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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  C09C
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  C09C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C09C
審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  C09C
管理番号 1343861
異議申立番号 異議2017-700490  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2017-05-16 
確定日 2018-07-10 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第6027431号発明「効果顔料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6027431号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1?15、18?23〕、〔16、17、24?37〕について訂正することを認める。 特許第6027431号の請求項1、2、5?37に係る特許を維持する。 特許第6027431号の請求項3、4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 
理由
第1 手続の経緯

特許第6027431号(請求項の数23。以下、「本件特許」という。)は、2012年(平成24年)12月20日(パリ条約による優先権主張 2011年12月21日 独国、2012年1月19日 独国)を出願日とする特許出願(特願2012-278067号)に係るものであって、平成28年10月21日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、平成29年5月16日に特許異議申立人中嶋はな代(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。

その後の手続の経緯は、概略、以下のとおりである。

平成29年 7月21日付け 取消理由通知(1回目)
同年10月23日 訂正請求書・意見書(特許件者)
同年12月 7日 意見書(申立人)
平成30年 1月26日付け 取消理由通知(2回目)
同年 4月27日 訂正請求書・意見書(特許件者)
同年 6月 8日 意見書(申立人)

第2 訂正の適否についての判断

平成29年10月23日の訂正請求は、平成30年1月26日に訂正請求がなされたため、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。

よって、以下に、同年1月26日の訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)が認められるかについて検討する。

1 訂正の内容

本件訂正請求による訂正の内容は以下の訂正事項1?6のとおりである。

(1) 訂正事項1

特許請求の範囲の請求項1に「コーティングされていることを特徴とする」と記載されているのを、「コーティングされ、該基材の表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり、該基材が、5?60μmの粒径を有し、該基材が、0.2?0.6μmの厚さを有することを特徴とする」に訂正する。
(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2、5?15、18?23も同様に訂正する。)

(2) 訂正事項2

特許請求の範囲の請求項3、4を削除する。

(3) 訂正事項3

特許請求の範囲の請求項5に「請求項1から4のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1または2」に訂正する。
また、特許請求の範囲の請求項6に「請求項1から5のいずれか一項」と記載されているのを、「請求項1、2または5」に訂正する。
さらに、特許請求の範囲の請求項7?12、14?15、18?19及び21?22に「請求項1から」と記載されているのを、「請求項1から2及び5から」に訂正する。

(4) 訂正事項4

特許請求の範囲の請求項8及び14に「基材フレーク」と記載されているのを、「フレーク状基材」に訂正する。
また、特許請求の範囲の請求項2及び12に「基材」と記載されているのを、「フレーク状基材」に訂正する。

(5) 訂正事項5

特許請求の範囲の請求項13に「請求項1から12のいずれか一項に記載」と記載されているのを、「請求項12に記載」に訂正する。

(6) 訂正事項6

訂正事項6は、下記ア、イの訂正事項を含むものである。

ア 特許請求の範囲の請求項16に「滑らか」と記載されているのを、「より滑らか」に訂正する。

イ 特許請求の範囲の請求項16が、請求項1?15の記載を引用していたところ、以下の(ア)?(ソ)に示すように、この引用を解消して、訂正後の請求項16及び24?37に書き下す訂正を行う(訂正後の請求項24?37は新たに設けた請求項である。)。

(ア) 請求項16

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、「フレーク状基材に基づく効果顔料であって、1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされている効果顔料を調製するための方法」に訂正する。

(イ) 請求項24

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項2を引用するものについて、請求項16に従属する形式とし、「フレーク状基材が、1.2?1.8の円形係数を有することを特徴とする、請求項16に記載の方法。」と記載し、新たに請求項24とする。
なお、当該記載において、訂正事項4と同様の趣旨で、「基材」ではなく、「フレーク状基材」なる語を用いている。

(ウ) 請求項25

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項3を引用するものについて、請求項16及び24に従属する形式とし、「フレーク状基材が、5?60μmの粒径を有することを特徴とする、請求項16または24に記載の方法。」と記載し、新たに請求項25とする。
なお、当該記載において、訂正事項4と同様の趣旨で、「基材」ではなく、「フレーク状基材」なる語を用いている。

(エ) 請求項26

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項4を引用するものについて、請求項16及び24から25に従属する形式とし、「フレーク状基材が、0.2?0.6μmの厚さを有することを特徴とする、請求項16及び24から25のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項26とする。
なお、当該記載において、訂正事項4と同様の趣旨で、「基材」ではなく、「フレーク状基材」なる語を用いている。

(オ) 請求項27

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項5を引用するものについて、請求項16及び24から26に従属する形式とし、「フレーク状基材が、合成雲母フレーク、天然雲母フレーク、SiO_(2)フレーク、Al_(2)O_(3)フレーク、ガラスフレーク、酸化鉄フレーク、グラファイトフレーク、TiO_(2)フレーク、およびそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項16及び24から26のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項27とする。

(カ) 請求項28

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項6を引用するものについて、請求項16及び24から27に従属する形式とし、「フレーク状基材が、雲母フレークまたはガラスフレークであることを特徴とする、請求項16及び24から27のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項28とする。

(キ) 請求項29

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項7を引用するものについて、請求項16及び24から28に従属する形式とし、「フレーク状基材が、天然雲母フレークであることを特徴とする、請求項16及び24から28のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項29とする。

(ク) 請求項30

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項8を引用するものについて、請求項16及び24から29に従属する形式とし、「フレーク状基材が、その表面において直接、屈折率が≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされていることを特徴とする、請求項16及び24から29のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項30とする。
なお、当該記載において、訂正事項4と同様の趣旨で、「基材フレーク」ではなく、「フレーク状基材」なる語を用いている。

(ケ) 請求項31

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項9を引用するものについて、請求項16及び24から30に従属する形式とし、「高屈折率層が、金属酸化物、金属硫化物、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、金属、および、これらの物質の混合物または混合相の群から選択されることを特徴とする、請求項16及び24から30のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項31とする。

(コ) 請求項32

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項10を引用するものについて、請求項16及び24から31に従属する形式とし、「高屈折率層が、TiO_(2)、BiOCl、Ce_(2)O_(3)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、FeOOH、NiO、SnO_(2)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnO、CoAl_(2)O_(4)、BiVO_(4)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)、TiO、Ce_(2)S_(3)、MoS_(2)、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、またはそれらの合金、または、これらの物質の相互の混合物または混合相からなることを特徴とする、請求項16及び24から31のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項32とする。

(サ) 請求項33

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項11を引用するものについて、請求項16及び24から32に従属する形式とし、「高屈折率層が、1種または複数の金属酸化物からなることを特徴とする、請求項16及び24から32のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項33とする。

(シ) 請求項34

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項12を引用するものについて、請求項16及び24から33に従属する形式とし、「フレーク基材が、少なくとも1つの高屈折率層(n≧1.8)、および少なくとも1つの低屈折率層(n<1.8)によりコーティングされていることを特徴とする、請求項16及び24から33のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項34とする。
なお、当該記載において、訂正事項4と同様の趣旨で、「基材」ではなく、「フレーク状基材」なる語を用いている。

(ス) 請求項35

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項13を引用するものについて、請求項34に従属する形式とし、「低屈折率層が、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、およびMgF_(2)の群から選択されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。」と記載し、新たに請求項35とする。
なお、訂正事項5と同様の趣旨で、請求項34のみに従属させている。

(セ) 請求項36

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項14を引用するものについて、請求項16及び24から35に従属する形式とし、「フレーク状基材上に、以下の層配列のうちの一つを有することを特徴とする、請求項16及び24から35のいずれか一項に記載の方法:
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Ag
フレーク状基材+Au
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Ag
フレーク状基材+SiO_(2)+Au
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)+SiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)+SiO_(2)、
ただしここで、TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)は、TiO_(2)およびFe_(2)O_(3)の混合物からなる層を意味する。」と記載し、新たに請求項36とする。
なお、当該記載において、訂正事項4と同様の趣旨で、「基材フレーク」ではなく、「フレーク状基材」なる語を用いている。

(ソ) 請求項37

特許請求の範囲の請求項16に「請求項1から15のいずれか一項に記載の効果顔料を調製するための方法」とあるうち、請求項15を引用するものについて、請求項16及び24から36に従属する形式とし、「効果顔料が光、水、および風化安定性を高めるために、有機および/または無機層で追加的に後処理されたことを特徴とする、請求項16及び24から36のいずれか一項に記載の方法。」と記載し、新たに請求項37とする。

2 訂正の目的、新規事項、特許請求の範囲の拡張・変更、一群の請求項について

(1) 訂正事項1について

訂正事項1は、訂正前のフレーク状基材について、「該基材の表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり、該基材が、5?60μmの粒径を有し、該基材が、0.2?0.6μmの厚さを有する」という新たな発明特定事項を直列的に付加するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
そして、係る発明特定事項は、本件明細書の段落【0019】に記載された事項であるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(2) 訂正事項2について

訂正事項2は、訂正前の請求項3、4を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(3) 訂正事項3について

訂正事項3は、上記訂正事項2のとおり、請求項3及び4を削除したことに伴い、引用する請求項を「請求項1または2」、「請求項1、2または5」、又は「請求項1から2及び5から」と訂正するものであるから、いずれも、特許法第120条の5第2項ただし書第1号の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(4) 訂正事項4について

訂正事項4は、訂正前の請求項8及び14には、発明特定事項として「基材フレーク」なる記載があり、本来、引用する請求項1?7に記載された「フレーク状基材」と記載するべきところに、誤って「基材フレーク」と記載された明らかな誤記があったところ、その記載を、本来の発明特定事項である「フレーク状基材」に訂正するものである。
また、訂正前の請求項2?4、12に記載された「基材」なる記載も、本来、引用する請求項1等に記載された「フレーク状基材」と記載するべきところに、誤って「基材」と記載された明らかな誤記があったところ、その記載を、本来の発明特定事項である「フレーク状基材」に訂正するものである。
よって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(5) 訂正事項5について

訂正事項5は、訂正前の請求項13には、発明特定事項として「低屈折率層」なる記載があり、本来、「低屈折率層」が記載された請求項12に基づいて、「請求項12に記載の」と記載するべきところに、誤って「低屈折率層」が記載されていない請求項1から11を含めて「請求項1から12のいずれか一項に記載」と記載された明らかな誤記があったところ、その記載を、本来の「請求項12に記載の」に訂正するものであり、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(6) 訂正事項6について

ア 訂正事項6のアは、平成30年1月26日付け取消理由通知において、訂正前の請求項1に係る発明について、「滑らか」なる記載が、具体的基準が不明であって、不明確であるとされたため、「より滑らか」と特定することにより、比較対照とする基準を明確にするものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
そして、係る発明特定事項は、本件明細書の段落【0019】に記載された事項であるから、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

イ 訂正事項6のイの(ア)は、訂正前の請求項16が訂正前の請求項1?15のいずれか一項の記載を引用する記載であったものを、請求項16について、請求項2?15を引用しないものとしたうえで、請求項1を引用するものについて引用関係を解消して、独立形式請求項(請求項16)へ改める訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第4号の「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

ウ 訂正事項6のイの(イ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項2を引用するものについて、請求項16を引用する形で、新請求項24として記載するものである。
訂正事項6のイの(ウ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項3を引用するものについて、請求項16及び新請求項24を引用する形で、新請求項25として記載するものである。
訂正事項6のイの(エ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項4を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から25のいずれか一項を引用する形で、新請求項26として記載するものである。
訂正事項6のイの(オ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項5を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から26のいずれか一項を引用する形で、新請求項27として記載するものである。
訂正事項6のイの(カ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項6を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から27のいずれか一項を引用する形で、新請求項28として記載するものである。
訂正事項6のイの(キ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項7を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から28のいずれか一項を引用する形で、新請求項29として記載するものである。
訂正事項6のイの(ク)は、訂正前の請求項16のうち、請求項8を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から29のいずれか一項を引用する形で、新請求項30として記載するものである。
訂正事項6のイの(ケ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項9を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から30のいずれか一項を引用する形で、新請求項31として記載するものである。
訂正事項6のイの(コ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項10を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から31のいずれか一項を引用する形で、新請求項32として記載するものである。
訂正事項6のイの(サ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項11を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から32のいずれか一項を引用する形で、新請求項33として記載するものである。
訂正事項6のイの(シ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項12を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から33のいずれか一項を引用する形で、新請求項34として記載するものである。
訂正事項6のイの(ス)は、訂正前の請求項16のうち、請求項13を引用するものについて、請求項34を引用する形で、新請求項35として記載するものである。
訂正事項6のイの(セ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項14を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から35のいずれか一項を引用する形で、新請求項36として記載するものである。
訂正事項6のイの(ソ)は、訂正前の請求項16のうち、請求項15を引用するものについて、請求項16及び新請求項24から36のいずれか一項を引用する形で、新請求項37として記載するものである。

これら訂正事項6のイの(イ)?(ソ)は、いずれも、訂正前の請求項16において、請求項2?15を引用して特定していた発明を、これらが間接的に引用していた訂正前の請求項1との関係を解消して、独立形式となった訂正後の請求項16を引用して特定したものであるから、実質的に、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に掲げる「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものであり、また、上記訂正事項6のイの(イ)?(エ)、(ク)、(シ)、(セ)は、さらに、上記訂正事項4と同様の趣旨で、本来、引用する請求項16等に記載された「フレーク状基材」と記載するべきところに、誤って「基材」と記載された明らかな誤記があったところ、その記載を、本来の発明特定事項である「フレーク状基材」に訂正するものであるともいえることから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであり、また、上記訂正事項6のイの(ス)は、さらに、上記訂正事項5と同様の趣旨で、請求項34のみに従属させるための訂正であるともいえることから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる「誤記の訂正」を目的とするものであるともいえる。
また、これらの訂正は、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

(7)一群の請求項

訂正前の請求項2?23は、訂正前の請求項1を引用しており、訂正事項1?6によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1?23は一群の請求項である。
したがって、本件訂正請求は、一群の請求項に対して請求されたものと認められる。

(8) 別の訂正単位とする求めについて

本件訂正請求書の第20頁において、訂正後の請求項16、17、24?37についての訂正が認められる場合には、一群の他の請求項とは別途訂正することを求めている。

上記(6)のとおり、本件訂正請求による請求項16、17、24?37についての訂正が認められるものであるため、上記一群の請求項とは別途訂正することを認める。

3 小括

以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第4項及び第9項で準用する同法第126条第5?6項の規定に適合するので、訂正後の請求項〔1?15、18?23〕、〔16、17、24?37〕について訂正することを認める。

第3 本件特許に係る発明

本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?37に係る発明(以下、請求項に係る各発明を項番に従って「本件発明1」などといい、併せて単に「本件発明」ということもある。)は、その特許請求の範囲の請求項1?37に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。

「【請求項1】
フレーク状基材に基づく効果顔料であって、1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされ、該基材の表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり、該基材が、5?60μmの粒径を有し、該基材が、0.2?0.6μmの厚さを有することを特徴とする、効果顔料。

