本願補正発明の「図柄変動表示を表示可能な図柄表示手段」に相当する。

(b)刊行物1発明の「装飾図柄の変動表示を実行する装飾図柄表示装置208」は、本願補正発明の「装飾図柄変動表示を表示可能な装飾図柄表示手段」に相当する。

(c)刊行物1発明の「第1特別図柄保留ランプ218および第2特別図柄保留ランプ220」は、本願補正発明の「第一の保留表示手段」に相当する。

(d)刊行物1発明の「特図1および特図2の保留数を表示する保留表示領域910」は、本願補正発明の「第二の保留表示手段」に相当する。

(f)刊行物1発明の「主制御部300」は、本願補正発明の「第一の制御手段」に相当する。
よって、刊行物1発明の「第1特別図柄表示装置212や第2特別図柄表示装置214の表示制御を行うための駆動回路324を備えた主制御部300」は、本願補正発明の「前記図柄表示手段の表示制御を実行可能な第一の制御手段」に相当する。

(g)刊行物1発明の「第1副制御部400および第2副制御部500」は、本願補正発明の「第二の制御手段」に相当する。
よって、刊行物1発明の「装飾図柄表示装置208の表示制御を行う第1副制御部400および第2副制御部500」は、本願補正発明の「前記装飾図柄表示手段の表示制御を実行可能な第二の制御手段」に相当する。

(h)刊行物1発明の「演出に用いる様々な画像を表示する装飾図柄表示装置208」は、本願補正発明の「表示手段」に相当する。
また、刊行物1発明の「パチンコ機100」は、本願補正発明の「遊技台」に相当する。

(i)刊行物1発明の「主制御部300」が、「第1特別図柄保留ランプ218および第2特別図柄保留ランプ220の表示制御を行う駆動回路330を備えて」いることは、
「主制御部300」が、「第1特別図柄保留ランプ218および第2特別図柄保留ランプ220」を制御可能な手段を備えることを意味することは明らかである。
よって、刊行物1発明の「前記主制御部300は、第1特別図柄保留ランプ218および第2特別図柄保留ランプ220の表示制御を行う駆動回路330を備えて」いる点は、本願補正発明の「前記第一の制御手段は、前記第一の保留表示手段を制御可能な手段であ」る点に相当する。

(j)刊行物1発明の「保留表示領域910」における「保留画像」は、本願補正発明の「第二の保留表示」に相当する。
そして、刊行物1発明における「保留表示領域910において保留画像の表示態様」は、「第1副制御部400で設定され」「第1副制御部400から送信される液晶表示コマンドに基づいて」「第2副制御部500」で表示制御を行うものであるといえる。
また、上記(g)で検討したとおり、刊行物1発明の「第1副制御部400および第2副制御部500」は、本願補正発明の「第二の制御手段」に相当するものである。
よって、刊行物1発明の「第2副制御部500は、第1副制御部400から送信される液晶表示コマンドに基づいて装飾図柄表示装置208の表示制御を行うものであり、第1副制御部400は、主制御部300から取得した先読み結果に応じて、保留表示領域910において保留画像の表示態様を緑、赤、金等に設定」する点は、本願補正発明の「前記第二の制御手段は、前記第二の保留表示の表示制御を実行可能な手段であ」る点に相当する。

(l)刊行物1発明の「前記保留表示領域910は、装飾図柄表示装置208の演出表示領域208dのうち下方の横長の領域であ」る点は、本願補正発明の「前記第二の保留表示手段は、前記表示手段によって構成された手段であ」る点に相当する。

(m)刊行物1発明の「保留画像として」の「プレート画像」は、本願補正発明の「保留アイコン」に相当する。
よって、刊行物1発明の「前記装飾図柄表示装置208は、保留表示領域910において保留画像としてプレート画像を表示するもの」は、本願補正発明の「前記表示手段は、保留アイコンを表示可能な手段」に相当する。

(n)上記(j)、(m)における検討を踏まえると、刊行物1発明の「保留表示領域910における保留画像は、前記プレート画像が用いられ」る点は、本願補正発明の「前記第二の保留表示とは、前記保留アイコンによる表示のことであ」る点に相当する。

