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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性  A61H
管理番号 1344564
審判番号 無効2010-800075  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2010-04-22 
確定日 2012-06-08 
事件の表示 上記当事者間の特許第4188946号発明「マッサージ機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 I.手続の経緯
本件特許第4188946号の請求項1に係る発明についての出願は、平成20年9月19日にその発明について特許の設定登録がなされた。
これに対し、平成22年4月21日付けで請求人(株式会社フジ医療器)により無効審判の請求がなされ、平成22年7月16日に被請求人(ファミリー株式会社)より答弁書が提出され、平成22年9月17日に被請求人より口頭審理陳述要領書が提出され、平成22年9月21日に請求人より口頭審理陳述要領書(1)及び口頭審理陳述要領書(2)が提出された。
そして、平成22年10月4日に口頭審理が行われ、平成22年10月25日に請求人及び被請求人からそれぞれ上申書が提出された。


II.本件特許発明
本件特許の請求項1に係る発明(以下、「本件特許発明」という。)は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】
座部(3)及び背凭れ部(4)と、前記座部(3)の前部に上下揺動自在として設けられたフットレスト(5)と、を有し、前記フットレスト(5)は、上方へ揺動して前記座部(3)から前方へ突出している状態となることができ、前記フットレスト(5)は、使用者の脚にマッサージすることが可能な空気式のマッサージ具(53,58)を有している椅子型マッサージ機において、
前記フットレスト(5)が、脚の上側をマッサージする第一フットレスト部(85)と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部(86)とに分割され、
前記座部(3)の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレーム(90)と、前記固定フレーム(90)に対して前後に移動調整自在である第一スライドフレーム(91)と、前記第一スライドフレーム(91)に対して前後に移動調整自在である第二スライドフレーム(92)とを有し、
前記第一フットレスト部(85)は、前記第一スライドフレーム(91)に固着され、前記第二フットレスト部(86)は、前記第二スライドフレーム(92)に固着されており、
前記フットレスト(5)が前方へ突出している状態で、前記第一フットレスト部(85)及び前記第二フットレスト部(86)が全体として前記座部(3)に対して前後に接離調整可能で、かつ、この第二フットレスト部(86)が前記第一フットレスト部(85)に対して前後方向に接離調整可能に構成されていることを特徴とする椅子型マッサージ機。」


III.請求人及び被請求人の主張の概略
A.請求人の主張
請求人は甲第1号証?甲第13号証を提出して以下のとおり主張している。
本件の請求項1に係る特許発明は、甲第1号証?甲第11号証に記載された発明ないし周知技術に基づいて、出願前に当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであり、同法第123条第1項第2号により、無効とされるべきである。

〈証拠方法〉
甲第1号証:特開平10-196817号公報
甲第2号証:特開平8-322895号公報
甲第3号証:米国特許第426601号明細書
甲第4号証:特開平10-157501号公報
甲第5号証:米国特許第3096118号明細書
甲第6号証:特開昭64-43210号公報
甲第7号証:特開平9-154667号公報
甲第8号証:特開昭50-136994号公報
甲第9号証:実公昭60-7047号公報
甲第10号証:特開平10-57437号公報
甲第11号証:特開平2-206406号公報

なお、口頭審理陳述要領書(1)とともに提出された甲第14号証乃至甲第16号証は、当業者がベッドに関する技術を椅子にも転用しうることが明らかであることを立証するために追加されたものであり、請求の理由を変更するものではない。

B.被請求人の主張
これに対して、被請求人は以下のとおり主張している。
本件発明は、甲第1号証?甲第11号証に記載された発明ないし周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得るものではなく、請求人の請求は棄却されるべきものである。


IV.当審の判断
A.甲第1号証乃至甲第11号証の記載事項
1.甲第1号証(特開平10-196817号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(1-a)「図1および図2に示すエアマッサージ装置1は、座部2と、この座部2の後縁部に前後に起倒調整可能に装着された背凭部3と、座部2の両側に設けられた肘掛部4,5と、座部2の前に取り付けられ且つ座部2の下側に収納可能なオットマン10とから構成されている。」(段落【0017】)
(1-b)「オットマン10は、図3および図4に示すように、座部2の前端部に回動可能に設けたフレーム15と、フレーム15のアーム部16,16に進退可能に装着したガイドレール17,17と、このガイドレール17,17に固定された足受部20と、この足受部20の挟持溝21,21に設けらた空気袋13,13等とを備えている。足受部20はガイドレール17,17とともにフレーム15のアーム部16,16に沿って左右方向(図2において)に移動可能となっており、フレーム15は、図2に示す位置に固定できるとともに座部2の下側まで回動できるようになっている。」(段落【0020】)
(1-c)「そして、スイッチS1を操作して電磁弁42を作動させると、オットマン10が図2に示す位置にあることにより切換バルブ30が図6に示すようにほぼ水平状態となっているので、エアコンプレッサ41と空気袋14とが連通し、空気袋14が膨出していく。この空気袋14の膨出により、足受部20はスプリング25の付勢力に抗して鎖線位置から左方向へ移動していく。足受部20が丁度よい位置へきたらスイッチS1をオフにする。足受部20が左方向へ行きすぎた場合には、スイッチS2を操作する。この操作により電磁弁42が切換バルブ30を外気に連通させるので、空気袋14が収縮して足受部20がスプリング25の付勢力により右方向へ移動していく。このようにして、足受部20の位置を調整する。」(段落【0034】)
(1-d)「スイッチS3の操作により第3モードが設定されると、図12に示すように本体51がほぼ45度傾斜されるので、排出ポート54?56が入力ポート53と連通され、空気袋11?13が膨張・収縮され、背中と大腿部とふくらはぎのマッサージが行われることとなる。」(段落【0037】)

上記(1-b)の記載事項と図面図14及び図15の図示内容からみて、「オットマン」は、「座部」の前端部に回動可能に設けられているといえ、当該「オットマン」は上方へ揺動して「座部」から前方へ突出している状態となることができるといえる。

上記(1-d)の記載事項と図面図1、図2、図14及び図15の図示内容からみて、「オットマン」は使用者の脚にマッサージすることが可能な「空気袋」を有しているといえる。

