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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F
管理番号 1344719
審判番号 不服2017-12107  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2018-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2017-08-14 
確定日 2018-10-04 
事件の表示 特願2013-114616「電源制御プログラム、カメラおよびアクセサリ」拒絶査定不服審判事件〔平成26年12月15日出願公開、特開2014-235449〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明
本願は、平成25年5月30日の出願であって、平成29年2月13日付けで拒絶理由が通知され、同年4月18日に手続補正がなされ、同年5月9日付けで拒絶査定がなされ、これに対して、同年8月14日に拒絶査定不服の審判が請求されると同時に手続補正がなされ、当審において、平成30年4月5日付けで拒絶理由が通知され、同年6月11日に手続補正がなされたものである。
そして、その請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成30年6月11日付け手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「【請求項1】
ホスト機器に接続されるデバイス機器に対する通常状態から省電力状態への切替え条件を取得する条件取得処理と、
前記ホスト機器の状態を示す状態情報を取得する情報取得処理と、
前記切替え条件と前記状態情報とを照合する照合処理と、
前記デバイス機器に対する複数の前記切替え条件が設定されている場合に、前記照合の結果に基づいて、前記デバイス機器へ前記通常状態と前記省電力状態との切替えを指示する指示処理と、
をコンピュータに実行させる電源制御プログラム。」

第2 引用文献、引用発明等
1.引用文献1
当審の拒絶の理由で引用された、本願の出願日前に頒布された、特開2004-98399号公報(以下「引用文献1」という。)には、次の記載がある。

(1)「【0008】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、通信可能な情報処理装置のプロセスを調査して、画像形成に必要な各ブロックへの電力供給状態を制御することにより、ホストコンピュータの状況を適切に認識し、該認識に連動して適切な省電力環境を実現でき、更に、ネットワーク上に複数のデバイスが接続されるような環境で夫々のデバイスの状態を加味した最適な省電力環境を実現可能なデータ処理装置および電力制御方法およびコンピュータが読み取り可能な記憶媒体およびプログラムを提供することである。」

(2)「【0025】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態を示すデータ処理装置を適用する画像処理システムの一例を示す図であり、ネットワーク環境下において通信を行うホストコンピュータとプリンタとに着目し、それらの構成を簡略化して示している。また、プリンタ300-2をプリントサーバ等の情報処理装置に置き換えることも想定され、その場合には後述する図6、図7、図9の各フローチャートの各ステップの処理は情報処理装置により実行されることになる。尚、本実施形態及び後述する実施形態ではプリンタを例に説明するが、これに限定されるものではなく、複写機やファクシミリやデジタル複合機など様々な画像形成装置に適用可能なことはいうまでもない。また、プリンタとしては電子写真方式を採用したレーザービームプリンタや、インクジェット方式を採用したインクジェット方式のものが想定される。以下、「プリンタ」を例に説明することとする。」

