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審決分類 審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正する G06F
審判 訂正 2項進歩性 訂正する G06F
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正する G06F
審判 訂正 (特120条の4,3項)(平成8年1月1日以降) 訂正する G06F
審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正する G06F
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正する G06F
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正する G06F
管理番号 1343259
審判番号 訂正2018-390070  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2018-04-09 
確定日 2018-08-02 
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第4555901号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第4555901号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める。 
理由 第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第4555901号(以下、「本件特許」という。)は、平成17年12月21日(優先権主張平成16年12月24日、平成17年7月28日)に出願した特願2005-367373号の一部を平成18年10月11日に新たな出願とした特願2006-277062号の一部を平成20年6月23日に新たな特許出願(特願2008-162678号)としたものであって、その請求項1?4に係る発明について、平成22年7月30日に特許権の設定登録がされたものである。
そして、平成28年5月19日に訂正審判(訂正2016-390069号)の請求がされ、この審判事件に関し、平成28年10月17日付けで、「平成28年5月19日付け本件訂正審判請求において、特許第4555901号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり訂正することのうち、請求項2-4について訂正することを認める。請求項1に係る訂正についての審判請求は成り立たない。」(平成29年2月8日付け更正決定により更正)との審決がなされたところ、平成28年11月29日に該審決に対する訴え(平成28年(行ケ)第10257号)が提起され、知的財産高等裁判所において、平成29年10月19日に原告(本件審判の請求人)の請求を棄却する判決がなされ(同年11月7日確定)、平成30年4月9日に本件訂正審判がされた。

第2 訂正の趣旨及び訂正内容
1 訂正の要旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第4555901号の明細書及び特許請求の範囲を、本件審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。

2 訂正内容
(1)訂正事項1
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記データ処理手段へ送信する入力手段と;」とあるのを、「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;」と訂正する。

(2)訂正事項2
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記データ処理手段に送信するとともに、後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;」とあるのを、「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;」と訂正する。

(3)訂正事項3
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「後記データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;」とあるのを、「後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;」と訂正する。

(4)訂正事項4
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理することによりデジタル表示信号を生成するかして、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するデータ処理手段と;」とあるのを、「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;」と訂正する。

(5)訂正事項5
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;」とあるのを、「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;」と訂正する。

(6)訂正事項6
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と;
を備える携帯情報通信装置において、」とあるのを、「外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と;
を備える携帯情報通信装置において、」と訂正する。

(7)訂正事項7
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記データ処理手段は、前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像(以下、高解像度画像と略称する)のビットマップデータを生成して、該ビットマップデータを前記インターフェース手段に送信する機能を有し、」とあるのを、「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、」と訂正する。

(8)訂正事項8
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「前記インターフェース手段は、前記データ処理手段から受信したビットマップデータを、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、」とあるのを、「前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、」と訂正する。

(9)訂正事項9
本件特許の特許請求の範囲の請求項1に「機能を有する、ことを特徴とする携帯情報通信装置。」とあるのを、「機能を有する、ことにより、前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、ことを特徴とする携帯情報通信装置。」と訂正する。

