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審決分類 審判 訂正 ただし書き1号特許請求の範囲の減縮 訂正しない A63G
審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない A63G
審判 訂正 ただし書き3号明りょうでない記載の釈明 訂正しない A63G
管理番号 1344563
審判番号 訂正2017-390130  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2017-11-27 
確定日 2018-09-10 
事件の表示 特許第5825567号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯

本件訂正審判の請求に係る特許第5825567号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、平成26年7月17日の特許出願であって、平成27年10月23日にその特許権の設定登録がされたものであり、設定登録以降の本件に係る手続の経緯は、以下のとおりである。

平成29年11月27日付け 本件訂正審判の請求
平成29年12月18日付け 手続補正書の提出
平成30年 2月 2日付け 平成29年12月18日付けの手続補正書に係る手続についての却下理由の通知
平成30年 2月 2日付け 訂正拒絶理由の通知
平成30年 3月 1日 面接
平成30年 3月 5日付け 訂正拒絶理由に対する意見書の提出
平成30年 3月14日付け 平成29年12月18日付けの手続補正書に係る手続についての手続却下の決定

なお、平成30年3月14日付けの手続却下の決定に対し、法定期間内に、行政不服審査法に基づく審査請求はされなかった。

第2 請求の趣旨

平成29年12月18日付けの手続補正書による補正は、平成30年3月14日付けの手続却下の決定によって却下されたので、本件訂正審判の請求の趣旨は、平成29年11月27日付けの訂正審判請求書に記載された「特許第5825567号の特許請求の範囲を本件審判請求書に添付した特許請求の範囲のとおり訂正することを認める、との審決を求める」というものであって、本件特許に係る願書に添付した特許請求の範囲を下記訂正事項1のとおりに訂正することを求めるものである。

1.訂正事項1
訂正事項1は以下のとおりである。
なお、本件訂正は、上記「第2」の「請求の趣旨」からみて、特許権全体に対して訂正審判を請求する場合に該当するところ、以下では、便宜的に訂正事項1を請求項ごとに下記の訂正事項1-1ないし1-3に分節して検討する。

(1)訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1に「滑り台の滑走路表面上において、平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、更には、平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状を滑走斜面に設け、前記の凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状が規則的、又は不規則的で多彩な三次元構造の設備を有することを特徴とする立体滑り台。」と記載されているのを、「滑り台の滑走路表面上において、平面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を有し、凹曲面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を有し、又は平面上、凹曲面上以外の滑走路表面上に、全面の滑走路表面上が凹凸の曲面状を有する滑走斜面を設け、前記の凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状が規則的、又は不規則的で多彩な三次元構造の設備を有することを特徴とする立体滑り台。」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2及び請求項3も同様に訂正する。)。(下線は訂正箇所を示す。以下、同様。)

(2)訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項2に「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状、又、凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状、更には、全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状である3つの滑走斜面上を構成して、各滑走斜面上が単独、又は混合したものを活用し、曲面状の段差型、階段型、ウエーブ型を含む、凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を部分的、点在的、全体的、連続的に配置することで流動的な直滑降系、斜滑降系、上下動系、左右動系、ジャンプ系、ジグザグの回転系や合成された三次元動系の運動要素を有する複合機構のものを順序不同に設けることを特徴とする請求項1記載の立体滑り台。」と記載されているのを、「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状、又は、凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状、又は、全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状である3つの各滑走斜面上を構成して、各滑走斜面上が単独、又は混合したものを活用し、曲面状の段差型、階段型、ウエーブ型を含む、凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を部分的、点在的、全体的、連続的に配置することで流動的な直滑降系、斜滑降系、上下動系、左右動系、ジャンプ系、ジグザグの回転系や合成された三次元動系の運動要素を有する複合機構のものを順序不同に設けることを特徴とする請求項1記載の立体滑り台。」に訂正する。

