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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G08B
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  G08B
管理番号 1343857
異議申立番号 異議2017-700931  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-09-29 
確定日 2018-07-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6103974号発明「発信機用アダプタおよび該発信機用アダプタを用いた発信機の取付方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6103974号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-4、6、7〕及び5について訂正することを認める。 特許第6103974号の請求項1、4、5に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第6103974号の請求項1?7に係る特許についての出願は、平成25年2月15日に特許出願され、平成29年3月10日に特許権の設定登録がされ(特許公報発行日平成29年3月29日)、その後、その特許について平成29年9月29日に特許異議申立人間島千晶(以下、「特許異議申立人」という。)より請求項1、4及び5に対して特許異議の申立てがされ、平成29年12月27日付けで取消理由が通知され、平成30年3月9日意見書の提出及び訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)がされ、平成30年3月29日付けの訂正請求があった旨の通知に対し、特許異議申立人からは意見書の提出はなかったものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は以下のとおりである(下線は訂正箇所である。)。
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が、前記取付部の背面側に凹陥してなることを特徴とする発信機用アダプタ。」と記載されているのを、「発信機本体部と押ボタン格納部を有し、前記押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が、前記取付部の背面側に位置して凹陥してなることを特徴とする発信機用アダプタ。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項4も同様に訂正する。)。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2に「前記取付部が前記本体部から外方に張り出すフランジ部からなり、別部材としてドーナツ板からなる取付リングを備えてなり、該取付リングは前記フランジ部と協働して前記取付面を挟持可能になっていることを特徴とする請求項1に記載の発信機用アダプタ。」とあるのを、「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が、前記取付部の背面側に凹陥してなり、前記取付部が前記本体部から外方に張り出すフランジ部からなり、別部材としてドーナツ板からなる取付リングを備えてなり、該取付リングは前記フランジ部と協働して前記取付面を挟持可能になっていることを特徴とする発信機用アダプタ。」に訂正する(請求項2の記載を引用する請求項4及び6も同様に訂正する。)。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「前記取付部が前記本体部から外方に張り出すフランジ部からなり、別部材として円環状からなり内周面に雌ねじ部が設けられた円環部材を有し、前記本体部は、外周面に前記円環部材が螺合可能な雄ねじ部が形成された円筒部を備えていること特徴とする請求項1に記載の発信機用アダプタ。」とあるのを、「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が、前記取付部の背面側に凹陥してなり、前記取付部が前記本体部から外方に張り出すフランジ部からなり、別部材として円環状からなり内周面に雌ねじ部が設けられた円環部材を有し、前記本体部は、外周面に前記円環部材が螺合可能な雄ねじ部が形成された円筒部を備えていること特徴とする発信機用アダプタ。」に訂正する(請求項3の記載を引用する請求項4及び7も同様に訂正する。)。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項5に「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が点灯して表示灯として機能することを特徴とする発信機用アダプタ。」と記載されているのを、「箱状の発信機本体部と押ボタン格納部を有し、前記押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する矩形筒状の本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が点灯して表示灯として機能することを特徴とする発信機用アダプタ。」に訂正する。

(2)訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無および特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1に係る発明の「発信機」について「発信機本体部と押ボタン格納部を有し」との限定を付加し、また、請求項1に係る発明の「本体部」について「該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する本体保持部とを有し」及び「前記取付部の背面側に位置して」との限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項1は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
さらに、訂正事項1による限定は、願書に添付した明細書の段落【0018】及び【0028】に記載されているから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
イ 訂正事項2について
訂正事項2は、訂正前の請求項2の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、当該請求項1の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項2は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、かつ願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
ウ 訂正事項3について
訂正事項3は、訂正前の請求項3の記載が訂正前の請求項1の記載を引用する記載であったものを、当該請求項1の記載を引用しないものとすることを目的とするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものである。
そして、訂正事項3は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものであり、かつ願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
エ 一群の請求項について
訂正前の請求項1?4、6及び7について、請求項2?4、6及び7はそれぞれ訂正の請求の対象である請求項1を直接的または間接的に引用する関係にあるから、訂正前において一群の請求項に該当するものである。
したがって、訂正事項1?3は、一群の請求項ごとにされたものであり、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。
オ 訂正事項4について
訂正事項4は、請求項4に係る発明の「発信機」について「箱状の発信機本体部と押ボタン格納部を有し」との限定を付加し、また、請求項4に係る発明の「本体部」について「該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する矩形筒状の本体保持部とを有し」との限定を付加するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
また、訂正事項4は、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
さらに、訂正事項4による限定は、願書に添付した明細書の段落【0018】及び【0029】に記載されているから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)小括
以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正事項1?4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、特許法第120条の5第4項並びに特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項及び第6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1-4、6、7〕及び5について訂正を認める。

