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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 G01B
管理番号 1343355
審判番号 不服2017-10903  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-07-21 
確定日 2018-09-04 
事件の表示 特願2015-514022「アフィン不変空間マスクにおけるコードの設計」拒絶査定不服審判事件〔平成25年11月28日国際公開、WO2013/176808、平成27年 7月 6日国内公表、特表2015-518962、請求項の数(16)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
特許出願: 平成25年4月18日
(パリ条約による優先権主張(外国庁受理2012年5月24日、米国、2012年5月24日、米国、2012年5月24日、米国、2012年5月24日、米国、2012年6月29日、米国、2013年3月5日、米国)を伴う国際出願)
拒絶査定: 平成29年4月25日(送達日:同年5月9日)
拒絶査定不服審判の請求: 平成29年7月21日
手続補正: 平成29年7月21日
拒絶理由通知: 平成30年3月28日
(以下、「当審拒絶理由」という。発送日:平成30年4月3日)
手続補正: 平成30年5月10日(以下、「本件補正」という。)
意見書: 平成30年5月10日


第2 本願発明
本願請求項1-16に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明16」という。)は、本件補正により補正された特許請求の範囲の請求項1-16に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願発明は以下のとおりの発明である。

「【請求項1】
コードマスク用のコードを生成するための方法であって、
複数のシンボルを、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置することと、ここでn1およびn2が整数値である、
前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義することと、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向では一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返される、
前記複数の前記シンボル構造をコードマスクとしてレンダリングすることと、
ここにおいて、2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のコードワードのコードワードエイリアシングを避けるように、前記シンボル構造の幅が、標的オブジェクトに投影されたコードワードの元の場所に対して最も近い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードと前記標的オブジェクトに投影された前記コードワードの前記元の場所に対して最も遠い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードとの変位距離よりも大きい値に設定され、かつ前記2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のシンボルが選択される、
を備える方法。
【請求項2】
前記コードマスクがコード層と、前記コード層の上に重ねられた独立した固有のキャリア層とを含み、ここで前記キャリア層が、複数の基準オブジェクトを含み、前記複数の基準オブジェクトが、ガード間隔をその間にもつ複数の等間隔に離間した基準ストライプを備え、前記コード層が、前記複数のシンボルを含み、前記複数のシンボルが、前記基準ストライプの場所を定義し、前記基準ストライプは、前記コード層の歪みを補正するためのものであり、
各基準ストライプが、前記ガード間隔とは異なる幅を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記コードマスクがコード層と、前記コード層の上に重ねられた独立した固有のキャリア層とを含み、ここで前記キャリア層が、複数の基準オブジェクトを含み、前記複数の基準オブジェクトが、ガード間隔をその間にもつ複数の等間隔に離間した基準ストライプを備え、前記コード層が、前記複数のシンボルを含み、前記複数のシンボルが、前記基準ストライプの場所を定義し、前記基準ストライプは、前記コード層の歪みを補正するためのものであり、
ガード間隔幅に対する、各基準ストライプの幅が、送信機デバイス、受信機デバイス、またはその組合せの予想光拡散によって決定される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記コードマスクがコード層と、前記コード層の上に重ねられた独立した固有のキャリア層とを含み、ここで前記キャリア層が、複数の基準オブジェクトを含み、前記複数の基準オブジェクトが、ガード間隔をその間にもつ複数の等間隔に離間した基準ストライプを備え、前記コード層が、前記複数のシンボルを含み、前記複数のシンボルが、前記基準ストライプの場所を定義し、前記基準ストライプは、前記コード層の歪みを補正するためのものであり、
