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審決分類 |
審判 一部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 A63F 審判 一部申し立て 2項進歩性 A63F |
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管理番号 | 1342994 |
異議申立番号 | 異議2017-700860 |
総通号数 | 225 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-09-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-09-08 |
確定日 | 2018-06-28 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6091673号発明「プログラム、制御方法、サーバ装置、及び端末装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6091673号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項〔1-6〕、7、8、9について訂正することを認める。 特許第6091673号の請求項1、2、4、5、7乃至9に係る特許を維持する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6091673号の請求項1乃至9に係る特許は、平成25年4月22日に出願した特願2013-89857号の一部を平成26年5月2日に新たな特許出願とした特願2014-95397号の一部を平成26年12月22日に新たな特許出願とした特願2014-259440号の一部を平成27年9月30日に新たな特許出願とした特願2015-194152号の一部を平成28年2月18日に新たな特許出願としたものであって、平成29年2月17日にその特許権の設定登録がされ、その後、平成29年9月8日に特許異議申立人 山田宏基により特許異議の申立てがなされ、同年11月14日付けで審尋を特許異議申立人に通知し、平成30年1月15日に回答書が提出され、同年2月15日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である同年3月30日に意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という)がなされ、同年4月4日付けで訂正の請求を特許異議申立人に通知し、その指定期間内である同年5月7日に意見書の提出がなされたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)乃至(12)のとおりである。(下線は審決で付した。以下、同様。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と記載されているのを、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」に訂正する。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」と記載されているのを、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」に訂正する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項1に「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」と記載されているのを、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項7に「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と記載されているのを、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項7に「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」と記載されているのを、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」に訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項7に「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」と記載されているのを、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」に訂正する。 (7)訂正事項7 特許請求の範囲の請求項8に「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と記載されているのを、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」に訂正する。 (8)訂正事項8 特許請求の範囲の請求項8に「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」と記載されているのを、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」に訂正する。 (9)訂正事項9 特許請求の範囲の請求項8に「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」と記載されているのを、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」に訂正する。 (10)訂正事項10 特許請求の範囲の請求項9に「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と記載されているのを、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」に訂正する。 (11)訂正事項11 特許請求の範囲の請求項9に「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」と記載されているのを、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」に訂正する。 (12)訂正事項12 特許請求の範囲の請求項9に「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」と記載されているのを、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」に訂正する。 2.訂正の目的の適否、特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否、及び新規事項追加の有無の適否 (1)訂正事項1について ア.訂正の目的の適否 訂正事項1は、訂正前の請求項1の「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項1は、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、上記ア.で述べたとおり、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項1に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0062】に「対戦イベントBa2は、一種のギルド戦であって、各プレイヤが所属するギルド同士の戦い(上述したGvGに相当するバトル)であり」と記載され、また、【0063】に「この対戦イベントBa2においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1(グループ)に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2(グループ)に所属するプレイヤキャラクタCg?Clが構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域が画定される。そして、この対戦イベントBa2には敵キャラクタは登場せず、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clは、それぞれが一丸となって、相手ギルドとの直接的な決戦を行う。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図5】には、イベントフィールドFにおいてギルドGlとギルドG2の間の対戦が実行されることが示されているから、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア.訂正の目的の適否 訂正事項2は、訂正前の請求項1の「第1のゲームキャラクタを表示し」について、「第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項2は、「第1のゲームキャラクタを表示し」について、上記ア.で述べたとおり、「第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項2に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に「さらに、図6を参照して、各プレイヤの端末装置2に表示される対戦イベントBa1が実行されているときの状態の一例について説明する。