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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H04M
審判 一部申し立て 1項3号刊行物記載  H04M
管理番号 1343919
異議申立番号 異議2018-700484  
総通号数 226 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-10-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-06-13 
確定日 2018-08-17 
異議申立件数
事件の表示 特許第6245353号発明「通信装置、その制御方法、およびプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6245353号の請求項1,3?10,12及び18?22に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯

特許第6245353号の請求項1?22に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)7月23日(優先権主張 平成26年8月19日)を国際出願日とし、平成29年11月24日にその特許権の設定登録がされ、その後、その特許のうち請求項1,3?10,12及び18?22に係る特許に対し、平成30年6月13日付けで特許異議申立人山田宏基(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。


2.本件発明

特許第6245353号の請求項1?22の特許に係る発明(以下、「本件発明1」?「本件発明22」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?22に記載された事項により特定されるとおりのものである。そして、本件発明1,3?10,12及び18?22は、以下のとおりのものである。

「【請求項1】
複数の機器とそれぞれ通信する第1の通信手段と、
各機器により計測された計測値および前記各機器の状態に関する機器状態情報を、前記第1の通信手段を介して前記各機器から取得するとともに、前記第1の通信手段における前記各機器の通信状況に関する通信状況情報を取得する取得手段と、
前記各機器から取得した前記計測値を少なくとも一つのサーバに送信する第2の通信手段と、
前記機器に関する前記計測値、前記機器状態情報、および前記通信状況情報の少なくともいずれか1つに基づき、前記各機器に関するアラームを検出する検出手段と、
前記各機器に関し検出された前記アラームに関する情報を出力する出力手段と、
を備える通信装置。」
「【請求項3】
請求項1または2に記載の通信装置において、
前記機器は、電力量計、ガスメーター、および水道メーターを含む計測機器、あるいは、サービスを提供する機器のうち少なくともいずれか一つを含み、
前記通信装置は、前記電力量計を含むスマートメータである通信装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれか一項に記載の通信装置において、
LED表示器、液晶表示器、および有機ELディスプレイ表示器の少なくともいずれか一つの表示器である表示部を有し、
前記出力手段は、前記表示部に前記アラームに関する情報を表示させる通信装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれか一項に記載の通信装置において、
前記出力手段は、ユーザ端末にアラームに関する情報を通知し、
前記ユーザ端末は、前記通信装置と無線通信するHEMS、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、およびPCの少なくともいずれか一つである、通信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の通信装置において、
前記出力手段は、前記アラームの内容とともに、当該アラームへの対処方法、前記対処方法が提示されているウェブページのURLアドレス、および問合せの連絡先の少なくともいずれかの対処内容を前記ユーザ端末に通知する、通信装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれか一項に記載の通信装置において、
前記アラームの出力に関する外部からの指示を受け付ける指示受付手段と、
前記指示を受け付けた場合、前記検出手段により検出した前記アラームに関する情報を前記出力手段に出力する出力制御手段と、を備える通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の通信装置において、
前記出力制御手段は、
前記アラームの監視項目毎または前記機器毎に前記アラームの出力の可否に関する出力設定情報に基づいて、前記検出手段により検出された前記アラームに関する情報を前記出力手段に出力する、通信装置。
【請求項9】
請求項7または8に記載の通信装置において、
前記出力制御手段は、前記検出手段により前記アラームが検出された際に、
前記指示を受け付けていない場合は、前記出力手段に前記アラームのサマリ情報を出力し、
前記指示を受け付けた場合、前記出力手段に前記アラームの内容情報を出力する、通信装置。
【請求項10】
請求項7から9いずれか一項に記載の通信装置において、
前記指示受付手段は、前記サーバから前記第2の通信手段により受信された前記指示を受け付ける、通信装置。」
「【請求項12】
請求項7から11いずれか一項に記載の通信装置において、
前記指示受付手段は、保守用ターミナル機器から前記第1の通信手段により受信された前記指示を受け付ける、通信装置。」
「【請求項18】
請求項1から17いずれか一項に記載の通信装置において、
前記機器状態情報は、LP(Liquefied Petroleum)ガス残量情報、ガス遮断情報、電池残量、バッテリ残量、バッテリ劣化状況、あるいは、前記機器自身が検知した故障、動作停止、または再起動に関する情報を含む、通信装置。
【請求項19】
請求項1から18いずれか一項に記載の通信装置において、
前記通信状況情報は、前記機器と前記通信装置間における通信時の、電波状況、応答の有無、応答の遅延、非対応フォーマットのデータの受信、または、無効データの受信に関する情報を含む、通信装置。
【請求項20】
請求項1から19いずれか一項に記載の通信装置において、
前記検出手段は、
前記機器に関する前記計測値が、閾値(上限値)以上または閾値(下限値)以下の場合、所定の範囲外の場合、または、値が無い場合に、前記各機器に関するアラームを検出する、通信装置。
【請求項21】
通信装置が、
複数の機器と第1の通信部を用いてそれぞれ通信し、
各機器により計測された計測値および前記各機器の状態に関する機器状態情報を、前記第1の通信部を介して前記各機器から取得するとともに、前記第1の通信部における前記各機器の通信状況に関する通信状況情報を取得し、
前記各機器から取得した前記計測値を第2の通信部を用いて、少なくとも一つのサーバに送信し、
前記機器に関する前記計測値、前記機器状態情報、および前記通信状況情報の少なくともいずれか1つに基づき、前記各機器に関するアラームを検出し、
前記各機器に関し検出された前記アラームに関する情報を出力する、
通信装置の制御方法。
【請求項22】
通信装置を実現するコンピュータに、
複数の機器と第1の通信部を用いてそれぞれ通信する手順、
各機器により計測された計測値および前記各機器の状態に関する機器状態情報を、前記通信する手順により前記第1の通信部を介して前記各機器から取得するとともに、前記第1の通信部を用いた前記通信する手順における前記各機器の通信状況に関する通信状況情報を取得する手順、
前記各機器から取得した前記計測値を第2の通信部を用いて、少なくとも一つのサーバに送信する手順、
前記機器に関する前記計測値、前記機器状態情報、および前記通信状況情報の少なくともいずれか1つに基づき、前記各機器に関するアラームを検出する手順、
前記各機器に関し検出された前記アラームに関する情報を出力する手順を実行させるためのプログラム。」


