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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H01L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  H01L
審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1343002
異議申立番号 異議2017-700433  
総通号数 225 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-09-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-04-28 
確定日 2018-06-08 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6018967号発明「熱硬化性封止樹脂シート及び電子部品パッケージの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6018967号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-6〕について訂正することを認める。 特許第6018967号の請求項1、4、5に係る特許を維持する。 特許第6018967号の請求項2、3、6に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由 第1 手続の経緯

特許第6018967号の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、平成28年10月7日付けでその特許権の設定登録がなされ、その後、特許異議申立人 池内義真より請求項1ないし6に対して平成29年4月28日付けで特許異議の申立てがなされ、同年7月4日付けで取消理由が通知され、これに対して同年8月30日付けで意見書の提出及び訂正請求(1回目)がなされ、同年11月6日付けで特許異議申立人から意見書が提出され、さらに、同年12月27日付けで取消理由が通知され、これに対して平成30年3月7日付けで意見書の提出及び訂正請求(2回目)がなされ、同年5月2日付けで特許異議申立人から意見書が提出されたものである。

なお、先にした平成29年8月30日付けの訂正請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。

第2 訂正の適否

1.訂正請求の趣旨及び訂正の内容
平成30年3月7日付けの訂正請求の趣旨は、
「特許第6018967号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1?6について訂正することを求める。」
というものである。
そして、上記訂正請求による訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、以下のとおりである(なお、下線は訂正箇所を示す。)。

(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に
「無機充填剤を70重量%以上80重量%以下の含有量で含み、
以下の熱処理1及び熱処理2の際の表面反り量がそれぞれ-0.6mm以上0.1mm以下である熱硬化性封止樹脂シート。
熱処理1:35mm角で厚さ0.2mmのシリコンチップが厚さ25μmのダイボンドフィルムを介して搭載された50mm角で厚さ0.32mmのプリント基板上に、前記熱硬化性封止樹脂シートを貼り合わせ後の総厚さが0.75mmとなるように貼り合わせ、150℃で1時間熱処理して封止体とした後、25℃で1時間静置する。
熱処理2:前記熱処理1を経た前記封止体をさらに240℃雰囲気下へ投入する。」
と記載されているのを、
「無機充填剤を70重量%以上80重量%以下の含有量で含み、
前記無機充填剤がシリカ粒子であり、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びエラストマーを含むエポキシ樹脂組成物により形成されており、
前記エポキシ樹脂の軟化点が50?130℃であり、
前記エラストマーの含有量が前記エポキシ樹脂組成物全体の4.9?15重量%であり、
150℃で1時間熱処理した後の線膨張率がガラス転移温度以下で15ppm/K以上30ppm/K以下であり、
以下の熱処理1及び熱処理2の際の表面反り量がそれぞれ-0.6mm以上0.1mm以下である熱硬化性封止樹脂シート。
熱処理1:35mm角で厚さ0.2mmのシリコンチップが厚さ25μmのダイボンドフィルムを介して搭載された50mm角で厚さ0.32mmのBTからなるプリント基板上に、前記熱硬化性封止樹脂シートを貼り合わせ後の総厚さが0.75mmとなるように貼り合わせ、150℃で1時間熱処理して封止体とした後、25℃で1時間静置する。
熱処理2:前記熱処理1を経た前記封止体をさらに240℃雰囲気下へ投入する。」
に訂正する。

(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。

(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。

(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4の引用請求項を「請求項1」に訂正する。

(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5の引用請求項を「請求項1又は4」に訂正する。

(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6を削除する。

2.訂正の適否の判断
(1)一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし6について、請求項2ないし6は請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1ないし6に対応する訂正後の請求項1ないし6は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。

