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審決分類 審判 査定不服 特174条1項 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A63F
審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 A63F
管理番号 1343638
審判番号 不服2017-12203  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-16 
確定日 2018-09-25 
事件の表示 特願2013-171450「制御装置、制御方法、プログラム、及びゲームシステム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 3月 2日出願公開、特開2015- 39486、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は平成25年8月21日を出願日とする特許出願であって、平成28年9月12日付けで拒絶理由が通知され、同年11月17日付けで意見書の提出と手続補正がされ、同年12月12日付けで拒絶理由が通知され、平成29年2月16日付けで意見書の提出と手続補正がされ、平成28年12月12日付けで通知した拒絶理由によって平成29年5月17日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)(送達日:同年5月23日)がされ、これに対して、同年8月16日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正がされ、当審において平成30年3月6日付けで拒絶理由が通知され、同年5月9日付けで意見書の提出と手続補正がされたものである。

第2 原査定の概要
原査定に係る拒絶理由の概要は、次のとおりである。

1 原査定時(平成29年2月16日付け手続補正書の特許請求の範囲)の請求項1?11に係る各発明は、下記の引用文献1に記載された発明及び下記の引用文献2、3それぞれに記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

<引用文献等一覧>

1.特開2002-263369号公報
2.特開2013-152686号公報
3.特開2004-130119号公報

第3 当審の拒絶理由通知
当審で平成30年3月6日付けで通知した拒絶理由は以下のとおりである。

理由1 本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない。

請求項1ないし10に対して

1 明細書には、「複数のプレイヤが操作するキャラクタ(プレイヤキャラクタ)が一又は複数の敵キャラクタに対して攻撃を行うバトル(戦闘)等の対戦イベントが繰り広げられるものが知られている。この場合、各プレイヤは、特定のグループの構成員となり、敵キャラクタを倒すことにより、プレイヤ個々、及び、それらのプレイヤが属するグループに、ゲームで使用可能なポイントやアイテム等の種々の報酬が付与され得る。・・・ 」(段落【0004】、以下「従来技術」という。)
明細書には、本願発明の実施例として「グループAに所属しているプレイヤ(プレイヤキャラクタCa)がグループAに対応付けられている敵キャラクタAを討伐した場合、宝箱Aに格納されている報酬を獲得可能となる。」(段落【0046】)と説明されている。
前記従来技術と比較すると、従来は、複数のプレイヤキャラクタがバトルしていたものを、本願発明では、単体のプレイヤキャラクタのみがバトルするものにしたということなのか否か不明である。

2 段落【0054】記載の「プレイヤキャラクタの状態(体力、経験値、所有アイテムの数等)、・・・プレイヤキャラクタが保有するアイテム(アイテムの能力、個数等)」、段落【0057】記載の「プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)による敵キャラクタの討伐数、プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)が討伐した敵キャラクタの状態、及び、プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)の状態」は、単体のプレイヤの討伐数や状態等を対象としたものか、グループに属する複数のプレイヤの討伐数や状態等を総計したものを対象としたものか否か不明である。
また、段落【0054】記載の「プレイヤキャラクタ」と段落【0057】記載の「プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)」の表記の違いに技術的意味があるのか不明である。

3 「図1に示すサーバ装置100の演算処理部101は、所定の条件として、例えば、ゲームの経過時間、プレイヤによる敵キャラクタの討伐数、ゲームの進捗状況(イベント、ダンジョン又はクエストのクリア数等)、所定のイベントの種類(選択されたイベントのレベル、回数等)、宝箱の種類、プレイヤキャラクタの状態(体力、経験値、所有アイテムの数等)、及び、プレイヤキャラクタが保有するアイテム(アイテムの能力、個数等)の少なくとも何れか1つに基づいて、メダルを宝箱のそれぞれに割り当てる。」(段落【0054】)の「?に基づいて、メダルを宝箱のそれぞれに割り当てる」の具体的内容が不明である。(それぞれの宝箱に入れるメダルの数をいうのか、メダルが入れられる宝箱の選別をいうのか、他の意味があるのか。)

4 段落【0056】?【0058】には「総取り抽選」は「グループAに所属するプレイヤ(プレイヤキャラクタCa)」に対するものとして説明されているが、単体のプレイヤキャラクタCaのみに、メダルを提供する確率を決定し、メダルの総取り抽選に当選したか否かを判定し、グループAに属する他プレイヤキャラクタは総取り抽選の対象ではないのか否か、不明である。

理由2 本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。

請求項:1、8、9、10に対して
「報酬の提供条件を最先で満たした1のプレイヤ」との発明特定事項は、明細書の発明の詳細な説明又は図面には記載されておらず、同明細書の発明の詳細な説明又は図面から自明の事項ともいえない。

理由3 本件出願は、明細書、特許請求の範囲及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

請求項:1、8、9、10に対して

1 「少なくとも1つの報酬」の意味が不明である。明細書記載の「宝箱Aにメダルが少なくとも1つ入っている」(段落【0055】)ことを意味しているのか、複数ある報酬の1つという意味なのか、他の意味があるのか不明である。

2 「ゲームにおける前記プレイヤと第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果」とは、「プレイヤ」単体で対戦することを意味しているのか不明であり、単体で対戦する場合、当該プレイヤが所属するグループは、対戦についてどのような意味をもつのか不明である。

3 「報酬の提供条件を最先で満た」すことについて、「最先」とはどのような意味なのか不明である。

4 「前記ゲームにおける前記プレイヤと第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果により前記報酬の提供条件を満たすか否かを判定」と「所定の条件に基づいて、前記報酬ボックスに割り当てられた前記報酬を前記プレイヤに提供する確率」の、「報酬の提供条件を満たすか否か」と「報酬を前記プレイヤに提供する確率」の関係が不明であり、報酬を提供する条件が理解できない。

5 「報酬ボックスに一定の量の前記報酬が割り当てられた際における所定の条件に基づいて、前記報酬ボックスに割り当てられた前記報酬を前記プレイヤに提供する確率を決定する」の「割り当てられた際」と「所定の条件」の関係が不明である。

6 「報酬の提供条件を最先で満たした1のプレイヤ」のみに「確率を決定する」するのか否か不明である。

請求項2に対して
「少なくとも1つのグループの何れか1つ」の文意が不明である。本請求項が引用する請求項1は「複数のグループ」と特定されているので、「複数のグループの何れか1つ」の意味か。

請求項5に対して
「プレイヤに対応した第2のゲームキャラクタ」の「対応」とはどういう意味なのか不明である。

請求項5、6に対して
「プレイヤ」とは、単体のものを指すのか、グループに属する全プレイヤのことを指すのか不明である。

理由4 平成29年2月16日付けでした手続補正は、下記の点で願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものでないから、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない。

