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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E03D
管理番号 1344459
審判番号 不服2016-14940  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-10-05 
確定日 2018-10-05 
事件の表示 特願2014-194376「ローコスト・イージー衛生ウォッシュトイレ」拒絶査定不服審判事件〔平成28年 4月28日出願公開、特開2016- 65384〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成26年9月24日の出願であって、平成27年8月20日付けで拒絶の理由が通知され、これに対して、同年11月16日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年6月7日付けで拒絶査定がなされ、これに対し、同年10月5日に拒絶査定不服審判の請求がされたものである。


第2 本願発明
本願の請求項1に係る発明は、平成27年11月16日提出の手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項1に係る発明は次のとおりのものである(以下「本願発明」という。)。

「便座に座った時の両足の間の便座前方先端に水平方向に押すボタンを設けたことを特徴とするシンプル操作ローコスト・イージー衛生ウォッシュトイレ。」


第3 引用例の記載事項
1 刊行物1
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である実願昭60-164346号(実開昭62-72373号)のマイクロフィルム(以下「刊行物1」という。)には、次の事項が記載されている(下線は審決で付した。以下同じ。)。

(1) 「2.実用新案登録請求の範囲
(1)便器に付設された便座本体に局部洗浄用温水の吐出及びその温度調整並びに洗浄温水吐出圧調整、そして乾燥用温風温度調整等の温水洗浄便座機能の操作スイッチ類を設けてなる温水洗浄便座。」(明細書1頁4から9行)

(2) 「3.考案の洋細な説明
[技術分野]
本考案は、用便後の人体の局部を温水洗浄したり温風乾燥することができる温水洗浄便座に関し、詳しくはその操作性を高めるとともに全体構成も簡素にしようとする技術に関する。
[背景技術]
従来、用便後の人体の局部を温水洗浄したり温風乾燥等を行うことができる温水洗浄便座にあっては、その操作スイッチ類は種々の機能部品を収めてある収納ケ一スに設けてあり、このように操作スイッチ類を収納ケ-スに設ける場合には、便座上に座った状態での操作性が悪く、そこでを操作性を良くするのに、収納ケ-スの形状を変更する等するのであり、かかる場合には全体が大型化し、構成も複雑になる等の問題があった。
[考案の目的]
本考案はこのような問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、全体構成を簡素にしながらその操作性を高めることができる温水洗浄便座を提供することにある。
[考案の開示]
本考案の温水洗浄便座は、便器1に付設された便座本体2に局部洗浄用温水の吐出及びその温度調整並びに洗浄温水吐出圧調整、そして乾燥用温風温度調整等の温水洗浄便座機能の操作スイッチ3…類を設けてなることを特徴とするものであり、このように構成することによって、上記目的を達成したものである。つまり、操作スイッチ3…類を便座本体2に設けることによって、便座本体2に座った状態での操作性を向上させることができながら、従米のように収納ケースを延出させなくてもよく、その構成もシンプルにしたものである。
以下本考案の実施例を図面に基づいて詳述する。
温水洗浄便座Aは第1図のように、水道水を貯留しているロータンク4からこのロータンク4内に収めたポンプ(図示せず)により水道水を本体ケース5の下部に形成したタンク6内に供給し、タンク6内の水道水をヒータ(図示せず)により適宜温度に加熱し、この加熱された温水をその使用に際して格納姿勢から使用姿勢へと姿勢変更される洗浄ノズル7から適宜圧力にて噴出させて、局部洗浄を行うことができるようにしてある。又、温水洗浄便座Aの本体ケース5内にはヒータとファン等からなる温度吹出装置(図示せず)を備えていて、温水洗浄後において適宜温度の温風をその吹出口(図示せず)から吹き出して温風乾燥を行うことができるようにしてある。更に、便器1に回動自在に枢着された便座本体2にはヒータのような暖房具(図示せず)を付設してあって、暖房具により便座本体2を適宜温度に暖めることができるようにしてある。そして温水洗浄便座Aの諸機能の操作スイッチ3、即ち、洗浄ノズル7を使用姿勢から格納姿勢に姿勢変更させる操作スイッチ3a、洗浄温水を噴出させる操作スイッチ3b、洗浄温水温度の温度調整用の操作スイッチ3c、温水吹出圧調整用の操作スイッチ3d、温風吹出用の操作スイッチ3e、温風温度調整用の操作スイッチ3f、便座本体2の暖房用の操作スイッチ(図示せず)、この暖房温度調整用の操作スイッチ(図示せず)等の操作スイッチ3…類を便座本体2の周側壁8に設けてある。しかして、操作スイッチ3…は便座本体2に設けることによって、便座本体2に座った状態での操作性を向上させることができながら、従米のように収納ケースを延出させなくてもよく、その構成もシンブルにできるものである。
[考案の効果]
以上要するに本考案は、便器に付設された便座本体に局部洗浄用温水の吐出及びその温度調整並びに洗浄温水吐出圧調整、そして乾燥用温風温度調整等の温水洗浄便座機能の操作スイッチ類を設けてあるから、便座本体に座った状態での操作性を向上させることができながら、従来のように収納ケースを延出させなくてもよく、その構成もシンプルにできるという利点がある。」(明細書1頁10行から5頁6行)