対戦イベントBa1は、対戦イベントBa2とは異なる種類のギルド戦であって、各プレイヤが所属する複数のギルドG1,G2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との戦い(上述したGvGvRに相当するバトル)であり」と記載され、また、段落【0068】に「また、対戦イベントBa1においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clに加え、敵キャラクタEa(レイド)が構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域、並びに、敵キャラクタEaが表示される領域が画定される。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図5】には対戦イベントBa2が示され、【図6】には対戦イベントBa1が示されているから、「第1のゲームキャラクタを表示し」について、「第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア.訂正の目的の適否 訂正事項3は、訂正前の請求項1の「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項3は、「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、上記ア.で述べたとおり、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項3に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に「対戦イベントBa1は、対戦イベントBa2とは異なる種類のギルド戦であって、各プレイヤが所属する複数のギルドG1,G2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との戦い(上述したGvGvRに相当するバトル)であり」と記載され、また、段落【0068】に「また、対戦イベントBa1においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clに加え、敵キャラクタEa(レイド)が構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域、並びに、敵キャラクタEaが表示される領域が画定される。そして、この対戦イベントBa1では、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clのそれぞれが一丸となって、敵キャラクタEaと戦い、ギルドG1,G2間の直接的なバトルは行われない。」と記載され、また、段落【0081】に「さらに、対戦イベントBa1を実施しているときに対戦イベントBa2を中止又は中断せずに、異なる階層やレイヤーで並行して実施してもよい。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図6】には、イベントフィールドFにおいてギルドGlとギルドG2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との対戦が実行されることが示されているから、「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア.訂正の目的の適否 訂正事項4は、訂正前の請求項7の「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項4は、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、上記ア.で述べたとおり、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項4に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0062】に「対戦イベントBa2は、一種のギルド戦であって、各プレイヤが所属するギルド同士の戦い(上述したGvGに相当するバトル)であり」と記載され、また、【0063】に「この対戦イベントBa2においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1(グループ)に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2(グループ)に所属するプレイヤキャラクタCg?Clが構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域が画定される。そして、この対戦イベントBa2には敵キャラクタは登場せず、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clは、それぞれが一丸となって、相手ギルドとの直接的な決戦を行う。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図5】には、イベントフィールドFにおいてギルドGlとギルドG2の間の対戦が実行されることが示されているから、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア.訂正の目的の適否 訂正事項5は、訂正前の請求項7の「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項5は、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、上記ア.で述べたとおり、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項5に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に「さらに、図6を参照して、各プレイヤの端末装置2に表示される対戦イベントBa1が実行されているときの状態の一例について説明する。対戦イベントBa1は、対戦イベントBa2とは異なる種類のギルド戦であって、各プレイヤが所属する複数のギルドG1,G2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との戦い(上述したGvGvRに相当するバトル)であり」と記載され、また、段落【0068】に「また、対戦イベントBa1においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clに加え、敵キャラクタEa(レイド)が構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域、並びに、敵キャラクタEaが表示される領域が画定される。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図5】には対戦イベントBa2が示され、【図6】には対戦イベントBa1が示されているから、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (6)訂正事項6 ア.訂正の目的の適否 訂正事項6は、訂正前の請求項7の「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項6は、「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、上記ア.で述べたとおり、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項6に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に「対戦イベントBa1は、対戦イベントBa2とは異なる種類のギルド戦であって、各プレイヤが所属する複数のギルドG1,G2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との戦い(上述したGvGvRに相当するバトル)であり」と記載され、また、段落【0068】に「また、対戦イベントBa1においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clに加え、敵キャラクタEa(レイド)が構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域、並びに、敵キャラクタEaが表示される領域が画定される。そして、この対戦イベントBa1では、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clのそれぞれが一丸となって、敵キャラクタEaと戦い、ギルドG1,G2間の直接的なバトルは行われない。」と記載され、また、段落【0081】に「さらに、対戦イベントBa1を実施しているときに対戦イベントBa2を中止又は中断せずに、異なる階層やレイヤーで並行して実施してもよい。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図6】には、イベントフィールドFにおいてギルドGlとギルドG2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との対戦が実行されることが示されているから、「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (7)訂正事項7 ア.