(3)「【0093】
次に、制御部402は、受信されたホストコンピュータステータスと管理者などによって予め不揮発性記憶部(メモリ部312)に設定された着目ホストコンピュータのリスト情報(図8の(a)701)とを比較し、ステップ(608)で入手したホストコンピュータ、すなわち立ち上がっているホストコンピュータが、そのリスト情報に存在するか否かを図8の(a)のテーブル中の701に基づき判断し、これからアクセスするホストコンピュータを特定する(609)。プリンタは例えばホスト名の一致を比較することによりステップ(609)のホストコンピュータを特定する。
【0094】
このようにして、ステップ(609)で、ホストコンピュータが特定されたならば、そのホストコンピュータに対しプリンタが情報のリクエストを図8の(a)の701の情報に基づき対象ホストに送付する。(610)。 例えばTCP/IPの場合、対象ホストのIPアドレスが必要となるので、DNSがサポートされているのであれば、あらかじめプリンタに設定されているDNSサーバのIPアドレスに対し、図8の(a)の対象ホスト名のIPアドレスを問い合わせることにより対象ホストのIPアドレス情報を取得し、得られたIPアドレス、すなわち対象ホストのIPアドレスにアクセスする。また、図8の(a)中に各ホストコンピュータに対応するIPアドレスを含ませることにより直接的にIPアドレスに基づくアクセスを実行するようにしても良い。
【0095】
この状態は、図4の1401、1402のアクセス経路例に示され、ここでは特定されたホストコンピュータがホストコンピュータ501であり、動作説明のために着目しているプリンタがプリンタ503になる。
【0096】
また、リクエストを(当審注:「を」は「の」の誤記と認める。)内容としては少なくとも図8の(a)の701?706の各項目に対応する情報を取得する為のリクエストが含まれている。
【0097】
具体的には701の情報を取得するにはホスト名/IPアドレスを取得する為のリクエストを実行し、703の情報を取得するにはホストコンピュータにおけるログイン名を取得する為のリクエストを実行し、702のプロセス名に対応する704に対応する情報を取得するにはプロセス名とプロセスロードとが対になった情報を取得する為のリクエストを実行し、705の情報を取得するにはプロセス名とアイドル時間が対になった情報を取得する為のリクエストを実行し、706の情報を取得するにはホストコンピュータの省電力モードの継続時間を取得する為のリクエストを実行すれば良い。また、701?706の各項目に対応する情報は一度にまとめて取得しても良いし、個別に取得しても良い。尚、本実施形態におけるプロセスとは、例えば、「netscape(登録商標)」などの所定のアプリケーションのプロセス、或いは、OSを組み込まれたOS特有のプロセスをなど、様々な種別のプロセスを想定することができる。
【0098】
ここで、リクエストの具体的な一例を挙げると、リモートシェルが動作するUNIX(登録商標)環境下に於いては、「’rsh A ps -Af | grep X’」など挙げられる。これはリモートシェル動作が可能である旨あらかじめパーミッション(アクセス権)を設定しておいた上で、「A」と言うホストコンピュータに対し、そのホストコンピュータ上で動作する全てのプロセスを情報として受信し、受信した側でXと言うプロセス名を検索するフィルタを動作させている。
【0099】
このような同様の仕組みで少なくとも図8の(a)中の701?706を判断する為に必要なホストコンピュータにおける各種プロセス情報がプリンタによって取得される。 また、所定のホストコンピュータに対して登録されるプロセスは1つに限定されるものでなく、複数登録することも想定され、そのような場合には複数のアプリケーションの各々に対してプリンタからホストコンピュータに対してリクエストが実行される。または、ホストコンピュータにて実行される複数のプロセスに関する情報をまとめてプリンタにて取得し、必要なプロセスの情報を702の設定情報に基づいてフィルタリングする機能をプリンタに備えさせるようにすればホストコンピュータ側の対応を簡略化することができる。
【0100】