請求項1、8、9、10に対して
「報酬の提供条件を最先で満たした1のプレイヤ」との発明特定事項は、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面には記載されておらず、同明細書、特許請求の範囲又は図面から自明の事項ともいえない。

第4 本願の発明
本願の請求項1ないし10に係る発明(以下それぞれ「本願発明1」ないし「本願発明10」という。)は、平成30年5月9日付けの手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし10に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
複数のプレイヤが参加可能なゲームに関連する情報を記憶する情報記憶部に、前記ゲームに関連する情報の一部として、前記複数のプレイヤが所属する複数のグループを特定する情報、報酬の提供に係る必要条件、報酬、及び、前記複数のグループに各々対応する複数の報酬ボックスに係る情報を記憶させ、
前記ゲームに関する演算を実行し、且つ、前記ゲームの画像を前記プレイヤが操作する端末装置に表示させる制御部により、少なくとも1つの前記報酬ボックスに対して前記報酬を割り当て、前記ゲームにおける各プレイヤ単体と第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果により前記必要条件を満たすか否かを判定した結果に基づいて、前記複数の報酬ボックスのうち1つの報酬ボックスに割り当てられた前記報酬の全部を該報酬ボックスに対応付けられたグループのプレイヤのうち、1のプレイヤのみに提供する画面を前記端末装置に表示させ、
前記制御部は、前記必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定する制御方法。
【請求項2】
前記プレイヤの各々は、前記複数のグループの何れか1つに所属しており、前記グループの各々は、前記ゲームにおける少なくとも1つの第1のゲームキャラクタと、前記報酬ボックスとに対応付けられている、請求項1に記載の制御方法。
【請求項3】
前記プレイヤの所属するグループに対応付けられた前記報酬ボックスに係る状況と、他のグループに対応付けられた報酬ボックスに係る状況を前記端末装置に表示させる、請求項1又は2に記載の制御方法。
【請求項4】
前記前記プレイヤの所属するグループに対応付けられた前記報酬ボックスの表示態様は、他のグループに対応付けられた報酬ボックスの表示態様と相違する、請求項3に記載の制御方法。
【請求項5】
前記制御部は、前記報酬の割り当てを、前記ゲームの経過時間、各プレイヤ単体による前記第1のゲームキャラクタの討伐数、前記ゲームの進捗状況、前記ゲームにおけるイベントの種類、前記報酬ボックスの種類、前記プレイヤに対応したプレイヤキャラクタの状態、及び、前記プレイヤキャラクタが保有するアイテムの少なくとも何れか1つに基づいて制御する、請求項1?4の何れか一項に記載の制御方法。
【請求項6】
前記所定の条件は、各プレイヤ単体による前記第1のゲームキャラクタの討伐数、各プレイヤ単体が討伐した前記第1のゲームキャラクタの状態、及び、各プレイヤに対応したプレイヤキャラクタの状態の少なくとも何れか1つである、請求項1?5の何れか一項に記載の制御方法。
【請求項7】
前記制御部は、前記報酬を前記プレイヤに提供した提供履歴を前記端末装置に表示させる、請求項1?6の何れか1項に記載の制御方法。
【請求項8】
複数のプレイヤが参加可能なゲームに関連する情報を記憶し、且つ、前記ゲームに関連する情報の一部として、前記複数のプレイヤが所属する複数のグループを特定する情報、報酬の提供に係る必要条件、報酬、及び、前記複数のグループに各々対応する複数の報酬ボックスに係る情報を記憶する情報記憶部にアクセス可能なコンピュータに、
前記ゲームに関する演算を実行し、且つ、前記ゲームの画像を前記プレイヤが操作する端末装置に表示させるステップと、
少なくとも1つの前記報酬ボックスに対して前記報酬を割り当て、前記ゲームにおける各プレイヤ単体と第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果により前記必要条件を満たすか否かを判定するステップと、
前記判定するステップにおける判定の結果に基づいて、前記複数の報酬ボックスのうち1つの報酬ボックスに割り当てられた前記報酬の全部を該報酬ボックスに対応付けられたグループのプレイヤのうち、1のプレイヤのみに提供する画面を前記端末装置に表示させるステップと、
前記必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定するステップと、を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
複数のプレイヤが参加可能なゲームに関連する情報を記憶する情報記憶部と、
前記ゲームに関する演算を実行し、且つ、前記ゲームの画像を前記プレイヤが操作する端末装置に表示させる制御部と、を備え、
前記情報記憶部は、前記ゲームに関連する情報の一部として、前記複数のプレイヤが所属する複数のグループを特定する情報、報酬の提供に係る必要条件、報酬、及び、前記複数のグループに各々対応する複数の報酬ボックスに係る情報を有しており、
前記制御部は、少なくとも1つの前記報酬ボックスに対して前記報酬を割り当て、前記ゲームにおける各プレイヤ単体と第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果により前記必要条件を満たすか否かを判定した結果に基づいて、前記複数の報酬ボックスのうち1つの報酬ボックスに割り当てられた前記報酬の全部を該報酬ボックスに対応付けられたグループのプレイヤのうち、1のプレイヤのみに提供する画面を前記端末装置に表示させ、
前記制御部は、前記必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定する制御装置。
【請求項10】
複数のプレイヤが参加可能なゲームに関連する情報を記憶する情報記憶部と、
前記ゲームに関する演算を実行し、且つ、前記ゲームの画像を前記プレイヤが操作する端末装置に表示させる制御部と、を備え、
前記情報記憶部は、前記ゲームに関連する情報の一部として、前記複数のプレイヤが所属する複数のグループを特定する情報、報酬の提供に係る必要条件、報酬、及び、前記複数のグループに各々対応する複数の報酬ボックスに係る情報を有しており、
前記制御部は、少なくとも1つの前記報酬ボックスに対して前記報酬を割り当て、前記ゲームにおける各プレイヤ単体と第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果により前記必要条件を満たすか否かを判定した結果に基づいて、前記複数の報酬ボックスのうち1つの報酬ボックスに割り当てられた前記報酬の全部を該報酬ボックスに対応付けられたグループのプレイヤのうち、1のプレイヤのみに提供する画面を前記端末装置に表示させる制御装置と、
前記端末装置と、を含み、
前記制御部は、前記必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定するゲームシステム。」

第5 引用文献、引用発明等

1 引用文献1について

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献1(特開2002-263369号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。(以下の下線は、いずれも審決で付した。引用文献2以下についても同様である。)

