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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1343690
審判番号 不服2017-5433  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-17 
確定日 2018-08-31 
事件の表示 特願2011-287264「研磨用組成物」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 7月11日出願公開,特開2013-138053〕について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は,平成23年12月28日の出願であって,その手続の経緯は以下のとおりである。
平成28年 2月10日 拒絶理由通知
平成28年 4月13日 意見書提出・手続補正
平成28年 7月12日 拒絶理由通知
平成28年 9月 5日 意見書提出・手続補正
平成29年 1月13日 補正の却下の決定・拒絶査定(以下,「原査定」という。)
平成29年 4月17日 審判請求・手続補正
平成29年 8月23日 上申書提出

第2 補正の却下の決定
[補正却下の決定の結論]
審判請求と同時にされた手続補正(以下,「本件補正」という。)を却下する。
[理由]
1 補正の内容
本件補正により,本件補正前の請求項1は,本件補正後の請求項1へ補正された。
(1) 本件補正前
本件補正前の請求項1の記載は,次のとおりである。
「【請求項1】
金属または層間絶縁膜を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって,末端にスルホン酸基を有するシランカップリング剤を固定化したシリカ及び酸化剤を含有することを特徴とする研磨用組成物。」
(2) 本件補正後
本件補正後の請求項1の記載は,次のとおりである。(当審注.補正箇所に下線を付した。)
「【請求項1】
金属または層間絶縁膜を有する研磨対象物(銅又はパラジウムを含むものを除く)を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって,スルホン酸基が化学的な結合により表面に固定化されているシリカ及び酸化剤を含有することを特徴とする研磨用組成物。」

(3) 本件補正事項
本件補正は,請求項1に記載された「研磨対象物」について,「銅又はパラジウムを含むものを除く」ものに限定する補正(以下,「本件補正事項1」という。)と,請求項1に記載された「シリカ」について,「スルホン酸基が化学的な結合により表面に固定化されている」ものに限定する補正(以下,「本件補正事項2」という。)を含むものである。

