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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
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管理番号 | 1342711 |
審判番号 | 不服2017-6624 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-05-09 |
確定日 | 2018-08-01 |
事件の表示 | 特願2015-153561「スマートフォン」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月25日出願公開、特開2016- 62597〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成27年7月3日(パリ条約による優先権主張平成26年9月19日、大韓民国、平成27年4月30日、大韓民国)に出願した特願2015-134422号の一部を平成27年8月3日に新たな出願としたものであって、平成28年10月13日に手続補正がなされ、平成28年10月26日付けで拒絶理由が通知され、平成28年12月27日に意見書が提出されたが、平成29年1月5日付けで拒絶査定がなされ、これに対して平成29年5月9日に拒絶査定不服審判が請求され、その審判の請求と同時に手続補正がなされたものである。 第2 平成29年5月9日にされた手続補正についての補正却下の決定 [補正却下の結論] 平成29年5月9日にされた手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正について(補正の内容) (1)本件補正後の特許請求の範囲の記載 本件補正により、特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおり補正された。(下線は補正箇所である。) 「カバー層と、 静電容量式タッチセンサと、 前記カバー層の下部に位置するディスプレイパネルと、 前記ディスプレイパネルの下部に位置する圧力電極と、 前記圧力電極の下部に位置する遮蔽用部材と、 前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号をデジタル信号に変換する第1コンバータと、を含み、 前記タッチセンサに駆動信号が印加され、 前記タッチセンサから出力される感知信号が積分器又は増幅器を経た後、第2コンバータを介してデジタル信号に変換されてタッチ位置を検出することができ、 前記第1コンバータを介して変換されたデジタル信号からタッチ圧力の大きさを検出することができ、 前記圧力電極は、第1電極及び第2電極を含み、 前記静電容量は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離よって変わる、 スマートフォン。」 (2)本件補正前の特許請求の範囲 本件補正前の、平成28年10月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1の記載は次のとおりである。 「カバー層と、 タッチセンサと、 前記カバー層の下部に位置するディスプレイパネルと、 前記ディスプレイパネルの下部に位置する圧力電極と、 前記圧力電極の下部に位置する遮蔽用部材と、 前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号をデジタル信号に変換する第1コンバータと、を含み、 前記タッチセンサに駆動信号が印加され、 前記タッチセンサから出力される感知信号が積分器又は増幅器を経た後、第2コンバータを介してデジタル信号に変換されてタッチ位置を検出することができ、 前記第1コンバータを介して変換されたデジタル信号からタッチ圧力の大きさを検出することができ、 前記圧力電極は、第1電極及び第2電極を含み、 前記静電容量は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離よって変わる、 スマートフォン。」 2 補正の適否 本件補正は、上記のとおり、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「タッチセンサ」について、「静電容量式タッチセンサ」であるとの限定を付加することを含むものであって、補正前の請求項1に記載された発明と補正後の請求項1に記載された発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許法第17条の2第5項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。 また、特許法第17条の2第3項、第4項に違反するところはない。 そこで、本件補正後の前記請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。 (1)本件補正発明 本件補正発明は、上記1(1)に記載した、特許請求の範囲の請求項1の記載により特定されるとおりのものである。 なお、請求項1の末尾付近において、「…距離よって変わる…」とあるのは、「…距離によって変わる…」の誤記と認めて、そのように認定した。 (2)引用文献1の記載事項 原査定の拒絶の理由で引用された、本願の優先権主張の日前に、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、特開2011-86191号公報(以下「引用文献1」という。)には、図面と共に、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) ア 段落【0019】-【0028】([電子機器の構成]) 「【0019】 [電子機器の構成] 図1は、本発明の実施形態に係る電子機器1を示す斜視図である。図2は、図1のA-A線から見た電子機器1を示す概略断面図である。図3は、図1のB-B線から見た電子機器1を示す概略断面図である。図4は、電子機器1を示す分解斜視図である。 【0020】 これらの図に示すように、電子機器1は、タッチパネル部50と、表示パネル部30と、感圧センサ部60と、回路基板70と、これらを収容する筐体15とを有する。 【0021】 タッチパネル部50は、2枚の透明基板(後で説明するX電極基板150及びY電極基板250)が重ね合わせられてなり、表面にユーザの指等による入力を受け付ける矩形の入力操作面51を有する。タッチパネル部50は、静電容量方式による、入力操作面51のXY座標を検出する入力デバイスである。