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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A63F
管理番号 1342780
審判番号 不服2017-11927  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-09 
確定日 2018-08-02 
事件の表示 特願2012-224884号「遊技機および遊技システム」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月 1日出願公開、特開2014- 76146号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成24年10月10日の出願であって、平成27年9月7日に手続補正書が提出され、平成28年6月21日付けで拒絶の理由が通知され、平成28年9月2日に意見書及び手続補正書が提出され、平成29年2月6日付けで最後の拒絶の理由が通知され、平成29年4月14日に意見書及び手続補正書が提出されたところ、平成29年5月8日付け(発送日:平成29年5月23日)で、平成29年4月14日付け手続補正が却下されるとともに拒絶査定がなされ、それに対して、平成29年8月9日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正がなされたものである。

第2 平成29年8月9日付け手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成29年8月9日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1 本件補正の概要
本件補正は、特許請求の範囲の請求項1の記載の補正を含む補正であり、本件補正前の平成28年9月2日付けの手続補正書における請求項1の記載と、本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載は、それぞれ次のとおりである。
(補正前:平成28年9月2日付け手続補正)
「【請求項1】
遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
開始操作を受付ける開始受付手段と、
終了操作を受付ける終了受付手段と、
所定演出の演出状態を変更操作に応じて変更する演出状態変更手段と、
前記演出状態変更手段によって変更された前記演出状態を記憶する演出状態記憶手段と、
前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に応じて前記所定演出を実行する演出実行手段と、
前記開始受付手段によって前記開始操作が受付けられたことに基づいて、遊技履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する情報出力手段とを備え、
前記開始受付手段は、前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作と、前記発行情報の入力を伴わない第2開始操作とを前記開始操作として受付け可能であり、
前記演出状態変更手段は、前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態に変更する、遊技機。」

(補正後:平成29年8月9日付け手続補正)
「【請求項1】
A 遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
B 開始操作を受付ける開始受付手段と、
C 終了操作を受付ける終了受付手段と、
D 遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態を変更操作に応じて変更する演出状態変更手段と、
E 前記演出状態変更手段によって変更された前記演出状態を記憶する演出状態記憶手段と、
F 前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に応じて前記所定演出を実行する演出実行手段と、
G 前記開始受付手段によって前記開始操作が受付けられたことに基づいて、遊技履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
H 前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する情報出力手段とを備え、
I 前記開始受付手段は、前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作と、前記発行情報の入力を伴わない第2開始操作とを前記開始操作として受付け可能であり、
J 前記演出状態変更手段は、
前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態に変更し、
K 前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて前記演出状態を初期状態とする、遊技機。」
(下線部は補正箇所を示す。ただし、A?Kは分説するために当審で付した。)

2 補正の適否
(1)補正事項
本件補正は、補正前の請求項1について、以下の補正事項を含むものである。

ア 補正前の請求項1に記載された発明特定事項である「所定演出」に関して、「遊技者にとって有利な内容を示唆する」という記載を追加する補正。(構成D)
イ 補正前の請求項1における「前記演出状態変更手段は、前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態に変更する」という記載を、「前記演出状態変更手段は、 前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態に変更し、前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて前記演出状態を初期状態とする」とする補正。(構成J、K)

(2)補正の目的等についての検討
ア 補正事項アは、「所定演出」について「遊技者にとって有利な内容を示唆する」ことを限定する補正である。
イ 補正事項イは、「前記第1開始操作」の前に空白を挿入し、かつ「変更する」を「変更し」として後続の文に整合させるとともに、「演出状態変更手段」について「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて前記演出状態を初期状態とする」ことを限定する補正である。

そして、補正後の請求項1に記載された発明は、補正前の請求項1に記載された発明と、産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるので、本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。

また、補正事項ア及びイは、願書に最初に添付した明細書の段落【0013】、【0237】、【0257】、又は図面の図14、図24(A)、図24(B)等との関係において、新たな技術的事項を導入するものではないから、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法第17条の2第3項の規定に適合し、新規事項を追加するものではない。

3 独立特許要件について
本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本件補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか)について以下に検討する。

(1)本件補正発明について
本件補正発明は、「1 本件補正の概要」に記載したとおりのものである。

(2)刊行物
(2-1)刊行物1
本願の出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由において引用文献2として提示された刊行物である特開2009-195432号公報(以下、「刊行物1」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は、当審にて付した。以下、同じ。)。

(ア)「【請求項2】
請求項1に記載の遊技機演出システムにおいて、
前記サーバーコンピュータは、前記演出設定画面において、各キャラクタの出現頻度及び出現時の演出内容の信頼度を変更可能とし、その変更があったときは、その変更を特定可能なパスワードを発行して前記携帯通信端末に送信し、
前記遊技機の前記演出制御手段は、
遊技中に複数のキャラクタを登場させる演出を前記画像表示装置を用いて行うように制御するとともに、各キャラクタの出現頻度や、出現時の演出内容の信頼度を予め所定値に設定しており、
前記パスワードが入力されたときは、そのパスワードに対応するキャラクタの出現頻度及び出現時の演出内容の信頼度をセットするとともに、セットしたキャラクタの出現頻度及び出現時の演出内容の信頼度となるように演出の出力を制御する
ことを特徴とする遊技機演出システム。
・・・
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の遊技機演出システムにおいて、
前記遊技機の前記演出制御手段は、前記操作スイッチが操作されたときに、最後に前記パスワードが入力されてからの遊技履歴その他の遊技情報を含むコードを前記画像表示装置に画像表示するように制御し、
前記サーバーコンピュータは、
遊技者ごとの遊技情報の記憶領域を有し、
前記携帯通信端末から前記コードが送信されてきたときは、その遊技者に対応する遊技情報を更新するように制御し、
次に前記携帯通信端末からアクセスがあったときは、最新の遊技情報を反映させた前記パスワードを発行して前記携帯通信端末に送信する
ことを特徴とする遊技機演出システム。」

(イ)「【0013】
以下、図面等を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、本発明の遊技機として、スロットマシン10を例に挙げて説明する。
図1は、本発明による遊技機演出システムの一実施形態を示すブロック図である。図1において、遊技機演出システムは、スロットマシン(遊技機)10と、携帯通信端末100と、サーバーコンピュータ200とから構成されている。
・・・
【0015】
そして、本実施形態では、スロットマシン10の遊技者は、携帯通信端末100を所持している。ただし、携帯通信端末100を所持していなくても、スロットマシン10で遊技を行うことは可能である。」

(ウ)「【0046】
次に、遊技者は、図3の表示画面において、「終了」をオンにする。この操作が行われると、演出制御手段64は、再度、図2の画面を表示するように制御する。そして、遊技者は、このメニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する。この操作が行われると、演出制御手段64は、図6に示すように、パスワード入力画面を画像表示するように制御する。そして、遊技者は、メニューキー43を使用して、サーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する。
【0047】
次いで、「決定」ボタンを押すと、入力したパスワードがスロットマシン10(演出制御手段64)に読み取られる。また、「決定」が押されることで、演出制御手段64は、再度、図2のメニュー画面に戻るように制御する。そして、遊技者により、この画面において「終了」が押されると、演出制御手段64は、メニュー画面を終了し、遊技待機中のデモンストレーション画面を画像表示するように制御する。
【0048】
一方、演出制御手段64は、パスワードが入力されると、そのパスワードに基づいて、会員ID、遊技履歴、及び演出カスタマイズに係る情報を取得し、遊技中は、これらのデータを反映させるように制御する。演出制御手段64は、入力されたパスワードから、会員ID、遊技履歴、演出カスタマイズに係る情報を特定するためのデータテーブルを有している。
本実施形態では、演出パターンの1つとして、特定の小役の当選時に、ストップスイッチ42の操作をアシストする演出が設けられている。そして、この演出パターンが選択されると、アシストを画像表示する場合に、会員IDを含んだ画像表示を行う。例えば、図柄の組合せが「any」-「any」-「チェリー」からなる小役に当選したときに、「右リールのチェリーを狙え!」等と画像表示する演出が予め設けられているとする。
・・・
【0051】
また、演出制御手段64は、パスワードが入力されてからの遊技履歴(遊技情報)を所定のRAM等に記憶する。記憶する遊技履歴としては、トータルの遊技回数や、特別役当選回数(特別遊技の実行回数)等が挙げられる。
【0052】
そして、遊技者は、遊技を終了するときは、遊技待機中(非遊技中)に、再度、メニューキー43を操作して、図2に示したメニュー画面を画像表示装置23に画像表示する。
次に、遊技者は、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択する。この項目が選択されると、演出制御手段64は、遊技の開始時に入力されたパスワード、パスワードが入力されてからの遊技履歴、及びこの遊技者固有のURLのデータを含む二次元コードを作成(生成)するように制御する。そして、演出制御手段64は、作成した二次元コードを画像表示するように制御する。図7は、このときの画像表示例を示す図である。」

(エ)「【0055】
図9において、遊技者が例えば「パスワード表示」を選択すると、それまでの会員の遊技履歴を反映した最新のパスワードが表示される(図10)。そして、ここで表示されたパスワードを、図2のメニュー画面から「パスワード入力」を選択し、図6の画面に移行して入力すれば、前回の遊技履歴から遊技を開始することができる。すなわち、遊技者は、台を移動するときは、上述のようにして一旦、二次元コードを作成し、それに基づいて新たなパスワードを作成して、このパスワードを、次に遊技を行うスロットマシン10に入力することで、今までの遊技履歴を受け継いて遊技を行うことができる。
【0056】
一方、演出制御手段64は、図7の画面(二次元コード)を画像表示した後は、自動で、例えば20秒経過後に、この画面を終了して、初期画面(遊技待機画面)に戻るように制御する。したがって、遊技者は、図7に示す二次元コードを携帯通信端末100のカメラで読み取り、それをサーバーコンピュータ200に送信した後は、それ以後は特に何もせずに席を離れることができる。さらに、演出制御手段64は、二次元コードを作成して画像表示した時、あるいは図7の画像表示の終了時に、それまでの遊技者に関する情報(RAMに記憶されている情報)を消去するように制御する。これにより、次にこの台で遊技を行う遊技者に対しては、それ以前の遊技者のデータが全く残らないので、プライバシー及びセキュリティ性が担保される。」

(オ)「【0059】
さらにまた、図9において、マイフォルダーの中から「お気に入りペアレベル設定」を選択すると、図13に示すように、キャラクタのペアの種類(4種類)の一覧が表示される。そして、この画面において、所定の演出のカスタマイズ(可能な範囲内で、遊技者の好みに応じた変更)を行うことができる。
【0060】
特に本実施形態の「お気に入りペアレベル設定」(後述する「お気に入りペア設定」とは異なる)では、特別役の当選確定や、遊技者にとって有利となる遊技(上述したAT遊技やRT遊技等)への移行確定の演出(以下、「確定演出」という。)時に、選択されやすいキャラクタのペアを設定するものである。
ここで、本実施形態では、演出に登場するキャラクタとして、「A」?「H」までの8人のキャラクタが用意されており、図13に示すように、予め4つのペアに分けられている。また、遊技中に画像表示する内容として、4つのステージを有しており、演出制御手段64は、特別役当選期待度(低確率か高確率か等)や遊技回数等に応じて、毎遊技、あるいは所定の条件を満たしたときに、ステージ移行抽選を行う。そして、ステージ移行に当選すると、次遊技から、そのステージに移行するとともに、次にステージ移行条件を満たすまで、そのステージに滞在する。」