前記複数のシンボルが、少なくとも1つの次元において空間的に千鳥配列される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
標的オブジェクト奥行き情報を確認するために、前記コードマスクの少なくとも一部分を標的オブジェクトに投影することをさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コードマスク生成デバイスであって、
複数のシンボルを、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置することと、ここでn1およびn2が整数値である、
前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義することと
を行うように適合された処理回路と、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向において一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返される、
コードマスクとしてレンダリングされた前記複数のシンボル構造を記憶する有形記憶媒体と、
を備え、
前記コードマスク生成デバイスの前記処理回路によって、2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のコードワードのコードワードエイリアシングを避けるように、前記シンボル構造の幅が、標的オブジェクトに投影されたコードワードの元の場所に対して最も近い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードと前記標的オブジェクトに投影された前記コードワードの前記元の場所に対して最も遠い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードとの変位距離よりも大きい値に設定され、かつ前記2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のシンボルが選択される、コードマスク生成デバイス。
【請求項7】
前記コードマスク生成デバイスの前記処理回路が、コード層と、前記コード層の上に重ねられた独立した固有のキャリア層とを含む前記コードマスクを生成し、ここで前記キャリア層が、複数の基準オブジェクトを含み、前記複数の基準オブジェクトが、ガード間隔をその間にもつ複数の等間隔に離間した基準ストライプを備え、前記コード層が、前記複数のシンボルを含み、前記複数のシンボルが、前記基準ストライプの場所を定義し、前記基準ストライプは、前記コード層の歪みを補正するためのものであり、
前記コードマスク生成デバイスの前記処理回路が、各基準ストライプが、前記ガード間隔とは異なる幅を有することを決定する、請求項6に記載のコードマスク生成デバイス。
【請求項8】
前記コードマスク生成デバイスの前記処理回路が、コード層と、前記コード層の上に重ねられた独立した固有のキャリア層とを含む前記コードマスクを生成し、ここで前記キャリア層が、複数の基準オブジェクトを含み、前記複数の基準オブジェクトが、ガード間隔をその間にもつ複数の等間隔に離間した基準ストライプを備え、前記コード層が、前記複数のシンボルを含み、前記複数のシンボルが、前記基準ストライプの場所を定義し、前記基準ストライプは、前記コード層の歪みを補正するためのものであり、
前記コードマスク生成デバイスの前記処理回路によって、ガード間隔幅に対する、各基準ストライプの幅が、送信機デバイス、受信機デバイス、またはその組合せの予想光拡散に基づいて決定される、請求項6に記載のコードマスク生成デバイス。
【請求項9】
前記コードマスク生成デバイスの前記処理回路が、コード層と、前記コード層の上に重ねられた独立した固有のキャリア層とを含む前記コードマスクを生成し、ここで前記キャリア層が、複数の基準オブジェクトを含み、前記複数の基準オブジェクトが、ガード間隔をその間にもつ複数の等間隔に離間した基準ストライプを備え、前記コード層が、前記複数のシンボルを含み、前記複数のシンボルが、前記基準ストライプの場所を定義し、前記基準ストライプは、前記コード層の歪みを補正するためのものであり、
前記コードマスク生成デバイスの前記処理回路によって、前記複数のシンボルが、少なくとも1つの次元において空間的に千鳥配列される、請求項6に記載のコードマスク生成デバイス。
【請求項10】
標的オブジェクト奥行き情報を確認するために、前記コードマスクの少なくとも一部分を標的オブジェクトに投影するためのプロジェクタをさらに備える、請求項6に記載のコードマスク生成デバイス。
【請求項11】
コードマスク生成デバイスであって、
複数のシンボルを、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置するための手段と、ここでn1およびn2が整数値である、