図面図1、図2、図14及び図15の図示内容からみて、「エアマッサージ装置」は椅子型であるといえる。

上記(1-b)及び(1-c)の記載事項並びに図面図2の図示内容からみて、「左右方向(図2において)」は使用者からみて前後方向であるといえ、「オットマン」が前方に突出している状態で、「足受部」は「ガイドレール」とともに前後方向に移動可能であり、「座部」に対しても前後方向に位置を調整できるといえる。

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第1号証には、次の発明(以下、「甲第1号証記載の発明」)が記載されていると認められる。
「座部及び背凭部と、前記座部の前端部に回動可能に設けられたオットマンと、を有し、前記オットマンは、上方へ揺動して前記座部から前方へ突出している状態となることができ、前記オットマンは、使用者の脚にマッサージすることが可能な空気袋を有している椅子型のエアマッサージ装置において、
前記オットマンが足受部を有し、
前記座部の前端部に回動可能に設けられているフレームと、前記フレームのアーム部に沿って前後方向に移動可能に装着したガイドレールとを有し、
前記足受部は、前記ガイドレールに固定されており、
前記オットマンが前方へ突出している状態で、前記足受部が前記座部に対して前後方向に位置を調整できる椅子型のエアマッサージ装置。」

(2)甲第2号証(特開平8-322895号公報)には、その記載事項及び図面の図示内容からみて、上記甲第1号証記載の発明と同様の発明が記載されていると認められる。

(3)甲第3号証(米国特許第426601号明細書)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(3-a)「My invention consists of a chair or lounge having its back adjustably connected with the arm-rests by means of segments, which, movable with the back, are fitted to segments on said arm-rests, the segments being provided with means for holding the same in the adjusted positions of the back.」(第1頁左欄第10行?同第16行)『本発明は、肘掛けと調節可能に接続された背もたれを有する椅子または寝椅子からなり、その接続は、背もたれの調節された位置において肘掛けを保持する手段を備える前記肘掛け上のセグメントに取り付けられた、背もたれとともに移動可能なセグメントによって行われる。』(『』内は当審による仮訳。以下同様。)
(3-b)「T designates the foot-rest, formed of a number of slides fitted to each other in a manner telescopically, so as to be unfolded or adjusted in length, and when not in use to be folded within the seat-frame, said slides being longitudinally slotted so as to receive the ends of the transverse strengthening-bolts U, said ends serving to guide the slides. The innerslides are connected with the seat-frame, and the outer slide has at its forward end a bar V, which, when the foot-rest is folded within the seat-frame, serves to close the front of the opening which said rest occupies.」(第1頁右欄第96行?第2頁左欄第8行)『Tは、広げられるまたは長さが調節され、使用されないときには座部枠の中に折り畳まれるように伸縮自在な形で互いに取り付けられた、いくつかの摺動部で形成される脚掛けを示しており、前記摺動部には、横方向の強化ボルトUの端部を受け入れるように長手方向に溝が付けられ、前記端部は摺動部を案内する役目を果たす。内側の摺動部は座部枠に接続され、外側の摺動部はその前方端部に、脚掛けが座部枠の中に折り畳まれたとき、前記脚掛けが占有する開口部の前部を閉じる働きをするバーVを有する。』

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第3号証には、次のものが記載されていると認められる。
椅子または寝椅子において、広げられるまたは長さが調節され、使用されないときには座部枠の中に折り畳まれるように伸縮自在な形で互いに取り付けられた、いくつかの摺動部で形成される脚掛けであり、当該脚掛けが座部枠の中に折り畳まれたとき、前記脚掛けが占有する開口部の前部を閉じる働きをするバーVを有すること。

(4)甲第4号証(特開平10-157501号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(4-a)「 …
【請求項5】前記座部の前端部に垂下状態と水平状態とに回動可能にレッグレスト本体を支持し、
前記レッグレスト本体を前記前進する座部に連動させて前記垂下状態から前記水平状態に回動するレッグレスト駆動機構を備えたことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の乗物用の座席装置。」(特許請求の範囲)
(4-b)「また、座部30の前進に連動して、レッグレスト駆動機構80のアクチュエータ87が駆動し、出没ロッド88が没入状態から突出すると、レッグレスト本体70を垂下状態から水平状態に回動する。
レッグレスト本体70が水平状態に回動すると、レッグレスト駆動機構80の駆動アーム81が中継リンク83の一端部を後方へ引くようになり、それにより、中継リンク83の他端部が前方へ変位して、サブレスト体72がメインレスト体71に対して前方へ伸びるようになる。それにより、座席をベッド状態にすると、レッグレスト本体70全体も前方向へ大きく展開して、前後方向のベッド面積を自動的に広げることができる。」(段落【0035】、【0036】)

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第4号証には、次のものが記載されていると認められる。
乗物用の座席装置において、座部の前端部に垂下状態と水平状態とに回動可能にレッグレスト本体を支持し、レッグレスト本体が水平状態に回動すると、サブレスト体がメインレスト体に対して前方へ伸びるようになること。

(5)甲第5号証(米国特許第3096118号明細書)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(5-a)「This invention relates to a reclining chair mechanism and more particularly to a mechanism incorporating a leg support platform and a movable extension thereof.」(第1頁第1欄第10行?同第12行)『本発明は安楽椅子の機構に関し、より詳細には、脚支持台および移動可能なその延長部を含む機構に関する。』
(5-b)「It will thus be seen that when the mechanism is in retracted position as shown in FIGURE3 of the drawings the leg supporting platform31 will be in vertical position beneath the front edge of the seat12 and the leg supporting extension56 will be in vertical position beneath the front edge of the seat12 and the leg supporting extension56 will be in vertical position immediately below the leg platform31 and immediately adjacent thereto. When the seat12 is slightly tilted as seen in FIGURE2 the mechanism acts to extend the leg platform31 upwardly and outwardly and simultaneously moves the leg platform extension56 forwardly relative thereto as occasioned by the actuating levers59 and 60 whose lower ends are controlled by the secondary actuating links63 and 64 so that they move at a relatively slower rate of travel than the angle brackets32 and 33 whose depending sections52 and 53 are pivoted to the actuating levers59 and 60 respectively. This leverage results in relatively rapid travel of the actuating links57 and 58 which are pivoted to the upper ends of the actuating levers59 and 60 and to the extension members54 and 55 which support the leg platform member56 and the same therefore moves upwardly at the same rate of travel as the leg supporting platform31 but also moves outwardly and away therefrom.」(第2頁第3欄第57行?同第4欄第4行)『したがって、図面の図3に示されるように機構が引っ込められた位置にあるとき、脚支持台31は、座部12の前縁の下で垂直位置になり、脚支持用の延長部56は、脚台31のすぐ下およびそのすぐ隣で垂直位置になることが理解されるであろう。図2に示されるように座部12をわずかに傾けると、機構は脚台31を上方外側へ延ばすと同時に、第2の作動連結部63および64によってその下側端部が制御される作動レバー59および60により、脚台延長部56を脚台31に対して前方に移動させ、その結果、それらは、付随的な部分52および53がそれぞれ作動レバー59および60に枢着された角ブランケット32および33よりも、相対的に遅い移動速度で移動するようになる。このてこの作用によって、作動レバー59および60の上側端部、ならびに脚台部材56を支持する延長部材54および55に枢着された作動連結部57および58は、相対的に速く移動するようになり、したがって脚台部材56は、脚支持台31と同じ移動速度で上方へ移動するが、外側へ向かって脚支持台31から離れるようにも移動する。』