(カ)「【0073】
なお、本実施形態では、画像表示装置23の左下及び右下に表示されているキャラクタ(すなわちステージ)を設定することができる。
図2のメニュー画面において、遊技者によって「お気に入りペア設定」が選択されると、演出制御手段64は、図17に示す画面を画像表示するように制御する。そして、この画面において、遊技者は、キャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうち、出現頻度を高くしたいキャラクタのペアを選択することができる。ここでペアが選択されると、演出制御手段64は、選択されたペアの出現率が所定の割合となるように演出を設定する。本実施形態では、ここで選択された頻度は、通常時の演出において、約80%の割合で選択されるように設定される。したがって、例えばお気に入りペア設定で「A・B」が選択されると、約80%の確率でステージS1に滞在し、図15(A)に示すように、キャラクタA及びBが画像表示されることとなる。
【0074】
よって、例えば、お気に入りペア設定でキャラクタA及びBを選択するとともに、お気に入りペアレベル設定でキャラクタC及びDを選択した場合において、ステージS1(キャラクタA及びB)からステージS2(キャラクタC及びD)に移行したときは、遊技者は、確定演出の出力を期待することができる。
なお、演出制御手段64は、お気に入りペア設定が終了すると、図2の画面に戻るように制御する。
【0075】
また、お気に入りペア設定が行われた場合において、遊技の終了時には、演出制御手段64は、お気に入りペア設定の情報を含んだ二次元コードを画像表示するように制御する。そして、遊技者が、この二次元コードを携帯通信端末100で読み取ってサーバーコンピュータ200にアクセスしたときは、サーバーコンピュータ200は、送信されてきた二次元コードからお気に入りペア設定の情報を読み取り、その遊技者のマイフォルダーに記憶する。また、お気に入りペア設定の情報を含むパスワードを携帯通信端末100に送信する。
【0076】
遊技者は、次に遊技を行うときは、このパスワードをスロットマシン10に入力する。これにより、演出制御手段64は、そのパスワードからお気に入りペア設定を読み取り、演出をセットする。よって、遊技者は、パスワードの入力だけで、前回の遊技と同じお気に入りペア設定で遊技を行うことができる。」

(キ)図1には、「スロットマシン10」が「演出制御手段64」、及び「画像表示装置23」を備えることが図示されている。

上記(ア)?(カ)の記載事項、上記(キ)の図示内容から、以下の事項が導かれる。

(あ)上記段落【0013】の「スロットマシン(遊技機)10」との記載、上記段落【0015】の「ただし、携帯通信端末100を所持していなくても、スロットマシン10で遊技を行うことは可能である。」との記載より、刊行物1には、遊技を行うことが可能なスロットマシン(遊技機)10が記載されていると認められる。

(い)
(い-1)上記段落【0046】の「そして、遊技者は、このメニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する。この操作が行われると、演出制御手段64は、図6に示すように、パスワード入力画面を画像表示するように制御する。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御することが記載されているといえる。

(い-2)上記【請求項4】の「最後に前記パスワードが入力されてからの遊技履歴その他の遊技情報を含むコードを前記画像表示装置に画像表示するように制御し、前記サーバーコンピュータは、遊技者ごとの遊技情報の記憶領域を有し、前記携帯通信端末から前記コードが送信されてきたときは、その遊技者に対応する遊技情報を更新するように制御し」との記載、上記段落【0013】の「遊技機演出システムは、スロットマシン(遊技機)10と、携帯通信端末100と、サーバーコンピュータ200とから構成されている。」との記載より、刊行物1には、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200が記載されているといえる。

(い-3)上記段落【0046】の「そして、遊技者は、メニューキー43を使用して、サーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する。」との記載、上記段落【0048】の「一方、演出制御手段64は、パスワードが入力されると、そのパスワードに基づいて、会員ID、遊技履歴、及び演出カスタマイズに係る情報を取得し、遊技中は、これらのデータを反映させるように制御する。」との記載、上記段落【0055】の「そして、ここで表示されたパスワードを、図2のメニュー画面から「パスワード入力」を選択し、図6の画面に移行して入力すれば、前回の遊技履歴から遊技を開始することができる。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、遊技者がメニューキー43を使用してサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御することが記載されているといえる。

(い-4)上記段落【0047】の「入力したパスワードがスロットマシン10(演出制御手段64)に読み取られる。」との記載、及び上記図示内容(キ)より、「スロットマシン10」が「演出制御手段64」を備えていることは明らかである。

(い-5)上記(い-1)?(い-4)での検討を総合すると、刊行物1には、スロットマシン10が備える演出制御手段64は、メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御し、遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御することが記載されていると認められる。

(う)
(う-1)上記段落【0052】の「そして、遊技者は、遊技を終了するときは、・・・。次に、遊技者は、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択する。この項目が選択されると、演出制御手段64は、・・・を含む二次元コードを作成(生成)するように制御する。そして、演出制御手段64は、作成した二次元コードを画像表示するように制御する。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成し、作成した二次元コードを画像表示するように制御することが記載されているといえる。

(う-2)上記段落【0056】の「一方、演出制御手段64は、図7の画面(二次元コード)を画像表示した後は、自動で、例えば20秒経過後に、この画面を終了して、初期画面(遊技待機画面)に戻るように制御する。したがって、遊技者は、・・・した後は、それ以後は特に何もせずに席を離れることができる。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、二次元コードの画面を画像表示した後は、遊技者が特に何もせずに席を離れることができるように、自動でこの画面を終了して、初期画面に戻るように制御することが記載されているといえる。

(う-3)上記(う-1)、(う-2)での検討より、刊行物1には、演出制御手段64は、遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成し、作成した二次元コードを画像表示するように制御し、二次元コードの画面を画像表示した後は、遊技者が特に何もせずに席を離れることができるように、自動でこの画面を終了して、初期画面に戻るように制御することが記載されていると認められる。

(え)
(え-1)上記段落【0073】の「図2のメニュー画面において、遊技者によって「お気に入りペア設定」が選択されると、・・・。そして、この画面において、遊技者は、キャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうち、出現頻度を高くしたいキャラクタのペアを選択することができる。ここでペアが選択されると、演出制御手段64は、選択されたペアの出現率が所定の割合となるように演出を設定する。本実施形態では、ここで選択された頻度は、通常時の演出において、約80%の割合で選択されるように設定される。」との記載より、刊行物1には、「お気に入りペア設定」において、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを、遊技者がキャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうちから選択することが記載されているといえる。

(え-2)上記段落【0059】の「さらにまた、図9において、マイフォルダーの中から「お気に入りペアレベル設定」を選択すると、図13に示すように、キャラクタのペアの種類(4種類)の一覧が表示される。そして、この画面において、所定の演出のカスタマイズ(可能な範囲内で、遊技者の好みに応じた変更)を行うことができる。」との記載、上記段落【0060】の「特に本実施形態の「お気に入りペアレベル設定」(後述する「お気に入りペア設定」とは異なる)では、特別役の当選確定や、遊技者にとって有利となる遊技(上述したAT遊技やRT遊技等)への移行確定の演出(以下、「確定演出」という。)時に、選択されやすいキャラクタのペアを設定するものである。」との記載より、刊行物1において、「お気に入りペアレベル設定」において、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペアを設定することは、「演出のカスタマイズ(可能な範囲内で、遊技者の好みに応じた変更)を行うこと」であるといえる。
そうすると、上記(え-1)において導かれた「「お気に入りペア設定」において、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを、遊技者がキャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうちから選択すること」も、出現率が約80%と演出時に選択されやすいキャラクタのペアを設定するものであるから、上記「演出のカスタマイズ(可能な範囲内で、遊技者の好みに応じた変更)を行うこと」に該当するといえる。
したがって、上記(え-1)での検討と合わせると、刊行物1には、「お気に入りペア設定」において、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを、遊技者がキャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうちから選択して、カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)することが記載されているといえる。

(え-3)上記段落【0073】の「図2のメニュー画面において、遊技者によって「お気に入りペア設定」が選択されると、演出制御手段64は、図17に示す画面を画像表示するように制御する。」、「ここでペアが選択されると、演出制御手段64は、選択されたペアの出現率が所定の割合となるように演出を設定する。」との記載、上記段落【0074】の「なお、演出制御手段64は、お気に入りペア設定が終了すると、図2の画面に戻るように制御する。」との記載からみて、「お気に入りペア設定」に係る機能が「演出制御手段64」により実行されることは明らかである。

(え-4)上記(え-2)、(え-3)での検討より、刊行物1には、演出制御手段64は、「お気に入りペア設定」において、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを、遊技者がキャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうちから選択すると、カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)する機能を実行することが記載されていると認められる。

(お)
(お-1)上記段落【0075】の「また、お気に入りペア設定が行われた場合において、遊技の終了時には、演出制御手段64は、お気に入りペア設定の情報を含んだ二次元コードを画像表示するように制御する。」との記載より、刊行物1には、遊技の終了時にはお気に入りペア設定の情報を含んだ二次元コードを画像表示することが記載されているといえる。
また、上記段落【0052】の「遊技者は、遊技を終了するときは、・・・。次に、遊技者は、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択する。この項目が選択されると、演出制御手段64は、・・・を含む二次元コードを作成(生成)するように制御する。」との記載より、刊行物1には、遊技の終了時に二次元コードを生成することが記載されているといえる。
したがって、刊行物1には、遊技の終了時にお気に入りペア設定の情報を含んだ二次元コードを生成することが記載されているといえる。
そうすると、お気に入りペア設定が行われてから、お気に入りペア設定の情報を含んだ二次元コードを生成する遊技の終了時までの間、お気に入りペア設定の情報を遊技機において保持しておく必要があるところ、遊技機がお気に入りペア設定の情報を記憶する手段を備えていることは明らかである。
さらに、上記「お気に入りペア設定の情報」とは、「お気に入りペア設定」において設定した情報のことであるから、上記(え)で検討した、「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」を指すことも明らかである。
よって、刊行物1には、遊技機が、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを記憶する手段を備えることが記載されていると認められる。

(お-2)念のため、別の観点からも上記(お-1)で認定されたのと同じ事項が導かれることを示す。
上記段落【0056】の「さらに、演出制御手段64は、二次元コードを作成して画像表示した時、あるいは図7の画像表示の終了時に、それまでの遊技者に関する情報(RAMに記憶されている情報)を消去するように制御する。これにより、次にこの台で遊技を行う遊技者に対しては、それ以前の遊技者のデータが全く残らないので、プライバシー及びセキュリティ性が担保される。」との記載より、刊行物1には、遊技機は、「遊技者に関する情報」乃至「遊技者のデータ」を記憶する手段(RAM)を備えることが記載されているといえる。
また、上記(え)での検討より、「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、「遊技者」により「選択」されて「カスタマイズ」される遊技者固有の情報であるから、上記「遊技者に関する情報」乃至「遊技者のデータ」に含まれるといえる。
したがって、刊行物1には、遊技機が、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを記憶する手段を備えることが記載されていると認められる。

(か)
(か-1)上記(え-1)で検討したように、刊行物1には「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」が記載されているといえるから、言い換えると、刊行物1には、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアに応じて通常時の演出を実行することが記載されているといえる。
また、上記「通常時の演出」は、「キャラクタのペア」が出現するものであることより、複数のキャラクタが登場することは明らかである。

(か-2)上記【請求項2】の「前記遊技機の前記演出制御手段は、遊技中に複数のキャラクタを登場させる演出を前記画像表示装置を用いて行うように制御する」との記載、及び刊行物1においては「演出制御手段」が「演出制御手段64」として記載されていることより、刊行物1には、演出制御手段64が、複数のキャラクタを登場させる演出を制御することが記載されているといえる。

(か-3)上記(か-1)、(か-2)での検討より、刊行物1には、演出制御手段64は、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアに応じて通常時の演出を実行することが記載されていると認められる。

(き)上記段落【0051】の「また、演出制御手段64は、パスワードが入力されてからの遊技履歴(遊技情報)を所定のRAM等に記憶する。記憶する遊技履歴としては、トータルの遊技回数や、特別役当選回数(特別遊技の実行回数)等が挙げられる。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、パスワードが入力されてからの、トータルの遊技回数や、特別役当選回数(特別遊技の実行回数)等の遊技履歴を、所定のRAM等に記憶することが記載されていると認められる。