訂正の目的の適否 訂正事項7は、訂正前の請求項8の「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項7は、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、上記ア.で述べたとおり、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項7に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0062】に「対戦イベントBa2は、一種のギルド戦であって、各プレイヤが所属するギルド同士の戦い(上述したGvGに相当するバトル)であり」と記載され、また、【0063】に「この対戦イベントBa2においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1(グループ)に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2(グループ)に所属するプレイヤキャラクタCg?Clが構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域が画定される。そして、この対戦イベントBa2には敵キャラクタは登場せず、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clは、それぞれが一丸となって、相手ギルドとの直接的な決戦を行う。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図5】には、イベントフィールドFにおいてギルドGlとギルドG2の間の対戦が実行されることが示されているから、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (8)訂正事項8 ア.訂正の目的の適否 訂正事項8は、訂正前の請求項8の「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項8は、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、上記ア.で述べたとおり、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項8に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に「さらに、図6を参照して、各プレイヤの端末装置2に表示される対戦イベントBa1が実行されているときの状態の一例について説明する。対戦イベントBa1は、対戦イベントBa2とは異なる種類のギルド戦であって、各プレイヤが所属する複数のギルドG1,G2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との戦い(上述したGvGvRに相当するバトル)であり」と記載され、また、段落【0068】に「また、対戦イベントBa1においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clに加え、敵キャラクタEa(レイド)が構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域、並びに、敵キャラクタEaが表示される領域が画定される。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図5】には対戦イベントBa2が示され、【図6】には対戦イベントBa1が示されているから、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (9)訂正事項9 ア.訂正の目的の適否 訂正事項9は、訂正前の請求項8の「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項9は、「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、上記ア.で述べたとおり、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項9に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に「対戦イベントBa1は、対戦イベントBa2とは異なる種類のギルド戦であって、各プレイヤが所属する複数のギルドG1,G2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との戦い(上述したGvGvRに相当するバトル)であり」と記載され、また、段落【0068】に「また、対戦イベントBa1においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clに加え、敵キャラクタEa(レイド)が構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域、並びに、敵キャラクタEaが表示される領域が画定される。そして、この対戦イベントBa1では、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clのそれぞれが一丸となって、敵キャラクタEaと戦い、ギルドG1,G2間の直接的なバトルは行われない。」と記載され、また、段落【0081】に「さらに、対戦イベントBa1を実施しているときに対戦イベントBa2を中止又は中断せずに、異なる階層やレイヤーで並行して実施してもよい。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図6】には、イベントフィールドFにおいてギルドGlとギルドG2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との対戦が実行されることが示されているから、「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (10)訂正事項10 ア.訂正の目的の適否 訂正事項10は、訂正前の請求項9の「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項10は、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、上記ア.で述べたとおり、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項10は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項10に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0062】に「対戦イベントBa2は、一種のギルド戦であって、各プレイヤが所属するギルド同士の戦い(上述したGvGに相当するバトル)であり」と記載され、また、【0063】に「この対戦イベントBa2においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1(グループ)に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2(グループ)に所属するプレイヤキャラクタCg?Clが構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域が画定される。そして、この対戦イベントBa2には敵キャラクタは登場せず、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clは、それぞれが一丸となって、相手ギルドとの直接的な決戦を行う。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図5】には、イベントフィールドFにおいてギルドGlとギルドG2の間の対戦が実行されることが示されているから、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」について、「第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (11)訂正事項11 ア.訂正の目的の適否 訂正事項11は、訂正前の請求項9の「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項11は、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、上記ア.で述べたとおり、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項11に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に「さらに、図6を参照して、各プレイヤの端末装置2に表示される対戦イベントBa1が実行されているときの状態の一例について説明する。対戦イベントBa1は、対戦イベントBa2とは異なる種類のギルド戦であって、各プレイヤが所属する複数のギルドG1,G2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との戦い(上述したGvGvRに相当するバトル)であり」と記載され、また、段落【0068】に「また、対戦イベントBa1においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clに加え、敵キャラクタEa(レイド)が構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域、並びに、敵キャラクタEaが表示される領域が画定される。