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第5号証には、次のものが記載されていると認められる。
安楽椅子において、座部の前縁の下で垂直位置にある脚支持台及び脚支持用の延長部を、前記座部をわずかに傾けると、前記脚支持台を上方外側へ延ばすと同時に前記脚支持用の延長部を前記脚支持台に対して前方に移動させること。

(6)甲第6号証(特開昭64-43210号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(6-a)「2.特許請求の範囲
(1)着座者の足を載置するフットレストを、基部側部材と可動側部材とに分割或いは積層構造によって前後方向に伸縮可能な構造とし、少なくとも座席のシートボトムと床面間に収納可能な載置面縮小手段を構成すると共に、該フットレストの基部側部材の後端部及び先端部を、それぞれシートボトム下部の脚間から電動駆動機構によって略該シートボトムの前方に出退するように構成した支持ロッドの先端部に枢着し、該支持ロッドの出退量の相違によって上記フットレストの載置面を突出時には略水平に担持し、且つ後退時には座席の脚部前面に沿って略鉛直に担持する担持方向変更支持手段を構成すると共に、該担持方向変更支持手段と前記フットレストの載置面縮小手段をリンク機構等によって協働せしめる構造にしたことを特徴とする座席用自動足乗せ装置。」(第1頁左下欄第4行?同第20行)
(6-b)「先ず格納状態では、フットレストlはシートフレーム4に担持され、座席脚部前面に略鉛直に位置しており、駆動用モータ24が回動すると、手動クラッチ23を介して回動連結されている駆動軸22が回動し、中間歯車21が両ピニオン19,20を回動するようになる。このピニオン19,20の回動によってそれぞれラック17,18が変位し、揺動プレート6,10に枢設した上部支持ロッド8と下部支持ロッド12がそれぞれ矢印A,B方向に突出し、その先端にガイドブラケット14を介して枢着したフットレスト1の基部側部材13はシートボトム3の前方に移動せしめられると同時に上部支持ロッド8と下部支持ロッド12の変位量の差によって載置面が略水平方向に向くように傾斜変位(矢印D)して成る。このときこの傾斜変位によって作動桿34は連桿30をガイドブラケット14の長孔29に沿って矢印C方向に摺動させるように作動するため、フットレスト1のリンク機構32は梃部材28の作用によって可動側部材26をガイドレール25と摺動レール27の嵌合に沿って摺動せしめフットレストlの前後方向の長さを伸長して足の載置面を拡張する。」(第3頁右上欄第4行?同左下欄第6行)

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第6号証には、次のものが記載されていると認められる。
座席用自動足乗せ装置において、着座者の足を載置するフットレストを、基部側部材と可動側部材とに分割構造によって前後方向に伸縮可能な構造とし、フットレストを、突出時には、前後方向の長さを伸長して足の載置面を拡張するとともに略水平に担持し、且つ後退時には座席の脚部前面に沿って略鉛直に担持すること。