第3 当審の判断
1 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(1)訂正事項1について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項1に係る本件訂正は、「入力手段」による「入力データ」の送信先を「データ処理手段」から「中央演算回路」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「次に、携帯電話機1がデータ通信・処理用に使用される場合、通常は20個前後の小型のキーからなるキー操作部16Aを操作することによって入力され、キー入力コントローラ16Bでデジタル信号に変換されたデータ、及び/又は、インターネットプロトコルに準拠した電波信号を公衆ネットワークから通信用アンテナ111Aで受信し、RF送受信部111B及びベースバンドプロセッサ11を経由することによりデジタル信号に変換されたデータが、バス19を経由して中央演算回路1_10A1に転送される。」(【0116】)(下線は当審で付与。以下、同様。)と記載されているから、訂正事項1に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1に係る本件訂正は、上記アのとおり、「入力手段」による「入力データ」の送信先を「データ処理手段」から「中央演算回路」限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(2)訂正事項2について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項2に係る本件訂正は、「無線信号」の送信先及び受信元を「データ処理手段」から「中央演算回路」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「次に、携帯電話機1がデータ通信・処理用に使用される場合、通常は20個前後の小型のキーからなるキー操作部16Aを操作することによって入力され、キー入力コントローラ16Bでデジタル信号に変換されたデータ、及び/又は、インターネットプロトコルに準拠した電波信号を公衆ネットワークから通信用アンテナ111Aで受信し、RF送受信部111B及びベースバンドプロセッサ11を経由することによりデジタル信号に変換されたデータが、バス19を経由して中央演算回路1_10A1に転送される。中央演算回路1_10A1では、フラッシュメモリ14Aに格納されたプログラムに基づいて必要な処理を行い、処理されたデータは、バス19を経由して、フラッシュメモリ14A及びRAM(Random Access Memory)14Bや、グラフィックコントローラ1_10Bや、ベースバンドプロセッサ11に転送される。そして、最終的には、LCDパネル15Aに画像が表示されたり、スピーカ18Bから音声が出力されたり、通信用アンテナ111Aから電波信号が送信されたり、フラッシュメモリ14Aにデータが保存されたりする。」(【0116】)と記載されているから、訂正事項2に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2に係る本件訂正は、上記アのとおり、「無線信号」の送信先及び受信元を「データ処理手段」から「中央演算回路」に限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(3)訂正事項3について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項3に係る本件訂正は、「記憶手段」に格納される「プログラム」と「データファイル」とが、それぞれ、「データ処理手段」を動作させ「データ処理手段」で処理可能であるものから、「中央演算回路」を動作させ「中央演算手段」で処理可能であるものに限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「中央演算回路1_10A1では、フラッシュメモリ14Aに格納されたプログラムに基づいて必要な処理を行い、該デジタル信号に対応した描画命令をグラフィックコントローラ1_10Bに送信する。」(【0115】)、「このような画像データ及び/又は音声データの保存・再生用に使用される場合、中央演算回路1_10A1は、キー操作部16Aを操作することにより入力されたデータに基づきフラッシュメモリ14Aにアクセスして、デジタル動画信号を変換したビットマップデータやデジタル音声信号を変換したデジタル音声データを必要に応じて圧縮したデータファイルとして書き込んだり、逆にデータファイルを読み出して必要な処理を行うことにより、描画命令をグラフィックコントローラ1_10Bに出力したり、デジタル音声信号をベースバンドプロセッサ11経由でCODEC18Cに出力したりする。」(【0120】)と記載されているから、訂正事項3に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項3に係る本件訂正は、上記アのとおり、「記憶手段」に格納される「プログラム」と「データファイル」とが、それぞれ、「データ処理手段」を動作させ「データ処理手段」で処理可能であるものから、「中央演算回路」を動作させ「中央演算手段」で処理可能であるものに限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(4)訂正事項4について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項4に係る本件訂正は、「データ処理手段」が「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」とから構成されると限定し、「リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する」構成を、「データ処理手段」から「データ処理手段」を構成する「中央演算回路」に限定すると共に、「データファイル」を処理することにより「デジタル表示信号」を生成する機能を、「該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成」するものに限定し、「デジタル表示信号の生成」及び「デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信」する構成を、「データ処理手段」から「データ処理手段」を構成する「グラフィックコントローラ」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「また、携帯情報通信装置に係る第10の発明は、第7乃至第9のいずれか1つの発明の携帯情報通信装置において、前記データ処理手段は、後記グラフィックコントローラ1に対して、仮想画面におけるビットマップデータを生成するように命令する描画命令と、前記送信先指定手段の指定に基づき、該ビットマップデータから必要な部分を切り出して前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1の少なくとも一方に送信するように命令する送信命令とを与える中央演算回路1と、前記描画命令に基づき仮想画面におけるビットマップデータを生成して後記ビットマップメモリ1に書き込むとともに、前記送信命令がビットマップデータを前記ディスプレイ制御手段Aに送信するように命じる場合には、後記ビットマップメモリ1から該ディスプレイパネルAに表示される画像に対応する部分だけを切り出して前記ディスプレイ制御手段Aに送信し、前記送信命令がビットマップデータを前記インターフェース手段A1に送信するように命じる場合には、後記ビットマップメモリ1から周辺装置における外部ディスプレイ手段の画面に表示される高解像度画像に対応する部分だけを切り出して前記インターフェース手段A1に送信するグラフィックコントローラ1と、前記グラフィックコントローラ1で生成された仮想画面におけるビットマップデータを保持するビットマップメモリ1とを備えるようにしたものである。」(【0041】)、「グラフィックコントローラ1_10Bは、該描画命令に基づき、あらかじめ十分な大きさ(以下では、QUXGA Wide (Quad Ultra XGA Wide) サイズ(水平画素数×垂直画素数=3840×2400画素)として説明する)の論理解像度を有するように設定された仮想画面におけるビットマップデータを生成し、必要に応じてVRAM(Video RAM)1_10Cへの書き込み/読み出しを行いつつ、該ビットマップデータをLCDドライバ15Bに送信する。」(【0115】)、「グラフィックコントローラ1_10Bは、該描画命令に基づき仮想画面におけるビットマップデータを生成しVRAM1_10Cに書き込むとともに、LCDパネル15Aに表示され、LCDパネル15Aの画面解像度と同じ解像度を有する画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出してLCDドライバ15Bに送信する。」(【0117】)、「一方、携帯電話機1においては、上記のようにデジタル音声信号に基づいてスピーカ18Bから音声をリアルタイムに出力したり、デジタル動画信号に基づいてLCDパネル15Aに動画をリアルタイムに表示したりするだけでなく、デジタル音声信号及び/又はデジタル動画信号をデータファイルに変換して保存したり、該保存したデータファイルを読み出して必要な処理を行うことにより、音声を出力したり、画像を表示したり、あるいは両者を組み合わせたムービーとして再生することができる。このような画像データ及び/又は音声データの保存・再生用に使用される場合、中央演算回路1_10A1は、キー操作部16Aを操作することにより入力されたデータに基づきフラッシュメモリ14Aにアクセスして、デジタル動画信号を変換したビットマップデータやデジタル音声信号を変換したデジタル音声データを必要に応じて圧縮したデータファイルとして書き込んだり、逆にデータファイルを読み出して必要な処理を行うことにより、描画命令をグラフィックコントローラ1_10Bに出力したり、デジタル音声信号をベースバンドプロセッサ11経由でCODEC18Cに出力したりする。」(【0120】)、「グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から受信した描画命令に基づき、あらかじめ設定された仮想画面上においてビットマップデータを生成し、VRAM1_10Cに書き込む。さらに、グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から入手した外部ディスプレイ装置5の画面解像度データに基づき、外部ディスプレイ装置5の画面解像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置5の画面に表示される画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出す。その上で、中央演算回路1_10A1から受信した送信命令に基づき、該ビットマップデータをTMDSトランスミッタ13Aに送信し、TMDSトランスミッタ13Aは、該ビットマップデータを、外部接続端子部A_13Dを経由して接続ユニット3のインターフェース部B_33にTMDS伝送方式で送信する。」(【0127】)と記載されており、また、「ビットマップデータ」を送信するために、ビットマップデータを伝達する信号を生成することは明らかであるから、訂正事項4に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項4に係る本件訂正は、上記アのとおり、「データ処理手段」が「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」とから構成されると限定し、「リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する」構成を、「データ処理手段」から「データ処理手段」を構成する「中央演算回路」に限定すると共に、「データファイル」を処理することにより「デジタル表示信号」を生成する機能を、「該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成」するものに限定し、「デジタル表示信号の生成」及び「デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信」する構成を、「データ処理手段」から「データ処理手段」を構成する「グラフィックコントローラ」に限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(5)訂正事項5について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項5に係る本件訂正は、「ディスプレイ制御手段」による「デジタル表示信号」の受信元を「データ処理手段」から「グラフィックコントローラ」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「グラフィックコントローラ1_10Bは、該描画命令に基づき、あらかじめ十分な大きさ(以下では、QUXGA Wide (Quad Ultra XGA Wide) サイズ(水平画素数×垂直画素数=3840×2400画素)として説明する)の論理解像度を有するように設定された仮想画面におけるビットマップデータを生成し、必要に応じてVRAM(Video RAM)1_10Cへの書き込み/読み出しを行いつつ、該ビットマップデータをLCDドライバ15Bに送信する。なお、VRAM1_10Cは、[特許請求の範囲]でいうところのビットマップメモリ1にあたる。LCDドライバ15Bは、該ビットマップデータに基づいて、ソース・ドライバ部とゲート・ドライバ部とを作動させることによりLCDパネル15Aの画面を構成する各々の画素を駆動し、最終的にコミュニケーションの相手からの無線動画信号に対応した画像がLCDパネル15Aに表示される。」(【0115】)と記載されているから、訂正事項5に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項5に係る本件訂正は、上記アのとおり、「ディスプレイ制御手段」による「デジタル表示信号」の受信元を「データ処理手段」から「グラフィックコントローラ」に限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(6)訂正事項6について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項6に係る本件訂正は、「インターフェース手段」による「デジタル表示信号」の受信元を「データ処理手段」から「グラフィックコントローラ」に限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から受信した描画命令に基づき、あらかじめ設定された仮想画面上においてビットマップデータを生成し、VRAM1_10Cに書き込む。さらに、グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から入手した外部ディスプレイ装置5の画面解像度データに基づき、外部ディスプレイ装置5の画面解像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置5の画面に表示される画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出す。その上で、中央演算回路1_10A1から受信した送信命令に基づき、該ビットマップデータをTMDSトランスミッタ13Aに送信し、TMDSトランスミッタ13Aは、該ビットマップデータを、外部接続端子部A_13Dを経由して接続ユニット3のインターフェース部B_33にTMDS伝送方式で送信する。」(【0127】)と記載されているから、訂正事項6に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項6に係る本件訂正は、上記アのとおり、「インターフェース手段」による「デジタル表示信号」の受信元を「データ処理手段」から「グラフィックコントローラ」に限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(7)訂正事項7について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項7に係る本件訂正は、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像(以下、高解像度画像と略称する)のビットマップデータを生成して、該ビットマップデータを前記インターフェース手段に送信する機能」を有する構成を「前記データ処理手段」から「グラフィックコントローラ」に限定し、また、「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、」「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能」と、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」の読み出し先と当該ビットマップデータを「インターフェース手段」に送信する条件とを限定すると共に、「インターフェース手段」に送信されるものが「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」であることを明確にし、更に、「グラフィックコントローラ」が、「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能」を有するものである旨限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「以下では、LCDパネル15AはQVGAサイズの画面解像度を有し、通常は縦長画面(水平画素数×垂直画素数=240×320画素)で使用するものとして説明するが、それ以外の解像度であってもよい。」(【0112】)、「グラフィックコントローラ1_10Bは、該描画命令に基づき、あらかじめ十分な大きさ(以下では、QUXGA Wide (Quad Ultra XGA Wide) サイズ(水平画素数×垂直画素数=3840×2400画素)として説明する)の論理解像度を有するように設定された仮想画面におけるビットマップデータを生成し、必要に応じてVRAM(Video RAM)1_10Cへの書き込み/読み出しを行いつつ、該ビットマップデータをLCDドライバ15Bに送信する。」(【0115】)、「グラフィックコントローラ1_10Bは、該描画命令に基づき仮想画面におけるビットマップデータを生成しVRAM1_10Cに書き込むとともに、LCDパネル15Aに表示され、LCDパネル15Aの画面解像度と同じ解像度を有する画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出してLCDドライバ15Bに送信する。」(【0117】)、「以下では、原則として、外部ディスプレイ装置5(LCD)の画面解像度は、VGAサイズ(水平画素数×垂直画素数=640×480画素)であるものとして説明するが、それ以上の解像度であってもよい。」(【0122】)、「グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から受信した描画命令に基づき、あらかじめ設定された仮想画面上においてビットマップデータを生成し、VRAM1_10Cに書き込む。さらに、グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から入手した外部ディスプレイ装置5の画面解像度データに基づき、外部ディスプレイ装置5の画面解像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置5の画面に表示される画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出す。その上で、中央演算回路1_10A1から受信した送信命令に基づき、該ビットマップデータをTMDSトランスミッタ13Aに送信し、TMDSトランスミッタ13Aは、該ビットマップデータを、外部接続端子部A_13Dを経由して接続ユニット3のインターフェース部B_33にTMDS伝送方式で送信する。」(【0127】)と記載され、また、「ビットマップデータ」を送信するために、ビットマップデータを伝達する信号を生成することは明らかであるから、訂正事項7に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項7に係る本件訂正は、上記アのとおり、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像(以下、高解像度画像と略称する)のビットマップデータを生成して、該ビットマップデータを前記インターフェース手段に送信する機能」を有する構成を「前記データ処理手段」から「グラフィックコントローラ」に限定し、また、「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、」「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能」と、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」の読み出し先と当該ビットマップデータを「インターフェース手段」に送信する条件とを限定すると共に、「インターフェース手段」に送信されるものが「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」であることを明確にし、更に、「グラフィックコントローラ」が、「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能」を有するものである旨限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(8)訂正事項8について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項8に係る本件訂正は、「インターフェース手段」による「ビットマップデータ」の受信元を「データ処理手段」から「グラフィックコントローラ」に限定すると共に、受信するものが「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」であることを明確にするものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から受信した描画命令に基づき、あらかじめ設定された仮想画面上においてビットマップデータを生成し、VRAM1_10Cに書き込む。さらに、グラフィックコントローラ1_10Bは、中央演算回路1_10A1から入手した外部ディスプレイ装置5の画面解像度データに基づき、外部ディスプレイ装置5の画面解像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置5の画面に表示される画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10Cから切り出す。その上で、中央演算回路1_10A1から受信した送信命令に基づき、該ビットマップデータをTMDSトランスミッタ13Aに送信し、TMDSトランスミッタ13Aは、該ビットマップデータを、外部接続端子部A_13Dを経由して接続ユニット3のインターフェース部B_33にTMDS伝送方式で送信する。」(【0127】)と記載されているから、訂正事項8に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項8に係る本件訂正は、上記アのとおり、「インターフェース手段」による「ビットマップデータ」の受信元を「データ処理手段」から「グラフィックコントローラ」に限定すると共に、受信するものが「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」であることを明確にするものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