次に、プリンタはホストコンピュータからステップ(610)のリクエストに対する返信データを受信する(611)。この状況は図4の1402アクセス経路例に示され、受信される具体的データ例としてはリクエストが、例えば「Aと言うホストコンピュータが、Xと言うアプリケーションが動作しているか?」に対し、「Yes」或は「No」(「True」或は「False」)となる。上記UNIX(登録商標)のrshの例では「rsh A ’ps -Af | grep X’」でフィルタをホストコンピュータ側で動かした結果のみを受信しても良いし、プリンタ側にgrepのフィルタを備えてパイプ以降はプリンタ側で行っても構わず、結果として「X」と言う名前のプロセスの存在が確認できればどのような方策/手段を用いても構わない。同様に図8の(a)の701?706に対応する各種情報も、ステップ(610)のリクエストに応じて各ホストコンピュータからプリンタにて対して送付され、後述するステップ(612)やステップ(629)の処理に利用(参照)される。
【0101】
次に、ステップ(611)にて受信した情報と図8の(a)に示された判断基準とに基づき省エネルギーモード移行への判断が行われる(612)。
【0102】
ここで、図8の(a)の説明を行うと、図8の(a)はプリンタ毎の所定の記憶部に保持されているものであり、プリンタが省エネルギーモードに移行するか否かを判断する基準を示す。複数のホストコンピュータ(701)夫々の状態がどのようになっていれば、省エネルギーモードに移行するかの設定(移行条件707)、所定のプロセスに対して休止状態とみなす判断基準(704?706)が含まれる。また、図8の(a)においてホストコンピュータを1つだけ登録するようにすれば、ホストコンピュータとプリンタとが一対一で接続されているような場合にも対応して最適な電力制御をプリンタにて実現することもできる。
【0103】
また、「移行条件707」は、プリンタの操作部或いはネットワークを介したホストコンピュータからの指示入力に応じて適宜変更可能に構成されており、例えば、図8の(a)中の「移行条件」を「複数のホストコンピュータにおけるプロセスロード平均(ロードアベレージ)が所定値以下の場合に省エネルギーモードに移行する」と設定するような形態をとることも可能となっている。
【0104】
そして、図8の(a)の判断基準に従いモード移行と判断された場合は、ステップ(613)へ進み、モード移行と判断されない場合は、ステップ(607)へと進み順次、各ホストコンピュータ(デバイス)におけるプロセス状況やデバイスのスタンバイ状態が判断される。
【0105】
ステップ(607)へ移行する場合には、引き続いて予め登録されている個々のホストコンピュータの状態(プロセス状態)が判断される。具体的には条件1以外の他の条件が登録されているか否かを判断して、更なる設定条件が無いと判定した場合、すなわちホストコンピュータ側へのスキャンニング動作が終了したのであれば、ステップ(604)へ戻り、印字データの受信サンプリングへ移行する。一方、スキャンニング動作が終了していなと判定した場合は設定に従い次の条件のホストコンピュータへのスキャンニング動作を行うべく、ステップ(609)へと戻る。
【0106】
例えば、図8の(a)の判断基準に従えば条件1以外に条件2が設定されているので、ステップ(607)からステップ(609)へと進み、ホスト特定として「B」と言うホストコンピュータを特定し(609)、上に説明したリクエストと同様のリクエストを実行する。例えば、そのホストコンピュータへ「A」のホストコンピュータへのリクエスト同様、「Y」及び/又はQと言う名前のプロセスが動作しているかというリクエストを送信する。このリクエストの様子は、図5の1501に示されるアクセス経路例に示され、「B」と言うホストコンピュータは図5中では、ホストコンピュータ502として示されている。
【0107】
次に、ステップ(610)に対する返信情報として「Yes」或は「No」(「True」或は「False」)が受信される(611)。この場合の情報伝達例は、図5の1502に示されるアクセス経路で行われる。
【0108】
そして、個々のホストコンピュータに対するプロセス情報と予め設定された移行条件707に基づきステップ(612)にてモード移行の判断がなされることになる。
【0109】
図8の(a)においてはモード移行がなされる場合の具体例としては、例えば、プリンタAについては、前述「A」のホストコンピュータへのリクエストが「False」であり、更に「B」のホストコンピュータへのリクエストも「False」であるよう場合、或いは、「A」、「B」のコンピュータの夫々において、指定されたプロセス(702)が何れも休止状態と同等にみなされる休止みなし状態である場合が相当する。
【0110】
言い換えればあらかじめ設定された条件が全て同時に満たされる場合のみと言うことになるわけであり、このモード移行の判断では、設定条件のスキャンサーチポインタが設定条件の最終リストをさしているか否かもその条件判断に要素として加わっていることになるわけである。」