【請求項2】
フレーク状基材が、1.2?1.8の円形係数を有することを特徴とする、請求項1に記載の効果顔料。
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】
フレーク状基材が、合成雲母フレーク、天然雲母フレーク、SiO_(2)フレーク、Al_(2)O_(3)フレーク、ガラスフレーク、酸化鉄フレーク、グラファイトフレーク、TiO_(2)フレーク、およびそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の効果顔料。
【請求項6】
フレーク状基材が、雲母フレークまたはガラスフレークであることを特徴とする、請求項1、2または5に記載の効果顔料。
【請求項7】
フレーク状基材が、天然雲母フレークであることを特徴とする、請求項1から2及び5から6に記載の効果顔料。
【請求項8】
フレーク状基材が、その表面において直接、屈折率が≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされていることを特徴とする、請求項1から2及び5から7のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項9】
高屈折率層が、金属酸化物、金属硫化物、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、金属、および、これらの物質の混合物または混合相の群から選択されることを特徴とする、請求項1から2及び5から8のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項10】
高屈折率層が、TiO_(2)、BiOCl、Ce_(2)O_(3)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、FeOOH、NiO、SnO_(2)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnO、CoAl_(2)O_(4)、BiVO_(4)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)、TiO、Ce_(2)S_(3)、MoS_(2)、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、またはそれらの合金、または、これらの物質の相互の混合物または混合相からなることを特徴とする、請求項1から2及び5から9のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項11】
高屈折率層が、1種または複数の金属酸化物からなることを特徴とする、請求項1から2及び5から10のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項12】
フレーク状基材が、少なくとも1つの高屈折率層(n≧1.8)、および少なくとも1つの低屈折率層(n<1.8)によりコーティングされていることを特徴とする、請求項1から2及び5から11のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項13】
低屈折率層が、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、およびMgF_(2)の群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の効果顔料。
【請求項14】
フレーク状基材上に、以下の層配列のうちの一つを有することを特徴とする、請求項1から2及び5から13のいずれか一項に記載の効果顔料:
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Ag
フレーク状基材+Au
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Ag
フレーク状基材+SiO_(2)+Au
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)+SiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)+SiO_(2)、
ただしここで、TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)は、TiO_(2)およびFe_(2)O_(3)の混合物からなる層を意味する。
【請求項15】
光、水、および風化安定性を高めるために、有機および/または無機層で追加的に後処理されたことを特徴とする、請求項1から2及び5から14のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項16】
フレーク状基材に基づく効果顔料であって、1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされている効果顔料を調製するための方法であって、
比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕き、その後、50?200μmの直径を有する形成された基材フレークを、粉砕機に導入し、水および/または有機溶媒を添加し、このようにして形成された懸濁液を、該粉砕機において、数時間の間、機械的に処理し、同時に、その間に、フレークの表面が、磨かれてより滑らかになり、このステップの間の基材粒子の機械的負荷を、永続的なせん断により、粒子のさらなる緩やかな層間剥離、ならびに縁および表面の平滑化がもたらされるように選択し、狭い粒径分布が、複数の沈降ステップの形態をとるその後の分級ステップによって実現されることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記粒径分布が、5?60μmであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
塗料、自動車用塗料、工業用コーティング剤、コーティング剤、粉体コーティング剤、印刷インク、プラスチック、ボタンペースト、セラミック材料、もしくはガラスにおける、種子を着色するための、プラスチック、ガラス、ボール紙、もしくは紙のレーザーマーキングにおける吸収剤としての、プラスチックのレーザー溶着における吸収剤としての、食品もしくは医薬品を着色するための、食品もしくは医薬品のコーティングを着色するための、化粧用配合物における、顔料組成物もしくは乾燥調製物を調製するための、または価値のある書類の偽造防止における、請求項1から2及び5から15のいずれか一項に記載の効果顔料の使用。
【請求項19】
請求項1から2及び5から15のいずれか一項に記載の1種または複数の効果顔料を含む、配合物。
【請求項20】
前記効果顔料の他に、吸収剤、収斂剤、抗菌物質、抗酸化剤、発汗抑制剤、消泡剤、フケ防止活性成分、帯電防止剤、バインダー、生物学的添加剤、漂白剤、キレート剤、除臭剤、皮膚軟化剤、乳化剤、乳化安定剤、染料、保湿剤、膜形成剤、フィラー、におい物質、フレーバー物質、防虫剤、保存剤、防食剤、化粧オイル、溶剤、酸化剤、植物の構成物質、緩衝物質、還元剤、界面活性剤、推進剤ガス、乳白剤、UVフィルターおよびUV吸収剤、変性剤、粘度調節剤、香料、およびビタミンの群から選択される、少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする、請求項19に記載の配合物。
【請求項21】
1種または複数のバインダー、および請求項1から2及び5から15のいずれか一項に記載の効果顔料を含む、顔料組成物。
【請求項22】
請求項1から2及び5から15のいずれか一項に記載の効果顔料を含む、乾燥調製物。
【請求項23】
1種または複数の添加剤を含む、請求項21記載の顔料組成物。
【請求項24】
フレーク状基材が、1.2?1.8の円形係数を有することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
フレーク状基材が、5?60μmの粒径を有することを特徴とする、請求項16または24に記載の方法。
【請求項26】
フレーク状基材が、0.2?0.6μmの厚さを有することを特徴とする、請求項16及び24から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
フレーク状基材が、合成雲母フレーク、天然雲母フレーク、SiO_(2)フレーク、Al_(2)O_(3)フレーク、ガラスフレーク、酸化鉄フレーク、グラファイトフレーク、TiO_(2)フレーク、およびそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項16及び24から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
フレーク状基材が、雲母フレークまたはガラスフレークであることを特徴とする、請求項16及び24から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
フレーク状基材が、天然雲母フレークであることを特徴とする、請求項16及び24から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
フレーク状基材が、その表面において直接、屈折率が≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされていることを特徴とする、請求項16及び24から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
高屈折率層が、金属酸化物、金属硫化物、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、金属、および、これらの物質の混合物または混合相の群から選択されることを特徴とする、請求項16及び24から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
高屈折率層が、TiO_(2)、BiOCl、Ce_(2)O_(3)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、FeOOH、NiO、SnO_(2)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnO、CoAl_(2)O_(4)、BiVO_(4)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)、TiO、Ce_(2)S_(3)、MoS_(2)、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、またはそれらの合金、または、これらの物質の相互の混合物または混合相からなることを特徴とする、請求項16及び24から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
高屈折率層が、1種または複数の金属酸化物からなることを特徴とする、請求項16及び24から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
フレーク基材が、少なくとも1つの高屈折率層(n≧1.8)、および少なくとも1つの低屈折率層(n<1.8)によりコーティングされていることを特徴とする、請求項16及び24から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
低屈折率層が、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、およびMgF_(2)の群から選択されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
フレーク状基材上に、以下の層配列のうちの一つを有することを特徴とする、請求項16及び24から35のいずれか一項に記載の方法:
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Ag
フレーク状基材+Au
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Ag
フレーク状基材+SiO_(2)+Au
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)+SiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)+SiO_(2)、
ただしここで、TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)は、TiO_(2)およびFe_(2)O_(3)の混合物からなる層を意味する。
【請求項37】
効果顔料が光、水、および風化安定性を高めるために、有機および/または無機層で追加的に後処理されたことを特徴とする、請求項16及び24から36のいずれか一項に記載の方法。」

第4 取消理由(2回目)の概要

[理由1] (明確性要件)本件訂正請求による訂正前の本件特許は、特許請求の範囲の請求項1、2、5?23の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。

本件発明は、本件特許明細書を参照しても、「表面」については、基材の全表面〔厚さ方向の2平面と2平面間の側面(縁)〕を指すのか、それとも、厚さ方向の2平面のみを指すのか不明であり、発明が明確でない。
また、「滑らかに」は、曖昧な表現の記載であって、どの程度の平滑度であるのか、その具体的基準・程度が不明であり、発明が明確でない。

[理由2] (サポート要件)本件訂正請求による訂正前の本件特許は、特許請求の範囲の請求項1、2、5?23の記載が不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。

本件発明については、フレーク状基材の円形係数が1.2?2であると、優れた効果を奏するのか不明であり、そのうえ、その臨界的意義は不明であり、本件特許明細書を参酌しても、1.2未満、あるいは、2超の円形係数を有する基材では、上記課題を解決し得ないことを理解することもできない。
したがって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明により当業者が上記発明の課題を解決できると認識できるものであるとはいえず、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし上記発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるともいえない。

[理由3] (新規性)本件訂正請求による訂正前の本件特許の請求項1、2、5、8?11、14、15、18、19、21?23に係る発明は、引用文献1に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

[理由4] (進歩性)本件訂正請求による訂正前の本件特許の請求項請求項1、2、5?15、18?23に係る発明は、引用文献1に記載された発明、及び引用文献1?6に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消すべきものである。

引用文献1:特開2005-42112号公報(甲第1号証)
引用文献2:特開2006-341592号公報
引用文献3:特表2005-502738号公報
引用文献4:特開2003-55575号公報
引用文献5:特表2006-510797号公報
引用文献6:特開2004-292816号公報

第5 取消理由(2回目)に対する当審の判断

1 [理由1](明確性要件)について

(1) 請求項1における「フレーク状基材」の「滑らかに磨かれた表面」における「表面」という記載について

本件明細書では、請求項1における「フレーク状基材」の「表面」について、明確に定義されていないが、「滑らかに磨かれた表面」の製造に関して、以下のとおり記載されている。

「【0016】
基材フレークは、例えば、以下の通りに製造することができる。
【0017】
既知の機械的粉砕法を使用して、基材塊は、例えば、すり砕く(grinding)ことによって、粉砕され、層剥離され、沈降(sedimentation)、デカンテーション、風力分離、および/またはふるい分けによって、フレークの相当直径および厚さに関連する要件に従って分級される。
【0018】
すり砕くプロセスのために、当業者に既知のすべてのミルおよび撹拌機、特にすべての高速撹拌機、分散機、またはローター-ステーターミル(rotor-stator mills)が使用できる。
【0019】
基材フレーク、例えば、雲母フレークまたはガラスフレークは、相対的に(relatively)大きな塊または粗いフレークをすり砕くことによって製造される。続いて、直径が一般に50?200μmである形成された基材フレークは、粉砕機、例えば、ローター-ステーターミルに導入され、水および/または有機溶媒、好ましくは、水が添加される。このようにして形成された懸濁液は、粉砕機において、数時間の間、機械的に処理され、その間に、フレークの表面は、磨かれて滑らかになる。このステップ(工程)の間の粒子の機械的負荷(mechanical loading)は、永続的なせん断により、粒子のさらなる緩やかな(gentle)層間剥離、ならびに縁および表面の平滑化がもたらされるように選択される。狭い粒径分布は、少なくとも≧2(2以上)、好ましくは≧3(3以上)の、複数の沈降ステップの形態をとるその後の分級ステップによって実現される。このようにして製造された薄く丸みのあるフレークは、粒径分布が5?60μmであり、厚さ分布が0.2?0.6μmであり、ほんのわずかしか鋭い縁をもたない滑らかに磨かれた表面を有する。円形係数は、1.2?2である。
【0020】
すり砕きそして分級する間に、比較的小さい、比較的厚い粒子、および比較的大きい、比較的薄い粒子は除去される。すなわち、大きい粒子は、細かく砕かれるだけである傾向がある一方で、比較的小さい粒子は、薄い層に裂かれ、および/または分級により除去される。
【0021】
追加の機械的処理および付随する研磨効果により、基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化する。円形係数の減少および長楕円形性の低下は、基材の縁がより滑らかになること、および基材がより丸い形状をとることと関係する。
【0022】
例えば、Al_(2)O_(3)、SiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、TiO_(2)、ガラスなどの、効果顔料のためのベース基材として機能させることが意図され、粗い塊またはフレークの形態ではない、合成的に製造された基材は、粉砕および表面の平滑化のために、粉砕機、例えば、ローター-ステーターミルに直接入れられる。ここでの円形係数も、1.2?2である。
【0023】
顕微鏡写真(図1および2:43×35μmの画像詳細)は、以下に図表で示すように、丸みのある基材フレーク(図1)が、長楕円形の基材フレーク(図2)と比較して、著しく小さい、縁の粗さを有することを示す。
【0024】
【表1】

より小さな縁粗さ、およびフレーク表面上の段(steps)の減少の結果、一般的に、基材フレークのコーティングにおいて、非常に均一なコーティングが得られることになる。これは、一方では、干渉色の局所的な一様性、また、散乱光の影響の減少に関連し、先行技術による効果顔料と比較して、総合的な(overall)より高い彩度をもたらす。
【0025】
丸みのある基材フレークは、フィラーとして、特に、化粧用フィラーとして、または効果顔料を製造するためのベース基材として機能することができる。この場合には、丸みのある基材フレークに、1つまたは複数のコーティング、好ましくは、金属酸化物層が与えられる。
【0026】
丸みのある基材フレークは、好ましくは、少なくとも1つの高屈折率層(n≧1.8)によりコーティングされる。
【0027】
例えば、ガラスフレークなどの、酸および/または塩基に影響を受けやすい基材フレークの場合には、例えばコーティングの間の基材の浸出および/または膨張を防止するために、実際のコーティングの前に、まず、薄い保護層でそれらをコーティングするのが望ましいことが多い。しかし、保護層は、さらに滑らかな基材表面を実現するのに役立つこともできる。この保護層は、一般に、非常に薄く、好ましくは、<20nm(20nm未満)であり、したがって、最終的な効果顔料の光学特性に、極めて小さい影響しか与えないか、全く影響を与えない。保護層は、好ましくは、SiO_(2)層である。」(当審注:下線は当審において付記したものである。以下同じ。)

しかるに、請求項1におけるフレーク状基材の製造においては、大きな塊または粗いフレークをすり砕くことによって製造された基材フレークを、粉砕機、例えば、ローター-ステーターミルに導入され、粉砕機において、数時間の間、機械的に処理する旨記載されており(【0019】)、その結果、「フレークの表面は、磨かれて滑らかにな」(【0019】)り、「追加の機械的処理および付随する研磨効果により、基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化する」(【0021】)ことが理解できるから、フレーク状基材の全体、すなわち、全表面が追加の機械的処理および付随する研磨効果によって平滑化(滑らか)したものであると認められる。

してみると、請求項1におけるフレーク状基材の「表面」が、フレーク状基材の「全表面」を意味するものであることは、本件明細書の記載から明らかである。

(2) 請求項1における「フレーク状基材」の「滑らかに磨かれた表面」における「滑らか」という記載について

訂正後の請求項1では、「滑らかに磨かれた表面」を「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面」と訂正している。
そして、当該「磨かれていない基材」とは、上記(1)における「大きな塊または粗いフレークをすり砕くことによって製造された基材フレーク」に相当するものであり、この「基材フレーク」に対して、追加の機械的処理および付随する研磨効果により、基材粒子の表面が平滑化されることになることから、磨かれていない基材の表面と比べて、フレーク状基材の表面が「より滑らか」であることは明らかであるといえ、また、滑らかさについての具体的数値等が規定されていないからといって、請求項の記載が直ちに不明確となるものでもない。

(3) 小括

してみると、本件特許は、特許請求の範囲の請求項1の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。
また、請求項2、5?37においても同様である。

2 [理由2](サポート要件)について

「1.2?2」の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)について

(1) 本件発明が解決しようとする課題は、本件明細書の【0005】等の記載からみて、「高い彩度を有し、光沢(lustre)および色純度を失うことなく高い隠蔽力を示す効果顔料を見出すことである」と認められる。
本件発明が、本件明細書の発明の詳細な説明の記載及び技術常識に照らして、上記課題を解決することができると当業者が認識できる範囲内にあるかについて検討する。

(2) まず、「円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)」については、本件明細書によると、「個々の粒子の面積に対する、周囲長の2乗の比として定義する。ただし単純化のためにその結果を4πで割り、それは、理想的な円の円形係数の場合、1となる。」(【0009】)、「追加の機械的処理および付随する研磨効果により、基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化する。円形係数の減少および長楕円形性の低下は、基材の縁がより滑らかになること、および基材がより丸い形状をとることと関係する。」(【0021】)と記載されていることから、円形係数が減少すればするほど基材の縁がより滑らかになり、より丸い形状をとることがわかり、その丸みのある形状によって、彩度および隠蔽力が優れることについては、本件明細書の【0006】の記載からみて明らかである。また、理想的な円の場合、その円形係数が「1」となることもわかる。

(3) また、上記「円形係数」については、同じく本件明細書によると、「本発明による効果顔料については、円形係数が、1.2?2、好ましくは1.2?1.8、非常に特に好ましくは1.2?1.7である基材フレークを用いる。」(【0012】)と記載されている。

(4) 次に、本件明細書の【0081】、【0083】?【0086】、【0095】?【0096】に記載された実施例・比較例の特に【0096】【表2】には、円形係数が「1.6」である例1aのフレーク状基材を使用した実施例2.1の顔料が、先行技術である「Iriodin(登録商標)205」の顔料に対して、光沢や、彩度が優れたものとなることが理解できる。
ここで、「Iriodin(登録商標)205」の顔料の円形係数については、本件明細書に記載されていないが、追加の機械的処理を受けていないことから、例1aのフレーク状基材より丸みを帯びていない蓋然性が高く、比較例として用いられていることから、「2」超と考えるのが自然である。なお、特許件者が、平成30年4月27日付けで提出した意見書によれば、「30年以上前から市販されているよく知られた真珠光沢顔料である。」、「この真珠光沢顔料は、雲母をベースとする効果顔料であって、10?60μmの粒径を有し、・・・その円形係数は2.3である」と記載されている。

(5) さらに、同意見書によれば、「実生産において、粗いフレークから真円状のフレーク状基材を得ることはできない。円形係数の値は、粗いフレークを粉砕機で処理する時間に依存する。本件特許明細書に記載される例1aでは、1.6の円形係数を得るために、粗いフレークを5時間を超えて処理すると、当該フレークの円形係数を1.6から1.2程度に小さくすることはできる。」と記載されている。ここで、「真円状のフレーク基材」とは、その「円形係数」が「1」であることは技術常識である。
そして、上記より、製造コスト等の観点からみて、「円形係数」が「1.2」のフレーク状基材が得られるのが限界であり、当該「円形係数」の下限値が「1.2」であることもわかる。

(6) 上記(3)より、本件発明の円形係数の数値範囲「1.2?2」については、本件明細書に記載されている。
そして、上記(4)より、その数値範囲内である円形係数が「1.6」である例1aのフレーク状基材を使用した実施例2.1の顔料が、上記(1)の課題を解決できる一方、その数値範囲外である円形係数が「2」超(例えば「2.3」)である「Iriodin(登録商標)205」の顔料では、上記(1)の課題を解決できないことが理解できるものであり、これらのことは、本件明細書において、実験的に裏付けられているといえる。

以上のとおりであるから、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものであり、サポート要件を満たしている。

(7) 小括

してみると、本件明細書の発明の詳細な説明には、上記課題を解決することができるフレーク状基材に基づく効果顔料としての本件発明のものが開示されていると認められるから、本件発明は本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。

3 [理由3](新規性)、[理由4](進歩性)について

(1) 引用文献の記載

ア 引用文献1(甲第1号証)について

引用文献1には、「均一形状および寸法の効果顔料」(発明の名称)について、次の記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄片状無機基材に基づく均一形状および寸法の効果顔料であって、基材が円形または楕円形あるいは多角形Vn(nは角の数、および3以上)であることを特徴とする効果顔料。
【請求項2】
nが3、4、5、6、7または8である請求項1に記載の効果顔料。
【請求項3】
薄片状無機基材が一または二以上の金属酸化物からなる請求項1または2に記載の効果顔料。
【請求項4】
金属酸化物が酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄である請求項3に記載の効果顔料。
【請求項5】
円形または楕円形の薄片状基材の円の直径または楕円の主軸の長さが3?150μmであり、多角形Vnの径が3?150μmである請求項1?4のいずれかに記載の効果顔料。
【請求項6】
基材が、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物からなる一または二以上の層で被覆されている請求項1?5のいずれかに記載の効果顔料。
・・・(中略)・・・
【請求項8】
有機被覆を、さらに外側層として適用する請求項1?7のいずれかに記載の効果顔料。
・・・(中略)・・・
【請求項15】
請求項1に記載の効果顔料を調製する方法であって、
a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含む方法。
・・・(中略)・・・
【請求項25】
塗料、被覆、印刷インク、トナー、プラスチック、化粧製剤、食品分野、薬品、セラミック材料、ガラス、紙、レーザーマーキング、証券材料、乾燥製剤、顔料製剤またはトレーサーにおける、請求項1?14のいずれかに記載の効果顔料の使用。
・・・(中略)・・・
【請求項27】
請求項1?14のいずれかに記載の一または二以上の効果顔料を含んでなる塗料、被覆、印刷インク、トナー、プラスチック、化粧製剤、食品、薬品、セラミック材料、ガラス、紙、証券材料、乾燥製剤、顔料製剤またはトレーサー。」

