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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B32B
管理番号 1344860
異議申立番号 異議2018-700588  
総通号数 227 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2018-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2018-07-17 
確定日 2018-10-04 
異議申立件数
事件の表示 特許第6261943号発明「建築用化粧材及びその製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。 
結論 特許第6261943号の請求項1?9に係る特許を維持する。 
理由 第1 手続の経緯
特許第6261943号の請求項1?9に係る特許についての出願は、平成25年10月28日に特許出願され、平成29年12月22日にその特許権の設定登録がされ、その特許に対し、平成30年7月17日に特許異議申立人山田宏基(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。

第2 本件発明
特許6261943号の請求項1?9の特許に係る発明(以下、「本件発明1?9」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1?9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
基材と、下塗着色塗料を塗装して得られた下塗層と、上塗着色塗料を部分塗装して得られた上塗層と、クリヤー塗料を塗装して得られたクリヤー層とを有した建築用化粧材であって、上塗着色塗料が、着色顔料として無機顔料と有機顔料との両方を含み、有機顔料と無機顔料との配合割合が質量比で有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲であることを特徴とする建築用化粧材。
【請求項2】
前記基材が、凹部と凸部を有する基材であり、少なくとも凸部の一部に上塗着色塗料を塗装して部分模様付けがなされている請求項1に記載の建築用化粧材。
【請求項3】
前記上塗層は、エアレススプレー塗装、エアスプレー塗装、フレキソ印刷、グラビヤ印刷、及びインクジェット印刷からなる群から選択されたいずれか1種又は2種以上を用いて部分塗装されたものである請求項1又は2に記載の建築用化粧材。
【請求項4】
上塗着色塗料の着色顔料における有機顔料が、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、及びC.I.ピグメントブラウンからなる群から選択されたいずれか1種又は2種以上である請求項1?3のいずれかに記載の建築用化粧材。
【請求項5】
前記下塗層を形成する下塗着色塗料が、着色顔料として無機顔料を使用したものである請求項1?4のいずれかに記載の建築用化粧材。
【請求項6】
基材上に下塗着色塗料を塗装して下塗層を形成する工程と、上塗着色塗料を部分塗装して上塗層を形成する工程と、クリヤー塗料を塗装してクリヤー層を形成する工程とを含んだ建築用化粧材の製造方法であって、上塗着色塗料が、着色顔料として無機顔料と有機顔料との両方を含み、有機顔料と無機顔料との配合割合が質量比で有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲であることを特徴とする建築用化粧材の製造方法。
【請求項7】
前記基材が、凹部と凸部を有する基材であり、少なくとも凸部の一部に対して、エアレススプレー塗装、エアスプレー塗装、フレキソ印刷、グラビヤ印刷、及びインクジェット印刷からなる群から選択されたいずれか1種又は2種以上を用いて上塗着色塗料を塗装して部分模様付けを行う請求項6に記載の建築用化粧材の製造方法。
【請求項8】
上塗着色塗料の着色顔料における有機顔料が、C.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、及びC.I.ピグメントブラウンからなる群から選ばれたいずれか1種又は2種以上である請求項6又は7に記載の建築用化粧材の製造方法。
【請求項9】
前記下塗層を形成する下塗着色塗料が、着色顔料として無機顔料を使用したものである請求項6?8のいずれかに記載の建築用化粧材の製造方法。」

第3 申立理由の概要
申立人は、本件発明1、2、5、6及び9は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するものであるから、それらの特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべき旨を主張している。
また、申立人は、本件発明3及び7は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証、甲第7号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するものであるから、それらの特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべき旨を主張している。
さらに、申立人は、本件発明4及び8は、甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証、甲第8号証に記載された技術的事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定に違反するものであるから、それらの特許は同法第113条第2号に該当し、取り消されるべき旨を主張している。
甲第1号証:特開2005-13939号公報
甲第2号証:特開平6-286269号公報
甲第3号証:特開2013-10812号公報
甲第4号証:特表2007-510760号公報
甲第5号証:特開2003-181998号公報
甲第6号証:特開2008-57131号公報
甲第7号証:特開平10-58612号公報
甲第8号証:特開2011-208107号公報
以下、上記甲第1号証?甲第8号証を、それぞれ、刊行物1?8という。

第4 刊行物の記載事項、技術的事項ないし発明
1.刊行物1について
(1)刊行物1には、下記の事項が図面とともに記載されている。
ア.
「【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は建築内装材や外装材などの分野において利用される無機質化粧板の製造方法に関するものである。」

イ.
「【0004】
しかしながら、これらの製造方法では、何れも所望する任意の模様を精度よく、且つ再現よく形成することが困難であり、この解決手段として近年では、グラビア印刷やフレキソ印刷或いはスクリーン印刷等の印刷技術の応用にて、無機質建材の模様付けが行われているが、これら何れの方法も無機質板表面に凹凸があれば、凹部に模様が付かない欠点があり、また新規の模様が必要となった場合、製版しなければならないため、迅速な商品開発を阻害したり、コスト高に繋がるという大きな課題がある。」

ウ.
「【0005】
更にこの解決手段として、ジェットプリンターを応用する方法(特許文献1、特許文献2参照)が発明され、タイル貼り壁面や石積み壁の様な外観を有する外装材の模様付けにあって、個々のタイルや個々の石に相当する無機質板の特定部分に微妙な色変化(疑似タイルや擬石)を付与する方法として、生産性や模様再現性等の面から申し分ない技術が実用化されているが、如何せん該手法の画質精度は10?20DPIであり、例えば大理石や御影石等の天然石材に現れる繊細な線状模様や点状模様或いは両者の混在する模様等の再現は不可能である。」

エ.
「【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、無機質板表面が平滑でもまた凹凸模様があろうとも、例えば、天然石材等の表面に出現する繊細な線状模様や点状模様或いは部分的な色変化等、これらの混在する模様等の、所望する任意の模様が精度よく、且つ再現よく、確実に形成され、しかもこれらの高度の意匠を持つ無機質化粧板が長期の使用に耐え、且つ外観が維持できる無機質化粧板の製造方法を提供することである。」

