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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 F01N
管理番号 1342902
審判番号 不服2017-4352  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-03-28 
確定日 2018-08-08 
事件の表示 特願2014-528507「磁束架橋と磁束遮断部とを有した電磁気制御インジェクター」拒絶査定不服審判事件〔平成25年3月7日国際公開、WO2013/033056、平成26年11月13日国内公表、特表2014-529706〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、2012年(平成24年)8月28日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2011年(平成23年)8月30日、米国)を国際出願日とする出願であって、その後の手続の概要は、以下のとおりである。
平成26年 2月28日:国内書面
平成28年 5月 6日:拒絶理由通知
平成28年 7月20日:意見書
平成28年 7月20日:手続補正書
平成28年11月29日:拒絶査定
平成29年 3月28日:審判請求
平成29年 3月28日:手続補正書

第2 平成29年3月28日の手続補正についての補正の却下の決定

[補正の却下の決定の結論]
平成29年3月28日の手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

1 本件補正について

(1) 本件補正後の特許請求の範囲

本件補正により、特許請求の範囲の請求項14の記載は、次のとおり補正された(下線部は、補正箇所である。)。

「【請求項14】
反応剤を注入するインジェクターであって、
前記インジェクターは、
ハウジングと、
前記ハウジング中に配置された軸方向に移動可能なバルブ部材と、
前記ハウジング中に配置され、円筒形の電線コイルを含む電磁石と、
前記電線コイルを通り、非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含み、反応剤が流れるための流路の部分を定める内面を備える磁束スリーブとを有し、
前記バルブ部材は、前記電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動し、
前記磁性部材のそれぞれは、
円筒形の前記電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され、
小径の外面を有し、
前記非磁性部材は、
前記横断面同士の間に軸方向に配置され、
両方の前記小径の外面と噛合って固定される内面をさらに有することを特徴とするインジェクター。」

(2) 本件補正前の特許請求の範囲

本件補正前の、平成28年7月20日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項14の記載は、次のとおりである。

「【請求項14】
反応剤を注入するインジェクターであって、
前記インジェクターは、
ハウジングと、
前記ハウジング中に配置された軸方向に移動可能なバルブ部材と、
前記ハウジング中に配置され、円筒形の電線コイルを含む電磁石と、
前記電線コイルを通り、非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含む磁束スリーブとを有し、
前記バルブ部材は、前記電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動し、
前記磁性部材のそれぞれは、
円筒形の前記電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され、
小径の外面を有し、
前記非磁性部材は、
前記横断面同士の間に軸方向に配置され、
両方の前記小径の外面と噛合って固定される内面をさらに有することを特徴とするインジェクター。」

2 補正の適否
本件補正は、本件補正前の請求項14に記載された発明を特定するために必要な事項である「磁束スリーブ」について、「反応剤が流れるための流路の部分を定める内面を備える」との限定を付加するものであって、本件補正前の請求項14に記載された発明と本件補正後の請求項14に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であるから、特許請求の範囲の請求項14についての本件補正は、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項14に記載される発明(以下、「本件補正発明」という。)が同条第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合するか(特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか)について、以下、検討する。


(1) 本件補正発明

本件補正発明は、上記「1(1)」に記載したとおりのものである。

(2) 引用文献の記載及び引用発明

ア 引用文献1の記載事項

原査定に引用され、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった国際公開第2011/100337号(以下、「引用文献1」という。)には、次の事項が図面(特に、FIG.1ないし3B、12、13、17ないし21、28ないし33及び42参照)とともに記載されている。

(ア)“[0074] FIG. 1 depicts an example pollution control system for reducing NOx emissions from the exhaust of a diesel engine 10. In FIG. 1 , solid lines between elements of the system denote fluid lines for reagent and dashed lines denote electrical connections. The system of the present teachings may include a reagent tank 12 for holding the reagent and a delivery module 14, such as a pump, for delivering the reagent from the reagent tank 12. The reagent may be a urea solution, a hydrocarbon, an alkyl ester, alcohol, an organic compound, E-85, water, or the like and can be a blend or combination thereof. It should also be appreciated that one or more reagents can be available in the system and can be used singly or in combination. Reagent tank 12 and delivery module 14 may form an integrated reagent tank/delivery module. Also provided as part of the system is an electronic injection controller 16, a reagent injector 100, which may be a low pressure reagent injector, and an exhaust system 18 having at least one catalyst bed 20.”(段落[0074])
[0074] 図1は、ディーゼルエンジン10の排気ガスからのNOx排出量を低減する例示的な汚染制御システムを示す。図1において、本システムの要素間の実線は試薬の流体ラインを示し、点線は電気接続を示す。本教示のシステムは、試薬を保持する試薬タンク12と、該試薬タンク12から試薬を送出する、ポンプ等の送出モジュール14とを備えることができる。試薬は尿素溶液、炭化水素、アルキルエステル、アルコール、有機化合物、E-85、水等とすることができ、それらのブレンド又は組み合わせとすることができる。1つ又は複数の試薬を本システムにおいて利用可能とすることができ、単独で又は組み合わせて用いることができることも理解されたい。試薬タンク12及び送出モジュール14は、一体となった試薬タンク/送出モジュールを形成することができる。また、電子噴射制御装置16と、低圧の試薬インジェクターとすることができる試薬インジェクター100と、少なくとも1つの触媒床20を有する排気系18とが、本システムの一部として設けられる。(仮訳は、引用文献1の関連文献である特表2013-519822号公報による。以下同様。また、下線は、理解のための一助として当審で付与した。以下同様。)

(イ)“[0078] With reference now including FIGS. 2A and 2B, an exemplary embodiment and variations of reagent injector 100 will be further described. In its exemplary use in the system depicted in FIG. 1 , reagent injector 100 may have an injector body 102 having an injector body upper section 102a and an injector body lower section 102b. An elongated inner lower body 104 may be received within at least one of injector body upper section 102a and injector body lower section 102b. Elongated inner lower body 104 may define a cylindrical central bore 106, which may be in fluid communication with an orifice plate 108, which may define at least one exit orifice 110 (FIG. 16) that passes completely through the orifice plate 108. Inner lower body 104 may or may not be equipped with a separate guide plate 107 (FIG. 18). As depicted in FIGS. 2B, 3A and 3B, inner lower body 104 may be tapered at an end portion adjacent a pintle head of pintle 118. More specifically, instead of a separate guide plate to guide or maintain alignment of pintle 118 within a consistent central bore106 (FIG. 3B), inner lower body 104 may be tapered or have a step-down in bore that has a smaller inner diameter than central bore 106. As depicted in FIGS. 2B, 3A and 3B, this step- down in bore at end of inner lower body 104 adjacent a pintle head, may be a guide member for pintle 118 and attached pintle head. Moreover, a pintle head of pintle 118 may act as a guide member to ensure that pintle head, which also may be referred to as a plunger, moves back and forth longitudinally within central bore 106.”(段落[0078])
[0078] ここで、図2A及び図2Bも参照しながら、試薬インジェクター100の例示的な実施形態及び変形形態を更に説明する。図1に示す本システムにおけるその例示的な使用において、試薬インジェクター100は、インジェクター本体上側セクション102aとインジェクター本体下側セクション102bとを有するインジェクター本体102を有することができる。インジェクター本体上側セクション102a及びインジェクター本体下側セクション102bのうちの少なくとも一方の内部に、細長い内部下側本体104を受け入れることができる。細長い内部下側本体104は円筒状の中央ボア106を画定することができ、中央ボア106はオリフィスプレート108と流体連通することができ、オリフィスプレート108は該オリフィスプレート108を完全に貫通する少なくとも1つの出口オリフィス110(図16)を画定することができる。内部下側本体104は、別個のガイドプレート107(図18)を備えていてもいなくてもよい。図2B、図3A及び図3Bに示されているように、内部下側本体104は、ピントル118のピントルヘッドに隣接している一端部がテーパー状になっているものとすることができる。より具体的には、内部下側本体104は、一定の中央ボア106(図3B)内のピントル118の位置合わせをガイド又は維持する別個のガイドプレートの代わりに、テーパー状になっている、すなわち、中央ボア106よりも小さい内径を有するボア内に逓減部(step-down)を有することができる。図2B、図3A及び図3Bに示されているように、ピントルヘッドに隣接している内部下側本体104の端部のボア内のこの逓減部は、ピントル118及び取り付けられているピントルヘッドのためのガイド部材とすることができる。さらに、ピントル118のピントルヘッドは、プランジャーと呼ばれる場合もあるピントルヘッドが中央ボア106内で長手方向に前後に移動することを確実にするガイド部材として働くことができる。