(4)「【0122】
図6の説明に戻るとステップ(612)の判定処理に伴い、省エネルギーモードへのモード移行の決定がなされた場合、制御部402は省エネルギーモード移行後、そのモードからの復帰を実現するために各種パラメータを保存する(613)。
【0123】
本実施形態の場合、DRAM404がその構成素子の特性上、電力を消費するため、この部分の電力供給をカットする機能が備わっており、DRAM404に格納されていた省エネルギーモードからの復帰後必要となる各種データを不揮発性のメモリ(図示しない)へ待避する動作を実行する。
【0124】
特に限定されるものではないものの具体的に例えば、図2ではDRAM404として記してはいるが、メモリコントローラ403を経由してDRAM404内に存在しているEEPROMにデータを待避させたり、図2には記載されていないが、ハードディスク等の記憶媒体にデータ待避を行ったり等するものとする。
【0125】
次に、制御部402は省エネルギーモードとしてスリープモード(Sleep)へ移行する(614)。」

(5)【図8】(a)からは、モード移行参照テーブル例として、(プリンタA)と(プリンタB)について記載されており、(プリンタB)については、1つめの条件は「ホストC」は「プロセスQが休止」であり、「プロセス休止みなし条件」は、「ユーザ名」が「ike」、「プロセスロードスレッシュホールド」が「0.3」、「プロセスアイドルタイム」が「2.0h」、「モード移行タイムアウト」が「1.0h」、2つめの条件は「ホストD」は「プロセスXが休止」であり、「プロセス休止みなし条件」は、「ユーザ名」が「taka」、「プロセスロードスレッシュホールド」が「0.3」、「プロセスアイドルタイム」が「1.5h」、「モード移行タイムアウト」が「1.0h」、3つめの条件は「ホストD」は「プロセスYが休止」であり、「プロセス休止みなし条件」は、「ユーザ名」が「taka」、「プロセスロードスレッシュホールド」が「0.3」、「プロセスアイドルタイム」が「1.5h」、「モード移行タイムアウト」が「1.0h」と定義され、省エネモード移行条件としては、「2以上のホストにおいてプロセスが休止状態或いは休止みなし状態である。」と定義されていることを読み取ることができる。

上記下線部及び関連箇所の記載によれば、引用文献1には、最適な省電力環境を実現可能なプログラムとして、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。

[引用発明]
「ネットワーク環境下において通信を行うホストコンピュータとプリンタとに着目し、
通信可能な情報処理装置のプロセスを調査して、画像形成に必要な各ブロックへの電力供給状態を制御することにより、ホストコンピュータの状況を適切に認識し、該認識に連動して適切な省電力環境を実現でき、更に、ネットワーク上に複数のデバイスが接続されるような環境で夫々のデバイスの状態を加味した最適な省電力環境を実現可能なプログラムであり、
ホストコンピュータが特定されたならば、そのホストコンピュータに対しプリンタが情報のリクエストをモード移行参照テーブルのホスト名701の情報に基づき対象ホストに送付し、
リクエストの内容としては少なくともモード移行参照テーブルの各項目701?706に対応する情報を取得する為のリクエストが含まれ、
少なくともモード移行参照テーブル中の各項目701?706を判断する為に必要なホストコンピュータにおける各種プロセス情報がプリンタによって取得され、
所定のホストコンピュータに対して登録されるプロセスは1つに限定されるものでなく、複数登録することも想定され、そのような場合には複数のアプリケーションの各々に対してプリンタからホストコンピュータに対してリクエストが実行され、
プリンタはホストコンピュータから前記リクエストに対する返信データを受信し、
受信した情報とモード移行参照テーブルに示された判断基準とに基づき省エネルギーモード移行への判断が行われ、
モード移行参照テーブルは、プリンタ毎の所定の記憶部に保持されているものであり、プリンタが省エネルギーモードに移行するか否かを判断する基準を示し、
複数のホストコンピュータ(701)夫々の状態がどのようになっていれば、省エネルギーモードに移行するかの設定(移行条件707)、所定のプロセスに対して休止状態とみなす判断基準(704?706)が含まれ、
「移行条件707」は、プリンタの操作部或いはネットワークを介したホストコンピュータからの指示入力に応じて適宜変更可能に構成されており、
個々のホストコンピュータに対するプロセス情報と予め設定された移行条件707に基づきモード移行の判断がなされ、
省エネルギーモードへのモード移行の決定がなされた場合、省エネルギーモード移行後、そのモードからの復帰を実現するために各種パラメータを保存し、
省エネルギーモードとしてスリープモード(Sleep)へ移行し、
モード移行参照テーブル例として、(プリンタB)については、1つめの条件は「ホストC」は「プロセスQが休止」であり、「プロセス休止みなし条件」は、「ユーザ名」が「ike」、「プロセスロードスレッシュホールド」が「0.3」、「プロセスアイドルタイム」が「2.0h」、「モード移行タイムアウト」が「1.0h」、2つめの条件は「ホストD」は「プロセスXが休止」であり、「プロセス休止みなし条件」は、「ユーザ名」が「taka」、「プロセスロードスレッシュホールド」が「0.3」、「プロセスアイドルタイム」が「1.5h」、「モード移行タイムアウト」が「1.0h」、3つめの条件は「ホストD」は「プロセスYが休止」であり、「プロセス休止みなし条件」は、「ユーザ名」が「taka」、「プロセスロードスレッシュホールド」が「0.3」、「プロセスアイドルタイム」が「1.5h」、「モード移行タイムアウト」が「1.0h」と定義され、省エネモード移行条件としては、「2以上のホストにおいてプロセスが休止状態或いは休止みなし状態である。」と定義されている、
最適な省電力環境を実現可能なプログラム。」