オ.
「【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、表面に下層着色塗膜を予め施した無機質板の表面にインクジェットプリンターのノズルからインクを吐出して高画質の模様付けし、更に該無機質板表面全体にクリヤー塗装することで、天然石材等の表面に出現する繊細な線状模様や点状模様或いは部分的な色変化等、これらの混在する模様等の、所望する任意の模様が精度よく、且つ再現よく、確実に形成され、しかもこれらの高度の意匠を持つ無機質化粧板が長期の使用に耐え、且つ外観が維持できることを見いだし、また、被印刷下塗り塗膜を形成する塗料の組成範囲、並びに模様付けに適するジェットプリンターの選定やインクの好ましい適性範囲、更には長期耐久性を有する塗装系を見いだし、本発明を完成した。」

カ.
「【0009】
即ち、本発明の無機質化粧板の製造方法は、表面に下塗り着色塗膜を予め施した無機質板の表面にインクジェットプリンターのノズルからインクの吐出を行い模様付けをした後、該無機質板全面にクリヤー塗料を塗装する無機質板の製造方法であって、インクジェットプリンターによる模様付けの画質精度が、基材の横方向、縦方向共100?600DPIの範囲にあることを特徴とする。」

キ.
「【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で扱う無機質板とは、フレキシブルボード、珪酸カルシウム板、石膏スラグパーライト板、木片セメント板、プレキャストコンクリート板、ALC板、石膏ボードなどの、通常建築用に使用されている各種の無機質板であり、特に、その用途に制限なく適用できるものである。」

ク.
「【0011】
本発明に使用する模様付けに適する、インクジェットプリンターとしては、一般に紙の印刷等に用いられる公知のものが、広く使用可能であるが、特に好ましいのは、コンテイニアス方式のピエゾドロップ型ジェットプリンター及びオンデマンド方式のピエゾドロップ型ジェットプリンターである。」

ケ.
「【0012】
更に、インク吐出時プリンターヘッドがコンベア上方に位置し、コンベア幅方向に往復運動する方式よりも、インク吐出時コンベア上方(搬送されつつある予め下塗り塗膜を形成した建築用基材上方)に位置し固定されている、いわゆるライン方式プリンターヘッドを具備する形式のインクジェットプリンターが生産スピードからより好ましい。更に、黄?黄褐色系、赤?赤褐色系、ブルー色系の3原色に加え明度調整用としての黒色系の個々の色のインクに、個別に対応可能なプリンターヘッドを有するプリンターか、より好ましくは前記3原色の中間色や白色系インクに必要に応じ個別に対応可能な、プリンターヘッド4?8群備えたいわゆるフルカラージェットプリンターが使用できる。また、本発明における画質精度は、基材の横方向、縦方向共に(以下同じ)100?600DPIの範囲である。100DPI以下では、例えば天然石等に出現する模様再現には不適であり、600DPIを越える高画質は、建築材用途には過剰であり、且つ経済性や生産性が著しく低下すること、或いはノズルの詰まりが発生し易くなること等の短所が増大する。また、本発明のより好ましい画質精度領域としては、180?360DPIである。」

コ.
「【0013】
また本発明で使用する、インクのにじみを防止能力のある模様付けのための下層塗膜を形成する塗料は、樹脂、顔料、インクにじみ防止剤及び希釈剤を、含有成分として構成されるもので、樹脂としてはアクリル共重合体、シリル基含有アクリル共重合体、フッ素含有ビニル共重合体、シリル基含有含フッ素ビニル共重合体等、建材塗料に用いられる公知の樹脂が使用され、これらの1種もしくは2種以上の混合物を有用に使用することができる。」

サ.
「【0014】
また、顔料として(代表的なものとして)酸化チタン、酸化鉄、複合酸化物(ニッケル・チタン系、クロム・チタン系、ビスマス・バナジウム系)、カーボンブラック等の無機系着色顔料や、褪色に影響しない程度で使用されるキナクリドン、ジケトプロロピール、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、アンスラピリミジン、フタロシアニン、スレン、ジオキサジン等の有機系着色顔料、更に炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カオリン、マイカ、タルク等の体質顔料が有用に使用できる。これらの顔料は少なくとも1種以上を使用する。」

シ.
「【0017】
本発明で使用するインクの滲まない下塗り塗膜を形成する下塗り塗料は、以上に説明した樹脂、顔料、にじみ防止剤及び希釈剤を主成分とし、更に必要に応じて各種の添加剤、改質剤を適宜混合して使用することができる。各種の添加剤、改質剤としては分散剤、沈殿防止剤、表面改質剤、紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤、水分捕捉剤、界面活性剤等がある。この場合における下塗り塗料の主要成分の配合割合は樹脂(固形分15?40重量%、顔料10?40重量%、にじみ防止剤3?50重量%、希釈剤20?60重量%であり、その他の成分は樹脂の固形分100重量部に対し0.1?10重量部の範囲で使用可能である。」

ス.
「【0019】
次に、本発明で使用するインクとしては、着色顔料、分散剤、溶媒の主成分から構成され、それぞれの構成比は着色顔料3?25重量%、分散剤0.5?15重量%、溶媒60?96.5重量%であり、着色顔料が3重量%未満では、模様印刷時の発色が不充分であり、また25重量%を越えると顔料の沈殿が起こり易く、ノズル詰まりの危険性が増大する。着色顔料のより好ましい含有量は5?15重量%である。また、分散剤が0.5重量%未満では顔料分散が不充分になり易く、顔料の凝集・沈殿が起こりノズル詰まりに繋がる。また、15重量%を越えると顔料分散の面から、良好なインクが得られるものの、外壁材等として実用に供した場合耐候性、耐久性の低下が起こり悪影響を与えることが多い。顔料分散剤の好ましい含有量は1?7重量%である。溶媒が60重量%未満では、ノズルから適性に吐出可能な粘度領域が確保しずらく、また96.5重量%を越えると、顔料の沈殿や印刷物の着色が不充分となる。溶媒のより好ましい含有量は80?92重量%である。」

