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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 取り消して特許、登録 G06Q |
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管理番号 | 1344230 |
審判番号 | 不服2017-7344 |
総通号数 | 227 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2018-11-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2017-05-22 |
確定日 | 2018-10-02 |
事件の表示 | 特願2012-244350「医薬品情報アラートシステム及び医薬情報検索システムの課金方法」拒絶査定不服審判事件〔平成26年 5月19日出願公開、特開2014- 93020、請求項の数(10)〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、平成24年11月6日を出願日としたものであって、その手続の経緯は以下のとおりである。 平成28年 8月31日付け:拒絶理由の通知 平成28年11月 4日 :意見書及び手続補正書の提出 平成29年 2月16日付け:拒絶査定 平成29年 5月22日 :審判請求書の提出 平成30年 4月24日付け:拒絶理由の通知 (以下、「当審拒絶理由通知」という。) 平成30年 7月 2日 :意見書及び手続補正書の提出 第2 原査定の概要 原査定(平成29年2月16日付け拒絶査定)の概要は、次のとおりである。 本願請求項1から4に係る発明は、以下の引用文献AからFに基づいて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 A.特開2002-197184号公報 B.特開2009-245255号公報 C.米国特許出願公開第2010/0070304号明細書 D.特開2006-276899号公報 E.特開2003-141252号公報 F.特開2001-76062号公報 第3 当審拒絶理由通知の概要 当審拒絶理由通知の概要は、次のとおりである。 本願請求項1から4に係る発明は、以下の引用文献1から4に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 引用文献等一覧 1.特開2002-92163号公報 2.特開2009-245255号公報(拒絶査定時の引用文献B) 3.特開2006-276899号公報(拒絶査定時の引用文献D) 4.特開2002-197184号公報(拒絶査定時の引用文献A) 第4 本願発明 本願の特許請求の範囲の請求項1から10に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」等という。)は、平成30年7月2日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1から10に記載された、以下のとおりである。 「 【請求項1】 クライアント装置と、クライアント装置と通信により接続可能な第一のサーバ装置及び第二のサーバ装置とを備えるシステムが実行する課金方法であって、 第一のサーバ装置にて、クライアント装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置がクライアント装置へ未送信の副作用情報を送信し 、クライアント装置がクライアント装置の表示画面上に副作用情報をポップアップ形式で表示する医薬品情報アラートステップと、 医薬品名、病名又は症状名を使用者がクライアント装置にて入力又は選択すると、入力又は選択された入力情報をクライアント装置が第二のサーバ装置に送信し、第二のサーバ装置が入力情報を受信すると、第二のサーバ装置が入力情報に対応する医薬品に関する医薬品情報を検索し、検索して得られた医薬品情報を第二のサーバ装置がクライアント装置へ送信する医薬品情報検索ステップと、 クライアント装置が医薬品情報を受信すると、受信した医薬品情報をクライアント装置の表示画面上に表示する医薬品情報表示ステップと、 クライアント装置に対応するアカウント情報をもとに、医薬品情報アラートステップ及び医薬品情報検索ステップの実行に関する課金処理を前記システムが実行するステップと を有する課金方法。 【請求項2】 第一のサーバ装置にて、クライアント装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置が、通知要求を受信した時間をもとに、クライアント装置へ未送信の副作用情報を特定する副作用情報特定ステップとを有し、 医薬品情報アラートステップにおいて、第一のサーバ装置がクライアント装置へ特定された副作用情報を送信する、請求項1に記載の課金方法。 