• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 A61K
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 A61K
管理番号 1343731
審判番号 不服2017-16740  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-11-10 
確定日 2018-09-25 
事件の表示 特願2015-240353「ファムシクロビルとセレコキシブとの組合せを含む、機能性身体症候群のための抗ウイルス化合物とCOX-2インヒビターとの組合せ療法」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 5月26日出願公開、特開2016- 94441、請求項の数(17)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成25年 2月 6日(パリ条約による優先権主張 2012年 2月 6日(US)アメリカ合衆国)を国際出願日とする特願2014-555858号の一部を、平成27年12月 9日に新たな特許出願としたものであって、平成28年11月9日付けで拒絶理由通知がされ、平成29年 5月12日付けで意見書及び手続補正書が提出され、同年 7月6日付けで拒絶査定(原査定)がされ、これに対し、同年11月10日に拒絶査定不服審判の請求がされると同時に手続補正書が提出され、平成30年 6月14日付けで審判請求人から上申書が提出されたものである。


第2 原査定の概要
原査定(平成29年 7月6日付け拒絶査定)の概要は次のとおりである。

本願請求項1?17に係る発明は、以下の引用文献1?5に記載された発明に基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献等一覧
1.特表2006-512367号公報
2.特表2011-513433号公報
3.特開2011-1380号公報(周知技術を示す文献)
4.特表2009-521502号公報(周知技術を示す文献)
5.特表2009-501785号公報(周知技術を示す文献)


第3 審判請求時の補正について
審判請求時の補正による、請求項1及び15における「線維筋痛症、慢性疲労症候群、過敏性腸症候群、慢性疼痛、慢性頭痛、慢性頸部疼痛、慢性背部疼痛、気分障害、慢性うつ病、慢性臨床的不安障害、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、脳の霧又は認知機能不全」の記載を、「線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群」とする補正が、特許法第17条の2第5項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮(以下、「限定的減縮」という。)を目的とするものであるかについて検討する。
この補正は、補正前の請求項1及び15に記載された疾患を「線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群」に限定するものであって、且つ、その補正の前後において発明の産業上の利用分野及び解決しようとする課題が同一であると認められるから、当該補正は、限定的減縮を目的とするものに該当する。
そして、以下の「第4 本願発明」から「第6 対比・判断」までに示すように、上記補正後の請求項1?17に係る発明は、独立して特許を受けることができるものであり、上記補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に適合する。


第4 本願発明
本願請求項1?17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明17」という。)は、平成29年11月10日付け手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定される、以下のとおりの発明であると認める。

「【請求項1】
線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、
治療上有効な共作用組合せ投与量で、ファムシクロビルとメロキシカム、ファムシクロビルとジクロフェナク、バラシクロビルとセレコキシブ及びアシクロビルとセレコキシブからなる群から選ばれる抗ウイルス成分とCOX-2インヒビター成分との組み合わせを含み、
前記抗ウイルス成分の量は、125mg?2000mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在し、
前記COX-2インヒビター成分は、7.5mg?800mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在する、
前記医薬組成物。

【請求項2】
ファムシクロビルの量が250mg?1000mgの単位投与剤形中に存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項3】
バラシクロビルの量が1000mg?2000mgの単位投与剤形中に存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項4】
アシクロビルの量が400mg?1600mgの単位投与剤形中に存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項5】
セレコキシブの量が50mg?600mgの単位投与剤形中に存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項6】
メロキシカムの量が7.5mg?15mgの単位投与剤形中に存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項7】
ジクロフェナクの量が50mg?200mgの単位投与剤形中に存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項8】
ファムシクロビルとメロキシカムとの組み合わせであり、ファムシクロビルの量が、250mg?1000mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在し、メロキシカムの量が、15mg?30mgの一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項9】
ファムシクロビルとジクロフェナクとの組み合わせであり、ファムシクロビルの量が、125mg?1000mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在し、ジクロフェナクの量が、100mg?150mgの一日総用量で提供されるための単位
投与剤形で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項10】
バラシクロビルとセレコキシブとの組み合わせであり、バラシクロビルの量が、250mg?1500mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在し、セレコキシブの量が、100mg?800mgの一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項11】
アシクロビルとセレコキシブとの組み合わせであり、アシクロビルの量が、800mg?1600mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在し、セレコキシブの量が、100mg?800mgの一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在する、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項12】
線維筋痛症の治療上有効な組合せ投与量の組み合わせを含む、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項13】
線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群の治療のための、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項14】
線維筋痛症の治療のための、請求項1に記載の医薬組成物。