(く)
(く-1)上記段落【0075】の「また、お気に入りペア設定が行われた場合において、遊技の終了時には、演出制御手段64は、お気に入りペア設定の情報を含んだ二次元コードを画像表示するように制御する。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、遊技の終了時に、お気に入りペア設定の情報を含んだ二次元コードを画像表示するように制御することが記載されているといえる。
また、上記(お-1)での検討より、「お気に入りペア設定の情報」とは、「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」を指すといえる。
したがって、刊行物1には、演出制御手段64は、遊技の終了時に、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを含んだ二次元コードを画像表示するように制御することが記載されているといえる。

(く-2)上記段落【0052】の「そして、遊技者は、遊技を終了するときは、・・・。この項目が選択されると、演出制御手段64は、・・・、パスワードが入力されてからの遊技履歴、・・・を含む二次元コードを作成(生成)するように制御する。そして、演出制御手段64は、作成した二次元コードを画像表示するように制御する。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、遊技を終了するときに、遊技履歴を含む二次元コードを画像表示するように制御することが記載されているといえる。

(く-3)上記(く-1)、(く-2)での検討より、刊行物1には、演出制御手段64は、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアと、遊技履歴とを含む二次元コードを画像表示するように制御することが記載されていると認められる。

(け)上記段落【0076】の「遊技者は、次に遊技を行うときは、このパスワードをスロットマシン10に入力する。これにより、演出制御手段64は、そのパスワードからお気に入りペア設定を読み取り、演出をセットする。よって、遊技者は、パスワードの入力だけで、前回の遊技と同じお気に入りペア設定で遊技を行うことができる。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、入力されたパスワードから読み取ったお気に入りペア設定をセットすることが記載されているといえる。
また、上記(え-1)で検討したように、刊行物1の「お気に入りペア設定」とは、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを選択することである。
したがって、刊行物1には、演出制御手段64は、入力されたパスワードから読み取った、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアをセットすることが記載されていると認められる。

(こ)上記段落【0056】の「演出制御手段64は、図7の画面(二次元コード)を画像表示した後は」、「演出制御手段64は、・・・図7の画像表示の終了時に、それまでの遊技者に関する情報(RAMに記憶されている情報)を消去するように制御する。」との記載より、刊行物1には、演出制御手段64は、二次元コードの画面の画像表示の終了時に、遊技者に関する情報を消去するように制御することが記載されているといえる。
また、上記(お-2)での検討より、上記段落【0056】の「遊技者に関する情報」には、「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」が含まれるといえる。
したがって、刊行物1には、演出制御手段64は、二次元コードの画面の画像表示の終了時に、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアの情報を消去するように制御することが記載されていると認められる。

上記(ア)?(カ)の記載事項、(キ)の図示内容、及び上記(あ)?(こ)の認定事項より、刊行物1には、次の発明(以下、「刊行物1発明」という。)が記載されていると認められる(記号a?kは、本件補正発明の記号A?Kに対応させて付した。以下、同じ。)。
「a 遊技を行うことが可能なスロットマシン(遊技機)10であって、(認定事項(あ))
b’、i’スロットマシン10が備える演出制御手段64は、メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御し、遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御し、(認定事項(い))
c 演出制御手段64は、遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成し、作成した二次元コードを画像表示するように制御し、二次元コードの画面を画像表示した後は、遊技者が特に何もせずに席を離れることができるように、自動でこの画面を終了して、初期画面に戻るように制御し、(認定事項(う))
d’演出制御手段64は、「お気に入りペア設定」において、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを、遊技者がキャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうちから選択すると、カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)する機能を実行し、(認定事項(え))
e’通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを記憶する手段を備え、(認定事項(お))
f’演出制御手段64は、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアに応じて通常時の演出を実行し、(認定事項(か))
g’演出制御手段64は、パスワードが入力されてからの、トータルの遊技回数や、特別役当選回数(特別遊技の実行回数)等の遊技履歴を、所定のRAM等に記憶し、(認定事項(き))
h’演出制御手段64は、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアと、遊技履歴とを含む二次元コードを画像表示するように制御し、(認定事項(く))
j’演出制御手段64は、入力されたパスワードから読み取った、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアをセットし、(認定事項(け))
k’演出制御手段64は、二次元コードの画面の画像表示の終了時に、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアの情報を消去するように制御する、スロットマシン(遊技機)10。(認定事項(こ)、段落【0013】)」

また、刊行物1には、上記(ア)?(キ)に加えて、次の事項が記載されている。

(ク)「【0063】
図14は、キャラクタ「A・B」ペアが選択されたときのレベル設定画面の例を示す図である。図14に示すように、例えばキャラクタ「A・B」ペアが選択されると、サーバーコンピュータ200は、確定演出時に、どの程度の頻度でキャラクタ「A・B」ペアに係る演出を選択するかの設定画面を表示する。図中、「レベル1」は、キャラクタ「A・B」ペアの選択率が他のペアとほとんど遜色ない程度の選択率を示している。また、「レベル2」は、キャラクタ「A・B」ペアの選択率が他のペアよりも選択率が高くなることを示している。さらに「レベル3」では、キャラクタ「E・F」ペアや「G・H」ペアの選択率が低くなり、「レベル2」以上にキャラクタ「A・B」ペアの選択率が高いことを示している。そして、遊技者は、いずれか1つのレベルを選択する。
・・・
【0066】
以上の「お気に入りペアレベル設定」の終了後は、サーバーコンピュータ200は、設定された情報を、その遊技者のマイフォルダー内に記憶するとともに、携帯通信端末100に対し、「お気に入りペアレベル設定」で設定された情報を含むパスワードを遊技者に発行する。
そして、遊技者は、遊技を行う前に、図2の画面からパスワード入力を選択してパスワードを入力する。これにより、演出制御手段64は、入力されたパスワードに対応するように演出(お気に入りペアレベル)を設定する。よって、遊技者は、設定した演出で遊技を楽しむことができる。」

(ケ)「【0079】
(4)本実施形態では、「お気に入りペアレベル設定」は、携帯通信端末100を用いて行うようにしたが、これに限らず、画像表示装置23に画像表示して行い、その設定内容を含む二次元コードをサーバーコンピュータ200に送信するようにしても良い。
また、本実施形態では、「お気に入りペア設定」は、画像表示装置23に画像表示して行うようにしたが、これに限らず、携帯通信端末100で行うようにしても良い。」

上記(イ)、(オ)、(ク)?(ケ)の記載事項、及び上記(キ)の図示内容から、以下の事項が導かれる。

(さ)上記段落【0013】の「スロットマシン(遊技機)10」との記載、上記段落【0079】の「(4)本実施形態では、「お気に入りペアレベル設定」は、携帯通信端末100を用いて行うようにしたが、これに限らず、画像表示装置23に画像表示して行い、・・・しても良い。」との記載より、刊行物1には、画像表示装置23に画像表示して「お気に入りペアレベル設定」を行うスロットマシン(遊技機)10が記載されているといえる。
このことと、上記図示内容(キ)より、刊行物1には、スロットマシン(遊技機)10が備える画像表示装置23に画像表示して「お気に入りペアレベル設定」を行うスロットマシン(遊技機)10が記載されていると認められる。

(し)上記段落【0059】の「「お気に入りペアレベル設定」を選択すると、図13に示すように、キャラクタのペアの種類(4種類)の一覧が表示される。そして、この画面において、所定の演出のカスタマイズ(可能な範囲内で、遊技者の好みに応じた変更)を行うことができる。」との記載、上記段落【0060】の「特に本実施形態の「お気に入りペアレベル設定」(後述する「お気に入りペア設定」とは異なる)では、特別役の当選確定や、遊技者にとって有利となる遊技(上述したAT遊技やRT遊技等)への移行確定の演出(以下、「確定演出」という。)時に、選択されやすいキャラクタのペアを設定するものである。」との記載、上記段落【0063】の「図14に示すように、例えばキャラクタ「A・B」ペアが選択されると、サーバーコンピュータ200は、確定演出時に、どの程度の頻度でキャラクタ「A・B」ペアに係る演出を選択するかの設定画面を表示する。・・・そして、遊技者は、いずれか1つのレベルを選択する。」との記載より、刊行物1には、「お気に入りペアレベル設定」では、遊技者にとって有利となる遊技への移行確定の演出である確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを、遊技者の選択に応じてカスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)することが記載されているといえる。
また、「スロットマシン(遊技機)10が備える画像表示装置23に画像表示して「お気に入りペアレベル設定」を行う」場合(上記認定事項(さ))には、「お気に入りペアレベル設定」における上記「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)」の機能が、「スロットマシン(遊技機)10」によって提供されることは明らかである。
したがって、刊行物1には、「お気に入りペアレベル設定」では、スロットマシン(遊技機)10は、遊技者にとって有利となる遊技への移行確定の演出である確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを、遊技者の選択に応じてカスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)することが記載されていると認められる。

(す)上記認定事項(し)における「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを」「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)する」ことは、カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)された確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルと言い換えることができる。
また、上記認定事項(し)における「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」は、確定演出時に選択されやすいのであるから、刊行物1には、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルに応じて確定演出を実行することが記載されているといえる。
したがって、刊行物1には、カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)された確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルに応じて確定演出を実行することが記載されていると認められる。

(せ)上記段落【0079】の「(4)本実施形態では、「お気に入りペアレベル設定」は、携帯通信端末100を用いて行うようにしたが、これに限らず、画像表示装置23に画像表示して行い、その設定内容を含む二次元コードをサーバーコンピュータ200に送信するようにしても良い。」との記載より、刊行物1には、その設定内容を含む二次元コードを画像表示装置23に画像表示することが記載されているといえる。
また、上記「その設定内容」とは、「お気に入りペアレベル設定」における設定内容のことであるから、上記(し)で検討した「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」を指すことは明らかである。
したがって、刊行物1には、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを含む二次元コードを画像表示装置23に画像表示することが記載されていると認められる。

(そ)上記段落【0066】の「そして、遊技者は、遊技を行う前に、図2の画面からパスワード入力を選択してパスワードを入力する。これにより、演出制御手段64は、入力されたパスワードに対応するように演出(お気に入りペアレベル)を設定する。よって、遊技者は、設定した演出で遊技を楽しむことができる。」との記載より、刊行物1には、入力されたパスワードに対応するようにお気に入りペアレベルを設定することが記載されているといえる。
また、上記(し)での検討をふまえると、上記「お気に入りペアレベルを設定すること」とは、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルをカスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)することであるといえる。
したがって、刊行物1には、入力されたパスワードに対応するように、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルをカスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)することが記載されていると認められる。

(た)上記(こ)での検討より、刊行物1には、二次元コードの画面の画像表示の終了時に、遊技者に関する情報を消去するように制御することが記載されているといえる。
また、上記(し)で検討した「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」は、上記(お-2)での検討と同様に、遊技者により選択されてカスタマイズされる遊技者固有の情報であるといえるから、上記「遊技者に関する情報」に含まれるといえる。
したがって、刊行物1には、二次元コードの画面の画像表示の終了時に、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを消去するように制御することが記載されていると認められる。

上記(イ)、(オ)、(ク)?(ケ)の記載事項、上記(キ)の図示内容、及び上記(さ)?(た)の認定事項より、刊行物1には、次の事項が記載されていると認められる(以下、「刊行物1記載事項」という。)。
「スロットマシン(遊技機)10が備える画像表示装置23に画像表示して「お気に入りペアレベル設定」を行うスロットマシン(遊技機)10であって、(認定事項(さ))
d 「お気に入りペアレベル設定」では、遊技者にとって有利となる遊技への移行確定の演出である確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを、遊技者の選択に応じてカスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)し、(認定事項(し))
f’カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)された確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルに応じて確定演出を実行し、(認定事項(す))
h’確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを含む二次元コードを画像表示装置23に画像表示し、(認定事項(せ))
j’入力されたパスワードに対応するように、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルをカスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)し、(認定事項(そ))
k’二次元コードの画面の画像表示の終了時に、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを消去するように制御する、スロットマシン(遊技機)10。(認定事項(た)、段落【0013】)」

(2-2)刊行物2
本願の出願日前に頒布され、原査定の拒絶の理由において引用文献3として提示された刊行物である特開2012-125300号公報(以下、「刊行物2」という。)には、図面とともに次の事項が記載されている。