(2)訂正事項1
ア.訂正の目的について
訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に係る特許発明において、
(ア)「無機充填剤」が「シリカ粒子」であることの限定を付加し、
(イ)「熱硬化性封止樹脂シート」の組成について、「エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びエラストマーを含むエポキシ樹脂組成物により形成」されてなり、さらに、「前記エポキシ樹脂の軟化点が50?130℃」であり、「前記エラストマーの含有量が前記エポキシ樹脂組成物全体の4.9?15重量%」であることの限定を付加し、
(ウ)「熱硬化性封止樹脂シート」の特性について、「150℃で1時間熱処理した後の線膨張率がガラス転移温度以下で15ppm/K以上30ppm/K以下」であることの限定を付加し、
(エ)熱処理1における「プリント基板」が「BT」からなることの限定を付加するものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ.新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項1のうち上記(ア)に関して、本件訂正前の【請求項3】に「前記無機充填剤がシリカ粒子である請求項1又は2に記載の熱硬化性封止樹脂シート。」と記載され、また、本件特許明細書の例えば段落【0015】には「当該封止樹脂シートでは、線膨張率の制御の観点から、前記無機充填剤がシリカ粒子であることが好ましい。」と記載されている。
また、上記(イ)に関して、本件特許明細書の段落【0025】には「熱硬化性封止樹脂シートを形成する樹脂組成物は、・・・・例えば以下のA成分からE成分を含有するエポキシ樹脂組成物が好ましいものとして挙げられる。なお、C成分は必要に応じて添加しても添加しなくてもよい。A成分:エポキシ樹脂 B成分:フェノール樹脂 C成分:エラストマー D成分:無機充填剤 E成分:硬化促進剤」と記載され、段落【0027】には「エポキシ樹脂の硬化後の靭性及びエポキシ樹脂の反応性を確保する観点からは、エポキシ当量150?250、軟化点もしくは融点が50?130℃の常温で固形のものが好ましく、・・」と記載され、また、段落【0034】には「エラストマー(C成分)の含有量は、エポキシ樹脂組成物全体の1?15重量%である。エラストマー(C成分)の含有量が1重量%未満では、封止樹脂シート1の柔軟性及び可撓性を得るのが困難となり、さらには熱硬化性封止樹脂シートの反りを抑えた樹脂封止も困難となる。逆に上記含有量が15重量%を超えると、封止樹脂シート1の溶融粘度が高くなって電子部品の埋まり込み性が低下するとともに、封止樹脂シート1の硬化体の強度及び耐熱性が低下する傾向がみられる。」と記載されているとともに、段落【0114】の【表1】には、実施例1としてエラストマーの含有量が4.9重量%の例が記載されている。
さらに、上記(ウ)に関して、本件訂正前の【請求項2】に「150℃で1時間熱処理した後の線膨張率がガラス転移温度以下で15ppm/K以上30ppm/K以下である請求項1に記載の熱硬化性封止樹脂シート。」と記載され、また、本件特許明細書の例えば段落【0014】には「当該封止樹脂シートでは、150℃で1時間熱処理した後の線膨張率がガラス転移温度以下で15ppm/K以上30ppm/K以下であることが好ましい。所定の熱処理後の熱処理物のガラス転移温度以下での線膨張率を上記範囲とすることより、封止処理後にPoP構造に対して高温処理を施しても、封止樹脂シートと、特に低線膨張率を有する基板との線膨張率差を小さくすることができ、基板の反り等を防止することができる。・・」と記載されている。
そして、上記(エ)に関しては、表面反り量の測定用半導体パッケージについて、本件特許明細書の段落【0102】?【0103】には「・・以下の仕様の乾燥TF-BGA(Thin Fine-Pitch Ball Grid Array)基板を準備した。 <TF-BGA基板> メーカー:日本サーキット工業 製品名:TFBGA032T(AUS5) 基板サイズ:50mm□(厚さ320μm(=0.32mm)) 基板材質:BT Resin、Cu、Ni、Au、ソルダーマスク・・」と記載されている(なお、「TF-BGA基板」はいわゆるプリント基板である)。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であるといえ、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合するものである。

ウ.特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項(請求項1ないし6)について特許異議の申立てがなされているので、訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(3)訂正事項2,3,6
ア.訂正の目的について
訂正事項2,3,6は、それぞれ請求項2,3,6を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ.新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項2,3,6は、いずれも請求項を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4
ア.訂正の目的について
訂正事項4は、本件訂正前の請求項4が請求項1?3のいずれか1項を引用するものであったのを、請求項2,3の引用を削除し、請求項1のみを引用するようにしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ.新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項4は、引用する請求項の一部を削除したものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