(7)甲第7号証(特開平9-154667号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(7-a)「【発明の属する技術分野】本発明は、座席の前端部にレッグレスト本体を垂れ下がった状態の格納姿勢と斜め前方へ引き上げた状態の展開姿勢とに揺動可能に支持して成る座席用のレッグレスト装置に関する。」(段落【0001】)
(7-b)「【発明の実施の形態】以下、図面に基づき本発明の実施の一形態を説明する。図1?図15は本発明の実施の一形態を示している。図1?図7に示すように、航空機の客室内には多数の座席10が列設されている。2つの座席10が相互に隣接しており、各座席10は、ボトムフレーム11にボトムクッション12が支持されて成り、各ボトムフレーム11は台枠13に支持されている。ボトムフレーム11の前端部にはその両端に枢支ブラケット14がそれぞれ固設され、一対の枢支ブラケット14には、レッグレスト本体20が垂れ下がった状態の格納姿勢と斜め前方へ引き上げた状態の展開姿勢とに揺動可能に支持されている。
レッグレスト本体20は、レッグフレーム21の表面を溝状断面形のレッグクッション22および表皮部材23で被覆してなり、レッグフレーム21の基端部の両端には、連結ブラケット24が固着され、連結ブラケット24が枢支ブラケット14に回動可能に連結ボルトで支持されている。レッグフレーム21の両側枠25にはスライドレール26がそれぞれ固着され、レッグクッション22の溝内壁部にはガイド部材27が固着され、スライドレール26がガイド部材27に嵌着されている。レッグフレーム21の中央に架設した補強部材28にはガイド部材29が固着されている。ボトムフレーム11の両側部に掛け渡された部材には連結ブラケット15が固着され、連結ブラケット15には、座席10の下面に沿うように配したレッグレスト駆動シリンダ60が連結されている。レッグレスト駆動シリンダ60は後方へ出没して、レッグレスト本体20を格納姿勢と展開姿勢とに揺動可能にする出力ロッド61を有し、出力ロッド61がロッド長調整可能に、かつ、回動可能に連結ブラケット15連結されている。レッグレスト駆動シリンダ60のシリンダ本体62は、ボトムフレーム11の前枠部材に形成された凹部17を通って前方へ突出し、前方へ突出したシリンダ本体62の前端部がレッグフレーム21の基端枠に回動可能に連結されている。」(段落【0012】、【0013】)
(7-c)「フットフレーム31の裏面側にスライドレール32が固着され、スライドレール32がガイド部材29に前後移動可能に嵌合している。フットフレーム31の前縁部にはフットレスト本体30が、フットフレーム31の表面側に倒れた倒伏姿勢とフットフレーム31の表面から起立した起立姿勢とに揺動可能に支持されている。フットフレーム31には、スライド解除ペダル35が、フットレスト本体30の揺動中心を同じにして解除位置と拘束位置とに揺動可能に枢着されている。スライド解除ペダル35には解除ケーブル36の一端部が連結され、その他端部がフットレスト駆動シリンダ40のシリンダ本体42の後端部に延ばされている。シリンダ本体42の後端部にプレート45が連結され、プレート45には解除レバー46が揺動可能に支持されている。解除ケーブル36はアウタケーブル37とインナーワイヤ38とから成り、アウタケーブル37がプレート45に連結され、インナーワイヤ38が解除レバー46の揺動端部に連結されている。インナーワイヤ38は、スライド解除ペダル35が踏まれることで引き込まれ、解除レバー46が引き込まれて、シリンダ本体42から突設された解除ボタン47を押し込み、ロッド部材41を出没不能なロック状態から出没可能なロック解除状態にするものである。
次に、本実施の形態の作用について説明する。図示省略した操作ボタンを操作して、レッグレスト駆動シリンダ60をロック解除状態にすると、出力ロッド61が付勢力により後方へ突出し、レッグレスト本体20が、枢支ブラケット14の枢支軸を中心にして、図3において実線で示す垂れ下がった状態の格納姿勢から同じく図3において想像線で示す斜め前方へ引き上げた状態の展開姿勢に揺動し、使用状態になる。このとき、フットレスト駆動シリンダ40のロッド部材41がレッグフレーム21側の連結ブラケット54に連結されているから、フットレスト駆動シリンダ40が回動する。この回動中心となるシリンダ本体42の基端部は、レッグレスト本体20の揺動中心である、枢支ブラケット14の枢支軸から斜め後方へ大きく外れた位置に連結されているので、レッグレスト本体20が格納姿勢から展開姿勢に揺動する際に、レッグレスト本体20に対してフットレスト駆動シリンダ40全体が相対的に後方へ移動するようになり、その結果、ロッド部材41がリンク機構50の第1リンク51の一端部を後方へ引くようになる。
第1リンク51の一端部が後方へ引かれると、第1リンク51の他端部が第2リンク52を前方へ押し込み、それにより、フットフレーム31が前方へ移動するようになり、フットレスト本体30が収納位置から使用位置に突出する。
それにより、フットレスト本体30を特別な操作で使用位置に移動する必要がなくなり、操作が簡単になる。図14に示すように、レッグレスト本体20が格納姿勢から展開姿勢に揺動し、それに連動して、フットレスト本体30が収納位置から使用位置に移動する際に、第1リンク51の他端部は、最初は第2リンク52を大きく押し込まず、最後に第2リンク52を大きく押し込むようになるので、最初はフットレスト本体30の移動量が少なく最後にその移動量が多くなるようになり、フットレスト本体30の先端と座席10の据付面との間にある程度の余裕を残しながら、レッグレスト本体20が引き上げる。それにより、座席10の据付面との干渉を防止することができる。
また、レッグレスト本体20が格納姿勢から展開姿勢に揺動した際に、レッグレスト駆動シリンダ60は、大きく揺動しないで、座席10の下面にほぼ沿った状態を維持するので、座席10下方に配された必要な設備に干渉することがない。次に、例えば、図15に示すように、スライド解除ペダル35に足を掛けて踏むと、インナーワイヤ38が、スライド解除ペダル35が踏まれることで引き込まれ、解除レバー46が引き込まれて、シリンダ本体42から突設された解除ボタン47を押し込み、ロッド部材41が出没不能なロック状態から出没可能なロック解除状態になる。次に、フットレスト本体30を前方へ押し出すようにすると、図9に示すように、フットレスト本体30が、当初に突出した状態の使用位置において、さらに前後へ移動し、簡単な操作で、着座者の体に応じてフットレスト本体30を使用位置を調整することができ、使い勝手が極めて良くなる。」(段落【0017】?【0021】)

上記(7-b)の記載事項及び図面図1の図示内容からみて、レッグクッションはレッグレスト本体に対して前後に移動自在であるといえ、座席に対して前後に接離可能に構成されているといえる。

上記(7-c)の記載事項及び図面の図示内容からみて、フットフレームはレッグレスト本体に対して前後に移動調整自在であるといえ、フットフレームに支持されるフットレスト本体は、座席及びレッグクッションに対して前後方向に接離可能に構成されているといえる。

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第7号証には、次のものが記載されていると認められる。
ボトムフレームの前端部に揺動可能に支持され、斜め前方へ引き上げた状態の展開姿勢となることができるレッグレスト本体を有する座席用のレッグレスト装置において、前記レッグレスト本体が、レッグクッションとフットレスト本体を備え、前記レッグレスト本体に対して前後に移動自在な前記レッグクッションと、前記レッグレスト本体に対して前後に移動調整自在なフットフレームを有し、前記フットレスト本体は前記フットフレームに支持されており、前記レッグレスト本体が前方へ引き上げた状態で、前記レッグクッションとフットレスト本体がそれぞれ座席に対して前後に接離可能で、かつ、フットレスト本体がレッグクッションに対して前後方向に接離可能に構成されていること。