タッチパネル部50は、局所的に静電容量が変化した部位を検出し、これによりタッチパネル部50の入力操作面51のユーザの指が触れた位置や、この位置の変化を検出する。なお、タッチパネル部50の詳細な構成については後で説明する。 【0022】 表示パネル部30は、タッチパネル部50の入力操作面51と同様の矩形の表示面31を有する。表示パネル部30の表示面31は、タッチパネル部50の入力操作面51に表裏対向する面に重ね合わせられ、これらの面は透明な接着層(図示せず。)により接着される。この接着層は、光の取り出し効率や輝度等の観点から、空気より屈折率が高いものを用いるとよい。あるいは、表示パネル部30の表示面31と、タッチパネル部50の入力操作面51に表裏対向する面とは、接着層を介さずに重ね合わせられてもよい。表示パネル部30の表示面31は、透明なタッチパネル部50を通してユーザから視認可能である。表示パネル部30は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、OELD(Organic Electroluminescent Display)等からなる。表示面31にはキーボード等のGUI(Graphic User Interface)要素や画像等のコンテンツが表示される。表示パネル部30には、表示面31に対して光を照射するバックライト(図示せず。)が設けられる。上記互いに重ね合わせられた表示パネル部30及びタッチパネル部50により、パネルモジュール35が構成される。 【0023】 感圧センサ部60は、例えば長尺矩形状(直線形状)であり、矩形の表示面31をもつ表示パネル部30の対向する2辺の近傍にそれぞれの辺に沿って1つずつ設けられる。なお、以下の説明において、2つの感圧センサ部60が沿って配置される表示パネル部30の辺の方向を「Y軸方向」と呼ぶこととする。表示パネル部30とタッチパネル部50とが重ね合わせられる方向を「Z軸方向」と呼ぶこととする。これらY軸及びZ軸に対して直交する方向を「X軸方向」と呼ぶこととする。 【0024】 各感圧センサ部60は、電極61b(第1の電極)をもつ可動電極部61と、弾性部62と、電極63b(第2の電極)をもつ固定電極部63とを有する。感圧センサ部60タッチパネル部50の入力操作面51に入力される押圧力を可動電極部61の電極61b及び固定電極部63の電極63b間の静電容量の変化として検出可能である。可動電極部61は、表示パネル部30の表示面31に表裏対向する面に接触して配置される。固定電極部63は、可動電極部61とともにZ軸方向にて弾性部62を挟むように配置される。なお、感圧センサ部60の詳細な構成については後で説明する。 【0025】 筐体15は、第1の筐体部10と、第2の筐体部20とを有する。第1の筐体部10は、例えばマグネシウムからなり、主板部11と、側板部12とを有する。主板部11(第1の係合部)は、パネルモジュール35より大きい外周形状をもつ矩形環状の平板部材である。主板部11の内側に設けられた開口は、タッチパネル部50の入力操作面51を露出するための窓部13を構成する。窓部13は、パネルモジュール35の外周形状より小さい矩形状である。側板部12は、窓部13の周縁部に相当する矩形の主板部11の4辺からZ軸方向に一体に突出する枠状の部材である。 【0026】 第2の筐体部20は、第1の部材21と、第2の部材41とを有する。第1の部材21は、例えばマグネシウムからなり、支持部としての主板部22と、2つの側板部23と、2つの底部24とを有する。主板部22は、パネルモジュール35の面と略等しい形状の平面をもつ略矩形の平板である。2つの側板部23は、略矩形の主板部22のX軸に沿った2辺からそれぞれZ軸方向に突出し、互いに対向する。2つの底部24は、2つの側板部23のZ軸方向での先端部からそれぞれY軸方向に主板部22から遠ざかるように突出し、互いに同一平面上に配置される位置関係となる。第2の部材41は、例えばマグネシウムからなり、底板部42と、側板部43とを有する。底板部42は、第1の筐体部10の主板部11と略等しい外周形状の平面をもつ矩形の平板である。側板部43は、矩形の底板部42の4辺からZ軸方向に一体に突出する枠状の部材である。 【0027】 第1の筐体部10と第2の筐体部20とは次のように組み合わせられて、内部にパネルモジュール35及び感圧センサ部60等を収容する。第2の筐体部20において、第2の部材41の底板部42に第1の部材21が配置される。この第1の部材21は、底部24が第2の部材41の底板部42に当接し、側板部23が第2の部材41の側板部43に対向するように配置される。第1の部材21の主板部22には感圧センサ部60が配置される。詳細には、主板部22に感圧センサ部60の固定電極部63が配置される。感圧センサ部60の上には表示パネル部30が配置され、表示パネル部30の上にはタッチパネル部50が配置される。タッチパネル部50の入力操作面51上に第1の筐体部10が配置されて、第1の筐体部10の環状の主板部11(第1の係合部)にタッチパネル部50の入力操作面51の4辺に対応する環状の周縁部52(第2の係合部)が係合する。これにより、タッチパネル部50の入力操作面51が窓部13から露出し、ユーザからの入力操作を受けることが可能となる。また、表示パネル部30の表示面31が透明なタッチパネル部50を通して窓部13から露出し、ユーザは表示面31に表示されるユーザインタフェース要素等を視認することが可能となる。第1の筐体部10の側板部12の先端部は、第2の筐体部20の第2の部材41の側板部43の先端部に当接する。第1の筐体部10と第2の筐体部20とは、このような位置関係で組み合わされ、図示しない螺子孔を通して螺子止めされて互いに固定される。 【0028】 回路基板70には、表示パネル部30、タッチパネル部50及び感圧センサ部60等を制御する種々の電子部品等が実装され。回路基板70は、第2の筐体部20の第1の部材21の主板部22に装着されて、この主板部22と第2の部材41の底板部42とにより構成される空間に収容される。」 イ 段落【0032】([タッチパネル部]) 「【0032】 このように、タッチパネル部50は、直交する2軸の方向に検出用の電極パターンが設けられた構成となっている。X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252それぞれの検出出力は、回路基板70上に設けられた演算回路に入力され、2軸の空間での位置(XY座標)が特定される。各X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252には所定電圧がかけられ、各X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252に電荷が蓄積される。