(9)訂正事項9について
ア 訂正の目的の適否
訂正事項9に係る本件訂正は、「携帯情報通信装置」に「前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした」と限定するものであるから、特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。

イ 新規事項の有無
本件特許の願書に添付した明細書には、「以下では、LCDパネル15AはQVGAサイズの画面解像度を有し、通常は縦長画面(水平画素数×垂直画素数=240×320画素)で使用するものとして説明するが、それ以外の解像度であってもよい。」(【0112】)、「以下では、原則として、外部ディスプレイ装置5(LCD)の画面解像度は、VGAサイズ(水平画素数×垂直画素数=640×480画素)であるものとして説明するが、それ以上の解像度であってもよい。」(【0122】)、「接続ユニット3においては、インターフェース部B_33で受信・転送されたビットマップデータを、TMDSレシーバ機能を有するインターフェース部C1_35で受け入れて、必要な処理を行った上で外部ディスプレイ装置5に送信し、結果として、外部ディスプレイ装置5の画面において、その画面解像度に対応した解像度を有する画像が表示される。」(【0128】)と記載されているから、訂正事項8に係る本件訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものであり、特許法第126条第5項の規定に適合する。

ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項9に係る本件訂正は、上記アのとおり、「携帯情報通信装置」に「前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした」と限定するものであって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第126条第6項の規定に適合する。

2 独立特許要件について
訂正事項1?9は、上記したように特許法第126条第1項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とする訂正を含むものであるから、同条第7項の規定に基づき、訂正後の特許請求の範囲に記載された事項により特定される発明が、特許出願の際独立して特許を受けることができるか否かについて、以下検討する。

(1)訂正後の発明
訂正後の請求項1に係る発明(以下、「訂正発明」という。)は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;
無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;
後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;
外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と;
を備える携帯情報通信装置において、
前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、
前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、
ことにより、
前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、
ことを特徴とする携帯情報通信装置。」

(2)特許法第29条第2項の規定への該当性(進歩性)について
ア 引用例の記載、引用例1記載の発明

(ア)本件特許の優先日前に公開された、特開2000-13776号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面と共に以下の記載がある。

a 「【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、通信回線を介して動画像を伝送する動画像通信システム及び動画像通信装置に関し、さらに動画像のフォーマットを表示に適した形態に変換するための画像フォーマット変換方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、動画像を通信回線を介して伝送する場合には、送信側での発生情報量に比して通信回線の伝送容量が小さいため、画像符号化による画像信号の圧縮が必要となる。この場合の動画像符号化方式としては、CCITT(国際電信電話諮問委員会)勧告のH.261方式が広く知られている。H.261方式では、入力動画像を、共通中間フォーマット(CIF:Common Intermediate Format)か、又は縦横の画素数をCIFの1/2に設定したQCIF(Quarter CIF:1/4CIF)に変換して取り扱う。
【0003】そして、最近ではこのH.261方式を使用したテレビジョン電話装置やテレビジョン会議装置等の開発が種々進められており、その一つとして可搬使用を可能とした小型の動画像通信装置が注目を集めている。この種の装置は、例えば固体撮像素子を使用したカメラと小型の液晶表示器を備え、このカメラで撮像された動画像を符号化したのち通信回線へ送信するとともに、通信回線を介して伝送された動画像の符号化データを復号したのち上記液晶表示器に表示するように構成される。
【0004】このような装置を用いると、通信回線が敷設されている場所であれば、例えばオフィスや事業所内の如何なる場所に移動しても、ユーザはテレビ電話やテレビ会議通信を行うことができる。また、通信回線として携帯電話システムやPHS(Personal Handyphone System)が提供する無線回線を利用すれば、屋内ばかりでなく屋外においてもテレビ電話やテレビ会議通信を行うことができる。」

b 「【0025】先ずこの発明の第1の実施形態に係わる動画像通信システムにつき説明する。図1はその概略構成図であり、PHS等の移動通信システムを利用したものである。
【0026】同図において、CS1?CSnはPHSの基地局を示している。これらの基地局CS1?CSnは、システムのサービスエリアに地理的に分散配設されており、隣接する数台ごとにローカルエリアを形成している。
【0027】移動局PS1?PSmは、上記各基地局CS1?CSnが形成するセル内において、最寄りの基地局に無線回線を介して接続される。このとき基地局CS1?CSnと移動局PS1?PSmとの間の無線アクセス方式としては、例えばTDMA-TDD方式が使用される。移動局PS1?PSmには、通話機能のみを有するPHS端末と、データ通信機能と無線アクセス機能を備えた携帯情報端末と、PHS端末に本発明に係わるマルチメディア通信端末装置HS1,HS2を接続したものとがある。
【0028】一方、上記各基地局CS1?CSnはそれぞれ有線回線を介して公衆網INWに接続される。公衆網INWは、ISDNと、このISDNに上記各基地局CS1?CSnを収容するためのI′インタフェース網とを有する。公衆網INWには多くの加入者有線端末の他に、コンピュータ・ネットワークや企業内ネットワーク等が接続される。例えばインターネットの場合には、ISDNにインターネットサービスプロバイダのアクセスサーバASが接続され、このアクセスサーバASを介してインターネットITNに接続される。インターネットITNには多数のWWW(World-Wide Web)サーバWS1,WS2,…が接続され、TCP/IPプロトコルを使用することで、加入者有線端末又は上記移動局PS1?PSmからこれらのWWWサーバWS1,WS2,…に対するアクセスが可能となっている。
【0029】またアクセスサーバASには、インターネット・サービスプロバイダが保有するコンテンツ・サーバTSが接続されている。このコンテンツ・サーバTSは、加入者有線端末および移動局PS1?PSmの要求に応じて、動画像を含む各種情報を提供する機能を有する。なお、MSは移動通信ネットワークの管理制御装置であり、ここで各移動局PS1?PSmの認証処理や課金処理等が行われる。
【0030】ところで、上記WWWサーバWS1,WS2,WS3,…及びコンテンツ・サーバTSは、例えば次のように構成される。図2はその構成を示す機能ブロック図である。」

c 「【0038】一方、マルチメディア通信端末装置HS1,HS2は次のように構成される。図3はその構成を示す機能ブロック図である。なお、ここではマルチメディア通信端末装置HS1を例にとって説明する。
【0039】すなわち、マルチメディア通信端末装置HS1は、主制御部21、映像デコーダ22、表示制御部23、内部表示器24、多重分離部25、無線端末インタフェース部(無線端末I/F部)26、音声コーデック27、カメラインタフェース部(カメラI/F部)28、映像エンコーダ29、操作入力部31及び電源部32を有する。このうち、主制御部21、映像デコーダ22、表示制御部23、多重分離部25、無線端末インタフェース部26、音声コーデック27、カメラインタフェース部28、映像エンコーダ29、操作入力部31及び電源部32は、主バス37を介して互いに接続されている。また、映像デコーダ22、多重分離部25、音声コーデック27及び映像エンコーダ29は、同期バス38を介して互いに接続されている。
【0040】主制御部21は、CPU、ROM及びRAM等を有してなるものであり、マルチメディア通信端末装置HS1の各部を総括制御することで、マルチメディア通信のための所定の動作を実現するものである。
【0041】映像デコーダ22は、符号化映像データのデコードを行い、再生した映像データを表示制御部23へと与える。表示制御部23は、映像デコーダ22から与えられる画像データが示す画像を表示するべく内部表示器24を制御する。内部表示器24は、例えばカラーLCDを使用してなり、MPEG(Moving Picture Experts Group)4方式やITU-T勧告のH.263方式等の画像を表示するのに十分な解像度を有する。例えば、QCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有している。この内部表示器24は、表示制御部23の制御の下に画像を表示する。
【0042】多重分離部25は、マルチメディア通信モードと音声通話モードとデータ通信モードとからなる3つの動作モードを有しており、主制御部21により指定されたモードで動作する。
【0043】マルチメディア通信モードのとき多重分離部25は、映像エンコーダ29から同期バス38を介して与えられる符号化画像データ(当審注:「符号化画像データ」とあるのは「符号化映像データ」の誤記と認める。)、音声コーデック27から同期バス38を介して与えられる符号化音声データ及び主制御部21から与えられる他データを、所定の多重化方式(例えば、ITU-T勧告のH.221またはITU-T勧告のH.223またはこれらを変形したもの)で多重化する。そして、これにより得られる伝送データを無線端末インタフェース部26へと与える。またマルチメディア通信モードのとき多重分離部25は、無線端末インタフェース部26から与えられる伝送データから符号化画像データ(当審注:「符号化画像データ」とあるのは「符号化映像データ」の誤記と認める。)、符号化音声データ及び他データをそれぞれ分離し、これらの各データを映像デコーダ22、音声コーデック27及び主制御部21のそれぞれへと与える。」