(o)刊行物1発明の「予告報知」は、本願補正発明の「先読み予告」に相当する。
よって、刊行物1発明の「前記プレート画像の表示態様により、予告報知されるものであ」る点は、本願補正発明の「前記保留アイコンとは、先読み予告として表示される場合があるアイコンであ」る点に相当する。

(p)刊行物1発明の「保留消化画像」としての「プレート画像」は、本願補正発明の「変動アイコン」に相当する。また、刊行物1発明の「保留消化表示領域912」は、本願補正発明の「変動アイコン表示領域」に相当する。
よって、刊行物1発明の「前記装飾図柄表示装置208は、保留消化表示領域912において保留消化画像としてプレート画像を表示するものであ」る点は、本願補正発明の「前記表示手段は、変動アイコン表示領域に変動アイコンを表示可能な手段であ」る点に相当する。

(q)刊行物1発明の「消化中」は、本願補正発明の「実行中」に相当する。
よって、刊行物1発明の「保留消化画像としてのプレート画像は、消化中の保留に対応する画像であり、前記プレート画像の表示態様により、予告報知されるものであ」る点は、本願補正発明の「前記変動アイコンとは、実行中の前記図柄変動表示における予告として表示される場合があるアイコンであ」る点に相当する。

(r)上記(m)、(p)における検討を踏まえると、刊行物1発明の「プレート画像が保留表示領域910から保留消化表示領域912に向かって移動開始し、保留表示領域910と保留消化表示領域912との間の境界を跨いだ以降には、保留が消化されて抽選が行われたことを報知する保留消化画像として機能」する点は、本願補正発明の「前記保留アイコンは、前記変動アイコン表示領域に移動されて前記変動アイコンとして表示される場合があるアイコンであ」る点に相当する。

(s)刊行物1発明において、「保留減少アニメーション」は、プレート画像の数を1つ減少させるものであるとともに、保留表示領域910内の保留画像を全体として左方向に移動させるものであるから、本願補正発明の「保留アイコンの移動表示によって保留数が減少したことを演出する表示」に相当する。
よって、刊行物1発明の「前記保留表示領域910では、プレート画像の数を1つ減少させる保留減少アニメーションの表示が開始され、当該保留減少アニメーションは、保留表示領域910内の保留画像を全体として左方向に移動させるものであ」る点は、本願補正発明の「前記第二の保留表示手段は、前記保留アイコンの移動表示によって保留数が減少したことを演出する表示を表示可能な手段であ」る点に相当する。

(u)刊行物1発明の「特図2保留ランプ220は、左から3番目のLEDを消灯させて特図2の保留が3つから2つに減少」する点は、本願補正発明の「第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化」する点に相当し、刊行物1発明の「保留表示領域910では、3つのプレート画像の数を1つ減少させる」点は、本願補正発明の「第二の保留表示手段によって報知される保留数も変化」する点に相当する。
よって、刊行物1発明の「特図2の変動表示が開始されると、特図2保留ランプ220は、左から3番目のLEDを消灯させて特図2の保留が3つから2つに減少したことを表示し、保留表示領域910では、3つのプレート画像の数を1つ減少させる保留減少アニメーションの表示が開始され」る点は、本願補正発明の「前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第二の保留表示手段によって報知される保留数も変化」する点に相当する。

したがって、本願補正発明と刊行物1発明とは、
「A 図柄変動表示を表示可能な図柄表示手段と、
B 装飾図柄変動表示を表示可能な装飾図柄表示手段と、
C 第一の保留表示手段と、
D 第二の保留表示手段と、
F 前記図柄表示手段の表示制御を実行可能な第一の制御手段と、
G 前記装飾図柄表示手段の表示制御を実行可能な第二の制御手段と、
H 表示手段と、
を備えた遊技台であって、
I 前記第一の制御手段は、前記第一の保留表示手段を制御可能な手段であり、
J 前記第二の制御手段は、前記第二の保留表示の表示制御を実行可能な手段であり、
L 前記第二の保留表示手段は、前記表示手段によって構成された手段であり、
M 前記表示手段は、保留アイコンを表示可能な手段であり、
N 前記第二の保留表示とは、前記保留アイコンによる表示のことであり、
O 前記保留アイコンとは、先読み予告として表示される場合があるアイコンであり、
P 前記表示手段は、変動アイコン表示領域に変動アイコンを表示可能な手段であり、
Q 前記変動アイコンとは、実行中の前記図柄変動表示における予告として表示される場合があるアイコンであり、
R 前記保留アイコンは、前記変動アイコン表示領域に移動されて前記変動アイコンとして表示される場合があるアイコンであり、
S 前記第二の保留表示手段は、前記保留アイコンの移動表示によって保留数が減少したことを演出する表示を表示可能な手段であり、
U 前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第二の保留表示手段によって報知される保留数も変化する、
ことを特徴とする遊技台。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1]
本願補正発明は、「第三の保留表示手段」を備え、「前記第二の制御手段は、第三の保留表示の表示制御を実行可能な手段であり」、「前記第二の保留表示手段によって報知される保留数は、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数と同じ数であり」、「前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数も変化」するのに対し、刊行物1発明は、そのような構成を有していない点(構成E、K、T、V)。

