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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 H01L
審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 H01L
管理番号 1343778
審判番号 不服2017-5501  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-10-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-04-18 
確定日 2018-09-04 
事件の表示 特願2015- 86593「裏面モールド構成(BSMC)の使用によるパッケージの反りおよび接続の信頼性を向上させるためのプロセス」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 8月 6日出願公開、特開2015-144317〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本願は、平成23年5月19日(優先権主張 2010年5月20日、2010年9月15日 米国(US))に出願した特願2013-510368号の一部を平成26年7月3日に出願した特願2014-137591号の一部を平成27年4月21日に新たに特許出願したものであって、同年4月23日に手続補正がなされ、平成28年1月13日付け拒絶理由通知に対して同年7月14日付けで手続補正がなされたが、同年12月12日付けで拒絶査定がなされた。これに対し、平成29年4月18日付けで拒絶査定不服審判が請求されるとともに手続補正がなされたものである。

第2 平成29年4月18日付けの手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成29年4月18日付けの手続補正を却下する。

[理由]
1 本件補正
平成29年4月18日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、特許請求の範囲についてするものであり、
本件補正前に、
「【請求項1】
パッケージング基板と、
前記パッケージング基板の第1の側面上の誘電体と、
前記誘電体上に直接配置される第1のモールド材料と、
前記第1のモールド材料および前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第1のパッケージング接続部と、
前記パッケージング基板の前記第1の側面の反対側の前記パッケージング基板の第2の側面上に配置される第2のモールド材料と、
前記第2のモールド材料によって囲まれ、前記パッケージング基板に結合されるダイと、
を含む装置。
【請求項2】
前記第1のモールド材料が前記第1のパッケージング接続部を囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記誘電体がはんだレジストを含み、
前記第1のモールド材料は、前記装置が前記第1のモールド材料と前記はんだレジストとの間に介在層を有さないように、前記はんだレジストと直接接触している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ダイがベアダイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
パッケージングされた集積回路が、前記パッケージングされた集積回路に電気的に結合された前記第1のパッケージング接続部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
携帯電話、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、コンピュータ、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、ポータブルデータユニット、および/または固定ロケーションデータユニットに組み込まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のモールド材料および前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第2のパッケージング接続部をさらに含み、前記第1のモールド材料および前記誘電体が、前記第1のパッケージング接続部と前記第2のパッケージング接続部との間に配置され、前記第1のパッケージング接続部と前記第2のパッケージング接続部とを囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
パッケージング基板と、
前記パッケージング基板の第1の側面上の誘電体と、
前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第1のパッケージング接続部と、
前記パッケージング基板の前記第1の側面上のパッケージング接続部の信頼性のための手段であって、前記第1のパッケージング接続部を囲み、前記誘電体上に直接配置される、前記パッケージング接続部の信頼性の手段と、
ダイと前記パッケージング基板との間の接続の信頼性のための手段であって、前記ダイが前記パッケージング基板の前記第1の側面の反対側の前記パッケージング基板の第2の側面上の接続の信頼性の手段によって囲まれる、手段と、
を含む装置。
【請求項9】
前記誘電体がはんだレジストを含み、
前記パッケージング基板の前記第1の側面上の前記パッケージング接続部の信頼性のための手段は、前記装置が前記パッケージング基板の前記第1の側面上の前記パッケージング接続部の信頼性のための手段と前記はんだレジストとの間に介在層を有さないように、前記はんだレジストと直接接触している、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
携帯電話、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、コンピュータ、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、ポータブルデータユニット、および/または固定ロケーションデータユニットに組み込まれる、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第2のパッケージング接続部をさらに含み、前記パッケージング接続部の信頼性の手段および前記誘電体が、前記第1のパッケージング接続部と前記第2のパッケージング接続部との間に配置され、前記第1のパッケージング接続部と前記第2のパッケージング接続部とを囲む、請求項8に記載の装置。」
とあったところを、