セ.
「【0020】
本発明で使用するインクに用いられる着色顔料の代表的なものとしては、一般的に塗料や印刷インク等に用いられる公知の着色顔料が広く使用可能であるが、キナクリドン、ジケトプロロピール、ベンズイミダゾロン、イソインドリノン、アンスラピリミジン、スレン、ジオキサジン等の有機顔料、カーボンブラック、酸化鉄、複合酸化物(ニッケル・チタン系、クロム・チタン系、ビスマス・バナジウム系)、酸化チタン等の無機顔料が有用に使用可能である。特に有機顔料はインク加工時沈殿しずらく、また、列記したものは有機顔料の中でも耐候性能の良いものを選定しているので、紙等に代表される印刷業界の印刷物や、建材業界の高意匠模様付与内装材の品位では充分であるが、外装材等の過酷な屋外環境下に曝される用途では、耐候性能が不充分であり顔料の難分散性や沈殿性から、紙等の印刷業界で使用例のない無機顔料が耐候性、耐久性の面からより適している。」

ソ.
「【0024】
本発明で使用するクリヤー塗料については、無機質化粧板の製造において従来から一般的に用いられている如何なるクリヤー塗料も使用可能であるが、アクリル共重合体、ヒンダードアミン基含有アクリル共重合体、加水分解性シリル基含有アクリル共重合体、含フッ素共重合体、加水分解性シリル基含有含フッ素共重合体、アルコキシシラン縮合体からなる群から選ばれる少なくとも1種をバインダーとして含有する、クリヤー塗料を用いることが高度の耐候性能を得る上で好ましい。」

タ.
「【0027】
斯くして得られる耐候性に優れた上塗りクリヤー塗料は、常法のエアースプレー、エアレススプレー、静電塗装、ロールコーター、フローコーター等公知の塗装方法を使用して好適に塗布できる。また上塗りクリヤーは、インクの塗布膜が未乾燥状態でも、あるいは乾燥状態いずれの時でも塗り重ねることが可能である。すなわち、上塗りクリヤーをインク塗装膜が未乾燥の時に塗り重ねる場合は2秒間?10分間程度の、インターバルをおいて塗り重ねる。また上塗りクリヤーをインク塗装膜が乾燥した後に塗り重ねる場合は、概ね2時間以上放置した後に塗り重ね、またインク塗装膜を強制乾燥させる場合には、インクの組成に対応したインク塗装膜から溶媒を40重量%揮発させる加熱条件を施した後に塗り重ねる。また本上塗りクリヤーの乾燥条件は常温?180℃の温度範囲にて3分?24時間である。」

チ.
「【0028】
次に、本発明の無機質化粧板の製造方法をピエゾドロップオンデイマンド型ジェットプリンターを使用した一実施例に基づいて具体的に説明する(図1参照)。凹凸のある表面ににじみを防止する機能のある下塗り着色塗膜を施した無機質板(以下、単に基材と言う)をコンベアに載せて前方に搬送する。コンベア上方にはインクジェットプリンターのプリンターヘッドが配備され、またプリンター直下のコンベアは真空吸着搬送ベルトとなっている。プリンターヘッドはインク1色当たり、印刷有効幅25.4mm/1ヘッド(180ドット・平行2列=360ドット、ノズルのインク吐出周波数1000Hz)のヘッドが18個アレイ化され、コンベア幅方向に印刷有効幅450mmのラインヘッドユニット(1ラインヘッドユニット内の合計ノズル数=6480)で構成されており、基材の進入側から黄系用、赤系用、青系用、黒系用の、個々の色のインクに対応する4群のアレイ化ヘッドが配列されている。」

ツ.
「【0029】
このアレイ化ヘッドにはインクタンクとチューブで結ばれインクが必要量供給される。コンベア上を搬送されながら基材はガイド等で位置制御され、真空吸着搬送ベルトに乗り移る、同時に基材は位置と搬送スピードが高度に維持されつつラインヘッドユニット下を通過する、この時プリンターヘッドの下方に設けた複数のノズルから、制御された状態にて各色のインクを吐出し基材に模様付けを行う。」

テ.
「【0030】
模様付けの方法としては個々のノズルには個々にピエゾ駆動素子が組み込まれており、また印刷すべき柄、模様に対応する柄パターンを記録したパターンデーターの記憶部、該記憶部からアウトプットされた柄パターン信号と一方で基材位置及び搬送速度の検出の信号を、メインコントロール部で連動させると同時に、個別のノズルに組み込まれたピエゾ駆動素子への制御信号を出し、ピエゾ駆動素子で機械的運動に変換しノズルからのインク吐出に結びつけ、基材表面上にパターンデーターに基づく柄模様を描画させる。なお基材表面とプリンターヘッドのノズル先端部は0.5?25mmの距離を持たせてあるので、相互に無接触のため基材の凹凸があっても、模様の描画に支障がない。」

ト.
「【0033】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により、本発明を更に詳細に説明する。」

ナ.
「【0034】
表1に記載の基材を用い、また表1に記載の塗料、インク及び塗装条件、模様付け条件、乾燥条件を用いて、高画質の意匠性化粧板を作製した。なお、実施例及び比較例で用いた塗料組成物及びインク組成物は、表1の後に記した。また、塗料組成物及びインク組成物の説明中の「部」は重量基準である。」

ニ.
「【0035】
なお、図1に実施例及び比較例で用いたインクジェットプリンター構成の概略図を示す。図において、1はプリントデーター制御、画像処理の機能を兼ねるネットワークインターフェイスであるホストコンピュータであり、2は色合わせ、色分解と画像各色データー蓄積の機能を兼ねるインターフェイスであるRIPであり、3はプリントデーター制御、プリンターと搬送系メカシークエンス制御の機能を兼ねるメインコントローラであり、4.搬送系駆動と制御を行う搬送系コントローラである。」