(3) 「4.図面の簡単な説明
第1図は本考案の一実施例の全体斜視図、第2図は同上の便座本体の斜視図であり、1は便器、2は便座本体、3は操作スイッチである。」(明細書5頁7行から10行)

(4) 第2図は次のものである。



(5) 第2図より、「便座本体2」の「周側壁8」は略垂直方向の壁面となっており、その面上に「操作スイッチ3…類」すなわち「洗浄ノズル7を使用姿勢から格納姿勢に姿勢変更させる操作スイッチ3a」、「洗浄温水を噴出させる操作スイッチ3b」、「洗浄温水温度の温度調整用の操作スイッチ3c」、「温水吹出圧調整用の操作スイッチ3d」、「温風吹出用の操作スイッチ3e」及び「温風温度調整用の操作スイッチ3f」が設けられていることが看て取れる。

(6) 上記(1)ないし(5)を総合して、刊行物1には、次の発明(以下、「刊1発明」という。)が記載されていると認められる。

「用便後の人体の局部を温水洗浄したり温風乾燥することができる温水洗浄便座本体2を付設した便器1であって、
便座本体2は、便座本体2の略垂直方向の壁面となる周側壁8の面上に、温水洗浄便座Aの諸機能の操作スイッチ3、即ち、洗浄ノズル7を使用姿勢から格納姿勢に姿勢変更させる操作スイッチ3a、洗浄温水を噴出させる操作スイッチ3b、洗浄温水温度の温度調整用の操作スイッチ3c、温水吹出圧調整用の操作スイッチ3d、温風吹出用の操作スイッチ3e、温風温度調整用の操作スイッチ3f、便座本体2の暖房用の操作スイッチ、この暖房温度調整用の操作スイッチ等の操作スイッチ3…類を設けてある、
便座本体2を付設した便器1」

2 刊行物2
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開2002-250070号公報(以下「刊行物2」という。)には、次の事項が記載されている。