本件補正により、
「【請求項1】
パッケージング基板と、
前記パッケージング基板の第1の側面上の誘電体と、
前記誘電体上に直接配置される第1のモールド材料と、
前記第1のモールド材料および前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第1のパッケージング接続部と、
前記パッケージング基板の前記第1の側面の反対側の前記パッケージング基板の第2の側面上に配置される第2のモールド材料と、
前記第2のモールド材料によって囲まれるダイであって、前記第2のモールド材料を直接通り抜けることなく前記パッケージング基板に電気的に結合するように構成された、ダイと、
を含む装置。
【請求項2】
前記第1のモールド材料が前記第1のパッケージング接続部を囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記誘電体がはんだレジストを含み、
前記第1のモールド材料は、前記装置が前記第1のモールド材料と前記はんだレジストとの間に介在層を有さないように、前記はんだレジストと直接接触している、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記ダイがベアダイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
パッケージングされた集積回路が、前記パッケージングされた集積回路に電気的に結合された前記第1のパッケージング接続部を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
携帯電話、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、コンピュータ、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、ポータブルデータユニット、および/または固定ロケーションデータユニットに組み込まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第1のモールド材料および前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第2のパッケージング接続部をさらに含み、前記第1のモールド材料および前記誘電体が、前記第1のパッケージング接続部と前記第2のパッケージング接続部との間に配置され、前記第1のパッケージング接続部と前記第2のパッケージング接続部とを囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
パッケージング基板と、
前記パッケージング基板の第1の側面上の誘電体と、
前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第1のパッケージング接続部と、
前記パッケージング基板の前記第1の側面上のパッケージング接続部の信頼性のための手段であって、前記第1のパッケージング接続部を囲み、前記誘電体上に直接配置される、前記パッケージング接続部の信頼性の手段と、
ダイと前記パッケージング基板との間の電気的接続の信頼性のための手段であって、前記ダイが前記パッケージング基板の前記第1の側面の反対側の前記パッケージング基板の第2の側面上の電気的接続の信頼性の手段によって囲まれ、電気的接続が電気的接続の信頼性のための手段を直接通り抜けない、手段と、
を含む装置。
【請求項9】
前記誘電体がはんだレジストを含み、
前記パッケージング基板の前記第1の側面上の前記パッケージング接続部の信頼性のための手段は、前記装置が前記パッケージング基板の前記第1の側面上の前記パッケージング接続部の信頼性のための手段と前記はんだレジストとの間に介在層を有さないように、前記はんだレジストと直接接触している、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
携帯電話、セットトップボックス、音楽プレーヤ、ビデオプレーヤ、エンターテインメントユニット、ナビゲーションデバイス、コンピュータ、ハンドヘルドパーソナル通信システム(PCS)ユニット、ポータブルデータユニット、および/または固定ロケーションデータユニットに組み込まれる、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第2のパッケージング接続部をさらに含み、前記パッケージング接続部の信頼性の手段および前記誘電体が、前記第1のパッケージング接続部と前記第2のパッケージング接続部との間に配置され、前記第1のパッケージング接続部と前記第2のパッケージング接続部とを囲む、請求項8に記載の装置。」
とするものである。なお、下線は補正箇所を示す。

上記補正の内容は、本件補正前の請求項1及び8の「ダイ」について、「第2のモールド材料を直接通り抜けることなくパッケージ基板に電気的に結合するように構成された」こと(本件補正の請求項1)、「電気的接続が電気的接続の信頼性のための手段を直接通り抜けない」こと(本件補正の請求項8)を限定し、また、本件補正前の請求項8の「接続」について「電気的接続」に限定したものである。

よって、本件補正は、補正前の請求項に記載された発明を特定するために必要な事項の限定を目的にするものであるから、特許法第17条の2第5項第2号に掲げる事項を目的とするものに該当する。

そこで、本件補正の請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項に規定する要件を満たすか)否かについて以下検討する。