(ウ)“[0081] Referring to FIGS. 2A, 2B, and 19-21 , reagent injector 100 may employ an elongated pole piece 122 having an enlarged diameter end portion 124 sized to be received within a correspondingly sized collar portion 126 of elongated inner lower body 104. In some embodiments, elongated pole piece 122 may be press fit into inner lower body 104. Upon installation, the connection or press fit parts may also or alternatively be electron beam welded. A flange 128 of pole piece 122 can be sized to limit the engagement depth of pole piece 122 within elongated inner lower body 104 to define a space 130 therebetween (FIG. 21 ). Space 130 can be sized to receive a pintle head 132 (FIGS. 12, 13, and 21 ) of pintle 118 and permit limited and controlled axial movement of pintle 118 within central bore 106. In some embodiments, pintle head 132 may be attached to a shaft of pintle 118 via a press fit and/or furnace braze. Pintle head 132, which also may be referred to as a pintle head, may include through holes formed therein to reduce hydraulic pressure and provide a return flow path for fluid passage. Guide plate 107 (FIGS. 14, 15, 17 and 18), which may also be referred to as a guide member, may support pintle 118 to provide guided movement of pintle 118 in central bore 106. Guide plate 107 may comprise a plurality of slots or holes 109 to permit fluid flow therethrough. That is, guide plate 107 may define one or more slots or holes 109 that are through slots to permit fluid to flow through, even when pintle 118 is attached to guide plate 107. ”(段落[0081])
[0081] 図2A、図2B及び図19ないし図21を参照すると、試薬インジェクター100は、細長い内部下側本体104の対応サイズのカラー部分126内に受け入れられるサイズになっている拡径端部分124を有する細長いポールピース122を用いることができる。幾つかの実施形態では、細長いポールピース122は内部下側本体104にプレス嵌めすることができる。設置時に、接続部又はプレス嵌め部を同様に又は代替的に電子ビーム溶接することができる。ポールピース122のフランジ128を、ポールピース122と細長い内部下側本体104との間にスペース130(図21)を画定するように細長い内部下側本体104内でのポールピース122の係合の深さを制限するサイズにすることができる。スペース130は、ピントル118のピントルヘッド132(図12、図13及び図21)を受け入れ、中央ボア106内でのピントル118の制限されかつ制御された軸方向移動を可能にするサイズにすることができる。幾つかの実施形態では、ピントルヘッド132は、プレス嵌め及び/又は炉内ろう付けによりピントル118のシャフトに取り付けることができる。ピントルヘッドと呼ばれる場合もあるピントルヘッド132は、油圧を低減するとともに流体通路の戻り流路を提供するように内部に形成されている貫通穴を含むことができる。ガイド部材と呼ばれる場合もあるガイドプレート107(図14、図15、図17及び図18)が、ピントル118を支持して中央ボア106内でのピントル118の誘導式移動を提供することができる。ガイドプレート107は、流体の流れが通ることを可能にする複数のスロット又は穴109を含むことができる。すなわち、ガイドプレート107は、ピントル118がガイドプレート107に取り付けられた場合であっても、流体が流れることを可能にする貫通スロットである1つ又は複数のスロット又は穴109を画定することができる。

(エ)“[0082] As depicted in FIGS. 2A, 2B, 20, and 21 , elongated pole piece 122 may further define a central bore 134 extending therethrough about a central axis of elongated pole piece 122. Central bore 134 may receive a return spring 136 and a spring pre-loader 138. Spring pre-loader 138 may be sized and/or shaped to engage and preload return spring 136. More specifically, spring pre- loader 138 may contact a structure formed within central bore 134 of pole piece 122 to prevent movement therein and serve to limit the space available for extension of return spring 136. Spring pre-loader 138 may be retained in any one of a number of conventional ways, including using obstructions or features formed in central bore 134 that prevent passage of spring pre-loader 138. Alternatively, adjustable mechanisms, such as retaining screws, may be used to limit or adjust the position of spring pre-loader 138. In this way, return spring 136 is permitted to exert a biasing force upon pintle head 132 of pintle 118, thus urging an end of pintle 118 into engagement with valve seat 120 and thus closing or preventing fluid flow through orifice plate 108. Return spring 136 and spring pre-loader 138 comprise a central bore that is hollow and permits fluid flow through a central portion of return spring 136 and a central portion through preloader 138.”(段落[0082])
[0082] 図2A、図2B、図20及び図21に示されているように、細長いポールピース122は、該細長いポールピース122の中心軸の回りに貫通して延びる中央ボア134を更に画定することができる。中央ボア134は、戻しばね136及びスプリングプリローダー138を受け入れることができる。スプリングプリローダー138は、戻しばね136と係合して該戻しばね136を予圧するサイズ及び/又は形状にすることができる。より具体的には、スプリングプリローダー138は、ポールピース122の中央ボア134内に形成されている構造部と接触して、内部での移動を防止するとともに、戻しばね136の伸びに利用可能なスペースを制限するように働くことができる。スプリングプリローダー138は、中央ボア134内に形成されている、スプリングプリローダー138の通過を妨げる障害物又は特徴部を用いることを含む複数の従来方法のうちのいずれか1つの方法で保持することができる。代替的に、止めねじ等の調整可能な機構を用いて、スプリングプリローダー138の位置を制限又は調整することができる。このように、戻しばね136がピントル118のピントルヘッド132にバイアス力を加えることが可能となり、それによって、ピントル118の端部を付勢して弁座120と係合させ、したがって、流体の流れを閉鎖するか又は流体の流れがオリフィスプレート108を通ることを防止する。戻しばね136及びスプリングプリローダー138は、中空であるとともに流体の流れを戻しばね136の中央部分とプリローダー138を通る中央部分とに通すことを可能にする中央ボアを含む。

(オ)“[0084] During assembly (FIGS. 9-42), spring pre-loader 138 and return spring 136 may be disposed within central bore 134 of pole piece 122. End portion 124 of pole piece 122 may be received within collar portion 126 of inner lower body 104 and thereby capturing pintle head 132 of pintle 118 therebetween such that pintle 118 extends along and within central bore 106 of inner lower body 104. Longitudinal central axis of pintle 118 may be coincident with a longitudinal central axis of central bore 106. Male portion 114 of orifice plate holder 112 may be joined or inserted within female portion 116 of inner lower body 104. Female portion 116 may be described as a cavity or bore. Injector body upper section 102a of injector body 102 may be joined with injector body lower section 102b of injector body 102 such that orifice plate holder 112, inner lower body 104, pintle 118, pole piece 122, return spring 136 and spring preloader 138 are captured within a chamber 140 of injector body upper section 102a, and in some embodiments, a chamber 142 of injector body lower section 102b.”(段落[0084])
[0084] 組み付け時(図9ないし図42)、スプリングプリローダー138及び戻しばね136は、ポールピース122の中央ボア134内に配置することができる。ポールピース122の端部分124は、内部下側本体104のカラー部分126内に受け入れられ、それによって、ピントル118が内部下側本体104の中央ボア106に沿って該中央ボア内に延びるように、ピントル118のピントルヘッド132を該端部分124とカラー部分126との間に捕捉することができる。ピントル118の長手方向中心軸は、中央ボア106の長手方向中心軸と一致することができる。オリフィスプレートホルダー112の雄型部分114を、内部下側本体104の雌型部分116に接合又は該雌型部分116内に挿入することができる。雌型部分116はキャビティ又はボアとして示すことができる。インジェクター本体102のインジェクター本体上側セクション102aは、オリフィスプレートホルダー112、内部下側本体104、ピントル118、ポールピース122、戻しばね136及びスプリングプリローダー138がインジェクター本体上側セクション102aの室140内に、また、幾つかの実施形態ではインジェクター本体下側セクション102bの室142内に捕捉されるように、インジェクター本体102のインジェクター本体下側セクション102bと接合することができる。