(1) 「【特許請求の範囲】
【請求項1】 大腿の開いた空間で操作し得る事を特徴とするトイレット。」

(2) 「【発明の詳細な説明】
【0001】【発明が属する利用分野】本発明は操作が容易なトイレットに関する。
【0002】【従来の技術】従来のウオッシュレットは、洗滌などのボタンが側方にあり、洗滌等の操作のためには必要ボタンが側方に設けてあるため、体を捻って使用しなければならなかった。
【0003】【発明が解決しようとする課題】従来のウオッシュレットでボタン操作をするためには体をねじらなければならす、操作し難かった。また操作がやりにくく、また、暗い時、ボタンの位置が分り難くしばしば不潔となった。このような操作が困難なトイレとに対し、本発明は操作が容易で衛生的なトイレットを提供しようとするものである。
【0004】【課題を解決するための手段】本発明は大腿間で操作し得る事を特徴とするトイレットであり、また便座の中央部先端付近で人体の内股で挟まれる便座の位置に洗滌等の調節ボタンを設けたことを特徴とするトイレットである。
【0005】【発明の実施の形態】本発明を図面に基づき説明する。図1は公知のトイレットの上面図であり図2は、ウオッシュレット操作ボタンを側方に設けたものであり、図2は図1の操作ボタン部の拡大図である。図3は公知トイレットのウオッシュレット操作ボタンを有するリモコンパネルを壁面等に設けた公知トイレットの側面図を示す。これらの例はいずれもトイレットの側方に洗滌ボタン等のパネルを設けてあるので、使用に際しいずれも体をねじる必要があった。これに対し、本発明トイレットは、図4にそのトイレットの便座上面図の例を示す。図5にはそのトイレの側面図を示す。図6は本発明トイレットの他の側面図例を示す。
【0006】以下、本発明を図面に基づき説明する。図1は従来のウオッシュレット1の側方に設けた上面図でありウオッシュレット操作ボタン盤2には洗滌、水量、温度調節、など操作用ボタン3を取付けてある。図2は図1の操作盤2、操作用ボタン3部の拡大図である。この操作用ボタンは体をねじらなければ確認、使用が困難であり、不便であった。また、例えば公知のウォッシュレットとして図3の側面図に示す様に操作用ボタン3をリモコンとしてこれを側壁等に設けたものもあったがそれでも離れているので操作が不便であった。
【0007】図4は本発明の上面図、図5は図4の操作ボタン部の拡大部分図、図6及び図7は本発明トイレット側面図を示す。本発明トイレットは便槽5上の便座6の手前中央付近に設けた操作部7上に操作用ボタン8を設けてある。なお、図4の点線9は使用に際し、便座上の人体の位置を示し、操作用ボタン8は便座手前中央部付近で、人体の大腿部10の開く空間位置にある。
【0008】ここで、本発明操作用ボタンの取付け状態を図4と図6に示す。図4と図6から明らかなように従来の操作ボタンに対し取付け方向が90℃回転した位置関係となっている。その結果、調節用ボタンの位置は人体の正面に正対することとなり、何ら体を捻る必要はなく極めて容易に調節用ボタンの文字の確認も可能となったものである。なお、本発明操作ボタンは図6、図7の如く便座に直接取付けられるので、従来の裾が不要となり、小型、軽量、ローコストになり、せまい便所で使用出来る。
・・・
【0010】本発明トイレットの使用に際し、洗滌等の操作用ボタンが目の前にあるためボタンの操作が容易である。男性が小便をする場合は、操作ボタンが手前にあるので便座を持ち上げて使用する事を従来以上にする様になるので便座が従来よりも清潔になる。本発明操作用ボタンは必要に応じ有線又は無線で洗滌ノズルやフラッシュコントロールを作動させることも本発明に含まれる。また便座でなく、便器に直接操作スイッチを設ける場合も本発明に含まれる。
【0011】
【発明の効果】本発明は大腿間に調節用ボタンを設けてあるので体をねじることなくそのままボタンを直視し操作し得るので極めて便利でトラブルがない。操作用ボタンの位置は照明なしでも手探りでも認識可能であるので夜でも容易に使用可能である。手前に操作ボタンがあるのでこれを汚さないように小便時に従来以上に便座を上げるので便座が従来より清潔になる。いずれにしても常に本発明トイレットは清潔を保つことが出来る。また構造が簡単となるので小型、軽量、安価となり、小さいスペースに便器を設置出来、その利益は大きい。」
・・・
【符号の説明】
・・・
6 便座
7 本発明操作ボタン盤
8 本発明洗滌等操作用ボタン
・・・」

