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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B60R
管理番号 1344465
審判番号 不服2016-16621  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2016-11-07 
確定日 2018-09-19 
事件の表示 特願2015- 14336号「電気負荷管理システム」拒絶査定不服審判事件〔平成27年 7月 2日出願公開、特開2015-120514号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本願は、平成23年8月22日(パリ条約による優先権主張2010年9月15日、米国、2010年12月15日、米国)に出願した特願2011-180127号(以下、「原出願」という。)の一部を平成27年1月28日に新たな特許出願としたものであって、その手続の経緯は次のとおりである。
平成27年 2月12日 手続補正書の提出
10月28日付け 拒絶理由通知
平成28年 1月12日 意見書の提出
6月30日付け 拒絶査定
11月 7日 審判請求書及び手続補正書の提出

第2 平成28年11月7日の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成28年11月7日の手続補正を却下する。

[理由]
1.本件補正の内容
平成28年11月7日の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲を補正するものであり、補正前の請求項1、12を補正後の請求項1、11とする補正を含むものであり、補正前後の各請求項は以下のとおりである。
なお、下線部は補正箇所を示す。

ア 本件補正前の請求項1、12の記載
「【請求項1】
航空機の電気系統の電気系統構成データ及び電気系統要件を記憶するデータベースモジュールと、
電気系統の電気系統性能特性であって、飛行期間中の負荷解析を含む電気系統性能特性を電気系統構成データの関数として決定する電気系統解析モジュールと、
電気系統構成管理モジュールであって、
電気系統構成データに対する少なくとも一つの変更を管理し、
電気系統の性能特性を、電気系統要件と比較する
電気系統構成管理モジュールと
を備える航空機の電気負荷のライフサイクル管理及び解析システム。
【請求項12】
航空機の電気系統の電気系統構成データ及び電気系統要件をデータベースに格納することと、
電気系統構成データに基づいて、飛行期間中の負荷解析を含む電気系統性能特性を決定することと、
電気系統性能特性を電気系統要件と比較することと
を含む方法。」

イ 本件補正後の請求項1、11の記載
「【請求項1】
航空機の電気系統の電気系統構成データであって、電気系統編成データ、電気系統階層データ、電気系統接続データ、回路データ、及び電気系統構造データのうち少なくとも2つを含む電気系統構成データ、及び、航空機の電気系統の電気系統要件を記憶するデータベースモジュールと、
電気系統の電気系統性能特性であって、負荷分布解析及び飛行期間中の負荷解析のうちの少なくとも1つを含む電気系統性能特性を電気系統構成データの関数として決定する電気系統解析モジュールと、
電気系統構成管理モジュールであって、
電気系統の性能特性を、電気系統要件と比較し、
比較に基づいて電気系統構成データに対する少なくとも一つの変更を管理し、航空機の電気系統の最適性能を可能にする、
電気系統構成管理モジュールと
を備える航空機の電気負荷のライフサイクル管理及び解析システム。
【請求項11】
航空機の電気系統の電気系統構成データであって、電気系統編成データ、電気系統階層データ、電気系統接続データ、回路データ、及び電気系統構造データのうち少なくとも2つを含む電気系統構成データ、及び、航空機の電気系統の電気系統要件をデータベースに格納することと、
電気系統構成データに基づいて、負荷分布解析及び飛行期間中の負荷解析のうちの少なくとも1つを含む電気系統性能特性を決定することと、
電気系統性能特性を電気系統要件と比較することと、
比較に基づいて電気系統構成データに対する少なくとも一つの変更を管理することによって、航空機の電気系統の性能を最適化することと、
を含む方法。」