「【技術分野】
【0001】
本発明は、円形または楕円形あるいは多角形の薄片状無機基材に基づく均一形状および寸法の効果顔料、その調製、および、例えば、塗料、被覆におけるまたはトレーサーとしてのその使用に関する。」

「【背景技術】
【0002】
基材に基づく効果顔料は、例えば、塗料、被覆または化粧品のような多くの用途において用いられる。用いられる基材は、通常、一または二以上の金属酸化物、金属または金属フッ化物層で被覆されてよい天然雲母である。これらの顔料は、例えば、WO93/12182、WO98/53011、WO98/38254、EP0 753 545またはDE100 61 178のような多くの出願において開示されている。」

「【0010】
前記目的は、さらに、本発明の効果顔料を調製する方法であって、
a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含む方法により達成される。
【0011】
前記目的は、さらに、塗料、被覆、印刷インク、トナー、プラスチック、化粧製剤、食品分野、薬品、セラミック材料、ガラス、紙、レーザーマーキング、証券材料、乾燥製剤、顔料製剤またはトレーサーにおける、円形または楕円形あるいは多角形Vnである薄片状無機基材に基づく前記効果顔料の使用により達成される。」

「【0012】
本発明は、同様に、本発明による一または二以上の効果顔料を含んでなる塗料、被覆、印刷インク、トナー、プラスチック、化粧製剤、食品、薬品、セラミック材料、ガラス、紙、証券材料、乾燥製剤、顔料製剤またはトレーサーに関する。」

「【0013】
本発明の効果顔料は、顔料の着色力および隠蔽力を個々に設定可能にする均一な粒径および形状を有する。顔料の均一寸法分布故に、寸法フラクションの不適当な分離しか可能にしない従来の複雑な分級プロセスは不必要である。均一な粒径は、本発明の顔料の使用時におけるフィルター、スクリーンおよびノズルの閉塞を防止する。さらに、本発明の効果顔料は、異なる寸法の粒子における光散乱の不足故に向上した光沢を示す。さらに、本発明の顔料は、簡単な方法により調製することができ、複数の用途において用いることができる。」

「【0014】
本発明によれば、効果顔料は、円形または楕円形あるいは多角形Vnの薄片状無機基材に基づく。これらは、好ましくは、多角形Vn(nは角の数、および3以上)の形状を有する。ここで、nは整数を表し、nは好ましくは3、4、5、6、7または8である。ここで、多角形は、規則的または不規則形状を有してよい。特に好ましいのはn=4(四角形)およびn=6(六角形)であり、ここで四角形については、多角形の辺の長さが異なる、例えば、正方形、台形、斜方形、菱形または長方形のような全ての考えられる形状が含まれる。しかしながら、さらに、例えば、円と菱形の組み合わせのような複数の形状および寸法の組み合わせも考えられる。」

「【0015】
薄片状無機基材は、原則として、前駆体の形状において構造支持体に適用することができる任意の金属酸化物からなり得る。これらは、好ましくは、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄からなる。酸化アルミニウム、酸化珪素および/または酸化硼素が特に好ましい。前記材料の一または二以上の組み合わせの混合物は、例えば、単一層の勾配状態または別個の層の状態であり得る。基材は、例えば、酸化珪素の層と酸化チタンの層とからなり得るが、酸化チタンと酸化珪素が勾配状であるまたは混合物である層からもなり得る。」

「【0016】
本発明の効果顔料の寸法はそれ自体重要でなく、適用する特別の分野に依存する。基材の均一寸法、すなわち効果顔料の均一寸法は、本発明の顔料の有利な特性に必須である。
【0017】
個々の粒径範囲を不完全にしか単離できない複雑な分別は不必要である。これらの分別において生じる収率の損失は、同様に、回避することができる。基材は、通常、厚さが0.05?5μm、特に0.1?4.5μmである。円形または楕円形の薄片状基材の円の直径または楕円主軸の長さは約3?150μm、好ましくは10?60μm、および多角形Vnの最も大きな径は約3?150μm、好ましくは10?60μmである。多角形Vnの基材の場合、最も大きな径は、自動車分野の用途においては5?45μmであり、産業被覆においては、印刷分野で10?25μm、好ましくは化粧において50?150μmである。」

「【0018】
本発明のさらなる態様において、本発明の効果顔料は、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料混合物を含む一または二以上の層で被覆することができる。ここで、被覆は、基材全体を覆うことができる、または基材の一部の上に存在するのみ、例えば、基材の個々の側部上のみに存在して良い。金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物または金属オキシ窒化物の層またはこれらの混合物は、低屈折率(屈折率<1.8)または高屈折率(屈折率≧1.8)であり得る。適当な金属酸化物および金属酸化物水和物は、当業者に知られている全ての金属酸化物および金属酸化物水和物、例えば、酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化珪素、酸化珪素水和物、酸化鉄、酸化錫、酸化セリウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化チタン、特に、二酸化チタン、酸化チタン水和物およびこれらの混合物、例えば、イルメナイトまたは擬板チタン石である。用いることができる金属亜酸化物は、例えば、亜酸化チタンである。適当な金属は、例えば、クロム、アルミニウム、ニッケル、銀、金、チタン、銅または合金であり、適当な金属フッ化物は、例えば、フッ化マグネシウムである。用いることができる金属窒化物または金属オキシ窒化物は、例えば、チタン、ジルコニウムおよび/またはタンタルの金属の窒化物またはオキシ窒化物である。金属酸化物、金属、金属フッ化物および/または金属酸化物水和物層、特に、金属酸化物および/または金属酸化物水和物層が、好ましく基材に適用される。例えば、向上した適用特性のための制御可能な隠蔽力および着色力のような本発明の明確な特性に加えて、この構造を有する効果顔料は、層材料および層厚の選択により設定することができる多くの異なる色を示す。」

「【0019】
さらに、低および高屈折率の金属酸化物、金属酸化物水和物、金属または金属フッ化物層を含む多層構造も存在して良く、高屈折率層と低屈折率層が交互になっていることが好ましい。特に好ましいのは、高屈折率層と低屈折率層を含む層パッケージであり、これらの層パッケージの一または二以上を基材に適用することができる。ここで、多層構造の基材を含むように、高屈折率層と低屈折率層の配列を基材に適合させることができる。」

「【0020】
用いられる高屈折率層は、好ましくは、高屈折率金属酸化物層であり、特に好ましくは、例えば、TiO_(2)、亜酸化チタン、Fe_(2)O_(3)、SnO_(2)、ZnO、ZrO_(2)、Ce_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)および/またはそれらの混合物である。用いられる低屈折率層は、好ましくは、低屈折率金属酸化物、金属フッ化物および/または金属酸化物水和物の層であり、特に好ましくは酸化アルミニウム、酸化アルミニウム水和物、酸化珪素、酸化珪素水和物および/またはフッ化マグネシウムであり。」

「【0023】
これらの層を含む効果顔料は、それらのマス色調に関して種々の色を示し、多くの場合、干渉故に角度依存色変化(色フロップ)を示す。さらに、本発明のこれらの効果顔料は、その均一寸法および形状故に、従来技術よりも向上した光沢および強力な色フロップを有する。」

「【0025】
本発明の効果顔料は、さらに、外側層としてさらなる有機被覆を設けることができる。このタイプの被覆の例が、例えば、EP0 632 109、US5,759,255、DE43 17 019、DE39 29 423、DE32 35 017、EP0 492 223、EP0 342 533、EP0 268 918、EP0 141 174、EP0 764 191、WO98/13426またはEP0 465 805に見られ、この開示内容をここでreferenceとして取り入れる。既述の向上した光学的特性に加えて、この有機被覆を含む効果顔料、例えば、オルガノシロキサンまたはオルガノチタネートまたはオルガノジルコネートを含む効果顔料は、さらに、例えば湿分および光のような気候の影響への向上した安定性を示し、これは、特に産業被覆および自動車分野に特に興味深い。」

「【0026】
本発明の効果顔料は、
a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用し、
b)乾燥によりフィルムを固化し、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像し、
d)構造支持体から基材を外し
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する
ことにより得ることができる。」

「【0029】
本発明は、さらに、本発明の効果顔料を調製する方法であって、
a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含む方法に関する。
【0030】
本発明の構造支持体は、全ての一般的材料、例えば、金属、プラスチックまたは他の材料からなることができる。支持材は、好ましくは、プラスチック、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルまたはポリアクリレートからなり、所定の構造を有する連続ベルトの状態である。ポリエチレンテレフタレートは、好ましくは、ベルト材料として用いられる。
【0031】
非構造ベルトを用いる類似のベルトプロセスが、従来技術に開示されており、例えば、WO93/08237およびそこに引用の参考文献に記載されており、これらを本明細書においてreferenceとして取り入れる。WO97/27251は、例えばポリエステル、ポリウレタンまたはシリコーンの重合性混合物を、所望の顔料粒子の形状の窪みが設けられた表面に適用し、混合物を重合させ、粒子を窪みから除去する、ポリマー有機顔料粒子の調製方法を開示している。ここで、窪みが設けられた表面は、フィルム、回転性ロールまたはローラーベルトからなることができる。しかしながら、重合開始剤を用いてまたは照射によってしか重合は起こらず、プロセスの実行には装置の複雑性の増加が必要とされる。」

「【0038】
本発明の方法の分離、洗浄、乾燥および/または焼成(工程d)?e))は、当業者に良く知られている方法により行われ、例えばWO93/08327にも記載されており、当業者に知られている方法で特定のシステムに適合させることができる。基材は、好ましくは、液外または気体ジェットにより分離される。この工程において、基材の粉砕が既に起こっていることがある。本発明の方法において、粉砕は、好ましくは、構造に起因して生じる破壊端部において起こる。本出願の目的のために、後者は、構造に起因して基材フィルムに突出する端部である。これらの端部において、基材は、基材フィルムのほかの場所よりも薄い。支持体の構造は、基材中に、基準破壊点を導入する。基材の分離中の液体ジェットのような外部作用により、基準破壊点において破壊が生じ、均一形状および寸法の基材粒子が得られる。」

「【0045】
化粧品の場合、本発明の顔料は、特に、例えばネイルワニス、着色粉末、リップスティックまたはアイシャドウ、石鹸、歯磨き等のような装飾的化粧の製品および製剤に適している。本発明の顔料は、もちろん、製剤中で、全てのタイプの化粧原料および助剤と組み合わせることもできる。これらは、特に、油、脂肪、ワックス、フィルム形成剤、防腐剤および、例えばベントナイト、ヘクトライト、二酸化珪素、珪酸カルシウム、ゼラチン、高分子量炭水化物および/または界面活性助剤等のような増粘剤およびレオロジー添加剤のような適性を通常定める助剤を含む。本発明の顔料を含む製剤は、親油性、親水性または疎水性タイプに属することができる。別個の水性および非水性相を有する不均質製剤において、本発明の顔料は、各々の場合、2つの相の一方にしか存在しないか、または、両方の相に分布させることができる。化粧製剤中の効果顔料およびこの目的に適した材料の使用の例が、リサーチディスクロージャーRD471001に記載されている。本発明の顔料粒子の均質形状および寸法の利点を、RD471001に記載の効果顔料に適用することができる。」

「【0047】
顔料を塗料および被覆で用いる場合、当業者に知られている全ての適用範囲、例えば、粉末被覆、自動車塗料および、グラビア、オフセット、スクリーンまたはフレキソグラフ印刷用の印刷インク、および、アウトドア用途の塗料が可能である。印刷インクの調製には、複数のバインダー、特に水溶性グレードのバインダー、例えばアクリレート、メタクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、ニトロセルロース、エチルセルロース、ポリアミド、ポリ酪酸ビニル、フェノール樹脂、マレイン樹脂、澱粉またはポリビニルアルコールに基づくバインダーが適当である。塗料は、水系または溶媒系塗料であり得、塗料成分の選択は、当業者の一般的知識による。」

「【0059】
実施例1
辺の長さが30μmである正方形構造をエンボス加工(多角形の径:42.4μm)された表面上の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムに、ベルトまたは浸漬キャスティング法により、湿潤および流動剤として市販の湿潤剤を0.2重量%含むナトリウム水ガラス溶液(オルト珪酸ナトリウム23重量%)を被覆する。ナトリウム水ガラスフィルムを、150℃で空気を用いて乾燥する。厚さが約600nmの乾燥フィルムを、定められた形状および寸法の薄片の状態で、基材から脱離し、続いて、pH5で攪拌し、その間に、浴のpHを、希塩酸を用いて一定に維持する。攪拌後、SiO_(2)薄片を乾燥し、次に800℃で焼成する。フィルム上(当審注:「フィルム状」の誤記と認定する。)の四角構造故に、破壊端部は予め決められ、フィルムからの脱離時に薄片が破壊し、焼成時に、辺の長さが30μmである四角構造が形成される。
【0060】
実施例2
実施例1からの四角形薄片10gを、水250ml中に懸濁し、SnCl_(4)溶液(調製:SnCl_(4)・5H_(2)O1.1gを、濃塩酸2mlおよび水17mlに溶解する)を、75℃およびpH1.8で激しく攪拌しつつ0.1ml/分の定量速度で滴下する。続いて、温度を90℃に上げ、pHを1.5に下げ、TiCl_(4)溶液(内容物:1L当たりTiCl_(4)380g)20mlを滴下する。滴下完了時に、得られる生成物を濾去し、洗い乾燥することにより、支持体上に延ばしたときに強度の角度依存干渉色を示す白色かかった粉末を得る。
・・・(中略)・・・
【0063】
施例5(当審注:実施例5の誤記であると認定する。)
実施例2の顔料を、EP0 632 109に記載のように被覆する。得られる粉末は、色特性が非後被覆顔料に相当する。後被覆顔料を、市販の含水表面被覆製剤に混入する。これを用いて製造した仕上げ品は、優れた縮合水抵抗を示す。」

イ 引用文献2について

引用文献2には、「レーザー彫刻された印刷フォームの使用」(発明の名称)について、次の記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー彫刻により製造されたセル形態に凹所を有し、金属またはセラミックコーティングを有する平面体または円筒体からなる印刷フォームであって、印刷フォームの金属またはセラミックコーティング上の少なくともいくつかのセルはグループ内に配置され、グラビア印刷方法で、少なくとも1種のフレーク状効果顔料で着色した印刷インクを用いて印刷するための、前記印刷フォームの使用。
・・・(中略)・・・
【請求項6】
フレーク状効果顔料が、真珠光沢顔料、干渉顔料、金属効果顔料、液晶顔料、構造化顔料またはそれらの混合物である、請求項1?5のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
効果顔料が、任意に、金属、金属酸化物、金属酸化物水和物もしくはそれらの混合物、混合金属酸化物、亜酸化物もしくは酸窒化物、金属フッ化物またはポリマーの少なくとも1つのコーティングを有するフレーク状支持体を含む、請求項6に記載の使用。
【請求項8】
効果顔料が、天然もしくは合成雲母、カオリンもしくはフィロケイ酸塩、ガラス、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、SiO_(2)、TiO_(2)、Al_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、ポリマーフレーク、グラファイトフレークまたは金属フレークを含むフレーク状支持体を有する、請求項6または7に記載の使用。」

「【0028】
印刷インクに用いられる効果顔料は、たとえば、パール光沢顔料、干渉顔料、金属効果顔料、構造化顔料(たとえば、任意にコーティングを有する、構造化ポリマーフレークまたは構造化無機フレーク)またはこれらの混合物である。これらの効果顔料は、材料、望む場合は異なる材料の1または2以上の層から構成され、フレーク状である。
これらの顔料は、好ましくは、任意に、少なくとも1つの金属、金属酸化物、金属酸化物水和物、またはそれらの混合物、混合金属酸化物、亜酸化物または酸窒化物、金属フッ化物またはポリマーのコーティングを含むフレーク状支持体を有する。
【0029】
真珠光沢顔料は、高い屈折率の透明なフレークからなり、並行に配列したとき、複数の屈折により特徴的な真珠光沢を示す。加えて干渉色をも示すこのタイプの真珠光沢顔料は、干渉顔料としても知られている。
TiO_(2)フレーク、鉛白、BiOCl顔料または真珠層顔料などの伝統的な真珠光沢顔料はまた、原理上当然適合するが、本発明の目的に用いられる効果顔料は、フレーク状支持体上に、任意に、少なくとも1つの金属、金属酸化物、金属酸化物水和物、またはそれらの混合物、混合金属酸化物、金属亜酸化物、金属酸窒化物、金属フッ化物またはポリマーのコーティングを有する、フレーク状干渉顔料または金属効果顔料が好ましい。
【0030】
金属効果顔料は、好ましくは少なくとも1種の金属支持体または金属コーティングを有する。
フレーク状支持体は、好ましくは、天然または合成雲母、カオリンもしくは他のフィロケイ酸塩、ガラス、ホウケイ酸カルシウムアルミニウム、SiO_(2)、TiO_(2)、Al_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、ポリマーフレーク、グラファイトフレークまたは金属フレーク、たとえば、アルミニウム、チタン、青銅、銀、銅、金、鉄または種々の金属合金など、からなる。
雲母、ガラス、ホウケイ酸カルアシウムアルミニウム、グラファイト、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)またはアルミニウムを含むフレーク状支持体が、特に好ましい。」