(3) 図4は次のものである。



(4) 図5は次のものである。



(5) 図4、5より、「従来のウオッシュレット1」の「ウオッシュレット操作ボタン盤2」と同様に、「便座の中央部先端付近で人体の内股で挟まれる便座の位置」にある「本発明操作ボタン盤7」盤面上に、「洗滌、水量、温度調節、など」の「本発明洗滌等操作用ボタン8」が設けられていることが看て取れる。

3 刊行物3
原査定の拒絶の理由に引用された、本願の出願日前に頒布された刊行物である特開昭59-82822号公報(以下「刊行物3」という。)には、次の事項が記載されている。

(1) 「産業上の利用分野
本発明は、洗浄ノズルから放出する洗浄水で人体の被洗浄部を洗浄する洗浄装置と、洗浄後の洗浄部を乾燥する乾燥装置と、便座暖房の暖房装置等のいずれかあるいは各種装置を組み込んだ多機能便座装置に関するものである。
従来例の構成とその問題点
従来のこの種の多機能便座装置は、第1図に示すように、人間(1)が座り、用便後などの被洗浄部を洗浄する洗浄水の水量調節つまみ(10)、洗浄後の濡れた洗浄部を温風で乾燥する乾燥スイッチ(11)、便座(2)を暖房するための便座暖房温度調節つまみ(12)等、いずれかあるいは各種の装置を組み込んでおり、各々の操作部は便座後方に取り付けてある。この構成では、人間が被洗浄部を洗浄する場合等には、後ろ向きに顔を振り向き、洗浄水水量調節つまみ(10)を見ながら洗浄しなければならい。その上、洗浄水水量調節つまみ(10)の他にも洗浄後の濡れた洗浄部を温風で乾燥する乾燥スイツチ(11)、便座暖房用の温度調節つまみ(12)の操作においても後ろ向きに振り向いて行なうか、あるいはある程度手さぐりの状態で行なわなけばならないという問題点を有していた。
発明の目的
本発明は上記従来の問題点に鑑み、便座に座つた人間が後ろ向きに振り向かずに操作が行なえる使い勝手のよい多機能便座装置を提供することを目的とするものである。
発明の構成
上記目的を達成するために本発明は、洗浄ノズルから放出する洗浄水て被洗浄部を洗浄する洗浄水放出装置と、洗浄後の洗浄部を乾燥する乾燥装置と、便座暖房の暖房装置等のいずれかあるいは各種装置を組み込んだ操作部を便座前部に搭載したもので、この構成によれば、人間が各々の操作の度に後ろ向きに振り向く必要はなく、手前部分で容易に操作できるものである。
実施例の説明
以下、本発明の一実施例を添付図面にもとづいて説明する。
第1図は便座(2)前部に洗浄水水量調節つまみ、乾燥スイツチ、弁座の温度調節つまみ等の各種の操作部(3)を取り付けた外観図である。第2図は便座(2)の前部の一部切欠拡大平面図で、各々の操作を行いたいときには、図のように指先(4)で軽く押すことにより操作部(3)か出てくる(プツシユアウト方式)しくみになっている。各種の操作部を使用しないときは、再び指先て押すことで便座(2)内部に収容されるので、美観は損なわれない。第3図は、操作部(3)の拡大平面図で、用便後などの被洗浄部を洗浄する洗浄水水量調節つまみ(5)、その表示ランプ(5a)、洗浄水の湯温調節つまみ(6)、洗浄後の濡れた洗浄部を温風で乾燥する乾燥スイツチ(7)、便座(2)を暖めるための便座暖房温度調節つまみ(8)を具備している。なお、(9)は洗浄水放出装置を示す。
上記構成において、各種装置の操作部(3)は便座(2)の前部に取り付けてあり、便座(2)に座つた人間は各種操作を行なう場合には、顔を後ろに振り向かずに前面の操作部(3)の各種つまみをみながら操作てきるものである。」(1頁左欄16行から2頁右上欄16行)