2 補正の適否
本件補正事項2は,明瞭でない記載を釈明するものであるから,特許法第17条の2第5項第4号に掲げる事項を目的とするものに該当する。
また,本件補正事項1は,請求項1に記載された発明を特定するために必要な事項である「研磨対象物」を限定するものであり,かつ,本件補正前の請求項1に記載される発明と本件補正後の請求項1に記載される発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題は同一であるから,特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。そこで,本件補正後の請求項1に記載された発明(以下,「本願補正発明」という。)が,特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか否か(特許法第17条の2第6項で準用する同法第126条第7項)につき,更に検討する。
(1) 本願補正発明
本願補正発明は,本件補正後の請求項1に記載された,次のとおりのものと認める。(再掲)
「【請求項1】
金属または層間絶縁膜を有する研磨対象物(銅又はパラジウムを含むものを除く)を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって,スルホン酸基が化学的な結合により表面に固定化されているシリカ及び酸化剤を含有することを特徴とする研磨用組成物。」
(2) 引用文献2について
ア 引用文献2の記載
原査定の拒絶の理由に引用された,特開2011-165759号公報(以下,「引用文献2」という。)には,図面とともに,次の記載がある。(当審注.下線は当審において付加した。以下同じ。)
(ア) 「【技術分野】
【0001】
本発明は,CMP研磨液及びこのCMP研磨液を用いた研磨方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年,半導体集積回路(LSI)の高集積化,高性能化に伴って,新たな微細加工技術が開発されている。化学機械研磨(CMP)法もその一つであり,LSI製造工程,特に多層配線形成工程における層間絶縁膜層の平坦化,金属プラグ形成,埋め込み配線形成において頻繁に利用される技術となっている(例えば,特許文献1参照)。
【0003】
CMPに用いられる金属用の研磨液は,一般に酸化剤及び固体砥粒を有しており,必要に応じて更に酸化金属溶解剤,保護膜形成剤(金属防食剤)が添加される。研磨は,まず,酸化剤によって金属層表面を酸化して酸化層を形成し,その酸化層を固体砥粒によって削り取るのが基本的なメカニズムであると考えられている。
(中略)
【0007】
CMP研磨液としては,基板に形成された窒化チタン又は窒化タンタル等からなる層を研磨対象とするものとして,保護膜形成剤,有機酸を添加した研磨液が知られている(例えば,特許文献2参照)。
【0008】
また,銅からなる層にCMPを適用する試みは,例えば,2-キノリンカルボン酸を添加した研磨液を用いる方法が知られている(例えば,特許文献3参照)。また,ニッケル層にCMPを適用する試みは,例えばHDD磁気ヘッド用研磨液として砥粒,有機酸,酸化剤を添加した研磨液を用いる方法が知られている(例えば,特許文献4参照)。
【0009】
ところで,パラジウムは,一般に白金やルテニウム等と共に「貴金属」に分類される。このような貴金属層にCMPを適用する試みは,例えば,硫黄化合物を添加した研磨液や,ジケトン,窒素含有複素環化合物,又は両性イオン化合物の何れかを添加した研磨液,白金族系金属の酸化物を添加した研磨液を用いる方法が知られている(例えば,特許文献5,6,7参照)。」
(イ) 「【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし,これまではパラジウムをCMPによって研磨する検討はなされていない。本発明者らの知見によれば,上記特許文献2,3,4の研磨液では,酸化されにくい上に硬度が高いパラジウムを研磨することができない。また,上記特許文献5,6,7の研磨液では,白金やルテニウムが研磨できるとされるが,パラジウムを同じ研磨液で研磨しても研磨が進行しないことが判明した。
【0013】
そこで,本発明は,従来の研磨液を用いた場合よりも,少なくともパラジウム層の研磨速度を向上させることができるCMP研磨液,及びこのCMP研磨液を用いた研磨方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは,これまでに1,2,4-トリアゾールを含有してなるCMP研磨液が,パラジウム層を効率よく研磨できることを見いだした。そして,本発明は,アニオン性官能基で修飾した砥粒を用いた場合に,パラジウム層の研磨速度がより一層向上することを見いだしたものである。
【0015】
具体的には,本発明は,アニオン性官能基を有する砥粒と,1,2,4-トリアゾールと,リン酸類と,酸化剤と,水とを含有し,pHが7以下であるCMP研磨液に関する。
【0016】
本発明のCMP研磨液によれば,従来の研磨液を用いた場合よりも,少なくともパラジウム層の研磨速度を向上させ,所望の研磨速度で研磨することができる。このような本発明のCMP研磨液は,パラジウム研磨用CMP研磨液として有用である。」
(ウ) 「【0027】
(アニオン修飾砥粒)
本実施形態のCMP研磨液は,アニオン修飾砥粒を含有する。アニオン修飾砥粒は,通常の砥粒と異なり,表面がアニオン処理されている。このような砥粒を使用することによって,パラジウム層の研磨速度を向上させることが可能となる。
【0028】
この理由は,詳しくはわかっていないが,本発明者らは次のように考えている。すなわち,本実施形態のCMP研磨液に含まれる成分の作用によってパラジウム表面には何らかの「反応層」が形成される。例えば,酢酸パラジウムのゼータ電位が23.7mV,酸化パラジウムのゼータ電位は21.7mV(いずれも本発明者による測定値)であることから,前記「反応層」は「カチオン性」であると考えられる。従って,砥粒表面にアニオン処理を施して砥粒表面をマイナスイオンを形成しやすい構造にする,好ましくは砥粒表面をアニオン性にすることで,静電引力によって砥粒とパラジウム表面との接触頻度が高まり,研磨速度が向上する傾向があると考えられる。
【0029】
本実施形態において「アニオン処理」とは,酸性又は中性領域においてマイナスイオンを形成しやすい構造を,前記砥粒の表面に付与する処理を意味する。別の観点では,pHが7以下であるCMP研磨液において,砥粒のゼータ電位がマイナス方向へ変化するように,砥粒にアニオン種を付加する処理を意味する。
【0030】