(3)訂正事項1-3
特許請求の範囲の請求項3に「3つの滑走斜面上を単数の各個別、又は複数で並列別、分岐別、直列合成にして構築し、滑走路表面上は各種曲面状の滑走に適合した形状や大きさ、配置や構成と滑走路表面上全体には幅、長さ、厚さ、上部から下部に掛けての傾き、材質などの構造を可変させ、滑走路の難易度を調節する機能の運動要素がある機構のものを有し、各滑走路面上構造両サイド端部は安定した滑走ができる支持具、柵、壁を用い、滑走路裏面側には梁で支持、フレームカバーで支持、又はフレームカバーを梁で補強する組合せ構成にし、全体的に安全性を保持した構造物として設け、屋外用、屋内用の何れでも可能なことを特徴とする請求項1記載の立体滑り台。」と記載されているのを、「3つの各滑走斜面上を単数の各個別、又は複数で並列別、分岐別、直列合成にして構築し、各滑走路表面上は各種曲面状の滑走に適合した形状や大きさ、配置や構成と滑走路表面上全体には幅、長さ、厚さ、上部から下部に掛けての傾き、材質などの構造を可変させ、滑走路の難易度を調節する機能の運動要素がある機構のものを有し、各滑走路面上構造両サイド端部は安定した滑走ができる支持具、柵、壁を用い、滑走路裏面側には梁で支持、フレームカバーで支持、又はフレームカバーを梁で補強する組合せ構成にし、全体的に安全性を保持した構造物として設け、屋外用、屋内用の何れでも可能なことを特徴とする請求項1記載の立体滑り台。」に訂正する。

第3 当審の判断

1.訂正事項1-1について
(1)訂正の目的の適否について
ア.明瞭でない記載の釈明について
訂正事項1-1は、本件訂正前の請求項1の「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、更には、平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状を滑走斜面に設け」との発明特定事項(以下「本件訂正前の発明特定事項1-1」という。)を、「平面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を有し、凹曲面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を有し、又は平面上、凹曲面上以外の滑走路表面上に、全面の滑走路表面上が凹凸の曲面状を有する滑走斜面を設け」との発明特定事項(以下「本件訂正後の発明特定事項1-1」という。)に訂正するものであって、本件訂正前の発明特定事項1-1における「更には」を削除して「又は」を付加することを含むものである。

(ア)「更には」の語義について
本件訂正前の請求項1の「更には」の語義について検討する。
株式会社岩波書店『広辞苑第六版』には、「更に」について、「○1(審決注:丸数字の1を指す。以下同様。)その上に(なお)。」、「○2ことあらためて。」及び「○3(下に打ち消しを伴って)決して。さらさら。」の語義があり、このうち「○1その上に(なお)」について区分すると「○ア一つの事が重ねて(類似の事を伴って)起こり、または時と共に程度を増すさま。なお一層。」及び「○イ(前言を受け)それに付け加えて。」の複数の語義が記載されている。
一般に複数の語義を有する語は、同時に複数の語義を併せ持つのではなく、用いられる文脈等に応じていずれかひとつの語義で用いられるのが通常である。そこで、上記の『広辞苑第六版』における「更に」の語義を踏まえて、本件訂正前の請求項1における「更には」がいずれの語義で用いられているのかについて検討する。
まず、『広辞苑第六版』における「その上に(なお)。」との語義について検討する。この語義は「(前言を受け)それに付け加えて。」との語義を含むところ、本件訂正前の発明特定事項1-1は、「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」及び「凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」に言及した後で、「更には」を介して「平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状」に言及しているから、「更には」は前言を受けて用いられているといえる。そして、本件訂正前の発明特定事項1-1は「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、「凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」及び「平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状」という3種類の面における形状を列記したものであるから、これら3者の記載の間に用いられる「更には」は3者間の関係を規定すると解するのが自然であって、「その上に(なお)。」及び「(前言を受け)それに付け加えて。」との語義はこのような解釈とも整合するものである。
次に、「ことあらためて。」との語義について検討する。「あらためて」はその語義が「○1別の機会にまた。」及び「○2新たに。」(『広辞苑第六版』)であるから、経時的な事象について用いられる語であるといえ、「ことあらためて。」の語義での「更には」も同様に経時的な事象について用いられるものであると解される。一方、請求項1は「立体滑り台」に係る物の発明であって、請求項1の「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、更には、平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状を滑走斜面に設け」との記載は「滑走斜面」の形状を特定する事項であるから経時的な要素を含むものではない。そうすると、本件訂正前の請求項1における「更には」が、「ことあらためて。」の語義で用いられているとは認められない。
続いて、「(下に打ち消しを伴って)決して。さらさら。」との語義について検討すると、請求項1の「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、更には、平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状を滑走斜面に設け」との記載は下に打ち消しを伴うものではない。そうすると、本件訂正前の請求項1における「更には」が、「決して。さらさら。」の語義で用いられているとも認められない。
以上のとおりであって、『広辞苑第六版』における「更に」の語義を踏まえると、本件訂正前の請求項1における「更には」は「その上に(なお)。」及び「(前言を受け)それに付け加えて。」の語義で用いられていると解することが妥当である。
また、株式会社三省堂『大辞林第三版』及び株式会社小学館『国語大辞典第一版』にも「更に」について複数の語義が記載されているところ、『大辞林第三版』における「前文を受けて、その程度・段階を進ませるような後文を付け加えるときに用いる。それに加えて。引き続き。その上。」、及び、『国語大辞典第一版』における「一つの事実が、もう一度繰り返し成り立ち、あるいは他の類似の事実に加わって成り立つことを表す。重ねて。加えて。」との語義は、『広辞苑第六版』における「その上に(なお)。」及び「(前言を受け)それに付け加えて。」との語義と実質的に同義であるから、『大辞林第三版』及び『国語大辞典第一版』を踏まえても、本件訂正前の請求項1における「更には」は「その上に(なお)。」及び「(前言を受け)それに付け加えて。」の語義で用いられていると解することが妥当であるといえる。
また、本件特許の明細書において、「更には」という用語を通常の意味と異なる意味で用いたと解釈すべき根拠となる記載もない。