前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義するための手段と、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向において一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返される、
前記複数のシンボル構造をコードマスクとしてレンダリングするための手段と、
を備え、
前記コードマスク生成デバイスの定義するための前記手段によって、2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のコードワードのコードワードエイリアシングを避けるように、前記シンボル構造の幅が、標的オブジェクトに投影されたコードワードの元の場所に対して最も近い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードと前記標的オブジェクトに投影された前記コードワードの前記元の場所に対して最も遠い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードとの変位距離よりも大きい値に設定され、かつ前記2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のシンボルが選択される、コードマスク生成デバイス。
【請求項12】
前記コードマスク生成デバイスが、コード層と、前記コード層の上に重ねられた独立した固有のキャリア層とを含む前記コードマスクを生成するための手段を備え、ここで前記キャリア層が、複数の基準オブジェクトを含み、前記複数の基準オブジェクトが、ガード間隔をその間にもつ複数の等間隔に離間した基準ストライプを備え、前記コード層が、前記複数のシンボルを含み、前記複数のシンボルが、前記基準ストライプの場所を定義し、前記基準ストライプは、前記コード層の歪みを補正するためのものであり、
前記コードマスク生成デバイスの生成するための前記手段が、各基準ストライプが、前記ガード間隔とは異なる幅を有することを決定する、請求項11に記載のコードマスク生成デバイス。
【請求項13】
前記コードマスク生成デバイスが、コード層と、前記コード層の上に重ねられた独立した固有のキャリア層とを含む前記コードマスクを生成するための手段を備え、ここで前記キャリア層が、複数の基準オブジェクトを含み、前記複数の基準オブジェクトが、ガード間隔をその間にもつ複数の等間隔に離間した基準ストライプを備え、前記コード層が、前記複数のシンボルを含み、前記複数のシンボルが、前記基準ストライプの場所を定義し、前記基準ストライプは、前記コード層の歪みを補正するためのものであり、
前記コードマスク生成デバイスの生成するための前記手段によって、ガード間隔幅に対する、各基準ストライプの幅が、送信機デバイス、受信機デバイス、またはその組合せの予想光拡散に基づいて決定される、請求項11に記載のコードマスク生成デバイス。
【請求項14】
標的オブジェクト奥行き情報を確認するために、前記コードマスクの少なくとも一部分を標的オブジェクトに投影するための手段をさらに備える、請求項11に記載のコードマスク生成デバイス。
【請求項15】
コードマスクを生成するための命令を記憶した非一時的機械可読記憶媒体であって、前記命令は、プロセッサによって実行されると、
複数のシンボルを、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置することと、ここでn1およびn2が整数値である、
前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義することと、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向において一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返される、
前記複数のシンボル構造をコードマスクとしてレンダリングすることと、ここにおいて、2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のコードワードのコードワードエイリアシングを避けるように、前記シンボル構造の幅が、標的オブジェクトに投影されたコードワードの元の場所に対して最も近い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードと前記標的オブジェクトに投影された前記コードワードの前記元の場所に対して最も遠い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードとの変位距離よりも大きい値に設定され、かつ前記2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のシンボルが選択される、
を前記プロセッサに行わせる、非一時的機械可読記憶媒体。
【請求項16】
前記プロセッサによって実行されると、標的オブジェクト奥行き情報を確認するために、前記コードマスクの少なくとも一部分を標的オブジェクトに投影することを前記プロセッサに行わせるための命令をさらに記憶した、請求項15に記載の非一時的機械可読記憶媒体。」