3.特許異議の申立てについて
(1)本件発明
本件訂正請求は上記のとおり認められるので、本件の請求項1?7に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」?「本件発明7」という。)は、その訂正後の特許請求の範囲の請求項1?7に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
発信機本体部と押ボタン格納部を有し、前記押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が、前記取付部の背面側に位置して凹陥してなることを特徴とする発信機用アダプタ。
【請求項2】
押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が、前記取付部の背面側に凹陥してなり、前記取付部が前記本体部から外方に張り出すフランジ部からなり、別部材としてドーナツ板からなる取付リングを備えてなり、該取付リングは前記フランジ部と協働して前記取付面を挟持可能になっていることを特徴とする発信機用アダプタ。
【請求項3】
押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が、前記取付部の背面側に凹陥してなり、前記取付部が前記本体部から外方に張り出すフランジ部からなり、別部材として円環状からなり内周面に雌ねじ部が設けられた円環部材を有し、前記本体部は、外周面に前記円環部材が螺合可能な雄ねじ部が形成された円筒部を備えていること特徴とする発信機用アダプタ。
【請求項4】
前記本体部が点灯して表示灯として機能することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発信機用アダプタ。
【請求項5】
箱状の発信機本体部と押ボタン格納部を有し、前記押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、前記発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する矩形筒状の本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が点灯して表示灯として機能することを特徴とする発信機用アダプタ。
【請求項6】
請求項2に記載の発信機用アダプタを用いて前記発信機を前記取付面に設けられた取付用開口部に取り付ける取付方法であって、
前記発信機を前記本体部の前記開口部に挿入して固定する工程と、前記取付用開口部を挟んで前記本体部のフランジ部を背面側に、前記取付リングを前面側にそれぞれ配置して、
前記フランジ部と前記取付リングによって前記取付面の前記取付用開口部の縁部を挟んだ状態で前記フランジ部と前記取付リングを締結する工程とを有することを特徴とする発信機の取付方法。
【請求項7】
請求項3に記載の発信機用アダプタを用いて前記発信機を前記取付面に設けられた取付用開口部に取り付ける取付方法であって、
前記発信機を前記本体部の前記開口部に挿入して固定する工程と、前記本体部を前記取付用開口部に前面側から挿入して、該挿入された前記本体部の前記円筒部に、前記円環部材を螺合させて、前記フランジ部と前記円環部材によって前記取付面の前記取付用開口部の縁部を挟持する工程とを有することを特徴とする発信機の取付方法。」

(2)取消理由の概要
訂正前の請求項1、4及び5に係る特許に対して、平成29年12月27日付けで特許権者に通知した取消理由の概要は次のとおりである。
ア 請求項1、4及び5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1、4及び5に係る特許は取り消されるべきものである。
イ 請求項1、4及び5に係る発明は、甲第2号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1、4及び5に係る特許は取り消されるべきものである。
ウ 請求項1、4及び5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1、4及び5に係る特許は取り消されるべきものである。
エ 請求項1、4及び5に係る発明は、甲第2号証に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1、4及び5に係る特許は取り消されるべきものである。
オ 請求項4に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項4に係る特許は取り消されるべきものである。