2 引用文献
原査定の拒絶の理由に引用された米国特許出願公開第2008/0290513号明細書(2008年11月27日公開。以下「引用文献」という。)には、「SEMICONDUCTOR PACKAGE HAVING MOLDED BALLS AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME」に関して、図面と共に以下の事項が記載されている。なお、仮訳及び下線は当審で付けた。

ア.「[0021] FIGS. 3A and 3B are cross-sectional views of a semiconductor package 300 according to an embodiment of the present invention. Referring to FIGS. 3A and 3B, the semiconductor package 300 includes a substrate 310 and a semiconductor chip 340 mounted on the substrate 310. The substrate 310 may include a printed circuit board (PCB). The substrate 310 may be a tape substrate. The semiconductor chip 340 is mounted on an upper surface of the substrate 310 using an adhesive 350, and pads of the semiconductor chip 340 are electrically connected via wires 360 to circuit patterns (not shown) arranged on the upper surface of the substrate 310.」
仮訳:図3A及び図3Bは、本発明の実施の形態に係る半導体パッケージ300の断面図である。半導体パッケージ300は、基板310と前記基板310に実装された半導体チップ340を備えている。基板310はプリント回路基板(PCB)を含むことができる。基板310は、テープ基板であってもよい。半導体チップ340は、接着剤350を用いて基板310の上面に実装され、半導体チップ340のパッドは、ワイヤ360を介して基板310の上面に配置された回路パターン(図示せず)に電気的に接続される。

イ.「[0022] A plurality of circuit patterns 315 are formed on a lower surface of the substrate 310, and external contact terminals 330 are arranged on the circuit patterns 315. The external contact terminals 330 may include solder balls. The substrate 310 may further include circuit wirings (not shown) to electrically connect the circuit patterns arranged on the upper surface to the circuit patterns 315 arranged on the lower surface. An insulating layer 320 is formed on the lower surface of the substrate 310. The insulating layer 320 functions as a solder mask layer when external contact terminals 330 are formed. The insulating layer 320 may include a photo solder resist (PSR). The insulating layer 320 may include openings 321 or 323 exposing at least portions of the circuit patterns 315. The openings 321 may expose upper surfaces or lateral surfaces of the circuit patterns 315 and the openings 323 may expose portions of the upper surfaces of the circuit patterns 315.」
仮訳:基板310の下面には複数の回路パターン315が形成されており、前記回路パターン315上に外部接続端子330が配置されている。外部接続端子330は、はんだボールを含むことができる。基板310は、上面に配置された回路パターンと下面に配置された回路パターン315とを電気的に接続する回路配線(図示せず)をさらに含むことができる。基板310の下面には絶縁層320が形成されている。外部接続端子330を形成する際に、絶縁層320ははんだマスク層として機能する。絶縁層320は、フォトソルダーレジスト(PSR)を含むことができる。絶縁層320は、回路パターン315の少なくとも一部を露出する開口部321、323を含むことができる。開口部321は、回路パターン315の上面または側面を露出させ、開口部323は、回路パターン315の上面の一部を露出させることができる。