[相違点2]
本願補正発明は、「或る図柄変動表示の表示中に前記変動アイコンが表示されている状態で電断・復電が発生した場合に、該或る図柄変動表示の残りの表示中に該変動アイコンが表示されない」のに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点(構成W)。

(5)判断
ア 上記相違点1について検討する。
刊行物2発明は以下の構成を含むものである。
「c 第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219と、
d 第1始動口121の入賞における未抽選分の保留数U1を表す擬似保留数表示351と、第1始動口122の入賞における未抽選分の保留数U2を表す擬似保留数表示352と、
e 保留数U1を表す本保留数表示361と、保留数U2を表す本保留数表示362と、
g 画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する演出制御部300と、
を備えたパチンコ遊技機100であって、
k 前記演出制御部300は、本保留数表示361と、本保留数表示362の保留数表示を行うものであり、
t 擬似保留数表示351、352の各々と本保留数表示361、362の各々とが関連していることを示す態様で変化させ、保留数U1が1増えると、擬似保留数表示351内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示361の数字を1カウントアップさせ、保留数U2が1増えると、擬似保留数表示352内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示362の数字を1カウントアップさせ、
v 保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに本保留数表示361に対応する保留数の値を1加算し、保留数U2の増加が第2特別図柄保留表示器219に通知されるとともに本保留数表示362に対応する保留数の値を1加算するパチンコ遊技機100。」
上記刊行物2発明において、構成cの「第1特別図柄保留表示器218」及び「第2特別図柄保留表示器219」、構成dの「擬似保留数表示351」及び「擬似保留数表示352」、構成eの「本保留数表示361」及び「本保留数表示362」は、それぞれ、本願補正発明の「第一の保留表示手段」、「第二の保留表示手段」、「第三の保留表示手段」に対応する構成といえる。
また、刊行物2発明の構成kの「演出制御部300」は、本願補正発明の「第二の制御手段」に対応する構成といえる。
そして、刊行物2発明において、構成tの「保留数U1が1増えると、擬似保留数表示351(第二の保留表示手段)内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示361(第三の保留表示手段)の数字を1カウントアップさせ」ることは、擬似保留数表示351(第二の保留表示手段)と本保留数表示361(第三の保留表示手段)の保留表示が同じ数であることを意味している。また、擬似保留数表示352(第二の保留表示手段)と本保留数表示362(第三の保留表示手段)についても同様である。
さらに、刊行物2発明において、構成vの「保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218(第一の保留表示手段)に通知されるとともに本保留数表示361(第三の保留表示手段)に対応する保留数の値を1加算」することは、第1特別図柄保留表示器218(第一の保留表示手段)の保留数が変化したときに、本保留数表示361(第三の保留表示手段)の保留数も変化することを意味している。また、第2特別図柄保留表示器219(第一の保留表示手段)と本保留数表示362(第三の保留表示手段)についても同様である。
そうすると、刊行物2発明は、本願補正発明の構成E、K、T、Vに対応する構成を有しているといえる。
刊行物1発明と、刊行物2発明とは、ともに第一の保留表示手段及び第二の保留表示手段を有する遊技機である点で共通するものである。
よって、刊行物1発明に刊行物2発明を適用して「第三の保留表示手段」を備えるように構成し、上記相違点1に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。