(1)「【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付の図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係るビデオゲーム装置の全体構成を示すブロック図である。ビデオゲーム装置1は、一例として、ビデオゲーム装置1を制御する制御装置2、ならびに制御装置2に接続された入力装置(例えば、キーパッド)3および出力装置(例えば、テレビジョンセット)6を備えている。ゲーム装置1は、ゲームの途中経過データや環境設定データなどのゲームデータを保存するメモリカード5を更に備えている。」

(2)「【0027】主制御部11は、ROMに格納されている基本ソフトウェアやCD-ROMドライブ16によってCD-ROM4から読み出されてRAM12に格納されるゲームソフトウェアに基づいて制御装置2の動作を制御する。例えば、主制御部11は、CD-ROM4からグラフィックデータを読み出してグラフィック処理部15に転送し、グラフィック処理部15に画像の生成を指示する。この指示に応答して、グラフィック処理部15は、グラフィックデータを利用してビデオ信号を生成する。このビデオ信号は、出力装置6に送られる。これにより、出力装置6の表示画面上に画像が表示される。」

(3)「【0032】認証が得られると、サービスメニューが表示装置6上に表示される。プレイヤがサービスメニューに表示されたサービス名から「ゲーム」を選択すると、ゲームサーバ群116に含まれる一つのゲームサーバにビデオゲーム装置1が接続される。その後、ビデオゲーム装置1がゲームサーバと通信を行うことにより表示装置6上に仮想世界が表示され、ゲームが開始される。
「【0033】本実施形態では、プレイヤが仮想世界の中でプレイヤキャラクタを動作させることにより進行するビデオゲームが表示装置6の画面61上に表示される。この仮想世界には、自然物、人工物、アイテム、ノンプレイヤキャラクタなど様々なオブジェクトが配置されている。画面61には、プレイヤが操作するキャラクタ(「自キャラクタ」とも呼ばれる)が表示されるほか、ゲームに参加する他のプレイヤが存在する場合には、他のプレイヤが操作するキャラクタ(「他キャラクタ」とも呼ばれる)も表示される。
【0034】本実施形態では、ゲームサーバが各プレイヤキャラクタに関する情報、例えば、名前や、ヒットポイント、マジックポイント、経験値、仮想貨幣の所持額などのステータス情報や、キャラクタの外観を指定する情報や、仮想世界内におけるプレイヤキャラクタの位置を示す位置データを格納している。ここで、経験値はプレイヤキャラクタの成長レベルを上昇させるためのパラメータである。また、仮想貨幣はゲーム内でアイテム等の売買を行うために使用することができる。ゲームサーバは、必要に応じて、ゲームサーバに接続された各ビデオゲーム装置1にそのビデオゲーム装置1を介して操作されるキャラクタや他のビデオゲーム装置1を介して操作されるキャラクタの情報を送信する。例えば、ビデオゲーム装置1は、ゲーム開始時に自キャラクタのステータス情報をゲームサーバから受信し、RAM12に格納する。このステータス情報は、必要に応じて読み出され、画面に表示される。
【0035】以下では、プレイヤP1、P2、P3およびP4が同じゲームサーバに接続されたビデオゲーム装置1a、1b、1cおよび1dをそれぞれ操作している状況を想定する。明確な区別のため、プレイヤP1が操作するビデオゲーム装置1aの構成要素には添字aを付し、プレイヤP2が操作するビデオゲーム装置1bの構成要素には添字bを付し、プレイヤP3が操作するビデオゲーム装置1cの構成要素には添字cを付し、プレイヤP4が操作するビデオゲーム装置1dの構成要素には添字dを付すことにする。また、プレイヤP1、P2、P3およびP4は、それぞれキャラクタC1、C2、C3およびC4を操作しているものとする。
【0036】キャラクタC1?C4は、パーティを組むことにより共同で敵キャラクタと戦闘したりイベントを発生させ、それによって経験値や仮想貨幣を獲得することができる。パーティが獲得した経験値および仮想貨幣は、キャラクタC1?C4に分配される。ビデオゲーム装置1a?1dは、パーティが形成されたときに、所定のアルゴリズムにしたがって経験値および仮想貨幣の分配比率を決定する。決定された分配比率を示すデータは、ビデオゲーム装置1a?1dのRAM12a?12dにそれぞれ格納される。以下では、このデータを「分配比率データ」と呼ぶことにする。」

(4)「【0051】上記のようにして更新された分配比率データは、その後、パーティが経験値や仮想貨幣を獲得したときにキャラクタC1?C4に分配される経験値および仮想貨幣の金額を決定するために使用される。図7は、パーティが経験値および仮想貨幣の少なくとも一方を獲得したときにビデオゲーム装置1a?1dで実行される処理を示すフローチャートである。パーティがゲーム内での戦闘やイベント(例えば、宝箱を開ける、クエストを達成するなど)を通じて経験値や仮想貨幣を獲得すると、ゲームサーバはパーティが獲得する経験値や仮想貨幣の金額を示すデータをビデオゲーム装置1a?1dに送信する。ビデオゲーム装置1aは、パーティが獲得する経験値および仮想貨幣の金額の少なくとも一方を示すデータを受信すると(ステップS302)、受信したデータとRAM12a内の分配比率データとを用いてキャラクタC1?C4が獲得する経験値や仮想貨幣の金額を算出する(ステップS304)。同様に他のビデオゲーム装置1b?1dも、キャラクタC1?C4が獲得する経験値や仮想貨幣の金額を算出する。
【0052】この後、ビデオゲーム装置1a?1dは、算出した獲得経験値や獲得金額を表示装置6a?6d上にそれぞれ表示する(ステップS306)。図8は、キャラクタC1?C4が獲得する経験値および仮想貨幣の金額を表示する画面の一例を示している。経験値および仮想貨幣の金額は、経験値/金額表示ウィンドウ220内に表示される。
【0053】次いで、ビデオゲーム装置1aは、RAM12aに格納されている自キャラクタC1の経験値データおよび所持金データに獲得経験値および獲得金額を加算する(ステップS308)。同様に他のビデオゲーム装置1b?1dも、RAM12b?RAM12dに格納されている自キャラクタC2?C4の経験値データおよび所持金データに獲得経験値および獲得金額をそれぞれ加算する。なお、ステップS306およびS308は順序を逆にしてもよい。」

(5)引用文献1記載の「出力装置6」と同「表示装置6」は同じものと解されるから、用語の統一のために「出力装置6」とする。

(6)引用文献1記載の「ビデオゲーム装置」について、前記「(1)」の段落【0010】、前記「(2)」の段落【0032】ないし【0034】には「ビデオゲーム装置1」、「各ビデオゲーム装置1」と記載され、前記「2」の段落【0035】、【0036】、前記(4)の段落【0051】ないし【0053】には「ビデオゲーム装置1a?1d」、「ビデオゲーム装置1a」、「ビデオゲーム装置1b?1d」と記載されている。
前記「ビデオゲーム装置1」と「各ビデオゲーム装置1」は、複数ある「ビデオゲーム装置」の1つを表したものと解され、前記「ビデオゲーム装置1a?1d」は、個別の「ビデオゲーム装置」を「1a」、「1d」等の記号で区別したものと解されることから、整理のため、前記「ビデオゲーム装置1」と「各ビデオゲーム装置1」は、「ビデオゲーム装置1a?1dの各々」とする。