2.補正の適否
本件補正は、少なくとも、補正前の請求項1、12に係る発明の「飛行期間中の負荷解析を含む電気系統性能特性」との事項を、「負荷分布解析及び飛行期間中の負荷解析のうちの少なくとも1つを含む電気系統性能特性」とする補正事項を含むものである。
しかしながら、上記補正事項は、「電気系統性能特性」について、補正前の「飛行期間中の負荷解析」を含むものに特定されていたものを、補正後の飛行期間中に限られない「負荷分布解析」及び「飛行期間中の負荷解析」のうちの「少なくとも1つを含む」とし、択一的記載の要素を付加する補正であり、「飛行期間中の負荷解析」を必ずしも含むものではなくなったため、特許請求の範囲の減縮を目的とするものとはいえない。
また、上記補正事項は、請求項の削除、誤記の訂正及び明りょうでない記載の釈明のいずれを目的とするものともいえず、特許法第17条の2第5項各号のいずれかを目的としたものとはいえない。
したがって、上記補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第5項の規定に違反するので、同法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。

第3 本願発明について
1.本願発明
平成28年11月7日の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1?20に係る発明は、平成27年2月12日の手続補正により補正された特許請求の範囲の請求項1?20に記載された事項により特定されるものと認められるところ、その請求項12に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、上記「第2 1.ア」の【請求項12】に記載されたとおりのものである。

2.原査定の拒絶の理由
原査定の拒絶の理由は、この出願の請求項1?20に係る発明は、原出願の優先権主張の日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

引用文献1.特開平6-96148号公報
引用文献2.米国特許出願公開第2002/0165696号明細書

3.引用文献
(1)引用文献1に記載された事項及び引用発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用文献1には、図面とともに次の事項が記載されている。

「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、電気系統図、電気設備情報、及び管理設計支援情報を一元化して電気系統図管理設計業務を支援するようにした電気系統図管理設計支援装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電気系統図管理設計業務は、系統図情報である図面情報と、電気設備の管理設計に必要な管理設計情報(例えば定格容量、許容負荷率、電路電圧等の仕様、規格類等の電気設備情報)を全く別のデータベースとして管理し、・・・」

「【0012】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の実施例1を図について説明する。図1は実施例1を示すブロック図である。図において、2Aはコンピュータ、5はこのコンピュータ1Aに接続された対話型の入出力装置、6は第1データベースであり、この第1データベース6には、図面情報及び管理設計情報が格納されている。7はコンピュータ1Aに接続された第2データベースであり、この第2データベース7には、熟練者のノウハウが格納されている。
【0013】図2は管理設計及び設備管理用の電気系統図であり、図2は電動機(M003)21を増設する場合について示している。電動機(M003)21の増設に際しては、ケーブル(CA016)23、CBS(DS010)25が必要となる。管理設計者は図2の系統図上にて設備の追加後管理情報の属性情報を設備毎に設定入力する。尚、入力方法としては、ネットワーク、パソコンやワークステーション等のH/W機器等の媒介によるものがある。また、上記とは別に管理設計支援業務と管理設計支援情報を予じめ第1データベース6に準備する。
【0014】図3は管理設計者と会話形式で実施する場合の操作を示すフローチャートである。まず、ステップS1でどのような設備管理業務(例えば設備増設)を行うのかを判別する。ステップS2では電気系統図上にて、ステップS1にて判別された設備管理業務(設備増設)を実施する。ステップS3以降は、管理設計業務の処理の流れを示している。即ちステップS2では、設備増設の場合、仮の設備を増設し、これが系統上で実施できるか否かをステップS3以降で判断する。そしてステップS3では管理設計業務支援機能を選択し、ステップS4にて管理設計業務支援機能の例えば容量計算処理を選択する。尚、管理設計業務支援機能には、この容量計算の他に電圧降下計算、短絡電流計算等がある。そしてステップS5にて対象設備を選定することにより管理設計支援結果を出力する。これらステップS2?5では所定の管理設計業務画面が出力される。図4はその一例であり、(A)は入力画面、(B)は出力画面を表し、(a)?(d)はそれぞれ図3のステップS2?5に対応した画面を表している。
【0015】ここで、管理設計業務の一例である容量計算処理について説明すると、ステップS5にて電動機(M003)21を選定した場合、以下の要領にて演算し計算結果値と許容値の比較結果、代案、及び推奨案を出力する。
【0016】まず、ケーブル(CA016)23の容量チェックは次のように行われる。
ケーブルの負荷電流=ケーブルの負荷容量の合計/(電路電圧×√3)
ケーブルの負荷容量の合計=変圧器の実負荷容量+電動機の実負荷容量+増設設備の皮相電力
ケーブルの許容負荷電流=1本当たりの許容負荷電流×本数×許容負荷率
ケーブルの負荷電流値とケーブル許容負荷電流値とを比較する。
【0017】次に、CBS(DS010)25の容量チェックは次のように行われる。ケーブル(CA016)23の負荷電流にて比較する。
ケーブルの負荷電流=ケーブルの負荷容量合計/(電路電圧×√3)
ケーブルの負荷電流値とCBS(DS010)25の定格電流値を比較する。
【0018】次に、VCB(VCB02)27の容量チェックは次のように行われる。
VCBの負荷電流=VCBの負荷容量の合計/(電路電圧×√3)
VCBの負荷容量の合計=変圧器の実負荷容量+電動機の実負荷容量+増設設備の皮相電力
VCBの許容負荷電流=定格電流×許容負荷率
VCBの負荷電流値とVCBの許容負荷電流値を比較する。
【0019】次に、ケーブル(CA001)24の容量チェックは次のように行われる。
ケーブルの負荷電流=ケーブル負荷容量の合計/(電路電圧×√3)
ケーブルの負荷容量の合計=変圧器の実負荷容量+電動機の実負荷容量+増設設備皮相電力
ケーブルの許容負荷電流=1本当たりの許容負荷電流×本数×許容負荷率
ケーブルの負荷電流値とケーブルの許容負荷電流を比較する。
【0020】次に、VCB(VCB01)26の容量チェックは次のように行われる。
VCBの負荷電流=VCBの負荷容量合計/(電路電圧×√3)
VCBの許容負荷電流=定格電流×許容負荷率
VCBの負荷電流値とVCBの許容負荷電流値を比較する。
【0021】変圧器(Tr100)22の容量チェックは次のように行われる。変圧器の負荷容量の合計値は設備管理情報より求める。
変圧器の許容負荷容量=定格容量×許容負荷率
変圧器の負荷容量合計値と変圧器の許容負荷容量値とを比較する。」