d 「【0045】データ通信モードのとき多重分離部25は、主制御部21から同期バス38を介して与えられる伝送データを無線端末インタフェース部26に与えることで、当該データを通信相手の装置に送信することができる。また、通信相手の装置から送信された伝送データを、無線端末インタフェース26を介して受信することもできる。
【0046】無線端末インタフェース部26には、PHS端末用コネクタを介してPHS端末PSiが接続される。そして無線端末インタフェース26は、PHS端末PSiとの間で各種の情報を授受することで、PHS端末PSi及びPHSを含む公衆網を介してデータ通信を実現する。」

e 「【0052】操作入力部31は、複数のキースイッチ等の操作デバイスを有しており、この操作デバイスを操作してなされるユーザの指示入力を受付け、その指示入力の内容を主制御部21に通知する。」

f 「【0054】ところで、本実施形態のマルチメディア通信端末装置HS1は外部モニタ接続端子36を有しており、この外部モニタ接続端子36には外部テレビジョンモニタVMが着脱自在に接続される。
【0055】またマルチメディア通信端末装置HS1は、インピーダンス測定部34と、手持ち検出器35と、センサインタフェース部(センサIF部)33とを備えている。インピーダンス測定部24は、上記外部モニタ接続端子36のインピーダンスを測定し、その測定信号をセンサIF部33へ入力する。手持ち検出器35は、例えば静電センサからなり、ユーザがマルチメディア通信端末装置HS1を把持して状態、又はマルチメディア通信端末装置HS1の前にユーザの顔が存在する状態を検出し、その検出信号をセンサIF部33に入力する。センサIF部33は、上記インピーダンス測定部34の測定信号及び手持ち検出器35の検出信号を、主制御部21が処理可能なディジタル信号に変換して主制御部21に転送する。
【0056】主制御部21は、上記センサIF部33から転送されたインピーダンス測定信号をもとに、外部モニタ接続端子36に外部テレビジョンモニタVMが接続されているか否かを判定する。また、手持ち検出器35の検出信号をもとに、ユーザがマルチメディア通信端末装置HS1を手に持っているか否かを判定することで、間接的に外部テレビジョンモニタVMの接続の有無を判定する。なお、上記インピーダンス測定部34及び手持ち検出器35は両方備えている必要はなく、いずれか一方でもよい。
【0057】主制御部21は、フォーマット通知機能を備えている。このフォーマット通知機能は、上記外部テレビジョンモニタVMの接続の有無の判定結果をもとに、表示手段として外部テレビジョンモニタVMを使用するか内部表示器24を使用するかを判定する。そして、この使用する表示手段に適した画像フォーマットを指定するためのフォーマット指定情報を生成し、このフォーマット指定情報をPHS端末PSiから公衆網INWを介して通信相手のサーバ装置に送る。なお、このフォーマット指定情報の転送には、例えば通信相手のサーバ装置との間のネゴシエーション手順中にある非標準コマンドが使用される。
【0058】次に、以上のように構成された動画像通信システムの動作を説明する。なお、ここではマルチメディア通信端末装置HS1からコンテンツ・サーバTSに対しアクセスし、このコンテンツ・サーバTSが送信する動画像データをマルチメディア通信端末装置HS1で受信して表示する場合を例にとって説明する。図4は、この場合のマルチメディア通信端末装置HS1及びコンテンツ・サーバTSの制御手順及びその内容を示すフローチャートである。」

g 「【0064】マルチメディア通信端末装置HS1は、ネゴシエーションを終了するとステップ4gに移行してここで動画像データの受信表示処理を実行する。すなわち、上記コンテンツ・サーバTSから動画像の符号化データが送られると、この符号化データは映像デコーダ22で元の動画像データに復号されて表示制御部23に入力される。表示制御部23は、外部テレビジョンモニタVMの接続の有無に応じて表示手段として外部テレビジョンモニタVMを使用するか、内部表示器24を使用するかを決定し、この決定した表示手段へ上記復号された動画像データを供給して表示させる。」

h 「【0068】(第2の実施形態)この発明の第2の実施形態は、マルチメディア通信端末装置に、外部テレビジョンモニタの接続の有無を検出する接続状態検出手段を設け、その検出結果に基づいて内部表示器及び外部テレビジョンモニタに対する受信動画像データの振り分けを自動制御する。またそれとともに、上記接続状態検出手段の検出結果をもとに使用する表示手段に適した画像フォーマットを判定し、受信した動画像データのフォーマットがこの適合フォーマットと異なる場合に、受信動画像データをフォーマット変換して表示するようにしたものである。
【0069】図7は、この第2の実施形態に係わるマルチメディア通信端末装置の構成を示すブロック図である。なお、同図において前記図3と同一部分には同一符号を付して詳しい説明は省略する。
【0070】本実施形態のマルチメディア通信端末装置HS1′は、QCIF/CIF変換部39を備えている。このQCIF/CIF変換部39は、表示制御部23からQCIFの動画像データが供給された場合に、この動画像データのフォーマットをQCIFからCIFに変換する。変換方法としては、4フレーム分のQCIFを位置座標の同じ画素同士で合成することにより1フレーム分のCIFを生成する方法を用いる。また画素の合成方法には、合成しようとする4個の画素の合成ベクトルを求め、この合成ベクトルに基づいて上記4個の画素の配置を可変設定する方法を用いる。
【0071】次に、以上のように構成されたマルチメディア通信端末装置HS1′による動画像データの受信表示動作を説明する。図8は、その制御手順と制御内容を示すフローチャートである。
【0072】通信相手装置との間に通信リンクが開設されると、マルチメディア通信端末装置HS1′はステップ8aからステップ8bに移行して、ここでまず外部テレビジョンモニタVMの接続状態を検出する。この接続状態の検出は、インピーダンス測定部34の測定信号又は手持ち検出器35の検出信号をもとになされる。
【0073】続いてマルチメディア通信端末装置HS1′は、ステップ8cにおいて通信相手装置から送信された動画像の符号化データを受信する。この符号化データは、映像デコーダ23で元の動画像データに復号されたのち表示制御部23に入力される。
【0074】表示制御部23は、上記ステップ8bで得た接続状態の検出結果を基に、外部テレビジョンモニタVMが接続されているか否かをステップ8dで判定する。そして、外部テレビジョンモニタVMが接続されていると判定されると、ステップ8eに移行してここで受信動画像データのフォーマットがCIFであるか否かを判定する。この判定の結果、受信動画像データのフォーマットがCIFであれば、この受信動画像データのフォーマットは外部テレビジョンモニタVMへの表示に適していると判断してステップ8gに移行し、上記CIFの動画像データをそのまま外部テレビジョンモニタVMに出力して表示させる。
【0075】これに対し受信画像データのフォーマットがQCIFだったとすると、表示制御部23はステップ8fに移行して、ここでQCIFからCIFへのフォーマット変換を行う。
【0076】このフォーマット変換は次のように行われる。図9はその処理内容を模式的に示したものである。すなわち、QCIFフォーマットの受信動画像データは、まず表示制御部23内のバッファメモリに4フレーム分ずつ蓄積される(処理S1)。次に、この4フレームfr1,fr2,fr3,fr4の同一座標位置における4個の画素がQCIF/CIF変換部39に読み出され、これら4個「1」,「2」,「3」,「4」の画素の動きベクトルが合成される(処理S2)。そして、この合成された動きベクトルはしきい値と比較され、これにより「ベクトルなし」、「上ベクトル」、「下ベクトル」、「左ベクトル」、「右ベクトル」のいずれかに識別される(処理S3)。
【0077】次に、QCIF/CIF変換部39において、この合成された動きベクトルの識別結果に基づいて上記4個の画素の配置処理が行われる。図10はその処理内容を示すものである。すなわち、先ず合成された動きベクトルがない場合には、QCIFの4フレームfr1,fr2,fr3,fr4の同一位置における4個の画素「1」,「2」,「3」,「4」を、同図(a)に示すようにランダムに配置する。また、合成された動きベクトルが「上ベクトル」の場合には、4個の画素「1」,「2」,「3」,「4」を同図(b)に示すように時間的に後方のフレームの画素「3」,「4」が上方側となるように配置し、一方合成された動きベクトルが「下ベクトル」の場合には、4個の画素「1」,「2」,「3」,「4」を同図(c)に示すように時間的に後方のフレームの画素「3」,「4」が下方側になるように配置する。さらに、合成された動きベクトルが「右ベクトル」の場合には、4個の画素「1」,「2」,「3」,「4」を同図(d)に示すように時間的に後方のフレームの画素「3」,「4」が右側になるように配置し、一方合成された動きベクトルが「左ベクトル」の場合には、4個の画素「1」,「2」,「3」,「4」を同図(e)に示すように時間的に後方のフレームの画素「3」,「4」が左側になるように配置する。
【0078】以後同様に、QCIFのすべての画素についてその動きベクトルの合成ベクトルに応じた合成処理が行われる。そうして4フレーム分のQCIFを合成した1フレーム分のCIFが生成されると、QCIF/CIF変換部39は次の4フレーム分のQCIFをもとにCIFフレームを生成する処理を行う。かくして、外部テレビジョンモニタVMには、QCIFからCIFにフォーマット変換された、QCIFと同程度の解像度を有する受信画像データが表示される。
【0079】一方、上記ステップ8dにおいて、外部テレビジョンモニタVMが接続されていないと判定されたとする。この場合マルチメディア通信端末装置HS1′は、ステップ8eに移行してここで受信動画像データのフォーマットがQCIFであるか否かを判定する。この判定の結果、受信動画像データのフォーマットがQCIFであれば、この受信動画像データのフォーマットは内部表示器24への表示に適していると判断してステップ8jに移行し、上記QCIFの動画像データをそのまま内部表示器24に出力して表示させる。
【0080】これに対し受信画像データのフォーマットがCIFだったとすると、表示制御部23はステップ8iに移行して、ここでCIFからQCIFへのフォーマット変換を行う。このCIFからQCIFへのフォーマット変換は、CIF動画像データの画素を間引く処理により行われる。かくして、内部表示器24へはQCIFの動画像又はCIFからQCIFにフォーマット変換された動画像が表示される。」