(ア)「【0006】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載の遊技システムは、
所定の遊技を行うことが可能な遊技機(スロットマシン1)と、
遊技者が前記遊技機にて遊技を行った結果である遊技履歴を管理する管理装置(管理サーバ1000)と、
からなる遊技システムにおいて、
前記管理装置(管理サーバ1000)は、
遊技者を識別可能な遊技者識別情報(端末識別情報)に対応付けて当該遊技者の遊技履歴を記憶する遊技履歴記憶手段(遊技者データベース)と、
パスワードの発行要求を受け付ける発行要求受付手段と、
前記発行要求を受け付けた場合に、パスワードを発行するパスワード発行手段と、
前記パスワード発行手段が発行したパスワードを前記発行要求を行った遊技者に対して配信するパスワード配信手段と、
前記発行要求に伴い前記パスワードを配信する場合に、該発行要求を行った遊技者の遊技者識別情報に対応付けて前記パスワード発行手段が発行したパスワードを登録するパスワード登録手段と、
を備え、
前記遊技機(スロットマシン1)は、
前記パスワードを入力するためのパスワード入力手段(ストップスイッチ8L、8C、8R、MAXBETスイッチ6、パスワード入力画面)と、
前記パスワード入力手段によりパスワードを入力した遊技者が当該遊技機にて遊技を行った結果による新たな遊技履歴を特定可能な遊技履歴情報(2次元コード)を生成する遊技履歴情報生成手段と、
前記遊技履歴情報生成手段が生成した遊技履歴情報を出力する遊技履歴情報出力手段と、
を備え、
前記遊技履歴情報生成手段は、前記パスワード入力手段により入力されたパスワードを特定可能な情報を含む前記遊技履歴情報(2次元コード)を生成し、
前記管理装置(管理サーバ1000)は、
前記遊技履歴情報(2次元コード)から特定される遊技履歴及びパスワードを特定可能な情報を含む更新要求を受け付ける更新要求受付手段と、
前記更新要求を受け付けた際に、該更新要求を行った遊技者の遊技者識別情報(端末識別情報)に対応付けて登録されているパスワードと、該更新要求に含まれる情報から特定されるパスワードと、に基づいて該更新要求を行った遊技者を認証する認証手段と、
前記認証手段が認証したことを条件に、該更新要求を行った遊技者の遊技者識別情報(端末識別情報)に対応付けて前記遊技履歴記憶手段(遊技者データベース)に記憶されている遊技履歴を、該更新要求に含まれる情報から特定される新たな遊技履歴に基づいて更新する遊技履歴更新手段と、
をさらに備える
ことを特徴としている。
この特徴によれば、パスワードの発行要求を行うことで、パスワードを取得し、遊技を開始する際に入力し、遊技終了時に遊技履歴情報を取得して更新要求を行うことにより新たな遊技履歴に更新するとともに、管理装置が更新要求を受けることで、該当する遊技者識別情報に対応して登録されているパスワード、すなわち当該遊技者が発行時に取得したパスワードと、遊技履歴情報に含まれるパスワードと、に基づいて認証が行われ、認証された場合のみ、遊技履歴情報から特定される遊技履歴に基づいて該当する遊技者識別情報に対応する遊技履歴が更新されることとなる。このため、遊技者は、複雑なIDなどを入力することなく、遊技開始時に簡単なパスワードを入力し、遊技終了時に遊技履歴情報を取得し、管理装置にアクセスするだけで、遊技履歴を蓄積することが可能なうえに、管理装置から発行されたパスワードと遊技履歴情報から特定されるパスワードに基づいて管理装置の認証を受けなければ遊技履歴の更新は行われないので、パスワードやIDの盗用によるなりすましも防止することができる。
尚、パスワード入力手段は、遊技者がパスワードを直接入力可能な構成でも良いし、バーコードや2次元コードから読み取ることによりパスワードを入力可能な構成でも良い。
また、遊技履歴情報出力手段は、文字データを表示することで遊技履歴情報を出力する構成でも良いし、バーコードや2次元コードなどのようにコード化したデータを表示することで遊技履歴情報を出力する構成でも良いし、有線接続、無線接続、赤外線接続などにより外部から読み取り可能に出力することで遊技履歴情報を出力する構成でも良い。
また、パスワードと遊技履歴情報は、同じ形式のデータを用いても良いし、双方に異なる形式のデータを用いても良い。」

(イ)「【0023】
本実施例のスロットマシン1においてゲームを行う場合には、まず、メダルをメダル投入部4から投入するか、あるいはクレジットを使用して賭数を設定する。クレジットを使用するにはMAXBETスイッチ6を操作すれば良い。遊技状態に応じて定められた規定数の賭数が設定されると、入賞ラインL1?L5(図2参照)が有効となり、スタートスイッチ7の操作が有効な状態、すなわち、ゲームが開始可能な状態となる。本実施例では、規定数の賭数として遊技状態に関わらず3枚が定められて規定数の賭数が設定されると入賞ラインL1?L5が有効となる。尚、遊技状態に対応する規定数のうち最大数を超えてメダルが投入された場合には、その分はクレジットに加算される。」

(ウ)「【0039】
また、演出制御基板90には、スロットマシン1の前面扉1bに配置された液晶表示器51(図2参照)、演出効果LED52、スピーカ53、54(図26参照)、前述したリールLED55等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。
・・・
【0042】
演出制御基板90には、メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91、演出制御基板90に接続された液晶表示器51の表示制御を行う表示制御回路92、演出効果LED52、リールLED55の駆動制御を行うLED駆動回路93、スピーカ53、54からの音声出力制御を行う音声出力回路94、電源投入時またはサブCPU91aからの初期化命令が一定時間入力されないときにサブCPU91aにリセット信号を与えるリセット回路95、演出制御基板90に接続された演出用スイッチ56から入力された検出信号を検出するスイッチ検出回路96、日付情報及び時刻情報を含む時間情報を出力する時計装置97、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出したときに、その旨を示す電圧低下信号をサブCPU91aに対して出力する電断検出回路98、その他の回路等、が搭載されており、サブCPU91aは、遊技制御基板40から送信されるコマンドを受けて、演出を行うための各種の制御を行うとともに、演出制御基板90に搭載された制御回路の各部を直接的または間接的に制御する。」

(エ)「【0158】
また、サブCPU91aは、遊技開始時に後述するパスワードが入力された場合に、ゲーム数に応じて液晶表示器51にて複数段階からなるストーリーが順次進行するようになっている。詳しくは、ゲーム数に応じてストーリーがある段階まで到達すると、次の段階のストーリーが展開されることとなる。
・・・
【0161】
具体的には、図9(a)に示すメインメニュー画面から「パスワード入力」を選択し、管理サーバ1000にて発行されたパスワードを入力することにより、以前の遊技履歴に応じたレベル、ストーリーの段階及び演出設定を引き継いで遊技を行うことが可能となる。
【0162】
パスワードは、後に詳述するが、後述する管理サーバ1000にて管理されている遊技者個人の遊技履歴に応じた記念日、レベル、ストーリーの段階、演出設定を特定可能な8文字からなる文字データである。
・・・
【0168】
パスワードが正規のパスワードであると認証されると、RAM91cに割り当てられた個人履歴格納領域(総ゲーム数、BB回数、RB回数、達成ミッション)の値が初期化されるとともに、パスワードから解析される記念日がRAM91cに割り当てられた記念日格納領域に、パスワードから解析されるレベルがRAM91cに割り当てられたレベル格納領域に、パスワードから解析されるストーリーがRAM91cに割り当てられたストーリー格納領域に、パスワードから解析される演出設定1?4がRAM91cに割り当てられた演出設定格納領域に設定され、これに伴い以前の遊技履歴に応じたレベル、ストーリー及び演出設定が引き継がれることとなる。また、この際、入力されたパスワードそのものがRAM91cに割り当てられたパスワード格納領域に格納されるようになっている。
・・・
【0172】
また、前述のようにRAM91cには、個人履歴格納領域が割り当てられており、パスワードを入力し、正規のパスワードと認証されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)が蓄積されるようになっている。さらに予めスロットマシンに設定されたミッション(課題)を達成した場合には、達成したミッションの種類を示す達成ミッションの履歴も蓄積されるようになっている。また、前述のようにポイントを10ポイント獲得する毎に、レベル格納領域に格納されたレベルが上昇するようになっている。また、ゲーム数に応じてストーリーが進展し、ある決められたゲーム数に到達することで次の段階に進展するようになっている。
【0173】
そして、遊技者が遊技を終える場合には、当該遊技者の遊技履歴、現在のレベル、ストーリーの段階、演出設定、達成ミッションの履歴を特定可能な2次元コードを取得し、2次元コードから特定される内容を管理サーバ1000が備える後述の遊技者データベースの内容に反映させることができるようになっている。」

(オ)「【0180】
詳しくは、遊技の開始操作、本実施例では演出用スイッチ56を一定時間以上操作すること(以下、演出用スイッチ56の長押しとする)で、RAM91cに割り当てられた個人履歴格納領域(総ゲーム数、BB回数、RB回数、達成ミッション)の値が初期化される。演出用スイッチ56が長押しされた場合には、演出用スイッチ56が長押しされたことやパスワードの入力に伴う遊技の開始操作がなされた後、「2次元コード作成」が選択されていない場合であっても、個人履歴格納領域の値が初期化されるようになっている。」

(カ)「【0190】
具体的には、図9(a)に示すメインメニュー画面から「簡単スタート」を選択することで、サブCPU91aは、一定の範囲で更新される乱数から開始時乱数を取得し、RAM91cに割り当てられた開始時乱数格納領域に取得した開始時乱数を格納し、初回開始時用の2次元コードを生成し、表示させる。この2次元コードには、図15(a)に示すように、管理サーバ1000上の仮登録ページの所在を示すURLと、開始時乱数と、が格納されており、この2次元コードを携帯端末1001により読み取り、2次元コードから特定される管理サーバ1000のURLにアクセスすることで、アクセスした携帯端末1001に割り当てられた端末識別情報(SIMデータ)と、2次元コードから特定される開始時乱数と、が対応付けて仮登録されるようになっている。
・・・
【0192】
個人履歴格納領域には、「簡単スタート」が選択されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)が蓄積されるようになっている。さらにパスワードが入力された場合と同様に予めスロットマシンに設定されたミッション(課題)を達成した場合には、達成したミッションの種類を示す達成ミッションの履歴も蓄積されるようになっている。また、前述のようにポイントを10ポイント獲得する毎に、レベル格納領域に格納されたレベルが上昇するようになっている。
・・・
【0194】
「簡単スタート」を選択して遊技を開始した後、遊技を終了する際に表示される2次元コードは、パスワードを入力して開始した場合と異なり、図15(b)に示すように、管理サーバ上の本登録ページの所在を示すURLと、開始時乱数格納領域に格納されている開始時乱数と、個人履歴格納領域に記憶されている総ゲーム数、BB回数、RB回数、達成ミッションの種類と、レベル格納領域に格納されているレベル値と、ストーリー格納領域に格納されているストーリーの段階と、演出設定格納領域に格納されている演出設定1?4と、が格納されている。
・・・
【0196】
このように本実施例のスロットマシン1では、「簡単スタート」を入力することで、開始時乱数を取得し、この開始時乱数を特定可能な2次元コードが表示されるのみで、パスワードを入力することなく、パスワードを入力した場合と同様に遊技を行うことが可能となる。そして、遊技終了時には、「簡単スタート」を入力してから終了までの遊技履歴と、「簡単スタート」入力時に取得した開始時乱数と、を特定可能な2次元コードが表示される。そして、遊技者は、遊技開始時に表示された2次元コードにて管理サーバ1000にアクセスして仮登録しておき、遊技終了時に表示された2次元コードにて管理サーバ1000にアクセスすることで、管理サーバ1000側では、遊技終了時に送信された2次元コードから特定される開始時乱数と、管理サーバ1000に仮登録されている開始時乱数と、が一致したことを条件に、当該2次元コードから特定される遊技履歴、すなわち当該遊技者の遊技履歴を新規に登録することが可能となる。このため、初めて遊技履歴の蓄積機能を利用する遊技者は、遊技を行う前に予め管理サーバ1000にアクセスして会員登録を行う必要がなく、「簡単スタート」の入力により表示された2次元コードで管理サーバ1000にアクセスするだけで、パスワードを入力したのと同様の遊技を開始することが可能となり、その後、遊技の終了操作により表示された2次元コードで管理サーバ1000にアクセスするだけで、その間の遊技履歴を管理サーバ1000に登録・蓄積させることが可能となる。」