3.申立理由の概要

申立人は、証拠として「※このカタログの記載内容は2009年1月5日現在のものです。」と記載された遠隔計測監視システム2300(日置株式会社)のカタログの写し(以下、「甲第1号証」という。)と、参考資料1として遠隔計測監視システム2300(日置株式会社)のシステム構築、及びデータ収集を行うパソコン用ソフトウェア「スマートサイトユーティリティプロ(形名:9768)」の仕様書の写し(以下、「参考資料1」という。)及び参考資料2としてHIOKI、”製品情報>データロガー遠隔計測システム>遠隔計測監視システム2300>遠隔計測監視システムの特徴”、[online]、2013年4月22日、[平成30年6月4日検索]、インターネット:<https://web.archive.org/web/20130422232845/http://2300.hioki.jp/>(以下、「参考資料2」という。)を提出し、請求項1,3,5,8,10,12及び18?22に係る特許は特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものであるから、請求項1,3,5,8,10,12及び18?22に係る特許は取り消すべきものである旨主張し、さらに、上記甲第1号証、参考資料1?2に加え、特許第4600439号公報(以下、「参考資料3」という。)及び特許第2872364号公報(以下、「参考資料4」という。)を提出し、請求項4,6,7及び9に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、請求項4,6,7及び9に係る特許は取り消すべきものである旨主張している。