(7)引用文献1記載の、「パーティがゲーム内での戦闘やイベント(例えば、宝箱を開ける、クエストを達成するなど)を通じて経験値や仮想貨幣を獲得すると、ゲームサーバはパーティが獲得する経験値や仮想貨幣の金額を示すデータをビデオゲーム装置1a?1dに送信」(前記「(4)」の段落【0051】)することは、ゲームサーバがゲームに関する制御をしていることであるから、引用文献1には制御方法の発明が記載されているといえる。

前記の記載事項を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認定できる。

「ビデオゲーム装置1a?1dの各々は、出力装置6を備え、出力装置6の表示画面上に画像が表示され、ビデオゲーム装置1a?1dの各々がゲームサーバと通信を行うことにより表示装置6上に仮想世界が表示され、ゲームが開始され、プレイヤが仮想世界の中でプレイヤキャラクタを動作させることにより進行するビデオゲームが表示装置6の画面61上に表示され、ゲームサーバが各プレイヤキャラクタに関する情報、例えば、名前や、ヒットポイント、マジックポイント、経験値、仮想貨幣の所持額などのステータス情報や、キャラクタの外観を指定する情報や、仮想世界内におけるプレイヤキャラクタの位置を示す位置データを格納し、ゲームサーバは、ゲームサーバに接続されたビデオゲーム装置1a?1d各々に操作されるキャラクタの情報を送信し、プレイヤP1、P2、P3およびP4は、それぞれキャラクタC1、C2、C3およびC4を操作し、キャラクタC1?C4は、パーティを組むことにより共同で敵キャラクタと戦闘したりイベントを発生させ、それによって経験値や仮想貨幣を獲得し、ビデオゲーム装置1a?1dは、パーティが形成されたときに、所定のアルゴリズムにしたがって経験値および仮想貨幣の分配比率を決定し、決定された分配比率を示すデータは、ビデオゲーム装置1a?1dのRAM12a?12dにそれぞれ格納され、パーティがゲーム内での戦闘やイベント(例えば、宝箱を開ける、クエストを達成するなど)を通じて経験値や仮想貨幣を獲得すると、ゲームサーバはパーティが獲得する経験値や仮想貨幣の金額を示すデータをビデオゲーム装置1a?1dに送信し、ビデオゲーム装置1aは、パーティが獲得する経験値および仮想貨幣の金額の少なくとも一方を示すデータを受信すると、受信したデータとRAM12a内の分配比率データとを用いてキャラクタC1?C4が獲得する経験値や仮想貨幣の金額を算出し、同様に他のビデオゲーム装置1b?1dも、キャラクタC1?C4が獲得する経験値や仮想貨幣の金額を算出、ビデオゲーム装置1aは、自キャラクタC1の経験値データおよび所持金データに獲得経験値および獲得金額を加算し、同様に他のビデオゲーム装置1b?1dも、自キャラクタC2?C4の経験値データおよび所持金データに獲得経験値および獲得金額をそれぞれ加算する制御方法。」

2 引用文献2について

原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献2(特開2013-152689号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態にかかるネットワークゲームシステムの構成を示すブロック図である。図示するように、このネットワークゲームシステムは、複数のプレイヤ(プレイヤA、B・・・Z)によって操作される複数のクライアント装置1(クライアント装置1a、1b・・・1z)と、サーバ装置3と、通信ネットワーク2とから構成される。クライアント装置1は、通信ネットワーク2を介してサーバ装置3と接続されている。クライアント装置1a?1zはサーバ装置3に接続し、プレイヤは、クライアント装置1毎に割り当てられたプレイヤキャラクタを操作することで、同じゲームをプレイすることが可能である。なお、本明細書において、クライアント装置1は、プレイヤがゲームをプレイすることが可能なゲーム装置又はコンピュータ装置などを含む概念であり、たとえば、パーソナルコンピュータ、家庭用ゲーム機、業務用ゲーム機、携帯型ゲーム機、携帯電話、スマートフォン、タブレットなどを含むものである。クライアント装置1はサーバ装置3と常時接続されていなくてもよく、必要に応じて、接続が可能としてもよい。
【0026】
また、クライアント装置1で入力部に入力された操作指示情報はサーバ装置3に送信され、ゲームの進行処理はサーバ装置3にて行われる。そして、ゲーム進行の結果としての映像データがサーバ装置3からクライアント装置1に送信され、クライアント装置1の表示装置に表示される。この場合、クライアント装置1にてゲームプログラムを格納したり、或いは、ゲームプログラムが格納された記憶媒体をクライアント装置1にて装着する必要はない。なお、これとは異なり、各クライアント装置1にてゲームプログラムの実行処理を行い、必要に応じて、その実行結果をサーバ装置3に送信することとしてもよい。」

(2)「【0051】
図8(a)では、例えば、プレイヤ81がクライアント装置1を操作することで、ダンジョン82でのゲーム開始要求をすると、プレイヤ81の保有ポイント42のうち、5ポイントが消費されるとする。この場合、ダンジョン82には、3ポイントがダンジョンに仮にプールされることになる。プレイヤ81がダンジョン82のクリアー条件を満たすことができた場合、仮プールされた3ポイントと、他のプレイヤによるプレイの結果として、これまでにダンジョン82にプールされていた5ポイントの合計8ポイントがプレイヤ81の保有ポイントに加算される。また、プレイヤ81がダンジョン82のクリアー条件を満たすことができなかった場合は、図8(b)のように、仮にプールされている3ポイントが、ダンジョン82にプールされることが確定する。」

(3)「【0061】
敵キャラクタレベル65は、ダンジョン内に登場する敵キャラクタの強さ(レベル)を表すものである。ダンジョンレベル63が上がると、敵キャラクタレベル65も高くなる。
クリアー条件66は、ダンジョンをクリアーするための条件である。例えば、プレイヤキャラクタが特定のボスキャラクタとの戦闘に勝利することであったり、特定のアイテムを獲得することであったり、又は、特定の場所に到達することなどが、そのダンジョンをクリアーするための条件として設定される。また、「15分以内に特定のアイテムを獲得する」といったように、クリアー条件に時間制限を設けても良い。」