i 「【0082】また、上記外部テレビジョンモニタVMの接続の有無の検出結果をもとに、使用する表示手段に適した画像フォーマットを判定し、受信した動画像データのフォーマットがこの適合フォーマットと異なる場合に、受信動画像データをフォーマット変換して表示するようにしている。このため、外部テレビジョンモニタVMを使用する場合にも、また内部表示器24を使用する場合にも、動画像データはこれらの表示手段が持つ画素数に対応したフォーマットで表示される。したがって、ユーザがその都度フォーマットを設定しなくても、常に表示手段に適したフォーマットで動画像データを表示することができる。」

j 「【0086】また、外部テレビジョンモニタVMが接続されていることが検出されている状態で、表示画像サイズの指定入力を促す情報を内部表示器24に表示し、ユーザが操作入力部31により外部テレビジョンモニタVMの表示画像サイズを任意に指定できるようにしてもよい。
【0087】またこの場合、指定入力された画像表示サイズと受信動画像データのフォーマットとを比較し、受信動画像データのサイズが指定入力された画像表示サイズよりも大きい場合には、受信動画像データの画素を間引いたり、またフォーマット変換を行うようにするとよい。反対に、受信動画像データのサイズが指定入力された画像表示サイズよりも小さい場合には、受信動画像データをそのまま表示させてもよいが、受信画像データを拡大処理して表示するようにしてもよい。」

これらの記載によれば、引用例1には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているといえる。

「通話機能のみを有するPHS端末と、
前記PHS端末に接続したマルチメディア通信端末装置であって、
主制御部は、CPU、ROM及びRAM等を有してなるものであり、マルチメディア通信端末装置の各部を総括制御することで、マルチメディア通信のための所定の動作を実現するものであり、
映像デコーダは、符号化映像データのデコードを行い、再生した映像データを表示制御部へと与え、
表示制御部は、映像デコーダから与えられる画像データが示す画像を表示するべく内部表示器を制御し、
内部表示器は、カラーLCDを使用してなり、縦横の画素数をCIFの1/2に設定したQCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有しており、
多重分離部は、主制御部により指定されたモードで動作し、無線端末インタフェース部から与えられる伝送データから符号化映像データを分離し、映像デコーダへと与え、
多重分離部は、主制御部から同期バスを介して与えられる伝送データを無線端末インタフェース部に与えることで、当該データを通信相手の装置に送信することができ、
無線端末インタフェース部には、PHS端末用コネクタを介してPHS端末が接続され、PHS端末との間で各種の情報を授受することで、PHS端末及びPHSを含む公衆網を介してデータ通信を実現し、
操作入力部は、複数のキースイッチ等の操作デバイスを有しており、この操作デバイスを操作してなされるユーザの指示入力を受付け、その指示入力の内容を主制御部に通知し、
外部モニタ接続端子には外部テレビジョンモニタが着脱自在に接続され、
ユーザはマルチメディア通信端末装置を把持し、手に持つことができ、
マルチメディア通信端末装置は、動画像の符号化データを受信し、この符号化データは、映像デコーダで元の動画像データに復号されたのち表示制御部に入力され、
表示制御部は、外部テレビジョンモニタが接続されていると判定される場合には、受信動画像データのフォーマットがCIFであれば、CIFの動画像データをそのまま外部テレビジョンモニタに出力して表示させ、
受信画像データのフォーマットがQCIFだったとすると、QCIFからCIFへのフォーマット変換を行い、
このフォーマット変換は、QCIFフォーマットの受信動画像データは、まず表示制御部内のバッファメモリに4フレーム分ずつ蓄積され、次に、この4フレームfr1,fr2,fr3,fr4の同一座標位置における4個の画素がQCIF/CIF変換部に読み出され、これら4個「1」,「2」,「3」,「4」の画素の動きベクトルが合成され、次に、QCIF/CIF変換部において、この合成された動きベクトルの識別結果に基づいて上記4個の画素の配置処理が行われ、QCIFのすべての画素についてその動きベクトルの合成ベクトルに応じた合成処理が行われ、そうして4フレーム分のQCIFを合成した1フレーム分のCIFが生成されると、QCIF/CIF変換部は次の4フレーム分のQCIFをもとにCIFフレームを生成する処理を行い、外部テレビジョンモニタVMには、QCIFからCIFにフォーマット変換された、QCIFと同程度の解像度を有する受信画像データが表示され、
一方、外部テレビジョンモニタが接続されていないと判定された場合には、受信画像データのフォーマットがCIFだったとすると、表示制御部はCIFからQCIFへのフォーマット変換を行い、このCIFからQCIFへのフォーマット変換は、CIF動画像データの画素を間引く処理により行われ、内部表示器へはCIFからQCIFにフォーマット変換された動画像が表示され、
外部テレビジョンモニタを使用する場合にも、また内部表示器を使用する場合にも、動画像データはこれらの表示手段が持つ画素数に対応したフォーマットで表示され、
外部テレビジョンモニタが接続されていることが検出されている状態で、表示画像サイズの指定入力を促す情報を内部表示器に表示し、ユーザが操作入力部により外部テレビジョンモニタの表示画像サイズを任意に指定でき、この場合、指定入力された画像表示サイズと受信動画像データのフォーマットとを比較し、受信動画像データのサイズが指定入力された画像表示サイズよりも大きい場合には、受信動画像データの画素を間引いたり、またフォーマット変換を行い表示することを特徴とするマルチメディア通信端末装置と、
からなる装置。」

(イ)本件特許の優先日前に公開された、特開平5-181446号公報(以下、引用例2という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

a 「【0025】水平の読み出し周波数は、フレームバッファの画素数をCRTの解像度に合せて読みだすようにする。つまりフレームバッファ側の画素数がCRT側の解像度より多いので画素を間引きしCRTに送信する。垂直側の処理も同様で、フレームバッファ側のライン数がCRTの水平線数より多いのでラインを幾つか間引きして読みだす。CRT表示に必要な水平画素,垂直ライン分にフレームバッファの画素分を割り当てる。
【0026】画素データの読み出しはフレームバッファ制御部が表示タイミング記憶部で作成された読み出し周波数に合わせてフレームバッファ1のデュアルポートDRAMのシリアル出力側より、複数画素、例えば4画素同時に読みだされ、第12図のシリアライザが4対1にパラレル・シリアル変換する時にCRTの解像度分にフレームバッファの水平線の画素を合わせるために画素データを幾つか間引きしてDAコンバータに出力し、DAコンバータがD/A変換しCRT表示部にビデオ信号として出力される。
【0027】上記のようにCRTに送信する水平同期周波数と垂直同期周波数及びフロントポーチ,バックポーチのタイミングなどCRT表示制御信号は表示タイミング発生部で生成され、CRTに送信される。表示クロック発生部は図1に示す実施例と同様にCRTの周波数に合わせて発振周波数を変更出来る。その他の構成は図1に示す実施例と同一となっている。
【0028】このようにして、フレームバッファより表示領域が小さな解像度のCRTに画面にフレームバッファの図形データ全体を表示できる。また異なった表示タイミングのCRTにおいてもフレームバッファのデータを表示することが出来る。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明によると、発振周波数が変更可能な表示クロック発生部を備え、上位プロセッサより指定可能な同期タイミング記憶部にCRT表示部に合わせたタイミングを記憶し、その記憶されたタイミングでCRT表示用同期信号を発生するようにしたので、装置によって一意的に決められたCRTのみならず、様々なCRTを接続することが可能となり、また、異なる解像度を持つCRT表示部に対してもフレームバッファのデータをそれぞれに適した形で表示することができるという従来にない優れた図形表示処理装置を提供することができる。」