4.甲第1号証

(1)甲第1号証
a.「

」(1?3頁)
b.「

」(5頁右下部)
c.「

」(6頁右上部)
d.「

」(11頁下部)
e.「

」(12頁中段)
f.「

」(12頁左下)
g.「

」(14頁中段)
h.「

」(16頁上段)
(下線と四角枠は、申立人が付与したとおりである。)

上記a.によれば、遠隔計測監視システム2300は、電源用モジュール、通信用モジュール、複数の計測モジュールとモジュール取付ベースにより構成されているから、ここでは、計測モジュールと、遠隔計測監視システム2300から計測モジュールを除いた遠隔計測監視システム2300’とに区分する。
上記g.には、入力された信号はデータサンプリングの後、保存し、計測モジュール内部メモリからメモリモジュール2354に転送すると記載されている。さらに、上記g.の図面には、複数の計測モジュールから、保存されたデータが転送されることが記載されている。そうすると、遠隔計測監視システム2300’は、複数の計測モジュールとそれぞれ通信する第1通信装置を備えているといえる。
さらに、上記b.には、計測モジュールの一種である、パルスモジュール2304-01と多回路電力モジュール2332は、電力、ガス、水道、油の使用量を計測することが記載されているから、上記g.に記載された、データサンプリングされた後に保存されたデータは、使用量データといえる。そうすると、上記g.の図面から、遠隔計測監視システム2300’は、各計測モジュールより計測された使用量データを取得する取得装置を備えているといえる。
上記h.から、スマートサイトユーティリティプロ9768をインストールしたパソコンにサーバプログラムを追加インストールすることで、サーバ経由でデータのモニタが可能になると記載されている。そうすると、上記h.のサーバプログラムが追加インストールされたパソコンは、サーバといえる。遠隔計測監視システム2300は、該サーバに上記データを送信しているから、遠隔計測監視システム2300’は、各計測モジュールから取得した上記使用量データを一つのサーバに送信する第2通信装置を備えるといえる。
上記g.には、上記使用量データは、計測モジュール内部メモリからメモリモジュール2354に転送すると記載されており、上記e.には「計測チャネルごとに設定したしきい値や接点条件をアラーム判定して」と記載されているから、遠隔計測監視システム2300’は、上記使用量データに基づきアラーム判定する判定装置を備えているといえる。さらに、上記e.には「遠隔計測監視システム2300から各種手段によるアラームの通知を行うことができます。」と記載されているから、遠隔計測監視システム2300’は、アラームの通知を行う通知装置を備えているといえる。
ここで、上記f.によれば、「アラームの通知を行う」ことは、ネットワーク警告灯の内蔵ブザーを使ったり、パソコンの音源を利用したり、ネットワーク警告灯の表示灯を使うことであるから、遠隔計測監視システム2300’は、該ネットワーク警告灯やパソコンへ、各々の制御を実現するための信号を出力しているといえ、該信号は、アラームに関する情報といえる。

よって、甲第1号証には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「複数の計測モジュールとそれぞれ通信する第1通信装置と、
各計測モジュールにより計測された使用量データを、前記第1の通信手段を介して前記各計測モジュールから取得する取得装置と、
前記各計測モジュールから取得した前記使用量データを一つのサーバに送信する第2通信装置と、
前記計測モジュールに関する前記使用量データに基づき、前記各計測モジュールに関するアラーム判定する判定装置と、
前記各機器に関しアラーム判定されたアラームに関する情報を出力する出力装置と、
を備える遠隔計測監視システム2300’。」


5.当審の判断

(1)本件発明1について(特許法第29条第1項第3号)

本件発明1と甲1発明とを対比する。

甲1発明の「計測モジュール」、「第1通信装置」、「使用量データ」、「アラーム判定する」、「出力装置」、「遠隔計測監視システム2300’」は、本件発明1の「機器」、「第1の通信手段」、「計測値」、「アラームを検出する」、「出力手段」、「通信装置」に、それぞれ相当する。
甲1発明の取得装置と、本件発明1の取得手段とは、計測値を取得するデータ取得手段である点で共通している。
甲1発明の第2通信装置と本件発明1の第2の通信手段とは、データを送信するデータ通信手段である点で共通している。
甲1発明の判定装置と本件発明1の検出手段とは、アラームを検出するアラーム検出手段である点で共通している。
第2の通信手段が、甲1発明でも本件発明1でも、一つのサーバへ送信する点で共通している。