【請求項3】 医薬品情報アラートステップにおいて、クライアント装置の表示画面に表示される副作用情報には、該副作用情報よりも詳細な副作用に関する情報を閲覧するためのリンクが含まれる、請求項1又は2に記載の課金方法。 【請求項4】 医薬品情報表示ステップにおいて表示される医薬品情報には副作用に関する情報が含まれ、 前記リンクにより閲覧することができる前記詳細な副作用に関する情報が、医薬品情報に含まれる副作用に関する情報と同一である、請求項3に記載の課金方法。 【請求項5】 第一のサーバ装置にて、クライアント装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置がクライアント装置へ未送信の副作用情報を送信し、クライアント装置がクライアント装置の表示画面上に副作用情報をポップアップ形式で表示する医薬品情報アラートシステムと、 医薬品名、病名又は症状名を使用者がクライアント装置にて入力又は選択すると、入力又は選択された入力情報をクライアント装置が第二のサーバ装置に送信し、第二のサーバ装置が入力情報を受信すると、第二のサーバ装置が入力情報に対応する医薬品に関する医薬品情報を検索し、検索して得られた医薬品情報を第二のサーバ装置がクライアント装置へ送信し、クライアント装置が医薬品情報を受信すると、受信した医薬品情報をクライアント装置の表示画面上に表示する医薬品情報検索システムとを備え、 クライアント装置に対応するアカウント情報をもとに、医薬品情報アラートシステム及び医薬品情報検索システムの利用に関する課金処理を実行する課金システム。 【請求項6】 医療機関端末装置及び製薬会社端末装置と、医療機関端末装置及び製薬会社端末装置と通信により接続可能な第一のサーバ装置及び第二のサーバ装置とを備えるシステムが実行する課金方法であって、 第一のサーバ装置にて、医療機関端末装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置が医療機関端末装置へ未送信の副作用情報を送信し、医療機関端末装置が医療機関端末装置の表示画面上に副作用情報をポップアップ形式で表示する医薬品情報アラートステップと、 医薬品名、病名又は症状名を使用者が医療機関端末装置にて入力又は選択すると、入力又は選択された入力情報を医療機関端末装置が第二のサーバ装置に送信し、第二のサーバ装置が入力情報を受信すると、第二のサーバ装置が入力情報に対応する医薬品に関する医薬品情報を検索し、検索して得られた医薬品情報を第二のサーバ装置が医療機関端末装置へ送信する医薬品情報検索ステップと、 医療機関端末装置が医薬品情報を受信すると、受信した医薬品情報を医療機関端末装置の表示画面上に表示する医薬品情報表示ステップと、 各製薬会社端末装置に対応するアカウント情報をもとに、医薬品情報アラートステップ及び医薬品情報検索ステップの実行に関する課金処理を前記システムが実行するステップと を有する課金方法。 【請求項7】 第一のサーバ装置にて、医療機関端末装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置が、医療機関端末装置へ未送信の副作用情報を特定する副作用情報特定ステップとを有し、 医薬品情報アラートステップにおいて、第一のサーバ装置が医療機関端末装置へ特定された副作用情報を送信する、請求項6に記載の課金方法。 【請求項8】 医薬品情報アラートステップにおいて、医療機関端末装置の表示画面に表示される副作用情報には、該副作用情報よりも詳細な副作用に関する情報を閲覧するためのリンクが含まれる、請求項6又は7に記載の課金方法。 【請求項9】 医薬品情報表示ステップにおいて表示される医薬品情報には副作用に関する情報が含まれ、 前記リンクにより閲覧することができる前記詳細な副作用に関する情報が、医薬品情報に含まれる副作用に関する情報と同一である、請求項8に記載の課金方法。 【請求項10】 第一のサーバ装置にて、医療機関端末装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置が医療機関端末装置へ未送信の副作用情報を送信し、医療機関端末装置が医療機関端末装置の表示画面上に副作用情報をポップアップ形式で表示する医薬品情報アラートシステムと、 医薬品名、病名又は症状名を使用者が医療機関端末装置にて入力又は選択すると、入力又は選択された入力情報を医療機関端末装置が第二のサーバ装置に送信し、第二のサーバ装置が入力情報を受信すると、第二のサーバ装置が入力情報に対応する医薬品に関する医薬品情報を検索し、検索して得られた医薬品情報を第二のサーバ装置が医療機関端末装置へ送信し、医療機関端末装置が医薬品情報を受信すると、受信した医薬品情報を医療機関端末装置の表示画面上に表示する医薬品情報検索システムとを備え、 各製薬会社端末装置に対応するアカウント情報をもとに、医薬品情報アラートシステム及び医薬品情報検索システムの利用に関する課金処理を実行する課金システム。」 