指による接触又は近接によりその電荷が変化し、X透明電極とY透明電極との間の静電容量が変化する。この変化を検出することによってXY座標を特定し、指の位置を検出する。」 ウ 段落【0040】-【0041】([感圧センサ部]) 「【0040】 また、可動電極部61及び固定電極部63の電極61b,63bは、パネルモジュール35及び回路基板70等からのノイズの影響を受ける場合がある。このため、パネルモジュール35及び回路基板70等からのノイズを以下のようにシールドするとよい。 【0041】 図7は、1つの感圧センサ部60を示す概略断面図である。 例えば、可動電極部61の電極61bの近傍にGND電極61c(第3の電極)を設け、GNC電極61cをグラウンド電位に接続することで、パネルモジュール35からのノイズをシールドすることができる。回路基板70を実装する第2の筐体部20を金属で作製し、第2の筐体部20をグラウンド電位に接続することで回路基板70からのノイズをシールドすることができる。」 エ 段落【0043】-【0049】([感圧センサ部の動作原理]) 「【0043】 [感圧センサ部の動作原理] 次に、感圧センサ部60の動作原理について説明する。 図9は、電子機器1に入力操作が行われた様子を示す模式図である。 【0044】 タッチパネル部50の入力操作面51がユーザによるZ軸方向の押圧力成分を受けると、この押圧力が感圧センサ部60に伝わり、弾性部62がZ軸方向に圧縮される。可動電極部61と固定電極部63との間の静電容量は、Z軸方向の押圧力に応じた弾性部62の圧縮量による可動電極部61の電極61bと固定電極部63の電極63bとの間の距離に応じて変化する。 【0045】 互いに対向する電極61b,63bの対向面積をSとし、この電極61b,63b間の距離に相当する弾性部62の厚みをd、弾性部62の誘電率をεとすると、対向する電極61b,63bの静電容量Cは以下の式(1)により求められる。なお、以下「厚み」とは、Z軸方向の厚みを示すものとする。 【0046】 C=ε・S/d…(1) 【0047】 タッチパネル部50の入力操作面51がユーザによるZ軸方向の押圧力を受けると、この押圧力が感圧センサ部60に伝わり、弾性部62の厚みdは押圧力に応じて減少する。弾性部62の厚みdが減少すると、静電容量Cが増加する。このように、弾性部62の厚みdの変化により生じる電極61b,63b間の静電容量の変化を利用して感圧機能が実現される。 【0048】 電極63bには矩形のパルスが加えられ、電極61bから得られる信号が回路基板70に設けられた演算回路(図示せず。)に入力され、電極61b,63b間の静電容量の変化が検出される。この電極61b,63b間の静電容量の変化に基き、入力操作面51への押圧による入力決定操作がなされたことが判定される。 【0049】 感圧センサ部60の静電容量の変化に基く入力操作面51への押圧力は、判定ユニット(図示せず。)により判定される。この判定ユニットは、電子機器1の制御部の一部として構成すればよい。判定ユニットは、各感圧センサ部60で検出された静電容量の変化に基づいて、上記押圧力を判定する。判定ユニットは、各感圧センサ部60の静電容量の変化の合算値に基づいて、上記押圧力を判定してもよい。これにより、入力操作面51への押圧位置に依存しない高精度な押圧力検出が可能となる。この場合、判定ユニットは、例えば、上記静電容量の変化の合算値から押圧力を判定してもよいし、上記合算値を感圧センサの数で除算することで得られる平均値から押圧力を判定してもよい。」 オ 段落【0087】-【0088】 「【0087】 本実施形態によれば、タッチパネル部50は、入力操作面51に対するユーザの指等の接触又は近接による静電容量の変化を検出することによってXY座標を特定する。また、感圧センサ部60は、入力操作面51に入力された押圧力を静電容量の変化として検出する。ここで、タッチパネル部50によるXY座標の検出と感圧センサ部60によるZ軸方向の押圧力の検出との双方により入力を判定すれば、単にユーザの指等が入力操作面51に触れているだけでZ軸方向への押圧がなされない状態では入力決定が判定されない。これにより、ユーザによる電子機器1への誤入力を減少させることができる。さらに、ユーザの指等を入力操作面51に触れた状態で入力操作面51上をXY平面に沿って移動させることができるので操作性がよい。 【0088】 この電子機器1は、例えば携帯端末などに使用できる。表示パネル30にパーソナルコンピュータのキーボードの如くテンキーを表示させ、入力操作面51上でユーザの指により入力をが行われる。このとき電子機器1に、上述の操作特性、すなわちタッチパネル部50により入力操作面51に対するZ軸方向の押圧力の入力座標(XY座標)が検出される操作特性を持たせることができる。この場合、指を入力操作面51上でXY方向に移動させてもZ軸方向の押圧力を加えなければ入力決定と判定されない。これにより、指を入力操作面51に接触していて望まないキーを入力決定してしまうという誤入力のおそれが低減する。」 カ 段落【0104】 「【0104】 上記実施形態の電子機器1は、静電容量方式によるタッチパネル部を備えた入力装置とし、携帯端末及びマウス操作の代替を行う入力装置を例示した。しかしながら、これらに限定されない。この種の電子機器としては、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の撮像装置、携帯電話、携帯型オーディオビジュアル機器、携帯ゲーム機器、PDA(Personal Digital Assistance)、オンスクリーンキーボード、電子辞書、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、ゲーム機器、ロボット機器、その他の電化製品等が挙げられる。」 