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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) A63F
管理番号 1343590
審判番号 不服2017-14689  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-10-03 
確定日 2018-08-23 
事件の表示 特願2013-193441「ゲームシステム、それに用いられる制御方法及びコンピュータプログラム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月30日出願公開、特開2015- 58139〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1 手続の経緯
本件出願は、平成25年9月18日の出願であって、平成28年4月22日、同年12月22日付けで手続補正がされ、平成29年6月26日付けで拒絶の査定(以下「原査定」という。)がされ、同年10月3日に拒絶査定に対する審判の請求がされると同時に手続補正がされたものである。

2 本願発明
本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成29年10月3日付けで補正された特許請求の範囲、明細書、及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1に記載された事項によって特定されるべきものであり、その記載は次のとおりである。
「各プレイヤにゲームを提供するゲームシステムであって、
前記ゲームをそれぞれ提供する複数のゲーム機と、
前記複数のゲーム機にネットワークを介して接続されるサーバ装置と、
前記ゲームで使用されるゲーム要素に関連する関連情報が前記複数のゲーム機のうち二以上のゲーム機を対象に含むように自己とは別の情報伝達媒体を通じて各プレイヤに提供される提供時期の情報を取得する時期情報取得手段と、
前記時期情報取得手段によって取得された前記提供時期の情報に基づいて、前記ゲーム要素の使用期間を当該使用期間の一致により当該使用期間において前記二以上のゲーム機が前記ゲーム要素を使用する前記ゲームを共通に提供するように制御する期間制御手段と、
を備える、ことを特徴とするゲームシステム。」

3 刊行物に記載された事項

(1)原査定に引用した特開2001-9162号公報(以下「刊行物1」という。)には、以下の事項が記載されている。(下線は、当審で付与した。以下同じ。)

ア 「【0017】本発明によれば、プレーヤがゲームプレイにおいて所与の条件を満たした場合には、時間条件が未だ満たされていないタイムリリース候補項目が、先行リリースされるようになる。従って、プレーヤは、タイムリリース候補項目を先行リリースさせたいがために、ゲームに熱中するようになり、ゲームの面白さを効果的に高めることができる。
【0018】また本発明に係るゲームシステム、情報記憶媒体及びプログラムは、選択項目が不確定的に選択されるモードの選択、プレーヤのゲーム成果、及びプレーヤが支払った代価の少なくとも1つに応じて、前記所与の条件が満たされることを特徴とする。このように、タイムリリース候補項目を先行リリースさせる条件としては、種々様々なものを考えることができる。」

イ 「【0029】なお本発明(本実施形態)の処理を実現するための情報は、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部174を介して情報記憶媒体150に配信するようにしてもよい。このようなホスト装置(サーバー)の情報記憶媒体の使用も本発明の範囲内に含まれる。」

ウ 「【0039】リリース部116は、候補項目を、第1のモードや第2のモードの候補項目の中にリリースするための処理を行う。
【0040】より具体的には、時間計測部114での計測結果に基づいて、所与の時間条件が満たされた否か(所与の時間が経過したか否か、或いは所与の時期に達したか否か等)を判断する。そして、上記時間条件が満たされると、タイムリリース候補項目(タイムリリースキャラクタ)がリリースされ、プレーヤが選択できるようになる。このように、候補項目を順次タイムリリースして出現させることで、プレーヤがゲームに飽きるのを防止でき、長期間に渡ってゲームの面白さや商品力を維持できるようになる。」

エ 「【0105】図12(C)に、ホスト装置1300と、このホスト装置1300と通信回線(LANのような小規模ネットワークや、インターネットのような広域ネットワーク)1302を介して接続される端末1304-1?1304-nとを含むゲームシステムに本実施形態を適用した場合の例を示す。この場合、上記格納情報は、例えばホスト装置1300が制御可能な磁気ディスク装置、磁気テープ装置、半導体メモリ等の情報記憶媒体1306に格納されている。端末1304-1?1304-nが、CPU、画像生成IC、音処理ICを有し、スタンドアロンでゲーム画像、ゲーム音を生成できるものである場合には、ホスト装置1300からは、ゲーム画像、ゲーム音を生成するためのゲームプログラム等が端末1304-1?1304-nに配送される。一方、スタンドアロンで生成できない場合には、ホスト装置1300がゲーム画像、ゲーム音を生成し、これを端末1304-1?1304-nに伝送し端末において出力することになる。」