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図5】には対戦イベントBa2が示され、【図6】には対戦イベントBa1が示されているから、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを表示し」について、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (12) 訂正事項12 ア.訂正の目的の適否 訂正事項12は、訂正前の請求項9の「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」と具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ.特許請求の範囲の実質上の拡張又は変更の存否 訂正事項12は、「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、上記ア.で述べたとおり、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」と具体的に限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ.新規事項追加の有無 当該訂正事項12に関する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明の段落【0066】に「対戦イベントBa1は、対戦イベントBa2とは異なる種類のギルド戦であって、各プレイヤが所属する複数のギルドG1,G2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との戦い(上述したGvGvRに相当するバトル)であり」と記載され、また、段落【0068】に「また、対戦イベントBa1においても、前述した対戦イベントBbと同様に、まず、端末装置2の画面2aに、ゲーム画像の表示領域としてイベントフィールドF及びパレットPを画定し、それらの表示領域に、それぞれの構成要素を表示する。具体的には、イベントフィールドFに、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clに加え、敵キャラクタEa(レイド)が構成要素の一部として表示される。すなわち、ここでは、イベントフィールドFに、主として、ギルドG1のプレイヤキャラクタCa?Cfが表示される領域、及び、ギルドG2のプレイヤキャラクタCg?Clが表示される領域、並びに、敵キャラクタEaが表示される領域が画定される。そして、この対戦イベントBa1では、ギルドG1に所属するプレイヤキャラクタCa?Cf、及び、ギルドG2に所属するプレイヤキャラクタCg?Clのそれぞれが一丸となって、敵キャラクタEaと戦い、ギルドG1,G2間の直接的なバトルは行われない。」と記載され、また、段落【0081】に「さらに、対戦イベントBa1を実施しているときに対戦イベントBa2を中止又は中断せずに、異なる階層やレイヤーで並行して実施してもよい。」と記載され、また、願書に添付した図面の【図6】には、イベントフィールドFにおいてギルドGlとギルドG2のそれぞれと敵キャラクタEa(第1のゲームキャラクタ)との対戦が実行されることが示されているか、「前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」について、「前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」とすることは、願書に添付した明細書に記載された範囲内のものである。 したがって、当該訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (13)一群の請求項について 本件訂正前の旧請求項2乃至6は、いずれも旧請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、本件訂正前の請求項1乃至6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 (14)訂正に係る検討のまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項及び同条第9項において準用する同法第126条第4項ないし第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-6〕、7、8、9について訂正を認める。 第3 特許異議の申立てについて 1.本件特許に係る請求項に記載された事項 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1乃至9に係る発明(以下「本件特許発明1」乃至「本件特許発明9」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1乃至9に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供するコンピュータに、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し、 前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、 前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する、 ことを実行させるためのプログラム。 【請求項2】 前記第2対戦は、前記第1のゲームキャラクタと、前記第2対戦の処理の実行が開始されたときに前記第1対戦を行っていた前記複数のグループとの対戦である、請求項1に記載のプログラム。 【請求項3】 前記第2対戦を行うプレイヤは、前記第2対戦の処理が実行される際に前記第1対戦を行っていたプレイヤから選抜される、請求項2に記載のプログラム。 【請求項4】 前記コンピュータに、 前記第2対戦の処理の実行に際して、前記第1のゲームキャラクタと対戦する複数のグループのそれぞれが前記第1のゲームキャラクタへ与えるダメージに関連付けられたゲームパラメータを設定し、 前記第2対戦において、前記ゲームパラメータの数値に基づいて、前記グループ間の勝敗を間接的に判定又は決定する、ことを実行させるための請求項2又は3に記載のプログラム。 【請求項5】 前記コンピュータに、 前記第1対戦において、前記第1対戦の対戦状況又は対戦結果に基づいて、前記第1対戦の勝敗を直接的に判定又は決定する、ことを実行させるための請求項2?4のいずれか一項に記載のプログラム。 【請求項6】 前記コンピュータに、 前記複数のグループのそれぞれと第2のゲームキャラクタとの対戦である第3対戦の処理を実行し、 前記第3対戦を行う前記複数のグループのそれぞれと前記第2のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果に基づいて、前記第1対戦又は前記第2対戦で使用することが可能な報酬を前記複数のグループのそれぞれに付与し、 前記第1対戦又は前記第2対戦において、前記複数のグループのそれぞれに付与された前記報酬の使用の有無を加味して、前記第1対戦又は前記第2対戦の勝敗を判定又は決定する、ことを実行させるための請求項2?5のいずれか一項に記載のプログラム。 【請求項7】 複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供するコンピュータの制御方法であって、前記コンピュータが、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し、 前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、 前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する、 ことを含むことを特徴とする制御方法。 【請求項8】 複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供するサーバ装置であって、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し、前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する制御部を有する、 ことを特徴とするサーバ装置。 【請求項9】 複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供する端末装置であって、 前記複数のプレイヤのうちの一のプレイヤが操作する操作部と、 前記複数のプレイヤのうちの他のプレイヤが操作する他の端末装置と通信回線を介して接続する通信部と、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し、前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する制御部と、を有する、 ことを特徴とする端末装置。」 2.