第3 対比・判断
1.対比
本願発明と引用発明とを対比する。

(1)引用発明の「ホストコンピュータ」は、本願発明の「ホスト機器」に相当する。
引用発明の「プリンタ」は、ネットワーク環境下においてホストコンピュータと通信を行うものであるので、本願発明の「ホスト機器に接続されるデバイス機器」に相当する。
引用発明の「モード移行参照テーブル」は、プリンタが省エネルギーモードに移行するか否かを判断する基準を示すものであるので、本願発明の「デバイス機器に対する通常状態から省電力状態への切替え条件」に相当する基準を含む基準を示すものといえる。
引用発明は、受信した情報とモード移行参照テーブルに示された判断基準とに基づき省エネルギーモード移行への判断が行われているので、モード移行参照テーブルを読み出す機能を有することは明らかであり、この機能は、本願発明の「条件取得処理」に相当する。
そのため、引用発明は、本願発明の「ホスト機器に接続されるデバイス機器に対する通常状態から省電力状態への切替え条件を取得する条件取得処理」に相当する機能を有しているといえる。

(2)引用発明の「ホストコンピュータに対するプロセス情報」は、ホストコンピュータの状態を示す情報といえるので、引用発明の「ホストコンピュータに対するプロセス情報」は、本願発明の「ホスト機器の状態を示す状態情報」に相当する。
引用発明では、ホストコンピュータにおける各種プロセス情報がプリンタによって取得されているので、プロセス情報を取得する機能を有することは明らかであるので、引用発明は、本願発明の「ホスト機器の状態を示す状態情報を取得する情報取得処理」に相当する機能を有しているといえる。

(3)引用発明のモード移行参照テーブルは、プリンタが省エネルギーモードに移行するか否かを判断する基準を示し、複数のホストコンピュータ(701)夫々の状態がどのようになっていれば、省エネルギーモードに移行するかの設定(移行条件707)、所定のプロセスに対して休止状態とみなす判断基準(704?706)が含まれており、そして、個々のホストコンピュータに対するプロセス情報と予め設定された移行条件707に基づきモード移行の判断がなされているので、引用発明は、本願発明の「切替え条件と前記状態情報とを照合する照合処理」に相当する機能を有しているといえる。

(4)引用発明のモード移行参照テーブルは、(プリンタB)については、1つめの条件が「ホストC」は「プロセスQが休止」であることを含み、2つめの条件が「ホストD」は「プロセスXが休止」であることを含み、3つめの条件が「ホストD」は「プロセスYが休止」であることを含んで定義され、省エネモード移行条件としては、「2以上のホストにおいてプロセスが休止状態或いは休止みなし状態である。」と定義されているので、引用発明のモード移行参照テーブルには、プリンタに対する切替え条件が設定されているといえ、引用発明は、本願発明の「前記デバイス機器に対する複数の前記切替え条件が設定されている場合」とは、「前記デバイス機器に対する前記切替え条件が設定されている場合」である点では共通する切替え条件が設定されているといえる。

(5)引用発明が、省エネルギーモードへのモード移行の決定がなされた場合、省エネルギーモード移行後、そのモードからの復帰を実現するために各種パラメータを保存し、省エネルギーモードとしてスリープモード(Sleep)へ移行することは、本願発明の「前記照合の結果に基づいて、前記デバイス機器へ前記通常状態と前記省電力状態との切替えを指示する指示処理」に相当する機能といえる。