(キ)「【0206】
本実施例のサブCPU91aは、パスワードを入力するか、「簡単スタート」を入力した場合、または演出用スイッチ56の長押しに伴う遊技の開始操作がなされた場合に、パスワードの入力も「簡単スタート」の入力もせず、演出用スイッチ56による遊技の開始操作もなされずに遊技を行った場合の演出態様(通常演出モード)とは異なる演出態様の特定演出モードに制御する。」

(ク)「【0248】
そして遊技者が遊技を終了し、メインメニュー画面から「2次元コード作成」を選択することで開始時乱数格納領域に格納されている開始時乱数、個人履歴格納領域に記憶されている総ゲーム数、BB回数、RB回数、達成ミッションの種類と、レベル格納領域に格納されているレベル値、ストーリー格納領域に格納されているストーリーの段階、演出設定格納領域に格納されている演出設定1?4と、からなる遊技履歴を取得し、これらのデータと、本登録ページの所在を示すURLと、から2次元コードが生成され、液晶表示器51に表示されるとともに、個人履歴格納領域、レベル格納領域、ストーリー格納領域、演出設定格納領域が初期化され、特定演出モードから通常演出モードに移行する。」

(ケ)「【0264】
そして遊技者が遊技を終了し、メインメニュー画面から「2次元コード作成」を選択することでパスワード格納領域に格納されているパスワード、個人履歴格納領域に記憶されている総ゲーム数、BB回数、RB回数、達成ミッションの種類と、レベル格納領域に格納されているレベル値、ストーリー格納領域に格納されているストーリーの段階、演出設定格納領域に格納されている演出設定1?4と、からなる遊技履歴、一定の範囲で更新される乱数から遊技乱数を取得し、これらのデータと、更新ページの所在を示すURLと、から2次元コードが生成され、液晶表示器51に表示されるとともに、個人履歴格納領域が初期化され、特定演出モードから通常演出モードに移行する。」

(コ)「【0317】
また、本実施例では、スロットマシン1で「簡単スタート」を入力することで、開始時乱数を取得し、この開始時乱数を特定可能な2次元コードが表示されるのみで、パスワードを入力することなく、パスワードを入力した場合と同様に遊技を行うことが可能となる。そして、遊技終了時には、「簡単スタート」を入力してから終了までの遊技履歴と、「簡単スタート」入力時に取得した開始時乱数と、を特定可能な2次元コードが表示される。そして、遊技者は、遊技開始時に表示された2次元コードに基づいて管理サーバ1000に対して開始時登録要求を行い、携帯端末の端末識別情報及び開始時乱数を仮登録データベースに登録しておき、遊技終了時に表示された2次元コードに基づいて管理サーバ1000に対して終了時登録要求を行うことで、管理サーバ1000側では、終了時登録要求から特定される開始時乱数と、管理サーバ1000の仮登録データベースに登録されている開始時乱数、すなわち開始時登録要求にて送信された開始時乱数と、が一致したことを条件に、当該終了時登録要求から特定される遊技履歴、すなわち当該遊技者の端末識別情報及び遊技履歴を管理サーバ1000の遊技者データベースに新規に登録し、次回からパスワードの発行を受けて遊技履歴を引き継ぐことが可能となる。このため、初めて遊技履歴の蓄積機能を利用する遊技者は、遊技を行う前に予め管理サーバ1000にアクセスして会員登録を行う必要がなく、「簡単スタート」の入力により表示された2次元コードで管理サーバ1000に1度アクセスするだけで、パスワードを入力したのと同様の遊技を開始することが可能となり、その後、遊技の終了操作により表示された2次元コードで管理サーバ1000にアクセスするだけで、その間の遊技履歴を管理サーバ1000の遊技者データベースに登録・蓄積させることが可能となる。」

上記(ア)?(ケ)の記載事項から、以下の事項が導かれる。

(あ)上記段落【0006】の「尚、パスワード入力手段は、遊技者がパスワードを直接入力可能な構成でも良いし」との記載、上記段落【0161】の「メインメニュー画面から「パスワード入力」を選択し、管理サーバ1000にて発行されたパスワードを入力することにより、以前の遊技履歴に応じたレベル、ストーリーの段階及び演出設定を引き継いで遊技を行うことが可能となる。」との記載、上記段落【0162】の「管理サーバ1000にて管理されている遊技者個人の遊技履歴」との記載、上記段落【0180】の「パスワードの入力に伴う遊技の開始操作」との記載より、刊行物2には、メインメニュー画面から「パスワード入力」を選択すると、遊技者個人の遊技履歴を管理する管理サーバ1000にて発行されたパスワードを遊技者が入力することに伴い遊技を開始することが記載されているといえる。
また、上記段落【0190】の「図9(a)に示すメインメニュー画面から「簡単スタート」を選択することで」との記載、上記段落【0194】の「「簡単スタート」を選択して遊技を開始した後」との記載、上記段落【0196】の「このように本実施例のスロットマシン1では、「簡単スタート」を入力することで、・・・、パスワードを入力することなく、パスワードを入力した場合と同様に遊技を行うことが可能となる。」との記載より、刊行物2には、メインメニュー画面から「簡単スタート」を選択すると、パスワードを入力することなく遊技を開始することが記載されているといえる。
さらに、上記段落【0158】の「サブCPU91aは、遊技開始時に後述するパスワードが入力された場合に、ゲーム数に応じて液晶表示器51にて複数段階からなるストーリーが順次進行するようになっている。」、段落【0190】の「図9(a)に示すメインメニュー画面から「簡単スタート」を選択することで、サブCPU91aは、一定の範囲で更新される乱数から開始時乱数を取得し、RAM91cに割り当てられた開始時乱数格納領域に取得した開始時乱数を格納し、初回開始時用の2次元コードを生成し、表示させる。」、段落【0206】の「本実施例のサブCPU91aは、パスワードを入力するか、「簡単スタート」を入力した場合、または・・・場合に、・・・とは異なる演出態様の特定演出モードに制御する。」との記載より、パスワードを入力、又は「簡単スタート」を選択した場合の制御は、「サブCPU91a」が実行しているといえ、上記段落【0042】の「サブCPU91a・・・を備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91」との記載より、当該「サブCPU91a」を備えるのは「サブ制御部91」である。
加えて、「メインメニュー画面」での選択を遊技者が行うことは自明である。
したがって、刊行物2には、サブ制御部91は、メインメニュー画面から遊技者が「パスワード入力」を選択すると、遊技者個人の遊技履歴を管理する管理サーバ1000にて発行されたパスワードを遊技者が入力することに伴い遊技を開始し、メインメニュー画面から遊技者が「簡単スタート」を選択すると、パスワードを入力することなく遊技を開始することが記載されていると認められる。

(い)上記段落【0039】の「また、演出制御基板90には、・・・液晶表示器51・・・等の演出装置が接続されており、これら演出装置は、演出制御基板90に搭載された後述のサブ制御部91による制御に基づいて駆動されるようになっている。」との記載、上記段落【0042】の「サブCPU91a・・・を備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91」との記載、上記段落【0190】の「図9(a)に示すメインメニュー画面から「簡単スタート」を選択することで、サブCPU91aは、一定の範囲で更新される乱数から開始時乱数を取得し、RAM91cに割り当てられた開始時乱数格納領域に取得した開始時乱数を格納し、初回開始時用の2次元コードを生成し、表示させる。」との記載より、2次元コードの生成、及び「液晶表示器51」の制御を実行するのは、「サブ制御部91」であるといえる。
このことと、上記段落【0173】の「遊技者が遊技を終える場合には、当該遊技者の遊技履歴、・・・、演出設定、・・・を特定可能な2次元コードを取得し」との記載、上記段落【0248】の「そして遊技者が遊技を終了し、メインメニュー画面から「2次元コード作成」を選択することで・・・、個人履歴格納領域に記憶されている総ゲーム数、BB回数、RB回数、・・・と、からなる遊技履歴を取得し、これらのデータと、・・・と、から2次元コードが生成され、液晶表示器51に表示される」との記載、上記段落【0264】の「そして遊技者が遊技を終了し、メインメニュー画面から「2次元コード作成」を選択することで・・・、個人履歴格納領域に記憶されている総ゲーム数、BB回数、RB回数、・・・と、からなる遊技履歴、・・・を取得し、これらのデータと、・・・と、から2次元コードが生成され、液晶表示器51に表示される」との記載より、刊行物2には、サブ制御部91は、遊技者が遊技を終了し、メインメニュー画面から「2次元コード作成」が選択されると、遊技者の遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)、演出設定を特定可能な2次元コードを生成して液晶表示器51に表示することが記載されていると認められる。

(う)上記段落【0042】の「メイン制御部41と同様にサブCPU91a、ROM91b、RAM91c、I/Oポート91dを備えたマイクロコンピュータにて構成され、演出の制御を行うサブ制御部91」との記載より、「RAM91c」に関する処理を実行するのは、「サブ制御部91」であるといえる。
このことと、上記段落【0172】の「また、前述のようにRAM91cには、個人履歴格納領域が割り当てられており、パスワードを入力し、正規のパスワードと認証されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)が蓄積されるようになっている。」との記載、上記段落【0192】の「個人履歴格納領域には、「簡単スタート」が選択されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)が蓄積されるようになっている。」との記載より、刊行物2には、サブ制御部91は、パスワードが入力されて正規のパスワードと認証されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)、及び「簡単スタート」が選択されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)を蓄積することが記載されていると認められる。

(え)上記段落【0161】の「具体的には、図9(a)に示すメインメニュー画面から「パスワード入力」を選択し、管理サーバ1000にて発行されたパスワードを入力することにより、以前の遊技履歴に応じた・・・及び演出設定を引き継いで遊技を行うことが可能となる。」との記載、上記段落【0168】の「パスワードが正規のパスワードであると認証されると、・・・、パスワードから解析される演出設定1?4がRAM91cに割り当てられた演出設定格納領域に設定され、これに伴い以前の遊技履歴に応じた・・・及び演出設定が引き継がれることとなる。」との記載、及び上記(う)での検討から「RAM91c」に関する処理を実行するのは「サブ制御部91」であることより、刊行物2には、サブ制御部91が、メインメニュー画面から「パスワード入力」を選択して入力されたパスワードから解析される演出設定1?4を、RAM91cに割り当てられた演出設定格納領域に設定すると、以前の遊技履歴に応じた演出設定を引き継いで遊技を行うことが可能となることが記載されていると認められる。

上記(ア)?(ケ)の記載事項、及び上記(あ)?(え)の認定事項を総合すると、刊行物2には、次の事項が記載されていると認められる(以下、「刊行物2記載事項」という。)。
「a ゲームを行うスロットマシン1であって、(段落【0023】)
b、i サブ制御部91は、メインメニュー画面から遊技者が「パスワード入力」を選択すると、遊技者個人の遊技履歴を管理する管理サーバ1000にて発行されたパスワードを遊技者が入力することに伴い遊技を開始し、メインメニュー画面から遊技者が「簡単スタート」を選択すると、パスワードを入力することなく遊技を開始し、(認定事項(あ))
c、h’サブ制御部91は、遊技者が遊技を終了し、メインメニュー画面から「2次元コード作成」が選択されると、遊技者の遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)、演出設定を特定可能な2次元コードを生成して液晶表示器51に表示し、(認定事項(い))
g サブ制御部91は、パスワードが入力されて正規のパスワードと認証されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)、及び「簡単スタート」が選択されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)を蓄積し、(認定事項(う))
j’サブ制御部91が、メインメニュー画面から「パスワード入力」を選択して入力されたパスワードから解析される演出設定1?4を、RAM91cに割り当てられた演出設定格納領域に設定すると、以前の遊技履歴に応じた演出設定を引き継いで遊技を行うことが可能となる、(認定事項(え))
スロットマシン1。(段落【0023】)」