イ 上記相違点2について検討する。
刊行物3記載の事項は、次のとおりである。
「背景図柄の保留記憶数が2個表示されている状態で、第1特別図柄および第2特別図柄の変動の途中で電源断が発生し、その後、電力供給が再開され、所定の復旧条件が成立したときには、第1飾り図柄および第2飾り図柄が変動表示され、背景図柄表示領域9aに「停電復旧中」の文字が表示されている状態となり、停電復旧後に直ちにメモリ表示領域9dにおいて背景図柄の保留記憶が表示されない遊技機。」
上記刊行物3記載の事項において、背景図柄に表示されている「保留記憶」は、本願補正発明の「第二の保留表示手段」の「保留アイコン」に対応する構成であるから、上記刊行物3記載の事項の内容を本願補正発明の用語を用いて表現すると「或る図柄変動表示の表示中に前記保留アイコンが表示されている状態で電断・復電が発生した場合に、該或る図柄変動表示の残りの表示中に該保留アイコンが表示されない」ことになる。
一方、刊行物1発明は、「保留画像としてのプレート画像」(保留アイコン)と「保留消化画像としてのプレート画像」(変動アイコン)を有しており、両者はともにプレート画像であり、プレート画像は保留表示領域910から保留消化表示領域912に向かって移動するものであるから、刊行物1発明において「保留画像としてのプレート画像」(保留アイコン)と「保留消化画像としてのプレート画像」(変動アイコン)とは、一体的な演出を構成するものといえる。
また、刊行物1発明には、第1特別図柄保留ランプ218、第2特別図柄保留ランプ220、保留表示領域910、保留消化表示領域912を有しているから変動中に多くの変動制御を行う必要があるから、刊行物1発明においても停電復旧時の制御負担を軽減するという課題を内在している。
そうすると、刊行物1発明において電断・復旧が発生した場合に、制御負担の軽減のために刊行物3記載の事項を適用し、「保留画像としてのプレート画像」(保留アイコン)だけでなく「保留消化画像としてのプレート画像」(変動アイコン)も表示されないように構成し、もって、上記相違点2に係る本願補正発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

ウ 本願補正発明が奏する効果について
上記相違点1、2によって本願補正発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明、刊行物2発明及び刊行物3記載の事項から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

エ 請求人の主張について
請求人は、審判請求書において「当該ご認定に対して、本審判の請求人は、平成29年2月8日付け提出の手続補正書における請求項1の内容に、引用文献1?5のいずれにも記載や示唆の無い発明特定事項(W)を追加する補正を行いました。
これらの発明特定事項(W)によって特定される技術思想は、「或る図柄変動表示の表示中に前記変動アイコンが表示されている状態で電断・復電が発生した場合に、該或る図柄変動表示の残りの表示中に該変動アイコンが表示されない」といった技術思想であり、本願発明特有のものです。」(第7頁第21?27行)と主張する。
しかしながら、上記イで検討したとおり、所定の復旧条件が成立したときには、第1飾り図柄および第2飾り図柄が変動表示され、背景図柄表示領域9aに「停電復旧中」の文字が表示されている状態となり、停電復旧後に直ちにメモリ表示領域9dにおいて背景図柄の保留記憶が表示されない点は、刊行物3記載の事項に記載されているから、上記発明特定事項に係る本願補正発明の構成は、当業者が刊行物1発明及び刊行物3記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。
よって、請求人の主張は採用できない。

(6)まとめ
以上のように、本願補正発明は、 当業者が刊行物1発明、刊行物2発明及び刊行物3記載の事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 むすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、仮にそうでないとしても、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?7に係る発明は、平成29年2月8日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?7に記載されたとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである(当審においてA?Vに分説した。)。

