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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 A61G
管理番号 1344493
審判番号 不服2017-6490  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-05-08 
確定日 2018-09-21 
事件の表示 特願2014-533328号「一般用医薬品廃棄システム」拒絶査定不服審判事件〔平成25年 4月 4日国際公開、WO2013/049387、平成26年10月27日国内公表、特表2014-528276号〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件出願(以下「本願」という。)は、2012年9月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2011年9月30日米国(US))を国際出願日とする出願であって、平成27年4月9日付けで拒絶理由が通知され、同年7月14日に意見書及び手続補正書が提出され、平成28年1月19日付けで拒絶理由が通知され、同年7月27日に意見書が提出され、同年12月27日付けで拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされ、これに対し、平成29年5月8日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。

第2 本願発明及び明細書の記載事項
本願請求項1?17に係る発明(以下、それぞれ「本願発明1」?「本願発明17」という。)は、平成27年7月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1?17に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

「【請求項1】
ある量の医薬組成物を廃棄する際に使用するためのデバイスであって、
医薬組成物を収容する寸法の密封性容器;および
密封性容器の内側に存在し、密封性容器の内側の液体透過性エンクロージャーに内包されている、ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭
を含むデバイス。
【請求項2】
密封性容器が再封性容器である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
容器がパウチとして構成されている、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
液体透過性エンクロージャーが透水性エンクロージャーである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
デバイスがさらに乱用防止用忌避剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
デバイスが通気孔を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
容器がさらにある量の液体を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
デバイスが懸濁化剤を含む、前記請求項のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項9】
ある量の医薬組成物を廃棄する方法であって、
ある量の医薬組成物を請求項1?8のいずれか1項に記載の密封性容器に入れ;そして
密封性容器を密封する
ことを含む方法。
【請求項10】
その方法が、容器の密封後に容器の内容物の何らかの混合を含まない、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
医薬組成物が液体である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
医薬組成物が固体である、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
固体医薬組成物がパッチであり、その方法が、パッチを密封性容器に入れる前にパッチを折りたたむことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
その方法が、容器を地方自治体の衛生システムに廃棄することを含む、請求項9?13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1?8のいずれか1項に記載の密封性容器;および ティッシュペーパーを含むキット。
【請求項16】
ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭を再封性容器に入れて、請求項1?8のいずれか1項に記載の密封性容器を作成することを含む方法。
【請求項17】
ある量の医薬組成物を廃棄する際に使用するためのデバイスであって、
医薬組成物を収容する寸法の密封性容器;および
密封性容器の内側に存在するある量の不活性化物質であって、容器の内面に接着した層中にある不活性化物質
を含むデバイス。」

また、本願明細書における発明の詳細な説明には、次の事項が記載されている(下線は当審で付加した。また、以下「A」?「C」の記載事項は、それぞれ「記載事項A」?「記載事項C」という。以下同様。)。

A「【0002】
経口摂取、注射などによる処方箋調剤薬、特に麻薬および他の規制物質の乱用の誘惑および可能性は周知である。この広範な乱用問題は、モルヒネ、オキシコンチン、フェンタニールおよび他の多数のものに関連する現在の問題により代表される。
【0003】
残念ながら、医薬品に関連する問題は乱用性麻薬に限らない。AP通信社による最近の調査報告によれば、アメリカ人は毎年2億5000万ポンドの医薬を下水に流している(たとえば、Living on Earth.org online interview with the EPA, October 3, 2008を参照)。さらに、この医薬組成物廃棄の習慣により全米の多数の主要都市の飲料水供給施設が汚染されている(たとえば、Air Force Print News Today, March 24, 2008を参照)。
【0004】
これらの汚染物質は、環境にリスクを課す;人類、魚類および野生生物に悪影響を及ぼしている。潜在的問題には、異常な生理的プロセス、生殖障害、癌の証拠の増加、および抗微生物剤耐性生物の出現が含まれる(参考文献: Kansas Dept of Health and Environment, March 22, 2007)。医薬による環境汚染の主要な根源は、未使用または期限切れの医薬品の廃棄にある(参考文献:eMedicineHealth March 21, 2008)。歴史的に、これらの医薬はトイレに流され、あるいは屑籠に捨てられ、それらは最終的に地下水供給源に集積する結果となる可能性を伴なう。トイレに流すのをFDAが黙認している唯一の医薬品は、乱用の可能性がある規制物質である。したがって、多くの人々は未使用または期限切れの医薬をどのようにして廃棄するのが最良であるかというジレンマに直面する。
【0005】
特に重要なことは、経皮パッチ技術に含まれる医薬品に関連する乱用または環境への放出の可能性である。
【0006】
残念ながら、経皮パッチについては、患者がそれらを処方された期間装着した後に、著しい量の薬物がパッチに残留している。この過剰量の薬物の必要性は周知である;経皮適用では装着期間全体において適切な駆動力を保証することが要求される。たとえば、完全に72時間の装着期間装着されたDuragesic(登録商標)(Johnson & Johnsonの商標)パッチの公表された試験では、フェンタニールの元の装填量の28?84.4%がなおパッチに残留していた。その試験の著者らは、残留量は乱用および誤用に十分な量であり、致死的な可能性すらあると結論した(Marquardt et al, Ann Pharmacother, 1995, 29:969-71)。
【0007】
環境および乱用の問題が経皮パッチ剤形中の医薬品に限らないことは確かである。事実、医薬品は経口用の丸剤または液剤の剤形のものが最も多い。未使用または期限切れの経口用医薬品が廃棄されると、これらの医薬品を他の者が屑籠から回収して乱用する可能性がある。さらに、大量の廃棄医薬品から化合物が経時的に地下水供給源へ放出されるのは避けられない。
・・・
【0009】
医薬品廃棄システムを提供する。これらのシステムの側面には、医薬組成物を収容する寸法の密封性容器;および密封性容器の内側に存在する、ある量の不活性化物質、たとえば顆粒状またはペレット状の活性炭を備えた、デバイス(device)が含まれる。本発明の側面には、さらにそれらのシステムを作成および使用する方法、ならびにそのシステムのデバイスを含むキットが含まれる。」