(4)引用文献2記載の「各クライアント装置1にてゲームプログラムの実行処理を行」うこと(前記「(1)」の段落【0026】)は、各クライアント装置1がゲームに関する制御をしていることであるから、引用文献2には制御方法の技術事項が記載されているといえる。

前記の記載事項を総合すると、引用文献2には、次の技術事項(以下、「技術事項2」という。)が記載されていると認定できる。

「ネットワークゲームシステムは、複数のプレイヤによって操作される複数のクライアント装置1と、サーバ装置3と、通信ネットワーク2とから構成され、プレイヤは、クライアント装置1毎に割り当てられたプレイヤキャラクタを操作することで、同じゲームをプレイし、各クライアント装置1にてゲームプログラムの実行処理を行い、プレイヤ81がクライアント装置1を操作することで、ダンジョン82でのゲーム開始要求をすると、プレイヤ81の保有ポイント42のうち、5ポイントが消費され、ダンジョン82には、3ポイントがダンジョンに仮にプールされ、プレイヤ81がダンジョン82のクリアー条件を満たすことができた場合、仮プールされた3ポイントと、他のプレイヤによるプレイの結果として、これまでにダンジョン82にプールされていた5ポイントの合計8ポイントがプレイヤ81の保有ポイントに加算され、プレイヤ81がダンジョン82のクリアー条件を満たすことができなかった場合は、仮にプールされている3ポイントが、ダンジョン82にプールされ、ダンジョンをクリアーするための条件は、プレイヤキャラクタが特定のボスキャラクタとの戦闘に勝利することである制御方法。」

3 引用文献3について
原査定の拒絶の理由に引用された、引用文献3(特開2004-130119号公報)には、図面と共に次の事項が記載されている。

(1)「【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2は本発明のゲームシステムの構成を概略的に示す外観図である。このゲームシステムは、メダルを投入してゲームをプレイする複数台のゲーム端末1と、それらゲーム端末1を管理する一台の管理装置2と、所定の条件が満たされたときに行われるジャックポット獲得のための特別ゲームに関する情報をプレイヤに知らせる告知手段5を有している。各ゲーム端末1及び管理装置2は有線又は無線の電気通信回線で繋がっており、必要なデータを互いにやり取りする。管理装置2は、複数台のゲーム端末1のうちの一つに内蔵して設置することもできる。また本システムは、ゲームセンター等の一箇所に並べて設置された数台のゲーム端末1を管理装置2に接続してもよいし、広い地域に分散して設置されたより多数のゲーム端末1を管理装置2に接続してあってもよい。ゲーム端末1には、ゲーム内容を表示する表示画面7、プレイヤがゲームの操作を行う操作部8、メダルの投入口9、メダルの払出口10等を有する。ゲーム端末1で行われるゲームの種類は問わないが、ここでは花札ゲームの場合について説明する。プレイヤはメダルをベットして表示画面7上で架空の相手とゲームを行い、ゲーム結果に応じてメダルが払い出される。」

(2)「【0028】
また、管理装置2の制御系には、CPU20と、これに接続された告知手段5、通信制御手段21を有している。CPU20はマイクロプロセッサ及びその動作に必要な各種の周辺チップ、ROM、RAM等のメモリ、その他の周辺部品を組み合わせて構成される。CPU20は、ROMに格納されたプログラムに従って、ジャックポットの管理に必要な種々の演算及び各手段の制御を行う。告知手段5は、ジャックポットを獲得する者を決める特別ゲームに関する情報を、表示画面による表示とスピーカーからのアナウンスによってプレイヤに知らせる。通信制御手段21は、CPU20からの指示に従ってゲーム端末1に対するデータ通信を行う。
【0029】
CPU20の内部には、マイクロプロセッサと特定のソフトウエアとの組み合わせによって、ジャックポット積立て手段3、ジャックポット払い出し時期検出手段4、ジャックポット払い出し先決定手段31、ジャックポット払い出し処理手段22等が構成されている。ジャックポット積立て手段3は、各ゲーム端末1に投入されたメダルの合計枚数を集計し、そのうちの一定割合をジャックポット用に割り当てて一括して積み立てる。ジャックポット払い出し時期検出手段4は、ジャックポットが一定以上積み立てられ、且つ一定台数以上のゲーム端末1がプレイ中であることを条件にジャックポット払い出し可能と判断し、告知手段5と各ゲーム端末1に特別ゲームを開始させるための信号を出力する。そのためにCPU20は、図3に示すように、一定の時間的間隔をおいて現在何台のゲーム端末1がプレイ中であるかチェックし、各ゲーム端末1のスタートボタンが押された時点(図中の▲印)からプレイアウトボタンが押された時点(図中の△印)までをプレイ中とみなし、図の例では5台以上のゲーム端末1がプレイ中となったところでジャックポット払い出し可能と判断することにしている。
【0030】
特別ゲームは、ジャックポット払い出し可能となったときに、ジャックポットを払い出すゲーム端末1を決めるためだけに各ゲーム端末1において行われる特別なゲームであり、通常時のゲームのオッズや賞品とは無関係に行われる。特別ゲームは、例えば所定の役を誰が一番早く達成するか競うゲームであったり、制限時間内にどれだけ得点できるか競うゲームであったり、競馬のゲームで一着を予想するゲームとすることができる。各ゲーム端末で行われる特別ゲームに関する情報は管理装置に随時送信され、管理装置に設けたジャックポット払い出し先決定手段31が、前記情報に基づいてどのゲーム端末1が最も優秀な成績であったかを判断し、ジャックポットを払い出すゲーム端末1を決定する。ジャックポット払い出し処理手段22は、ジャックポット積立て手段3によって積立てたジャックポットを、そのゲーム端末1に払い出す処理を行い、その他のゲーム端末1と告知手段5には特別ゲームの終了を告知するよう処理を行う。ジャックポットは、特別ゲームの成績が最も良かった一台のゲーム端末1にのみ与えても良いが、何台かのゲーム端末1に分けて与えても良い。」

(3)引用文献3記載の、「管理装置2の制御系には、CPU20を有し、CPU20の内部には、マイクロプロセッサと特定のソフトウエアとの組み合わせによって、ジャックポット積立て手段3、ジャックポット払い出し時期検出手段4等が構成され、ジャックポット積立て手段3は、各ゲーム端末1に投入されたメダルの合計枚数を集計し、そのうちの一定割合をジャックポット用に割り当てて一括して積み立て、ジャックポット払い出し時期検出手段4は、ジャックポットが一定以上積み立てられ、且つ一定台数以上のゲーム端末1がプレイ中であることを条件にジャックポット払い出し可能と判断」していることは、管理装置2が、ゲームに関する制御をしていることであるから、引用文献3には制御方法の技術事項が記載されているといえる。