【請求項15】
線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群の薬物組み合わせ治療用キットであって、前記キットは、
治療上有効な共作用組合せ投与量で、ファムシクロビルとメロキシカム、ファムシクロビルとジクロフェナク、バラシクロビルとセレコキシブ及びアシクロビルとセレコキシブからなる群から選ばれる抗ウイルス成分とCOX-2インヒビター成分との組み合わせを含み、
前記抗ウイルス成分の量は、125mg?2000mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在し、
前記COX-2インヒビター成分は、7.5mg?800mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在する、
前記キット。

【請求項16】
線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群の治療上有効な組合せ投与量の組み合わせを含む、請求項15に記載のキット。

【請求項17】
線維筋痛症の治療上有効な組合せ投与量の組み合わせを含む、請求項15に記載のキット。」


第5 引用文献、引用発明等
1.引用文献1について
(1)引用文献1に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、次の事項が記載されている

・記載事項1-1
「【請求項1】
単純ヘルペス・ウイルス感染症を治療する方法であって:
(a)単純ヘルペス・ウイルス感染症の治療の必要な被検者を診断すること;及び
(b)シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤又はその異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグと抗単純ヘルペス・ウイルス剤又はその異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグを含んでなる組合せを該被検者へ投与することを含んでなり、ここで抗単純ヘルペス・ウイルス剤はシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤ではない、前記方法。
・・・
【請求項4】
シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤が、セレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、メロキシカム、パレコキシブ、4-(4-シクロヘキシル-2-メチルオキサゾール-5-イル)-2-フルオロベンゼンスルホンアミド、2-(3,5-ジフルオロフェニル)-3-(4-(メチルスルホニル)フェニル)-2-シクロペンテン-1-オン、N-[2-(シクロヘキシルオキシ)-4-ニトロフェニル]メタンスルホンアミド、2-(3,4-ジフルオロフェニル)-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-3(2H)-ピリダジノン、2-[(2,4-ジクロロ-6-メチルフェニル)アミノ]-5-エチル-ベンゼン酢酸、(3Z)-3-[(4-クロロフェニル)[4-(メチルスルホニル)フェニル]メチレン]ジヒドロ-2(3H)-フラノン、及び(S)-6,8-ジクロロ-2-(トリフルオロメチル)-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸からなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項5】
抗単純ヘルペス・ウイルス剤が、ガンシクロビル、フォスカルネット、シドフォビル、アシクログアノシン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ファムシクロビル、及びバラシクロビルからなる群より選択される、請求項1の方法。
・・・
【請求項8】
(a)式:


[式中:
nは、0、1、2、3又は4である整数であり;
Gは、O、S又はNRaであり;
R^(a)は、アルキルであり;
R^(1)は、H及びアリールからなる群より選択され;
R^(2)は、カルボキシル、アミノカルボニル、アルキルスルホニルアミノカルボニル及びアルコキシカルボニルからなる群より選択され;
R^(3)は、アルキルチオ、ニトロ及びアルキルスルホニルより選択される1以上の残基で随意に置換される、ハロアルキル、アルキル、アラルキル、シクロアルキル及びアリールからなる群より選択され;そして
それぞれのR^(4)は、H、ハロ、アルキル、アラルキル、アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アラルキルオキシ、ヘテロアラルキルオキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アラルキルアミノ、ヘテロアリールアミノ、ヘテロアリールアルキルアミノ、ニトロ、アミノ、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、アリールアミノスルホニル、ヘテロアリールアミノスルホニル、アラルキルアミノスルホニル、ヘテロアラルキルアミノスルホニル、ヘテロシクロスルホニル、アルキルスルホニル、ヒドロキシアリールカルボニル、ニトロアリール、随意に置換されるアリール、随意に置換されるヘテロアリール、アラルキルカルボニル、ヘテロアリールカルボニル、アリールカルボニル、アミノカルボニル、及びアルキルカルボニルからなる群より独立して選択され;そして、R^(4)は、それが付く炭素原子と環Eの残りと一緒にナフチル基を形成する]を有するシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤又はその異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグ;及び
(b)ガンシクロビル、フォスカルネット、シドフォビル、アシクログアノシン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ファムシクロビル、及びバラシクロビルからなる群より選択される抗ヘルペス・ウイルス剤又はその異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグを含んでなる組成物。
【請求項9】
(a)式:


[式中:
Aは、一部不飽和又は不飽和のヘテロシクリルと一部不飽和又は不飽和の炭素環式環からなる群より選択され;
R^(1)は、ヘテロシクリル、シクロアルキル、シクロアルケニル及びアリールからなる群より選択され、ここでR^(1)は、置換可能な位置で、アルキル、ハロアルキル、シアノ、カルボキシル、アルコキシカルボニル、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、ハロアルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、ニトロ、アルコキシアルキル、アルキルスルフィニル、ハロ、アルコキシ及びアルキルチオより選択される1以上の残基で随意に置換され;
R^(2)は、メチル又はアミノからなる群より選択され;そして
R^(3)は、H、ハロ、アルキル、アルケニル、アルキニル、オキソ、シアノ、カルボキシル、シアノアルキル、ヘテロシクリルオキシ、アルキルオキシ、アルキルチオ、アルキルカルボニル、シクロアルキル、アリール、ハロアルキル、ヘテロシクリル、シクロアルケニル、アラルキル、ヘテロシクリルアルキル、アシル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシカルボニル、アリールカルボニル、アラルキルカルボニル、アラルケニル、アルコキシアルキル、アリールチオアルキル、アリールオキシアルキル、アラルキルチオアルキル、アラルコキシアルキル、アルコキシアラルコキシアルキル、アルコキシカルボニルアルキル、アミノカルボニル、アミノカルボニルアルキル、アルキルアミノカルボニル、N-アリールアミノカルボニル、N-アルキル-N-アリールアミノカルボニル、アルキルアミノカルボニルアルキル、カルボキシアルキル、アルキルアミノ、N-アリールアミノ、N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アラルキルアミノ、N-アルキル-N-アリールアミノ、アミノアルキル、アルキルアミノアルキル、N-アリールアミノアルキル、N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アラルキルアミノアルキル、N-アルキル-N-アリールアミノアルキル、アリールオキシ、アラルコキシ、アリールチオ、アラルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アミノスルホニル、アルキルアミノスルホニル、N-アリールアミノスルホニル、アリールスルホニル、N-アルキル-N-アリールアミノスルホニルより選択される残基からなる群より選択される]のシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤又はその異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグ;及び
(b)ガンシクロビル、フォスカルネット、シドフォビル、アシクログアノシン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ファムシクロビル、及びバラシクロビルからなる群より選択される抗ヘルペス・ウイルス剤又はその異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグを含んでなる組成物。
【請求項10】
(a)式:


[式中:
R^(16)は、メチル又はエチルであり;
R^(17)は、クロロ又はフルオロであり;
R^(18)は、水素又はフルオロであり;
R^(19)は、水素、フルオロ、クロロ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ又はヒドロキシであり;
R^(20)は、水素又はフルオロであり;そして
R^(21)は、クロロ、フルオロ、トリフルオロメチル又はメチルである]を有するシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤又はその異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグ;及び
(b)ガンシクロビル、フォスカルネット、シドフォビル、アシクログアノシン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ファムシクロビル、及びバラシクロビルからなる群より選択される抗ヘルペス・ウイルス剤又はその異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグを含んでなる組成物。
【請求項11】
抗ヘルペス・ウイルス剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、及びバラシクロビルからなる群より選択される、請求項8、9又は10のいずれかの組成物。
【請求項12】
セレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、パレコキシブ、2-(3,4-ジフルオロフェニル)-4-(3-ヒドロキシ-3-メチルブトキシ)-5-[4-(メチルスルホニル)フェニル]-3(2H)-ピリダジノン、及び(S)-6,8-ジクロロ-2-(トリフルオロメチル)-2H-1-ベンゾピラン-3-カルボン酸からなる群より選択されるシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤;及び
ガンシクロビル、フォスカルネット、シドフォビル、アシクログアノシン、トリフルオロチミジン、アシクロビル、ファムシクロビル、及びバラシクロビルからなる群より選択される抗ヘルペス・ウイルス剤を含んでなる組成物。
【請求項13】
シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤が、セレコキシブ、デラコキシブ、バルデコキシブ、ロフェコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブ、及びパレコキシブからなる群より選択され;そして、抗ヘルペス・ウイルス剤が、アシクロビル、ファムシクロビル、及びバラシクロビルからなる群より選択される、請求項12の組成物。
【請求項14】
シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤がセレコキシブであり、抗ヘルペス・ウイルス剤がバラシクロビルである、請求項13の方法。
・・・」