B「【0020】
デバイス
前記に概説したように、医薬組成物の廃棄に使用するためのデバイスを提供する。デバイスの側面は、密封性容器および容器内に存在するある量の不活性化剤を含む。密封性容器は、いずれか好都合な形状をもつことができる。ある場合には、密封性容器は不活性化すべき医薬組成物を収容する寸法のものである。容器について着目される形状には、ボトル、バッグ、パウチなどが含まれるが、これらに限定されず、その際、容器の壁は希望に応じて剛性または可撓性であってよい。容器が医薬組成物を収容する寸法のものである態様において、容器の内部容積は医薬組成物を容器の内側に配置できるものであろう;その際、ある場合には、医薬組成物をその内側に配置した際に、ある容量の液体、たとえば1/4から2カップまで、またはそれ以上の液体を収容するための、余分な空間もある。したがって、容器の容積は、ある場合には50から500mlまで、たとえば100から400mlまでまでの範囲であってもよく、これには200から375mlまでが含まれる。容器がパウチまたはバッグの形状をもつ場合、そのサイズは、ある場合には2×3インチから8×10インチまでの範囲で変更できる。容器の壁の厚さは変更できるが、ある場合には壁は0.1から2.0mmまで、たとえば0.1から1.0mmまでの範囲の厚さをもつ。容器は液体、たとえば水性液体に対して不透過性であるいずれか好都合な材料から作成でき、その際、着目される材料にはポリマー材料(たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニルなど)が含まれ、それらの材料は希望に応じて透明、半透明または不透明であってよい。
【0021】
前記に概説したように、容器は密封性である。したがって、容器は密封性クロージャー器具(たとえば、再封性クロージャー器具)を含み、それを開くと医薬組成物を容器内へ投入するための入口が得られる。容器またはパウチを閉じるための密封性クロージャー器具は、使用済み医薬品を廃棄するための閉鎖システムも提供する。この閉鎖システムは、医薬組成物を容器内に密封するための接着シールまたはプラスチック容器再封器具、たとえば商標ZIPLOC(登録商標)に関連するものを含むことができる。
【0022】
容器の内側にはある量の不活性化物質が存在する。着目される不活性化物質は、医薬組成物の有効薬剤と接触した際に、有効薬剤を少なくとも部分的に不活性化する物質、すなわち有効薬剤の活性を破壊しないとしても少なくとも低減する物質である。着目される不活性化物質には結合剤が含まれるが、これらに限定されない;その際、用語“結合剤”は、接触した際に有効薬剤を固定化するかあるいは他の形で失活させる物質または物質の組合わせを意味する。着目される結合剤には、有効薬剤を吸着する吸着性物質または有効薬剤を化学結合する化学吸着剤が含まれる。着目される物質は、医薬組成物の有効薬剤と接触した際に直ちに固定化または他の失活作用を開始するものである。
【0023】
着目される結合剤には、医薬品を固定化して、普通に利用できる手段で将来分離するのを妨げる作用剤が含まれる。そのような作用剤の具体例には、限定ではなく、ゼオライト、クレー、シリカゲル、酸化アルミニウムおよび活性炭が含まれる。活性炭は、フェンタニールなどの合成オピオイドを含めた有効薬剤を吸着または化学吸着するために適切である。用語“活性炭”はそれの一般的な意味で、500m2を超える表面積が得られるように処理された形態のカーボンを表わすために用いられる。活性炭は、結合剤として存在する場合、粉末状、顆粒状またはペレット状であってもよい。粉末状の活性炭は0.25mm以下、たとえば0.15から0.25mmまでの平均粒度をもつ粒状(particular)カーボン組成物であり、一方、顆粒状またはペレット状の活性炭は0.25mm以上、たとえば0.25から5.0mmまでの平均サイズをもつ粒子またはペレットから構成される。活性炭が粉末状(他の形状も同様)で存在するある場合には、活性炭は容器内で自由に流動しないであろう;すなわち、以下にさらに詳細に記載するように、活性炭は容器の他の構成要素、たとえば容器の壁、容器内の固体支持体(support)、または容器の内側のパウチに、安定に付随しているであろう。活性炭が顆粒状またはペレット状で存在するさらに他の例では、顆粒状またはペレット状の活性炭は容器内で自由に流動してもよい。
【0024】
結合剤のほかに、またはその代わりに、不活性化物質は、何らかの様式で医薬組成物の有効薬剤を使用不可能にする他の物質を含むことができる。したがって、不活性化物質は拮抗物質、酸化性化合物、刺激性化合物、または乱用防止用忌避剤(anti-abuse distressing agent)のうち1以上を含有することができる。そのような化合物を単独で、または組み合わせて、結合剤の代わりに、または結合剤のほかに、不活性化物質中に使用できる。結合剤と組み合わせて用いる場合、希望に応じてそのような化合物を結合剤の一部に予め吸着させておいてもよい。着目される拮抗物質は、医薬組成物の有効薬剤に対して拮抗作用を示すもの、たとえばオピオイドに対するナロキソンまたはナルトレキソンである。そのような酸化剤の例には、ペルボレート、ペルカーボネート、ペルオキシド、および次亜塩素酸塩が含まれる。刺激性化合物の例には、カプサイシンまたは吐根が含まれる。乱用防止用忌避剤の例には、苦味剤、たとえばデヒドロコール酸が含まれる。
【0025】
容器内の不活性化物質の量は変更でき、それのためにデバイスが構成された医薬組成物中の有効薬剤の量を実質的に不活性化するのに理論的に要求される量より多くなるように選択できる。厳密な量は変動する可能性があるが、ある場合には、有効薬剤に対する不活性化物質(たとえば、活性炭)の重量比は2(すなわち、2/1)以上、たとえば3以上であり、これには4以上、たとえば5以上が含まれる。
【0026】
前記に示したように、ある場合には不活性化物質は容器の内側で自由に流動しない。言い換えると、不活性化物質は容器の他の何らかの構成要素、たとえば容器の内壁、容器内に存在する支持体、または容器の内側の液体透過性パウチなどに、安定に付随している。“安定に付随している”とは、少なくとも容器の使用前は、たとえば液体を容器に入れる前は、不活性化物質が他の構成要素に対して固定化されていることを意味する。したがって、ある場合には、不活性化物質を容器の内面に、たとえば容器の内面上の層として接着させることができる。所望により、液体透過性カバー(すなわち、ライナー)をこの層上に配置してもよい。他の態様において、支持体(たとえば、可撓性または剛性で、透過性または不透過性の固体構造物)を容器の内側に、接着させずに配置してもよく、その際、不活性化物質は支持体の1以上の表面に安定に付随している。
【0027】
ある場合には、不活性化物質は液体透過性、たとえば透水性のエンクロージャー(たとえば、パウチ)中に存在してもよく、このエンクロージャーは液体をそのエンクロージャーの内側へ通過させるが、少なくとも液体と接触させる前はエンクロージャーの内容物をエンクロージャーの内側に保持する。ある場合には、エンクロージャーは、そのエンクロージャーを液体と接触させた後でも不活性化物質をエンクロージャーの内側に保持している透水性材料から作成される。内側エンクロージャーにはいずれか好都合な材料を使用でき、それには一般にティーバッグに用いられる材料、たとえばセルロース材料などが含まれる。ある場合には、材料は液体、たとえば水に溶解するものである;すなわち、その材料は水溶性である。そのような態様において、着目されるパウチ材料にはたとえばポリマー材料が含まれ、それらをフィルムまたはシートに成形する。たとえばパウチ材料は、たとえばポリマー材料のキャスチング、吹込み成形、押出、または吹込み押出により得ることができる。パウチとして使用するのに適したポリマー、コポリマーまたはその誘導体には下記のものが含まれるが、それらに限定されない:ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキシド類、アクリルアミド、アクリル酸、セルロース、セルロースエーテル類、セルロースエステル類、セルロースアミド類、ポリ酢酸ビニル類、ポリカルボン酸類および塩類、ポリアミノ酸類またはペプチド類、ポリアミド類、ポリアクリルアミド、マレイン酸/アクリル酸コポリマー類、デンプンおよびゼラチンを含む多糖類、天然ゴム、たとえばキサンタム(xanthum)およびカラガム(carragum);ポリアクリレート類および水溶性アクリレートコポリマー類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マルトデキストリン、ポリメタクリレート類、ポリビニルアルコール類、ポリビニルアルコールコポリマー類、およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ならびにその組合わせ。ポリマーはいずれかの重量平均分子量、たとえば1000から1,000,000まで、たとえば10,000から300,000までをもつことができ、これには20,000から150,000までが含まれる。ポリマーの混合物もパウチ材料として使用できる。これは、コンパートメントまたはパウチの用途および要求されるニーズに応じてその機械的特性および/または溶解特性を制御するのに有益な可能性がある。適切な混合物には、たとえば1種類のポリマーが他のポリマーより高い水溶性をもつ混合物、および/または1種類のポリマーが他のポリマーより高い機械的強度をもつ混合物が含まれる。同様に適切なものは、異なる重量平均分子量をもつポリマーの混合物である;たとえば、重量平均分子量10,000?40,000、たとえば約20,000のPVAまたはそのコポリマーと重量平均分子量100,000?300,000、たとえば150,000のPVAまたはそのコポリマーとの混合物。同様に本発明に適したものは、たとえば加水分解性ポリマーと水溶性ポリマーのブレンドを含むポリマーブレンド組成物、たとえばポリラクチドおよびポリビニルアルコールであり、これはポリラクチドとポリビニルアルコールを混合することにより得られ、たとえば約1?35重量%のポリラクチドおよび約65重量%?99重量%のポリビニルアルコールを含む。内側エンクロージャーは容器に連結していてもよく、連結していなくてもよい。」

