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審決分類 |
審判 全部申し立て ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 H04N 審判 全部申し立て 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 H04N 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 H04N 審判 全部申し立て 2項進歩性 H04N 審判 全部申し立て ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 H04N |
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管理番号 | 1343896 |
異議申立番号 | 異議2017-701031 |
総通号数 | 226 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 2018-10-26 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2017-11-01 |
確定日 | 2018-08-06 |
異議申立件数 | 1 |
訂正明細書 | 有 |
事件の表示 | 特許第6132393号発明「放送受信装置及び放送受信方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第6132393号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1、〔2-7〕、8、〔9-11〕について訂正することを認める。 特許第6132393号の請求項2ないし7、9ないし11に係る特許を維持する。 特許第6132393号の請求項1及び8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。 |
理由 |
第1 手続の経緯 特許第6132393号の請求項1?11に係る特許についての出願は、平成25年4月2日に特許出願され、平成29年4月28日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許について、特許異議申立人中川賢治により特許異議の申立てがされ、平成30年1月29日付けで取消理由が通知され、平成30年4月3日に意見書の提出及び訂正の請求があり、その訂正の請求に対して特許異議申立人中川賢治から平成30年6月19日に意見書が提出されたものである。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の内容は以下の(1)、(2)のとおりである。なお、以下の訂正事項の番号は、本件訂正請求における訂正事項の番号とした。 (1)請求項1?8に係る訂正 ア 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項2に「前記第2受信信号に対する選局処理を行う第2選局処理部を更に備え、前記第2選局処理部が前記第2受信信号に対して選局処理すべき場合には、前記制御部は、前記第1制御に際して、前記第2選局処理部に対して前記第2受信信号を供給させる、ことを特徴とする請求項1に記載の放送受信装置。」と記載されているのを、「第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と;FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と;UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを、第1制御として行う制御部と;を備えることを特徴とする放送受信装置。」に訂正する(請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3?7も同様に訂正する)。 イ 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 ウ 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8を削除する。 エ 訂正事項4 明細書の段落【0009】に「請求項1に記載の発明は、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、前記第1受信信号及び前記第2受信信号のいずれか一方の選局処理を行う第1選局処理部と;前記第1選局処理部が選局処理すべき受信信号として前記第2受信信号が指定された場合に、少なくとも前記第1選局処理部に対して前記第2受信信号を供給させる第1制御を行う制御部と;を備えることを特徴とする放送受信装置である。」と記載されているのを、「請求項2に記載の発明は、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と;FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と;UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを、第1制御として行う制御部と;を備えることを特徴とする放送受信装置である。」に訂正する。 (2)請求項9?11に係る訂正 ア 訂正事項5 特許請求の範囲の請求項9に「第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、及び、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号のいずれか一方の選局処理を行う第1選局処理部と;制御部と;を備える放送受信装置において使用される放送受信方法であって、前記制御部が、選局処理すべき受信信号の指定を取得する取得工程と;前記取得工程における取得結果に基づいて、前記制御部が、前記第1選局処理部により選局すべき受信信号として前記第2受信信号が指定された場合に、前記第1選局処理部に対して前記第2受信信号を供給させる制御を行う制御工程と;」と記載されているのを、「デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と;FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と;制御部と;を備え、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置において使用される放送受信方法であって、前記制御部が、選局処理すべき受信信号の指定を取得する取得工程と;前記取得工程における取得結果に基づいて、前記制御部が、UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを行う制御工程と;」に訂正する(請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する請求項10及び11も同様に訂正する)。 イ 訂正事項6 明細書の段落【0010】に「請求項9に記載の発明は、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、及び、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号のいずれか一方の選局処理を行う第1選局処理部と;制御部と;を備える放送受信装置において使用される放送受信方法であって、前記制御部が、選局処理すべき受信信号の指定を取得する取得工程と;前記取得工程における取得結果に基づいて、前記制御部が、前記第1選局処理部により選局すべき受信信号として前記第2受信信号が指定された場合に、前記第1選局処理部に対して前記第2受信信号を供給させる制御を行う制御工程と;を備えることを特徴とする放送受信方法である。」と記載されているのを、「請求項9に記載の発明は、デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と;FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と;制御部と;を備え、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置において使用される放送受信方法であって、前記制御部が、選局処理すべき受信信号の指定を取得する取得工程と;前記取得工程における取得結果に基づいて、前記制御部が、UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを行う制御工程と;を備えることを特徴とする放送受信方法である。」に訂正する。(段落【0010】の記載を直接的又は間接的に引用する段落【0011】及び【0012】も同様に訂正する)。 2 訂正の目的の適否、一群の請求項、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)請求項1?8に係る訂正 ア 訂正事項1 (ア)訂正の目的について 訂正事項1は、訂正前の請求項2が訂正前の請求項1を引用する記載であったものを、請求項間の引用関係を解消し、請求項1を引用しないものとし、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 また、訂正前の請求項2に係る特許発明は、「第1選局処理部」について「第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、及び、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号のいずれか一方の選局処理を行う」ことを特定し、「第2選局処理部」について「第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に対する選局処理を行う」ことを特定している。そして、訂正前の請求項2に係る特許発明は、「制御部」について「第1選局処理部が選局処理すべき受信信号として第2受信信号が指定された場合に、少なくとも第1選局処理部に対して第2受信信号を供給させる第1制御を行う」こと、更に「第2選局処理部が第2受信信号に対して選局処理すべき場合には、制御部は、第1制御に際して、第2選局処理部に対して前記第2受信信号を供給させる」ことを特定している。 これに対し、訂正後の請求項2に係る発明は、「第1選局処理部」が「デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う」とするとともに、「第2選局処理部」が「FM音声放送の再生のための選局処理を行う」とし、「制御部」が「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、第1選局処理部に第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、第1選局処理部に第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、第2選局処理部に第2受信信号を供給させる制御のいずれかを、第1制御として行う」とすることで、「第1選局処理部」、「第2選局処理部」、「制御部」を限定し、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 同様に、訂正後の請求項3?7は、訂正後の請求項2の記載を引用することにより、訂正後の請求項3?7に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)のとおり、訂正事項1は、発明特定事項を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項1は、訂正前の請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項3?7の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記(ア)のとおり、訂正後の請求項2の記載は、訂正前の請求項2との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正事項1は、訂正前の請求項2の記載以外に、訂正前の請求項3?7の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項3?7に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、訂正前の請求項3?7との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること a 第1選局処理部 「第1選局処理部」に関し、特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。 (a)「前記第1選局処理部は、テレビジョン放送の再生のための選局処理を行い、」(訂正前の請求項8) (b)「TV用RF処理ユニット131_(4) は、第1選局処理部としての機能を果たすようになっている。」(段落【0024】) (c)「UHF帯域を利用するデジタル放送の音声及び映像を視聴するための「UHF選択」指定がなされると、UHFアンテナ111_(U4)から送られた受信信号RFS_(U4)を、TV用RF処理ユニット131_(4) へ送る。」(段落【0020】) (d)「V-LOW帯域を使用するデジタル放送の音声及び映像を視聴するための「V-LOW選択」指定がなされると、FMアンテナ112_(F)から送られた受信信号RFS_(F)を、TV用RF処理ユニット131_(4)へ送る。」(段落【0020】) (e)「TV用RF処理ユニット131_(4)は、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(11)に従って、選局すべき希望局の信号を受信信号から抽出する選局処理を行う。」(段落【0024】) 上記(a)?(e)によると、「デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部」、「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる」こと、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる」ことは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項である。 b 第2選局処理部 「第2選局処理部」に関し、特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。 (f)「前記第2選局処理部は、FM音声放送の再生のための選局処理を行う」(訂正前の請求項8) (g)「FM用RF処理ユニット132は、第2選局処理部としての機能を果たすようになっている。」(段落【0025】) (h)「FM放送の音声を聴取するための「FM音声選択」指定がなされると、FMアンテナ112_(F)から送られた受信信号RFS_(F)を、FM用RF処理ユニット132へ送る。」(段落【0020】) (i)「FM用RF処理ユニット132は、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(12)に従って、選局すべき希望局の信号を受信信号RFS_(F)から抽出する選局処理を行う。」(段落【0025】) 上記(f)?(i)によると、「FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部」、「FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる」ことは、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項である。 c 制御部 「制御部」に関し、特許請求の範囲及び明細書の発明の詳細な説明には、次の記載がある。 (j)「制御ユニット190Aは、制御部としての機能を果たすようになっている。」(段落【0041】) (k)「UHFアンテナ111_(U4)が第1アンテナに対応するとともに、受信信号RFS_(U4)が第1受信信号に対応するようになっている。」(段落【0017】) (l)「FMアンテナ112_(F)が第2アンテナに対応し、受信信号RFS_(F)が第2受信信号に対応するようになっている。」(段落【0018】) (m)「かかる再生処理は、利用者による「UHFデジタルTV放送」を指定した放送波設定指定の入力ユニット150への入力に対応して開始される。こうして再生処理が開始されると、制御ユニット190Aが、まず、UHFアンテナ111_(U4)から送られる受信信号RFS_(U4)をTV用RF処理ユニット131_(4)へ送ることを内容とする「UHF選択」を指定する選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る」(段落【0071】) (n)「かかる再生処理は、利用者による「V-LOWデジタルTV放送」を指定した放送波設定指定の入力ユニット150への入力に対応して開始される。こうして再生処理が開始されると、制御ユニット190Aが、まず、FMアンテナ112_(F)から送られる受信信号RFS_(F)をTV用RF処理ユニット131_(4)へ送ることを内容とする「V-LOW選択」を指定する選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る」(段落【0078】) (o)「かかる再生処理は、利用者による「FM音声放送」を指定した放送波設定指定の入力ユニット150への入力に対応して開始される。こうして再生処理が開始されると、制御ユニット190Aが、まず、FMアンテナ112_(F)から送られる受信信号RFS_(F)をFM用RF処理ユニット132へ送ることを内容とする「FM音声選択」を指定する選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る」(段落【0085】) 上記(j)?(o)によると、「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを、第1制御手段として行う制御部」は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項である。 異議申立人は、平成30年6月19日付け意見書において、次のように主張している。 訂正後の請求項2において、「制御部」が行う「第1制御」は、下記(1)、(2)、(3)の制御のいずれかと特定されている。 (1)「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御」 (2)「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」 (3)「FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」 しかしながら、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面には、上記(1)、(2)、(3)のいずれをも第1制御として行う制御部は記載されているが、上記(1)、(2)、(3)のいずれかを第1制御として行う制御部は記載されていない。 しかしながら、異議申立人の主張は採用できない。理由は以下のとおりである。 訂正後の請求項2の「制御部」は、上記(1)、(2)、(3)の制御のいずれかを、第1制御として行うものであって、訂正後の請求項2の記載を総合して判断すると、「制御部」は、上記(1)、(2)、(3)の各制御を場合に応じて行うものであり、「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合」に上記(1)の制御、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合」に上記(2)の制御、「FM音声放送の選局処理が指定された場合」に上記(3)の制御を行うものと認められる。 このことを、上記(1)、(2)、(3)の制御のいずれかを、第1制御として行う制御部としたものと解される。 また、訂正後の請求項2の「制御部」が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項であることは、上記のとおりである。 以上のとおり、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項2 (ア)訂正の目的について 訂正事項2は、訂正前の請求項1の記載を削除するものである。 したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、訂正前の請求項1の記載を削除するのみであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、訂正前の請求項1の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 訂正事項3 (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項8の記載を削除するものである。 したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、訂正前の請求項8の記載を削除するのみであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、訂正前の請求項8の記載を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 エ 訂正事項4 (ア)訂正の目的について 訂正事項4は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。よって、訂正事項4は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、上記訂正事項1と同様であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、上記訂正事項1と同様であって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 オ 一群の請求項 上記訂正事項1?3は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 上記訂正事項4による明細書の訂正に係る請求項は、上記訂正事項1による訂正に係る請求項と同じであって、上記訂正事項4による明細書の訂正は、一群の請求項のすべてについて行われたものである。 したがって、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。 (2)請求項9?11に係る訂正 ア 訂正事項5 (ア)訂正の目的について 訂正前の請求項9に係る特許発明は、「第1選局処理部」について「第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、及び、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号のいずれか一方の選局処理を行う」ことを特定している。そして、訂正前の請求項9に係る特許発明は、「制御工程」おいて「制御部が、第1選局処理部により選局すべき受信信号として第2受信信号が指定された場合に、第1選局処理部に対して第2受信信号を供給させる制御を行う」ことを特定している。 これに対し、訂正後の請求項9に係る発明は、「第1選局処理部」が「デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う」とするとともに、「FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部」を付加し、「放送受信装置」が、「第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う」とし、「制御工程」において「制御部が、UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを行う」とすることで、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、当該訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 同様に、訂正後の請求項10及び11は、訂正後の請求項9の記載を引用することにより、訂正後の請求項10及び11に係る発明をより具体的に特定し、更に限定するものであるため、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記(ア)のとおり、訂正事項5は、発明特定事項を限定的に減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 訂正事項5は、訂正前の請求項9の記載を直接的又は間接的に引用する訂正前の請求項10及び11の記載についても実質的に訂正するものであるが、上記(ア)のとおり、訂正後の請求項9の記載は、訂正前の請求項9との関係で特許請求の範囲を実質的に拡張し、又は変更するものではない。 また、訂正事項5は、訂正前の請求項9の記載以外に、訂正前の請求項10及び11の記載について何ら訂正するものではなく、訂正後の請求項10及び11に係る発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項5は、訂正前の請求項10及び11との関係で、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲に基づいて導き出される構成である。 詳細は、訂正事項1と同様である(上記(1)ア(ウ)参照)。 したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項6 訂正事項6は、上記訂正事項5に係る訂正に伴い特許請求の範囲の記載と明細書の記載との整合を図るための訂正である。 よって、訂正事項6は特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 また、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。 よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項、第6項の規定に適合するものである。 ウ 一群の請求項 上記訂正事項5は、一群の請求項に対して請求されたものであるから、特許法第120条の5第4項の規定に適合する。 上記訂正事項6による明細書の訂正に係る請求項は、上記訂正事項5による訂正に係る請求項と同じであって、上記訂正事項6による明細書の訂正は、一群の請求項のすべてについて行われたものである。 したがって、特許法第120条の5第9項において準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第4項、及び、同条第9項において準用する同法第126条第4項から第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1?11について訂正することを認める。 第3 特許異議の申立てについて 1 本件発明 本件訂正請求により訂正された訂正請求項1?11(以下「本件発明1」?「本件発明11」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1?11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 ただし、(2A)?(11A)は当審で付与した。以下各構成要件を「構成要件2A」?「構成要件11A」という。 なお、請求項1、請求項8は削除された。 (本件発明2) (2A)第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、 (2B)デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と; (2C)FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と; (2D-1)UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、 (2D-2)V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、 (2D-3)FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御 (2D)のいずれかを、第1制御として行う制御部と; (2E)を備えることを特徴とする放送受信装置。 (本件発明3) (3A)前記第2受信信号に含まれるFM放送帯域における特定目的のデータ放送の再生処理のための選局処理を行う第3選局処理部と; (3B)前記第2受信信号に含まれるV-LOW帯域における前記特定目的のデータ放送の再生処理のための選局処理を行う第4選局処理部と;を更に備え、 (3C)前記制御部は、前記第1制御と並行して、前記第3選局処理部及び前記第4選局処理部のいずれかに択一的に前記第2受信信号を供給させる第2制御を行う、 (3D)ことを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。 (本件発明4) (4A)移動体に配置され、 (4B)前記V-LOW帯域における前記特定目的のデータ放送が再生可能なエリア情報を記憶する記憶部を更に備え、 (4C)前記制御部は、前記エリア情報、及び、前記移動体の現在位置を検出する位置検出部から取得した前記移動体の現在位置情報に基づいて、前記第2制御を行う、 (4D)ことを特徴とする請求項3に記載の放送受信装置。 (本件発明5) (5A)前記制御部は、前記V-LOW帯域における前記特定目的のデータ放送を再生可能か否かの判定を行い、前記判定の結果に基づいて、前記第2制御を行う、 (5B)ことを特徴とする請求項3又は4に記載の放送受信装置。 (本件発明6) (6A)前記特定目的のデータ放送は、道路交通情報を内容とする放送である、 (6B)ことを特徴とする請求項3?5のいずれか一項に記載の放送受信装置。 (本件発明7) (7A)前記制御部は、前記第1制御に際して、 (7B)前記第1選局処理部により選局処理すべき受信信号として前記第2受信信号が利用者により指定された場合には、前記第1選局処理部のみに対して前記第2受信信号を供給させ 前記第1選局処理部により選局処理すべき受信信号として前記第1受信信号が利用者により指定された場合には、前記第1選局処理部に対して前記第1受信信号を供給させるとともに、前記第2選局処理部に対して前記第2受信信号を供給させる、 (7C)ことを特徴とする請求項2?6のいずれか一項に記載の放送受信装置。 (本件発明9) (9A-1)デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と; (9A-2)FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と; (9A-3)制御部と;を備え、 (9A-4)第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置 (9A)において使用される放送受信方法であって、 (9B)前記制御部が、選局処理すべき受信信号の指定を取得する取得工程と; (9C)前記取得工程における取得結果に基づいて、前記制御部が、 (9C-1)UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、 (9C-2)V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、 (9C-3)FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御 (9C)のいずれかを行う制御工程と; (9D)を備えることを特徴とする放送受信方法。 (本件発明10) (10A)第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置が有するコンピュータに、請求項9に記載の放送受信方法を実行させる、ことを特徴とする放送受信プログラム。 (本件発明11) (11A)第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項10に記載の放送受信プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体。 2 取消理由の概要 訂正前の請求項1?3、6?11に係る特許に対して平成30年1月29日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)請求項1、9?11に係る特許は、甲第1号証に記載された発明及び甲第3号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1、9?11に係る特許は、取り消されるべきものである。 (2)請求項1、9?11に係る特許は、甲第2号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る特許は、甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術に基づき、容易に発明をすることができたものであり、請求項3、6?8に係る特許は、甲第2号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術、甲第5号証に記載された技術に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1?3、6?11に係る特許は、取り消されるべきものである。 (2)請求項1、9?11に係る特許は、甲第3号証に記載された発明に基づき、容易に発明をすることができたものであり、請求項2に係る特許は、甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術に基づき、容易に発明をすることができたものであり、請求項3、6?8に係る特許は、甲第3号証に記載された発明及び甲第4号証に記載された技術、甲第5号証に記載された技術に基づき、容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、請求項1?3、6?11に係る特許は、取り消されるべきものである。 3 甲各号証の記載及び甲各号証に記載された発明 (1)甲第1号証 ア 甲第1号証の記載事項 甲第1号証(特開2007-281748号公報。以下「甲1」という。)には、「テレビジョン放送信号受信装置及びアンテナ装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 多方向からのUHF帯の放送信号を受信可能な第1アンテナと、単一方向からのVHF帯の放送信号を受信可能で手動により指向性を変更可能な第2アンテナと、を有するアンテナ装置に接続され、 受信する放送信号の周波数に応じて前記第1アンテナ又は前記第2アンテナの何れかのアンテナを選択する選択手段と、 前記第1アンテナ又は前記第2アンテナで受信された受信信号の受信レベルを検出する検出手段と、 前記検出手段により検出された受信レベルが所定以上となった当該放送信号のチャンネルを、受信可能なチャンネルとして設定するチャンネル設定手段と、 前記選択手段、検出手段、及びチャンネル設定手段の動作を制御する制御手段と、 を備えたテレビジョン放送信号受信装置において、 前記チャンネル設定手段は、 前記第1アンテナによる受信方向を切換可能な受信方向切換手段と、 前記受信方向切換手段により前記第1アンテナの受信方向を順次変更させたときに前記検出手段により検出された複数の受信方向に対する受信レベルに基づいて、最適な受信状態が得られる受信方向を設定する受信方向設定手段と、を有し、 前記制御手段は、 UHF帯の放送信号に対しては、前記選択手段により第1アンテナを選択させるとともに、前記チャンネル設定手段により当該放送信号のチャンネル及び受信方向を設定させる一方、 VHF帯の放送信号に対しては、前記選択手段により第2アンテナを選択させるとともに、前記チャンネル設定手段により当該放送信号のチャンネルを設定させることを特徴とするテレビジョン放送信号受信装置。」 (イ)「【0031】 さらに、CPU1111は、選択プログラムを実行することにより、選局されたチャンネルに対応するTV放送信号が属する周波数帯(物理チャンネル番号)に応じて、VHFアンテナ12かUHFアンテナ13の何れかを選択し、TV放送信号を受信させる。すなわち、ユーザによりVHF信号に対応するチャンネルが選局された場合にはVHFアンテナ12でTV放送信号を受信するように選択され、UHF信号に対応するチャンネルが選局された場合にはUHFアンテナ13でTV放送信号を受信するように選択される。」 (ウ)「【0039】 デコーダ34は、例えば、制御部38から入力される制御信号に従って、フロントエンド33から出力されたTV放送信号に対して所定のファイル形式(例えば、MPEG-2(Moving Picture Experts Group phase 2)形式等)に応じた処理を施すことによって、当該TV放送信号を音声信号と画像信号とに分離してデコードする。そして、当該デコードした音声信号を音声出力装置41に出力するとともに、画像信号を画像表示装置42に出力する。」 イ 甲第1号証に記載された発明 上記ア(ア)?