オ 「【0107】また通信回線に接続する端末は、家庭用ゲームシステムであってもよいし業務用ゲームシステムであってもよい。そして、業務用ゲームシステムを通信回線に接続する場合には、業務用ゲームシステムとの間で情報のやり取りが可能であると共に家庭用ゲームシステムとの間でも情報のやり取りが可能な携帯型情報記憶装置(メモリーカード、携帯型ゲーム機)を用いることが望ましい。」

前記の記載を総合すると、刊行物1には、次の発明(以下「刊行物1発明」という。)が開示されていると認められる。

「ホスト装置1300と、このホスト装置1300とネットワークを介して接続される端末1304-1?1304-nとを含むゲームシステムであり、端末は、家庭用ゲームシステムであってもよいし業務用ゲームシステムであってもよく、処理を実現するための情報は、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部174を介して情報記憶媒体150に配信され、リリース部116は、候補項目を、リリースするための処理を行い、より具体的には、時間計測部114での計測結果に基づいて、所与の時間条件が満たされた否かを判断し、上記時間条件が満たされると、候補項目がリリースされるゲームシステム。」

(2)原査定に引用された特開2003-91476号公報(以下「刊行物2」という。)には、以下の事項が記載されている。

ア 「【0005】一方、ユーザ端末毎に異なる管理下で、統一した管理を行わなければならない部分も存在する。例えば、新たに発表される楽曲などに係るコンテンツデータに関しては、解禁日と呼ばれる公開日時が設定され、この解禁日以前の日時にはその楽曲は一切公開されないようにし、解禁日以降にその楽曲がメディアを問わず、同時に公開されるようにしている。
【0006】この解禁日に合わせて、コンテンツ配信システムにおけるコンテンツデータの日時も管理されている。この場合、解禁日の日時と同時に、一斉に、コンテンツデータやそのダウンロードを可能とするWeb用ページ及びモバイル用ページなどを顧客ユーザ側に公開するようにしている。」

イ 「【0008】また、解禁日と呼ばれる日時は、例えば、テレビやラジオなどの他のメディアと連動して設定されており、夜中であることも多い。したがって、一度に複数の種類のユーザ端末に同時にコンテンツデータを公開することは、非常に労力を要する作業であり、情報の公開が遅れてしまうこともある。
【0009】上記課題を解決するため、本発明は、手作業による入力ミスをなくし、労力の削減を図り、複数の種類のユーザ端末を対象とした複数の配信サービスにおいて、コンテンツデータの配信やコンテンツデータの配信に係る情報の作成及び公開などを、コンピュータによって統一して管理することが可能となるコンテンツ配信システムにおけるコンテンツ管理装置及びコンテンツ管理方法を提供することを目的とする。」

ウ 「【0016】コンテンツデータを受信する顧客ユーザ側20は、PC201a、PDAなどの携帯通信端末201b、携帯電話機201cなどのユーザ端末201によって、インターネット301や電話網302などのネットワーク30に接続できるようになっている。なお、携帯電話機201cからネットワーク30に接続する場合には、携帯電話網303及びGW(ゲートウェイ:Gate Way)304によって、ネットワーク30に接続するようになっている。」

エ 「【0022】配信サーバ110は、ネットワーク30を介して、顧客ユーザ側20にコンテンツデータを配信する手段である。ストリーミングサーバ110aは、ストリーミング用アプリケーションを搭載したPC201aや携帯通信端末201bにコンテンツデータをストリーミングとして配信する手段である。Webサーバ110bは、Webブラウザを搭載したPC201aや携帯通信端末201bにコンテンツデータを配信する手段である。モバイル用サーバ110cは、デジタルデータの送受信が可能な高機能の携帯電話機201cにコンテンツデータを配信する手段である。」