以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。

【一致点】
「複数の機器とそれぞれ通信する第1の通信手段と、
各機器により計測された計測値を取得するデータ取得手段と、
前記各機器から取得した前記計測値を一つのサーバに送信するデータ通信手段と、
前記機器に関する前記計測値に基づき、前記各機器に関するアラームを検出するアラーム検出手段と、
前記各機器に関し検出された前記アラームに関する情報を出力する出力手段と、
を備える通信装置。」

【相違点1】
データ取得手段について、本件発明1は、「各機器により計測された計測値および前記各機器の状態に関する機器状態情報を、前記第1の通信手段を介して前記各機器から取得するとともに、前記第1の通信手段における前記各機器の通信状況に関する通信状況情報を取得する」のに対し、甲1発明は「各機器により計測された計測値」だけを取得する点。

【相違点2】
データ通信手段が、本件発明1では、「少なくとも一つのサーバ」に送信するのに対し、甲1発明では、「一つのサーバ」に送信する点。

【相違点3】
アラーム検出手段について、本件発明1は、「前記機器に関する前記計測値、前記機器状態情報、および前記通信状況情報の少なくともいずれか1つに基づき、前記各機器に関するアラームを検出する」のに対し、甲1発明は、「前記機器に関する前記計測値に基づき、前記各機器に関するアラームを検出する」点。

まず、相違点1について検討する。
甲第1号証の11頁下部「STEP7」の図、および、説明には、取り付けられた計測モジュールの自動認識機能が記載されている。
しかしながら、甲第1号証の全体をみても、「機器」に相当する計測モジュールの状態に関する情報(「機器状態情報」に相当)を取得することは記載も示唆もない。
甲第1号証の6頁右上の「BUS接続でCH数を拡張」の図、および、説明によれば、BUS接続が、遠隔計測監視システム2300’と計測モジュールとの間の通信路の一例と示されているものの、該BUS接続における通信状況に関する情報(「通信状況情報」に相当)を取得することについては記載も示唆もない。また、上記モジュール取付用ベースは上記通信路の一つであるが、上記モジュール取付用ベースにおける通信状況に関する情報(「通信状況情報」に相当)を取得することについては記載も示唆もない。さらに、甲第1号証の全体をみても、遠隔計測監視システム2300’と計測モジュール間の通信状況に関する情報(「通信状況情報」に相当)を取得することについては記載も示唆もない。
したがって、上記自動認識機能は、自動で認識できた計測モジュールを、存在する計測モジュールとし、自動で認識できない計測モジュールを、存在しない計測モジュールとする機能であると解されるにとどまり、甲第1号証から、「各機器の状態に関する機器状態情報」や、「第1の通信手段における前記各機器の通信状況に関する通信状況情報」を「取得する」ことは解し得ない。
そして、本件発明1は、「計測値」並びに「機器状態情報」及び「通信状況情報」を取得して「各機器に関するアラームを検出」し「出力する」ことで、各機器の状態を利用者側で迅速に把握可能とするものであるから、上記相違点1は、実質的な相違といえる。