前記の記載事項を総合すると、引用文献3には、次の技術事項(以下、「技術事項3」という。)が記載されていると認定できる。

「ゲームシステムは、メダルを投入してゲームをプレイする複数台のゲーム端末1と、それらゲーム端末1を管理する一台の管理装置2と、所定の条件が満たされたときに行われるジャックポット獲得のための特別ゲームに関する情報をプレイヤに知らせる告知手段5を有し、管理装置2の制御系には、CPU20を有し、CPU20の内部には、マイクロプロセッサと特定のソフトウエアとの組み合わせによって、ジャックポット積立て手段3、ジャックポット払い出し時期検出手段4等が構成され、ジャックポット積立て手段3は、各ゲーム端末1に投入されたメダルの合計枚数を集計し、そのうちの一定割合をジャックポット用に割り当てて一括して積み立て、ジャックポット払い出し時期検出手段4は、ジャックポットが一定以上積み立てられ、且つ一定台数以上のゲーム端末1がプレイ中であることを条件にジャックポット払い出し可能と判断し、告知手段5と各ゲーム端末1に特別ゲームを開始させるための信号を出力し、特別ゲームは、ジャックポット払い出し可能となったときに、ジャックポットを払い出すゲーム端末1を決めるためだけに各ゲーム端末1において行われる特別なゲームであり、通常時のゲームのオッズや賞品とは無関係に行われる制御方法。」

第6 対比・判断

1 本願発明1について

(1)対比
本願発明1と引用発明1を対比する。後者の「ビデオゲーム装置1a?1d」の各々は、前者の「端末装置」に相当し、以下同様に、「ゲームサーバ」は「制御部」に、「画像」は「ゲームの画像」に、「プレイヤP1、P2、P3およびP4」は「複数のプレイヤ」に、「パーティ」は「グループ」に、「敵キャラクタ」は「第1のゲームキャラクタ」に、「戦闘」は「対戦」に、「経験値や仮想貨幣」は「報酬」に、それぞれ相当する。

また、引用発明1の「プレイヤが仮想世界の中でプレイヤキャラクタを動作させることにより進行するビデオゲーム」は、「プレイヤP1、P2、P3およびP4は、それぞれキャラクタC1、C2、C3およびC4を操作」するから、本願発明1の「複数のプレイヤが参加可能なゲーム」に相当する。

また引用発明1は、「ゲームサーバが各プレイヤキャラクタに関する情報、例えば、名前や、ヒットポイント、マジックポイント、経験値、仮想貨幣の所持額などのステータス情報や、キャラクタの外観を指定する情報や、仮想世界内におけるプレイヤキャラクタの位置を示す位置データを格納」するから、前記「ゲームサーバ」(本願発明1の「制御部」に相当。)は、本願発明1の「ゲームに関連する情報を記憶する情報記憶部」を備えるといえる。

また、引用発明1は、「ゲーム内での戦闘やイベント(例えば、宝箱を開ける、クエストを達成するなど)を通じて経験値や仮想貨幣を獲得する」ものであり、前記「宝箱を開ける、クエストを達成する」ことは、「経験値や仮想貨幣」(引用発明1の「報酬」に相当。)の獲得に係る必要条件であり、前記「獲得」は必要条件を満たした結果であるから、引用発明1は(本願発明1の)「ゲームに関連する情報の一部として、・・・報酬の提供に係る必要条件」と、「対戦状況又は対戦結果により前記必要条件を満たすか否かを判定」することを備えているといえ、引用発明1において、パーティ全体に係る情報は、キャラクタC1?C4をそれぞれ操作するビデオゲーム装置1a?1dではなく、ゲームサーバが扱うと解されるので、引用発明1の「経験値や仮想貨幣」の獲得に係る条件である「宝箱を開ける、クエストを達成する」こと(本願発明の1「報酬の提供に係る必要条件」に相当。)は、ゲームサーバに記憶されるといえる。

また、引用発明1の「ビデオゲーム装置1は出力装置6を備え」、「出力装置6の表示画面上に画像が表示され」るから、「ビデオゲーム装置1」は「画像」を表示するものであり、引用発明1は「ビデオゲーム装置1a?1dの各々がゲームサーバと通信を行うことにより表示装置6上に仮想世界が表示され」るので、「ゲームサーバ」は「画像」を「ビデオゲーム装置1a?1dの各々」に表示させるものである。
よって、引用発明1は本願発明1の「ゲームの画像を前記プレイヤが操作する端末装置に表示させる制御部」を備えるといえる。

したがって、両者は、

「複数のプレイヤが参加可能なゲームに関連する情報を記憶する情報記憶部に、前記ゲームに関連する情報の一部として、報酬の提供に係る必要条件、報酬、を記憶させ、
前記ゲームに関する演算を実行し、且つ、前記ゲームの画像を前記プレイヤが操作する端末装置に表示させる制御部により、前記ゲームにおける第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果により前記必要条件を満たすか否かを判定する制御方法。」の点で一致し、以下の点で相違している。

相違点1:本願発明1の「情報記憶部」が「前記複数のプレイヤが所属する複数のグループを特定する情報」を記憶するのに対して、引用発明1は、該情報を有するか否か明らかでない点。

相違点2:「情報記憶部」が、本願発明1では、「複数のグループに各々対応する複数の報酬ボックスに係る情報」を記憶するのに対して、引用発明1はそのようなものではない点。

相違点3:本願発明1の「制御部」が「少なくとも1つの前記報酬ボックスに対して前記報酬を割り当て」るのに対して、引用発明1はそのようなものではない点。

相違点4:本願発明1が「各プレイヤ単体と第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果」により必要条件を満たすか否かを判定するのに対して、引用発明1は「キャラクタC1?C4は、パーティを組むことにより共同で敵キャラクタと戦闘したりイベントを発生させ、それによって経験値や仮想貨幣を獲得」するものであって、「キャラクタC1?C4が組むパーティと第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果」により判定する点。

相違点5:本願発明1が「複数の報酬ボックスのうち1つの報酬ボックスに割り当てられた前記報酬の全部を該報酬ボックスに対応付けられたグループのプレイヤのうち、1のプレイヤのみに提供する画面を前記端末装置に表示させ」るのに対して、引用発明1はそのようなものではない点。

相違点6:本願発明1では「制御部は、前記必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定する」ものであるのに対して、引用発明1はそのようなものではない点。

(2)判断

まず前記相違点6について以下検討する。

ア 技術事項2は「プレイヤ81がダンジョン82のクリアー条件を満たすことができた場合、仮プールされた3ポイントと、他のプレイヤによるプレイの結果として、これまでにダンジョン82にプールされていた5ポイントの合計8ポイントがプレイヤ81の保有ポイントに加算され」るものであり、相違点6に係る本願発明1の発明特定事項である「制御部は、前記必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定する」ものではない。