段落【0013】の「電動機(M003)21の増設に際しては、ケーブル(CA016)23、CBS(DS010)25が必要となる。管理設計者は図2の系統図上にて設備の追加後管理情報の属性情報を設備毎に設定入力する。」との記載は、電動機(M003)21とケーブル(CA016)23等とが増設した設備として系統図上で追加されるとともに、管理情報にそれらの属性情報が入力されることを意味していると認められる。

段落【0014】?【0021】の記載から、電動機(M003)21を設備増設した場合、変圧器(Tr100)22から電動機(M003)21に至る系統の各電気設備(ケーブル(CA016)23、CBS(DS010)25、VCB(VCB02)27、ケーブル(CA001)24、VCB(VCB01)26、変圧器(Tr100)22)の負荷電流値と許容負荷電流値とを計算し、負荷電流値と許容負荷電流値とを比較し、あるいは、負荷電流値と定格電流値とを比較することで、容量チェックを行うと認められる。

引用文献1には、上記ア?エの事項及び【図1】?【図3】の記載からみて、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
〔引用発明〕
「系統図情報である図面情報及び電気設備の管理設計に必要な管理設計情報を第1データベース6に格納し、
電動機(M003)21、ケーブル(CA016)23、CBS(DS010)25の増設した電気設備を系統図上にて追加後、管理情報の属性情報を電気設備毎に設定入力し、
電動機(M003)21を設備増設した場合、これが系統上で実施できるか判断するために、
変圧器(Tr100)22から電動機(M003)21に至る系統の各電気設備の負荷電流値と許容負荷電流値とを計算し、
各電気設備の負荷電流値と許容負荷電流値あるいは定格電流値とを比較することで容量チェックを行う、方法。」