取消理由通知の概要 訂正前の請求項1、2、4、5、7乃至9に係る特許に対して、上記平成30年2月15日付けの取消理由通知で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 (1)特許法第29条第2項(取消理由(1)) 請求項:1、2、4、5、7?9 証 拠:ぴろぴと、「League of Legends 超初心者向け入門のための入門動画」、公知日:2012年4月28日、ニコニコ動画、[平成29年9月5日、7日印刷]、インターネット<http://www.nicovideo.jp/watch/sm17665193>(甲第1号証) matsujun、「【LoL】第2話 League of Legends 初心者でもわかるプレイ動画【Ryzeの冒険】」、公知日:2012年2月26日、ニコニコ動画、[平成29年9月5日、6日印刷]、インターネット<http://www.nicovideo.jp/watch/sm17087968>(甲第2号証) matsujun、「【LoL】第3話 League of Legends 初心者でもわかるプレイ動画【Ryzeの冒険】」、公知日:2012年3月27日、ニコニコ動画、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<http://www.nicovideo.jp/watch/sm17375189>(甲第3号証) doara000、「Learn LoL」、16頁、公知日:2012年11月18日、「SlideShare」、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<http://www.slideshare.net/doarea000/learn-lol>(甲第4号証) riot games、「League of Legends」、収録日:2013年4月16日、「League of Legends」、[平成29年9月7日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20130416062332/http://na.leagueoflegends.com/>(甲第5号証) 作者不明、「仲間と戦え!STRONG WORLDストロングワールド開始」、公知日:2012年7月31日、「グランドコレクション速報ギアセカンド【モバゲー・ワンピース】」、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<http://onepiecemobile.doorblog.jp/archives/12986879.html>(甲第6号証) another080080、「iPhoneアプリドラゴンリーグX第0回リーグ」、公知日:2012年11月5日、youtube、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<http://youtube.com/watch?v=CVHefi7LZZA>(甲第7号証) 株式会社アソビズム、「ドラゴンリーグX」、収録日:2013年3月14日、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20130314114943/http://www.asobism.co.jp/social/dragonleaguex/sp/x_sys01.html>(甲第8号証) 作者不明、「LOLタグを含む動画」、収録日:2012年9月23日、ニコニコ動画(原宿)、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20120923050543/http://www.nicovideo.jp/tag/lol>(甲第9号証) matsujun、「【LoL】League of Legends 初心者でもわかるプレイ動画【Ryzeの冒険】第2話」、収録日:2012年3月2日、ニコニコ動画、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20120302030739/http://www.nicovideo.jp/watch/sm17087968>(甲第10号証) Wikipedia、「League of Legends」、収録日:2013年3月8日、Wikipedia、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20130308030516/https://ja.wikipedia.org/wiki/League_of_Legends>(甲第11号証) (2)特許法第36条第6項第1号(取消理由(2)) 本件特許発明1、7?9の「前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを同時に実行する」は発明の詳細な説明に記載したものでない。 3.各甲号証の記載 (1)甲第1号証 本件特許の分割原出願日前の2012年4月28日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「ぴろぴと、「League of Legends 超初心者向け入門のための入門動画」、公知日:2012年4月28日、ニコニコ動画、[平成29年9月5日、7日印刷]、インターネット<http://www.nicovideo.jp/watch/sm17665193>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「超人気無料オンライン対戦ゲーム League of Legends (以下LoL)について … LoL入門に導くことを目的としたゲーム解説動画です。」(タイムカウントが00:08/23:10の表示画面中の記載) イ.「ミニマップはフィールド全体を20分の1ほどに縮小したものです」(タイムカウントが01:10/23:10の表示画面中の記載) ウ.「ゲームは5人対5人のチーム戦で行われます」(タイムカウントが01:34/23:10の表示画面中の記載) エ.「後はダウンロードしてLoLをインストールすればOK」(タイムカウントが17:07/23:10の表示画面中の記載) オ.「ゲーム起動するとこの画面が出るので「Play」を押す」(タイムカウントが17:13/23:10の表示画面中の記載) カ.「先ほど設定したusernameとpasswordを入力してログイン」(タイムカウントが17:16/23:10の表示画面中の記載) キ.上記ア.より、甲第1号証は、「League of Legends」という、コンピュータが提供するサーバークライアント方式のオンライン対戦ゲームであって、そのゲームについての動画であると把握できる。 ク.上記イ.及びウ.より、「League of Legends」というゲームは、フィールドにおいて10人のプレイヤが5人ずつ、チームに所属してチーム間の対戦を行うゲームであることが把握できる。 ケ.上記エ.乃至カ.のタイムカウントより、カ.の表示画面は、ダウンロードしたLeague of Legendsのクライアントプログラム上で「Play」ボタンを押した後の、ユーザがusernameとpasswordを入力し、League of Legendsのゲームサーバにログインする画面であって、上記キ.より、「League of Legends」は、コンピュータが提供するサーバークライアント方式のオンライン対戦ゲームであるから、「League of Legends」のクライアントプログラムは、対戦ゲームの実行をコンピュータに処理させるものであると把握できる。 以上の記載によれば、甲第1号証には以下の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。 「10人のプレイヤが5人ずつ、チームに所属してチーム間の対戦を行うゲーム「League of Legends」を提供するコンピュータに、フィールドにおいて5人対5人の2チーム間の対戦ゲーム「League of Legends」の処理を実行させるためのプログラム。」 (2)甲第2号証 本件特許の分割原出願日前の2012年2月26日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「matsujun、「【LoL】第2話 League of Legends 初心者でもわかるプレイ動画【Ryzeの冒険】」、公知日:2012年2月26日、ニコニコ動画、[平成29年9月5日、6日印刷]、インターネット<http://www.nicovideo.jp/watch/sm17087968>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「【LoL】第2話League of Legends初心者でもわかるプレイ動画【Ryzeの冒険】」(タイトル) イ.「前回のおさらいだ。中央で九尾の狐Ahri(アーリ)を一度倒すことに成功した。」(タイムカウントが01:17/21:40の表示画面中の記載) ウ.「今度は団体戦か…腕が鳴るぜ。」(タイムカウントが04:50/21:40の表示画面中の記載) エ.「おっと、ドラゴン狩りの指示が来た。」(タイムカウントが17:10/21:40の表示画面中の記載)、及びチーム間の対戦中のフィールドにドラゴンが現れることが示されている(同表示画面)。 オ.「中立ミニオンと呼ばれる、ちょっと強いモンスター一覧だ。」(タイムカウントが17:17/21:40の表示画面中の記載)、及び「ドラゴン」が一覧の一例として示されている(同表示画面)。 カ.「ドラゴンはこれ。中央を流れる川付近にいる。」(タイムカウントが17:27/21:40の表示画面中の記載) キ.「倒すとなんと、チーム全員に190ゴールドが手に入るんだ。」(タイムカウントが17:33/21:40の表示画面中の記載) ク.作成者(プレイヤ名「matsujun」と表示)のチーム間の対戦中のフィールドで一方チームがドラゴンと対戦を行っている様子が示されている。