ウ.「[0023] A first sealing portion, or encapsulant, 370 is formed on the upper surface of the substrate 310 to coat the semiconductor chip 340 and the wires 360. The first sealing portion 370 may include an epoxy molding compound. A second sealing portion, or encapsulant, 380 is formed on the lower surface of the substrate 310 to partially surround the external contact terminals 330. The second sealing portion 380 may include epoxy molding compound. The second sealing portion 380 can be formed such that a portion of the external contact terminals 330 are exposed so that the second sealing portion 380 and a package mounting substrate (not shown), such as a mother board, can be electrically connected. The thickness of the second sealing portion 380 may be about half or less of the height of the external contact terminals. The second sealing portion 380 may substantially surround a portion of the external contact terminals 330 in order to mitigate stress applied to the external contact terminals. In particular, the second sealing portion 380 can be completely buried in the openings 321, as illustrated in FIG. 3A, thereby surrounding a portion of the external contact terminals 330 and mitigating stress. More specifically, the second sealing portion 380 substantially surrounds a portion of the external contact terminals 330 that is in the vicinity of where the external contact terminals 330 contact the circuit patterns 315. Thus, the second sealing portion 380 adds mechanical stability to the connection between the circuit patterns 315 and the external contact terminals 330.」
仮訳:基板310の上面には、半導体チップ340及びワイヤ360を覆う第1封止部370が形成されている。第1封止部370は、エポキシ成形化合物を含むことができる。基板310の下面には、外部接続端子330を部分的に取り囲むように第2封止部380が形成されている。第2封止部380は、エポキシ成形化合物を含むことができる。第2封止部380は、マザーボード等のパッケージ実装基板(図示せず)と電気的に接続する外部接続端子330の一部が露出するように形成することができる。第2封止部380の厚さは、外部接続端子の高さの半分以下であってもよい。第2封止部380は、外部接続端子にかかる応力を緩和させるために、外部接続端子330の一部を取り囲んでもよい。具体的には、第2封止部380は、開口部321に埋め込むことができ、図3Aに示すように、外部接続端子330の一部を取り囲み応力を緩和させる。より具体的には、第2封止部380は、外部接続端子330が回路パターン315と接続する付近において外部接続端子330の一部取り囲んでいるから、回路パターン315と外部接続端子330との接続に機械的安定性を付加する。

エ.「[0024] The semiconductor chip 340 may also be electrically connected to the substrate 310 by arranging connection terminals, or solder balls, on the semiconductor chip 340, rather than via the wires 360. Also, the semiconductor package 300 may have a multi-chip package (MCP) structure or a package-on-package (POP) structure.」
仮訳:半導体チップ340は、ワイヤ360を介するのではなく、接続端子、はんだボールを配置することによって、基板310と電気的に接続されてもよい。また、半導体チップ340は、マルチチップパッケージ(MCP)構造又はパッケージオンパッケージ(POP)構造であってもよい。

上記アないしエから、引用文献には以下の事項が記載されている。
上記ア及びイによれば、基板は、プリント回路基板(PCB)を含むものであって、上面と下面それぞれに回路パターンが形成されている。
上記アによれば、半導体チップは、基板の上面に接着剤を用いて実装され、基板の上面の回路パターンに電気的に接続されている。そして、上記エによれば、半導体チップは、ワイヤを介するのではなく、はんだボールによって基板と電気的に接続されているものである。
上記イによれば、基板の下面に、回路パターンの一部を露出させる開口部を備えた絶縁層が形成されている。また、上記ウ及びFIG.3Bによれば、基板の下面の絶縁層よりさらに下側には、エポキシ成形化合物である第2封止部が形成されている。
上記イ及びウによれば、はんだボールからなる外部接続端子は、基板の下面の回路パターンに接続されており、一部が第2封止部から露出している。
上記ウによれば、基板の上面には、半導体チップを覆うエポキシ成形化合物である第1封止部が形成されている。

そうすると、上記摘示事項及び図面(特にFIG.3B)を総合勘案すると、引用文献の「SEMICONDUCTOR PACKAGE(半導体パッケージ)」には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。

「プリント回路基板(PCB)を含み、上面と下面それぞれに回路パターンが形成された基板と、
基板の上面に接着剤を用いて実装され、ワイヤを介するのではなく、はんだボールによって基板の上面の回路パターンに電気的に接続される半導体チップと、
基板の下面に形成された回路パターンの一部を露出させる開口部を備えた絶縁層と、
基板の下面の絶縁層よりさらに下側に形成されたエポキシ成形化合物の第2封止部と、
基板の下面の回路パターンに接続し、一部が第2封止部から露出した、はんだボールからなる外部接続端子と、
基板の上面に形成された半導体チップを覆うエポキシ成形化合物の第1封止部と、
を含む半導体パッケージ。」