砥粒としては,具体的には,アルミナ(ヒュームドアルミナ,遷移アルミナ,コロイダルアルミナ),シリカ(ヒュームドシリカ,コロイダルシリカ),ジルコニア,チタニア,セリア等の砥粒を挙げることができ,中でもヒュームドアルミナ,遷移アルミナ,ヒュームドシリカ,コロイダルシリカ,コロイダルアルミナが好ましく,研磨速度を高速に保ちながら研磨傷の発生を抑制できる点で,コロイダルシリカ,コロイダルアルミナがより好ましい。
【0031】
前記アニオン処理について,シリカを砥粒として使用する場合を例に説明する。シリカは,一般式ではSiO_(2)であるが,その末端(表面)にはいくつかのシラノール基(Si-OH基)が存在している。このシラノール基における水素原子は,酸性領域においてほとんど解離しないため,通常のシリカの粒子は,酸性領域において,プラス又はゼロに近いゼータ電位を示す。ここで,前記シラノール基に,アニオン種を反応させることによって,表面に,シラノール基よりもマイナスイオンを生じやすい基が存在するシリカ粒子を得ることができる。
【0032】
このようなアニオン種としては,例えば,アルミン酸カリウム[(AlO(OH)_(2)K]等のアルミニウム化合物を挙げることができる。より具体的には,例えば,コロイダルシリカの液の中に上記アルミン酸カリウムを添加し,60℃以上で還流することで,シラノール基を,よりイオン化しやすい「-Si-O-Al(OH)_(2)」基にすることができる。
【0033】
修飾するアニオン性官能基としては,具体的には,アルミン酸基,スルホン酸基,カルボン酸基,硝酸基,リン酸基,炭酸基及びヨウ素酸基等を挙げることができ,中でもスルホン酸基,アルミン酸基,硝酸基,カルボン酸基が好ましく,研磨速度を更に向上させることができる点で,スルホン酸基,アルミン酸基,硝酸基がより好ましい。
【0034】
スルホン酸基としては,例えばスルホ基が挙げられ,アニオン種として例えばスルホン酸ナトリウムを用いることで得ることができる。カルボン酸基としては,例えばカルボキシル基が挙げられ,アニオン種として例えばギ酸,酢酸,プロピオン酸等を用いることで得ることができる。硝酸基は,アニオン種として例えば硝酸カルシウムを用いることで得ることができる。リン酸基は,アニオン種として例えばリン酸三ナトリウムを用いることで得ることができる。炭酸基は,アニオン種として例えば炭酸マグネシウムを用いることで得ることができる。ヨウ素酸基としては,例えばヨウ素基が挙げられ,アニオン種として例えばヨウ素酸カリウムを用いることで得ることができる。
【0035】
また,アニオン修飾の程度の指標として,砥粒表面のゼータ電位を用いることができる。アニオン修飾を行うと,砥粒表面のゼータ電位はマイナス方向へ変化する。そして,ゼータ電位が負である場合には,同じ平均二次粒子径の砥粒で比較するとパラジウム層の研磨速度の向上効果が高くなるため,ゼータ電位の絶対値は大きい方が好ましい。
【0036】
砥粒表面のゼータ電位は,CMP研磨液(特にpHが1?7のCMP研磨液)中において,-2mVより小さいことが好ましく,-5mVより小さいことがより好ましく,-10mVより小さいことが更に好ましい。ゼータ電位が-2mVより小さくなることで,砥粒とパラジウム表面との接触頻度が更に高まり,アニオン修飾砥粒を使用することによってパラジウム研磨速度が向上する効果を顕著に得ることができる。
【0037】
なお,「ゼータ電位」とは,研磨液中に分散させた砥粒表面の表面電荷を意味する。ゼータ電位は,具体的には,Marvern Instruments社製のゼータ電位測定装置「Zetasizer 3000 HSA(商品名)」を用いて測定した値として得られる。」
(エ) 「【0052】
(酸化剤)
CMP研磨液に含まれる酸化剤は,層形成用等として基板に用いられる金属に対する酸化剤である。酸化剤としては,過酸化水素(H_(2)O_(2)),過ヨウ素酸,過ヨウ素酸塩,ヨウ素酸塩,臭素酸塩,過硫酸塩等が挙げられ,その中でも過酸化水素が特に好ましい。これらは,1種類を単独で又は2種類以上混合して用いることができる。
【0053】
酸化剤の含有量は,CMP研磨液全質量を基準として0.05?20質量%であることが好ましく,0.1?15質量%であることがより好ましく,0.1?10質量%であることが更に好ましい。この含有量が0.05質量%以上であれば,金属の酸化が充分となりパラジウム層の研磨速度が更に高くなる傾向があり,20質量%以下であれば,研磨面に荒れが生じにくくなる傾向がある。なお,過酸化水素は通常,過酸化水素水として入手可能である。従って,酸化剤として過酸化水素を使用する場合,実濃度に換算して,上記含有量になるようにする。また,後述するようなパラジウム層の他に,ニッケル層,下地金属層等を有する基板を研磨する場合においても,上記含有量であることが好ましい。」
(オ) 「【0083】
CMP研磨液の効果が最も発揮される基板は,パラジウム層(パラジウムを含有する層をいう)を有する基板である。本実施形態のCMP研磨液は,シリコン等の半導体ウエハ上に,少なくとも絶縁膜層,ニッケル層(ニッケルを含有する層をいう),パラジウム層がこの順に形成された基板に対しても好適である。なお,絶縁膜層とニッケル層の間には,下地金属層が形成されていてもよい。
【0084】
パラジウム層を形成する材料としては,パラジウム,パラジウム合金,その他のパラジウム化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0085】
ニッケル層を形成する材料としては,ニッケル,ニッケル合金,その他のニッケル化合物から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0086】
下地金属層は,層間絶縁膜へ導電性物質が拡散するのを防ぐ層である。下地金属層を形成する材料としては,タンタル,タンタル合金,窒化タンタル等のタンタル化合物;チタン,チタン合金,窒化チタン等のチタン化合物;タングステン,窒化タングステン,タングステン合金等のタングステン化合物などが挙げられる。」
(カ) 「【0100】
図4(a)に示す基板は,シリコン基板11上に設けられた絶縁膜12の凹凸部上に,下地金属層15,ニッケル層14及びパラジウム層13がこの順に形成されてなるものである。本実施形態のCMP研磨液を用いて,パラジウム層13,ニッケル層14及び下地金属層15を研磨し,図4(b)に示すように,絶縁膜12の凸部を露出させることができる。」
イ 引用発明
前記アより,引用文献2には,次の発明(以下,「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「パラジウム層の研磨速度を向上させることができるCMP研磨液であって,アニオン処理によってスルホン酸基で修飾されたシリカと,1,2,4-トリアゾールと,リン酸類と,酸化剤と,水とを含有することを特徴とするCMP研磨液。」

