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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R
管理番号 1342533
審判番号 不服2017-18620  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-12-14 
確定日 2018-08-07 
事件の表示 特願2015-141542「開閉装置、ケーブル特性試験システム及びケーブル特性試験方法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月23日出願公開、特開2016- 90565、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成27年7月15日(優先権主張平成26年10月31日)の出願であって、平成29年2月28日付けで拒絶理由通知がされ、同年4月21日付けで手続補正がされ、同年9月21日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年12月14日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定(平成29年9月21日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。

平成29年4月21日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に係る発明は、以下の引用文献1-4に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開昭56-001368号公報
2.実願昭52-082816号(実開昭54-008632号)のマイクロフィルム
3.実願昭48-034776号(実開昭49-136129号)のマイクロフィルム
4.特開2000-138091号公報

第3 本願発明
本願請求項1-10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明10」という。)は、平成29年12月14日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1-10に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1-3及び10は、それぞれ、以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
ケーブル特性の測定に使用される開閉装置であって、
測定対象ケーブル内の複数の配線の一端を接続するための複数の接続用端子と、
前記接続用端子間を短絡又は開放するスイッチと、
前記開閉装置の内部から電力を供給され、前記スイッチを周期的にオンオフ制御する制御部と、
を備え、
前記制御部がタイマ回路を備え、
前記オンオフ制御の周期は前記タイマ回路によって決定される、
開閉装置。」
「【請求項2】
ケーブル特性の測定に使用される開閉装置であって、
測定対象ケーブル内の複数の配線の一端を接続するための複数の接続用端子と、
前記接続用端子間を短絡又は開放するスイッチと、
前記開閉装置の内部から電力を供給され、前記スイッチを周期的にオンオフ制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、発振回路及びカウンタ回路を備え、
前記発振回路は前記カウンタ回路にクロック信号を供給し、
前記カウンタ回路は、前記クロック信号を分周した開閉信号を生成し、
前記制御部は、前記カウンタ回路の出力信号に基づいて前記オンオフ制御する、
開閉装置。」
「【請求項3】
ケーブル特性の測定に使用される開閉装置であって、
測定対象ケーブル内の複数の配線の一端を接続するための複数の接続用端子と、
前記接続用端子間を短絡又は開放するスイッチと、
前記開閉装置の内部から電力を供給され、前記スイッチを周期的にオンオフ制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、プロセッサを備え、
前記プロセッサの出力信号のオン時間とオフ時間とは前記ケーブル特性の測定項目に応じた時間に設定可能であり、
前記制御部は、前記プロセッサの出力信号に基づいて前記オンオフ制御する、
開閉装置。」
「【請求項10】
評価対象のケーブル内の複数の配線の一端を、開閉装置の内部から電力を供給されるタイマ回路を備える前記開閉装置の複数の接続用端子にそれぞれ接続し、
前記複数の配線の他端を、計測装置にそれぞれ接続し、
前記開閉装置の前記タイマ回路によって決定されるオンオフ制御の周期によって周期的に前記接続用端子間を短絡又は開放させ、
前記開閉装置が前記接続用端子間を短絡したときに、前記計測装置により第1の計測を行い、
前記開閉装置が前記接続用端子間を開放したときに、前記計測装置により第2の計測を行う、
ケーブル特性試験方法。」

なお、本願発明4-9の概要は、以下のとおりである。
本願発明4-7は、本願発明1-3を減縮する発明である。
本願発明8-9は、本願発明1-7の開閉装置を備えるケーブル特性試験システムの発明である。

第4 引用文献、引用発明等
1 引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図とともに次の事項が記載されている(下線は、当審による。)。