第3 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1(特表2010-538269号公報)には、図面とともに次の事項が記載されている。(下線は当審による。以下同様。)

「【0001】
本開示は、有形物の3次元(「3D」)測定に関する。」

「【0014】
ここで図3を参照すると、物体111の表面110の形状を求めるために投影画像及び取り込み画像がどのように使用されるかを表わす透視図の例示が提供される。線パターン162を有するスライド122は、光源126からの投影光の振幅変調を行って、物体111の表面110上に投影機106から構造光113としてパターンを投影する。次いで、線パターン186が表面110上に現れる。カメラ108は、結果として得られる、表面110に作用する構造光113の対応する取り込み画像140を記録する。この例において、表面110の形状を計算する複雑さは、取り込み画像140内のパターン内の線185とスライド122内のパターン内の線162との間の対応を識別する複雑さにある。すべての線が同様の外観を有し、スライド122内のどの線162が、取り込み画像140内の特定の線185を生成したかを見分けることが困難であるため、画像140とスライド122における線間の適切な対応を求めることが困難なことがある。更に、物体11の形状がより複雑になるほど、より高い頻度で線が壊れ、スライド122と取り込み画像140との間の対応を見つけるタスクはより複雑になる。
【0015】
取り込み画像140の点とスライド122の点との間の対応を探査するタスクを簡素化するために、投影光113は取り込み画像140において識別できる区別可能な要素の集まりを表わすように構造化できる。この異成分の取り込み画像140への導入は、「符号化」と呼ばれる。図4Aから図4Cは、物体111の表面110上に投影できる符号化された構造光113の幾つかの代表例を表わす。
【0016】
符号化の存在にもかかわらず、特に、物体の表面110と、投影機106と、カメラ1
08との間の距離の有限性によって生じる遠近感歪みの存在によって、カメラ108によって取り込まれる画像内の構造光の要素を識別するタスクは、依然として複雑である。遠近感歪みは、構造光113の取り込み画像140を2つの方向に変形させ、取り込み画像140の各点における表面110の形状に依存する。結果的に、投影構造光113の各要素は、予測外に、取り込み画像140においてシフトし、回転し、その形状をねじる場合があり、したがって、可能性のある歪み(回転、形状の歪み)のすべてを考慮して、その識別には取り込み画像140内の2次元探査が必要である。このような探査に伴う複雑さはしばしば、取り込み画像140内の構造光要素の検出における頻繁なエラーをもたらし、その結果、物体の表面110の形状の測定エラーとなる。探査タスクはまた、レジストレーション時間を延長するか、又はより強力な、したがって、より大きく、より高価な、コンピュータのシステム、すなわち演算装置104を必要とするリソース集中型探査アルゴリズムを必要とする。
【0017】
1つ又は複数の実施形態において、システム100は、構造光113が歪められる場合のある方向の数を1つの既知の方向に制限すること、その方向において構造光113の符号シーケンスを構成すること、及び特別な構造光符号化方法を使用することによって、カメラ108によって取り込まれる画像140内の構造光113の要素を検出するタスクを簡素化し、それによって、より効果的且つ効率的な3D画像化を達成する。」


ここで、符号化された構造光の代表例として挙げられている図4aを見ると、その構造は、複数のシンボルが、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置されており、ここでn1およびn2が整数値であること、また、前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義され、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向では一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返されるものとなっていることが読み取れる。
したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「有形物の3次元(「3D」)測定に関する構造光符号化方法であって、
複数のシンボルが、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置されており、ここでn1およびn2が整数値であり、
前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義され、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向では一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返される、
投影光113を取り込み画像140において識別できる区別可能な要素の集まりを表わすように構造化する方法。」

2.引用文献2について
また、原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2(国際公開第2010/140059号)には、図面とともに次の事項が記載されている。

「The invention relates to a method and a device for scanning and digitizing three- dimensional surfaces. The invention is applicable, in particular, to any implementation in which a surface in three-dimensional space may be digitally acquired and processed.」(第1頁第7?10行)
(当審訳:「本発明は、3次元表面を走査及びデジタル化する方法及び装置に関する。本発明は、特に、3次元空間内の表面をデジタル的に取得及び加工することができる任意の実施態様に適用可能である。」)