(6)引用発明は、「最適な省電力環境を実現可能なプログラム」であるので、「コンピュータに実行させる電源制御プログラム」である点で本願発明と共通する。

したがって、両者は、以下の点で相違または一致する。

[一致点]
ホスト機器に接続されるデバイス機器に対する通常状態から省電力状態への切替え条件を取得する条件取得処理と、
前記ホスト機器の状態を示す状態情報を取得する情報取得処理と、
前記切替え条件と前記状態情報とを照合する照合処理と、
前記デバイス機器に対する前記切替え条件が設定されている場合に、
前記照合の結果に基づいて、前記デバイス機器へ前記通常状態と前記省電力状態との切替えを指示する指示処理と、
をコンピュータに実行させる電源制御プログラム。

[相違点]
本願発明は、「デバイス機器に対する複数の前記切替え条件が設定されている」ものであるのに対して、引用発明は、「モード移行参照テーブル」に「プリンタが省エネルギーモードに移行するか否かを判断する基準を示し、複数のホストコンピュータ(701)夫々の状態がどのようになっていれば、省エネルギーモードに移行するかの設定(移行条件707)、所定のプロセスに対して休止状態とみなす判断基準(704?706)が含まれ」るが、プリンタが省エネルギーモードに移行する条件が複数設定されていると特定されていない点。

2.判断
[相違点]について
引用発明は、「モード移行参照テーブル」の例として、(プリンタB)については、1つめの条件が「ホストC」は「プロセスQが休止」であることを含み、2つめの条件が「ホストD」は「プロセスXが休止」であることを含み、3つめの条件が「ホストD」は「プロセスYが休止」であることを含んで定義されており、省エネモード移行条件としては、「2以上のホストにおいてプロセスが休止状態或いは休止みなし状態である。」と定義されている。
引用発明においては、上述したように、「省エネモード移行条件」としては「2以上のホストにおいてプロセスが休止状態或いは休止みなし状態である。」と定義されているのみであるから、引用発明の「モード移行参照テーブル」は、形式的には、一つの省エネモード移行条件しか含まれていないともいい得るものであるが、引用発明の「モード移行参照テーブル」の「1つめの条件」、「2つめの条件」、「3つめの条件」を考慮すれば、引用発明の「2以上のホストにおいてプロセスが休止状態或いは休止みなし状態である。」という(プリンタB)についての「省エネモード移行条件」は、「ホストC」において「プロセスQが休止」し「ホストD」において「プロセスXが休止」した状態である場合と、「ホストC」において「プロセスQが休止」し「ホストD」において「プロセスYが休止」した状態である場合とを含む、複数の場合にプリンタが省エネモードに移行することを表すものであり、実質的には、複数の省エネモード移行条件を表すものである。
そして、引用発明は、「移行条件707」は、プリンタの操作部或いはネットワークを介したホストコンピュータからの指示入力に応じて適宜変更可能なものであるから、引用発明において、「1つめの条件」、「2つめの条件」、「3つめの条件」を考慮して、実質的には、複数の省エネモード移行条件を表すものである「2以上のホストにおいてプロセスが休止状態或いは休止みなし状態である。」という「移行条件707」を、形式的に、「ホストCにおいてプロセスQが休止しホストDにおいてプロセスXが休止した状態である。」という定義の条件と、「ホストCにおいてプロセスQが休止しホストDにおいてプロセスYが休止した状態である。」という定義の条件とを含む複数の条件として設定することは、当業者が容易になし得たことである。

したがって、本願発明は、引用発明に基づいて当業者であれば容易に構成することができたものである。

そして、本願発明の奏する効果は、引用発明から当業者が予想できる程度のものである。

第4 むすび
以上のとおり、本願発明は、引用発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その他の請求項について検討するまでもなく、拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2018-07-24 
結審通知日 2018-07-31 
審決日 2018-08-20 
出願番号 特願2013-114616(P2013-114616)
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡部 博樹山崎 誠也  
特許庁審判長 千葉 輝久
特許庁審判官 山田 正文
松田 岳士
発明の名称 電源制御プログラム、カメラおよびアクセサリ  
代理人 渡辺 隆男  
代理人 永井 冬紀  
代理人 白石 直正  
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