(3)各甲号証の記載事項及び発明
ア 甲第1号証(特開2011-86224号公報)の記載事項及び発明
(ア)甲第1号証には、段落【0035】、【0043】及び【0044】の記載事項がある。
また、甲第1号証の段落【0035】の「本実施形態の発信機28は通報装置扉24に設けた取付穴72の背後に取付部材74によって押し釦スイッチ80を配置」するとの記載、及び【図4】から、次の各事項が看取できるとえいる。
取付部材74は、押し釦スイッチ80を通報装置扉24に取り付けるための部材である。
取付部材74には、押し釦スイッチ80が挿入される開口部分がある。
取付部材74の通報装置扉24と接する部分は、取付部材74を通報装置扉24に取り付けるための部分である。
取付部材74の前記開口部分及び前記取付け部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分は、前記開口部に前記押し釦スイッチ80が挿入されて固定される部分である。
取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分は、取付部材74の通報装置扉24と接する部分の後方側に位置して凹陥している。
以上の記載事項及び看取事項より、甲第1号証には、本件特許の請求項1の記載ぶりに則って整理すると、次の発明(以下、「甲1発明1」という。)が記載されているといえる。

「スイッチノブ82が押し込まれることで発信信号を発信する押し釦スイッチ80を通報装置扉24に取り付けるための取付部材74であって、
前記押し釦スイッチ80が挿入される開口部分を有し、該開口部分に前記押し釦スイッチ80が挿入されて固定される、取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分と、該取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分を前記通報装置扉24に取り付けるための、取付部材74の通報装置扉24と接する部分とを有し、
前記取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分が、前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分の後方側に位置して凹陥してなる取付部材74。」

(イ)さらに、甲第1号証の段落【0042】及び【図4】から、取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分に、応答表示灯84が設けられ、ここが点灯して押し釦スイッチ80の操作に対する確認表示を行うことが看取されることを加えると、甲第1号証には、本件特許の請求項5の記載ぶりに則って整理すると、次の発明(以下、「甲1発明2」という。)が記載されているといえる。

「スイッチノブ82が押し込まれることで発信信号を発信する押し釦スイッチ80を通報装置扉24に取り付けるための取付部材74であって、
前記押し釦スイッチ80が挿入される開口部分を有し、該開口部分に前記押し釦スイッチ80が挿入されて固定される、応答表示灯84が設けられ、取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分と、該取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分を前記通報装置扉24に取り付けるための、取付部材74の通報装置扉24と接する部分とを有し、
前記応答表示灯84が設けられ、取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分が、点灯して押し釦スイッチ80の操作に対する確認表示を行う取付部材74。」

イ 甲第2号証(意匠登録第1460558号公報)の記載事項及び発明
(ア)甲第2号証の記載内容から次の各事項が看取できる。
【意匠に係る物品の説明】の記載事項並びに使用状態参考横断面図及び使用状態参考図から、「強く押す」と表記された円形状の部分には、押ボタンを有する火災信号を発信する発信機があること。
使用状態参考図より、表示灯本体は、発信機を正面板に取り付けるための機能を有すること。
【意匠に係る物品の説明】、分解参考斜視図及び使用状態参考横断面図から、表示灯本体が円筒状の開孔部分と略矩形状の開口を有すること。
【意匠に係る物品の説明】、分解参考斜視図及び使用状態参考横断面図より、発信機が前記円筒状の開口部分に挿入され固定されること。
以上の看取事項より、甲第2号証には、本件特許の請求項1の記載ぶりに則って整理すると、次の発明(以下、「甲2発明1」という。)が記載されているといえる。

「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を正面板に取り付けるための表示灯本体であって、
前記発信機が挿入される円筒状の開口部分と略矩形状の開口を有し、該円筒状の開口部分に発信機が固定される、
表示灯本体。」

(イ)さらに、【意匠に係る物品の説明】、使用状態参考横断面図及び使用状態参考図から、表示灯本体の正面の環状部分から表示灯本体の環状空間に配置された発光ダイオードの光を正面及び周囲に放射するようにして表示灯として機能することが看取されることを加えると、甲第2号証には、本件特許の請求項5の記載ぶりに則って整理すると、次の発明(以下、「甲2発明2」という。)が記載されている。