前記の記載を総合すると、刊行物2には、次の発明(以下「刊行物2発明」という。)が開示されていると認められる。

「コンテンツデータに関しては、解禁日と呼ばれる公開日時が設定され、解禁日と呼ばれる日時は、テレビやラジオなどの他のメディアと連動して設定されている、複数の種類のユーザ端末を対象とした複数の配信サービスであり、コンテンツデータを受信する顧客ユーザ側20はユーザ端末201によって、ネットワーク30に接続でき、配信サーバ110は、ネットワーク30を介して、顧客ユーザ側20にコンテンツデータを配信するコンテンツ配信システム。」

4 対比

本願発明と刊行物1発明とを対比する。

(1)後者の「ホスト装置」は、前者の「サーバ装置」に相当し、以下同様に、「端末」は「ゲーム機」に、「候補項目」は「ゲーム要素」に、「リリース部116」は「期間制御手段」に相当する。

(2)後者の「端末1304-1?1304-n」は、n個の端末それぞれにプレイヤがいると解されるから、後者の「ゲームシステム」は、前者の「各プレイヤにゲームを提供するゲームシステム」であるといえる。

(3)後者の「端末1304-1?1304-n」は、n個あるから、前者の「複数のゲーム機」及び「複数のゲーム機のうち二以上のゲーム機」に相当する。

(4)後者は、「所与の時間条件が満たされた否かを判断し、上記時間条件が満たされると、候補項目(本願発明の「ゲーム要素」に相当。)がリリースされる」から、後者の「所与の時間条件」は、前者の「提供時期の情報」及び「ゲーム要素に関連する関連情報」に相当する。

(5)後者において、「所与の時間条件」(本願発明の「ゲーム要素に関連する関連情報」に相当する。)が、「端末1304-1?1304-n」(本願発明の「複数のゲーム機のうち二以上のゲーム機」に相当する。)を対象としていることは、明らかであるから、後者は、前者の「前記ゲームで使用されるゲーム要素に関連する関連情報が前記複数のゲーム機のうち二以上のゲーム機を対象に含む」ことを備えているといえる。

(6)後者の「所与の時間条件」は、「処理を実現するための情報」の一部であると解され、後者は「処理を実現するための情報」を「通信部174を介して情報記憶媒体150に配信」するものであるので、「通信部174」は「所与の時間条件」(本願発明の「提供時期の情報」に相当。)を取得するといえる。
そして、前者の「時期情報取得手段」は「提供時期の情報を取得する」ものである。してみると、前者の「時期情報取得手段」と後者の「通信部174」の両者は、「提供時期の情報」(「所与の時間条件」)を取得するものであるから、後者の「通信部174」は前者の「時期情報取得手段」に相当する。

(7)後者は、「候補項目(本願発明の「ゲーム要素」に相当。)」を、リリースするものであり、リリースの後、一定の期間、候補項目に関する情報を提供していることは明らかであるから、後者は、前者の「(ゲーム要素の)使用期間」を実質的に備えているといえる。

(8)後者において、「時間条件が満たされると、候補項目を、リリース」すると「候補項目」の使用期間が始まり、「リリース」は「端末1304-1?1304-n」の各々について「時間条件が満たされると」同時になされるから、n個の「端末1304-1?1304-n」(前者の「複数のゲーム機のうち二以上のゲーム機」に相当。)それぞれの「候補項目」(前者の「ゲーム要素」に相当。)の使用期間は、一致しており、「端末1304-1?1304-n」は「候補項目」(前者の「ゲーム要素」に相当。)を使用するゲームを共通に提供されるといえる。
よって、後者は前者の「ゲーム要素の使用期間を当該使用期間の一致により当該使用期間において前記二以上のゲーム機が前記ゲーム要素を使用する前記ゲームを共通に提供する」ことを備えている。

以上のことより、両者は、

〈一致点〉
「各プレイヤにゲームを提供するゲームシステムであって、
前記ゲームをそれぞれ提供する複数のゲーム機と、
前記複数のゲーム機にネットワークを介して接続されるサーバ装置と、
前記ゲームで使用されるゲーム要素に関連する関連情報が前記複数のゲーム機のうち二以上のゲーム機を対象に含むように提供時期の情報を取得する時期情報取得手段と、
前記時期情報取得手段によって取得された前記提供時期の情報に基づいて、前記ゲーム要素の使用期間を当該使用期間の一致により当該使用期間において前記二以上のゲーム機が前記ゲーム要素を使用する前記ゲームを共通に提供するように制御する期間制御手段と、
を備える、ことを特徴とするゲームシステム。」