(8)甲第8号証(特開昭50-136994号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(8-a)「2.特許請求の範囲
身体の脚部、腕部等を抱持し得るように形成される抱持枠27と、その抱持枠27を開閉する開閉作動装置dと、前記抱持枠27の相対向する内面に取付けられ、流体圧の給排により伸縮作動を繰り返すようにした少なくとも一対の指圧筒28,29と、前記抱持枠27を支持する支持部材15をその抱持枠27とともに、前記指圧筒28,29の伸縮方向と略直交する方向に往復動させる抱持枠横往復動装置bとを少なくとも有する指圧装置。」(第1頁左下欄第3行?同第12行)
(8-b)「第1図において1は利用者2が仰臥し得る指圧台で、この指圧台1には、利用者2の脚の大腿部イおよびふくらはぎ部ロを指圧できるようにした本発明指圧装置Aが装備されている。
次に主として第2ないし第4図により利用者2の大腿部イを指圧するようにした本発明装置の構成について説明すると、指圧台1に設けた案内レール3,3上には、移動フレーム4が、そこに軸支した転動輪5,5…を介して走行可能に支持されている。移動フレーム4の一端縁には連杆6が連結され、この連杆6の他端は、指圧台1に固定した取付板8に揺動自在に軸支13した揺動杆7の上端が連結されている。取付板8には、原動機9が取付けられこの原動機9の原動軸に固着した円盤18に突設した偏心ピン11が前記揺動杆7に穿設した長孔12内に挿入されている。したがつて原動機9を駆動すると、揺動杆7は軸支部13回りに揺動して移動フレーム4を左右に往復移動させることができる。」(第1頁右下欄第17行?第2頁右上欄第1行)
(8-c)「尚、図中B、Cは利用者の頸部、足部を指圧する他の指圧装置である。」(第3頁左上欄第1行?同第2行)
(8-d)「また特定箇所の指圧を終つて指圧位置を変える場合には、指圧筒28,29への圧力空気の給排および原動機22の駆動を一旦停止した後、他の原動機9を駆動し円盤10を所定角度だけ回転すれば、偏心ピン11および長孔12を介して揺動杆7が揺動し、連杆6を介して移動フレーム4が案内レール3,3上を走行し、これにより抱持枠27も支持部材15,16とともに移動させることができ指圧位置の変更を行うことができる。そして再び前述の指圧操作を行う。」(第3頁左下欄第2行?同第11行)

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第8号証には、次のものが記載されていると認められる。
指圧装置において、大腿部、ふくらはぎ部及び足部をそれぞれ指圧する各指圧装置の指圧位置を変更できること。

(9)甲第9号証(実公昭60-7047号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(9-a)「この考案は、捻座、打撲、筋腱等軟部組織の患部に当てたエアーバッグに圧力空気を送つてエアーバッグを間欠的に脹らませることにより患部を間欠的に圧迫して治療するエアーバッグ式圧迫治療器に関する。」(第1頁第1欄第11行?同第15行)
(9-b)「なお、上記の実施例では人体の肩部を圧迫治療するための殻体治具を使用したが、例えば、膝関節の筋腱等軟部組織の損傷に対しては、第5図に示すように、膝関節をほぼ包囲する殻体21を形成し、その内側に内側側副靱帯部、外側側副靱帯部、或は膝蓋骨下部等の要所を圧迫する複数のエアーバッグ22をそれぞれ配設して上記と同様の圧迫治療に使用することもできる。」(第2頁第4欄第5行?同第12行)

図面第5図の図示内容からみて、内側に複数のエアーバッグを配設した殻体は、大腿部、膝関節、ふくらはぎ部、足首部のいずれかの患部に対応して形成され、いずれかの患部を圧迫して治療するといえる。

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第9号証には、次のものが記載されていると認められる。
エアーバッグ式圧迫治療器において、内側に複数のエアーバッグを配設した殻体により大腿部、膝関節、ふくらはぎ部、足首部のいずれかの患部を間欠的に圧迫して治療すること。

(10)甲第10号証(特開平10-57437号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(10-a)「【発明の属する技術分野】本発明は、マッサージ機本体に支持された使用者の被施療部を、前記本体に内蔵されてエアーの給排気にしたがい膨脹・収縮する袋体によってマッサージするマット式または椅子式等のエアーマッサージ機に関する。」(段落【0001】)
(10-b)「マット部11の各部材14?19間に形成された空間には、気密性の各種のマッサージ用袋体が図2に示されるように配置されている。各種袋体としては、例えば肩用袋体31、背中用袋体32、尻用袋体33、左脚膝部用袋体34、右脚膝部用袋体35、左脚脛用袋体35、および右脚脛用袋体37などが使用される。」(段落【0019】)
(10-c)「左脚用膝部袋体34および左脚用脛部袋体36は、マット部11上に横たわった人体Aの左脚の膝部および脹ら脛部に夫々対応して、マット部11の幅方向に延びた配置で台板14に固定されている。同様に、右脚用膝部袋体35および右脚用脛部袋体37は、マット部11上に横たわった人体Aの右脚の膝部および脹ら脛部に夫々対応して、マット部11の幅方向に延びた配置で台板14に固定されている。
これら袋体34?37は、いずれも一枚の分割形袋で形成されており、各袋は肩用袋体31となすものと同様の構成であるから、その分割形袋の構成および台板14への取付け構造についての説明は省略する。これら袋体34?37の左側袋部BLおよび右側袋部BRは、同期して膨脹・収縮されて、膝部または脹ら脛部をその両側から掴んで揉むようなマッサージを施すものである。」(段落【0025】?【0026】)

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第10号証には、次のものが記載されていると認められる。
マット式または椅子式等のエアーマッサージ機において、マッサージ用袋体として、左脚膝部用袋体、右脚膝部用袋体、左脚脛用袋体、および右脚脛用袋体が使用されること。

