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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G01R |
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管理番号 | 1343509 |
審判番号 | 不服2017-18489 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-12-12 |
確定日 | 2018-09-18 |
事件の表示 | 特願2013-183768「配線回路基板の導通検査方法および配線回路基板の製造方法」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月19日出願公開、特開2015- 52454、請求項の数(6)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成25年9月5日の出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成26年12月26日 :手続補正書の提出 平成29年 3月16日付け:拒絶理由通知書 平成29年 5月 1日 :意見書、手続補正書の提出 平成29年10月23日付け:拒絶査定(送達日:同年同月31日) 平成29年12月12日 :審判請求書、手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成29年10月23日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。 本願請求項1-4に係る発明は、以下の引用文献1に記載された発明と引用文献2に例示される周知技術に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2013-57597号公報 2.“アナログIC検査用「狭ピッチ・ケルビン検査用プローブ」を製品化”,[online],2012年7月30日,株式会社ヨコオ,[2017年10月20日検索],インターネット<URL: http://www.yokowo.co.jp/release/pdf/12_07_30.pdf >(周知技術を示す文献;新たに引用された文献) 第3 本願発明 本願請求項1-6に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」-「本願発明6」という。)は、平成29年12月12日に補正された特許請求の範囲の請求項1-6に記載された事項により特定される発明であり、本願発明1は以下のとおりの発明である。 「【請求項1】 第1および第2の電極パッドが複数の線路により互いに電気的に接続された配線回路基板の導通検査方法であって、 第1および第2の測定プローブを前記第1および第2の電極パッドにそれぞれ接触させるとともに、第3および第4の測定プローブを前記第1および第2の電極パッドにそれぞれ接触させるステップと、 前記第1および第2の測定プローブを通して前記第1および第2の電極パッドならびに前記複数の線路に直流電流が流れるように電流経路を形成するステップと、 前記電流経路の直流電流の値を測定するステップと、 前記第3および第4の測定プローブ間の電圧の値を測定するステップと、 測定された直流電流の値および測定された電圧の値に基づいて、前記第1および第2の電極パッド間の導通を検査するステップとを含み、 前記第1および第3の測定プローブの直径は、それぞれ20μm以上50μm以下であり、 前記接触させるステップは、前記第1および第3の測定プローブの中心間の距離が30μm以上150μm以下となるように、前記第1および第3の測定プローブを前記第1の電極パッドに接触させることを含み、 前記第1および第2の電極パッド間の導通を検査するステップは、 測定された直流電流の値と測定された電圧の値との比である直流抵抗値を算出することと、 算出された直流抵抗値を予め定められたしきい値と比較し、比較結果に基づいて前記配線回路基板における前記第1および第2の電極パッド間の前記複数の線路の導通が異常であるか否かを判定することとを含み、 前記複数の線路は、前記第1の電極パッドに接続された単一の線路から分岐し、前記第2の電極パッドに接続された単一の線路に合流するように形成され、 前記しきい値は、予め定められた第1のしきい値を含み、 前記導通が異常であるか否かを判定することは、算出された直流抵抗値と前記第1のしきい値との比較結果に基づいて前記複数の線路のいずれかが断線しているか否かを判定することを含む、配線回路基板の導通検査方法。」 なお、本願発明2-6は、本願発明1を減縮した発明である。 第4 引用文献、引用発明等 1.引用文献1について (1)原査定の拒絶の理由に引用された上記引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている(下線は当審による。)。 ア 「【背景技術】 【0002】 プリント配線板に設けられた配線パターンの導通検査の方式には、主として、ピンコンタクト方式および非接触方式があることが知られている(特許文献1)。 【0003】 ピンコンタクト方式では、検査対象となるプリント配線板の配線パターンの両端にプローブピンを直接接触させ、一方のプローブピンに電流を流す。