ウ.特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項(請求項1ないし6)について特許異議の申立てがなされているので、訂正前の請求項4に係る訂正事項4に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は課されない。

(5)訂正事項5
ア.訂正の目的について
訂正事項5は、本件訂正前の請求項5が請求項1?4のいずれか1項を引用するものであったのを、請求項2,3の引用を削除し、請求項1又は4を引用するようにしたものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ.新規事項の追加、特許請求の範囲の拡張・変更について
訂正事項5は、引用する請求項の一部を削除したものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項の規定に適合する。また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものにも該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項の規定に適合する。

ウ.特許出願の際に独立して特許を受けることができること
本件においては、訂正前の全ての請求項(請求項1ないし6)について特許異議の申立てがなされているので、訂正前の請求項5に係る訂正事項5に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第7項の独立特許要件は課されない。

3.訂正の適否についてのむすび
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とし、かつ、同条第4項、及び同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するから、本件訂正を認める。

第3 本件特許発明

本件訂正は、上記「第2」のとおり認められたので、本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下、それぞれ「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」という。)は、訂正された特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された事項により特定される、次のとおりのものである(なお、下線は訂正された箇所を示す。)。
「【請求項1】
無機充填剤を70重量%以上80重量%以下の含有量で含み、
前記無機充填剤がシリカ粒子であり、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びエラストマーを含むエポキシ樹脂組成物により形成されており、
前記エポキシ樹脂の軟化点が50?130℃であり、
前記エラストマーの含有量が前記エポキシ樹脂組成物全体の4.9?15重量%であり、
150℃で1時間熱処理した後の線膨張率がガラス転移温度以下で15ppm/K以上30ppm/K以下であり、
以下の熱処理1及び熱処理2の際の表面反り量がそれぞれ-0.6mm以上0.1mm以下である熱硬化性封止樹脂シート。
熱処理1:35mm角で厚さ0.2mmのシリコンチップが厚さ25μmのダイボンドフィルムを介して搭載された50mm角で厚さ0.32mmのBTからなるプリント基板上に、前記熱硬化性封止樹脂シートを貼り合わせ後の総厚さが0.75mmとなるように貼り合わせ、150℃で1時間熱処理して封止体とした後、25℃で1時間静置する。
熱処理2:前記熱処理1を経た前記封止体をさらに240℃雰囲気下へ投入する。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記無機充填剤の平均粒径が0.1μm以上35μm以下である請求項1に記載の熱硬化性封止樹脂シート。
【請求項5】
電子部品が搭載された実装基板を準備する準備工程、
前記電子部品を覆うように前記実装基板上に請求項1又は4に記載の熱硬化性封止樹脂シートを積層して総厚さ0.75mm以下の積層体を形成する積層体形成工程、及び
前記熱硬化性封止樹脂シートを熱硬化させる封止工程
を含む電子部品パッケージの製造方法。
【請求項6】
(削除)」

第4 取消理由通知に記載した取消理由について

1.取消理由の概要
当審において、本件訂正前の請求項1,4,5に係る特許発明に対して通知した平成29年12月27日付け取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)理由1(特許法第29条第1項第3号)
本件特許の請求項1,4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。

(2)理由2(特許法第29条第2項)
本件特許の請求項1に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明、又は下記の引用例1に記載された発明及び引用例2に記載の技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、
本件特許の請求項4に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明、又は下記の引用例1に記載された発明及び引用例3に記載の技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであり、
本件特許の請求項5に係る発明は、その出願前日本国内または外国において頒布された下記の引用例1に記載された発明及び引用例4に記載の技術事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。


引用例1:特開2009-60146号公報(甲第1号証)
引用例2:国際公開第96/27900号(甲第2号証)
引用例3:特開2006-117919号公報(甲第3号証)
引用例4:特開平8-153832号公報(甲第4号証)