C「【0093】
1.一般用医薬品失活システムの試験;A)溶液と直接接触する顆粒状活性炭を使用、およびB)水透過性内部パウチにそれ自体が内包された顆粒状活性炭を使用
A.方法
4mgのデキサメタゾン丸剤をモデル薬物として用い、30個の丸剤を、下記のものが内包された5つのパウチにそれぞれ入れた:1)吸収剤なし(対照);2)45グラムの一般的な猫砂;3)45グラムの使用済みコーヒーかす;4)MedsAway(商標)デザイン“A”:45グラムの自由に接近できる顆粒状活性炭(図1Aに示すデバイスと同じであるが、内部パウチがなく、遊離した顆粒状活性炭を含む);および5)MedsAway(商標)デザイン“B”:内部の水透過性/カーボン不透過性パウチに内包された45グラムの顆粒状活性炭(図1Aと同様)。1カップの水道水を各パウチに添加し、続いて7日間の保温期間を置く。水溶液に含有される薬物を分析する。最終洗出試験で、各パウチの含有物を1ガロンの水道水中に希釈し、1日間、定期的に混合し、水に放出されたデキサメタゾンをHPLCにより分析する。
【0094】
B.結果
この実験の結果を図3にグラフで示す。MedsAwayデザイン“A”またはMedsAwayデザイン“B”のいずれにも測定可能なデキサメタゾンは放出されなかった。他のすべての条件で有意量のデキサメタゾンが放出された。」

D さらに、本願には、以下の図が添付されている。


第3 原査定の概要
原査定の拒絶の理由は、概略、次のとおりのものである。
本願発明1?17は、本願の優先権主張の日(以下「優先日」という。)前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の引用文献1に記載された発明及び引用文献2に記載された技術的事項(周知の技術的事項)に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

引用文献1:米国特許出願公開第2009/0180936号明細書
引用文献2:特開2001-774号公報

第4 各引用文献の記載事項等
1 引用文献1に記載された事項及び発明
原査定の拒絶の理由に引用文献1として示され、本願の優先日前に頒布された米国特許出願公開第2009/0180936号明細書(2009年7月16日公開。以下、原査定と同様に「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている(下線は当審で付加した。また、以下「1a」?「1d」の記載事項は、それぞれ「記載事項(1a)」?「記載事項(1d)」という。以下同様。)。

