• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 B65D
管理番号 1343352
審判番号 不服2017-7565  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-26 
確定日 2018-09-04 
事件の表示 特願2012-269948「包装体」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 6月26日出願公開、特開2014-114051、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成24年12月11日の出願であって、平成28年8月1日付けで拒絶理由通知がされ、平成28年10月4日付けで手続補正がされ、平成29年2月17日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、平成29年5月26日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。

第2.原査定の概要
原査定の概要は次のとおりである。
本願請求項1に係る発明は、以下の引用文献1?2及び周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特開2001-118122号公報
2.特開2000-62798号公報
3.実願昭47-5487号(実開昭48-82630号)のマイクロフィルム(周知技術を示す文献)
4.特開2003-285869号公報(周知技術を示す文献)

第3.本願発明
本願請求項1に係る発明(以下、「本願発明1」という。)は、平成28年10月4日付けの手続補正で補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される発明であり、以下のとおりの発明である。
「【請求項1】
それらの間に被包装物を入れることができ,かつ被包装物を取去ると互いに重なるように組合わされた表裏2枚のフィルムにより構成される包装体であり,
これらの表裏2枚のフィルムのうちの少なくとも表フィルムは透明な部分を有し,
これらの表裏2枚のフィルムには,文字,図形,記号およびこれらの組合せのうちの少なくとも一つを含む特定のイメージの一部を含む部分イメージが単独では上記特定のイメージを表わさず,被包装物が取去られて重ね合わされたときに表フィルムの透明部分を通して上記特定のイメージが現れるように描かれている,
包装体。」

第4.引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0015】図1(a)は、本発明の第1の実施形態の記録媒体の平面図である。 図1(b)は、その断面図である。透明プラスチックシートもしくはカード基材10の同一平面上に、文字、数字または絵柄等の秘密情報となる元画像データを2つに分解してなる暗号画像データ11と、もう一方の暗号画像データ12が形成されており、前記2つの暗号画像データの相互の間にそれぞれの画像データを切り離す分離部13を設けられている。分離部13は、ミシン、きり欠き、筋付け等の加工手段によって設けることができる。」
「【0020】本発明の記録媒体は、図4に示すように、視覚復号型暗号技術を利用して秘密情報となる元画像データを2つに分解してなる暗号画像データ11と、もう一方の暗号画像データ12が形成されており(図4(a)参照)、暗号画像データ11と、暗号画像データ12の2つの暗号画像データを分離部13より切り離し(図4(b)参照)、手操作で、暗号画像データ相互を所定の位置で重ね合わせて元画像データ15を容易に復号する(図4(c)参照)ことが可能である。勿論、隠蔽された秘密情報は誰かに見られてはならないものである。本発明では、暗号画像データを復号するためには、各々の暗号画像データを切り離すという不可逆操作を必要とするために、誰かにその秘密情報を見られた可能性があるかの確認ができ、不正利用を防止できる。」
したがって、上記記載及び図4、図7からみて、上記引用文献1には次の技術事項(以下、「技術事項1」という。)が記載されていると認められる。
「透明プラスチックシートの同一平面上に、単独では特定のイメージを表わさず,重ね合わされたときに特定のイメージを表わすように描かれている、視覚復号型暗号を形成した記録媒体。」