(カ)“ [0086] To affect the opening and closing of exit orifice 110, an actuator may be provided, for example in the form of magnetic coil 180 (FIGS. 28-30) mounted in injector body 102 and, in some embodiments, mounted and/or formed with bobbin 144. Magnetic coil 180 of the present teachings of the disclosure is substantially smaller compared to traditional coils used in reagent injectors. This smaller size provides several advantages over conventional coils, including less heat being generated during actuation that would otherwise need to be managed through active cooling, such as exterior air cooling, of the reagent injector. Thus, through the use of a smaller magnetic coil in the present disclosure, less heat is generated during coil operation and, consequently, less active cooling of the reagent injector is required. By way of non-limiting example, it has been found that magnetic coils having 100 turns of #29 magnet wire with a 10mm ID and 17mm OD and 3.8mm axial length is sufficient to reliably actuate reagent injector 100.
[0087] When magnetic coil 180 is energized via electrical leads 182 (FIGS. 28 and 29), metering pintle 118 is drawn upward from the closed position to the open position. Upward is a direction that is away from an exhaust pipe to which injector 100 may be mounted. Some members of the assembly, such as enlarged diameter end portion 124 of elongated pole piece 122 and pintle head 132, can be made of a magnetic material, such as 430 stainless steel, to help promote establishment of a magnetic field. Likewise, some members of the assembly, such as collar portion 126 of elongated inner lower body 104, may be made of a non-magnetic material to limit the effect on the metering pintle 118. Magnetic coil 180 may be energized, for example, in response to a signal from electronic injection controller 16 of FIG. 1 , which decides based upon sensor input signals and its preprogrammed algorithms, when reagent is needed for effective selective catalytic reduction of NOx emissions in the exhaust stream within exhaust pipe to which injector 100 is mounted. To facilitate movement of pintle 118, pintle head 132 may be aligned with a flux frame of electromagnetic coil 180. For instance, as depicted in at least FIG. 42, flux frame, which surrounds bobbin 144 and electromagnetic coil 180, may align with pintle head 132. Thus, in cross-sectional view of FIG. 42, if a straight line is drawn between cross-sectional halves of flux frame, so as to connect flux frame, the straight line would be drawn through pintle head 132. Such arrangement enhances the electromagnetic effect of electromagnetic coil 180 on pintle head 132.”(段落[0086]及び[0087])
[0086] 出口オリフィス110の開閉を行うために、例えば、インジェクター本体102内に取り付けられており、かつ、幾つかの実施形態では、ボビン144内に取り付けられている、かつ/又はボビン144とともに形成されている磁気コイル180(図28ないし図30)の形態でアクチュエーターを設けることができる。本開示の本教示の磁気コイル180は、試薬インジェクターにおいて用いられる従来のコイルに比べて実質的に小さい。このより小さいサイズは、作動中に発生する熱が少ないこと(さもなければ、試薬インジェクターの、外部空気冷却等の能動的冷却により管理する必要がある)を含む、従来のコイルに勝る幾つかの利点を提供する。したがって、本開示ではより小さい電磁コイルを使用することにより、コイル動作中に発生する熱が少なく、その結果、試薬インジェクターの能動性が低い冷却の必要性が低い。非限定的な例として、試薬インジェクター100を確実に作動させるには、10mmの内径、17mmの外径及び3.8mmの軸方向長さの100回巻の#29マグネットワイヤーを有する磁気コイルで十分であることが分かっている。
[0087] 磁気コイル180が導線182(図28及び図29)を介して通電されると、調量ピントル118が閉位置から開位置へ上方に引き出される。上方とは、インジェクター100を取り付けることができる排気管から離れる方向である。細長いポールピース122の拡径端部分124及びピントルヘッド132等の、アセンブリの幾つかの部材を、磁界の確立を促すのに役立つように、磁性材料、例えば430ステンレス鋼から作ることができる。同様に、アセンブリの幾つかの部材、例えば細長い内部下側本体104のカラー部分126を、調量ピントル118への影響を制限するように、非磁性材料から作ることができる。磁気コイル180を例えば図1の電子噴射制御装置16からの信号に応答して励磁することができ、電子噴射制御装置16は、センサー入力信号とそのあらかじめプログラムされたアルゴリズムに基づいて、インジェクター100が取り付けられている排気管内の排気ガス流中のNOx排出量の効果的な選択的触媒還元に試薬が必要とされるときを決定する。ピントル118を移動し易くするために、ピントルヘッド132を電磁コイル180の磁束フレームと位置合わせすることができる。例えば、少なくとも図42に示されているように、ボビン144と電磁コイル180とを包囲する磁束フレームをピントルヘッド132と位置合わせすることができる。したがって、図42の断面図において、磁束フレームを接続するように該磁束フレームの断面半分間に直線を引くと、ピントルヘッド132を通る直線が引かれる。そのような配置により、ピントルヘッド132への電磁コイル180の電磁効果が高まる

(キ)“[0104] According to teachings of the present disclosure, a fluid path is defined within reagent injector 100 when pintle 118 is in the closed position to facilitate circulation of fluid through injector 100. More specifically, and with reference to FIGS. 18 and 42, the fluid path can extend from reagent inlet 168 to a distribution chamber 171 and subsequently to reagent outlet 170. In further detail, fluid or reagent may enter reagent injector 100 at reagent inlet 168 at a first temperature, which may be relatively cool. Fluid may then proceed by flowing along a pathway 300 along and against an exterior side of pole piece 122. Pathway 300 may be defined by an exterior surface of pole piece 122 and an inside diameter of chamber 140 of injector body upper section 102a. The fluid can then continue in its direction of flow and pass between an exterior surface of pole piece 122 and inside of bobbin 144. More specifically, fluid may continue in its direction of flow and pass through at least one slot or a plurality of slots 302 (see FIGS. 31 -33) formed along the inner diameter of bobbin 144. During this stage, the cool fluid is exposed to an exterior surface area of bobbin 144 and is operable to cool, or absorb a portion of thermal energy from, bobbin 144 and associated coil 180, which may transfer heat into bobbin 144.
[0105] Alternatively, a separate part, such as a fluid sleeve, may be incorporated within an inside diameter of bobbin 144, or more generally, within an inside diameter of electromagnetic coil 180, to separate the electromagnetic coil 180 from the fluid path. In utilizing a fluid sleeve, slots 302 may not be necessary, for instance, to permit passage of fluid. With reference to FIGS. 31 and 33, although not particularly depicted, a fluid sleeve may have a generally smooth exterior adjacent to central bore 146, and a generally smooth interior. A height of such a fluid sleeve may be the same or generally the same as a height of bobbin 144 depicted in FIG. 33 and disposed within central bore 146 of solenoid coil bobbin 144. O-rings may be utilized between seals or component parts, such as between a fluid sleeve within central bore 146 and central bore 146.”(段落[0104]及び[0105])
[0104] 本開示の教示によれば、試薬インジェクター100内を流体が循環し易いように、ピントル118が閉位置にあるときにインジェクター100内に流体路が画定される。より具体的には、図18及び図42を参照すると、流体路は、試薬入口168から分配室171へ、続いて試薬出口170まで延びることができる。更に詳細には、流体すなわち試薬は、比較的低温であり得る第1の温度で、試薬入口168において試薬インジェクター100に入ることができる。次いで、流体は、ポールピース122の外側に沿うとともに該外側に対する経路300に沿って流れることによって進むことができる。経路300は、ポールピース122の外面と、インジェクター本体上側セクション102aの室140の内径とによって画定することができる。次いで、流体はその流れ方向に流れ続け、ポールピース122の外面とボビン144の内側との間を通ることができる。より具体的には、流体はその流れ方向に流れ続け、ボビン144の内径に沿って形成されている少なくとも1つのスロット又は複数のスロット302(図31ないし図33を参照のこと)を通ることができる。この段階中、低温流体がボビン144の外面領域に曝され、冷却するように、すなわち、ボビン144と該ボビン144に伝熱することができる関連するコイル180とから熱エネルギーの一部を吸収するように動作可能である。
[0105] 代替的に、電磁コイル180を流体路から分離するために、流体スリーブ等の別個の部品を、ボビン144の内径内に又はより一般的には電磁コイル180の内径内に組み込むことができる。流体スリーブを用いる際、例えば、流体を通すことを可能にするのにスロット302は必要でない場合がある。図31及び図33を参照すると、特に示されてはいないが、流体スリーブは、中央ボア146に隣接する全体的に滑らかな外側と、全体的に滑らかな内側とを有することができる。そのような流体スリーブの高さは、図33に示されているボビン144の高さと同じであるか又はほぼ同じであるものとすることができ、ソレノイドコイルボビン144の中央ボア146内に位置することができる。シール間、又は中央ボア146内の流体スリーブと中央ボア146との間等の構成部品間に、Oリングを用いることができる。