(11)甲第11号証(特開平2-206406号公報)には、以下の事項が図面とともに記載されている。
(11-a)「2.特許請求の範囲
1)座体と、この座体に軸支されかつ腰受け体角度調整部材により回動する腰受け体と、この腰受け体に伸縮動可能に取付けられかつ背もたれ体角度調整部材により回動する背もたれ体と、この背もたれ体に伸縮動可能に取付けられかつ頭受け体角度調整部材により回動する頭受け体と、前記座体に伸縮動可能に取付けられかつ第1の足受け体角度調整部材により回動する第1の足受け体と、この第1の足受け体に伸縮動可能に取付けられかつ第2の足受け体角度調整部材により回動する第2の足受け体とから成るベッド式椅子。」(第1頁左下欄第4行?同第15行)
(11-b)「「産業上の利用分野」
本発明はベッド式椅子に関し、病院などの治療用として、または理容や美容などの業務用として、さらに、業務や家庭用として使用される。」(第1頁右下欄第10行?同第13行)
(11-c)「すなわち、33は座体4の他側面(第2図を基準とした場合右側の側面)に第3の水平杆34を介し伸縮動可能に設けられた第1の足受け体である。この第1の足受け体33は第2図で示すように椅子の状態の時は人体の頸部と当接する。この第1の足受け体33は、大支持板35、小支持板36、メネジ孔を有する横杆37、小支持板36に軸架された横杆38、横杆37と螺合する第1の足受け体用螺杆39とから成る第1の足受け体角度調整部材40により、前後あるいは上下方向へ100度程度回動する。
41は第1の足受け体33の他側面(第2図を基準とした場合下側の側面)に第4の水平杆42を介し伸縮動可能に設けられた第2の足受け体である。この第2の足受け体41は、大支持板43、小支持板44、メネジ孔を有する横杆45、小支持板に軸架された柱体46、横杆45と螺合する第2の足受け体用螺杆47とから成る第2の足受け体角度調整部材48により、前後あるいは上下方向へ100度程度回動する。」(第3頁右上欄第19行?同左下欄第17行)
(11-d)「また80は第1の足受け体伸縮動手段で、この第1の足受け体伸縮動手段80は、座体4に横方向(第5図を基準)に固設された駆動モータ81と、この駆動モータ81の突出する出力軸に設けられた駆動歯車82と、この駆動歯車82とかみ合うように座体に並設された歯車83と、この歯車83と螺合し取付端部が第3の水平杆34の中央部に取付けられた螺杆84の左右に平行に設けられた2本の案内杆85とかに成る。
さらに、90は第2の足受け体伸縮動手段41で、この第2の足受け体伸縮動手段41は、第1の足受け体33に横方向(第5図を基準)に固設された駆動モータ91と、この駆動モータ92の突出する出力軸に設けられた駆動歯車92と、この駆動歯車92とかみ合うように第1の足受け体33に並設された歯車93と、この歯車93と螺合し取付端部が第4の水平杆42の中央部に取付けられた螺杆94と、この螺杆94の左右に平行に設けられた2本の案内杆95とから成る。」(第4頁左上欄第11行?同右上欄第9行)

以上の記載事項及び図面の図示内容からみて、甲第11号証には、次のものが記載されていると認められる。
病院などの治療用として使用されるベッド式椅子において、座体に伸縮動可能に取付けられかつ第1の足受け体角度調整部材により回動する第1の足受け体と、この第1の足受け体に伸縮動可能に取付けられかつ第2の足受け体角度調整部材により回動する第2の足受け体を備えること。

B.対比・判断
(1)本件特許発明と甲第1号証記載の発明との対比
本件特許発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると、その構造又は機能からみて、甲第1号証記載の発明の「座部」は本件特許発明の「座部」に相当し、以下同様に「背凭部」は「背凭れ部」に、「座部の前端部」は「座部の前部」に、「回動可能」は「上下揺動自在」に、「オットマン」は「フットレスト」に、「空気袋」は「空気式のマッサージ具」に、「椅子型のエアマッサージ装置」は「椅子型マッサージ機」に、「フレーム」は「固定フレーム」に、「前後方向」は「前後」に、「固定」は「固着」に、それぞれ相当する。

また、甲第1号証の「座部の前端部に回動可能に設けられているフレームと、前記フレームのアーム部に沿って前後方向に移動可能に装着したガイドレールとを有し、
前記足受部は、前記ガイドレールに固定されており、
前記オットマンが前方へ突出している状態で、前記足受部が前記座部に対して前後方向に位置を調整できる」は、座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと、前記固定フレームに対して前後に移動調整自在であるフレーム部材を有し、フットレストは、前記フレーム部材に固着されており、前記フットレストが前方へ突出している状態で、前記フットレストが前記座部に対して前後に接離調整可能に構成されている点で、本件特許発明の「座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと、前記固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと、前記第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有し、
前記第一フットレスト部は、前記第一スライドフレームに固着され、前記第二フットレスト部は、前記第二スライドフレームに固着されており、
前記フットレストが前方へ突出している状態で、前記第一フットレスト部及び前記第二フットレスト部が全体として前記座部に対して前後に接離調整可能で、かつ、この第二フットレスト部が前記第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能に構成されている」と共通する。

よって、本件特許発明と甲第1号証記載の発明とは、
「座部及び背凭れ部と、前記座部の前部に上下揺動自在として設けられたフットレストと、を有し、前記フットレストは、上方へ揺動して前記座部から前方へ突出している状態となることができ、前記フットレストは、使用者の脚にマッサージすることが可能な空気式のマッサージ具を有している椅子型マッサージ機において、
前記座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと、前記固定フレームに対して前後に移動調整自在であるフレーム部材を有し、
前記フットレストは、前記フレーム部材に固着されており、
前記フットレストが前方へ突出している状態で、前記フットレストが前記座部に対して前後に接離調整可能に構成されている椅子型マッサージ機。」という点で一致し、次の点で相違する。

(相違点)
本件特許発明は、フットレストが脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割され、固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと、前記第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有し、前記第一フットレスト部は、前記第一スライドフレームに固着され、前記第二フットレスト部は、前記第二スライドフレームに固着されており、前記フットレストが前方へ突出している状態で、前記第一フットレスト部及び前記第二フットレスト部が全体として前記座部に対して前後に接離調整可能で、かつ、この第二フットレスト部が前記第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能に構成されているのに対して、甲第1号証記載の発明は、フットレストが分割されておらず、分割された第一フットレスト及び第二フットレストをそれぞれ固着する第一スライドフレーム及び第二スライドフレームを有しておらず、前記第二フットレスト部が前記第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能に構成されていない点で相違する。

(2)判断
(ア)甲第3号証には、椅子または寝椅子において、広げられるまたは長さが調節され、使用されないときには座部枠の中に折り畳まれるように伸縮自在な形で互いに取り付けられた、いくつかの摺動部で形成される脚掛けであり、当該脚掛けが座部枠の中に折り畳まれたとき、前記脚掛けが占有する開口部の前部を閉じる働きをするバーVを有することが記載されている。

しかし、甲第3号証に記載されたものは、本件特許発明の「座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレーム」を有する構造ではない。また、甲第3号証に記載されたものは、マッサージ機能を有するフットレストに関するものではないので、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは、甲第3号証には記載されていない。さらに、審判請求書で請求人が主張するように上記甲第3号証に記載されたものから、「フットレストを使用者の脚の長さに応じて分割調整する構成は」「優に周知技術というべき事項である」としても、フットレストとともにマッサージ機能も分割することを示唆するとはいえない。