「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を正面板に取り付けるための表示灯本体であって、
前記発信機が挿入される円筒状の開口部分と略矩形状の開口を有し、該円筒状の開口部分に発信機が固定され、
前記表示灯本体が表示灯として機能する、
表示灯本体。」

(4)対比・判断
ア 本件発明1について
(ア) 甲1発明1との対比・判断
a 対比
本件発明1と甲1発明1を対比すると、甲第1号証の段落【0035】から発信信号は外部の火災受信機に送られる信号であって、火災発生を通報する信号と認められるから、甲1発明における「スイッチノブ82が押し込まれることで発信信号を発信する押し釦スイッチ80」は、本件発明1における「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機」に相当し、以下同様に、「通報装置扉24」は「取付面」に、「開口部分」は「開口部」に、「取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分」は「本体部」に、「取付部材74の通報装置扉24と接する部分」は「取付部」に、通報装置扉24の後方側は、通報装置扉24の正面側とは反対側の背面側を意味することは明らかであるから、「前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分の後方側に位置して凹陥してなる」ことは「前記本体部が、前記取付部の背面側に位置して凹陥してなる」ことに、それぞれ相当する。また、甲1発明1の「取付部材74」は、「押し釦スイッチ80を通報装置扉24に取り付けるための」部材であるから、発信機である押し釦スイッチ80を取付面である通報装置扉24に取り付けるための機能を有する取付部材という限度で本件発明1の「発信機用アダプタ」と共通する。したがって、甲1発明1の「取付部材74」は、本件発明1の「発信機用アダプタ」との対比において、「発信機用取付部材」という限度で一致する。
よって、両者は、
「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用取付部材であって、
前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、
前記本体部が、前記取付部の背面側に位置して凹陥してなる発信機用取付部材。」
である点で一致する。
そして、両者は、次の各相違点で相違する。
<相違点a1>
本件発明1は、「アダプタ」であるのに対し、甲1発明1は「取付部材74」である点。
<相違点a2>
本件発明1の「発信機」は、「発信機本体部と押ボタン格納部を有し」ており、このような発信機の構成に対応して本件発明1の「発信機用アダプタ」の「本体部」は、「該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する本体保持部とを有し」ているものであるのに対し、甲1発明1の「押し釦スイッチ80」は、発信機本体部と押ボタン格納部を有する構成ではなく、甲1発明1における取付部材74の「押し釦スイッチ80が挿入される開口部分」は、該開口部分から背面側に延出するように設けられて発信機本体部を保持する構成を有していない点。

b 判断
事案に鑑み、上記<相違点a2>について検討する。
甲1発明1の「スイッチノブ82が押し込まれることで発信信号を発信する押し釦スイッチ80」は、前方にスイッチノブ82を突出している構成であるものの(甲第1号証段落【0027】並びに【図2】及び【図4】)、スイッチノブ82を格納する構成を有するものではないし、そのような構成を示唆する記載もない。また、火災信号を発信する発信機を、発信機本体部と押ボタン格納部とから構成することが当業者にとって周知・慣用の技術であるということもできない。
そうだとすれば、甲1発明1の「スイッチノブ82が押し込まれることで発信信号を発信する押し釦スイッチ80」を、発信機本体と押ボタン格納部とからなる構成とし、それに対応して、甲1発明の「取付部材74」に、開口部分から背面側に延出するように設けられて発信機本体部を保持する本体保持部を有する構成となすことは、当業者であっても容易に想到し得ない。 したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明1、すなわち、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲1発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、特許異議申立人が提出した甲第3号証及び甲第4号証にも、上記<相違点a2>に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていない。