申立人は、特許異議申立書の19頁(ソ)に、甲第1号証の11頁下部「STEP7」の図、および、説明から、「リスト中の計測モジュールが存在しなかったら、リストから削除する」と記載されているから、計測モジュールが故障していたり、計測モジュールと通信モジュールとの間の通信に障害がある場合は、リストに追加されない旨、特許異議申立書の24?25頁には、「○モジュールの設定にあわせる」のラジオボタンを選択し、「確認を実行」ボタンを押すことにより、モジュールがリストに追加され、計測モジュールの状態情報を取得することができる旨、「取り付けられた計測モジュールを自動で認識」と記載されているから通信の状況を取得する旨、主張している。
しかし、「リスト中の計測モジュールが存在しなかった」ことと、計測モジュールの故障や通信の障害は、まったく別のことである。そして、上記記載の「リスト中の計測モジュールが存在しなかったら、リストから削除する」によれば、計測モジュールが存在していないことを判断すると解するのが相当であり、機器状態情報及び通信状況情報を取得することは記載も示唆もない。
申立人が指摘する「○モジュールの設定にあわせる」は、参考資料1の14/26頁に記載された「□通信確認機能」「・計測モジュールの設定内容を「パソコン設定に合わせる」か「計測モジュール内部に記憶した設定に合わせる」か選択可能」によれば、計測モジュールの設定内容を「計測モジュール内部に記憶した設定に合わせる」ことであるから、遠隔計測監視システム2300’が計測モジュールの状態情報を取得することとは関係がない。
「取り付けられた計測モジュールを自動で認識」できないことは、計測モジュールが存在しないことであって、通信の状況とはまったく別のことであるから、通信状況情報を取得することについては記載も示唆もされていない。
また、甲第1号証の全体をみたが、機器状態情報や通信状況情報を取得することは見あたらず、自明なことでもない。
したがって、甲1発明の遠隔計測監視システム2300’は、機器状態情報や通信状況情報を取得しているとはいえず、申立人の主張は採用できない。

以上のことから、本件発明1と甲1発明とは相違点1で相違するから、相違点2?3を検討するまでもなく、本件発明1と甲1発明とは同一とはいえない。

(2)本件発明3,5,8,10,12及び18?20について(特許法第29条第1項第3号)
本件発明3,5,8,10,12及び18?20は、上記本件発明1の特定事項を全部含む発明であって、上記(1)で検討したとおり、上記本件発明1は甲1発明とは同一とはいえない。
したがって、本件発明3,5,8,10,12及び18?20は甲1発明とは同一とはいえない。

(3)本件発明21?22について(特許法第29条第1項第3号)
請求項21?22の記載は、請求項1の記載とは、発明のカテゴリーが異なることによる表現上の差異しかないから、上記(1)で検討したとおり、本件発明21?22と甲1発明とは相違点1で相違する。
したがって、本件発明21?22と甲1発明とは同一とはいえない。

(4)本件発明4,6,7及び9について(特許法第29条第2項)
本件発明4,6,7及び9は、いずれも上記本件発明1の特定事項を全部含む発明であるから、上記(1)で検討したとおり、少なくとも、以下の相違点1?3がある。

【相違点1】
データ取得手段について、本件発明4,6,7及び9は、「各機器により計測された計測値および前記各機器の状態に関する機器状態情報を、前記第1の通信手段を介して前記各機器から取得するとともに、前記第1の通信手段における前記各機器の通信状況に関する通信状況情報を取得する」のに対し、甲1発明は「各機器により計測された計測値」だけである点。

【相違点2】
データ通信手段が、本件発明4,6,7及び9では、「少なくとも一つのサーバ」に送信するのに対し、甲1発明では、「一つのサーバ」に送信する点。

【相違点3】
アラーム検出手段について、本件発明4,6,7及び9は、「前記機器に関する前記計測値、前記機器状態情報、および前記通信状況情報の少なくともいずれか1つに基づき、前記各機器に関するアラームを検出する」のに対し、甲1発明は、「前記機器に関する前記計測値に基づき、前記各機器に関するアラームを検出する」点。