(3) 本願補正発明と引用発明との対比
ア 引用発明の「パラジウム層」は,金属であり,研磨対象であるから,本願補正発明の「金属」「を有する研磨対象物」に相当する。
イ 引用発明の「CMP研磨液」は,本願補正発明の「研磨用組成物」に相当する。
また,引用発明の「CMP研磨液」は,パラジウム層の研磨速度を向上させることができるものであるから,パラジウム層を研磨する用途で使用されているといえる。さらに,上記アを考慮すると,引用発明の「パラジウム層の研磨速度を向上させることができるCMP研磨液」は,本願補正発明の「金属」「を有する研磨対象物」「を研磨する用途で使用される研磨用組成物」に相当する。
ウ さらに,引用発明の「CMP研磨液」は,「酸化剤を含有」しているが,このことは本願補正発明の「酸化剤を含有する」「研磨組成物」であることに相当する。なお,引用発明は,「1,2,4-トリアゾール」と,「リン酸類」と,「水」とを含有するが,本願補正発明も,これらを含有しうるものである。(本願明細書【0037】,【0043】,【0009】を参照。)
エ 引用発明の「アニオン処理」は,シリカの表面のシラノール基にアニオン種を反応させる処理(第2の2(2)ア(ウ)【0031】)であり,アニオン種を化学的な結合によりシリカの表面に固定化する処理といえるから,引用発明の「アニオン処理によってスルホン酸基で修飾されたシリカ」は,本願補正発明の「スルホン酸基が化学的な結合により表面に固定化されているシリカ」に相当する。
オ 以上より,本願補正発明と引用発明とは,下記(ア)の点において一致し,下記(イ)の点において相違する。
(ア) 一致点
「金属を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって,スルホン酸基が化学的な結合により表面に固定化されているシリカ及び酸化剤を含有することを特徴とする研磨用組成物。」
(イ) 相違点
本願補正発明では,研磨用組成物の用途が「研磨対象物(銅又はパラジウムを含むものを除く)を研磨する」ものであるのに対し,引用発明は,そうではない点