「An exemplary embodiment of a sensor for intraoral measurement is diagrammatically illustrated in Fig. 5. The sensor comprises a camera 1 , two projectors 2 and 3, which project two mutually different patterns M1 and M2 onto the surface. Exemplary two patterns are shown in Figs. 6A and 6B, respectively. As shown, the patterns are defined by mutually parallel, thin lines. The term "lines," as used herein, includes dashed lines, dotted lines, dash-dotted lines, and the like. Such an encoding may be helpful for the indexing of the lines, so the line distance can be narrower, without the danger of ambiguities due to wrong line indexing. The term "lines" means as well, that the width of the lines is carefully designed, in order to allow for the best localization at the video image, which is equivalent to the least measuring uncertainty. For this purpose, the line is designed to appear with a Gaussian cross section at the video target. A line which is too narrow will cause aliasing and a great amount of noise. An optimal line shape will have the width of 3- 5 video pixels at the camera target. The camera views the object and the projected patterns and generates camera views K (K1 , K2 . . . KN). An exemplary such camera image K is shown in Fig. 7. The patterns are advantageously projected in alternation. The patterns are formed of several lines which, in the exemplary patterns are approximately parallel. The spacing distance between the lines is chosen such that the order of lines in the camera image K of the entire measuring volume is definite and clear. Reference is had to Fig. 3, in this context. The lines of the patterns M1 and M2 are perpendicular to one another. The optical axis 4 of the camera and the optical axis 5 of the projector 2 span open a triangulation plane. The optical axis 4 of the camera and the optical axis 6 of the projector 3 also span a triangulation plane. The axes of the camera and the projector enclose a respective triangulation angled. The angle in the exemplary embodiment is 7°. This angle is a particularly preferred selection for an intraoral dental measurement sensor. Preferably, the camera and the two projectors are disposed so as to align the triangulation planes perpendicular to one another.」(第19頁第22?第20頁第16行)
(当審訳:「 口内測定用のセンサの例示的な実施形態を、図5に概略的に示す。センサは、カメラ1と、相互に異なる2つのパターンM1及びM2を表面に投影する2個のプロジェクタ2及び3とを備える。例示的な2つのパターンを図6A及び図6Bにそれぞれ示す。図示のように、これらパターンは、相互に平行な細いラインにより画定される。本明細書で用いる用語「ライン」は、破線、点線、一点鎖線等を含む。このような符号化は、ラインの索引付けに有用であり得るため、誤ったライン索引付けに起因して曖昧性が生じる危険を伴わずにライン距離を狭めることができる。用語「ライン」は、ビデオ画像において最小測定不確定性に相当する最良の局在化を可能にするために、ラインの幅を慎重に設計することも意味する。この目的のため、ラインは、ビデオ目標被写体においてガウス断面を有するように見えるよう設計する。細すぎる線は、エイリアシング及び大量のノイズを生ずることになる。最適なライン形状は、カメラ目標被写体において3?5ビデオピクセルの幅を有する。カメラは、対象物及び投影パターンを見取り、またカメラビューK(K1,K2,…KN)を生成する。例示的なこのようなカメラ画像Kを図7に示す。パターンは、交互に投影するのが有利である。パターンは、例示的な実施形態では概ね平行である複数のラインで形成する。ライン間の離間距離は、測定体積全体のカメラ画像Kにおけるラインの順序が画定され明確であるよう選択する。これに関して図3を参照されたい。パターンM1及びM2のラインは、相互に直交する。カメラの光軸4及びプロジェクタ2の光軸5は、三角測量面を成すよう広がる。カメラの光軸4及びプロジェクタ3の光軸6も、三角測量面を成すよう広がる。カメラ及びプロジェクタの軸は、各三角測量角度θを囲む。例示的な実施形態における角度は7°である。この角度は、口内歯測定センサに特に好ましい選択である。好適には、カメラ及び2個のプロジェクタを、互いに直交する三角測量面に整列するよう配置する。」)

したがって、上記引用文献2には、「3次元空間内の表面をデジタル的に取得する方法において、細すぎる線は、エイリアシングを生ずる。」という技術的事項が記載されていると認められる。


第4 対比・判断
1.本願発明1について
(1)対比
本願発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明は「投影光113を取り込み画像140において識別できる区別可能な要素の集まりを表わすように構造化する方法」であるから、その過程において、本願発明1における「コードマスク用のコードを生成するための方法」に相当する工程を含むことは明らかといえる。
そして、引用発明において「複数のシンボルが、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置されており、ここでn1およびn2が整数値であり、前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義され、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向では一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返される、」ことは、本願発明において「複数のシンボルを、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置することと、ここでn1およびn2が整数値である、前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義することと、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向では一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返される、」ことに相当する。