イ 技術事項3は「各ゲーム端末1に投入されたメダルの合計枚数を集計し、そのうちの一定割合をジャックポット用に割り当てて一括して積み立て、・・・ジャックポットが一定以上積み立てられ、・・・特別ゲームは、ジャックポット払い出し可能となったときに、ジャックポットを払い出すゲーム端末1を決めるためだけに各ゲーム端末1において行われる特別なゲーム」をするものであり、相違点6に係る本願発明1の発明特定事項である「制御部は、前記必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定する」ものではない。

また、前記相違点6に係る本願発明1の発明特定事項が、当業者にとって設計事項であるとする根拠もない。

そして、本願発明1は前記相違点6に係る発明特定事項を備えることによって、「【0006】しかし、かかる従来のソーシャルゲームでは、例えば敵キャラクタを倒したときに付与される、ゲームで使用可能なポイントやアイテム等の量がある程度定まっているため、他のプレイヤとの関係において、逆転要素が少なく、意外性、演出性、及び趣向性に欠けると言わざるを得ず、プレイヤが、そのゲームへ参加又はそのゲームを継続する意欲やゲーム全体の面白味や醍醐味を減退させてしまう一因になるおそれがあった。・・・【0023】本発明によれば、プレイヤに対して、報酬としてのゲームアイテム等を 提供する際に、意外性、演出性、及び趣向性を付加又は向上させることができ、これにより、プレイヤによるゲームへの参加意識や継続意欲を高めることが可能なソーシャルゲームを提供する制御装置、制御方法、プログラム、及びゲームシステムを実現することが可能となる。」という作用効果を奏するものである。

したがって、その他の相違点を検討するまでもなく、本願発明1は、引用発明1及び技術事項2、3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2 本願発明2ないし10について
前記「第4」のとおり、本願発明8ないし10は、末尾がそれぞれ「プログラム」、「制御装置」、「ゲームシステム」である他は、実質的に本願発明1と変わるところはなく、本願発明1と同様に前記相違点6に係る発明特定事項を備えるものであるから、本願発明1についてと同様の理由で、引用発明1及び技術事項2、3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
前記「第4」のとおり、本願発明2ないし7は、それぞれ本願発明1をさらに限定するものであるから、本願発明1についてと同様の理由で、引用発明1及び技術事項2、3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

第7 原査定について
前記「第6」で検討したとおり、本願発明1ないし10は、引用発明1及び技術事項2、3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。
なお、原査定時(平成29年2月16日付け手続補正)の請求項1?11に係る各発明には、前記相違点6に係る発明特定事項は特定されていなかった。

第8 当審の拒絶理由について

1 理由1(特許法第36条第4項第1号)

(1)前記「第3 理由1 請求項1ないし10に対して 1」の「従来は、複数のプレイヤキャラクタがバトルしていたものを、本願発明では、単体のプレイヤキャラクタのみがバトルするものにしたということなのか否か不明である」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け意見書で「審判官殿は、「従来は、複数のプレイヤキャラクタがバトルしていたものを、本願発明では、単体のプレイヤキャラクタのみがバトルするものにしたということなのか否か不明」としています。しかしながら、この点について、例えば「グループAに所属しているプレイヤ(プレイヤキャラクタCa)がグループAに対応付けられている敵キャラクタAを討伐」する旨が記載されており(出願当初明細書の段落〔0046〕)、当該記載から、各プレイヤが、単体で敵キャラクタAを討伐することは当業者にとって自明な事項であるものと思料します。」(2頁30ないし36行)と釈明されたことにより解消した。

(2)前記「第3 理由1 請求項1ないし10に対して 2」の「段落【0054】記載の「プレイヤキャラクタの状態(体力、経験値、所有アイテムの数等)、・・・プレイヤキャラクタが保有するアイテム(アイテムの能力、個数等)」、段落【0057】記載の「プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)による敵キャラクタの討伐数、プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)が討伐した敵キャラクタの状態、及び、プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)の状態」は、単体のプレイヤの討伐数や状態等を対象としたものか、グループに属する複数のプレイヤの討伐数や状態等を総計したものを対象としたものか否か不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け意見書で「審判官殿は、段落〔0054〕の記載に関し、単体のプレイヤの討伐数や状態等を対象としたものかどうかについて不明であるとしています。・・・討伐数等については、グループでの総計ではなく、各プレイヤの討伐数、状態を対象としたものであり、このことは、当業者にとって自明であるものと思料致します。」(2頁38ないし41行)と釈明されたことにより解消した。
前記「第3 理由1 請求項1ないし10に対して 2」の「段落【0054】記載の「プレイヤキャラクタ」と段落【0057】記載の「プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)」の表記の違いに技術的意味があるのか不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け意見書で「また審判官殿は「プレイヤキャラクタ」と「プレイヤ(プレイヤキャラクタCa)」との表記の違いに技術的意味があるか不明と認定しています。この点、表記上の違いは存在せず、いずれもプレイヤキャラクタを意味しており、この点は当業者にとって自明であるものと思料します。」(2頁42ないし45行)と釈明されたことにより解消した。

(3)前記「第3 理由1 請求項1ないし10に対して 3」の「?に基づいて、メダルを宝箱のそれぞれに割り当てる」(明細書段落【0054】)の具体的内容が不明である。(それぞれの宝箱に入れるメダルの数をいうのか、メダルが入れられる宝箱の選別をいうのか、他の意味があるのか。)との拒絶理由は、平成30年5月9日付け意見書で「審判官殿は、段落〔0054〕のメダルの割り当ての記載について不明であるとしています。この点、当該段落には、宝箱の種類毎にメダルの希少度が異なることが例示されており、また宝箱の種類に基づいてメダルを割り当てると記載されているように、宝箱に割り当てるメダルの希少度が変わること等を意味しています。また宝箱に割り当てるメダルの数が変わってもよく、当該事項は当業者にとって自明な事項であると思料します。」(3頁2ないし6行)と釈明されたことにより解消した。

(4)前記「第3 理由1 請求項1ないし10に対して 4」の「段落【0056】?【0058】には「総取り抽選」は「グループAに所属するプレイヤ(プレイヤキャラクタCa)」に対するものとして説明されているが、単体のプレイヤキャラクタCaのみに、メダルを提供する確率を決定し、メダルの総取り抽選に当選したか否かを判定し、グループAに属する他プレイヤキャラクタは総取り抽選の対象ではないのか否か、不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け意見書で「審判官殿は、段落〔0056〕?〔0058〕の記載について、不明であるとしています。この点に関して、まず前提として、本願発明は、段落〔0051〕に記載の通り、各プレイヤが敵キャラクタAを討伐することで、宝箱Aの報酬を総取りできる構成です。当該段落の記載及び図3等から、敵キャラクタAを討伐した際に、討伐したプレイヤキャラクタCaについてメダルを提供する確率を決定し、総取り抽選に当選したかを判定しています。換言すると敵キャラクタAを討伐した各プレイヤについて、確率決定及び当選の判定の処理をしており、当該事項は上記記載から、当業者にも自明であるものと思料します。」(3頁8ないし14行)と釈明されたことにより解消した。