(4) 相違点についての検討
ア 引用文献2には,「シリコン基板11上に設けられた絶縁膜12の凹凸部上に,下地金属層15,ニッケル層14及びパラジウム層13がこの順に形成されてなるものである。本実施形態のCMP研磨液を用いて,パラジウム層13,ニッケル層14及び下地金属層15を研磨」(第2の2(2)ア(カ)【0100】)すること,「下地金属層を形成する材料としては,タンタル,タンタル合金,窒化タンタル等のタンタル化合物;チタン,チタン合金,窒化チタン等のチタン化合物;タングステン,窒化タングステン,タングステン合金等のタングステン化合物など」(第2の2(2)ア(オ)【0087】)であることが記載されている。
イ ここで,引用文献2の「下地金属層15」,「ニッケル層14」は,研磨されるものであるから,「研磨対象物」であり,また,銅又はパラジウムを含むことは明記されていないから,「銅又はパラジウムを含まない金属」である。
よって,引用文献2の「下地金属層15」,「ニッケル層14」は,本願補正発明の「金属」「を有する研磨対象物(銅又はパラジウムを含むものを除く)」に含まれるものといえる。
ウ また,引用文献2には,「本実施形態のCMP研磨液は,シリコン等の半導体ウエハ上に,少なくとも絶縁膜層,ニッケル層(ニッケルを含有する層をいう),パラジウム層がこの順に形成された基板に対しても好適である。なお,絶縁膜層とニッケル層の間には,下地金属層が形成されていてもよい。」(第2の2(2)ア(オ)【0083】)ことが記載されている。
エ ここで,引用文献2には,特にCMP研磨液を,パラジウム層とその他の層で変更することは記載されていないから,パラジウム層と,下地金属層,ニッケル層は同一のCMP研磨液で研磨するものと認められる。
オ よって,引用発明のパラジウム層と,引用文献2に記載された下地金属層15,ニッケル層14は,研磨対象物である点で共通であり,同一のCMP研磨液で研磨する点も共通である。
カ また,引用文献2の「CMP研磨液」は,絶縁膜層,下地金属層,ニッケル層,パラジウム層がこの順に形成された基板に対しても好適であるものであり,引用文献2の「下地金属層15」,「ニッケル層14」においても研磨速度を向上させることが好ましいことは明らかである。
キ よって,引用文献2の「CMP研磨液」を,引用文献2の「金属」「を有する研磨対象物(銅又はパラジウムを含むものを除く)」の用途に適用する動機付けが存在する。
ク また,引用文献2には,「本実施形態のCMP研磨液に含まれる成分の作用によってパラジウム表面には何らかの「反応層」が形成される。例えば,酢酸パラジウムのゼータ電位が23.7mV,酸化パラジウムのゼータ電位は21.7mV(いずれも本発明者による測定値)であることから,前記「反応層」は「カチオン性」であると考えられる。従って,砥粒表面にアニオン処理を施して砥粒表面をマイナスイオンを形成しやすい構造にする,好ましくは砥粒表面をアニオン性にすることで,静電引力によって砥粒とパラジウム表面との接触頻度が高まり,研磨速度が向上する傾向があると考えられる。」(第2の2(2)ア(ウ)【0028】)こと,「酸化剤の含有量は,(中略)この含有量が0.05質量%以上であれば,金属の酸化が充分となりパラジウム層の研磨速度が更に高くなる傾向があり,(中略)また,後述するようなパラジウム層の他に,ニッケル層,下地金属層等を有する基板を研磨する場合においても,上記含有量であることが好ましい。」(第2の2(2)ア(エ)【0053】)ことが記載されている。
ケ ここで,引用文献2には,パラジウム表面に反応層が形成され,反応層がカチオン性となる作用,及び,反応層をカチオン性,砥粒表面をアニオン性にすることで,静電引力によって砥粒とパラジウム表面との接触頻度が高まり,研磨速度が向上する作用効果が示唆されていると認められる。
コ 一般的にパラジウム等の貴金属よりも,ニッケル,下地金属層を構成する金属は,酸化してカチオンになりやすいものであり,貴金属であるパラジウムで示唆される上記ケの作用効果は,貴金属よりも酸化しやすいニッケル,下地金属層を構成する金属においても,上記ケの作用効果が実現できる蓋然性が高いと当業者ならば理解するものである。
サ よって,引用文献2の「CMP研磨液」を,引用文献2の「金属」「を有する研磨対象物(銅又はパラジウムを含むものを除く)」の用途に適用した際の効果は,引用文献2の記載から当業者が予測できるものであり,格別のものではない。
シ 以上より,引用発明の研磨組成物を,引用文献2に記載された「研磨対象物(銅又はパラジウムを含むものを除く)」に適用することは,当業者が容易に想到しえたことである。