(ウ)によると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲1発明) UHF帯の放送信号を受信可能な第1アンテナと、VHF帯の放送信号を受信可能な第2アンテナと、を有するアンテナ装置に接続され、 受信する放送信号の周波数に応じて前記第1アンテナ又は前記第2アンテナの何れかのアンテナを選択する選択手段と、 前記選択手段の動作を制御する制御手段と、 を備えたデジタルテレビジョン放送信号受信装置において、 前記制御手段は、 UHF帯の放送信号に対しては、前記選択手段により第1アンテナを選択させる一方、 VHF帯の放送信号に対しては、前記選択手段により第2アンテナを選択させることにより、 ユーザによりVHF信号に対応するチャンネルが選局された場合にはVHFアンテナでTV放送信号を受信するように選択され、UHF信号に対応するチャンネルが選局された場合にはUHFアンテナでTV放送信号を受信するように選択される デジタルテレビジョン放送信号受信装置。 (2)甲第2号証 ア 甲第2号証の記載事項 甲第2号証(特開2006-270459号公報。以下「甲2」という。)には、「車載用TVアンテナシステム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 (ア)「【0027】 AVナビゲーション50は、例えば、TV、ラジオ、ナビゲーション、DVDやHDDなどの記録媒体を再生する再生装置等の機能を有する。AVナビゲーション50は、車載用TVアンテナシステム1からアナログTV用受信信号が入力されて、アナログ放送として受信した映像、音声を再生、表示する。また、D-TVチューナ40からデジタルTV用受信信号が入力され、デジタル放送として受信した映像、音声を再生、表示する。なお、AVナビゲーション50は、車載用TVアンテナシステム1にアナログ受信信号とデジタル受信信号とを切換えるための制御信号を出力する。詳細は後述する。」 (イ)「【0029】 アンテナ11、12、15、16はフィルム型アンテナである。アンテナ11、12は、UHF帯の受信アンテナで、アナログTVとデジタルTVの双方の電波を受信できる。一方、アンテナ15、16は、アナログTV専用である。それぞれ、複数あるのは、ダイバーシティ機能を実現したり、異なる周波数帯域の電波を受信する等のためである。例えば、これらのアンテナ11、12、15、16は、車のフロントガラスの左右等に貼り付けられる。なお、本実施例において、アンテナ16は、FM-VICS(Vehicle Information Communication System)用の電波を受信する。」 (ウ)「【0034】 セレクタ24は、アッテネータ23及びアンテナ15、16に接続されるとともに、FMノッチ回路25及びバイパス回路26にも接続される。セレクタ24は、アッテネータ23からのアナログTV用受信信号と、アンテナ15、16からのアナログTV用受信信号が入力され、選択されたいずれか一つの受信信号をFMノッチ回路25又はバイパス回路26に出力する。言い換えると、このセレクタ24は、アンテナ11、12、15、16で受信したアナログTV用受信電波のうち、いずれか一つの受信電波を選択するためのものである。なお、この切替えも前述の制御信号(DIV1、DIV2)により制御される。」 (エ)「【0035】 FMノッチ回路25は、TV用受信信号の受信に妨害を与えるFM帯域を除去するための回路である。FM帯域が除去されたアナログTV用受信信号はアンプ27に出力される。また、バイパス回路26は、FMノッチ回路25をバイパスするための回路であり、アンテナ16で受信したFM-VICSのFM帯域をFMノッチ回路25により除去させないようにする。バイパスされたFM-VICSの受信信号もアンプ27に出力される。」 (オ)図1によると、アンテナ16は、「V-LOW(FM-VICS)」と記載されているからVHF帯のアナログ専用アンテナと理解される。 イ 甲第2号証に記載された発明 上記ア(ア)?(オ)によると、甲2には、次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲2発明) TV、ラジオ、ナビゲーション、DVDやHDDなどの記録媒体を再生する再生装置等の機能を有するAVナビゲーションが、 アナログTVの電波を受信できるUHF帯の受信アンテナと、 VHF帯のアナログTV専用であり、FM-VICS( Vehicle Information Communication System)用の電波を受信するアンテナに、各アンテナで受信したアナログTV用受信電波のうち、いずれか一つの受信電波を選択するセレクタを介して接続されるAVナビゲーションであって、 前記いずれか一つの受信電波を選択するセレクタは、AVナビゲーションの出力する制御信号により制御されるAVナビゲーション。 (3)甲第3号証 ア 甲第3号証の記載事項 甲第3号証(特開2001-102826号公報。以下「甲3」という。)には、「アンテナ装置およびアンテナシステム」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 (ア)「【0042】第2の実施形態に係るアンテナシステムにおいて、各アンテナ素子11?15で受信された信号は、第1のフィーダ20によってアンプユニット30′へ導かれる。このアンプユニット30′では、各アンテナ素子11?15の受信帯域用のフィルタ39a?39eによって受信信号の不要成分が除去され、それぞれのアンプ31?35によって増幅される。そして、増幅された受信信号はアンテナ素子11?15ごとに第2のフィーダ40′を介して切替ユニット70へ伝送される。」 (イ)「【0046】すなわち、この切替方式は、受信機1の状態によって使うアンテナ素子11?15を切り替え(GPSを除く)、使用する受信機1にのみアンテナ素子11?15を接続する方式である。つまり放送受信は、AM,FM,TVの選択であって(ラジオ放送とTV放送を同時に聴くことはない)、FM多重のみ同時受信があり得ることを利用したものである。」 (ウ)図6によると、アンテナ素子11、15はUHF用、アンテナ素子12、14はFM、VHF用、アンテナ素子13はAM用のアンテナ素子であり、切替ユニット70の出力は、TV1、FM多重、AM、FM、TV2の各出力端子に接続されていることが記載されている。 イ 甲第3号証に記載された発明 上記ア(ア)?(ウ)によると、甲3には、次の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認められる。 (甲3発明) 放送受信は、AM、FM、TVの選択であり、FM多重のみ同時受信があり得る受信機において、 UHF用アンテナ素子と、 FM、VHF用アンテナ素子に、 切替ユニットを介して接続され、 受信機の状態によって使うアンテナ素子を切り替え、使用する受信機にのみアンテナ素子を接続する受信機。 (4)甲第4号証 ア 甲第4号証の記載事項 甲第4号証(特開2002-238005号公報。以下「甲4」という。)には、「TV/FM複合チューナー」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 (ア)「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、地上波TV放送受信機能と地上波FM放送受信機能とを合わせ持つTV/FM複合チューナーに関し、特に、車載用オーディオ装置に適した構成のTV/FM複合チューナーに関する。」 (イ)「【0045】(第2の実施形態) 図2は、第2の実施形態に係るTV/FM複合チューナーの構成を説明する機能ブロック図である。第2の実施形態に係るTV/FM複合チューナー20は、図2に示すように、アンテナ71aを入力とし、FM波除去回路43を前段に設けたVHF受信部11およびUHF受信部13と、アンテナ71bを入力としたFM受信部12とを有する。VHF受信部11は、VHFアンテナ同調回路44と、増幅回路45と、VHFRF同調回路46と備えている。FM受信部12は、TV波除去回路47と、FMアンテナ同調回路48と、増幅回路49と、FMRF同調回路50とを備えている。UHF受信部13は、UHFアンテナ同調回路40と、増幅回路41と、UHFRF同調回路42とを備えている。」 イ 甲第4号証に記載された技術 上記ア(ア)?(イ)によると、甲4には、次の技術(以下「甲4技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲4技術) 「車載用オーディオ装置に適した構成のTV/FM複合チューナーが、VHF受信部11およびUHF受信部13と、FM受信部12とを有する」技術 (5)甲第5号証 ア 甲第5号証の記載事項 甲第5号証(特開2013-51507号公報。以下「甲5」という。)には、「デジタル放送受信装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 (ア)「【0005】 特にV-Lowマルチメディア放送の蓄積型放送では、画像や音声、データ放送などを多重することが検討されている他、ナビゲーション装置等で用いられるVICS情報を多重することも検討されている。」 (イ)「【0013】 この構成によると、本発明のデジタル放送受信装置は、放送受信部と、関連情報を記録した記録部と、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を関連情報により判別して選局及び受信を行うよう放送受信部を制御するサーチ部と、放送波よりVICS情報を抽出するVICS受信部と、VICS情報を用いて経路案内を行うナビゲーション部とを備える。また、放送波が受信されている状態においてナビゲーション部に対する動作指示を検知した場合に、VICS情報が伝送されている周波数帯域を判別し、判別した周波数帯域のサーチを実施するようサーチ部を制御するVICS制御部を備える。 」 イ 甲第5号証に記載された技術 上記ア(ア)?(イ)によると、甲5には、次の技術(以下「甲5技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲5技術) 「V-Lowマルチメディア放送を受信するデジタル放送受信装置が、放送受信部と、関連情報を記録した記録部と、選局指示された放送波を受信するための周波数帯域を関連情報により判別して選局及び受信を行うよう放送受信部を制御するサーチ部と、放送波よりVICS情報を抽出するVICS受信部と、VICS情報を用いて経路案内を行うナビゲーション部とを備える」技術 (6)甲第6号証 ア 甲第6号証の記載事項 甲第6号証(特開2006-211043号公報。以下「甲6」という。)には、「放送受信装置」(発明の名称)に関し、図面と共に次に掲げる事項が記載されている(下線は当審が付与した。)。 (ア)「【特許請求の範囲】 【請求項1】 放送局のサービスエリア内で放送を受信するための放送受信装置であって、 放送局の周波数、サービスエリア、放送局の系列に関する情報を記憶する放送局情報記憶手段と、 異なるサービスエリアに移動した場合に、前記放送局情報記憶手段に記憶された放送局のサービスエリアおよび系列の情報に基づいて移動前のサービスエリアで受信していた放送局と同一または同系列の放送を受信するように放送局を選択する放送局選択手段とを備えたことを特徴とする放送受信装置。 【請求項2】 該放送受信装置の現在の位置を検知する位置検知手段をさらに備え、 前記放送局選択手段は、前記位置検知手段が検知した現在の位置が属する放送局のサービスエリアを判定して放送局の選択を行うことを特徴とする請求項1記載の放送受信装置。」 (イ)「【請求項7】 人工衛星からの電波を受信して位置を検知する位置検知手段をさらに備え、 前記第1のデータはFM放送データに多重化された交通情報のデータであり、 前記第2のデータはFM放送データに多重化され、かつ前記位置を補正するための誤差情報のデータであり、 前記第1および前記第2の受信手段は、少なくとも前記第1および前記第2のデータの受信が可能なFM放送受信機を含むことを特徴とする請求項5または6記載の放送受信装置。」 イ 甲第6号証に記載された発明 上記ア(ア)?(イ)によると、甲6には、次の技術(以下「甲6技術」という。)が記載されていると認められる。 (甲6技術) 「FM放送データに多重化された交通情報のデータの受信が可能なFM放送受信機が、放送局の周波数、サービスエリア、放送局の系列に関する情報を記憶し、異なるサービスエリアに移動した場合に、記憶された放送局のサービスエリアおよび系列の情報に基づいて、現在の受信装置の位置が属する放送局のサービスエリアを判定して放送局の選択を行うことにより、移動前のサービスエリアで受信していた放送局と同一または同系列の放送を受信するように放送局を選択する」技術 4 判断 (1)取消理由通知に記載した取消理由について ア 甲1発明に基づく容易想到性 (ア)本件発明2 本件発明2は、甲1発明に基づく容易想到性の取消理由の対象ではないが、本件発明9?11と発明のカテゴリーが異なる「装置」の発明であるので、本件発明9?11の甲1発明に基づく容易想到性を検討するにあたり、はじめに、本件発明2の甲1発明に基づく容易想到性について検討する。 a 本件発明2、甲1発明 本件発明2と甲1発明とを対比するにあたり、本件発明2と甲1発明とを再掲する。 (本件発明2) (2A)第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、 (2B)デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と; (2C)FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と; (2D-1)UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、 (2D-2)V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、 (2D-3)FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御 (2D)のいずれかを、第1制御として行う制御部と; (2E)を備えることを特徴とする放送受信装置。 (甲1発明) (1a)UHF帯の放送信号を受信可能な第1アンテナと、VHF帯の放送信号を受信可能な第2アンテナと、を有するアンテナ装置に接続され、 受信する放送信号の周波数に応じて前記第1アンテナ又は前記第2アンテナの何れかのアンテナを選択する選択手段と、 (1b)前記選択手段の動作を制御する制御手段と、 (1c)を備えたデジタルテレビジョン放送信号受信装置において、 (1d)前記制御手段は、 UHF帯の放送信号に対しては、前記選択手段により第1アンテナを選択させる一方、 VHF帯の放送信号に対しては、前記選択手段により第2アンテナを選択させることにより、 ユーザによりVHF信号に対応するチャンネルが選局された場合にはVHFアンテナでTV放送信号を受信するように選択され、UHF信号に対応するチャンネルが選局された場合にはUHFアンテナでTV放送信号を受信するように選択される (1e)デジタルテレビジョン放送信号受信装置。 ((1a)?(1e)は、各構成を区別するために当審で付与した。以下各構成を「構成1a」?「構成1e」という。) b 対比 本件発明2と甲1発明とを対比する。 (a)構成要件2Aと構成1a?1cとを対比する。 構成1aの「第1アンテナ」、「UHF帯の放送信号」は、構成要件2Aの「第1アンテナ」、「UHF帯域の放送波」に相当する。構成1aにおける「第1アンテナ」で受信された「UHF帯の放送信号」は、「第1受信信号」といい得る。 構成1aの「第2アンテナ」、「VHF帯の放送信号」は、構成要件2Aの「第2アンテナ」、「VHF帯域の放送波」に対応する。構成1aにおける「第2アンテナ」で受信された「VHF帯の放送信号」は、「第2受信信号」といい得る。しかしながら、「VHF帯域の放送波第2受信信号」が、構成要件2Aにおいては「FM放送帯域の放送波」でもあるのに対し、構成1aにおいては「FM放送帯域の放送波」でない点で相違する。 構成1cの「デジタルテレビジョン放送信号受信装置」は、構成要件2Aの「再生処理を行う放送受信装置」に相当する。 以上によると、構成要件2Aと構成1a?1cとは、「第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置」として共通する。 しかしながら、「VHF帯域の放送波の第2受信信号」が、構成2Aにおいては「FM放送帯域の放送波」でもあるのに対し、構成1aにおいては「FM放送帯域の放送波」でない点で相違する。 (b)構成要件2Bと構成1cとを対比する。 構成1cは、「デジタルテレビジョン放送信号受信装置」であるから、構成要件2Bの「デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部」に相当する構成を備えていることは明らかである。 したがって、本件発明2と甲1発明とは、「デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部」を備えているとして一致する。 (c)構成要件2Cについて 甲1発明は、「FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部」を備えていないから、本件発明2と相違する。 (d)構成要件2D-1?2D-3、2Dと構成1b、1dとを対比する。 構成1b、1dにおける「制御手段」は、「制御部」といえる。 構成1dにおける「ユーザにより・・・UHF信号に対応するチャンネルが選局された場合にはUHFアンテナでTV放送信号を受信するように選択される」制御は、構成要件2D-1の「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御」に相当する。そして当該制御は、「第1の制御」といえる。 しかしながら、構成1b、1dにおける制御には、構成要件2D-2の「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」、構成要件2D-3の「FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」はなく、本件発明2と相違する。さらに、本件発明2の「制御部」は、構成要件2D-1の「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御」を含め、3つの制御のいずれかを「第1制御」として行う点で、甲1発明と相違する。 以上によると、本件発明2と甲1発明とは、「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御を第1制御として行う制御部」を備える点において共通する。 