ア 「この発明は、直流給電をしなくても通信可能な通信系におけるペアケーブルの近端側(局側からみて)と遠端側の間における障害発生の有無を検出する障害検出方式に関するものである。」(第1頁左欄第19行-右欄第2行)
イ 「この発明の目的は、回線保守者がケーブル遠端側まで出向くことを要せず、また敷設当時の記録を参照することを要しないペアケーブル障害検出方式を提供することにある。」(第2頁右上欄第3-7行)
ウ 「この発明の構成の要点は、直流給電を要せずして通信可能な通信系のペアケーブルにおいて、その近端側に直流電源を印加する手段と、該直流電源の印加により、遠端側においてケーブル間を接続しその断続を繰り返すスイッチング手段と、該断続により発生する脈動信号を近端側において検出する手段と、近端側から印加した直流電源が遠端側を越えて該遠端側につながる機器へ印加されないよう遠端側において回路を直流的に遮断する手段とを設けた点にある。」(第2頁右上欄第8-17行)
エ 「第3図はこの発明の一実施例を示す概要図である。同図において、6は継電器の励磁巻線であり、6aはその接点であり、コンデンサ8は、ペアケーブルの遠端側を越えて該遠端側へつながる機器(例えば電話機等)へ直流が印加されて該機器が破損しないように、回路を直流的に遮断するためのものである。7は脈動信号の検出器である。
次に動作を説明する。第3図において、近端側に直流電源3を印加し、これにより遠端側にある継電器の励磁巻線6を、その接点6aを介して励磁する。なおコンデンサ8が、遠端側を越えて該遠端側につながる機器(図示せず)へ直流が流入しないよう回路を直流的に遮断している。これは、このペアケーブル1が、直流給電をしなくても通信可能な通信系に属するものであるため、常時は直流が印加されないようになっている。そこで障害検知のため直流を印加したとき、遠端側につながる機器が直流印加により破損するのを防止するためである。
さて、励磁巻線6は励磁されると接点6aを開く。すると励磁巻線6は励磁を解かれるので接点6aが閉じる。そこでまた励磁巻線6が励磁される。このようにして、近端側に直流電源3が印加されている限り、接点6aは開閉を繰り返し、ケーブル1のループ回路に直流の脈動信号を発生する。この脈動信号は抵抗Rを介して検出器7により検出される。検出器7がこのように脈動信号を検出しているときは、ペアケーブル1に障害無しと判定できる。ペアケーブル1において、短絡5′(または断線)が起きていれば、検出器7は勿論脈動信号を検出できないので障害発生を知ることができる。」(第2頁右上欄第20行-右下欄第11行)

上記によれば、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「直流給電を要せずして通信可能な通信系のペアケーブルにおいて、その近端側に直流電源を印加する手段と、該直流電源の印加により、遠端側においてケーブル間を接続しその断続を繰り返すスイッチング手段と、該断続により発生する脈動信号を近端側において検出する手段とを設け、この脈動信号は抵抗Rを介して検出器7により検出され、検出器7が脈動信号を検出しているときは、ペアケーブル1に障害無しと判定でき、ペアケーブルに短絡または断線が起きていれば、脈動信号を検出できないので障害発生を知ることができるペアケーブル障害検出方式。」

2 引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、明細書第2頁第3-17行及び第1図の記載からみて、タイマー(7)を介して商用電源に接続されたリレー(8)により周期的に開閉される第1タイマースイツチ(2)及び第2タイマースイツチ(5)を介して蓄電池の充電及び放電を制御するという技術事項が記載されていると認められる。

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献3には、明細書第3頁第9行-第4頁第1行及び第1図、第2図の記載からみて、発振回路(12)からある周期をもったパルスがカウンター回路(13)へ供給され、カウンター回路(13)の出力がデコーダ回路(14)へ供給され、デコーダ回路(14)の出力でリレー(8-1)(8-2)…(8-n)を動作させ、カメラを自動的に順次切り換えるという技術事項が記載されていると認められる。

4 引用文献4について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献4には、【0020】- 【0022】及び図1の記載からみて、CPU27から出力される制御信号により電磁リレー33をオン・オフして、PTCヒータへの交流の供給及び停止を行うという技術事項が記載されていると認められる。

第5 対比・判断
1 本願発明10について
(1)対比
本願発明10と引用発明を対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明における「ペアケーブル」は、「短絡または断線が起きて」いるか否かを知る対象であるから、本願発明10における「評価対象のケーブル」に相当する。