ヌ.
「【0036】
実施例1?6及び比較例1?2で得た化粧板の意匠性、硬度、耐温水性、耐候性、耐凍結融解性を下記の方法に従って評価した。その結果を表1に示す。」

ネ.
「【0037】
なお、図1に示すインクジェットプリンターにおいて、1はプリントデーター制御、画像処理の機能を兼ねるネットワークインターフェイスであるホストコンピュータであり、2は色合わせ、色分解と画像各色データー蓄積の機能を兼ねるインターフェイスであるRIPであり、3はプリントデーター制御、プリンターと搬送系メカシークエンス制御の機能を兼ねるメインコントローラであり、4.搬送系駆動と制御を行う搬送系コントローラである。」

ノ.
「【0038】
【表1】



ハ.
「【0039】
【表2】



ヒ.
「【0040】
【表3】



フ.
「【0051】
<インク2(黄)>
黄褐色透明酸化鉄:10部、水:70部、グリセリン:15部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:3部、高分子分散剤:2部、からなる組成物。
(粘度:3.2mPa・s/20℃)」

ヘ.
「【0052】
<インク2(赤)>
赤褐色透明酸化鉄:10部、水:70部、グリセリン:15部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:3部、高分子分散剤:2部、からなる組成物。
(粘度:3.2mPa・s/20℃)」

ホ.
「【0053】
<インク2(紺)>
C.I.ピグメントブルー15:6部、水:74部、グリセリン:15部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:3部、高分子分散剤:2部、からなる組成物。
(粘度:3.3mPa・s/20℃)」

マ.
「【0054】
<インク2(黒)>
C.I.ピグメントブラック7:5部、水:75部、グリセリン:15部、ジエチレングリコールモノブチルエーテル:3部、高分子分散剤:2部、からなる組成物。
(粘度:3.1mPa・s/20℃)」

ミ.
「【図1】



(2)上記(1)で摘記したセ.には、「本発明で使用するインク」に用いられる着色顔料として、有機顔料、無機顔料が挙げられている。これを受けて、同じく上記(1)で摘記したト.?ミ.には、「本発明」の実施例3?6のインク2について、<インク2(黄)>として黄褐色透明酸化鉄、<インク2(赤)>として赤褐色透明酸化鉄、<インク2(紺)>としてC.I.ピグメントブルー15、<インク2(黒)>としてC.I.ピグメントブラック7が使用されることが記載されている。ここで、上記黄褐色透明酸化鉄及び赤褐色透明酸化鉄は、無機顔料であり(上記(1)で摘記したセ.参照)、上記C.I.ピグメントブルー15は有機顔料であることは技術常識であり(下記の8.(1)イ.の摘記事項、特開2002-72465号公報の【0079】、特開2013-100395号公報の【0027】参照)、上記C.I.ピグメントブラック7は有機顔料または無機顔料であることは技術常識である(下記の4.(2)の摘記事項、特開2002-72465号公報の【0079】、特開2013-100395号公報の【0028】参照)。ゆえに、刊行物1の実施例3?6では、<インク2(黄)>は無機顔料を含み、<インク2(赤)>は無機顔料を含み、<インク2(紺)>は有機顔料を含み、<インク2(黒)>は有機顔料または無機顔料を含むといえる。そして、上記(1)で摘記したツ.によると、各色のインクを吐出することで基材に模様付けが行われるから、模様であるインク塗装膜を形成するインクは、着色顔料として無機顔料と有機顔料との両方を含むといえる。ここで、模様付けに使用される各色のインクの量は、模様の配色により左右されるから、有機顔料と無機顔料との配合割合は模様に応じたものとなるといえる。

(3)上記(1)、(2)を踏まえると、刊行物1には、次の刊行物1発明1及び刊行物1発明2が記載されている。
刊行物1発明1:
「基材と、顔料を含む下塗り塗料を塗装して得られた下塗り塗膜と、インクを塗装して得られたインク塗装膜と、クリヤー塗料を塗装して得られた上塗りクリヤーとを有した建築内装材や外装材などの分野において利用される無機質化粧板であって、インクが、着色顔料として無機顔料と有機顔料との両方を含み、有機顔料と無機顔料との配合割合が模様に応じたものである、建築内装材や外装材などの分野において利用される無機質化粧板。」

刊行物1発明2:
「基材上に顔料を含む下塗り塗料を塗装して下塗り塗膜を形成する工程と、インクを塗装してインク塗装膜を形成する工程と、クリヤー塗料を塗装して上塗りクリヤーを形成する工程とを含んだ建築内装材や外装材などの分野において利用される無機質化粧板の製造方法であって、インクが、着色顔料として無機顔料と有機顔料との両方を含み、有機顔料と無機顔料との配合割合が模様に応じたものである、建築内装材や外装材などの分野において利用される無機質化粧板の製造方法。」

2.刊行物2について
(1)刊行物2には、下記の事項が記載されている。
ア.
「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は文字や図形などを印刷したり複写したりするレーザプリンタや複写機などのプリンタ装置に関する。さらに詳しくは、紙などの媒体(以下、紙という)に印刷されたり、複写された記録事項を消去して紙の再利用を図れるプリンタ装置に関する。」

イ.
「【0002】本明細書においてプリンタ装置とは、インキやトナーなどを用いて文字や図形などを印字したり、転写または複写することができる印刷機や複写機を意味し、たとえばレーザプリンタまたは複写機などが含まれる。」

ウ.
「【0006】本発明はこのような問題を解決して、印刷後たとえば数時間から数日間といった短期間しか利用しない印刷物のばあい、紙の再利用を図ることができるプリンタ装置を提供することを目的とする。」