したがって、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。

(一致点)
「コードマスク用のコードを生成するための方法であって、
複数のシンボルを、複数のシンボル構造のn1×n2シンボル構造に配置することと、ここでn1およびn2が整数値である、
前記シンボル構造内の異なる重複するk1×k2ウィンドウから複数のコードワードを定義することと、ここにおいて、共線的であり空間的に重複するウィンドウが一意のコードワードを定義し、前記コードワードが、前記シンボル構造の第1の方向では一意であるが、前記第1の方向に対して垂直である第2の方向では繰り返される、
を備える方法。」

(相違点)
(相違点1)本願発明1は「複数の前記シンボル構造をコードマスクとしてレンダリングすること」とされているのに対し、引用発明においては、そのようなレンダリングによる工程を含むことまでは明示されていない点。

(相違点2)本願発明1においては、「2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のコードワードのコードワードエイリアシングを避けるように、前記シンボル構造の幅が、標的オブジェクトに投影されたコードワードの元の場所に対して最も近い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードと前記標的オブジェクトに投影された前記コードワードの前記元の場所に対して最も遠い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードとの変位距離よりも大きい値に設定され、かつ前記2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のシンボルが選択される、」とされているのに対し、引用発明はそのような工程を有していない点。

(2)相違点についての判断
本願発明1の内容に鑑み、上記相違点2について検討する。
相違点2に係る本願発明1の「2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のコードワードのコードワードエイリアシングを避けるように、前記シンボル構造の幅が、標的オブジェクトに投影されたコードワードの元の場所に対して最も近い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードと前記標的オブジェクトに投影された前記コードワードの前記元の場所に対して最も遠い、前記標的オブジェクト上で反射されキャプチャされたコードワードとの変位距離よりも大きい値に設定され、かつ前記2つの隣接するk1×k2ウィンドウ中のシンボルが選択される、」という構成は、上記引用文献2には記載も示唆もされておらず、また周知な技術事項でもない。
したがって、上記相違点1について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1ないし2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

2.本願発明6,11,15について
本願発明6,11は、本願発明1に対応するコードマスク生成デバイスの発明であり、また本願発明15は、本願発明1に対応する非一時的機械可読記憶媒体の発明であって、いずれも本願発明1の上記相違点2に係る構成に対応する構成を備えるものであるから、本願発明1と同様の理由により、当業者であっても、引用文献1ないし2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。

3.本願発明2-5,7-10,12-14,16について
本願発明2-5,7-10,12-14,16は、それぞれ本願発明1,6,11,15の構成を全て備えるものであるから、本願発明1,6,11,15と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1ないし2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。


第5 原査定の概要及び原査定についての判断
原査定は、請求項1-19について、上記引用文献1、2に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。しかしながら、本件補正により補正された請求項1-16は、それぞれ上記相違点2に係る事項、もしくはそれに対応する事項を有するものとなっており、上記のとおり、本願発明1-16は、当業者であっても、引用文献1ないし2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定を維持することはできない。


第6 当審拒絶理由について
特許法第36条第6項第2号について
当審では、請求項1-16の記載に関し、「最も近いコードワードインスタンスと最も遠いコードワードインスタンスとの変位距離」という記載の意味が不明確であるとの拒絶の理由を通知しているが、本件補正により補正された結果、この拒絶の理由は解消した。


第7 むすび
以上のとおり、本願発明1-16は、当業者が引用文献1ないし2に基づいて容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-08-20 
出願番号 特願2015-514022(P2015-514022)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (G01B)
P 1 8・ 121- WY (G01B)
最終処分 成立  
前審関与審査官 ▲うし▼田 真悟  
特許庁審判長 清水 稔
特許庁審判官 須原 宏光
中塚 直樹
発明の名称 アフィン不変空間マスクにおけるコードの設計  
代理人 蔵田 昌俊  
代理人 岡田 貴志  
代理人 井関 守三  
代理人 福原 淑弘  

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