2 理由2(特許法第36条第6項第1号)
前記「第3 理由2 請求項1、8、9、10に対して」の「報酬の提供条件を最先で満たした1のプレイヤ」との発明特定事項は、明細書の発明の詳細な説明又は図面には記載されておらず、同明細書の発明の詳細な説明又は図面から自明の事項ともいえない。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項1、8、9、10から前記「報酬の提供条件を最先で満たした」の発明特定事項が削除されたことにより解消した。

3 理由3(特許法第36条6項2号)

(1)前記「第3 理由3 請求項1、8、9、10に対して 1」の「『少なくとも1つの報酬』の意味が不明である。明細書記載の「宝箱Aにメダルが少なくとも1つ入っている」(段落【0055】)ことを意味しているのか、複数ある報酬の1つという意味なのか、他の意味があるのか不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項1、8、9、10の発明発明事項である「少なくとも1つの前記報酬ボックスに対して前記報酬のうち少なくとも1つの報酬を割り当て」が「少なくとも1つの前記報酬ボックスに対して前記報酬を割り当て」に補正されたことによって解消した。

(2)前記「第3 理由3 請求項1、8、9、10に対して 2」の「「ゲームにおける前記プレイヤと第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果」とは、「プレイヤ」単体で対戦することを意味しているのか不明であり、単体で対戦する場合、当該プレイヤが所属するグループは、対戦についてどのような意味をもつのか不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項1、8、9、10が「前記ゲームにおける各プレイヤ単体と第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果により前記必要条件を満たすか否かを判定」の発明発明事項を特定したことにより解消した。

(3)前記「第3 理由3 請求項1、8、9、10に対して 3」の「『報酬の提供条件を最先で満た』すことについて、『最先』とはどのような意味なのか不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項1、8、9、10から前記「報酬の提供条件を最先で満たした」との発明特定事項が削除されたことにより解消した。

(4)前記「第3 理由3 請求項1、8、9、10に対して 4」の「『前記ゲームにおける前記プレイヤと第1のゲームキャラクタとの対戦状況又は対戦結果により前記報酬の提供条件を満たすか否かを判定』と『所定の条件に基づいて、前記報酬ボックスに割り当てられた前記報酬を前記プレイヤに提供する確率』の、『報酬の提供条件を満たすか否か』と『報酬を前記プレイヤに提供する確率』の関係が不明であり、報酬を提供する条件が理解できない。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項1、8、9、10の発明発明事項の「報酬の提供条件」が「報酬に係る必要条件」に補正されたことによって解消した。

(5)前記「第3 理由3 請求項1、8、9、10に対して 5」の「『報酬ボックスに一定の量の前記報酬が割り当てられた際における所定の条件に基づいて、前記報酬ボックスに割り当てられた前記報酬を前記プレイヤに提供する確率を決定する』の『割り当てられた際』と『所定の条件』の関係が不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項1、8、9、10の発明発明事項の「報酬ボックスに一定の量の前記報酬が割り当てられた際における所定の条件に基づいて、前記報酬ボックスに割り当てられた前記報酬を前記プレイヤに提供する確率を決定する」が「前記制御部は、前記必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定する」に補正されたことによって解消した。

(6)前記「第3 理由3 請求項1、8、9、10に対して 6」の「『報酬の提供条件を最先で満たした1のプレイヤ』のみに『確率を決定する』するのか否か不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項1、8、9、10の発明発明事項から「報酬の提供条件を最先で満たした1のプレイヤ」が削除され、「必要条件を満たしたプレイヤに前記報酬を提供する場合に、前記プレイヤの対戦結果に応じた所定の条件に基づいて、前記報酬を当該プレイヤに提供する確率を決定する」との発明特定事項を特定したことによって解消した。

(7)前記「第3 理由3 請求項2に対して」の「『少なくとも1つのグループの何れか1つ』の文意が不明である。本請求項が引用する請求項1は『複数のグループ』と特定されているので、『複数のグループの何れか1つ』の意味か。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項2の発明発明事項の「少なくとも1つのグループの何れか1つ」が「前記複数のグループの何れか1つ」に補正されたことによって解消した。

(8)前記「第3 理由3 請求項5に対して」の「『プレイヤに対応した第2のゲームキャラクタ』の『対応』とはどういう意味なのか不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項5の発明発明事項の「第2のゲームキャラクタ」が「プレイヤキャラクタ」に補正されたことによって解消した。

(9)前記「第3 理由3 請求項5、6に対して」の「『プレイヤ』とは、単体のものを指すのか、グループに属する全プレイヤのことを指すのか不明である。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項5、6の発明発明事項の「プレイヤによる」が「各プレイヤ単体による」に補正されたことによって解消した。

4 理由4(特許法第17条の2第3項)
前記「第3 理由4 請求項1、8、9、10に対して」の「『報酬の提供条件を最先で満たした1のプレイヤ』との発明特定事項は、出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面には記載されておらず、同明細書、特許請求の範囲又は図面から自明の事項ともいえない。」との拒絶理由は、平成30年5月9日付け手続補正によって、請求項1、8、9、10の発明発明事項の「最先で満たした1のプレイヤ」が「必要条件を満たしたプレイヤ」に補正されたことによって解消した。

5 小括
前記「1」ないし「4」のとおり、当審で平成30年3月6日付けで通知した拒絶理由は全て解消した。

第9 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1ないし10は、引用発明1及び技術事項2、3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また当審の拒絶理由は前記「第8」で検討したとおり、全て解消した。
したがって、原査定および当審の拒絶理由によっては、本願を拒絶することはできない。

また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-09-07 
出願番号 特願2013-171450(P2013-171450)
審決分類 P 1 8・ 121- WY (A63F)
P 1 8・ 55- WY (A63F)
P 1 8・ 537- WY (A63F)
P 1 8・ 536- WY (A63F)
最終処分 成立  
前審関与審査官 彦田 克文  
特許庁審判長 尾崎 淳史
特許庁審判官 畑井 順一
森次 顕
発明の名称 制御装置、制御方法、プログラム、及びゲームシステム  
代理人 杉村 憲司  
代理人 岡野 大和  

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