「【0037】
効果顔料により達成され得る個々の色彩効果は、それ自体本発明の成功のために重要ではいない。しかし、当然、伝統的な有機もしくは無機染料、または着色顔料単独では得ることができない、視覚的に非常に魅力的な印刷生成物を達成することが可能である効果顔料の使用が好ましい。しかし、カラープレイおよび/または傾斜角変更時の印象的な明/暗効果を示す(任意に種々の印刷)、光沢があり、強力な干渉色の金属効果または印刷画像は、殊に包装印刷において非常に求められている。本明細書では、印刷画像のきらめき効果は、効果顔料の粒子サイズが大きければ、しばしば大きくなる。このタイプの色と光沢印象は、フレーク状効果顔料でのみ達成され得る。」

「【0081】
例3:
バインダー、添加物および溶剤を含む印刷インクブレンド75重量部(Sicpa Aarberg(CH)からの50.36循環ブレンドラッカー、マスターブレンド50)、雲母支持体上のTiO_(2)(ルチル)皮膜を有するフレーク状効果顔料30重量部(Merck KGaA、Darmsradt(DE)からのIriodin(登録商標)Bright Lustre Satin、粒子サイズ5?25μm)を含む印刷インクを、エトキシプロパノールおよびエタノールの溶媒混合物(1:1)を用いて、20℃、60%の相対湿度、4mm/DINカップで測定して18sの流出時間により特徴づけられる粘度が得られるように調整する。印刷インクを、紙(LWC 、60g/cm^(2)、白、片側に皮膜)の上に、GMS単一色グラビア印刷機械を使用して、60m/minの速度で印刷する。」

ウ 引用文献3について

引用文献3には、「ガラスフレークに基づく多層顔料」(発明の名称)について、次の記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスフレークが高屈折率層と低屈折率層で交互に被覆されていることおよびガラスフレークが少なくとも3層に被覆されていることを特徴とするガラスフレークを基礎とする多層顔料。
【請求項2】
顔料が下記被覆からなる一層配列を少なくとも有することを特徴とする請求項1に記載の多層フレーク:
(A)屈折率n>1.8である被覆、
(B)屈折率n≦1.8である被覆、および、
(C)屈折率n>1.8である被覆、
および、もし必要ならば、
(D)保護外層。
但し、層束(A)+(B)が標準層集合(A)+(B)+(C)4回まで存在してもよい。
・・・(中略)・・・
【請求項5】
高屈折率層がTiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、TiFe_(2)O_(5)、Fe_(3)O_(4)、BiOCl、Cr_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnO、SnO_(2)、CoO、Co_(3)O_(4)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、チタンサブオキサイド、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルト、金属硫化物、金属カルコゲナイド、金属窒化物、金属酸化窒化物、金属カーバイド、あるいはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1?4のいずれかに記載の多層顔料。
【請求項6】
低屈折率層がSiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、B_(2)O_(3)、MgF_(2)、あるいはこれらの混合物からなることを特徴とする請求項1?5のいずれかに記載の多層顔料。
【請求項7】
下記層構造を有することを特徴とする請求項2に記載の多層顔料:
【表1】
そして、もし必要ならば、
(D)保護外層。」

「【0029】
高屈折率の層(A)は屈折率n>1.8、好ましくはn≧2.1を有する。層物質(A)として適当な、高屈折率を有する物質は技術労働者にとって総て公知の物質であり、フィルム様であり、基材粒子に均一に塗布できる。特に適当な物質は、TiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、TiFe_(2)O_(5)、Fe_(3)O_(4)、BiOCl、CoO、Co_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、Sn(Sb)O_(2)、ZrO_(2)、ZnOまたはSnO_(2)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、チタンサブオキサイド(酸化状態4未満から2である還元されたチタン種)、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルトのような、金属酸化物、金属硫化物あるいは金属酸化物であり、これら化合物の互いのあるいは他の金属酸化物との混合物あるいは混合層である。
【0030】
好ましくは、金属硫化物は、スズ、銀、ランタン、希土類金属(好ましくはセリウム)、クロム、モリブデン、タングステン、鉄、コバルトおよび/またはニッケルの硫化物から選ばれる。」

「【0032】
被覆(B)に適当な低屈折率無色の物質としては、SiO_(2)、MgF_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、B_(2)O_(3)、あるいはこれらの混合物のような金属酸化物あるいは相当する金属酸化物水和物が好ましい。層(B)の厚みは10?1000nm、好ましくは20?800nm、特に好ましくは30?600nmである。」

「【0036】
本発明の好ましい効果顔料は下記に示される:
【0037】
【表1】
【0038】
および、必要により、
(D)外部保護層。」

エ 引用文献4について

引用文献4には、「着色顔料」(発明の名称)について、次の記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)屈折率nが1.8を超え層厚が20?500nmである被覆、
(B)屈折率nが1.8以下であり層厚が10?100nmである無色被覆、
(C)屈折率nが1.8を超え層厚が20?500nmである無色被覆、
(D)粒径が1?500nmである吸着性顔料粒子の被覆、および場合によっては更に、
(E)外側保護層を含むことを特徴とする多層被覆薄片状基材に基づく着色顔料。
【請求項2】 薄片状基材が、天然または合成の雲母、ガラス薄片、Al_(2)O_(3)薄片、SiO_(2)薄片またはTiO_(2)薄片である請求項1に記載の着色顔料。
【請求項3】 層(A)がTiO_(2)、ZrO_(2)、ZnOまたはBiOClからなる請求項1または2に記載の着色顔料。
【請求項4】 層(B)がSiO_(2)、MgF_(2)またはAl_(2)O_(3)あるいはそれらの混合物からなる請求項1?3のいずれか1項に記載の着色顔料。」

「【0015】本発明の干渉顔料は、交互に、高屈折率層(A)または(C)と低屈折率層(B)とを有する。高屈折率層(A)および(C)は、屈折率nが1.8より大きい、好ましくは2.0以上である。
【0016】層(A)は、好ましくは、TiO_(2)、ZrO_(2)、SnO_(2)、ZnO、BiOCl、Ce_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)、亜酸化Ti(Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)からTiOまでのより低度の酸化物のような酸化状態が4未満乃至2である部分的に還元されたTiO_(2))、オキシ窒化チタンおよび窒化チタン、CoO、Co_(3)O_(4)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、NiO、CoAl_(2)O_(4)、BiVO_(4)、Ce_(2)S_(3)、MoS_(2)またはそれらの混合物あるいは組み合わせからなる。要すれば、酸化物混合物は還元状態であっても良い。層(A)は特に好ましくは無色層、特にTiO_(2)層である。ここで、TiO_(2)はルチルまたはアナターゼ形態であり得、好ましくはルチルである。
・・・(中略)・・・
【0018】被覆(B)に適している無色低屈折率材料は、好ましくは、金属酸化物または対応する酸化物無水物、例えば、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、B_(2)O_(3)、MgF_(2)、MgSiO_(3)またはそれら金属酸化物の混合物である。層(B)は、好ましくは、SiO_(2)、MgF_(2)もしくはAl_(2)O_(3)、またはそれらの混合物からなる。」

オ 引用文献5について

引用文献5には、「干渉顔料」(発明の名称)について、次の記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
被覆された薄片状基材に基づく干渉顔料であって、
(A)層厚が5?350nmのSiO_(2)の層、
(B)屈折率nが1.8を超える高屈折率被覆、および/または
(C)高屈折率および低屈折率の交互層からなる干渉系、
および任意に
(D)外側保護層
を含むことを特徴とする干渉顔料。
・・・(中略)・・・
【請求項6】
層(B)が金属酸化物からなる請求項1?5のいずれか一項に記載の干渉顔料。
【請求項7】
金属酸化物が、TiO_(2)、ZrO_(2)、SnO_(2)、ZnO、Ce_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、NiO、亜酸化チタン、またはそれらの混合物である請求項6に記載の干渉顔料。」

「【0010】
WO01/30920は、高い隠蔽力の金色およびオレンジ色干渉顔料を開示しており、これは薄片状基材が、Fe_(2)O_(3)およびTiO_(2)の金属酸化物混合物を含む高屈折率層および低屈折率層を含む少なくとも2つの層配列で被覆されている点において特徴付けられる。低屈折率被覆用として挙げられた材料は、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、B_(2)O_(3)、MgF_(2)、MgSiO_(3)またはこれらの酸化物の混合物である。しかしながら、WO01/30920による顔料の場合の本質的特徴は、本体の色と、混合酸化物層の固有の吸収による高い隠蔽力である。すなわち、隠蔽力の高い金色およびオレンジ色顔料しか得られない。光沢の高い銀白色顔料は、明るい干渉色および高い透明性を有する高光沢顔料と同様に得られ難い。印刷技術、プラスチック、表面被覆および化粧品において、特に光沢が向上した銀白色顔料への要求が強い。」

「【0026】
高屈折率被覆(B)は、好ましくは金属酸化物および/または亜酸化物からなる。
【0027】
層(B)は、好ましくは例えばTiO_(2)、ZrO_(2)、SnO_(2)、ZnO、Ce_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、NiOのような金属酸化物、さらには亜酸化チタン(低次酸化物Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)?TiOのような2乃至4未満の酸化状態で部分的に還元されたTiO_(2))、オキシ窒化チタン、FeO(OH)、例えば、Al、Fe、Cr、Ag、Au、PtまたはPdあるいはそれらの混合物からなる薄い半透明金属層からなる。TiO_(2)層はルチルまたはアナターゼ状態であってよく、ルチル層が好ましい。ルチルは、好ましくはEP0271767からのプロセスにより調製される。
【0028】
層(B)は、好ましくは金属酸化物層、特にTiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、SnO_(2)、ZrO_(2)またはCr_(2)O_(3)である。特に好ましいのは二酸化チタンである。」

「【0039】
特に好ましい干渉顔料を以下に列挙する:
ガラス薄片+SiO_(2)+TiO_(2)
ガラス薄片+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
ガラス薄片+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
ガラス薄片+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
ガラス薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+ベルリン・ブルー
ガラス薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+カーミン・レッド
ガラス薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
ガラス薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+Cr
雲母薄片+SiO_(2)+TiO_(2)
雲母薄片+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
雲母薄片+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
雲母薄片+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
雲母薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+ベルリン・ブルー
雲母薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+カーミン・レッド
雲母薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
雲母薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+Cr
Al_(2)O_(3)薄片+SiO_(2)+TiO_(2)
Al_(2)O_(3)薄片+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
Al_(2)O_(3)薄片+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
Al_(2)O_(3)薄片+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
Al_(2)O_(3)薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+ベルリン・ブルー
Al_(2)O_(3)薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+カーミン・レッド
Al_(2)O_(3)薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
Al_(2)O_(3)薄片+SiO_(2)+TiO_(2)+Cr
特に好ましい干渉顔料のなかでも、被覆されたガラス薄片が特に好ましく、また被覆されたAl_(2)O_(3)薄片が好ましい。」

カ 引用文献6について

引用文献6には、「顔料混合物、ならびに化粧品分野、および食品および薬剤分野でのその使用」(発明の名称)について、次の記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの成分からなる顔料混合物であって、成分Aがガラスフレークをベースとした有効顔料(当審注:「効果顔料」の誤記と認定する。)(effect pigment)を含み、成分Bが有機もしくは無機のフレーク形状、針状、球状または結晶状の着色剤および/または充てん剤を含む顔料混合物。
・・・(中略)・・・
【請求項3】
成分Aの前記有効顔料が以下の層構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の顔料混合物。
ガラスフレーク+TiO_(2)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層
ガラスフレーク+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+Fe_(3)O_(4)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+Fe_(3)O_(4)層
ガラスフレーク+TiFe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiFe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+Cr_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+Cr_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+Cr_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+Cr_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+チタン亜酸化物
ガラスフレーク+SiO_(2)層+チタン亜酸化物
ガラスフレーク+TiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+ベルリンブルー
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+プルシアンブルー
ガラスフレーク+TiO_(2)層+カーマインレッド
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+カーマインレッド
ガラスフレーク+TiO_(2)層+DCレッド30
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+DCレッド30
ガラスフレーク+Fe_(2)O_(3)層+SiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+Fe_(2)O_(3)層+SiO_(2)層+TiO_(2)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+SiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+SiO_(2)層+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)層+SiO_(2)層+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+SiO_(2)層+Cr_(2)O_(3)層」

「【0010】
好ましい有効顔料は以下の構造を有する。ガラスフレーク+TiO_(2)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層
ガラスフレーク+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+Fe_(3)O_(4)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+Fe_(3)O_(4)層
ガラスフレーク+TiFe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiFe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+Cr_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+Cr_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+Cr_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+Cr_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+チタン亜酸化物
ガラスフレーク+SiO_(2)層+チタン亜酸化物
ガラスフレーク+TiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+ベルリンブルー
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+プルシアンブルー
ガラスフレーク+TiO_(2)層+カーマインレッド
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+カーマインレッド
ガラスフレーク+TiO_(2)層+DCレッド30
ガラスフレーク+SiO_(2)層+TiO_(2)層+DCレッド30
ガラスフレーク+Fe_(2)O_(3)層+SiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+Fe_(2)O_(3)層+SiO_(2)層+TiO_(2)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+SiO_(2)層+Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+SiO_(2)層+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)層+SiO_(2)層+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)層
ガラスフレーク+TiO_(2)層+SiO_(2)層+Cr_(2)O_(3)層
TiO_(2)層はルチル型もしくはアナターゼ型であってよい。」

(2) 引用発明の認定、引用文献に記載された事項

ア 引用文献1に記載された発明、及び記載された事項

(ア) 引用文献1の上記【請求項1】、【請求項6】によれば、薄片状無機基材に基づく効果顔料であって、基材が円形または楕円形あるいは多角形Vn(nは角の数、および3以上)である効果顔料であって、当該基材が、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物からなる一または二以上の層で被覆されている効果顔料が記載されているといえる。

(イ) また、引用文献1の上記【請求項5】によれば、円形または楕円形の薄片状基材の円の直径または楕円の主軸の長さが3?150μmであり、多角形Vnの径が3?150μmであり、また、同【請求項3】、【請求項4】によれば、当該基材が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄である一または二以上の金属酸化物からなることが、また、同【請求項8】によれば、当該効果顔料は、有機被覆を、さらに外側層として設けていることが、記載されているといえる。

(ウ) また、引用文献1の上記【請求項15】によれば、請求項1に記載の効果顔料を調製する方法であって、
a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含む方法が、記載されているといえる。

(エ) また、引用文献1の上記【請求項25】によれば、塗料、被覆、印刷インク、トナー、プラスチック、化粧製剤、食品分野、薬品、セラミック材料、ガラス、紙、レーザーマーキング、証券材料、乾燥製剤、顔料製剤またはトレーサーにおける、請求項1に記載の効果顔料の使用が、記載されているといえる。

(オ) さらに、引用文献1の上記【請求項27】によれば、請求項1に記載の効果顔料を含んでなる塗料、被覆、印刷インク、トナー、プラスチック、化粧製剤、食品、薬品、セラミック材料、ガラス、紙、証券材料、乾燥製剤、顔料製剤またはトレーサーが、記載されているといえる。

(カ) 上記(ア)?(オ)によれば、引用文献1には、

「薄片状無機基材に基づく効果顔料であって、基材が円形または楕円形あるいは多角形Vn(nは角の数、および3以上)である効果顔料であって、該基材が、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物からなる一または二以上の層で被覆されており、
円形または楕円形の該基材の円の直径または楕円の主軸の長さが3?150μmであり、多角形Vnの径が3?150μmであり、
該基材が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄である一または二以上の金属酸化物からなり、
有機被覆を、さらに外側層として設けている、
効果顔料。」、

「引用発明1の効果顔料を調製する方法であって、
a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含む方法」

「塗料、被覆、印刷インク、トナー、プラスチック、化粧製剤、食品分野、薬品、セラミック材料、ガラス、紙、レーザーマーキング、証券材料、乾燥製剤、顔料製剤またはトレーサーにおける、引用発明1の効果顔料の使用。」、及び

「引用発明1の効果顔料を含んでなる塗料、被覆、印刷インク、トナー、プラスチック、化粧製剤、食品、薬品、セラミック材料、ガラス、紙、証券材料、乾燥製剤、顔料製剤またはトレーサー。」