(1a)第4ページ右欄第40行?第56行
「What is claimed is:
1 . A disposal system for reducing substance abuse or environmental contamination from unused medications, said system comprising:
(a) a disposable, sealable container that can be opened to receive an amount of unused
medication substance therein;
(b) an amount of an active binding agent in said container for treating said medication
on contact, said binding agent including an amount of material selected from the group
consisting of adsorption and chemisorption agents that generally prevent later independent
extraction of said medication, such that insertion of said medication into said container
will cause said medication to contact said binding agent; and
(c) said container including a closure for sealing said container to thereby capture a
treated medication.」

当審訳
「請求の範囲:
1.未使用の薬剤からの物質の乱用又は環境汚染を削減するための処分システムであって、前記システムは、
(a)開放できる使い捨ての密封可能な容器であって、その中にある量の未使用の薬剤物質を受け入れるために開放できる使い捨ての密封可能な容器と、
(b)接触時に前記薬剤を処理するための、前記容器内のある量の活性結合剤であって、前記結合剤が、一般に前記薬剤の後の独立した抽出を妨げる、吸着剤及び化学吸着剤でなるグループから選択されるある量の物質を含み、前記薬剤の前記容器内への挿入が、前記薬剤と前記結合剤との接触を引き起こす、前記結合剤と、
(c)前記容器であって、前記容器を密封するためのクロージャを含み、それによって処理済みの薬剤を捕捉する前記容器、
を含む。」

(1b)「[0018] Possible binding agents include, without limitation, zeolites, clays, silica gel, aluminum oxide and activated carbon. Preferred binding compositions include those binding agents which may be adsorbents or chemisorption agents for the medication. These agents immobilize the medication and preclude future separation by normally available means. Activated carbon has been found to be a material particularly suitable for the adsorption or chemisorption of medication compounds, including synthetic opioids such as fentanyl. Thus, contacting these compounds with a suitable binding agent has been found to thereafter prevent extraction by normal solvents in abuse circumstances, or groundwater supplies for environmental contamination.
[0019] Activated carbon has been found to be useful as a preferred adsorption substance in a binding agent for medication disposal purposes, however, it does have certain limitations that need to be overcome. One such limitation relates to shelf stability.
[0020] While activated carbon is known to be a near universal adsorbent for many compounds, its use has been generally limited to removal of trace contaminates through incorporation into filtration units of water or air supplies. Further, it has a finite capacity for adsorption. Once saturated, it loses effectiveness. If the activated carbon is exposed to normal atmosphere in shelf storage, it will eventually become deactivated due to adsorption of gaseous impurities found in air. Therefore, it has been found that activated carbon used in accordance with this invention requires protection from deactivation by contamination during storage conditions to preserve and prolong shelf life.
[0021] The use of activated carbon as an adsorptive substance in a binding agent requires direct contact with the medication of interest. If activated carbon and the species desired to be inactivated are both in solid form, deactivation may not be fully accomplished if contact between binding agent and medication is not complete. Further, since activated carbon is insoluble in water, it is not uniformly present in aqueous solutions.
[0022] It is an aspect of this invention to provide contact enhancement techniques. These include substances or media to dissolve medications that are in solid form, and substances to suspend activated carbon while in solution to improve contact with the medication of interest and provide complete deactivation.
[0023] One form of embodiment for a system for deactivating unused or expired medications in accordance with the present invention is a kit that includes a disposable container to receive the medication of interest. The disposable container contains an amount of activated carbon sufficient to adsorb or chemisorb a labeled capacity for medication. Optionally, the container also includes an amount of gelling agent which enables suspension of the activated carbon and medication together in a viscous slurry to achieve intimate contact between the activated carbon and dissolved medication throughout the slurry. This has been found to be very efficient. One gelling agent that is preferred is HPMC (Hydroxypropylmethylcellulose), at a concentration by weight of from 0.5 to 5.0% (w/w) when mixed with an amount of water. The process using a gelling agent has an additional advantage because the viscous gel helps retain the mixture, including medications in dissolved form, within the container, e.g. it will not leak out readily as would a non-viscous solution should there be a breach in the container.
[0024] Other useful additives include compatible oxidizing agents. These agents generally help break down the unused or expired medications into inactive or less active forms while the adsorption process is taking place. Examples of such oxidizing agents include perborates, percarbonates, peroxides, and hypochlorites.
[0025] In a further aspect of the invention, the disposable containers are sealed while in storage prior to use and are kept substantially impermeable to gaseous organic compounds so that the activated carbon retains its adsorption capability. Each container is provided with a sealable opening (preferably resealable), which when opened provides access to deposit the unused or expired medications. In the cases where the unused or expired medications are in solid form (pills, patches, etc,), an amount of water is added to the container sufficient to dissolve the medication. Generally, the amount of water added is approximately 20 fold greater than the amount of medication to become deactivated. Medications added to the device along with water slowly dissolve into the liquid, and, through diffusion within the liquid (or gelled slurry), the medications will contact the activated carbon and become adsorbed (deactivated).」