・記載事項1-2
「【0009】・・・本発明のいくつかの側面では、ヘルペス・ウイルス感染症、並びにその関連疾患及び関連障害の治療のための方法及び組成物を提供する。」

・記載事項1-3
「【0226】
組合せ療法
一般的に言って、本発明の実施に利用する組成物には、上記に詳述した抗ヘルペス・ウイルス剤のいずれかの1以上と組み合わせて、上記に詳述したシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤のいずれかの1以上を含めてよいと考慮される。非限定的な例示として、表C1は、本発明の方法及び組成物に有用であるいくつかの好適な組合せを詳述する。この組合せには、表C1に収載するシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤又は抗ヘルペス・ウイルス剤のいずれの異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグも含めてよい。
【0227】

【0228】

【0229】
さらなる例示として、表C2は、本発明の方法及び組成物に利用することができるいくつかの好適な組合せを詳述する。この組合せには、表C2に収載するシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤又は抗ヘルペス・ウイルス剤のいずれの異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグも含めてよい。
【0230】

【0231】

【0232】

【0233】

【0234】

【0235】

【0236】

【0237】

【0238】
なおさらなる例示として、表C3は、本発明の方法及び組成物に利用することができる追加の好適な組合せを詳述する。この組合せには、表C3に収載するシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤又は抗ヘルペス・ウイルス剤のいずれの異性体、製剤的に許容される塩、エステル、又はプロドラッグも含めてよい。
【0239】

【0240】


【0241】

【0242】


【0243】


【0244】


【0245】



・記載事項1-4
「【0254】
実施例1:COX-1及びCOX-2の in vitro 活性の評価
本発明における使用に適したCOX-2阻害剤は、以下の活性アッセイに従って in vitro で試験するときに、COX-1に優るCOX-2の選択阻害を明示する。
・・・
【0256】
COX-1及びCOX-2活性のアッセイ
放出されるプロスタグランジンを検出するELISAを使用して、形成されるPGE2/タンパク質(μg)/時間としてCOX活性をアッセイする。・・・
【0257】
COX-1及びCOX-2活性の迅速アッセイ
放出されるプロスタグランジンを検出するELISAを使用して、形成されるPGE2/タンパク質(μg)/時間としてCOX活性をアッセイする。・・・
【0258】
・・・COX-2の選択阻害は、COX-1/COX-2のIC_(50)比により決定することができる。
【0259】
例示として、一次スクリーニングを実施して、COX-2を10μg/mlの濃度で阻害する特別な化合物を決定することができる。次いで、この化合物を確認アッセイに処して、3つの異なる濃度(例、10μg/ml、3.3μg/ml,及び1.1μg/ml)でのCOX-2阻害の程度を決定することができる。次いで、このスクリーニングの後で、10μg/mlの濃度でCOX-1を阻害するその能力について化合物を試験することができる。このアッセイとともに、対照に比較したCOX阻害の比率を決定することができて、より高いパーセンテージほどCOX阻害のより大きな度合いを示す。さらに、試験化合物について、COX-1及びCOX-2のIC_(50)値も決定することができる。次いで、上記に説明したように、COX-1/COX-2のIC_(50)比により各化合物の選択性を決定することができる。
【0260】
実施例2:本発明の組合せおよび単独療法の in vitro 及び in vivo 試験
以下の実施例において、組合せ療法は、抗ウイルス剤とCox-2選択阻害剤を含有し、単独療法は、Cox-2選択阻害剤だけを含有する。このような組合せ又は単独療法の効果は、プラセボ治療のような対照治療に比較して評価することができる。例示として、組合せ療法は、アシクロビルとバルデコキシブ、ファムシクロビルとバルデコキシブ、又は5-フルオロデオキシウリジンとロフェコキシブを含有する場合がある。そして、単独療法には、バルデコキシブ、セレコキシブ、又はロフェコキシブを含めてよい。これらはいくつかの例にすぎず、表C1、C2、又はC3に詳述した組合せのような、本明細書に詳述した抗ウイルス剤とCox-2阻害剤のいずれも組合せ療法として試験してよく、本明細書に詳述したCox-2選択阻害剤のいずれも単独療法として試験してよい。組合せ療法又は単独療法に利用する投与量は、試験を実施する当業者により容易に決定することができる。試験治療の期間は特別な試験に応じて変動するものであり、やはり当業者が決定してよい。例示として、組合せ又は単独療法は、3?4週間投与してよい。抗ウイルス剤とCox-2阻害剤は、本明細書に記載のどの経路より投与してもよいが、ヒト被検者では、好ましくは経口で投与する。
【0261】
In vitro アッセイ
Sainz and Halford, Journal of Virology, Vol. 76, No. 22, pp. 11541-11550, 2002に記載のようにして、in vitro 試験を実施することができる。
・・・
予測結果
担体、組合せ治療、及び単独療法で処置したVero細胞の単層において、HSV KOS株プラーク形成の効率を比較する。プラーク形成は、組合せ療法又は単独療法で処置したVero細胞単層で、担体処置に比較して抑制されると予測される。また、HSV-1の複製も、組合せ治療又は単独療法で処置した培養物において担体処置培養物に比べて抑制されると予測される。
【0267】
PCRアッセイを使用して、(1)担体;(2)組合せ治療;又は(3)単独療法で処置したVero細胞へHSV-1が吸着する相対効率を比較することができる。0.1?20 PFU/細胞での接種から1時間後、HSV-1被感染Vero細胞よりDNAを単離して、PCRを使用して、HSV-1ゲノムの243bp断片を増幅する。このHSV-1 RR PCR産物の収量は、担体、単独療法、又は組合せ治療で処置したVero細胞中のウイルスMOIに相関して増加する。従って、PCRは、Vero細胞に入るHSV-1 DNAの相対量を比較するための確かな基礎を提供する。
【0268】
In vivo アッセイ
一般に、実験動物試験は、Peng et al., Journal of Virology, Vol. 72, No. 1, pp.65-72, 1998 に記載のように実施することができる。
・・・
【0270】
予測される結果
本明細書に記載の組合せ療法又は単独療法のヘルペス感染症の治療における効果は、処置マウスと対照マウスによって明示される疾患の度合いを比較することによって確かめることができる。この疾患の重症度は、組合せ療法又は単独療法で処置したマウスにおいてより低くなると予測される。」