の発明(以下、各発明を順に、「引用発明1」、「引用発明1A」、「引用発明1B」、「引用発明1C」という。)が記載されていると認められる。

(キ) 引用文献1には、実施例1、2、5によれば、顔料(粉末)は、SiO_(2)からなる四角形薄片に基づくものであるといえ、強度の角度依存干渉色を示すことがわかり、特に、実施例2の製造方法によれば、SnCl_(4)溶液、TiCl_(4)溶液の順に滴下されており、これは、本件明細書に記載されている実施例の「例2.1」と同様であることから、当該四角形薄片に対して、SnO_(2)の層、TiO_(2)の層の順に被覆されていることがわかり、さらに、「EP0 632 109に記載のように被覆する」とのことであり、これは、引用文献1の上記【0025】によれば、「本発明の効果顔料は、さらに、外側層としてさらなる有機被覆を設けることができる。このタイプの被覆の例が、例えば、EP0 632 109、・・・(中略)・・・に見られ、」とのことであるから、当該SnO_(2)の層、TiO_(2)の層が被覆された顔料に対して「有機被覆」をさらに外側層として設けていることがわかる(【0059】、【0060】、【0063】)。
また、上記四角形薄片の形状は、引用文献1の実施例1の製造方法によれば、辺の長さが30μmである正方形構造をエンボス加工(多角形の径:42.4μm)された表面上の厚さ100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用していることから、辺の長さが30μmである正方形であって、径の長さが42.4μmであることがわかり、また、該薄片は、厚さが約600nm(0.6μm)の乾燥フィルムから形成されることから、該薄片の厚さは約0.6μmであるといえ、さらに、「薄片」は、引用文献1の上記【請求項1】、【請求項3】によれば、「薄片状無機基材」、「薄片状基材」とも言及されていることから、「薄片状基材」といいかえることができる。
さらに、上記「SnO_(2)の層、TiO_(2)の層」については、引用文献1の上記【0020】によれば、「用いられる高屈折率層は、好ましくは、高屈折率金属酸化物層であり、特に好ましくは、例えば、TiO_(2)、亜酸化チタン、Fe_(2)O_(3)、SnO_(2)、ZnO、ZrO_(2)、Ce_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)および/またはそれらの混合物である。」と記載されており、そのうえ、本件明細書においても、「本特許出願において、高屈折率とは、屈折率n≧1.8、好ましくは、n≧2.0を意味するものとする。」、「好適な層材料は、膜様におよび耐久的に基材粒子に付けることのできる、当業者に既知のすべての高屈折率材料であり、例えば、金属酸化物、金属酸化物混合物、金属オキシ水和物(metal oxyhydrates)、金属硫化物、チタン酸鉄(iron titanates)、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、金属、および、当該物質の混合物または混合相(mixed phase)などである。特に好適なのは、例えば、TiO_(2)、BiOCl、Ce_(2)O_(3)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、FeOOH、NiO、SnO_(2)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnO、CoAl_(2)O_(4)、BiVO_(4)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン(Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)からTiOなどの、<4(4未満)から2の酸化数を有する部分的に還元されたTiO_(2))などの金属酸化物または金属酸化物混合物、および、例えば、Ce_(2)S_(3)、MoS_(2)などの金属硫化物、および、当該化合物の互いのまたは他の金属酸化物との混合物または混合相、ならびに、例えば、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、またはそれらの合金などの金属である。」(【0028】、【0029】)と記載されていることもあり、「屈折率が≧1.8である高屈折率層」であるといえる。

イ 引用文献2に記載された事項

引用文献2の上記【請求項8】、【0030】、【0081】によれば、引用文献2には、効果顔料のフレーク状支持体に使用される材料として、SiO_(2)、TiO_(2)、Al_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)の他に、合成雲母、天然雲母、ガラス、またはグラファイトを使用しても良い旨記載されている。
ここで、上記「フレーク状支持体」、「Fe_(2)O_(3)」は、それぞれ、「フレーク状基材」、「酸化鉄」といいかえることができる。

ウ 引用文献3に記載された事項

引用文献3の上記【請求項5】、【0029】、【0030】によれば、引用文献3には、高屈折率層として、TiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、BiOCl、CoO、Co_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnOまたはSnO_(2)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、バナジン酸ビスマス、アルミン酸コバルトのような、金属酸化物、金属硫化物あるいは金属酸化物であり、これら化合物の互いのあるいは他の金属酸化物との混合物あるいは混合層であること、そして、金属硫化物は、セリウムの硫化物および/またはモリブデンの硫化物から選ばれることが記載されている。
ここで、上記「バナジン酸ビスマス」、「アルミン酸コバルト」、「セリウムの硫化物」、「モリブデンの硫化物」は、それぞれ、「BiVO_(4)」、「CoAl_(2)O_(4)」、「Ce_(2)S_(3)」、「MoS_(2)」といいかえることができる。

エ 引用文献4に記載された事項

引用文献4の上記【請求項1】、【0015】、【0016】によれば、引用文献4には、高屈折率層として、TiO_(2)、ZrO_(2)、SnO_(2)、ZnO、BiOCl、Ce_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)、亜酸化Ti(Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)からTiOまでのより低度の酸化物のような酸化状態が4未満乃至2である部分的に還元されたTiO_(2))、CoO、Co_(3)O_(4)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、NiO、CoAl_(2)O_(4)、BiVO_(4)、Ce_(2)S_(3)、MoS_(2)またはそれらの混合物あるいは組み合わせからなることが記載されている。
ここで、上記「亜酸化Ti」は、「亜酸化チタン」といいかえることができる。

オ 引用文献5に記載された事項

引用文献5の上記【請求項1】、【請求項6】、【0026】、【0027】によれば、引用文献5には、高屈折率層として、TiO_(2)、ZrO_(2)、SnO_(2)、ZnO、Ce_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、NiOのような金属酸化物、さらには亜酸化チタン(低次酸化物Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)?TiOのような2乃至4未満の酸化状態で部分的に還元されたTiO_(2))、FeO(OH)、例えば、Al、Cr、Ag、またはAuあるいはそれらの混合物からなる薄い半透明金属層からなることが記載されている。
ここで、上記「FeO(OH)」は、「FeOOH」といいかえることができる。

(3) 対比・判断

ア 本件発明1について

本件発明1と引用発明1とを対比する。

引用発明1の「被覆され」は、本件発明1の「コーティングされ」に相当する。

本件発明1の「フレーク状基材」と、引用発明1の「薄片状無機基材」とは、「基材」である点で一致する。

本件発明1の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層」と、引用発明1の「金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物からなる一または二以上の層」とは、「少なくとも1つの層」である点で一致する。

本件発明1の「該基材が、5?60μmの粒径を有し」と、引用発明1の「該基材の円の直径または楕円の主軸の長さが3?150μmであり、多角形Vnの径が3?150μmであり、」とは、該基材の粒径が「5?60μm」の範囲で重複する。

してみると、両者は、

「基材に基づく効果顔料であって、該基材が、少なくとも1つの層によりコーティングされ、該基材が、5?60μmの粒径を有している、効果顔料。」

である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

<相違点1>

基材の形状について、本件発明1では、「フレーク状」と特定しているのに対して、引用発明1では、「薄片状」と特定している点。

<相違点2>

基材について、本件発明1では、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」と特定しているのに対して、引用発明1では、「円形または楕円形あるいは多角形Vn(nは角の数、および3以上)である」ものの、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」かどうか不明である点。

<相違点3>

少なくとも1つの層について、本件発明1では、「屈折率n≧1.8である」「高屈折率層」と特定しているのに対して、引用発明1では、「酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄である」ものの、「屈折率n≧1.8である」「高屈折率層」であるかどうか不明である点。

<相違点4>

基材の表面について、本件発明1では、「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり」と特定しているのに対して、引用発明1では、「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であ」るかどうか不明である点。

<相違点5>

基材の厚さについて、本件発明1では、「0.2?0.6μmの厚さを有する」と特定しているのに対して、引用発明1では、特定していない点。

以下、上記相違点について検討する。

事案に鑑み、まず、相違点4について検討する。

はじめに、本件発明1が具備する「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり」という発明特定事項(上記相違点4に斯かる事項)について、本件明細書の記載に照らしてながら確認しておく。

本件明細書【0019】、【0021】、【0022】においては、基材の製造について、以下のように記載されている。

「【0019】
基材フレーク、例えば、雲母フレークまたはガラスフレークは、相対的に(relatively)大きな塊または粗いフレークをすり砕くことによって製造される。続いて、直径が一般に50?200μmである形成された基材フレークは、粉砕機、例えば、ローター-ステーターミルに導入され、水および/または有機溶媒、好ましくは、水が添加される。このようにして形成された懸濁液は、粉砕機において、数時間の間、機械的に処理され、その間に、フレークの表面は、磨かれて滑らかになる。このステップ(工程)の間の粒子の機械的負荷(mechanical loading)は、永続的なせん断により、粒子のさらなる緩やかな(gentle)層間剥離、ならびに縁および表面の平滑化がもたらされるように選択される。狭い粒径分布は、少なくとも≧2(2以上)、好ましくは≧3(3以上)の、複数の沈降ステップの形態をとるその後の分級ステップによって実現される。このようにして製造された薄く丸みのあるフレークは、粒径分布が5?60μmであり、厚さ分布が0.2?0.6μmであり、ほんのわずかしか鋭い縁をもたない滑らかに磨かれた表面を有する。円形係数は、1.2?2である。」

「【0021】
追加の機械的処理および付随する研磨効果により、基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化する。円形係数の減少および長楕円形性の低下は、基材の縁がより滑らかになること、および基材がより丸い形状をとることと関係する。
【0022】
例えば、Al_(2)O_(3)、SiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、TiO_(2)、ガラスなどの、効果顔料のためのベース基材として機能させることが意図され、粗い塊またはフレークの形態ではない、合成的に製造された基材は、粉砕および表面の平滑化のために、粉砕機、例えば、ローター-ステーターミルに直接入れられる。ここでの円形係数も、1.2?2である。」

「【0024】
【表1】(省略)
より小さな縁粗さ、およびフレーク表面上の段(steps)の減少の結果、一般的に、基材フレークのコーティングにおいて、非常に均一なコーティングが得られることになる。これは、一方では、干渉色の局所的な一様性、また、散乱光の影響の減少に関連し、先行技術による効果顔料と比較して、総合的な(overall)より高い彩度をもたらす。」

上記記載より、基材に対して以下の工程がなされていると認められる。

・第1工程:大きな塊または粗いフレークをすり砕く粉砕工程
・第2工程:ローター-ステーターミルにより基材の粉砕及び基材表面の平滑化(研磨)工程

ここで、上記第2工程におけるローター-ステーターミルが粉砕及び研磨の機械的処理を行っていることは、当業者に自明である(例えば、特開平5-239371号公報の【0037】には、「ローター-ステーターミルか或はパールもしくはボールミル中で磨砕する・・・」と記載されている。)。

そして、上記第2工程によって、基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させていることがわかる。

一方、引用発明1の基材について、引用文献1には、その製造方法に関し、「本発明の方法の分離、洗浄、乾燥および/または焼成(工程d)?e))は、当業者に良く知られている方法により行われ、例えばWO93/08327にも記載されており、当業者に知られている方法で特定のシステムに適合させることができる。基材は、好ましくは、液外または気体ジェットにより分離される。この工程において、基材の粉砕が既に起こっていることがある。本発明の方法において、粉砕は、好ましくは、構造に起因して生じる破壊端部において起こる。本出願の目的のために、後者は、構造に起因して基材フィルムに突出する端部である。これらの端部において、基材は、基材フィルムのほかの場所よりも薄い。支持体の構造は、基材中に、基準破壊点を導入する。基材の分離中の液体ジェットのような外部作用により、基準破壊点において破壊が生じ、均一形状および寸法の基材粒子が得られる。」(【0038】)と記載されていることから、基材は、「破砕」や「破壊」といった機械的処理を受けることまでは記載されているものの、基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるものでなく、したがって、基材の表面に関して、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

そして、本件発明1は、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことにより、「基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化」し、円形係数が「1.2?2」となるものであって、「彩度および隠蔽力が増している(優れる)」という本件明細書の記載(【0006】)の格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、上記相違点4は実質的な相違点であり、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明1であるとすることはできない。

また、引用文献2?6においても、上記相違点4に係る、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことについては記載も示唆もされておらず、本件発明1は、引用発明1、及び引用文献1?6に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということもできない。

イ 本件発明2、5?15、18?23について

本件発明2、5?15、18?23は、本件発明1をさらに減縮したものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2、5?15、18?23は、引用発明と同一であるとはいえず、しかも、引用発明、及び引用文献1?6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということもできない。

ウ 本件発明16、17、24?37についてについて

本件発明16、17については、上記「第4 取消理由(2回目)の概要」に記載したように、[理由3](新規性)、[理由4](進歩性)という取消理由の対象としていない発明であるから、ここでの検討は行わない。
また、本件発明24?37も本件発明16を引用することから、本件発明16と同様に、ここでの検討は行わない。

第6 取消理由(1回目)のうち、取消理由(2回目)で採用しなかった取消理由について

取消理由(1回目)のうち、取消理由(2回目)で採用しなかった取消理由については、以下のとおりである。

[理由3] (実施可能要件)設定登録時の本件特許は、発明の詳細な説明の記載が不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。

[理由4] (明確性)設定登録時の本件特許は、特許請求の範囲の記載が不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。

倍率が30倍の光学顕微鏡を使用することによって円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を測定することは、当業者といえども不可能であり、本件発明において、発明の詳細な説明は、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものとはいえない。
よって、本件特許に係る発明の詳細な説明の記載は、特許法第36条第4項第1号の要件を満たしていない。

さらに、上記のとおり、円形係数を測定することができない以上、本件発明は不明確であるといわざるを得ない。
したがって、本件発明1及びこれを引用する本件発明2?23は明確ではなく、本件特許に係る請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。

第7 取消理由(1回目)のうち、取消理由(2回目)で採用しなかった取消理由に対する当審の判断

1 本件発明の円形係数の測定については、本件明細書によれば、以下のとおり記載されている。

「【0009】
本出願における円形係数を、倍率が30倍の光学顕微鏡における透過光において像となる、個々の粒子の面積に対する、周囲長の2乗の比として定義する。ただし単純化のためにその結果を4πで割り、それは、理想的な円の円形係数の場合、1となる。評価される粒子は、結像面内に、ほぼ水平にあり(substantially flat in the imaging plane)、評価される粒子の数は、円形係数の平均のために、十分に統計的に適切にされる(N=2000)。」

2 また、取消理由(1回目)に対して、特許件者が提出した平成29年10月23日付け意見書によると、以下のとおり記載されている。

「ア 円形係数の測定について
光学顕微鏡を用いて粒子の粒径や形状が測定可能であることは当業者によく知られており、実施可能要件及び明確性要件は満たされている。もちろん光学顕微鏡にはデジタルカメラが接続される。倍率が30倍の光学顕微鏡を用いても、つまり光学系から得られる像の倍率が30倍であっても、デジタルカメラの撮像素子の解像度が高い(ピクセルサイズが小さい)ため、粒子の形状測定に十分な程度に高い解像度(したがって最終的な倍率)が得られる。このことは周知であるが、必要であれば乙第1号証を参照されたい。乙第1号証の第2頁の『最大倍率』の説明において、例えば資料からカメラの撮像素子までの倍率が150倍の時に、すなわち顕微鏡システムの光学系の倍率が150倍のときに、その倍率よりワンオーダー高い最大倍率が得られることが記載される。本件特許の図面(図1、図2)は、デジタル写真である。
したがって、倍率30倍の光学顕微鏡を用いて顔料の円形係数を測定することは、当業者にとって極めて容易に行いうる。」

乙第1号証:「20,000_(×)の倍率は、デジタルマイクロスコープで本当に有効か?」(2016年12月2日)ライカマイクロシステムズのウェブサイト<URL:https://www.lica-microsystems.com/jp/ニュース/デジタル顕微鏡による倍率/>

3 上記1の本件明細書の記載によれば、本件発明にいう粒子の「円形係数」は、確かに「倍率が30倍の光学顕微鏡」を用いて測定するものであることを把握することができる。
しかしながら、本件明細書には、「倍率が30倍の光学顕微鏡」のみを用いて測定することまでは明記されるものでない。
この点に関し、上記2の意見書には、乙第1号証に記載されるとおり、粒子の「円形係数」は、倍率が30倍の光学顕微鏡に対してデジタルカメラを接続することによって、倍率を上げることが可能であり、例えば、資料からカメラの撮像素子までの倍率、すなわち顕微鏡システムの光学系の倍率を150倍とすることが可能であり、例えば、粒子の大きさが30μmであれば、その150倍の大きさは4500μm(=4.5mm)となり、上記「円形係数」を測定することが十分に可能なものであることがわかり、乙第1号証の記載内容に照らせば、本件特許の出願時における当業者の技術常識であったものと認められる。

してみれば、倍率が30倍の光学顕微鏡で得られた像から円形係数を測定することが発明の詳細な説明に記載されていないからといって、当業者が円形係数を測定することができないとまではいえない。

よって、本件特許明細書の発明の詳細な説明は、本件発明について、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されていないとはいえず、その特許が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえない。

また、円形係数を測定することができる以上、本件発明は、「円形係数」に関して明確であり、その特許が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものとはいえない。

第8 取消理由(2回目)、取消理由(1回目)で採用しなかった特許異議申立の申立理由について

取消理由(2回目)、取消理由(1回目)で採用しなかった特許異議申立の申立理由については、それぞれ、申立人が、設定登録時の本件発明1?15、18?23に対して提出した甲第1号証?甲第5号証について、甲第2号証、甲第3号証、または甲第4号証に基づく特許法第29条第1項第3号あるいは同法第29条第2項についての取消理由、甲第1号証?甲第5号証に記載の事項に基づく同法第29条第2項についての取消理由、基材の製造方法に関しての同法第36条第4項第1号、及び、同法36条第6項第2号についての取消理由、及び設定登録時の本件発明16、17に対して提出した甲第1号証?甲第5号証について、甲第1号証、甲第3号証、または甲第5号証に基づく特許法第29条第1項第3号についての取消理由、甲第1号証?甲第5号証に記載の事項に基づく同法第29条第2項についての取消理由、があるというものである。

甲第1号証:特開2005-42112号公報(再掲)
甲第2号証:特表2005-515769号公報
甲第3号証:”Perlglanzpigmente”、verlag moderne industrie、1991、pp.31-33
甲第4号証:Chemical Reviews、1999、Vol.99、No.7、pp.1963-1981
甲第5号証:Special Effect Pigments、Curt R. Vincentz Verlag、1998、pp.34
(甲第1号証?甲第5号証は、以下、それぞれ「甲1」?「甲5」という。)