第5 引用文献の記載及び引用発明 1 引用文献1の記載 引用文献1には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。) (1)「【0020】図1を参照して、本発明の薬品情報管理システム1は、該薬品情報管理システム1に予め登録された複数の製薬メーカ3(3a,3b,・・・,3n、本発明の薬品提供者に相当する)の端末装置(図示しない)及び複数の医療機関4(4a,4b,・・・,4n、本発明の薬品使用者に相当する)の端末装置(図示しない)との間で、インターネット回線2(本発明の通信回線に相当する)を介して、医薬品に関する情報データの送受信を電子メールによって行う。また、薬品情報管理システム1は、データベース5との間で医薬品に関する情報データの入出力を行う。 【0021】薬品情報管理システム1は、各製薬メーカ3の端末装置から受信した薬品関連データを加工して生成した薬品紹介データを各医療機関4の端末装置に配信する薬品紹介データ配信部10(本発明の薬品紹介データ配信手段に相当する)、製薬メーカ3から提供される医薬品に関する質疑応答データを各医療機関3の端末装置に配信する質疑応答データ配信部11(本発明の質疑応答データ配信手段に相当する)、及び製薬メーカ3から提供される薬品に関する副作用情報データを各医療機関4端末装置に配信する副作用情報データ配信部12(本発明の弊害情報データ配信手段に相当する)を備えている。 【0022】さらに、薬品情報管理システム1は、製薬メーカ3の端末装置と医療機関4の端末装置から受信した医薬品に関するデータをデータベース5に記憶させ、必要に応じて該データを製薬メーカ3の端末装置と医療機関4の端末装置から照会できるようにするために、薬品原データ記憶部13(本発明の薬品原データ記憶手段に相当する)、薬品原データ送信部14(本発明の薬品原データ送信手段に相当する)、副作用報告データ記憶部15(本発明の弊害報告データ記憶手段に相当する)、副作用報告データ送信部16(本発明の弊害報告データ送信手段に相当する)、副作用対処データ記憶部17(本発明の弊害対処データ記憶手段に相当する)、及び副作用対処データ送信部18(本発明の弊害対処データ送信手段に相当する)を備えている。」 (2)「【0028】また、薬品原データ記憶部13は、製薬メーカ3の端末装置から受信した薬品関連データ(Ds_a)をデータベース5に入力して記憶させる(図中(3))。そして、薬品原データ送信部14は、製薬メーカ3の端末装置又は医療機関4の端末装置(図の例では医療機関4aの端末装置)から、薬品紹介データ(Ds_a)の基となった薬品関連データ(Di_a)の内容照会を要求するデータ(図中Ds_req、本発明の薬品原データ照会信号に相当する)を電子メールを受信したときに(図中(4))、データベース5から薬品関連データ(Ds_a)を読み出して、医療機関4aの端末装置に電子メールで送信する(図中(6))。」 (3)「【0042】副作用情報データ配信部12は、製薬メーカ3aの端末装置から副作用対処データ(Cd)を電子メールで受信すると、副作用報告データ(Hd)と副作用対処データ(Cd)とを関連付けて、副作用が発生したことに対する注意と該副作用が生じた場合の対処方法とを含む副作用情報データ(図中HCd、本発明の弊害情報データに相当する)を生成する。そして、該副作用情報データ(HCd)を各医療機関4(4a,4b,・・・,4n)の端末装置に電子メールで配信する(図中(23))。 【0043】これにより、副作用に関する情報が速やかに各医療機関4に伝達され、対応の遅れにより副作用の被害が拡大することを防止することができる。なお、各製薬メーカ3aに対して、副作用報告データ(Hd)に対する検討を依頼するデータ(Ed)を受信してから、所定の期限内に該依頼データ(Ed)に対する副作用対処データ(Cd)を薬品情報管理システム1に送信することを義務付けることによって、副作用対処データ(Cd)を速やかに得られるようにしてもよい。」 (4)「【0058】また、本実施の形態では、電子メールによりデータ通信を行ったが、製薬メーカ3の端末装置と薬品情報管理システム1との間、及び医療機関4の端末装置と薬品情報管理システム1との間で直接データ通信を行うことが可能な場合には、上述した薬品関連データや薬品紹介データ等を直接送受信するようにしてもよい。 【0059】また、薬品情報管理システム1から各医療機関4の端末装置に配信された薬品紹介データ、質疑応答データ、及び副作用情報データもデータベース5に記憶し、必要に応じて医療機関4の端末装置と製薬メーカ3の端末装置から検索して照会できるようにしてもよい。」 2 引用発明 上記1からみて、引用文献1には、以下の発明が記載されている(以下、「引用発明」という。)。 