(ウ)本件特許の優先日前に公開された、特開2004-355466号公報(以下、周知例1という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

a 「【0015】
本発明に係るコンテンツ配信システムにおいて、配信されるコンテンツが動画又は音声である場合、コンテンツ閲覧部は、コンテンツのデータを受信しながらその場で動画又は音声の再生も実行するように構成してもよいし(ストリーミング再生)、データ全体を受信し終わってから再生を開始するように構成してよい(ダウンロード再生)。ダウンロード再生の場合、データ全体をダウンロードしてから再生するため、再生状態が通信回線の速度に影響されない。従って、低速の通信回線しか利用できない場合でも、動画や音声の再生中にコマ落ちや音飛びが発生する恐れはない。あるいは、コンテンツ閲覧部を、コンテンツのデータをダウンロードしながらその場で動画又は音声の再生も実行するように構成してもよい(ダウンロードストリーミング再生)。ダウンロード再生やダウンロードストリーミング再生の場合、ダウンロードしたコンテンツを受信者端末の記憶装置内の所定の場所に保存しておき、同じコンテンツを再度閲覧する場合は、既に前記記憶装置に保存済みのコンテンツを読み出して再生することによりネットワークの負荷をなくすことが可能である。」

(エ)本件特許の優先日前に公開された、特開2004-312567号公報(以下、周知例2という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

a 「配信サーバ4または配信サーバ5からのコンテンツデータは、コンテンツ受信手段12により受信され、一旦、データ記憶手段13内に、受信動画データ132として記憶される。コンテンツ再生手段34は、閲覧制御手段31からの制御信号によって、受信動画データ132を読み込み再生データを表示手段15に送る。視聴者は、表示手段15によって表示されたコンテンツを視聴する。」(【0003】の記載。)

上記周知例1及び周知例2に記載されているように、コンテンツ配信システムにおいて、受信したコンテンツデータを記憶手段に一旦格納し、その後読み出してコンテンツを表示することは周知(以下、「周知技術1」という。)である。

(オ)本件特許の優先日前に公開された、宮山 芳幸、液晶の基礎知識から各種液晶モジュールの制御事例まで 液晶ディスプレイのしくみと動かし方、第3章 液晶マトリックスを駆動し文字や画像を映し出す LCDドライバICの動作と役割、トランジスタ技術、CQ出版株式会社、2004年2月1日、第41巻、第2号、p.136?143(以下、周知例3という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

a 「図1のタイプでのデータの流れを図3に示します.表示データは高機能な表示コントローラによって,表示専用のメモリ上に加工され作成されます.そして,表示コントローラは,この表示データをドライバへ継続的に送ることによって,液晶セルの上に情報を表示します.」(第137頁左欄第5?10行の記載。)

b 図1には、パソコン側が表示コントローラと画像メモリを有し、LCDモジュール側がドライバICと液晶パネルを有することが、示されている。

(カ)本件特許の優先日前に公開された、特開平9-44131号公報(以下、周知例4という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

a 「【0014】表示制御部4は、CPU2から入力される表示データをVRAM3にアドレス指定して展開するとともに、VRAM3に展開された表示データを順番に読み出してデータバス11を介して表示部5に出力する。また、表示制御部4は、CPU2から指定されたVRAM3内のアドレス領域の表示データを、別のアドレス領域に転送して、スクロール表示を行ったり、表示部5に出力する表示データのアドレス領域を切り換えてウインドウ表示等を行う。」

(キ)本件特許の優先日前に公開された、特開平9-6321号公報(以下、周知例5という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

a 「【0012】ビデオコントローラ212には、フレームメモリとしてのビデオRAM(VRAM)222と、表示デバイスとしてのカラーCRT224またはカラー液晶ディスプレイ(LCD)226とが接続されている。ビデオコントローラ212は、高速バス208を介して与えられたデジタル映像信号(映像データ)をVRAM222に書き込む書込機能と、VRAM222から映像信号を読み出してカラーCRT224や液晶ディスプレイ226に与えることによって映像を表示させる表示機能とを有している。」

上記周知例3?周知例5に記載されているように、表示制御部が画素情報を記憶するメモリ(VRAM)への書き込み/読み出しを行い、VRAMから読み出した情報に基づいた信号を表示装置へ送信することは周知(以下、「周知技術2」という。)である。

(ク)本件特許の優先日前に公開された、特開2003-87752号公報(以下、周知例6という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

a 「【0002】
【従来の技術】図11に、従来のDVI規格に基づく、信号伝送システムの構成を示す。同図において、符号2601、2602、および2603は、送信側に設けられたトランジション・ミニマイズド・ディファレンシャル・シグナリング(以降「TMDS」と略称する)・エンコーダ/シリアライザを示す。そして、符号2604、2605、および2606は、受信側に設けられたTMDSデコーダ/リカバリーを示す。」

b 「本実施の形態にかかるベースバンド映像伝送システムBTS1は、送信側の映像機器100、受信側のディスプレイ101、および両者を接続するDVIケーブル109に大別される。映像機器100は、トランスポートデコーダ1001、MPEGデコーダ102、およびDVI送信器103を含む。ディスプレイ101は、DVI受信器104、映像信号処理器105、データデコーダ106、合成器107、および表示器108を含む。」(【0010】の記載。)

(ケ)本件特許の優先日前に公開された、特開2004-271987号公報(以下、周知例7という。)には、図面と共に、以下の記載がある。

a 「【0015】
グラフィックスコントローラ14は、ビデオメモリ(VRAM)141を使用して、複数種のディスプレイ装置142?145の表示制御を行なう。ここで、ディスプレイ装置としては、アナログRGBモニタに含まれるCRTモニタ142及びテレビジョン受信機(TVモニタ)144が接続可能である。また、標準装備のディスプレイ装置としては、LCDモニタ143が固定的に接続されている。さらに、高解像度のディジタルディスプレイ規格であるDVI対応モニタ145が、コンピュータの本体10に設けられた専用コネクタを介してディスプレイ装置として接続可能である(図6を参照)。
【0016】
グラフィックスコントローラ14は、通常ではグラフィックス専用バス規格であるAGP(Accelerated Graphics Port)バス30を介してコントローラハブ12に接続されている。グラフィックスコントローラ14は、DVI対応モニタ145が接続されると、デジタル映像信号をDVI対応モニタ145に出力する。」

上記周知例6及び周知例7に記載されているように、情報処理装置において、外部モニタとの接続に、TMDS方式を実装したDVI規格に対応するインタフェースを用いることは周知(以下、「周知技術3」という。)である。

イ 対比

そこで、訂正発明と引用発明とを対比する。

(ア)引用発明の「操作入力部」は、「ユーザの指示入力を受付け、その指示入力の内容を主制御部に通知」するものであり、また、後述するように、引用発明の「主制御部」のうち「CPU」は、「多重分離部」及び「映像デコーダ」と共に、訂正発明の「中央演算回路」に対応するものであって、「主制御部に通知」することは「CPU」に通知することにほかならないから、引用発明の「操作入力部」は、訂正発明の「ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段」に相当する。

(イ)引用発明の「無線端末インタフェース部」及び当該「無線端末インタフェース部」に「PHS端末用コネクタ」を介して接続される「PHS端末」は、「公衆網を介してデータ通信を実現」するものであり、引用発明の「多重分離部」は、「主制御部により指定されたモードで動作し、無線端末インタフェース部から与えられる伝送データから符号化映像データを分離し、映像デコーダへと与え」、また「主制御部から同期バスを介して与えられる伝送データを無線端末インタフェース部に与えることで、当該データを通信相手の装置に送信する」ことができ、このとき、「PHS端末」及び「無線端末インタフェース部」からなる部分が、受信した「伝送データ」を「多重分離部」に与える際には、無線信号をコンピュータで処理可能なデジタル信号に変換し、また「多重分離部」から与えられる「伝送データ」を通信相手の装置に送信する際には、デジタル信号を無線信号に変換して送信することは自明といえ、当該「PHS端末」及び「無線端末インタフェース部」からなる部分は、訂正発明の「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段」に相当する。