4.対比・判断
本願発明と引用発明とを対比する。

前者の「電気系統構成データ」及び「電気系統要件」について、本願の明細書の発明の詳細な説明には次の記載がある。
「【0039】
電気系統構成データは、限定しないが例えば、部品位置データ、電気系統編成データ、電気系統階層データ、電気系統接続データ、電気系統構造データ、回路図、部品最大負荷データ、部品最大電流データ、部品最大電圧データ、部品寿命データ、及び部品製造者データを含むことができる。」
「【0045】
・・・電気系統要件は、限定しないが、最低電気性能規格、最大負荷レベルなどの設定要件を含む。・・・」
他方、後者の「管理設計情報」について、引用文献1の段落【0002】(上記「3.(1)ア」参照)には「・・・管理設計情報(例えば定格容量、許容負荷率、電路電圧等の仕様、規格類等の電気設備情報)・・・」と記載されている。
そうすると、後者の「系統図情報である図面情報」と「電気設備の管理設計に必要な管理設計情報」の一部とは、前者の「電気系統の電気系統構成データ」を構成しているといえ、後者の「電気設備の管理設計に必要な管理設計情報」の一部は、前者の「電気系統要件」を構成しているといえる。
以上を踏まえると、後者の「系統図情報である図面情報及び電気設備の管理設計に必要な管理設計情報」は、前者の「航空機の電気系統の電気系統構成データ及び電気系統要件」と、「電気系統の電気系統構成データ及び電気系統要件」である限りにおいて一致する。

後者の「第1データベース6に格納」することは、前者の「データベースに格納すること」に相当する。

後者の「電動機(M003)21、ケーブル(CA016)23、CBS(DS010)25の増設した電気設備を系統図上にて追加後、管理情報の属性情報を電気設備毎に設定入力し、電動機(M003)21を設備増設した場合、これが系統上で実施できるか判断するために、変圧器(Tr100)22から電動機(M003)21に至る系統の各電気設備の負荷電流値と許容負荷電流値とを計算し、各電気設備の負荷電流値と許容負荷電流値あるいは定格電流値とを比較することで容量チェックを行う」ことについて検討する。
(ア)
後者の「電動機(M003)21を設備増設した場合、これが系統上で実施できるか判断するために、変圧器(Tr100)22から電動機(M003)21に至る系統の各電気設備の負荷電流値」「を計算」することは、「電動機(M003)21、ケーブル(CA016)23、CBS(DS010)25の増設した電気設備を系統図上にて追加後、」「電気設備毎に設定入力」された「管理情報の属性情報」に基づいて行われると認められ、また、「各電気設備の負荷電流値」「を計算」することは、各電気設備の負荷の解析と認められる。
そうすると、後者の「電動機(M003)21、ケーブル(CA016)23、CBS(DS010)25の増設した電気設備を系統図上にて追加後、管理情報の属性情報を電気設備毎に設定入力し、電動機(M003)21を設備増設した場合、これが系統上で実施できるか判断するために、変圧器(Tr100)22から電動機(M003)21に至る系統の各電気設備の負荷電流値」「を計算」することは、前者の「電気系統構成データに基づいて、飛行期間中の負荷解析を含む電気系統性能特性を決定すること」行うことと、「電気系統構成データに基づいて、負荷解析を含む電気系統性能特性を決定すること」である限りにおいて一致する。
(イ)
後者の「許容負荷電流値」は、例えば「ケーブル(CA016)23」であれば、「ケーブルの許容負荷電流=1本当たりの許容負荷電流×本数×許容負荷率」から計算されるものであり(上記「3.(1)イ」の段落【0016】参照)、ここで「1本当たりの許容負荷電流」、「許容負荷率」はケーブル(CA016)231本あたりの規格といえ、それらから計算されるケーブル(CA016)23全体の「許容負荷電流値」も規格といえる。
また、後者の「定格電流値」は、電気設備の規格といえる。
、後者において、電気設備の規格は管理設計情報に含まれるものであり(上記「3.(1)ア」の段落【0002】参照)、後者の「管理設計情報」の一部は、前者の「電気系統要件」に相当するといえるので(上記「ア」参照)、後者の「各電気設備の」「許容負荷電流値」及び「定格電流値」は、前者の「電気系統要件」に相当する。
そうすると、後者の「負荷電流値と許容負荷電流値あるいは定格電流値とを比較すること」は、前者の「電気系統性能特性を電気系統要件と比較すること」ことに相当する。