(タイムカウントが17:56/21:40の表示画面) ケ.「よし、190ゴールドを手に入れたな。」(タイムカウントが18:03/21:40の表示画面中の記載) コ.「横取りしようとしてたAhri発見。お仕置きが必要だな。」(タイムカウントが18:07/21:40の表示画面中の記載)、及びAhriを操作するプレイヤが「CHIS」と表示されている(同表示画面)。 サ.上記ア.より、ゲーム「League of Legends」に関する動画であることが把握できる。 シ.上記ウ.より、チーム間の対戦が把握できる。 ス.上記オ.より、ドラゴンが中立ミニオンと呼ばれるモンスターの一例として例示されているから、ドラゴンが2チーム(両陣営)のいずれにも属していないモンスター(キャラクタ)であることが把握できる。 セ.上記カ.より、ドラゴンが、マップ中の特定の場所に現れることが把握できる。 ソ.上記キ.より、ドラゴンと対戦を行い、倒すと、報酬である190ゴールドを入手できることが把握できる。 タ.上記キ.乃至ケ.より、プレイヤ名「matsujun」のチームがのプレイヤがドラゴンを倒し、チームとドラゴンとの対戦が終わったことが把握できる。 チ.上記コ.より、Ahriを操作するプレイヤが「CHIS」であることが把握できる。 以上の記載によれば、甲第2号証には以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されていると認められる。 「チーム間の対戦中のフィールドに、何らかのタイミングで、いずれのチームにも属していないドラゴンが現れ、チーム間の対戦中のフィールドで一方チームとドラゴンとの対戦が行われ、ドラゴンを倒すと、報酬である190ゴールドを入手できるゲーム「League of Legends」。」 (3)甲第3号証 本件特許の分割原出願日前の2012年3月27日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「matsujun、「【LoL】第3話 League of Legends 初心者でもわかるプレイ動画【Ryzeの冒険】」、公知日:2012年3月27日、ニコニコ動画、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<http://www.nicovideo.jp/watch/sm17375189>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「【LoL】第3話League of Legends初心者でもわかるプレイ動画【Ryzeの冒険】」(タイトル) イ.「んん?さっきまでいなかったよな?」(タイムカウントが05:42/21:59の表示画面中の記載)、及び「ドラゴン」が示されている(同表示画面)。 ウ.「時間を確認してたんだ。前回倒してからちょうど6分で出てくるんだ。」(タイムカウントが05:47/21:59の表示画面中の記載) エ.上記ア.より、ゲーム「League of Legends」に関する動画であることが把握できる。 オ.上記イ.及びウ.より、ドラゴンが、前回倒されてから6分後という所定のタイミングで登場することが示されている。 以上の記載によれば、甲第3号証には以下の発明(以下「引用発明3」という。)が記載されていると認められる。 「ドラゴンが、前回倒されてから6分後という所定のタイミングで登場するゲーム「League of Legends」。」 (4)甲第4号証 本件特許の分割原出願日前の2012年11月18日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「doara000、「Learn LoL」、16頁、公知日:2012年11月18日、「SlideShare」、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<http://www.slideshare.net/doarea000/learn-lol>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「Learn LoL」(タイトル) イ.「2分30秒沸き…ドラゴン…6分毎復活」(16頁6行) ウ.上記ア.より、ゲーム「League of Legends」に関する動画であることが把握できる。 エ.上記イ.より、ドラゴンが、6分毎に復活することが示されている。 以上の記載によれば、甲第4号証には以下の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されていると認められる。 「ドラゴンが、6分毎に復活するゲーム「League of Legends」。」 (5)甲第5号証 本件特許の分割原出願日前の2013年4月16日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「riot games、「League of Legends」、収録日:2013年4月16日、「League of Legends」、[平成29年9月7日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20130416062332/http://na.leagueoflegends.com/>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「League of Legends」(タイトル) イ.「Server Status」という表示が把握できる。 ウ.上記ア.より、ゲーム「League of Legends」に関するサイトであることが把握できる。 以上の記載によれば、甲第5号証には以下の発明(以下「引用発明5」という。)が記載されていると認められる。 「「Server Status」という表示を有するゲーム「League of Legends」に関するサイト。」 (6)甲第6号証 本件特許の分割原出願日前の2012年7月31日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「作者不明、「仲間と戦え!STRONG WORLDストロングワールド開始」、公知日:2012年7月31日、「グランドコレクション速報ギアセカンド【モバゲー・ワンピース】」、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<http://onepiecemobile.doorblog.jp/archives/12986879.html>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「グランドコレクション速報ギアセカンド【モバゲー・ワンピース】 モバゲーワンピースグラコレの最新情報を毎日お届け、グラコレのことならグランドコレクション速報!」(ブログのタイトル) イ.「【チームで協力して巨大ボスを撃破】 ・チームは自動的に結成されます。 ・チームは事前登録の際に登録したパーティがいくつか集まって結成されます。また事前登録でパーティに参加しなかったプレイヤーも自動的にチームに割り振られます。 ・イベント巨大ボスの応援依頼はチーム内のみ可能です。 ・自動的にライバルチームが決定されます。 ・ライバルチームは毎日早朝05:00に変更になります。 【チーム間バトルに勝利しよう】 ・毎日早朝05:00-深夜00:59までの間に手に入れたチームptの合計でライバルチームと競います。 ・チームptを手に入れるにはイベント巨大ボスを撃破した時に発見チームと多くのダメージを与えたチームが獲得できます。」(1頁中央欄4行?2頁中央欄1行) ウ.上記ア.より、【モバゲー・ワンピース】は、モバゲー、すなわち、携帯電話やスマホを利用したSNSゲームであることが把握できる。 エ.上記イ.より、プレイヤー事前登録で参加したパーティがいくつか集まってチームが結成され、パーティーに参加しなかったプレイヤもチームに割り振られることが把握できる。 オ.上記イ.より、イベント巨大ボスを撃破した時に、イベント巨大ボスの発見チームと多くのダメージを与えたチームがチームptを獲得でき、チームptの合計でライバルチームと競争することが把握できる。 以上の記載によれば、甲第6号証には以下の発明(以下「引用発明6」という。)が記載されていると認められる。 「携帯電話やスマホを利用したSNSゲーム「モバゲー・ワンピース」であって、 プレイヤー事前登録で参加したパーティがいくつか集まってチームが結成され、パーティーに参加しなかったプレイヤもチームに割り振られ、 イベント巨大ボスを撃破した時に、イベント巨大ボスの発見チームと多くのダメージを与えたチームがチームptを獲得でき、チームptの合計でライバルチームと競争する、SNSゲーム「モバゲー・ワンピース」。」 (7)甲第7号証 本件特許の分割原出願日前の2012年11月5日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「another080080、「iPhoneアプリドラゴンリーグX第0回リーグ」、公知日:2012年11月5日、youtube、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<http://youtube.com/watch?v=CVHefi7LZZA>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「iPhoneアプリドラゴンリーグX第0回リーグ」(左下部「タイトル」) イ.