(2)引用文献1に記載された発明
記載事項1-2における「組成物」は、「治療のための」ものであるから、医薬組成物であるといえるところ、記載事項1-1及び記載事項1-2から、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。

「単純ヘルペス・ウイルス感染症を治療するための医薬組成物であって、
シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤と抗単純ヘルペス・ウイルス剤との組合せを含む医薬組成物。」

なお、引用発明1の医薬組成物に含まれる成分については、請求項1において、シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤及び抗単純ヘルペス・ウイルス剤が記載されており(記載事項1-1)、それぞれ、特許請求の範囲や表番号C1?C3等にあるとおり(記載事項1-1、記載事項1-3)、膨大な数の薬物の列挙があり、またその組み合わせについても、表番号C1?C3等にあるとおり(記載事項1-3)、膨大な数の組み合わせの列挙がなされている上、実施例においては、特定の組み合わせについての具体的な実験結果も記載されていない(記載事項1-4。実施例1と表されている箇所では、COX-1とCOX-2の活性の比によりCOX-2阻害の選択性を決定する方法が記載されているだけであり、特定の化合物についての結果などは示されていない。また、実施例2と表されている箇所でも、組み合せ及び単独療法でのin vivo及びin vitro試験の方法が記載されているだけであり、特定の組み合わせについての結果などは示されていない。)。そのため、引用文献1に記載の医薬組成物に含まれるシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤及び抗単純ヘルペス・ウイルス剤については、特定の組み合わせが具体的に記載されているとの認定は困難であるから、当該医薬組成物に含まれている有効成分は、シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤及び抗単純ヘルペス・ウイルス剤であると認定する。


2.引用文献2について
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献2には、次の事項が記載されている。