上記ア-カから、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「電子機器1は、タッチパネル部50と、表示パネル部30と、感圧センサ部60と、回路基板70と、これらを収容する筐体15とを有し、 タッチパネル部50は、静電容量方式による、入力操作面51のXY座標を検出する入力デバイスであり、 表示パネル部30の表示面31は、タッチパネル部50の入力操作面51に表裏対向する面に重ね合わせられ、 感圧センサ部60は、タッチパネル部50の入力操作面51に入力される押圧力を可動電極部61の電極61b及び固定電極部63の電極63b間の静電容量の変化として検出し、 筐体15は、第1の筐体部10と、第2の筐体部20とを有し、 第2の筐体部20は、第1の部材21と、第2の部材41とを有し、 第1の部材21は、支持部としての主板部22と、2つの側板部23と、2つの底部24とを有し、 主板部22は、パネルモジュール35の面と略等しい形状の平面をもつ略矩形の平板であり、 第1の部材21の主板部22には感圧センサ部60が配置され、感圧センサ部60の上には表示パネル部30が配置され、表示パネル部30の上にはタッチパネル部50が配置され、タッチパネル部50の入力操作面51上に第1の筐体部10が配置されて、タッチパネル部50の入力操作面51が窓部13から露出し、ユーザからの入力操作を受けることが可能となり、 回路基板70には、表示パネル部30、タッチパネル部50及び感圧センサ部60等を制御する種々の電子部品等が実装され、 回路基板70は、第2の筐体部20の第1の部材21の主板部22に装着されて、この主板部22と第2の部材41の底板部42とにより構成される空間に収容され、 タッチパネル部50は、直交する2軸の方向に検出用の電極パターンが設けられた構成となっており、X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252それぞれの検出出力は、回路基板70上に設けられた演算回路に入力され、2軸の空間での位置(XY座標)が特定され、各X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252には所定電圧がかけられ、各X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252に電荷が蓄積され、指による接触又は近接によりその電荷が変化し、X透明電極とY透明電極との間の静電容量が変化し、この変化を検出することによってXY座標を特定し、指の位置を検出し、 可動電極部61及び固定電極部63の電極61b,63bは、回路基板70等からのノイズの影響を受ける場合があり、このため、回路基板70を実装する第2の筐体部20を金属で作製し、第2の筐体部20をグラウンド電位に接続することで回路基板70からのノイズをシールドすることができ、 互いに対向する電極61b,63bの対向面積をSとし、この電極61b,63b間の距離に相当する弾性部62の厚みをd、弾性部62の誘電率をεとすると、対向する電極61b,63bの静電容量Cは以下の式(1)により求められ、 C=ε・S/d…(1) タッチパネル部50の入力操作面51がユーザによるZ軸方向の押圧力を受けると、この押圧力が感圧センサ部60に伝わり、弾性部62の厚みdは押圧力に応じて減少し、弾性部62の厚みdが減少すると、静電容量Cが増加し、 電極63bには矩形のパルスが加えられ、電極61bから得られる信号が回路基板70に設けられた演算回路に入力され、電極61b,63b間の静電容量の変化が検出され、 感圧センサ部60の静電容量の変化に基く入力操作面51への押圧力は、判定ユニットにより判定され、この判定ユニットは、電子機器1の制御部の一部として構成され、判定ユニットは、各感圧センサ部60の静電容量の変化の合算値に基づいて、上記押圧力を判定してもよく、これにより、入力操作面51への押圧位置に依存しない高精度な押圧力検出が可能となり、上記合算値を感圧センサの数で除算することで得られる平均値から押圧力を判定してもよく、 この電子機器1は、例えば携帯端末などに使用でき、表示パネル30にパーソナルコンピュータのキーボードの如くテンキーを表示させ、入力操作面51上でユーザの指により入力が行われ、 電子機器1は、携帯端末に限定されず、この種の電子機器としては、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の撮像装置、携帯電話、携帯型オーディオビジュアル機器、携帯ゲーム機器、PDA(Personal Digital Assistance)、オンスクリーンキーボード、電子辞書、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、ゲーム機器、ロボット機器、その他の電化製品等がある、 電子機器1。」 (3)引用発明との対比 ア 本件補正発明と引用発明とを対比する。 (ア) 引用発明の「タッチパネル部50」は、「静電容量方式による、入力操作面51のXY座標を検出する入力デバイス」であるから、本件補正発明の「静電容量式タッチセンサ」に相当する。 (イ) 引用発明の「表示パネル部30」は、本件補正発明の「前記カバー層の下部に位置するディスプレイパネル」と「ディスプレイパネル」である点で共通するといえる。 (ウ) 引用発明の「感圧センサ部60」の「可動電極部61の電極61b及び固定電極部63の電極63b」は、「感圧センサ部60の上には表示パネル部30が配置され」るから、本件補正発明の「前記ディスプレイパネルの下部に位置する圧力電極」に相当する。 (エ) 引用発明の「筐体15」の「第2の筐体部20」は、「第2の筐体部20」の「第1の部材21の主板部22には感圧センサ部60が配置され、感圧センサ部60の上には表示パネル部30が配置され」る位置関係であって、「可動電極部61及び固定電極部63の電極61b,63bは、回路基板70等からのノイズの影響を受ける場合があり、このため、回路基板70を実装する第2の筐体部20を金属で作製し、第2の筐体部20をグラウンド電位に接続することで回路基板70からのノイズをシールドすることができ」るから、本件補正発明の「前記圧力電極の下部に位置する遮蔽用部材」に相当する。 (オ) 圧力電極によるタッチ圧力の大きさの検出について 引用発明の「感圧センサ部60」の「電極61bから得られる信号」は、本願補正発明の「前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号」に相当する。 よって、引用発明において、「電極63bには矩形のパルスが加えられ、電極61bから得られる信号が回路基板70に設けられた演算回路に入力され、電極61b,63b間の静電容量の変化が検出され、感圧センサ部60の静電容量の変化に基く入力操作面51への押圧力は、判定ユニットにより判定され、この判定ユニットは、電子機器1の制御部の一部として構成され、・・・(中略)・・・これにより、入力操作面51への押圧位置に依存しない高精度な押圧力検出が可能とな」ることは、本件補正発明において、「前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号をデジタル信号に変換する第1コンバータ」を含み、「前記第1コンバータを介して変換されたデジタル信号からタッチ圧力の大きさを検出することができ」ることと、「前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号に基づいて、タッチ圧力の大きさを検出することができ」ることで共通するといえる。 (カ) 引用発明は、引用発明の「タッチパネル部50」の「各X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252には所定電圧がかけられ、各X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252に電荷が蓄積され、指による接触又は近接によりその電荷が変化し、X透明電極とY透明電極との間の静電容量が変化し、この変化を検出することによってXY座標を特定し、指の位置を検出し」ているから、タッチ位置の検出用の電極に「所定電圧がかけられ」、「電荷が蓄積され」るために、何らかの「駆動信号」が電極に印加されていることは、明らかであるといえる。 よって、引用発明において、「各X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252には所定電圧がかけられ、各X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252に電荷が蓄積され」ることは、本件補正発明の「前記タッチセンサに駆動信号が印加され」ることに相当する。 (キ) タッチセンサによるタッチ位置の検出について 引用発明の「タッチパネル部50」の「X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252それぞれの検出出力」は、本件補正発明の「前記タッチセンサから出力される感知信号」に相当する。 よって、引用発明の「タッチパネル部50は、直交する2軸の方向に検出用の電極パターンが設けられた構成となっており、X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252それぞれの検出出力は、回路基板70上に設けられた演算回路に入力され、2軸の空間での位置(XY座標)が特定され、・・・(中略)・・・、この変化を検出することによってXY座標を特定し、指の位置を検出し」ていることは、本件補正発明の「前記タッチセンサから出力される感知信号が積分器又は増幅器を経た後、第2コンバータを介してデジタル信号に変換されてタッチ位置を検出することができ」ることと、「前記タッチセンサから出力される感知信号に基づいて、タッチ位置を検出することができ」ることで共通するといえる。 (ク) 引用発明の「感圧センサ部60」が「可動電極部61の電極61b及び固定電極部63の電極63b」を含むことは、本件補正発明の「前記圧力電極は、第1電極及び第2電極を含」むことに相当する。 (ケ) 引用発明の「互いに対向する電極61b,63bの対向面積をSとし、この電極61b,63b間の距離に相当する弾性部62の厚みをd、弾性部62の誘電率をεとすると、対向する電極61b,63bの静電容量Cは以下の式(1)により求められ、 C=ε・S/d…(1) タッチパネル部50の入力操作面51がユーザによるZ軸方向の押圧力を受けると、この押圧力が感圧センサ部60に伝わり、弾性部62の厚みdは押圧力に応じて減少し、弾性部62の厚みdが減少すると、静電容量Cが増加」することは、本件補正発明の「前記静電容量は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離によって変わる」ことに相当する。 (コ) 引用発明の「電子機器1」は、本件補正発明の「スマートフォン」と、「電子機器」である点で共通するといえる。 イ 以上のことから、本件補正発明と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「静電容量式タッチセンサと、 ディスプレイパネルと、 前記ディスプレイパネルの下部に位置する圧力電極と、 前記圧力電極の下部に位置する遮蔽用部材と、 を含み、 前記タッチセンサに駆動信号が印加され、 前記タッチセンサから出力される感知信号に基づいて、タッチ位置を検出することができ、 前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号に基づいて、タッチ圧力の大きさを検出することができ、 前記圧力電極は、第1電極及び第2電極を含み、 前記静電容量は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離によって変わる、 電子機器。」 [相違点1] 機器の層構造について、本件補正発明では、「カバー層」を備えており、また、「ディスプレイパネル」が「前記カバー層の下部に位置する」ものであるのに対し、引用発明では、「タッチパネル部50の入力操作面51が窓部13から露出し」ているものであって、「カバー層」を備えておらず、また、「表示パネル部30」が「前記カバー層の下部に位置」するものではない点。 [相違点2] 圧力電極によるタッチ圧力の大きさの検出について、本件補正発明では、「前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号をデジタル信号に変換する第1コンバータ」を含んでおり、「前記第1コンバータを介して変換されたデジタル信号から」、タッチ圧力の大きさを検出することができるのに対し、引用発明では、「電極61bから得られる信号が回路基板70に設けられた演算回路に入力され、電極61b,63b間の静電容量の変化が検出され」、押圧力検出がなされるものであって、「デジタル信号に変換する第1コンバータ」を用いることは、特定されていない点。 [相違点3] タッチセンサによるタッチ位置の検出について、本件補正発明では、前記タッチセンサから出力される感知信号が「積分器又は増幅器を経た後、第2コンバータを介してデジタル信号に変換されて」タッチ位置を検出することができるのに対し、引用発明では、「X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252それぞれの検出出力は、回路基板70上に設けられた演算回路に入力され、2軸の空間での位置(XY座標)が特定され」るものであって、前記タッチセンサから出力される感知信号が「積分器又は増幅器を経た後、第2コンバータを介してデジタル信号に変換されて」タッチ位置を検出することは特定されていない点。 [相違点4] 本件補正発明は、「スマートフォン」に係るのに対し、引用発明は、「電子機器」であって、「スマートフォン」に係るものではない点。 (4)判断 [相違点1]について 一般に、電子機器において、タッチパネルなどの表面を、保護のための層で覆う、すなわち、「カバー」することは、周知技術(「周知技術1」)である。 (上記「周知技術1」について、必要ならば、 原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す「引用文献3」として引用された、特開2010-108501号公報、図15A、及び、段落【0119】-【0120】: 「【0119】 図15Aに示したように、前記ディスプレイ装置700は、ウィンドウガラス710、タッチパネル720及びディスプレイパネル740を備えることができる。またタッチパネル720とディスプレイパネル740との間には、光学的特性のために偏光板730がさらに配されうる。 【0120】 ウィンドウガラス710は、一般的にアクリルや強化ガラスなどの素材で製作されて、外部衝撃や反復的なタッチによるスクラッチからモジュールを保護する。」、 原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す「引用文献4」として引用された、特開2011-138316号公報、段落【0002】-【0003】: 「【背景技術】 【0002】 指等の指示体によるタッチを検出してその位置座標を特定するタッチパネルは、優れたユーザーインターフェース手段の一つとして注目されており、抵抗膜方式または静電容量方式等の種々の方式によるタッチパネルが製品化されている。 【0003】 それらの方式のうちで、静電容量方式の一つとして、タッチセンサが内蔵されるタッチスクリーンの前面側を数mm程度の厚みのガラス板等の保護板で覆った場合でも指示体のタッチの検出が可能な投写型静電容量タッチスクリーン(Projected Capacitive Touchscreen)方式がある。この方式は、保護板を前面に配置できるので堅牢性に優れている点、手袋装着時でもタッチ検出が可能である点、および、稼働部が無いため長寿命である点等の利点を有している。」、 前置報告で、周知技術を示す「引用文献11」として新たに引用された、特許第5567727号公報、図1-図2、段落【0020】-【0022】 「【0020】 本実施形態における電子機器1は、図1及び図2に示すように、可動ユニット10と、感圧センサ60と、シール部材70と、支持部材80と、を備えている。そして、可動ユニット10は、カバー部材20と、補強部材30と、タッチパネル40と、表示装置50と、を備えている。可動ユニット10は、感圧センサ60及びシール部材70を介して支持部材80に支持されており、感圧センサ60及びシール部材70の弾性変形によって、支持部材80に対する可動ユニット10の微小な上下動が許容されている。 【0021】 この電子機器1は、表示装置50によって画像を表示することが可能となっている(表示機能)。また、この電子機器1は、操作者の指やタッチペン等によってカバー部材20上における任意の位置が示されると、タッチパネル40によってそのXY座標位置を検出することが可能となっている(位置入力機能)。さらに、操作者の指等によって可動ユニット10が押圧されると、この電子機器1は、感圧センサ60によってその押圧操作を検出することが可能となっている。 【0022】 カバー部材20は、図2及び図3に示すように、可視光線を透過することが可能な透明基板21から構成されている。こうした透明基板21を構成する材料の具体例としては、例えば、ガラス、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート(PC)等を例示することができる。」、 を参照されたい。) よって、引用発明の電子機器において、タッチパネルなどの表面を、保護のための層で覆う、すなわち、「カバー」する周知技術を付加することによって、「カバー層」を備えることは、当業者が容易になし得たことであり、そのようにすることによって、「タッチパネル部50」よりさらに下方にある「表示パネル部30」が、「前記カバー層の下部に位置する」ものとなるのは明らかである。 [相違点2]について 圧力電極によるタッチ圧力の大きさの検出について、引用発明の「電極61bから得られる信号」が、「アナログ信号」であることは、明らかである。 一方、「電極61bから得られる信号が回路基板70に設けられた演算回路に入力され、電極61b,63b間の静電容量の変化が検出され、感圧センサ部60の静電容量の変化に基く入力操作面51への押圧力は、判定ユニットにより判定され、この判定ユニットは、電子機器1の制御部の一部として構成され、判定ユニットは、各感圧センサ部60の静電容量の変化の合算値に基づいて、上記押圧力を判定してもよく、これにより、入力操作面51への押圧位置に依存しない高精度な押圧力検出が可能となり、上記合算値を感圧センサの数で除算することで得られる平均値から押圧力を判定してもよ」いものであるから、上記アナログ信号は、「演算回路」に入力されて、「静電容量の変化」が検出され、さらに、「電子機器1の制御部の一部」である「判定ユニット」で、「合算」、「除算」などの情報処理が行われている。 ここで、一般に、アナログ信号に対して情報処理を行う際、アナログ信号をコンバータによりデジタル信号に変換してから情報処理を行うことは、周知技術(「周知技術2」)である。 (上記「周知技術2」について、必要ならば、 原査定の拒絶の理由で、「引用文献2」として引用された、特開2009-163363号公報、図1、図8、及び、段落【0009】-【0010】: 「【実施例1】 【0009】 図1は、実施例1のデジタルカメラのブロック図である。1はユーザが触れた場所を検知し位置情報を電気信号として出力するためのタッチパネルである。3は画像を表示するための矩形形状のLCDからなる表示部である。5は押圧により電気信号が変化する圧力センサーである。本実施例は、4つの圧力センサー5を、表示部3の表示面3aに垂直な方向Zに表示部3に隣接して配置している。より詳細には、図2及び図3に示すように、4つの圧力センサー5は表示部3の4つの隅部に設けられている。ここで、図2は、デジタルカメラの透過背面図である。図3は、デジタルカメラの断面図である。105は、デジタルカメラの筺体である。 【0010】 7はタッチパネル1から送出された接触位置情報の電気信号をアナログデジタル変換するためのアナログデジタル変換手段(AD Converter)である。9はアナログデジタル変換手段から送出された位置デジタル信号に基づき動作モードを切り替える切り替え部として機能し、また、表示部3に画像信号を送出する中央制御部(CPU)である。CPU9は、タッチパネル1への接触を検出した場合とタッチパネル1への接触を検出した後に圧力センサー5が圧力を検出した場合とで実行する動作が異なる。10はベースプレートである。11はCPU9から送出された画像信号を表示するための表示部3を駆動するための表示部駆動手段である。13は表示部3の視認率を改善し、表示部11を保護するための保護パネルである。」