エ.
「【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のプリンタ装置は、文字または図形が記録された媒体の記録事項を消去する消去部と、該消去部を経由した媒体の表面に退色性のインキまたはトナーにより新たに印刷または複写する記録部とからなることを特徴とする。」

オ.
「【0010】本発明のプリンタ装置は、退色性のあるインキやトナーで印刷を行う記録部(図示せず)と、前に印刷された記録事項を消去する消去部とから構成されている。記録部はたとえば従来から用いられているレーザプリンタや印刷機などの印字部や複写機の転写部をそのまま用いることができ、本発明のプリンタ装置は、インキまたはトナーとして退色性のあるものが用いられることと、記録部の前段に記録事項を消去する消去部が設けられているところに特徴がある。」

カ.
「【0011】退色性のインキまたはトナーとしては、たとえば、メチルバイオレットレーキ(タンニンレーキ)、ピーコックブルーレーキ(酸性レーキ)、アシッドグリーンレーキ、ナフトールエローSレーキ、キノリンエローレーキ、ペルシアンオレンジ、パラレッド、リソールレッド、ブリリアントスカーレットG、ボルドー5B、アルカリブルートーナーなどの有機顔料に、紫外線吸収率の高い展着剤である、たとえば変成フェノール樹脂、ライムド・ロジン、ダンマーなどを混合したものが用いられる。そして顔料や展着剤の種類、または顔料と展着剤との混合比を適宜選択することにより、インキまたはトナーの退色時間を調整することができる。また有機顔料は無機顔料よりも退色し易く、前述の顔料が好ましいが、他の有機顔料または無機顔料でも、印刷物の使用目的に応じて用いることができる。前述の顔料の中で、メチルバイオレットレーキ、ピーコックブルーレーキ、アシッドグリーンレーキはとくに退色し易く、数日間程度で不要になるような印刷物に用いるばあいには、とくに好ましい。また、化学反応を加速する触媒を混入することにより退色の処理時間を調整することもできる。」

キ.
「【0012】前記各有機顔料は紫外線に対してとくに退色し易い性質を有しているが、特殊な化学薬品と反応して退色するものでもよい。」

ク.
「【0014】以上の説明では消去部が化学薬品によってトナーなどの記録事項を退色させる装置の例をあげたが、消去部はこれに限定されず、たとえば紫外線照射装置などの消去手段でもよい。紫外線照射によるばあいは、紫外線ランプなどが、ローラなどで搬送される紙の上面に配置され、紫外線を照射するのみで、記録事項を消去できる。このばあい、乾燥ローラ5や加熱装置6などは不要であることはいうまでもない。」

ケ.
「【0015】前述のように、本発明のプリンタ装置では、顔料や展着剤の種類やこれらの配合比、触媒の添加量などを適宜選択することによって、インキの退色時間を印刷物の用途に応じて調整することができる。」

(2)上記(1)の摘記事項を踏まえると、刊行物2には次の技術的事項が示唆されている。
「着色顔料として無機顔料と有機顔料との両方を含んだ退色性のインキを用いることで、記録事項を消去可能にし、もって、紙の再利用を図ること。」

3.刊行物3について
(1)刊行物3には、下記の事項が記載されている。
ア.
「【0015】
ここで、「変色」という用語は、色の色相、彩度および明度のうち、少なくともいずれか一つが変化することをいい、色が無色に変化すること(即ち、「消色」および「消去」)の概念を含む。また、「消色」および「消去」という用語は、色が全く認識できないようにすること(即ち、無色にすること)のみならず、色を薄くすること(より無色に近い状態にすること)をも含む意味で使用される。」

イ.
「【0017】
本明細書において、「熱変色性インキ組成物」とは、着色剤を広げるための溶剤または分散媒を含む、熱により変色する性質を有する液体状(ゲルおよびゾルを含む)の組成物であり、紙等の媒体に筆記または印刷可能な組成物を指す。したがって、熱変色性組成物は、熱変色性インキ組成物を含む概念である。よって、以下の説明において、特に断りのない限り、「熱変色性組成物」という用語は、熱変色性インキ組成物を含む意味で用いられる。」

ウ.
「【0054】
(非熱変色性着色剤)
本発明の熱変色性組成物は、上記の成分に加えて、加熱により色相が変化しない着色剤、即ち、非熱変色性着色剤を含んでよい。非熱変色性着色剤は、好ましくは電子受容性化合物および消色剤の影響を受けず、それらによって変色しないものである。本発明の熱変色性組成物が非熱変色性着色剤を含む場合、本発明の熱変色性組成物は、加熱前に、発色状態の電子供与性呈色性有機化合物が呈する色と、着色剤が呈する色とが混合された色を有し、加熱後に、電子供与性呈色性有機化合物の呈する色が無色化されて、着色剤の色が強く現れる熱変色性組成物となる。よって、そのような着色剤を含む熱変色性組成物は、例えば、ある色相から別の色相に変化する、熱変色性組成物となる。」

エ.
「【0055】
非熱変色性着色剤は、例えば、酸性染料、直接染料、塩基性染料などの水溶性染料のほか、カーボンブラック、酸化チタン、アルミナのシリカ、タルクなどの無機顔料;アゾ系顔料、ナフトール系顔料、フタロシアニン系顔料、スレン系顔料、キナクリドン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジオキサン系顔料、ジオキサジン系顔料、インジゴ系顔料、チオインジゴ系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、インドレノン系顔料、およびアゾメチン系顔料などの有機顔料;アルミニウム粉およびブロンズ粉等などの金属粉顔料;蛍光顔料;パール顔料;ならびに光輝性顔料等である。また、これらの着色剤は、顔料分散体として用いることもできる。また本発明のインキ組成物において、これらの着色剤は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を混合して用いることもできる。」