・記載事項2-1
「【0044】・・・本願において提案されている原因のメカニズムは、身体における1種以上のヘルペスウイルスの活性、ならびにそのウイルスに対する身体の反応、特に、免疫系の応答および種々の神経、特に交感神経鎖の活動の変化に部分的に関連付けられている。本願に記載されている研究以前の知識の現状は、多くの異なる名称を有するこれらの多くの状態を生じ、多くは「自己免疫」疾患として存在するか、または「自己免疫」疾患と関連し、これらのことは、現在の知識では、原因が不明であることを意味する。このような状態には、特に、線維筋痛または過敏性腸症候群を含む重篤な慢性疼痛を伴うもの、ならびに以後本明細書中で議論される、組織損傷および臓器不全を含む他の名称で引用される多くの他の疾患および状態が含まれる。利用可能な証拠に基づいて、本発明者は、これらの疾患のすべての原因が、ウイルスの直接的な効果、およびヘルペスウイルス、特に、陰部ヘルペスであるHSV-IIの存在に対する身体の応答であると考えている。」

・記載事項2-2
「【実施例】
【0150】
以下の実施例は、本願に記載される発明において有用である化合物を調製する際の指針として、当業者に与えられる。本実施例は、PCT公開番号WO2006/127217A2の調製1および実施例1?2から再現している。本実施例の具体的な教示および他の化合物の調製の議論の一般的な指針に従うことによって、当業者は、本願中に明確におよび黙示的に記載されている化合物をいかにして製造するかを教示される。
【0151】
1-tert-ブトキシカルボニルアミノ-シクロプロパンカルボン酸2-(2-アミノ-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-プリン-9-イルメトキシ)-エチルエステルの調製
【0152】

・・・
【0153】
1-アミノ-シクロプロパンカルボン酸2-(2-アミノ-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-プリン-9-イルメトキシ)-エチルエステルトリフルオロ酢酸塩の調製
【0154】

・・・
【0155】
1-アミノ-シクロプロパンカルボン酸2-(2-アミノ-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-プリン-9-イルメトキシ)-エチルエステルの調製
【0156】

・・・
【0157】
バラシクロビルおよび1-アミノ-シクロプロパンカルボン酸2-(2-アミノ-6-オキソ-1,6-ジヒドロ-プリン-9-イルメトキシ)-エチルエステルトリフルオロ酢酸塩の加水分解安定性
・・・
【0159】
半減期の計算
化合物サンプルのピーク面積は、24時間にわたって、2時間間隔でモニターする。化合物サンプルのピーク面積は、試験した緩衝液の各々について、時間に対してプロットする。一次計算は、時間に対するピークの喪失に基づいて、各緩衝液についての速度定数を決定するために使用する。時間で表した半減期は、速度定数(k)で0.693を除算することによって計算する。t1/2(時間)=0.693/k。結果を表6に示す。
【0160】

・・・」

3.その他の引用文献について
拒絶査定において周知技術を示す文献として引用された引用文献3?5には、それぞれ、シクロオキシゲナーゼ阻害剤としてジクロフェナクが記載されている(引用文献3:請求項5、引用文献4:段落【0020】、引用文献5:請求項7)。


第6 対比・判断
1.本願発明1について
(1-1)引用発明1との対比
本願発明1と引用発明1とを対比すると、次のことがいえる。

引用発明1における「抗単純ヘルペス・ウイルス剤」は、本願発明1における「抗ウイルス成分」に相当する。また、引用発明1における「シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤」は、本願発明1における「COX-2インヒビター成分」に相当する。
そして、引用発明1に記載された「単純ヘルペス・ウイルス感染症」と、本願発明1における「線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群」はいずれも疾患の一種であると認められる。

したがって、本願発明1と引用発明1とは、次の一致点及び相違点があると認められる。

(一致点)
「疾患を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、
抗ウイルス成分とCOX-2インヒビター成分との組み合わせを含む、前記医薬組成物。」

(相違点)
(相違点1)
本願発明1の疾患は、「線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群」であるのに対し、引用発明1ではそれが単純ヘルペス・ウイルス感染症である点。

(相違点2)
本願発明1の「抗ウイルス成分とCOX-2インヒビター成分との組み合わせ」は、「ファムシクロビルとメロキシカム、ファムシクロビルとジクロフェナク、バラシクロビルとセレコキシブ及びアシクロビルとセレコキシブからなる群から選ばれる」ものであるのに対し、引用発明1では、そのような組み合わせに特定されていない点。