そこで、請求人が「使用者の所望位置をマッサージするためにエアバッグを複数配設する構成も」「周知技術というべき事項」と主張する根拠となる甲第8号証乃至甲第10号証について検討する。
まず、甲第8号証には、指圧装置において、大腿部、ふくらはぎ部及び足部をそれぞれ指圧する各指圧装置の指圧位置を変更できることが記載されている。
しかし、甲第8号証には、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは記載されていない。また、本件特許発明は、座部の前部に上下揺動自在として設けられたフットレストが、脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部に分割され、第一フットレスト部及び第二フットレスト部が全体として座部に対して前後に接離調整可能で、かつ、第二フットレスト部が第一フットレスト部に対して前後方向に接離調整可能に構成されていることから、本件特許発明は、使用者の膝部より下方で、前後方向に接離調整可能な第一フットレスト部及び第二フットレスト部により2箇所マッサージするものである。これに対し、甲第8号証に記載されたものは、指圧位置を変更できる指圧装置を複数有し、使用者の膝部より下方のふくらはぎ部と足部を指圧するものの、足部を指圧する指圧装置は前後方向に接離調整可能なものではない。よって、甲第8号証に記載されたものには、使用者の膝部より下方で、前後方向に接離調整可能なフットレストにより2箇所マッサージすることの記載も示唆もない。
次に、甲第9号証には、エアーバッグ式圧迫治療器において、内側に複数のエアーバッグを配設した殻体により大腿部、膝関節、ふくらはぎ部、足首部のそれぞれ患部を間欠的に圧迫して治療することが記載されている。
しかし、甲第9号証には、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは記載されていない。また、本件特許発明は、上述したように、使用者の膝部より下方で、前後方向に接離調整可能な第一フットレスト部及び第二フットレスト部により2箇所マッサージするものである。これに対して、甲第9号証に記載されたものは、使用者の膝部より下方で、2つの殻体により、同時に2箇所マッサージするものとはいえず、2つの殻体同士を使用者の脚の伸長方向(前後方向)に接離調整可能であるともいえない。よって、甲第9号証に記載されたものには、使用者の膝部より下で、前後方向に接離調整可能なフットレストにより2箇所マッサージすることの記載も示唆もない。
次に、甲第10号証には、マット式または椅子式等のエアーマッサージ機において、マッサージ用袋体として、左脚膝部用袋体、右脚膝部用袋体、左脚脛用袋体、および右脚脛用袋体が使用されることが記載されている。
しかし、甲第10号証には、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは記載されていない。また、本件特許発明は、上述したように、使用者の膝部より下方で、前後方向に接離調整可能な第一フットレスト部及び第二フットレスト部により2箇所マッサージするものである。これに対して、甲第10号証に記載されたものは、使用者の膝部より下では、1箇所でのみマッサージするものである。よって、甲第10号証に記載されたものには、使用者の膝部より下方で、前後方向に接離調整可能なフットレストにより2箇所マッサージすることの記載も示唆もない。
よって、請求人が主張するように「使用者の所望位置をマッサージするためにエアバッグを複数配設する構成も」「周知技術というべき事項」であるとしても、甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものには、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

したがって、甲第3号証に記載されたものには、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もなく、甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものにも、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

(イ)次に、甲第4号証には、乗物用の座席装置において、座部の前端部に垂下状態と水平状態とに回動可能にレッグレスト本体を支持し、レッグレスト本体が水平状態に回動すると、サブレスト体がメインレスト体に対して前方へ伸びるようになることが記載されている。

しかし、甲第4号証に記載されたものは、本件特許発明の「第二スライドフレーム」を有する構造ではない。また、甲第4号証に記載されたものは、マッサージ機能を有するフットレストに関するものでもないので、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは、甲第4号証には記載されていない。さらに、審判請求書で請求人が主張するように上記甲第4号証に記載されたものから、「フットレストを使用者の脚の長さに応じて分割調整する構成は」「優に周知技術というべき事項である」としても、フットレストとともにマッサージ機能も分割することを示唆するとはいえない。

さらに、請求人が「使用者の所望位置をマッサージするためにエアバッグを複数配設する構成も」「周知技術というべき事項」と主張する根拠となる甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものついても、上述したように、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

したがって、甲第4号証に記載されたものには、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もなく、甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものにも、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

(ウ)次に、甲第5号証には、安楽椅子において、座部の前縁の下で垂直位置にある脚支持台及び脚支持用の延長部を、前記座部をわずかに傾けると、前記脚支持台を上方外側へ延ばすと同時に前記脚支持用の延長部を前記脚支持台に対して前方に移動させることが記載されている。

しかし、甲第5号証に記載されたものは、本件特許発明の「座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと、前記固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと、前記第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有」する構造ではない。また、甲第5号証に記載されたものは、マッサージ機能を有するフットレストに関するものでもないので、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは、甲第5号証には記載されていない。さらに、審判請求書で請求人が主張するように上記甲第5号証に記載されたものから、「フットレストを使用者の脚の長さに応じて分割調整する構成は」「優に周知技術というべき事項である」としても、フットレストとともにマッサージ機能も分割することを示唆するとはいえない。

さらに、請求人が「使用者の所望位置をマッサージするためにエアバッグを複数配設する構成も」「周知技術というべき事項」と主張する根拠となる甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものついても、上述したように、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

したがって、甲第5号証に記載されたものには、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もなく、甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものにも、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

(エ)次に、甲第6号証には、座席用自動足乗せ装置において、着座者の足を載置するフットレストを、基部側部材と可動側部材とに分割構造によって前後方向に伸縮可能な構造とし、フットレストを、突出時には、前後方向の長さを伸長して足の載置面を拡張するとともに略水平に担持し、且つ後退時には座席の脚部前面に沿って略鉛直に担持することが記載されている。

しかし、甲第6号証に記載されたものは、本件特許発明の「座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと、前記固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと、前記第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有」する構造ではない。また、甲第6号証に記載されたものは、マッサージ機能を有するフットレストに関するものでもないので、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは、甲第6号証には記載されていない。さらに、審判請求書で請求人が主張するように上記甲第6号証に記載されたものから、「フットレストを使用者の脚の長さに応じて分割調整する構成は」「優に周知技術というべき事項である」としても、フットレストとともにマッサージ機能も分割することを示唆するとはいえない。

さらに、請求人が「使用者の所望位置をマッサージするためにエアバッグを複数配設する構成も」「周知技術というべき事項」と主張する根拠となる甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものついても、上述したように、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