「【請求項1】
A 図柄変動表示を表示可能な図柄表示手段と、
B 装飾図柄変動表示を表示可能な装飾図柄表示手段と、
C 第一の保留表示手段と、
D 第二の保留表示手段と、
E 第三の保留表示手段と、
F 前記図柄表示手段の表示制御を実行可能な第一の制御手段と、
G 前記装飾図柄表示手段の表示制御を実行可能な第二の制御手段と、
H 表示手段と、
を備えた遊技台であって、
I 前記第一の制御手段は、前記第一の保留表示手段を制御可能な手段であり、
J 前記第二の制御手段は、前記第二の保留表示手段における保留表示(以下、「第二の保留表示」という。)の表示制御を実行可能な手段であり、
K 前記第二の制御手段は、前記第三の保留表示手段における保留表示(以下、「第三の保留表示」という。)の表示制御を実行可能な手段であり、
L 前記第二の保留表示手段は、前記表示手段によって構成された手段であり、
M 前記表示手段は、保留アイコンを表示可能な手段であり、
N 前記第二の保留表示とは、前記保留アイコンによる表示のことであり、
O 前記保留アイコンとは、先読み予告として表示される場合があるアイコンであり、
P 前記表示手段は、変動アイコン表示領域に変動アイコンを表示可能な手段であり、
Q 前記変動アイコンとは、実行中の前記図柄変動表示における予告として表示される場合があるアイコンであり、
R 前記保留アイコンは、前記変動アイコン表示領域に移動されて前記変動アイコンとして表示される場合があるアイコンであり、
S 前記第二の保留表示手段は、前記保留アイコンの移動表示によって保留数が減少したことを演出する表示を表示可能な手段であり、
T 前記第二の保留表示手段によって報知される保留数は、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数と同じ数であり、
U 前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第二の保留表示手段によって報知される保留数も変化し、
V 前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数も変化する、
ことを特徴とする遊技台。」

2 刊行物
刊行物2及びその記載事項、並びに刊行物2発明は、上記「第2 3(2)」に記載したとおりである。

3 対比
本願発明は、本願補正発明を特定するために必要な事項である「変動アイコン」に関して、「或る図柄変動表示の表示中に前記変動アイコンが表示されている状態で電断・復電が発生した場合に、該或る図柄変動表示の残りの表示中に該変動アイコンが表示されない、」との限定を省くものである。
本願発明と刊行物2発明とを対比する(下記の見出しの(a)?(v)は、刊行物2発明の構成a?vに対応している。)。

(a)刊行物2発明の「第1特別図柄表示器221」及び「第2特別図柄表示器222」は、本願発明の「図柄表示手段」に相当する。
よって、刊行物2発明の「第1始動口121の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する第1特別図柄表示器221と、第2始動口122の入賞による特別図柄を変動表示しその抽選結果を表示する第2特別図柄表示器222」は、本願発明の「図柄変動表示を表示可能な図柄表示手段」に相当する。

(b)刊行物2発明の「画像表示部114」は、本願発明の「装飾図柄表示手段」に相当する。
よって、刊行物2発明の「図柄抽選結果を遊技者に報知するための装飾図柄を表示する画像表示部114」は、本願発明の「装飾図柄変動表示を表示可能な装飾図柄表示手段」に相当する。

(c)刊行物2発明の「第1特別図柄表示器221での保留に対応して作動する第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄表示器222での保留に対応して作動する第2特別図柄保留表示器219」は、本願発明の「第一の保留表示手段」に相当する。

(d)刊行物2発明の「第1始動口121の入賞における未抽選分の保留数U1を表す擬似保留数表示351と、第1始動口122の入賞における未抽選分の保留数U2を表す擬似保留数表示352」は、本願発明の「第二の保留表示手段」に相当する。

(e)刊行物2発明の「保留数U1を表す本保留数表示361と、保留数U2を表す本保留数表示362」は、本願発明の「第三の保留表示手段」に相当する。

(f)刊行物2発明において「遊技制御部200」に「第1特別図柄表示器221と、第2特別図柄表示器222と、が接続」されていれば、制御可能であることは明らかである。
よって、刊行物2発明の「第1特別図柄表示器221と、第2特別図柄表示器222と、が接続されている遊技制御部200」は、本願発明の「図柄表示手段の表示制御を実行可能な第一の制御手段」に相当する。

(g)刊行物2発明の「演出制御部300」は、本願発明の「第二の制御手段」に相当する。
よって、刊行物2発明の「画像表示部114に表示する画像およびスピーカ156から出力する音響を制御する演出制御部300」は、本願発明の「装飾図柄表示手段の表示制御を実行可能な第二の制御手段」に相当する。

(h)刊行物2発明の「演出画像を表示する画像表示部114」は、本願発明の「表示手段」に相当する。
また、刊行物2発明の「パチンコ遊技機100」は、本願発明の「遊技台」に相当する。

(i)刊行物2発明の「遊技制御部200」に、「第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄保留表示器219とが接続」されていれば、制御可能であることは明らかである。
よって、刊行物2発明の「遊技制御部200には、第1特別図柄保留表示器218と、第2特別図柄保留表示器219とが接続され」る点は、本願発明の「第一の制御手段は、第一の保留表示手段を制御可能な手段である点に相当する。