1 甲1?甲5の記載

(1) 甲1は、上記第4の引用文献1であって、上記第5の3(1)アで摘示したとおりの記載がある。

(2) 甲2には、以下の記載がある。

「【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品または薬品を着色するための、薄片状基材に基づく多層顔料の使用。
【請求項2】
薄片状基材が雲母、タルク、カオリン、アルミニウム、Al_(2)O_(3)、Fe_(2)O_(3)、TiO_(2)、ガラスまたはSiO_(2)薄片である請求項1に記載の食品または薬品を着色するための多層顔料の使用。
【請求項3】
多層顔料が、高屈折率金属酸化物層と低屈折率金属酸化物層とを交互に有する請求項1または2に記載の食品または薬品を着色するための多層顔料の使用。
【請求項4】
多被覆薄片状基材に基づく多層顔料が、少なくとも一つの層配列(A)(B)を含む請求項1?3のいずれかに記載の食品または薬品を着色するための多層顔料の使用:
(A)は、二酸化チタンおよび/または酸化鉄からなる高屈折率被覆であり、
(B)は、屈折率nが1.8以下である無色被覆である。」

「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、食品および薬品の着色において既に知られている色相の範囲を広げて、製品のさらなる感知可能な向上を奏することである。光学的向上は、異なる色の被覆および非被覆錠剤などのより明確な区別が容易になるので、薬品に特に価値がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
驚くべきことに、金属酸化物の交互層で被覆された薄片状基材に基づく多層顔料が、食品および薬品の外観の向上に高度に適していることがわかった。特に好ましい金属酸化物はTiO_(2)、Fe_(2)O_(3)、およびFe_(3)O_(4)である。特に、TiO_(2)および/またはFe_(3)O_(4)層を有する多層顔料と、天然または天然様染料、着色された顔料または着色性果実および植物抽出物との組み合わせは、食品に興味深い新しい色相を与える。すなわち、本発明は、食品および薬品の着色のために、薄片状基材に基づく多層顔料の使用に関する。」

「【0012】
本発明の多層顔料用に適したベース基材は、透明または半透明薄片状基材である。好ましい基材は、葉状珪酸塩である。特に適しているのは、食品または薬品で用いるための法律的許認に基づく、天然および/または合成雲母、タルク、カオリン、薄片状酸化鉄または酸化アルミニウム、ガラス、SiO_(2)、TiO_(2)、薄片状混合酸化物、例えば、FeTiO_(3)、Fe_(2)TiO_(5)、または他の同等の材料である。」

「【0013】
ベース基材の寸法は、それ自体重要でなく、特定の用途に適合させることができる。通常、薄片状基材は厚さが0.005?10μm、特に0.05?5μmである。他の二つの方向の大きさは、通常、1?500μm、好ましくは2?200μm、特に5?60μmである。」

「【0016】
顔料は、複数の同一のまたは異なる組み合わせの層パッケージを含むことができるが、基材は一つの層パッケージ(A)(B)(A)のみで被覆されるのが好ましい。着色力を強化するために、本発明の顔料は4層までの層パッケージを含み得るが、基材上の全ての層の厚さは3μmを超えるべきでない。好ましくは、奇数の層が薄片状基材に適用され、最も内側の層と最も外側の層に高屈折率層を有する。特に好ましいのは、(A)(B)(A)の順で3つの光学的干渉層を有する構造である。適当な高屈折率層は、好ましくはTiO_(2)、Fe_(2)O_(3)および/またはFe_(3)O_(4)である。ここでTiO_(2)は、ルチルまたはアナターゼ型である。
【0017】
被覆(B)に適していると共に食品または薬品での使用の法的許可に適している無色低屈折率層は、好ましくは、金属酸化物または対応する酸化物水和物、例えば、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、B_(2)O_(3)、MgF_(2)、MgSiO_(3)または前記金属酸化物の混合物である。層(B)は、特にSiO_(2)層である。」

「【0018】
既知の多層顔料は、細かく砕かれた薄片状基材上に正確に定められた厚さと平滑な表面を有する複数の高屈折率干渉層および低屈折率干渉層を製造することにより容易に調製することができる。」

「【0022】
特に好ましい多層顔料は以下の層構造を有する。
【0023】
基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
基材+TiO_(2)+Al_(2)O_(3)+TiO_(2)
基材+TiO_(2)+Al_(2)O_(3)+Fe_(2)O_(3)
基材+TiO_(2)+Al_(2)O_(3)+Fe_(2)O_(3)
基材+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
基材+Fe_(3)O_(4)+SiO_(2)+TiO_(2)
基材+Fe_(2)O_(3)+Al_(2)O_(3)+TiO_(2)
基材+Fe_(3)O_(4)+Al_(2)O_(3)+TiO_(2)
特に、前記多層顔料は、雲母薄片、さらにはガラス、SiO_(2)またはAl_(2)O_(3)薄片に基づく。」

「【0024】
用いられる多層顔料は、好ましくは、マグネタイトおよびTiO_(2)被覆した天然または合成雲母薄片である。」

「【0025】
真珠光沢顔料、被覆または非被覆TiO_(2)および/またはSiO_(2)薄片、天然または天然様染料、有機または無機着色顔料、または食品分野で認可されている着色性天然果実および植物抽出物を混合することにより、製品中の多層顔料の色効果に影響を与え、同時に新規玉虫色効果を達成させることができる。」

「【0035】
着色に適した列挙し得るさらなる製品は、特に、全てのタイプの食品上の被覆、特に、顔料で着色した糖およびシェラック被覆(アルコール性および水性)、油、脂肪、澱粉およびワックス、アラビアゴム、セルロース誘導体(例えば、HPMC=ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、澱粉および胚乳誘導体、カラギーナンおよび当業者に知られている他の物質での被覆であり、糖製品、ケーキ装飾、偏平製品、被覆錠剤、チューインガム、ガム製品、フォンダン製品、マジパン製品、充填組成物、ココアおよび脂肪のてり、チョコレートおよびチョコレート含有製品、アイスクリーム、シリアル、スナック製品、被覆組成物、ケーキのてり、散乱糖装飾、ノンパレイユ、ゼリーおよびゼラチン製品、甘味料、甘草、アイシング、キャンディーフロス、脂肪、糖およびクリーム組成物、ブラマンジェ、デザート、フラン上薬、冷果スープ、粉末状食品、飲料、これらは、例えば、カルボキシメチルセルロースのような安定化剤が加えられまたは加えられておらず、酸性化および非酸性化乳製品、例えば、乳餅、ヨーグルト、チーズ、チーズ外皮、ソーセージ外被などの被覆、組み込みまたは塗布に適している。」

(3) 甲3には、抄訳文として以下の記載がある。

ア 「製造方法
二酸化チタンで被覆する前に、まず雲母を処理する必要がある。このような処理は、粗大な雲母の塊を粉砕し、引き続き種々の粒径分布に分級することである。この工程は、最終生成物の品質に本質的な影響を与える。粒子が細かいほど、全表面に対する角およびエッジの比率が大きくなる。しかしこのことは、粒子が細かいほど、角およびエッジにおける光の散乱が大きくなること、つまり光沢が低減することを意味する。しかしこれによって隠蔽力は大きくなる。従って、雲母の粒径分布によって、完成顔料の光沢および隠蔽力を制御することができる。慣用の分布はたとえばシルク光沢顔料に関しては5?25μm、ブリリアント光沢顔料に関しては10?50μm、または光輝光沢顔料に関しては30?150μmである。被覆の準備が整った雲母粒子の厚さは、300nm?600nmである。

TiO_(2)による雲母の被覆
二酸化チタンによる雲母の被覆は通常、雲母懸濁液中でチタン塩溶液を加水分解することによって湿式化学的に行う。今日では2つの方法が確立している。

1.均一加水分解法
この場合、計算された量のTi(O)SO_(4)を、雲母の水性懸濁液中に添加する。反応混合物をゆっくり加熱することにより、チタン塩は加水分解されて不溶性の水酸化チタニルになり、次第に雲母粒子を包み込む。全てのチタン塩が加水分解されたら、顔料を濾別し、乾燥させ、最終的に回転式管状炉で焼成する。焼成の際に水が分離することによって二酸化チタンが生じ、この二酸化チタンがコンパクトで薄い層として雲母を完全に包み込む。

Ti(O)SO_(4)+雲母+2H_(2)O→TiO(OH)_(2)/雲母+H_(2)SO_(4)

-H_(2)O
TiO(OH)_(2)/雲母→TiO_(2)/雲母

2.滴定法
滴定法は均一加水分解法に対して、管理と制御が容易であるという利点がある。強酸性のTi(O)Cl_(2)水溶液を雲母懸濁液に連続的に供給する。酸性領域の特定のpH値で、水酸化チタニルが沈殿する。このpH値は、NaOHを同時に計量供給することにより常に一定に維持される。

Ti(O)Cl_(2)+2NaOH+雲母→TiO(OH)_(2)/雲母+2NaCl

-H_(2)O
TiO(OH)_(2)/雲母 → TiO_(2)/雲母

ルチル、アナターゼ、ブルッカイト
二酸化チタンは雲母フレーク上で原則として3種類の結晶形、つまりルチル、アナターゼまたはブルッカイトとして晶出しうる。多くの場合、ルチル形が望まれている。というのも、ルチル形の屈折率は他の結晶形よりも高く、より光安定性であるからである。ルチル形は通常、二酸化チタンを極めて高い温度で加熱する際に生じる。しかし雲母上では、二酸化チタンが単独であればルチル形に移行した条件下で、常にアナターゼ形が得られる。雲母はエピタキシーによって二酸化チタンにこのような結晶形を強要するようである。しかし雲母を予めごく僅かな二酸化スズによって被覆することによって、反応が所望の方向に誘導されることが判明した。
ところで典型的な雲母・二酸化チタン・顔料は、約70%の雲母から構成されており、約3g/cm^(3)の比重を有する。」(第31頁右欄第12行?第33頁右欄下から第17行)

イ 「図23
粉砕後の雲母の種々の粒径分布

種々の粒径分布の雲母シート
M: < 15μm(90%)
F: 5- 20μm(90%)
N: 10- 50μm(90%) 厚み:0.1-0.5μm
S: 10-130μm(90%)
L: 40-200μm(90%)」(第31頁右下欄)

(4) 甲4には、抄訳文として以下の記載がある。

ア 「雲母基材の厚みの典型的な平均値は、200nm?600nmの範囲である。」(第1967頁右欄第36?38行)

イ 「C.液相中での基材のコーティングにより形成された顔料

1.金属酸化物被覆雲母

現在、市販されている最も重要な真珠光沢顔料は、金属酸化物被覆雲母粒子である。図8を参照のこと。これらの合成は1942年に最初に公開された。しかしながら、商業用途は、1960年初期のデュ・ポンの基本特許と、メール(Mearl)及びメルク(Merck)の改良によって初めて成された。殆どの製品の被覆物は、TiO_(2)、ヘマタイト(α-Fe_(2)O_(3))、又はこれらの混合酸化物で形成される。しかし、他の酸化物及び無機着色剤は、グリーンCr_(2)O_(3) 、ブラックFe_(3)O_(4)、フェロシアン化鉄(アイアンブルー)、コバルトブルー、シルバーホワイトビスマスオキシクロリド、SnO_(2)、ZnO、及びZrO_(2)と共に、雲母上に層を形成するために用いられる。」(第1972頁左欄第19?33行)

ウ 「最近、多層酸化物被覆物が、雲母基材を主体として開発されている。これらの製品は、雲母上に沈殿した高屈折率酸化物と低屈折率酸化物を交互に有している。低屈折率酸化物層は、SiO_(2)及び/又はAl_(2)O_(3)から構成されている。」(第1972頁左欄第53?57行)

(5) 甲5には、抄訳文として以下の記載がある。

ア 「製造方法
金属酸化物雲母顔料を製造する前に、天然雲母を調製しなければならない。粗い雲母のブロックを粉砕し、異なる粒径分布に分級する。その後のコーティングは、微細な雲母粒子の表面上に金属水酸化物又は金属酸化物を沈殿する湿式化学法を用いる。コーティングの後は、ろ過工程、乾燥工程及び精密な焼成工程が続き、これらは、顔料の品質に最も重要なものである。」(第34頁左欄第1?7行)

2 甲2、甲3、または甲4に基づく特許法第29条第1項第3号あるいは同法第29条第2項についての取消理由

(1) 甲2について

ア 甲2に記載された発明の認定

甲2には、上記1(2)の記載より、次の発明(甲2発明)が記載されているものと認められる。

「薄片状基材に基づく多層顔料であって、
細かく砕かれた基材上に、TiO_(2)のような高屈折率金属酸化物層とSiO_(2)のような低屈折率金属酸化物層で被覆され、該基材が5?60μmの粒径を有し、該基材が0.05?5μmの厚さを有する多層顔料。」

イ 本件発明1と甲2発明との対比・判断

甲2発明の「被覆され」は、本件発明1の「コーティングされ」に相当する。

本件発明1の「フレーク状基材」と、甲2発明の「薄片状基材」とは、「基材」である点で一致する。

本件発明1の「効果顔料」と、甲2発明の「多層顔料」とは、「顔料」である点で一致する。

甲2発明の「TiO_(2)のような高屈折率金属酸化物層」が、本件発明1の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層」に相当することは明らかであるから、甲2発明の「基材上に、TiO_(2)のような高屈折率金属酸化物層とSiO_(2)のような低屈折率金属酸化物層で被覆され」は、本件発明1の「該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされ」に相当するといえる。

本件発明1の「該基材が、0.2?0.6μmの厚さを有する」と、甲2発明の「該基材が0.05?5μmの厚さを有する」とは、該基材の厚さが「0.2?0.6μm」の範囲で重複する。

してみると、両者は、

「基材に基づく顔料であって、該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの層によりコーティングされ、該基材が、5?60μmの粒径を有し、該基材が0.2?0.6μmの厚さを有する、顔料。」

である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

<相違点2-1>

顔料について、本件発明1では、「効果顔料」と特定しているのに対して、甲2発明では、「多層顔料」と特定している点。

<相違点2-2>

基材の形状について、本件発明1では、「フレーク状」と特定しているのに対して、甲2発明では、「薄片状」と特定している点。

<相違点2-3>

基材について、本件発明1では、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」と特定しているのに対して、甲2発明では、不明である点。

<相違点2-4>

基材の表面について、本件発明1では、「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり」と特定しているのに対して、甲2発明では、基材が「細かく砕かれ」ているものの、「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面」を有するかどうか不明である点。

以下、上記相違点について検討する。

事案に鑑み、まず、相違点2-4について検討する。

甲2発明の基材について、甲2には、その製造方法に関し、「既知の多層顔料は、細かく砕かれた薄片状基材上に正確に定められた厚さと平滑な表面を有する複数の高屈折率干渉層および低屈折率干渉層を製造することにより容易に調製することができる。」(【0018】)と記載されていることから、基材は、「砕く」といった機械的処理を受けることまでは記載されているものの、基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるものでなく、したがって、基材の表面に関して、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

そして、本件発明1は、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことにより、「基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化」し、円形係数が「1.2?2」となるものであって、「彩度および隠蔽力が増している(優れる)」という本件明細書の記載(【0006】)の格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、上記相違点2-4は実質的な相違点であり、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明であるとすることはできない。また、甲2発明、及び甲2の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということもできない。

ウ 本件発明2、5?15、18?23について

本件発明2、5?15、18?23は、本件発明1をさらに減縮したものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2、5?15、18?23は、甲2発明と同一であるとはいえず、しかも、甲2発明、及び甲2に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(2) 甲3について

ア 甲3に記載された発明の認定

甲3には、上記1(3)の記載より、次の発明が記載されているものと認められる。

「粒子状基材に基づく光沢顔料であって、
粗大な雲母の塊を粉砕して得られた雲母粒子が、TiO_(2)で被覆され、該粒子が5?150μmの粒径を有し、該粒子が300nm(0.3μm)?600nm(0.6μm)の厚さを有する光沢顔料。」(以下、「甲3発明」という。)

「甲3発明の光沢顔料の製造であって、粗大な雲母の塊を粉砕し、引き続き種々の粒径分布に分級を行い、その後二酸化チタンで被覆する方法。」(以下、「甲3発明A」という。)

イ 本件発明1と甲3発明との対比・判断

甲3発明の「被覆され」は、本件発明1の「コーティングされ」に相当する。

本件発明1の「フレーク状基材」と、甲3発明の「粒子状基材」とは、「基材」である点で一致する。

本件発明1の「効果顔料」と、甲3発明の「光沢顔料」とは、「顔料」である点で一致する。

甲3発明の「TiO_(2)」が、本件発明1の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層」に相当することは明らかであるから、甲3発明の「TiO_(2)で被覆され」は、本件発明1の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされ」に相当するといえる。

本件発明1の「該基材が、5?60μmの粒径を有し」と、甲3発明の「該粒子が5?150μmの粒径を有し」とは、該基材の粒径が「5?60μm」の範囲で重複する。

本件発明1の「該基材が、0.2?0.6μmの厚さを有する」と、甲3発明の「該基材が0.3?0.6μmの厚さを有する」とは、該基材の厚さが「0.3?0.6μm」の範囲で重複する。

してみると、両者は、

「基材に基づく顔料であって、該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの層によりコーティングされ、該基材が、5?60μmの粒径を有し、該基材が0.3?0.6μmの厚さを有する、顔料。」

である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

<相違点3-1>

顔料について、本件発明1では、「効果顔料」と特定しているのに対して、甲3発明では、「光沢顔料」と特定している点。

<相違点3-2>

基材の形状について、本件発明1では、「フレーク状」と特定しているのに対して、甲3発明では、「粒子状」と特定している点。

<相違点3-3>

基材について、本件発明1では、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」と特定しているのに対して、甲3発明では、不明である点。

<相違点3-4>

基材の表面について、本件発明1では、「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり」と特定しているのに対して、甲3発明では、基材が「粗大な雲母の塊を粉砕して得られ」るものの、「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面」を有するかどうか不明である点。

以下、上記相違点について検討する。

事案に鑑み、まず、相違点3-4について検討する。

甲3発明の基材について、甲3には、その製造方法に関し、「粗大な雲母の塊を粉砕し、引き続き種々の粒径分布に分級することである。」〔上記1(3)ア参照。〕と記載されていることから、基材は、「粉砕」といった機械的処理を受けることまでは記載されているものの、基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるものでなく、したがって、基材の表面に関して、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