イ 引用発明における「ペアケーブル」は、一対の導線から構成されるものであることは明らかであって、引用発明における「ペアケーブル」の一対の導線が、本願発明10における「評価対象のケーブル内の複数の配線」に相当するといえる。

ウ 上記「ア」、「イ」を踏まえれば、引用発明における「ペアケーブル」の「遠端側」が、本願発明10における「評価対象のケーブル内の複数の配線の一端」に相当する。

エ 引用発明における「近端側」の「直流電源」の「印加により、遠端側においてケーブル間を接続しその断続を繰り返すスイッチング手段」と、本願発明10における「開閉装置の内部から電力を供給されるタイマ回路を備える前記開閉装置」とは、「開閉装置」の点で共通する。

オ 上記「ア」-「エ」を踏まえれば、引用発明における「遠端側においてケーブル間を接続しその断続を繰り返すスイッチング手段」を「設け」ることと、本願発明10における「評価対象のケーブル内の複数の配線の一端を、開閉装置の内部から電力を供給されるタイマ回路を備える前記開閉装置の複数の接続用端子にそれぞれ接続」することとは、「評価対象のケーブル内の複数の配線の一端を、開閉装置の複数の接続用端子にそれぞれ接続」する点で共通するといえる。

カ 引用発明では、「脈動信号は抵抗Rを介して検出器7により検出され」ているから、「検出器7」が「抵抗R」の両端の電圧を計測していることは明らかである。
よって、引用発明における「直流電源を印加する手段」と、「脈動信号を」「抵抗Rを介して検出器7により」「検出する手段」とが、本願発明10における「計測装置」に相当する。

キ 上記「イ」、「カ」を踏まえると、引用発明において、「ペアケーブル」の「近端側」に、「直流電源を印加する手段」と「該断続により発生する脈動信号を」「抵抗Rを介して検出器7により」「検出する手段」とを設けることが、本願発明10における「前記複数の配線の他端を、計測装置にそれぞれ接続」することに相当する。

ク 上記「エ」を踏まえると、引用発明における「スイッチング手段」により「遠端側においてケーブル間を接続しその断続を繰り返す」ことと、本願発明10における「前記開閉装置の前記タイマ回路によって決定されるオンオフ制御の周期によって周期的に前記接続用端子間を短絡又は開放させ」ることとは、「前記開閉装置によって周期的に前記接続用端子間を短絡又は開放させ」る点で共通する。

ケ 引用発明において、「ペアケーブル」の「近端側に直流電源を印加」し、「遠端側」に設けられた「断続を繰り返すスイッチング手段」による「断続により発生する脈動信号」を、「近端側において」、「抵抗Rを介して検出器7により検出」することと、本願発明10における「前記開閉装置が前記接続用端子間を短絡したときに、前記計測装置により第1の計測を行い、前記開閉装置が前記接続用端子間を開放したときに、前記計測装置により第2の計測を行う」こととは、「前記開閉装置による前記接続用端子間の短絡、開放に伴う変化について、前記計測装置により計測を行う」点で共通するといえる。

コ 引用発明における「ペアケーブル障害検出方式」は、「ペアケーブルに短絡または断線が起きてい」るか否かを知るための「検出方式」であって、しかも該「方式」は、技術的な観点からは「方法」としてもとらえることができるから、本願発明10における「ケーブル特性試験方法」に相当するといえる。

したがって、本願発明10と引用発明とは、次の一致点、相違点を有する。
(一致点)
「評価対象のケーブル内の複数の配線の一端を、開閉装置の複数の接続用端子にそれぞれ接続し、
前記複数の配線の他端を、計測装置にそれぞれ接続し、
前記開閉装置によって周期的に前記接続用端子間を短絡又は開放させ、
前記開閉装置による前記接続用端子間の短絡、開放に伴う変化について、前記計測装置により計測を行う、
ケーブル特性試験方法。」