(j)刊行物2発明の「擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示」は、本願発明の「第二の保留表示」に相当する。
よって、刊行物2発明の「演出制御部300は、擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示を行うものであ」る点は、本願発明の「第二の制御手段は、前記第二の保留表示の表示制御を実行可能な手段であ」る点に相当する。

(k)刊行物2発明の「本保留数表示361と、本保留数表示362の保留数表示」は、本願発明の「第三の保留表示」に相当する。
よって、刊行物2発明の「演出制御部300は、本保留数表示361と、本保留数表示362の保留数表示を行うものであ」る点は、本願発明の「第二の制御手段は、第三の保留表示の表示制御を実行可能な手段であ」る点に相当する。

(l)刊行物2発明の「画像表示部114の中央下部」は、本願発明の「表示手段によって構成された手段」に相当する。
よって、刊行物2発明の「擬似保留数表示351と擬似保留数表示352は、画像表示部114の中央下部に表示されるものであ」る点は、本願発明の「第二の保留表示手段は、表示手段によって構成された手段であ」る点に相当する。

(m)刊行物2発明の「保留表示の図形」は、本願発明の「保留アイコン」に相当する。
よって、刊行物2発明の「画像表示部114は、保留表示の図形を表示してもよ」い点は、本願発明の「表示手段は、保留アイコンを表示可能な手段であ」る点に相当する。

(n)刊行物2発明の「擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示は、保留表示の図形の表示であ」る点は、本願発明の「第二の保留表示とは、保留アイコンによる表示のことであ」る点に相当する。

(o)刊行物2発明の「抽選結果の予告演出」は、本願発明の「先読み予告」に相当する。
よって、刊行物2発明の「保留表示の図形は、抽選結果の予告演出を行う場合があ」る点は、本願発明の「保留アイコンとは、先読み予告として表示される場合があるアイコンであ」る点に相当する。

(s)刊行物2発明においては、「保留数の増減に応じて保留表示の図柄態様を変化させる」から、保留数が減少したことを演出する表示を表示可能であるといえる。また、保留数の減少に応じた保留表示の図柄態様の変化として、保留表示の図形(保留アイコン)を移動表示させることは遊技機の表示として自明な事項である。
よって、刊行物2発明の「擬似保留数表示351と、擬似保留数表示352の保留数表示は、保留数の増減に応じて保留表示の図柄態様の変化させるものであ」る点は、本願発明の「第二の保留表示手段は、前記保留アイコンの移動表示によって保留数が減少したことを演出する表示を表示可能な手段であ」る点に相当する。

(t)刊行物2発明において、「擬似保留数表示351内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示361の数字を1カウントアップさせ」ることは、擬似保留数表示351(第二の保留表示手段)と本保留数表示361(第三の保留表示手段)とが同じ数であることを意味するものである。また、擬似保留数表示352(第二の保留表示手段)と本保留数表示362(第三の保留表示手段)についても同様である。
よって、刊行物2発明の「擬似保留数表示351、352の各々と本保留数表示361、362の各々とが関連していることを示す態様で変化させ、保留数U1が1増えると、擬似保留数表示351内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示361の数字を1カウントアップさせ、保留数U2が1増えると、擬似保留数表示352内の保留表示を1増加させ、これと同期して、本保留数表示362の数字を1カウントアップさせ」る点は、本願発明の「第二の保留表示手段によって報知される保留数は、第三の保留表示手段によって報知される保留数と同じ数であ」る点に相当する。

(u)刊行物2発明において、「保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに擬似保留数表示351に対応する保留数の値を1加算」することは、
第1特別図柄保留表示器218(第一の保留表示手段)の保留数が変化したときに、擬似保留数表示351(第二の保留表示手段)の保留数も変化することを意味するものである。
よって、刊行物2発明の「保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに擬似保留数表示351に対応する保留数の値を1加算し、保留数U2の増加が第2特別図柄保留表示器219に通知されるとともに擬似保留数表示352に対応する保留数の値を1加算」する点は、本願発明の「第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、第二の保留表示手段によって報知される保留数も変化」する点に相当する。