(4) 第1図は次のものである。



(5) 第1図より、「操作部(3)」が取り付けられる「便座(2)前部」は、「便座(2)」に座った時の両足の間の便座前方となることが看て取れる。

第4 対比・判断
1 対比
本願発明と刊1発明とを対比すると、

(1) 刊1発明の「便座本体2を付設した便器1」は本願発明の「トイレ」に相当する。
そして、本願明細書の「【背景技術】」についての「【0002】従来のウォッシュトイレは・・・使用する場合、人は便座1に腰かけた後、操作部4内のつまみ又はスイッチを使用して、ノズル2から温水を出射させて肛門を洗浄する。」という記載、及び「【発明を実施するための形態】」についての「【0013】・・・40はウォッシュ用の水が貯留されている水タンク・・・である。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。【0014】・・・人が便座1の先端部にあるスタートボタン21を押すと、その信号が制御部25に通知され、制御部25はノズル2から温水を人のお尻に噴射する。お尻の汚れがとれると、人はストップボタン23を押し、これによりノズル2からの温水の噴射は停止する。」という記載から、本願発明の「ウォッシュトイレ」とは、用便後の人の「お尻の汚れ」を(温)水で洗浄できるトイレを意味すると解される。
よって、刊1発明の「用便後の人体の局部を温水洗浄したり温風乾燥することができる温水洗浄便座本体2を付設した便器1」は、本願発明の「ウォッシュトイレ」に相当する。

(2) 本願発明の「水平方向に押すボタン」は、本願明細書の「【発明を実施するための形態】」についての「【0010】・・・、21?23は操作つまみ又は押しボタンスイッチである。例えば真ん中の22を温水温度調整つまみにし、両端の21をスタートボタン、23をストップボタンとすることができる。」、「【0012】・・・1は便座である。その先端には前述したスイッチ群が取り付けられており、図ではストップスイッチ23が見えている。その奥に、温水温度調整つまみ22とオンスイッチ21が取り付けられている。配線24はスイッチ23等からの接点信号を後述する制御部32に通知するようになっている。」という記載から明らかにスイッチの一種であり、また上記(1)で摘記した本願明細書の段落0013、0014の記載から、「ウォッシュトイレ」を操作するスイッチであることは明らかである。
よって、刊1発明で「便座本体2の略垂直方向の壁面となる周側壁8の面上に、温水洗浄便座Aの諸機能の操作スイッチ3、即ち、洗浄ノズル7を使用姿勢から格納姿勢に姿勢変更させる操作スイッチ3a、洗浄温水を噴出させる操作スイッチ3b、洗浄温水温度の温度調整用の操作スイッチ3c、温水吹出圧調整用の操作スイッチ3d、温風吹出用の操作スイッチ3e、温風温度調整用の操作スイッチ3f、便座本体2の暖房用の操作スイッチ、この暖房温度調整用の操作スイッチ等の操作スイッチ3…類を設けてある」ことと、本願発明の「便座に座った時の両足の間の便座前方先端に水平方向に押すボタンを設けた」こととは、「便座に操作スイッチを設けた」点で共通する。

以上(1)及び(2)より、本願発明と、刊1発明とは、下記の点で一致している。

[一致点]
「便座に操作スイッチを設けたウォッシュトイレ。」

他方、本願発明と刊1発明とは、下記の点で相違する。

[相違点1]
便座に設けた「操作スイッチ」の配置について、本願発明では「便座に座った時の両足の間の便座前方先端」と特定されているのに対し、刊1発明ではそのように特定されていない点。

[相違点2]
「操作スイッチ」の態様について、本願発明では、「水平方向に押すボタン」と特定されているのに対し、刊1発明ではそのように特定されていない点。

[相違点3]
「ウォッシュトイレ」について、本願発明は「シンプル操作ローコスト・イージー衛生」と特定されているのに対し、刊1発明ではそのように特定されていない点。