(イ)甲2発明1との対比・判断
a 対比
本件発明1と甲2発明1とを対比すると、甲2発明1の「正面板」が本件発明1の「取付面」に相当する。また同様に、「円筒状の開口部分と略矩形状の開口」は「開口部」に相当する。そして、甲2発明1は「表示灯本体」の「該円筒状の開口部分に発信機が固定され」ているものであるから、本件発明1の「該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部」に相当する構成を有しているといえる。
甲2発明1の「表示灯本体」は、「火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための」機能を有しているから、その機能を有する取付部材という限度で本件発明1の「発信機用アダプタ」と共通する。したがって、甲2発明1の「表示灯本体」は、本件発明1の「発信機用アダプタ」との対比において、「発信機用取付部材」という限度で一致する。
よって、両者は、
「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用取付部材であって、
前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部とを有してなる発信機用取付部材。」
という点で一致する。
そして、両者は、次の各相違点で相違する。
<相違点b1>
本件発明1は、「アダプタ」であるのに対し、甲2発明1は「表示灯本体」である点。
<相違点b2>
本件発明1の「発信機」は、「発信機本体部と押ボタン格納部を有し」ており、このような発信機の構成に対応して本件発明1の「発信機用アダプタ」は、「前記発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、前記本体部が、前記取付部の背面側に位置して凹陥してなる」構成を有するものであるのに対し、甲2発明1の「発信機」は、発信機本体部と押ボタン格納部を有する構成ではなく、また、甲2発明1の「表示灯本体」は、「該円筒状の開口部分に発信機が固定される」ものである点。

b 判断
事案に鑑み上記<相違点b2>について検討する。
甲2発明1の「発信機」は、発信機本体部と押ボタン格納部を有するものではないし、そのような構成を示唆する記載もない。また、火災信号を発信する発信機を、発信機本体部と押ボタン格納部とから構成することが当業者にとって周知・慣用の技術であるということもできない。
そうだとすれば、甲2発明1の「発信機」を、発信機本体と押ボタン格納部とからなる構成とし、それに対応して、甲2発明の「表示灯本体」における、「前記発信機が挿入される円筒状の開口部分と略矩形状の開口を有し、該円筒状の開口部分に発信機が固定され」る構成に代えて、発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて発信機本体部を保持する本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有する構成とし、さらに、前記本体部が、前記取付部の背面側に位置して凹陥してなる構成となすことは、当業者であっても容易に想到し得ない。
したがって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明1、すなわち、甲第2号証に記載された発明ではないし、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、特許異議申立人が提出した甲第3号証及び甲第4号証にも、上記<相違点b2>に係る本件発明1の構成は記載も示唆もされていない。

イ 本件発明4について
本件発明4は、本件発明1の発明特定事項をすべて備え、さらに限定構成を付加するものである。
したがって、本件発明4と甲1発明1との間には、上記ア(ア)aで述べたとおり少なくとも上記<相違点1b>が存在することになるから、上記ア(ア)bと同様の理由により、本件発明4は、甲1発明1、すなわち、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲1発明1に基いて当業者が容易に発明することができたものでもない。
また、甲第2号証には、上記<相違点1b>に係る本件発明4の構成が記載も示唆もされていないから、本件発明4は、甲1発明1及び甲第2号証に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
同じく、本件発明4と甲2発明1との間には、上記ア(イ)aで述べたとおり少なくとも上記<相違点2b>が存在することになるから、上記ア(イ)bと同様の理由により、甲2発明1、すなわち、甲第2号証に記載された発明ではないし、甲2発明1に基いて当業者が容易に発明をすることができたものでもない。