(5) まとめ
本願補正発明は,引用発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

3 むすび
したがって,本件補正は,特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するので,同法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3 本願発明の特許性の有無について
1 本願発明について
本願の請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)は,平成28年4月13日付けの手続補正による補正後の特許請求の範囲の請求項1に記載された,次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
金属または層間絶縁膜を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって,末端にスルホン酸基を有するシランカップリング剤を固定化したシリカ及び酸化剤を含有することを特徴とする研磨用組成物」

2 原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は,本願発明は,本願の出願前に日本国内又は外国において,頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献に記載された発明に基いて,その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないというものである。

2.特開2011-165759号公報
3.国際公開第2011/093153号
4.特開2010-269985号公報

3 引用文献2について
引用文献2の記載は,第2の2(2)アのとおりである。
さらに,引用文献2には,第2の2(2)イのとおり,以下の引用発明が記載されていると認められる。
「パラジウム層の研磨速度を向上させることができるCMP研磨液であって,アニオン処理によってスルホン酸基で修飾されたシリカと,1,2,4-トリアゾールと,リン酸類と,酸化剤と,水とを含有することを特徴とするCMP研磨液。」(再掲)

4 引用文献3について
(1) 引用文献3の記載
原査定の拒絶の理由に引用された,国際公開第2011/093153号(以下,「引用文献3」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,化学機械研磨用水系分散体およびそれを用いた化学機械研磨方法に関する。」
「【0022】
1.化学機械研磨用水系分散体
本発明の一実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は,(A)スルホ基およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するシリカ粒子(以下,単に「(A)シリカ粒子」ともいう)と,(B)酸性化合物と,を含有することを特徴とする。以下,本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体に含まれる各成分について,詳細に説明する。
【0023】
1.1.(A)シリカ粒子
本実施の形態に係る化学機械研磨用水系分散体は,砥粒として(A)スルホ基およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するシリカ粒子を含有する。すなわち,本実施の形態において使用されるシリカ粒子は,その表面にスルホ基およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の官能基が共有結合を介して表面に固定されたシリカ粒子であり,その表面にスルホ基およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有する化合物が物理的あるいはイオン的に吸着したようなものは含まれない。また,本発明において,「スルホ基の塩」とは,スルホ基(-SO_(3)H)に含まれている水素イオンを金属イオンやアンモニウムイオン等の陽イオンで置換した官能基のことをいう。
【0024】
本実施の形態において使用されるシリカ粒子は,以下のようにして製造することができる。
【0025】
まず,シリカ粒子を用意する。シリカ粒子としては,例えば,ヒュームドシリカ,コロイダルシリカ等が挙げられるが,スクラッチ等の研磨欠陥を低減する観点から,コロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカは,例えば,特開2003-109921号公報等に記載されているような公知の方法で製造されたものを使用することができる。このようなシリカ粒子の表面を修飾することにより,本実施の形態で使用可能な(A)スルホ基およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するシリカ粒子を製造することができる。以下にシリカ粒子の表面を修飾する方法を例示するが,本発明はこの具体例により何ら限定されるものではない。
【0026】
シリカ粒子の表面の修飾は,特開2010-269985号公報や,J.Ind.Eng.Chem.,Vol.12,No.6,(2006)911-917等に記載されているような公知の方法を適用することが可能である。例えば前記シリカ粒子とメルカプト基含有シランカップリング剤を酸性媒体中で十分に撹拌することにより,前記シリカ粒子の表面にメルカプト基含有シランカップリング剤を共有結合させることで達成できる。メルカプト基含有シランカップリング剤としては,例えば,3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン,3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0027】
次に,さらに過酸化水素を適量添加して十分に放置することにより,スルホ基およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するシリカ粒子を得ることができる。」
(2) 引用技術的事項3
前記(1)より,引用文献3には次の技術的事項(以下,「引用技術的事項3」という。)が記載されていると認められる。
「その表面にスルホ基およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の官能基が共有結合を介して表面に固定されたシリカ粒子であり,
シリカ粒子とメルカプト基含有シランカップリング剤を酸性媒体中で十分に撹拌することにより,前記シリカ粒子の表面にメルカプト基含有シランカップリング剤を共有結合させること,さらに過酸化水素を適量添加して十分に放置することにより,スルホ基およびその塩からなる群から選択される少なくとも1種の官能基を有するシリカ粒子を得ることができること。」