「薬品情報管理システムが複数の製薬メーカの端末装置及び複数の医療機関の端末装置との間で、インターネット回線を介して、医薬品に関する情報データの送受信を行う方法であって、 薬品情報管理システムは、製薬メーカから提供される薬品に関する副作用情報データを各医療機関の端末装置に配信する副作用情報データ配信部を備えていて、 さらに、薬品情報管理システムは、医薬品に関するデータをデータベースに記憶し、医療機関の端末装置から照会できるようにするために、薬品原データ送信部を備えていて、 副作用情報データ配信部は、製薬メーカの端末装置から副作用対処データを電子メールで受信すると、副作用報告データと副作用対処データとを関連付けて、副作用が発生したことに対する注意と該副作用が生じた場合の対処方法とを含む副作用情報データを生成し、該副作用情報データを各医療機関の端末装置に配信し、 薬品原データ送信部は、医療機関の端末装置から、薬品関連データの内容照会を要求するデータを受信したときに、データベースから薬品関連データを読み出して、医療機関の端末装置に送信する 方法。」 3 引用文献2の記載 引用文献2には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。) 「【0076】 図15は通知画面の表示例を示す図である。通知画面は、緊急の通知がある旨のダイアログと、服用状態の詳細情報を出力する詳細画面を含む。通知画面は、情報処理装置3により画面データD2が生成されて通信端末装置4へ送信されることにより、画面データD2を受信した通信端末装置4の画面W1に出力される。 【0077】 ダイアログは、通信端末装置4が電子カルテシステムにログインする場合であって、情報処理装置3からデータを受信しているとき、通信端末装置4の画面W1に出力される。ダイアログは、緊急の通知がある旨の情報を有し、画面W1上でクリック操作をなされたときに詳細画面を呼び出す機能を有する。 【0078】 詳細画面は、ダイアログをクリック操作された場合であって、情報処理装置3からデータを受信しているとき、通信端末装置4の画面W1にポップアップ出力される。詳細画面は、服用の誤りに関する詳細情報を表示する。」 したがって、引用文献2には、「医薬品に関する情報を管理するシステムにおいて、医薬品に関する情報の緊急の通知がある場合に、当該情報を端末の表示画面に表示する際、ポップアップ形式で表示する」という技術的事項が記載されていると認められる。 4 引用文献3の記載 引用文献3には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。) (1)「【0034】 なお管理装置1が備える記録手段13の記録領域の一部は、医薬品を識別する識別情報に対応付けて、医薬品に関する基本情報を記録する第1データベース(第1DB)13a、識別情報に対応付けて、医薬品に添付される添付文書に記載する添付文書情報を記録する第2データベース(第2DB)13b、識別情報に対応付けて、添付文書に関する追加情報を記録する第3データベース(第3DB)13c、識別情報に対応付けて、医薬品の管理状態を示す管理状態情報を記録する第4データベース(第4DB)13d、複数の医薬品に係る相互作用を示す相互作用情報を記録する第5データベース(第5DB)13e、医薬品集及び医薬品集に関する情報を示す医薬品集情報を記録する第6データベース(第6DB)13f等の各種データベースとして用いられており、必要に応じて各種データベースに対する記録、読取等のアクセスを行う。なお記録手段13の記録領域の一部を各種データベースとして用いるのではなく、管理装置1に接続する他の装置を各種データベースを記録するデータベースサーバコンピュータとし、必要に応じて管理装置1からアクセスする様にしても良い。」 (2)「【0053】 図13に示した画像から薬品検索と示されたメニュータブを選択することにより、検索キーの入力欄を有する薬品検索用のページが表示され、入力欄に検索キーとなる情報、例えば「ハル○オン」等の文字情報を入力して所定の操作を行うことにより、薬品検索処理を行うことができる。 【0054】 図15は、本発明の情報管理システムにて用いられる管理装置1及び操作用端末装置2の処理を示すフローチャートである。操作用端末装置2は、制御手段21の制御により、入力手段25から検索キーの入力を受け付け(S201)、受け付けた検索キーを通信手段24から送信する(S202)。 【0055】 管理装置1は、記憶手段14に記憶したコンピュータプログラム200を実行する制御手段11の制御により、操作用端末装置2から送信された検索キーを受け付け(S203)、受け付けた検索キーに基づいて、第1データベース13aから性質有無情報を含む基本情報を抽出し(S204)、抽出した基本情報に含まれる性質有無情報に基づき、各性質について、有無のいずれかを示した性質提示情報を生成し(S205)、抽出した基本情報及び生成した性質提示情報を、一覧として、通信手段15から操作用端末装置2へ出力、即ち送信する(S206)。 