しかしながら、本件発明2においては、「第1制御」に、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」及び「FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」があり、「制御部」が「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御」を含め、いずれかを「第1制御」として行うものであるのに対し、甲1発明においては、「第1制御」に、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」及び「FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」がなく、「制御部」が「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御」を含め、いずれかを「第1制御」として行うものではない点で相違する。 (e)構成要件2Eと構成1eとを対比すると、「放送受信装置」として一致する。 c 一致点、相違点 以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、 デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と; UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御を第1制御として行う制御部と; を備えることを特徴とする放送受信装置。 (相違点1) 「VHF帯域の放送波の第2受信信号」が、本件発明2においては「FM放送帯域の放送波」でもあるのに対し、甲1発明においては「FM放送帯域の放送波」でない点 (相違点2) 本件発明2が、「FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部」を備えているのに対し、甲1発明は、当該第2選局処理部を備えていない点 (相違点3) 本件発明2においては、「第1制御」に、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」及び「FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」があり、「制御部」が「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御」を含め、いずれかを「第1制御」として行うものであるのに対し、 甲1発明においては、「第1制御」に、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」及び「FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」がなく、「制御部」が「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御」を含め、いずれかを「第1制御」として行うものではない点 d 判断 相違点1、2について検討する。 甲1発明は、通常の「デジタルテレビジョン放送信号受信装置」である。 通常の「デジタルテレビジョン放送信号受信装置」において、「FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部」を備える動機付けや示唆は、甲1には開示されておらず、甲2?6をみても、当該動機付けや示唆は記載されていない。また、このことが自明のこととも認められない。 さらに、相違点3について検討する。 相違点3のうち、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」を第1制御の一つとして行うことについては、甲2?6に記載も示唆もされておらず、当該制御を第1制御の一つとして行うことが自明のこととも認められない。 そうすると、本件発明2は、当業者であっても、甲1発明及び甲2発明、甲3発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 (イ)本件発明9?11 本件発明9は、本件発明2の「装置」の発明とカテゴリーの異なる「方法」の発明であるから、本件発明2と同様に、当業者であっても、甲1発明及び甲2発明、甲3発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 本件発明10?11は、本件発明9を引用するから、本件発明9と同じ理由で、当業者であっても、甲1発明及び甲2発明、甲3発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 イ 甲2発明に基づく容易想到性 (ア)本件発明2 a 甲2発明 本件発明2と甲2発明とを対比するにあたり、甲2発明を再掲する。 (甲2発明) (2a)TV、ラジオ、ナビゲーション、DVDやHDDなどの記録媒体を再生する再生装置等の機能を有するAVナビゲーションが、 (2b)アナログTVの電波を受信できるUHF帯の受信アンテナと、 (2c)VHF帯のアナログTV専用であり、FM-VICS( Vehicle Information Communication System)用の電波を受信するアンテナに、各アンテナで受信したアナログTV用受信電波のうち、いずれか一つの受信電波を選択するセレクタを介して接続されるAVナビゲーションであって、 (2d)前記いずれか一つの受信電波を選択するセレクタは、AVナビゲーションの出力する制御信号により制御される (2e)AVナビゲーション。 ((2a)?(2e)は、各構成を区別するために当審で付与した。以下各構成を「構成2a」?「構成2e」という。) b 対比 本件発明2と甲2発明とを対比する。 (a)構成要件2Aと構成2a?2cとを対比する。 構成2bの「UHF帯の受信アンテナ」は、構成要件2Aの「第1アンテナ」に相当する。 構成2cの「VHF帯のアナログTV専用であり、FM-VICS( Vehicle Information Communication System)用の電波を受信するアンテナ」は、構成要件2Aの「第2アンテナ」に相当し、構成2cの「FM-VICS( Vehicle Information Communication System)用の電波」は、「FM放送帯域の放送波」に相当する。 構成2a、2cの「AVナビゲーション」は、アナログTVの電波、FM-VICS用の電波の再生処理を行っているといえるから、「放送受信装置」といえる。 以上によると、構成要件2Aと構成2a?2cは、「第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置」として一致する。 (b)構成要件2Bと構成2aとを対比する。 構成2aによると、「AVナビゲーション」は、「TVの機能を有する」から、「テレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部」を備えているといえる。 しかしながら、「テレビジョン放送」が、本件発明2においては、「デジタル」テレビジョン放送であるのに対し、甲2発明においては、「デジタル」テレビジョン放送でない点で相違する。 (c)構成要件2Cと構成2aとを対比する。 構成2aによると、「AVナビゲーション」は、「ラジオの機能を有する」から、「音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部」を備えているといえる。 しかしながら、「音声放送」が、本件発明2においては、「FM」音声放送であるのに対し、甲2発明においては、「FM」音声放送と特定されていない点で相違する。 (d)構成要件2D-1?2D-3、2Dと構成2dとを対比する。 構成2dは、「前記いずれか一つの受信電波を選択するセレクタは、AVナビゲーションの出力する制御信号により制御される」から、「AVナビゲーションシステム」は、「制御部」を備えているといえる。 しかしながら、制御自体が、本件発明2と甲2発明とは相違する。 具体的には、「制御部」が、本件発明2においては、 「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、 V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、 FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御 のいずれかを、第1制御として行う」 のに対し、甲2発明においては、当該制御を行うものではない点で相違する。 (e)構成要件2Eと構成2eとを対比すると、上記(a)のとおり、「放送受信装置」として一致する。 c 一致点、相違点 以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、 テレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と; 音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と; 制御部と; を備えることを特徴とする放送受信装置。 (相違点1) 「テレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部」における「テレビジョン放送」が、本件発明2においては、「デジタル」テレビジョン放送であるのに対し、甲2発明においては、「デジタル」テレビジョン放送でない点 (相違点2) 「音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部」における「音声放送」が、本件発明2においては、「FM」音声放送であるのに対し、甲2発明においては、「FM」音声放送であると特定されていない点 (相違点3) 「制御部」が、本件発明2においては、 「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、 V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、 FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御 のいずれかを、第1制御として行う」 のに対し、甲2発明においては、当該制御を行うものではない点 d 判断 相違点3について検討する。 相違点3のうち、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」を第1制御の一つとして行うことについては、甲1、甲3?6に記載も示唆もされておらず、当該制御を第1制御の一つとして行うことが自明のこととも認められない。 そうすると、本件発明2は、当業者であっても、甲2発明及び甲1発明、甲3発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 (イ)本件発明3、6?8 本件発明3、6?8は、本件発明2を引用するから、本件発明2と同じ理由で、当業者であっても、甲2発明及び甲1発明、甲3発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 (ウ)本件発明9?11 本件発明9は、本件発明2の「装置」の発明とカテゴリーの異なる「方法」の発明であるから、本件発明2と同様に、当業者であっても、甲2発明及び甲1発明、甲3発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 本件発明10?11は、本件発明9を引用するから、本件発明9と同じ理由で、当業者であっても、甲2発明及び甲1発明、甲3発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 ウ 甲3発明に基づく容易想到性 (ア)本件発明2 a 甲3発明 本件発明2と甲3発明とを対比するにあたり、甲3発明を再掲する。 (甲3発明) (3a)放送受信は、AM、FM、TVの選択であり、FM多重のみ同時受信があり得る受信機において、 (3b)UHF用アンテナ素子と、 (3c)FM、VHF用アンテナ素子に、 (3d)切替ユニットを介して接続され、 (3e)受信機の状態によって使うアンテナ素子を切り替え、使用する受信機にのみアンテナ素子を接続する (3f)受信機。 ((3a)?(3f)は、各構成を区別するために当審で付与した。以下各構成を「構成3a」?「構成3f」という。) b 対比 本件発明2と甲3発明とを対比する。 (a)構成要件2Aと構成3a?3cとを対比する。 構成3bの「UHF用アンテナ素子」は、構成要件2Aの「第1アンテナ」に相当し、構成3cの「FM、VHF用アンテナ素子」は、構成要件2Aの「第2アンテナ」に相当する。 構成3aの「受信機」は、受信信号を再生処理しているといえるから、「放送受信装置」といえる。 以上によると、構成要件2Aと構成3a?3cは、「第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置」として一致する。 (b)構成要件2Bと構成3aとを対比する。 構成3aによると、「受信機」は、「TV」放送を受信するから、「テレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部」を備えているといえる。 しかしながら、「テレビジョン放送」が、本件発明2においては、「デジタル」テレビジョン放送であるのに対し、甲3発明においては、「デジタル」テレビジョン放送でない点で相違する。 (c)構成要件2Cと構成3aとを対比する。 構成3aによると、「受信機」は、「FM」放送を受信するから、「FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部」を備えているといえる。 (d)構成要件2D-1?2D-3、2Dと構成3b?3eとを対比する。 構成3b?3eは、「UHF用アンテナ素子と、FM、VHF用アンテナ素子に、切替ユニットを介して接続され、受信機の状態によって使うアンテナ素子を切り替え、使用する受信機にのみアンテナ素子を接続する」から、「受信機」は、「制御部」を備えているといえる。 しかしながら、制御自体が、本件発明2と甲3発明とは相違する。 具体的には、「制御部」が、本件発明2においては、 「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、 V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、 FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御 のいずれかを、第1制御として行う」 のに対し、甲3発明においては、当該制御を行うものではない点で相違する。 (e)構成要件2Eと構成3fとを対比すると、上記(a)のとおり、「放送受信装置」として一致する。 c 一致点、相違点 以上によると、一致点、相違点は次のとおりである。 (一致点) 第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、 テレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と; FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と; 制御部と; を備えることを特徴とする放送受信装置。 (相違点1) 「テレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部」における「テレビジョン放送」が、本件発明2においては、「デジタル」テレビジョン放送であるのに対し、甲3発明においては、「デジタル」テレビジョン放送でない点 (相違点2) 「制御部」が、本件発明2においては、 「UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、 V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、 FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御 のいずれかを、第1制御として行う」 のに対し、甲3発明においては、当該制御を行うものではない点 d 判断 相違点3について検討する。 相違点3のうち、「V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選曲処理部に前記第2受信信号を供給させる制御」を第1制御の一つとして行うことについては、甲1?2、甲4?6に記載も示唆もされておらず、当該制御を第1制御の一つとして行うことが自明のこととも認められない。 そうすると、本件発明2は、当業者であっても、甲3発明及び甲1発明、甲2発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 (イ)本件発明3、6?8 本件発明3、6?8は、本件発明2を引用するから、本件発明2と同じ理由で、当業者であっても、甲3発明及び甲1発明、甲2発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 (ウ)本件発明9?11 本件発明9は、本件発明2の「装置」の発明とカテゴリーの異なる「方法」の発明であるから、本件発明2と同様に、当業者であっても、甲3発明及び甲1発明、甲2発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 本件発明10?11は、本件発明9を引用するから、本件発明9と同じ理由で、当業者であっても、甲3発明及び甲1発明、甲2発明、甲4?6技術に基づいて容易になし得るものではない。 (2)取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について ア 甲1に記載された発明に基づく新規性 特許異議申立人は、本件発明1、9?11は、甲1に記載された発明であると主張する。 しかしながら、本件発明1は、本件訂正請求により削除されているので、本件発明1に対する特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 本件発明9?11については、上記4(1)ア(イ)のとおりであり、本件発明9は、本件発明2の「装置」の発明のカテゴリーの異なる「方法」の発明であるから、本件発明9と甲1に記載された発明とを対比すると、本件発明2と甲1発明とを対比した相違点と同様の相違する点がある。 したがって、本件発明9は、甲1に記載された発明ではない。 また、本件発明10?11は、本件発明9を引用するから、本件発明9と同じ理由で、甲1に記載された発明ではない。 よって、上記主張に理由はない。 イ 本件発明4、5について 異議申立人は、本件発明4、5は、甲2発明及び甲4?6技術に基づいて、又は、甲3発明及び甲4?6技術に基づいて、当業者が容易に想到することができたものであると主張する。 しかしながら、本件発明4、5が間接的に引用する本件発明2が、当業者であっても、容易になし得るものでないことは、上記4(1)ア(ア)、イ(ア)、ウ(ア)のとおりである。 したがって、上記主張に理由はない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項2?7、9?11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件訂正請求により訂正された訂正後の請求項2?7、9?11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項1及び8に係る特許は、訂正により削除されたため、本件特許の請求項1及び8に対して、特許異議申立人がした特許異議の申立てについては、対象となる請求項が存在しない。 よって、結論のとおり決定する。 |