2.当審の判断
(1)引用例1の記載
引用例1(特開2009-60146号公報、甲第1号証)には、「半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シート」について、以下の各記載がある(なお、下線は当審で付与した。)。
ア.「【請求項1】
エポキシ樹脂及び充填剤並びに溶剤を含有するエポキシ樹脂組成物をキャリア材の表面に塗布し、これを加熱乾燥することによって得られる半硬化状態の半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シートにおいて、エポキシ樹脂組成物全量に対して、充填剤として、低弾性有機フィラーをX質量%(X=2?15)及び無機フィラーを70-X?90-X質量%用いると共に、キャリア材の表面に形成される半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シートの厚みが5?200μmであることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シート。」

イ.「【請求項4】
低弾性有機フィラーが、シリコーンゴム及びこれをコアとするコアシェル構造を有するものの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シート。」

ウ.「【請求項7】
エポキシ樹脂の硬化剤として、フェノールビフェニルアラルキル樹脂をエポキシ樹脂組成物に配合して成ることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シート。」

エ.「【0034】
低弾性有機フィラーとしては、特に限定されるものではないが、シリコーンゴム(単体であって、パウダー状のものを含む)及びこれをコアとするコアシェル構造を有するものの少なくとも一方を用いるのが好ましい。このようにシリコーンゴムを用いる場合においては、原料がシリコーンであることから、高温下において長時間放置しても熱分解が生じにくく耐熱性の良好なエポキシ樹脂組成物を得ることができ、また、この硬化物の耐熱性も高く得ることができる。しかも、シリコーンゴムを用いることにより、コーティング膜の硬化後の反り量を十分に低減することができ、低反り化の効果を一層高く得ることができるものである。シリコーンゴムの具体例としては、東レ・ダウコーニング(株)製「トレフィル」や旭化成ワッカーシリコーン(株)製「SPM」等を挙げることができる。・・・(以下、略)」

オ.「【0047】
(実施例1?10、比較例1?4)
下記[表1]に示すエポキシ樹脂、硬化剤、充填剤(低弾性有機フィラー及び無機フィラー)、カーボンブラックをプラネタリーミキサーを用いて混練し、これにメチルエチルケトンを配合することによって、粘度を3000cps(3000mPa・s)に調整した樹脂ワニスを得た。なお、エポキシ樹脂と硬化剤の配合比率は、エポキシ基/フェノール性水酸基=1.0となるように設定した。次に、この樹脂ワニスを厚み75μmのポリエチレンテレフタレート(PET)製フィルムからなるキャリア材(表面をあらかじめオルガノポリシロキサンで離型処理)に塗布した後、これを110℃で3分間加熱乾燥することによって、キャリア材の片面に厚み50μmの半硬化状態(Bステージ状態)のエポキシ樹脂組成物からなる半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シートを形成した。
【0048】
・・・・・(中 略)・・・・・
(反り量)
上記のようにして得られた半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シートを用い、シリコンウエハー(厚み200μm、直径100mm)に100℃、数秒でラミネートを行った後、キャリア材であるポリエステルフィルムを剥離した。その後、100℃で30分、さらに180℃で90分の硬化条件で、硬化させることによって、反り量評価のためのサンプルを作製した。その後、このサンプルを30分間、230℃のオーブンに投入し、ウエハーとの複合化による反り量評価を行った。オーブンから取り出したサンプルについて、歪ゲージを用いて複数箇所の反り量を測定し、そのうち最大値をサンプルの反り量とした。その結果を下記[表1]に示す。」

カ.「【0051】
【表1】

上記[表1]において「A1」「A2」「B1」「B2」「F1」「F2」「F3」は下記のものを示す。
【0052】
「A1」:Bis-Fエポキシ樹脂(液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、東都化成(株)製「YDF8170」
「A2」:ビフェニル型エポキシ樹脂、ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000H」、平均分子量384
「B1」:フェノールビフェニルアラルキル樹脂、明和化成(株)製「MEH7851SS」、軟化温度66℃
「B2」:フェノールノボラック、明和化成(株)製「H4」、軟化温度73℃
「F1」:架橋アクリル系ゴムフィラー(コアシェル構造を有するもの)、ガンツ化成(株)製「スタフィロイド AC3355」
「F2」:シリコーンゴムフィラー、旭化成ワッカーシリコーン(株)製「SPM」
「F3」:シリコーンゴムフィラー、東レ・ダウコーニング(株)製「トレフィル E601」
また、無機フィラーとしては、溶融シリカを用いた。」