5 引用文献4について
(1) 引用文献4の記載
原査定の拒絶の理由に引用された,特開2010-269985号公報(以下,「引用文献4」という。)には,図面とともに,次の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は,スルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル及びその製造方法に関する。
【0002】
具体的には,水性媒体を用いたコロイダルシリカ(シリカゾル)の表面をスルホン酸修飾することによりアニオン性を付与したスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
水性媒体を用いたコロイダルシリカ(シリカゾル)は,紙,繊維,鉄鋼等の分野で物性改良剤として用いられたり,半導体ウェハの研磨剤として使用されたりしている。シリカゾルは,酸性条件下ではシリカ粒子どうしが凝集してしまい安定性に劣るといった問題が存在しており,幅広いpH領域で安定性に優れたシリカゾルが求められている。」
「【0012】
本発明のスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルは,コロイダルシリカに,化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤を添加した後,前記官能基をスルホン酸基に変換する製造方法(以下,「本発明の製造方法」)によって得られる。
【0013】
原料のコロイダルシリカは表面にシラノール基を有するものであれば限定されないが,半導体中に拡散性のある金属不純物や塩素等の腐食性イオンを含まないことを考慮すると,加水分解可能なケイ素化合物(例えば,アルコキシシラン又はこの誘導体)を原料とし,加水分解・縮合により得られるコロイダルシリカが好ましい。このケイ素化合物は,1種又は2種以上を混合して使用できる。
【0014】
本発明では,下記一般式1で示されるアルコキシシラン又はこの誘導体が好ましい。
【0015】
Si(OR)_(4) (1)
〔式中,Rはアルキル基であり,好ましくは炭素数1?8の低級アルキル基であり,より好ましくは炭素数1?4の低級アルキル基である。〕
上記Rとしては,メチル基,エチル基,プロピル基,イソプロピル基,ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基等を例示することができ,Rがメチル基であるテトラメトキシシラン,Rがエチル基であるテトラエトキシシラン,Rがイソプロピル基であるテトライソプロポキシシランが好ましい。また,アルコキシシランの誘導体としては,アルコキシシランを部分的に加水分解して得られる低縮合物を例示することもできる。本発明では,加水分解速度を制御し易い点,シングルnmの微小シリカ粒子が得られ易い点,未反応物の残留が少ない点でテトラメトキシシランを用いることが好ましい。
(中略)
【0022】
本発明では,コロイダルシリカに,化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤を添加した後,前記官能基をスルホン酸基に変換することにより,コロイダルシリカをスルホン酸修飾する。これは,スルホン酸基は酸性度が高く加水分解を招くため,スルホン酸基を有するシランカップリング剤は得られ難いことに基づく。
【0023】
化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤としては,例えば,1)加水分解によりスルホン酸基に変換できるスルホン酸エステル基を有するシランカップリング剤,2)酸化によりスルホン酸基に変換できるメルカプト基及び/又はスルフィド基を有するカップリング剤が挙げられる。なお,コロイダルシリカ表面のスルホン酸修飾は溶液中で行われるため,修飾効率を高めるためには,後者のメルカプト基及び/又はスルフィド基を有するカップリング剤を用いることが好ましい。
【0024】
メルカプト基を有するシランカップリング剤としては,例えば,3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン,2-メルカプトプロピルトリエトキシシラン,2-メルカプトエチルトリメトキシシラン,2-メルカプトエチルトリエトキシシラン等が挙げられる。
【0025】
スルフィド基を有するカップリング剤としては,例えば,ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが挙げられる。
【0026】
コロイダルシリカにカップリング剤を添加する際,カップリング剤の溶解性を考えるとコロイダルシリカに親水性有機溶媒を含むことが好ましい。この点,アルコキシシランを塩基性触媒によりアルコール-水溶媒中で加水分解・縮合するストーバー法によってコロイダルシリカを得た場合にはアルコールが反応液中に含まれるので更に親水性有機溶媒を添加する必要はない。このとき,コロイダルシリカ中の水に対して親水性有機溶媒は50質量%以上がより好ましいため,必要に応じて反応液を濃縮することにより調整する。
【0027】
他方,水分散のコロイダルシリカにシランカップリング剤を添加する場合は,シランカップリング剤が溶解する程度に親水性溶媒を加える。親水性有機溶媒としては,例えば,イソプロピルアルコール,エタノール及びメタノール等のアルコールが挙げられる,この中でも,ケイ素化合物の加水分解により生成するアルコールと同種のアルコールを用いることが好ましい。これは,ケイ素化合物の加水分解により生成するアルコールと同種のアルコールを用いることにより,溶媒の回収,再利用を容易化できるからである。
【0028】
上記カップリング剤の添加量は,シリカに対して0.1?10質量%程度である。添加量が少ないと,酸性におけるゼータ電位が十分安定しない場合がある。添加量が多ければ,経時的に変性シリカゾルがゲル化する可能性がある。
【0029】
カップリング剤を添加する際の温度は限定されないが,常温(約20℃)から沸点が好ましい。反応時間も限定されないが,10分?10時間が好ましく,30分?2時間がより好ましい。添加時のpHも限定されないが,7以上11以下が好ましい。11以上の強アルカリでは,シランカップリング剤がシリカ表面と反応せず,シランカップリング剤どうしが自己縮合するおそれがあり好ましくない。
【0030】
修飾したメルカプト基及びスルフィド基を酸化する方法としては,酸化剤を用いることができる。例えば,硝酸,過酸化水素,酸素,オゾン,有機過酸(過カルボン酸),臭素,次亜塩素酸塩,過マンガン酸カリウム,クロム酸等が挙げられる。これらの酸化剤の中でも過酸化水素及び有機過酸(過酢酸,過安息香酸類)が比較的取り扱いが容易で酸化収率も良好である点で好ましい。なお,反応で副生する物質を考慮すれば,過酸化水素を用いることが最も好ましい。」
(2) 引用技術的事項4
前記(1)より,引用文献4には次の技術的事項(以下,「引用技術的事項4」という。)が記載されていると認められる。
「コロイダルシリカに,化学的にスルホン酸基に変換できる官能基を有するシランカップリング剤を添加した後,前記官能基をスルホン酸基に変換するスルホン酸修飾水性アニオンシリカゾルの製造方法。」