(相違点3)
本願発明1は、「抗ウイルス成分とCOX-2インヒビター成分との組み合わせ」を、「治療上有効な共作用組合せ投与量」で含み、「前記抗ウイルス成分の量が、125mg?2000mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在し、前記COX-2インヒビター成分は、7.5mg?800mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在する」のに対して、引用発明1では、そのような特定がない点。

(1-2)引用発明1との相違点についての判断
(1)相違点1及び相違点2について
確かに引用文献2には、「ヘルペスウイルスの活性、ならびにそのウイルスに対する身体の反応、特に、免疫系の応答および種々の神経、特に交感神経鎖の活動の変化に部分的に関連付けられている。本願に記載されている研究以前の知識の現状は、多くの異なる名称を有するこれらの多くの状態を生じ、多くは「自己免疫」疾患として存在するか、または「自己免疫」疾患と関連し、これらのことは、現在の知識では、原因が不明であることを意味する。このような状態には、特に、線維筋痛または過敏性腸症候群を含む重篤な慢性疼痛を伴うもの、ならびに以後本明細書中で議論される、組織損傷および臓器不全を含む他の名称で引用される多くの他の疾患および状態が含」まれる旨が記載されており(記載事項2-1)、当該記載から、ヘルペス・ウイルスの活性、並びにそのウイルスに対する身体の反応、特に免疫系の応答及び種々の神経、特に交感神経鎖の活動の変化に関連づけられる状態の一つとして、繊維筋痛(線維筋痛症を意味すると認められる。)や過敏性腸症候群があることが記載されていることは認められるが、実際に、ヘルペス・ウイルスに有効な抗ウイルス化合物を用いることにより、線維筋痛症や過敏性腸症候群を治癒できたことなどは何ら具体的に記載されておらず、実施例では、バラシクロビルと特定の抗ウイルス化合物について半減期を指標に加水分解安定性を確認しているのみである(記載事項2-2)。
また、引用文献1には、抗単純ヘルペス・ウイルス剤の例として、ファムシクロビル、バラシクロビル、アシクロビルが挙げられ、また、シクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤の例として、ミロキシカム(メロキシカムと同義。)、ジクロフェナク、セレコキシブが挙げられ、さらに、抗単純ヘルペス・ウイルス剤とシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤との組み合わせの例として、バラシクロビルとセレコキシブ、アシクロビルとセレコキシブ、ファムシクロビルとメロキシカムも挙げられていることは認められるが(記載事項1-1、記載事項1-3)、上述のとおり、これは膨大な数の薬物の組み合わせの例示の中の一部にすぎず、引用文献1において何らの薬物の組み合わせを用いた具体的な実施例の結果などは示されていない。
そうすると、引用文献1及び引用文献2の記載を併せ見ても、引用発明1の単純ヘルペス・ウイルス感染症のための医薬組成物において用いられる抗単純ヘルペス・ウイルス剤とシクロオキシゲナーゼ-2選択阻害剤との組み合わせとして、「ファムシクロビルとメロキシカム、ファムシクロビルとジクロフェナク、バラシクロビルとセレコキシブ及びアシクロビルとセレコキシブからなる群から選ばれる」組み合わせといった特定の組み合わせを選択し、それを線維筋痛症や過敏性腸症候群という特定の疾患の治療のために用いた場合に、当該線維筋痛症や過敏性腸症候群の治療をできるものと当業者が想到することは困難であったと解される。
特に特定の組み合わせを選択することの困難性については、審判請求人が平成30年6月18日付けで提出した手続補足書において、エトリコキシブといったCOX-2選択的阻害剤であっても、線維筋痛症に対してプラセボと治療効果に差がないことが示されており、COX-2選択的阻害剤であったとしても、必ず線維筋痛症に有効であるとは限らないことが認められる。それゆえ、この点からも、本願発明1の「ファムシクロビルとメロキシカム、ファムシクロビルとジクロフェナク、バラシクロビルとセレコキシブ及びアシクロビルとセレコキシブからなる群から選ばれる」特定の組み合わせが、特定の疾患である「線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群」の治療に実際に有効であることは、当業者が予測することが困難であったことが認められる。