(ク)上記(ア)ないし(キ)及び図面の記載より分かること

a 上記(イ)、(オ)及びFIG. 42の記載によれば、ピントル118は、インジェクター本体102内に設けられていることが分かる。

b 上記(イ)、(カ)及びFIG. 29の記載によれば、磁気コイル180は、円筒状であり、上記(イ)、(カ)及びFIG. 42の記載によれば、磁気コイル180は、インジェクター本体102内に取り付けられていることが分かる。

c 上記(エ)、(カ)及びFIG. 42の記載によれば、磁気コイル180が通電されると、ピントル118は閉位置から開位置へ移動し、磁気コイル180が通電されないと、ピントル118は閉位置となることが分かる。

d 上記(キ)及びFIG. 31ないしFIG. 33の記載によれば、流体スリーブがボビン144の内側に組み込まれることが分かり、流体スリーブの高さは、ボビン144の高さと同じであるか又は略同じであるから、流体スリーブが磁気コイル180を貫通していることが分かり、また、電磁コイル180を流体路から分離するために、ボビン144の中央ボア146と流体スリーブとの間をOリングでシールすることから、試薬の流路は流体スリーブの内面となることが分かる。

イ 引用発明

上記(ア)ないし(ク)を総合すると、引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

「試薬インジェクター100であって、
試薬インジェクター100は、
インジェクター本体102と、
インジェクター本体102内に設けられた軸方向に移動可能なピントル118と、
インジェクター本体102内に設けられ、円筒状の磁気コイル180と、
磁気コイル180を貫通し、試薬の流路が内面となる流体スリーブとを有し、
ピントル118は、磁気コイル180が通電されると閉位置から開位置へ移動し、磁気コイル180が通電されないと閉位置となる、試薬インジェクター100。」

ウ 引用文献2の記載事項

原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2010-84165号公報(以下、「引用文献2」という。)には、次の事項が図面(特に、図6及び図7参照)とともに記載されている。

(ア)「【0071】
図6に示す電磁式燃料噴射弁100は、車両用エンジン等の燃焼室内に燃料を噴射する噴射弁であって、複合磁性パイプ120(管状の部品)を有する。燃料はこの複合磁性パイプ120内を上方から下方に流れる。
複合磁性パイプ120は、上方から燃料コネクタ部121、非磁性部122およびバルブ収容部123の3つの領域に分かれている。
【0072】
複合磁性パイプ120の上部は、図示しない燃料配管と連結される燃料コネクタ部121であり、その外周にはOリング124が装着されている。また、燃料コネクタ部121の内部には、燃料配管から送られてくる燃料を濾過する燃料フィルタ125が装着されている。
複合磁性パイプ120の中間部は、非磁性である非磁性部122であり、その外周を覆うようにリング状のコイル139が設けられている。また、コイル139に隣接してコネクタハウジング143が設けられており、コイル139の巻き線がコネクタハウジング143の内側に突出するターミナル144と接続されている。これにより、ターミナル144を介してコイル139に通電することができる。また、コイル139は、磁性ハウジング145により覆われている。
複合磁性パイプ120の下部は、燃料の噴射するバルブを収容するバルブ収容部123であり、その外周には、図示しない吸気マニホールドとの連結部をシールするOリング136が装着されている。
【0073】
また、複合磁性パイプ120の下端部の外周を覆うとともに、下方に延伸するように、有底筒状のシートホルダ131が設けられている。また、シートホルダ131の内底部には、バルブシート132が固定され、このバルブシート132には噴射口133が形成されている。複合磁性パイプ120の内部に供給された燃料は、この噴射口133を介して燃料室内に噴射される。
【0074】
複合磁性パイプ120の内部の燃料フィルタ125の下方には、円筒状の固定鉄心126が固定されており、固定鉄心126の下端は複合磁性パイプ120の中間部の非磁性部122付近まで伸びている。
また、固定鉄心126の内側には、円筒状のアジャスタ128が設けられており、さらにアジャスタ128の下方には、スプリング129が設けられている。アジャスタ128およびスプリング129の内側は、燃料フィルタ125で濾過された燃料が通過する流路となる。
【0075】
複合磁性パイプ120の内部の固定鉄心126の下方には、中空状の可動鉄心138が設けられており、可動鉄心138の内側の上端面には、スプリング129の下端面が当接している。このスプリング129により可動鉄心138が下方に付勢されている。また、固定鉄心126の下端面と可動鉄心138の上端面は、図7に示すように、わずかな隙間を介して対向している。
【0076】
可動鉄心138の下方には、棒状のニードルバルブ130が設けられており、ニードルバルブ130の上端部が可動鉄心138の内周に固定されている。一方、ニードルバルブ130の下端部は、噴射口133付近に位置している。ニードルバルブ130は、上下動自在になっており、ニードルバルブ130が移動幅の下限位置にあるとき、噴射口133を塞いで燃料の噴射を停止する。一方、ニードルバルブ130が前記下限位置以外の位置にあるときは、噴射口133を開放し、噴射口133から燃料が噴射される。」(段落【0071】ないし【0076】)

(イ)「【0077】
次に、電磁式燃料噴射弁100の動作について説明する。
電磁式燃料噴射弁100において、コイル139に電流が流れていないときには、スプリング129によって可動鉄心138が下方に付勢され、可動鉄心138に固定されたニードルバルブ130も下方に移動する。その結果、ニードルバルブ130の下端部が噴射口133を閉鎖する(閉状態)。
【0078】
この閉状態の後、コイル139に通電すると、コイル139の周囲に磁束が発生し、その磁束がコイル139を取り囲む磁路を流れる。この磁路は、磁性ハウジング145、燃料コネクタ部121、固定鉄心126、可動鉄心138、バルブ収容部123および磁性ハウジング145を順次通過する経路で構成される。このような磁路に磁束が流れると、固定鉄心126と可動鉄心138との間に磁気吸引力が発生し、可動鉄心138が上方に吸引されて、ニードルバルブ130も上方に移動する。その結果、ニードルバルブ130の下端部が噴射口133から離れる(開状態)。
【0079】
ところで、電磁式燃料噴射弁100(本発明の燃料噴射弁)が有する複合磁性パイプ120は、本発明の複合焼結体で構成されている。
すなわち、複合磁性パイプ120は、前述したように、燃料コネクタ部121、非磁性部122およびバルブ収容部123の3つの領域に分けられるが、このうち、燃料コネクタ部121およびバルブ収容部123が磁性材料(例えば、SUS430等のフェライト系ステンレス鋼等)で構成されている一方、非磁性部122が前記磁性材料とは異種の非磁性材料で構成されている。
【0080】
このように磁性材料で構成された燃料コネクタ部121およびバルブ収容部123の間に非磁性材料で構成された非磁性部122が設けられていることにより、複合磁性パイプ120に形成されようとする磁路が、非磁性部122で途切れることになる。
磁路が非磁性部122で途切れると、磁束は、固定鉄心126と可動鉄心138との間を優先的に流れるようになる。その結果、固定鉄心126と可動鉄心138との間に確実に磁気吸引力を発生させることができる。」(段落【0077】ないし【0080】)