(3)対比
本件補正発明と刊行物1発明とを対比する(下記の(a)?(k)は、刊行物1発明の構成a?k’に対応している。)。

(a)刊行物1発明の「遊技を行うことが可能なスロットマシン(遊技機)10」は、本件補正発明の「遊技を行なうことが可能な遊技機」に相当する。

(b)
(b-1)刊行物1発明の「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」をして「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作は、その後の「そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始する」契機となっているから、本件補正発明の「開始操作」に相当する。
また、下記(i)において検討するように、当該「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」をして「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作は、本件補正発明の「開始操作」のうちの「第1開始操作」に相当する。

(b-2)刊行物1発明の「演出制御手段64」が「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御」することにおいては、「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」が行われると、「パスワード入力画面を画像表示するように制御」することより、「演出制御手段64」が「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」を受け付けているといえる。
また、刊行物1発明の「演出制御手段64」が「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御」することにおいては、「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作が行われると、「そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御」することより、「演出制御手段64」が「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作を受け付けているといえる。
したがって、上記(b-1)での検討をふまえれば、刊行物1発明において「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御し、遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御」することは、本件補正発明において「開始操作(第1開始操作)を受付ける」ことに相当する。

(b-3)よって、刊行物1発明の「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御し、遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御」する「演出制御手段64」は、本件補正発明の「開始操作を受付ける開始受付手段」と、「第1開始操作を受付ける開始受付手段」としての機能を有する点で共通する。

(c)
(c-1)刊行物1発明の「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択する」操作は、「遊技者が遊技を終了するときに」なされるものであり、かつその後に「遊技者が特に何もせずに席を離れることができるように、自動でこの画面を終了して、初期画面に戻るように制御」されることから、本件補正発明の「終了操作」に相当する。

(c-2)刊行物1発明の「演出制御手段64」が「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成」することにおいては、「メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択する」操作が行われると、「二次元コードを作成」する制御を実行することより、「演出制御手段64」が「メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択する」操作を受け付けているといえる。
したがって、上記(c-1)での検討より、「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択する」操作が、本件補正発明の「終了操作」に相当することをふまえれば、刊行物1発明において「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成」することは、本件補正発明において「終了操作を受付ける」ことに相当する。
よって、刊行物1発明において「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成し」、その後に「遊技者が特に何もせずに席を離れることができるように、自動でこの画面を終了して、初期画面に戻るように制御」する「演出制御手段64」は、本件補正発明の「終了操作を受付ける終了受付手段」としての機能を有する。

(d)刊行物1発明の「通常時の演出」は、本件補正発明の「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出」と、「所定演出」である点で共通する。
また、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、「通常時の演出」の演出態様を定めるものであるから、「通常時の演出」の演出状態であるといえる。
したがって、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態」と、「所定演出の演出状態」である点で共通する。
他方、刊行物1発明の「遊技者がキャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうちから選択する」操作は、「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)」のためのものであるから、本件補正発明の「変更操作」に相当する。
よって、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを、遊技者がキャラクタ「A・B」?「G・H」の4つのペアのうちから選択すると、カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)する機能を実行」する「演出制御手段64」は、本件補正発明の「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態を変更操作に応じて変更する演出状態変更手段」と、「所定演出の演出状態を変更操作に応じて変更する演出状態変更手段」としての機能を有する点で共通する。

(e)本件補正発明の「前記演出状態」は、「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態」(構成D)のことであるから、上記(d)での検討をふまえると、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「前記演出状態」と、「所定演出の演出状態」である点で共通する。
他方、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、「演出制御手段64」によって「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)」される(構成d’)ものであり、また、上記(d)での検討より、刊行物1発明の「演出制御手段64」は、本件補正発明の「演出状態変更手段」としての機能を有する。
したがって、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「前記演出状態変更手段によって変更された前記演出状態」と、「演出状態変更手段によって変更された」「所定演出の演出状態」である点で共通する。
よって、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを記憶する手段」は、本件補正発明の「前記演出状態変更手段によって変更された前記演出状態を記憶する演出状態記憶手段」と、「演出状態変更手段によって変更された」「所定演出の演出状態を記憶する演出状態記憶手段」である点で共通する。

(f)上記(e)での検討より、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「演出状態記憶手段」に対応する手段に記憶されており、加えて、本件補正発明の「前記演出状態」と「所定演出の演出状態」である点で共通する。
また、本件補正発明の「前記所定演出」は「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出」(構成D)のことであるから、上記(d)での検討をふまえると、刊行物1発明の「通常時の演出」は、本件補正発明の「前記所定演出」と、「所定演出」である点で共通する。
したがって、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアに応じて通常時の演出を実行」する「演出制御手段64」は、本件補正発明の「前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に応じて前記所定演出を実行する演出実行手段」と、「演出状態記憶手段に記憶された」「所定演出の演出状態に応じて」「所定演出を実行する演出実行手段」としての機能を有する点で共通する。

(g)
(g-1)刊行物1発明の「トータルの遊技回数や、特別役当選回数(特別遊技の実行回数)等の遊技履歴」は、本件補正発明の「遊技履歴情報」に相当する。
また、上記「トータルの遊技回数」や「特別役当選回数(特別遊技の実行回数)」が、遊技の進行に応じて刻々と変動することが技術常識であることをふまえれば、刊行物1発明において「トータルの遊技回数や、特別役当選回数(特別遊技の実行回数)等の遊技履歴を、所定のRAM等に記憶」することは、本件補正発明において「遊技履歴情報を蓄積する」ことに相当する。

(g-2)刊行物1発明における「パスワード」の「入力」は、「演出制御手段64」が「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御し、遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御」する(構成b’、i’)ことに基づいている。
そして、上記(b-2)、(b-3)での検討より、「演出制御手段64」が「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御し、遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御」することは、本件補正発明において「開始受付手段」が「第1開始操作を受付ける」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明の「パスワードが入力されてから」は、本件補正発明の「前記開始受付手段によって第1開始操作が受付けられたことに基づいて」に相当する。

(g-3)上記(g-1)、(g-2)での検討より、刊行物1発明の「パスワードが入力されてからの、トータルの遊技回数や、特別役当選回数(特別遊技の実行回数)等の遊技履歴を、所定のRAM等に記憶」する「演出制御手段64」は、本件補正発明の「前記開始受付手段によって前記開始操作が受付けられたことに基づいて、遊技履歴情報を蓄積する蓄積手段」と、「前記開始受付手段によって第1開始操作が受付けられたことに基づいて、遊技履歴情報を蓄積する蓄積手段」としての機能を有する点で共通する。

(h)
(h-1)上記(e)での検討より、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「演出状態記憶手段」に対応する手段に記憶されており、加えて、本件補正発明の「前記演出状態」と「所定演出の演出状態」である点で共通する。
したがって、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報」と、「演出状態記憶手段に記憶された」「所定演出の演出状態に関する情報」である点で共通する。
このことと、刊行物1発明の「遊技履歴」は本件補正発明の「遊技履歴情報」に相当することより、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアと、遊技履歴とを含む二次元コード」は、本件補正発明の「前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報」と、「演出状態記憶手段に記憶された」「所定演出の演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報」である点で共通する。
よって、刊行物1発明において「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアと、遊技履歴とを含む二次元コードを画像表示する」ことは、本件補正発明の「前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する」ことと、「演出状態記憶手段に記憶された」「所定演出の演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する」点で共通する。

(h-2)刊行物1発明は、「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成し、作成した二次元コードを画像表示するように制御」(構成c)するものであるところ、「二次元コードを画像表示する」制御は、その前の「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成」する制御に基づいているといえる。
他方、上記(c-2)での検討より、刊行物1発明において「演出制御手段64」が「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成」することは、本件補正発明において「終了受付手段」が「終了操作を受付ける」ことに相当する。
これらのことと上記(h-1)での検討より、刊行物1発明において「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアについての情報と、遊技履歴とを含む二次元コードを画像表示する」ことは、本件補正発明の「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する」ことと、「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、」「演出状態記憶手段に記憶された」「所定演出の演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する」点で共通する。
よって、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアについての情報と、遊技履歴とを含む二次元コードを画像表示するように制御」する「演出制御手段64」は、本件補正発明の「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する情報出力手段」と、「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、」「演出状態記憶手段に記憶された」「所定演出の演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する情報出力手段」としての機能を有する点で共通する。

(i)
(i-1)上記(b-1)での検討より、刊行物1発明の「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」をして「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作は、本件補正発明の「開始操作」に相当する。
また、上記「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」をして「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作は、「遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワード」の「入力」を伴っていることが明らかである。
加えて、刊行物1発明の「パスワード」は、本件補正発明の「発行情報」に相当する。

(i-2)刊行物1発明において「遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新する」ことは、本件補正発明において「遊技履歴情報を管理する」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明の「遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200」は、本件補正発明の「前記遊技履歴情報を管理する管理装置」に相当する。

(i-3)上記(i-1)、(i-2)での検討より、刊行物1発明の「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」をして「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作は、本件補正発明の「前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作」に相当する。
他方、上記(b-2)、(b-3)での検討より、刊行物1発明において「演出制御手段64」が「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御し、遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御」することは、本件補正発明において「開始受付手段」が「開始操作を受付ける」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明において「演出制御手段64は、メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作が遊技者により行われると、パスワード入力画面を画像表示するように制御し、遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力すると、そのパスワードに基づいて前回の遊技履歴から遊技を開始することができるように制御」することは、本件補正発明の「前記開始受付手段は、前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作と、前記発行情報の入力を伴わない第2開始操作とを前記開始操作として受付け可能であ」ることと、「前記開始受付手段は、前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作」「を」「前記開始操作として受付け可能であ」る点で共通する。

(j)
(j-1)刊行物1発明の「入力されたパスワード」は、本件補正発明の「入力された前記発行情報」に相当するところ、刊行物1発明の「入力されたパスワードから読み取った」ことは、本件補正発明の「入力された前記発行情報に基づいて特定される」ことに相当する。
また、上記(e)での検討より、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「前記演出状態」と、「所定演出の演出状態」である点で共通する。
したがって、刊行物1発明の「入力されたパスワードから読み取った、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態」と、「入力された前記発行情報に基づいて特定される」「所定演出の演出状態」である点で共通する。

(j-2)刊行物1発明の「パスワード」は、「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」をして「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作(構成b’、i’)によって入力されるものであり、上記(i-3)で検討したように、当該「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」をして「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作は、本件補正発明の「第1開始操作」に相当する。
このことと、上記(j-1)での検討より、刊行物1発明の「入力されたパスワードから読み取った、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態」と、「前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される」「所定演出の演出状態」である点で共通する。

(j-3)刊行物1発明において「入力されたパスワードから読み取った、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアをセット」できることは、「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを」「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)する機能」(構成d’)の範疇であるといえる。
このことと、上記(j-2)での検討より、刊行物1発明において「入力されたパスワードから読み取った、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアをセット」することは、本件補正発明の「前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態に変更」することと、「前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される」「所定演出の演出状態に変更」する点で共通する。
よって、刊行物1発明の「入力されたパスワードから読み取った、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアをセット」する「演出制御手段64」は、本件補正発明の「前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態に変更」する「演出状態変更手段」と、「前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される」「所定演出の演出状態に変更」する「演出状態変更手段」としての機能を有する点で共通する。