そして、他方のプローブピンで検出された電圧値から、配線パターンの直流抵抗値を求めることにより、配線パターンの導通検査を行う(特許文献1の段落[0002],[0003]参照)。」 イ 「【0006】 しかしながら、上記いずれの検査方法を用いても、多重配線パターンの導通検査を行うことは困難である。多重配線パターンとは、第1の端子と第2の端子を有し、第1および第2の端子を電気的に接続する配線を複数有する配線パターンをいう。多重配線パターンは、例えば、回路のインピーダンスを低下させる用途や、大電流を複数の配線に分散させて1本の配線に流れる電流を低下させる用途などに用いられる。」 ウ 「【0009】 即ち、第1の端子としての端子55と、第2の端子としての端子56とを有するとともに、第1の端子および第2の端子を電気的に接続する第1の配線および第2の配線を有する。第1の配線は配線54であり、第2の配線は、導体パターン53B、貫通ビア60および貫通ビア61から構成される。 【0010】 第2の配線の抵抗は、導体パターン53Bが導体パターン53Aよりも細く形成されているのに加えて貫通ビア60および61による抵抗が存在するため、第1の配線の抵抗よりも大きい。このため、ピンコンタクト方式により導通検査を行った場合、配線を構成する各要素の寸法ばらつきによっては、第2の配線よりも抵抗値の低い第1の配線が断線していることを検出できないおそれがある。」 エ 「【0026】 次に、4端子対法を採った場合のインダクタンス測定部110の構成について説明する。図2は、インダクタンス測定部110を構成するインダクタンス・メータ16、ケルビンプローブ12,13および同軸ケーブル21?24と、検査対象の両面プリント配線板1とを示している。 【0027】 まず、両面プリント配線板1の構成について説明する。絶縁基板2の表面および裏面にはそれぞれ、導体パターン3Aおよび導体パターン3Bが形成されている。導体パターン3Aは、配線4と、配線4の両端に端子5および端子6とを有する。同様に、導体パターン3Bは、配線7と、配線7の両端に端子8および端子9とを有する。 【0028】 図2に示すように、端子5および端子8は貫通ビア10により電気的に接続され、同様に、端子6および端子9は貫通ビア11により電気的に接続されている。このように、両面プリント配線板1には、第1の端子としての端子5と、第2の端子としての端子6とを有するとともに、第1の端子および第2の端子を電気的に接続する2本の配線(第1の配線および第2の配線)を有する。第1の配線は配線4であり、第2の配線は、導体パターン3B、貫通ビア10および貫通ビア11から構成される配線である。」 図2 ![]() オ 「【0030】 次に、インダクタンス測定部110を構成するインダクタンス・メータ16、ケルビンプローブ10,11(当審注:12,13の誤記)および同軸ケーブル21?24について説明する。 【0031】 インダクタンス・メータ16は、多重配線パターンの端子5に測定用の交流電流を流す交流信号源17と、端子6から流れ出た交流電流を測定する交流電流計18と、端子5および端子6間の電圧を測定する交流電圧計19とを有する。 【0032】 図2に示すように、インダクタンスを測定する際、ケルビンプローブ12を端子5に接触させ、ケルビンプローブ13を端子6に接触させる。 【0033】 ケルビンプローブ12はプローブピン12aおよび12bを有し、ケルビンプローブ13はプローブピン13aおよび13bを有する。 【0034】 また、インダクタンス・メータ16は、Hc、Hp、LcおよびLpの4つの端子を有する。Hc端子は、同軸ケーブル21およびケルビンプローブ12のプローブピン12aを介して端子5と電気的に接続される。Hp端子は、同軸ケーブル23およびケルビンプローブ12のプローブピン12bを介して端子5と電気的に接続される。Lc端子は、同軸ケーブル22およびケルビンプローブ13のプローブピン13bを介して端子6と電気的に接続される。Lp端子は、同軸ケーブル24およびケルビンプローブ13のプローブピン13aを介して端子6と電気的に接続される。 【0035】 図2に示すように、同軸ケーブル21?24の外部導体21b?24bは互いに導体25により電気的に接続されている。 【0036】 同軸ケーブル21は、交流信号源17の出力端子と電気的に接続された中心導体21a、および交流信号源17の入力端子と電気的に接続された外部導体21bを有する。同軸ケーブル22は、交流電流計18の入力端子と電気的に接続された中心導体22a、および交流電流計18の出力端子と電気的に接続された外部導体22bを有する。同軸ケーブル23は、交流電圧計19の一方の端子と電気的に接続された中心導体23aと、同軸ケーブル21の外部導体21bと電気的に接続された外部導体23bとを有する。同軸ケーブル24は、交流電圧計19の他方の端子と電気的に接続された中心導体24aと、同軸ケーブル22の外部導体22bおよび同軸ケーブル23の外部導体23bと電気的に接続された外部導体24bとを有する。 【0037】 プローブピン12aは、同軸ケーブル21の中心導体21aと電気的に接続されている。プローブピン12bは、同軸ケーブル23の中心導体23aと電気的に接続されている。プローブピン13aは、同軸ケーブル24の中心導体24aと電気的に接続されている。