特に【表1】(段落【0051】)に示されている「実施例9」に係るものに着目し、上記「ア.」ないし「カ.」の記載事項(特に下線を付与した記載部分を参照)を総合勘案すると、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000H」)、当該エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノールビフェニルアラルキル樹脂、及び充填剤を含有するエポキシ樹脂組成物から得られる半硬化状態の半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シートであって、
前記充填剤として、エポキシ樹脂組成物全量に対して、シリコーンゴムからなる低弾性有機フィラーを2質量%、及び溶融シリカからなる無機フィラーを78質量%用いた、半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シート。」

(2)対比・判断
(2-1)本件特許発明1について
本件特許発明1と引用発明とを対比すると、
ア.引用発明における「ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000H」)」、当該エポキシ樹脂の硬化剤としての「フェノールビフェニルアラルキル樹脂」、充填剤としての「無機フィラー」、同じく充填剤としての「シリコーンゴムからなる低弾性有機フィラー」、「半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シート」は、それぞれ本件特許発明1でいう「エポキシ樹脂」、「フェノール樹脂」、「無機充填剤」、「エラストマー」、「熱硬化性封止樹脂シート」に相当し、
イ.また、引用発明の「無機フィラー」の含有量は、78質量%であり、本件特許発明1で特定する「70重量%以上80重量%以下」の範囲(条件)を満たす。
ウ.引用発明の「無機フィラー」は、溶融シリカからなるものであり、本件特許発明1とは「無機充填剤がシリカ粒子」である点で一致する。
エ.引用発明の「ビフェニル型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製「YX4000H」)」は、融点が105℃である(例えば、ジャパンエポキシレジン(株)を吸収合併した三菱ケミカル(株)エポキシ事業部のホームページhttp://www.mcc-epoxy.jp/products/epoxy_jer.htmlを参照されたい。)ことから、本件特許発明1で特定する「前記エポキシ樹脂の軟化点が50?130℃」の範囲(条件)を満たしているといえる。
オ.なお、引用発明の「シリコーンゴムからなる低弾性有機フィラー」は、エポキシ樹脂組成物全量に対して「2質量%」であり、本件特許発明1で特定する、エラストマーの含有量がエポキシ樹脂組成物全体の「4.9?15重量%」の範囲(条件)を満たしていない点で相違している。

よって、本件特許発明1と引用発明とは、
「無機充填剤を70重量%以上80重量%以下の含有量で含み、
前記無機充填剤がシリカ粒子であり、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びエラストマーを含むエポキシ樹脂組成物により形成されており、
前記エポキシ樹脂の軟化点が50?130℃である熱硬化性封止樹脂シート。」
である点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]
本件特許発明1では、「150℃で1時間熱処理した後の線膨張率がガラス転移温度以下で15ppm/K以上30ppm/K以下」である旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点。

[相違点2]
本件特許発明1では、「以下の熱処理1及び熱処理2の際の表面反り量がそれぞれ-0.6mm以上0.1mm以下(熱処理1:35mm角で厚さ0.2mmのシリコンチップが厚さ25μmのダイボンドフィルムを介して搭載された50mm角で厚さ0.32mmのBTからなるプリント基板上に、前記熱硬化性封止樹脂シートを貼り合わせ後の総厚さが0.75mmとなるように貼り合わせ、150℃で1時間熱処理して封止体とした後、25℃で1時間静置する。熱処理2:前記熱処理1を経た前記封止体をさらに240℃雰囲気下へ投入する。)」である旨特定するのに対し、引用発明では、そのような特定を有していない点。

[相違点3]
エポキシ樹脂組成物全体に対するエラストマーの含有量が、本件特許発明1では、「4.9?15重量%」であるのに対し、引用発明では、2質量%である点。

よって、本件特許発明1と引用発明との間には上記のように相違点(特に相違点2,3)があるから、本件特許発明1は、引用発明と同一ではなく、引用例1に記載された発明であるとはいえない。