当審訳
「[0018] 考えられる結合剤は、制限なく、ゼオライト、粘土、シリカゲル、酸化アルミニウム、及び活性炭を含む。好ましい結合組成物は、薬剤の吸着剤又は化学吸着剤であってよいそれらの結合剤を含む。これらの作用物質は薬剤を不動化し、通常使用可能な手段による将来の分離を不可能にする。活性炭は、フェンタニル等の合成オピオイドを含む薬剤化合物の吸着又は化学吸着に特に適していることが判明している。したがって、これらの化合物を適切な結合剤に接触させることは、その後、乱用状況での、又は環境汚染のための地下水源での通常の溶剤による抽出を防止することが判明している。
[0019] 活性炭は、薬剤処分目的で、結合剤の中の好ましい吸着物質として有用であることが判明しているが、活性炭には乗り越える必要のある特定の制限がある。かかる1つの制限は保存性に関する。
[0020] 活性炭は多くの化合物に対してほぼ汎用な吸着剤であることが知られているが、その使用は、一般に、水源又は空気源のろ過ユニットの中に入れることによる微量の汚染の除去に制限されている。さらに、活性炭の吸着容量は有限である。いったん飽和すると、活性炭は効果を失ってしまう。活性炭は、保存庫で通常大気に露呈されると、空気中に見られるガス状の不純物の吸着のために最終的には失活してしまう。したがって、本発明に従って使用される活性炭は、保存可能期間を保ち、延長するために、保存状態の間の汚染による失活から保護される必要がある。
[0021] 結合剤中の吸着物質として活性炭を使用するには、対象とする薬剤との直接的な接触が必要である。活性炭及び失活が所望される種類が、ともに固形である場合、結合剤と薬剤の接触が完全ではない場合、失活は完全に達成され得ない。さらに、活性炭は水に不溶であるので、活性炭は水溶液中に均一に存在しない。
[0022] 接触強化技法を提供することは、本発明の一態様である。これらの技法は、固形である薬物を溶解させるための物質又は媒質、及び溶液中で活性炭を懸濁し、対象とする薬剤との接触を改善し、完全な失活を実現する物質を含む。
[0023] 本発明に従って未使用の薬剤又は期限切れの薬剤を失活させるためのシステムの実施形態の1つの形は、対象とする薬剤を受け入れるための使い捨ての容器を含むキットである。使い捨て容器は、薬剤のラベル表示されている容量を吸着又は化学吸着するために十分なある量の活性炭を含む。任意選択で、この容器は、活性炭及び薬剤を、粘性スラリーの中に懸濁し、スラリー全体で活性炭と、溶解した薬剤の密接な接触を達成できるようにするある量のゲル化剤も含む。これは、非常に効率的であることが判明している。好ましい1つのゲル化剤は、ある量の水と混合されたときの0.5から5.0%(w/w)の重量濃度でのHPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)である。粘着性ゲルが、容器の中に、溶解した形の薬剤を含む混合物を保持するのに役立つため、ゲル化剤を使用するプロセスは、例えば、粘着性ゲルが、万一容器に裂け目があった場合に粘性ではない溶液が漏れ出すように容易に漏れ出さない等、追加の利点を有する。
[0024] 他の有用な添加物は、融和性のある酸化剤を含む。これらの作用物質は、一般に、吸着プロセスが起こっている間に、未使用の薬剤又は期限切れの薬剤を非活性な形又はあまり活性ではない形に分解するのに役立つ。かかる酸化剤の例は、過ホウ酸塩、過炭酸塩、過酸化物、及び塩酸塩を含む。
[0025] 本発明の追加の態様では、使い捨て容器は、使用前の保管中は密封され、活性炭がその吸着能力を保持するようにガス状の有機化合物に対して実質的には不浸透性に保たれる。各容器には、開放時に、未使用の薬剤又は期限切れの薬剤を処分するためにアクセスできるようにする、密封可能な開口部(好ましくは再び閉じることのできる)が備えられる。未使用の薬剤又は期限切れの薬剤が固形(錠剤、パッチ等)である場合では、薬剤を溶解するために十分なある量の水が容器に付加される。一般に、付加される水のその量は、失活する薬剤の量の約20倍である。水とともに装置に付加される薬剤は、液体の中にゆっくりと溶解し、液体(又はゲル化したスラリー)内での拡散を通して、薬剤は活性炭と接触し、吸着される(失活される)。」

(1c)「[0036] FIGS. 1 and 2 depict front and side views of a medication disposal kit, respectively, which is in the form of a disposal pouch having an outer barrier substantially impervious to water and organic vapor with active binding agents incorporated within. The pouch is depicted generally by 10 and includes a seal layer 12 that can be opened using a tear notch 14 . Further, the pouch includes a reusable zip lock seal 16 so that the pouch can be reclosed after insertion of the waste medications. The pouch has an outer barrier 18 that is of a material substantially impermeable to organic vapors such as aluminum foil. An amount of activated carbon and gelling agent is shown inside the pouch at 20 and a label is shown at 22.
[0037] The tear notch 16 is used to unseal the pouch prior to use and expose an open volume for insertion of water and waste medications in pill or other solid form, liquid or skin patch form. After such insertions, the pouch is resealed by use of the zipping seal 16 . While a pouch is depicted, it will be recognized and appreciated that other containers such as plastic or glass jars, etc. can also provide effective containment systems. The water dissolves the waste solid medications or combines with liquids, and thereafter, the activated carbon binds them through an adsorption or chemisorption process. The adsorbed or chemisorbed species then becomes substantially retained onto a solid substrate where it remains in a medically inactive state, and inhibited from dissolution or leaching into the environment.
[0038] It will be appreciated that the activated carbon may be any of a variety of mesh sizes from finely divided to granular depending on the application. Although powder sized activated carbon can be used, a preferred range is from about 8 mesh to about 325 mesh. The particular preferred average mesh size will depend on the particular application of a disposal system or kit and kits having a variety of average mesh sizes are contemplated.」

当審訳
「[0036] 図1及び図2は、水及び有機蒸気を実質的に通さない外側障壁を有し、内部に活性結合剤が組み込まれている使い捨てパウチの形をとる薬剤処分キットのそれぞれ前面図及び側面図を示す。一般に、パウチは10で示され、切り口14を使用して開放できるシール層12を含む。さらに、パウチは、廃棄薬剤を挿入後に再度閉じることができるように再使用可能なジップロックシール16を含む。パウチは、アルミニウムフォイル等の有機蒸気に実質的に不浸透性の材料からできている外側障壁18を有する。ある量の活性炭及びゲル化剤がパウチの内部の20で示され、ラベルは22で示される。
[0037] 切れ目16は、使用前にパウチの封を切り、水、及び錠剤又は他の固体、液体又はスキンパッチの形態をとる廃棄薬剤を挿入するための開放量を露呈するために使用される。かかる挿入の後、パウチはジップシール16を使用することで再び閉じられる。パウチが示されているが、プラスチック又はガラスのビン等の他の容器も効果的な格納システムを提供できることが認識され、理解される。水は廃棄固形薬剤を溶解するか、又は液体と混合し、その後、活性炭が吸着又は化学吸着のプロセスを通してそれらを結合する。次に、吸着された又は化学吸着された種は、それが医学的に非活性な状態に留まり、環境の中に溶解する又溶け出すのを抑制する、固形基板の上に実質的に保持されるようになる。
[0038] 活性炭が、用途に応じて、細かく分割されたもの(finely divided)から粒状まで多岐に渡る網目サイズのどれであってもよいことが理解される。粉末サイズの活性炭を使用できるが、好ましい範囲は約8メッシュから約325メッシュである。特定の好ましい平均網目サイズは、処分システム、又はキットの特定の用途次第であり、多岐に渡る平均網目サイズを有する複数のキットが考えられる。」