ウ 本件発明5について
(ア) 甲1発明2との対比・判断
a 対比
本件発明5と甲1発明2を対比すると、甲第1号証の段落【0035】から発信信号は外部の火災受信機に送られる信号であって、火災発生を通報する信号と認められるから、甲1発明2における「スイッチノブ82が押し込まれることで発信信号を発信する押し釦スイッチ80」は、本件発明5における「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機」に相当し、以下同様に、「通報装置扉24」は「取付面」に、「開口部分」は「開口部」に、「取付部材74の前記開口部分及び前記取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分」は「本体部」に、「取付部材74の通報装置扉24と接する部分」は「取付部」に、それぞれ相当する。
また、甲1発明2の「取付部材74」は、「押し釦スイッチ80を通報装置扉24に取り付けるための」部材であるから、発信機である押し釦スイッチ80を取付面である通報装置扉24に取り付けるための機能を有する取付部材という限度で本件発明5の「発信機用アダプタ」と共通する。したがって、甲1発明1の「取付部材74」は、本件発明5の「発信機用アダプタ」との対比において、「発信機用取付部材」という限度で一致する。
さらに、応答表示灯84が表示灯として機能していることは明らかであるから、甲1発明2の「前記応答表示灯84が設けられ、前記取付部材74の開口部分及び取付部材74の通報装置扉24と接する部分を除いた部分が点灯して押し釦スイッチ80の操作に対する確認表示を行う」ことは本件発明5の「本体部が点灯して確認灯として機能する」ことに相当する。
よって、両者は、
「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用取付部材であって、
前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、
前記本体部が点灯して確認灯として機能する発信機用取付部材。」
で一致する。
そして、両者は、次の各相違点で相違する。
<相違点c1>
本件発明5は、「アダプタ」であるのに対し、甲1発明1は「取付部材74」である点。
<相違点c2>
本件発明5の「発信機」は、「箱状の発信機本体部と押ボタン格納部を有し」ており、これに対応して本件発明5の「発信機用アダプタ」の「本体部」は、「該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する矩形筒状の本体保持部とを有し」ているものであるのに対し、甲1発明2の「押し釦スイッチ80」は、発信機本体部と押ボタン格納部を有する構成ではなく、甲1発明2における取付部材74の「押し釦スイッチ80が挿入される開口部分」は、該開口部分から背面側に延出するように設けられて発信機本体部を保持する構成を有していない点。

b 判断
事案に鑑み上記<相違点c2>について検討する。
上記<相違点c2>は、「本体保持部」の形状を「矩形筒状」とさらに限定構成を付加する点を除いて、上記ア(ア)aの<相違点a2>と実質的に同じである。
したがって、上記ア(ア)bと同様の理由により、上記<相違点c2>に係る本件発明5となすことは、当業者であっても容易に想到し得ない。
よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明5は、甲1発明2、すなわち、甲第1号証に記載された発明ではないし、甲1発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、特許異議申立人が提出した甲第3号証及び甲第4号証にも、上記<相違点c2>に係る本件発明5の構成は記載も示唆もされていない。

(イ)甲2発明2との対比・判断
a 対比
本件発明5と甲2発明2とを対比する。
甲2発明2の「正面板」は、本件発明5の「取付面」に相当する。また、甲2発明2の「円筒状の開口部分と略矩形状の開口」は、本件発明5の「開口部」に相当する。さらに、甲2発明2の「前記表示灯本体が表示灯として機能する」ことは、本件発明5の「前記本体部が点灯して表示灯として機能する」ことに相当する。そして、甲2発明2は「表示灯本体」の「該円筒状の開口部分に発信機が固定され」ているものであるから、本件発明5の「該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部」に相当する構成を有しているといえる。
甲2発明2の「表示灯本体」は、「火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための」機能を有しているから、その機能を有する取付部材という限度で本件発明5の「発信機用アダプタ」と共通する。したがって、甲2発明2の「表示灯本体」は、本件発明5の「発信機用アダプタ」との対比において、「発信機用取付部材」という限度で一致する。
よって、両者は、
「押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用取付部材であって、
前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部とを有し、
前記本体部が点灯して表示灯として機能する発信機用取付部材。」
で一致する。
そして、両者は、次の各相違点で相違する。
<相違点d1>
本件発明5は、「アダプタ」であるのに対し、甲2発明2は「表示灯本体」である点。
<相違点d2>
本件発明5の「発信機」は、「箱状の発信機本体部と押ボタン格納部を有し」ており、このような発信機の構成に対応して本件発明5の「発信機用アダプタ」は、「前記発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する矩形筒状の本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有」するものであるのに対し、甲2発明1の「発信機」は、発信機本体部と押ボタン格納部を有する構成ではなく、また、甲2発明1の「表示灯本体」は、「該円筒状の開口部分に発信機が固定される」ものである点。