(ウ)上記(ア)、(イ)及び図面から分かること

a 上記(ア)、図6及び図7の記載によれば、ニードルバルブ130は、一部が磁性ハウジング145内に設けれていること、コイル139は、磁性ハウジング145内に設けられていること、コイル139は、円筒状であること、及び、複合磁性パイプ120は、コイル139を貫通しており、内部を燃料が流れることが分かる。

b 上記(イ)及び図6の記載によれば、ニードルバルブ130は、コイル139に電流が流れないと、閉状態となり、コイル139に通電すると、上方に移動して開状態となることが分かる。

エ 引用文献2技術

上記(ア)ないし(ウ)を総合すると、引用文献2には次の技術(以下、「引用文献2技術」という。)が記載されている。

「電磁式噴射弁100は、
上下動自在なニードルバルブ130と、
円筒状のコイル139と、
コイル139を貫通し、上方から燃料コネクタ部121、非磁性部122およびバルブ収容部123に分かれており、内部を燃料が流れる複合磁性パイプ120とを有し、
ニードルバルブ130は、コイル139に電流が流れないと、閉状態となり、コイル139に通電すると、上方に移動して開状態となる技術。」

オ 引用文献3の記載事項

原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2009-127692号公報(以下、「引用文献3」という。)には、次の事項が図面(特に、図1、図3及び図4参照)とともに記載されている。

(ア)「【0014】
図1は本発明の一実施例としての電磁弁20の構成の概略を示す構成図である。実施例の電磁弁20は、例えばオートマチックトランスミッションに組み込まれたクラッチやブレーキの油圧制御に用いられるリニアソレノイドバルブとして構成されており、図示するように、ソレノイド部30と、このソレノイド部30により駆動されて入力した油圧を調圧して出力する調圧バルブ部40とを備える。
【0015】
ソレノイド部30は、底付き円筒部材としてのケース31と、ケース31の内周側に配置され絶縁性のボビン32aに絶縁導線が巻回されてなるコイル32と、ケース31の開口端部に外周部が固定されたフランジ部34aとフランジ部34aからコイル32の内周面に沿って軸方向に延伸された円筒部34bとからなる第1のコア34と、ケース31の底部に形成された凹部の内周面と接触すると共にコイル32の内周面に沿って第1のコア34の円筒部34bと所定間隔を隔てた位置まで軸方向に延伸された円筒状の第2のコア35と、第1のコア34と第2のコア35とを同軸に連結する環状の非磁性体33と、第2のコア35に挿入され第2のコア35の内周面を軸方向に摺動可能なプランジャ36と、第1のコア34の円筒部34bに挿入されプランジャ36の先端に当接すると共に円筒部34bの内周面を軸方向に摺動可能なシャフト38とを備える。また、ソレノイド部30は、コイル32からの端子がケース31の外周部に形成されたコネクタ部39に配策されており、この端子を介してコイル32への通電が行なわれる。
【0016】
第1のコア34の円筒部34bの先端部には、内面にはシャフト38よりも大きな外径のプランジャ36の先端部が嵌挿可能に凹部34cが形成されており、外面には先端に向かうほど外径が小さくなるテーパ部34dが形成されている。この凹部34cには、プランジャ36が第1のコア34に直接当接しないよう非磁性材料により形成されたリング状のスペーサ37が配置されている。スペーサ37は、コイル32への通電を遮断したときに作用する残留磁気により第1のコア34からプランジャ36が離間しなくなるのを防止するためのものである。このスペーサ37の断面図を図2に示す。スペーサ37は、図示するように、外周面に丸みをもたせており、組み付け時にスペーサ37を第1のコア34の凹部34cに投入したときにスペーサ37が外周面で立つのを防止している。
【0017】
ケース31と第1のコア34と第2のコア35とプランジャ36は、いずれも純度の高い鉄などの強磁性材料により形成されている。なお、プランジャ36は、外表面に例えばニッケルやリンなどの非磁性材を用いてメッキが施されており、これにより非磁性層が形成される。また、非磁性体33は、例えばステンレススチールや黄銅などの非磁性金属により形成されており、磁性体としての第1のコア34と第2のコア35とを磁気的に分離する。図3に、第1のコア34と第2のコア35と非磁性体33のそれぞれの断面斜視図を示し、図4に、第1のコア34と第2のコア35と非磁性体33とを組み付けた状態の断面斜視図を示す。
【0018】
非磁性体33は、図3に示すように、軸方向の中央部と端部とで肉厚に変化をもたせた筒状の部材として形成されており、一端には内径r1をもつ薄肉部33aが形成され、他端には内径r2をもつ薄肉部33bが形成され、中央部には内径r3をもつ厚肉部33cが形成されている。第1のコア34には、薄肉部33aの内径r1と略同一の径の外径r4をもつ段差部34eが形成されており、この段差部34eに薄肉部33aを圧入することにより、非磁性体33と第1のコア34とを接合できるようになっている。ここで、第1のコア34の段差部34eに圧入される非磁性体33の薄肉部33aは、その先端の突き当て部33eを第1のコア34の段差部34eに突き当てた状態で厚肉部33cが第1のコア34のテーパ部34dとその先端部34fとに接触しないよう軸方向の長さが設計されている(図4の丸で囲む拡大図を参照)。実施例では、非磁性体33と第1のコア34の製造公差を考慮して厚肉部33cがテーパ部34dと先端部34fとに接触しない範囲内でできる限り隙間が生じないよう設計するものとした。なお、先端部34fは、プランジャ36のストロークに対して吸引力の変化の少ないフラットな吸引力特性が得られるようその肉厚が調整されている。また、第2のコア35には、薄肉部33bの内径r2と略同一の径の外径r5をもつ段差部35aが形成されており、この段差部35aに薄肉部33bを圧入することにより非磁性体33と第2のコア35とを接合できるようになっている。」(段落【0014】ないし【0018】)

(イ)「【0022】
こうしたソレノイド部30では、コイル32へ通電されると、ケース31,第2のコア35,プランジャ36,第1のコア34,ケース31の順にコイル32の周囲を周回するよう磁束が流れる磁気回路が形成され、これにより第1のコア34とプランジャ36との間に吸引力が作用してプランジャ36が吸引される。前述したように、プランジャ36の先端には第1のコア34の内周面を軸方向に摺動可能なシャフト38が当接されているから、プランジャ36の吸引に伴ってシャフト38は前方(図中左方向)に押し出される。
【0023】
調圧バルブ部40は、図示しないバルブボディに組み込まれるものとして構成されており、一端がソレノイド部30のケース31および第1のコア34に取り付けられた略円筒状のスリーブ50と、スリーブ50の内部空間に挿入され一端がソレノイド部30のシャフト38の先端に当接されたスプール60と、スリーブ50の他端にネジ止めされたエンドプレート42と、エンドプレート42とスプール60の他端との間に設けられてスプール60をソレノイド部30側の方向へ付勢するスプリング44とを備える。なお、エンドプレート42は、そのネジ位置を調整することにより、スプリング44の付勢力を微調整することができるようになっている。」(段落【0022】及び【0023】)