まず、相違点1について検討する。
上記(1)の相違点1について検討したとおり、甲第1号証の自動認識機能は、自動で認識できた計測モジュールを、存在する計測モジュールとし、自動で認識できない計測モジュールを、存在しない計測モジュールとする機能であると解されるにとどまり、甲第1号証から、「各機器の状態に関する機器状態情報」や、「第1の通信手段における前記各機器の通信状況に関する通信状況情報」を「取得する」ことは解し得ない。
また、甲第1号証とともに、申立人が提出した参考資料1?2をみたが、甲1発明において、機器状態情報および通信状況情報を取得することは記載も示唆もない。さらに、申立人が提出した参考資料3?4もみたが、機器状態情報および通信状況情報を取得することは記載も示唆もない。
さらに、甲第1号証には、本件発明1が解決しようとする、各機器の状態である、「機器状態情報」や「通信状況情報」を利用者側で迅速に把握可能とするという技術課題の認識も無いから、甲1発明において、「各機器により計測された計測値および前記各機器の状態に関する機器状態情報を、前記第1の通信手段を介して前記各機器から取得するとともに、前記第1の通信手段における前記各機器の通信状況に関する通信状況情報を取得する」ことは、当業者であっても容易に想到し得ない。
したがって、上記相違点1は、当業者が容易に発明をすることができたものではない。

申立人は、特許異議申立書の19頁(ソ)に、甲第1号証の11頁下部「STEP7」の図、および、説明から、「リスト中の計測モジュールが存在しなかったら、リストから削除する」と記載されているから、計測モジュールが故障していたり、計測モジュールと通信モジュールとの間の通信に障害がある場合は、リストに追加されない旨、特許異議申立書の24?25頁には、「○モジュールの設定にあわせる」のラジオボタンを選択し、「確認を実行」ボタンを押すことにより、モジュールがリストに追加され、計測モジュールの状態情報を取得することができる旨、「取り付けられた計測モジュールを自動で認識」と記載されているから通信の状況を取得する旨、主張している。
しかし、「リスト中の計測モジュールが存在しなかった」ことと、計測モジュールの故障や通信の障害は、まったく別のことである。そして、上記記載の「リスト中の計測モジュールが存在しなかったら、リストから削除する」によれば、計測モジュールが存在していないことを判断すると解するのが相当であり、機器状態情報及び通信状況情報を取得することは記載も示唆もない。
申立人が指摘する「○モジュールの設定にあわせる」は、参考資料1の14/26頁に記載された「□通信確認機能」「・計測モジュールの設定内容を「パソコン設定に合わせる」か「計測モジュール内部に記憶した設定に合わせる」か選択可能」によれば、計測モジュールの設定内容を「計測モジュール内部に記憶した設定に合わせる」ことであるから、遠隔計測監視システム2300’が計測モジュールの状態情報を取得することとは関係がない。
「取り付けられた計測モジュールを自動で認識」できないことは、計測モジュールが存在しないことであって、通信の状況とはまったく別のことであるから、通信状況情報を取得することについては記載も示唆もされていない。
また、甲第1号証の全体をみたが、機器状態情報や通信状況情報を取得することは見あたらず、自明なことでもない。
したがって、甲1発明の遠隔計測監視システム2300’は、機器状態情報や通信状況情報を取得しているとはいえず、さらに、上記(1)で検討したとおり、上記相違点1は当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立人の主張は採用できない。

以上のことから、上記相違点2?3、及び、請求項4,6,7及び9において特定されている各構成要件を検討するまでもなく、本件発明4,6,7及び9は、甲1発明から当業者が容易に発明をすることができたものではない。


6.むすび

したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1,3?10,12及び18?22に係る特許を取り消すことはできない。

また、他に請求項1,3?10,12及び18?22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-08-03 
出願番号 特願2016-512158(P2016-512158)
審決分類 P 1 652・ 113- Y (H04M)
P 1 652・ 121- Y (H04M)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松平 英高野 洋  
特許庁審判長 北岡 浩
特許庁審判官 宮下 誠
中野 浩昌
登録日 2017-11-24 
登録番号 特許第6245353号(P6245353)
権利者 日本電気株式会社
発明の名称 通信装置、その制御方法、およびプログラム  
代理人 速水 進治  
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