2 判断
(1) 相違点1について
刊1発明は、上記第3の1(2)に摘記したとおり、刊行物1の「[考案の目的]」に「本考案は・・・全体構成を簡素にしながらその操作性を高めることができる温水洗浄便座を提供することにある。」と記載されているように、温水洗浄便座における操作スイッチについて、全体構成を簡素にしながらその操作性を高めることを目的とし、また「[考案の開示]」に「便座本体2に座った状態での操作性を向上させることができ」と記載されているように、便座本体2に座った状態での操作性を向上させることができるようにしたものであるから、操作スイッチの操作性を向上させるとの課題を有しているといえる。
そして、一般的に、操作スイッチの配置は当業者が適宜に決定し得る設計事項であるところ、上記第3の2に摘記したとおり刊行物2には、「便座の中央部先端付近で人体の内股で挟まれる便座の位置に」「洗滌、水量、温度調節、など操作用ボタン」「を設け」、「体をねじることなくそのままボタンを直視し操作し得るので極めて便利でトラブルがない」ようにした構成が記載され、また上記第3の3に摘記したとおり刊行物3には、「操作部(3)」を「便座(2)に座った時の両足の間」である「便座(2)前部に洗浄水水量調節つまみ、乾燥スイツチ、弁座の温度調節つまみ等の各種の操作部(3)を取り付け」、「後ろ向きに振り向く必要はなく、手前部分で容易に操作できる」ようにした構成が記載されている。このように、便座に座った時の両足の間の便座前方に操作スイッチを置いた構成が公知であって、このような構成では、体をねじったり後ろを向いたりする必要がなく操作できるので操作性が向上するから、当業者であれば、刊1発明の「便座本体2の略垂直方向の壁面となる周側壁8に」設ける「操作スイッチ3…類」についても同様に、「便座に座った時の両足の間の便座前方」の「周側壁8」への配置を試みる、すなわち便座の前方先端に配置することは容易に想到できる。
以上のように、相違点1に係る本願発明の構成は、当業者が刊1発明及び刊行物2、3に記載された技術に基づいて容易に想到し得るものである。

(2) 相違点2について
操作スイッチとして押しボタンは本願出願前から周知慣用であるところ、上記第3の2(2)の摘記のように刊行物2に「【0006】・・・図1は従来のウオッシュレット1の側方に設けた上面図でありウオッシュレット操作ボタン盤2には洗滌、水量、温度調節、など操作用ボタン3を取付けてある。」と記載されているように、ウオッシュレット(人体の局部洗浄装置)の「洗滌、水量、温度調節」などの操作スイッチにボタンのスイッチを用いることは本願出願前から周知である。よって当業者であれば、この周知技術を採用して、刊1発明の「操作スイッチ3…類」の「洗浄温水を噴出させる操作スイッチ3b」(刊行物2でいえば「洗滌」)、「洗浄温水温度の温度調整用の操作スイッチ3c」(刊行物2でいえば「温度調節」)、「温水吹出圧調整用の操作スイッチ3d」(刊行物2でいえば「水量」)等々をボタンとすることは容易に想到できる。加えていうと、当業者であれば、刊行物1の図2に示された操作スイッチ3は、ボタンであると理解するのが自然である。
続いて、本願発明ではボタンを「水平方向に押す」と特定している点について検討すると、「ボタン」という語の「機械などを作動させるために指で押す、突出した部分。「?を押す」」(株式会社岩波書店 広辞苑第六版。)という意味からみて、ボタンは「押す」ものであるところ、刊1発明の「操作スイッチ3…類」は「略垂直方向の壁面となる周側壁8の面上に」設けられているものであるから、操作スイッチとしてボタンを採用すれば、そのボタンを押す方向が水平方向となることは明らかである。
以上のように、相違点2に係る本願発明の構成は、当業者が刊1発明及び上記周知技術に基づいて容易に想到し得るものである。