(ウ)「【0026】
こうして構成された実施例の電磁弁20の動作について説明する。いま、コイル32への通電が遮断されている状態を考える。この状態では、スプール60はスプリング44の付勢力によりソレノイド部30側へ移動しているから、連通部68を介して入力ポート52と出力ポート54とが連通すると共にランド64により出力ポート54とドレンポート56とが遮断される。したがって、出力ポート54に油圧が作用する。一方、コイル32に通電されると、コイル32に印加される電流の大きさに応じた吸引力で第1のコア34にプランジャ36が吸引され、これに伴って先端にスプール60が当接されたシャフト38が前方に押し出され、スプール60がスプリング44側へ移動する。この際、スプール60は、プランジャ36の推力(吸引力)とスプリング44のバネ力とフィードバックポート58からスプール60に作用するフィードバック力とが丁度釣り合う位置で停止し、スプール60がスプリング44側に移動するほど入力ポート52の開口面積を狭めると共にドレンポート56の開口面積を広げ、スプール60が最もスプリング44側に移動したときにランド62により入力ポート52が完全に塞がれると共に出力ポート54とドレンポート56とが連通する。これにより、出力ポート54には油圧が作用しなくなる。実施例では、ソレノイド部30の磁気効率を向上させることにより小型のソレノイド部30を用いて要求されるプランジャ36の吸引力を確保することができるから、実施例の電磁弁20を小型化することができる。」(段落【0026】)

(エ)上記(ア)ないし(ウ)及び図面の記載から分かること

a 上記(ア)ないし(ウ)、図1、図3及び図4の記載によれば、プランジャ36、シャフト38及びスプール60は、軸方向に摺動可能であること、非磁性体33と非磁性体33によって連結された第1のコア34及び第2のコア35とによって円筒部材を形成すること、及び、該円筒部材はコイル32を貫通することが分かる。

b 上記(ア)及び図1の記載によれば、コイル32は、円筒状であることが分かる。

c 上記(ア)、図1、図3及び図4の記載によれば、第1のコア34は、円筒状のコイル32の端によって定められる横断面と交差し、段差部34eを有すること、第2のコア35は、円筒状のコイル32の端によって定められる横断面と交差し、段差部35aを有すること、及び、非磁性体33は、前記横断面同士の間に軸方向に設けられ、段差部34eが圧入する薄肉部33aと段差部35aが圧入する薄肉部33bを有することが分かる。

d 上記(イ)、(ウ)及び図1の記載によれば、プランジャ36、シャフト38及びスプール60は、コイル32への通電が遮断されると、ドレンポート56が塞がれて入力ポート52が連通する位置に移動し、コイル32に通電されると、ドレンポート56が連通し入力ポート52が塞がれる位置に移動することが分かる。

カ 引用文献3技術

上記(ア)ないし(エ)を総合すると、引用文献3には次の技術(以下、「引用文献3技術」という。)が記載されている。

「軸方向に摺動可能なプランジャ36、シャフト38及びスプール60と、
円筒状のコイル32と、
コイル32を貫通し、非磁性体33と非磁性体33によって連結された第1のコア34及び第2のコア35とによって形成される円筒部材とを有し、
プランジャ36、シャフト38及びスプール60は、コイル32への通電が遮断されると、ドレンポート56が塞がれて入力ポート52が連通する位置に移動し、コイル32に通電されると、ドレンポート56が連通し入力ポート52が塞がれる位置に移動する電磁弁20において、
第1のコア34と第2のコア35のそれぞれは、
円筒状のコイル32の端によって定められる横断面と交差し、
段差部34eと段差部35aを有し、
非磁性体33は、
前記横断面同士の間に軸方向に設けられ、
段差部34eが圧入する薄肉部33aと段差部35aが圧入する薄肉部33bを有する技術。」

キ 引用文献4の記載事項

原査定に引用され、本願の優先日前に頒布された特開2002-188744号公報(以下、「引用文献4」という。)には、次の事項が図面(特に、図1及び図2参照)とともに記載されている。

(ア)「【0015】この図1には、非通電時における出力圧が高いノーマリーハイ(N/H)タイプの比例電磁弁1が示されており、該比例電磁弁1は、磁性体からなる金属製のカバー11を備えている。該カバー11は、筒状に形成されており、当該比例電磁弁1の外周部を構成している。このカバー11内には、樹脂製の成型部材12が内嵌されており、該成型部材12には、金属製のブラケット13がインサート成形されている。
【0016】前記成型部材12は、前記ブラケット13を境とした上部が、前記カバー11に内嵌する筒状のボビン21を構成しており、該ボビン21にはコイル22が巻回され、ソレノイド23が形成されている。また、前記成型部材12は、前記ブラケット13を境とした下部が、前記カバー11より下方に延出するノズル24を構成しており、該ノズル24には、通流孔25を有したリング板状のシート26がインサート成形されている。該シート26の下部には、下方に開口する出力ポート27が形成されており、該出力ポート27には、側方に開口した入力ポート28が連通している。また、前記シート26の上部には、弁室29が形成されており、該弁室29は、側方に開口したドレンポート30に連通している。
【0017】前記ボビン21の内部には、サブアッセンブリーされたアッセンブリー部材31が内嵌されている。該アッセンブリー部材31は、前記ブラケット13の中央穴32の挿入された状態で該中央穴32の縁部に載置されており、該ブラケット13は、前記カバー11の下端が内側に折曲されてなる下部カシメ部33によって固定されている。前記アッセンブリー部材31の上端には、リング板状のカバープレート34が載置されており、該カバープレート34は、前記カバー11の上端が内側に折曲されてなる上部カシメ部35によって固定されている。これにより、前記アッセンブリー部材31は、前記ブラケット13と前記カバープレート34に挟持された状態で固定されている。
【0018】前記アッセンブリー部材31は、図2に示すように、前記ブラケット13に支持されるヨーク41と、該ヨーク41の上端部に外嵌したガイド42と、該ガイド42の上部に下端部が内嵌したコア43とにより構成されており、該コア43と前記ガイド42と前記ヨーク41に包囲された内部空間44には、プランジャー45が上下動自在に保持されている。
【0019】このプランジャー45には、ロッド51が貫通した状態で固定されており、その上方突出部52は、ブッシュ53を介して前記コア43に上下動自在に支持されている。また、前記ロッド51の下方突出部54は、ブッシュ55を介して前記ヨーク41に上下動自在に支持されており、その下端部が、前記ヨーク41の挿通孔56を介して、当該アッセンブリー部材31より下方へ突出している。前記上方突出部52には、小径部57が形成されており、該小径部57には、コイルスプリング58が外嵌している。これにより、当該プランジャー45は、下方へ付勢されており、前記ソレノイド23への通電が遮断された通常時において、前記ロッド51下端に形成された弁部59が、前記ノズル24にインサート形成されたシート26の通流孔25を閉鎖するように構成されている。
【0020】前記コア43は、前記ソレノイド23によって励磁される磁性体により形成されており、当該コア43には、励磁された際に前記プランジャー45の上端を吸引する吸引面61が形成されている。これにより、ソレノイド23が通電された際に、コイルスプリング58で付勢された前記プランジャー45を上方へ作動して、ロッド51下端の弁部59で閉鎖された前記シート26の通流孔25を、ソレノイド電流に比例して解放できるように構成されている。前記コア43の上端部中央には、凸部62が形成されており、前記カバープレート34を位置決めできるように構成されている。また、前記コア43の下端部周面には、前記ガイド42が外嵌する段部63が凹設されており、この段部63を前記ガイド42に圧入固定した状態で、コア43側面とガイド42側面とが面一になるように設定されている。
【0021】前記ヨーク41も磁性体により形成されており、当該ヨーク41には、前記プランジャー45を側方から包囲して、プランジャー45からの磁気を当該プランジャー45の側面から受け渡す円筒状の磁気受渡部71が形成されている。このヨーク41の上端部周面には、前記ガイド42が外嵌する段部72が凹設されており、この段部72を前記ガイド42に圧入固定した状態で、ヨーク41側面とガイド42側面とが面一になるように設定されている。そして、前記コア43の上端部周面には、前記ブラケット13に内嵌した状態で位置決めされる位置決凹部73が形成されている。
【0022】前記ガイド42は、非磁性体により形成されており、前記コア43及び前記ヨーク41の段部63,72に外嵌可能な円筒状に形成されている。これにより、前記コア43と前記ヨーク41とを連結して一体化できるように構成されている。
【0023】以上の構成にかかる本実施の形態において、プランジャー45を吸引するコア43と、プランジャー45側面から磁気の受け渡しを行うヨーク41とは、段部63,72を前記ガイド42に圧入した状態で、予め定められた離間距離に維持されている。これにより、性能に大きな影響を及ぼす前記コア43とヨーク41との位置関係、及び両者と前記プランジャー45との位置関係を適切に保持することができる。このため、前記コア43とヨーク41とが、比例電磁弁1の外形を構成するカバー11を介して位置決めされる従来と比較して、組立時の影響を受けることなく、性能を維持することができる。なお、このガイド42は、非磁性体からなるため、ソレノイド23からの電磁作用で作動するプランジャー45への悪影響を排除することができる。」(段落【0015】ないし【0023】)