【0056】 操作用端末装置2は、制御手段21の制御により、基本情報及び性質提示情報を通信手段24にて受信し(S207)、受信した基本情報及び性質提示情報を、一覧として、出力手段26から出力する(S208)。」 (3)「【0062】 図18は、操作用端末装置2から出力される画像を示す説明図である。図18は、ステップS309にて出力される添付文書情報、追加情報及び薬効情報を含む画像、即ち出力手段26の画面上に表示されたブラウザ内の画像を示している。図18では、画面の上方に薬品名称「ハル○オン0.125mg錠」が示されており、その下方は、左右にフレーム分割され、左方のフレームには、添付文書情報の項目の一覧が示され、右方のフレームには、添付文書情報、追加情報及び薬効情報が示されている。左方のフレームには、当該薬品に係る管理状態情報が、院内採用薬品であることを示す「◎採用薬品」との文言を示した画像、後述する表示設定画像を表示させる「表示設定」との文言を示した画像が表示されている。そしてその下方には、添付文書情報の項目の一覧が示されている。右方のフレームには、添付文書情報等であることを示す「薬品詳細」との文言を示した画像、院内採用薬品であることを示す「◎採用薬品」との文言を示した画像が示されている。そしてその下方には、薬品名称、「コメント情報」として示された追加情報、「薬効分類」として示された薬効情報が示されている。薬効情報は、薬効大分類、薬効中分類、薬効小分類等の階層的に構成された情報であり、図18に示す様に薬効大分類である「中枢神経系用薬」、薬効中分類である「催眠鎮静剤・抗不安定剤」及び小分類である「ベンゾジアゼピン系製剤」等の階層構造が明確になる様に、その階層関係をツリー状に表示している。そしてその下方には、「編集年月」等の添付文書情報の各項目についての内容が示されている。なお図18に示す画像、添付文書情報の全体を示しているのではなく、入力手段25を操作して、右方のフレーム内の画像をスクロールさせることにより、図18では示されていない添付文書情報の項目の内容を出力させることができる。」 したがって、引用文献3には、「検索キーとなる薬品名称等の文字情報を操作用端末装置で入力し、入力された文字情報に対応する医薬品に関する情報を検索する」という技術的事項及び「検索により抽出され、端末装置に送信された情報を表示出力する」という技術的事項が記載されていると認められる。 5 引用文献4の記載 引用文献4には、以下の事項が記載されている。(なお、下線は当審にて付与した。) 「【0040】 【発明の実施の形態】以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態を説明する。 <システム構成の概要>図1は、本発明による薬剤師支援システムの概略的構成図である。本発明による薬剤師支援システムは、本システム全体を管理統括する中央処理機関であるデータセンタ10を中核として構築される。データセンタ10は、本システムにおいてASP(Application Service Provider)として機能する。一般にASPとは、インターネット経由でアプリケーション・ソフトウェアの機能を各クライアント・コンピュータへ提供するサービス事業者を指す。本発明では、データセンタ10は、各薬局30に設置されるクライアント・コンピュータ(以下「クライアント装置」と称する)31に対して薬剤師支援アプリケーションを提供する。データセンタ10は、薬剤師支援アプリケーションの各機能(各個別アプリケーション)を一元的に管理する。一方、クライアント装置31は、インターネット20経由でデータセンタ10にアクセスすることにより、薬剤師支援アプリケーションを利用する。本システムの運営においては、例えばアプリケーションを利用する薬局が、その月額使用料をデータセンタに支払う等の形態を採る。」 したがって、引用文献4には、「複数の機能を一元的に管理する医薬品情報提供システムを運営するに当たり、当該システムの提供する機能を使用するユーザが使用料を支払う形態を採る」という技術的事項が記載されていると認められる。 第6 対比・判断 1 本願発明1について (1)対比 本願発明1と引用発明を対比する。 (ア)引用発明の「医療機関の端末装置」は、本願発明1の『クライアント装置』に相当し、引用発明の「副作用情報データ」及び「薬品関連データ」は、それぞれ、本願発明1の『副作用情報』及び『医薬品情報』に相当する。 (イ)引用発明の「薬品情報管理システム」が備えている「副作用情報データ配信部」は、「製薬メーカの端末装置から副作用対処データを電子メールで受信すると、副作用報告データと副作用対処データとを関連付けて、副作用が発生したことに対する注意と該副作用が生じた場合の対処方法とを含む副作用情報データを生成」した上で、「該副作用情報データを各医療機関の端末装置に配信する」ことから、「クライアント装置へ副作用情報を送信」するという機能を有するという点において、本願発明1の『第一のサーバ装置』の機能と共通している。 