、 原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す「引用文献3」として引用された、特開2010-108501号公報、図9A、及び、段落【0077】-【0081】: 「【0077】 図9Aないし図9Fは、本発明のタッチデータ発生部の他の具現例を示すブロック図である。特に、前記図9Aないし図9Cの実施形態では、前記タッチデータ発生部に積分回路がさらに備えられうる。図9Aに示したように、前記タッチデータ発生部310は、電圧読み出し回路311、増幅回路312、積分回路313、及びADC(アナログ・デジタル変換回路)314を備えることができる。 【0078】 前記電圧読み出し回路311は、タッチスクリーンパネルに備えられた複数のセンシングラインに連結された複数のセンシングユニットそれぞれから出力される電圧Vreadを読み出すブロックである。前記電圧読み出し回路311は、一例として、図7Bに示した各種スイッチ及び入力信号Vinを提供するためのバッファでありうる。 【0079】 また前記増幅回路312は、前記電圧読み出し回路311から読み出された電圧Vreadを増幅して出力する。前記増幅回路312から出力される電圧は、センシング信号Voutとして積分回路313に提供される。前記増幅回路312は、前記電圧読み出し回路311から出力された電圧Vreadを増幅することによって、センシングユニットのキャパシタンスの変化をセンシング可能にする。また、前記増幅回路312は、増幅動作を行うための少なくとも一つの増幅器を備えることができ、前記増幅器は、複数のセンシングラインそれぞれに連結される複数の増幅器を備えることができる。または、実施形態によって、前記増幅器が複数のセンシングラインとスイッチング可能に連結されて、一つの増幅器を複数のセンシングラインに共有させることができる。 【0080】 前記積分回路313は、前記増幅回路312から出力されたセンシング信号Voutを積分できる。前記のように、前記増幅回路312から出力されたセンシング信号Voutには複数のノイズ成分が含まれ、前記積分回路313で前記センシング信号Voutを積分することによって、ノイズ成分が効果的に除去される。本発明の実施形態による前記積分回路313は、入力信号を受信し、受信された前記入力信号を積分して出力できる任意の回路をいずれも備えることができ、また前記積分回路313は、スイッチドキャパシタ積分器やGm-C積分器をはじめとする多様な積分器のうちいずれか一つが使われてもよい。 【0081】 前記ADC 314は、前記積分回路313から出力されたアナログ電圧VADC_INをデジタル信号であるタッチデータdataに変換できる。前記タッチデータdataは、タッチコントローラ内に備えられた信号プロセッサーに提供され、または前記タッチコントローラ外部のホストコントローラに提供されてもよい。前記タッチデータdataの演算処理によって、タッチスクリーンパネル上のタッチ動作如何及びタッチ位置が判断されうる。」、 原査定の拒絶の理由で、周知技術を示す「引用文献4」として引用された、特開2011-138316号公報、図4、【要約】欄: 「【要約】 【課題】検出回路および検出配線の寄生容量の影響を抑制し、応答性およびタッチ座標の検出精度の高いタッチパネルおよび表示装置を得る。 【解決手段】検出処理回路19には、列検出配線Wx1?Wx8に接続されるスイッチ回路20および行検出配線Wy1?Wy8に接続されるスイッチ回路21が設けられている。スイッチ回路S3およびS4の他端には、それぞれ、充電電圧発生回路27からの充電電圧VaおよびVbが供給される。スイッチ回路S5およびS6の他端は共通に、後段の積分回路22のオペアンプ回路23の反転入力端子N30に接続され、オペアンプ回路23の反転入力端子および出力端子間には、容量素子C1およびスイッチ回路S7が並列に接続される。積分回路22の出力端は、後段の増幅回路24を介してA/D変換回路25に入力され、その出力はタッチ座標算出回路28に接続され、タッチ座標算出回路28から検出座標データが出力される。」、 前置報告で、周知技術を示す「引用文献11」として新たに引用された、特許第5567727号公報、段落【0067】: 「【0067】 取得部93は、図10に示すように、感圧センサ60の上部電極612(又は下部電極622)に直列接続されている電源931と、当該感圧センサ60の下部電極622(又は上部電極612)に直列接続されている第1の抵抗体932と、を備えている。そして、電源931によって電極612,622間に所定電圧を印加した状態で、感圧センサ60に対して上方から荷重が加わると、当該荷重の大きさに応じて電極612,622間の電気的な抵抗値が変化する。取得部93は、こうした抵抗変化に対応した電圧値を感圧センサ60から一定の間隔で周期的にサンプリングし、当該電圧値をA/D変換器によってデジタル信号に変換した後に、当該デジタル信号を設定部94と第1の演算部95に出力する。」 を参照されたい。) よって、引用発明の電子機器において、アナログ信号に対して情報処理を行う際、アナログ信号をコンバータにより(「第1コンバータ」といえる)デジタル信号に変換してから情報処理を行う周知技術を付加して、「前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号をデジタル信号に変換する第1コンバータ」を含んでおり、「前記第1コンバータを介して変換されたデジタル信号から」、タッチ圧力の大きさを検出することができる、上記[相違点2]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 [相違点3]について タッチセンサによるタッチ位置の検出について、引用発明の「タッチパネル部50」の「X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252それぞれの検出出力」が、「アナログ信号」であることは、明らかである。 一方、「X透明電極パターン153及びY透明電極パターン252それぞれの検出出力は、回路基板70上に設けられた演算回路に入力され、2軸の空間での位置(XY座標)が特定され」、「指の位置を検出し」ているから、上記アナログ信号は、「演算回路」に入力されて、XY座標の計算などの情報処理が行われている。 ここで、上記[相違点2]について記載のとおり、一般に、アナログ信号に対して情報処理を行う際、アナログ信号をコンバータによりデジタル信号に変換してから情報処理を行うことは、周知技術(「周知技術2」)である。 また、必要に応じて、信号経路に、増幅用の「増幅器」や、雑音除去用などの「積分器」を設けることによって、アナログ信号の段階での情報処理を行うことも、周知技術(「周知技術3」)である。 (上記「周知技術3」について、必要ならば、上記[相違点2]についてにおける、「引用文献3」、「引用文献4」の各摘記箇所を参照されたい。) よって、引用発明の電子機器において、必要に応じて、信号経路に、増幅用の「増幅器」や、雑音除去用などの「積分器」を設けることによって、アナログ信号の段階での情報処理を行う周知技術、及び、アナログ信号に対して情報処理を行う際、アナログ信号をコンバータにより(「第2コンバータ」といえる)デジタル信号に変換してから情報処理を行う周知技術を付加して、前記タッチセンサから出力される感知信号が「積分器又は増幅器を経た後、第2コンバータを介してデジタル信号に変換されて」タッチ位置を検出することができる、上記[相違点3]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 [相違点4]について 引用発明の「電子機器1」は、「例えば携帯端末などに使用でき、表示パネル30にパーソナルコンピュータのキーボードの如くテンキーを表示させ、入力操作面51上でユーザの指により入力が行われ」るものであって、「携帯端末に限定されず、この種の電子機器としては、デジタルカメラ及びデジタルビデオカメラ等の撮像装置、携帯電話、携帯型オーディオビジュアル機器、携帯ゲーム機器、PDA(Personal Digital Assistance)、オンスクリーンキーボード、電子辞書、ディスプレイ装置、オーディオ/ビジュアル機器、プロジェクタ、ゲーム機器、ロボット機器、その他の電化製品等がある」ものである。 よって、引用文献1の記載に接した当業者であれば、引用発明の「電子機器」を、タッチ入力可能な「携帯端末」であって「携帯電話」である、周知の「スマートフォン」とすることで、上記[相違点4]に係る構成とすることは、当業者が容易になし得たものである。 そして、これらの相違点を総合的に勘案しても、本件補正発明の奏する作用効果は、当業者であれば、引用発明及び周知技術から予測できる範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。 したがって、本件補正発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。 (5)本件補正についてのむすび よって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 平成29年5月9日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項に係る発明は、平成28年10月13日にされた手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-15に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、その請求項1に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。 「カバー層と、 タッチセンサと、 前記カバー層の下部に位置するディスプレイパネルと、 前記ディスプレイパネルの下部に位置する圧力電極と、 前記圧力電極の下部に位置する遮蔽用部材と、 前記圧力電極から出力される静電容量の変化量に対する信号をデジタル信号に変換する第1コンバータと、を含み、 前記タッチセンサに駆動信号が印加され、 前記タッチセンサから出力される感知信号が積分器又は増幅器を経た後、第2コンバータを介してデジタル信号に変換されてタッチ位置を検出することができ、 前記第1コンバータを介して変換されたデジタル信号からタッチ圧力の大きさを検出することができ、 前記圧力電極は、第1電極及び第2電極を含み、 前記静電容量は、前記第1電極と前記第2電極との間の距離によって変わる、 スマートフォン。」 (なお、「…距離よって変わる…」とあるのは、「…距離によって変わる…」の誤記と認め、上記のように認定した。) 2 原査定の拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1に係る発明は、本願の優先権主張の日前に頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1-10に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。 引用文献1:特開2011-86191号公報 引用文献2:特開2009-163363号公報 引用文献3:特開2010-108501号公報 引用文献4:特開2011-138316号公報 引用文献5:特開2008-192092号公報 引用文献6:国際公開第2013/137455号 引用文献7:国際公開第2011/013588号 引用文献8:国際公開第2014/080924号 引用文献9:特開2008-294913号公報 引用文献10:特開2014-160930号公報 3 引用文献1 原査定の拒絶の理由で引用された引用文献1及びその記載事項は、前記第2[理由]2(2)に記載したとおりである。 4 対比・判断 本願発明は、前記第2[理由]2で検討した本件補正発明から、「タッチセンサ」に係る限定事項を省いたものである。 そうすると、本願発明の構成要件を全て含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本件補正発明が、上記第2[理由]2(3)、(4)に記載したとおり、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について論及するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2018-02-27 |
結審通知日 | 2018-03-06 |
審決日 | 2018-03-19 |
出願番号 | 特願2015-153561(P2015-153561) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
P 1 8・ 575- Z (G06F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 円子 英紀 |
特許庁審判長 |
千葉 輝久 |
特許庁審判官 |
山澤 宏 稲葉 和生 |
発明の名称 | スマートフォン |
代理人 | 坪倉 道明 |
代理人 | 櫻田 芳恵 |
代理人 | 青木 孝博 |
代理人 | 飯野 陽一 |
代理人 | 五味渕 琢也 |
代理人 | 城山 康文 |
代理人 | 川嵜 洋祐 |
代理人 | 市川 祐輔 |
代理人 | 重森 一輝 |
代理人 | 今藤 敏和 |
代理人 | 金山 賢教 |
代理人 | 小野 誠 |
代理人 | 市川 英彦 |
代理人 | 岩瀬 吉和 |
代理人 | 安藤 健司 |