b 判断
事案に鑑み上記<相違点d2>について検討する。
上記<相違点d2>は、「本体保持部」の形状を「矩形筒状」とさらに限定構成を付加する点を除いて、上記ア(イ)aの<相違点b2>と実質的に同じである。
したがって、上記ア(イ)bと同様の理由により、上記<相違点d2>に係る本件発明5の構成となすことは、当業者であっても容易に想到し得ない。
よって、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明5は、甲2発明2、すなわち、甲第2号証に記載された発明ではないし、甲2発明2に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
なお、特許異議申立人が提出した甲第3号証及び甲第4号証にも、上記<相違点d2>に係る本件発明5の構成は記載も示唆もされていない。

4 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由によっては、本件請求項1、4及び5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1、4及び5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発信機本体部と押ボタン格納部を有し、前記押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、
前記発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、
前記本体部が、前記取付部の背面側に位置して凹陥してなることを特徴とする発信機用アダプタ。
【請求項2】
押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、
前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、
前記本体部が、前記取付部の背面側に凹陥してなり、
前記取付部が前記本体部から外方に張り出すフランジ部からなり、別部材としてドーナツ板からなる取付リングを備えてなり、該取付リングは前記フランジ部と協働して前記取付面を挟持可能になっていることを特徴とする発信機用アダプタ。
【請求項3】
押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、
前記発信機が挿入される開口部を有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、
前記本体部が、前記取付部の背面側に凹陥してなり、
前記取付部が前記本体部から外方に張り出すフランジ部からなり、別部材として円環状からなり内周面に雌ねじ部が設けられた円環部材を有し、
前記本体部は、外周面に前記円環部材が螺合可能な雄ねじ部が形成された円筒部を備えていること特徴とする発信機用アダプタ。
【請求項4】
前記本体部が点灯して表示灯として機能することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発信機用アダプタ。
【請求項5】
箱状の発信機本体部と押ボタン格納部を有し、前記押ボタンが押下されることで火災信号を発信する発信機を取付面に取り付けるための発信機用アダプタであって、
前記発信機が挿入される開口部及び該開口部から背面側に延出するように設けられて前記発信機本体部を保持する矩形筒状の本体保持部とを有し、該開口部に前記発信機が挿入されて固定される本体部と、該本体部を前記取付面に取り付けるための取付部とを有し、
前記本体部が点灯して表示灯として機能することを特徴とする発信機用アダプタ。
【請求項6】
請求項2に記載の発信機用アダプタを用いて前記発信機を前記取付面に設けられた取付用開口部に取り付ける取付方法であって、
前記発信機を前記本体部の前記開口部に挿入して固定する工程と、前記取付用開口部を挟んで前記本体部のフランジ部を背面側に、前記取付リングを前面側にそれぞれ配置して、
前記フランジ部と前記取付リングによって前記取付面の前記取付用開口部の縁部を挟んだ状態で前記フランジ部と前記取付リングを締結する工程とを有することを特徴とする発信機の取付方法。
【請求項7】
請求項3に記載の発信機用アダプタを用いて前記発信機を前記取付面に設けられた取付用開口部に取り付ける取付方法であって、
前記発信機を前記本体部の前記開口部に挿入して固定する工程と、前記本体部を前記取付用開口部に前面側から挿入して、該挿入された前記本体部の前記円筒部に、前記円環部材を螺合させて、前記フランジ部と前記円環部材によって前記取付面の前記取付用開口部の縁部を挟持する工程とを有することを特徴とする発信機の取付方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-07-13 
出願番号 特願2013-27444(P2013-27444)
審決分類 P 1 652・ 121- YAA (G08B)
P 1 652・ 113- YAA (G08B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 白川 瑞樹  
特許庁審判長 大町 真義
特許庁審判官 尾崎 和寛
内田 博之
登録日 2017-03-10 
登録番号 特許第6103974号(P6103974)
権利者 能美防災株式会社
発明の名称 発信機用アダプタおよび該発信機用アダプタを用いた発信機の取付方法  
代理人 石川 壽彦  
代理人 石川 壽彦  

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