ここで、上記[相違点3]について、
引用例1には、エポキシ樹脂組成物全量に対して、充填剤として「低弾性有機フィラーをX質量%(X=2?15)及び無機フィラーを70-X?90-X質量%」用いることが記載(【請求項1】、段落【0038】)されており、かかる記載のみからすれば、引用発明において、シリコーンゴムからなる低弾性有機フィラーの含有量を、2質量%を超えて本件特許発明1で特定する「4.9?15重量%」の範囲を満たす値とすることは当業者が容易になし得るものであるかのようにも思われる。
しかなしがら、引用例1の段落【0031】には「後述する充填剤(低弾性有機フィラー及び無機フィラー)の合計量がエポキシ樹脂組成物全量に対して80質量%を超える場合においては、軟化温度が80℃以下のエポキシ樹脂(常温において液状のものを含む)を用いるのが好ましい。その理由は、乾燥後の半導体封止用エポキシ樹脂無機複合シートの可撓性を損なわないようにすることができるからである。」と記載されており、融点が105℃であるビフェニル型エポキシ樹脂を用いている引用発明において、溶融シリカからなる無機フィラーの含有量を本件特許発明1で特定する範囲(条件)を満たす78質量%を維持したまま、シリコーンゴムからなる低弾性有機フィラーの含有量を2質量%を超えて本件特許発明1で特定する「4.9?15重量%」の範囲を満たす値とすること、すなわち、あえて充填剤(低弾性有機フィラー及び無機フィラー)の合計量がエポキシ樹脂組成物全量に対して80質量%を超えたものとすることに積極的な動機付けはなく、むしろ阻害要因があるといえる。
また、引用例2にも、シリコーン化合物を1.3重量%配合することが記載(【表2】、【表3】)されているものの、本件特許発明1で特定する「4.9?15重量%」の範囲を満たす値とすることについては記載も示唆もない。
よって、他の相違点(相違点1,2)について検討するまでもなく、本件特許発明1は、引用発明、又は引用発明及び引用例2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものともいえない。

(2-2)本件特許発明4について
請求項4は、請求項1に従属する請求項であり、本件特許発明4は、本件特許発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件特許発明1の判断と同様の理由により、本件特許発明4は、引用例1に記載された発明であるとはいえず、さらに、引用発明、又は引用発明及び引用例3に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

(2-3)本件特許発明5について
請求項5は、請求項1に従属する請求項であり、本件特許発明5は、本件特許発明1の発明特定事項をすべて含みさらに他の発明特定事項を追加して限定したものであるから、上記本件特許発明1の判断と同様の理由により、本件特許発明5は、引用発明及び引用例4に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4.まとめ
以上のとおりであるから、本件の請求項1,4,5に係る特許は、特許法第29条第1項第3号に該当せず、また、同法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるということはできない。

第5 平成29年12月27日付け取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について

1.特許法第36条第6項第1号(サポート要件)
特許異議申立人は、訂正前の請求項1に係る特許発明に関して、次のような記載不備を主張している。
本件請求項1に係る特許発明では、熱硬化性封止樹脂を構成する樹脂や無機充填剤等の材料(材質)については何ら特定されておらず、これらにどのような材料(材質)のものを用いた場合であっても、「無機充填剤を70重量%以上80重量%以下の含有量で含」むという構成要件(以下、「構成要件A」という。)を満たせば、「熱処理1及び熱処理2の際の表面反り量がそれぞれ-0.6mm以上0.1mm以下」であるという構成要件(以下、「構成要件B」という。)が満たされ、課題を解決することができるとまでは言えない。したがって、出願時の技術常識に照らしても、本件請求項1に係る特許発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。

しかしながら、本件請求項1は平成30年3月7日付けの訂正請求により訂正され、無機充填剤は「シリカ粒子」であることが特定されたものとなり、また、熱硬化性封止樹脂シートは「エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びエラストマーを含むエポキシ樹脂組成物」により形成されることが特定され、さらに、「エポキシ樹脂の軟化点が50?130℃」であり、「エラストマーの含有量が前記エポキシ樹脂組成物全体の4.9?15重量%」であることも特定されたものとなった。これにより、熱硬化性封止樹脂を構成する樹脂や無機充填剤等の材料(材質)は、発明の詳細な説明に記載された材料(材質)のものに特定されたことから、サポート要件を満たしていないということはできない。
よって、特許異議申立人による、特許法第36条第6項第1号に関する上記主張は理由がない。