プローブピン13bは、同軸ケーブル22の中心導体22aと電気的に接続されている。 【0038】 Hc端子は、交流信号源17と接続され、プローブピン12aを介して端子5に交流信号を印加する。端子5に印加された交流信号は、多重配線パターンを通り、端子6からプローブピン13b、そしてLc端子を通り、交流電流計18に入力される。交流電流計18から出力されたリターン電流は、同軸ケーブル21?24の外部導体(シールド部)21b?24bを通り、交流信号源17に戻る。 【0039】 また交流電圧計19は、インダクタンス・メータ16のHp端子およびLp端子に接続されており、端子5および端子6間の電圧を測定する。 【0040】 上記の接続方法は4端子対法と呼ばれる。交流信号源17から出力された交流電流は同軸ケーブル21,22の中心導体21a,22aを流れる。一方、リターン電流は同軸ケーブル21?24の外部導体21b?24bを流れて交流信号源17に戻る。このように測定電流とリターン電流が逆方向に流れるため、これらの電流により発生する磁界が打ち消され、外部に磁界を発生しない。このため、同軸ケーブル21?24上に自己インダクタンスおよび相互インダクタンスが発生せず、インダクタンス測定部110は微小なインダクタンスを測定することができる。よって、配線4および配線7のいずれか一方が断線しているときのインダクタンスと、配線4および配線7の両方とも非断線のときのインダクタンスとの間のわずかな差を測定できる。 【0041】 インダクタンス測定部110は、交流電圧計19により測定された交流電圧と、交流電流計18により測定された交流電流との比を計算することにより、端子5および端子6間のインダクタンス値を得る。」 カ 「【0043】 図2中の破線は、断線が発生していない場合の測定用の交流電流の経路を示している。もし第1の配線において断線が発生している場合、交流電流は第2の配線を通る。反対に、第2の配線において断線が発生している場合、交流電流は第1の配線を通る。 【0044】 第1の配線のインダクタンスをL1、第2の配線のインダクタンスをL2とする。そして、第1の配線と第2の配線の合成インダクタンスをL1_2とする。第1の配線および第2の配線がともに断線していない場合、合成インダクタンスL1_2は(L1×L2)/(L1+L2)となる。一方、第1の配線および第2の配線のいずれか一方に断線が発生している場合(即ち、片側断線の場合)、合成インダクタンスはL1またはL2となる。なお、第1の配線および第2の配線の両方に断線が発生している場合、インダクタンス値は0となる。」 キ 「【0047】 配線長l=50mm、配線幅W=100μm、配線厚T=30μmとした場合、インダクタンスL1およびL2の値は、式(1)からそれぞれ71.5nHとなる。このインダクタンス値は、第1の配線および第2の配線のいずれか一方のみが断線した場合の値である。また、第1の配線および第2の配線のいずれも非断線の場合の合成インダクタンスL1_2は、35.7nHとなる。 【0048】 このように、多重配線パターンに片側断線が発生すると、相互インダクタンスが消滅し非断線の配線の自己インダクタンスのみとなることから、インダクタンス値が大きくなる。これを利用することで、第1の配線および第2の配線のうちいずれか一方が断線したことを検出することができる。なお、前述のように、第1の配線および第2の配線の両方に断線が発生している場合には、第1の端子と第2の端子間のインダクタンス値は0となる。よって、インダクタンス値の測定により、第1の配線および第2の配線が両方とも断線していることも検出できる。」 ク 「【0055】 図3に示す計算例において、片側断線時におけるインダクタンスの下限値と、非断線時におけるインダクタンスの上限値との平均値(53.3nH)を導通判定用閾値とする場合を考える。このとき、片側断線時におけるインダクタンスの下限値と導通判定用閾値との差分(Δ/2)、および非断線時におけるインダクタンスの上限値と導通判定用閾値との差分(Δ/2)は、いずれも約20%以上の変化率に相当する。よって、繰返し測定によるインダクタンス値の変化率(最大4%)は、インダクタンス値の差分Δに比べて十分低いと言える。よって、測定誤差を考慮しても、測定されたインダクタンス値から片側断線を検出することが可能である。」 ケ 「【0062】 また、配線長の変化に対する感度は、一般に、直流抵抗よりもインダクタンスの方が高い。このため、本実施形態によれば、ピンコンタクト方式に比べて高い精度で断線を検出することが可能である。」 コ 「【0064】 (第2の実施形態) 次に、第2の実施形態に係る導通検査装置100Aについて、図5を用いて説明する。第2の実施形態と第1の実施形態との相違点の一つは、導通検査装置100Aが抵抗測定部150を備えることである。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。 【0065】 導通検査装置100Aは、インダクタンス測定部110、導通判定部120、記憶部130および表示部140に加えて、端子5と端子6間の抵抗値を測定する抵抗測定部150を備える。 【0066】 より詳しくは、抵抗測定部150は、多重配線パターンに直流電流(I)を流す直流電流源と、端子5および端子6間に発生する電圧(V)を測定する直流電圧計とを有し、電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子間の直流抵抗値を得る。 