2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献2には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0011】図1及び図2に示すように、袋体1は、表裏フィルム部2、3によりほぼチューブ状に形成され、一端に物品取出口4を備え、他端に物品投入口5を備えている。
【0012】図2(A)に示すように、表裏フィルム部2、3の間には仕切フィルム6が介装されており、これにより、仕切フィルム6と表フィルム部2の間には物品取出口4に連通する未使用物品収納室7が形成され、仕切フィルム6と裏フィルム部3の間には物品投入口5に連通する使用済物品収納室8が形成される。」
「【0017】袋体1は、一枚の合成樹脂フィルムから成る仕切フィルム6を挟んで上下から二枚の合成樹脂フィルムから成る表裏フィルム部2、3を重合した状態で、袋体1の両側縁を溶断溶着するサイドシール方式により製袋することが可能である。このサイドシール方式で製袋した袋体1を図3(A)に示しており、袋体1の両側縁の溶着縁21において、表裏フィルム部2、3及び仕切フィルム6がサンドイッチ状に溶着されている。
【0018】或いは、袋体1は、一枚の合成樹脂フィルムを折曲すると共に、突き合わせ端縁を相互に溶着22することにより、表裏フィルム部2、3の間に位置する袋体1の両側部にガゼット23、23を形成したガゼット付チューブ形成方式により製袋することが可能である。このガゼット付チューブ形成方式により製袋した袋体1を図3(B)に示しており、この場合、仕切フィルム6の両側縁は、ガゼット23、23から遊離している。
【0019】袋体1を構成する表裏フィルム部2、3のうち、少なくとも表フィルム部2は、透明又は半透明に構成されている。従って、裏フィルム部3及び仕切フィルム6は、透明又は半透明でも良く、或いは不透明でも良い。従って、未使用物品収納室7に物品を収納していない状態では、透明又は半透明の表フィルム部2を透視して仕切フィルム6の表面を外部から視認することが可能である。
【0020】そこで、表フィルム部2を透視して視認可能な仕切フィルム6の表面には、図1(B)に示すように、「使用済」又は「USED」のような識別表示24が設けられている。この識別表示24は、未使用物品収納室7に乾電池等の物品を並列して収納した状態で、仕切フィルム6の表面であって各物品により被われる位置に悉く表示されている。尚、識別表示24は、仕切フィルム6の表面に直接に印刷することが好ましいが、識別表示24を印刷等により施した別体のシートを仕切フィルム6の表面に重合配置しても良い。
【0021】上記構成の袋体1により乾電池を店頭販売するに際しては、未使用物品収納室7に商品としての未使用の乾電池25aを並列状態で収納する。即ち、乾電池25aの軸線が袋体1の幅方向に向かうようにして、未使用物品収納室7の底部10から物品取出口4の近傍まで複数個の乾電池25aが収納され、物品取出口4を封口片13により封口すると共に、物品投入口5を封口片17により封口した状態で、店頭に陳列され販売される。この状態で、仕切フィルム6の上には、各識別表示24に対応して乾電池25aが配置されているので、表フィルム部2を透視して乾電池25aだけが視認せしめられ、識別表示24は視認されない。尚、図例では、8個の乾電池25aを収納したパッケージを示しているが、その個数には限定されない。
【0022】パッケージを購入したユーザが乾電池25aを使用するに際には、図1(A)及び図2(B)にそれぞれ鎖線で示すように、「取出口」の指示表示15を確認することにより、取出口用の封口片13を開放し、開口せしめられた物品取出口4から必要個数の乾電池25aを取出せば良い。尚、取出し後、封口片13により物品取出口4を封口する。
【0023】取出し後、使用することにより消耗した使用済の乾電池25bは、袋体1の使用済物品収納室8に収納する。即ち、図1(B)及び図2(C)に示すように、「投入口」の指示表示19を確認することにより、投入用の封口片17を開放し、開口せしめられた物品投入口5から使用済の乾電池25bを使用済物品収納室8に投入し、封口片17により物品投入口5を封口すれば良い。この使用済の乾電池25bの投入により、未使用物品収納室7内の未使用の乾電池25aが仕切フィルム6を介して物品取出口4に向けて押しやられ、使用済物品収納室8に投入された使用済の乾電池25bと、未使用物品収納室7内の未使用の乾電池25aとは、仕切フィルム6の変形を介して、同一線上に配列される。
【0024】そこで、使用済の乾電池25bにより仕切フィルム6が押上げられると共に表フィルム部2の下面に重なり合い、「使用済」又は「USED」のような識別表示24を露呈する。即ち、図2(B)に示すように、2個の使用済の乾電池25bを使用済物品収納室8に投入した状態で、各乾電池25bの上に位置して各識別表示24が現れるので、ユーザは、表フィルム部2を透視して外部から識別表示24を視認することにより、各識別表示24の下側に位置する乾電池25bが使用済であることを確認できる。」
したがって、上記記載及び図1、図2からみて、上記引用文献2には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「表フィルム部を有する袋体及び仕切りフィルムを備え、それらの間に被包装物を入れることができる小物販売用袋において、表フィルム部は透明な部分を有し、仕切フィルムには識別表示が描かれ、仕切フィルム上の被包装物を取去り、仕切フィルムの下に被包装物を投入することにより、表フィルム部と仕切りフィルムが互いに重なるように組合わされて、識別表示が現れる、乾電池等の小物販売用袋。」

3.引用文献3について
原査定の拒絶の理由に例示された上記引用文献3には、図面とともに次の事項が記載されている。
「4はロープ1の収納袋であつて、白地直方体の背面体4aと、この背面体4aと同形の透明樹脂正面体4bによつて袋体を構成している。収納袋体4の上端面は開口しており、この開口端において背面体4aに延長端4a’を設け、この延長端にホツク5の一方を、又他方のホツク5’を正面体4bに設けてある。そして上記背面体4aの表、裏のそれぞれに”注意”など警告文6,6を表し、この警告文6,6のうち袋体の内部に表されたものも、透明樹脂正面体4bを通して外部から透視できるようにしてある。」(2頁15行?3頁6行)
「このように本考案は普段はロープを収納しておく袋として用い、ロープ使用時にはロープに着脱自在につり下げて白旗として利用し、しかもこの白旗に表された警告文はいづれの側からでも見えるのであつて非常に実用価値は大である。」(3頁19行?4頁3行)
したがって、上記記載及び図1、図2からみて、上記引用文献3には次の技術事項(以下、「技術事項3」という。)が記載されていると認められる。
「カーロープ収納袋を表裏2枚のフィルムにより構成し、それらの間に被包装物を入れることができるようにするとともに、表側のフィルムは透明な部分を有し、被包装物を取去ると警告文が現れるようにした点。」