発明の名称 |
(54)【発明の名称】 放送受信装置及び放送受信方法 【技術分野】 【0001】 本発明は、放送受信装置、放送受信方法、放送受信プログラム、及び、当該放送受信プログラムが記録された記録媒体に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、地上テレビジョン放送については、VHF(Very High Frequency)の周波数帯域を使用するアナログ放送から、UHF(Ultra High Frequency)の周波数帯域を使用するデジタル放送へと移行した。そして、地上アナログテレビジョン放送の停波により空き周波数帯域となったVHF帯域については、マルチメディア放送等のデジタル放送への割当てが検討されている。こうした近年における放送電波の周波数の再割当てに対応して、UHF帯域及びVHF帯域のデジタル放送波を受信して処理するための技術が提案されている(特許文献1参照:以下、「従来例」と呼ぶ)。 【0003】 この従来例の技術では、UHF帯域のデジタル放送波を受信するための2つのアンテナ(以下、「UHFアンテナ」ともいう)と、当該2つのUHFアンテナのそれぞれに対応して接続される2つのUHF受信部と、VHF帯域の放送波を受信するための2つのアンテナ(以下、「VHFアンテナ」ともいう)と、当該2つのVHFアンテナのそれぞれに対応して接続される2つのVHF受信部とを備えている。そして、UHF帯域のデジタル放送波を受信し再生処理を行う場合には、2つのUHF受信部から出力される中間周波信号を合成し、合成信号に基づいて放送内容を再生するようになっている。また、VHF帯域のデジタル放送波を受信し再生処理を行う場合には、2つのVHF受信部から出力される中間周波信号を合成し、合成信号に基づいて放送内容を再生するようになっている。 【先行技術文献】 【特許文献】 【0004】 【特許文献1】特開2005-244584号公報 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 さて、近年の自動車等には、FMラジオ放送の放送波を受信して処理するFM受信装置を搭載していることが一般的である。そして、当該FM受信装置には、FM放送帯域の放送波を受信するためのアンテナ(以下、「FMアンテナ」ともいう)が備えられている。ここで、FMラジオ放送の周波数帯域(日本においては、76?90MHz)は、マルチメディア放送等のデジタル放送に割当てが検討されているVHF-LOW帯域(90?108MHz)(以下、「V-LOW帯域」という)の下限と隣接している。したがって、FM受信装置が備えるFMアンテナを利用することにより、V-LOW帯域を使用するデジタル放送波を受信することが可能となる。このV-LOW帯域のデジタル放送は、1又は3セグメントを使用した放送であり、12セグメントを使用した場合のUHF帯域のデジタル放送と比べて、エラー耐性が高くなっている。 【0006】 しかしながら、従来例の技術では、UHF帯域のデジタル放送波を受信処理するために、UHFアンテナとUHF処理部とを用意するとともに、VHF帯域のデジタル放送波を受信処理するために、FMアンテナを利用することなく、VHFアンテナとVHF処理部とを用意する。この結果、従来例の構成を採用すると、FM受信装置が備えるFMアンテナを利用する場合と比べて、装置の規模が大きくなるとともに、装置の製造コストが高価なものとなりやすい。 【0007】 このため、自動車等の車両に搭載されたFM受信装置のFMアンテナを利用して、VHF帯域のデジタル放送波を受信して処理を行うことができる技術が望まれている。かかる要請に応えることが、本発明が解決すべき課題の一つとして挙げられる。 【0008】 本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、簡易な構成で、UHF帯域及びVHF帯域の放送波を受信し、適切な受信処理を行うことができる新たな放送受信装置及び放送受信方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0009】 請求項2に記載の発明は、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と;FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と;UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを、第1制御として行う制御部と;を備えることを特徴とする放送受信装置である。 【0010】 請求項9に記載の発明は、デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と;FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と;制御部と;を備え、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置において使用される放送受信方法であって、前記制御部が、選局処理すべき受信信号の指定を取得する取得工程と;前記取得工程における取得結果に基づいて、前記制御部が、UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを行う制御工程と;を備えることを特徴とする放送受信方法である。 【0011】 請求項10に記載の発明は、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置が有するコンピュータに、請求項9に記載の放送受信方法を実行させる、ことを特徴とする放送受信プログラムである。 【0012】 請求項11に記載の発明は、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項10に記載の放送受信プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体である。 【図面の簡単な説明】 【0013】 【図1】本発明の第1実施形態に係る放送受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。 【図2】図1の再生処理ユニットの構成を示すブロック図である。 【図3】図2のTV用再生処理部の構成を示すブロック図である。 【図4】図2の交通情報用再生処理部の構成を示すブロック図である。 【図5】図1の装置による道路交通情報の切り替え制御処理を説明するためのフローチャートである。 【図6】本発明の第2実施形態に係る放送受信装置の構成を概略的に示すブロック図である。 【図7】図6の再生処理ユニットにおける交通情報用再生処理部の構成を示すブロック図である。 【図8】図6の装置による道路交通情報の切り替え制御処理を説明するためのフローチャートである。 【発明を実施するための形態】 【0014】 以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。 【0015】 [第1実施形態] まず、本発明の第1実施形態を、図1?図5を参照して説明する。 【0016】 <構成> 図1には、第1実施形態に係る放送受信装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。図1に示されるように、放送受信装置100Aは、4個のUHFアンテナ111_(U1),111_(U2),111_(U3),111_(U4)と、FMアンテナ112_(F)と、第1選択ユニット121と、第2選択ユニット122とを備えている。また、放送受信装置100Aは、4個のTV用RF処理ユニット131_(1),131_(2),131_(3),131_(4)と、2個のFM用RF処理ユニット132,133と、V-LOW用RF処理ユニット134と、再生処理ユニット140Aとを備えている。さらに、放送受信装置100Aは、入力ユニット150と、音出力ユニット160と、第1表示ユニット170と、第2表示ユニット175と、制御ユニット190Aとを備えている。 【0017】 上記のUHFアンテナ111_(U1),111_(U2),111_(U3),111_(U4)は、UHF帯域を利用する地上デジタルテレビジョン放送の放送波を受信する。UHFアンテナ111_(Uj)(j=1,…,3)による受信信号RFS_(Uj)は、TV用RF処理ユニット131_(j)へ送られる。また、UHFアンテナ111_(U4)による受信結果は、受信信号RFS_(U4)として、第1選択ユニット121へ送られる。すなわち、第1実施形態では、UHFアンテナ111_(U4)が第1アンテナに対応するとともに、受信信号RFS_(U4)が第1受信信号に対応するようになっている。 【0018】 上記のFMアンテナ112_(F)は、車両に搭載されたFM受信装置が備えるFMアンテナである。FMアンテナ112_(F)は、FM放送帯域及びVHF帯域の放送波を受信する。FMアンテナ112_(F)による受信結果は、受信信号RFS_(F)として、第1選択ユニット121及び第2選択ユニット122へ送られる。すなわち、第1実施形態では、FMアンテナ112_(F)が第2アンテナに対応し、受信信号RFS_(F)が第2受信信号に対応するようになっている。 【0019】 上記の第1選択ユニット121は、UHFアンテナ111_(U4)から送られた受信信号RFS_(U4)を受けるとともに、FMアンテナ112_(F)から送られた受信信号RFS_(F)を受ける。そして、第1選択ユニット121は、制御ユニット190Aによる制御のもとで、受信信号RFS_(U4),RFS_(F)の出力先の選択処理を行う。 【0020】 この第1選択ユニット121は、制御ユニット190Aから送られた選択制御指令SLS_(1)により、UHF帯域を利用するデジタル放送の音声及び映像を視聴するための「UHF選択」指定がなされると、UHFアンテナ111_(U4)から送られた受信信号RFS_(U4)を、TV用RF処理ユニット131_(4)へ送る。また、第1選択ユニット121は、制御ユニット190Aから送られた選択制御指令SLS_(1)により、V-LOW帯域を使用するデジタル放送の音声及び映像を視聴するための「V-LOW選択」指定がなされると、FMアンテナ112_(F)から送られた受信信号RFS_(F)を、TV用RF処理ユニット131_(4)へ送る。さらに、第1選択ユニット121は、FM放送の音声を聴取するための「FM音声選択」指定がなされると、FMアンテナ112_(F)から送られた受信信号RFS_(F)を、FM用RF処理ユニット132へ送る。 【0021】 上記の第2選択ユニット122は、FMアンテナ112_(F)から送られた受信信号RFS_(F)を受ける。そして、第2選択ユニット122は、制御ユニット190Aによる制御のもとで、受信信号RFS_(F)の出力先の選択処理を行う。 【0022】 この第2選択ユニット122は、制御ユニット190Aから送られた選択制御指令SLS_(2)により、FM放送帯域におけるデータ放送から「道路交通情報」に関するデータを取得するための「FMデータ選択」指定がなされると、FMアンテナ112_(F)から送られた受信信号RFS_(F)を、FM用RF処理ユニット133へ送る。また、第2選択ユニット122は、制御ユニット190Aから送られた選択制御指令SLS_(2)により、V-LOW帯域におけるデータ放送から「道路交通情報」に関するデータを取得するための「V-LOWデータ選択」指定がなされると、FMアンテナ112_(F)から送られた受信信号RFS_(F)を、V-LOW用RF処理ユニット134へ送る。 【0023】 上記のTV用RF処理ユニット131_(j)(j=1,…,3)は、UHFアンテナ111_(Uj)に対応して配置され、UHFアンテナ111_(Uj)から送られた受信信号RFS_(Uj)を受ける。TV用RF処理ユニット131_(j)は、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(U)に従って、選局すべき物理チャンネルの信号を受信信号RFS_(Uj)から抽出する選局処理を行う。TV用RF処理ユニット131_(j)による選局結果は、中間周波信号IFD_(Uj)(以下、単に「信号IFD_(Uj)」とも記す)として、再生処理ユニット140Aへ送られる。 【0024】 上記のTV用RF処理ユニット131_(4)は、制御ユニット190Aが「UHF選択」を指定している場合には、第1選択ユニット121から送られた受信信号RFS_(U4)を受ける。また、TV用RF処理ユニット131_(4)は、制御ユニット190Aが「V-LOW選択」を指定している場合には、第1選択ユニット121から送られた受信信号RFS_(F)を受ける。TV用RF処理ユニット131_(4)は、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(11)に従って、選局すべき希望局の信号を受信信号から抽出する選局処理を行う。TV用RF処理ユニット131_(4)による選局結果は、中間周波信号IFD_(T)(以下、単に「信号IFD_(T)」とも記す)として、再生処理ユニット140Aへ送られる。すなわち、TV用RF処理ユニット131_(4)は、第1選局処理部としての機能を果たすようになっている。 【0025】 上記のFM用RF処理ユニット132は、制御ユニット190Aが「FM音声選択」を指定している場合に、第1選択ユニット121から送られた受信信号RFS_(F)を受ける。FM用RF処理ユニット132は、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(12)に従って、選局すべき希望局の信号を受信信号RFS_(F)から抽出する選局処理を行う。FM用RF処理ユニット132による選局結果は、中間周波信号IFD_(FA)(以下、単に「信号IFD_(FA)」とも記す)として、再生処理ユニット140Aへ送られる。すなわち、FM用RF処理ユニット132は、第2選局処理部としての機能を果たすようになっている。 【0026】 上記のFM用RF処理ユニット133は、車両に搭載されたFM受信装置が備えるFMチューナである。FM用RF処理ユニット133は、制御ユニット190Aが「FMデータ選択」を指定している場合に、第2選択ユニット122から送られた受信信号RFS_(F)を受ける。FM用RF処理ユニット133は、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(21)に従って、選局すべき希望局の信号を受信信号RFS_(F)から抽出する選局処理を行う。FM用RF処理ユニット133による選局結果は、中間周波信号IFD_(FD)(以下、単に「信号IFD_(FD)」とも記す)として、再生処理ユニット140Aへ送られる。すなわち、FM用RF処理ユニット133は、第3選局処理部としての機能を果たすようになっている。 【0027】 上記のV-LOW用RF処理ユニット134は、制御ユニット190Aが「V-LOWデータ選択」を指定している場合に、第2選択ユニット122から送られた受信信号RFS_(F)を受ける。V-LOW用RF処理ユニット134は、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(22)に従って、選局すべき希望局の信号を受信信号RFS_(F)から抽出する選局処理を行う。V-LOW用RF処理ユニット134による選局結果は、中間周波信号IFD_(VD)(以下、単に「信号IFD_(VD)」とも記す)として、再生処理ユニット140Aへ送られる。すなわち、V-LOW用RF処理ユニット134は、第4選局処理部としての機能を果たすようになっている。 【0028】 上記の再生処理ユニット140Aは、制御ユニット190Aにより「UHF選択」が指定されると、TV用RF処理ユニット131_(j)(j=1,…,3)から送られた信号IFD_(Uj)、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られた信号IFD_(T)を処理して、音出力ユニット160へ供給する音声データ及び第1表示ユニット170へ供給する映像データを生成する。また、再生処理ユニット140Aは、制御ユニット190Aにより「V-LOW選択」が指定されると、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られた信号IFD_(T)を処理して、音出力ユニット160へ供給する音声データ及び第1表示ユニット170へ供給する映像データを生成する。さらに、再生処理ユニット140Aは、制御ユニット190Aにより「FM音声選択」が指定されると、FM用RF処理ユニット132から送られた信号IFD_(FA)を処理して、音出力ユニット160へ供給する音声データを生成する。 【0029】 また、再生処理ユニット140Aは、制御ユニット190Aにより「FMデータ選択」が指定されると、FM用RF処理ユニット133から送られた信号IFD_(FD)を処理して、第2表示ユニット175へ供給する「道路交通情報」を反映した画像データを生成する。また、再生処理ユニット140Aは、制御ユニット190Aにより「V-LOWデータ選択」が指定されると、V-LOW用RF処理ユニット134から送られた信号IFD_(VD)を処理して、第2表示ユニット175へ供給する「道路交通情報」を反映した画像データを生成する。 【0030】 再生処理ユニット140Aの構成の詳細については、後述する。 【0031】 上記の入力ユニット150は、放送受信装置100Aの本体部に設けられたキー部、及び/又はキー部を備えるリモート入力装置等により構成される。ここで、本体部に設けられたキー部としては、第1表示ユニット170の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。また、キー部を有する構成に代えて、又は併用して音声認識技術を利用して音声にて入力する構成を採用することもできる。 【0032】 この入力ユニット150を利用者が操作することにより、放送受信装置100Aの動作内容の設定や動作指令の入力が行われる。