【0067】 導通判定部120は、抵抗測定部150により測定された抵抗値と、所定の判定閾値(オープン判定用閾値)とを比較する。このオープン判定用閾値は、数MΩ程度の十分大きい値に設定される。その結果、抵抗値がオープン判定用閾値よりも大きければ、多重配線パターンを構成する配線が全て断線していると判定する。この場合、前述のインダクタンス値を用いた導通検査は行わず、検査対象のプリント配線板は不良品と判定する。反対に、抵抗値がオープン判定用閾値よりも小さければ、第1の実施形態で説明したインダクタンス値による導通検査を行う。」 サ 「【0069】 図6のフローチャートを用いて、第2の実施形態に係る導通検査方法について説明する。 【0070】 (1)まず、抵抗測定部150は、前述のようにして多重配線パターンの端子5および端子6間の抵抗値を測定する(ステップS11)。 【0071】 (2)導通判定部120は、抵抗値とオープン判定用閾値との比較を行い、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定する(ステップS12)。もし配線が全て断線していると判定した場合には、検査対象のプリント配線板は不良品であると判定し(ステップS13)、そうでなければ、ステップS14に進む。 【0072】 (3)インダクタンス測定部110は、4端子対法などを用いて多重配線パターンの端子5および端子6間のインダクタンス値を測定する(ステップS14)。 【0073】 (4)導通判定部120は、インダクタンス値と導通判定用閾値との比較を行い、多重配線パターンに断線が発生しているか否かを判定する(ステップS15)。もし多重配線パターンに断線が発生してないと判定した場合には、検査対象のプリント配線板は正常品であると判定し(ステップS16)、そうでなければ、不良品であると判定する(ステップS13)。 【0074】 このように、第2の実施形態では、第1の実施形態で説明したインダクタンス値による導通検査を行う前に、抵抗値を測定し、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定する。これにより、比較的精度の高い閾値設定が必要なインダクタンス測定の回数を減らし、より効率的に多重配線パターンの導通検査を行うことができる。」 図6 ![]() (2)引用文献1の上記(1)の記載によれば、以下のことが認められる。 ア 導通検査方法(【0069】より。以下同様。)の検査対象は、第1の端子と第2の端子を有し、第1および第2の端子を電気的に接続する配線を複数有する配線パターンである多重配線パターン(【0006】、【0070】)を有する両面プリント配線板1(プリント配線板)である(【0026】、【0071】)。 イ 両面プリント配線板1は、第1の端子としての端子5と、第2の端子としての端子6とを有するとともに、第1の端子および第2の端子を電気的に接続する2本の配線(第1の配線および第2の配線)を有し、第1の配線は配線4であり、第2の配線は、導体パターン3B、貫通ビア10および貫通ビア11から構成される配線である(【0028】)。 ウ 抵抗測定部150は、多重配線パターンに直流電流(I)を流す直流電流源と、端子5および端子6間に発生する電圧(V)を測定する直流電圧計とを有し、電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子5および端子6間の直流抵抗値を得る(ステップS11)(【0066】、【0070】)。 エ 導通判定部120は、抵抗測定部150により測定された抵抗値と、所定の判定閾値(オープン判定用閾値)とを比較して、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定し(ステップS12)、抵抗値がオープン判定用閾値よりも大きければ、多重配線パターンを構成する配線が全て断線していると判定し、インダクタンス値を用いた導通検査は行わず、検査対象のプリント配線板は不良品であると判定し(ステップS13)、抵抗値がオープン判定用閾値よりも小さければ、ステップS14に進んでインダクタンス値による導通検査を行う(【0067】、【0071】)。 オ インダクタンス測定部110は、4端子対法などを用いて多重配線パターンの端子5および端子6間のインダクタンス値を測定する(ステップS14)(【0072】)。 カ インダクタンス測定部110を構成するケルビンプローブ12,13(【0030】)のうち、ケルビンプローブ12はプローブピン12aおよび12bを有し、ケルビンプローブ13はプローブピン13aおよび13bを有しており(【0033】)、インダクタンスを測定する際、ケルビンプローブ12を端子5に接触させ、ケルビンプローブ13を端子6に接触させる(【0032】)。 キ インダクタンス測定部110を構成するインダクタンス・メータ16は、Hc、Hp、LcおよびLpの4つの端子を有している(【0030】、【0034】)。 ク Hc端子は、交流信号源17と接続され、プローブピン12aを介して端子5に交流信号を印加し、端子5に印加された交流信号は、多重配線パターンを通り、端子6からプローブピン13b、そしてLc端子を通り、交流電流計18に入力される(【0038】)。 