6 本願発明と引用発明との対比
(1) 引用発明の「パラジウム層」は,金属であり,研磨対象であるから,本願発明の「金属」「を有する研磨対象物」に相当する。
(2) 引用発明の「CMP研磨液」は,本願発明の「研磨用組成物」に相当する。
また,引用発明の「CMP研磨液」は,パラジウム層の研磨速度を向上させることができるものであるから,パラジウム層を研磨する用途で使用されているといえる。さらに,上記(1)を考慮すると,引用発明の「パラジウム層の研磨速度を向上させることができるCMP研磨液」は,本願発明の「金属」「を有する研磨対象物」「を研磨する用途で使用される研磨用組成物」に相当する。
(3) さらに,引用発明の「CMP研磨液」は,「酸化剤を含有」しているが,このことは本願補正発明の「酸化剤を含有する」「研磨組成物」であることに相当する。なお,引用発明は,「1,2,4-トリアゾール」と,「リン酸類」と,「水」とを含有するが,本願発明も,これらを含有しうるものである。(本願明細書【0037】,【0043】,【0009】を参照。)
(4) 引用発明の「アニオン処理」は,シリカの表面のシラノール基にアニオン種を反応させる処理(第2の2(2)ア(ウ)【0031】)であり,アニオン種を化学的な結合によりシリカの表面に固定化する処理といえるから,引用発明の「アニオン処理によってスルホン酸基で修飾されたシリカ」と,本願発明の「末端にスルホン酸基を有するシランカップリング剤を固定化したシリカ」とは,「スルホン酸基を表面に固定化したシリカ」という点で共通である。
(5) 以上より,本願発明と引用発明とは,下記アの点において一致し,下記イの点において相違する。
ア 一致点
「金属を有する研磨対象物を研磨する用途で使用される研磨用組成物であって,スルホン酸基を表面に固定化したシリカ及び酸化剤を含有することを特徴とする研磨用組成物。」
イ 相違点
本願発明では,「シランカップリング剤を固定化したシリカ」であるのに対し,引用発明では,そうではない点

(6) 相違点についての検討
引用技術的事項3,4に開示されるようにシリカにシランカップリング剤を結合させるシランカップリング処理は周知の技術であり,シランカップリング処理は,シリカにシランカップリング剤を固定化する処理であるといえる。
また,アニオン処理もシランカップリング処理も共に,表面にスルホン酸基を固定化する処理であることにはかわりないから,引用発明の表面にスルホン酸基を固定化する処理であるアニオン処理にかえて,上記周知技術であるシランカップリング処理を採用することは,当業者にとって格別な困難性は認められないし,また,本願の詳細な説明を参照しても,そのことによる顕著な効果も認められない。

7 まとめ
以上のとおり,本願発明は,引用発明及び引用文献3,4の記載事項に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができない。

第4 結言
したがって,本願の請求項1に係る発明は,特許法第29条第2項の規定により,特許を受けることができないから,その他の請求項について検討するまでもなく,本願は拒絶されるべきものである。

よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-06-28 
結審通知日 2018-07-03 
審決日 2018-07-17 
出願番号 特願2011-287264(P2011-287264)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹口 泰裕  
特許庁審判長 深沢 正志
特許庁審判官 小田 浩
河合 俊英
発明の名称 研磨用組成物  
代理人 恩田 誠  
代理人 恩田 博宣  

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