(1d)引用文献1には以下の図が示されている。


以上の記載事項(1a)?(1d)を総合すると、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されていると認められる。

「未使用の薬剤からの物質の乱用又は環境汚染を削減するための処分システムであって、前記システムは、
(a)開放できる使い捨ての密封可能な容器であって、その中にある量の未使用の薬剤物質を受け入れるために開放できる使い捨ての密封可能な容器と、
(b)接触時に前記薬剤を処理するための、前記容器内のある量の活性結合剤であって、前記結合剤が、一般に前記薬剤の後の独立した抽出を妨げる、吸着剤及び化学吸着剤でなるグループから選択されるある量の物質を含み、前記薬剤の前記容器内への挿入が、前記薬剤と前記結合剤との接触を引き起こす、前記結合剤と、
(c)前記容器であって、前記容器を密封するためのクロージャを含み、それによって処理済みの薬剤を捕捉する前記容器、
を含み、
前記結合剤中の吸着物質として活性炭を使用し、
前記活性炭が粒状である、
システム。」

2 引用文献2に記載された事項
原査定の拒絶の理由に引用文献2(常套手段ともいうべき周知の技術的事項を示す文献)として示され、本願の優先日前に頒布された特開2001-774号公報(以下、原査定と同様に「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。

(2a)「【0004】そこで、洗剤による洗濯機能を補助あるいは置換するために、備長炭が有する優れた吸着機能を利用することが考えられた。備長炭を水中に投入しておくと、水中に含まれる微細な汚れを吸着除去して水を浄化することが知られている。洗濯槽の水中に備長炭を投入しておけば、水中の汚れを吸着除去して、洗剤による洗浄効果を増強したり、洗剤の代わりに洗浄機能を果たすことも可能になると考えられた。なお、備長炭は炭の1種であるが、特殊な焼成方法を採用しているため、水中に投入しておいても、水や洗濯物を着色する心配はない。
【0005】しかし、通常の棒状形態の備長炭を洗濯槽に投入しても、十分な浄化機能を発揮させることはできなかった。備長炭を細かく砕いておけば、表面積が増大することで水の浄化機能が向上すると考えられるが、洗濯作業の終了後に備長炭を洗濯物と分離して回収するのが困難である。また、備長炭は比重が大きいため、洗濯槽の水中で底のほうに沈んでしまい、水面に浮き上がり易い汚れを吸着除去することが難しい。
【0006】本発明の課題は、前記した備長炭などの浄化機能を有する無機材料の特性を有効に活用して、洗濯機における洗濯作業の効率化を図るとともに洗剤の使用量を削減し排水による環境汚染を減少させることである。」

(2b)「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる洗濯機用浄化装置は、洗濯機の洗濯槽に投入され、洗濯水を浄化する装置であって、親油性繊維で作製され通水性を有する収容袋と、収容袋に充填され、汚れ吸着機能を有する無機材料片と、収容袋に前記無機材料片と均等に混合されて充填され、浄化装置全体の比重を0.9?0.93に調整する比重調整片とを備える。
〔収容袋〕親油性繊維とは、油性物質に対して親和性あるいは吸着性を有する材料からなる繊維である。具体的には、ポリプロピレンやポリ塩化ビニルなどの合成繊維が使用できる。収容袋の比重を調整し易くするには、親油性繊維として比較的に比重の小さな材料、具体的には、比重が1.0以下のものが好ましい。
【0008】収容袋は、親油性繊維を材料とする不織布あるいは編織布で構成される。収容袋を構成する材料には、製造上あるいは機能上の問題などから、親油性繊維の機能を阻害しない範囲で、一部に親油性を有しない繊維を配合しておくこともできる。収容袋は、必要量の無機材料片および比重調整片を、脱落しないように収容しておけるとともに、汚れを含んだ洗濯水が流通できる通水性を有していることが必要である。収容袋を構成する不織布や編織布の空隙率、繊維や糸の密度を適宜に調整することで、前記各片の脱落防止と通水の両機能を適切に発揮させることができる。
【0009】収容袋の形態は、内部に無機材料片や比重調整片を充填した状態で、球体、楕円球体、円柱体など、外面に角がなく、対称形であって、水中あるいは水面上で自由に回転したり移動したりし易いものが好ましい。球体は、外部から加わる力によって、任意の方向に回転したり移動したりできるので好ましい。収容袋の立体形状は、複数枚の布材料を縫製したり、接着あるいは熱融着したり、布材料を加熱あるいは加圧により立体的に成形したりして作製することができる。
【0010】浄化装置の浮力を増やすために、収容袋を構成する親油性繊維あるいは出来上がった収容袋に撥水処理を施しておくことが有効である。撥水処理された収容袋は、水中で繊維間あるいは糸の内部に空気を閉じ込める作用がある。空気を含んでいることで浮力が付くので、浄化装置の比重を実質的に増やすことができる。撥水処理として、シリコン加工が適用できる。親油性繊維は、シリコン加工による撥水処理が行い易く好都合である。
〔無機材料片〕洗濯水を浄化する機能を有していれば、吸着機能を有する各種の無機材料からなる小片が使用できる。具体的には、備長炭、竹炭、トルマリン鉱石、麦飯石などが用いられる。備長炭は、1200℃程度の高温で焼成された炭であり、非常に硬質であり、内部に微細な多孔質構造を有し、各種の物質を効率的に吸着する機能がある。トルマリン鉱石は、電気石とも呼ばれ、洗濯水に電気的な作用を及ぼすことで浄化作用を高める機能がある。
【0011】無機材料片は、その表面積を増大させて浄化機能を高めるには、出来るだけ小さな寸法のものが好ましいが、収容袋からの脱落や磨滅、破壊などの問題も考慮して、適切な寸法範囲のものが用いられる。具体的には、最大長さで規定して1?3mm程度のものが好ましい。無機材料片の形状は、材料の性状や製造方法によっても異なり、球形、円柱形、鱗片形あるいは無定形などをなしている。」