(3) 相違点3について
「シンプル操作ローコスト・イージー衛生」という発明特定事項は、単に、本願発明の「便座に座った時の両足の間の便座前方先端に水平方向に押すボタンを設けた」「ウォッシュトイレ」という構成の性質、作用あるいは効果を記載したものに過ぎず、上記(1)及び(2)の検討のとおり、本願発明の当該構成(相違点1及び2に係る構成)は当業者が容易に想到できるものであり、構成が同じであれば同様の性質、作用あるいは効果を奏するといえるので、相違点3は実質的な相違点とはいえない。

(4) 請求人の主張について
審判請求人が平成27年11月16日に提出した意見書および審判請求書において行っている主張について検討する。

ア 意見書における主張について
審判請求人は、平成27年11月16日に提出した意見書の「(1)理由1(進歩性)について」において、本願発明の進歩性について、概ね、刊行物1の第2図では操作スイッチ3が「便座本体2の側面の右足の下又は足の外に設けられ」ていること、刊行物2記載の発明では「操作用ボタン8を、便座6の上面に設けている」こと、刊行物2記載の発明では「使用者が操作部3を、股の間から引っ張り出す不便なもので」あることを指摘し、それぞれ本願発明とは構成が根本的に異なり、刊行物1?3記載の発明から容易に想到することができない旨の主張をしている。
しかしながら、上記(1)ないし(3)での検討のように、操作スイッチを便座の上面ではなく側面に設けることは刊行物1に記載されており、また、両足の間の便座前方に設けることは刊行物2、3に記載されており、刊行物1?3はともに便座に洗浄装置の操作スイッチを設けたものであるから、刊1発明に刊行物2、3に記載された技術、並びに周知技術を適用することは当業者が容易に想到できたことである。

また意見書では、「本願発明では接点スイッチのボタンを便座と並行方向に配置しているので、尿等がかからず、かかっても中に侵入せず、衛生的で且つ操作性もよいという長所があります。」と主張している。
しかしながら、尿等がかかるか否かはボタンの配置によるものと解されるところ、上述のように本願発明のボタンの配置に係る構成は刊1発明及び刊行物2、3に記載された技術並びに周知技術から容易に想到できるものであり、その奏する作用効果もそれらから予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。また、「かかっても中に侵入せず」との作用効果は、「ボタン」の構成によるものと解されるが、本願の特許請求の範囲の請求項1には、ボタンの具体的な構成は記載されていない。さらに、本願の特許請求の範囲の請求項1には、「接点スイッチのボタン」との記載はない。したがって、上記主張は特許請求の範囲の記載に基づくものとはいえない。
よって、意見書の主張を採用することはできない。

イ 審判請求書における主張について
審判請求人は、審判請求書の「(3)本願発明が特許されるべき理由」において、「本願発明の構成上の特徴は「便座に座った時の両足の間の便座前方先端に水平方向に押すボタンを設けた」点にある。このように構成することにより、極めて簡単な構成で接点信号をつくることができる。」と主張している。
しかしながら、本願の特許請求の範囲の請求項1には、「ボタン」の具体的構成や、接点信号をつくるとの記載はなく、また、本願の明細書及び図面を参照しても、上記(2)で検討した、刊行物2にも記載されているような周知技術のボタンと比較して本願発明のボタンが接点信号をつくる上で特段簡単な構成になるような、具体的構成の説明は見あたらない。したがって、上記主張は特許請求の範囲の記載に基づくものとはいえない。
よって、審判請求書の主張を採用することはできない。

(5) 小括
そして、以上の相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、刊1発明及び刊行物2、3に記載された技術並びに周知技術から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものということはできない。
したがって、本願発明は、当業者が刊1発明及び刊行物2、3に記載された技術並びに周知技術に基づいて容易に発明することができたものである。


第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、当業者が刊1発明及び刊行物2、3に記載された技術並びに周知技術に基づいて容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2017-10-31 
結審通知日 2017-11-07 
審決日 2017-11-22 
出願番号 特願2014-194376(P2014-194376)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 修榎本 吉孝  
特許庁審判長 小野 忠悦
特許庁審判官 前川 慎喜
井上 博之
発明の名称 ローコスト・イージー衛生ウォッシュトイレ  
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