ケ Hp端子は、ケルビンプローブ12のプローブピン12bを介して端子5と電気的に接続され、Lp端子は、ケルビンプローブ13のプローブピン13aを介して端子6と電気的に接続され(【0034】)、交流電圧計19は、Hp端子およびLp端子に接続されており、端子5および端子6間の電圧を測定する(【0039】)。 コ インダクタンス測定部110は、交流電圧計19により測定された交流電圧と、交流電流計18により測定された交流電流との比を計算することにより、端子5および端子6間のインダクタンス値を得(【0041】)、配線4および配線7のいずれか一方が断線しているときのインダクタンスと、配線4および配線7の両方とも非断線のときのインダクタンスとの間のわずかな差を測定できる(【0040】)。 サ 導通判定部120は、インダクタンス値と導通判定用閾値との比較を行い、多重配線パターンに断線が発生しているか否かを判定する(ステップS15)(【0073】)。片側断線時におけるインダクタンスの下限値と、非断線時におけるインダクタンスの上限値との平均値を導通判定用閾値とする場合、測定されたインダクタンス値から片側断線を検出することが可能である(【0055】)。 (3)したがって、上記引用文献1には次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。 「第1の端子としての端子5と、第2の端子としての端子6とを有するとともに、第1の端子および第2の端子を電気的に接続する2本の配線(第1の配線および第2の配線)を有している両面プリント配線板1の導通検査方法であって(上記(2)ア、イより。以下同様。)、 第1の配線は配線4であり、第2の配線は、導体パターン3B、貫通ビア10および貫通ビア11から構成される配線であり(上記(2)イ)、 第1の端子と第2の端子を有し、第1および第2の端子を電気的に接続する配線を複数有する配線パターンを、多重配線パターンといい(上記(2)ア)、 抵抗測定部150は、多重配線パターンに直流電流(I)を流す直流電流源と、端子5および端子6間に発生する電圧(V)を測定する直流電圧計とを有し、電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子5および端子6間の直流抵抗値を得(ステップS11)(上記(2)ウ)、 導通判定部120は、抵抗測定部150により測定された抵抗値と、所定の判定閾値(オープン判定用閾値)とを比較して、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定し(ステップS12)、抵抗値がオープン判定用閾値よりも大きければ、多重配線パターンを構成する配線が全て断線していると判定し、インダクタンス値を用いた導通検査は行わず、検査対象のプリント配線板は不良品であると判定し(ステップS13)、抵抗値がオープン判定用閾値よりも小さければ、ステップS14に進んでインダクタンス値による導通検査を行い(上記(2)エ)、 インダクタンス測定部110は、4端子対法などを用いて多重配線パターンの端子5および端子6間のインダクタンス値を測定し(ステップS14)(上記(2)オ)、 インダクタンス測定部110を構成するケルビンプローブ12,13のうち、ケルビンプローブ12はプローブピン12aおよび12bを有し、ケルビンプローブ13はプローブピン13aおよび13bを有しており、インダクタンスを測定する際、ケルビンプローブ12を端子5に接触させ、ケルビンプローブ13を端子6に接触させ(上記(2)カ)、 インダクタンス測定部110を構成するインダクタンス・メータ16は、Hc、Hp、LcおよびLpの4つの端子を有しており(上記(2)キ)、 Hc端子は、交流信号源17と接続され、プローブピン12aを介して端子5に交流信号を印加し、端子5に印加された交流信号は、多重配線パターンを通り、端子6からプローブピン13b、そしてLc端子を通り、交流電流計18に入力され(上記(2)ク)、 Hp端子は、ケルビンプローブ12のプローブピン12bを介して端子5と電気的に接続され、Lp端子は、ケルビンプローブ13のプローブピン13aを介して端子6と電気的に接続され、交流電圧計19は、Hp端子およびLp端子に接続されており、端子5および端子6間の電圧を測定し(上記(2)ケ)、 インダクタンス測定部110は、交流電圧計19により測定された交流電圧と、交流電流計18により測定された交流電流との比を計算することにより、端子5および端子6間のインダクタンス値を得、配線4および配線7のいずれか一方が断線しているときのインダクタンスと、配線4および配線7の両方とも非断線のときのインダクタンスとの間のわずかな差を測定でき(上記(2)コ)、 導通判定部120は、インダクタンス値と導通判定用閾値との比較を行い、多重配線パターンに断線が発生しているか否かを判定し、片側断線時におけるインダクタンスの下限値と、非断線時におけるインダクタンスの上限値との平均値を導通判定用閾値とする場合、測定されたインダクタンス値から片側断線を検出することが可能である(上記(2)サ)、 両面プリント配線板1の導通検査方法(上記(2)ア、イ)。」 2.引用文献2について 原査定において、周知技術を示す文献として引用された上記引用文献2には、概略、ケルビンプローブにおいてケルビンピッチ(フォースピンとセンスピンとのピッチ)を、検査端子のピッチに合わせる(50μm又は25μm)周知技術が記載されていると認められる。 第5 対比・判断 1.