そして、本件発明1は、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことにより、「基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化」し、円形係数が「1.2?2」となるものであって、「彩度および隠蔽力が増している(優れる)」という本件明細書の記載(【0006】)の格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、上記相違点3-4は実質的な相違点であり、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明であるとすることはできない。また、甲3発明、及び甲3の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということもできない。

ウ 本件発明2、5?15、18?23について

本件発明2、5?15、18?23は、本件発明1をさらに減縮したものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2、5?15、18?23は、甲3発明と同一であるとはいえず、しかも、甲3発明、及び甲3に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

(3) 甲4について

ア 甲4に記載された発明の認定

甲4には、上記1(4)の記載より、次の発明(甲4発明)が記載されているものと認められる。

「粒子状基材に基づく真珠光沢顔料であって、
雲母粒子(基材)が、TiO_(2)、ヘマタイト(α-Fe_(2)O_(3))、又はこれらの混合酸化物で被覆され、該粒子(基材)が200nm(0.2μm)?600nm(0.6μm)の厚さを有する真珠光沢顔料。」

イ 本件発明1と甲4発明との対比・判断

甲4発明の「被覆され」は、本件発明1の「コーティングされ」に相当する。

本件発明1の「フレーク状基材」と、甲4発明の「粒子状基材」とは、「基材」である点で一致する。

本件発明1の「効果顔料」と、甲4発明の「真珠光沢顔料」とは、「顔料」である点で一致する。

甲4発明の「TiO_(2)」が、本件発明1の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層」に相当することは明らかであるから、甲4発明の「TiO_(2)、ヘマタイト(α-Fe_(2)O_(3))、又はこれらの混合酸化物で被覆され」は、本件発明1の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされ」に相当するといえる。

してみると、両者は、

「基材に基づく顔料であって、該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの層によりコーティングされ、該基材が0.2?0.6μmの厚さを有する、顔料。」

である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

<相違点4-1>

顔料について、本件発明1では、「効果顔料」と特定しているのに対して、甲4発明では、「真珠光沢顔料」と特定している点。

<相違点4-2>

基材の形状について、本件発明1では、「フレーク状」と特定しているのに対して、甲4発明では、「粒子状」と特定している点。

<相違点4-3>

基材について、本件発明1では、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」と特定しているのに対して、甲4発明では、不明である点。

<相違点4-4>

基材の表面について、本件発明1では、「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり」と特定しているのに対して、甲4発明では、「表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面」を有するかどうか不明である点。

<相違点4-5>

基材の粒径について、本件発明1では、「5?60μm」と特定しているのに対して、甲4発明では、不明である点。

以下、上記相違点について検討する。

事案に鑑み、まず、相違点4-4について検討する。

甲4発明の基材について、甲4には、上記1(4)の記載を見る限り、その製造方法に関しては、何ら言及されていないことから、基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるかどうか不明であり、基材の表面に関して、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

そして、本件発明1は、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことにより、「基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化」し、円形係数が「1.2?2」となるものであって、「彩度および隠蔽力が増している(優れる)」という本件明細書の記載(【0006】)の格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、上記相違点4-4は実質的な相違点であり、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲4発明であるとすることはできない。また、甲4発明、及び甲4の記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである、ということもできない。

ウ 本件発明2、5?15、18?23について

本件発明2、5?15、18?23は、本件発明1をさらに減縮したものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2、5?15、18?23は、甲4発明と同一であるとはいえず、しかも、甲4発明、及び甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるともいえない。

3 甲1?甲5に記載の事項に基づく同法第29条第2項についての取消理由

ア 本件発明1について

甲5には、上記1(5)の記載を見る限り、その製造方法に関して、「金属酸化物雲母顔料を製造する前に、天然雲母を調製しなければならない。粗い雲母のブロックを粉砕し、異なる粒径分布に分級する。」と記載されていることから、基材は、「粉砕」といった機械的処理を受けることまでは記載されているものの、基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるものでなく、したがって、基材の表面に関して、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。
また、上記第5の3(3)ア、及び第8の2で述べたとおり、甲1?甲4のいずれにおいても、上記基材の表面に関して、「磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨」くことについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

してみると、甲1?5には、本件発明1における発明特定事項である「該基材の表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり」を開示ないし示唆するものでないことから、本件発明1は、甲1?甲5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件発明2、5?15、18?23について

本件発明2、5?15、18?23は、本件発明1をさらに減縮したものであるから、本件発明1についての判断と同様の理由により、本件発明2、5?15、18?23は、甲1?甲5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

4 基材の製造方法についての同法第36条第4項第1号、及び、同法36条第6項第2号についての取消理由

申立人は、特許異議申立書第62?63頁において、要するに、本件明細書には、本件発明における「丸みのある形状」を達成することができないため、本件特許発明による効果を得ることができないから、本件明細書は、本件発明について、当業者が容易に実施できるように明確かつ十分に記載されていない、さらには、具体的に目的とする形状の基材が得られないのであれば、本件発明を特定することができず、本件発明は明確でない、旨述べている。
しかしながら、当該「丸みのある形状」については、本件発明の発明特定事項に基づくものでないことから、上記申立人の主張を採用することができない。

5 甲1に基づく特許法第29条第1項第3号についての取消理由(本件発明16、17について)

(1) 甲1(引用文献1)について

引用発明の認定

甲1(引用文献1)には、上記第5の3(2)ア(カ)で述べたとおり、次の発明(引用発明1、引用発明1A:共に再掲)が記載されているものと認められる。

引用発明1:
「薄片状無機基材に基づく効果顔料であって、基材が円形または楕円形あるいは多角形Vn(nは角の数、および3以上)である効果顔料であって、該基材が、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物からなる一または二以上の層で被覆されており、
円形または楕円形の該基材の円の直径または楕円の主軸の長さが3?150μmであり、多角形Vnの径が3?150μmであり、
該基材が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄である一または二以上の金属酸化物からなり、
有機被覆を、さらに外側層として設けている、
効果顔料。」

引用発明1A:
「引用発明1の効果顔料を調製する方法であって、
a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含む方法」

イ 本件発明16と引用発明1Aとの対比・判断

引用発明1を引用する引用発明1Aの「被覆され」は、本件発明16の「コーティングされ」に相当する。

本件発明16の「フレーク状基材」と、引用発明1を引用する引用発明1Aの「薄片状無機基材」とは、「基材」である点で一致する。

本件発明16の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層」と、引用発明1を引用する引用発明1Aの「金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物からなる一または二以上の層」とは、「少なくとも1つの層」である点で一致する。

引用発明1Aの「効果顔料を調製する方法」は、本件発明16の「効果顔料を調製するための方法」に相当する。

してみると、両者は、

「基材に基づく効果顔料であって、該基材が、少なくとも1つの層によりコーティングされ、該基材が、5?60μmの粒径を有している、効果顔料。」

である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

<相違点1-1>

基材の形状について、本件発明16では、「フレーク状」と特定しているのに対して、引用発明1を引用する引用発明1Aでは、「薄片状」と特定している点。

<相違点1-2>

基材について、本件発明16では、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」と特定しているのに対して、引用発明1を引用する引用発明1Aでは、「円形または楕円形あるいは多角形Vn(nは角の数、および3以上)である」ものの、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」かどうか不明である点。

<相違点1-3>

少なくとも1つの層について、本件発明16では、「屈折率n≧1.8である」「高屈折率層」と特定しているのに対して、引用発明1を引用する引用発明1Aでは、「酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄である」ものの、「屈折率n≧1.8である」「高屈折率層」であるかどうか不明である点。

<相違点1-4>

効果顔料を調整する方法について、本件発明16では、「比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕き、その後、50?200μmの直径を有する形成された基材フレークを、粉砕機に導入し、水および/または有機溶媒を添加し、このようにして形成された懸濁液を、該粉砕機において、数時間の間、機械的に処理し、同時に、その間に、フレークの表面が、磨かれて滑らかになり、このステップの間の基材粒子の機械的負荷を、永続的なせん断により、粒子のさらなる緩やかな層間剥離、ならびに縁および表面の平滑化がもたらされるように選択し、狭い粒径分布が、複数の沈降ステップの形態をとるその後の分級ステップによって実現されること」と特定しているのに対して、引用発明1Aでは、「a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含」んでいるものの、斯かる点を特定していない点。

以下、上記相違点について検討する。

事案に鑑み、まず、相違点1-4について検討する。

引用文献1には、引用発明1Aの「基材を外す(分離する)工程」に関し、「本発明の方法の分離、洗浄、乾燥および/または焼成(工程d)?e))は、当業者に良く知られている方法により行われ、例えばWO93/08327にも記載されており、当業者に知られている方法で特定のシステムに適合させることができる。基材は、好ましくは、液外または気体ジェットにより分離される。この工程において、基材の粉砕が既に起こっていることがある。本発明の方法において、粉砕は、好ましくは、構造に起因して生じる破壊端部において起こる。本出願の目的のために、後者は、構造に起因して基材フィルムに突出する端部である。これらの端部において、基材は、基材フィルムのほかの場所よりも薄い。支持体の構造は、基材中に、基準破壊点を導入する。基材の分離中の液体ジェットのような外部作用により、基準破壊点において破壊が生じ、均一形状および寸法の基材粒子が得られる。」(【0038】)と記載されていることから、基材は、「破砕」や「破壊」といった機械的処理を受けることまでは記載されているものの、フレーク基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるものでなく、したがって、フレークの表面に関して、「磨かれてより滑らかにな」ることについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

そして、本件発明16は、「磨かれてより滑らかにな」ることにより、「基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化」し、円形係数が「1.2?2」となるものであって、「彩度および隠蔽力が増している(優れる)」という本件明細書の記載(【0006】)の格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、上記相違点1-4は実質的な相違点であり、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明16は、引用発明1Aであるとすることはできない。

ウ 本件発明17、24?37について

本件発明17、24?37は、本件発明16をさらに減縮したものであるから、本件発明16についての判断と同様の理由により、本件発明17、24?37は、引用発明1Aと同一であるとはいえない。

5 甲1に基づく特許法第29条第1項第3号についての取消理由(本件発明16、17、24?37について)

(1) 甲1(引用文献1)について

ア 甲1に記載された発明の認定

甲1(引用文献1)には、上記第5の3(2)ア(カ)で述べたとおり、次の発明が記載されているものと認められる。

引用発明1(再掲):
「薄片状無機基材に基づく効果顔料であって、基材が円形または楕円形あるいは多角形Vn(nは角の数、および3以上)である効果顔料であって、該基材が、金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物からなる一または二以上の層で被覆されており、
円形または楕円形の該基材の円の直径または楕円の主軸の長さが3?150μmであり、多角形Vnの径が3?150μmであり、
該基材が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄である一または二以上の金属酸化物からなり、
有機被覆を、さらに外側層として設けている、
効果顔料。」

引用発明1A(再掲):
「引用発明1の効果顔料を調製する方法であって、
a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含む方法」

イ 本件発明16と引用発明1Aとの対比・判断

引用発明1Aが引用する引用発明1の「被覆され」は、本件発明16の「コーティングされ」に相当する。

本件発明16の「フレーク状基材」と、引用発明1Aが引用する引用発明1の「薄片状無機基材」とは、「基材」である点で一致する。

本件発明16の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層」と、引用発明1Aが引用する引用発明1の「金属酸化物、金属酸化物水和物、金属亜酸化物、金属、金属フッ化物、金属窒化物、金属オキシ窒化物またはこれらの材料の混合物からなる一または二以上の層」とは、「少なくとも1つの層」である点で一致する。

引用発明1Aの「効果顔料を調製する方法」は、本件発明16の「効果顔料を調製するための方法」に相当する。

してみると、両者は、

「基材に基づく効果顔料であって、該基材が、少なくとも1つの層によりコーティングされている効果顔料を調製するための方法。」

である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

<相違点1A-1>

基材の形状について、本件発明16では、「フレーク状」と特定しているのに対して、引用発明1Aが引用する引用発明1では、「薄片状」と特定している点。

<相違点1A-2>

基材について、本件発明16では、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」と特定しているのに対して、引用発明1Aが引用する引用発明1では、「円形または楕円形あるいは多角形Vn(nは角の数、および3以上)である」ものの、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」かどうか不明である点。

<相違点1A-3>

少なくとも1つの層について、本件発明16では、「屈折率n≧1.8である」「高屈折率層」と特定しているのに対して、引用発明1Aが引用する引用発明1では、「酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化硼素、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび/または酸化鉄である」ものの、「屈折率n≧1.8である」「高屈折率層」であるかどうか不明である点。

<相違点1A-4>

効果顔料を調整する方法について、本件発明16では、「比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕き、その後、50?200μmの直径を有する形成された基材フレークを、粉砕機に導入し、水および/または有機溶媒を添加し、このようにして形成された懸濁液を、該粉砕機において、数時間の間、機械的に処理し、同時に、その間に、フレークの表面が、磨かれて滑らかになり、このステップの間の基材粒子の機械的負荷を、永続的なせん断により、粒子のさらなる緩やかな層間剥離、ならびに縁および表面の平滑化がもたらされるように選択し、狭い粒径分布が、複数の沈降ステップの形態をとるその後の分級ステップによって実現されること」と特定しているのに対して、引用発明1Aでは、「a)基材前駆体を含むフィルムを、円形または楕円形あるいは多角形Vnの構造を有する構造支持体に適用する工程、
b)乾燥によりフィルムを固化する工程、
c)基材前駆体から化学反応により基材を現像する工程、
d)構造支持体から基材を外す工程、および
e)任意に基材を洗浄、乾燥および/または焼成する工程
を含」んでいるものの、斯かる点を特定していない点。

以下、上記相違点について検討する。

事案に鑑み、まず、相違点1A-4について検討する。

引用文献1には、引用発明1Aの「基材を外す(分離する)工程」に関し、「本発明の方法の分離、洗浄、乾燥および/または焼成(工程d)?e))は、当業者に良く知られている方法により行われ、例えばWO93/08327にも記載されており、当業者に知られている方法で特定のシステムに適合させることができる。基材は、好ましくは、液外または気体ジェットにより分離される。この工程において、基材の粉砕が既に起こっていることがある。本発明の方法において、粉砕は、好ましくは、構造に起因して生じる破壊端部において起こる。本出願の目的のために、後者は、構造に起因して基材フィルムに突出する端部である。これらの端部において、基材は、基材フィルムのほかの場所よりも薄い。支持体の構造は、基材中に、基準破壊点を導入する。基材の分離中の液体ジェットのような外部作用により、基準破壊点において破壊が生じ、均一形状および寸法の基材粒子が得られる。」(【0038】)と記載されていることから、基材は、「破砕」や「破壊」といった機械的処理を受けることまでは記載されているものの、フレーク基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるものでなく、したがって、フレークの表面に関して、「磨かれてより滑らかにな」ることについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

そして、本件発明16は、「磨かれてより滑らかにな」ることにより、「基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化」し、円形係数が「1.2?2」となるものであって、「彩度および隠蔽力が増している(優れる)」という本件明細書の記載(【0006】)の格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、上記相違点1A-4は実質的な相違点であり、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明16は、引用発明1Aであるとすることはできない。

ウ 本件発明17、24?37について

本件発明17、24?37は、本件発明16をさらに減縮したものであるから、本件発明16についての判断と同様の理由により、本件発明17、24?37は、引用発明1Aと同一であるとはいえない。

6 甲3に基づく特許法第29条第1項第3号についての取消理由(本件発明16、17、24?37について)

(1) 甲3について

ア 甲3に記載された発明の認定

甲3には、上記2(2)アで述べたとおり、次の発明が記載されているものと認められる。

甲3発明(再掲):
「粒子状基材に基づく光沢顔料であって、
粗大な雲母の塊を粉砕して得られた雲母粒子が、TiO_(2)で被覆され、該粒子が5?150μmの粒径を有し、該粒子が300nm(0.3μm)?600nm(0.6μm)の厚さを有する光沢顔料。」(以下、「甲3発明」という。)

甲3発明A(再掲):
「甲3発明の光沢顔料の製造方法であって、粗大な雲母の塊を粉砕し、引き続き種々の粒径分布に分級を行い、その後二酸化チタンで被覆する製造方法。」(以下、「甲3発明A」という。)

イ 本件発明16と甲3発明Aとの対比・判断

甲3発明Aが引用する甲3発明の「被覆され」は、本件発明16の「コーティングされ」に相当する。

本件発明16の「フレーク状基材」と、甲3発明Aが引用する甲3発明の「粒子状基材」とは、「基材」である点で一致する。

本件発明16の「効果顔料」と、甲3発明Aが引用する甲3発明の「光沢顔料」とは、「顔料」である点で一致する。

甲3発明Aが引用する甲3発明の「TiO_(2)」が、本件発明16の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層」に相当することは明らかであるから、甲3発明Aが引用する甲3発明の「TiO_(2)で被覆され」は、本件発明16の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされ」に相当するといえる。

甲3発明Aの「光沢顔料の製造方法」は、本件発明16の「顔料を調製するための方法」に相当するといえる。

甲3発明Aの「粗大な」「塊を粉砕」する工程、及び「引き続き種々の粒径分布に分級を行」う工程は、それぞれ、本件発明16の「比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕」く工程、及び「その後の分級ステップによって実現される」工程に相当するといえる。

してみると、両者は、

「基材に基づく顔料であって、該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされている顔料を調整するための方法であって、
比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕き、その後の分級ステップによって実現される方法。」