オ.
「【0057】
非熱変色性着色剤が熱変色性組成物に占める量は、特に限定されず、電子供与性呈色性有機化合物が呈色しなくなったときに、所望の色が得られるように、適宜選択される。例えば、熱変色性インキ組成物における非熱変色性着色剤の量は、好ましくはインキ組成物の0.001重量%?30重量%であり、より好ましくはインキ組成物の0.01重量%?15重量%である。」

(2)上記(1)の摘記事項を踏まえると、刊行物3には次の技術的事項が示唆されている。
「着色剤として、無機顔料と有機顔料を混合して用いる。」

4.刊行物4について
(1)刊行物4には、下記の事項が記載されている。
ア.
「【発明の効果】
【0013】
本発明第1の態様によると、ヘテロ環構造を有する染料と化学的相互作用する化合物を少なくとも1種含有する、色相並びに画像の堅牢性に優れたインクジェット用インク、インクセット、ならびにそれらを用いたインクジェット記録方法を提供することができる。
第2の態様によると、耐候性に優れ、褪色後もカラーバランスの優れた画像を与えるインクジェット用インクセットの提供することができる。
第3の態様によると、取り扱い性・臭気・安全性等の点から有利な水性インクにおいて、吐出安定性が高く、耐候性に優れた記録画像を得ることができるインクジェット記録用インクセットを提供することができる。」

イ.
「【0364】
さらに、本発明は、顔料を染料と共に併用したインクを用いることもできる。
本発明に用いることのできる顔料としては、市販のものの他、各種文献に記載されている公知のものが利用できる。文献に関してはカラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists編)、「改訂新版顔料便覧」日本顔料技術協会編(1989年刊)、「最新顔料応用技術」CMC出版(1986年刊)、「印刷インキ技術」CMC出版(1984年刊)、W.Herbst,K.Hunger共著によるIndustrial Organic Pigments(VCH Verlagsgesellschaft、1993年刊)等がある。具体的には、有機顔料ではアゾ顔料(アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料)、多環式顔料(フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレン及びペリノン系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料等)、染付けレーキ顔料(酸性または塩基性染料のレーキ顔料)、アジン顔料等があり、無機顔料では、黄色顔料のC.I.Pigment Yellow 34,37,42,53など、赤系顔料のC.I.Pigment Red 101,108など、青系顔料のC.I.Pigment Blue 27,29,17;1など、ブラック系顔料のC.I.Pigment Black 7,マグネタイトなど、白系顔料のC.I.Pigment White 4,6,18,21などを挙げることができる。」

(2)上記(1)の摘記事項を踏まえると、刊行物4には次の技術的事項が示唆されている。
「インクの顔料として、有機顔料、無機顔料を用いる。」

5.刊行物5について
(1)刊行物5には、下記の事項が記載されている。
「【0055】比較例4においては、
実施例1で使用した塩化ビニル樹脂組成物フィルムにおいて、着色顔料として無機系顔料(I)5重量部に有機系顔料(I)3重量部(配合資材(11)、HSM9142レッド)(25wt%濃度)として12重量部)を混合したものを用いたことを除き、他は実施例1と同様の手順でシートを作製し、これを前記屋外曝露試験、及び耐光促進試験に供した(※無機系顔料:有機系顔料=63:37(重量比))。試験結果を表3に示す。得られたシートは、屋外曝露6ヶ月後までは、有機系顔料の変退色が目立たないものであったが、屋外曝露18ヶ月後にはピンク色が色腿せてしまい、。また、耐光促進試験3000時間後の色差ΔEは、12.4であった。比較例4の着色シートは、日除けテントシート、中大型テントシートとして屋外で長期間使用する用途に使用できる物ではなかった。」

(2)上記(1)の摘記事項を踏まえると、刊行物5には次の技術的事項が示唆されている。
「着色顔料として、無機顔料と有機顔料を混合して用いる。」

6.刊行物6について
(1)刊行物6には、下記の事項が記載されている。
「【0018】
次に、インク受理層3の表面に水性インクをインクジェット印刷することによってインクジェット層4を形成する。ここで、インクジェット層4を形成するためのインクとしては、無機顔料を含有しないインク(有機化合物のみからなるインク)を用いる。例えば、無機顔料の一種である弁柄やオーカー等は酸化鉄(Fe_(2)O_(3))等の金属酸化物を主成分とするものであるが、このような無機顔料は、光半導体としての性質も有している。そのため、無機顔料と有機顔料とが同じインクジェット層4に共存していると、無機顔料が光半導体として作用することによって有機顔料が劣化し、早期に色褪せが生じてしまう。そこで、本発明では、上記のようにインクジェット層4を形成するためのインクとして、無機顔料を含有しないインクを用いるようにしたものである。」

(2)上記(1)の摘記事項を踏まえると、刊行物6には次の技術的事項が示唆されている。
「インクとして、無機顔料と有機顔料を合わせて用いる。」

7.刊行物7について
(1)刊行物7には、下記の事項が記載されている。
ア.
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、住宅、建築物の内外装に使用する化粧板に関し、特に油性汚染物質やカビ、藻の発生を防ぐことのできる化粧板に関する。」

イ.
「【0010】絵柄層14を形成する方法は、グラビア印刷、スクリーン印刷、オフセット印刷等を使えば良い。印刷インキは、色材として無機系顔料を用いるなど耐候性のあるものを使用すれば良い。インキのバインダーの樹脂系としては、要求品質により塩酢ビ樹脂系、ウレタン樹脂系、ポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂、スチレン樹脂、アルキッド樹脂、ポリアミド、ポリエルテル、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらの樹脂の組み合わせによる共重合物や混合物が用いられる。塩化ビニル樹脂フィルムを使用した場合には、ポリビニルブチラール樹脂を用いたインキが、其れ自体剥離性を有することより良好な結果を得る。また、使用するインキバインダーに体質顔料を加えたものを接着層に使用することで、ベースコートとの密着性を向上させることが可能である。」