そうすると、本件訂正前の請求項1の「更には」は「その上に(なお)。」及び「(前言を受け)それに付け加えて。」との語義で用いられたものであり、本件訂正前の発明特定事項1-1は、「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を、その上に、平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状を滑走斜面に設け」、すなわち、「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状、凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状、及び、平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状のすべてを滑走斜面に設け」と解されるものであって、それ以外の意味には解することができない。
してみると、本件訂正前の発明特定事項1-1において、「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、「凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、「平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状」の3者の関係に明瞭でないといえる点はない。

(イ)明細書及び図面の記載との整合性について
本件特許の明細書の段落【0023】の「図5は、立体滑り台の各滑走路表面上の各使用用途の概略図例で、51は3つの滑走斜面上を単数の各個別、52は複数で各並列別、53は各分岐別、55は5J、5K、5Lを直列合成、5Mの滑走面上と曲面上の合成部は隙間、段差などを最小に抑えるように構築し、滑走路表面上は各種曲面状の形状の大きさ、配置や構成と滑走路表面上全体には幅、長さ、厚さ、54は上部から下部に掛けて5Hの傾き部、5Iの滑走路裏面側の梁、材質などの構造を可変させ、総合的に滑走路の難易度を調節する機能の運動要素がある機構のものを選択して各プレーヤーに適合したものが利用できる各立体滑り台にする。」との記載、及び、段落【0027】の「52 :滑走路表面上を複数で並列別設置」、「53 :滑走路表面上を分岐別設置」、「55 :各滑走路表面上を直列合成設置」、「5A :滑走路表面上が平面上 5B :滑走路表面上が凹型曲面上 5C :滑走路表面上が凹凸曲面状曲面上」、「5E :滑走路表面上が平面上 5F :滑走路表面上が凹型曲面上 5G :滑走路表面上が凹凸曲面状曲面上」、及び、「5J :滑走路表面上が平面上 5K :滑走路表面上が凹型曲面上 5L :滑走路表面上が凹凸曲面状曲面上」との記載を参照すると、図5の「52 :滑走路表面上を複数で並列別設置」、「53 :滑走路表面上を分岐別設置」、及び、「55 :各滑走路表面上を直列合成設置」のものは、それぞれ「滑走路表面上が平面上、滑走路表面上が凹型曲面上、及び、滑走路表面上が凹凸曲面状曲面上のすべてを設け」たものであることが看取できる。
してみると、本件特許の明細書及び図面には、上記「(ア)」で検討したとおりの本件訂正前の発明特定事項1-1を備えた立体滑り台が記載されているから、当該本件訂正前の発明特定事項1-1を発明特定事項とする本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、明細書及び図面の記載とも整合するものである。

(ウ)明瞭でない記載の釈明についてのまとめ
そうすると、訂正事項1-1に係る訂正は、本件訂正前において明瞭であった事項を訂正しようとするものであるから、特許法第126条ただし書第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものではない。

イ.特許請求の範囲の減縮等について
上記「ア.(ア)」のとおり、本件訂正後の請求項1の「平面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を有し、凹曲面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状を有し、又は平面上、凹曲面上以外の滑走路表面上に、全面の滑走路表面上が凹凸の曲面状を有する滑走斜面を設け」との発明特定事項は、「平面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、「凹曲面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、又は、「平面上、凹曲面上以外の滑走路表面上に、全面の滑走路表面上が凹凸の曲面状」のうちのいずれかを選択的に有する滑走斜面を設けるものと解される。
してみると、本件訂正前の発明特定事項1-1が、上述のとおり、「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、「凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、及び、「平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状」という3つの要素すべてを滑走斜面に設けるものであるのに対して、本件訂正後の発明特定事項1-1は、「平面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、「凹曲面の滑走路表面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、又は、「平面上、凹曲面上以外の滑走路表面上に、全面の滑走路表面上が凹凸の曲面状」という3つの要素のうちのいずれかを選択的に有する滑走斜面を設けるものである。