である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

<相違点3A-1>

顔料について、本件発明16では、「効果顔料」と特定しているのに対して、甲3発明Aが引用する甲3発明では、「光沢顔料」と特定している点。

<相違点3A-2>

基材の形状について、本件発明16では、「フレーク状」と特定しているのに対して、甲3発明Aが引用する甲3発明では、「粒子状」と特定している点。

<相違点3A-3>

基材について、本件発明16では、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」と特定しているのに対して、甲3発明Aが引用する甲3発明では、不明である点。

<相違点3A-4>

効果顔料を調整する方法について、本件発明16では、「比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕き、その後、50?200μmの直径を有する形成された基材フレークを、粉砕機に導入し、水および/または有機溶媒を添加し、このようにして形成された懸濁液を、該粉砕機において、数時間の間、機械的に処理し、同時に、その間に、フレークの表面が、磨かれて滑らかになり、このステップの間の基材粒子の機械的負荷を、永続的なせん断により、粒子のさらなる緩やかな層間剥離、ならびに縁および表面の平滑化がもたらされるように選択し、狭い粒径分布が、複数の沈降ステップの形態をとるその後の分級ステップによって実現されること」と特定しているのに対して、甲3発明Aでは、「粗大な雲母の塊を粉砕し、引き続き種々の粒径分布に分級を行」っているものの、斯かる点を特定していない点。

以下、上記相違点について検討する。

事案に鑑み、まず、相違点3A-4について検討する。

甲3には、その製造方法に関し、「粗大な雲母の塊を粉砕し、引き続き種々の粒径分布に分級することである。」〔上記1(3)ア参照。〕と記載されていることから、基材は、「粉砕」といった機械的処理を受けることまでは記載されているものの、フレーク基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるものでなく、したがって、フレークの表面に関して、「磨かれてより滑らかにな」ることについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

そして、本件発明16は、「磨かれてより滑らかにな」ることにより、「基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化」し、円形係数が「1.2?2」となるものであって、「彩度および隠蔽力が増している(優れる)」という本件明細書の記載(【0006】)の格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、上記相違点3A-4は実質的な相違点であり、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明16は、甲3発明Aであるとすることはできない。

ウ 本件発明17、24?37について

本件発明17、24?37は、本件発明16をさらに減縮したものであるから、本件発明16についての判断と同様の理由により、本件発明17、24?37は、甲3発明Aと同一であるとはいえない。

7 甲5に基づく特許法第29条第1項第3号についての取消理由(本件発明16、17、24?37について)

(1) 甲5について

ア 甲5発明Aの認定

甲5には、上記1(5)の記載より、次の発明(甲5発明A)が記載されているとものと認められる。

「粒子状基材に基づく金属酸化物雲母顔料であって、該基材が金属水酸化物又は金属酸化物の層によりコーティングされている金属酸化物雲母顔料の製造方法であって、
粗い雲母のブロックを粉砕し、異なる粒径分布に分級する方法。」

イ 本件発明16と甲5発明Aとの対比・判断

本件発明16の「フレーク状基材」と、甲5発明Aの「粒子状基材」とは、「基材」である点で一致する。

本件発明16の「効果顔料」と、甲5発明Aの「金属酸化物雲母顔料」とは、「顔料」である点で一致する。

本件発明16の「屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層」と、甲5発明Aの「金属水酸化物又は金属酸化物の層」とは、「少なくとも1つの層」である点で一致する。

甲5発明Aの「金属酸化物雲母顔料の製造方法」は、本件発明16の「顔料を調製するための方法」に相当するといえる。

甲5発明Aの「粗い」「ブロックを粉砕」する工程、及び「異なる粒径分布に分級する」工程は、それぞれ、本件発明16の「比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕」く工程、及び「その後の分級ステップによって実現される」工程に相当するといえる。

してみると、両者は、

「基材に基づく顔料であって、該基材が、少なくとも1つの層によりコーティングされている顔料を調整するための方法であって、
比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕き、その後の分級ステップによって実現される方法。」

である点で一致し、以下の点で相違しているといえる。

<相違点5A-1>

顔料について、本件発明16では、「効果顔料」と特定しているのに対して、甲5発明Aでは、「金属酸化物雲母顔料」と特定している点。

<相違点5A-2>

基材の形状について、本件発明16では、「フレーク状」と特定しているのに対して、甲5発明Aでは、「粒子状」と特定している点。

<相違点5A-3>

基材について、本件発明16では、「1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する」と特定しているのに対して、甲5発明Aでは、不明である点。

<相違点5A-4>

少なくとも1つの層について、本件発明16では、「屈折率n≧1.8である」「高屈折率層」と特定しているのに対して、甲5発明Aでは、「金属水酸化物又は金属酸化物の層」であるものの、「屈折率n≧1.8である」「高屈折率層」であるかどうか不明である点。

<相違点5A-5>

効果顔料を調整する方法について、本件発明16では、「比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕き、その後、50?200μmの直径を有する形成された基材フレークを、粉砕機に導入し、水および/または有機溶媒を添加し、このようにして形成された懸濁液を、該粉砕機において、数時間の間、機械的に処理し、同時に、その間に、フレークの表面が、磨かれて滑らかになり、このステップの間の基材粒子の機械的負荷を、永続的なせん断により、粒子のさらなる緩やかな層間剥離、ならびに縁および表面の平滑化がもたらされるように選択し、狭い粒径分布が、複数の沈降ステップの形態をとるその後の分級ステップによって実現されること」と特定しているのに対して、甲5発明Aでは、「粗い雲母のブロックを粉砕し、異なる粒径分布に分級する」ものの、斯かる点を特定していない点。と特定している点。

以下、上記相違点について検討する。

事案に鑑み、まず、相違点5A-5について検討する。

甲5には、上記1(5)の記載を見る限り、その製造方法に関して、「金属酸化物雲母顔料を製造する前に、天然雲母を調製しなければならない。粗い雲母のブロックを粉砕し、異なる粒径分布に分級する。」と記載されていることから、基材は、「粉砕」といった機械的処理を受けることまでは記載されているものの、フレーク基材の表面上の段差を無くして平滑化することやその形状を丸みあるものに変化させるための「研磨」等の「磨く」という機械的処理を含んでいるものでなく、したがって、フレークの表面に関して、「磨かれてより滑らかにな」ることについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

そして、本件発明16は、「磨かれてより滑らかにな」ることにより、「基材粒子の表面が平滑化し、加えて、長楕円形のフレーク形状が、丸みのあるフレーク形状に変化」し、円形係数が「1.2?2」となるものであって、「彩度および隠蔽力が増している(優れる)」という本件明細書の記載(【0006】)の格別顕著な作用効果を奏するものと認められる。

したがって、上記相違点5A-5は実質的な相違点であり、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明16は、甲5発明Aであるとすることはできない。

ウ 本件発明17、24?37について

本件発明17、24?37は、本件発明16をさらに減縮したものであるから、本件発明16についての判断と同様の理由により、本件発明17、24?37は、甲5発明Aと同一であるとはいえない。

8 甲1?甲5に記載の事項に基づく同法第29条第2項についての取消理由(本件発明16、17、24?37について)

ア 本件発明16について

上記3アで検討したのと同様に、甲1?5には、上記基材の表面に関する、本件発明16における発明特定事項である「磨かれてより滑らかにな」ることについては記載も示唆もされておらず、当業者にとって自明な事項ともいえない。

してみると、甲1?5には、本件発明16における発明特定事項である「磨かれてより滑らかにな」ることを開示ないし示唆するものでないことから、本件発明16は、甲1?甲5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

イ 本件発明17、24?37について

本件発明17、24?37は、本件発明16をさらに減縮したものであるから、本件発明16についての判断と同様の理由により、本件発明17、24?37は、甲1?甲5に記載の事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。

第9 むすび

以上のとおりであるから、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由、ならびに、取消理由通知に記載した取消理由(1回目及び2回目)によっては、本件請求項1、2、5?37に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に本件請求項1、2、5?37に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

また、本件請求項3、4に係る特許は、訂正により削除されたため、本件請求項3、4に対して、申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。よって、本件請求項3、4に係る特許異議の申立ては不適法であって、その補正をすることができないものであるから、特許法第120条の8で準用する同法第135条の規定により、却下すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレーク状基材に基づく効果顔料であって、1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされ、該基材の表面が、磨かれていない基材と比べてより滑らかに磨かれた表面であり、該基材が5?60μmの粒径を有し、該基材が0.2?0.6μmの厚さを有することを特徴とする、効果顔料。
【請求項2】
フレーク状基材が、1.2?1.8の円形係数を有することを特徴とする、請求項1に記載の効果顔料。
【請求項3】(削除)
【請求項4】(削除)
【請求項5】
フレーク状基材が、合成雲母フレーク、天然雲母フレーク、SiO_(2)フレーク、Al_(2)O_(3)フレーク、ガラスフレーク、酸化鉄フレーク、グラファイトフレーク、TiO_(2)フレーク、およびそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項1または2に記載の効果顔料。
【請求項6】
フレーク状基材が、雲母フレークまたはガラスフレークであることを特徴とする、請求項1、2または5に記載の効果顔料。
【請求項7】
フレーク状基材が、天然雲母フレークであることを特徴とする、請求項1から2及び5から6のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項8】
フレーク状基材が、その表面において直接、屈折率が≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされていることを特徴とする、請求項1から2及び5から7のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項9】
高屈折率層が、金属酸化物、金属硫化物、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、金属、および、これらの物質の混合物または混合相の群から選択されることを特徴とする、請求項1から2及び5から8のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項10】
高屈折率層が、TiO_(2)、BiOCl、Ce_(2)O_(3)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、FeOOH、NiO、SnO_(2)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnO、CoAl_(2)O_(4)、BiVO_(4)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)、TiO、Ce_(2)S_(3)、MoS_(2)、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、またはそれらの合金、または、これらの物質の相互の混合物または混合相からなることを特徴とする、請求項1から2及び5から9のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項11】
高屈折率層が、1種または複数の金属酸化物からなることを特徴とする、請求項1から2及び5から10のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項12】
フレーク状基材が、少なくとも1つの高屈折率層(n≧1.8)、および少なくとも1つの低屈折率層(n<1.8)によりコーティングされていることを特徴とする、請求項1から2及び5から11のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項13】
低屈折率層が、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、およびMgF_(2)の群から選択されることを特徴とする、請求項12に記載の効果顔料。
【請求項14】
フレーク状基材上に、以下の層配列のうちの一つを有することを特徴とする、請求項1から2及び5から13のいずれか一項に記載の効果顔料:
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Ag
フレーク状基材+Au
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Ag
フレーク状基材+SiO_(2)+Au
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)+SiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)+SiO_(2)、
ただしここで、TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)は、TiO_(2)およびFe_(2)O_(3)の混合物からなる層を意味する。
【請求項15】
光、水、および風化安定性を高めるために、有機および/または無機層で追加的に後処理されたことを特徴とする、請求項1から2及び5から14のいずれか一項に記載の効果顔料。
【請求項16】
フレーク状基材に基づく効果顔料であって、1.2?2の円形係数((周囲長^(2)/円に標準化された面積)/4π)を有する該基材が、屈折率n≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされている効果顔料を調製するための方法であって、
比較的に大きな塊または粗いフレークの形態の基材を、まず、すり砕き、その後、50?200μmの直径を有する形成された基材フレークを、粉砕機に導入し、水および/または有機溶媒を添加し、このようにして形成された懸濁液を、該粉砕機において、数時間の間、機械的に処理し、同時に、その間に、フレークの表面が、磨かれてより滑らかになり、このステップの間の基材粒子の機械的負荷を、永続的なせん断により、粒子のさらなる緩やかな層間剥離、ならびに縁および表面の平滑化がもたらされるように選択し、狭い粒径分布が、複数の沈降ステップの形態をとるその後の分級ステップによって実現されることを特徴とする方法。
【請求項17】
前記粒径分布が、5?60μmであることを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
塗料、自動車用塗料、工業用コーティング剤、コーティング剤、粉体コーティング剤、印刷インク、プラスチック、ボタンペースト、セラミック材料、もしくはガラスにおける、種子を着色するための、プラスチック、ガラス、ボール紙、もしくは紙のレーザーマーキングにおける吸収剤としての、プラスチックのレーザー溶着における吸収剤としての、食品もしくは医薬品を着色するための、食品もしくは医薬品のコーティングを着色するための、化粧用配合物における、顔料組成物もしくは乾燥調製物を調製するための、または価値のある書類の偽造防止における、請求項1から2及び5から15のいずれか一項に記載の効果顔料の使用。
【請求項19】
請求項1から2及び5から15のいずれか一項に記載の1種または複数の効果顔料を含む、配合物。
【請求項20】
前記効果顔料の他に、吸収剤、収斂剤、抗菌物質、抗酸化剤、発汗抑制剤、消泡剤、フケ防止活性成分、帯電防止剤、バインダー、生物学的添加剤、漂白剤、キレート剤、除臭剤、皮膚軟化剤、乳化剤、乳化安定剤、染料、保湿剤、膜形成剤、フィラー、におい物質、フレーバー物質、防虫剤、保存剤、防食剤、化粧オイル、溶剤、酸化剤、植物の構成物質、緩衝物質、還元剤、界面活性剤、推進剤ガス、乳白剤、UVフィルターおよびUV吸収剤、変性剤、粘度調節剤、香料、およびビタミンの群から選択される、少なくとも1種の成分を含むことを特徴とする、請求項19に記載の配合物。
【請求項21】
1種または複数のバインダー、および請求項1から2及び5から15のいずれか一項に記載の効果顔料を含む、顔料組成物。
【請求項22】
請求項1から2及び5から15のいずれか一項に記載の効果顔料を含む、乾燥調製物。
【請求項23】
1種または複数の添加剤を含む、請求項21記載の顔料組成物。
【請求項24】
フレーク状基材が、1.2?1.8の円形係数を有することを特徴とする、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
フレーク状基材が、5?60μmの粒径を有することを特徴とする、請求項16または24に記載の方法。
【請求項26】
フレーク状基材が、0.2?0.6μmの厚さを有することを特徴とする、請求項16及び24から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
フレーク状基材が、合成雲母フレーク、天然雲母フレーク、SiO_(2)フレーク、Al_(2)O_(3)フレーク、ガラスフレーク、酸化鉄フレーク、グラファイトフレーク、TiO_(2)フレーク、およびそれらの混合物の群から選択されることを特徴とする、請求項16及び24から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
フレーク状基材が、雲母フレークまたはガラスフレークであることを特徴とする、請求項16及び24から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
フレーク状基材が、天然雲母フレークであることを特徴とする、請求項16及び24から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
フレーク状基材が、その表面において直接、屈折率が≧1.8である少なくとも1つの高屈折率層によりコーティングされていることを特徴とする、請求項16及び24から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
高屈折率層が、金属酸化物、金属硫化物、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、亜酸化チタン、金属、および、これらの物質の混合物または混合相の群から選択されることを特徴とする、請求項16及び24から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
高屈折率層が、TiO_(2)、BiOCl、Ce_(2)O_(3)、Cr_(2)O_(3)、CoO、Co_(3)O_(4)、Fe_(2)O_(3)、Fe_(3)O_(4)、FeOOH、NiO、SnO_(2)、VO_(2)、V_(2)O_(3)、ZrO_(2)、ZnO、CoAl_(2)O_(4)、BiVO_(4)、チタン酸鉄、酸化鉄水和物、Ti_(3)O_(5)、Ti_(2)O_(3)、TiO、Ce_(2)S_(3)、MoS_(2)、アルミニウム、クロム、ニッケル、銀、金、チタン、銅、またはそれらの合金、または、これらの物質の相互の混合物または混合相からなることを特徴とする、請求項16及び24から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
高屈折率層が、1種または複数の金属酸化物からなることを特徴とする、請求項16及び24から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
フレーク状基材が、少なくとも1つの高屈折率層(n≧1.8)、および少なくとも1つの低屈折率層(n<1.8)によりコーティングされていることを特徴とする、請求項16及び24から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
低屈折率層が、SiO_(2)、Al_(2)O_(3)、AlO(OH)、およびMgF_(2)の群から選択されることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
フレーク状基材上に、以下の層配列のうちの一つを有することを特徴とする、請求項16及び24から35のいずれか一項に記載の方法:
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーグ状基材+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+Ag
フレーク状基材+Au
フレーク状基材+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)(アナターゼ)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+アルカリ土類金属チタン酸塩
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+カルミンレッド
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+ベルリンブルー
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+SnO_(2)+TiO_(2)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Fe_(3)O_(4)
フレーク状基材+SiO_(2)+TiO_(2)+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Cr_(2)O_(3)
フレーク状基材+SiO_(2)+Ag
フレーク状基材+SiO_(2)+Au
フレーク状基材+SiO_(2)+Fe_(2)O_(3)+SiO_(2)+TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)
フレーク状基材+TiO_(2)(アナターゼ)+SiO_(2)
フレーク状基材+SnO_(2)+TiO_(2)(ルチル)+SiO_(2)、
ただしここで、TiO_(2)/Fe_(2)O_(3)は、TiO_(2)およびFe_(2)O_(3)の混合物からなる層を意味する。
【請求項37】
効果顔料が、光、水、および風化安定性を高めるために、有機および/または無機層で追加的に後処理されたことを特徴とする、請求項16及び24から36のいずれか一項に記載の方法。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2018-06-29 
出願番号 特願2012-278067(P2012-278067)
審決分類 P 1 651・ 536- YAA (C09C)
P 1 651・ 113- YAA (C09C)
P 1 651・ 121- YAA (C09C)
P 1 651・ 537- YAA (C09C)
最終処分 維持  
前審関与審査官 吉田 邦久  
特許庁審判長 冨士 良宏
特許庁審判官 日比野 隆治
國島 明弘
登録日 2016-10-21 
登録番号 特許第6027431号(P6027431)
権利者 メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
発明の名称 効果顔料  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 緒方 雅昭  
代理人 宮崎 昭夫  
代理人 宮崎 昭夫  

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