後者の「・・・格納し、・・・計算し、・・・比較することで容量チェックを行う、方法」は、前者の「・・・格納することと、・・・決定することと、・・・比較することとを含む方法」に相当する。

そうすると、両者は、
「電気系統の電気系統構成データ及び電気系統要件をデータベースに格納することと、
電気系統構成データに基づいて、負荷解析を含む電気系統性能特性を決定することと、
電気系統性能特性を電気系統要件と比較することと
を含む方法。」
である点で一致し、以下の点で相違する。
〔相違点〕
本願発明は、「航空機」の電気系統に関するものであり、「飛行期間中の」負荷解析を行うものであるのに対して、引用発明は、電気系統の対象が特定されていない点。

上記相違点について以下検討する。
引用文献2には次の記載がある。なお、括弧内は当審による翻訳である。
「ABSTRACT
A system and method for facilitating design and analysis of a selected component, subsystem, system, or structure of an aircraft. In one embodiment the system and method analyzes an aircraft's electrical power generation and distribution system (EPGDS). The system and method autonomously estimates all screen variables from two inputs, those being the number of engines and maximum takeoff weight, and further allows a designer to override any variables relating to the EPGDS of the aircraft, including the configuration of the EPGDS.」(1頁右欄2?12行)
(要約
航空機の選択されたコンポーネント、サブシステム、システム、または構造の設計および解析を容易にするためのシステムおよび方法。一実施形態では、システムおよび方法は、航空機の発電および配電システム(EPGDS)を分析する。このシステムおよび方法は、エンジンの数および最大離陸重量である2つの入力からすべてのスクリーン変数を自律的に推定し、さらに設計者がEPGDSの構成を含む航空機のEPGDSに関連する任意の変数を無効にすることを可能にする。)
当該記載によれば、引用文献2には、航空機の発電および配電システム(EPGDS)を分析するシステム及び方法が記載されているといえる。
引用文献1には、「【0001】【産業上の利用分野】この発明は、電気系統図、電気設備情報、及び管理設計支援情報を一元化して電気系統図管理設計業務を支援するようにした電気系統図管理設計支援装置に関するものである。」(上記「3.(1)ア」参照)と記載されており、当該記載によれば、引用発明は特定の電気系統だけに適用されるものではなく、むしろ電気系統図が描ける程度に電気設備が配置されたあらゆる電気系統へ適用できると認められる。
そうしてみると、引用発明を、航空機の電気系統に適用することは、引用文献2に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到し得ることといえる。
また、引用発明の「管理設計情報」は適宜に設定しうるものであり、特定の状況の負荷解析を行えるよう管理設計情報を設定することは当業者が適宜になし得ることといえ、航空機に適用した際に「飛行期間中」に対応したものとすることは、技術の具体的な適用に伴い当業者が容易になし得ることといえる。
したがって、引用発明を、航空機の電気系統に適用し、航空機の具体的な状況に即して解析を行うようにし、相違点に係る本願発明の構成とすることは、引用文献2に記載の事項に基づいて当業者が容易に想到し得るといえる。

そして、本願発明の奏する作用及び効果を検討しても、引用発明及び引用文献2に記載の事項から予測できる程度のものであって格別のものではない。
よって、本願発明は、引用発明及び引用文献2に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

5.むすび
以上のとおり、本願の請求項12に係る発明(本願発明)は、引用発明及び引用文献2に記載の事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願の他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-04-11 
結審通知日 2018-04-17 
審決日 2018-05-07 
出願番号 特願2015-14336(P2015-14336)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (B60R)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 志水 裕司  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 平田 信勝
一ノ瀬 覚
発明の名称 電気負荷管理システム  
代理人 園田・小林特許業務法人  

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