3 対比・判断
そこで、本願補正発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「基板」は、半導体パッケージで用いるものであるから、本願補正発明の「パッケージング基板」に相当する。

(2)引用発明の「基板の下面に形成された・・・絶縁層」は、本願補正発明の「前記パッケージング基板の第1の側面上の誘電体」に相当する。

(3)引用発明の「基板の下面の絶縁層よりさらに下側に形成されたエポキシ成形化合物の第2封止部」は、引用文献の明細書の記載や図面を参照しても、絶縁層と第2封止部との間に何かが形成されているわけではなく、絶縁層に直接第2封止部が形成されているといえるから、本願補正発明の「前記誘電体上に直接配置される第1のモールド材料」に相当する。

(4)引用発明の「基板の下面の回路パターン」は、本願補正発明の「前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッド」に相当する。そして、引用発明の「はんだボールからなる外部接続端子」は、絶縁層の開口部から露出した(基板の下面の)回路パターンと接続されており、また、外部接続端子330の一部が第2封止部から露出しているから(FIG.3Bを合わせて参照。)、絶縁層と第2封止部を貫通しているのは明らかである。
よって、引用発明の「基板の下面の回路パターンに接続し、一部が第2封止部から露出した、はんだボールからなる外部接続端子」は、本願補正発明の「前記第1のモールド材料および前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第1のパッケージング接続部」に相当する。

(6)引用発明の「基板の上面に形成された・・・エポキシ成形化合物の第1封止部」は、本願補正発明の「前記パッケージング基板の前記第1の側面の反対側の前記パッケージング基板の第2の側面上に配置される第2のモールド材料」に相当する。

(7)引用発明の「半導体チップ」は、本願補正発明の「ダイ」に相当する。よって、引用発明の「基板の上面に形成された半導体チップを覆うエポキシ成形化合物の第1封止部」は、本願補正発明の「前記第2のモールド材料によって囲まれるダイ」に相当する構成を含んでいる。
そして、引用発明の「半導体チップ」は、ワイヤを介するのではなく、はんだボールによって基板と接続されるところ、この場合の構成としては、半導体チップの下側の面と基板の上面とが接続されるのが自然である。そうすると、半導体チップと基板との接続は、第1封止部(本願補正発明の「第2のモールド材料」に相当。)が形成された箇所ではなく、接着剤が形成された箇所で行われるものである。
したがって、引用発明の「基板の上面に接着剤を用いて実装され、ワイヤを介するのではなく、はんだボールによって基板の上面の回路パターンに電気的に接続される半導体チップ」は、本願補正発明の「前記第2のモールド材料を直接通り抜けることなく前記パッケージング基板に電気的に結合するように構成された、ダイ」に相当する。

(8)引用発明の「半導体パッケージ」は、パッケージ基板、誘電体、モールド材料、パッケージ接続部、ダイを含むものであるから、本源補正発明の「装置」に相当する。

そうすると、本願補正発明と引用発明とは、以下の点で一致し、相違する点はない。

<一致点>
「パッケージング基板と、
前記パッケージング基板の第1の側面上の誘電体と、
前記誘電体上に直接配置される第1のモールド材料と、
前記第1のモールド材料および前記誘電体を貫通して前記パッケージング基板の前記第1の側面上のコンタクトパッドに結合される第1のパッケージング接続部と、
前記パッケージング基板の前記第1の側面の反対側の前記パッケージング基板の第2の側面上に配置される第2のモールド材料と、
前記第2のモールド材料によって囲まれるダイであって、前記第2のモールド材料を直接通り抜けることなく前記パッケージング基板に電気的に結合するように構成された、ダイと、
を含む装置。」