(イ)上記(ア)及び図面の記載から分かること

上記(ア)、図1及び図2の記載によれば、コイル22は円筒状であること、ソレノイド23はコイル22を含むこと、ヨーク41とガイド42とコア43とがコイル22を貫通すること、プランジャー45及びロッド51は、ソレノイド23への通電が遮断された通常時において、通流孔25を閉鎖する位置に移動し、ソレノイド23が通電された際に、通流孔25を解放する位置に移動すること、ヨーク41は、円筒状のコイル22の下端によって定められる横断面と交差し段部72を有すること、コア43は、円筒状のコイル22の上端によって定められる横断面と交差し段部63を有すること、及び、ガイド42は、前記横断面同士の間に軸方向に設けられ、上記段部72及び上記段部63に外嵌することが分かる。

ク 引用文献4技術

上記(ア)及び(イ)を総合すると、引用文献4には次の技術(以下、「引用文献4技術」という。)が記載されている。

「上下動自在のプランジャー45及びロッド51と、
円筒状のコイル22を含むソレノイド23と、
コイル22を貫通し、ガイド42が外嵌するヨーク41及びコア43とを有し、
プランジャー45及びロッド51は、ソレノイド23への通電が遮断された通常時において、通流孔25を閉鎖する位置に移動し、ソレノイド23が通電された際に、通流孔25を解放する位置に移動する比例電磁弁1において、
ヨーク41及びコア43のそれぞれは、
円筒状のコイル22の上下端によって定められる横断面と交差し、
段部72又は段部63を有し、
ガイド42は、
前記横断面同士の間に軸方向に設けられ、
上記段部72及び上記段部63に外嵌する技術。」

(3) 対比・判断

本件補正発明と引用発明とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用発明における「試薬」は、本件補正発明における「反応剤」に相当し、以下同様に、「試薬インジェクター100」は「反応剤を注入するインジェクター」又は「インジェクター」に、「インジェクター本体102」は「ハウジング」に、「インジェクター本体102内」は「ハウジング中」に、「設けられ」ることは「配置され」ることに、「ピントル118」は「バルブ部材」に、「円筒状」は「円筒形」に、「磁気コイル180」は「電線コイル」又は「電線コイルを含む電磁石」に、「貫通」することは「通」ることに、「試薬の流路を内面に設ける」は「反応剤が流れるための流路の部分を定める内面を備える」ことに、「開位置」は「非座位」に、「閉位置」は「座位」に、「磁気コイル180が通電されると閉位置から開位置へ移動し、磁気コイル180が通電されないと閉位置となる」ことは「電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動」するに、それぞれ相当する。
引用発明における「流体スリーブ」は、本件補正発明における「磁束スリーブ」と、「スリーブ部材」という限りにおいて共通している。

してみると、本件補正発明と引用発明とは、
「反応剤を注入するインジェクターであって、
前記インジェクターは、
ハウジングと、
前記ハウジング中に配置された軸方向に移動可能なバルブ部材と、
前記ハウジング中に配置され、円筒形の電線コイルを含む電磁石と、
前記電線コイルを通り、反応剤が流れるための流路の部分を定める内面を備えるスリーブ部材とを有し、
前記バルブ部材は、前記電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動するインジェクター。」の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本件補正発明は、スリーブ部材が「非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含」む「磁束」スリーブであり、「前記磁性部材のそれぞれは、円筒形の前記電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され、小径の外面を有し、前記非磁性部材は、前記横断面同士の間に軸方向に配置され、両方の前記小径の外面と噛合って固定される内面をさらに有する」のに対し、引用発明は、スリーブ部材が流体スリーブであって、該流体スリーブの具体的な構成が不明である点(以下、「相違点」という。)。

そこで、相違点について検討する。
本願の優先日前の技術水準を把握するために、本件補正発明と引用文献3技術とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用文献3技術における「摺動可能」は、本件補正発明における「移動可能」に相当し、以下同様に、「プランジャ36、シャフト38及びスプール60」は「バルブ部材」に、「円筒状」は「円筒形」に、「コイル32」は「電線コイル」又は「電線コイルを含む電磁石」に、「貫通」することは「通」ることに、「非磁性体33」は「非磁性部材」に、「第1のコア34」及び「第2のコア35」はそれぞれ「磁性部材」に、「連結された」ことは「つながれた」ことに、「ドレンポート56が塞がれて入力ポート52が連通する位置」は「座位」及び「非座位」の一方に、「ドレンポート56が連通し入力ポート52が塞がれる位置」は「座位」及び「非座位」の他方に、「プランジャ36、シャフト38及びスプール60は、コイル32への通電が遮断されると、ドレンポート56が塞がれて入力ポート52が連通する位置に移動し、コイル32へに通電されると、ドレンポート56が連通し入力ポート52が塞がれる位置に移動する」ことは「バルブ部材は、電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動」することに、「円筒状のコイル32の端によって定められる横断面と交差」することは「円筒形の電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され」ることに、「段差部34eと段差部35aを有」することは「小径の外面を有」することに、「非磁性体33は、前記横断面同士の間に軸方向に設けられ」ることは「非磁性部材は、前記横断面同士の間に軸方向に配置され」ることに、「圧入する」ことは「噛合って固定される」ことに、「段差部34eが圧入する薄肉部33aと段差部35aが圧入する薄肉部33bを有する」ことは「両方の小径の外面と噛合って固定される内面を有する」ことに、それぞれ相当する。
また、引用文献3技術における「非磁性体33と非磁性体33によって連結された第1のコア34及び第2のコア35とによって形成される円筒部材」は、本件補正発明における「非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含」む「磁束スリーブ」と、「非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含む磁束円筒部材」という限りにおいて共通している。

してみると、引用文献3技術は、本件補正発明の用語を用いると、以下のものとなる。

「軸方向に移動可能なバルブ部材と、
円筒形の電線コイルを含む電磁石と、
前記電線コイルを通り、非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含む磁束円筒部材とを有し、
前記バルブ部材は、前記電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動する電磁弁20において、
前記磁性部材のそれぞれは、
円筒形の前記電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され、
小径の外面を有し、
前記非磁性部材は、
前記横断面同士の間に軸方向に配置され、
両方の前記小径の外面と噛合って固定される内面を有する技術。」