例えば、「UHFデジタルTV放送」、「V-LOWデジタルTV放送」及び「FM音声放送」の放送波設定指定、選局設定指定等の利用者による入力が、入力ユニット150を利用して行われる。入力ユニット150への入力内容は、入力データとして、制御ユニット190Aへ送られる。 【0033】 上記の音出力ユニット160は、(i)再生処理ユニット140Aから送られた音声データをアナログ信号に変換するDA(Digital to Analogue)変換器と、(ii)当該DA変換器から出力されたアナログ信号を増幅する増幅器と、(iii)増幅されたアナログ信号を音声に変換するスピーカとを備えて構成されている。この音出力ユニット160は、選局されている希望局の放送波に対応する放送音声を再生出力する。 【0034】 上記の第1表示ユニット170は、例えば、(i)液晶パネル、有機EL(Electro Luminescence)パネル、PDP(Plasma Display Panel)等の表示デバイスと、(ii)再生処理ユニット140Aから送られた映像データに基づいて、当該表示デバイスに画像を表示させる表示制御回路とを備えている。この第1表示ユニット170は、選局されている希望局の放送波に対応する放送映像を再生表示する。 【0035】 上記の第2表示ユニット175は、例えば、上述した第1表示ユニット170の場合と同様にして構成され、(i)液晶パネル、有機ELパネル、PDP等の表示デバイスと、(ii)再生処理ユニット140Aから送られた画像データに基づいて、当該表示デバイスに画像を表示させる表示制御回路とを備えている。この第2表示ユニット175は、「道路交通情報」を反映した画像を再生表示する。 【0036】 上記の制御ユニット190Aは、様々な処理を行うとともに、放送受信装置100Aの全体の動作を制御する。制御ユニット190Aは、入力ユニット150から送られた入力データを受ける。この入力データの内容が、「UHFデジタルTV放送」の放送波設定指定であった場合には、制御ユニット190Aは、「UHF選択」を指定した選択制御指令SLS_(1)を生成して、第1選択ユニット121へ送る。また、制御ユニット190Aは、信号IFD_(U1),IFD_(U2),IFD_(U3),IFD_(T)の4つの信号を合成すべきことを指定した合成制御指令SNC、及び、UHFデジタル放送波に対応する放送音声を再生出力するための切替制御指令SW1を生成して、再生処理ユニット140Aへ送る。 【0037】 また、入力データの内容が、「V-LOWデジタルTV放送」の放送波設定指定であった場合には、制御ユニット190Aは、「V-LOW選択」を指定した選択制御指令SLS_(1)を生成して、第1選択ユニット121へ送る。また、制御ユニット190Aは、信号IFD_(T)のみを再生処理すべきこと(すなわち、信号を合成すべきではないこと)を指定した合成制御指令SNC、及び、V-LOWデジタル放送波に対応する放送音声を再生出力するための切替制御指令SW1を生成して、再生処理ユニット140Aへ送る。 【0038】 また、入力データの内容が、「FM音声放送」の放送波設定指定であった場合には、制御ユニット190Aは、「FM音声選択」を指定した選択制御指令SLS_(1)を生成して、第1選択ユニット121へ送る。また、制御ユニット190Aは、FM放送波に対応する放送音声を再生出力するための切替制御指令SW1を生成して、再生処理ユニット140Aへ送る。 【0039】 また、制御ユニット190Aは、再生処理ユニット140Aから送られた後述する受信状態情報STVを受ける。そして、制御ユニット190Aは、当該受信状態情報STVの内容等に基づいて、「FMデータ選択」及び「V-LOWデータ選択」のいずれかを指定した選択制御指令SLS_(2)を生成して、第2選択ユニット122へ送るとともに、「FMデータ放送信号に基づく道路交通情報」及び「V-LOWデータ放送信号に基づく道路交通情報」のいずれを表示すべきかを指定した切替制御指令SW2を生成して、再生処理ユニット140Aへ送る。 【0040】 また、制御ユニット190Aは、入力ユニット150から送られた入力データの内容が選局設定指定であった場合には、指定された希望局に対応する選局指令CSLを生成して、選局処理を行うべきRF処理ユニットへ送る。 【0041】 すなわち、制御ユニット190Aは、制御部としての機能を果たすようになっている。制御ユニット190Aが実行する制御処理の詳細については、後述する。 【0042】 《再生処理ユニット140Aの構成》 次に、再生処理ユニット140Aの構成について説明する。 【0043】 再生処理ユニット140Aは、図2に示されるように、TV用再生処理部141と、FM音声用再生処理部142と、音声データ切替部143とを備えている。また、再生処理ユニット140Aは、交通情報用再生処理部144Aと、情報データ切替部145とを備えている。 【0044】 上記のTV用再生処理部141は、制御ユニット190Aにより「UHF選択」が指定された場合に、TV用RF処理ユニット131_(j)(j=1,…,3)から送られた信号IFD_(Uj)、及び、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られた信号IFD_(T)を取得する。そして、TV用再生処理部141は、TV用RF処理ユニット131_(1)?131_(4)より選局処理が施された信号IFD_(U1),IFD_(U2),IFD_(U3),IFD_(T)を合成する。引き続き、TV用再生処理部141は、当該合成された信号に対して再生処理を施し、音声データ切替部143へ供給する音声データ及び第1表示ユニット170へ供給する映像データを生成する。 【0045】 また、TV用再生処理部141は、制御ユニット190Aにより「V-LOW選択」が指定された場合に、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られた信号IFD_(T)を取得する。そして、TV用再生処理部141は、RF処理ユニット131_(4)により選局処理が施された当該信号IFD_(T)に対して再生処理を施し、音声データ切替部143へ供給する音声データ及び第1表示ユニット170へ供給する映像データを生成する。 【0046】 TV用再生処理部141の構成の詳細については、後述する。 【0047】 上記のFM音声用再生処理部142は、FM用復調部と、マルチプレクサ(MPX)部とを備えている(いずれも、不図示)。 【0048】 FM用復調部は、制御ユニット190Aにより「FM音声選択」が指定された場合に、FM用RF処理ユニット132から送られた信号IFD_(FA)を取得する。そして、FM復調部は、FM用RF処理ユニット132により選局処理が施された当該信号IFD_(FA)に対してFM復調処理を施し、復調結果の信号をMPX部へ送る。MPX部は、FM用復調部から送られた復調結果の信号を受ける。そして、MPX部は、復調結果の信号に対して、セパレーション処理等の再生処理を施して、音声データ切替部143へ供給する音声データを生成する。 【0049】 上記の音声データ切替部143は、制御ユニット190Aから送られた切替制御指令SW1により「TV再生選択」指定がなされると、TV用再生処理部141から送られた音声データを、音出力ユニット160へ送る。また、音声データ切替部143は、切替制御指令SW1により「FM音声再生選択」指定がなされると、FM音声用再生処理部142から送られた音声データを、音出力ユニット160へ送る。 【0050】 上記の交通情報用再生処理部144Aは、制御ユニット190Aにより「FMデータ選択」が指定された場合に、FM用RF処理ユニット133から送られた信号IFD_(FD)を取得する。そして、交通情報用再生処理部144Aは、FM用RF処理ユニット133により選局処理が施された当該信号IFD_(FD)に対して再生処理を施して、FMデータ放送が提供する「道路交通情報」に関する画像データを生成する。引き続き、交通情報用再生処理部144Aは、生成された画像データを情報データ切替部145へ供給する。 【0051】 また、交通情報用再生処理部144Aは、制御ユニット190Aにより「V-LOWデータ選択」が指定された場合に、V-LOW用RF処理ユニット134から送られた信号IFD_(VD)を取得する。そして、交通情報用再生処理部144Aは、V-LOW用RF処理ユニット134により選局処理が施された当該信号IFD_(VD)に対して再生処理を施して、V-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」に関する画像データを生成する。引き続き、交通情報用再生処理部144Aは、生成された画像データを情報データ切替部145へ供給する。 【0052】 交通情報用再生処理部144Aの構成の詳細については、後述する。 【0053】 上記の情報データ切替部145は、制御ユニット190Aから送られた切替制御指令SW2により「FMデータ再生選択」指定がなされると、FMデータ放送が提供する「道路交通情報」に関する画像データを、第2表示ユニット175へ送る。また、情報データ切替部145は、切替制御指令SW2により「V-LOWデータ再生選択」指定がなされると、V-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」に関する画像データを、第2表示ユニット175へ送る。 【0054】 (TV用再生処理部141の構成) 上述したTV用再生処理部141の構成について説明する。 【0055】 TV用再生処理部141は、図3に示されるように、信号合成部211と、TV用復調部212と、TV用復号部213とを備えている。また、TV用再生処理部141は、音声処理部214と、映像処理部215とを備えている。 【0056】 上記の信号合成部211は、制御ユニット190Aにより「UHF選択」が指定されているときには、TV用RF処理ユニット131_(j)(j=1,…,3)から送られた信号IFD_(Uj)、及び、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られた信号IFD_(T)を取得する。そして、信号合成部211は、制御ユニット190Aから送られた合成制御指令SNCに従い、TV用RF処理ユニット131_(1)?131_(4)より選局処理が施された信号IFD_(U1),IFD_(U2),IFD_(U3),IFD_(T)の4つ信号の合成を行い、合成された信号をTV用復調部212へ送る。 【0057】 また、信号合成部211は、制御ユニット190Aにより「UHF選択」が指定されているときには、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られた信号IFD_(T)を取得する。そして、信号合成部211は、制御ユニット190Aから送られた合成制御指令SNCに従い、TV用RF処理ユニット131_(4)により選局処理が施された信号IFD_(T)をTV用復調部212へ送る。 【0058】 上記のTV用復調部212は、信号合成部211から送られた信号を受ける。そして、TV用復調部212は、当該信号に対してOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplex)復調を施す。こうして復調された復調信号は、TV用復号部213へ送られる。 【0059】 上記のTV用復号部213は、TV用復調部212から送られた復調信号を受ける。そして、TV用復号部213は、復調信号の復号処理を行い、音声に関する復号結果を、復号音声データとして、音声処理部214へ送る。また、TV用復号部213は、映像に関する復号結果を、復号映像データとして、映像処理部215へ送る。 【0060】 上記の音声処理部214は、復号音声データに基づいて音声データを生成する。生成された音声データは、音声データ切替部143へ送られる。 【0061】 上記の映像処理部215は、復号映像データに基づいて映像データを生成する。生成された映像データは、第1表示ユニット170へ送られる。 【0062】 (交通情報用再生処理部144Aの構成) 上述した交通情報用再生処理部144Aの構成について説明する。 【0063】 交通情報用再生処理部144Aは、図4に示されるように、FM用復調部221と、FMデータ信号用復号部222と、V-LOW用復調部223と、V-LOW用復号部224Aとを備えている。 【0064】 上記のFM用復調部221は、FM用RF処理ユニット133から送られた信号IFD_(FD)を取得する。そして、FM用復調部221は、FM用RF処理ユニット133により選局処理が施された当該信号IFD_(FD)に対して復調処理を施して復調信号を生成する。こうして生成された復調信号は、FMデータ信号用復号部222へ送られる。 【0065】 上記のFMデータ信号用復号部222は、FM用復調部221から送られた復調信号を受ける。FMデータ信号用復号部222は、当該復調信号を受けると、データ信号用の復号処理を施して、「道路交通情報」に関する画像データを生成する。こうして生成されたFMデータ放送が提供する「道路交通情報」を反映した画像データは、情報データ切替部145へ送られる。 【0066】 上記のV-LOW用復調部223は、V-LOW用RF処理ユニット134から送られた信号IFD_(VD)を取得する。そして、V-LOW用復調部223は、V-LOW用RF処理ユニット134により選局処理が施された当該信号IFD_(VD)に対して復調処理を施して復調信号を生成する。こうして生成された復調信号は、V-LOW用復号部224Aへ送られる。 【0067】 上記のV-LOW用復号部224Aは、V-LOW用復調部223から送られた復調信号を受ける。V-LOW用復号部224Aは、当該復調信号を受けると、データ信号用の復号処理を施して、V-LOWデータ放送信号の内容に「道路交通情報」が含まれているか否かのチェックを行う。そして、V-LOW用復号部224Aは、当該チェックの結果を、状態報告STVとして制御ユニット190Aへ送る。 【0068】 また、V-LOW用復号部224Aは、V-LOWデータ放送信号の内容に「道路交通情報」が含まれているときには、復号処理の結果に基づいて「道路交通情報」に関する画像データを生成する。こうして生成されたV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」を反映した画像データは、情報データ切替部145へ送られる。 【0069】 <動作> 以上のようにして構成された放送受信装置100Aの動作について、制御ユニット190Aによる利用者の「放送波設定指定」に対応した「UHFデジタルTV放送」、「V-LOWデジタルTV放送」及び「FM音声放送」の再生処理、並びに、FMデータ放送及びV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」の切り替え制御処理に主に着目して説明する。 【0070】 《UHFデジタルTV放送の再生処理》 まず、「UHFデジタルTV放送」の再生処理について説明する。 【0071】 かかる再生処理は、利用者による「UHFデジタルTV放送」を指定した放送波設定指定の入力ユニット150への入力に対応して開始される。こうして再生処理が開始されると、制御ユニット190Aが、まず、UHFアンテナ111_(U4)から送られる受信信号RFS_(U4)をTV用RF処理ユニット131_(4)へ送ることを内容とする「UHF選択」を指定する選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る(図1参照)。また、制御ユニット190Aは、TV用RF処理ユニット131_(j)(j=1,…,3)から送られる信号IFD_(Uj)、及び、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られる信号IFD_(T)を合成すべきことを指定する合成制御指令SNCを生成し、TV用再生処理部141の信号合成部211へ送る(図3参照)。 【0072】 さらに、制御ユニット190Aは、TV用再生処理部141から送られる音声データを音出力ユニット160へ送ることを内容とする「TV再生選択」を指定する切替制御指令SW1を生成し、音声データ切替部143へ送る(図2参照)。また、制御ユニット190Aは、利用者により選局設定指定されたUHFデジタル放送の希望局に対応する選局指令CSL_(U)を生成して、TV用RF処理ユニット131_(j)(j=1,…,3)へ送るとともに、当該デジタル放送の希望局に対応する選局指令CSL_(11)を生成して、TV用RF処理ユニット131_(4)へ送る(図1参照)。 【0073】 こうした制御ユニット190Aにより指令設定の状況のもとで、UHFアンテナ111_(Uj)(j=1,…,3)で受信した受信信号RFS_(Uj)がTV用RF処理ユニット131_(j)へ送られるともに、UHFアンテナ111_(U4)で受信した受信信号RFS_(U4)がTV用RF処理ユニット131_(4)へ送られる。そして、TV用RF処理ユニット131_(j)は、受信信号RFS_(Uj)を受けると、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(U)に従って選局すべき希望局の中間周波数帯の信号IFD_(Uj)を抽出し、当該信号IFD_(Uj)を再生処理ユニット140AのTV用再生処理部141へ送る。また、TV用RF処理ユニット131_(4)は、受信信号RFS_(U4)を受けると、選局指令CSL_(11)に従って選局すべき希望局の中間周波数帯の信号IFD_(T)を抽出し、当該信号IFD_(T)を再生処理ユニット140AのTV用再生処理部141へ送る(図1及び図2参照)。 【0074】 TV用再生処理部141では、信号合成部211が、信号IFD_(U1),IFD_(U2),IFD_(U3),IFD_(T)の4つ信号の合成を行い、合成された信号をTV用復調部212へ送る。そして、TV用復調部212が、信号合成部211から送られた信号の復調処理を行い、復調信号をTV用復号部213へ送る。次いで、TV用復号部213が、復調信号の復号処理を行う。引き続き、TV用復号部213は、音声に関する復号結果を復号音声データとして音声処理部214へ送るとともに、映像に関する復号結果を復号映像データとして映像処理部215へ送る(図3参照)。 【0075】 音声処理部214では、復号音声データに基づいて音声データが生成される。そして、音声処理部214は、当該音声データを音声データ切替部143へ送る。そして、音声データ切替部143は、当該音声データを音出力ユニット160へ送る(図2参照)。また、映像処理部215では、復号映像データに基づいて映像データが生成される。そして、映像処理部215は、当該映像データを第1表示ユニット170へ送る(図3参照)。 【0076】 この結果、「UHFデジタルTV放送」の選局設定指定された希望局の放送音声が、音出力ユニット160から再生出力されるとともに、当該希望局の放送映像が、第1表示ユニット170から再生表示される。 