(ウ)引用発明の「主制御部」は、「CPU、ROM及びRAM等を有してなるもの」であり、また、引用発明の「マルチメディア通信端末装置」が上記「CPU」を動作させるプログラムと上記「CPU」で処理可能なデータファイルとを上記「ROM及びRAM」に格納することは明白といえ、上記「ROM及びRAM」は、訂正発明の「後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段」に相当する。

(エ)引用発明は、「主制御部」が「マルチメディア通信端末装置の各部を総括制御」し、「無線端末インタフェース部」から「多重分離部」へ「伝送データ」が与えられ、「主制御部により指定されたモードで動作」する「多重分離部」が「伝送データ」から「符号化映像データ」を分離して「映像デコーダ」へ与え、「この符号化データは、映像デコーダで元の動画像データに復号」して「表示制御部」に入力されるものであるから、引用発明の「主制御部」、「多重分離部」及び「映像デコーダ」は、訂正発明の「無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理」に相当する処理を行っているといえる。
引用発明の「主制御部」は、「操作入力部」から「ユーザの指示入力を受付け、その指示入力の内容を通知」されるものであり、「ユーザ」が「操作入力部」を操作して、例えば処理を開始したり、終了できるものと考えるのが自然である。
また、引用発明の「主制御部」のうち「CPU」が、プログラムに基づく処理を行うことも自明といえる。
したがって、引用発明の「主制御部」のうちの「CPU」、「多重分離部」及び「映像デコーダ」は、訂正発明の「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路」と「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行う中央演算回路」である点で共通するといえる。

(オ)引用発明の「表示制御部」は、「外部テレビジョンモニタが接続されていると判定される場合には、受信動画像データのフォーマットがCIFであれば、CIFの動画像データをそのまま外部テレビジョンモニタに出力」し、「外部テレビジョンモニタが接続されていないと判定された場合には、受信画像データのフォーマットがCIFだったとすると、表示制御部はCIFからQCIFへのフォーマット変換を行い、このCIFからQCIFへのフォーマット変換は、CIF動画像データの画素を間引く処理により行われ、内部表示器へはCIFからQCIFにフォーマット変換された動画像が表示」されるものである。
ここで、引用発明の「受信動画像データ」は、上記対比(エ)で述べたように、訂正発明の「中央演算回路」に対応する「主制御部」のうちの「CPU」、「多重分離部」及び「映像デコーダ」による処理の結果得られるものである。
また、引用発明の「内部表示器」は「カラーLCDを使用してなり、縦横の画素数をCIFの1/2に設定したQCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有するもの」であること、「外部テレビジョンモニタ」は「CIFの動画像データをそのまま外部テレビジョンモニタに出力して表示」させられるものであることより、上記「内部表示器」および「外部テレビジョンモニタ」の表示が、それぞれに対応するビットマップデータにより行われるものであることは、技術常識から明らかであり、上記「内部表示器」および「外部テレビジョンモニタ」で表示を行うためには、これらに接続された「表示制御部」からビットマップデータの信号を受信しなければいけないから、引用発明の「表示制御部」は、「ビットマップデータを伝達するための表示信号を生成して送信」するものといえる。
そして、引用発明の「内部表示器」は「ディスプレイ手段」といい得るものであり、引用発明の「外部テレビジョンモニタ」は、「外部モニタ接続端子」すなわち「インターフェース手段」を介して接続されるから、引用発明の「表示制御部」は、「ビットマップデータを伝達するための表示信号を、ディスプレイ手段又はインターフェース手段に送信するもの」といえる。
以上のことを総合すると、引用発明の「表示制御部」は、訂正発明の「該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラ」と「該中央演算回路の処理結果に基づき、「ビットマップデータを伝達する表示信号」を生成し、該表示信号を後記ディスプレイ手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラ」である点で共通するといえる。

(カ)引用発明の「主制御部」のうちの「CPU」、「多重分離部」及び「映像デコーダ」と「表示制御部」とは、「受信動画像データ」を表示するための処理を行うものであるから、訂正発明の「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」から構成される「データ処理手段」に対応している。

(キ)引用発明の「内部表示器」は「カラーLCDを使用」してなるものであるから、訂正発明の「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネル」に相当する構成を有し、引用発明の「内部表示器」は、訂正発明の「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段」と「画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルから構成されるディスプレイ手段」である点で共通するといえる。

(ク)引用発明の「外部テレビジョンモニタ」は訂正発明の「外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置」に相当する。
そして、引用発明の「外部モニタ接続端子」は、「表示制御部」の出力を「外部テレビジョンモニタ」に対して送信するものである。
したがって、引用発明の「外部モニタ接続端子」は、訂正発明の「外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段」と「外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づく表示信号を送信するインターフェース手段」である点で共通するといえる。

(ケ)引用発明の「マルチメディア通信端末装置」は、「ユーザ」がこれを「把持し、手に持つことができ」る大きさであるから、「PHS端末」とともに携帯して利用可能であることは明白といえ、引用発明の「PHS端末」及び「PHS端末に接続したマルチメディア通信端末装置」からなる装置は、訂正発明の「携帯情報通信装置」に相当する。

(コ)引用発明の「内部表示器」は、「QCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)」を有するものであり、引用発明の「表示制御部」は、「受信画像データのフォーマットがCIFだったとすると、表示制御部はCIFからQCIFへのフォーマット変換を行い、このCIFからQCIFへのフォーマット変換は、CIF動画像データの画素を間引く処理により行われ、内部表示器へはCIFからQCIFにフォーマット変換された動画像が表示」されるものである。
ここで、引用発明の「映像デコーダ」が「復号」し「表示制御部」に入力される「元の動画像データ」の解像度は、訂正発明の「本来解像度」に相当し、引用発明の「CIF」フォーマットの「受信画像データ」は、訂正発明の「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」に相当するから、引用発明の「受信画像データのフォーマットがCIF」だった場合は、訂正発明の「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合」に相当する。
そして、引用発明の「表示制御部」が「CIF動画像データの画素を間引く処理」により「CIFからQCIFへのフォーマット変換」を行い、「内部表示器へはCIFからQCIFにフォーマット変換された動画像が表示され」ることは、「内部表示器の画面解像度と同じ解像度を有する動画像データ」を得、該動画像データによる動画像を前記内部表示器で表示することといえるから、上記対比(オ)で検討したように、引用発明の「表示制御部」は、「ビットマップデータを伝達するための表示信号を生成して送信」するものといえ、引用発明の「内部表示器」は「ディスプレイ手段」といい得るものであるから、引用発明の「表示制御部」は、「ビットマップデータを伝達するための表示信号を、ディスプレイ手段に送信するもの」といえることを考慮すれば、引用発明の「表示制御部」は、訂正発明の「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能」「を実現」することと、「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を得、「該ビットマップデータを伝達する表示信号」を生成し、該表示信号を前記ディスプレイ手段に送信する機能」「を実現」する点で共通する機能を有するといえる。

(サ)引用発明の「表示制御部」は、「受信動画像データのフォーマットがCIFであれば、CIFの動画像データをそのまま外部テレビジョンモニタに出力して表示」させるものである。
ここで、上記対比(コ)で検討したように、引用発明の「受信画像データのフォーマットがCIF」である場合は、訂正発明の「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合」に相当する。
そして、引用発明の「表示制御部」は「CIFの動画像データをそのまま外部テレビジョンモニタに出力」するものであるから、上記対比(オ)で検討したように、引用発明の「表示制御部」は、「ビットマップデータを伝達するための表示信号を生成して送信」するものといえ、引用発明の「外部テレビジョンモニタ」は「外部モニタ接続端子」すなわち「インターフェース手段」を介して接続されるから、引用発明の「表示制御部」は「ビットマップデータを伝達するための表示信号を、インターフェース手段に送信するもの」といえることを考慮すれば、引用発明の「表示制御部」は、訂正発明の「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、」「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現」することと、「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、」「「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を得、「該ビットマップデータを伝達する表示信号」を生成し、該表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現」する点で共通する機能を有するといえる。

(シ)引用発明の「外部モニタ接続端子」が「表示制御部」の出力を「外部テレビジョンモニタ」に対して送信することは、訂正発明の「前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する」ものであることと、「前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達する表示信号」を前記周辺装置に送信する機能を有する」ものである点で共通するといえる。

(ス)引用発明の「外部テレビジョンモニタ」に「CIFの動画像データをそのまま」「出力して表示」できることは、訂正発明の「前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした」ことに相当する。

したがって、両者は、以下の点で一致し、相違する。

[一致点]
ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;
無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;
後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行う中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、「ビットマップデータを伝達する表示信号」を生成し、該表示信号を後記ディスプレイ手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルから構成されるディスプレイ手段と;
外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信した表示信号に基づく信号を送信するインターフェース手段と;
を備える携帯情報通信装置において、
前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を得、「該ビットマップデータを伝達する表示信号」を生成し、該表示信号を前記ディスプレイ手段に送信する機能と、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を得、「該ビットマップデータを伝達する表示信号」を生成し、該表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、
前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達する表示信号」を前記周辺装置に送信する機能を有する、
ことにより、
前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、
ことを特徴とする携帯情報通信装置。