(v)刊行物2発明において「保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに本保留数表示361に対応する保留数の値を1加算」することは、第1特別図柄保留表示器218(第一の保留表示手段)の保留数が変化したときに本保留数表示361(第三の保留表示手段)の保留数も変化することを意味するものである。
よって、刊行物2発明の「保留数U1の増加が第1特別図柄保留表示器218に通知されるとともに本保留数表示361に対応する保留数の値を1加算し、保留数U2の増加が第2特別図柄保留表示器219に通知されるとともに本保留数表示362に対応する保留数の値を1加算する」点は、本願発明の「第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、第三の保留表示手段によって報知される保留数も変化」する点に相当する。

したがって、本願発明と刊行物2発明とは、
「A 図柄変動表示を表示可能な図柄表示手段と、
B 装飾図柄変動表示を表示可能な装飾図柄表示手段と、
C 第一の保留表示手段と、
D 第二の保留表示手段と、
E 第三の保留表示手段と、
F 前記図柄表示手段の表示制御を実行可能な第一の制御手段と、
G 前記装飾図柄表示手段の表示制御を実行可能な第二の制御手段と、
H 表示手段と、
を備えた遊技台であって、
I 前記第一の制御手段は、前記第一の保留表示手段を制御可能な手段であり、
J 前記第二の制御手段は、前記第二の保留表示の表示制御を実行可能な手段であり、
K 前記第二の制御手段は、前記第三の保留表示の表示制御を実行可能な手段であり、
L 前記第二の保留表示手段は、前記表示手段によって構成された手段であり、
M 前記表示手段は、保留アイコンを表示可能な手段であり、
N 前記第二の保留表示とは、前記保留アイコンによる表示のことであり、
O 前記保留アイコンとは、先読み予告として表示される場合があるアイコンであり、
S 前記第二の保留表示手段は、前記保留アイコンの移動表示によって保留数が減少したことを演出する表示を表示可能な手段であり、
T 前記第二の保留表示手段によって報知される保留数は、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数と同じ数であり、
U 前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第二の保留表示手段によって報知される保留数も変化し、
V 前記第一の保留表示手段によって報知される保留数が変化した場合に、前記第三の保留表示手段によって報知される保留数も変化する、
ことを特徴とする遊技台。」
である点で一致し、以下の点で相違する。

[相違点1’]
本願発明は、「前記表示手段は、変動アイコン表示領域に変動アイコンを表示可能な手段であり」、「前記変動アイコンとは、実行中の前記図柄変動表示における予告として表示される場合があるアイコンであり」、「前記保留アイコンは、前記変動アイコン表示領域に移動されて前記変動アイコンとして表示される場合があるアイコンであ」るのに対し、刊行物2発明は、そのような構成を有していない点(構成P、Q、R)。

4 判断
上記相違点1’について検討する。
遊技機の技術分野において、変動アイコン表示領域に、実行中の図柄変動表示における予告として表示される変動アイコンを表示するとともに、保留アイコンが変動アイコン表示領域に移動されて変動アイコンとして表示される遊技機は、本願の出願遡及日前において、周知の技術である(例えば、特開2004-321626号公報の段落【0022】?【0025】、【0149】?【0153】、図23の始動記憶表示エリア18から変動中始動記憶表示エリア19に始動入賞表示がシフトして表示され、変動中始動記憶表示エリア19に「星」の特別始動入賞表示が表示されているときは、特別演出パターンに基づく特別な演出態様が実行される可能性が高い点、特開2004-329226号公報の段落【0071】?【0087】、図12の所定時間が経過すると特別図柄始動記憶表示46の表示が、現在の可変表示に対応する可変表示中始動記憶表示部47として表示され、可変表示中始動記憶表示部47において「手榴弾予告」の態様で表示されると大当りとなる点、刊行物1発明の構成p、q、rを参照のこと。)。
よって、刊行物2発明に周知の技術を適用し、上記相違点1’に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。

そして、上記相違点1’によって本願発明が奏する効果は、当業者が刊行物1発明及び周知の技術から予測し得る程度のものであって、格別のものではない。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-15 
結審通知日 2018-05-22 
審決日 2018-06-04 
出願番号 特願2016-81(P2016-81)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 561- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼木 尚哉  
特許庁審判長 瀬津 太朗
特許庁審判官 櫻井 茂樹
平城 俊雅
発明の名称 遊技台  
代理人 横田 一樹  
代理人 佐原 雅史  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