2.特許法第36条第4項第1号(委任省令要件)
特許異議申立人は、本件特許明細書の発明の詳細な説明に関して、次のような記載不備を主張している。
本件特許発明の課題として、段落【0008】には「・・PoP構造では、各パッケージにおける線膨張率差ないし熱硬化収縮の差の影響だけでなく、上下パッケージ間での線膨張率差や熱硬化収縮の差の影響を受けることになり、PoP構造全体での信頼性の維持ないし向上が困難となる。」と記載されているにもかかわらず、段落【0097】以降における「表面反り量の測定」においては、サンプルとして作製されたPoP構造ではない半導体パッケージ10(図3を参照)について所定の熱処理1及び熱処理2の際の表面反り量が検討されているだけであり、上記課題が解決されるか否かについては何ら検討されていない。したがって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件特許発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されたものではない。

しかしながら、本件特許明細書の段落【0006】には「他方、基板に搭載された電子部品は樹脂封止された状態にあるので、封止樹脂と基板との間の線膨張率の差に起因して応力が発生し、これが基板の反りや封止樹脂の基板からの剥離、封止樹脂のクラック等を引き起こす場合がある。・・」と記載され、段落【0007】には「さらに、電子部品の樹脂封止時においても、封止樹脂の熱硬化収縮の影響により基板に反りが生じることがある。・・」と記載されており、PoP構造ではない単一の半導体パッケージであっても、線膨張率差ないし熱硬化収縮の差の影響により基板に反りが生じてしまうという問題点(課題)を有することが理解できる。そして、段落【0097】以降において、このような単一の半導体パッケージ(図3を参照)について、所定の熱処理1及び熱処理2の際の表面反り量の検討が行われ、本件特許発明(そもそも本件請求項1,4,5に係る特許発明は、PoP構造のもののみに用いられることを前提とするものではない)によってどのように上記課題が解決されたかについて理解し得るといえるから、PoP構造のものについての表面反り量の検討が行われいないからといって、本件特許明細書の発明の詳細な説明が、本件特許発明について、経済産業省令で定めるところにより記載されていないとまではいえない。
よって、特許異議申立人による、特許法第36条第4項第1号に関する上記主張は理由がない。

3.特許法第36条第6項第2号(明確性要件)
特許異議申立人は、訂正前の請求項1に係る特許発明に関して、次のような記載不備を主張している。
本件請求項1に係る特許発明では、「熱処理2」について、「前記熱処理1を経た前期封止体をさらに240℃雰囲気下へ投入する。」とだけ記載され、温度が240℃であることしか特定されておらず、加熱時間が特定されていない。しかし、封止体の表面反り量は、加熱温度だけでなく、加熱時間によっても大きく影響を受けるものである。したがって、本件請求項1に係る特許発明及び請求項1に従属する請求項2?6に係る特許発明は明確でない。