[相違点1]
訂正発明の「中央演算回路」は、「無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路」であるのに対して、
引用発明の「主制御部」のうちの「CPU」、「多重分離部」及び「映像デコーダ」は、そのような処理をするとされていない点。

[相違点2]
訂正発明の「グラフィックコントローラ」は、「単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行」うものであり、「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に」、前記「単一のVRAM」から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」や「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「『該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号』を生成」するのに対して、
引用発明は、「受信画像データのフォーマットがQCIFだったとすると」、「QCIFフォーマットの受信動画像データは、まず表示制御部内のバッファメモリに4フレーム分ずつ蓄積され、次に、この4フレームfr1,fr2,fr3,fr4の同一座標位置における4個の画素がQCIF/CIF変換部に読み出され」、「次に、QCIF/CIF変換部において、この合成された動きベクトルの識別結果に基づいて上記4個の画素の配置処理が行われ、QCIFのすべての画素についてその動きベクトルの合成ベクトルに応じた合成処理が行われ、そうして4フレーム分のQCIFを合成した1フレーム分のCIFが生成される」ものであり、引用発明の「表示制御部」は、「受信画像データのフォーマットがQCIFだったとすると」書き込み/読み出しされる、VRAMに相当する「バッファメモリ」を有するものの、引用発明の「表示制御部」は、「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合」に相当する「受信画像データのフォーマットがCIF」である場合に、前記「バッファメモリ」に対して「ビットマップデータの書き込み/読み出しを行」うとも、「『該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号』を生成する」ともされていない点。

[相違点3]
訂正発明の「グラフィックコントローラ」は、「ディスプレイ制御手段」に「デジタル表示信号」を送信するものであるのに対して、
引用発明の「表示制御部」は、「内部表示器」に信号を送信するものである点。

[相違点4]
訂正発明の「ディスプレイ手段」は「グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段」を有するのに対して、
引用発明の「内部表示器」は、「ディスプレイ制御手段」を有するとされていない点。

[相違点5]
訂正発明の「インターフェース手段」は、受信した「デジタル表示信号」を「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号」を送信するものであるのに対して、
引用発明は、そのような信号の変換を行うとされておらず、「外部テレビジョンモニタ」に対して送信する信号が、「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号」とされていない点。

ウ 判断

[相違点1]について
引用例1の従来の技術の欄(段落【0004】)に、「このような装置を用いると、・・・ユーザはテレビ電話やテレビ会議通信を行うことができる。」と記載されるように、引用発明はテレビ電話に用いることも想定されるものであり、引用発明をリアルタイムで通信を行うことが明らかであるテレビ電話に用い、「リアルタイムでデジタル表示信号を生成する」ことは、当業者が容易に想到し得ることである。
また、引用例1の段落【0029】に「このコンテンツ・サーバTSは、加入者有線端末及び移動局PS1?PSmの要求に応じて、動画像を含む各種情報を提供する機能を有する。」と記載されるように、引用発明はコンテンツ・サーバより動画像が提供されるものである。
そして、コンテンツ配信システムにおいて、通信回線速度等を考慮して、受信したコンテンツデータを記憶手段に一旦格納し、その後読み出してコンテンツを表示することは、周知例1,周知例2に記載されるように普通に行われていること(周知技術1)であり、引用発明において、コンテンツ・サーバから提供された動画像を含む各種情報を一旦記憶手段に格納、すなわちダウンロードし、その後読み出した上で処理(再生)するものとすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
なお、一旦格納する情報を「自らが処理可能なデータファイル」として格納することは、「読み出した上で処理」を行うことを考慮すれば、当然になされることである。
したがって、引用発明において、「自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する」ことは、当業者が容易に想到し得ることである。

[相違点2]について
引用例2には、「フレームバッファの画素数をCRTの解像度に合わせて読み出すようにする」ことにより「異なる解像度を持つCRT表示部に対してもフレームバッファのデータをそれぞれに適した形で表示することができる」ものとする技術(以下、「引用例2記載の技術」という。)(【0025】?【0029】の記載。)、すなわち、単一のフレームバッファより、それぞれの表示装置の解像度に適したデータを読み出す技術が記載されている。
そして、表示制御部が画素情報を記憶するメモリ(VRAM)への書き込み/読み出しを行い、VRAMから読み出した情報に基づいた信号を表示装置へ送信することは、周知例3?5に記載されるように普通に行われること(周知技術2)を考慮すれば、引用発明の「表示制御部」に上記引用例2に記載された技術が有用かつ採用可能であることは、当業者に明らかである。
また、表示制御部が生成し表示装置へ送信する表示信号を「デジタル表示信号」とすることも、例えば周知例4の段落【0014】に「表示制御部4は、・・・表示データを順番に読み出してデータバス11を介して表示部5に出力する。」と記載されるように、普通に行われることであり、表示装置に送信する表示信号をデジタル表示信号とすることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。
したがって、引用発明に引用例2記載の技術を適用して、「表示制御部」を「前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合」に相当する「受信画像データのフォーマットがCIF」である場合に、「単一のVRAM」から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」や「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「『該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号』を生成」する構成とすることに格別の困難性はない。
しかしながら、引用発明に引用例2記載の技術を適用したものにおける「単一のVRAM」は、「受信画像データのフォーマットがCIF」である場合にCIFデータの書き込み/読み出しが行われるものであり、当該「VRAM」と、引用発明が有する「受信画像データのフォーマットがQCIF」である場合に4フレーム分のQCIFデータが書き込み/読み出しされる「バッファメモリ」とを兼用することまでが、引用文献1,2に記載または示唆されているとも、また、周知技術であるとも認められない。
したがって、引用例2記載の技術及び周知技術2を考慮しても、引用発明において相違点2に係る訂正発明の構成を採用することは、当業者が容易になし得たこととはいえない。

[相違点3]及び[相違点4]について
液晶パネル(ディスプレイパネル)を用いたLCDモジュールが、表示コントローラから表示データが送られるドライバ(ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段)を有し、該ドライバにより液晶パネルが駆動されるものであることも、例えば、周知例3に記載されるように、周知のことである。
そして、引用発明の「内部表示器」は、「カラーLCDを使用」してなるものであるから、引用発明においても、「表示制御部」から送信される「デジタル表示信号」により「内部表示器」の「カラーLCD」で画像を表示する場合、「ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段」といい得る構成に「デジタル表示信号」を入力し「ディスプレイパネル」の画素を駆動しているのは明らかである。
そして、当該「ディスプレイ制御手段」を「表示制御部」と「内部表示器」の「カラーLCD」と区別して、「表示制御部」と「内部表示器」の「カラーLCD」との間に設けることは、当業者が適宜なし得る設計事項にすぎない。

[相違点5]について
情報処理装置において、外部モニタとの接続に、TMDS方式を実装したDVI規格に対応するインタフェースを用いることは、周知例6、周知例7に記載されるように周知技術(周知技術3)であり、引用発明においても上記周知技術3が有用かつ採用可能であることは当業者に明らかである。
したがって、引用発明において、DVI規格に対応させて、TMDS方式で伝送されるデジタル外部表示信号を生成する信号変換部を設け、外部テレビジョンモニタに該デジタル外部表示信号を送信する構成とすることに格別の困難性はない。

エ むすび
したがって、訂正発明は、引用発明、引用例2に記載された技術及び各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたとはいえない。

(3)独立特許要件についてのまとめ
以上の検討によれば、訂正発明について、特許出願の際独立して特許を受けられないとすべき理由を発見しない。
また、他に訂正発明について、特許出願の際独立して特許を受けられないとすべき理由を発見しない。
よって、訂正事項1?9は、特許法第126条第7項の規定に適合する。

第4 むすび
以上のとおりであるから、本件訂正審判の請求は、特許法第126条第1項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とし、かつ同条第5項から第7項の規定に適合する。
よって、結論のとおり審決する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;
無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;
後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;
外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と;
を備える携帯情報通信装置において、
前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、
前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、
ことにより、
前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、
ことを特徴とする携帯情報通信装置。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
審理終結日 2018-07-10 
結審通知日 2018-07-12 
審決日 2018-07-25 
出願番号 特願2008-162678(P2008-162678)
審決分類 P 1 41・ 854- Y (G06F)
P 1 41・ 121- Y (G06F)
P 1 41・ 851- Y (G06F)
P 1 41・ 853- Y (G06F)
P 1 41・ 841- Y (G06F)
P 1 41・ 855- Y (G06F)
P 1 41・ 856- Y (G06F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 円子 英紀  
特許庁審判長 ▲吉▼田 耕一
特許庁審判官 山田 正文
稲葉 和生
登録日 2010-07-30 
登録番号 特許第4555901号(P4555901)
発明の名称 携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム  

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