してみると、引用発明は、本願発明1の『第一のサーバ装置がクライアント装置へ副作用情報を送信』に相当する構成を備えているといえる。 (ウ)引用発明において、「薬品原データ送信部は、医療機関の端末装置から、薬品関連データの内容照会を要求するデータを受信」することから、医療機関の端末装置は薬品関連データの内容照会を要求するデータを薬品原データ送信部に送信していることは明らかである。 そして、引用発明の「薬品原データ送信部」は、「薬品関連データの内容照会を要求するデータを受信」し、「データベースから薬品関連データを読み出して、医療機関の端末装置に送信する」のであるから、「医療機関の端末装置から、薬品関連データの内容照会を要求するデータを受信したときに、データベースから薬品関連データを読み出して、医療機関の端末装置に送信する」という機能を有するという点において、本願発明1の『第二のサーバ装置』の機能と共通している。 また、薬品関連データをデータベースから読み出すに際して、データベースを検索していることは明らかである。 してみると、引用発明は、本願発明1の『情報をクライアント装置が第二のサーバ装置に送信し、第二のサーバ装置が情報を受信すると、第二のサーバ装置が前記情報に対応する医薬品に関する医薬品情報を検索し、検索して得られた医薬品情報を第二のサーバ装置がクライアント装置へ送信する医薬品情報検索ステップ』に相当する構成を備えているといえる。 (エ)引用発明の「薬品情報管理システム」は、本願発明1の『第一のサーバ装置』及び『第二のサーバ装置』それぞれの機能と共通している「副作用情報データ配信部」及び「薬品原データ送信部」を備えており、本願発明1の『クライアント装置』に相当する「医療機関の端末装置」との間でインターネット回線を介して通信するものである。してみると、引用発明の「薬品情報管理システムが複数の医療機関の端末装置との間で、インターネット回線を介して、医薬品に関する情報データの送受信を行う方法」は、本願発明1の『クライアント装置と、クライアント装置と通信により接続可能な第一のサーバ装置及び第二のサーバ装置とを備えるシステムが実行する方法』に相当する。 (オ)したがって、本願発明1と引用発明とは、 「クライアント装置と、クライアント装置と通信により接続可能な第一のサーバ装置及び第二のサーバ装置とを備えるシステムが実行する方法であって、 第一のサーバ装置がクライアント装置へ副作用情報を送信し、 情報をクライアント装置が第二のサーバ装置に送信し、第二のサーバ装置が前記情報を受信すると、第二のサーバ装置が前記情報に対応する医薬品に関する医薬品情報を検索し、検索して得られた医薬品情報を第二のサーバ装置がクライアント装置へ送信する医薬品情報検索ステップとを有する方法」 で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本願発明1は、「第一のサーバ装置にて、クライアント装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置がクライアント装置へ未送信の副作用情報を送信」するのに対し、引用発明は、第一のサーバ装置がクライアント装置へ副作用情報を送信するものの、「クライアント装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求」を受信しておらず、送信される副作用情報も「未送信」のものであるとの限定が付されていない点。 [相違点2] 本願発明1は、「クライアント装置がクライアント装置の表示画面上に副作用情報をポップアップ形式で表示する」のに対し、引用発明は、副作用情報を医療機関の端末装置においてポップアップ形式で表示していない点。 [相違点3] 本願発明1は、医薬品情報を検索するために「医薬品名、病名又は症状名を使用者が各クライアント装置にて入力又は選択する」のに対し、引用発明は、医療機関の端末装置から薬品関連データの内容照会を要求するデータを送信する際に、医薬品名、病名又は症状名を使用者が各クライアント装置にて入力又は選択していない点。 [相違点4] 本願発明1は、「クライアント装置が医薬品情報を受信すると、受信した医薬品情報をクライアント装置の表示画面上に表示する」のに対し、引用発明は、検索して得られた医薬品情報をクライアント装置で表示していない点。 [相違点5] 本願発明1は、「課金方法」であり、「クライアント装置に対応するアカウント情報をもとに、医薬品情報アラートステップ及び医薬品情報検索ステップの実行に関する課金処理」を実行するのに対し、引用発明は、クライアント装置に対応するアカウント情報をもとに、課金処理を実行する構成を有していない点。 (2)判断 (ア)相違点1について 相違点1に係る本願発明1の「第一のサーバ装置にて、クライアント装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置がクライアント装置へ未送信の副作用情報を送信」するという構成は、上記引用文献1から4には記載されていない。 クライアント装置からサーバ装置に対して、情報の通知要求を行うこと自体は、本願の出願前において周知技術である。しかしながら、引用発明においては、副作用に関する情報を速やかに各医療機関に伝達することで、副作用の被害が拡大することを防止するという目的(引用文献1の段落【0043】を参照。)に沿って、各医療機関の端末装置からの通知要求を受けることなく、生成された副作用情報データを当該端末装置に送信する構成を採用している。してみると、引用発明に前記周知技術を適用して、各医療機関の端末装置からの通知要求を受信した時に、副作用情報データを当該端末装置に送信する構成とした場合、副作用に関する情報の伝達に遅延が発生するおそれもあることから、前記周知技術の適用には阻害要因があるといえる。 また、いずれの副作用情報が未送信であるかをサーバ装置において管理し、通知要求に応じて未送信の副作用情報をクライアント装置に送付することは、本願の出願前において周知技術であるとはいえない。 したがって、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2から4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 (イ)相違点2について 引用文献2に記載されているように、医薬品に関する情報を管理するシステムにおいて、医薬品に関する情報の緊急の通知がある場合に、当該情報を端末の表示画面に表示する際、ポップアップ形式で表示することは、本願の出願前において公知の技術(以下、「公知技術1」という。)である。 そして、引用文献1(段落【0043】を参照。)には、副作用に関する情報を速やかに各医療機関に伝達することで、副作用の被害が拡大することを防止するという、引用発明の目的が示唆されている。 したがって、引用発明に公知技術1を適用して、医薬品の新たな副作用に関する副作用情報がユーザの目に付くよう、表示画面上に副作用情報をポップアップ形式で表示する構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 (ウ)相違点3について 引用文献3に記載されているように、検索キーとなる薬品名称等の文字情報を操作用端末装置で入力し、入力された文字情報に対応する医薬品に関する情報を検索することは、本願の出願前において公知の技術(以下、「公知技術2」という。)である。 引用発明と公知技術2は、いずれも医薬品情報の管理に関する技術分野に属するものであり、ユーザの要求に応じてデータベースの情報を検索する機能も共通している。 したがって、引用発明に公知技術2を適用して、医薬品情報を検索するために、医薬品名、病名又は症状名を使用者が各クライアント装置にて入力又は選択する構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 (エ)相違点4について 引用文献3に記載されているように、検索により抽出され、端末装置に送信された情報を表示出力することは、本願の出願前において周知技術である。 したがって、引用発明に当該周知技術を適用して、クライアント装置が医薬品情報を受信すると、受信した医薬品情報をクライアント装置の表示画面上に表示する構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 (オ)相違点5について 引用文献4に記載されているように、複数の機能を一元的に管理する医薬品情報提供システムを運営するに当たり、当該システムの提供する機能を使用するユーザが使用料を支払う形態を採ることは、本願の出願前において周知技術である。 したがって、引用発明に当該周知技術を適用して、クライアント装置に対応するアカウント情報をもとに、医薬品情報アラートステップ及び医薬品情報検索ステップの実行に関する課金処理を実行する構成を採用し、「課金方法」とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。 (カ)小括 上記(ア)で検討したとおり、本願発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2から4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 2 本願発明2から4について 本願発明2から4も、本願発明1の「第一のサーバ装置にて、クライアント装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置がクライアント装置へ未送信の副作用情報を送信」するという構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2から4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 3 本願発明5について 本願発明5は、本願発明1と実質的に同様の構成を有するカテゴリ違いのものであるから、本願発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2から4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 4 本願発明6について 本願発明6と引用発明を対比すると、引用発明の「医療機関の端末装置」及び「製薬メーカの端末装置」は、それぞれ、本願発明6の『医療機関端末装置』及び『製薬会社端末装置』に相当し、その余の点は本願発明1と引用発明の対比と同様である。 してみると、本願発明6と引用発明とは、本願発明1について検討した際の相違点1から4に加え、次の点で相違する。 [相違点6] 本願発明6は、「各製薬会社端末装置に対応するアカウント情報をもとに、医薬品情報アラートステップ及び医薬品情報検索ステップの実行に関する課金処理」を実行するのに対し、引用発明は、各製薬会社端末装置に対応するアカウント情報をもとに、課金処理を実行する構成を有していない点。 相違点1から4についての判断は、本願発明1について検討したとおりである。 相違点6について検討する。引用文献4に記載されているように、複数の機能を一元的に管理する医薬品情報提供システムを運営するに当たり、当該システムの提供する機能を使用するユーザが使用料を支払う形態を採ることは、本願の出願前において周知技術である。 また、システムの使用料をどのユーザに課金するかは、システムを運用する当業者がビジネスモデルに応じて適宜決定すべき設計的事項である。 よって、引用発明に上記周知技術を適用して、各製薬会社端末装置に対応するアカウント情報をもとに、医薬品情報アラートステップ及び医薬品情報検索ステップの実行に関する課金処理を実行する構成を採用することは、当業者が容易に想到し得たことである。 しかしながら、上記1(2)(ア)で相違点1について検討したとおり、本願発明6は、当業者であっても引用発明、引用文献2から4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえない。 5 本願発明7から9について 本願発明7から9も、本願発明6の「第一のサーバ装置にて、医療機関端末装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置が医療機関端末装置へ未送信の副作用情報を送信」するという構成と同一の構成を備えるものであるから、本願発明6と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2から4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 6 本願発明10について 本願発明10は、本願発明6と実質的に同様の構成を有するカテゴリ違いのものであるから、本願発明6と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2から4に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえない。 第7 原査定についての判断 平成30年7月2日付けの補正により、補正後の請求項1から10は、第一のサーバ装置にて、クライアント装置又は医療機関端末装置から医薬品の副作用に関する副作用情報の通知要求を受信すると、第一のサーバ装置がクライアント装置又は医療機関端末装置へ未送信の副作用情報を送信するという技術的事項を有するものとなった。そして、当該技術的事項は、原査定における引用文献AからFには記載されておらず、本願の出願前における周知技術でもないので、本願発明1から10は、当業者であっても、原査定における引用文献AからFに基づいて容易に発明できたものではない。したがって、原査定を維持することはできない。 第8 むすび 以上のとおり、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2018-09-14 |
出願番号 | 特願2012-244350(P2012-244350) |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WY
(G06Q)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 渡邉 加寿磨 |
特許庁審判長 |
佐藤 智康 |
特許庁審判官 |
石川 正二 上嶋 裕樹 |
発明の名称 | 医薬品情報アラートシステム及び医薬情報検索システムの課金方法 |
代理人 | 田村 良介 |