「天空騎士団0017」と表示されたバナーと同じ色である赤いバーが足元に表示されたキャラクタと、「妖精の尻尾騎士団00」と表示されたバナーと同じ色である青いバーが表示されたキャラクタとが直接攻撃し合っていることが示されている。 以上の記載によれば、甲第7号証には以下の発明(以下「引用発明7」という。)が記載されていると認められる。 「赤いバーの「天空騎士団0017」と青いバーの「妖精の尻尾騎士団00」のキャラクタ同士が、直接攻撃し合う「iPhoneアプリドラゴンリーグX第0回リーグ」ゲーム。」 (8)甲第8号証 本件特許の分割原出願日前の2013年3月14日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「株式会社アソビズム、「ドラゴンリーグX」、収録日:2013年3月14日、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20130314114943/http://www.asobism.co.jp/social/dragonleaguex/sp/x_sys01.html>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「試合について レギュラーとサブメンバーが協力して他のチームと戦う対抗戦!! 仲間との団結こそが勝利を生む! レギュラー 攻撃や必殺技で直接相手にダメージを与えていこう! チーム内で戦闘力が高い上位5名がレギュラーとして選ばれるぞ! レギュラー発表は試合開始の約1時間前だ! サブメンバー 「応援」や「援護攻撃」でレギュラーをサポートしていこう! 戦闘力の順位6位以降は全員サブメンバーになるぞ!」(1頁2?11行) イ.「試合 勝利!! アソビズム騎士団 1834569BP VS ドラゴンリーグ軍団 敗北… 1721453BP」(1頁13?15行) ウ.「1時間の試合でBP^(※)の高いチームが勝利! ※BP=ダメージを与えるとチームに加算されるポイント」(1頁16?17行) エ.タイトル「ドラゴンリーグX」より、「ドラゴンリーグX」というゲームについての記載であることが把握できる。 オ.上記ア.における「レギュラー」、「サブメンバー」、「上位5名」「6位以降」等は、プレイヤを指していることは、ゲームの技術分野において明らかな事項であるから、上記ア.より、複数のプレイヤが所属するチーム間の対戦において、直接攻撃し合うことが把握できる。 カ.上記イ.より、対戦は2チーム間の対戦であることが把握できる。 キ.上記ウ.より、2チーム間の対戦において、相手チームにダメージを与えるとチームに加算されるポイント(BP)に基づいて、勝敗が決定されることが把握できる。 以上の記載によれば、甲第8号証には以下の発明(以下「引用発明8」という。)が記載されていると認められる。 「2チーム間の対戦において、相手チームにダメージを与えるとチームに加算されるポイント(BP)に基づいて、勝敗が決定される「ドラゴンリーグX」ゲーム。」 (9)甲第9号証 本件特許の分割原出願日前の2012年9月23日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「作者不明、「LOLタグを含む動画」、収録日:2012年9月23日、ニコニコ動画(原宿)、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20120923050543/http://www.nicovideo.jp/tag/lol>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「2012年04月28日 07:29 投稿 League of Legends 超初心者向け入門のための入門動」」(1頁最上欄) イ.「2012年03月27日 17:53 投稿 【LoL】 第3話 League of Legends 超初心者でもわかる」(2頁第2欄) (10)甲第10号証 本件特許の分割原出願日前の2012年3月2日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「matsujun、「【LoL】League of Legends 初心者でもわかるプレイ動画【Ryzeの冒険】第2話」、収録日:2012年3月2日、ニコニコ動画、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20120302030739/http://www.nicovideo.jp/watch/sm17087968>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「1500万アカウント以上、毎日140万人がプレイ中!世界で最もプレイされているゲーム、League of Legends(リーグオブレジェンズ)のプレイ動画を作ってみました。」(1?2行) (11)甲第11号証 本件特許の分割原出願日前の2013年3月8日に電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった「Wikipedia、「League of Legends」、収録日:2013年3月8日、Wikipedia、[平成29年9月5日印刷]、インターネット<https://web.archive.org/web/20130308030516/https://ja.wikipedia.org/wiki/League_of_Legends>」には、以下の事項が記載されている。 ア.「2012年、世界で最もプレイヤー数の多いPCゲームとされている」 第6 当審の判断 1.取消理由通知に記載した取消理由について (1)特許法第29条第2項(取消理由(1))について ア.対比 本件特許発明1と引用発明1とを対比すると、 後者の「10人のプレイヤ」、「チーム」、「所属して」、「対戦」、「ゲーム「League of Legends」を提供するコンピュータ」、「フィールド」、「2チーム間の対戦」、及び「処理を実行させるためのプログラム」は、それぞれ、前者の「複数のプレイヤ」、「グループ」、「所属して」、「対戦」、「ゲームを提供するコンピュータ」、「第1フィールド」、「複数の前記グループ間の対戦である第1対戦」、及び「処理を実行させるためのプログラム」に相当する。 したがって、本件特許発明1と引用発明1とは、 「複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供するコンピュータに、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行させるためのプログラム。」 である点で一致し、以下の点で相違している。 [相違点] 本件特許発明1が、「前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、 前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」のに対し、引用発明1では、そのような事項が特定されていない点。 イ.相違点についての判断 引用発明2の「チーム間の対戦中」、「何らかのタイミング」、「ドラゴン」、「フィールド」、及び「一方チームとドラゴンとの対戦」は、それぞれ、本件特許発明1の「第1対戦の処理の実行中」、「所定のタイミング」、「第1のゲームキャラクタ」、「第1フィールド」、及び「第1のゲームキャラクタとグループとの対戦である第2対戦」に相当する。 しかし、引用発明2の一方チームとドラゴンとの対戦は、チーム間の対戦中のフィールド、すなわち、第1フィールドで行われるものであって、第1フィールドと異なる第2フィールドで行われるものではない。 また、引用発明2の一方チームとドラゴンとの対戦が、チーム間の対戦と並行して行われているとはいえないし、また、甲第2号証に、グループ間の対戦と、ゲームキャラクタと複数のグループとの対戦とが並行して行われていることの記載はないし、そのようなことが確認できる表示画面が示されてもいない。 また、引用発明3乃至引用発明5にも、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項が記載も示唆もされていない。 また、複数のグループ間の対戦である第1対戦とゲームキャラクタと複数のグループとの対戦である第2対戦という、異なる対戦を並行して実行させることが、設計的事項といえる理由もない。 また、異議申立人が提出した甲第6号証乃至甲第11号証にも、上記相違点に係る本件特許発明1の発明特定事項は記載も示唆もされていないし、設計的事項とする理由もない。 そして、本件特許発明1は、上記相違点により、「従来の単なるグループ同士の対戦や、複数のプレイヤが一の敵キャラクタを倒すようないわゆるレイド戦に比して、対戦イベント自体の面白味、興趣性や趣向性を格段に高めることができる。その結果、対戦イベント延いてはゲーム全体の活性化を促進することができ、且つ、プレイヤのゲームへの参加意識や継続意欲を向上させることが可能となる。」(【0030】参照。)という効果を奏するものである。 したがって、本件特許発明1は、引用発明1乃至引用発明5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 ウ.本件特許発明2、4、及び5について 本件特許発明2、4、及び5は、本件特許発明1の発明特定事項に加えてさらなる発明特定事項を追加して限定を付したものであるから、本件特許発明2、4、及び5は、上記イ.と同様の理由により、引用発明1乃至引用発明5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 エ.