したがって、本願補正発明は、引用発明と実質同一である。

仮に、引用発明の「半導体チップ」と「基板」とが、ワイヤを介するのではなく、はんだボールによって接続されても、接着剤が形成された箇所で行われないとすると、ダイについて、本願補正発明は「前記第2のモールド材料を直接通り抜けることなく前記パッケージング基板に電気的に結合するように構成」するのに対し、引用発明はその旨の特定がされていない点で相違する(以下、「仮の相違点」という)。
この点について検討すると、ダイと基板の接続をはんだボールで行う場合、ダイと基板の間のみで接続を行うことは、例えば原査定の拒絶の理由に引用された特開2009-94195号公報(図2等を参照。)、国際公開第2010/029726号(図1等を参照。)、特開2009-105126号公報(背景技術を説明した段落【0002】?【0003】、図2を参照。)に記載されているように周知の技術事項である。
よって、引用発明の「はんだボールによって基板の上面の回路パターンに電気的に接続される半導体チップ」において、周知の技術事項を採用して仮の相違点の構成とすることは、当業者が容易になし得たことである。
したがって、本願補正発明は、引用発明、及び周知の技術事項により当業者が容易になし得たものである。

4 むすび
以上のとおり、本願補正発明は、引用文献に記載された発明と同一であるか、仮に相違点があったとしても、引用文献に記載された発明及び周知の技術事項により当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第1項第3号または特許法第29条第2項の規定により、特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、特許法第17条の2第6項において準用する同法第126条第7項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。


第3 本願発明について

1 本願発明
平成29年4月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1ないし11に係る発明は、平成28年7月14日付けの手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし11に記載された事項により特定されたものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、上記「第2 [理由]1」に本件補正前の請求項1として記載したとおりのものである。

2 引用文献
原査定の拒絶の理由で引用された引用文献及びその記載事項は、上記「第2 [理由]2」に記載したとおりである。

3 対比・判断
本願発明は、上記「第2」で検討した本願補正発明の「前記第2のモールド材料を直接通り抜けることなく前記パッケージング基板に電気的に結合するように構成された、ダイ」の限定(以下、「本願補正発明の限定事項」という。)を削除したものである。
ここで、本願補正発明の限定事項は、上記「第2 [理由]3」で記載したとおり、引用発明との対比において一致点または仮の相違点とした事項である。
そうすると、本願補正発明から本願補正発明の限定事項を除いた本願発明は、上記「第2 [理由]3」に記載したとおり、引用文献に記載された発明との相違点が認められないので、引用文献に記載された発明と実質同一である。

なお、審判請求人は、平成29年11月2日付け上申書において、請求項1及び請求項8の補正案を提示している。そこで、請求項1の補正案について、以下検討する。
「前記第2のモールド材料によって密封されるダイ」(下線が補正箇所)については、引用文献の段落[0023]及びFIG.3B(第1封止部370に注目。)に対応する構成が記載されている。
また、「前記コンタクトパッドの少なくとも一部が、前記パッケージング基板に含まれる」ことは、引用文献の段落[0021]ないし[0022]に記載されているように、引用文献の基板もプリント基板を含んでおり、その上面及び下面に回路パターンが形成されているので、文言上コンタクトパッドが基板に含まれているものである。
よって、審判請求人の主張(補正案)は、引用文献に記載されたものであるから、これを採用することはできない。

4 むすび
以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-04-04 
結審通知日 2018-04-09 
審決日 2018-04-20 
出願番号 特願2015-86593(P2015-86593)
審決分類 P 1 8・ 113- Z (H01L)
P 1 8・ 121- Z (H01L)
P 1 8・ 575- Z (H01L)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石坂 博明麻川 倫広鈴木 駿平  
特許庁審判長 森川 幸俊
特許庁審判官 國分 直樹
酒井 朋広
発明の名称 裏面モールド構成(BSMC)の使用によるパッケージの反りおよび接続の信頼性を向上させるためのプロセス  
代理人 黒田 晋平  
代理人 村山 靖彦  
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