4.引用文献4について
原査定の拒絶の理由に例示された上記引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
「【0013】板状部材Aは、上下に長い垂直略長方形状で周縁部分2を除く中央大半部分を前方へ膨出3した基板部1と、該基板部下端部から、第1ヒンジ4を介して基板部1と左右同巾で前後方向に広巾の接地板部5を前方(図2の状態では下方)へ突出している。」
「【0028】請求項2の発明によれば、補助板C及び基板部1を透明材料で形成したから、補助板、基板部、及びシール板の各前面に補完用模様を描き、前方から見たときにこれら模様が一つの完成模様を立体的に形成するように設けることができ、これにより意匠的効果を高めることができる。」
したがって、上記記載及び図1、図2からみて、上記引用文献4には次の技術事項(以下、「技術事項4」という。)が記載されていると認められる。
「合成樹脂性容器の前面を形成する補助板及び板状部材の基板部を透明材料で形成し、補助板、基板部、及びシール板の各前面に補完用模様を描き、前方から見たときにこれら模様が一つの完成模様を立体的に形成するようにした点。」

第5.対比・判断
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
引用発明の「小物販売用袋」は本願発明1の「包装体」に、同様に、「表フィルム部」は「表フィルム」に、「仕切フィルム」は「裏フィルム」に相当する。
また、引用発明の「仕切フィルムには識別表示が描かれ、仕切フィルム上の被包装物を取去り、仕切フィルムの下に被包装物を投入することにより、表フィルム部と仕切りフィルムが互いに重なるように組合わされて、識別表示が現れる」は本願発明1の「表裏2枚のフィルムには,文字,図形,記号およびこれらの組合せのうちの少なくとも一つを含む特定のイメージの一部を含む部分イメージが単独では上記特定のイメージを表わさず,被包装物が取去られて重ね合わされたときに表フィルムの透明部分を通して上記特定のイメージが現れるように描かれている」と「フィルムには、表示が、被包装物が取去られて表裏フィルムが重ね合わされたときに表フィルムの透明部分を通して現れるように描かれている」の限りにおいて一致する。
したがって、本願発明1と引用発明とは、「それらの間に被包装物を入れることができ,かつ被包装物を取去ると互いに重なるように組合わされた表裏2枚のフィルムにより構成される包装体であり,
これらの表裏2枚のフィルムのうちの少なくとも表フィルムは透明な部分を有し,
これらのフィルムには、表示が、被包装物が取去られて表裏フィルムが重ね合わされたときに表フィルムの透明部分を通して現れるように描かれている包装体。」の点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本願発明1は、表示が「特定のイメージの一部を含む部分イメージ」が「表裏2枚のフィルム」に描かれたものであり、「単独では上記特定のイメージを表わさず,被包装物が取去られて重ね合わされたときに表フィルムの透明部分を通して上記特定のイメージが現れる」のに対して、引用発明の表示は裏フィルムに書かれた特定のイメージを表すものである点。

(2)相違点についての判断
上記相違点について検討する。
上記引用文献1には、「単独では特定のイメージを表わさず、重ね合わされたときに特定のイメージを表わすように描かれている」表示に関する技術(技術事項1)が記載されているものの、当該表示は記録媒体の「透明プラスチックシートの同一平面上に」形成されるものであり、引用文献1及び引用文献2の何れにも、「被包装物を入れることができ,かつ被包装物を取去ると互いに重なるように組合わされた表裏2枚のフィルムにより構成される包装体」の「表裏2枚のフィルム」に「単独では特定のイメージを表わさず,被包装物が取去られて重ね合わされたときに」「特定のイメージが現れる」表示を形成することが記載されていない。
また、同様に、引用文献3及び引用文献4の何れにも「被包装物を入れることができ,かつ被包装物を取去ると互いに重なるように組合わされた表裏2枚のフィルムにより構成される包装体」の「表裏2枚のフィルム」に「単独では特定のイメージを表わさず,被包装物が取去られて重ね合わされたときに」「特定のイメージが現れる」表示を形成することが記載されていない。
そして、引用発明の表示は、被包装物が使用済みであることを識別するためのものであり、あえて「単独では特定のイメージを表わさ」ないものを用いる理由は認められない。
また、技術事項1から把握される発明を主として考えた場合でも、透明プラスチックシートからなる記録媒体を被包装物を入れることができる包装体に変えることが引用文献1?4の何れの文献にも記載されていない。
したがって、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1?4に基づいて容易に発明できたものとはいえない。
さらに、本願発明1は上記相違点に係る構成により、「消費者は特定イメージを見るために包装体内の内容物を早く取出す(消費する)ようになる。内容物が早く消費されるのでその価値が早く生かされることになるとともに,この発明による包装体で包装された物を購入する消費者が多くなり,販売が促進される。」(本願明細書段落【0014】)という格別な効果を奏するものと認められる。

第6.むすび
以上のとおり、本願発明1は、当業者が引用文献1?2に記載された発明及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものではない。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-08-23 
出願番号 特願2012-269948(P2012-269948)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (B65D)
最終処分 成立  
前審関与審査官 種子島 貴裕  
特許庁審判長 長屋 陽二郎
特許庁審判官 瀬戸 康平
熊倉 強
発明の名称 包装体  
代理人 牛久 健司  
代理人 高城 貞晶  
代理人 井上 正  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