(2c)引用文献2には以下の図が示されている。


第3 対比
本願発明1と引用発明とを対比する。

1 引用発明の「未使用の薬剤物質」、「密封可能な容器」及び「活性炭」は、その意味、機能または構造からみて、本願発明1の「医薬組成物」、「密封性容器」及び「活性炭」に相当する。

2 本願発明1の「デバイス」は「密封性容器」及び「活性炭」を含むものである。
引用発明の「密封可能な容器」及び「吸着物質として活性炭を使用し」た「活性結合剤」は、「結合剤中の吸着物質として活性炭を使用」するものであって、全体として「未使用の薬剤からの物質の乱用又は環境汚染を削減するための処分システム」をなす装置であることが明らかであるから、引用発明の「密封可能な容器」及び「活性結合剤」は、その意味、機能または構造からみて、本願発明1の「デバイス」に相当する。
また、引用発明の「処分システム」は、「ある量の未使用の薬剤物質を受け入れる」「密封可能な容器」によって、「処理済みの薬剤を捕捉」し、処分するのであるから、「ある量の未使用の薬剤物質」を廃棄する際に使用することは明らかである。
そうすると、引用発明の「未使用の薬剤からの物質の乱用又は環境汚染を削減するための処分システム」が「その中にある量の未使用の薬剤物質を受け入れるために開放できる使い捨ての密封可能な容器」であって「処理済みの薬剤を捕捉する前記容器」及び「吸着物質として活性炭を使用し」た「活性結合剤」を含むことは、その意味、機能または構造からみて、本願発明1の「ある量の医薬組成物を廃棄する際に使用するためのデバイス」に相当する。

3 引用発明の「密封可能な容器」は「その中にある量の未使用の薬剤物質を受け入れるために開放できる」のであるから、薬剤物質を受け入れる、すなわち収容する寸法であることは明らかである。
そうすると、引用発明の「その中にある量の未使用の薬剤物質を受け入れるために開放できる使い捨ての密封可能な容器」は、本願発明1の「医薬組成物を収容する寸法の密封性容器」に相当する。

4 引用発明の「活性結合剤」は、「前記容器内のある量の」ものであるから、「密封可能な容器」の内側に存在することは明らかである。
また、引用発明の「活性炭」は「粒状である」ところ、「顆粒」の字義は「粒。」(株式会社岩波書店・広辞苑第六版)であるから、引用発明の「粒状である」「活性炭」は、その性状からみて、顆粒状またはペレット状の活性炭に含まれる。
そうすると、引用発明の「接触時に前記薬剤を処理するための、前記容器内のある量の活性結合剤」が「吸着物質として活性炭を使用し」、「前記活性炭が粒状である」ことは、本願発明1の「密封性容器の内側に存在し、密封性容器の内側の液体透過性エンクロージャーに内包されている、ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭」と、「密封性容器の内側に存在している、ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭」の限度で一致する。

以上のことから、本願発明1と引用発明とは以下の点で一致し、また、以下の点で相違する。

<一致点>
「ある量の医薬組成物を廃棄する際に使用するためのデバイスであって、
医薬組成物を収容する寸法の密封性容器;および
密封性容器の内側に存在している、ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭
を含むデバイス。」

<相違点>
「ある量の顆粒状またはペレット状の活性炭」に関し、
本願発明1は、「密封性容器の内側の液体透過性エンクロージャーに内包され」ているのに対し、
引用発明は、「密封性容器の内側の液体透過性エンクロージャー」に内包されていない点。

第4 判断
以下、相違点について検討する。

<相違点について>
1 引用文献2の段落【0008】?【0011】に「収容袋は、親油性繊維を材料とする不織布あるいは編織布で構成される。・・・収容袋は、必要量の無機材料片および比重調整片を、脱落しないように収容しておけるとともに、汚れを含んだ洗濯水が流通できる通水性を有していることが必要である。収容袋を構成する不織布や編織布の空隙率、繊維や糸の密度を適宜に調整することで、前記各片の脱落防止と通水の両機能を適切に発揮させることができる。・・・吸着機能を有する各種の無機材料からなる小片が使用できる。具体的には、備長炭、竹炭、トルマリン鉱石、麦飯石などが用いられる。備長炭は、1200℃程度の高温で焼成された炭であり、非常に硬質であり、内部に微細な多孔質構造を有し、各種の物質を効率的に吸着する機能がある。・・・無機材料片は、その表面積を増大させて浄化機能を高めるには、出来るだけ小さな寸法のものが好ましいが、収容袋からの脱落や磨滅、破壊などの問題も考慮して、適切な寸法範囲のものが用いられる。」(記載事項(2b))と記載されているように、吸着剤である炭の取扱いのために、粒状の炭を液体透過性エンクロージャーに内包させることは、周知の技術的事項であって(収容袋12、備長炭である無機材料片14。周知例としては、上記引用文献2に加え、特開平11-276887号公報の【0020】、【0026】及び図2(シート材で形成した袋16、木炭細片である吸収材14)、実願昭48-028025号(実開昭49-130472号)のマイクロフィルムの明細書第2ページ第12行?第4ページ第14行及び図面(透水性カプセル2、活性炭1)並びに特開2001-348577号公報の【0004】、【0006】及び図2(熱接着により両端を封入した不織布、白炭(活性炭))が挙げられる。)、洗濯機用に限られず、浄化に関し汎用的に用いられる常套手段ともいうべきものである。