そうすると、訂正事項1-1に係る訂正によって、請求項1に係る発明は訂正前の上記3つの要素すべてを設けるものに加えて、3つの要素のうちのいずれかを選択的に設けるものを含むものとなるから、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法第126条ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。

さらに、訂正事項1-1に係る訂正が、誤記又は誤訳の訂正、又は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものにすることを目的とする訂正に該当しないことは明らかである。

ウ.訂正の目的の適否についてのまとめ
したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものであるとはいえない。

(2)特許請求の範囲の拡張、変更について
上記「(1)ア.(ア)」のとおり、本件訂正前の請求項1に係る発明が「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、「凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、及び、「平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状」という3つの要素すべてを設けるものであったのに対して、本件訂正後の請求項1に係る発明は、訂正前の請求項1に係る発明の「平面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、「凹の曲面上に凸の曲面状、凹の曲面状、凹凸の曲面状」、及び、「平面上、凹の曲面上以外に全面上が凹凸の曲面状」という3つの要素すべてを設けるものに加えて、3つの要素のいずれかを選択的に設けるものをも含むものである。

したがって、訂正事項1-1に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものであるから、特許法第126条第6項の規定に違反するものである。

(3)訂正事項1-1についての小括
以上のとおり、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法第126条ただし書第1号ないし第4号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもなく、同条第6項に規定する要件にも適合しない。

2.訂正事項1-2について
(1)訂正の目的の適否について
ア.明瞭でない記載の釈明について
訂正事項1-2は、本件訂正前の請求項1の「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状、又、凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状、更には、全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状である3つの滑走斜面上を構成して」との発明特定事項(以下「本件訂正前の発明特定事項1-2」という。)を、「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状、又は、凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状、又は、全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状である3つの各滑走斜面上を構成して」との発明特定事項(以下「本件訂正後の発明特定事項1-2」という。)に訂正するものであって、本件訂正前の発明特定事項1-2における「又」を削除して「又は」を付加するとともに、「更には」を削除して「又は」を付加することを含むものである。

(ア)「更には」及び「又」の語義について
本件訂正前の請求項2の「更には」及び「又」の語義について検討すると、「更には」の語義については、上記「1.(1)ア.」において検討したとおりであり、また、「又」の接続詞としての語義は「その上に。そのほかに。」、「ならびに。」、「話題を変える時にいう。それから。」(『広辞苑第六版』)というものである。なお、「又は」という語には「これかあれかと並べていう時に用いる語。」(『広辞苑第六版』)という語義があるものの、本件訂正前の請求項2で用いられている用語は「又」であって「又は」ではない。
また、本件訂正前の請求項2の「更には」及び「又」についても、本件特許の明細書において、「更には」という用語を通常の意味と異なる意味で用いたと解釈すべき根拠となる記載もない。
そうすると、本件訂正前の請求項2の「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状、又、凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状、更には、全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状である3つの滑走斜面上を構成して」との発明特定事項(以下「訂正前の発明特定事項1-2」という。)は、「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状、その上に、凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状、その上に、全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状である3つの滑走斜面上を構成して」、すなわち、「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状、凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状、及び、全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状である3つの滑走斜面上すべてを構成して」と解されるものであって、それ以外の意味には解することができない。
してみると、本件訂正前の発明特定事項1-2において、「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状」、「凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状」、「全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状」の3者の関係に明瞭でないといえる点はない。

(イ)明細書及び図面の記載との整合性について
本件特許の明細書の段落【0019】の「図1は、滑走路表面上が平面上の正面図・側面図・斜視図の概略図例であり、滑走路平面上1Aの傾斜面に各種の曲面状1Fから1Jのものを設備配置することで、滑走が円滑、アグレッシブ、エキサイティングなどの運動動作で自由自在に展開して、身体能力、バランス感覚、体幹強化の向上をするもので斜面構造や斜面構成に対する滑走、挑戦、技術技量向上などの運動形態への意識改革ができる運動要素、運動環境のものを提供し(後略)」との記載、段落【0027】における1Fないし1Jについての記載、及び、図1を参酌すると、本件特許の明細書及び図面には「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状」、「凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状」、「全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状」が記載されている。そして、上記「1.(1)ア.(イ)」において摘記した明細書の段落【0023】には「滑走路表面上は各種曲面状の形状の大きさ、配置や構成と滑走路表面上全体には幅、長さ、厚さ、54は上部から下部に掛けて5Hの傾き部、5Iの滑走路裏面側の梁、材質などの構造を可変させ」と記載されているから、本件特許の明細書には、段落【0027】及び図5に記載された「52 :滑走路表面上を複数で並列別設置」、「53 :滑走路表面上を分岐別設置」、及び、「55 :各滑走路表面上を直列合成設置」のものにおいて、滑走路表面上を「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状」、「凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状」、「全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状」に構成することが開示されているといえる。
してみると、本件特許の明細書及び図面には、上記「(ア)」で検討したとおりの本件訂正前の発明特定事項1-2を備えた立体滑り台が記載されているから、当該本件訂正前の発明特定事項1-2を発明特定事項とする本件特許の特許請求の範囲の請求項2の記載は、明細書及び図面の記載とも整合するものである。