【0077】 《V-LOWデジタルTV放送の再生処理》 次に、利用者の指定に対応した「V-LOWデジタルTV放送」の再生処理について説明する。 【0078】 かかる再生処理は、利用者による「V-LOWデジタルTV放送」を指定した放送波設定指定の入力ユニット150への入力に対応して開始される。こうして再生処理が開始されると、制御ユニット190Aが、まず、FMアンテナ112_(F)から送られる受信信号RFS_(F)をTV用RF処理ユニット131_(4)へ送ることを内容とする「V-LOW選択」を指定する選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る(図1参照)。また、制御ユニット190Aは、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られる信号IFD_(T)のみを再生処理すべきことを指定する合成制御指令SNCを生成し、TV用再生処理部141の信号合成部211へ送る(図3参照)。 【0079】 さらに、制御ユニット190Aは、TV用再生処理部141から送られる音声データを音出力ユニット160へ送ることを内容とする「TV再生選択」を指定する切替制御指令SW1を生成し、音声データ切替部143へ送る(図2参照)。また、制御ユニット190Aは、利用者により選局設定指定されたV-LOWデジタル放送の希望局に対応する選局指令CSL_(11)を生成して、TV用RF処理ユニット131_(4)へ送る(図1参照)。 【0080】 こうした制御ユニット190Aにより指令設定の状況のもとで、FMアンテナ112_(F)で受信した受信信号RFS_(F)がTV用RF処理ユニット131_(4)へ送られる。そして、TV用RF処理ユニット131_(4)は、受信信号RFS_(F)を受けると、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(11)に従って選局すべき希望局の中間周波数帯の信号IFD_(T)を抽出し、当該信号IFD_(T)を再生処理ユニット140AのTV用再生処理部141へ送る(図1及び図2参照)。 【0081】 TV用再生処理部141では、信号合成部211が、合成処理を行わずに、信号IFD_(T)をTV用復調部212へ送る。そして、TV用復調部212が、信号合成部211から送られた信号の復調処理を行い、復調信号をTV用復号部213へ送る。次いで、TV用復号部213が、復調信号の復号処理を行い、音声に関する復号結果を復号音声データとして音声処理部214へ送るとともに、映像に関する復号結果を復号映像データとして映像処理部215へ送る(図3参照)。 【0082】 音声処理部214では、復号音声データに基づいて音声データが生成される。そして、音声処理部214は、当該音声データを音声データ切替部143へ送る。そして、音声データ切替部143は、当該音声データを音出力ユニット160へ送る(図2参照)。また、映像処理部215では、復号映像データに基づいて映像データが生成される。そして、映像処理部215は、当該映像データを第1表示ユニット170へ送る(図3参照)。 【0083】 この結果、「V-LOWデジタルTV放送」の選局設定指定された希望局の放送音声が、音出力ユニット160から再生出力されるとともに、当該希望局の放送映像が、第1表示ユニット170から再生表示される。 【0084】 《FM音声放送の再生処理》 次いで、利用者の指定に対応した「FM音声放送」の再生処理について説明する。 【0085】 かかる再生処理は、利用者による「FM音声放送」を指定した放送波設定指定の入力ユニット150への入力に対応して開始される。こうして再生処理が開始されると、制御ユニット190Aが、まず、FMアンテナ112_(F)から送られる受信信号RFS_(F)をFM用RF処理ユニット132へ送ることを内容とする「FM音声選択」を指定する選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る(図1参照)。 【0086】 また、制御ユニット190Aは、FM音声用再生処理部142から送られる音声データを音出力ユニット160へ送ることを内容とする「FM音声再生選択」を指定する切替制御指令SW1を生成し、音声データ切替部143へ送る(図2参照)。また、制御ユニット190Aは、利用者により選局設定指定されたFM放送の希望局に対応する選局指令CSL_(12)を生成して、FM用RF処理ユニット132へ送る(図1参照)。 【0087】 こうした制御ユニット190Aにより指令設定の状況のもとで、FMアンテナ112_(F)で受信した受信信号RFS_(F)がFM用RF処理ユニット132へ送られる。そして、FM用RF処理ユニット132は、受信信号RFS_(F)を受けると、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(12)に従って選局すべき希望局の中間周波数帯の信号IFD_(FA)を抽出し、当該信号IFD_(FA)を再生処理ユニット140AのFM音声用再生処理部142へ送る(図1及び図2参照)。 【0088】 FM音声用再生処理部142では、FM用復調部が、信号IFD_(FA)の復調処理を行い、復調結果の信号をMPX部へ送る。そして、MPX部が、復調結果の信号に対して、セパレーション処理等の再生処理を施して、音声データを生成する。引き続き、MPX部は、当該音声データを音声データ切替部143へ送る。そして、音声データ切替部143は、当該音声データを音出力ユニット160へ送る(図2参照)。 【0089】 この結果、「FM放送」の選局設定指定された希望局の放送音声が、音出力ユニット160から再生出力される。 【0090】 《「道路交通情報」の切り替え制御処理》 引き続き、FMデータ放送及びV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」の切り替え制御処理について説明する。この切り替え制御処理は、上述した「UHFデジタルTV放送の再生処理」、「V-LOWデジタルTV放送の再生処理」及び「FM音声放送の再生処理」のいずれかと並行して、常時、行われるようになっている。 【0091】 前提として、FMデータ放送が提供する「道路交通情報」については、再生不可能なエリアは存在しないものとし、V-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」については、再生不可能なエリアが存在するものとする。 【0092】 また、制御ユニット190Aは、FMデータ放送が提供する「道路交通情報」に関するデータ希望局に対応する選局指令CSL_(21)を生成してFM用RF処理ユニット133へ送っているものとする。また、制御ユニット190Aは、V-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」に関するデータ希望局に対応する選局指令CSL_(22)を生成してV-LOW用RF処理ユニット134へ送っているものとする(図1参照)。 【0093】 このような状況のもとで、図5に示されるように、まず、ステップS11において、制御ユニット190Aが、再生表示する「道路交通情報」のデータ放送信号として、FMデータ放送信号を選択する。かかるFMデータ放送信号の選択に際して、制御ユニット190Aは、FMアンテナ112_(F)から送られる受信信号RFS_(F)をFM用RF処理ユニット133へ送ることを内容とする「FMデータ選択」を指定する選択制御指令SLS_(2)を生成し、第2選択ユニット122へ送る(図1参照)。また、制御ユニット190Aは、かかるFMデータ放送信号の選択に際して、FMデータ信号用復号部222から送られる画像データを第2表示ユニット175へ送ることを内容とする「FMデータ再生選択」を指定する切替制御指令SW2を生成し、情報データ切替部145へ送る(図2及び図4参照)。 【0094】 次に、ステップS12において、制御ユニット190Aが、FMデータ放送が担う道路交通情報の取得が完了したか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS12:N)には、ステップS12の処理が繰り返される。一方、ステップS12における判定の結果が肯定的(ステップS12:Y)になると、処理はステップS13へ進む。 【0095】 このステップS12の処理が繰り返される状態では、FMアンテナ112_(F)で受信した受信信号RFS_(F)がFM用RF処理ユニット133へ送られる。そして、FM用RF処理ユニット133が、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(21)に従ってデータ希望局の中間周波数帯の信号IFD_(FD)を抽出する。引き続き、FM用RF処理ユニット133は、当該信号IFD_(FD)を再生処理ユニット140Aの交通情報用再生処理部144Aへ送る(図1及び図2参照)。 【0096】 交通情報用再生処理部144Aでは、FM用復調部221が、信号IFD_(FD)の復調処理を行い、復調信号をFMデータ信号用復号部222へ送る。そして、FMデータ信号用復号部222が、復調信号に対して、データ信号用の復号処理を施して、「道路交通情報」に関する画像データを生成する。引き続き、FMデータ信号用復号部222は、当該画像データを情報データ切替部145へ送る。そして、情報データ切替部145は、FMデータ信号用復号部222から送られた画像データを、第2表示ユニット175へ送る(図4参照)。 【0097】 この結果、道路交通情報の取得が完了すると、FMデータ放送が提供する「道路交通情報」を反映した画像が、第2表示ユニット175から再生表示される。 【0098】 引き続き、ステップS13において、制御ユニット190Aが、再生表示する「道路交通情報」のデータ放送信号として、V-LOWデータ放送信号を選択する。このV-LOWデータ放送信号の選択に際して、制御ユニット190Aは、FMアンテナ112_(F)から送られる受信信号RFS_(F)をV-LOW用RF処理ユニット134へ送ることを内容とする「V-LOWデータ選択」を指定する選択制御指令SLS_(2)を生成し、第2選択ユニット122へ送る(図1参照)。また、制御ユニット190Aは、かかるV-LOWデータ放送信号の選択に際して、V-LOW用復号部224Aから送られる画像データを第2表示ユニット175へ送ることを内容とする「V-LOWデータ再生選択」を指定する切替制御指令SW2を生成し、情報データ切替部145へ送る(図2及び図4参照)。 【0099】 こうして「道路交通情報」のデータ放送信号として、V-LOWデータ放送信号が選択されると、FMアンテナ112_(F)で受信した受信信号RFS_(F)がV-LOW用RF処理ユニット134へ送られる。そして、V-LOW用RF処理ユニット134が、制御ユニット190Aから送られた選局指令CSL_(22)に従ってデータ希望局の中間周波数帯の信号IFD_(VD)を抽出する。引き続き、V-LOW用RF処理ユニット134は、当該信号IFD_(VD)を再生処理ユニット140Aの交通情報用再生処理部144Aへ送る(図1及び図2参照)。 【0100】 交通情報用再生処理部144Aでは、V-LOW用復調部223が、信号IFD_(VD)の復調処理を行い、復調信号をV-LOW用復号部224Aへ送る。そして、V-LOW用復号部224Aが、復調信号に対して、データ信号用の復号処理を施して、V-LOWデータ放送信号の内容に「道路交通情報」が含まれているか否かのチェックを行い、状態報告STVを生成する。引き続き、V-LOW用復号部224Aが、当該状態情報STVを制御ユニット190Aへ送る。 【0101】 次いで、ステップS14において、制御ユニット190Aが、V-LOW用復号部224Aから送られた状態報告STVの内容から、V-LOWデータ放送信号の内容に「道路交通情報」が含まれているか否かを判定する。この判定の結果が判定の結果が否定的であった場合(ステップS14:N)には、処理はステップS11へ戻る。 【0102】 一方、ステップS14における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS14:Y)には、V-LOW用復号部224Aが生成した「道路交通情報」に関する画像データが、情報データ切替部145へ送られる。そして、情報データ切替部145は、V-LOW用復号部224Aから送られた画像データを、第2表示ユニット175へ送る(図2参照)。 【0103】 この結果、V-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」を反映した画像が、第2表示ユニット175から再生表示される。こうしてV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」を反映した画像が再生表示されると、ステップS14における判定の結果が否定的となるまで、ステップS14の処理が繰り返される。 【0104】 以後、上記のステップS11?S14の処理が繰り返されて、第1実施形態における「道路交通情報」の切り替え制御処理が行われる。 【0105】 以上説明したように、第1実施形態では、利用者が「UHFデジタルTV放送」を指定すると、制御ユニット190Aが、UHFアンテナ111_(U4)から送られる受信信号RFS_(U4)をTV用RF処理ユニット131_(4)へ送ることを内容とする選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る。また、「UHFデジタルTV放送」の指定に際して、制御ユニット190Aは、TV用RF処理ユニット131_(j)(j=1,…,3)から送られる信号IFD_(Uj)、及び、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られる信号IFD_(T)を合成すべきことを指定する合成制御指令SNCを生成し、TV用再生処理部141の信号合成部211へ送る。さらに、制御ユニット190Aは、「UHFデジタルTV放送」の指定に際して、TV用再生処理部141から送られる音声データを音出力ユニット160へ送ることを内容とする切替制御指令SW1を生成し、音声データ切替部143へ送る。この結果、「UHFデジタルTV放送」の選局設定指定された希望局の放送音声が、音出力ユニット160から再生出力されるとともに、当該希望局の放送映像が、第1表示ユニット170から再生表示される。 【0106】 また、第1実施形態では、利用者が「V-LOWデジタルTV放送」を指定すると、制御ユニット190Aが、FMアンテナ112_(F)から送られる受信信号RFS_(F)をTV用RF処理ユニット131_(4)へ送ることを内容とする選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る。また、「V-LOWデジタルTV放送」の指定に際して、制御ユニット190Aは、TV用RF処理ユニット131_(4)から送られる信号IFD_(T)のみを再生処理すべきことを指定する合成制御指令SNCを生成し、TV用再生処理部141の信号合成部211へ送る。さらに、制御ユニット190Aは、「V-LOWデジタルTV放送」の指定に際して、TV用再生処理部141から送られる音声データを音出力ユニット160へ送ることを内容とする切替制御指令SW1を生成し、音声データ切替部143へ送る。この結果、「V-LOWデジタルTV放送」の選局設定指定された希望局の放送音声が、音出力ユニット160から再生出力されるとともに、当該希望局の放送映像が、第1表示ユニット170から再生表示される。 【0107】 さらに、第1実施形態では、利用者が「FM音声放送」を指定すると、制御ユニット190Aが、FMアンテナ112_(F)から送られる受信信号RFS_(F)をFM用RF処理ユニット132へ送ることを内容とする選択制御指令SLS_(1)を生成し、第1選択ユニット121へ送る。また、「FM音声放送」の指定に際して、制御ユニット190Aは、FM音声用再生処理部142から送られる音声データを音出力ユニット160へ送ることを内容とする切替制御指令SW1を生成し、音声データ切替部143へ送る。この結果、「FM音声放送」の選局設定指定された希望局の放送音声が、音出力ユニット160から再生出力される。 【0108】 このように第1実施形態では、「UHFデジタルTV放送」の指定時には、UHFアンテナを利用してUHF帯域のデジタル放送を受信処理し、「V-LOWデジタルTV放送」又は「FM音声放送」の指定時には、自動車等の車両に搭載されたFM受信装置のFMアンテナを利用して、VHF帯域のデジタル放送波又はFM放送波を受信処理する。このため、車両に装備されるFMアンテナ及びチューナを利用することにより、装置の規模が大きくなることを抑えるとともに、装置の製造コストが高価になることを抑えることができる。 【0109】 また、第1実施形態では、第1選択ユニット121を設けて、FMアンテナから送られる受信信号RFS_(F)を、TV用RF処理ユニット131_(4)及びFM用RF処理ユニット132に分配しないようにしている。このため、「V-LOWデジタルTV放送」又は「FM音声放送」の設定時に、受信信号RFS_(F)の受信感度を維持することができる。 【0110】 また、第1実施形態では、FMアンテナ112_(F)が受信した受信信号RFS_(F)に基づいて、FMデータ放送が提供する「道路交通情報」及びV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」のいずれか一方を選択して再生表示する。かかる再生表示の選択に際して、制御ユニット190Aは、V-LOWデータ放送信号の内容に「道路交通情報」が含まれている場合には、V-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」を選択する。 【0111】 このため、自動車等の車両に搭載されたFM受信装置のFMアンテナを利用して、情報量の多いV-LOWデータ放送が提供する道路交通情報を優先して再生表示することができる。 【0112】 したがって、第1実施形態によれば、簡易な構成で、UHF帯域及びVHF帯域の放送波を受信し、適切な受信処理を行うことができる。 【0113】 [第2実施形態] 次に、本発明の第2実施形態を、図6?図8を主に参照して説明する。 【0114】 <構成> 図6には、第2実施形態に係る放送受信装置100Bの概略的な構成がブロック図にて示されている。図6に示されるように、放送受信装置100Bは、上述した第1実施形態に係る放送受信装置100Aと比べて、再生処理ユニット140Aに代えて再生処理ユニット140Bを備える点、記憶ユニット180を更に備える点、及び、制御ユニット190Aに代えて制御ユニット190Bを備える点が異なっている。以下、こうした相違点に主に着目して説明する。 