2 そうすると、「吸着物質として活性炭を使用し」、「活性炭が粒状である」「容器内のある量の活性結合剤」を有する引用発明において、「活性炭を含み、活性炭が粒状である」「容器内のある量の活性結合剤」(本願発明1の「顆粒状またはペレット状の活性炭」に相当。)の取扱いのために、上記常套手段ともいうべき周知の技術的事項を踏まえて「吸着物質として活性炭を使用し」、「活性炭が粒状である」「容器内のある量の活性結合剤」を容器(本願発明1の「密封性容器」に相当。)内において、液体透過性エンクロージャーに内包させ、上記相違点に係る本願発明1の構成とすることは、当業者が容易になし得たといえる。

<請求人の主張について>
3 請求人は、審判請求書(【請求の理由】【本願発明が特許されるべき理由】)において、「引例2(当審注:上記第4の引用文献2)における収容袋の目的は、洗濯機中で、活性炭片を洗濯物と分離しておく必要があるからにすぎない。このことは、引例2、段落0005?0006の下記の記載から明らかである。・・・引例1(当審注:上記第4の引用文献1)は、薬剤処分システムに関し、引例2は、洗濯機用浄化装置に関し、引例1と引例2とは技術分野が全く異なる。活性炭片を洗濯物と分離しておく必要がある引例2と、状況が全く異なり、薬剤処分システムで活性炭と廃棄する薬剤とを混合することが前提である引例1とを組み合わせることを当業者は容易に想到しない。・・・引例1は、薬剤処分キット中の活性炭と廃棄する薬剤とを直接接触させ、混合させることが前提となっているので、活性炭を内包することを意図しておらず、そのための液体透過性エンクロージャーを当然開示も示唆もしていない。また、引例2のバックに活性炭を含有させる理由は、活性炭片を洗濯物と分離しておく必要があるからだけであり、引例1と全く関係ない。さらに、引例2のバックの使用は、洗濯機の撹拌を必要とする。・・・引例2のバックは、洗濯機の洗浄サイクルの水の撹拌なしには使用されない。よって、仮に、引例1と引例2とを組み合わせたとしても、不活性化物質(活性炭)が、・・・容器の内側の液体透過性エンクロージャーに内包されており(請求項1)、上記のように存在している活性炭に有効薬剤を吸着させる本願発明の構成に到達せず、本願発明は引例の記載から予測することができない。」と主張する。

4 しかしながら、上記1で述べたとおり、吸着剤である炭の取扱いのために、粒状の炭を液体透過性エンクロージャーに内包させることは、周知の技術的事項であって、洗濯機用に限られず、浄化に関し汎用的に用いられる常套手段ともいうべきものであるから、引用発明において、活性炭を液体透過性エンクロージャーに内包させる動機付けがないとはいえない。

5 さらに、本願明細書の段落【0023】、【0026】?【0027】の「顆粒状またはペレット状の活性炭は0.25mm以上、たとえば0.25から5.0mmまでの平均サイズをもつ粒子またはペレットから構成される。活性炭が粉末状(他の形状も同様)で存在するある場合には、活性炭は容器内で自由に流動しないであろう;すなわち、以下にさらに詳細に記載するように、活性炭は容器の他の構成要素、たとえば容器の壁、容器内の固体支持体(support)、または容器の内側のパウチに、安定に付随しているであろう。活性炭が顆粒状またはペレット状で存在するさらに他の例では、顆粒状またはペレット状の活性炭は容器内で自由に流動してもよい。」、「前記に示したように、ある場合には不活性化物質は容器の内側で自由に流動しない。言い換えると、不活性化物質は容器の他の何らかの構成要素、たとえば容器の内壁、容器内に存在する支持体、または容器の内側の液体透過性パウチなどに、安定に付随している。“安定に付随している”とは、少なくとも容器の使用前は、たとえば液体を容器に入れる前は、不活性化物質が他の構成要素に対して固定化されていることを意味する。・・・不活性化物質は液体透過性、たとえば透水性のエンクロージャー(たとえば、パウチ)中に存在してもよく、このエンクロージャーは液体をそのエンクロージャーの内側へ通過させるが、少なくとも液体と接触させる前はエンクロージャーの内容物をエンクロージャーの内側に保持する。ある場合には、エンクロージャーは、そのエンクロージャーを液体と接触させた後でも不活性化物質をエンクロージャーの内側に保持している透水性材料から作成される。」(記載事項B)という記載、段落【0093】?【0094】の「4mgのデキサメタゾン丸剤をモデル薬物として用い、30個の丸剤を、下記のものが内包された5つのパウチにそれぞれ入れた・・・4)MedsAway(商標)デザイン“A”:45グラムの自由に接近できる顆粒状活性炭(図1Aに示すデバイスと同じであるが、内部パウチがなく、遊離した顆粒状活性炭を含む);および5)MedsAway(商標)デザイン“B”:内部の水透過性/カーボン不透過性パウチに内包された45グラムの顆粒状活性炭・・・MedsAwayデザイン“A”またはMedsAwayデザイン“B”のいずれにも測定可能なデキサメタゾンは放出されなかった。」(記載事項C)という記載及び図3(記載事項D)の図示内容を参照し、本願発明1の作用効果について検討しても、引用発明及び引用文献2に記載された技術的事項(周知の技術的事項)から当業者が予測できる範囲のものでないとはいえない。

6 したがって、上記主張は採用できない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本願発明1は、引用文献1に記載された発明(引用発明)及び引用文献2に記載された技術的事項(周知の技術的事項)に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
別掲
 
審理終結日 2018-04-27 
結審通知日 2018-05-01 
審決日 2018-05-14 
出願番号 特願2014-533328(P2014-533328)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (A61G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩田 洋一金丸 治之久島 弘太郎  
特許庁審判長 和田 雄二
特許庁審判官 中田 善邦
一ノ瀬 覚
発明の名称 一般用医薬品廃棄システム  
代理人 小野 新次郎  
代理人 山本 修  
代理人 山口 晶子  
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