また、本件補正発明と引用文献4技術とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用文献4技術における「上下動自在」は、本件補正発明における「軸方向に移動可能」に相当し、以下同様に、「プランジャー45及びロッド51」は「バルブ部材」に、「円筒状」は「円筒形」に、「コイル22」は「電線コイル」に、「ソレノイド23」は「電磁石」に、「貫通」することは「通」ることに、「ヨーク41」及び「コア43」はそれぞれ「磁性部材」に、「ガイド42」は「非磁性部材」に、「通流孔25を閉鎖する位置」は「座位」に、「通流孔25を解放する位置」は「非座位」に、「ソレノイド23への通電が遮断された通常時において、通流孔25を閉鎖する位置に移動し、ソレノイド23が通電された際に、通流孔25を解放する位置に移動する」ことは「電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動」することに、「円筒状のコイル22の上下端によって定められる横断面と交差」することは「円筒形の電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され」ることに、「段部72又は段部63を有」することは「小径の外面を有」することに、「ガイド42は、前記横断面同士の間に軸方向に設けられ」ることは「非磁性部材は、前記横断面同士の間に軸方向に配置され」ることに、「段部72及び段部63に外嵌する」ことは「両方の小径の外面と噛合って固定される内面を有する」ことに、それぞれ相当する。
また、引用文献4技術における「ガイド42が外嵌するヨーク41及びコア43」は、本件補正発明における「非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含」む「磁束スリーブ」と、「非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含む磁束円筒部材」という限りにおいて共通している。

してみると、引用文献4技術は、本件補正発明の用語を用いると、以下のものとなる。

「軸方向に移動可能なバルブ部材と、
円筒形の電線コイルを含む電磁石と、
前記電線コイルを通り、非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含む磁束部材とを有し、
前記バルブ部材は、前記電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動する比例電磁弁1において、
前記磁束円筒部材のそれぞれは、
円筒形の前記電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され、
小径の外面を有し、
前記非磁性部材は、
前記横断面同士の間に軸方向に配置され、
両方の前記小径の外面と噛合って固定される内面を有する技術。」

そうすると、引用文献3技術及び引用文献4技術から、以下の技術が本願の優先日前において周知技術といえる。

「軸方向に移動可能なバルブ部材と、
円筒形の電線コイルを含む電磁石と、
前記電線コイルを通り、非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含む磁束円筒部材とを有し、
前記バルブ部材は、前記電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動する電磁弁において、
前記磁性部材のそれぞれは、
円筒形の前記電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され、
小径の外面を有し、
前記非磁性部材は、
前記横断面同士の間に軸方向に配置され、
両方の前記小径の外面と噛合って固定される内面を有する技術。」

次に、本件補正発明と引用文献2技術とを対比すると、その機能、構造又は技術的意義からみて、引用文献2技術における「上下動自在」は、本件補正発明における「軸方向に移動可能」に相当し、以下同様に、「ニードルバルブ130」は「バルブ部材」に、「円筒状」は「円筒形」に、「コイル139」は「電線コイル」又は「電線コイルを含む電磁石」に、「非磁性部122」は「非磁性部材」に、「燃料コネクタ部121」及び「バルブ収容部123」はそれぞれ「磁性部材」に、「上方から燃料コネクタ部121、非磁性部122およびバルブ収容部123に分かれて」いることは「非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含」むことに、「複合磁性パイプ120」は「磁束スリーブ」に、「コイル139に電流が流れないと、閉状態となり、コイル139に通電すると、上方に移動して開状態となる」ことは「電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動」することに、それぞれ相当する。
引用文献2技術における「電磁式噴射弁100」は、本件補正発明における「反応剤を注入するインジェクター」と、「流体注入装置」という限りにおいて共通している。
引用文献2技術における「燃料」は、本件補正発明における「反応剤」と、「流体」という限りにおいて共通しており、引用文献2技術における「内部を燃料が流れる」ことは、本件補正発明における「反応剤が流れるための流路の部分を定める内面を備える」ことと、「流体が流れる」という限りにおいて共通している。

してみると、引用文献2技術は、本件補正発明の用語を用いると、以下のものとなる。

「流体注入装置は、
軸方向に移動可能なバルブ部材と、
円筒形の電線コイルを含む電磁石と、
前記電線コイルを通り、非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含み、流体が流れる磁束スリーブとを有し、
前記バルブ部材は、前記電磁石への通電に応じて、座位と非座位との間で移動する技術。」

引用文献1には、「細長いポールピース122の拡径端部分124及びピントルヘッド132等の、アセンブリの幾つかの部材を、磁界の確立を促すのに役立つように、磁性材料、例えば430ステンレス鋼から作ることができる。同様に、アセンブリの幾つかの部材、例えば細長い内部下側本体104のカラー部分126を、調量ピントル118への影響を制限するように、非磁性材料から作ることができる。」との記載(上記「2 (2)」ア(カ))がある。この記載からみて、引用発明には、磁界の確立を促すことやピントル118への磁界の影響を制限するとの課題があるといえる。
また、引用発明及び引用文献2技術は、流体注入装置という同一の技術分野に属するものであり、引用発明における「流体スリーブ」と、引用文献2技術における「複合磁性パイプ120」とは、電線コイルを通り、流体が流れるスリーブ部材という点で、構造や使用が共通する。
そうすると、引用発明において、引用文献2技術を参酌して、流体スリーブを、磁束スリーブとして用いることは、当業者が容易に着想し得たことである。
また、引用発明において、流体スリーブの構造を、電磁石への通電に応じて、バルブ部材を座位と非座位との間で移動させる上記周知技術の磁束円筒部材を参酌して、「非磁性部材によってつながれた2つの磁性部材を含」み、「前記磁性部材のそれぞれは、円筒形の前記電線コイルの端によって定められる横断面上に配置され、小径の外面を有し、前記非磁性部材は、前記横断面同士の間に軸方向に配置され、両方の前記小径の外面と噛合って固定される内面を有する」とすることは、当業者にとって格別の困難性はない。
そうすると、引用発明において、引用文献2技術及び上記周知技術から、相違点に係る本件補正発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易になし得たことである。

また、本件補正発明は、全体としてみても、引用発明、引用文献2技術及び上記周知技術から予測される以上の格別な効果を奏するものではない。

したがって、本件補正発明は、引用発明、引用文献2技術及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 まとめ

以上より、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので、同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1 本願発明

本件補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし24に係る発明は、平成28年7月20日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし24に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項14に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 1(2)」に記載のとおりのものである。

2 原査定の拒絶の理由

原査定の拒絶の理由は、本願発明は、本願の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明、引用文献2に記載された技術及び周知技術(例えば、引用文献3及び引用文献4参照)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.国際公開第2011/100337号
引用文献2.特開2010-84165号公報
引用文献3.特開2009-127692号公報
引用文献4.特開2002-188744号公報

3 引用文献の記載及び引用発明

引用文献1に記載された発明(引用発明)、引用文献2に記載された技術(引用文献2技術)、上記周知技術に関する引用文献3及び引用文献4に記載された技術(引用文献3技術及び引用文献4技術)は、上記「第2 2(2)」に記載したとおりである。

4 対比・判断

本願発明は、本件補正発明から、「反応剤が流れるための流路の部分を定める内面を備える」との限定を削除したものである。
そうすると、本願発明の発明特定事項を全て含み、さらに他の事項を付加したものに相当する本件補正発明が、上記「第2 2(3)」に記載したとおり、引用発明、引用文献2技術及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、実質的に同様の理由により、引用発明、引用文献2技術及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

第4 むすび

以上のとおり、本願発明は、引用発明、引用文献2技術及び上記周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-03-12 
結審通知日 2018-03-13 
審決日 2018-03-26 
出願番号 特願2014-528507(P2014-528507)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (F01N)
P 1 8・ 121- Z (F01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小笠原 恵理山本 健晴  
特許庁審判長 冨岡 和人
特許庁審判官 西山 智宏
八木 誠
発明の名称 磁束架橋と磁束遮断部とを有した電磁気制御インジェクター  
代理人 特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK  
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