一方、本願明細書には、抗ウイルス成分であるファムシクロビルとCOX-2インヒビター成分であるセレコキシブを組み合わせて用いたときに線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群に対する優れた治療効果を発揮することが具体的に記載されている(実施例A)。そして、本願明細書には、バラシクロビルとアシクロビルがファムシクロビルと同様に用いることができ(段落【0106】?【0112】)、また、メロキシカムとジクロフェナクがセレコキシブと同様に用いることができることが記載されているから(段落【0116】?【0122】、及び【0178】?【0184】)、「ファムシクロビルとメロキシカム、ファムシクロビルとジクロフェナク、バラシクロビルとセレコキシブ及びアシクロビルとセレコキシブからなる群から選ばれる」組み合わせについても、線維筋痛症、慢性疲労症候群、及び過敏性腸症候群に対する治療効果があるものと認めることができ、この点は、審判請求人が平成29年12月13日付けで提出した審判請求書の手続補正書(方式)の「(4-2)本願発明が顕著な効果を奏すること」の項において示された、2013年に実施されたオープンラベル試験において得られた「ファムシクロビルとメロキシカム、ファムシクロビルとジクロフェナク、バラシクロビルとセレコキシブ及びアシクロビルとセレコキシブ」の組み合わせでその投与量と症状の軽減を示した具体的なデータによっても裏付けられているところである。
したがって、上記相違点3について判断するまでもなく、本願発明1は、引用文献1に記載の事項、並びに、引用文献2に記載の事項及び引用文献3?5に記載された本願出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(2)小括
よって、本願発明1は、引用文献1に記載の事項、並びに、引用文献2に記載の事項及び引用文献3?5に記載された本願出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本願発明2?14について
本願発明2?7は、それぞれ、本願発明1を、抗ウイルス成分又はCOX-2インヒビター成分の一日総用量についてさらに限定したものであり、本願発明8?11は、抗ウイルス成分とCOX-2インヒビター成分との組み合わせとそれらの一日総用量についてさらに限定したものであり、本願発明12?14は、治療の対象となる疾病についてさらに限定したものであるから、上記1で述べた理由と同じ理由により、引用文献1に記載の事項、並びに、引用文献2に記載の事項及び引用文献3?5に記載された本願出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本願発明15について
本願発明15は、本願発明1と同じ組み合わせの有効成分を同用量で含み、且つ、同じ疾患を対象とした治療用キットの発明であるから、上記1で述べた理由と同じ理由により、引用文献1に記載の事項、並びに、引用文献2に記載の事項及び引用文献3?5に記載された本願出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本願発明16及び17について
本願発明16及び17は、本願発明15を、治療の対象となる疾病についてさらに限定したものであるから、上記3で述べた理由と同じ理由により、引用文献1に記載の事項、並びに、引用文献2に記載の事項及び引用文献3?5に記載された本願出願時の周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。


第7 原査定について
1.理由(特許法第29条第2項)について
審判請求時の補正により、本願発明1?14は「線維筋痛症、慢性疲労症候群、又は過敏性腸症候群を治療するための医薬組成物であって、前記医薬組成物は、
治療上有効な共作用組合せ投与量で、ファムシクロビルとメロキシカム、ファムシクロビルとジクロフェナク、バラシクロビルとセレコキシブ及びアシクロビルとセレコキシブからなる群から選ばれる抗ウイルス成分とCOX-2インヒビター成分との組み合わせを含み、
前記抗ウイルス成分の量は、125mg?2000mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在し、
前記COX-2インヒビター成分は、7.5mg?800mgの範囲の一日総用量で提供されるための単位投与剤形で存在する、
前記医薬組成物。」との事項を有するものとなっている。
また、本願発明15?17の薬物組み合わせ治療用キットは、本願発明1?14と同様の事項を有するものとなっている。そうすると、拒絶査定において引用された引用文献1?5に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、原査定の理由を維持することはできない。


第8 むすび
以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2018-09-10 
出願番号 特願2015-240353(P2015-240353)
審決分類 P 1 8・ 537- WY (A61K)
P 1 8・ 121- WY (A61K)
最終処分 成立  
前審関与審査官 六笠 紀子  
特許庁審判長 田村 聖子
特許庁審判官 井上 明子
阪野 誠司
発明の名称 ファムシクロビルとセレコキシブとの組合せを含む、機能性身体症候群のための抗ウイルス化合物とCOX-2インヒビターとの組合せ療法  
代理人 箱田 満  
代理人 大森 規雄  
代理人 小林 浩  
代理人 鈴木 康仁  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