したがって、甲第6号証に記載されたものには、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もなく、甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものにも、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

(オ)次に、甲第7号証には、ボトムフレームの前端部に揺動可能に支持され、斜め前方へ引き上げた状態の展開姿勢となることができるレッグレスト本体を有する座席用のレッグレスト装置において、前記レッグレスト本体が、レッグクッションとフットレスト本体を備え、前記レッグレスト本体に対して前後に移動自在な前記レッグクッションと、前記レッグレスト本体に対して前後に移動調整自在なフットフレームを有し、前記フットレスト本体は前記フットフレームに支持されており、前記レッグレスト本体が前方へ引き上げた状態で、前記レッグクッションとフットレスト本体がそれぞれ座席に対して前後に接離可能で、かつ、フットレスト本体がレッグクッションに対して前後方向に接離可能に構成されていることが記載されている。

しかし、甲第7号証に記載されたものは、「レッグクッション」が移動自在であるが、移動調整自在であるとはいえないから、本件特許発明の「座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと、前記固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと、前記第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有」する構造とはいえない。また、甲第7号証に記載されたものは、マッサージ機能を有するフットレストに関するものでもないので、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは、甲第7号証には記載されていない。さらに、審判請求書で請求人が主張するように上記甲第7号証に記載されたものから、「フットレストを使用者の脚の長さに応じて分割調整する構成は」「優に周知技術というべき事項である」としても、フットレストとともにマッサージ機能も分割することを示唆するとはいえない。

さらに、請求人が「使用者の所望位置をマッサージするためにエアバッグを複数配設する構成も」「周知技術というべき事項」と主張する根拠となる甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものついても、上述したように、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

したがって、甲第7号証に記載されたものには、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もなく、甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものにも、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

(カ)次に、甲第8号証には、上述したように、指圧装置において、大腿部、ふくらはぎ部及び足部をそれぞれ指圧する各指圧装置の指圧位置を変更できることが記載されている。

しかし、甲第8号証に記載されたものは、本件特許発明の「座部の前端下部に上下揺動自在として連結されている固定フレームと、前記固定フレームに対して前後に移動調整自在である第一スライドフレームと、前記第一スライドフレームに対して前後に移動調整自在である第二スライドフレームとを有」する構造ではない。また、上述したように、甲第8号証には、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

さらに、請求人が「使用者の所望位置をマッサージするためにエアバッグを複数配設する構成も」「周知技術というべき事項」と主張する根拠となる甲第9号証及び甲第10号証に記載されたものついても、上述したように、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

したがって、甲第8号証に記載されたものには、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もなく、甲第9号証及び甲第10号証に記載されたものにも、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

(キ)最後に、甲第11号証には、病院などの治療用として使用されるベッド式椅子において、座体に伸縮動可能に取付けられかつ第1の足受け体角度調整部材により回動する第1の足受け体と、この第1の足受け体に伸縮動可能に取付けられかつ第2の足受け体角度調整部材により回動する第2の足受け体を備えることが記載されている。

しかし、甲第11号証に記載されたものは、本件特許発明の「第二スライドフレーム」を有する構造ではない。また、甲第11号証に記載されたものは、マッサージ機能を有するフットレストに関するものでもないので、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することは、甲第11号証には記載されていない。さらに、審判請求書で請求人が主張するように上記甲第11号証に記載されたものから、「フットレストを使用者の脚の長さに応じて分割調整する構成は」「優に周知技術というべき事項である」としても、フットレストとともにマッサージ機能も分割することを示唆するとはいえない。

さらに、請求人が「使用者の所望位置をマッサージするためにエアバッグを複数配設する構成も」「周知技術というべき事項」と主張する根拠となる甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものついても、上述したように、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

したがって、甲第11号証に記載されたものには、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もなく、甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたものにも、甲第1号証記載の発明において、マッサージ機能を有するフットレストを脚の上側をマッサージする第一フットレスト部と脚の下側をマッサージする第二フットレスト部とに分割することの記載も示唆もない。

(ク)まとめ
以上のとおりであるから、甲第1号証記載の発明に、甲第3号証乃至甲第8号証又は甲第11号証に記載されたもの、あるいは、当該記載されたものから、脚載置部が分割される構成が周知技術であり、当該構成を適用することが容易であるとしても、甲第1号証記載の発明のマッサージ機能を有するフットレストの空気式のマッサージ具が自然と各別に分割される脚載置部ごとに分割されることになるとはいえず、甲第8号証乃至甲第10号証に記載されたもの、あるいは、当該記載されたものから、マッサージ機に関する技術分野において、使用者の種々の場所に複数のマッサージ具を配置する構成が周知技術であり、当該構成を適用することが容易であるとしても、甲第1号証記載の発明のマッサージ機能を有するフットレストの空気式のマッサージ具が自然と各別に分割される脚載置部ごとに分割されることになるとはいえない。
よって、甲第1号証記載の発明に、甲第3号証乃至甲第11号証に記載されたもの、又は、周知技術を適用して、相違点に係る本件特許発明の構成とすることが当業者にとって容易であるとはいえない。
したがって、本件特許発明は、甲第1号証記載の発明、及び、甲第3号証乃至甲第11号証に記載されたもの、又は、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。


V.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び提出した証拠方法によっては本件特許発明に係る特許を無効にすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2010-11-12 
結審通知日 2010-11-18 
審決日 2010-12-01 
出願番号 特願2005-177177(P2005-177177)
審決分類 P 1 113・ 121- Y (A61H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 伊藤 元人長谷川 一郎  
特許庁審判長 亀丸 広司
特許庁審判官 黒石 孝志
蓮井 雅之
登録日 2008-09-19 
登録番号 特許第4188946号(P4188946)
発明の名称 マッサージ機  
代理人 辻本 希世士  
代理人 古庄 俊哉  
代理人 辻本 一義  
代理人 三山 峻司  
復代理人 古川 安航  
代理人 高田 真司  
復代理人 下村 裕昭  
代理人 特許業務法人 有古特許事務所  
代理人 坂元 孝之  
代理人 森田 拓生  
代理人 木村 広行  
代理人 畑 郁夫  
代理人 辻本 良知  
代理人 黒田 佑輝  
代理人 重冨 貴光  
代理人 神吉 出  
代理人 井上 周一  
代理人 上野 康成  

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