である点で一致し、以下の点で相違している。

<相違点>
本願発明の「提供時期の情報」が「自己とは別の情報伝達媒体を通じて各プレイヤに提供される」ことが、刊行物1発明には備えられていない点。

5 判断

相違点について検討する。

(1)相違点に係る本願発明の「自己とは別の情報伝達媒体を通じて各プレイヤに提供される提供時期の情報」の「自己」について検討する。
本願発明(本願請求項1)を引用する本願請求項3は、「自己の位置を特定する自己位置特定手段を更に備え、
前記提供時期は、位置に応じて設定され、
前記時期情報取得手段は、前記位置特定手段によって特定された前記自己の位置に基づいて、当該自己の位置に対応する前記提供時期の情報を取得する、請求項1又は2に記載のゲームシステム。」というものであり、本願明細書には「本発明は上述の形態に限定されず、適宜の形態にて実施することができる。上述の形態では、センターサーバ2が地域(位置)毎の提供日データPDを各ゲーム機GMに提供している。しかし、本発明は、このような形態に限定されない。例えば、各ゲーム機GMがセンターサーバ2に地域毎の提供日データPDを取りに行ってもよい。また、センターサーバ2側が各ゲーム機の地域を特定する形態にも限定されない。例えば、各ゲーム機GMが自己の位置を特定し、その特定した自己の位置に基づいて地域に応じた提供日データPDを取得してもよい。或いは、各ゲーム機GMは、センターサーバ2から提供日データPDの全部を取得し、取得後に各ゲーム機GMが自己の位置に対応する提供日の情報を特定してもよい。また、各ゲーム機GMは、例えば、いわゆるGPS(Global Positioning System)情報に基づいて自己の位置を特定してよい。したがって、ゲーム機GMには、いわゆるGPS機能が設けられていてよい。この場合、ゲーム機GMの制御ユニット30が本発明の自己位置特定手段として機能してよい。」(段落【0057】)と説明されているから、前記「自己」とは、本願発明の「ゲーム機」であるといえる。

(2)刊行物2発明の「テレビやラジオなどの他のメディア」は、「メディア」であるから「情報伝達媒体」といえ、「ネットワーク30を介して、・・・コンテンツデータを配信する」「コンテンツ配信システム」(本願発明の「自己」に相当する。)とは別の媒体であることは明らかであるから、相違点に係る本願発明の「自己とは別の情報伝達媒体」に相当する。
刊行物2発明の「解禁日と呼ばれる日時」は、時期に関する情報といえるから、本願発明の「提供時期の情報」に相当し、刊行物2発明の「解禁日と呼ばれる日時は、テレビやラジオなどの他のメディアと連動して設定されている」ことは、解禁日と呼ばれる日時は、テレビやラジオなどの他のメディアにより「コンテンツ配信システム」の各利用者に知らされる(提供される)ことを前提としていると解される。
よって、刊行物2発明は相違点に係る本願発明の「自己とは別の情報伝達媒体を通じて各プレイヤに提供される提供時期の情報」に相当する構成を備えており、これを刊行物1発明の「所与の時間条件」(本願発明の「提供時期の情報」に相当。)に付加することは、ゲームの情報をテレビやラジオなどのメディアで提供することが一般的であることに鑑みれば、当業者にとって格別困難なことではなく、また、その結果として、本願発明において格別の作用効果が生じるものでもない。
また、本願発明1の発明特定事項全体によって奏される作用効果も、刊行物1発明、刊行物2発明から、当業者が予測しうる程度のものである。
したがって、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

6 むすび
以上のとおり、本願発明は、刊行物1発明、刊行物2発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

したがって、本願は、他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
 
審理終結日 2018-06-19 
結審通知日 2018-06-26 
審決日 2018-07-12 
出願番号 特願2013-193441(P2013-193441)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (A63F)
P 1 8・ 113- WZ (A63F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前地 純一郎柴田 和雄  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 森次 顕
畑井 順一
発明の名称 ゲームシステム、それに用いられる制御方法及びコンピュータプログラム  
代理人 山本 晃司  

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