しかしながら、本件請求項1に記載された「熱処理2」が如何なる熱処理を想定したものであるのか当該請求項1には明記されていないが、本件特許明細書を参照するに、例えば段落【0013】の「上記無機充填剤の含有量が70重量%未満であると、はんだリフロー時の反りが大きくなりはんだクラック等の不良が生じるおそれがある。一方、上記無機充填剤の含有量が80重量%を超えると、樹脂封止の段階で成型体の反りが大きくなり、・・」なる記載、段落【0023】の「・・封止樹脂シート1の表面反り量が上記範囲となっているので、樹脂封止時の熱硬化収縮作用及びはんだリフロー時の熱膨張作用が抑制され、その結果、基板の反り等が抑制された高信頼性の電子パッケージを製造することができる。」なる記載、段落【0040】の「・・無機質充填剤(D成分)の含有量が70重量%未満では、はんだリフロー時の反りが大きくなり上下のパッケージで接続不良が発生する可能性が高まる。一方、上記含有量が80重量%を超えると150℃で1時間加熱し硬化させた後に25℃へ冷却した際の反り量が大きくなり・・」なる記載、段落【0115】の「表1より分かるように、実施例1?3の封止樹脂シートにより作製した半導体パッケージでは樹脂封止時及びはんだリフローに対応する熱処理時の表面反り量がともに小さく、封止樹脂シートの反りが抑制されていることから、これらにより作製した半導体パッケージでは良好な信頼性が得られると考えられる。一方、比較例1では樹脂封止時における表面反り量が大きく、また、比較例2でははんだリフローに対応する熱処理時の反りが大きいことから、比較例1及び2のシートでは、いずれかの要因の影響が大きくなって、得られるパッケージ全体の信頼性が劣ることになると考えられる。」なる記載、及び【表1】によれば、「熱処理2」は、はんだリフローを想定した熱処理であると理解でき(なお、「熱処理1」は、樹脂封止時を想定した熱処理、つまり樹脂の熱硬化処理である)、その加熱時間についても、はんだリフローに必要な通常の時間であると解釈することができる。したがって、本件請求項1に係る特許発明において、「熱処理2」における加熱時間が特定されていないとしても、本件請求項1に係る特許発明が明確でないとまではいえない。
よって、特許異議申立人による、特許法第36条第6項第2号に関する上記主張は理由がない。

第6 むすび

以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1,4,5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1,4,5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件の請求項2,3,6に係る特許については、訂正により削除されたため、本件特許の請求項2,3,6に対して、特許異議申立人 池内義真がし
た特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機充填剤を70重量%以上80重量%以下の含有量で含み、
前記無機充填剤がシリカ粒子であり、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びエラストマーを含むエポキシ樹脂組成物により形成されており、
前記エポキシ樹脂の軟化点が50?130℃であり、
前記エラストマーの含有量が前記エポキシ樹脂組成物全体の4.9?15重量%であり、
150℃で1時間熱処理した後の線膨張率がガラス転移温度以下で15ppm/K以上30ppm/K以下であり、
以下の熱処理1及び熱処理2の際の表面反り量がそれぞれ-0.6mm以上0.1mm以下である熱硬化性封止樹脂シート。
熱処理1:35mm角で厚さ0.2mmのシリコンチップが厚さ25μmのダイボンドフィルムを介して搭載された50mm角で厚さ0.32mmのBTからなるプリント基板上に、前記熱硬化性封止樹脂シートを貼り合わせ後の総厚さが0.75mmとなるように貼り合わせ、150℃で1時間熱処理して封止体とした後、25℃で1時間静置する。
熱処理2:前記熱処理1を経た前記封止体をさらに240℃雰囲気下へ投入する。
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
(削除)
【請求項4】
前記無機充填剤の平均粒径が0.1μm以上35μm以下である請求項1に記載の熱硬化性封止樹脂シート。
【請求項5】
電子部品が搭載された実装基板を準備する準備工程、
前記電子部品を覆うように前記実装基板上に請求項1又は4に記載の熱硬化性封止樹脂シートを積層して総厚さ0.75mm以下の積層体を形成する積層体形成工程、及び
前記熱硬化性封止樹脂シートを熱硬化させる封止工程
を含む電子部品パッケージの製造方法。
【請求項6】
(削除)
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-05-28 
出願番号 特願2013-93648(P2013-93648)
審決分類 P 1 651・ 121- YAA (H01L)
P 1 651・ 537- YAA (H01L)
P 1 651・ 113- YAA (H01L)
P 1 651・ 536- YAA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 秋山 直人  
特許庁審判長 國分 直樹
特許庁審判官 関谷 隆一
井上 信一
登録日 2016-10-07 
登録番号 特許第6018967号(P6018967)
権利者 日東電工株式会社
発明の名称 熱硬化性封止樹脂シート及び電子部品パッケージの製造方法  
代理人 特許業務法人 ユニアス国際特許事務所  
代理人 特許業務法人ユニアス国際特許事務所  

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