(k)
(k-1)上記(h-2)での検討より、「二次元コードを画像表示する」制御は、その前の「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成」する制御に基づいているところ、二次元コードの画像表示の終了時に行う制御もまた、「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成」する制御に基づいているといえる。
加えて、上記(h-2)での検討より、刊行物1発明において「演出制御手段64」が「遊技者が遊技を終了するときに、メニューキー43を用いて「二次元コード表示」の項目を選択すると、二次元コードを作成」することは、本件補正発明において「終了受付手段」が「終了操作を受付ける」ことに相当する。
したがって、刊行物1発明の「二次元コードの画面の画像表示の終了時に」は、本件補正発明の「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて」に相当する。

(k-2)上記(e)での検討より、刊行物1発明の「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」は、本件補正発明の「前記演出状態」と、「所定演出の演出状態」である点で共通する。

(k-3)本件補正発明の「前記演出状態を初期状態とする」ことに関して、本件明細書の段落【0013】には「前記演出状態変更手段は、前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことを条件として前記演出状態を初期状態とする」と記載され、続く段落【0014】には「このような構成によれば、終了操作が受付けられたことを条件として演出状態が初期状態とされる。このため、遊技における所定演出の演出状態が変更されたとしても所定の遊技を終了させるための終了操作が受付けられたことを条件として演出状態が初期状態とされる。その結果、遊技者が意図しない演出状態で遊技を強いられるおそれを低減することができる。」と記載されている。
したがって、本件補正発明において「前記演出状態を初期状態と」した際には、演出状態についての記憶は破棄されるものと解される。
この理解をふまえると、刊行物1発明において「情報を消去するように制御する」ことは、本件補正発明において「初期状態とする」ことに相当する。

(k-4)上記(k-2)、(k-3)での検討より、刊行物1発明において「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアの情報を消去するように制御する」ことは、本件補正発明の「前記演出状態を初期状態とする」ことと、「所定演出の演出状態を初期状態とする」点で共通する。

(k-5)上記(k-1)、(k-4)での検討より、刊行物1発明の「演出制御手段64は、二次元コードの画面の画像表示の終了時に、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアの情報を消去するように制御する、スロットマシン(遊技機)10。」は、本件補正発明の「前記演出状態変更手段は、」「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて前記演出状態を初期状態とする、遊技機。」と、「演出状態変更手段は、」「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて」「所定演出の演出状態を初期状態とする、遊技機。」である点において共通する。

上記(a)?(k)の対比より、本件補正発明と刊行物1発明とは、次の点で一致している。
「【請求項1】
A 遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
B’第1開始操作を受付ける開始受付手段と、
C 終了操作を受付ける終了受付手段と、
D’所定演出の演出状態を変更操作に応じて変更する演出状態変更手段と、
E’演出状態変更手段によって変更された所定演出の演出状態を記憶する演出状態記憶手段と、
F’演出状態記憶手段に記憶された所定演出の演出状態に応じて所定演出を実行する演出実行手段と、
G’前記開始受付手段によって第1開始操作が受付けられたことに基づいて、遊技履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
H’前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、演出状態記憶手段に記憶された所定演出の演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する情報出力手段とを備え、
I’前記開始受付手段は、前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作を前記開始操作として受付け可能であり、
J’演出状態変更手段は、
前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される所定演出の演出状態に変更し、
K’前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて所定演出の演出状態を初期状態とする、遊技機。」

そして、本件補正発明と刊行物1発明とは、次の点で相違している。

(相違点1)
開始受付手段に関して、発行情報の入力を伴う第1開始操作を開始操作として受付け可能であることに加えて、本件補正発明は、発行情報の入力を伴わない第2開始操作を開始操作として受付け可能であるのに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。(構成B、I)

(相違点2)
演出状態変更手段、演出状態記憶手段、及び演出実行手段に関して、本件補正発明は、演出状態を変更し、変更された演出状態を記憶し、記憶された演出状態に応じて実行する所定演出が、遊技者にとって有利な内容を示唆するものであるのに対して、刊行物1発明は、「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」を「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)」し、カスタマイズした「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアを記憶」し、記憶した「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」に応じて実行する「通常時の演出」が、遊技者にとって有利な内容を示唆するものであるか否か不明である点。(構成D、E、F)。

(相違点3)
蓄積手段に関して、発行情報の入力を伴う第1開始操作が受付けられたことに基づいて遊技履歴情報を蓄積することに加えて、本件補正発明は、発行情報の入力を伴わない第2開始操作が受付けられたことに基づいて遊技履歴情報を蓄積するのに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。(構成G)

(相違点4)
情報出力手段に関して、出力される情報において遊技履歴情報とともに特定可能な演出状態に関する情報が、本件補正発明においては、遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出についての情報であるのに対して、刊行物1発明においては、遊技者にとって有利な内容を示唆するものであるか否か不明な「通常時の演出」についてのものである点。(構成H)

(相違点5)
演出状態変更手段に関して、第1開始操作によって入力された発行情報に基づいて特定されて変更する演出状態が、本件補正発明においては、遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出についてのものであるのに対して、刊行物1発明においては、遊技者にとって有利な内容を示唆するものであるか否か不明な「通常時の演出」についてのものである点。(構成J)

(相違点6)
演出状態変更手段に関して、終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて初期状態とする演出状態が、本件補正発明においては、遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出についてのものであるのに対して、刊行物1発明においては、遊技者にとって有利な内容を示唆するものであるか否か不明な「通常時の演出」についてのものである点。(構成K)

(4)判断
ア 上記相違点1及び3は、いずれも「第2開始操作」に関連するので、まとめて検討する。

(ア)本件補正発明と刊行物2記載事項との関係について
(ア-1)刊行物2記載事項の構成b、iにおける、「メインメニュー画面から遊技者が「パスワード入力」を選択」して、「遊技者個人の遊技履歴を管理する管理サーバ1000にて発行されたパスワードを遊技者が入力する」操作は、本件補正発明の構成Iにおける「前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作」に相当する。また、刊行物2記載事項の構成b、iにおける「パスワードを入力することなく遊技を開始」することのできる「メインメニュー画面から遊技者が「簡単スタート」を選択する」操作は、本件補正発明の構成Iにおける「前記発行情報の入力を伴わない第2開始操作」に相当する。
したがって、刊行物2記載事項の構成b、iにおける、「メインメニュー画面から遊技者が「パスワード入力」を選択すると、遊技者個人の遊技履歴を管理する管理サーバ1000にて発行されたパスワードを遊技者が入力することに伴い遊技を開始し、メインメニュー画面から遊技者が「簡単スタート」を選択すると、パスワードを入力することなく遊技を開始」する「サブ制御部91」は、本件補正発明の構成Bにおける「開始操作を受付ける開始受付手段」、及び本件補正発明の構成Iにおける「前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作と、前記発行情報の入力を伴わない第2開始操作とを前記開始操作として受付け可能であ」る「前記開始受付手段」としての機能を有する。
(ア-2)刊行物2記載事項の構成gにおいて「パスワードが入力されて正規のパスワードと認証されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)」を「蓄積」することが、構成b、iの「メインメニュー画面から遊技者が「パスワード入力」を選択」して、「遊技者個人の遊技履歴を管理する管理サーバ1000にて発行されたパスワードを遊技者が入力する」操作(第1開始操作)が受付けられることに基づいていること、及び構成gにおいて「「簡単スタート」が選択されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)を蓄積」することが、構成b、iの「メインメニュー画面から遊技者が「簡単スタート」を選択する」操作(第2開始操作)が受付けられることに基づいていることは明らかである。
したがって、刊行物2記載事項の構成gにおける「パスワードが入力されて正規のパスワードと認証されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)、及び「簡単スタート」が選択されてからの遊技履歴(総ゲーム数、BB回数、RB回数)を蓄積」する「サブ制御部91」は、本件補正発明の構成Gにおける「前記開始受付手段によって前記開始操作が受付けられたことに基づいて、遊技履歴情報を蓄積する蓄積手段」としての機能を有する。

(イ)刊行物1発明と刊行物2記載事項との関係について
刊行物1発明と上記(2)(2-2)で認定した刊行物2記載事項とは、サーバによって発行されたパスワードを遊技者が入力すると以前の遊戯履歴に応じて遊技を開始することができ、パスワードが入力されてからの遊技履歴を蓄積し、遊技者が終了操作をすると遊技履歴を含んだ2次元コードを表示するスロットマシンである点において、技術分野が共通する。
また、刊行物2の段落【0317】(上記(2)(2-2)の記載事項(コ))には「本実施例では、スロットマシン1で「簡単スタート」を入力することで、・・・、パスワードを入力することなく、パスワードを入力した場合と同様に遊技を行うことが可能となる。」、「このため、初めて遊技履歴の蓄積機能を利用する遊技者は、遊技を行う前に予め管理サーバ1000にアクセスして会員登録を行う必要がなく、「簡単スタート」の入力により表示された2次元コードで管理サーバ1000に1度アクセスするだけで、パスワードを入力したのと同様の遊技を開始することが可能となり」と記載されており、「簡単スタート」により、初めての遊技者がパスワードを入力することなくパスワードを入力した場合と同様の遊技を行うことが可能となるという効果について言及されている。このことと、遊技機の技術分野において遊技者の利便性を高めることが一般的な課題であることより、遊技を開始するにあたってパスワードを入力することしか特定されていない刊行物1発明において、初めての遊技者にとっての利便性を高めるべく、上記の効果を奏する「簡単スタート」に係る刊行物2記載事項の構成b、i及び構成gを採用することは、当業者がごく自然に想起することである。
したがって、技術分野及び課題のいずれの観点からも、刊行物1発明において刊行物2記載事項を採用する動機付けは存在するといえる。

(ウ)まとめ
上記(イ)で検討した動機付けにしたがって、刊行物1発明において刊行物2記載事項の構成b、i及び構成gを採用して、「メニュー画面から「パスワード入力」をメニューキー43で選択する操作」をして「遊技者がメニューキー43を使用して、遊技履歴の記憶領域を有し遊技者に対応する遊技履歴を更新するサーバーコンピュータ200によって発行されたパスワードを入力する」操作を受け付けることに加えて、パスワードを入力することのない「簡単スタート」を選択する操作を受け付け可能とするとともに、「パスワード入力」を選択する操作及びパスワードを入力する操作、並びに、「簡単スタート」を選択する操作のいずれが受け付けられた場合も、遊技履歴を蓄積するようにして、上記相違点1、3に係る本件補正発明の構成B、I、Gとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

イ 上記相違点2、4?6は、いずれも「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出」に関連するので、まとめて検討する。

(ア)本件補正発明と刊行物1記載事項との関係について
上記(2)(2-1)で認定した刊行物1記載事項の構成dにおける「遊技者にとって有利となる遊技への移行確定の演出である確定演出」、「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」、「遊技者の選択」、「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)し」は、それぞれ本件補正発明の構成Dにおける「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出」、「所定演出の演出状態」、「変更操作」、「変更する」に相当する。
刊行物1記載事項の構成f’における「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」、「確定演出を実行し」は、それぞれ本件補正発明の構成Fにおける「前記演出状態」(遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態)、「前記所定演出を実行する」(遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出を実行する)に相当する。
刊行物1記載事項の構成h’における「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを含む二次元コードを画像表示装置23に画像表示」することは、本件補正発明の構成Hにおける「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態」(前記演出状態)「に関する情報」「を特定可能な情報を出力する」ことに相当する。
刊行物1記載事項の構成j’における「入力されたパスワードに対応するように、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルをカスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)し」は、本件補正発明の構成Jにおける「入力された前記発行情報に基づいて特定される」「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態」(前記演出状態)「に変更し」に相当する。
刊行物1記載事項の構成k’における「二次元コードの画面の画像表示の終了時に、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを消去するように制御する」は、本件補正発明の構成Kにおける「終了操作が受付けられたことに基づいて」「遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態」(前記演出状態)「を初期状態とする」に相当する。