(2)上記(1)の摘記事項を踏まえると、刊行物7には次の技術的事項が記載されている。
「グラビヤ印刷により、絵柄層を形成する。」

8.刊行物8について
(1)刊行物8には、下記の事項が記載されている。
ア.
「【0001】
本発明は、新規な光硬化型インクジェットインキ、および重合物の製造方法に関する。さらに詳しくは、エネルギー線、特に光の照射によりフリーラジカルを効率よく発生し、発生したラジカルを利用した重合反応あるいは架橋反応により重合性組成物を短時間に確実に重合させて良好な物性を有する重合物を得ることが可能な材料と方法に関し、さらには、成形樹脂、注型樹脂、光造形用樹脂、封止剤、歯科用重合レジン、印刷インキ、インクジェットインキ、塗料、印刷版用感光性樹脂、印刷用カラープルーフ、カラーフィルター用レジスト、ブラックマトリクス用レジスト、液晶用フォトスペーサー、リアプロジェクション用スクリーン材料、光ファイバー、プラズマディスプレー用リブ材、ドライフィルムレジスト、プリント基板用レジスト、ソルダーレジスト、半導体用フォトレジスト、マイクロエレクトロニクス用レジスト、マイクロマシン用部品製造用レジスト、エッチングレジスト、マイクロレンズアレー、絶縁材、ホログラム材料、光学スイッチ、導波路用材料、オーバーコート剤、粉末コーティング、接着剤、粘着剤、離型剤、光記録媒体、粘接着剤、剥離コート剤、マイクロカプセルを用いた画像記録材料のための組成物、各種デバイスなどの分野において良好な物性を持った重合物を得るための新規な光硬化型インクジェットインキおよび該光硬化型インクジェットインキを使用した重合物の製造方法に関する。」

イ.
「【0146】
有機顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーで例示すると、C.I.ピグメントエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86 93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、C.I.ピグメントグリーン7、36、C.I.ピグメントブラウン23、25、26等が挙げられる。」(当審注:上記「C.I.ピグメントエロー」は、「C.I.ピグメントイエロー」の誤記であると推認される。)

(2)上記(1)の摘記事項を踏まえると、刊行物8には次の技術的事項が記載されている。
「有機顔料としてC.I.ピグメントイエロー、C.I.ピグメントレッド、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントオレンジ、C.I.ピグメントブラウンがあること。」

第5 判断
1.本件発明1について
本件発明1と刊行物1発明1とは、少なくとも、以下の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1では、上塗着色塗料に含まれる有機顔料と無機顔料との配合割合が質量比で有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲であるのに対し、刊行物1発明1では、インクに含まれる有機顔料と無機顔料との配合割合が模様に応じたものである点。
上記<相違点1>について検討する。
まず、上記<相違点1>に係る本件発明1の構成である「上塗着色塗料に含まれる有機顔料と無機顔料との配合割合が質量比で有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲である」とは、「上塗着色塗料に含まれる有機顔料と無機顔料との配合割合」が、「質量比」にして、「有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲」という範囲のうちの特定の値であると解される。このように解することは、配合割合が特定の値の本件発明1の各実施例(本件特許明細書の【0044】?【0045】参照)と合致し、本件発明1が「経年による変化(エイジング)によって、外観を自然な風合いで変化させることができる建築用化粧材を提供すること」という課題(本件特許明細書の【0008】参照)を解決する効果(本件特許明細書の【0026】参照)を奏することとも適合する。
一方、刊行物1発明1では、有機顔料と無機顔料との配合割合は、模様に応じたものであるから、特定の値を意味するものではない。また、刊行物1には、有機顔料と無機顔料との配合割合を特定の値とし、その上、有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲にあることについて記載ないし示唆されていない。また、刊行物2の技術は、着色顔料として無機顔料と有機顔料との両方を含むものの、紙の再利用を図るために記録事項を消去可能とするためのものである(上記第4 2.(2)参照)。刊行物1発明1は、建築内装材や外装材などの分野において利用される無機質化粧板を対象とするものであって紙のように消去すべき記録事項がなく、また、刊行物1には、インクにより得られたインク塗装膜を消去しようとすることも記載ないし示唆されていないから、刊行物1発明1について刊行物2の技術的事項を採用する動機はないといえる。ゆえに、刊行物1発明1について刊行物2の技術的事項を採用することは、当業者であっても容易であるとはいえない。さらに、刊行物2には、有機顔料と無機顔料との配合割合が質量比で有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲とすることについて明示していない。
したがって、上記<相違点1>に係る本件発明1の構成は、刊行物1発明1及び刊行物2の技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
そして、本件発明1は、上記<相違点1>に係る構成を備えることにより、経年による変化(エイジング)によって、外観を自然な風合いで変化させることができる建築用化粧材を提供することができるという格別な作用効果を奏するものである。
よって、本件発明1は、刊行物1発明1及び刊行物2の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

2.本件発明2、5について
本件発明2、5は、上記<相違点1>に係る構成を含む上記本件発明1を引用するものであって、上記本件発明1の発明特定事項にさらに技術的限定を加える構成を付加したものであるところ、上記<相違点1>に係る本件発明1の構成は、刊行物1発明1及び刊行物2の技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たものではないから、上記1.で検討した本件発明1と同様、刊行物1発明1及び刊行物2の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.本件発明3について
本件発明3は、上記<相違点1>に係る構成を含む本件発明1を引用するものであって、上記本件発明1の発明特定事項にさらに技術的限定を加える構成を付加したものであるところ、刊行物7の技術的事項(上記第4 7.(2)参照)は、上記<相違点1>に係る本件発明1の構成を示すものではなく、上記1.での検討も踏まえると、上記<相違点1>に係る本件発明1の構成は、刊行物7の技術的事項を参照しても、当業者が容易に想到し得たものではない。そうすると、本件発明3は、刊行物1発明1及び刊行物2の技術的事項に加え、刊行物7の技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