【0115】 ここで、記憶ユニット180及び制御ユニット190Bの説明に先立って、再生処理ユニット140Bの構成の詳細について説明する。上記の再生処理ユニット140Bは、図7に示されるように、上述した再生処理ユニット140Aと比べて、V-LOW用復号部224Aに代えてV-LOW用復号部224Bを備える点が異なっている。 【0116】 上記のV-LOW用復号部224Bは、V-LOW用復調部223から送られた復調信号を受ける。V-LOW用復号部224Bは、当該復調信号を受けると、データ信号用の復号処理を施して、V-LOWデータ放送信号の内容に「道路交通情報」が含まれているか否かのチェックを行う。そして、V-LOW用復号部224Bは、V-LOWデータ放送信号の内容に「道路交通情報」が含まれているときに、復号処理の結果に基づいて「道路交通情報」に関する画像データを生成する。すなわち、V-LOW用復号部224Bは、上述したV-LOW用復号部224Aと比べて、V-LOWデータ放送信号の内容に「道路交通情報」が含まれているか否かのチェックの結果を、制御ユニット190Bへ送らない点が異なっている。 【0117】 図6に戻り、上記の記憶ユニット180は、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置を備えて構成され、放送受信装置100Bにおいて利用されるエリア情報が記憶される。記憶ユニット180には、制御ユニット190Bがアクセスできるようになっている。このエリア情報には、V-LOW帯域における「道路交通情報」を内容とするデータ放送が再生可能なエリアの情報が含まれている。すなわち、記憶ユニット180は、記憶部としての機能を果たすようになっている。 【0118】 上記の制御ユニット190Bは、放送受信装置100Bの全体の動作を制御する。この制御ユニット190Bには、車両に搭載された位置検出センサ210と接続されている。この位置検出センサ210は、位置検出部としての機能を果たし、車両の現在位置を検出する。こうして検出された車両の現在位置情報は、制御ユニット190Bへ送られる。 【0119】 制御ユニット190Bは、位置検出センサ210から送られた車両の現在位置情報を取得する。そして、制御ユニット190Bは、当該車両の現在位置情報及び記憶ユニット180内のエリア情報に基づいて、現在位置が、V-LOW帯域における「道路交通情報」を内容とするデータ放送が再生可能なエリアに含まれているか否かを判定する。 【0120】 引き続き、制御ユニット190Bは、当該判定の結果が否定的であった場合には、「FMデータ選択」を指定した選択制御指令SLS_(2)を生成して、第2選択ユニット122へ送るとともに、「FMデータ放送信号に基づく道路交通情報」を表示すべきことを指定した切替制御指令SW2を生成して、再生処理ユニット140Bへ送る。また、制御ユニット190Bは、当該判定の結果が肯定的であった場合には、「V-LOWデータ選択」を指定した選択制御指令SLS_(2)を生成して、第2選択ユニット122へ送るとともに、「V-LOWデータ放送信号に基づく道路交通情報」を表示すべきことを指定した切替制御指令SW2を生成して、再生処理ユニット140Bへ送る。 【0121】 また、制御ユニット190Bは、入力ユニット150から送られた入力データを受ける。そして、制御ユニット190Bは、入力データの内容が「UHFデジタルTV放送」、「V-LOWデジタルTV放送」又は「FM音声放送」を指定した放送波設定指定であった場合には、上述した制御ユニット190Aと同様の選択制御指令SLS_(1)を生成して、第1選択ユニット121へ送るとともに、上述した制御ユニット190Aと同様の合成制御指令SNC及び切替制御指令SW1を生成して、再生処理ユニット140Bへ送る。 【0122】 また、制御ユニット190Bは、入力ユニット150から送られた入力データの内容が選局設定指定であった場合には、上述した制御ユニット190Aと同様に、指定された希望局に対応する選局指令CSLを生成して、選局処理を行うべきRF処理ユニットへ送る。 【0123】 すなわち、制御ユニット190Bは、制御部としての機能を果たすようになっている。制御ユニット190Bが実行する制御処理の詳細については、後述する。 【0124】 <動作> 以上のようにして構成された放送受信装置100Bの動作について、FMデータ放送及びV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」の切り替え制御処理に主に着目して説明する。 【0125】 なお、利用者の「放送波設定指定」に対応した「UHFデジタルTV放送」、「V-LOWデジタルTV放送」及び「FM音声放送」の再生処理は、上述した第1実施形態に係る放送受信装置100Aの動作と同様である。 【0126】 《「道路交通情報」の切り替え制御処理》 FMデータ放送及びV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」の切り替え制御処理について説明する。 【0127】 前提として、制御ユニット190Bは、位置検出センサ210から送られる車両の現在位置情報を、定期的に取得するものとする。また、当初においては、放送受信装置100Bでは、制御ユニット190Bは、再生表示する「道路交通情報」のデータ放送信号として、FMデータ放送信号及びV-LOWデータ放送信号のいずれか一方を選択しているものとする。 【0128】 このような状況のもとで、図8に示されるように、まず、ステップS21において、制御ユニット190Bが、車両の現在位置情報及び記憶ユニット180内のエリア情報に基づいて、現在位置が、V-LOW帯域における「道路交通情報」を内容とするデータ放送が再生可能なエリアに含まれているか否かを判定する。この判定の結果が肯定的であった場合(ステップS21:Y)には、処理はステップS22へ進む。 【0129】 ステップS22では、制御ユニット190Bが、現時点のデータ放送信号の選択が「V-LOWデータ放送信号」であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS22:N)には、処理はステップS23へ進む。このステップS23では、制御ユニット190Bが、再生表示する「道路交通情報」のデータ放送信号として、V-LOWデータ放送信号を選択する。 【0130】 こうしてV-LOWデータ放送信号が選択された状態では、V-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」を反映した画像が、第2表示ユニット175から再生表示される。この後、処理はステップS21へ戻る。また、ステップS22における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS22:Y)にも、処理はステップS21へ戻る。 【0131】 一方、上述したステップS21における判定の結果が否定的であった場合(ステップS21:N)には、処理はステップS24へ進む。このステップS24では、制御ユニット190Bが、現時点のデータ放送信号の選択が「FMデータ放送信号」であるか否かを判定する。この判定の結果が否定的であった場合(ステップS24)には、処理はステップS25へ進む。このステップS25では、制御ユニット190Bが、再生表示する「道路交通情報」のデータ放送信号として、FMデータ放送信号を選択する。 【0132】 こうしてFMデータ放送信号が選択された状態では、FMデータ放送が提供する「道路交通情報」を反映した画像が、第2表示ユニット175から再生表示される。この後、処理はステップS21へ戻る。また、ステップS24における判定の結果が肯定的であった場合(ステップS24:Y)にも、処理はステップS21へ戻る。 【0133】 以後、上記のステップS21?S25の処理が繰り返されて、第2実施形態における「道路交通情報」の切り替え制御処理が行われる。 【0134】 以上説明したように、第2実施形態では、上述した第1実施形態の場合と同様にして、「UHFデジタルTV放送」の指定時には、UHFアンテナを利用してUHF帯域のデジタル放送を受信処理し、「V-LOWデジタルTV放送」又は「FM音声放送」の指定時には、自動車等の車両に搭載されたFM受信装置のFMアンテナを利用して、VHF帯域のデジタル放送波又はFM放送波を受信処理する。このため、車両に装備されるFMアンテナ及びチューナを利用することにより、装置の規模が大きくなることを抑えるとともに、装置の製造コストが高価になることを抑えることができる。 【0135】 また、第2実施形態では、上述した第1実施形態の場合と同様に、第1選択ユニット121を設けて、FMアンテナから送られる受信信号RFS_(F)を、TV用RF処理ユニット131_(4)及びFM用RF処理ユニット132に分配しないようにしている。このため、「V-LOWデジタルTV放送」又は「FM音声放送」の設定時に、受信信号RFS_(F)の受信感度を維持することができる。 【0136】 また、第2実施形態では、FMアンテナ112_(F)が受信した受信信号RFS_(F)に基づいて、FMデータ放送が提供する「道路交通情報」及びV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」のいずれか一方を選択して再生表示する。かかる再生表示の選択に際して、制御ユニット190Bは、現在位置が、V-LOW帯域における「道路交通情報」を内容とするデータ放送が再生可能なエリアに含まれている場合には、V-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」を選択する。 【0137】 このため、第1実施形態と同様に、自動車等の車両に搭載されたFM受信装置のFMアンテナを利用して、情報量の多いV-LOWデータ放送が提供する道路交通情報を優先して再生表示することができる。 【0138】 したがって、第2実施形態によれば、上述した第1実施形態と同様に、簡易な構成で、UHF帯域及びVHF帯域の放送波を受信し、適切な受信処理を行うことができる。 【0139】 [実施形態の変形] 本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。 【0140】 例えば、上記の第1及び第2実施形態では、「UHFデジタルTV放送」の再生処理に際しては、4チューナ構成を採用したが、2チューナ構成を採用するようにしてもよい。この場合には、2個のUHFアンテナ111_(U2),111_(U3)、及び、2個のTV用RF処理ユニット131_(2),131_(3),を、放送受信装置の構成要素から省略することができる。 【0141】 また、「UHFデジタルTV放送」の再生処理に際してのチューナ構成として、1チューナ構成を採用するようにしてもよい。この場合には、3個のUHFアンテナ111_(U1),111_(U2),111_(U3)、及び、3個のTV用RF処理ユニット131_(1),131_(2),131_(3),を、放送受信装置の構成要素から省略することができる。 【0142】 また、上記の第1及び第2実施形態では、FMデータ放送又はV-LOWデータ放送が提供する「道路交通情報」を再生表示することとしたが、当該「道路交通情報」の再生表示機能を省略するようにしてもよい。この場合には、第2選択ユニット122、FM用RF処理ユニット133、V-LOW用RF処理ユニット134、交通情報用再生処理部、情報データ切替部及び第2表示ユニットを、放送受信装置の構成要素から省略することができる。こうした変形の構成を採用した場合には、第1実施形態に係る放送受信装置の構成と、第2実施形態に係る放送受信装置の構成とが同一となる。 【0143】 また、上記の第1及び第2実施形態では、「道路交通情報」を担ったデータ放送信号を受信して処理することとしたが、受信処理するデータ放送信号としては、「道路交通情報」以外の情報であってもよい。 【0144】 また、上記の第1及び第2実施形態においては、車両に搭載される放送受信装置に本発明を適用したが、車両以外の他の移動体に配置される放送受信装置にも本発明を適用することもできるし、スマートフォン等の携帯端末装置に配置される放送受信装置にも本発明を適用することができる。 【0145】 なお、上記の制御ユニットの一部又は全部を中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)等を備えた演算手段としてのコンピュータとして構成し、予め用意されたプログラムを当該コンピュータで実行することにより、上記の実施形態における制御ユニットの機能を実現するようにしてもよい。このプログラムはハードディスク、CD-ROM、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、当該コンピュータによって記録媒体から読み出されて実行される。また、このプログラムは、CD-ROM、DVD等の可搬型記録媒体に記録された形態で取得されるようにしてもよいし、インターネットなどのネットワークを介した配信の形態で取得されるようにしてもよい。 【符号の説明】 【0146】 100A,100B … 放送受信装置 131_(4) … TV用RF処理ユニット(第1選局処理部) 132 … FM用RF処理ユニット(第2選局処理部) 133 … FM用RF処理ユニット(第3選局処理部) 134 … V-LOW用RF処理ユニット(第4選局処理部) 180 … 記憶ユニット(記憶部) 190A,190B … 制御ユニット(制御部) (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(削除) 【請求項2】 第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置であって、 デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と; FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と; UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを、第1制御として行う制御部と; を備えることを特徴とする放送受信装置。 【請求項3】 前記第2受信信号に含まれるFM放送帯域における特定目的のデータ放送の再生処理のための選局処理を行う第3選局処理部と; 前記第2受信信号に含まれるV-LOW帯域における前記特定目的のデータ放送の再生処理のための選局処理を行う第4選局処理部と;を更に備え、 前記制御部は、前記第1制御と並行して、前記第3選局処理部及び前記第4選局処理部のいずれかに択一的に前記第2受信信号を供給させる第2制御を行う、 ことを特徴とする請求項2に記載の放送受信装置。 【請求項4】 移動体に配置され、 前記V-LOW帯域における前記特定目的のデータ放送が再生可能なエリア情報を記憶する記憶部を更に備え、 前記制御部は、前記エリア情報、及び、前記移動体の現在位置を検出する位置検出部から取得した前記移動体の現在位置情報に基づいて、前記第2制御を行う、 ことを特徴とする請求項3に記載の放送受信装置。 【請求項5】 前記制御部は、前記V-LOW帯域における前記特定目的のデータ放送を再生可能か否かの判定を行い、前記判定の結果に基づいて、前記第2制御を行う、ことを特徴とする請求項3又は4に記載の放送受信装置。 【請求項6】 前記特定目的のデータ放送は、道路交通情報を内容とする放送である、ことを特徴とする請求項3?5のいずれか一項に記載の放送受信装置。 【請求項7】 前記制御部は、前記第1制御に際して、 前記第1選局処理部により選局処理すべき受信信号として前記第2受信信号が利用者により指定された場合には、前記第1選局処理部のみに対して前記第2受信信号を供給させ、 前記第1選局処理部により選局処理すべき受信信号として前記第1受信信号が利用者により指定された場合には、前記第1選局処理部に対して前記第1受信信号を供給させるとともに、前記第2選局処理部に対して前記第2受信信号を供給させる、 ことを特徴とする請求項2?6のいずれか一項に記載の放送受信装置。 【請求項8】(削除) 【請求項9】 デジタルテレビジョン放送の再生のための選局処理を行う第1選局処理部と;FM音声放送の再生のための選局処理を行う第2選局処理部と;制御部と;を備え、第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置において使用される放送受信方法であって、 前記制御部が、選局処理すべき受信信号の指定を取得する取得工程と; 前記取得工程における取得結果に基づいて、前記制御部が、UHFデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第1受信信号を供給させる制御、V-LOWデジタルテレビジョン放送の選局処理が指定された場合には、前記第1選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御、及び、FM音声放送の選局処理が指定された場合には、前記第2選局処理部に前記第2受信信号を供給させる制御のいずれかを行う制御工程と; を備えることを特徴とする放送受信方法。 【請求項10】 第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置が有するコンピュータに、請求項9に記載の放送受信方法を実行させる、ことを特徴とする放送受信プログラム。 【請求項11】 第1アンテナから供給されるUHF帯域の放送波の第1受信信号、並びに、第2アンテナから供給されるVHF帯域及びFM放送帯域の放送波の第2受信信号に基づく再生処理を行う放送受信装置が有するコンピュータにより読み取り可能に、請求項10に記載の放送受信プログラムが記録されている、ことを特徴とする記録媒体。 |
訂正の要旨 |
審決(決定)の【理由】欄参照。 |
異議決定日 | 2018-07-24 |
出願番号 | 特願2013-76545(P2013-76545) |
審決分類 |
P
1
651・
854-
YAA
(H04N)
P 1 651・ 121- YAA (H04N) P 1 651・ 853- YAA (H04N) P 1 651・ 851- YAA (H04N) P 1 651・ 113- YAA (H04N) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 松元 伸次 |
特許庁審判長 |
清水 正一 |
特許庁審判官 |
樫本 剛 小池 正彦 |
登録日 | 2017-04-28 |
登録番号 | 特許第6132393号(P6132393) |
権利者 | パイオニア株式会社 |
発明の名称 | 放送受信装置及び放送受信方法 |
代理人 | 柴田 五雄 |
代理人 | 特許業務法人綾船国際特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人綾船国際特許事務所 |
代理人 | 柴田 五雄 |