(イ)刊行物1発明における刊行物1記載事項の採用について
刊行物1の段落【0074】(上記(2)(2-1)の記載事項(カ))には「例えば、お気に入りペア設定でキャラクタA及びBを選択するとともに、お気に入りペアレベル設定でキャラクタC及びDを選択した場合」と記載されることから、刊行物1発明における「お気に入りペア設定」と、刊行物1記載事項における「お気に入りペアレベル設定」とは、両立する設定機能であるといえる。
したがって、「お気に入りペア設定」と「お気に入りペアレベル設定」とを両立させるべく、「お気に入りペア設定」についての刊行物1発明において、刊行物1記載事項における「お気に入りペアレベル設定」についての構成d、及び構成f’を採用して、「お気に入りペア設定」とともに、「お気に入りペアレベル設定」によって「遊技者にとって有利となる遊技への移行確定の演出である確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」(遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態)を遊技者が選択(変更操作)して「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)」(変更)することを可能とし、「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアに応じて通常時の演出を実行」するとともに、「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)」された「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」(前記演出状態)に応じて「確定演出」(前記所定演出)を実行するようになし、本件補正発明の構成Dに係る構成となすことは当業者が容易に想到し得ることである。
またその際に、刊行物1発明の構成e’、及び構成f’において、「お気に入りペア設定」に関して、カスタマイズした情報を記憶手段に記憶し、記憶された情報に応じて「通常時の演出」を実行していることに倣って、「お気に入りペアレベル設定」に関しても、「カスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)」された「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」を記憶手段に記憶し、記憶された「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」に応じて確定演出を実行するようにし、本件補正発明の構成E、Fに係る構成となすことは、当業者が適宜なし得ることである。
さらに、上述のように、「お気に入りペア設定」と「お気に入りペアレベル設定」とを両立させるべく刊行物1発明において刊行物1記載事項における「お気に入りペアレベル設定」についての構成d、及び構成f’を採用した際には、付随して、刊行物1発明のその他の構成についても「お気に入りペア設定」及び「お気に入りペアレベル設定」の双方に対応させることは、当業者がごく自然に想起することである。そうすると、刊行物1発明において、刊行物1記載事項における「お気に入りペアレベル設定」についての構成h’を採用して、演出制御手段64が、「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」、及び「遊技履歴」とともに、「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベル」(遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態に関する情報)を含む二次元コードを画像表示するようにし、本件補正発明の構成Hに係る構成となすこと、同様に刊行物1記載事項の構成j’を採用して、演出制御手段64が、「入力されたパスワードから読み取った、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアをセット」するとともに、「入力されたパスワードに対応するように、確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルをカスタマイズ(遊技者の好みに応じた変更)」(入力された前記発行情報に基づいて特定される遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態に変更)するようにし、本件補正発明の構成Jに係る構成となすこと、また同様に刊行物1記載事項の構成k’を採用して、演出制御手段64が、「二次元コードの画面の画像表示の終了時に、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアの情報を消去するように制御する」とともに、「確定演出時に選択されやすいキャラクタのペア及びレベルを消去するように制御する」(遊技者にとって有利な内容を示唆する所定演出の演出状態を初期状態とする)ようにし、本件補正発明の構成Kに係る構成となすことは、いずれも当業者が適宜なし得ることである。

(ウ)まとめ
よって、刊行物1発明において刊行物1記載事項の構成d、f’、h’、j’、k’を採用して、上記相違点2、4?6に係る本件補正発明の構成D、E、F、H、J、Kとすることは、当業者が容易に想到し得ることである。

(5)請求人の主張について
ア 請求人は、審判請求書の「(3) 拒絶理由について」において、「また、引用文献2には、二次元コードを作成して画像表示した時に、それまでの遊技者に関する情報を消去すること(引用文献2の段落[0056]ご参照)、・・・がそれぞれ記載されていますが、遊技履歴情報の蓄積の終了操作が受付けられたことに基づいて、「演出状態」を初期状態とすること(構成J2)は記載されていません」と主張している。
しかしながら、本件補正発明においては、「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する」ことや、「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて前記演出状態を初期状態とする」ことは特定されているものの、「遊技履歴情報の蓄積の終了操作」、すなわち「遊技履歴情報の蓄積」を「終了」する操作については何ら特定されていない。したがって、請求人の主張は、本件補正発明の記載に基づくものではない。
仮に「遊技履歴情報の蓄積の終了操作」が本件補正発明において特定されているとしても、上記「(3)(k)」、及び「(4)イ(イ)」において検討したように、刊行物1発明(原査定時の引用文献2に記載されている発明)において刊行物1記載事項を採用して、本件補正発明の「前記終了操作が受付けられたことに基づいて前記演出状態を初期状態とする」構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。そして、刊行物1発明は、「「二次元コード表示」の項目を選択」(構成c)して「遊技履歴」「を含む二次元コードを画像表示」(構成h’)してしまえば、それ以上「遊技履歴を、所定のRAM等に記憶」(構成g’)する必要がないものであるから、上記「遊技履歴を、所定のRAM等に記憶」(遊技履歴情報を蓄積)する処理を、上記「「二次元コード表示」の項目を選択」する操作(終了操作)によって終了することも当業者が適宜なしえたことである。したがって、刊行物1発明において刊行物1記載事項を採用して、請求人のいう「遊技履歴情報の蓄積の終了操作が受付けられたことに基づいて、「演出状態」を初期状態とすること(構成J2)」とすることは、当業者が容易になし得たことである。
よって、請求人の主張は採用することができない。

イ 請求人は、審判請求書の「(3) 拒絶理由について」において、「さらに、本願発明は、構成J2を備えることにより、「遊技履歴情報の蓄積の終了操作が受付けられると、通常は、遊技者が変わる。このときに、「演出状態」が前の遊技者特有の設定になっていると、後の遊技者が意図しない「演出状態」で遊技を強いられるおそれがあるが、そのようなおそれを低減することができる。」という引用文献1?4に記載された発明からでは奏されることのない有利な効果を奏します。」と主張している。
しかしながら、刊行物1発明は「二次元コードの画面の画像表示の終了時に、通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペアの情報を消去するように制御する」(構成k’)ものであるから、後の遊技者が、意図しない「通常時の演出において出現率が所定の割合(約80%)となるように設定されるキャラクタのペア」での遊技を強いられるおそれがないことは明らかである。したがって、請求人の主張する「そのようなおそれを低減することができる」という効果は、刊行物1発明から予測しうる程度のものであって、格別のものではない。故に、請求人の主張する効果は、「引用文献1?4に記載された発明からでは奏されることのない有利な効果」ということはできない。
よって、請求人の主張は採用することができない。

(6)まとめ
以上のように、本件補正発明は、当業者が刊行物1発明、刊行物1記載事項、及び刊行物2記載事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができない。

4 補正却下の決定についてのむすび
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明について
1 本願発明
本件補正は上記のとおり却下されたので、本願の各請求項に係る発明は、平成28年9月2日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり、特に、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は次のとおりのものである(ただし、A?Jは、分説するために当審で付した。)。
「【請求項1】
A 遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
B 開始操作を受付ける開始受付手段と、
C 終了操作を受付ける終了受付手段と、
D 所定演出の演出状態を変更操作に応じて変更する演出状態変更手段と、
E 前記演出状態変更手段によって変更された前記演出状態を記憶する演出状態記憶手段と、
F 前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に応じて前記所定演出を実行する演出実行手段と、
G 前記開始受付手段によって前記開始操作が受付けられたことに基づいて、遊技履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
H 前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する情報出力手段とを備え、
I 前記開始受付手段は、前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作と、前記発行情報の入力を伴わない第2開始操作とを前記開始操作として受付け可能であり、
J 前記演出状態変更手段は、前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態に変更する、遊技機。」

2 原査定の拒絶理由の概要
平成29年2月6日付け拒絶理由通知書で通知された、原査定の拒絶の理由の概要は、以下のとおりである。

(進歩性)この出願の下記の請求項に係る発明は、その出願前に日本国内において頒布された下記の刊行物に記載された発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

そして、上記拒絶理由通知書では、請求項1に対して、引用文献2(上記「第2 3(2)(2-1)の刊行物1)、引用文献3(上記「第2 3(2)(2-2)の刊行物2)に関して次の指摘がされている。
・引用文献2、3
引用文献2の段落[0039]?[0079]図1?17等参照。引用文献2に記載された「お気に入りペア設定の情報を含むパスワード」(段落[0074]?[0076]等)は、本願請求項1、2に係る「前記情報出力手段によって出力された情報から特定される前記演出状態を特定可能な情報」に相当する。
引用文献3の[実施例1]及び[実施例2]に記載された、(1)「遊技を開始する際のパスワード入力」(図9(a)等参照)、(2)「簡単スタート」(段落[0174]?[0196]、[0330]?[0340]図9(a)等参照)、「演出用スイッチ56の長押し」(段落[0179]?[0189]等参照)は、本願請求項1、2に係る(1)「第1開始操作」、(2)「第2開始操作」に相当する。
そして、引用文献3に記載された「簡単スタート」または「演出用スイッチ56の長押し」による操作を引用文献2に記載された発明に適用することは当業者が容易になし得ることである。
<引用文献等一覧>
2.特開2009-195432号公報
3.特開2012-125300号公報

3 刊行物
刊行物1及びその記載事項並びに刊行物1発明は、上記「第2 3(2)(2-1)」に記載したとおりである。また、刊行物2及びその記載事項並びに刊行物2記載事項は、上記「第2 3(2)(2-2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断
本願発明は実質的に、上記「第2 3(1)」で検討した本件補正発明から、「所定演出」について「遊技者にとって有利な内容を示唆する」との限定を省き、また「演出状態変更手段」について「前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて前記演出状態を初期状態とする」との限定を省いたものである。

本願発明と刊行物1発明とを対比する。
「第2 3(3)」における検討を踏まえると、本願発明と刊行物1発明とは、

「A 遊技を行なうことが可能な遊技機であって、
B’第1開始操作を受付ける開始受付手段と、
C 終了操作を受付ける終了受付手段と、
D 所定演出の演出状態を変更操作に応じて変更する演出状態変更手段と、
E 前記演出状態変更手段によって変更された前記演出状態を記憶する演出状態記憶手段と、
F 前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に応じて前記所定演出を実行する演出実行手段と、
G’前記開始受付手段によって第1開始操作が受付けられたことに基づいて、遊技履歴情報を蓄積する蓄積手段と、
H 前記終了受付手段によって前記終了操作が受付けられたことに基づいて、前記演出状態記憶手段に記憶された前記演出状態に関する情報と前記遊技履歴情報とを特定可能な情報を出力する情報出力手段とを備え、
I’前記開始受付手段は、前記遊技履歴情報を管理する管理装置にて発行された発行情報の入力を伴う第1開始操作を前記開始操作として受付け可能であり、
J 前記演出状態変更手段は、前記第1開始操作によって入力された前記発行情報に基づいて特定される前記演出状態に変更する、遊技機。」

である点で一致し、以下の点で相違する。

(相違点1’)
開始受付手段に関して、発行情報の入力を伴う第1開始操作を開始操作として受付け可能であることに加えて、本願発明は、発行情報の入力を伴わない第2開始操作を開始操作として受付け可能であるのに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。(構成B、I)

(相違点3’)
蓄積手段に関して、発行情報の入力を伴う第1開始操作が受付けられたことに基づいて遊技履歴情報を蓄積することに加えて、本願発明は、発行情報の入力を伴わない第2開始操作が受付けられたことに基づいて遊技履歴情報を蓄積するのに対して、刊行物1発明は、そのように特定されていない点。(構成G)

上記相違点1’、3’について検討する。
上記「第2 3(4)ア」での検討をふまえれば、刊行物1発明において刊行物2記載事項の構成b、i及び構成gを採用して、上記相違点1’、3’に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。

よって、本願発明は、刊行物1発明及び刊行物2記載事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。

5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-05-29 
結審通知日 2018-06-05 
審決日 2018-06-19 
出願番号 特願2012-224884(P2012-224884)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A63F)
P 1 8・ 575- Z (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 井上 昌宏  
特許庁審判長 長崎 洋一
特許庁審判官 櫻井 茂樹
蔵野 いづみ
発明の名称 遊技機および遊技システム  
代理人 特許業務法人深見特許事務所  

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