4.本件発明4について
本件発明4は、上記<相違点1>に係る構成を含む上記本件発明1を引用するものであって、上記本件発明1の発明特定事項にさらに技術的限定を加える構成を付加したものであるところ、刊行物8の技術的事項(上記第4 8.(2)参照)は、上記<相違点1>に係る本件発明1の構成を示すものではなく、上記1.での検討も踏まえると、上記<相違点1>に係る本件発明1の構成は、刊行物8の技術的事項を参照しても、当業者が容易に想到し得たものではない。そうすると、本件発明4は、刊行物1発明1及び刊行物2の技術的事項に加え、刊行物8の技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

5.本件発明6について
本件発明6と刊行物1発明2とは、少なくとも、以下の点で相違する。
<相違点2>
本件発明6では、上塗着色塗料に含まれる有機顔料と無機顔料との配合割合が質量比で有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲であるのに対し、刊行物1発明2では、インクに含まれる有機顔料と無機顔料との配合割合が模様に応じたものである点。
上記<相違点2>について検討すると、当該<相違点2>は実質的に上記<相違点1>と同じであるから、上記1.で述べたのと同様、刊行物1発明2及び刊行物2の技術的事項に基いて、当業者が容易に想到し得たものではない。
よって、本件発明6は、刊行物1発明2及び刊行物2の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

6.本件発明7について
本件発明7は、上記<相違点2>に係る構成を含む本件発明6を引用するものであって、上記本件発明6の発明特定事項にさらに技術的限定を加える構成を付加したものであるところ、上記<相違点2>に係る本件発明6の構成は、上記3.で述べたのと同様、刊行物7の技術的事項を参照しても、当業者が容易に想到し得たものではない。そうすると、本件発明7は、上記5.での検討も踏まえると、刊行物1発明2及び刊行物2の技術的事項に加え、刊行物7の技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

7.本件発明8について
本件発明8は、上記<相違点2>に係る構成を含む本件発明6を引用するものであって、上記本件発明6の発明特定事項にさらに技術的限定を加える構成を付加したものであるところ、上記<相違点2>に係る本件発明6の構成は、上記4.で述べたのと同様、刊行物8の技術的事項を参照しても、当業者が容易に想到し得たものではない。そうすると、本件発明8は、上記5.での検討も踏まえると、刊行物1発明2及び刊行物2の技術的事項に加え、刊行物8の技術的事項に基いても、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

8.本件発明9について
本件発明9は、上記<相違点2>に係る構成を含む本件発明6を引用するものであって、上記本件発明6の発明特定事項にさらに技術的限定を加える構成を付加したものであるところ、上記<相違点2>に係る本件発明6の構成は、刊行物1発明2及び刊行物2の技術的事項に基いて当業者が容易に想到し得たものではないから、上記5.で検討した本件発明6と同様、刊行物1発明2及び刊行物2の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

9.申立人の主張について
申立人は、本件特許異議申立書の第26頁第8?11行において、「また、たとえ甲2の記載が構成要件1Gとは異なるものであったとしても、有機顔料及び無機顔料を配合する一般的な目的を開示する甲3?甲6の記載に鑑みれば、本件発明1は、これらの甲号証との差異が明確になるように訂正されるべきものであると考える。」と主張している。
ここで、上記構成要件1Gとは、本件特許異議申立書の第7頁第2?4行によれば、「有機顔料と無機顔料との配合割合が質量比で有機顔料:無機顔料=1:9?9:1の範囲であることを特徴とする建築用化粧材。」というものである。
しかしながら、本件発明1が対象とする建築用化粧材では、耐候性に劣る等の点から有機顔料の使用は極力避けられているところ、本件発明1では、あえて、上塗着色塗料の着色顔料として無機顔料と有機顔料との両方を上記構成要件1Gに規定される質量比で含有させ、もって、経年による自然な風合いの変化を発現せしめるものである(本件特許公報の【0005】、【0007】、【0026】参照)。そうすると、仮に、刊行物3?6(甲3?甲6)の記載が有機顔料及び無機顔料を配合する一般的な目的を開示するものであるとしても(上記第4 3.(2)、4(2)、5(2)、6(2)参照)、本件発明1は「建築用化粧材」を具体的な対象とし、「経年による自然な風合いの変化を発現せしめる」という具体的な目的を有する。さらに、上記構成要件1Gという具体的な手段を備えるものであるから、本件発明1と、何ら建築用化粧材に用いることを示唆しない刊行物3?6(甲3?6)との差異は明確であるといえる。したがって、本件発明1は訂正されるべきとの上記申立人の主張は、当を得たものではなく採用できない。

10.小括
以上のとおりであるから、本件発明1、2、5、6、9は、刊行物1発明1または刊行物1発明2及び刊行物2の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反するものではないから、それらの特許は同法113条第2号に該当せず取り消されるべきものとはいえない。
また、本件発明3、7は、刊行物1発明1または刊行物1発明2及び刊行物2、7の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反するものではないから、それらの特許は同法113条第2号に該当せず取り消されるべきものとはいえない。
さらに、本件発明4、8は、刊行物1発明1または刊行物1発明2及び刊行物2、8の技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえず、特許法第29条第2項の規定に違反するものではないから、それらの特許は同法113条第2号に該当せず取り消されるべきものとはいえない。

第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1?9に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1?9に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2018-09-25 
出願番号 特願2013-222919(P2013-222919)
審決分類 P 1 651・ 121- Y (B32B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 近野 光知飛彈 浩一増田 亮子  
特許庁審判長 井上 茂夫
特許庁審判官 横溝 顕範
西藤 直人
登録日 2017-12-22 
登録番号 特許第6261943号(P6261943)
権利者 旭トステム外装株式会社 大日本塗料株式会社
発明の名称 建築用化粧材及びその製造方法  
代理人 中村 智廣  
代理人 成瀬 勝夫  
代理人 佐々木 一也  
代理人 佐々木 一也  
代理人 佐野 英一  
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