本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明における「第1の端子としての端子5」、「第2の端子としての端子6」は、それぞれ、本願発明1における「第1の電極パッド」、「第2の電極パッド」に相当する。 イ 引用発明における「第1の端子および第2の端子を電気的に接続する2本の配線(第1の配線および第2の配線)」は、本願発明1における「複数の線路」に相当する。 なお、引用発明では、「第1の端子と第2の端子を有し、第1および第2の端子を電気的に接続する配線を複数有する配線パターン」を「多重配線パターン」としているから、引用発明における「多重配線パターン」は、本願発明1における「第1の電極パッド」、「第2の電極パッド」及び「複数の線路」に相当するといえる。 ウ 引用発明における「両面プリント配線板1」、「導通検査方法」は、それぞれ、本願発明1における「配線回路基板」、「導通検査方法」に相当する。 したがって、上記ア、イをふまえると、引用発明における「第1の端子としての端子5と、第2の端子としての端子6とを有するとともに、第1の端子および第2の端子を電気的に接続する2本の配線(第1の配線および第2の配線)を有している両面プリント配線板1の導通検査方法」は、本願発明1における「第1および第2の電極パッドが複数の線路により互いに電気的に接続された配線回路基板の導通検査方法」に相当する。 エ 引用発明では「ケルビンプローブ12を端子5に接触させ、ケルビンプローブ13を端子6に接触させ」、「ケルビンプローブ12はプローブピン12aおよび12bを有し、ケルビンプローブ13はプローブピン13aおよび13bを有しており」、「Hc端子は、交流信号源17と接続され、プローブピン12aを介して端子5に交流信号を印加し、端子5に印加された交流信号は、多重配線パターンを通り、端子6からプローブピン13b、そしてLc端子を通り、交流電流計18に入力され」るから、引用発明における「プローブピン12a」は、「端子5」に接触しているといえ、引用発明における「プローブピン13b」は、「端子6」に接触しているといえる。 また、引用発明では「ケルビンプローブ12を端子5に接触させ、ケルビンプローブ13を端子6に接触させ」、「ケルビンプローブ12はプローブピン12aおよび12bを有し、ケルビンプローブ13はプローブピン13aおよび13bを有しており」、「Hp端子は、ケルビンプローブ12のプローブピン12bを介して端子5と電気的に接続され、Lp端子は、ケルビンプローブ13のプローブピン13aを介して端子6と電気的に接続され」るから、引用発明における「プローブピン12b」は、「端子5」に接触しているといえ、引用発明における「プローブピン13a」は、「端子6」に接触しているといえる。 したがって、引用発明における「プローブピン12a」、「プローブピン13b」、「プローブピン12b」、「プローブピン13a」は、それぞれ、本願発明1における「第1の測定プローブ」、「第2の測定プローブ」、「第3の測定プローブ」、「第4の測定プローブ」に相当し、上記アをふまえると、引用発明における、「プローブピン12a」を「端子5」に接触させ、「プローブピン13b」を「端子6」に接触させ、「プローブピン12b」を「端子5」に接触させ、「プローブピン13a」を「端子6」に接触させることは、本願発明1における「第1および第2の測定プローブを前記第1および第2の電極パッドにそれぞれ接触させるとともに、第3および第4の測定プローブを前記第1および第2の電極パッドにそれぞれ接触させるステップ」に相当する。 オ 引用発明では、「抵抗測定部150は、多重配線パターンに直流電流(I)を流す直流電流源と、端子5および端子6間に発生する電圧(V)を測定する直流電圧計とを有し、電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子5および端子6間の直流抵抗値を得」ているところ、「端子5および端子6間に発生する電圧(V)を測定」し、「電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子5および端子6間の直流抵抗値を得」ているのであるから、「直流電流源」が「多重配線パターンに直流電流(I)を流す」のは、「多重配線パターンの端子5および端子6間」で「直流電流(I)を流」しているといえる。 したがって、上記ア、イをふまえると、引用発明において「直流電流源」が「多重配線パターンに直流電流(I)を流す」ことは、本願発明1における「前記第1および第2の測定プローブを通して前記第1および第2の電極パッドならびに前記複数の線路に直流電流が流れるように電流経路を形成するステップ」と、「前記第1および第2の電極パッドならびに前記複数の線路に直流電流が流れるように電流経路を形成するステップ」である点で共通する。 カ また、引用発明において「電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子5および端子6間の直流抵抗値を得」るには、当然に「電流」の値を知っておく必要があるから、「直流電流源」が「多重配線パターンに直流電流(I)を流す」にあたり、その「直流電流」の値を測定していることは明らかであるといえる。 