(相違点1)
本願発明10における「開閉装置」は、「開閉装置の内部から電力を供給されるタイマ回路を備え」、「前記タイマ回路によって決定されるオンオフ制御の周期によって周期的に前記接続用端子間を短絡又は開放させ」るのに対し、引用発明における「スイッチング手段」は、 「近端側」における「直流電源の印加により、遠端側においてケーブル間を接続しその断続を繰り返す」ものである点。

(相違点2)
本願発明10では、「前記開閉装置が前記接続用端子間を短絡したときに、前記計測装置により第1の計測を行い、前記開閉装置が前記接続用端子間を開放したときに、前記計測装置により第2の計測を行う」のに対し、引用発明では、「ペアケーブル」の「遠端側」に設けられた「断続を繰り返すスイッチング手段」による「断続により発生する脈動信号」を、「近端側において」、「抵抗Rを介して検出器7により検出」している点。

(2)相違点についての判断
上記相違点1について検討する。
ア 引用発明の「スイッチング手段」は、「(ペアケーブルの)近端側に直流電源を印加する手段」を設け、「該直流電源の印加により」、「遠端側においてケーブル間を接続しその断続を繰り返す」ものとされているから、ペアケーブルの近端側(外部)から電圧が印加されてはじめて動作するものである。
よって、引用発明における「スイッチング手段」を、「内部から電力を供給され」て断続を繰り返すものとすることは想定されていないことである。
したがって、引用発明において「スイッチング手段」を、上記相違点1に係る本願発明10の発明特定事項のように、「内部から電力を供給され」て断続を繰り返す(つまり、「周期的に」「オンオフ制御」される)ものとすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとはいえない。

イ また、引用文献2-4に記載される技術事項も、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明10の発明特定事項とすることを示唆するものとはいえない。

ウ したがって、上記相違点2について検討するまでもなく、本願発明10は、引用文献1-4に基づいて当業者が容易に発明できたものとはいえない。

2 本願発明1-3について
本願発明1-3は、「開閉装置」の発明であって、「開閉装置の内部から電力を供給され、前記スイッチを周期的にオンオフ制御する制御部」を備えるものである。
そして、引用発明の「スイッチング手段」は、上記1(2)のとおり、「内部から電力を供給され」て断続を繰り返す(つまり、「周期的に」「オンオフ制御」される)ようにすることが想定されていないものでないから、本願発明1-3は、本願発明10について上記1(2)で指摘したのと同様の理由により、引用文献1-4に基づいて当業者が容易に発明できたものということはできない。

3 本願発明4-7について
本願発明4-7は、本願発明1-3を減縮する発明であるから、本願発明1-3と同様の理由により、引用文献1-4に基づいて当業者が容易に発明できたものということはできない。

4 本願発明8-9について
本願発明8-9は、本願発明1-7の開閉装置を備えるケーブル特性試験システムの発明であるから、本願発明1-7と同様の理由により、引用文献1-4に基づいて当業者が容易に発明できたものということはできない。

第6 原査定について
本願発明1-9は、審判請求時の補正により、「開閉装置の内部から電力を供給され、前記スイッチを周期的にオンオフ制御する制御部」を有するものとなっており、上記「第5」「2」-「4」で述べたとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
同様に、本願発明10は、審判請求時の補正により、「開閉装置の内部から電力を供給されるタイマ回路を備え」、「前記タイマ回路によって決定されるオンオフ制御の周期によって周期的に前記接続用端子間を短絡又は開放させ」るものとなっており、上記「第5」「1」で述べたとおり、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。

第7 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-07-24 
出願番号 特願2015-141542(P2015-141542)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (G01R)
最終処分 成立  
前審関与審査官 山崎 仁之  
特許庁審判長 中塚 直樹
特許庁審判官 清水 稔
中村 説志
発明の名称 開閉装置、ケーブル特性試験システム及びケーブル特性試験方法  
代理人 木村 満  
代理人 美恵 英樹  
代理人 木村 満  
代理人 八島 耕司  
代理人 美恵 英樹  
代理人 八島 耕司  
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