本件特許発明7乃至9について 本件特許発明7は、本件特許発明1の「プログラム」を、「制御方法」とカテゴリーを変えたものであって、実質的に本件特許発明1と相違しないから、本件特許発明7は、引用発明1乃至引用発明5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 また、本件特許発明8、及び本件特許発明9は、本件特許発明1の「プログラム」を、「サーバ装置」、及び「端末装置」と変えたものであって、実質的に本件特許発明1と相違しないから、本件特許発明8、及び本件特許発明9は、引用発明1乃至引用発明5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。 (2)特許法第36条第6項第1号(取消理由(2))について 上記本件訂正の訂正事項3により、本件特許発明1において、「前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する」ことが特定された。 そうすると、当該取消理由の対象であって、本件訂正前の請求項1の「同時に実行する」は、「並行して実行する」に訂正され、本件特許明細書の【0081】の「異なる階層やレイヤーで並行して実施してもよい」と整合することとなった。 同様に、本件訂正の、訂正事項6により本件特許発明7が、訂正事項9により本件特許発明8が、訂正事項12により本件特許発明9が、本件特許明細書の【0081】の「異なる階層やレイヤーで並行して実施してもよい」と整合することとなった。 したがって、本件特許発明1、2、4、5、7乃至9は、特許法第36条第6号第1号に規定する要件に適合するものである。 2.取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について (1)特許法第36条第6項第2号(特許異議申立理由(3))について グループ間の勝敗の決定に関して、本件特許明細書には、「その際、イベントフィールドFの中央上部(敵キャラクタEaの上方近傍)には、対戦ゲージ64が表示される。この対戦ゲージ64は、ギルドG1,G2が敵キャラクタEaに対して与えたダメージの総量を、例えば100としたときのそのダメージ総量に対するギルドG1,G2の寄与分の割合(寄与割合;ゲームパラメータ)を示すものである。例えば、図6に示す状態では、敵キャラクタEaのダメージ総量に対するギルドG1の寄与割合641の方が、ギルドG2による寄与分の割合642よりもなっており、この時点において、ギルドG1の方が、ギルドG2よりも敵キャラクタEaに対してより効果的なダメージを与えていることを示す。また、対戦ゲージ64におけるそれらの割合641,642は、対戦イベントBa1の進行とともにリアルタイムで時々刻々と変化する。そして、この対戦イベントBa1においては、その終了時点において、対戦ゲージ64に表示された寄与割合641,642の大小により、ギルドG1,G2の勝敗が間接的に決定される。」(【0071】参照。)と記載されている。 そうすると、本件特許発明4の「間接的に判定又は決定する」とは、上記本件特許明細書に記載の「対戦ゲージ64に表示された寄与割合641,642の大小により、ギルドG1,G2の勝敗が間接的に決定される」という意味であることは明らかである。 したがって、本件特許発明4、及び5は、特許法第36条第6号第2号に規定する要件に適合するものである。 3.まとめ よって、特許異議申立人の本件特許異議の申立てにおける上記取消理由通知に記載した取消理由(1)、及び取消理由(2)、並びに取消理由通知に採用しなかった特許異議申立理由(3)に係る主張は、いずれも採用することができない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2、4、5、7乃至9に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2、4、5、7乃至9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供するコンピュータに、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し、 前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、 前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する、 ことを実行させるためのプログラム。 【請求項2】 前記第2対戦は、前記第1のゲームキャラクタと、前記第2対戦の処理の実行が開始されたときに前記第1対戦を行っていた前記複数のグループとの対戦である、請求項1に記載のプログラム。 【請求項3】 前記第2対戦を行うプレイヤは、前記第2対戦の処理が実行される際に前記第1対戦を行っていたプレイヤから選抜される、請求項2に記載のプログラム。 【請求項4】 前記コンピュータに、 前記第2対戦の処理の実行に際して、前記第1のゲームキャラクタと対戦する複数のグループのそれぞれが前記第1のゲームキャラクタへ与えるダメージに関連付けられたゲームパラメータを設定し、 前記第2対戦において、前記ゲームパラメータの数値に基づいて、前記グループ間の勝敗を間接的に判定又は決定する、ことを実行させるための請求項2又は3に記載のプログラム。 【請求項5】 前記コンピュータに、 前記第1対戦において、前記第1対戦の対戦状況又は対戦結果に基づいて、前記第1対戦の勝敗を直接的に判定又は決定する、ことを実行させるための請求項2?4のいずれか一項に記載のプログラム。 【請求項6】 前記コンピュータに、 前記複数のグループのそれぞれと第2のゲームキャラクタとの対戦である第3対戦の処理を実行し、 前記第3対戦を行う前記複数のグループのそれぞれと前記第2のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果に基づいて、前記第1対戦又は前記第2対戦で使用することが可能な報酬を前記複数のグループのそれぞれに付与し、 前記第1対戦又は前記第2対戦において、前記複数のグループのそれぞれに付与された前記報酬の使用の有無を加味して、前記第1対戦又は前記第2対戦の勝敗を判定又は決定する、ことを実行させるための請求項2?5のいずれか一項に記載のプログラム。 【請求項7】 複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供するコンピュータの制御方法であって、前記コンピュータが、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し、 前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、 前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、 前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する、 ことを含むことを特徴とする制御方法。 【請求項8】 複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供するサーバ装置であって、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し、前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する制御部を有する、 ことを特徴とするサーバ装置。 【請求項9】 複数のプレイヤがグループに所属して対戦を行うゲームを提供する端末装置であって、 前記複数のプレイヤのうちの一のプレイヤが操作する操作部と、 前記複数のプレイヤのうちの他のプレイヤが操作する他の端末装置と通信回線を介して接続する通信部と、 第1フィールドにおいて複数の前記グループ間の対戦である第1対戦の処理を実行し、前記第1対戦の処理の実行中に所定のタイミングで第1のゲームキャラクタを前記第1フィールドと異なる第2フィールドに表示し、前記第2フィールドにおいて前記表示された第1のゲームキャラクタと複数の前記グループとの対戦である第2対戦の処理の実行を開始し、前記第1対戦の処理と前記第2対戦の処理とを並行して実行する制御部と、を有する、 ことを特徴とする端末装置。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-06-20 |
出願番号 | 特願2016-29196(P2016-29196) |
審決分類 |
P
1
652・
537-
YAA
(A63F)
P 1 652・ 121- YAA (A63F) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 櫻井 茂樹 |
特許庁審判長 |
黒瀬 雅一 |
特許庁審判官 |
森次 顕 藤本 義仁 |
登録日 | 2017-02-17 |
登録番号 | 特許第6091673号(P6091673) |
権利者 | グリー株式会社 |
発明の名称 | プログラム、制御方法、サーバ装置、及び端末装置 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 三橋 真二 |
代理人 | 萩原 良一 |
代理人 | 三橋 真二 |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 萩原 良一 |
代理人 | 青木 篤 |
代理人 | 南山 知広 |
代理人 | 鶴田 準一 |
代理人 | 三浦 剛 |
代理人 | 三浦 剛 |
代理人 | 鶴田 準一 |