(ウ)明瞭でない記載の釈明についてのまとめ
そうすると、訂正事項1-2に係る訂正は、本件訂正前において明瞭であった事項を訂正するものであるから、特許法第126条ただし書第3号の明瞭でない記載の釈明を目的とするものではない。

イ.特許請求の範囲の減縮等について
上記「ア.(ア)」のとおり、本件訂正後の請求項2の「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状、又は、凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状、又は、全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状である3つの各滑走斜面上を構成して」との発明特定事項は、「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状」、「凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状」、又は、「全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状」である3つの各滑走斜面上のうちのいずれかを選択的に構成するものと解される。
してみると、本件訂正前の発明特定事項1-2が、上述のとおり、「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状」、「凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状」、及び、「全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状」である3つの滑走斜面上すべてを構成するものであるのに対して、本件訂正後の発明特定事項1-2は、「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状」、「凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状」、又は、「全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状」である3つの各滑走斜面上のうちのいずれかを選択的に構成するものである。

そうすると、訂正事項1-2に係る訂正によって、請求項2は訂正前の上記3つの各滑走斜面上すべてを構成するものに加えて、3つの各滑走斜面上のいずれかを選択的に構成するものを含むものとなるから、訂正事項1-2に係る訂正は、特許法第126条ただし書第1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものではない。

さらに、訂正事項1-2に係る訂正が、誤記又は誤訳の訂正、又は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものにすることを目的とする訂正に該当しないことは明らかである。

ウ.訂正の目的の適否についてのまとめ
したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、特許法第126条第1項ただし書第1号ないし第4号に掲げる事項を目的とするものであるとはいえない。

(2)特許請求の範囲の拡張、変更について
上記「(1)ア.(ア)」のとおり、本件訂正前の請求項2に係る発明が「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状」、「凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状」、及び、「全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状」である3つの滑走斜面上すべてを構成するものであったのに対して、本件訂正後の請求項2に係る発明は、訂正前の請求項2に係る発明の「平面上に凸型の大小さまざまな各半周立体曲面状を滑走斜面上の両サイドに個々的、全体的に連続したもの、或いは、滑走斜面上の全体的に凸型、凹型の大小さまざまな各全周立体曲面状」、「凹の曲面上で滑走斜面上の全体的に多彩な凸の曲面状、凹凸の曲面状」、及び、「全面上の滑走斜面上が凹凸の曲面状」である3つの滑走斜面上すべてを構成するものに加えて、3つの各滑走斜面上のいずれかを選択的に構成するものを含むものである。

したがって、訂正事項1-2に係る訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものであるから、特許法第126条第6項の規定に違反するものである。

(3)訂正事項1-2についての小括
以上のとおり、訂正事項1-2に係る訂正は、特許法第126条ただし書第1号ないし第4号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもなく、同条第6項に規定する要件にも適合しない。

第4 むすび

本件訂正は、特許権全体に対して訂正審判を請求する場合に該当するものであり、また、訂正事項1は訂正事項1-1ないし1-3から成る一体の訂正事項であるところ、訂正事項1-1及び訂正事項1-2については以上のとおりであるから、訂正事項1-3について検討するまでもなく、本件訂正に係る訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書各号に規定された目的に該当せず、かつ同条第6項の規定にも違反するものである。

したがって、特許第5825567号の特許請求の範囲を本件訂正審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを認めることはできない。
 
審理終結日 2018-07-12 
結審通知日 2018-07-17 
審決日 2018-07-30 
出願番号 特願2014-159882(P2014-159882)
審決分類 P 1 41・ 854- Z (A63G)
P 1 41・ 851- Z (A63G)
P 1 41・ 853- Z (A63G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 砂川 充  
特許庁審判長 黒瀬 雅一
特許庁審判官 藤本 義仁
森次 顕
登録日 2015-10-23 
登録番号 特許第5825567号(P5825567)
発明の名称 立体滑り台  
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