したがって、上記オをふまえると、引用発明では、「抵抗測定部150は、多重配線パターンに直流電流(I)を流す直流電流源と、端子5および端子6間に発生する電圧(V)を測定する直流電圧計とを有し、電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子5および端子6間の直流抵抗値を得」る際に、本願発明1における「前記電流経路の直流電流の値を測定するステップ」に相当するステップを経ているといえる。 キ 引用発明における、「直流電圧計」が「端子5および端子6間に発生する電圧(V)を測定する」ことは、本願発明1における「前記第3および第4の測定プローブ間の電圧の値を測定するステップ」と、「電圧の値を測定するステップ」である点で共通する。 ク 引用発明における、「電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子5および端子6間の直流抵抗値を得」ることは、上記カ、キをふまえると、本願発明1における「測定された直流電流の値と測定された電圧の値との比である直流抵抗値を算出すること」に相当する。 ケ また、引用発明における、「導通判定部120は、抵抗測定部150により測定された抵抗値と、所定の判定閾値(オープン判定用閾値)とを比較して、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定」することは、上記イ、ウ、クをふまえると、本願発明1における、「算出された直流抵抗値を予め定められたしきい値と比較し、比較結果に基づいて前記配線回路基板における前記第1および第2の電極パッド間の前記複数の線路の導通が異常であるか否かを判定すること」に相当し、「測定された直流電流の値および測定された電圧の値に基づいて、前記第1および第2の電極パッド間の導通を検査するステップ」にも相当する。 コ 上記ク、ケをまとめると、引用発明における、「抵抗測定部150は、」「電圧と電流の比(V/I)を計算することにより多重配線パターンの端子5および端子6間の直流抵抗値を得(ステップS11)、導通判定部120は、抵抗測定部150により測定された抵抗値と、所定の判定閾値(オープン判定用閾値)とを比較して、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定」する「(ステップS12)」ことは、本願発明1における、「測定された直流電流の値と測定された電圧の値との比である直流抵抗値を算出することと、算出された直流抵抗値を予め定められたしきい値と比較し、比較結果に基づいて前記配線回路基板における前記第1および第2の電極パッド間の前記複数の線路の導通が異常であるか否かを判定することとを含」む、「測定された直流電流の値および測定された電圧の値に基づいて、前記第1および第2の電極パッド間の導通を検査するステップ」に相当するといえる。 サ 上記ケに関してはさらに、引用発明における、「導通判定部120は、抵抗測定部150により測定された抵抗値と、所定の判定閾値(オープン判定用閾値)とを比較して、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定」することは、上記イ、クをふまえると、本願発明1における「前記しきい値は、予め定められた第1のしきい値を含み、前記導通が異常であるか否かを判定することは、算出された直流抵抗値と前記第1のしきい値との比較結果に基づいて前記複数の線路のいずれかが断線しているか否かを判定することを含む」という事項と、「前記しきい値は、予め定められた第1のしきい値を含み、前記導通が異常であるか否かを判定することは、算出された直流抵抗値と前記第1のしきい値との比較結果に基づいて前記複数の線路が断線しているか否かを判定することを含む」という点で共通する。 してみると、本願発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「第1および第2の電極パッドが複数の線路により互いに電気的に接続された配線回路基板の導通検査方法であって、 第1および第2の測定プローブを前記第1および第2の電極パッドにそれぞれ接触させるとともに、第3および第4の測定プローブを前記第1および第2の電極パッドにそれぞれ接触させるステップと、 前記第1および第2の電極パッドならびに前記複数の線路に直流電流が流れるように電流経路を形成するステップと、 前記電流経路の直流電流の値を測定するステップと、 電圧の値を測定するステップと、 測定された直流電流の値および測定された電圧の値に基づいて、前記第1および第2の電極パッド間の導通を検査するステップとを含み、 前記第1および第2の電極パッド間の導通を検査するステップは、 測定された直流電流の値と測定された電圧の値との比である直流抵抗値を算出することと、 算出された直流抵抗値を予め定められたしきい値と比較し、比較結果に基づいて前記配線回路基板における前記第1および第2の電極パッド間の前記複数の線路の導通が異常であるか否かを判定することとを含み、 前記しきい値は、予め定められた第1のしきい値を含み、 前記導通が異常であるか否かを判定することは、算出された直流抵抗値と前記第1のしきい値との比較結果に基づいて前記複数の線路が断線しているか否かを判定することを含む、配線回路基板の導通検査方法。」 (相違点) (相違点1)本願発明1では、「前記第1および第2の電極パッドならびに前記複数の線路に直流電流が流れるように電流経路を形成する」ことを「前記第1および第2の測定プローブを通して」行い、第1および第2の電極パッド間の「電圧の値を測定する」ことを「前記第3および第4の測定プローブ間の電圧の値を測定する」ことで行っているが、引用発明では、「多重配線パターンに直流電流(I)を流」したり、「端子5および端子6間に発生する電圧(V)を測定」したりするのを、具体的にどのような構成で行っているのかは明記されておらず、インダクタンスを測定する際に用いられる、交流信号を流すための「プローブピン12a」及び「プローブピン13b」や、交流電圧を測定するための「プローブピン12b」及び「プローブピン13a」を、抵抗測定時にも使用しているかは不明な点。 (相違点2)本願発明1では、「前記第1および第3の測定プローブの直径は、それぞれ20μm以上50μm以下であり、前記接触させるステップは、前記第1および第3の測定プローブの中心間の距離が30μm以上150μm以下となるように、前記第1および第3の測定プローブを前記第1の電極パッドに接触させることを含み」と特定されているのに対し、引用発明では、「プローブピン12a」及び「プローブピン12b」の直径や中心間の距離は特定されていない点。 (相違点3)本願発明1では、「前記複数の線路は、前記第1の電極パッドに接続された単一の線路から分岐し、前記第2の電極パッドに接続された単一の線路に合流するように形成され」るのに対し、引用発明では、「第1の配線は配線4であり、第2の配線は、導体パターン3B、貫通ビア10および貫通ビア11から構成される配線であ」って、「第1の配線」や「第2の配線」が、「端子5」に接続された単一の線路から分岐し、「端子6」に接続された単一の線路に合流するように形成されるものではない点。 (相違点4)本願発明1では、「算出された直流抵抗値と前記第1のしきい値との比較結果に基づいて前記複数の線路のいずれかが断線しているか否かを判定する」のに対し、引用発明では、「抵抗測定部150により測定された抵抗値と、所定の判定閾値(オープン判定用閾値)とを比較して、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定」しており、「配線4および配線7のいずれか一方が断線」する「片側断線」は、インダクタンス値により検出している点。 (2)相違点についての判断 事案に鑑み、上記相違点4を検討する。 引用発明は、直流抵抗値による導通検査では、第1の配線および第2の配線を有する多重配線パターンの場合、いずれか一方の配線が断線していることを検出できないおそれがある、という課題(上記第4 1.(1)アないしウ)のもと、配線長の変化に対する感度は、一般に、直流抵抗よりもインダクタンスの方が高い(上記第4 1.(1)ケ)という認識に基づいてなされたものであり、「抵抗測定部150により測定された抵抗値と、所定の判定閾値(オープン判定用閾値)とを比較して、多重配線パターンを構成する配線が全て断線しているか否かを判定し」、「抵抗値がオープン判定用閾値よりも小さければ、ステップS14に進んでインダクタンス値による導通検査を行い」、「インダクタンス値と導通判定用閾値との比較」により、「配線4および配線7のいずれか一方が断線」する「片側断線を検出する」ものである。 すなわち、引用発明では、直流抵抗よりもインダクタンスの方が配線長の変化に対する感度が高いから、高感度な検出が必要となる、複数の線路のいずれかが断線している片側断線は、直流抵抗値ではなくインダクタンス値により検出する構成を採用しているのであって、その構成に代えて、インダクタンスよりも配線長の変化に対する感度が低いとされる直流抵抗値により片側断線をも検出する構成を採用しようとする動機づけを見出すことはできない。 また、原査定において、周知技術を示す文献として引用された上記引用文献2も、上記相違点4に関連する技術事項を記載するものではない。 したがって、上記相違点1ないし3について判断するまでもなく、本願発明1は、当業者であっても、引用文献1-2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 2.本願発明2-6について 本願発明2-6は本願発明1を減縮した発明であり、本願発明2-6は、本願発明1の上記相違点4に係る構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用文献1-2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第6 原査定について 以上のとおりであって、原査定時の請求項1-4に係る発明に対応する本願発明1-2は、当業者であっても、拒絶査定において引用された引用文献1-2に基づいて容易に発明できたものとはいえない。したがって、原査定の理由を維持することはできない。 第7 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-09-04 |
出願番号 | 特願2013-183768(P2013-183768) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G01R)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小川 浩史 |
特許庁審判長 |
中塚 直樹 |
特許庁審判官 |
中村 説志 小林 紀史 |
発明の名称 | 配線回路基板の導通検査方法および配線回路基板の製造方法 |
代理人 | 福島 祥人 |